(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170846
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ポリエーテルポリオールの製造方法、ポリウレタン樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 65/26 20060101AFI20231124BHJP
C08G 65/28 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C08G65/26
C08G65/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082911
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 清太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 知志
(72)【発明者】
【氏名】藤▲崎▼ 省吾
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005AA12
4J005BB01
4J005BB02
(57)【要約】
【課題】本発明は、高生産性を実現しやすいポリエーテルポリオールの製造方法;および前記製造方法で得られたポリエーテルポリオールを用いるポリウレタン樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のポリエーテルポリオールの製造方法は、触媒および環状エーテルを含む混合液が反応する反応槽10と、反応槽10内の混合液を冷却する冷却系と、反応槽10内の混合液を攪拌する攪拌翼2,2とを有するバッチ式反応器20Aを用い、攪拌翼2が、撹拌時の回転によって反応槽10内の液面付近の混合液を上方に移動させながら、反応槽10の内壁面に向けて放射する流路となる部材2cを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始剤および触媒の存在下で、少なくとも1種以上の環状エーテルを反応させるポリエーテルポリオールの製造方法であって、
開始剤、触媒および環状エーテルを含む混合液が反応する反応槽と、前記反応槽内の前記混合液を冷却する冷却系と、前記反応槽内の前記混合液を攪拌する攪拌部材とを有するバッチ式反応器を用い、かつ、前記撹拌部材が、撹拌時の回転によって前記反応槽内の液面付近の前記混合液を上方に移動させながら前記反応槽の内壁面に向けて放射する流路となる部材を有する、ポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項2】
前記冷却系が、前記反応槽内の混合液を冷却可能な槽内型の冷却器を含み、
前記攪拌部材によって液面より上方に移動した前記混合液を前記槽内型の冷却器と接触させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記冷却系が、前記反応槽の壁面を冷却可能な外付け型の冷却器を含み、
前記攪拌部材によって液面より上方に移動した前記混合液を前記反応槽の内壁面と接触させる、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記攪拌部材が、一枚の平板と、前記平板と任意の角度をなして前記攪拌部材の回転軸から離れる向きに折り曲げて形成された部材とを有し、
前記平板は、前記反応槽内での正面視において前記回転軸の中心線を境とした斜め上方に位置する上方部と、前記中心線を境とした斜め下方に位置する下方部とを含み、
前記平板の形状は、前記上方部から前記下方部に向うにしたがい面積が漸次広がる形状である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
開環付加重合させる際の圧力が、1.0MPaG以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記開始剤が、炭素数が1~32の1価の脂肪族アルコール;炭素数が1~16の脂肪族ジオール;炭素数が1~16であり、かつ、水酸基を3~8個有する脂肪族ポリオール;水酸基価が10~750mgKOH/gであるポリオキシアルキレンモノオール;および水酸基価が10~1600mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記環状エーテルの炭素数が、2~4である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ポリエーテルポリオールの水酸基価換算分子量が、300~100000である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記触媒が、アルカリ触媒または複合金属シアン化物錯体触媒である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載の製造方法で得られたポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを反応させることを含む、ポリウレタン樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルポリオールの製造方法、ポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリウレタン樹脂、機能性油剤の原料として種々の用途に使用される。ポリエーテルポリオールは、水酸基等の活性水素含有基を有する開始剤に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルを触媒の存在下で開環付加重合させる方法で製造できる。
触媒としては、水酸化カリウム等のアルカリ触媒、複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)が使用されることが多い。アルカリ触媒を使用すると、ある程度分子量の高いポリエーテルポリオールが得られる。DMC触媒を使用すると、環状エーテルの開環付加重合の反応速度がアルカリ触媒と比較してさらに高くなる。また、さらに高分子量のポリエーテルポリオールを製造できる(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、
図9に示すような反応器120を用いてポリエーテルポリオールを得ることが提案されている。反応器120は、反応槽110と;反応槽110の中心軸に沿って設けられた回転軸101と;回転軸101に装着された攪拌翼102と;反応槽110内の液体と接触可能に配置された冷却コイル103と;反応槽110の壁面を冷却する冷却ジャケット104と;温度計105と;を有する。
攪拌翼102は、回転軸101の下端に固定され、かつ、反応槽110の径方向に延びる板状のボトムパドル106と;ボトムパドル106より上方の回転軸101に固定された格子翼107と;が一体化したものである。
【0004】
反応槽110においては、槽頂部に形成された投入口108から開始剤および触媒が槽内に供給される。そして、槽底部に形成されたフィード口109から環状エーテルが反応槽110内に供給され、ポリエーテルポリオールの合成反応が開始する。回転軸101は槽外の駆動源によって回転可能である。反応槽110で反応を行う間、回転軸101および攪拌翼102が
図10の矢印で示すように反時計回りに回転することで、反応槽110内の液体を攪拌する。この攪拌翼102が回転すると、槽底部の混合液がパドル翼106の回転による遠心力の作用を受け、回転軸101の下方から反応槽110の内壁面に向かう放射流が発生する。結果、攪拌翼102と反応槽110の内壁面の間に上昇流が発生し、また、回転軸101および格子翼107の付近に下降流が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
環状エーテルの開環付加重合反応では、大きな反応熱が生じる。特に、DMC触媒を用いる場合、反応速度がより高いため、単位時間あたりの発熱量もより大きくなりやすい。よって、ポリエーテルポリオールの製造においては、反応槽を冷却し、かつ、環状エーテルの供給量の増減によって反応熱を制御することで、その生産性をできるだけ高めている。結果、ポリエーテルポリオールの生産効率は、反応槽の冷却能力に依存する。
【0007】
しかし、従来の製造方法では、
図9に示すような反応槽110内の反応液の液面が低いときには、反応液と冷却コイル103との接触面積、反応液と冷却ジャケット104との接触面積が狭くなる。そのため、反応槽110内の反応液を充分に冷却できないおそれがある。結果、反応開始時点から時間がしばらく経過するまでの間は発熱量との関係で環状エーテルの供給量を少なくせざるを得ないため、ポリエーテルポリオールを製造する際の生産性を高めにくいという課題がある。
【0008】
本発明は、高生産性を実現しやすいポリエーテルポリオールの製造方法;および前記製造方法で得られたポリエーテルポリオールを用いるポリウレタン樹脂の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の態様を有する。
[1]開始剤および触媒の存在下で、少なくとも1種以上の環状エーテルを反応させるポリエーテルポリオールの製造方法であって;開始剤、触媒および環状エーテルを含む混合液が反応する反応槽と、前記反応槽内の前記混合液を冷却する冷却系と、前記反応槽内の前記混合液を攪拌する攪拌部材とを有するバッチ式反応器を用い、かつ、前記撹拌部材が、撹拌時の回転によって前記反応槽内の液面付近の前記混合液を上方に移動させながら前記反応槽の内壁面に向けて放射する流路となる部材を有する、ポリエーテルポリオールの製造方法。
[2]前記冷却系が、前記反応槽内の混合液を冷却可能な槽内型の冷却器を含み;前記攪拌部材によって液面より上方に移動した前記混合液を前記槽内型の冷却器と接触させる、[1]の製造方法。
[3]前記冷却系が、前記反応槽の壁面を冷却可能な外付け型の冷却器を含み;前記攪拌部材によって液面より上方に移動した前記混合液を前記反応槽の内壁面と接触させる、[1]または[2]の製造方法。
[4]前記攪拌部材が、一枚の平板と、前記平板と任意の角度をなして前記攪拌部材の回転軸から離れる向きに折り曲げて形成された部材とを有し;前記平板は、前記反応槽内での正面視において前記回転軸の中心線を境とした斜め上方に位置する上方部と、前記中心線を境とした斜め下方に位置する下方部とを含み;前記平板の形状は、前記上方部から前記下方部に向うにしたがい面積が漸次広がる形状である、[1]~[3]のいずれかの製造方法。
[5]開環付加重合させる際の圧力が、1.0MPaG以下である、[1]~[4]のいずれかの製造方法。
[6]前記開始剤が、炭素数が1~32の1価の脂肪族アルコール;炭素数が1~16の脂肪族ジオール;炭素数が1~16であり、かつ、水酸基を3~8個有する脂肪族ポリオール;水酸基価が10~750mgKOH/gであるポリオキシアルキレンモノオール;および水酸基価が10~1600mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、[1]~[5]のいずれかの製造方法。
[7]前記環状エーテルの炭素数が、2~4である、[1]~[6]のいずれかの製造方法。
[8]前記ポリエーテルポリオールの水酸基価換算分子量が、300~100000である、[1]~[7]のいずれかの製造方法。
[9]前記触媒が、アルカリ触媒または複合金属シアン化物錯体触媒である、[1]~[8]のいずれかの製造方法。
[10][1]~[9]のいずれかの製造方法で得られたポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを反応させることを含む、ポリウレタン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高生産性を実現しやすいポリエーテルポリオールの製造方法;および前記製造方法で得られたポリエーテルポリオールを用いるポリウレタン樹脂の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】バッチ式反応器の一例を示す模式断面図である。
【
図2】
図1のA-A矢視において冷却器を省略した図である。
【
図3】
図1のバッチ式反応器における攪拌翼を拡大して示す正面図である。
【
図4】バッチ式反応器の一例を示す模式断面図である。
【
図5】
図4のB-B矢視において冷却器を省略した図である。
【
図6】バッチ式反応器の一例を示す模式断面図である。
【
図7】
図6のC-C矢視において冷却器を省略した図である。
【
図9】従来のバッチ式反応器の一例を示す模式図である。
【
図10】
図9のD-D矢視断面において冷却コイルおよび冷却ジャケットを省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語の意味は、以下の通りである。
「水酸基価」および「水酸基価換算分子量」は実施例に記載の方法によって求められる値である。水酸基価を「OHV」と記し、水酸基価換算分子量を「MOH」と記すことがある。
「伸長比率」は、ポリエーテルポリオールを重合する際、開始剤の分子量に対する環状エーテルを反応させた後の生成物の分子量の比を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
【0013】
以下、図面を適宜参照しながらいくつかの実施形態例について説明する。以下の図面において、同一の構成については同じ符号を用いて示し、重複する構成について説明を省略することがある。また、図面における各構成の寸法比は、説明の便宜上実際の寸法比と異なっている場合がある。図面は実施形態例の説明の便宜のためのものであり、本発明は、以下の説明で使用する図面の寸法比および形態に限定されない。
【0014】
<ポリエーテルポリオールの製造方法>
本発明のポリエーテルポリオールの製造方法では、開始剤および触媒の存在下で少なくとも1種以上の環状エーテルを反応させる。
【0015】
(環状エーテル)
環状エーテルとしては、反応性の点から、炭素数が2~4の環状エーテルが好ましく、炭素数が2~4のアルキレンオキシドがより好ましい。
環状エーテルとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン、2,3-エポキシ-1-プロパノール、アリルグリシジルエーテルが挙げられる。1種の環状エーテルを開始剤に単独重合させてもよく、2種以上の環状エーテルを開始剤にブロック共重合させてもよく、ランダム共重合させてもよい。
【0016】
(触媒)
触媒としては、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ触媒;複合金属シアン化物錯体触媒(以下、「DMC触媒」と記載する。)が挙げられる。反応速度を上げやすい点で、DMC触媒が好ましい。
【0017】
開環付加重合反応の触媒としてDMC触媒を用いると、分子量が高く、分子量分布が狭く、そして粘度がより低いポリエーテルポリオールが得られやすい。
DMC触媒は、有機配位子を有する。有機配位子としては、例えば、t-ブチルアルコール(以下、「TBA」と記載する。)、n-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、t-ペンチルアルコール、iso-ペンチルアルコール、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、iso-プロピルアルコール、ジオキサンが挙げられる。ジオキサンは、1,4-ジオキサンでも1,3-ジオキサンでもよいが、1,4-ジオキサンが好ましい。有機配位子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、さらに分子量分布が狭く、さらに低粘度のポリエーテルポリオールが得られやすく、また、触媒活性を上げやすい点で、有機配位子としてTBAを有するDMC触媒が好ましい。
【0018】
(開始剤)
開始剤は、水酸基等の活性水素含有基を有する化合物である。
開始剤としては、炭素数が1~32の1価の脂肪族アルコール;炭素数が1~16の脂肪族ジオール;炭素数が1~16であり、かつ、水酸基を3~8個有する脂肪族ポリオール;水酸基価が10~750mgKOH/gであるポリオキシアルキレンモノオール;および水酸基価が10~1600mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が、反応性の観点から好ましい。
これらの他にも開始剤として、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン等のアミン類;フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の水酸基を有する樹脂を用いてもよい。開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
炭素数が1~32の1価の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、2-エチルヘキサノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール等の飽和脂肪族モノオール;オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、リノレイルアルコール等の不飽和脂肪族モノオール;エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール、アダマンチルアルコール等の環状脂肪族モノオール;が挙げられる。
なかでも炭素数が1~4の1価の脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールがより好ましい。
【0020】
炭素数が1~16の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオールが挙げられる。
炭素数が1~16であり、かつ、水酸基を3~8個有する脂肪族ポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、meso-エリスリトール、メチルグルコシド、グルコース、スクロース、ソルビトールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンモノオール、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
【0021】
開始剤の分子量は、目的とするポリエーテルポリオールの分子量に応じて適宜使い分ければよい。開始剤としてポリエーテルポリオールを用いる場合、水酸基価が10~750mgKOH/gであるポリオキシアルキレンモノオール、水酸基価が10~1600mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
バッチ式の生産法においては、反応生成物としてのポリエーテルポリオールの分子量は、重合反応前後の伸長比率に加えて開始剤の分子量にも依存する。そのため、高分子量のポリエーテルポリオールの生産を目的とする場合には開始剤の分子量は高い方が有利である。
【0022】
例えば、グリセリン、プロピレングリコール等の低分子量の開始剤を用いてもよく、低分子量の開始剤に環状エーテルをアルカリ触媒の存在下で開環付加重合させて得られたポリエーテルポリオールを開始剤として用いてもよい。
アルカリ触媒を用いると、低分子量の開始剤に環状エーテルを重合することができ、ある程度分子量が高いポリエーテルポリオールは得られる。このポリエーテルポリオールを開始剤として用い、かつ、DMC触媒を用いると、ポリエーテルポリオールに環状エーテルがさらに付加することで、さらに高分子量のポリエーテルポリオールが得られる。
【0023】
(反応)
ポリエーテルポリオールの製造に関係する化学反応として、例えば下記の反応が挙げられる。
・アルカリ触媒の存在下で低分子量の開始剤に環状エーテルを開環付加重合させ、低分子量の開始剤にポリオキシアルキレン鎖を伸長する反応(低分子量の開始剤の伸長)。
・アルカリ触媒またはDMC触媒の存在下で、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテルポリオール(開始剤)に環状エーテルを開環付加重合させ、分子量を高くする反応(ポリエーテルポリオールの高分子化)。
【0024】
触媒の使用量は、環状エーテルの開環付加重合に必要な量であればいかなる量でもよい。触媒の使用量は、反応に必要な量を確保したうえで、できるだけ少量とすることが好ましい。触媒の使用量が少ないほど、生成物のポリエーテルポリオールに混入する触媒の量が少なくなる。そのため、ポリエーテルポリオールを原料に用いて製造されるポリウレタン樹脂、機能性油剤等の製品の物性に対する触媒の影響を低減しやすい。例えば、ポリウレタン樹脂の製造の場合には、ポリエーテルポリオールのポリイソシアネート化合物との反応性に対する触媒の影響を低減できる。
【0025】
DMC触媒を用いる場合、DMC触媒の固体触媒成分が重合直後のポリエーテルポリオール中に10~100ppmとなる量のDMC触媒を用いることが好ましい。DMC触媒の固体触媒成分が10ppm以上であると、充分な重合触媒活性が得られやすい。DMC触媒の固体触媒成分が100ppm以下であると、使用量を少なくでき、生産コストの点で有利である。また、DMC触媒の残存量を低減しやすい。
ただし、ポリエーテルポリオールに対して100ppm超の固体触媒成分を含むDMC触媒を用いてもよく、DMC触媒の使用量の上限値は特に限定されない。
DMC触媒の固体触媒成分は、活性化に用いたポリオール化合物および過剰な配位子を除いた成分である。
【0026】
開環付加重合反応には、反応溶媒を用いてもよい。
反応溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン等の有機ハロゲン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテルが挙げられる。反応溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、沸点が低く、反応後終了後に除去しやすいことから、ヘキサン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0027】
(バッチ式反応器)
本発明のポリエーテルポリオールの製造方法では、開始剤、触媒および環状エーテルを含む混合液が反応する反応槽と、反応槽内の混合液を冷却する冷却系と、反応槽内の混合液を攪拌する攪拌部材とを有するバッチ式反応器を用いる。
【0028】
バッチ式反応器の反応槽は、ポリエーテルポリオールの合成反応を行うことができれば特に限定されない。反応槽の形状も特に限定されないが、典型的には、略円筒形の反応槽が挙げられる。バッチ式反応器は、反応槽内の混合液の温度を測定する温度計、反応槽内の圧力を測定する圧力計を有してもよい。
【0029】
バッチ式反応器の冷却系は、反応槽で発生する反応熱を冷却するためのものである。冷却系の具体的形態は特に限定されない。一例において、冷却系は槽内型の冷却器および外付け型の冷却器のいずれか一方または両方を少なくとも含む。冷却系はこれら冷却器に加えて、反応槽の外壁面および内壁面、熱交換媒体、熱交換媒体の還流装置をさらに含んでもよい。
【0030】
槽内型の冷却器は反応槽内に配置される。槽内型の冷却器によれば、反応槽内の混合液との直接的な接触により熱交換を行うことができる。よって、反応槽内の混合液を槽内型の冷却器と接触させることで、混合液と冷却系との間で熱交換させることができる。
槽内型の冷却器としては、例えば、コイルが挙げられる。コイルの場合、コイルを形成する金属管の内部に熱交換媒体を流すことで、反応槽内の混合液との熱交換が可能となり、反応槽内の混合液を冷却できる。
【0031】
外付け型の冷却器は反応槽外に配置される。外付け型の冷却器は反応槽の外壁面と接触して配置されることが多い。外付け型の冷却器によれば、反応槽の外壁面および内壁面を介して反応槽内の混合液と間接的に熱交換を行うことができる。よって、混合液を反応槽の内壁面と接触させることで、混合液と冷却系との間で熱交換させることができる。
外付け型の冷却器としては、例えば、ジャケットが挙げられる。外付け型の冷却器は少なくとも反応槽の側面を外部から覆うように配置されることが好ましい。ジャケットの場合、ジャケットを形成する部材の内部に熱交換媒体を流すことで、反応槽の壁面との熱交換が可能となり、反応槽の壁面を冷却できる。
【0032】
(攪拌部材を利用した熱交換)
バッチ式反応器の攪拌部材は、撹拌時の回転によって反応槽内の液面付近の混合液を上方に移動させながら反応槽の内壁面に向けて放射する流路となる部材を有する。そのため、攪拌部材によって反応槽内の液面付近の混合液を反応槽内の液面より上方に飛散させることができる。加えて、攪拌部材によって液面より上方に移動した混合液と冷却系との間で熱交換させることができる。
【0033】
例えば、
図1に示すバッチ式反応器20Aは、反応槽10と;反応槽10の中心軸に沿って設けられた回転軸1と;回転軸1に装着された攪拌翼(攪拌部材)2,2と;攪拌翼2,2より上方の回転軸1に装着された下向きのパドル翼3と;反応槽10内に配置されたコイル4と;反応槽10の外壁面と接触して配置されたジャケット5と;温度計6と;を有する。そして、各攪拌翼は、その回転によって反応槽10内の底部の混合液を液面より上方に移動させながら反応槽10の内壁面に向けて放射する流路となる部材2cをそれぞれ有する。
【0034】
2枚の攪拌翼2,2は、回転軸1に対して傾斜して回転軸1に装着されている。また、2枚の攪拌翼2,2は、その上端部分と下端部分の高さ位置がいずれも一致するように反応槽10内に配置されている。
図2に示すように2枚の攪拌翼2,2は、平板の面同士が互いに向き合うように回転軸1に装着されている。2枚の攪拌翼2,2は、回転軸1に対して、互いに180度回転させた位置に取り付けられている。回転軸1は槽外の駆動源によって回転可能である。回転軸1が反時計回りに回転すると、攪拌翼2,2は互いに向き合った状態のまま回転し、反応槽10内の混合液を攪拌する。
【0035】
2枚の攪拌翼2,2の形状は同一である。
図3に示すように攪拌翼2は、上方部2aおよび下方部2bとからなる一枚の平板2iと;部材2cとを有する。上方部2aは、回転軸1に装着された攪拌翼2の面2jを正面視したときに、回転軸1と平行な中心線Lを境とした斜め上方に位置する部分である。下方部2bは、該正面視において中心線Lを境とした斜め下方に位置する部分である。
この一例において部材2cは、平板2iの面2jと任意の角度αをなして回転軸1から離れる向きに折り曲げて形成されている。
【0036】
攪拌翼2の外縁をなす周辺は、中心線Lと交差して傾斜した第1の斜線2dと;中心線Lと略平行な第1の直線2eと;正面視において回転軸の中心線Lと交差して傾斜した第2の斜線2fと;反応槽の底部に向かって湾曲した曲線2gと;中心線Lと略平行な第2の直線2hと;からなる。これらの各線分がこの順に連続して接続されている。
第1の斜線2dの傾斜は、槽内で下側に位置する第2の斜線2fより緩やかである。言い換えると、第1の斜線2dと中心線Lとの角度βは、第2の斜線2fと中心線Lとの角度γより大きい。
【0037】
斜線2dおよび斜線2fの間の幅は、上方から下方に向うにしたがい漸次広がる。平板2iの形状は、上方部2aから下方部2bに向うにしたがい面積が漸次広がる形状である。
攪拌翼2の下方部2bは、槽底部の混合液を攪拌して混合できる。攪拌翼2の上方部2aは、攪拌の際に槽底部の混合液を液面より上方に飛散させることができる。
【0038】
バッチ式反応器20Aを用いた開環付加重合反応について
図1~
図3を参照して説明する。
ポリエーテルポリオールの合成反応を開始するに際し、槽頂部に形成された投入口8から開始剤および触媒を槽内に供給する。また、槽底部に形成されたフィード口7から環状エーテルを槽内に供給する。また、回転軸1および攪拌翼2,2を回転させ、攪拌翼2の下方部2bによって槽底部の混合液を攪拌して混合する。
【0039】
反応開始時点からある程度の時間が経過するまでの間においては、槽内の混合液の液面は相対的に低く、反応槽の底部から近い位置にある。このとき、攪拌翼2の上方部2aは液面から露出している。
攪拌翼2の下方部2bの回転によって吸い上げられた反応槽10内の底部の混合液は、部材2cを流路として第2の斜線2fに沿って上方に移動し、攪拌翼2の直線2e付近の端部から上方に飛散可能である。このように液面より上方に移動した混合液は、回転の遠心力の作用を受けてコイル4と接触し得る。このとき、コイル4内の熱交換媒体との熱交換が起きる。また、液面より上方に移動した混合液は、回転の遠心力の作用を受けて反応槽10の内壁面と衝突して接触し得る。この内壁面を介してジャケット5内の熱交換媒体との熱交換も起きる。
【0040】
槽内の液面が低いとき、攪拌翼2,2によって反応槽10内の底部の混合液を液面より上方に移動させることで、液面が低いときでも冷却系との接触面積を確保して広げ、混合液の反応熱を冷却系によって除去できる。部材2cを有する攪拌翼2によれば、攪拌翼2の下方部2bの回転によって吸い上げた槽底部の混合液を部材2cの流路面に沿って上方に飛散させることができる。また、遠心力の作用を利用することで内壁面に向けて混合液を跳ね飛ばすこともできる。
したがって、液面が低いときでもコイル4およびジャケット5との熱交換効率が高くなる。
【0041】
図3に示す角度γは、回転軸1、攪拌翼2の回転速度、回転半径、撹拌時の遠心力等を考慮して決定すればよい。角度γは、例えば、15~75度でもよく、30~60度でもよい。角度γが前記数値範囲の下限値以上であると、撹拌時に混合液が部材2cの流路面に沿って上方に移動しやすい。角度γが前記数値範囲の上限値以下であると、撹拌時に混合液がより高い位置まで上昇しやすい。
【0042】
このように
図1に示すバッチ式反応器20Aによれば、混合液の液面が低いときでも反応槽10内の底部の混合液を攪拌翼2によって液面より上方に移動させることで、混合液と冷却系との接触面積を広げることができる。よって、冷却系と混合液との熱交換効率が高くなるため、バッチ式反応器の本来の冷却能力が発揮されやすい。
したがって、反応槽10内の液面が低いときでも混合液を充分に冷却できる。結果として、反応開始時点直後から時間がしばらく経過するのを待たずに環状エーテルの単位時間あたりの供給量を増やせるため、高生産性を実現しやすい。また、優れた生産性でポリエーテルポリオールを製造できる。
【0043】
反応開始時点からある程度の時間が経過し、アルキレンオキシドの総供給量が多くなるにつれ、反応生成物のポリエーテルポリオールを含む混合液の液面は徐々に高くなり、攪拌翼2は徐々に液面に浸漬されていく。攪拌翼2の上方部2aが液面より低い位置に浸漬される程度高いときには、コイル4、ジャケット5と混合液の接触面積は充分に確保しやすいと考えられる。この点を考慮し、ポリエーテルポリオールの生産効率をできるだけ高めるように攪拌翼2、コイル4およびジャケット5の各装着位置や反応槽10の容積を設計することが好ましい。
【0044】
下向きのパドル翼3は攪拌翼2より上方に位置するため、相対的に液面が高くなったときに反応槽10内の混合液を攪拌できる。
下向きのパドル翼3は、複数枚(例えば、4枚)の羽根が1組となって回転方向に等間隔に配置されたものである。下向きのパドル翼3の各羽根には、短辺が所定の長さの長方形板が反応槽10の中心軸方向に対して所定の角度をなして傾斜して装着されている。
回転軸1が
図2の矢印で示すように反時計回りに回転したとき、下向きのパドル翼3による攪拌の結果、パドル翼3の付近から下降流が発生する。発生した下降流は、反応槽10の底部で攪拌翼2の下方部2bの回転作用を受け、回転軸1の下方から反応槽10の内壁面に向かう放射流を発生させる。結果、反応槽10の内壁面に沿った上昇流が発生する。
【0045】
開環付加重合させる際の圧力は1.0MPaG以下が好ましく、0.8MPaG以下がより好ましく、0.2MPaG以下がさらに好ましい。開環付加重合させる際の圧力が1.0MPaG以下であると、反応槽を設計しやすい。
【0046】
開環付加重合反応の温度は特に限定されない。例えば、30~180℃が好ましく、70~160℃がより好ましく、90~140℃がさらに好ましい。開環付加重合反応の温度が前記数値範囲の下限値以上であると、環状エーテルの開環付加重合が開始しやすい。開環付加重合反応の温度が前記数値範囲の上限値以下であると、DMC触媒が失活しにくい。ここで、温度は温度計6の測定値を採用する。
【0047】
所定の反応時間が経過した後、アルキレンオキシドの供給を停止すれば、開環付加重合反応を終了できる。槽底部に形成した取出口9を開栓し、生成したポリエーテルポリオールを含む混合液を抜き出して回収できる。
開環付加重合反応の終了後、生成物のポリエーテルポリオールから触媒を除去してもよい。ただし、ポリエーテルポリオールに残存する触媒の量が少なく、かつ、その後の影響を無視できる場合は、生産効率等の点で触媒の除去を省略してもよい。
【0048】
触媒の除去方法は特に限定されない。例えば、下記の方法が挙げられる。
・吸着剤を用いてDMC触媒を吸着し、次いでDMC触媒が吸着した吸着剤をろ過によって除去する方法。
・中和剤を用いて触媒を中和し、次いで中和済みの触媒をろ過によって除去する方法。
吸着剤としては、例えば、合成珪酸塩、イオン交換樹脂、活性白土が挙げられる。合成珪酸塩としては、例えば、マグネシウムシリケート、アルミニウムシリケートが挙げられる。中和剤としては、例えば、アミン、アルカリ金属水酸化物、有機酸、鉱酸が挙げられる。
【0049】
攪拌部材を利用した熱交換の具体的態様は、バッチ式反応器20Aに限定されない。バッチ式反応器20Aの他に例えば、
図4、
図5に示すバッチ式反応器20B、
図6、
図7に示すバッチ式反応器20Cを用いてもよい。以下、バッチ式反応器20B、バッチ式反応器20Cを用いる場合についてそれぞれ順に説明する。
【0050】
図4、
図5に示すバッチ式反応器20Bは、バッチ式反応器20Aにおいて2枚の攪拌翼2,2を、2本の樋11,11に変更したものである。2本の樋11,11は、その上端部分と下端部分の高さ位置がいずれも一致するように反応槽10内に配置されている。
各樋は、正面視において回転軸1と所定の角度をなして傾斜して回転軸1に支持部材12および支持部材13を介して固定されている。各樋の下端部は、回転軸1の下端に支持部材13を介して固定されている。各樋の上端部は、回転軸1の下端と下向きのパドル翼3との間に支持部材12を介して固定されている。
【0051】
バッチ式反応器20Bにおいて回転軸1が
図5の矢印で示すように反時計回りに回転すると、樋11,11は互いに向き合った状態のまま回転し、反応槽内の混合液を攪拌する。
槽内の液面が低いとき、各樋は、該樋の回転によって反応槽10内の底部の混合液を液面より上方に移動させながら遠心力によって反応槽10の内壁面に向けて放射する流路となる。そのため、各樋の下端の回転によって吸い上げられた反応槽10内の底部の混合液は、各樋11の流路面を流れて上方に移動し、各樋11の上端から飛散可能である。
このように各樋において、該樋の回転によって吸い上げられた槽底部の混合液を各樋の流路面に沿って上方に移動させることができる。また、内壁面に向けて混合液を跳ね飛ばすこともできる。したがって、反応槽内の液面が低いときでもコイル4、ジャケット5との接触面積を確保して広げることができる。
【0052】
バッチ式反応器20Bにおいても、反応槽内の液面が低いときでもコイル4、ジャケット5との接触面積を確保して広げ、混合液の反応熱を冷却系によって除去できる。したがって、バッチ式反応器20Aを用いる場合と同様の作用効果が得られる。
【0053】
図6、
図7に示すバッチ式反応器20Cは、バッチ式反応器20Aにおいて2枚の攪拌翼2,2を、2本のヘリカルリボン14,14に変更したものである。2本のヘリカルリボン14,14は、その上端部分と下端部分の高さ位置がいずれも一致するように反応槽10内に配置されている。
各ヘリカルリボンは、螺旋状の部材である。各ヘリカルリボンは、所定の間隔をあけて複数箇所で回転軸1に固定されている。各ヘリカルリボンの下端部は回転軸1の下端に固定され、各ヘリカルリボンの上端部は、回転軸1の下端とパドル翼3との間に支持部材を介して固定されている。
【0054】
バッチ式反応器20Cにおいて回転軸1が
図7の矢印で示すように反時計回りに回転すると、ヘリカルリボン14,14は互いに向き合った状態のまま回転し、反応槽内の混合液を攪拌する。
各ヘリカルリボンは、該ヘリカルリボンの回転によって反応槽10内の液面付近の混合液を該液面より上方に移動させながら遠心力によって反応槽10の内壁面に向けて放射する流路となる。そのため、各ヘリカルリボンの下端の回転によって吸い上げられた反応槽10内の底部の混合液は、各ヘリカルリボン14の流路面を流れて上方に移動し、各ヘリカルリボン14から飛散可能である。
【0055】
ヘリカルリボンの場合、ヘリカルリボンの上端のみならず、槽底部から上方に流れる途中の任意の高さ位置においても、遠心力によって内壁面に向けて混合液を跳ね飛ばすことができる。そのため、ヘリカルリボンの上端と下端の間の任意の高さ位置のコイル4および槽の内壁面と接触して効果的に熱交換を行うことができると考えられる。
したがって、反応槽内の液面が低いときでもコイル4、ジャケット5との接触面積を確保して広げることができる。
【0056】
バッチ式反応器20Cにおいても、反応槽内の液面が低いときでもコイル4、ジャケット5との接触面積を確保して広げ、混合液の反応熱を冷却系によって除去できる。したがって、バッチ式反応器20Aを用いる場合と同様の作用効果が得られる。
【0057】
(ポリエーテルポリオール)
本発明の製造方法で得られるポリエーテルポリオールのMOHは300~100000が好ましく、1000~50000がより好ましく、5000~30000がさらに好ましい。ポリエーテルポリオールのMOHが前記数値範囲の下限値以上であると、反応槽において低液面から反応を始めたことによる伸長比率の増加を得やすい。ポリエーテルポリオールのMOHが前記数値範囲の上限値以下であると、開始剤、反応中の液の粘度を低くしやすく、混合液を飛散させやすい。
【0058】
特に、MOHが5000以上の高分子量のポリエーテルポリオールを得る場合、反応速度を上げやすい点でDMC触媒が好適に用いられる。DMC触媒を用いる場合、MOHが5000以上のポリエーテルポリオールをバッチ式反応器において効率よく大量に合成するためには、反応槽容積V0の1/10程度の相対的に少量の開始剤およびDMC触媒を反応槽内に貯留し、次いで、環状エーテルを供給することが好ましい。このように反応を開始すると、反応槽内の液面はどうしても低くなる。
しかし、従来法では、反応開始時点では反応槽内の液面が低いときには、混合液と冷却系との接触面積が狭いため、冷却系の本来の冷却能力が充分に発揮されない。
対して本発明においては、反応槽で反応中の混合液の液面が相対的に低位であっても、混合液と冷却系との接触面積を確保でき、冷却系による本来の冷却能力が発揮されやすい。したがって、本発明の製造方法によれば、MOHが5000以上のポリエーテルポリオールをバッチ式反応器において効率よく大量に合成しやすいという利点が提供される。
【0059】
加えて、本発明の製造方法によれば1回あたりのバッチ式反応器で得られるポリエーテルポリオールの伸長比率を高くすることができると考えられる。したがって、従来のバッチ式反応器では数回のバッチ式反応を経なければ到達できなかったような伸長比率を1回のバッチ式反応で実現できる可能性もある。本発明によれば、重合工数の低減を期待できる。バッチ式反応を行うごとに合成したポリエーテルポリオールを反応槽から抜き出し、続くバッチ式反応の開始剤として利用する手間を考慮すると、伸長比率の向上による高生産性への寄与は大きい。
また、本発明の製造方法によれば液面が低位の時でもバッチ式反応器の冷却能力が充分に発揮されるため、大型の反応槽を用いたときでも少量生産に対応できる。すなわち反応終了後の液面が低位であっても、優れた生産性で少量のポリエーテルポリオールを製造できる。
【0060】
本発明のポリエーテルポリオールの製造方法においては、酸化防止剤、防食剤、pH調整剤等の種々の添加剤を用いてもよい。
例えば、ポリエーテルポリオールに酸化防止剤、防食剤を添加すると、長期間の貯蔵中におけるポリエーテルポリオールの劣化を防止しやすい。
例えば、pH調整剤を用いると、ポリエーテルポリオール製造時の合成反応を制御しやすい。また、得られたポリエーテルポリオールを用いたウレタン樹脂の反応性を制御しやすい。pH調整剤としては、例えば、リン酸が挙げられる。
【0061】
(作用機序)
以上説明した本発明のポリエーテルポリオールの製造方法においては、反応槽内の混合液を攪拌する攪拌部材が、撹拌時の回転によって反応槽内の液面付近の混合液を上方に移動させながら反応槽の内壁面に向けて放射する流路となる部材を有する。そのため、液面が低く、冷却系との接触面積が得られにくいときでも、攪拌部材によって液面より上方に移動した混合液と冷却系との間で熱交換させることができる。また、混合液と冷却系との接触面積を確保して広げることができる。結果、冷却系と混合液との熱交換効率が高くなるため、混合液の液面が相対的に低いときでもバッチ式反応器の本来の冷却能力が発揮されやすい。
したがって、本発明の製造方法によれば、混合液の液面が低いときでも反応槽内の混合液を充分に冷却できる。よって、液面が低いときに環状エーテルの供給量を少なくする必要性が少ない。結果として、環状エーテルの単位時間あたりの供給量を増やせるため高生産性を実現しやすい。
【0062】
<ポリウレタン樹脂の製造方法>
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを反応させることを含む。
ポリエーテルポリオールは、上述した本発明の製造方法によって製造できる。得られるポリエーテルポリオールの詳細および好ましい態様も上述の通りである。
ポリイソシアネート化合物は特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート;アラルキルポリイソシアネート;脂肪族ポリジイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートの各種変性体(イソシアネート基を2個有する変性体)が挙げられる。ポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、3,5-トリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDI)が挙げられる。
アラルキルポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリジイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネートが挙げられる。
脂環式ポリジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の製造には、従来公知の手法や条件を適用できる。例えば、国際公開第2006/043569号明細書の段落0040~0043に記載される手法や条件が適用され得る。
ポリウレタン樹脂の用途としては、例えば、ウレタンフォーム(硬質ウレタンフォーム、軟質ウレタンフォーム)、ウレタンプレポリマー、ウレタンエラストマー、ウレタン樹脂系接着剤が挙げられる。
【0063】
<ポリエーテルポリオールの用途>
本発明の方法により得られたポリエーテルポリオールの用途としては、例えば、ポリウレタン樹脂、エラストマー、接着剤、塗料、シーラント、印刷インキ、人工皮革、合成皮革、弾性繊維、バインダー、医療用材料、フォーム、床材等の原料;例えば、特開2015-214605号明細書の段落[0077]~[0082]に記載される方法でポリエーテルポリオールの末端の水酸基を反応性ケイ素基を含む基に変換して得られる変成シリコーンポリマー等のシーリング剤の原料;界面活性剤、冷媒、冷凍機油等の機能油が挙げられる。
【0064】
<変形例>
以上いくつかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。本明細書に開示の実施形態は、その他の様々な形態で実施可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更が可能である。
【0065】
例えば、攪拌部材(攪拌翼、樋、ヘリカルリボン、上向きのパドル翼)の個数は特に限定されない。所望の攪拌能力および飛散能力に応じて適宜増減可能である。バッチ式反応器20A,20B,20Cにおいては、一対の攪拌部材が回転軸1上の任意の対称の中心に対して点対称の位置に配置されているが、他の例においては、複数の攪拌部材が回転軸1上の任意の対称の中心に対して点対称の位置に配置されてもよい。
また、反応槽内で2種以上の各攪拌部材を組み合わせて併用してもよい。
【0066】
例えばバッチ式反応器20Bにおいて、各樋はそれぞれ管に変更可能である。すなわち、樋は、中空状の管路に変更可能である。管によって攪拌する場合でも、該管の撹拌時の回転によって反応槽内の液面付近の混合液を上方に移動させながら、遠心力によって反応槽の内壁面に向けて放射できる。
また、バッチ式反応器20Bにおいて、各樋の形状は直線状でなくともよく、反応槽の径方向に向うにつれ勾配が大きくなる形状でもよい。
【実施例0067】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。例1は実施例である。例2は比較例である。
【0068】
<略語>
PO:プロピレンオキシド
PG:プロピレングリコール
TBA-DMC触媒:tert-ブチルアルコールが配位した亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体
【0069】
<測定方法>
(水酸基価:OHV)
OHVは、JIS K1557-1(2007)B法に準拠して測定した。
【0070】
(水酸基価換算分子量:MOH)
MOHは、OHVを用いて、下式1により算出した。
MOH=(56100/OHV)×(n) ・・・式1
式中、nは、開始剤における活性水素基の数である。
【0071】
(冷却能力)
冷却コイルによる冷却能力Qcは、以下の通り算出した。
ポリエーテルポリオールの合成反応においては、POの反応熱、投入POの顕熱により温度が上昇する。また、冷却系による冷却で温度が下降する。冷却系の冷却水の循環のON/OFFを制御して冷却水を流し、反応槽内の反応温度を維持した。例えば、反応温度の設定温度を130.0℃に設定した場合、130.5℃を超えた場合に冷却水を流し(ON)、129.5℃を下回った場合冷却水を止める(OFF)制御である。この制御によって反応槽の温度履歴は設定温度±8℃以内の温度範囲で増減を繰り繰り返すようにした。
このとき、温度上昇の傾斜をdT/dt1[℃/sec]とし、また、温度下降の傾斜をdT/dt2[℃/sec]とした。
【0072】
冷却水が流れていない状態の系中の熱量変化Qh[kW]を、温度傾斜dT/dt1を用いて下式2で求めた。
Qh=dT/dt1×M[kg]×比熱[J/kgK] ・・・式2
式中、Mは反応槽内の液体の質量である。比熱の値は2000[J/kgK]で、一定とした。
【0073】
冷却水が流れているときの温度傾斜dT/dt2は、冷却水が流れていない状態の系中の熱量変化Qh[kW]と冷却能力Qc[kW]の合計熱量変化により生じる。そのため、冷却能力Qcとの間に以下の関係が成り立つ。
Qh+Qc=dT/dt2×液量M[kg]×比熱[J/kgK]
よって、冷却能力Qc[kW]は、下式3で求めた。
Qc=dT/dt2×M[kg]×比熱[J/kgK]-Qh ・・・式3
式中、Mおよび比熱の値は式2と同じである。
【0074】
(TBA-DMC触媒の調製)
TBA-DMC触媒を下記の方法で調製した。
水酸化カリウム触媒の存在下に、PGにPOを開環付加重合させ、脱アルカリ精製してポリオールP1を得た。ポリオールP1は、一分子あたりの平均水酸基数が2であり、Mnが2,000であるポリオキシプロピレンジオールである。
500mLのフラスコに、塩化亜鉛の10.2gと水の10gとからなる塩化亜鉛水溶液を入れた。塩化亜鉛水溶液を毎分300回転で撹拌しながら、カリウムヘキサシアノコバルテートの4.2gと水の75gとからなるカリウムヘキサシアノコバルテート水溶液を、30分間かけて塩化亜鉛水溶液に滴下した。この間、フラスコ内の混合溶液を40℃に保った。カリウムヘキサシアノコバルテート水溶液の滴下が終了した後、フラスコ内の混合物をさらに30分撹拌した後、TBAの80g、水の80g、およびポリオールP1の0.6gからなる混合物を添加し、40℃で30分間撹拌し、さらに60℃で60分間撹拌した。得られた混合物を、直径125mmの円形ろ板と微粒子用の定量ろ紙(ADVANTEC社製品名、No.5C)とを用いて加圧下(0.25MPa)でろ過し、複合金属シアン化物錯体を含む固体(ろ過ケーキ)を得た。
次いで、ろ過ケーキをフラスコに移し、TBA36gと水84gからなる混合液を添加して30分撹拌した後、同じ操作によって加圧下(0.25MPa)で再びろ過した。得られたろ過ケーキをフラスコに移し、さらにTBAの108gと水の12gからなる混合液を添加して30分間撹拌し、複合金属シアン化物錯体触媒がTBA-水混合液に分散した分散液を得た。分散液にポリオールP1の120gを添加した後、減圧下、80℃で3時間、揮発性成分を留去し、さらに115℃で3時間、揮発性成分を留去して、TBA-DMC触媒のスラリーを得た。スラリー中に含まれるTBA-DMC触媒の濃度は、5.0質量%であった。
【0075】
(ポリオールP2:ポリオキシプロピレンジオールの合成)
水酸化カリウムの存在下でPGにPOを開環付加重合させ、ポリオールP2を得た。ポリオールP2は、MOHが700であるポリオキシプロピレンジオールである。ポリオールP2は、以下の例1および例2で開始剤として使用した。
【0076】
<例1>
例1においては
図1、2に示すバッチ式反応器20Aを用いた。バッチ式反応器20Aの反応槽の容積V
0は60Lであった。攪拌をしない場合に内部液と冷却コイルが接触する液量は4.5Lであった。ジャケット5には熱交換媒体を流し、冷却としてではなく内部液の温調に使用した。
バッチ式反応器20Aの反応槽10に、ポリオールP2の2532g、DMC触媒の2.5g(スラリー量50g)、リン酸の7.7mgを投入した。攪拌翼2,2を300rpmで回転させ、130℃に昇温し、1時間減圧脱気した。攪拌翼2,2の回転数は反応槽内に粘度100[mPa・sec]の液を50L入れた状態でPv値が2.5[kW/m
3]となる値に設定した。
反応開始前にジャケット5の熱交換媒体の温度を130℃に調整し、目標反応温度と合わせることで、ジャケットとの熱交換を極力小さくした。また、反応槽10内にN
2ガスを入れ、圧力を0.00MPaGに調整した。
次いでPOを360g添加した。添加開始から12分後から温度上昇とともに圧力が低下し始め、16分後に常圧まで圧力が低下し、DMC触媒の活性化を確認した。温度は瞬間的に133℃まで上昇したがその後低下した。
次いでPOを160.1g/minの速さで38630g添加した。反応中はコイル4による温調制御が充分に可能であり、終始130±8℃の範囲で温度を維持することができた。反応後の圧力は0.27MPaGであった。圧抜きをして圧力を0.00MPaGに調整した。
次いでPOを71.2g/minの速さで8345g添加した。反応後の圧力は0.16MPaGであった。反応後の液を減圧脱気し、ポリオールAを得た。以上の一連の反応中、混合液の液面が低く、底部付近にある間は、攪拌翼2,2の回転によって反応槽内の底部の混合液が液面より上方に飛散していたと考えられる。
ポリオールAのOHVは9.1mgKOH/gであり、M
OHは12343であった。ポリオールP2、およびポリオールAの比重はほぼ1.0であり、バッチ式反応器20Aの内部液の合計が49503gであることから、ポリオールAとポリオールP2の体積比は19.6/1と算出した。また、反応槽容積(V
0:60L)に対して開始剤は2.53Lであるため、開始剤量と反応槽容積の容積比は1/23.7であった。
【0077】
<例2>
例2においては、
図9、10に示すバッチ式反応器120を用いた。
バッチ式反応器120の反応槽容積V
0は60Lであった。攪拌をしない場合に内部液と冷却コイル104が接触する液量は4.5Lであった。冷却ジャケット105には熱交換媒体を流し、冷却としてではなく内部液の温調に使用した。
バッチ式反応器120の反応槽110に、ポリオールP2の2527g、DMC触媒の2.5g(スラリー量50g)、リン酸の8.9mgを投入した。攪拌翼102を240rpmで回転させ、130℃に昇温し、1時間減圧脱気した。攪拌翼102の回転数は反応槽内に粘度100[mPa・sec]の液を50L入れた状態でPv値が2.5[kW/m
3]となる値に設定した。
反応開始前に冷却ジャケット105の熱交換媒体の温度を130℃に調整し、目標反応温度と合わせることで、冷却ジャケット105との熱交換を極力小さくした。また、反応槽110内にN
2ガスを入れ、圧力を0.00MPaGに調整した。
次いでPOを360g添加した。添加開始から12分後から温度上昇とともに圧力が低下し始め、17分後に常圧まで圧力が低下し、DMC触媒の活性化を確認した。温度は瞬間的に133℃まで上昇したがその後低下した。
次いでPOを160.1g/minの速さで38465g添加した。反応中は冷却コイル104による温調制御が充分に可能であり、終始130±8℃の範囲で温度を維持することができた。反応後の圧力は0.28MPaGであった。圧抜きをして圧力を0.00MPaGに調整した。
次いでPOを71.2g/minの速さで8445g添加した。反応後の圧力は0.11MPaGであった。反応後の液を減圧脱気し、ポリオールBを得た。ポリオールBのOHVは9.7mgKOH/g、M
OHは11520であった。ポリオールP2およびポリオールBの比重はほぼ1.0であり、バッチ式反応器120の内部液の合計が49847gであることから、ポリオールBとポリオールP2の体積比は19.7/1と算出した。また、反応槽容積(V
0:60L)に対して開始剤は2.53Lであるため、開始剤量と反応槽容積の容積比は1/23.7であった。
【0078】
<評価結果>
図8に式2および式3から算出した例1、例2の反応中の冷却能力を示す。
図8中、横軸は反応槽内の液量(g)を示し、縦軸は冷却能力の指標となる熱量(W)を示す。
例1のほうが全体的に冷却能力は高く、液飛散による冷却能力の上昇がみられた。しかし、反応槽内の液量が7kgから10kgの範囲では例2のほうが冷却能力は高かった。これは攪拌翼2による液の飛散能力が得られにくい液面高さのときに、冷却能力が相対的に発揮されにくくなったものと考えられる。
本実施例では60Lの試験用反応器の例を記載したが、大型の生産設備の場合、容積に対しての冷却面積を確保しにくくなるため、冷却能力の向上効果の技術的意義はさらに大きくなる。また、コイルだけでなくジャケットも冷却に使用した場合には、液飛散による冷却面積をさらに広げることができる。
以上から、例1では、液面高さが低いときには例2と比較して優れた冷却能力を発揮できたと考えられる。そのため、生産性の向上および生産時間の短縮を期待できる。
本発明によれば、高生産性を実現しやすいポリエーテルポリオールの製造方法;および前記製造方法で得られたポリエーテルポリオールを用いるポリウレタン樹脂の製造方法が提供される。