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特開2023-170477ポリオレフィン系共重合体、樹脂ペレット、エンジニアリングプラスチック用改質剤、エンジニアリングプラスチック組成物及び樹脂成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170477
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系共重合体、樹脂ペレット、エンジニアリングプラスチック用改質剤、エンジニアリングプラスチック組成物及び樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20231124BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231124BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L63/00
C08L67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082276
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 翔
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB053
4J002BB072
4J002CF071
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】エンジニアリングプラスチックの改質剤として用いられたときに、低誘電率及び低誘電正接を有するエンジニアリングプラスチック組成物を得ることができるポリオレフィン系共重合体を提供する。
【解決手段】
炭素数2~8のオレフィンモノマーに由来するモノマー単位Aとグリシジル基を有するモノマー単位Bとを含む主鎖を有し、主鎖が、(メタ)アクリル酸エステル又はビニルエーテルに由来する、モノマー単位Cを更に含んでもよく、オレフィン系共重体の質量を基準として、モノマー単位Aの割合が94質量%以上で、モノマー単位B及びモノマー単位Cの合計の割合が6質量%未満である、ポリオレフィン系共重合体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数2~8のオレフィンモノマーに由来するモノマー単位Aとグリシジル基を有するモノマー単位Bとを含む主鎖を有し、
前記主鎖が、(メタ)アクリル酸エステル又はビニルエーテルに由来する、モノマー単位Cを更に含んでもよく、
ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、モノマー単位Aの割合が94質量%以上で、モノマー単位B及びモノマー単位Cの合計の割合が6質量%未満である、
ポリオレフィン系共重合体。
【請求項2】
モノマー単位Aが、エチレンに由来するモノマー単位、α-オレフィンに由来するモノマー単位、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載のポリオレフィン系共重合体。
【請求項3】
モノマー単位Aがエチレンに由来するモノマー単位である、請求項1に記載のポリオレフィン系共重合体。
【請求項4】
モノマー単位Bが、不飽和カルボン酸グリシジルエステルに由来するモノマー単位、不飽和基を有するグリシジルエーテルに由来するモノマー単位、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載のポリオレフィン系共重合体。
【請求項5】
モノマー単位Bがグリシジル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位である、請求項1に記載のポリオレフィン系共重合体。
【請求項6】
モノマー単位Bの割合が、前記ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、1質量%以上である、請求項1に記載のポリオレフィン系共重合体。
【請求項7】
モノマー単位Cの割合が、前記ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、1質量%未満である、請求項1に記載のポリオレフィン系共重合体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のポリオレフィン系共重合体を含む、樹脂ペレット。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載のポリオレフィン系共重合体を含む、エンジニアリングプラスチック用改質剤。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載のポリオレフィン系共重合体と、
エンジニアリングプラスチックと、
を含む、エンジニアリングプラスチック組成物。
【請求項11】
ポリエチレンテレフタレート樹脂を実質的に含まない、請求項10に記載のエンジニアリングプラスチック組成物。
【請求項12】
請求項10に記載のエンジニアリングプラスチック組成物を含む、樹脂成形体。
【請求項13】
自動車部品の部材である、請求項12に記載の樹脂成形体。
【請求項14】
電気・電子部品の部材である、請求項12に記載の樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系共重合体、樹脂ペレット、エンジニアリングプラスチック用改質剤、エンジニアリングプラスチック組成物及び樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジニアリングプラスチックに配合されて、エンジニアリングプラスチックの種々の性質を向上又は改質するための改質剤が知られている。例えば、特許文献1には、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂、又は該樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物5~95質量部と、(B)飽和ポリエステル95~5質量部と、(C)(a)ポリオレフィン系樹脂100部、(b)所定の式で表される化合物、又は該化合物とグリシジルメタクリレート、又はグリシジルメタクリレートからなる変性剤0.1~30部、(c)ビニル系単量体0.1~500部、及び(d)ラジカル重合開始剤を(b)と(c)との合計量100部に対して0.001~10部、含有した水性懸濁液を調製し、該水性懸濁液中の(b)及び(c)を(a)に含浸させ、重合させてなるグラフト変性ポリオレフィン系樹脂を(A)と(B)100部に対し1~100部と、からなる樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-259798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、エンジニアリングプラスチックの改質剤として用いられたときに、低誘電率及び低誘電正接を有するエンジニアリングプラスチック組成物を得ることができるポリオレフィン系共重合体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの側面において、以下の[1]~[14]が提供される。
[1] 炭素数2~8のオレフィンモノマーに由来するモノマー単位Aとグリシジル基を有するモノマー単位Bとを含む主鎖を有し、
前記主鎖が、(メタ)アクリル酸エステル又はビニルエーテルに由来する、モノマー単位Cを更に含んでもよく、
ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、モノマー単位Aの割合が94質量%以上で、モノマー単位B及びモノマー単位Cの合計の割合が6質量%未満である、
ポリオレフィン系共重合体。
[2] モノマー単位Aが、エチレンに由来するモノマー単位、α-オレフィンに由来するモノマー単位、又はこれらの組み合わせである、[1]に記載のポリオレフィン系共重合体。
[3] モノマー単位Aがエチレンに由来するモノマー単位である、[1]に記載のポリオレフィン系共重合体。
[4] モノマー単位Bが、不飽和カルボン酸グリシジルエステルに由来するモノマー単位、不飽和基を有するグリシジルエーテルに由来するモノマー単位、又はこれらの組み合わせである、[1]~[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体。
[5] モノマー単位Bがグリシジル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体。
[6] モノマー単位Bの割合が、前記ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、1質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体。
[7] モノマー単位Cの割合が、前記ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、1質量%未満である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体を含む、樹脂ペレット。
[9] [1]~[7]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体を含む、エンジニアリングプラスチック用改質剤。
[10] [1]~[7]のいずれかに記載のポリオレフィン系共重合体と、
エンジニアリングプラスチックと、
を含む、エンジニアリングプラスチック組成物。
[11] ポリエチレンテレフタレート樹脂を実質的に含まない、[10]に記載のエンジニアリングプラスチック組成物。
[12] [10]又は[11]に記載のエンジニアリングプラスチック組成物を含む、樹脂成形体。
[13] 自動車部品の部材である、[12]に記載の樹脂成形体。
[14] 電気・電子部品の部材である、[12]に記載の樹脂成形体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エンジニアリングプラスチックの改質剤として用いられたときに、低誘電率及び低誘電正接を有するエンジニアリングプラスチック組成物を得ることができるポリオレフィン系共重合体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明のいくつかの例について詳細に説明する。ただし、本発明は下記の例に限定されない。
【0008】
ポリオレフィン系共重合体の一例は、炭素数2~8のオレフィンモノマーに由来するモノマー単位Aとグリシジル基を有するモノマー単位Bとを含む主鎖を有する共重合体である。このポリオレフィン系共重合体は、ポリオレフィン系共重合体を含む樹脂ペレット(樹脂組成物)として用いられてもよく、エンジニアリングプラスチック等の改質剤として用いられてもよい。
【0009】
炭素数が2~8のオレフィンモノマーに由来するモノマー単位Aは、エチレンに由来するモノマー単位、α-オレフィンに由来するモノマー単位、又はこれらの組み合わせであってもよく、エチレンに由来するモノマー単位であってもよい。α-オレフィンの例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-へプテン、及び1-オクテン等の直鎖状オレフィン;ノルボルネン、5-メチルノルボルネン、及び1-メチルノルボルネン等の環状オレフィン;スチレン、メチルスチレン、及びジビニルベンゼン等の芳香族オレフィンが挙げられる。
【0010】
モノマー単位Aの割合(又は、エチレンに由来するモノマー単位及びα-オレフィンに由来するモノマー単位の合計の割合)は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、94質量%以上であり、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、又は97.5質量%以上であってもよい。モノマー単位Aの割合(又は、エチレンに由来するモノマー単位及びα-オレフィンに由来するモノマー単位の合計の割合)は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、99.9質量%以下、99質量%以下、98.5質量%以下、又は98質量%以下であってもよい。モノマー単位Aの割合(又は、エチレンに由来するモノマー単位及びα-オレフィンに由来するモノマー単位の合計の割合)は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、94~99.9質量%又は95~99質量%であってもよい。
【0011】
グリシジル基を有するモノマーに由来するモノマー単位Bは、不飽和カルボン酸グリシジルエステルに由来するモノマー単位、不飽和基を有するグリシジルエーテルに由来するモノマー単位、又はこれらの組み合わせであってもよく、不飽和カルボン酸グリシジルエステルに由来するモノマー単位であってもよい。モノマー単位Bは、ポリオレフィン系共重合体の主鎖中に少なくとも存在する。モノマー単位Bは、ポリオレフィン系共重合体の末端に存在しなくてもよい。
【0012】
モノマー単位Bを誘導する不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、下記式(1)で表される化合物であってもよい。式(1)中、Rは、炭素原子数2~18のアルケニル基を示し、アルケニル基は、1以上の置換基を有していてもよい。式(1)で表される化合物の例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びイタコン酸グリシジルエステルが挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
モノマー単位Bを誘導する不飽和基を有するグリシジルエーテルは、下記式(2)で表される化合物であってもよい。式(2)中、Rは、炭素原子数2~18のアルケニル基を示し、アルケニル基は、1以上の置換基を有していてもよい。Xは、CH-O(CHがRに結合する)又は酸素原子を示す。式(2)で表される化合物の例としては、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、及びスチレン-p-グリシジルエーテルが挙げられる。
【0015】
【化2】
【0016】
モノマー単位Bの割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、又は2.2質量%以上であってもよい。モノマー単位Bの割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、6質量%未満、5.5質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、又は2.3質量%以下であってもよい。モノマー単位Bの割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、0.1質量%以上6質量%未満又は0.5~5.5質量%であってもよい。
【0017】
モノマー単位Aに対するモノマー単位Bの質量比(モノマー単位Bの割合/モノマー単位Aの割合)は、0.001以上、0.005以上、0.01以上、0.015以上、又は.02以上であってもよい。モノマー単位Aに対するモノマー単位Bの質量比(モノマー単位Bの割合/モノマー単位Aの割合)は、0.06以下、0.05以下、0.04以下、0.03以下、又は0.025以下であってもよい。モノマー単位Aに対するモノマー単位Bの質量比(モノマー単位Bの割合/モノマー単位Aの割合)は、0.001~0.06又は0.005~0.05であってもよい。
【0018】
ポリオレフィン系共重合体の主鎖は、(メタ)アクリル酸エステル又はビニルエーテルに由来するモノマー単位C(但し、モノマー単位Bに該当するものを除く)を更に含んでもよく、含んでいなくてもよい。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、これは類似の化合物においても同様である。
【0019】
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、及びブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。ビニルエーテルの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、及びフェニルビニルエーテルが挙げられる。
【0020】
モノマー単位Cの割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、1質量%未満、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下であってもよい。モノマー単位Cの割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、0質量%であってもよい。
【0021】
モノマー単位Bとモノマー単位Cとの合計の割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、6質量%未満であり、5.5質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下、2.7質量%以下、2.5質量%以下、又は2.3質量%以下であってもよい。モノマー単位Bとモノマー単位Cとの合計の割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、1.8質量%以上、2質量%以上、又は2.2質量%以上であってもよい。モノマー単位Bとモノマー単位Cとの合計の割合は、ポリオレフィン系共重合体の質量を基準として、0.1質量%以上6質量%未満又は0.5~5.5質量%であってもよい。
【0022】
モノマー単位Bに対するモノマー単位Cの質量比(モノマー単位Cの割合/モノマー単位Bの割合)は、0.1以下、0.05以下、又は0.01以下であってもよい。モノマー単位Bに対するモノマー単位Cの質量比(モノマー単位Cの割合/モノマー単位Bの割合)は、0であってもよい。
【0023】
ポリオレフィン系共重合体の例としては、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-ノルマルプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-イソプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-ノルマルブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-イソブチル(メタ)アクリレート共重合体、及びエチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-ビニルエーテル共重合体が挙げられる。ポリオレフィン系共重合体は、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体であってもよい。
【0024】
ポリオレフィン系共重合体は、種々の方法で合成することができる。ポリオレフィン系共重合体は、例えば、フリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。ポリオレフィン系共重合体を合成する代表的な重合方法の一例は、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、重合圧力500kg/cm以上、重合温度40~300℃の条件で、炭素数が2~8のオレフィンモノマー、グリシジル基を有するモノマー、及び必要に応じて(メタ)アクリル酸エステル又はビニルエーテルを共重合する方法である。重合圧力は、1000kg/cm以上であってもよく、2000kg/cm以下であってもよい。重合温度は、100~250℃、又は150~200℃であってもよい。炭素数が2~8のオレフィンモノマー、グリシジル基を有するモノマー、及び必要に応じて(メタ)アクリル酸エステル又はビニルエーテルがランダムに共重合するため、炭素数が2~8のオレフィンモノマー及びグリシジル基を有するモノマーは主鎖中に少なくとも存在する。
【0025】
ポリオレフィン系共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.2g/10分以上、0.5g/10分以上、1g/10分以上、1.5g/分以上、2g/10分以上、2.5g/10分以上、又は3g/10分以上であってもよい。ポリオレフィン系共重合体のメルトフローレート(MFR)は、300g/10分以下、250g/10分以下、220g/10分以下、又は200g/10分以下であってもよい。ポリオレフィン系共重合体のMFRは、温度190℃、荷重2.16kgfの条件でJIS K7210に準拠して測定することができる。
【0026】
ポリオレフィン系共重合体の誘電率は、低誘電率を有するエンジニアリングプラスチック組成物を得やすい観点から、2.55以下、2.50以下、2.47以下、2.45以下、又は2.43以下であってもよい。ポリオレフィン系共重合体の誘電率は、2.0以上、2.2以上、又は2.3以上であってもよい。ポリオレフィン系共重合体の誘電率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0027】
ポリオレフィン系共重合体の誘電正接は、特に低い誘電正接を有するエンジニアリングプラスチック組成物を得やすいという観点から、0.012以下、0.010以下、0.0095以下、0.0080以下、0.0070以下、0.0060以下、又は0.0055以下であってもよい。共重合体の誘電正接は、0.001以上、0.002以上、0.003以上、又は0.004以上であってもよい。ポリオレフィン系共重合体の誘電正接は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0028】
ポリオレフィン系共重合体の含有量は、樹脂ペレットの全質量を基準として、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってもよい。ポリオレフィン系共重合体の含有量は、樹脂ペレットの全質量を基準として、100質量%であってもよい。
【0029】
樹脂ペレットは、相溶化剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、可塑剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を更に含有してもよい。
【0030】
樹脂ペレットは、例えば、ポリオレフィン系共重合体と必要により加えられる添加剤とを含む混合物を溶融混練することを含む方法により得ることができる。
【0031】
溶融混練は、例えば二軸混練機又はラボプラストミルを用いて行うことができる。二軸混練機としては、例えば、同方向二軸混練押出機が挙げられる。
【0032】
溶融混練される混合物の最高温度は、50~350℃、80~320℃、100~300℃、120~280℃、又は150~250℃であってもよい。
【0033】
溶融混練の混練時間は、1秒~1800秒、10秒~1200秒、又は30秒~600秒であってもよい。
【0034】
樹脂ペレットは、例えば、エンジニアリングプラスチックの各種特性(例えば耐衝撃性)を改善するためのエンジニアリングプラスチック用改質剤として用いることができる。エンジニアリングプラスチック及びポリオレフィン系共重合体(又は改質剤)を含むエンジニアリングプラスチック組成物は、例えば、ポリオレフィン系共重合体(又は改質剤)とエンジニアリングプラスチックとを含む混合物を溶融混練することを含む方法によって得ることができる。エンジニアリングプラスチック組成物が、エンジニアリングプラスチックを含む連続相と、連続相中に分散したポリオレフィン系共重合体を含む粒子とを含んでいてもよい。
【0035】
エンジニアリングプラスチックとは、ASTM D648の規格で測定した荷重たわみ温度が100℃以上、ASTM D638の規格で測定した引張強度が50MPa、ASTM D790の規格で測定した曲げ弾性率が2.4GPa以上であるプラチックのことを意味する。耐熱性が150℃以上のプラスチックは特殊エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックと呼称されるが、本明細書では特殊エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックもエンジニアリングプラスチックに含まれる。
【0036】
エンジニアリングプラスチックの例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、液晶性ポリマー、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、及びポリスルフォンが挙げられる。エンジニアリングプラスチック組成物は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を実質的に含まなくてもよく、ポリエチレンテレフタレートの含有量が、エンジニアリングプラスチック組成物中のエンジニアリングプラスチックの質量を基準として、1質量%未満であってもよい。ここでのポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸に由来するモノマー単位の一部が、テレフタル酸以外のジカルボン酸等に由来するモノマー単位に置き換えられた変性品も含む。
【0037】
エンジニアリングプラスチック組成物は、ポリオレフィン系共重合体(又は改質剤)とは別に添加された、樹脂成分(但し、上記のポリオレフィン系共重合体に該当するものを除く)、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、可塑剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤及び着色剤などの他の成分を更に含有してもよい。
【0038】
樹脂成分は、エポキシ基を有しないオレフィン系共重合体であってもよい。このオレフィン系共重合体は、エチレンに由来するモノマー単位と、α-オレフィンに由来するモノマー単位とを有するエチレン-α-オレフィン共重合体であってもよい。エポキシ基を有しないオレフィン系共重合体の例としては、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、及びエチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体が挙げられる。
【0039】
樹脂成分の温度190℃、荷重2.16kgfにおけるMFRは、0.1g/10分以上、0.5g/10min以上、又は1g/10min以上であってもよく、50g/10分以下、20g/10min以下、又は10g/10min以下であってもよい。
【0040】
樹脂成分の密度は、0.85g/cm以上、0.87g/cm以上、又は0.89g/cm以上であってもよく、0.95g/cm以下、0.92g/cm以下、又は0.90g/cm以下であってもよい。
【0041】
エンジニアリングプラスチック組成物の誘電率は、2.96以下、2.95以下、2.94以下、2.93以下、又は2.92以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の誘電率は、2.0以上、2.5以上、又は2.8以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の誘電率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0042】
エンジニアリングプラスチック組成物の誘電正接は、0.0060以下、0.0058以下、0.0057以下、0.0056以下、又は0.0055以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の誘電正接は、0.001以上、0.002以上、0.003以上、0.004以上、又は0.005以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の誘電正接は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0043】
エンジニアリングプラスチック組成物のMFR保持率は、50%以上、70%以上又は90%以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物のMFR保持率は、150%以下、130%以下、又は110%以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物のMFR保持率は、エンジニアリングプラスチック組成物の作製直後のMFRに対する室温環境下で1か月~6か月保管した後のエンジニアリングプラスチック組成物のMFRの変化率(保管後のエンジニアリングプラスチック組成物のMFR/保管前のエンジニアリングプラスチック組成物のMFR)を意味し、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0044】
エンジニアリングプラスチック組成物の-30℃におけるIzod衝撃強度は、3.0kJ/m以上又は3.1kJ/m以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の-30℃におけるIzod衝撃強度は、5.0kJ/m以下、4.0kJ/m以下、又は3.5kJ/m以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の-30℃におけるIzod衝撃強度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0045】
エンジニアリングプラスチック組成物の曲げ強度は、74MPa以上又は75MPa以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の曲げ強度は、90MPa以下又は80MPa以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の曲げ強度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0046】
エンジニアリングプラスチック組成物の曲げ弾性率は、2050MPa以上又は2100MPa以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の曲げ弾性率は、2300MPa以下又は2200MPa以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物の曲げ弾性率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0047】
エンジニアリングプラスチック組成物のHDT(熱変形温度)は、59.5℃以上又は60℃以上であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物のHDTは、80℃以下又は70℃以下であってもよい。エンジニアリングプラスチック組成物のHDTは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0048】
ポリオレフィン系共重合体の含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってもよい。ポリオレフィン系共重合体の含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下であってもよい。ポリオレフィン系共重合体の含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、1~50質量%であってもよい。
【0049】
エンジニアリングプラスチックの含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってもよい。エンジニアリングプラスチックの含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、95質量%以下又は90質量%以下であってもよい。エンジニアリングプラスチックの含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、50~95質量%であってもよい。
【0050】
エンジニアリングプラスチック組成物を、射出成形法、押出成形法、真空成形及び中空成形法等の任意の成形方法によって成形して、エンジニアリングプラスチック組成物の樹脂成形体を得ることができる。得られる樹脂成形体は、低誘電率及び低誘電正接を有しており、例えば、自動車部品の部材、又は電気・電子部品の部材であってもよい。
【実施例0051】
以下、実施例に基づき発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.原材料
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を調製するための原材料として以下を準備した。ポリオレフィン系共重合体、エンジニアリングプラスチック及びその他の樹脂成分は、それぞれ樹脂ペレットとして準備された。
(A)ポリオレフィン系共重合体
・BF-2C(商品名、住友化学株式会社製、エチレン94質量部とグリシジルメタクリレート6質量部とのランダム共重合体、MFR=3g/10min、重合圧力:1346kg/cm、重合温度:194℃)
・BF-7L(商品名、住友化学株式会社製、エチレン70質量部とグリシジルメタクリレート3質量部とメチルアクリレート27質量部とのランダム共重合体、MFR=7g/10min、重合圧力:1804kg/cm、重合温度:191℃)
・EGMA-1(エチレン97.8質量部とグリシジルメタクリレート2.2質量部とのランダム共重合体、MFR=3g/10min、重合圧力:1356kg/cm、重合温度:196℃)
・EGMA-2(エチレン97.7質量部とグリシジルメタクリレート2.3質量部とのランダム共重合体、MFR=43g/10min、重合圧力:1356kg/cm、重合温度:195℃)
・EGMA-3(エチレン97.7質量部とグリシジルメタクリレート2.3質量部とのランダム共重合体、MFR=85g/10min、重合圧力:1356kg/cm、重合温度:195℃)
・EGMA-4(エチレン97.7質量部とグリシジルメタクリレート2.3質量部とのランダム共重合体、MFR=190g/10min、重合圧力:1356kg/cm、重合温度:195℃)
・EGMA-5(エチレン94.7質量部とグリシジルメタクリレート5.3質量部とのランダム共重合体、MFR=3g/10min、重合圧力:1346kg/cm、重合温度:195℃)
(B)エンジニアリングプラスチック
・ポリブチレンテレフタレート(PBT):トレコン1401 X06(商品名、東レ株式会社製、固有粘度:1.74)
(C)その他の樹脂成分
・EHR:FX201(商品名、住友化学株式会社製、エチレン-ヘキセン共重合体、MFR=2g/10min、密度:0.898g/cm
【0052】
2.成形体Aの作製
(実施例1)
EGMA-1を、真空プレス機(株式会社井本製作所製、IMC-19E6型)を用いて190℃で10分間加熱した後、30℃で5分間冷却することにより、厚み1.0mmのシート状の成形体Aを作製した。
【0053】
(実施例2)
EGMA-1に代えてEGMA-2を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体Aを作製した。
【0054】
(実施例3)
EGMA-1に代えてEGMA-3を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体Aを作製した。
【0055】
(実施例4)
EGMA-1に代えてEGMA-4を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体Aを作製した。
【0056】
(実施例5)
EGMA-1に代えてEGMA-5を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体Aを作製した。
【0057】
(比較例1)
EGMA-1に代えてBF-2Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体Aを作製した。
【0058】
(比較例2)
EGMA-1に代えてBF-7Lを用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体Aを作製した。
【0059】
3.エンジニアリングプラスチック組成物及び成形体B~Dの作製
(実施例6)
二軸混練押出機(KZW20TW、テクノベル社製)のバレルC1に設けられたホッパー口に、主フィーダーから90質量%のポリブチレンテレフタレート(PBT)を投入し、副フィーダーから10質量%のEGMA-1を投入した。ノズルヘッドの温度を260℃、スクリューの回転数を300rpmにそれぞれ設定し、PBT及びEGMA-1を溶融混練した。二軸押出機から5kg/時間の吐出量で溶融混練物を吐出し、溶融混練物をペレタイザで切断して、PBTを含むエンジニアリングプラスチック組成物の樹脂ペレットを得た。この樹脂ペレットを、射出成形機(住友重機械工業製、SE100EV)を用いて、金型温度80℃、シリンダー温度260℃、射出速度15mm/秒の条件で射出成形することにより、厚み3.2mmのシート状の成形体B及び厚さ6.4mmのシート状の成形体Cを作製した。また、樹脂ペレットを260℃、10分間の条件で真空プレス機により加熱及び加圧した後、30℃で5分間冷却することにより、厚み1.0mmのシート状の成形体Dを作製した。
【0060】
(実施例7)
EGMA-1に代えてEGMA-2を用いたこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0061】
(実施例8)
EGMA-1に代えてEGMA-3を用いたこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0062】
(実施例9)
EGMA-1に代えてEGMA-4を用いたこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0063】
(実施例10)
EGMA-1に代えてEGMA-5を用いたこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0064】
(比較例3)
EGMA-1に代えてBF-2Cを用いたこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0065】
(比較例4)
EGMA-1に代えてBF-7Lを用いたこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0066】
(比較例5)
主フィーダーから93.3質量%のポリブチレンテレフタレート(PBT)を投入し、副フィーダーから6.7質量%のBF-2Cを投入したこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0067】
(比較例6)
主フィーダーから97.5質量%のポリブチレンテレフタレート(PBT)を投入し、副フィーダーから2.5質量%のBF-2Cを投入したこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0068】
(比較例7)
主フィーダーから99質量%のポリブチレンテレフタレート(PBT)を投入し、副フィーダーから1質量%のBF-2Cを投入したこと以外は、実施例6と同様にして成形体B~Dを作製した。
【0069】
(実施例11)
二軸混練押出機のホッパー側から押出方向に沿って設けられた9個のバレルC1~C9の温度を以下のように設定した。
C1:100℃
C2:200℃
C3~C9:260℃
二軸混練押出機(KZW20TW、テクノベル社製)のバレルC1に設けられたホッパー口に、主フィーダーから80質量%のPBTを投入し、副フィーダーから5質量%のEGMA-1及び15質量%のFX201(商品名、住友化学株式会社製、エチレン-ヘキセン共重合体(EHR)、MFR=2g/10min、密度:0.898g/cm)を投入した。ノズルヘッドの温度を260℃、スクリューの回転数を300rpmにそれぞれ設定し、PBT、EGMA-1及びEHRを溶融混練した。二軸押出機から5kg/時間の吐出量で溶融混練物を吐出し、溶融混練物をペレタイザで切断して、PBT及びEHRを含むエンジニアリングプラスチック組成物の樹脂ペレットを得た。この樹脂ペレットを、射出成形機(住友重機械工業製、SE100EV)を用いて、金型温度80℃、シリンダー温度260℃、射出速度30mm/秒の条件で射出成形することにより、厚み2.0mmのシート状の成形体Eを作製した。
【0070】
(実施例12)
EGMA-1に代えてEGMA-2を用いたこと以外は、実施例11と同様にして成形体Eを作製した。
【0071】
(実施例13)
EGMA-1に代えてEGMA-3を用いたこと以外は、実施例11と同様にして成形体Eを作製した。
【0072】
(実施例14)
EGMA-1に代えてEGMA-4を用いたこと以外は、実施例11と同様にして成形体Eを作製した。
【0073】
(比較例8)
EGMA-1に代えてBF-2Cを用いたこと、BF-2Cの含有量を1.7質量%に変更したこと、及びEHRの含有量を18.3質量%に変更したこと以外は、実施例11と同様にして成形体Eを作製した。
【0074】
(比較例9)
EGMA-1に代えてBF-7Lを用いたこと以外は、実施例11と同様にして成形体Eを作製した。
【0075】
4.評価
[誘電率、誘電正接評価]
成形体A及び成形体Dから、長さ64mm、幅64mm、厚さ1.0mmの試験片を作成した。この試験片を用い、1GHzにおける誘電率及び誘電正接を23℃雰囲気下、容量法で測定した。
【0076】
[MFR保持率]
実施例6~10又は比較例3~7において作製した樹脂ペレットを、アルミ製の袋の中に密封した袋に密封された樹脂ペレットを、室温の環境下で1か月以上保管した。実施例6~9及び比較例3において作製した樹脂ペレットの保管期間は6か月とし、実施例10において作製した樹脂ペレットの保管期間は2か月とし、比較例4~7において作製した樹脂ペレットの保管期間は1か月とした。保管前後の樹脂ペレット(エンジニアリングプラスチック組成物)のMFRを温度190℃、荷重2.16kgfの条件でメルトフローテスターにより測定した。測定した保管前後のエンジニアリングプラスチック組成物のMFRから、保管前のエンジニアリングプラスチック組成物のMFRに対する保管後のエンジニアリングプラスチック組成物のMFRの変化率を算出した。
【0077】
[Izod衝撃試験]
成形体Bから長さ63.5mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmのノッチ付試験片を作製した。この試験片を用いて、ASTM D-256に準拠したIzod衝撃試験により、-30℃の雰囲気下においてIzod衝撃強度(kJ/m)を測定した。
【0078】
[曲げ試験]
成形体Bから長さ127mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmの試験片を作製し、JIS-K7203(ASTM-D-790)に準拠した曲げ試験により、23℃の雰囲気下において曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を2連曲げ試験機(RTF-1350-2M、株式会社エー・アンド・デー社製)を用いて測定した。
【0079】
[HDT測定]
成形体Cから長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を作製し、JIS K7197-1、2に準拠し、HDT(℃)を測定した。
【0080】
[表面剥離試験]
成形体Eのうち、樹脂の流入口近傍に、2mm×2mmを1マスとして100マスの切れ込みをカッターで入れた。切れ込みを入れた箇所にセロテープ(登録商標、ニチバン株式会社製)を貼り付けた。セロテープを勢いよく剥がし、100マスのうち剥がれたマスの数(剥離枚数)を測定した。剥がれたマスの数が少ないほど、成形体の外観が優れることを意味する。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】