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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170396
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】クーリングプレート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231124BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20231124BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231124BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231124BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/324 W
H01L21/324 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082118
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽一
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB28
5F004BC05
5F004BC06
5F004BD04
5F004BD07
5F004DA23
5F004DA25
5F045AA08
5F045AC15
5F045AC16
5F045BB02
5F045DQ17
5F045EB08
5F045EB09
5F045EE14
5F045EE20
5F045EF01
5F045EJ02
5F045EJ10
5F045EM02
5F045EN04
5F131AA02
5F131BA12
5F131BA14
5F131CA03
5F131CA06
5F131EA06
5F131EB42
5F131EB55
(57)【要約】
【課題】より速く基板を均一に冷却できるクーリングプレートを提供する。
【解決手段】クーリングプレートは、基板を支持するリフトピンと、基板を載置可能な載置面と、載置面内に配置され、リフトピンで載置面から持ち上げられた状態の基板に対して、不活性ガスを直進流と旋回流とを組み合わせて吹き付けるノズルとを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するリフトピンと、
前記基板を載置可能な載置面と、
前記載置面内に配置され、前記リフトピンで前記載置面から持ち上げられた状態の前記基板に対して、不活性ガスを直進流と旋回流とを組み合わせて吹き付けるノズルと、
を有するクーリングプレート。
【請求項2】
前記ノズルは、前記直進流の噴出口と、前記旋回流の噴出口とを1つのノズル内に設けた、
請求項1に記載のクーリングプレート。
【請求項3】
前記旋回流の噴出口は、出口部分に固定された羽根を備える、
請求項2に記載のクーリングプレート。
【請求項4】
前記旋回流の噴出口は、出口近傍の内部に固定されたスパイラル形状部を備える、
請求項2に記載のクーリングプレート。
【請求項5】
前記ノズルは、前記載置面内に複数配置される、
請求項1に記載のクーリングプレート。
【請求項6】
前記載置面は、円形であり、中心部と、外周部とを備え、
前記ノズルは、前記中心部と前記外周部とで異なる配置である、
請求項5に記載のクーリングプレート。
【請求項7】
前記ノズルは、前記中心部に配置される数が、前記外周部に配置される数よりも多い、
請求項6に記載のクーリングプレート。
【請求項8】
前記ノズルは、前記中心部に配置される前記ノズルの密度が、前記外周部に配置される前記ノズルの密度よりも高い、
請求項6に記載のクーリングプレート。
【請求項9】
前記外周部に配置される前記ノズルは、同一円周上に均等に配置される、
請求項6に記載のクーリングプレート。
【請求項10】
前記ノズルは、前記中心部に配置される前記ノズルの直径と、前記外周部に配置される前記ノズルの直径とが異なる、
請求項6に記載のクーリングプレート。
【請求項11】
前記ノズルは、前記中心部に配置される前記ノズルの直径が、前記外周部に配置される前記ノズルの直径よりも大きい、
請求項10に記載のクーリングプレート。
【請求項12】
前記不活性ガスは、窒素ガスである、
請求項1に記載のクーリングプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クーリングプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの製造工程において、シリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの基板(以下、ウェハともいう。)を回転させつつ、回転する基板の中心部に処理液を供給することにより、回転に伴う遠心力によって処理液を基板上に広げて基板を処理する基板処理が行われている。この様な場合、基板の中心部と外周部とで処理液の温度差が生じ、面内均一性が低下することがある。これに対し、基板の下面から気体を供給することで、基板処理の面内均一性を向上させることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-63093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より速く基板を均一に冷却できるクーリングプレートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるクーリングプレートは、基板を支持するリフトピンと、基板を載置可能な載置面と、載置面内に配置され、リフトピンで載置面から持ち上げられた状態の基板に対して、不活性ガスを直進流と旋回流とを組み合わせて吹き付けるノズルとを有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、より速く基板を均一に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態における基板処理システムの一例を示す横断平面図である。
図2図2は、本実施形態におけるクーリングプレートの表面の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態におけるクーリングプレートの断面の一例を示す図である。
図4図4は、直進流と旋回流の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態におけるノズルの一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における噴流による基板の冷却の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態におけるノズル近傍の噴流領域の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態における冷却処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示するクーリングプレートの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
基板の冷却としては、上述の処理液を用いる場合だけでなく、様々な処理においても行われる。処理室内で基板が高温となる処理、例えば、プラズマ処理やアニール処理等が行われた基板は、処理室から搬出された状態においても高温であるので、その後の搬送や他の処理までに冷却されることが求められる。基板を冷却するためには、例えば、上述のように基板の下面から気体を供給することが行われる。しかしながら、気体を供給するノズルの位置により、基板を速く冷却するほど基板内の温度にムラが生じる。このため、基板に反りや割れが発生する場合がある。そこで、より速く基板を均一に冷却することが期待されている。
【0010】
[基板処理システム1の構成]
図1は、本開示の一実施形態における基板処理システムの一例を示す横断平面図である。図1に示す基板処理システム1は、枚葉でウェハ(例えば、半導体ウェハ。)にプラズマ処理等の各種処理を施すことが可能な基板処理システムである。
【0011】
図1に示すように、基板処理システム1は、トランスファモジュール10と、6つのプロセスモジュール20と、ローダモジュール30と、2つのロードロックモジュール40と、を備える。
【0012】
トランスファモジュール10は、平面視において略五角形状を有する。トランスファモジュール10は、真空室を有し、内部に搬送機構11が配置されている。搬送機構11は、ガイドレール(図示せず)と、2つのアーム12と、各アーム12の先端に配置されてウェハを支持するフォーク13とを有する。各アーム12は、スカラアームタイプであり、旋回、伸縮自在に構成されている。搬送機構11は、ガイドレールに沿って移動し、プロセスモジュール20やロードロックモジュール40の間でウェハを搬送する。なお、搬送機構11は、プロセスモジュール20やロードロックモジュール40の間でウェハを搬送することが可能であればよく、図1に示される構成に限定されるものではない。例えば、搬送機構11の各アーム12は、旋回、伸縮自在に構成されると共に、昇降自在に構成されていてもよい。
【0013】
プロセスモジュール20は、トランスファモジュール10の周りに放射状に配置されてトランスファモジュール10に接続されている。プロセスモジュール20は、処理室を有し、内部に配置された円柱状のステージ21(載置台)を有する。ステージ21は、上面から突出自在な複数の細棒状の3つのリフトピン22を有する。各リフトピン22は平面視において同一円周上に配置され、ステージ21の上面から突出することによってステージ21に載置されたウェハを支持して持ち上げると共に、ステージ21内へ退出することによって支持するウェハをステージ21へ載置させる。プロセスモジュール20は、ステージ21にウェハが載置された後、内部を減圧して処理ガスを導入し、さらに内部に高周波電力を印加してプラズマを生成し、プラズマによってウェハにプラズマ処理を施す。トランスファモジュール10とプロセスモジュール20とは、開閉自在なゲートバルブ23で仕切られている。
【0014】
ローダモジュール30は、トランスファモジュール10に対向して配置されている。ローダモジュール30は、直方体状であり、大気圧雰囲気に保持された大気搬送室である。ローダモジュール30の長手方向に沿った一の側面には、2つのロードロックモジュール40が接続されている。ローダモジュール30の長手方向に沿った他の側面には、3つのロードポート31が接続されている。ロードポート31には、複数のウェハを収容する容器であるFOUP(Front-Opening Unified Pod)(図示せず)が載置される。ローダモジュール30の短手方向に沿った一の側面には、アライナ32が接続されている。また、ローダモジュール30内には、搬送機構35が配置されている。
【0015】
アライナ32は、ウェハの位置合わせを行う。アライナ32は、駆動モータ(図示せず)によって回転される回転ステージ33を有する。回転ステージ33は、例えばウェハの直径よりも小さい直径を有し、上面にウェハを載置した状態で回転可能に構成されている。回転ステージ33の近傍には、ウェハの外周縁を検知するための光学センサ34が設けられている。アライナ32では、光学センサ34により、ウェハの中心位置およびウェハの中心に対するノッチの方向が検出され、ウェハの中心位置およびノッチの方向が所定位置および所定方向となるように、後述のフォーク37にウェハが受け渡される。これにより、ロードロックモジュール40内においてウェハの中心位置およびノッチの方向が所定位置および所定方向となるように、ウェハの搬送位置が調整される。
【0016】
搬送機構35は、ガイドレール(図示せず)と、アーム36と、フォーク37とを有する。アーム36は、スカラアームタイプであり、ガイドレールに沿って移動自在に構成されると共に、旋回、伸縮、昇降自在に構成される。フォーク37は、アーム36の先端に配置されてウェハを支持する。ローダモジュール30では、搬送機構35が各ロードポート31に載置されたFOUP、アライナ32およびロードロックモジュール40の間でウェハを搬送する。なお、搬送機構35は、FOUP、アライナ32およびロードロックモジュール40の間でウェハを搬送することが可能であればよく、図1に示される構成に限定されるものではない。
【0017】
ロードロックモジュール40は、トランスファモジュール10とローダモジュール30との間に配置されている。ロードロックモジュール40は、内部を真空、大気圧に切り換え可能な内圧可変室を有し、内部に配置された円柱状のステージ41を有する。ロードロックモジュール40は、ウェハをローダモジュール30からトランスファモジュール10へ搬入する際、内部を大気圧に維持してローダモジュール30からウェハを受け取った後、内部を減圧してトランスファモジュール10へウェハを搬入する。また、ウェハをトランスファモジュール10からローダモジュール30へ搬出する際、内部を真空に維持してトランスファモジュール10からウェハを受け取った後、内部を大気圧まで昇圧してローダモジュール30へウェハを搬入する。ステージ41は、上面から突出自在な複数の細棒状の3つのリフトピン42を有する。各リフトピン42は平面視において同一円周上に配置され、ステージ41の上面から突出することによってウェハを支持して持ち上げると共に、ステージ41内へ退出することによって支持するウェハをステージ41へ載置させる。また、ステージ41では、各リフトピン42で持ち上げられた状態の基板に対して、不活性ガスが吹き付けられることで基板が冷却される。つまり、ステージ41は、クーリングプレートの一例である。ロードロックモジュール40とトランスファモジュール10とは、開閉自在なゲートバルブ(図示せず)で仕切られている。また、ロードロックモジュール40とローダモジュール30とは、開閉自在なゲートバルブ(図示せず)で仕切られている。
【0018】
基板処理システム1は、制御装置50を有する。制御装置50は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROMまたは補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、基板処理システム1の各構成要素の動作を制御する。
【0019】
[クーリングプレート]
次に図2および図3を用いてクーリングプレートであるステージ41について説明する。図2は、本実施形態におけるクーリングプレートの表面の一例を示す図である。図2に示すように、ステージ41は、表面43が円形であり、中心部44と外周部45とを備える。中心部44には、各リフトピン42と、不活性ガスを吹き付ける複数のノズル46とが配置される。外周部45には、複数のノズル46が、例えば、同一円周上に均等に配置される。なお、不活性ガスとしては、例えば、窒素(N2)ガスや、アルゴンガス等の希ガスを用いることができる。
【0020】
ノズル46は、各リフトピン42で持ち上げられた状態の基板(ウェハ)に対して、不活性ガスを吹き付けることで基板の冷却を行うためのノズルである。ここで、ノズル46は、不活性ガスを直進流と旋回流とを組み合わせて吹き付けるハイブリッドノズルである。ノズル46は、例えば、中心部44では外周部45よりも密度が高くなるよう配置される。つまり、ノズル46は、外周部45では中心部44よりも密度が低くなるよう配置される。また、図2に示すように、例えば、中心部44では、ノズル46が各リフトピン42を避けて等間隔となるように配置される。一方、外周部45では、例えば、ノズル46が同一円周上に均等に配置される。すなわち、ノズル46は、中心部44と外周部45とで異なる配置である。また、ノズル46は、中心部44に配置される数が、外周部45に配置される数よりも多い。なお、外周部45では、ノズル46が複数の同心円上に、それぞれ均等に配置されるようにしてもよい。このように、中心部44では、ノズル46の数や密度が多いので不活性ガスが高流量となり、外周部45では、ノズル46の数や密度が少ないので不活性ガスが低流量となる。また、以下の説明では、このように、中心部44と外周部45とでゾーン分けを行い、それぞれ噴出する不活性ガスの流量を制御することをゾーン噴流冷却という場合がある。
【0021】
図3は、本実施形態におけるクーリングプレートの断面の一例を示す図である。図3では、ステージ41に対する不活性ガスの供給方法を示している。図3(a)は、ステージ41の側面から不活性ガスを供給するパターンであり、図3(b)は、ステージ41の下部から不活性ガスを供給するパターンである。なお、図3では、不活性ガスとして窒素(N2)ガスを供給している。
【0022】
図3(a)では、中心部44の下部に設けられたタンク部44aに対して、配管44bから不活性ガスが供給される。また、タンク部44aには、排気用の配管44cが接続され、ノズル46から噴出せずに余剰となった不活性ガスが配管44cから排出される。同様に、外周部45の下部に設けられたタンク部45aに対して、配管45bから不活性ガスが供給される。また、タンク部45aには、排気用の配管45cが接続され、ノズル46から噴出せずに余剰となった不活性ガスが配管45cから排出される。
【0023】
図3(b)では、中心部44の下部に設けられたタンク部44dに対して、配管44eから不活性ガスが供給される。また、タンク部44dには、排気用の配管44fが接続され、ノズル46から噴出せずに余剰となった不活性ガスが配管44fから排出される。同様に、外周部45の下部に設けられたタンク部45dに対して、配管45eから不活性ガスが供給される。また、タンク部45dには、排気用の配管45fが接続され、ノズル46から噴出せずに余剰となった不活性ガスが配管45fから排出される。なお、タンク部45dは、例えば、円周方向に複数に分割されてもよく、図3(b)に示すように、各タンク部45dに配管45e,45fが接続されるようにしてもよい。また、タンク部44d,45dには、配管44e,45eから供給される不活性ガスが偏ってノズル46から噴出しないように、仕切り板が設けられている。
【0024】
[直進流と旋回流]
続いて、図4を用いて直進流と旋回流について説明する。図4は、直進流と旋回流の一例を示す図である。図4(a)は、基板Wに対して垂直方向から噴流が当たるように、不活性ガスの流れを直進させた直進流60を示す。図4(b)は、基板Wに対して斜め方向から噴流が当たるように、不活性ガスの流れを旋回させた旋回流61を示す。直進流60では、衝突噴流の淀み点領域が冷却される。一方、旋回流61では、淀み点から基板Wの下面を横方向に流れる壁噴流領域が冷却される。これらのことから、直進流60と旋回流61とを組み合わせることで、より速く基板Wを均一に冷却することができる。
【0025】
[ノズル46の構成]
次に、図5を用いて直進流と旋回流の機能を融合したハイブリッドノズルであるノズル46について説明する。図5は、本実施形態におけるノズルの一例を示す図である。図5(a)は、ノズル46を側面から見た場合の断面を示す。図5(b)は、ノズル46を上面から見た場合を示す。ノズル46は、中心部に直進流ノズル46aを有し、直進流ノズル46aを囲む外周部に旋回流ノズル46bを有する。旋回流ノズル46bの噴出口には、旋回流ノズル46bの内壁に固定された羽根46cが設けられ、噴出口から噴出する不活性ガスが旋回流となる。直進流ノズル46aの噴出口からは、直進流60が噴出する。また、旋回流ノズル46bの噴出口からは、羽根46cによる旋回流61が噴出する。すなわち、ノズル46は、直進流60の噴出口と、旋回流61の噴出口とを1つのノズル46内に設けた構造である。なお、ノズル46は、旋回流ノズル46bの噴出口部分に設けた羽根46cに代えて、旋回流ノズル46bの噴出口近傍の内部に固定されたスパイラル(ヘリカル)形状の部材(図示せず)により旋回流61が噴出するようにしてもよい。
【0026】
[噴流冷却の適用領域]
続いて、図6および図7を用いて噴流冷却の適用領域、つまり噴流による基板の冷却について説明する。図6は、本実施形態における噴流による基板の冷却の一例を示す図である。図7は、本実施形態におけるノズル近傍の噴流領域の一例を示す図である。図6に示すように、ステージ41上において各リフトピン42により支持された基板Wと、当該ステージ41との間の領域62では、各ノズル46から噴出した不活性ガスが基板Wの裏面に衝突する。衝突後の不活性ガスは、内圧可変室が真空雰囲気であるため、ステージ41の中心部44から外周部45側に向けて流れる。つまり、噴流冷却の適用領域は、基板Wの裏面全体である。なお、図6では、各ノズル46のうち一部のノズル46を示し、他のノズル46は省略している。
【0027】
ここで、1つのノズル46に着目すると、図7に示すように、直進流ノズル46aから噴出した直進流60が基板Wに衝突した領域62aは、淀み点領域となる。また、直進流60が衝突後に領域62aから基板Wの裏面に沿って流れる不活性ガスと、旋回流ノズル46bから噴出した旋回流61が基板Wに衝突して基板Wの裏面に沿って流れる不活性ガスとを含む領域62bは、壁噴流領域となる。つまり、直進流と旋回流とを組み合わせることで、淀み点領域である領域62aだけでなく、壁噴流領域である領域62bについても冷却することができる。
【0028】
[冷却方法]
次に、本実施形態に係る冷却方法について説明する。図8は、本実施形態における冷却処理の一例を示すフローチャートである。
【0029】
本実施形態に係る冷却方法では、制御装置50は、トランスファモジュール10側のゲートバルブ(図示せず)を開放するようにロードロックモジュール40を制御する。制御装置50は、フォーク13に保持された基板Wをロードロックモジュール40に搬入するように搬送機構11を制御する(ステップS1)。制御装置50は、ステージ41のリフトピン42を突出させて基板Wを受け取るようにロードロックモジュール40を制御する。なお、この時点では、ロードロックモジュール40の内圧可変室内は真空雰囲気である。
【0030】
制御装置50は、トランスファモジュール10側のゲートバルブ(図示せず)を閉じるようにロードロックモジュール40を制御する。制御装置50は、リフトピン42で基板Wを支持した状態で不活性ガスの噴出を開始するようにロードロックモジュール40を制御する(ステップS2)。ここで、基板Wは、不活性ガスの噴出により冷却される。また、制御装置50は、ロードロックモジュール40の内圧可変室内にパージガス、例えば不活性ガスとして窒素(N2)ガスを供給するようにロードロックモジュール40を制御してもよい。
【0031】
制御装置50は、例えば、所定時間経過すると、不活性ガスの噴出を停止するようにロードロックモジュール40を制御する(ステップS3)。なお、この時点でロードロックモジュール40の内圧可変室内は大気圧雰囲気となっているものとする。また、基板Wの冷却は完了しているものとする。
【0032】
制御装置50は、ローダモジュール30側のゲートバルブ(図示せず)を開放するようにロードロックモジュール40を制御する。制御装置50は、リフトピン42で支持された基板Wをロードロックモジュール40から搬出するように搬送機構35を制御する(ステップS4)。これにより、ステージ41では、より速く基板Wを均一に冷却できる。すなわち、基板W内の温度のムラを抑えるので、基板Wの反りや割れの発生を抑えることができる。また、冷却時間を短縮できるので、搬送時のスループットを向上させることができる。また、基板Wを均一に冷却できるので、搬送精度を向上させることができる。また、熱負荷低減により各装置の信頼性および耐久性を向上させることができる。
【0033】
なお、上記した実施形態では、ノズル46の直径は全て同一として説明したが、これに限定されない。例えば、中心部44に配置されるノズル46の直径と、外周部45に配置されるノズル46の直径とが異なるようにしてもよい。例えば、中心部44側の不活性ガスの流量を大きくするために、中心部44に配置されるノズル46の直径が、外周部45に配置されるノズル46の直径よりも大きくなるようにしてもよい。
【0034】
以上、本実施形態によれば、クーリングプレート(ステージ41)は、基板Wを支持するリフトピン42と、基板Wを載置可能な載置面(表面43)と、載置面内に配置され、リフトピン42で載置面から持ち上げられた状態の基板Wに対して、不活性ガスを直進流と旋回流とを組み合わせて吹き付けるノズル46と、を有する。その結果、より速く基板Wを均一に冷却できる。
【0035】
また、本実施形態によれば、旋回流の噴出口(旋回流ノズル46b)は、出口部分に固定された羽根46cを備える。その結果、不活性ガスを旋回流として噴出できる。
【0036】
また、本実施形態によれば、旋回流の噴出口は、出口近傍の内部に固定されたスパイラル形状部を備える。その結果、不活性ガスを旋回流として噴出できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、ノズル46は、載置面内に複数配置される。その結果、より速く基板Wを均一に冷却できる。
【0038】
また、本実施形態によれば、載置面は、円形であり、中心部44と外周部45とを備え、ノズル46は、中心部44と外周部45とで異なる配置である。その結果、中心部44と外周部45とで不活性ガスの流量を異なる流量とすることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、ノズル46は、中心部44に配置される数が、外周部45に配置される数よりも多い。その結果、中心部44をより冷却することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、ノズル46は、中心部44に配置されるノズル46の密度が、外周部45に配置されるノズル46の密度よりも高い。その結果、中心部44をより冷却することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、外周部45に配置されるノズル46は、同一円周上に均等に配置される。その結果、外周部45を均等に冷却することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、ノズル46は、中心部44に配置されるノズル46の直径と、外周部45に配置されるノズル46の直径とが異なる。その結果、中心部44と外周部45とで不活性ガスの流量を異なる流量とすることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、ノズル46は、中心部44に配置されるノズル46の直径が、外周部45に配置されるノズル46の直径よりも大きい。その結果、中心部44をより冷却することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、不活性ガスは、窒素ガスである。その結果、窒素ガスは不活性で熱伝導性が高いので、基板W上に形成された膜等に影響を与えずに基板Wを冷却することができる。
【0045】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【0046】
また、上記した実施形態では、中心部44と外周部45とを均一に冷却する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、中心部44と外周部45とが異なる温度となるプロセスの基板Wに対して、冷却後に基板W全体で温度が均一となるように冷却してもよいし、中心部44と外周部45とを冷却後に異なる温度となるように冷却するようにしてもよい。これにより、プロセスの自由度を向上させることができる。
【0047】
また、上記した実施形態では、ロードロックモジュール40のステージ41で基板Wを冷却したが、これに限定されない。例えば、プロセスモジュール20のステージ21や、図示しないパスのステージで基板Wを冷却するようにしてもよい。
【0048】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基板を支持するリフトピンと、
前記基板を載置可能な載置面と、
前記載置面内に配置され、前記リフトピンで前記載置面から持ち上げられた状態の前記基板に対して、不活性ガスを直進流と旋回流とを組み合わせて吹き付けるノズルと、
を有するクーリングプレート。
(2)
前記ノズルは、前記直進流の噴出口と、前記旋回流の噴出口とを1つのノズル内に設けた、
前記(1)に記載のクーリングプレート。
(3)
前記旋回流の噴出口は、出口部分に固定された羽根を備える、
前記(1)または(2)に記載のクーリングプレート。
(4)
前記旋回流の噴出口は、出口近傍の内部に固定されたスパイラル形状部を備える、
前記(1)または(2)に記載のクーリングプレート。
(5)
前記ノズルは、前記載置面内に複数配置される、
前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のクーリングプレート。
(6)
前記載置面は、円形であり、中心部と、外周部とを備え、
前記ノズルは、前記中心部と前記外周部とで異なる配置である、
前記(5)に記載のクーリングプレート。
(7)
前記ノズルは、前記中心部に配置される数が、前記外周部に配置される数よりも多い、
前記(6)に記載のクーリングプレート。
(8)
前記ノズルは、前記中心部に配置される前記ノズルの密度が、前記外周部に配置される前記ノズルの密度よりも高い、
前記(6)または(7)に記載のクーリングプレート。
(9)
前記外周部に配置される前記ノズルは、同一円周上に均等に配置される、
前記(6)~(8)のいずれか1つに記載のクーリングプレート。
(10)
前記ノズルは、前記中心部に配置される前記ノズルの直径と、前記外周部に配置される前記ノズルの直径とが異なる、
前記(6)~(9)のいずれか1つに記載のクーリングプレート。
(11)
前記ノズルは、前記中心部に配置される前記ノズルの直径が、前記外周部に配置される前記ノズルの直径よりも大きい、
前記(10)に記載のクーリングプレート。
(12)
前記不活性ガスは、窒素ガスである、
前記(1)~(11)のいずれか1つに記載のクーリングプレート。
【符号の説明】
【0049】
1 基板処理システム
10 トランスファモジュール
20 プロセスモジュール
30 ローダモジュール
40 ロードロックモジュール
41 ステージ
42 リフトピン
43 表面
44 中心部
45 外周部
46 ノズル
46a 直進流ノズル
46b 旋回流ノズル
46c 羽根
50 制御装置
60 直進流
61 旋回流
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8