(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169094
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】連続式有機物熱分解装置及び連続式有機物熱分解方法
(51)【国際特許分類】
C10B 53/07 20060101AFI20231121BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20231121BHJP
C08J 11/16 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
C10B53/07
C08J11/12 ZAB
C08J11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172175
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2022080437の分割
【原出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】313009877
【氏名又は名称】環境エネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】野田 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤元 薫
【テーマコード(参考)】
4F401
4H012
【Fターム(参考)】
4F401AA03
4F401AA27
4F401BA03
4F401CA70
4F401CB15
4F401CB34
4F401CB35
4F401DA01
4F401FA08Z
4F401FA11Z
4H012HB00
4H012HB03
4H012HB10
(57)【要約】
【課題】熱伝導効率の低下を抑制して効率的に連続して有機物を熱分解できる連続式有機物熱分解装置及び連続式有機物熱分解方法を提供する。
【解決手段】有機物を連続投入する投入部10と、投入部10より投入された有機物を収容する縦型容器12と、縦型容器12内に設けられた、有機物を撹拌する撹拌手段14と、縦型容器12を加熱し、有機物を熱分解してガス化する第1加熱手段16と、縦型容器12の上部に接続された、有機物の熱分解ガスを導出する導出路22を具備する導出部18と、縦型容器12の下部に接続された、有機物残渣を連続排出する排出路28を具備する排出部20とを備えている連続式有機物熱分解装置1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を連続投入する投入部と、
前記投入部より投入された有機物を収容する縦型容器と、
前記縦型容器内に設けられた、有機物を撹拌する撹拌手段と、
前記縦型容器を加熱し、前記有機物を熱分解してガス化する第1加熱手段と、
前記縦型容器の上部に接続された、有機物の熱分解ガスを導出する導出路を具備する導出部と、
前記縦型容器の下部に接続された、有機物残渣を連続排出する排出路を具備する排出部と、
を備えていることを特徴とする連続式有機物熱分解装置。
【請求項2】
前記排出部の排出路を加熱する第2加熱手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項3】
前記第2加熱手段が、前記排出部を前記縦型容器よりも高温に加熱する手段であることを特徴とする請求項2記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項4】
前記排出部の排出路が、前記縦型容器の下部下方に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項5】
前記排出部の排出路が、前記縦型容器の下部側方に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項6】
前記排出部の排出路は、
前記縦型容器の下方に連設された筒体の底部に向かって縮小する内面と、前記筒体内に設けられた底部に向かって縮小するスペーサの外面との間に形成された隙間により構成されており、
前記縦型容器の底部外周に設けられた開口と連通している
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項7】
前記撹拌手段が、縦型容器の中心部に上下方向に設けられた回転軸と、該回転軸に接続されてその軸周りに回転する撹拌翼を具備していることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項8】
前記撹拌手段が、有機物を下から上へ掻き上げ可能な手段であることを特徴とする請求項7記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項9】
前記スペーサが、その傾斜面に排出路撹拌部材を備えると共に、前記縦型容器の中心部に上下方向に設けられた前記撹拌手段の回転軸に接続されてその軸周りに回転することを特徴とする請求項6記載の連続式有機物熱分解装置。
【請求項10】
固形熱媒体が充填された縦型容器内に、有機物及び固形熱媒体を連続投入する連続投入工程と、
前記連続投入工程で縦型容器内に投入された有機物及び前記固形熱媒体を加熱撹拌して、前記有機物を熱分解する熱分解工程と、
前記熱分解工程で発生した熱分解ガスを回収する回収工程と、
前記熱分解工程で発生した有機物残渣を、前記固形熱媒体の一部と共に、前記縦型容器外へ連続排出する連続排出工程と、
を有することを特徴とする連続式有機物熱分解方法。
【請求項11】
前記連続排出工程において、排出される有機物残渣及び固形熱媒体を加熱することを特徴とする請求項10記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項12】
前記連続排出工程において、排出される有機物残渣及び固形熱媒体を、前記熱分解工程の加熱温度よりも高い温度で加熱することを特徴とする請求項11記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項13】
前記縦型容器内における前記固形熱媒体100Lに対する有機物の投入量が1~50kg/hの範囲となるよう有機物及び固形熱媒体を連続投入することを特徴とする請求項10~12のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項14】
前記固形熱媒体が、直径0.1μm~150mmの球状固形物であることを特徴とする請求項10~12のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項15】
前記固形熱媒体が、アルカリ土類金属系固形物、シリカ系固形物、砂、アルミナ系固形物、及びゼオライト系固形物からなる群より選ばれる少なくとも1種の固形物あることを特徴とする請求項10~12のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項16】
前記連続投入工程で投入される有機物が、廃プラスチック又は廃ゴムであることを特徴とする請求項10~12のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項17】
請求項1記載の連続式有機物熱分解装置を用いることを特徴とする請求項10~12のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
【請求項18】
請求項1~3のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置と、
前記連続式有機物熱分解装置に有機物を連続投入する有機物投入装置と、
前記連続式有機物熱分解装置で熱分解された有機物の熱分解ガスを回収するガス回収装置と、
を備えていることを特徴とする再生有機物回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して有機物を熱分解する連続式有機物熱分解装置及び連続式有機物熱分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物を熱分解する熱分解装置は多くの分野で用いられている。とりわけ、廃プラスチック(プラスチックを主成分とする廃棄物)や廃ゴムなどに代表される石油化学製品廃材を熱分解して、有用成分を回収する技術が知られている。
【0003】
このような石油化学製品廃材を熱分解する装置としては、例えば、プラスチックを投入し、溶融する材料投入装置と、この材料投入装置の一部が挿着され、溶融したプラスチックを熱分解して熱分解ガスを回収するロータリーキルン型の熱分解炉を備え、材料投入装置は、熱分解炉まで延出した内筒と、この内筒の一端側に設けられた材料投入口と、内筒の内部に配置された、材料投入口側から材料排出口側にかけて徐々に間隔が狭くなる回転羽根とを備えている装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の単純熱分解炉を用いた石油化学製品廃材の熱分解装置においては、石油化学製品廃材の熱分解時に生成する炭化物などの分解残渣が、次第に反応炉内で増加し、反応炉内をコーキングすることにより、熱伝導効率が低下し、処理能力が低下する。したがって、所定の処理後に反応炉を冷却して清掃する必要があり、連続運転ができないという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献1記載のような横型の反応炉を用いるロータリーキルン型の熱分解装置においては、コーキング対策として反応炉内に複数の鉄球などを投入するが、反応炉の下部を中心に熱分解が行われるため、十分にコーキングを防止することができず、やはり長期的な連続運転は困難であった。また、横型の反応炉を用いるため、装置が大型になるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、熱伝導効率の低下を抑制して効率的に連続して有機物を熱分解できる連続式有機物熱分解装置及び連続式有機物熱分解方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、効率的に有機物を熱分解する方法を検討する中で、固形熱媒体が充填された縦型容器内に有機物を連続投入し、縦型容器内で有機物を加熱撹拌し、熱分解ガスを回収すると共に、縦型容器より有機物残渣を連続排出することにより、縦型容器内の有機物残渣によるコーキングを防止し、縦型容器内の熱伝導効率の低下を抑制して、効率的に連続して有機物を熱分解できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]有機物を連続投入する投入部と、
前記投入部より投入された有機物を収容する縦型容器と、
前記縦型容器内に設けられた、有機物を撹拌する撹拌手段と、
前記縦型容器を加熱し、前記有機物を熱分解してガス化する第1加熱手段と、
前記縦型容器の上部に接続された、有機物の熱分解ガスを導出する導出路を具備する導出部と、
前記縦型容器の下部に接続された、有機物残渣を連続排出する排出路を具備する排出部と、
を備えていることを特徴とする連続式有機物熱分解装置。
[2]前記排出部の排出路を加熱する第2加熱手段を備えていることを特徴とする上記[1]記載の連続式有機物熱分解装置。
[3]前記第2加熱手段が、前記排出部を前記縦型容器よりも高温で加熱する手段であることを特徴とする上記[2]記載の連続式有機物熱分解装置。
[4]前記排出部の排出路が、前記縦型容器の下部下方に配置されていることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
[5]前記排出部の排出路が、前記縦型容器の下部側方に配置されていることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
[6]前記排出部の排出路は、
前記縦型容器の下方に連設された筒体の底部に向かって縮小する内面と、前記筒体内に設けられた底部に向かって縮小するスペーサの外面との間に形成された隙間により構成されており、
前記縦型容器の底部外周に設けられた開口と連通している
ことを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
[7]前記撹拌手段が、縦型容器の中心部に上下方向に設けられた回転軸と、該回転軸に接続されてその軸周りに回転する撹拌翼を具備していることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置。
[8]前記撹拌手段が、有機物を下から上へ掻き上げ可能な手段であることを特徴とする上記[7]記載の連続式有機物熱分解装置。
[9]前記スペーサが、その傾斜面に排出路撹拌部材を備えると共に、前記縦型容器の中心部に上下方向に設けられた前記撹拌手段の回転軸に接続されてその軸周りに回転することを特徴とする上記[7]又は[8]記載の連続式有機物熱分解装置。
【0010】
[10]固形熱媒体が充填された縦型容器内に、有機物及び固形熱媒体を連続投入する連続投入工程と、
前記連続投入工程で縦型容器内に投入された有機物及び前記固形熱媒体を加熱撹拌して、前記有機物を熱分解する熱分解工程と、
前記熱分解工程で発生した熱分解ガスを回収する回収工程と、
前記熱分解工程で発生した有機物残渣を、前記固形熱媒体の一部と共に、前記縦型容器外へ連続排出する連続排出工程と、
を有することを特徴とする連続式有機物熱分解方法。
[11]前記連続排出工程において、排出される有機物残渣及び固形熱媒体を加熱することを特徴とする上記[10]記載の連続式有機物熱分解方法。
[12]前記連続排出工程において、排出される有機物残渣及び固形熱媒体を、前記熱分解工程の加熱温度よりも高い温度で加熱することを特徴とする上記[11]記載の連続式有機物熱分解方法。
[13]前記縦型容器内における前記固形熱媒体100Lに対する有機物の投入量が1~50kg/hの範囲となるよう有機物及び固形熱媒体を連続投入することを特徴とする上記[10]~[12]のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
[14]前記固形熱媒体が、直径0.1μm~150mmの球状固形物であることを特徴とする上記[10]~[13]のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
[15]前記固形熱媒体が、アルカリ土類金属系固形物、シリカ系固形物、砂、アルミナ系固形物、及びゼオライト系固形物からなる群より選ばれる少なくとも1種の固形物あることを特徴とする上記[10]~[14]のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
[16]前記連続投入工程で投入される有機物が、廃プラスチック又は廃ゴムであることを特徴とする上記[10]~[15]のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
[17]上記[1]~[9]のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置を用いることを特徴とする請求項上記[10]~[16]のいずれか記載の連続式有機物熱分解方法。
【0011】
[18]上記[1]~[9]のいずれか記載の連続式有機物熱分解装置と、
前記連続式有機物熱分解装置に有機物を連続投入する有機物投入装置と、
前記連続式有機物熱分解装置で熱分解された有機物の熱分解ガスを回収するガス回収装置と、
を備えていることを特徴とする再生有機物回収システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明の連続式有機物熱分解装置及び連続式有機物熱分解方法によれば、熱伝導効率の低下を抑制して効率的に連続して有機物を熱分解できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る連続式有機物熱分解装置の説明図である。
【
図2】
図1に示す連続式有機物熱分解装置の縦型容器及び排出部の説明図である。
【
図3】
図1に示す連続式有機物熱分解装置の排出部の拡大図である。
【
図4】本発明のその他の実施形態に係る連続式有機物熱分解装置の撹拌翼の説明図であり、(a)はパドル型撹拌翼を示し、(b)はゲート型撹拌翼を示す。
【
図5】実施例1の連続排出試験で得られた有機物残渣の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の連続式有機物熱分解装置は、有機物を連続投入する投入部と、投入部より投入された有機物を収容する縦型容器と、縦型容器内に設けられた、有機物を撹拌する撹拌手段と、縦型容器を加熱し、有機物を熱分解してガス化する第1加熱手段と、縦型容器の上部に接続された、有機物の熱分解ガスを導出する導出路を具備する導出部と、縦型容器の下部に接続された、有機物残渣を連続排出する排出路を具備する排出部とを備えていることを特徴とする。本発明の連続式有機物熱分解装置は、固形熱媒体が充填された状態で使用される。
【0015】
本発明の連続式有機物熱分解装置は、連続投入される有機物を、固形熱媒体が充填された縦型容器内で撹拌しながら加熱し熱分解すると共に、有機物残渣を連続排出することから、縦型容器の有機物残渣によるコーキングを防止し、熱伝導効率の低下を抑制して効率的に連続して有機物を熱分解することができる。すなわち、縦型容器内で固形熱媒体が撹拌されることにより、縦型容器壁面への有機物残渣(炭化物)の付着が防止され、また、不要な有機物残渣が連続的に排出されることにより、コーキングを防止することができる。
【0016】
本発明の処理対象である有機物(投入される有機物)としては、特に制限されるものではなく、例えば、石油化学製品廃材に含まれる廃プラスチックや廃ゴムを挙げることができ、有機物以外の成分を含むものであってもよい。廃プラスチックとしては、都市ゴミや産業廃棄物から分別された、プラスチックを主成分とする廃棄物が挙げられ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS等の熱可塑性樹脂を主成分とするものを例示することができる。また、廃プラスチックは、塩素を組成成分として含有するポリ塩化ビニル(PVC)や熱硬化性樹脂、FRP、紙等の夾雑物等を含むものであってもよい。また、廃ゴムとしては、例えば、廃タイヤなどの合成ゴム廃棄物、天然ゴム廃棄物等を挙げることができる。有機物の形状としては、例えば、フラフ状、ビーズ状、フレーク状、チップ状、粒状、ペレット状等の各種形状を挙げることができる。
【0017】
以下、本発明の連続式有機物熱分解装置の構成について詳細に説明する。
[投入部]
投入部は、処理対象となる有機物を連続投入する手段であり、通常、縦型容器の上部に設けられ、原料投入装置に接続されている。具体的には、原料投入ホッパーを挙げることができる。なお、本発明の連続投入とは、文字通り連続的に投入する場合のみならず、断続的に投入する態様も含む概念である。
【0018】
[縦型容器]
縦型容器は、その内部に投入された有機物を収容する縦長の容器である。縦型容器の横断面形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等を挙げることができるが、コーキングの抑制や清掃の容易さ等の点から、円形状が好ましい。また、例えば、容器の高さと直径の比であるL/Dは、1~5程度であり、1~3であることが好ましい。縦型容器は、垂直方向に対して傾斜していてもよく、その傾斜角度としては、0~45°であり、30°以下が好ましく、15°以下がより好ましく、5°以下がさらに好ましく、0°(垂直)が特に好ましい。
なお、上記のように、この縦型容器には、熱分解処理時には、固体熱媒体が充填されている。縦型容器内の固形熱媒体の充填量としては、特に制限されるものではなく、例えば50~90体積%程度である。固体熱媒体については後述する。
【0019】
[撹拌手段]
撹拌手段は、縦型容器に収容された有機物を、固体熱媒体と共に撹拌する手段である。撹拌手段としては、具体的に、収容物(有機物及び固体熱媒体)を撹拌できるものであれば特に制限されるものではなく、縦型容器の中心部に上下方向に設けられた回転軸と、回転軸に接続されてその軸周りに回転する撹拌翼を具備している手段を挙げることができ、収容物を下から上へ掻き上げ可能な構成のものが好ましい。撹拌手段で掻き上げることにより、収容物がより効率的に均一に撹拌される。縦型容器内の上部で(上部に位置する固形熱媒体が接触して)主として有機物の熱分解が行われることから、上部の固形熱媒体を効率的に入れ替えることにより、効率的に熱分解を行うことが可能となる。なお、撹拌手段は、2以上設けられていてもよい。
【0020】
撹拌手段の撹拌翼の型式としては、例えば、リボン型、パドル型、プロペラ型、タービン型、ゲート型、アンカー型等を挙げることができ、有機物を効果的に掻き上げることができることから、シングル型、ダブルリボン型が好ましく、ダブルリボン型がより好ましい。
【0021】
撹拌翼の先端部と上記縦型容器の内面との間隔(クリアランス)としては、掻き上げられた有機物がスムーズに落下できる大きさであれば特に制限されるものではなく、例えば5~50mmであり、5~20mmが好ましい。
【0022】
また、撹拌翼の周速としては、通常0.1m/s以上であり、0.5~5.0m/sであることが好ましく、0.7~4.0m/sであることがより好ましく、1.0~3.0m/sであることがさらに好ましい。このような速度で撹拌することにより、縦型容器内が十分に撹拌され、効率的に有機物の熱分解処理を行うことができる。
【0023】
[第1加熱手段]
第1加熱手段は、上記縦型容器を加熱して、有機物を熱分解してガス化する手段である。第1加熱手段は、縦型容器の内部に直接熱エネルギーを導入する直接加熱手段であってもよいし、縦型容器の外部から熱エネルギーを供給する間接加熱手段であってもよい。直接加熱手段としては、例えば、縦型容器の内部に設けられたバーナを挙げることができる。また、間接加熱手段としては、例えば、縦型容器の周壁を外部から加熱する電気ヒータやガスバーナ、縦型容器の外部空間に熱風もしくは熱媒体油等を導入する手段などを挙げることができる。
縦型容器の内部温度としては、通常、350~550℃程度であり、400~450℃程度であることが好ましい。
【0024】
[導出部]
導出部は、縦型容器の上部に接続された、有機物の熱分解ガスを導出する導出路を具備する手段である。導出路は、縦型容器の蓋部や上部側方に接続され、縦型容器内で発生した熱分解ガスをガス回収装置に導く。
【0025】
[排出部]
排出部は、縦型容器の下部に接続された、有機物残渣を連続排出する排出路を具備する手段である。有機物残渣を連続排出することにより、縦型容器内に蓄積する有機物残渣を低減し、縦型容器内に有機物残渣が増加して撹拌状態が悪くなることを抑制することができる。この有機物残渣は、主として固形熱媒体に付着した状態もしくは粉末状の炭化物として固形熱媒体と共に排出される。
【0026】
なお、本発明の連続排出とは、文字通り連続的に排出する場合のみならず、断続的に排出する態様も含む概念である。すなわち、有機物(及び固形熱媒体)の投入量等の関係から排出量を制御して排出することができる。例えば、排出路に開閉弁を設け、その排出量を制御することができる。また、後述する移送装置の移送速度により、その排出量を制御することができる。
【0027】
従来の石油化学製品廃材の熱分解装置においては、熱分解時に生成する炭化物などの有機物残渣の他に、石油化学製品の製造時などに含まれる混入物及び添加物、石油化学製品廃材に混入する金属やガラスなどの無機物が、装置内で次第に増加し、処理能力を低下させる要因となっていたが、本発明装置では、これらを連続的に排出することにより、処理能力を維持することができる。
【0028】
排出部(排出路)は、縦型容器の下部に接続されているものであれば特に制限されるものではなく、縦型容器の下部下方又は下部側方に配置されていることが好ましく、縦型容器の下部下方に配置されていることがより好ましい。通常、縦型容器の上部に有機物の投入部が設けられていることから、投入部から離れた位置に排出部を配置することにより、有機物を確実に熱分解した状態で有機物残渣を排出することができる。
【0029】
具体的に、排出路の好ましい態様としては、例えば、縦型容器の下方に連設された筒体の底部に向かって縮小する内面と、筒体内に設けられた底部に向かって縮小するスペーサの外面との間に形成された隙間により構成されるものを挙げることができる。本態様の場合、縦型容器内の有機物残渣(及び固形熱媒体)は、縦型容器の底部外周に設けられた開口を通じて排出されることになるが、中心部に設けられた撹拌手段で掻き上げられた後に、外周部を下降する流れでスムーズに排出される。
【0030】
縦型容器の下方に連設された筒体としては、縦型容器と同様に、横断面形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等を挙げることができ、円形状が好ましい。また、筒体の内面が底部に向かって縮小する構造であればよく、その外形は、直方体状、円柱状、逆円錐台状、逆円錐状等とすることができる。
【0031】
筒体の内面の傾斜角度(縦型容器の底面と筒体の内面との傾斜角度)としては、30~85°であることが好ましく、45~80°であることがより好ましく、45~75°であることがさらに好ましい。傾斜角度がこの範囲であることにより、有機物残渣をスムーズに底部の排出口まで導くことができる。
【0032】
筒体と共に排出路を形成する、筒体内に設けられたスペーサは、その外面が底部に向かって縮小する形状を有するものであれば特に制限されるものではなく、筒体の内面の傾斜角度と同じ傾斜角度であることが好ましい。具体的に、スペーサの外形としては、逆円錐台状、逆円錐状等を挙げることができる。
【0033】
筒体の内面とスペーサの外面との間に形成される隙間の間隔としては、1~150mmであることが好ましく、10~80mmであることがより好ましく、10~40mmであることがさらに好ましい。この隙間の間隔がこの範囲であることにより、有機物残渣をスムーズに底部の排出口まで導くことができる。
【0034】
また、スペーサは、その傾斜面に排出路撹拌部材を備えると共に、縦型容器の中心部に上下方向に設けられた撹拌手段の回転軸に接続されてその軸周りに回転することが好ましい。これにより、排出路における有機物残渣の詰まりや滞留を防止でき、安定した排出が可能となる。具体的に、排出路撹拌手段は、スペーサの傾斜面に設けられた棒部材を挙げることができる。
【0035】
排出部から排出される有機物残渣は、底部の排出口から自然落下等により排出されるものであってもよいが、ブリッジ防止の点から、動力により補助的に排出されることが好ましい。すなわち、本発明の連続式有機物熱分解装置は、排出部と接続された移送装置を備えていることが好ましい。これにより、有機物残渣の排出速度を調整して排出することができる。移送装置としては、例えば、スクリューコンベア等を挙げることができる。また、移送装置は、排出される有機物残渣を冷却する冷却手段を具備していることが好ましい。
【0036】
[第2加熱手段]
本発明の連続式有機物熱分解装置は、排出部の排出路を加熱する第2加熱手段を備えていることが好ましい。第2加熱手段により、排出される有機物残渣を加熱し、未分解の有機物を確実に熱分解することができる。特に、排出路(例えば、筒体とスペーサの隙間)は、縦型容器の断面積よりも小さい断面積であるため、排出路を通過する有機物に対して加熱手段の熱エネルギーが十分に伝わるため、より確実に有機物の未分解を防止することができる。
【0037】
第2加熱手段は、排出部を縦型容器と同じ温度に加熱するものであってもよいが、排出部を縦型容器よりも高温に加熱できる手段であることが好ましい。例えば、5℃以上高い温度であることが好ましく、5℃~100℃高い温度であることがより好ましく、8℃~70℃高い温度であることがさらに好ましく、10℃~50℃高い温度であることが最も好ましい。
【0038】
また、第2加熱手段は、第1加熱手段と別に設けられた手段であってもよいが、第1加熱手段が、第2加熱手段を兼ねていてもよい。第2加熱手段としては、排出路の周壁を外部から加熱する電気ヒータやガスバーナ、排出路の外部空間に熱風を導入する手段等を挙げることができる。
【0039】
第1加熱手段が、第2加熱手段を兼ねる場合、加熱手段としては、縦型容器及び排出部を包囲する加熱媒体通路を設け、該加熱媒体通路に、熱風等の加熱媒体を導入する構成を挙げることができる。この際、加熱媒体通路の入口を排出部側に設け、出口を縦型容器側に設けることにより、排出部側をより高温にすることができる。
【0040】
続いて、本発明の連続式有機物熱分解方法について説明する。なお、本発明の連続式有機物熱分解方法は、上記連続式有機物熱分解装置を用いて実施することができる。
【0041】
本発明の連続式有機物熱分解方法は、固形熱媒体が充填された縦型容器内に、有機物及び固形熱媒体を連続投入する連続投入工程と、連続投入工程で縦型容器内に投入された有機物及び固形熱媒体を加熱撹拌して、有機物を熱分解する熱分解工程と、熱分解工程で発生した有機物残渣を、固形熱媒体の一部と共に、縦型容器外へ連続排出する連続排出工程と、を有することを特徴とする。
【0042】
本発明の有機物熱分解方法によれば、連続投入される有機物を、固形熱媒体が充填された縦型容器内で撹拌しながら加熱し熱分解すると共に、有機物残渣を連続排出することから、縦型容器の有機物残渣によるコーキングを防止し、熱伝導効率の低下を抑制して効率的に連続して有機物を熱分解することができる。すなわち、縦型容器内で固形熱媒体が撹拌されることにより、縦型容器壁面への有機物残渣(炭化物)の付着が防止され、また、不要な有機物残渣が連続的に排出されることにより、コーキングを防止することができる。
【0043】
本発明の有機物熱分解方法に用いることができる有機物としては、上記連続式有機物熱分解装置と同様のものを用いることができる。その他、連続式有機物熱分解装置と同様の場合は、適宜説明を省略する。
【0044】
[連続投入工程]
連続投入工程は、固形熱媒体が充填された縦型容器内に、有機物及び固形熱媒体を連続投入する工程である。なお、連続投入とは、文字通り連続的に投入する場合のみならず、断続的に投入する態様も含む概念である。また、有機物及び固形熱媒体は、同時に投入してもよいし、別々に投入してもよい。この連続投入工程及び連続排出工程により、縦型容器内の有機物及び固形熱媒体を一定の割合に保持することができる。
【0045】
[熱分解工程]
熱分解工程は、連続投入工程で縦型容器内に投入された有機物及び固形熱媒体を加熱撹拌して、有機物を熱分解する工程である。有機物及び固形熱媒体を加熱撹拌することにより、有機物へ効率的に熱を伝導させることができると共に、縦型容器内の有機物残渣によるコーキングを防止し、高い熱伝導効率を維持することができることから、有機物を効率よく熱分解することができる。また、より効率的に熱分解を行うことができる点から、有機物及び固形熱媒体を下から上へ掻き上げて撹拌混合することが好ましい。
【0046】
縦型容器内に収容される固形熱媒体に対する有機物(未分解の有機物)の投入量としては、縦型容器内に収容される固形熱媒体の体積100Lに対して、200kg/h以下であり、1~100kg/hであることが好ましく、1~50kg/hであることがより好ましく、30kg/hであることが特に好ましい。この範囲であることにより、有機物を効率よく熱分解し、未分解の有機物の発生を防止することができる。また、縦型容器内をドライの状態に保持して熱分解ができる。
【0047】
縦型容器から排出される固形熱媒体に対する有機物(未分解の有機物)の割合としては、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。本発明の有機物熱分解方法では、排出物に未分解の有機物が含まれないことから、効率的に熱分解ガスを回収することができる。
【0048】
固形熱媒体の大きさとしては、投入される有機物の種類によって適宜設定できるものであるが、例えば、直径が0.1μm~150mm程度である。具体的には、固形熱媒体が直径0.1μm~1mmの粉粒体や、直径1mm超~15mm程度の塊状物を挙げることができる。また、固形熱媒体の形状としては、特に制限されるものではないが、流動性向上の点から、球状が好ましく、真球に近い球状がより好ましく、真球が特に好ましい。これにより、固形熱媒体による撹拌抵抗や、固形熱媒体同士の摩耗による微粉の析出による撹拌抵抗を抑制することができ、撹拌モータや撹拌翼をコンパクトにすることができる。固形熱媒体の大きさを有機物の種類によって変更することにより、排出される固形熱媒体及び有機物残渣の分離が容易となる。具体的には、有機物が廃プラスチックの場合には直径0.1μm~1mm程度の粉粒体を好適に用いることができ、有機物が廃タイヤなど炭化物の析出が多く、その後炭化物と固形熱媒体を分離したい場合には直径1mm超~150mm程度の塊状物を好適に用いることができる。
【0049】
固形熱媒体としては、投入される有機物の種類によって適宜設定できるものであるが、例えば、アルカリ土類金属系固形物、シリカ系固形物、アルミナ系固形物、砂、ゼオライト系固形物等の固形物を挙げることができる。アルカリ土類金属系固形物としては、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム系固形物や、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム系固形物を挙げることができる。また、ゼオライト系固形物としては、例えば、ゼオライト、FCC触媒(石油精製の流動接触分解に用いる触媒)、FCC廃触媒(使用済みFCC触媒)等を挙げることができる。
【0050】
熱分解工程における熱分解温度としては、特に制限されるものではなく、350~550℃であることが好ましい。また、熱分解工程における縦型容器内の圧力としては、特に制限されるものではなく、例えば、100kPa(大気圧)以下であることが好ましい。
【0051】
[回収工程]
回収工程は、熱分解工程で発生した熱分解ガスを回収する工程である。本工程で回収された熱分解ガスは、例えば、メタンなどの軽質の炭化水素ガスと、それ以外の油分に分離され、利用される。
【0052】
[連続排出工程]
連続排出工程は、熱分解工程で発生した有機物残渣を、固形熱媒体の一部と共に、縦型容器外へ連続排出する工程である。本工程においては、排出される有機物残渣及び固形熱媒体を加熱することが好ましい。また、本工程における加熱温度は、熱分解工程における加熱温度よりも高温とすることが好ましい。
【0053】
排出部が加熱される場合、排出部での有機物残渣の滞留時間が10分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、60分以上であることがさらに好ましい。これにより、排出される有機物残渣中の未分解有機物の割合を5質量%以下とすることができる。
【0054】
続いて、上述した本発明の連続式有機物熱分解装置を用いた再生有機物回収システムについて説明する。
【0055】
本発明の再生有機物回収システムは、上述した連続式有機物熱分解装置と、連続式有機物熱分解装置に有機物を連続投入する有機物投入装置と、連続式有機物熱分解装置で熱分解された有機物の熱分解ガスを回収するガス回収装置とを備えていることを特徴とする。
【0056】
本発明の再生有機物回収システムによれば、廃有機物等から有用な再生有機物を効率よく回収することができる。
【0057】
以下、図面を参照しつつ、本発明の連続式有機物熱分解装置の一実施形態を詳細に説明する。
ここで、
図1は、本発明の一実施形態に係る連続式有機物熱分解装置の説明図であり、
図2は、
図1に示す連続式有機物熱分解装置の縦型容器及び排出部の説明図であり、
図3は
図1に示す連続式有機物熱分解装置の排出部の拡大図である。
図4は、本発明のその他の実施形態に係る連続式有機物熱分解装置の撹拌翼の説明図であり、(a)はパドル型撹拌翼を示し、(b)はゲート型撹拌翼を示す。
【0058】
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る連続式有機物熱分解装置1は、有機物を連続投入する投入部10と、有機物を収容する縦型容器12と、有機物を撹拌する撹拌手段14と、縦型容器12を加熱し、有機物を熱分解してガス化する第1加熱手段16と、有機物の熱分解ガスを導出する導出部18と、有機物残渣を連続排出する排出部20を備えている。
【0059】
図1に示すように、投入部10は、縦型容器12の上部に設けられ、原料投入機装置に接続されている。また、導出部18は、縦型容器12の上部に接続された、有機物の熱分解ガスを導出する導出路22を具備している。導出路22は、縦型容器12の蓋部に接続され、縦型容器12内で発生した熱分解ガスをガス回収装置に導く。
【0060】
図1及び
図2に示すように、縦型容器12は、投入部10より投入された廃プラスチックや廃ゴムなどの有機物を、その内部に200L程度保持可能な縦長の容器である。また、縦型容器12には、熱分解処理時には、固体熱媒体が70体積%程度充填される。
【0061】
図1及び
図2に示すように、撹拌手段14は、縦型容器12の中心部に上下方向に設けられた回転軸24と、回転軸24に接続されてその軸周りに回転するダブルリボン型撹拌翼26を具備しており、収容物を下から上へ掻き上げ可能に構成されている。
【0062】
図3に示すように、排出部20は、縦型容器12の下部に接続された、有機物残渣を連続排出する排出路28を具備している。排出路28は、縦型容器12の下方に連設された筒体30の底部に向かって縮小する内面と、筒体30内に設けられた底部に向かって縮小するスペーサ32の外面との間に形成された40mm程度の隙間により構成されており、縦型容器12の底部外周に設けられた開口と連通している。筒体30は、横断面形状が円形状の逆円錐台状に形成されている。また、スペーサ32は、筒体30の内面の傾斜角度と同じ傾斜角度60°の逆円錐台状に形成されている。また、スペーサ32は、その傾斜面に排出路撹拌部材としての棒部材34を備えると共に、縦型容器12の中心部に上下方向に設けられた撹拌手段14の回転軸24に接続されてその軸周りに回転する。
【0063】
また、
図1に示すように、連続式有機物熱分解装置1は、縦型容器12を加熱し、有機物を熱分解してガス化する第1加熱手段16を備えている。第1加熱手段16は、縦型容器12及び排出部20を包囲する加熱媒体通路36に、熱風発生器38によって発生する熱風を導入する手段である。また、第1加熱手段16は、排出部20の排出路28を加熱する第2加熱手段を兼ねている。加熱媒体通路36は、その入口が排出部20側に設けられ、その出口が縦型容器12側に設けられ、入口と出口の間に縦型容器12の外部と排出部20の外部とを仕切る邪魔板40が設けられているため、排出部20側をより高温にすることができる。
【0064】
また、
図1に示すように、連続式有機物熱分解装置1は、排出部20と接続された運搬装置及び冷却手段としての冷却スクリューコンベア42を備えている。冷却スクリューコンベア42は、排出部20から排出される有機物を輸送しながら冷却することができる。
【0065】
なお、
図4に示すように、連続式有機物熱分解装置1においては、撹拌手段14の撹拌翼としてダブルリボン型撹拌翼26を用いたが、パドル型撹拌翼(a)やゲート型撹拌翼(b)等のその他の撹拌翼を用いてもよい。
【実施例0066】
(実施例1)[連続排出試験]
本発明の連続式有機物熱分解装置及び連続式有機物熱分解方法を用いて連続排出される有機物残渣の分析を行った。
【0067】
まず、容量100Lの縦型容器内に70Lの廃FCC触媒の粉粒体を充填し、縦型容器内を450℃で加熱すると共に、排出部の排出路を480℃で加熱した。縦型容器内全体に熱が伝わり安定した後に、排出部と接続された冷却スクリューコンベアにより運搬することで排出を開始し、連続処理を開始した。廃プラスチックは、30L/hの速度で連続投入し、廃FCC触媒は、縦型容器内に70Lとなるように連続投入し、廃FCC触媒に対する未分解の廃プラが3%を保持するように処理を行った。連続処理の開始から1時間後に排出される有機物残渣から10gを取得した(
図5)。
次に、有機物残渣10gを、450℃で1時間焼成した。焼成後のそれぞれの有機物残渣の質量を測定した。
その結果を表1に示す。
【0068】
【0069】
表1に示すように、450℃で1時間焼成を行う前と後では、質量に差が見られなかった。450℃は油分が気化する温度であるが、質量変化がなかったことから、油分となる有機物は、有機物残渣として残らず、すべて熱分解されたことがわかる。