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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169818
(43)【公開日】2023-11-30
(54)【発明の名称】超解像装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/59 20140101AFI20231122BHJP
   H04N 19/85 20140101ALI20231122BHJP
【FI】
H04N19/59
H04N19/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081154
(22)【出願日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(71)【出願人】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康孝
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159LB05
5C159LB15
5C159LB16
(57)【要約】
【課題】復号画像を超解像処理した超解像画像の画質を向上させる。
【解決手段】超解像装置1は、復号画像を取得し、Pピクチャ又はBピクチャについては、分割ブロック毎に、インター予測が行われた被インター予測ブロックであるか、イントラ予測が行われた被イントラ予測ブロックであるかを判定する超解像処理切替部11と、被インター予測ブロックと、該被インター予測ブロックの動き補償予測に使用された参照ブロックと、を用いて超解像処理を行い、被インター予測ブロックの超解像画像を出力する複数ピクチャ超解像処理部12と、被イントラ予測ブロックのみを用いて超解像処理を行い、被イントラ予測ブロックの超解像画像を出力する単一ピクチャ超解像処理部13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化後に復号された復号画像に対して超解像処理を行う超解像装置であって、
復号画像を取得し、Pピクチャ又はBピクチャについては、分割ブロック毎に、インター予測が行われた被インター予測ブロックであるか、イントラ予測が行われた被イントラ予測ブロックであるかを判定する超解像処理切替部と、
前記被インター予測ブロックと、該被インター予測ブロックの動き補償予測に使用された参照ブロックと、を用いて超解像処理を行い、前記被インター予測ブロックの超解像画像を出力する複数ピクチャ超解像処理部と、
前記被イントラ予測ブロックのみを用いて超解像処理を行い、前記被イントラ予測ブロックの超解像画像を出力する単一ピクチャ超解像処理部と、
を備える超解像装置。
【請求項2】
前記複数ピクチャ超解像処理部は、前記被インター予測ブロックと、前記参照ブロックにおける低周波成分画像との間でブロックマッチングによる位置合わせを行う、請求項1に記載の超解像装置。
【請求項3】
前記複数ピクチャ超解像処理部は、前記ブロックマッチングにおける差分評価関数が第1の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行い、前記被インター予測ブロックの動きベクトルの長さが長いほど前記第1の閾値を大きくする、請求項2に記載の超解像装置。
【請求項4】
前記複数ピクチャ超解像処理部は、前記ブロックマッチングにおける差分評価関数が第1の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行い、前記被インター予測ブロックの量子化パラメータが大きいほど前記第1の閾値を小さくする、請求項2に記載の超解像装置。
【請求項5】
前記単一ピクチャ超解像処理部は、前記被イントラ予測ブロックと、該被イントラ予測ブロックの低周波成分画像との間でブロックマッチングによる位置合わせを行う、請求項1に記載の超解像装置。
【請求項6】
前記単一ピクチャ超解像処理部は、前記ブロックマッチングにおける差分評価関数が第2の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行い、前記被イントラ予測ブロックの量子化パラメータが大きいほど前記第2の閾値を小さくする、請求項5に記載の超解像装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか一項に記載の超解像装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復号画像の超解像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
H.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)(以下、「HEVC」と称する。)やH.266/VVC(Versatile Video Coding)(以下、「VVC」と称する。)などの映像符号化方式では、ブロック分割、直交変換、量子化、エントロピー符号化、イントラ予測、インター予測などの要素技術を組み合わせて高効率化を実現している。
【0003】
一方、原画像をより高解像の画像に変換する超解像技術として、一般的に、単一フレームを用いて超解像処理を行う単一フレーム超解像処理と、複数フレームを用いて超解像処理を行う複数フレーム超解像処理とが知られている。例えば、非特許文献1には、超解像処理技術について、複数フレーム超解像と単一フレーム超解像に分けて、関連技術の概説と動向が紹介されている。また、特許文献1には、スケーラビリティを利用した符号化装置において、ダウンダンプリングや超解像処理を用いて符号化効率を向上させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-182776号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】奥富正敏,田中正行,竹島秀則,松本信幸,「画像超解像処理技術の最新動向」,電子情報通信学会誌,vol. 93,no. 8,pp. 693-698,Aug. 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原画像を符号化すると情報量が削減されるため、原画像を符号化した後に復号した画像(以下、「復号画像」と称する)を超解像処理して高画質の超解像画像を生成することは困難であった。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、復号画像を超解像処理した超解像画像の画質を向上させることが可能な超解像装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る超解像装置は、符号化後に復号された復号画像に対して超解像処理を行う超解像装置であって、復号画像を取得し、Pピクチャ又はBピクチャについては、分割ブロック毎に、インター予測が行われた被インター予測ブロックであるか、イントラ予測が行われた被イントラ予測ブロックであるかを判定する超解像処理切替部と、前記被インター予測ブロックと、該被インター予測ブロックの動き補償予測に使用された参照ブロックと、を用いて超解像処理を行い、前記被インター予測ブロックの超解像画像を出力する複数ピクチャ超解像処理部と、前記被イントラ予測ブロックのみを用いて超解像処理を行い、前記被イントラ予測ブロックの超解像画像を出力する単一ピクチャ超解像処理部と、を備える。
【0009】
さらに、本発明に係る超解像装置において、前記複数ピクチャ超解像処理部は、前記被インター予測ブロックと、前記参照ブロックにおける低周波成分画像との間でブロックマッチングによる位置合わせを行うようにしてもよい。
【0010】
さらに、本発明に係る超解像装置において、前記複数ピクチャ超解像処理部は、前記ブロックマッチングにおける差分評価関数が第1の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行い、前記被インター予測ブロックの動きベクトルの長さが長いほど前記第1の閾値を大きくするようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明に係る超解像装置において、前記複数ピクチャ超解像処理部は、前記ブロックマッチングにおける差分評価関数が第1の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行い、前記被インター予測ブロックの量子化パラメータが大きいほど前記第1の閾値を小さくするようにしてもよい。
【0012】
さらに、本発明に係る超解像装置において、前記単一ピクチャ超解像処理部は、前記被イントラ予測ブロックと、該被イントラ予測ブロックの低周波成分画像との間でブロックマッチングによる位置合わせを行うようにしてもよい。
【0013】
さらに、本発明に係る超解像装置において、前記単一ピクチャ超解像処理部は、前記ブロックマッチングにおける差分評価関数が第2の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行い、前記被イントラ予測ブロックの量子化パラメータが大きいほど前記第2の閾値を小さくするようにしてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記超解像装置として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、復号画像を超解像処理した超解像画像の画質を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る超解像装置の構成例を示すブロック図である。
図2】復号装置の構成例を示すブロック図である
図3】予測情報の一例を示す図である。
図4】ランダムアクセス予測におけるピクチャの参照構造の一例を示す図である。
図5図4におけるBピクチャを被予測ピクチャとした場合の動き補償予測を示す図である。
図6】一実施形態に係る超解像装置における複数ピクチャ超解像処理部の構成例を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係る超解像装置における複数ピクチャ超解像処理部による処理を示す図である。
図8】一実施形態に係る超解像装置における単一ピクチャ超解像処理部の構成例を示すブロック図である。
図9】一実施形態に係る超解像装置における単一ピクチャ超解像処理部による処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る超解像装置の構成例を示すブロック図である。超解像装置1は、映像符号化の後処理として、原画像の符号化後に復号された復号画像に対して超解像処理を行う装置である。超解像装置1は、復号装置2から、原画像の復号画像、及び原画像の符号化/復号に用いられた画像処理情報を取得する。画像処理情報は、分割ブロック毎の、動きベクトル情報、QP(Quantization parameter)情報、及び予測情報を含む。以下、復号装置2について説明した後に、超解像装置1について説明する。
【0019】
(復号装置)
復号装置2は、原画像に対して予測処理を行って符号化データを生成する符号化装置(図示せず)から符号化データを入力し、該符号化データを復号処理する装置である。予測処理としては、インター予測(画面間予測)、及びイントラ予測(画面内予測)が用いられる。インター予測は時間的に前後する参照フレームから予測画像を生成し、原画像と予測画像との差分を符号化する予測符号化方式である。イントラ予測はフレーム内符号化されるブロックに対して、符号化済みの隣接ブロックの画素から予測画像を生成し、原画像と予測画像との差分を符号化する予測符号化方式である。
【0020】
図2は、復号装置2の構成例を示すブロック図である。図2に示す例では、復号装置2は、エントロピー復号部21と、逆量子化部22と、逆変換部23と、加算部24と、記憶部25と、予測部26とを備える。本図では、符号化データ及び符号化データの演算処理により生成されるデータの流れを実線の矢印で示し、符号化データの復号処理に用いられる情報の流れを破線の矢印で示している。復号装置2は、予測処理を行う符号化装置から、符号化データを入力する。
【0021】
エントロピー復号部21は、符号化装置から入力された符号化データを復号し、量子化係数と、QP情報と、差分動きベクトル(MVD)情報と、予測情報と、を取得する。そして、エントロピー復号部21は、量子化係数を逆量子化部22に出力し、QP情報を逆量子化部22及び超解像装置1に出力し、差分動きベクトル情報を予測部26に出力し、予測情報を予測部26及び超解像装置1に出力する。
【0022】
ここで、量子化係数とは、残差画像の変換係数を量子化した値を意味する。残差画像とは、原画像と、予測処理によって導出された予測画像との差分の画像であり、符号化装置により生成される。
【0023】
QP情報とは、量子化パラメータ(QP)を示す情報である。量子化パラメータは量子化ステップと所定の対応関係にあり、例えば量子化パラメータが6増加すると量子化ステップは2倍となる。
【0024】
差分動きベクトル情報とは、動きベクトルと、近傍の復号済みブロックから導出された予測動きベクトル(MVP)との差を示す情報である。
【0025】
予測情報とは、分割ブロック毎に、インター予測及びイントラ予測のいずれの処理が行われたブロックであるかを示す情報である。予測情報は、分割ブロックのサイズを示す情報を含んでもよい。分割ブロックは、例えばVVCではCU(Coding Unit)である。なお、VVCでは基本的にCUとPU(Prediction Unit)は同じサイズとなる。また、HEVCではCUの形状は正方形であったが、VVCではCUの形状は正方形だけでなく長方形とすることもできる。
【0026】
逆量子化部22は、エントロピー復号部21から入力された量子化係数に、量子化パラメータに対応する量子化ステップを乗算して分割ブロックごとの変換係数を復元し、逆変換部23に出力する。
【0027】
逆変換部23は、逆量子化部22から入力された変換係数に対して逆変換を行って分割ブロックごとに残差画像を復元し、加算部24に出力する。
【0028】
加算部24は、逆変換部23から入力された残差画像と、予測部26から入力された予測画像との各画素値を加算して、分割ブロックごとに復号画像を生成する。加算部24は、復号画像を記憶部25及び超解像装置1に出力する。
【0029】
記憶部25は、加算部24から入力された復号画像を記憶する。
【0030】
予測部26は、記憶部25に記憶された復号画像を参照し、エントロピー復号部21から入力された予測情報に従ってイントラ予測処理又はインター予測処理を行って予測画像を生成し、加算部24に出力する。予測部26は、インター予測処理を行う場合には、予測動きベクトルを導出し、予測動きベクトルにエントロピー復号部21から入力した差分動きベクトルを加算した動きベクトルを生成し、動きベクトルを示す動きベクトル情報を超解像装置1に出力する。
【0031】
超解像装置1は、上記のような一般的な復号装置2から、復号処理に用いられた画像処理情報(予測情報、動きベクトル情報、及びQP情報)、及び復号処理の結果である復号画像を取得する。再び図1に戻って、超解像装置1の構成について説明する。
【0032】
(超解像装置)
図1に示す例では、超解像装置1は、超解像処理切替部11と、複数ピクチャ超解像処理部12と、単一ピクチャ超解像処理部13と、を備える。本図では、画像の流れを実線の矢印で示し、超解像処理に用いられる情報の流れを破線の矢印で示している。
【0033】
超解像処理切替部11は、復号装置2から復号画像を取得し、復号画像がIピクチャ(Intra Picture)であるか、Pピクチャ(Predicted Picture)又はBピクチャ(Bidirectionally predicted Picture)であるかを判断する。超解像処理切替部11は、復号画像がPピクチャ又はBピクチャである場合には、予測情報に基づいて、分割ブロック毎に、インター予測が行われたブロック(以下、「被インター予測ブロック」と称する。)であるか、イントラ予測が行われたブロック(以下、「被イントラ予測ブロック」と称する。)であるかを判定する。復号画像がIピクチャである場合には分割ブロックは全て被イントラ予測ブロックであるため、上記判断をする必要はない。そして、超解像処理切替部11は、Pピクチャ及びBピクチャの復号画像のうち被インター予測ブロックを複数ピクチャ超解像処理部12に出力し、Pピクチャ及びBピクチャの復号画像のうち被イントラ予測ブロック、及びIピクチャの復号画像(全て被イントラ予測ブロック)を単一ピクチャ超解像処理部13に出力する。
【0034】
また、超解像処理切替部11は、復号装置2から取得した画像処理情報のうち、動きベクトル情報を複数ピクチャ超解像処理部12に出力し、QP情報を複数ピクチャ超解像処理部12及び単一ピクチャ超解像処理部13に出力する。
【0035】
図3は、VTM(VVC Test Model)10.0を用いて、ある原画像を符号化した際の予測情報の一例を示す図である。この図において、白色の分割ブロックは被インター予測ブロックを示しており、黒色の分割ブロックは被イントラ予測ブロックを示している。
【0036】
複数ピクチャ超解像処理部12は、超解像処理切替部11から、被インター予測ブロックと、該被インター予測ブロックの動き補償予測に使用された前後ピクチャの分割ブロック(以下、「参照ブロック」と称する。)とを入力する。そして、複数ピクチャ超解像処理部12は、被インター予測ブロックと参照ブロックとを用いて超解像処理を行い、被インター予測ブロックの超解像画像を出力する。
【0037】
複数ピクチャ超解像処理部12は、ブロックマッチングにおける差分評価関数が第1の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行うようにしてもよい。その場合には、複数ピクチャ超解像処理部12は、超解像処理切替部11から被インター予測ブロックの動きベクトル情報及びQP情報を入力し、これらの情報を用いて第1の閾値を制御してもよい。複数ピクチャ超解像処理部12の処理の詳細については後述する。
【0038】
単一ピクチャ超解像処理部13は、超解像処理切替部11から被イントラ予測ブロックを入力する。単一ピクチャ超解像処理部13は、被イントラ予測ブロックのみを用いて超解像処理を行い、被イントラ予測ブロックの超解像画像を出力する。
【0039】
単一ピクチャ超解像処理部13は、ブロックマッチングにおける差分評価関数が第2の閾値以下である場合にのみ位置合わせを行うようにしてもよい。その場合には、単一ピクチャ超解像処理部13は、超解像処理切替部11から被イントラ予測ブロックのQP情報を入力し、該QP情報を用いて第2の閾値を制御してもよい。単一ピクチャ超解像処理部13の処理の詳細については後述する。
【0040】
図4は、ランダムアクセス予測におけるピクチャの参照構造の一例を示す図である。図5は、図4におけるBピクチャを被予測ピクチャとし、Iピクチャ及びBピクチャを被予測ピクチャの前後ピクチャ(参照ピクチャ)とした場合の、Iピクチャ及びBピクチャからBピクチャへの動き補償予測を示す図である。図5中の符号aは被インター予測ブロックを示しており、符号bは参照ブロックを示している。
【0041】
図6は、複数ピクチャ超解像処理部12の構成例を示すブロック図である。図6に示す例では、複数ピクチャ超解像処理部12は、周波数分解部121と、拡大部122と、位置合わせ部123と、割付部124と、周波数再構成部125と、を備える。
【0042】
図7は、複数ピクチャ超解像処理部12による処理を示す図である。図6及び図7を参照して複数ピクチャ超解像処理部12の処理を説明する。
【0043】
周波数分解部121は、超解像処理切替部11から入力した被インター予測ブロックに対して周波数分解処理を行って周波数分解画像を生成する。本実施形態では1階層の周波数分解処理を行うものとするが、複数階層の周波数分解処理を行ってもよい。周波数分解部121は、周波数分解処理として、例えばウェーブレット分解処理を行う。また、周波数分解部121は、該被インター予測ブロックの動き補償予測に用いられた参照ブロックを超解像処理切替部11から入力し、同様に参照ブロックに対して周波数分解処理を行って周波数分解画像を生成する。周波数分解部121は、被インター予測ブロックの周波数分解画像を拡大部122に出力し、参照ブロックの周波数分解画像を位置合わせ部123及び割付部124に出力する。
【0044】
すなわち、図7に示すように、周波数分解部121は、被インター予測ブロックaの周波数分解画像a’、及び参照ブロックbの周波数分解画像b’を生成する。1階ウェーブレット分解を行った場合、被インター予測ブロックaの周波数分解画像a’は、低周波帯域成分の画像(低周波成分画像)LL(a)、及び高周波帯域成分の画像(高周波成分画像)LH(a),HL(a),HH(a)からなる。また、参照ブロックbの周波数分解画像b’は、低周波成分画像LL(b)、及び高周波成分画像LH(b),HL(b),HH(b)からなる。
【0045】
拡大部122は、周波数分解部121から入力した周波数分解画像を水平方向に2倍且つ垂直方向に2倍に拡大した後、その低周波帯域成分を元の被インター予測ブロックに置換した拡大画像を生成する。そして拡大部122は、生成した拡大画像を位置合わせ部123及び割付部124に出力する。
【0046】
すなわち、図7に示すように、拡大部122は、周波数分解画像a’を水平方向・垂直方向にそれぞれ2倍に拡大し、低周波帯域成分に被インター予測ブロックaを挿入した拡大画像cを生成する。拡大画像cは、低周波成分画像である被インター予測ブロックa、及び高周波成分画像LH(aE),HL(aE),HH(aE)からなる。
【0047】
位置合わせ部123は、拡大部122から入力した拡大画像における低周波帯域成分(被インター予測ブロック)と、周波数分解部121から入力した参照ブロックにおける低周波成分画像との間で、ブロックマッチングによる位置合わせを行う。具体的には、位置合わせ部123は、被インター予測ブロックをさらに小ブロック(例えば、4×4画素、6×6画素、8×8画素など)に分割し、小ブロックと、該小ブロックに類似する参照ブロック内のブロックとの位置関係を示す位置合わせ情報を生成する。ブロックマッチングは、絶対値誤差和(SAD;Sum of Absolute Difference)、二乗誤差和(SSD;Sum of Squared Difference)などの差分評価関数を用いて、既知の手法により行われる。ブロックマッチングは、例えばパラボラフィッティング関数を用いた補間処理により、小数画素精度で行ってもよい。そして、位置合わせ部123は、各小ブロックについて位置合わせを行い、位置合わせ情報を生成し、割付部124に出力する。
【0048】
すなわち、図7に示すように、位置合わせ部123は、被インター予測ブロックaと、参照ブロックbにおける低周波成分画像LL(b)との間でブロックマッチングによる位置合わせを行う。
【0049】
さらに、位置合わせ部123は、ブロックマッチングにおける差分評価関数が閾値Thを超えた場合は、位置合わせ情報として採用しないようにしてもよい。この場合には、位置合わせ部123は、被インター予測ブロック毎の動きベクトル情報及びQP情報の少なくとも一方の情報を用いて位置合わせの制御を行ってもよい。
【0050】
例えば、動きベクトルの長さが長い場合には復号画像がぼやけている可能性がある。そのため、位置合わせ部123は、動きベクトルの長さが長いほど閾値Thを大きくし、超解像候補が多く設定されるようにする。
【0051】
また、QPの値が大きい場合には量子化ステップが大きくなるため、ブロック歪みが大きくなり復号画像が劣化している可能性がある。そのため、位置合わせ部123は、QPの値が大きいほど閾値Thを小さくし、位置合わせ及び割り付けの精度を向上させる。
【0052】
割付部124は、位置合わせ部123から入力した位置合わせ情報に従って、拡大部122により生成された拡大画像のうちの高周波成分画像に割り付けを行う。割り付ける際には、同じ位相位置の位置合わせ情報に従うこととする。割付部124は、割り付けを全て終えた後、水平、垂直、対角高周波成分として候補が複数存在する場合には、それらの値を平均してもよいし、最大事後確率(Maximum a posteriori;MAP)再構成を行って未知の値を推定してもよいし、割り付けられた画素の距離に応じた重み付けにより、高周波成分画像を推定してもよい。そして、割付部124は、割り付け後の拡大画像を周波数再構成部125に出力する。
【0053】
すなわち、図7に示すように、割付部124は、同じ位相位置の位置合わせ情報に従って、拡大画像cにおける高周波成分画像LH(aE),HL(aE),HH(aE)に割り付けを行う。
【0054】
周波数再構成部125は、割付部124から入力した割り付け後の拡大画像を周波数再構成することにより、被インター予測ブロックの超解像画像を生成する。なお、周波数分解部121が周波数分解処理としてウェーブレット分解処理を行った場合には、周波数再構成部125は、同じウェーブレットを用いてウェーブレット再構成処理を行う。
【0055】
すなわち、図7に示すように、周波数再構成部125は、被インター予測ブロックaを低周波成分とし、割り付け後の高周波成分画像LH(aE),HL(aE),HH(aE)を高周波成分としてウェーブレット再構成することにより、被インター予測ブロックaの超解像画像dを生成する。
【0056】
図8は、単一ピクチャ超解像処理部13の構成例を示すブロック図である。図8に示す例では、単一ピクチャ超解像処理部13は、周波数分解部131と、拡大部132と、位置合わせ部133と、割付部134と、周波数再構成部135と、を備える。
【0057】
図9は、単一ピクチャ超解像処理部13による処理を示す図である。図8及び図9を参照して単一ピクチャ超解像処理部13の処理を説明する。
【0058】
周波数分解部131は、超解像処理切替部11から入力した被イントラ予測ブロックに対して周波数分解処理を行って周波数分解画像を生成する。本実施形態では1階層の周波数分解処理を行うものとするが、複数階層の周波数分解処理を行ってもよい。周波数分解部131は、周波数分解処理として、例えばウェーブレット分解処理を行う。周波数分解部131は、被イントラ予測ブロックの周波数分解画像を拡大部132、位置合わせ部133、及び割付部134に出力する。
【0059】
すなわち、図9に示すように、周波数分解部131は、被イントラ予測ブロックαの周波数分解画像α’を生成する。1階ウェーブレット分解を行った場合、被イントラ予測ブロックαの周波数分解画像α’は、低周波成分画像LL(α)、及び高周波成分画像LH(α),HL(α),HH(α)からなる。
【0060】
拡大部132は、周波数分解部131から入力した周波数分解画像を水平方向に2倍且つ垂直方向に2倍に拡大した後、その低周波帯域成分を元のイントラ予測ブロックに置換した拡大画像を生成する。そして拡大部132は、生成した拡大画像を位置合わせ部133及び割付部134に出力する。
【0061】
すなわち、図9に示すように、拡大部132は、周波数分解画像α’を水平方向・垂直方向にそれぞれ2倍に拡大し、低周波帯域成分に被イントラ予測ブロックαを挿入した拡大画像βを生成する。拡大画像βは、低周波成分画像である被イントラ予測ブロックα、及び高周波成分画像LH(αE),HL(αE),HH(αE)からなる。
【0062】
位置合わせ部133は、拡大部132から入力した拡大画像における低周波帯域成分(被イントラ予測ブロック)と、周波数分解部131から入力した被イントラ予測ブロックにおける低周波成分画像との間で、ブロックマッチングによる位置合わせを行う。具体的には、位置合わせ部123は、被インター予測ブロックをさらに小ブロック(例えば、4×4画素、6×6画素、8×8画素など)に分割し、小ブロックと、該小ブロックに類似する周波数分解画像内のブロックとの位置関係を示す位置合わせ情報を生成する。ブロックマッチングは、絶対値誤差和、二乗誤差和などの差分評価関数を用いて、既知の手法により行われる。ブロックマッチングは、例えばパラボラフィッティング関数を用いた補間処理により、小数画素精度で行ってもよい。そして、位置合わせ部133は、各小ブロックについて位置合わせを行い、位置合わせ情報を生成し、割付部134に出力する。
【0063】
すなわち、図9に示すように、位置合わせ部133は、被イントラ予測ブロックαと、被イントラ予測ブロックαにおける低周波成分画像LL(α)との間でブロックマッチングによる位置合わせを行う。
【0064】
さらに、位置合わせ部133は、差分評価関数が閾値Thを超えた場合は、位置合わせ情報として採用しないようにしてもよい。この場合には、位置合わせ部133は、被イントラ予測ブロック毎のQP情報を用いて位置合わせの制御を行ってもよい。
【0065】
例えば、QPの値が大きい場合には量子化ステップが大きくなるため、ブロック歪みが大きくなり復号画像が劣化している可能性がある。そのため、位置合わせ部133は、QPの値が大きいほど閾値Thを小さくし、位置合わせ及び割り付けの精度を向上させる。
【0066】
割付部134は、位置合わせ部133から入力した位置合わせ情報に従って、拡大部132により生成された拡大画像のうちの高周波成分画像に割り付けを行う。割付部134は、割り付けを全て終えた後、水平、垂直、対角高周波成分として候補が複数存在する場合には、それらの値を平均してもよいし、最大事後確率再構成を行って未知の値を推定してもよいし、ML法や、割り付けられた画素の距離に応じた重み付けにより、高周波成分画像を推定してもよい。そして、割付部134は、割り付け後の拡大画像を周波数再構成部135に出力する。
【0067】
すなわち、図9に示すように、割付部134は、同じ位相位置の位置合わせ情報に従って、拡大画像βにおける高周波成分画像LH(αE),HL(αE),HH(αE)に割り付けを行う。
【0068】
周波数再構成部135は、割付部134から入力した割り付け後の拡大画像を周波数再構成することにより、被イントラ予測ブロックの超解像画像を生成する。なお、周波数分解部131が周波数分解処理としてウェーブレット分解処理を行った場合には、周波数再構成部135は、同じウェーブレットを用いてウェーブレット再構成処理を行う。
【0069】
すなわち、図9に示すように、周波数再構成部135は、被イントラ予測ブロックαを低周波成分とし、割り付け後の高周波成分画像LH(αE),HL(αE),HH(αE)を高周波成分としてウェーブレット再構成することにより、被イントラ予測ブロックαの超解像画像γを生成する。
【0070】
上述したように、超解像装置1は、復号画像を取得し、Pピクチャ又はBピクチャについては、分割ブロック毎に、被インター予測ブロックであるか被イントラ予測ブロックであるかを判定する。そして、被インター予測ブロックに対しては、被インター予測ブロックと、該被インター予測ブロックの動き補償予測に使用された参照ブロックとを用いて超解像処理を行い、被イントラ予測ブロックに対しては、被イントラ予測ブロックのみを用いて超解像処理を行う。動き補償に使用された参照ブロックの画像は被インター予測ブロックの画像との類似度が高いため、複数ピクチャ超解像処理部12は参照ブロックを含む複数ピクチャからの相似性を利用した超解像処理を行うことで、超解像画像の画質を向上させることが可能となる。また、単一ピクチャ超解像処理部13は、単一ピクチャの相似性を利用した超解像処理を行うことで、超解像画像の画質を向上させることが可能となる。
【0071】
(プログラム)
上述した超解像装置1として機能させるために、それぞれプログラム命令を実行可能なコンピュータを用いることも可能である。ここで、コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッドなどであってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。
【0072】
コンピュータは、プロセッサと、記憶部と、入力部と、出力部と、通信インターフェースとを備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System on a Chip)などであり、同種又は異種の複数のプロセッサにより構成されてもよい。プロセッサは、記憶部からプログラムを読み出して実行することで、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。なお、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェアで実現することとしてもよい。
【0073】
プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性(non-transitory)の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどであってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0074】
例えば、超解像装置1として機能させるためのプログラムは、復号画像を取得し、Pピクチャ又はBピクチャについては、分割ブロック毎に、インター予測が行われた被インター予測ブロックであるか、イントラ予測が行われた被イントラ予測ブロックであるかを判定するステップと、インター予測ブロックと、該被インター予測ブロックの動き補償予測に使用された参照ブロックと、を用いて超解像処理を行い、インター予測ブロックの超解像画像を出力するステップと、イントラ予測ブロックのみを用いて超解像処理を行い、イントラ予測ブロックの超解像画像を出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0075】
また、上述した超解像装置1は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。この半導体チップは、超解像装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを実行するCPUを搭載してもよい。
【0076】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを統合したり、1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 超解像装置
2 復号装置
11 超解像処理切替部
12 複数ピクチャ超解像処理部
13 単一ピクチャ超解像処理部
21 エントロピー復号部
22 逆量子化部
23 逆変換部
24 加算部
25 記憶部
26 予測部
121,131 周波数分解部
122,132 拡大部
123,133 位置合わせ部
124,134 割付部
125,135 周波数再構成部
図1
図2
図3
図4
図5
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図9