(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171045
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車外表示器の防水構造
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20231124BHJP
B60R 13/00 20060101ALI20231124BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R13/00
G09F9/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083238
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡留 宏将
(72)【発明者】
【氏名】湯沢 亮文
(72)【発明者】
【氏名】河崎 佳
【テーマコード(参考)】
3D020
3D024
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA01
3D020BB01
3D020BB02
3D020BC13
3D020BD03
3D020BD05
3D024BA03
3D024BA08
3D024BA13
3D024BA15
5G435AA13
5G435EE09
5G435GG43
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】車外表示器の被水をより抑制する。
【解決手段】車外表示器14を覆う部材であるカバー部材12は、パネル20、樹脂ケース26、及び止水壁30を含んで構成される。樹脂ケース26は、液体不透過性を有し、車両外側側方に開口する箱形状を有し、その内部に車外表示器14を収容する。パネル20は、液体不透過性を有し、車両10の外表面の一部を構成し、樹脂ケース26の開口を覆うように設けられる。止水壁30は、液体不透過性を有し、樹脂ケース26の周囲においてパネル20の裏面から車両内側に突出する。止水壁30によって、パネル20と樹脂ケース26との間の隙間から樹脂ケース26の内部に水が浸入することが抑制される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体不透過性を有し、車両外側側方に開口する箱形状であって、車外表示器を収容するケースと、
液体不透過性を有し、前記ケースの開口を覆い、車両の外表面の一部を構成するパネルと、
液体不透過性を有し、前記ケースの周囲において前記パネルの車両内側面から車両内側に突出する止水壁と、
を備えることを特徴とする車外表示器の防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、車外表示器の防水構造の改良を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた電気機器の防水構造が提案されている。例えば、特許文献1には、電気機器としての回路構成体を収容するケースと、ケースの開口部を覆うカバーを含む防水構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車外に居る者に向けた表示を行う車外表示器が車両に設けられる場合がある。通常、車外表示器は、車両の外表面を構成するパネルのすぐ内側に設けられるため、パネルの内側に入り込んだ水によって濡れやすいと言える。また、車載専用として開発されたものではない民生品(詳しくは、水に濡れやすい環境で利用されることが想定されていないもの)が車外表示器として利用される場合も考えられ、車外表示器自体の防水性能が不十分である場合が考えられる。したがって、車外表示器への被水をより抑制できる防水構造が望まれている。
【0005】
本明細書で開示される車外表示器の防水構造の目的は、車外表示器の被水をより抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される車外表示器の防水構造は、液体不透過性を有し、車両外側側方に開口する箱形状であって、車外表示器を収容するケースと、液体不透過性を有し、前記ケースの開口を覆い、車両の外表面の一部を構成するパネルと、液体不透過性を有し、前記ケースの周囲において前記パネルの車両内側面から車両内側に突出する止水壁と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、車外表示器は、液体不透過性を有するパネル及びケースによって包み込まれる形になり、これにより車外表示器の被水が抑制される。さらに、液体不透過性を有する止水壁によって、パネルとケースとの間の隙間からケースの内部に水が侵入することが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示される車外表示器の防水構造によれば、車外表示器の被水をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両10の外観図である。本明細書の各図において、前及び後(REAR)の用語は車両前後方向の前後を意味し、左及び右(RH)の用語は前を向いたときの左右を意味し、上(UP)及び下は車両上下方向の上下を意味する。
【0011】
本実施形態では、車両10は、バッテリに蓄えられた電力によって走行用モータが駆動される電動車両である。特に、本実施形態では、車両10は、車両10に搭載されたコンピュータ、又は、車両10を制御する管理センタの制御によって自動運転可能な自動運転車両となっている。なお、車両10としては、電動車両や自動運転車両に限られず、後述の車外表示器14が設けられる限りにおいてどのような車両であってもよい。
【0012】
車両10の前側面には、フロントウィンドウの下方に、車両10の外表面(前側外表面)の一部を構成するカバー部材12が設けられている。詳しくは後述するが、カバー部材12は、車外に居る者に向けた表示を行う車外表示器14を覆う部材である。カバー部材12には、ヘッドランプ16用の孔が設けられており、カバー部材12の外表面とヘッドランプ16の外表面とが略面一となっている。
【0013】
車外表示器14は、車両外側に表示面14aを有しており、表示面14aにおいて種々の情報を表示させることができるようになっている。本実施形態では、表示面14aは複数の発光素子(例えばLED(Light Emitting Diode))で構成されている。
【0014】
なお、本実施形態では、車外表示器14が車両10の前側面に設けられた場合における車外表示器14の防水構造を説明するが、車外表示器14は、車両10の前側面以外にも、後側面や左右側面に設けられてもよい。その場合であっても、本実施形態で説明する防水構造を適用することが可能である。
【0015】
図2は、カバー部材12の斜視図であり、
図3は、
図2のA-A方向から見た断面図である。
図2においては、車両10のカバー部材12以外の部材の図示は省略されており、カバー部材12の裏面(車両内側面)が示されている。
【0016】
カバー部材12は、車両10の前側外表面の一部を構成する板状のパネル20を含んで構成される。パネル20は樹脂製(例えば樹脂ガラス)であり、液体不透過性を有する。なお、本実施形態では、パネル20は平板ではなく、車両10の前側面の形状に応じて、左右方向中央部が左右方向端部よりも前側にやや突出するように湾曲した形状となっている。
【0017】
パネル20は、車外表示器14よりも車両外側(本実施形態では前方)に設けられる(
図3参照)。パネル20のうち、少なくとも表示面14aに対向する部分は、透明又は半透明となっており、車外に居る者は、パネル20を介して表示面14aを視認可能となっている。
【0018】
パネル20には、ヘッドランプ16用の孔22が設けられている。パネル20の外表面(車両外側面)とヘッドランプ16の外表面とが面一となるように、ヘッドランプ16が孔22に嵌め込まれる。また、パネル20の裏面には複数のクリップ部材24が設けられており、複数のクリップ部材24によってカバー部材12が車両10のフレームに取り付けられる。
【0019】
パネル20の見切り部(端部)は、完全防水とはなっておらず、例えば、パネル20の上端から、あるいは孔22から、水がパネル20の裏面側に侵入し得る。
【0020】
カバー部材12は、樹脂ケース26を含んで構成される。樹脂ケース26は樹脂製であり、液体不透過性を有する。樹脂ケース26は、車両外側側方(本実施形態では前方)に開口する箱形状を有する。樹脂ケース26の開口形状は略長方形となっている。樹脂ケース26は、その内部に車外表示器14を収容して、パネル20の裏面に取り付けられる。これにより、樹脂ケース26の開口がパネル20によって覆われ、車外表示器14は、パネル20と樹脂ケース26によって包み込まれる形になる。液体不透過性のパネル20及び樹脂ケース26によって、車外表示器14の被水が抑制される。
【0021】
図3に示すように、パネル20と樹脂ケース26との間の隙間には、シーリング材28が設けられる。シーリング材28は、ゴム発泡体などで形成された弾性を有する部材である。本実施形態では、シーリング材28は、パネル20と樹脂ケース26との間の隙間全体に亘って設けられている。
【0022】
シーリング材28は、パネル20と樹脂ケース26との間の隙間から塵や異物(虫など)が樹脂ケース26の内部に侵入することを抑制する防塵機能を発揮する。一方、シーリング材28は水を吸い込んでしまう性質を有しており、樹脂ケース26の内部への水の侵入を完全に止める完全止水機能は有さない。
【0023】
したがって、パネル20と樹脂ケース26との間の隙間から樹脂ケース26の内部に水が浸入することを抑制すべく、カバー部材12は止水壁30を含んで構成される。止水壁30は、樹脂ケース26の周囲においてパネル20の裏面から車両内側に突出する部材である。止水壁30は樹脂製(例えばEPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)製など)であり、液体不透過性を有する。
【0024】
本実施形態では、止水壁30として、樹脂ケース26の上方において左右方向に延伸する上側止水壁30u、樹脂ケース26の左側方(特に樹脂ケース26と左側の孔22lとの間)において上下方向に延伸する左側止水壁30l、及び、樹脂ケース26の右側方(特に樹脂ケース26と右側の孔22rとの間)において上下方向に延伸する右側止水壁30rが設けられている。
【0025】
上側止水壁30uは、パネル20と樹脂ケース26の開口上辺との間の隙間の上方を覆うことになる。したがって、上側止水壁30uは、上方からパネル20の内側に入り込んできた水がパネル20と樹脂ケース26の開口上辺との間の隙間から樹脂ケース26の内部に侵入することを抑制する。左側止水壁30lは、パネル20と樹脂ケース26の開口左辺との間の隙間の左側方を覆うことになる。したがって、左側止水壁30lは、(例えば高圧洗車時などに)孔22lからパネル20の内側に入り込んできた水がパネル20と樹脂ケース26の開口左辺との間の隙間から樹脂ケース26の内部に侵入することを抑制する。右側止水壁30rは、パネル20と樹脂ケース26の開口右辺との間の隙間の右側方を覆うことになる。したがって、右側止水壁30rは、孔22rからパネル20の内側に入り込んできた水がパネル20と樹脂ケース26の開口右辺との間の隙間から樹脂ケース26の内部に侵入することを抑制する。
【0026】
図3を参照して、上側止水壁30uの形状の詳細を説明する。上側止水壁30uは、パネル20の裏面から車両内側に立設する立設部30uaと、立設部30uaの下側面から下方に突出する下方突出部30ubを含んで構成されている。立設部30ua及び下方突出部30ubは、いずれも左右方向に延伸する板状の部材である。下方突出部30ubは、立設部30uaの上側面に滴下した水が、表面張力などの作用によって、立設部30uaの表面に沿って立設部30uaの下側に回り込んで、パネル20と樹脂ケース26の開口上辺との間の隙間へ向かうことを抑制している。また、水が立設部30uaの下側により回り込み難くなるように、立設部30uaは、パネル20の裏面からやや下方に傾いて立設されているとよい。
【0027】
図3の破線矢印で示すように、上方からの水は、上側止水壁30uにより樹脂ケース26の上側面に誘導され、樹脂ケース26の上側面からさらに車両後方、つまりパネル20と樹脂ケース26の開口上辺との間の隙間から離れる方向に誘導される。樹脂ケース26の上側面に落ちた水が車両後方により流れ易くなるように、樹脂ケース26の上側面も、上方及び車両後方を向くような斜面になっているとよい。
【0028】
上述のように、本実施形態では、液体不透過性のパネル20と樹脂ケース26で車外表示器14を包み込むことで車外表示器14の被水を抑制し、さらに、液体不透過性の止水壁30によってパネル20と樹脂ケース26との間の隙間から樹脂ケース26の内部に水が浸入することが抑制される。本実施形態によれば、パネル20、樹脂ケース26、及び止水壁30という簡易な構造によって(換言すれば低コストで)車外表示器14の被水が抑制される。また、樹脂ケース26及び止水壁30はいずれもパネル20よりも車両内側にあるため、本実施形態に係る防水構造を適用したとしても、パネル20の外表面に影響を与えることがない。すなわち、パネル20の意匠性を損なうことなく、本実施形態に係る防水構造を適用することができる。
【0029】
以上、本開示に係る電動車両の実施形態を説明したが、本開示に係る電動車両は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 車両、12 カバー部材、14 車外表示器、14a 表示面、16 ヘッドランプ、20 パネル、22 孔、24 クリップ部材、26 樹脂ケース、28 シーリング材、30 止水壁、30u 上側止水壁、30ua 立設部、30ub 下方突出部、30l 左側止水壁、30r 右側止水壁。