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特開2023-170262基板研磨方法、プログラム、および、基板研磨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170262
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】基板研磨方法、プログラム、および、基板研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/005 20120101AFI20231124BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20231124BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20231124BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20231124BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20231124BHJP
   B24B 47/22 20060101ALI20231124BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B24B37/005 A
B24B37/30 E
B24B37/013
B24B41/06 A
B24B49/12
B24B47/22
H01L21/304 622K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081873
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 歩
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB71
3C034BB83
3C034BB93
3C034CA04
3C034CA22
3C034CB08
3C034CB14
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB03
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA13
3C158EA14
3C158EA23
3C158EB01
5F057AA24
5F057AA32
5F057CA12
5F057DA03
5F057EC10
5F057FA20
5F057GB02
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】様々な寸法の基板に対応して研磨を行うための基板研磨方法などを提案する。
【解決手段】研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、を備えた研磨装置による基板研磨方法が提案される。当該方法は、前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、トップリングの圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより前記基板を研磨する研磨ステップと、を含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、を備えた研磨装置による基板研磨方法であって、
前記トップリングは、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと当該メンブレンを保持するトップリング本体とを有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成され、
前記基板研磨方法は、
前記センサにより前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、
取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、
前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより、前記基板を研磨する研磨ステップと、
を含む、基板研磨方法。
【請求項2】
前記取得ステップは、前記基板を保持した前記トップリングと前記研磨テーブルとを接触させることによって行われる、請求項1に記載の基板研磨方法。
【請求項3】
前記研磨装置は、前記研磨テーブルを回転させるための研磨テーブル回転機構を備え、
前記取得ステップは、前記研磨テーブルが回転していない状態で行われる、
請求項2に記載の基板研磨方法。
【請求項4】
前記研磨装置は、前記基板を前記トップリングとの間で受け渡しするプッシャを備え、
前記取得ステップは、前記プッシャから前記トップリングに前記基板が受け渡されるときに行われる、
請求項1に記載の基板研磨方法。
【請求項5】
前記取得ステップは、前記プッシャが前記基板を前記トップリングに受け渡すために移動させた距離に基づいて前記基板の厚みに関する情報を取得する、請求項4に記載の基板研磨方法。
【請求項6】
前記研磨装置は、前記基板を搬送するように構成されたロードユニット又は搬送ユニットを備え、
前記取得ステップは、前記ロードユニット又は搬送ユニットに設けられたセンサによって前記基板の厚みに関する情報を取得する、
請求項1に記載の基板研磨方法。
【請求項7】
前記研磨装置は、前記基板を搬送するための搬送ユニットを有する処理ラインを備え、
前記取得ステップ、前記位置調整ステップ、および前記研磨ステップは、前記処理ラインから前記基板を搬出することなく行われる、請求項1から6の何れか1項に記載の基板研磨方法。
【請求項8】
前記取得ステップは、前記研磨装置への外部入力により行われる、請求項1に記載の基板研磨方法。
【請求項9】
前記研磨ステップの後に、前記取得ステップで取得した前記基板の厚みに関する情報と前記研磨ステップによる前記基板の研磨量とに基づいて、第2の研磨テーブルに対する第2のトップリングの高さ位置を調整する第2の位置調整ステップと、
前記基板を前記第2の研磨テーブルの研磨面に押圧することにより前記基板を研磨する
第2の研磨ステップと、
を含む、請求項1から6の何れか1項に記載の基板研磨方法。
【請求項10】
基板の処理面に研磨処理を行う制御処理を、研磨装置の処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記研磨装置は、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、を備え、
前記トップリングは、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと当該メンブレンを保持するトップリング本体とを有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成され、
前記制御処理は、
前記センサにより前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、
取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、
前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより、前記基板を研磨する研磨ステップと、
を含む、プログラム。
【請求項11】
研磨面を有した研磨テーブルと、
基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングであって、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと、当該メンブレンを保持するトップリング本体と、を有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成されたトップリングと、
前記トップリングを上下動させる上下動機構と、
基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、
前記センサにより取得された前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整し、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより前記基板を研磨するように構成された制御装置と、
を備える、基板研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板研磨方法、プログラム、および、基板研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に、基板の表面を平坦化するために化学機械研磨(CMP)装置が使用されている。半導体デバイスの製造に使用される基板は、多くの場合、円板形状である。また、半導体デバイスに限らず、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)やPCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの四角形の基板の表面を平坦化する際の平坦度の要求も高まっている。また、PCB基板などの電子デバイスが配置されたパッケージ基板の表面を平坦化することへの要求も高まっている。
【0003】
基板研磨装置における基板保持装置として、チャッキングプレートに弾性膜(メンブレン)を固定し、チャッキングプレートの上部に形成される圧力室(加圧チャンバ)、および弾性膜(メンブレン)から形成される圧力室に空気などの流体を供給することで弾性膜を介して流体圧により半導体ウエハを研磨パッドに押圧するタイプのいわゆるフローティング型トップリングが広く用いられている。また、こうした基板保持装置としては、メンブレンを支持するキャリア(トップリング本体)を上下動させる上下動機構を備えるものが知られている。上下動機構によってトップリング本体の研磨テーブルに対する位置を調整し、その後にメンブレン内の圧力を調整することで、所望の研磨プロファイルとなるよう研磨が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-103458号公報
【特許文献2】特開2014-176950号公報
【特許文献3】特開2010-46756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体基板は、一般に、規格(たとえばSEMI規格)により寸法が定まっている。しかし、上述のCCL基板やPCB基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの基板は、寸法規格がない場合が多く、様々な寸法の基板が存在し得る。上述したような基板保持装置によって基板を保持する際には、基板の寸法が異なると基板と研磨テーブルとの位置関係が変化する。特に、基板の厚みが異なる場合には、研磨テーブルの研磨面と基板の被研磨面との位置関係が変化し、基板保持装置の制御、または、研磨プロファイルに悪影響を与える場合があった。
【0006】
以上の実情に鑑みて、本願は、様々な寸法の基板に対応して研磨を行うための基板研磨方法、プログラム、または、基板研磨装置を提案することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、を備えた研磨装置による基板研磨方法が提案され、前記トップリングは、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと当該メンブレンを保持するトップリング本体とを有し、前記圧力室に圧力流体を供
給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成され、前記基板研磨方法は、前記センサにより前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより、前記基板を研磨する研磨ステップと、を含む。
【0008】
別の一実施形態によれば、基板の処理面に研磨処理を行う制御処理を、研磨装置の処理装置に行わせるためのプログラムが提案され、前記研磨装置は、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、を備え、前記トップリングは、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと当該メンブレンを保持するトップリング本体とを有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成され、前記制御処理は、前記センサにより前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより、前記基板を研磨する研磨ステップと、を含む。
【0009】
別の一実施形態によれば、基板研磨装置が提案され、かかる基板研磨装置は、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングであって、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと、当該メンブレンを保持するトップリング本体と、を有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成されたトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、前記センサにより取得された前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整し、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより前記基板を研磨するように構成された制御装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による基板研磨装置の全体構成を示す平面図である。
図2】一実施形態によるロードユニットを模式的に示す側面図である。
図3】一実施形態によるロードユニットにおける搬送機構を示す斜視図である。
図4】一実施形態による搬送ユニットを模式的に示す側面図である。
図5】一実施形態によるプッシャを示す斜視図である。
図6図5に示されるプッシャを矢印6の方に見た部分断面図である。
図7】第1ステージおよび第2ステージが上位置にあるときを示す部分断面図である。
図8】第1ステージおよび第2ステージが上位置にあり、さらに第2ステージが、第1ステージに対して上昇した位置にあるときを示す部分断面図である。
図9】一実施形態による研磨ユニットを概略的に示す斜視図である。
図10】基板を保持して研磨テーブル上の研磨面に押圧する研磨ヘッドを構成するトップリングの一例を示す断面図である。
図11】一実施形態による基板研磨方法を示すフローチャートである。
図12】一実施形態による、基板の厚みが比較的小さい場合のトップリングと研磨パッドとを示す断面図である。
図13】一実施形態による、基板の厚みが比較的大きい場合のトップリングと研磨パッドとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面におい
て、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0012】
図1は、一実施形態による基板研磨装置1000の全体構成を示す平面図である。図1に示される基板研磨装置1000は、ロードユニット100、搬送ユニット200、研磨ユニット300、乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600を有する。図示の実施形態において、搬送ユニット200は、2つの搬送ユニット200A、200Bを有し、研磨ユニット300は、2つの研磨ユニット300A、300Bを有する。なお、搬送ユニット200および研磨ユニット300は、1つ又は3つ以上が設けられてもよい。一実施形態において、これらの各ユニットは、独立に形成することができる。これらのユニットを独立して形成することで、各ユニットの数を任意に組み合わせることで異なる構成の基板研磨装置1000を簡易に形成することができる。また、基板研磨装置1000は、制御装置900を備え、基板研磨装置1000の各構成要素は制御装置900により制御される。一実施形態において、制御装置900は、入出力装置、演算装置、記憶装置(記憶媒体)900aなどを備える一般的なコンピュータから構成することができる。制御装置900は、基板研磨装置1000を制御する動作の主体として機能する。制御装置900は、記憶装置900a等に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより各種処理を行う。プログラムは、DVD-ROM等の記録媒体に記録されたものを取得するか、またはネットワークを介して取得されてもよい。
【0013】
<ロードユニット>
ロードユニット100は、研磨および洗浄などの処理が行われる前の基板WFを基板研磨装置1000内へ導入するためのユニットである。図2は、一実施形態によるロードユニット100を模式的に示す側面図である。一実施形態において、ロードユニット100は筐体102を備える。筐体102は基板WFを受け入れる側に入口開口104を備える。図2に示される実施形態においては、右側が入口側である。ロードユニット100は、入口開口104から処理対象である基板WFを受け入れる。ロードユニット100の上流(図2では右側)には、本開示による基板研磨装置1000による基板WFの処理より前の処理工程が実施される処理装置が配置される。図2に示される実施形態において、ロードユニット100は、IDリーダー106を備える。IDリーダー106は、入口開口104から受け入れられた基板のIDを読み取る。基板研磨装置1000は、読み取ったIDに応じて、基板WFに対して各種処理を行う。一実施形態において、IDリーダー106はなくてもよい。一実施形態において、ロードユニット100は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェー規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0014】
図2に示される実施形態において、ロードユニット100は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向(図2においては左方向)に搬送することができる。図示の実施形態において、ロードユニット100の筐体102は、基板WFの出口開口108を有する。ロードユニット100は、搬送ローラ202上の所定の位置における基板WFの存在の有無を検知するためのセンサ112を有する。センサ112は任意の形式のセンサとすることができ、たとえば光学式のセンサとすることができる。図2に示される実施形態においては、センサ112は筐体102内に2つ設けられており、1つは入口開口104付近に設けられるセンサ112aであり、もう1つは出口開口108付近に設けられるセンサ112bである。一実施形態において、これらのセンサ112による基板WFの検知に応じて、ロードユニット100の動作を制御することができる。たとえば、入口開口104付近のセンサ112aが基板WFの存在を検知したら、ロードユニット100内の搬送ローラ202の回転を始動するようにしてもよいし、また、搬送ローラ202の回転速度を変更してもよい。また、出口開口108付近のセンサ112bが基板WFの存在を検知したら、後続のユニットである搬送ユニット200Aの入口シャッタ218を開くようにしてもよい。また、一実施形態において、ロードユニット100は、搬送ローラ202によって搬送される基板WFの厚みを検知するためのセンサ260を有する。センサ260は任意の形式のセンサとすることができ、たとえば光学式などの測距センサとすることができる。なお、センサ260は、ロードユニット100に設けられるものに限定されず、これに代えて、または加えて、搬送ユニット200に設けられて、搬送ユニット200の搬送ローラ202上の基板WFの厚みを検知するものとしてもよい。
【0015】
図3は、一実施形態による、ロードユニット100における搬送機構を示す斜視図である。図示の実施形態において、ロードユニット100の搬送機構は、複数の搬送ローラ202と、搬送ローラ202が取り付けられる複数のローラシャフト204とを有する。図示の実施形態においては、各ローラシャフト204には3つの搬送ローラ202が取り付けられている。基板WFは、搬送ローラ202上に配置され、搬送ローラ202が回転することで基板WFが搬送される。ローラシャフト204上の搬送ローラ202の取り付け位置は、基板WFを安定的に搬送することができる位置であれば任意とすることができる。ただし、搬送ローラ202は基板WFに接触するので、処理対象である基板WFに接触しても問題の無い領域に搬送ローラ202が接触するように配置すべきである。一実施形態において、ロードユニット100の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから構成することができる。一実施形態において、搬送ローラ202は、ローラシャフト204などを介して電気的に接地される。これは、基板WFが帯電して基板WFを損傷することを防止するためである。また、一実施形態において、ロードユニット100に、基板WFの帯電を防止するためにイオナイザー(図示せず)を設けてもよい。また、一実施形態において、基板WFの厚みを検知するためのセンサ260は、搬送ローラ202によって搬送される基板WFの中央(搬送方向に垂直な方向における中央)またはその近傍を検知するように配置される。なお、センサ260は、基板WFの中央を検知するものに限定されず、任意の場所を検知してもよい。また、センサ260は、一例として、搬送方向に垂直な方向において複数の箇所を検知するように複数のセンサが設けられてもよいし、センサを搬送方向に垂直な方向に移動させる駆動機構が設けられるものとしてもよい。
【0016】
図3に示される実施形態において、ローラシャフト204は、ギア206を介してモータ208により回転駆動される。一実施形態において、モータ208は、サーボモータとすることができる。サーボモータを使用することで、ローラシャフト204および搬送ローラ202の回転速度、つまり基板WFの搬送速度を制御することができる。また、一実施形態において、ギア206は、マグネットギアとすることができる。マグネットギアは非接触式の動力伝達機構なので、接触式のギアのように摩耗による微粒子の発生が生じず、また、給油などのメンテナンスも不要になる。
【0017】
図2図3に示されるように、ロードユニット100は、入口開口104および出口開口108の付近に、補助ローラ214が設けられている。補助ローラ214は、搬送ローラ202と同程度の高さに配置される。補助ローラ214の位置は、搬送する基板WFの寸法に応じて変更することができる。補助ローラ214は、ユニットと他のユニットとの間に搬送中の基板WFが落ちないように基板WFを支持する。補助ローラ214は、動力源に接続されておらず、自由に回転可能に構成される。
【0018】
一実施形態において、ロードユニット100は、受け入れた基板WFを反転させるための反転機(図示せず)を備えてもよい。一例として、上流の処理装置の仕様により基板WFのパターン領域が形成されている面が上面となるようにロードユニット100に搬送された場合は、反転機により基板WFを反転させて、基板WFのパターン領域が形成されている面が下面となるようにしてから、基板研磨装置1000の後続の処理を行うようにしてもよい。
【0019】
<搬送ユニット>
図4は一実施形態による、搬送ユニット200を模式的に示す側面図である。図1に示される基板研磨装置1000は、2つの搬送ユニット200A、200Bを備えている。2つの搬送ユニット200A、200Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して搬送ユニット200として説明する。搬送ユニット200は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向に搬送することができる。搬送ユニット200の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから形成されても、導電性のないポリマーから形成されてもよい。搬送ローラ202は、上述のロードユニット100の搬送機構と同様に、ローラシャフト204(図4では不図示)に取り付けられており、ギア206を介して、モータ208により駆動される。一実施形態において、モータ208はサーボモータとすることができ、ギア206は、歯車式とすることができるが、ロードユニット100と同様にマグネットギアとすることもできる。また、図示の搬送ユニット200は、ロードユニット100と同様に、搬送中の基板WFの側面を支持するガイドローラ212(図4では不図示)を備える。図示の搬送ユニット200は、搬送ローラ202上の所定の位置における基板WFの存在の有無を検知するためのセンサ216を有する。センサ216は任意の形式のセンサとすることができ、たとえば光学式のセンサとすることができる。図4に示される実施形態においては、センサ216は搬送ユニット200に7個(216a~216g)設けられている。一実施形態において、これらのセンサ216a~216gによる基板WFの検知に応じて、搬送ユニット200の動作を制御することができる。ただし、センサ216の数および配置は、図4に示される例に限定されるものではない。搬送ユニット200は、搬送ユニット200内に基板WFを受け入れるために開閉可能な入口シャッタ218を有する。なお、一実施形態において、搬送ユニット200は、ロードユニット100と同様に、基板WFが搬送方向に隣接する搬送ローラ202の間の隙間に潜り込むことを防止する支持部材(図4では不図示)と搬送される基板WFの幅方向両側に関して基板WFを支持するための複数のガイドローラ212(図4では不図示)も配置されている。
【0020】
図4に示されるように、搬送ユニット200は、ストッパ220を有する。ストッパ220は、ストッパ移動機構222に接続されており、ストッパ220は搬送ローラ202上を移動する基板WFの搬送経路内に進入可能である。ストッパ220が基板WFの搬送経路内に位置しているときは、搬送ローラ202上を移動する基板WFの側面がストッパ220に接触し、移動中の基板WFをストッパ220の位置で停止させることができる。また、ストッパ220が基板WFの搬送経路から退避した位置にあるときは、基板WFは、搬送ローラ202上を移動することができる。ストッパ220による基板WFの停止位置は、後述のプッシャ230が搬送ローラ202上の基板WFを受け取ることができる位置(基板受け渡し位置)である。
【0021】
図4中に破線で示されるように、搬送ユニット200はプッシャ230を有する。プッシャ230は、複数の搬送ローラ202の上にある基板WFを、複数の搬送ローラ202から離れるように持ち上げることができるように構成される。またプッシャ230は、保持している基板WFを搬送ユニット200の搬送ローラ202に受け渡すことができるように構成される。
【0022】
図5は、一実施形態によるプッシャ230を示す斜視図である。図6は、図5に示されるプッシャ230を矢印6の方に見た部分断面図である。図6は、プッシャ230とともに、搬送ローラ202、搬送ローラ202上の基板受け渡し位置に配置された基板WF、および基板WFを受け取るトップリング302を概略的に示している。図5、6に示される実施形態において、プッシャ230は、第1ステージ232および第2ステージ270を備える。第1ステージ232は、基板WFをプッシャ230から後述するトップリング302に受け渡す時に、トップリング302のリテーナ部材3を支持するためのステージである。第1ステージ232は、複数の支持柱234を備える。図5に示されるように、支持柱234の端部はトップリング302のリテーナ部材3を支持する平坦な支持面234a、およびトップリング302を案内するための傾斜面234bを備える。一実施形態において、複数の支持柱234のうちの4つの角部にある支持柱234が支持面234aおよび傾斜面234bを備えるようにしてもよい。4つの角部の支持柱234により形成される凹部でリテーナ部材3を位置合わせできる。4つの角部以外の支持柱234は支持面234aのみを備えていてもよい。各支持柱234の他方の端部は、共通のベース236に連結されている。また、各支持柱234は、搬送ローラ202に干渉しない位置に設けられ、図5に示される実施形態においては、各支持柱234は、搬送ローラ202の間に配置されている。第2ステージ270は、搬送ローラ202上の基板WFを受け取るように構成される。第2ステージ270は、複数の支持柱272を備える。支持柱272の端部は、基板WFを支持する平坦な支持面を備える。各支持柱272の他方の端部は共通のベース274に連結されている。また、各支持柱272は、搬送ローラ202に干渉しない位置に設けられ、図6に示される実施形態においては、各支持柱272は、搬送ローラ202の間に配置されている。第1ステージ232および第2ステージ270は、以下で詳述するように、それぞれ昇降機構に連結されており、それぞれ高さ方向(z方向)に移動可能である。
【0023】
第1ステージ232は、高さ方向(z方向)に移動可能に構成される。一実施形態において、プッシャ230は第1昇降機構231を有する。一実施形態において、図5、6に示されるように、プッシャ230の第1昇降機構231は、空圧式の昇降機構であり、シリンダ240およびピストン242を備える。ピストン242の端部は、可動台座244に連結されている。シリンダ240は、固定台座246に連結されている。固定台座246は、搬送ユニット200の全体を覆う筐体201または搬送ユニット200を設置する床面などに固定される。シリンダ240内の空気圧を調整することにより、ピストン242が移動し、可動台座244を高さ方向(z方向)に移動させることができる。可動台座244が高さ方向に移動することで、第1ステージ232および第2ステージ270が高さ方向に移動することができる。図示の実施形態において、可動台座244の上には、第1ステージ232および第2ステージ270を水平面内で移動させることが可能なXYステージ248が搭載されている。XYステージ248は、直動ガイドなどにより直交する2方向に移動可能に構成される公知のXYステージとすることができる。図示の実施形態において、XYステージ248の上には、回転ステージ250が搭載されている。回転ステージ250は、XY平面(水平面)において回転可能に構成される。換言すれば、回転ステージ250はz軸を中心に回転可能に構成される。回転ステージ250は、回転軸受などで構成される公知の回転ステージ250を採用することができる。回転ステージ250の上には、第2昇降機構233が搭載されている。第2昇降機構233は、シリンダ252およびピストン254を有する。シリンダ252は第1ステージ232のベース236が連結されている。また、シリンダ252には移動可能なピストン254が連結されており、シリンダ252内の空気圧を調整することで、ピストン254を移動することができる。ピストン254の端部には、第2ステージ270のベース274が連結されている。そのため、シリンダ252内の空気圧を調整することで、ピストン254および第2ステージ270を高さ方向(z方向)に移動させることができる。また、上述の構成によれば、第1昇降機構231は、第1ステージ232および第2ステージ270の両方を高さ方向(z方向)に移動させ、第2昇降機構233は、第2ステージ270を第1ステージ232に対して高さ方向(z方向)に移動させることができる。また、第1ステージ232および第2ステージ270は、XYステージ248により、水平面内で直交する2方向(xy方向)に移動可能である。さらに、第1ステージ232および第2ステージ270は、回転ステージ250により、水平面内(z軸を中心に)で回転可能である。そのため、プッシャ230と後述するトップリング302との間で基板WFを授受
するときに、プッシャ230とトップリング302との位置合わせを行うことができる。なお、図示の実施形態においては、第1昇降機構231および第2昇降機構233は、空圧式の昇降機構であるが、これらの昇降機構は液圧式でもよく、またモータおよびボールネジなどを使用した電動式の昇降機構としてもよい。
【0024】
第1昇降機構231により、第1ステージ232および第2ステージ270は下位置および上位置の間を移動することができる。図6は、第1ステージ232および第2ステージ270が下位置にあるときを示している。第1ステージ232および第2ステージ270が下位置にあるときは、図6に示されるように第1ステージ232の支持柱234の端部および第2ステージ270の支持柱272の端部は、搬送ローラ202の基板WFを支持する面より低い位置にある。図7は、第1ステージ232および第2ステージ270が上位置にあるときを示している。第1ステージ232および第2ステージ270が上位置にあるときは、第1ステージ232の支持柱234の端部および第2ステージ270の支持柱272の端部は、搬送ローラ202の基板を支持する面より高い位置にある。すなわち、第1ステージ232および第2ステージ270が下位置から上位置に移動するときに、搬送ローラ202上に配置された基板WFを第2ステージ270で持ち上げて受け取ることができる。図8は、第1ステージ232および第2ステージ270が上位置にあり、さらに第2ステージ270が、第1ステージ232に対して上昇した位置にあるときを示している。基板WFをプッシャ230から後述するトップリング302に受け渡すときは、図8に示されるように、基板WFを保持する第2ステージ270を第1ステージ232に対して上昇させる。
【0025】
一実施形態において、搬送ユニット200には、プッシャ230からトップリング302に受け渡される基板WFの厚みを検知するためのセンサ262を有する(図4図6図8参照)。センサ262は任意の形式のセンサとすることができ、たとえば光学式などの測距センサを採用することができる。センサ262によって取得された情報は制御装置900に送られる。図6図8に示す例では、センサ262は、筐体201に取り付けられた画像センサであり、水平方向に撮影方向が向けられている。制御装置900は、センサ262によって取得された撮像データに基づいて、基板WFがプッシャ230からトップリング302に受け渡されたときの基板WFを保持する第2ステージ270の第1ステージ232に対する移動量Dhを算出する。そして、制御装置900は、算出した移動量Dhに基づいて基板WFの厚みを検出するように構成されている。なお、センサ262は、こうした例に限定されず、第2ステージ270の第1ステージ232に対する移動量Dhを検出するためのレーザ式センサ、ポテンショメータ、過電流式センサ、加速度センサ、リニアスケール式センサなど、公知の種々のセンサを採用することができる。また、センサ262は、筐体201に取り付けられるのに代えて、または加えて、プッシャ230に搭載されてもよい。さらに、センサ262は、複数設けられてもよい。
【0026】
図4に示される搬送ユニット200は、洗浄部を有する。図4に示されるように、洗浄部は洗浄ノズル284を有する。洗浄ノズル284は、搬送ローラ202の上側に配置される上洗浄ノズル284aと、下側に配置される下洗浄ノズル284bとを有する。上洗浄ノズル284aおよび下洗浄ノズル284bは、図示しない洗浄液の供給源に接続される。上洗浄ノズル284aは、搬送ローラ202上を搬送される基板WFの上面に洗浄液を供給するように構成される。下洗浄ノズル284bは、搬送ローラ202上を搬送される基板WFの下面に洗浄液を供給するように構成される。上洗浄ノズル284aおよび下洗浄ノズル284bは、搬送ローラ202上を搬送される基板WFの幅と同程度、またはそれ以上の幅を備え、基板WFが搬送ローラ202上を搬送されることで、基板WFの全面が洗浄されるように構成される。図4に示されるように、洗浄部は、搬送ユニット200のプッシャ230の基板受け渡し場所よりも下流側に位置している。
【0027】
図4に示されるように、洗浄部において、搬送ローラ202の上には押さえローラ290が配置されている。また、センサ216dは、洗浄部の入口付近に配置されている。一実施形態において、センサ216dにより基板WFを検知したら、洗浄ノズル284から洗浄液を噴射して基板WFの洗浄を開始することができる。また、基板WFの洗浄中は、搬送ローラ202の回転数を洗浄用の速度にしてもよい。図4の実施形態において、センサ216fは洗浄部出口点付近に配置される。一実施形態において、センサ216fにより基板WFを検知したら、洗浄ノズル284からの洗浄液の噴射を終了することができる。基板WFの洗浄中は、搬送ローラ202および押さえローラ290により基板WFが挟まれて搬送されるので、洗浄液の噴射中であっても基板WFを安定的に搬送することができる。
【0028】
図4に示されるように、搬送ユニット200は、開閉可能な出口シャッタ286を有する。また、搬送ユニット200は、出口付近にセンサ216gを備える。一実施形態において、センサ216gにより基板WFを検知したら、出口シャッタ286を開き、次のユニットに基板WFを搬送するようにしてもよい。一実施形態において、センサ216gにより基板WFを検知したら、出口シャッタ286を開かずに、搬送ローラ202での基板WFの搬送を停止し、次のユニットの処理を待ち、次のユニットの基板受け入れ準備が整った後に、出口シャッタ286を開き、基板WFを次のユニットへ搬送するようにしてもよい。
【0029】
<研磨ユニット>
図9は一実施形態による、研磨ユニット300を概略的に示す斜視図である。図1に示される基板研磨装置1000は、2つの研磨ユニット300A、300Bを備えている。2つの研磨ユニット300A、300Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して研磨ユニット300として説明する。
【0030】
図9に示すように、研磨ユニット300は、研磨テーブル350と、研磨対象物である基板を保持して研磨テーブル350上の研磨面に押圧する研磨ヘッドを構成するトップリング302とを備えている。研磨テーブル350は、テーブル軸351を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸351周りに回転可能になっている。研磨テーブル350の上面には研磨パッド352が貼付されており、研磨パッド352の表面352aが基板を研磨する研磨面を構成している。
【0031】
研磨テーブル350の上方には研磨液供給ノズル354が設置されており、この研磨液供給ノズル354によって研磨テーブル350上の研磨パッド352上に研磨液が供給されるようになっている。また、図9に示されるように、研磨テーブル350およびテーブル軸351には、研磨液を供給するための通路353が設けられている。通路353は、研磨テーブル350の表面の開口部355に連通している。研磨テーブル350の開口部355に対応する位置において研磨パッド352は貫通孔357が形成されており、通路353を通る研磨液は、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の表面に供給される。なお、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357は、1つまたは複数でもよいし、設けられなくてもよい。
【0032】
トップリング302は、トップリングシャフト18に接続されており、このトップリングシャフト18は、上下動機構319により揺動アーム360に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト18の上下動により、揺動アーム360に対してトップリング302の全体を上下動させ位置決めするようになっている。トップリングシャフト18は、図示しないトップリング回転モータの駆動により回転する
ようになっている。トップリングシャフト18の回転により、トップリング302がトップリングシャフト18を中心にして回転するようになっている。なお、トップリングシャフト18の上端にはロータリージョイント323が取り付けられている。
【0033】
トップリング302は、その下面に基板を保持できるようになっている。揺動アーム360は支軸362を中心として旋回可能に構成されている。トップリング302は、揺動アーム360の旋回により、上述の搬送ユニット200の基板受け渡し位置と研磨テーブル350の上方との間で移動可能である。トップリングシャフト18を下降させることで、トップリング302を下降させて基板を研磨パッド352の表面(研磨面)352aに押圧することができる。このとき、トップリング302および研磨テーブル350をそれぞれ回転させ、研磨テーブル350の上方に設けられた研磨液供給ノズル354から、および/または、研磨テーブル350に設けられた開口部355から研磨パッド352上に研磨液を供給する。このように、基板を研磨パッド352の研磨面352aに押圧して基板の表面を研磨することができる。
【0034】
トップリングシャフト18およびトップリング302を上下動させる上下動機構319
は、軸受321を介してトップリングシャフト18を回転可能に支持するブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ32と、支柱130により支持された支持台29と、支持台29上に設けられたACサーボモータ38とを備えている。サーボモータ38を支持する支持台29は、支柱130を介して揺動アーム360に固定されている。
【0035】
ボールねじ32は、サーボモータ38に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32aが螺合するナット32bとを備えている。トップリングシャフト18は、ブリッジ28と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ38を駆動すると、ボールねじ32を介してブリッジ28が上下動し、これによりトップリングシャフト18およびトップリング302が上下動する。研磨ユニット300は、ブリッジ28の下面までの距離、すなわちブリッジ28の位置を検出する位置検出部としての測距センサ70を備えている。この測距センサ70によりブリッジ28の位置を検出することで、トップリング302の位置を検出することができるようになっている。測距センサ70は、ボールねじ32,サーボモータ38とともに上下動機構319を構成している。なお、測距センサ70は、レーザ式センサ、超音波センサ、過電流式センサ、またはリニアスケール式センサであってもよい。また、測距センサ70、サーボモータ38をはじめとする研磨ユニット内の各機器は、制御装置900により制御されるように構成される。
【0036】
一実施形態による研磨ユニット300は、研磨パッド352の研磨面352aをドレッ
シングするドレッシングユニット356を備えている。このドレッシングユニット356は、研磨面352aに摺接されるドレッサ50と、ドレッサ50が連結されるドレッサシャフト51と、ドレッサシャフト51の上端に設けられたエアシリンダ53と、ドレッサシャフト51を回転自在に支持する揺動アーム55とを備えている。ドレッサ50の下部はドレッシング部材50aにより構成され、このドレッシング部材50aの下面には針状のダイヤモンド粒子が付着している。エアシリンダ53は、支柱56により支持された支持台57上に配置されており、これらの支柱56は揺動アーム55に固定されている。
【0037】
揺動アーム55は図示しないモータに駆動されて、支軸58を中心として旋回するように構成されている。ドレッサシャフト51は、図示しないモータの駆動により回転し、このドレッサシャフト51の回転により、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転するようになっている。エアシリンダ53は、ドレッサシャフト51を介してドレッサ50を上下動させ、ドレッサ50を所定の押圧力で研磨パッド352の研磨
面352aに押圧する。
【0038】
研磨パッド352の研磨面352aのドレッシングは次のようにして行われる。ドレッサ50はエアシリンダ53により研磨面352aに押圧され、これと同時に図示しない純水供給ノズルから純水が研磨面352aに供給される。この状態で、ドレッサ50をドレッサシャフト51周りに回転させるとともに揺動アーム55を研磨面352a上で揺動させ、ドレッシング部材50aの下面(ダイヤモンド粒子)を回転する研磨面352aに摺接させる。このようにして、ドレッサ50により研磨パッド352が削り取られ、研磨面352aがドレッシングされる。
【0039】
本実施形態の研磨装置では、このドレッサ50を利用して研磨パッド352の摩耗量を測定する。すなわち、ドレッシングユニット356はドレッサ50の変位を測定する変位センサ60を備えている。この変位センサ60は、研磨パッド352の摩耗量を検知する摩耗量検知手段を構成し、揺動アーム55の上面に設けられている。ドレッサシャフト51にはターゲットプレート61が固定されており、ドレッサ50の上下動にともなって、ターゲットプレート61が上下動するようになっている。変位センサ60はこのターゲットプレート61を挿通するように配置されており、ターゲットプレート61の変位を測定することによりドレッサ50の変位を測定する。なお、変位センサ60としては、リニアスケール、レーザ式センサ、超音波センサ、もしくは渦電流式センサなどのあらゆるタイプのセンサが用いられる。
【0040】
本実施形態では、次のようにして研磨パッド352の摩耗量が測定される。まず、エアシリンダ53を駆動させてドレッサ50を、初期目立て済の研磨パッド352の研磨面352aに当接させる。この状態で、変位センサ60はドレッサ50の初期位置(高さ初期値)を検知し、その初期位置(高さ初期値)を制御装置900に記憶する。そして、1つの、または複数の基板の研磨処理が終了した後、再びドレッサ50を研磨面352aに当接させ、この状態でドレッサ50の位置を測定する。ドレッサ50の位置は研磨パッド352の摩耗量に応じて下方に変位するため、制御装置900は、上記初期位置と研磨後のドレッサ50の位置との差を求めることで、研磨パッド352の摩耗量を求めることができる。このようにして、ドレッサ50の位置に基づいて研磨パッド352の摩耗量が求められる。
【0041】
次に、一実施形態による研磨ユニット300におけるトップリング302について説明する。図10は、一実施形態による、研磨対象物である基板を保持して研磨パッド上の研磨面に基板を押圧するトップリング302の模式的な断面図である。図10おいては、トップリング302を構成する主要構成要素だけを模式的に図示している。
【0042】
図10に示されるように、トップリング302は、基板WFを研磨面352aに対して押圧するトップリング本体2と、研磨面352aを直接押圧するリテーナ部材3とを有する。トップリング本体2は概略四角形の平板状の部材からなり、リテーナ部材3はトップリング本体2の外周部に取り付けられている。トップリング本体2は、エンジニアリングプラスティック(例えば、PEEK)などの樹脂により形成されている。トップリング本体2の下面には、基板の裏面に接触する弾性膜(メンブレン)4が取り付けられている。一実施形態において、弾性膜(メンブレン)4は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成される。一実施形態において、弾性膜(メンブレン)4は、金型を使用してゴム材から形成することができる。
【0043】
弾性膜(メンブレン)4は同心状の複数の隔壁4aを有し、これら隔壁4aによって、弾性膜4の上面とトップリング本体2の下面との間に円形状のセンター室5、センター室5を囲う四角の環状のリプル室6、リプル室6を囲う四角の環状の中間室
7、中間室7を囲う四角の環状のアウター室8、アウター室8を囲う四角の環状のエッジ室9が形成されている。すなわち、トップリング本体2の中心部にセンター室5が形成され、中心から外周方向に向かって、順次、同心状に、リプル室6、中間室7、アウター室8、エッジ室9が形成されている。弾性膜4には、リプル室6に連通し基板WFをトップリング302に真空吸着させるための複数の真空吸着孔(図示せず)が形成されている。真空吸着孔は図示しない真空源に連結され、真空吸着孔を介して基板WFをトップリング302の弾性膜4に対して真空吸着させることができる。
【0044】
また、リテーナ部材3の上にも弾性膜からなるリテーナ部材加圧室10が形成されている。センター室5、リプル室6、中間室7、アウター室8、エッジ室9およびリテーナ部材加圧室10は、流路11~16を介して図示しない圧力調整部に接続されている。このような構造により、基板WFを研磨パッド352に押圧する押圧力を基板WFの領域毎に調整でき、かつリテーナ部材3が研磨パッド352を押圧する押圧力を調整できる。
【0045】
<乾燥ユニット>
乾燥ユニットは、基板WFを乾燥させるための装置である。図1に示される基板研磨装置1000においては、乾燥ユニット500は、研磨ユニット300で研磨された後に、搬送ユニット200の洗浄部で洗浄された基板WFを乾燥させる。図1に示されるように、乾燥ユニット500は、搬送ユニット200の下流に配置される。
【0046】
乾燥ユニット500は、搬送ローラ202上を搬送される基板WFに向けて気体を噴射するためのノズル530を有する。気体は、たとえば圧縮された空気または窒素とすることができる。図示の実施形態において、ノズル530は、搬送ローラ202の下側から基板WFの下面に気体を噴出するように構成された下ノズルと、搬送ローラ202の上側から基板WFの上面に気体を噴出するように構成されたと、を有してもよい。なお、下ノズルおよび上ノズルは、それぞれ1つ設けてもよいし、基板WFの搬送方向に複数設けてもよい。また、各ノズル530の形式としては気体供給口が基板WFの幅程度に伸びるスリット状とすることができる。
【0047】
<アンロードユニット>
アンロードユニット600は、研磨および洗浄などの処理が行われた後の基板WFを基板研磨装置1000の外へ搬出するためのユニットである。図1に示される基板研磨装置1000においては、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500で乾燥された後の基板を受け入れる。図1に示されるように、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500の下流に配置される。
【0048】
<基板研磨方法>
次に本実施形態における基板研磨装置1000による基板研磨方法について説明する。図11は、一実施形態による基板研磨方法を示すフローチャートである。この基板研磨方法は、記憶装置900a等に記憶されたプログラムを読み込んで制御装置900を主体として実行される。この基板研磨方法は、一例として、ロードユニット100に基板WFが投入されたときに実行される。
【0049】
<取得ステップ>
基板研磨方法において、制御装置900は、まず研磨対象である基板WFの厚みに関する情報を取得する(ステップS12)。ここで、基板WFの厚みに関する情報は、一例として、基板WFの厚み自体であってもよいし、基板WFの厚みを示す情報であってもよい。以下、基板WFの厚みに関する情報を「厚み情報」と呼称する場合がある。基板WFの厚み情報については、一例として、以下に説明する取得ステップの少なくとも1つを使用して取得することができる。
【0050】
<取得ステップ1>
制御装置900は、ロードユニット100(または搬送ユニット200)に設けられたセンサ260から入力される検出信号に基づいて、基板WFの厚み情報を取得することができる(図2図3参照)。この取得ステップでは、搬送ローラ202上の基板WFの厚みが取得される。センサ260による基板WFの厚み情報の取得は、搬送ローラ202によって基板WFを移動させながら行われてもよい。または、搬送ローラ202による搬送を停止させた状態で、センサ260による基板WFの厚み情報が取得されるものとしてもよい。センサ260は、搬送ローラ202による搬送方向において、基板WFの複数の箇所を検出してもよい。こうした場合には、制御装置900は、基板WFの複数の箇所の平均値を厚み情報として取得してもよい。
【0051】
<取得ステップ2>
制御装置900は、プッシャ230からトップリング302に基板WFが受け渡されるときに基板WFの厚み情報を取得してもよい。制御装置900は、プッシャ230が基板WFをトップリング302に受け渡すために移動させた距離、具体的な一例としては、第2ステージ270の第1ステージ232に対する移動量Dh(図8参照)に基づいて、基板WFの厚み情報を取得することができる。具体的な一例として、制御装置900は、搬送ユニット200に設けられたセンサ262から入力される検出信号に基づいて、基板WFの厚み情報を取得することができる(図4図8参照)。
【0052】
<取得ステップ3>
制御装置900は、研磨対象である基板WFを保持したトップリング302と研磨テーブル350とを接触させることにより、基板WFの厚み情報を取得してもよい。この取得ステップは、一例として、トップリング302によるパッドサーチと共に行われるものとしてもよい。ここで、パッドサーチは、研磨パッド352の表面の高さ(位置)を検知する工程である。トップリングによるパッドサーチは、トップリング302の下面を研磨パッド352の表面(研磨面)に接触させたときのトップリング302の高さ位置を検知することにより行われるパッドサーチ時には、サーボモータ38を駆動して、エンコーダにより回転数を積算しながらトップリング302を下降させる。トップリング302の下面が研磨パッド352の表面に接触すると、サーボモータ38に対する負荷が増し、サーボモータ38に流れる電流が大きくなる。したがって、制御装置900の電流検出器によりサーボモータ38に流れる電流を検出し、電流が大きくなったときに、トップリング302の下面が研磨パッド352の表面に接触したと判断する。トップリング302の下面が研磨パッド352の表面に接触したと判断されると、制御装置900は、サーボモータ38のエンコーダの積算値から研磨パッド352の表面の高さを得る。こうしたパッドサーチにおいて、制御装置900は、研磨パッド352の表面の高さと共に、基板WFの厚み情報を取得してもよい。一例として、基板WFの厚み情報は、トップリング302の下面が研磨パッド352の表面に接触したときの基板WFと研磨パッド352との距離を検出することにより取得されてもよい。また、別の一例として、基板WF表面と研磨パッド352とを接触させることにより、基板WFの厚み情報が取得されてもよい。このときには、弾性膜(メンブレン)4の隔壁4aの膨らみ量(供給流体量)が考慮されてもよい。さらに、制御装置900は、基板WFを保持していない状態の参照(基準)高さと、基板WFを保持した状態の検知高さとの差に基づいて、基板WFの厚み情報を取得してもよい。つまり一例として、制御装置900は、基板WFを保持していない状態でトップリング302と研磨テーブル350とを接触させ、そのときのトップリング302の高さ位置を参照高さとして取得する。次に、制御装置900は、基板WFを保持した状態でトップリング302と研磨テーブル350とを接触させ、そのときのトップリング302の高さ位置を検知高さとして取得する。そして、制御装置900は、取得した参照高さと検知高さの差を基板WFの厚み情報として取得することができる。また、取得ステップ3における基板WFの厚み情報の取得は、トップリング302に設けられたセンサによる検知に基づいて行われてもよい。一例として、トップリング302は、基板WFと研磨パッド352との距離を検出するためのセンサ、または、基板WFと研磨パッド352とが接触したときの弾性膜4の膨らみ量を検出するためのセンサとして、リテーナ部材3に設けられたセンサ264を備えてもよい(図10参照)。センサ264は、任意の形式のセンサとすることができ、たとえば光学式などの測距センサとすることができる。また、センサ264は、研磨テーブル350に設けられてもよい。一例として、センサ264は研磨テーブル350下部に設けられ、研磨テーブル350と研磨パッド352とには、センサ264のセンシング光が通過可能な開口が形成されてもよい。この場合には、研磨テーブル350と研磨パッド352との開口に、センシング光が通過可能な窓部材が配置されてもよい。窓部材は、光透過性を有する素材、具体的には透明な素材(例えば透明プラスチックや透明ガラス等)からなる光透過部材によって構成されて得る。窓部材を配置することにより、センサ264に純水または研磨液などがかかることを防止できる。なお、基板WFの厚み情報を取得するために、トップリング302または基板WFと研磨パッド352とを接触させるときには、トップリング302と研磨パッド352とが回転していない状態でトップリング302と研磨パッド352とが接触されることが好ましい。
【0053】
<取得ステップ4>
ユーザーが基板WFの厚み情報を予め認識しているような場合には、外部入力によって制御装置900の記憶装置900aに厚み情報が格納されてもよい。こうした場合には、制御装置900は、記憶装置900aに格納された基板WFの厚み情報を読み取ることにより、基板WFの厚み情報を取得することができる。また、一例として、複数の同様の基板WFが続けて基板研磨装置1000に投入されるような場合には、1枚または数枚の基板WFの厚み情報が取得され、その後の基板WFについては、先に取得された厚み情報が利用されてもよい。
【0054】
<位置調整ステップ>
制御装置900は、基板WFの厚み情報を取得すると、取得した厚み情報に基づいて研磨テーブル350に対するトップリング302の高さ位置を算出する(S14)。具体的な一例として、制御装置900は、研磨パッド352の表面の高さから研磨前のトップリング302の最適な位置を算出するとよい。トップリング302の最適な位置は、基板WFの厚み情報に基づいて、トップリング本体2と弾性膜(メンブレン)4との間の隙間として定義されるメンブレンハイトが、予め定められた所望の範囲内となるように定められるとよい。基板WFの厚みを考慮することなく、トップリング302の研磨パッド352に対する位置を調整した場合、基板WFの厚みが大きいときには基板WFと研磨パッド352との距離(メンブレンハイトMH)が小さくなり、基板WFの厚みが小さいときには基板WFと研磨パッド352との距離が大きくなる。このため、本実施形態では、制御装置900は、基板WFの厚み情報に基づいてトップリング302の高さ位置を算出する。具体的には、基板WFの厚みが大きいほどトップリング本体2と研磨パッド352との距離が大きく、基板WFの厚みが小さいほどトップリング本体2と研磨パッド352との距離が小さくなるように、トップリング302の高さ位置を算出するものとするとよい。図12は、一実施形態による、基板の厚みが比較的小さい場合のトップリングと研磨パッドとを示す断面図であり、図13は、一実施形態による、基板の厚みが比較的大きい場合のトップリングと研磨パッドとを示す断面図である。図12および図13に示すように、制御装置900は、基板WFの厚み情報を考慮して、メンブレンハイトMHが略一定の範囲に収まるように、トップリング302の高さ位置を算出するとよい。
【0055】
再び図11を参照し、続いて、制御装置900は、算出したトップリングの高さ位置となるように、研磨テーブル350に対するトップリング302の高さ位置
を調整する(ステップS16)。そして、制御装置900は、トップリング302と研磨テーブル350との回転を伴って、研磨テーブル350およびトップリング302を回転させながら、基板WFを研磨パッド352に押し当てて基板WFを研磨する(ステップS18)。
【0056】
なお、制御装置900は、基板WFを研磨ユニット300A,300Bの一方のみで研磨するものとしてもよいし、同一の基板WFを研磨ユニット300Aと研磨ユニット300Bとで2段研磨してもよい。基板WFを2段研磨する場合には、研磨ユニット300Bでの基板WFの研磨処理において、研磨ユニット300Aでの基板WFの研磨前に取得された基板WFの厚み情報と、研磨ユニット300Aでの基板WFの研磨量とに基づいて、あるいは研磨ユニット300Bでの基板WFの研磨前に搬送ユニット200B内で取得された基板WFの厚み情報に基づいて、研磨ユニット300Bの研磨テーブル350に対するトップリング302の高さ位置が調整されるものとしてもよい。こうすれば、2段階目の研磨である研磨ユニット300Bでの研磨においても、トップリング302の位置を適切な位置に調整して処理を行うことができる。なお、研磨ユニット300Aでの研磨量は、一例として、シミュレーションなどによって予め定められた数値を用いてもよいし、研磨ユニット300Aでの研磨に要した時間、弾性膜4への圧力流体の量などに基づいて算出されるものとしてもよい。
【0057】
研磨ユニット300での基板WFの研磨が終了すると、アーム360を揺動させて、基板WFを保持するトップリング302を搬送ユニット200の基板受け渡し位置まで移動させる。その後、トップリング302の真空吸着を開放し、基板WFを第2ステージ270の支持柱272に支持させる。その後、プッシャ230を下降させて、基板WFを搬送ローラ202上に受け渡す(図6参照)。
【0058】
なお、研磨ユニット300で基板WFの研磨が終了すると、研磨ユニット300では、ドレッシングユニット356およびアトマイザ358などを用いて研磨パッド352のドレッシング、洗浄などが行われる。このときには、上記したようにドレッサ50を利用して研磨パッド352の摩耗量が測定されるとよい。また、制御装置900は、連続する新たな基板研磨処理について、トップリング302の高さ位置を調整する際には(図11:S14,S16)、研磨パッド352の摩耗量分を補正するようにしてもよい。一例として、制御装置900は、連続する新たな基板WFの研磨処理について、トップリング302の高さ位置を、前に測定された研磨パッド352の摩耗量に相当する距離だけ低くなるように算出するものとしてもよい。なお、研磨ユニット300では、1枚の基板WFの研磨処理が行われる毎に研磨パッド352のドレッシング、洗浄が行われるものとしてもよいし、複数枚の基板WFの研磨処理が行われる毎に研磨パッド352のドレッシング、洗浄が行われるものとしてもよい。また、制御装置900は、ドレッサ50を利用して測定される研磨パッド352の摩耗量に基づいて、または研磨レシピによって予め定められた研磨パッド352の摩耗量に基づいて、1枚の基板WFを研磨処理したときの研磨パッド352の摩耗量を推定してもよいし、現在の研磨パッド352の摩耗量を推定してもよい。また、制御装置900は、一例として、過去のデータを蓄積して平均化することで、1枚の基板WFを研磨処理したときの研磨パッド352の摩耗量を推定してもよい。そして、制御装置900は、トップリング302の高さ位置を調整する際には(図11:S14,S16)、推定された研磨パッド352の摩耗量に基づいて高さ位置を補正するものとしてもよい。
【0059】
研磨ユニット300から搬送ユニット200に基板WFが受け渡されると、搬送ローラ202を再び始動して基板WFを搬送する。基板WFの洗浄をするときは、搬送ローラ202の回転速度を洗浄用の速度に変更してもよい。搬送ローラ202で基板WFを搬送しながら、上洗浄ノズル284aおよび下洗浄ノズル284bから洗浄液を基板WFに向けて噴射して基板WFを洗浄する。
【0060】
そして、基板WFは、搬送ユニット200から乾燥ユニット500に搬送されて乾燥され、その後、アンロードユニット600に搬送する。アンロードユニット600に搬送された基板WFは、搬送ローラ202により出口まで搬送され、基板研磨装置1000の外へ搬送される。
【0061】
以上説明した基板処理方法においては、基板WFの厚み情報が取得され、取得した基板WFの厚み情報に基づいて研磨テーブル350に対するトップリング302の位置が調整されて、基板WFの研磨が行われる。これにより、様々な寸法の基板WFに対応して適切な研磨処理を行うことができる。
【0062】
上記した基板処理方法は、基板WFがアンロードユニット600から排出されることなく、つまり搬送ユニット200を含む処理ラインから排出されることなく、行われることが好ましい。こうすれば、基板研磨処理に要する時間の短縮を図ることができる。
【0063】
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、を備えた研磨装置による基板研磨方法が提案される。前記トップリングは、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと当該メンブレンを保持するトップリング本体とを有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成される。前記基板研磨方法は、前記センサにより前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより、前記基板を研磨する研磨ステップと、を含む。
形態1によれば、基板の厚みに基づいて研磨テーブルに対するトップリングの高さ位置調整することにより、様々な寸法の基板に対応して研磨を行うことができる。
【0064】
[形態2]形態2によれば、形態1において、前記取得ステップは、前記基板を保持した前記トップリングと前記研磨テーブルとを接触させることによって行われる。
【0065】
[形態3]形態3によれば、形態2において、前記研磨装置は、前記研磨テーブルを回転させるための研磨テーブル回転機構を備え、前記取得ステップは、前記研磨テーブルが回転していない状態で行われる。
【0066】
[形態4]形態4によれば、形態1において、前記研磨装置は、前記基板を前記トップリングとの間で受け渡しするプッシャを備え、前記取得ステップは、前記プッシャから前記トップリングに前記基板が受け渡されるときに行われる。
【0067】
[形態5]形態5によれば、形態4において、前記取得ステップは、前記プッシャが前記基板を前記トップリングに受け渡すために移動させた距離に基づいて前記基板の厚みに関する情報を取得する。
【0068】
[形態6]形態6によれば、形態1において、前記研磨装置は、前記基板を搬送するための搬送ユニットを備え、前記取得ステップは、前記搬送ユニットに設けられたセンサによって前記基板の厚みに関する情報を取得する。
【0069】
[形態7]形態7によれば、形態1から6において、前記研磨装置は、前記基板を搬送するための搬送ユニットを有する処理ラインを備え、前記取得ステップ、前記位置調整ステップ、および前記研磨ステップは、前記処理ラインから前記基板を搬出することなく行われる。
【0070】
[形態8]形態8によれば、形態1において、前記取得ステップは、前記研磨装置への外部入力により行われる。
【0071】
[形態9]形態9によれば、形態1から6において、前記研磨ステップの後に、前記取得ステップで取得した前記基板の厚みに関する情報と前記研磨ステップによる前記基板の研磨量とに基づいて、第2の研磨テーブルに対する第2のトップリングの高さ位置を調整する第2の位置調整ステップと、前記基板を前記第2の研磨テーブルの研磨面に押圧することにより前記基板を研磨する第2の研磨ステップと、を含む。
【0072】
[形態10]形態10によれば、基板の処理面に研磨処理を行う制御処理を、研磨装置の処理装置に行わせるためのプログラムが提案される。前記研磨装置は、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、を備え、前記トップリングは、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと当該メンブレンを保持するトップリング本体とを有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成される。そして、前記制御処理は、前記センサにより前記基板の厚みに関する情報を取得する取得ステップと、取得した前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整する位置調整ステップと、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより、前記基板を研磨する研磨ステップと、を含む。
形態10によれば、基板の厚みに基づいて研磨テーブルに対するトップリングの高さ位置調整することにより、様々な寸法の基板に対応して研磨を行うことができる。
【0073】
[形態11]形態11によれば、基板研磨装置が提案され、かかる基板研磨装置は、研磨面を有した研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するためのトップリングであって、圧力流体が供給される圧力室を形成する弾性膜であるメンブレンと、当該メンブレンを保持するトップリング本体と、を有し、前記圧力室に圧力流体を供給することで前記基板を前記研磨面に押圧するように構成されたトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、基板の厚みに関する情報を取得するためのセンサと、前記センサにより取得された前記基板の厚みに関する情報に基づいて前記研磨テーブルに対する前記トップリングの高さ位置を調整し、前記圧力室に圧力流体を供給して前記基板を前記研磨面に押圧することにより前記基板を研磨するように構成された制御装置と、を備える。
形態11によれば、基板の厚みに基づいて研磨テーブルに対するトップリングの高さ位置調整することにより、様々な寸法の基板に対応して研磨を行うことができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0075】
3…リテーナ部材
100…ロードユニット
200…搬送ユニット
230…プッシャ
231…第1昇降機構
232…第1ステージ
233…第2昇降機構
260…センサ
262…センサ
264…センサ
270…第2ステージ
272…支持柱
300…研磨ユニット
302…トップリング
350…研磨テーブル
352…研磨パッド
500…乾燥ユニット
600…アンロードユニット
900…制御装置
900a…記憶装置
1000…基板研磨装置
WF…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13