(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169049
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】光クロージャ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G02B6/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080501
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 峻矢
(72)【発明者】
【氏名】石原 竜也
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信
(72)【発明者】
【氏名】松尾 崇司
(72)【発明者】
【氏名】宝満 貞治
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
【テーマコード(参考)】
2H038
【Fターム(参考)】
2H038CA33
2H038CA37
2H038CA38
2H038CA42
2H038CA48
2H038CA63
(57)【要約】
【課題】路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有することができる光クロージャを提供する。
【解決手段】光クロージャは、光ファイバを収納する。光クロージャは、筐体と、収納トレイとを備える。筐体は、金属製の本体部、及び本体部と所定方向において対向する金属製の蓋部を有する。筐体は、光ファイバを収納する空間を本体部と蓋部との間に有する。収納トレイは、光ファイバが載置される載置面、および載置面上に設けられ光ファイバを案内するガイドを有し、筐体の空間内に配置される。筐体は、空間内において本体部と蓋部との間に設けられ蓋部を支持する金属製の少なくとも一本の柱部を更に有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを収納する光クロージャであって、
金属製の本体部、及び前記本体部と所定方向において対向する金属製の蓋部を有し、前記光ファイバを収納する空間、および前記空間内に前記光ファイバを導入するための導入口を、前記本体部と前記蓋部との間に有する筐体と、
前記光ファイバが載置される載置面、および前記載置面上に設けられ前記光ファイバを案内するガイドを有し、前記筐体の前記空間内に配置される収納トレイと、
を備え、
前記筐体は、前記空間内において前記本体部と前記蓋部との間に設けられ前記蓋部を支持する金属製の少なくとも一本の柱部を更に有する、光クロージャ。
【請求項2】
前記蓋部は、
前記本体部と対向する第1面と、
前記第1面とは反対を向く第2面と、
前記第2面上に設けられ、平面形状が網目状であるリブと、
を有する、請求項1に記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記蓋部は、
前記第1面に設けられた凹部を含み前記空間を形成する第1部分と、
前記第1部分の周囲に設けられ、前記本体部と接するとともに前記本体部に固定される第2部分と、
を有し、
前記第2部分の前記第2面は、前記第1部分の前記第2面よりも前記本体部寄りに位置しており、
前記第2部分の前記第2面上に設けられた前記リブの前記第2面からの高さが、前記第1部分の前記第2面上に設けられた前記リブの前記第2面からの高さよりも大きい、請求項2に記載の光クロージャ。
【請求項4】
前記収納トレイは、前記ガイドの内側に形成され前記柱部を通過させる第1開口を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光クロージャ。
【請求項5】
前記筐体は、複数本の前記柱部を有し、
前記収納トレイは、前記ガイドの外側に形成され別の前記柱部を通過させる第2開口を更に有し、
前記第1開口を通過する前記柱部の、前記所定方向に垂直な断面における断面積が、前記第2開口を通過する前記別の柱部の、前記所定方向に垂直な断面における断面積よりも大きい、請求項4に記載の光クロージャ。
【請求項6】
前記収納トレイは、前記ガイドの外側に形成され前記柱部を通過させる開口を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光クロージャ。
【請求項7】
前記柱部は前記本体部と一体であり、
前記柱部の頂面が前記蓋部と当接する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光クロージャ。
【請求項8】
前記柱部の前記頂面は平坦である、請求項7に記載の光クロージャ。
【請求項9】
前記筐体は、複数本の前記柱部を有し、
一本以上の前記柱部が前記収納トレイの外側に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の光クロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、架空において光ケーブルとドロップケーブルとを接続する光ケーブル接続用クロージャを開示する。その光ケーブル接続用クロージャは、クロージャ本体を備える。クロージャ本体は、ケーブル収容部と、ケーブル収容部に光ケーブル及びドロップケーブルを導入するケーブル導入口とを有する。
【0003】
特許文献2は、光ケーブル接続用クロージャを開示する。その光ケーブル接続用クロージャは、クロージャ本体と、クロージャ本体内に配置された光ケーブル導出入部、ドロップケーブル導出入部、および接続部収容トレイとを有する。光ケーブル導出入部は、架空の光ケーブルを導出または導入する。ドロップケーブル導出入部は、ドロップケーブルを導出または導入する。接続部収容トレイは、前記光ケーブルから引き出した光ファイバ心線と前記ドロップケーブルとを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-47336号公報
【特許文献2】特開2012-123245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、光通信網が急激に拡大している。例えば、第5世代移動通信システム(5G)の普及に伴い、都市および近郊地域では子局の数が増加し、親局と子局とを結ぶ光ファイバケーブルの敷設箇所が増加する見込みである。また、非居住地域においても、親局および子局の数がともに増加し、親局同士、および親局と子局とを結ぶ光ファイバケーブルの敷設箇所が増加する見込みである。しかしながら、光ファイバケーブルの敷設箇所に電柱などの既存の設備が必ずしも存在するわけではない。そのため、光ファイバケーブルを、電柱などの既存の設備に頼らずに容易に敷設し、建物内に引き込み得ることが望まれる。
【0006】
そこで、路面上に光ファイバケーブルを敷設することが考えられる。その場合、光ファイバケーブルの途中に設けられる光クロージャも路面上に設置されることとなるので、歩行者および車両が光クロージャの上を通過しても内部の光ファイバに影響しないように、光クロージャには十分な機械的強度が求められる。本開示は、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有することができる光クロージャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る光クロージャは、光ファイバを収納する光クロージャであって、筐体と、収納トレイと、を備える。筐体は、金属製の本体部、及び本体部と所定方向において対向する金属製の蓋部を有する。さらに、筐体は、光ファイバを収納する空間、および空間内に光ファイバを導入するための導入口を、本体部と蓋部との間に有する。収納トレイは、光ファイバが載置される載置面、および載置面上に設けられ光ファイバを案内するガイドを有し、筐体の空間内に配置される。筐体は、空間内において本体部と蓋部との間に設けられ蓋部を支持する金属製の少なくとも一本の柱部を更に有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有することができる光クロージャを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る光クロージャの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2の部分2-Aは、光クロージャの平面図である。
図2の部分2-Bは、光クロージャの正面図である。
図2の部分2-Cは、光クロージャの側面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示されるIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、光クロージャから蓋部を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される光クロージャにおいて引き通し心線保留トレイを開いた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、接続心線トレイに対する引き通し心線保留トレイの取付部分を拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本体部および柱部の外観を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本体部の裏面の一部を拡大して示す図である。
【
図13】
図13は、接続心線トレイの外観を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、引き通し心線保留トレイの外観を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、トレイ保護シートの外観を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、接続心線トレイにおける光ファイバの引き回し態様の例を示す図である。
【
図17】
図17は、接続心線トレイにおける光ファイバの引き回し態様の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
[1]本開示の一側面に係る光クロージャは、光ファイバを収納する光クロージャであって、筐体と、収納トレイと、を備える。筐体は、金属製の本体部、及び本体部と所定方向において対向する金属製の蓋部を有する。さらに、筐体は、光ファイバを収納する空間、および空間内に光ファイバを導入するための導入口を、本体部と蓋部との間に有する。収納トレイは、光ファイバが載置される載置面、および載置面上に設けられ光ファイバを案内するガイドを有し、筐体の空間内に配置される。筐体は、空間内において本体部と蓋部との間に設けられ蓋部を支持する金属製の少なくとも一本の柱部を更に有する。
【0012】
この光クロージャでは、光ファイバを収納する筐体内の空間が、金属製の本体部と金属製の蓋部とによって形成される。よって、従来の主に樹脂製の光クロージャと比較して機械的強度を向上することができる。加えて、この光クロージャの筐体は、金属製の少なくとも一本の柱部を有する。柱部は、空間内において本体部と蓋部との間に設けられ蓋部を支持する。よって、歩行者または車両が光クロージャの上を通過した際の上方からの力による蓋部の変形を抑制することができる。従って、この光クロージャは、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有することができる。
【0013】
[2]上記[1]の光クロージャにおいて、蓋部は、本体部と対向する第1面と、第1面とは反対を向く第2面と、第2面上に設けられ、平面形状が網目状(格子状)であるリブと、を有してもよい。網目状のリブを蓋部が有することによって、蓋部の機械的強度をより一層高め、上方からの力による蓋部の変形を更に抑制することができる。加えて、網目状のリブが第2面上に設けられることにより、歩行者等の滑り止めの役割も果たすことができる。
【0014】
[3]上記[2]の光クロージャにおいて、蓋部は、第1面に設けられた凹部を含み空間を形成する第1部分と、第1部分の周囲に設けられ、本体部と接するとともに本体部に固定される第2部分と、を有してもよい。第2部分の第2面は、第1部分の第2面よりも本体部寄りに位置しており、第2部分の第2面上に設けられたリブの第2面からの高さが、第1部分の第2面上に設けられたリブの第2面からの高さより大きくてもよい。この場合、光ファイバを収納する空間を第1部分によって確保することができる。また、第1部分の周囲に設けられるリブを高くして、蓋部の機械的強度をより向上することができる。
【0015】
[4]上記[1]から[3]のうち何れかの光クロージャにおいて、収納トレイは、ガイドの内側に形成され柱部を通過させる第1開口を有してもよい。この場合、ガイドの内側に生じる空間を柱部として有効に活用することができ、空間利用効率を高めることができる。
【0016】
[5]上記[4]の光クロージャにおいて、筐体は、複数本の柱部を有してもよい。収納トレイは、ガイドの外側に形成され別の柱部を通過させる第2開口を更に有してもよい。第1開口を通過する柱部の、所定方向に垂直な断面における断面積は、第2開口を通過する別の柱部の、所定方向に垂直な断面における断面積より大きくてもよい。このように、ガイドの外側に配置される柱部の断面積を、ガイドの内側に配置される柱部の断面積よりも小さくすることによって、収納トレイ内における光ファイバの引き回しを柱部が阻害することを軽減することができる。
【0017】
[6]上記[1]から[3]のうち何れかの光クロージャにおいて、収納トレイは、ガイドの外側に形成され柱部を通過させる開口を有してもよい。このように、ガイドの外側に柱部が配置される場合であっても、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有する光クロージャを提供できる。
【0018】
[7]上記[1]から[6]のうち何れかの光クロージャにおいて、柱部は本体部と一体であり、柱部の頂面が蓋部と当接してもよい。この場合、光クロージャの部品点数を少なくして組み立てを容易にできる。
【0019】
[8]上記[7]の光クロージャにおいて、柱部の頂面は平坦であってもよい。この場合、蓋部と柱部との当接部分を大きくして、応力の集中を低減できる。
【0020】
[9]上記[1]から[8]のうち何れかの光クロージャにおいて、筐体は、複数本の柱部を有し、一本以上の柱部が収納トレイの外側に設けられてもよい。このように、収納トレイの外側に柱部が配置される場合であっても、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有する光クロージャを提供できる。
[本開示の実施形態の詳細]
【0021】
本開示の実施形態に係る光クロージャの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本開示の一実施形態に係る光クロージャ1の外観を示す斜視図である。
図2の部分2-Aは、光クロージャ1の平面図である。
図2の部分2-Bは、光クロージャ1の正面図である。
図2の部分2-Cは、光クロージャ1の側面図である。本実施形態の光クロージャ1は、光ファイバの余長部分を収納する光クロージャであって、架空に設置される一般的な光クロージャと異なり、歩道または車道といった路面上に設置されるものである。
図1および
図2に示されるように、光クロージャ1は、長方形といった平面形状を有し、板状の外観を呈する。以下の説明において、その長方形の寸法が長い辺に沿った方向を縦方向、寸法が短い辺に沿った方向を横方向と定義する。その平面形状における縦および横の寸法と比較して、光クロージャ1の厚みは極めて小さい。光クロージャ1の厚みは20mm以下が望ましい。また、蓋部および本体部それぞれの厚みは4mm以下が望ましい。一実施例では、光クロージャ1の縦の寸法は305mmであり、横の寸法は122.5mmであり、厚みは14.5mmである。このように、光クロージャ1の厚みは、縦および横の寸法のうち小さい方の1/8以下である。
【0023】
図1および
図2に示されるように、光クロージャ1は、筐体2を備える。筐体2は、蓋部10と、本体部20と、を有する。蓋部10および本体部20は共に金属製である。一例では、蓋部10および本体部20はステンレスによって主に構成され、別の例では、蓋部10および本体部20はアルミニウム合金によって主に構成される。蓋部10および本体部20は、例えば切削加工、鋳造など様々な方法によって形成され得る。蓋部10は、光クロージャ1の厚み方向(所定方向)において本体部20と対向している。光クロージャ1の厚み方向は、光クロージャ1を路面上に設置した状態においては路面の法線に沿っている。蓋部10は、複数(図示例では10個)のネジ35によって本体部20に固定される。複数のネジ35は、蓋部10の周縁に沿って並んで配置される。
【0024】
光クロージャ1の縦方向における両端面には、複数の光ファイバ導入口9が設けられており、それらの光ファイバ導入口9からは、光ファイバケーブル31,32,33、および光ファイバ束34が光クロージャ1の内部へ導入される。光ファイバケーブル31,32,33、および光ファイバ束34のそれぞれは、複数の光ファイバを含む。以下の説明において、光ファイバとは、主に光ファイバ心線を指す。
【0025】
図3は、蓋部10の外観を示す斜視図である。
図4は、
図3に示されるIV-IV線に沿った断面図である。
図3および
図4に示されるように、蓋部10は、長方形といった平面形状を有し、板状の外観を呈する。蓋部10は、縦方向に沿った側面12aおよび12bと、横方向に沿った端面12cおよび12dと、を有する。端面12cおよび12dには、
図1および
図2に示された光ファイバ導入口9を形成する複数の切り欠き部9aが、横方向に並んで形成されている。
【0026】
蓋部10は、本体部20と対向する第1面15(
図4を参照)と、第1面15とは反対を向く第2面11と、を有する。第1面15および第2面11の法線方向は、光クロージャ1の厚み方向と一致する。また、蓋部10は、第1部分10aと、第2部分10bとを有する。第1部分10aは、蓋部10の中央部に位置し、その平面形状は例えば長方形である。第2部分10bは、第1部分10aの周囲に位置し、平面視において第1部分10aを囲む。
【0027】
第1部分10aは、第1面15に設けられた凹部15aを含むことにより、光ファイバを収納する空間を筐体2の内部に形成する。第1部分10aの第2面11には、平面形状が網目状であるリブ12が設けられている。リブ12は、第2面11から第2面11の法線ベクトルの方向に突出している。また、第2部分10bの第2面11には、平面形状が網目状であるリブ13が設けられている。リブ13は、第2面11から第2面11の法線ベクトルの方向に突出している。第2部分10bの第2面11は、第1部分10aの第2面11よりも本体部20寄りに位置しており、第2部分10bの第2面11を基準とするリブ13の高さH2は、第1部分10aの第2面11を基準とするリブ12の高さH1よりも大きい。そして、光クロージャ1の裏面(すなわち本体部20の裏面)を基準とする、リブ12の頂面の高さとリブ13の頂面の高さとは互いに揃っている。言い換えると、第1部分10aの第2面11を基準とするリブ12の高さH1と、第2部分10bの第2面11を基準とするリブ13の高さH2との差は、光クロージャ1の裏面を基準とする、第1部分10aの第2面11の高さと第2部分10bの第2面11の高さとの差と等しい。
【0028】
第2部分10bの第1面15は、本体部20と接する。そして、第2部分10bは本体部20に固定される。そのために、第2部分10bの周縁部には、円形の複数の孔14が形成されている。各孔14には、
図1および
図2に示されたネジ35が挿通される。
【0029】
図5は、光クロージャ1から蓋部10を取り外した状態を示す斜視図である。
図6は、
図5に示される光クロージャ1において引き通し心線保留トレイ50を開いた状態を示す斜視図である。
図7は、
図6の一部を拡大して示す斜視図である。
図5、
図6および
図7に示されるように、本実施形態の光クロージャ1は、蓋部10および本体部20に加えて、柱部21から28と、ガスケット36と、接続心線トレイ40と、引き通し心線保留トレイ50と、トレイ保護シート60と、を更に備える。柱部21から28、接続心線トレイ40、引き通し心線保留トレイ50、およびトレイ保護シート60は、蓋部10と本体部20との間に形成される、光ファイバを収納するための空間内に配置される。接続心線トレイ40は、本体部20上に載置され、複数のネジ37によって本体部20に固定される。引き通し心線保留トレイ50は、接続心線トレイ40上に載置され、接続心線トレイ40に対して開閉可能に取り付けられる。トレイ保護シート60は、引き通し心線保留トレイ50上に載置される。
【0030】
図8は、接続心線トレイ40に対する引き通し心線保留トレイ50の取付部分を拡大して示す斜視図である。引き通し心線保留トレイ50は、円柱状の複数の回転軸51を有する。回転軸51は、引き通し心線保留トレイ50の縦方向に延びる一対の側面のうち一方に設けられ、その中心軸線は縦方向に沿って延在している。接続心線トレイ40は、複数の回転軸51をそれぞれ受ける複数の軸受け部41を有する。軸受け部41は、回転軸51を回転可能に支持する。これにより、回転軸51および軸受け部41はヒンジ部を構成し、引き通し心線保留トレイ50が接続心線トレイ40に対して開閉可能となる。なお、
図13に示されるように、軸受け部41は、接続心線トレイ40の縦方向に沿って延びる一対の側面の両方に設けられている。これにより、接続心線トレイ40の一対の側面の何れに対しても回転軸51を取り付けることが可能となっている。
【0031】
図9は、本体部20および柱部21から28の外観を示す斜視図である。
図9に示されるように、本体部20は、長方形といった平面形状を有し、板状の外観を呈する。本体部20は、光ファイバを収納する空間を蓋部10の凹部15aとともに形成するための凹部を有する。その凹部の底面20bは、その凹部の周囲の領域よりも低くなっており、平坦である。底面20bは、後述する接続心線トレイ40および引き通し心線保留トレイ50と重なる領域20aを含む。
【0032】
柱部21から28は、金属製であり、光ファイバを収納する空間内に設けられ、蓋部10を支持する。柱部21から28は、底面20bから蓋部10へ向けて突出している。一例では、柱部21から28はステンレスによって主に構成され、別の例では、柱部21から28はアルミニウム合金によって主に構成される。柱部21から28は、例えば切削加工、鋳造など様々な方法によって形成され得る。また、一例では、柱部21から28は、本体部20と一体として形成される。すなわち、柱部21から28は、本体部20とともに一つの金属塊から切り出される。或いは、柱部21から28は、本体部20とともに一つの鋳型内にて鋳造される。なお、柱部21から28は、本体部20とは別部品として形成されたのち本体部20の底面20bに接合されてもよい。
【0033】
柱部21,22は、領域20a上に配置される。柱部21,22は、光クロージャ1の厚み方向を中心軸方向とする円柱状を呈しており、本体部20の縦方向において互いに間隔をあけて並んで配置される。柱部21,22は、平坦な頂面21a,22aをそれぞれ有する。頂面21a,22aの平面形状は円形である。頂面21a,22aは、蓋部10の凹部15a(
図4を参照)と当接する。柱部21,22の直径は、底面20bを基準とする柱部21,22の高さ(言い換えると、底面20bと頂面21a,22aとの距離)よりも大きい。
【0034】
柱部23,24もまた、領域20a上に配置される。柱部23,24は、光クロージャ1の厚み方向を中心軸方向とする円柱状を呈しており、本体部20の縦方向において互いに間隔をあけて並んで配置されるとともに、同方向において柱部21,22の間に配置される。柱部23,24は、平坦な頂面23a,24aをそれぞれ有する。頂面23a,24aの平面形状は円形である。頂面23a,24aは、蓋部10の凹部15a(
図4を参照)と当接する。柱部23,24の直径は、底面20bを基準とする柱部23,24の高さ(言い換えると、底面20bと頂面23a,24aとの距離)よりも小さい。柱部23,24の直径は、柱部21,22の直径よりも小さい。言い換えると、柱部23,24の、光クロージャ1の厚み方向に垂直な断面における断面積は、柱部21,22の、該方向に垂直な断面における断面積よりも小さい。
【0035】
図10は、
図9のX-X線に沿った断面の一部を示す図であって、柱部21,22,23,24の断面を含む。
図10に示されるように、本体部20の裏面29における柱部21と重なる領域には、凹部29aが形成されている。本体部20の裏面29における柱部22と重なる領域には、凹部29bが形成されている。これらにより、柱部21,22の内部が肉抜きされ、頂面21a,22aを構成する柱部21,22の部分の厚みが、底面20bを構成する本体部20の部分の厚みとほぼ等しくなっている。一方、本体部20の裏面29における柱部23,24と重なる領域には凹部は形成されておらず、該領域において裏面29は平坦である。従って、柱部23,24は中実に形成されている。
【0036】
また、凹部29aおよび29bには、リブ211が設けられている。リブ211は、凹部29aおよび29bの底面から該底面の法線ベクトルの方向に突出している。
図11は、裏面29の一部を拡大して示す図であって、リブ211の平面形状を示す。
図11に示されるように、リブ211は、例えば十字に形成されている。リブ211の頂面は、凹部29aおよび29bを除く裏面29と面一である。言い換えると、凹部29aおよび29bの底面を基準とするリブ211の高さは、凹部29aおよび29bの深さと等しい。
【0037】
再び
図9を参照する。柱部25,26,27,28は、領域20aの外側、すなわち接続心線トレイ40および引き通し心線保留トレイ50の外側に配置される。柱部25,26は、本体部20の縦方向における一端寄りの、光ファイバケーブルの剥ぎ際に配置され、柱部27,28は、本体部20の縦方向における他端寄りの、光ファイバケーブルの剥ぎ際に配置される。柱部25,26は、本体部20の横方向において互いに並んで配置される。柱部27,28は、本体部20の横方向において互いに並んで配置される。柱部25,26,27,28は、例えば半長円といった平面形状を有する。柱部25,26,27,28は、平坦な頂面25a,26a,27a,28aをそれぞれ有する。頂面25a,26a,27a,28aは、蓋部10の凹部15a(
図4を参照)と当接する。
【0038】
図12は、
図9のXII-XII線に沿った断面の一部を示す図であって、柱部26,28の断面を含む。
図12に示されるように、本体部20の裏面29における柱部26と重なる領域には、凹部29cが形成されている。本体部20の裏面29における柱部28と重なる領域には、凹部29dが形成されている。これらにより、柱部26,28の内部が肉抜きされ、頂面26a,28aを構成する柱部26,28の部分の厚みが、底面20bを構成する本体部20の部分の厚みとほぼ等しくなっている。
【0039】
本体部20は、複数の収容溝201を更に有する。複数の収容溝201それぞれは、光ファイバ導入口9(
図1および
図2を参照)から導入される光ファイバケーブルの端部に設けられた円筒状のアダプタを収容する。複数の収容溝201のうち一部は、本体部20の縦方向における一端面に沿って横方向に並んで形成されており、複数の収容溝201の残部は、本体部20の縦方向における他端面に沿って横方向に並んで形成されている。複数の収容溝201は、
図1および
図2に示された光ファイバ導入口9を形成する複数の切り欠き部9bとそれぞれ繋がっている。
【0040】
本体部20は、周縁に沿って形成された複数のネジ穴202を更に有する。ネジ穴202には、蓋部10の孔14に挿通されたネジ35(
図1および
図2を参照)が螺合する。これにより、蓋部10が本体部20に強く固定される。
【0041】
本体部20は、複数のネジ穴202よりも内側に形成されたガスケット収容溝203を更に有する。ガスケット収容溝203は、底面20bを有する凹部を囲むように本体部20の全周にわたって形成されている。ガスケット収容溝203には、光ファイバを収納する空間の水密性を維持するためのゴム製のガスケット36(
図5および
図6を参照)が埋め込まれる。一例では、ガスケット36はエチレンプロピレンジエンゴム(EDPM)からなる。なお、光ファイバ導入口9における水密性は、光ファイバケーブルの外周面に設けられたシール部材が、ネジ35を締め付けることで蓋部10と本体部20とに挟まれ圧縮されることにより確保される。また、光ファイバケーブルの外周面のシール部材とガスケット36とを一体化することによって、部品点数を削減できる。
【0042】
図13は、接続心線トレイ40の外観を示す斜視図である。接続心線トレイ40は、本実形態における収納トレイの例である。接続心線トレイ40は、例えば樹脂によって主に構成される。一例では、接続心線トレイ40はポリプロピレンからなる。
図13に示されるように、接続心線トレイ40は、長方形といった平面形状を有し、板状の外観を呈する。接続心線トレイ40は、光ファイバが載置される平坦な載置面42と、載置面42上に立設され光ファイバを案内するガイド43,44,45,46および複数のガイド47を有する。ガイド43,44は、光クロージャ1の厚み方向を中心軸方向とする円筒形状を呈しており、接続心線トレイ40の縦方向において互いに間隔をあけて並んで配置される。ガイド43,44は、光ファイバの15mm以上の曲げ半径を確保する。ガイド45は、ガイド43と同心の円弧状といった平面形状を有する。ガイド46は、ガイド44と同心の円弧状といった平面形状を有する。ガイド45,46は、接続心線トレイ40の縦方向において互いに間隔をあけて並んで配置される。ガイド43,44は、同方向においてガイド45とガイド46との間に位置する。複数のガイド47は、接続心線トレイ40の縦方向においてガイド43とガイド44との間に配置される。複数のガイド47それぞれは、該方向に沿って延在する。複数のガイド47は、該方向と交差する方向に並んでいる。複数のガイド47は光ファイバの融着接続部をガイドする。すなわち、複数のガイド47間の隙間には、光ファイバの融着接続部が配置される。
【0043】
接続心線トレイ40は、第1開口42aおよび第1開口42bを有する。第1開口42aは、ガイド43の内側に形成され、柱部21(
図9を参照)を通過させる。第1開口42bは、ガイド44の内側に形成され、柱部22(
図9を参照)を通過させる。第1開口42aおよび42bは、柱部21,22の断面形状に応じた形状、例えば円形を呈する。
【0044】
接続心線トレイ40は、第2開口42cおよび第2開口42dを更に有する。第2開口42c,42dは、ガイド43,44の外側に形成され、柱部23,24(
図9を参照)をそれぞれ通過させる。第2開口42cおよび42dは、柱部23,24の断面形状に応じた形状、例えば円形を呈する。第2開口42c,42dは、接続心線トレイ40の縦方向に沿って並んでおり、ガイド43とガイド44との間に形成されている。該方向において、複数のガイド47は、第2開口42cと第2開口42dとの間に位置する。
【0045】
接続心線トレイ40は、光ファイバを押さえる複数の押さえ板48を更に有する。複数の押さえ板48は、ガイド43,44,45,46の頂部、および接続心線トレイ40の縦方向に沿った一対の側板の頂部から載置面42に沿って延出する突起であり、載置面42との間に配設された光ファイバの浮きを押さえる。第1開口42a,42bおよび第2開口42c,42dは、これらの押さえ板48を避ける位置に形成されている。
【0046】
図14は、引き通し心線保留トレイ50の外観を示す斜視図である。引き通し心線保留トレイ50は、本実形態における収納トレイの別の例である。引き通し心線保留トレイ50は、例えば樹脂によって主に構成される。一例では、引き通し心線保留トレイ50はポリプロピレンからなる。
図13に示されるように、引き通し心線保留トレイ50は、長円形といった平面形状を有し、板状の外観を呈する。引き通し心線保留トレイ50は、光ファイバが載置される平坦な載置面52と、載置面52上に立設され光ファイバを案内するガイド53,54,55を有する。ガイド53,54は、光クロージャ1の厚み方向を中心軸方向とする円筒形状を呈しており、引き通し心線保留トレイ50の縦方向において互いに間隔をあけて並んで配置される。ガイド55は、引き通し心線保留トレイ50の外縁に沿って、載置面52を囲むように設けられている。
【0047】
引き通し心線保留トレイ50は、第1開口52aおよび第1開口52bを有する。第1開口52aは、ガイド53の内側に形成され、接続心線トレイ40の第1開口42aと連通し、柱部21(
図9を参照)を通過させる。第1開口52bは、ガイド54の内側に形成され、接続心線トレイ40の第1開口42bと連通し、柱部22(
図9を参照)を通過させる。第1開口52aおよび52bは、柱部21,22の断面形状に応じた形状、例えば円形を呈する。
【0048】
引き通し心線保留トレイ50は、第2開口52cおよび第2開口52dを更に有する。第2開口52c,52dは、ガイド53,54の外側に形成され、接続心線トレイ40の第2開口42c,42dとそれぞれ連通し、柱部23,24(
図9を参照)をそれぞれ通過させる。第2開口52cおよび52dは、柱部23,24の断面形状に応じた形状、例えば円形を呈する。第2開口52c,52dは、引き通し心線保留トレイ50の縦方向に沿って並んでおり、ガイド53とガイド54との間に形成されている。
【0049】
引き通し心線保留トレイ50は、光ファイバを押さえる複数の押さえ板58を更に有する。複数の押さえ板58は、ガイド53,54,55の頂部から載置面52に沿って延出する突起であり、載置面52との間に配設された光ファイバの浮きを押さえる。第1開口52a,52bおよび第2開口52c,52dは、これらの押さえ板58を避ける位置に形成されている。
【0050】
図15は、トレイ保護シート60の外観を示す斜視図である。トレイ保護シート60は、引き通し心線保留トレイ50と蓋部10との間に配置されるシートである。トレイ保護シート60の平面形状は、引き通し心線保留トレイ50の平面形状と同じである。トレイ保護シート60は、引き通し心線保留トレイ50に収容された光ファイバの保護および飛び出し防止のために設けられる。トレイ保護シート60は、例えば透明または半透明の樹脂からなる。一例では、トレイ保護シート60はポリプロピレンからなる。トレイ保護シート60は、開口62a,62b,62c,62dを有する。開口62aは、接続心線トレイ40の第1開口42aおよび引き通し心線保留トレイ50の第1開口52aと連通し、柱部21(
図9を参照)を通過させる。開口62bは、接続心線トレイ40の第1開口42bおよび引き通し心線保留トレイ50の第1開口52bと連通し、柱部22(
図9を参照)を通過させる。開口62cは、接続心線トレイ40の第2開口42cおよび引き通し心線保留トレイ50の第2開口52cと連通し、柱部23(
図9を参照)を通過させる。開口62dは、接続心線トレイ40の第2開口42dおよび引き通し心線保留トレイ50の第2開口52dと連通し、柱部24(
図9を参照)を通過させる。開口62a,62b,62c,62dは、それぞれ柱部21,22,23,24の断面形状に応じた形状、例えば円形を呈する。
【0051】
図16および
図17は、接続心線トレイ40における光ファイバFの引き回し態様の例を示す図である。
図16は、接続心線トレイ40において光ファイバFを一周回させるときの、許容できる最も長い光ファイバFの引き回し経路を示す図である。
図17は、接続心線トレイ40において光ファイバFを一周回させるときの、許容できる最も短い光ファイバFの引き回し経路を示す図である。
図16および
図17に示されるように、光ファイバFは、ガイド43,44,45,46によって案内されながら接続心線トレイ40内を引き回される。
【0052】
以上に説明した本実施形態の光クロージャ1によって得られる効果について説明する。本実施形態の光クロージャ1では、光ファイバFを収納する筐体2内の空間が、金属製の本体部20と金属製の蓋部10とによって形成される。よって、従来の主に樹脂製の光クロージャ1と比較して機械的強度を向上することができる。加えて、この光クロージャ1の筐体2は、金属製の柱部21から28を有する。柱部21から28は、空間内において本体部20と蓋部10との間に設けられ蓋部10を支持する。よって、歩行者または車両が光クロージャ1の上を通過した際の上方からの力による蓋部10の変形を抑制することができる。従って、光クロージャ1は、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有することができる。
【0053】
光クロージャ1の上方から30kNの力を均等に印加したときの蓋部10および本体部20の変形量および応力をシミュレーションにより求めたところ、蓋部10の最大変位量および最大応力はそれぞれ0.19mmおよび130MPaであり、本体部20の最大変位量および最大応力はそれぞれ0.40mmおよび136MPaであり、それぞれ問題のない値であった。また、光クロージャ1の上方から1N/mm2(合計1MPa)の力を印加したときの蓋部10および本体部20の変形量および応力をシミュレーションにより求めたところ、蓋部10の最大変位量および最大応力はそれぞれ0.32mmおよび210MPaであり、本体部20の最大変位量および最大応力はそれぞれ0.44mmおよび147MPaであり、それぞれ問題のない値であった。
【0054】
本実施形態のように、蓋部10は、本体部20と対向する第1面15と、第1面15とは反対を向く第2面11と、第2面11上に設けられ、平面形状が網目状であるリブ12,13と、を有してもよい。網目状のリブ12,13を蓋部10が有することによって、蓋部10の機械的強度をより一層高め、上方からの力による蓋部10の変形を更に抑制することができる。加えて、網目状のリブ12,13が第2面11上に設けられることにより、歩行者等の滑り止めの役割も果たすことができる。
【0055】
本実施形態のように、蓋部10は、第1面15に設けられた凹部15aを含み光ファイバを収納する空間を形成する第1部分10aと、第1部分10aの周囲に設けられ、本体部20と接するとともに本体部20に固定される第2部分10bと、を有してもよい。そして、第2部分10bの第2面11は、第1部分10aの第2面11よりも本体部20寄りに位置しており、第2部分10bの第2面11上に設けられたリブ13の第2面11からの高さH2が、第1部分10aの第2面11上に設けられたリブ12の第2面11からの高さH1より大きくてもよい。この場合、光ファイバFを収納する空間を第1部分10aによって確保することができる。また、第1部分10aの周囲に設けられるリブ13を高くして、蓋部10の機械的強度をより向上することができる。
【0056】
本実施形態のように、接続心線トレイ40は、ガイド43の内側に形成され柱部21を通過させる第1開口42a、および、ガイド44の内側に形成され柱部22を通過させる第1開口42bを有してもよい。また、引き通し心線保留トレイ50は、ガイド53の内側に形成され柱部21を通過させる第1開口52a、および、ガイド54の内側に形成され柱部22を通過させる第1開口52bを有してもよい。これらの場合、ガイド43,44,53,54の内側に生じる空間を柱部21,22として有効に活用することができ、空間利用効率を高めることができる。
【0057】
本実施形態のように、筐体2は、複数本の柱部21から28を有してもよい。そして、接続心線トレイ40は、ガイド43,44の外側に形成され柱部23を通過させる第2開口42cと、ガイド43,44の外側に形成され柱部24を通過させる第2開口42dと、を有してもよい。また、引き通し心線保留トレイ50は、ガイド53,54の外側に形成され柱部23を通過させる第2開口52cと、ガイド53,54の外側に形成され柱部24を通過させる第2開口52dと、を有してもよい。そして、柱部21,22の、厚み方向に垂直な断面における断面積は、柱部23,24の、厚み方向に垂直な断面における断面積より大きくてもよい。このように、ガイド43,44,53,54の外側に配置される柱部23,24の断面積を、ガイド43,44,53,54の内側に配置される柱部21,22の断面積よりも小さくすることによって、接続心線トレイ40内および引き通し心線保留トレイ50内における光ファイバFの引き回しを柱部23,24が阻害することを軽減することができる。
【0058】
本実施形態のように、接続心線トレイ40は、ガイド43,44の外側に形成され柱部23,24を通過させる第2開口42c,42dを有してもよい。また、引き通し心線保留トレイ50は、ガイド53,54の外側に形成され柱部23,24を通過させる第2開口52c,52dを有してもよい。これらのように、ガイド43,44,53,54の外側に柱部が配置される場合であっても、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有する光クロージャ1を提供できる。
【0059】
本実施形態のように、柱部21から28は本体部20と一体であり、柱部21から28の頂面21aから28aが蓋部10と当接してもよい。この場合、光クロージャ1の部品点数を少なくして組み立てを容易にできる。
【0060】
本実施形態のように、柱部21から28の頂面21aから28aは平坦であってもよい。この場合、蓋部10と柱部21から28との当接部分を大きくして、応力の集中を低減できる。
【0061】
本実施形態のように、筐体2は、複数本の柱部21から28を有し、一本以上の柱部(本実施形態では4本の柱部25,26,27,28)が接続心線トレイ40および引き通し心線保留トレイ50の外側に設けられてもよい。このように、接続心線トレイ40および引き通し心線保留トレイ50の外側に柱部が配置される場合であっても、路面上に設置される場合に十分な機械的強度を有する光クロージャ1を提供できる。
【0062】
本開示による光クロージャは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では柱部21,22,23,24の形状として円柱状を例示したが、柱部の形状は円柱状に限られず、例えば三角柱、四角柱、多角形柱、その他の様々な形状を採用することができる。また、上記実施形態では光クロージャ1が複数の柱部21から28を備える場合を例示したが、光クロージャ1が少なくとも1本の柱部を備えることによって、上記実施形態の効果を奏することができる。また、上記実施形態では光クロージャ1が2つの収納トレイ(接続心線トレイ40および引き通し心線保留トレイ50)を備える場合を例示したが、光クロージャが備える収納トレイの数は1つでもよく、3つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…光クロージャ
2…筐体
9…光ファイバ導入口
9a,9b…切り欠き部
10…蓋部
10a…第1部分
10b…第2部分
11…第2面
12,13…リブ
12a,12b…側面
12c,12d…端面
14…孔
15…第1面
15a…凹部
20…本体部
20a…領域
20b…底面
21,22,23,24,25,26,27,28…柱部
21a,22a,23a,24a,25a,26a,27a,28a…頂面
29…裏面
29a,29b,29c,29d…凹部
31,32,33…光ファイバケーブル
34…光ファイバ束
35,37…ネジ
36…ガスケット
40…接続心線トレイ
41…軸受け部
42…載置面
42a,42b…第1開口
42c,42d…第2開口
43,44,45,46,47…ガイド
48…押さえ板
50…引き通し心線保留トレイ
51…回転軸
52…載置面
52a,52b…第1開口
52c,52d…第2開口
53,54,55…ガイド
58…押さえ板
60…トレイ保護シート
62a,62b,62c,62d…開口
201…収容溝
202…ネジ穴
203…ガスケット収容溝
211…リブ
F…光ファイバ