(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171094
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】着用物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/74 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61F13/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083329
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 友美
(72)【発明者】
【氏名】千葉 優希
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA13
3B200BB11
3B200CB02
3B200CB15
(57)【要約】
【課題】吸収性パッドと併用される着用物品において、着用状態における吸収性パッドのヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッドの着脱を容易に行うことができる。
【解決手段】着用物品1は、腹側部101と、背側部102と、股下部103と、に区分される本体部10を備える。着用状態において吸収性パッド2に対向する本体部10の内面10aには、吸収性パッド2と結合可能に構成された複数の結合部30が設けられている。複数の結合部30は、腹側結合部31と、背側結合部32と、股下結合部33と、を有する。長手方向Lにおいて、腹側結合部31、股下結合部33、及び背側結合部32は、互いに離間して配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性パッドを介して着用者の胴体下部の周囲に着用される再利用可能な布下着である着用物品であって、
前記着用物品が前記着用者に着用された着用状態において前記着用者の腹側に位置する腹側部と、前記着用状態において前記着用者の背側に位置する背側部と、前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部と、を有する本体部と、
前記着用状態において前記吸収性パッドに対向する前記本体部の内面に設けられ、前記吸収性パッドと結合可能に構成された複数の結合部と、
を備え、
前記複数の結合部は、前記腹側部に設けられた腹側結合部と、前記背側部に設けられた背側結合部と、前記股下部に設けられた股下結合部と、を有し、
前記腹側部、前記股下部、及び前記背側部が並ぶ方向である長手方向において、前記腹側結合部、前記股下結合部、及び前記背側結合部は、互いに離間して配置されている、
着用物品。
【請求項2】
前記腹側結合部は、前記長手方向において、前記腹側部の前記股下部側とは反対側の端部である前端部と前記腹側部の足ぐり部分との間に配置されている、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記腹側部は、前記前端部に沿って設けられ、前記着用状態において前記着用者の胴回りを締めるように前記長手方向に直交する幅方向に収縮する腹側弾性部材を有し、
前記腹側結合部は、前記長手方向において、前記腹側弾性部材よりも前記股下部側に配置されている、
請求項2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記長手方向に直交する幅方向における前記腹側結合部の長さは、前記本体部の最狭部の幅よりも短い、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項5】
前記背側結合部は、前記長手方向において、前記背側部の前記股下部側とは反対側の端部である後端部と前記背側部の足ぐり部分との間に配置されている、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項6】
前記背側部は、前記後端部に沿って設けられ、前記着用状態において前記着用者の胴回りを締めるように前記長手方向に直交する幅方向に収縮する背側弾性部材を有し、
前記背側結合部は、前記長手方向において、前記背側弾性部材よりも前記股下部側に配置されている、
請求項5に記載の着用物品。
【請求項7】
前記長手方向に直交する幅方向における前記背側結合部の長さは、前記本体部の最狭部の幅よりも短い、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項8】
前記股下結合部は、前記長手方向に直交する幅方向に沿って延在しており、
前記幅方向における前記股下結合部の長さは、前記長手方向における前記股下結合部の長さよりも長い、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項9】
前記長手方向に直交する幅方向における前記股下結合部の長さは、前記幅方向における前記腹側結合部の長さ及び前記幅方向における前記背側結合部の長さよりも短い、
請求項8に記載の着用物品。
【請求項10】
前記長手方向に直交する幅方向における前記股下結合部の長さは、前記本体部の最狭部の幅よりも短い、
請求項8に記載の着用物品。
【請求項11】
前記長手方向に直交する幅方向における前記股下結合部の第1端部から、前記幅方向における前記股下結合部の前記第1端部とは反対側の第2端部までの距離は、前記本体部の最狭部の幅の1/3以上である、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項12】
前記股下結合部は、第1股下結合部及び第2股下結合部を有し、
前記第1股下結合部は、前記長手方向において、前記第2股下結合部よりも前記腹側部側に配置されている、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項13】
前記第1股下結合部は、前記長手方向における前記本体部の中央位置よりも前記腹側部側に配置されており、
前記第2股下結合部は、前記中央位置よりも前記背側部側に配置されている、
請求項12に記載の着用物品。
【請求項14】
前記第1股下結合部と前記第2股下結合部とは、前記中央位置に対して非対称に配置されている、
請求項13に記載の着用物品。
【請求項15】
前記長手方向において、前記第1股下結合部から前記中央位置までの距離は、前記第2股下結合部から前記中央位置までの距離よりも長い、
請求項14に記載の着用物品。
【請求項16】
前記長手方向において、前記腹側結合部から前記第1股下結合部までの距離は、前記第2股下結合部から前記背側結合部までの距離よりも短い、
請求項14に記載の着用物品。
【請求項17】
前記本体部のうち前記股下結合部と重なる部分と前記股下結合部とから構成される第1部分の剛軟度は、前記本体部のうち前記腹側結合部と重なる部分と前記腹側結合部とから構成される第2部分の剛軟度、及び前記本体部のうち前記背側結合部と重なる部分と前記背側結合部とから構成される第3部分の剛軟度よりも低い、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項18】
前記股下結合部の剛軟度は、前記腹側結合部の剛軟度及び前記背側結合部の剛軟度よりも低い、
請求項17に記載の着用物品。
【請求項19】
前記複数の結合部は、前記腹側結合部における結合及び前記背側結合部における結合よりも前記股下結合部における結合が弱い構造を有する、
請求項1に記載の着用物品。
【請求項20】
前記腹側結合部と前記股下結合部との間の第1非結合領域と前記背側結合部と前記股下結合部との間の第2非結合領域とを合わせた領域の前記長手方向の長さは、前記腹側結合部と前記背側結合部との距離の半分以上である、
請求項1に記載の着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ての吸収性パッドを内側に装着して使用される布下着等の着用物品が知られている。例えば、特許文献1には、着用者の下部胴体の周囲に着用される着用物品(外側カバー)の内面(肌側面)に、外側カバーの長手方向両端部に設けられた面ファスナーを介して、吸収性パッド(吸収性インサート)を取り付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、吸収性パッドの長手方向の端部のみを着用物品に固定(結合)する方式では、着用状態において、吸収性パッドが着用者の股間部に挟み込まれてしまい、吸収性パッドの内部に配置された吸収性コアにヨレが発生するおそれがある。その結果、尿漏れ等が発生し易くなるおそれがある。
【0005】
一方、上記のような吸収性コアのヨレの発生を回避するために、吸収性パッドの裏面(着用物品の内面に対向する面)の全体を粘着テープ(両面テープ等)で着用物品の内面に接着(結合)する方式を採用した場合、吸収性パッドの裏面全体を皺が発生しないように着用物品に取り付けることが困難になる。すなわち、長手方向に伸縮性を有する着用物品が利用される場合、着用物品が長手方向に縮んだ状態(伸ばし切れていない状態)で吸収性パッドが取り付けられると、着用物品と吸収性パッドとの接着面にズレや皺が生じてしまうおそれがある。さらに、着用物品と吸収性パッドとの接着面積が大きいと、着用物品の柔軟性及び着用感が損なわれると共に、吸収性パッドを着用物品から取り外す(引き剥がす)ために大きな力が必要となる。
【0006】
そこで、本開示の一側面は、吸収性パッドと併用される着用物品において、着用状態における吸収性パッドのヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッドの着脱を容易に行うことができる着用物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る着用物品は、吸収性パッドを介して着用者の胴体下部の周囲に着用される再利用可能な布下着である着用物品であって、着用物品が着用者に着用された着用状態において着用者の腹側に位置する腹側部と、着用状態において着用者の背側に位置する背側部と、腹側部と背側部との間に位置する股下部と、を有する本体部と、着用状態において吸収性パッドに対向する本体部の内面に設けられ、吸収性パッドと結合可能に構成された複数の結合部と、を備え、複数の結合部は、腹側部に設けられた腹側結合部と、背側部に設けられた背側結合部と、股下部に設けられた股下結合部と、を有し、腹側部、股下部、及び背側部が並ぶ方向である長手方向において、腹側結合部、股下結合部、及び背側結合部は、互いに離間して配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、吸収性パッドと併用される着用物品において、着用状態における吸収性パッドのヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッドの着脱を容易に行うことができる着用物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る着用物品を肌側から見た平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る着用物品を非肌側から見た平面図である。
【
図3】着用物品に装着される吸収性パッドを肌側から見た平面図である。
【
図4】着用物品に装着される吸収性パッドを非肌側から見た平面図である。
【
図5】吸収性パッドが装着された着用物品の平面図である。
【
図6】吸収性パッドが装着された着用物品の斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る着用物品を肌側から見た平面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った着用物品の断面構造の模式図である。
【
図9】第2実施形態の変形例に係る着用物品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の態様1~態様20が明らかとなる。
【0011】
(態様1)
吸収性パッドを介して着用者の胴体下部の周囲に着用される再利用可能な布下着である着用物品であって、
前記着用物品が前記着用者に着用された着用状態において前記着用者の腹側に位置する腹側部と、前記着用状態において前記着用者の背側に位置する背側部と、前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部と、を有する本体部と、
前記着用状態において前記吸収性パッドに対向する前記本体部の内面に設けられ、前記吸収性パッドと結合可能に構成された複数の結合部と、
を備え、
前記複数の結合部は、前記腹側部に設けられた腹側結合部と、前記背側部に設けられた背側結合部と、前記股下部に設けられた股下結合部と、を有し、
前記腹側部、前記股下部、及び前記背側部が並ぶ方向である長手方向において、前記腹側結合部、前記股下結合部、及び前記背側結合部は、互いに離間して配置されている、
着用物品。
【0012】
態様1においては、長手方向の両端部(腹側部及び背側部)だけでなく、股下部にも結合部(股下結合部)が設けられている。これにより、吸収性パッドが着用物品に装着された状態(以下「装着状態」という。)において、着用物品に対する吸収性パッドの位置ずれを抑制できると共に、吸収性パッドが着用者の股間部に挟み込まれることを抑制できる。すなわち、仮に股下結合部が設けられておらず、着用者の股間部において吸収性パッドが着用物品から分離可能になっていると、着用者の動作によって、吸収性パッドのみが着用者の股間部に喰い込み、吸収性コアにヨレが生じるおそれがある。股下結合部において吸収性パッドが着用物品に結合されることにより、上記のような事態の発生を回避できる。
【0013】
また、態様1においては、長手方向において、腹側結合部、股下結合部、及び背側結合部は、互いに離間して配置されている。これにより以下の効果が奏される。布下着である着用物品は、長手方向に縮む力を有することが一般的である。このため、仮に、吸収性パッドの裏面全体に結合部(着用物品に結合される部分)を設けた場合(例えば、吸収性パッドの裏面全体を着用物品に接着する場合等)、自然状態で長手方向に収縮した状態(以下「収縮状態」という。)の着用物品に吸収性パッドを取り付けることは困難である。すなわち、吸収性パッドを着用物品に対して適切に取り付けるためには、着用物品を長手方向に伸ばした状態で吸収性パッドを取り付ける必要があるが、この際、着用物品を十分に伸ばしきれず、吸収性パッドと着用物品との結合面(接着面等)に皺ができるおそれがある。また、結合面の面積が大きいため、吸収性パッドを着用物品から取り外すことも容易ではない。これに対して、上述した吸収性パッドでは、長手方向の両端部(腹側部及び背側部)と股下部とに配置された各結合部が互いに離間して配置されているため、収縮状態の着用物品に対して吸収性パッドを容易に取り付けることができる。また、上記のように吸収性パッドの裏面全体を着用物品に結合させる場合と比較して、結合面の面積を小さくできるため、吸収性パッドを着用物品から容易に取り外すことが可能となる。以上により、長手方向に互いに離間した腹側結合部、背側結合部、及ぶ股下結合部を有する着用物品によれば、着用状態における吸収性パッドのヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッドの着脱を容易に行うことができる。
【0014】
(態様2)
前記腹側結合部は、前記長手方向において、前記腹側部の前記股下部側とは反対側の端部である前端部と前記腹側部の足ぐり部分との間に配置されている、
態様1の着用物品。
【0015】
態様2によれば、腹側結合部を十分に腹側端部(前端部)に近い位置(すなわち、吸収性パッドの腹側端部が配置される位置に近い位置)に配置することができる。その結果、腹側結合部によって、吸収性パッドの腹側端部の位置決め及び固定を適切に行うことができる。
【0016】
(態様3)
前記腹側部は、前記前端部に沿って設けられ、前記着用状態において前記着用者の胴回りを締めるように前記長手方向に直交する幅方向に収縮する腹側弾性部材を有し、
前記腹側結合部は、前記長手方向において、前記腹側弾性部材よりも前記股下部側に配置されている、
態様1又は態様2の着用物品。
【0017】
態様3によれば、腹側結合部によって腹側弾性部材の収縮が阻害されることを防止できると共に、腹側結合部が腹側弾性部材の影響によって幅方向に収縮すること(その結果として、吸収性パッドを腹側結合部に結合させることが困難になること)を防止できる。
【0018】
(態様4)
前記長手方向に直交する幅方向における前記腹側結合部の長さは、前記本体部の最狭部の幅よりも短い、
態様1~態様3のいずれかの着用物品。
【0019】
態様4によれば、腹側結合部のうち吸収性パッドと結合されない無駄な部分を低減できる。また、腹側結合部が本体部の生地よりも硬い素材で形成される場合、腹側結合部の面積が大きくなる程、着用者が感じる着用時の違和感が大きくなるおそれがある。態様4のように腹側結合部の幅を設定することにより、上述したような違和感を抑制できる。
【0020】
(態様5)
前記背側結合部は、前記長手方向において、前記背側部の前記股下部側とは反対側の端部である後端部と前記背側部の足ぐり部分との間に配置されている、
態様1~態様4のいずれかの着用物品。
【0021】
態様5によれば、背側結合部を十分に背側端部(後端部)に近い位置(すなわち、吸収性パッドの背側端部が配置される位置に近い位置)に配置することができる。その結果、背側結合部によって、吸収性パッドの背側端部の位置決め及び固定を適切に行うことができる。
【0022】
(態様6)
前記背側部は、前記後端部に沿って設けられ、前記着用状態において前記着用者の胴回りを締めるように前記長手方向に直交する幅方向に収縮する背側弾性部材を有し、
前記背側結合部は、前記長手方向において、前記背側弾性部材よりも前記股下部側に配置されている、
態様1~態様5のいずれかの着用物品。
【0023】
態様6によれば、背側結合部によって背側弾性部材の収縮が阻害されることを防止できると共に、背側結合部が背側弾性部材の影響によって幅方向に収縮すること(その結果として、吸収性パッドを背側結合部に結合させることが困難になること)を防止できる。
【0024】
(態様7)
前記長手方向に直交する幅方向における前記背側結合部の長さは、前記本体部の最狭部の幅よりも短い、
態様1~態様6のいずれかの着用物品。
【0025】
態様7によれば、背側結合部のうち吸収性パッドと結合されない無駄な部分を低減できる。また、背側結合部が本体部の生地よりも硬い素材で形成される場合、背側結合部の面積が大きくなる程、着用者が感じる着用時の違和感が大きくなるおそれがある。態様7のように背側結合部の幅を設定することにより、上述したような違和感を抑制できる。
【0026】
(態様8)
前記股下結合部は、前記長手方向に直交する幅方向に沿って延在しており、
前記幅方向における前記股下結合部の長さは、前記長手方向における前記股下結合部の長さよりも長い、
態様1~態様7のいずれかの着用物品。
【0027】
態様8によれば、幅方向に延在する股下結合部によって、吸収性パッド(股下結合部と結合される部分)の幅方向の動き(ヨレ等)を効果的に抑制できる。
【0028】
(態様9)
前記長手方向に直交する幅方向における前記股下結合部の長さは、前記幅方向における前記腹側結合部の長さ及び前記幅方向における前記背側結合部の長さよりも短い、
態様8の着用物品。
【0029】
態様9によれば、長手方向の両端部に配置される腹側結合部及び背側結合部の幅を比較的長くすることにより、着用物品と吸収性パッドとを強固に結合することができる。一方、着用者の着用感に与える影響がより大きい股間部に配置される股下結合部の幅を比較的短くすることにより、着用者が着用時に感じる股間部の違和感を低減することができる。
【0030】
(態様10)
前記長手方向に直交する幅方向における前記股下結合部の長さは、前記本体部の最狭部の幅よりも短い、
態様1~態様9のいずれかの着用物品。
【0031】
態様10によれば、股下結合部のうち吸収性パッドと結合されない無駄な部分を低減できる。また、股下結合部が本体部の生地よりも硬い素材で形成される場合、股下結合部の面積が大きくなる程、着用者が感じる着用時の違和感が大きくなるおそれがある。態様10のように股下結合部の幅を設定することにより、上述したような違和感を抑制できる。
【0032】
(態様11)
前記長手方向に直交する幅方向における前記股下結合部の第1端部から、前記幅方向における前記股下結合部の前記第1端部とは反対側の第2端部までの距離は、前記本体部の最狭部の幅の1/3以上である、
態様1~態様10のいずれかの着用物品。
【0033】
態様11によれば、股下結合部の幅を一定以上確保することにより、吸収性パッド(股下結合部と結合される部分)の幅方向の動き(ヨレ等)を効果的に抑制できる。
【0034】
(態様12)
前記股下結合部は、第1股下結合部及び第2股下結合部を有し、
前記第1股下結合部は、前記長手方向において、前記第2股下結合部よりも前記腹側部側に配置されている、
態様1~態様11のいずれかの着用物品。
【0035】
態様12によれば、股下結合部を複数の結合部(第1股下結合部及び第2股下結合部)で構成することにより、着用状態における着用者の股間部への吸収性パッドの挟み込み、ひいては吸収性コアのヨレの発生を一層効果的に抑制できる。
【0036】
(態様13)
前記第1股下結合部は、前記長手方向における前記本体部の中央位置よりも前記腹側部側に配置されており、
前記第2股下結合部は、前記中央位置よりも前記背側部側に配置されている、
態様12の着用物品。
【0037】
態様13によれば、排尿口及び排便口のそれぞれに対応するように第1股下結合部及び第2股下結合部を設けることにより、排尿口及び排便口に近い位置において、吸収性コアのヨレの発生を抑制できる。その結果、排泄物の吸収漏れを好適に抑制できる
【0038】
(態様14)
前記第1股下結合部と前記第2股下結合部とは、前記中央位置に対して非対称に配置されている、
態様13の着用物品。
【0039】
(態様15)
前記長手方向において、前記第1股下結合部から前記中央位置までの距離は、前記第2股下結合部から前記中央位置までの距離よりも長い、
態様14の着用物品。
【0040】
(態様16)
前記長手方向において、前記腹側結合部から前記第1股下結合部までの距離は、前記第2股下結合部から前記背側結合部までの距離よりも短い、
態様14又は態様15の着用物品。
【0041】
態様14、態様15、及び態様16によれば、第1股下結合部及び第2股下結合部を排尿口及び排便口に対応する位置に近づけることができる。その結果、排尿口及び排便口により近い位置において、吸収性コアのヨレの発生を効果的に抑制でき、排泄物の吸収漏れをより一層効果的に抑制できる。
【0042】
(態様17)
前記本体部のうち前記股下結合部と重なる部分と前記股下結合部とから構成される第1部分の剛軟度は、前記本体部のうち前記腹側結合部と重なる部分と前記腹側結合部とから構成される第2部分の剛軟度、及び前記本体部のうち前記背側結合部と重なる部分と前記背側結合部とから構成される第3部分の剛軟度よりも低い、
態様1~態様16のいずれかの着用物品。
【0043】
態様17によれば、吸収性コアのうち第1部分に対向する部分を着用物品と共に柔軟に変形させることが可能になる。
【0044】
(態様18)
前記股下結合部の剛軟度は、前記腹側結合部の剛軟度及び前記背側結合部の剛軟度よりも低い、
態様1~態様17のいずれかの着用物品。
【0045】
態様18によれば、結合部の剛軟度を調整することにより、上述した第1部分の剛軟度が第2部分の剛軟度及び第3部分の剛軟度よりも低い構成を容易に実現できる。
【0046】
(態様19)
前記複数の結合部は、前記腹側結合部における結合及び前記背側結合部における結合よりも前記股下結合部における結合が弱い構造を有する、
態様1~態様18のいずれかの着用物品。
【0047】
態様19によれば、着用状態における吸収性コアのヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッドの着脱を容易に行うことができる。
【0048】
(態様20)
前記腹側結合部と前記股下結合部との間の第1非結合領域と前記背側結合部と前記股下結合部との間の第2非結合領域とを合わせた領域の前記長手方向の長さは、前記腹側結合部と前記背側結合部との距離の半分以上である、
態様1~態様19のいずれかの着用物品。
【0049】
態様20によれば、腹側結合部と背側結合部との間において、第1非結合領域及び第2非結合領域の大きさ(長手方向の大きさ)を十分に確保することができる。その結果、上述したような着用物品への吸収性パッドの着脱時等において、着用物品を長手方向に引き伸ばすために必要となる力を小さくすることができる。これにより、吸収性パッドの着用物品に対する着脱をより一層容易に行うことができる。
【0050】
[実施形態]
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0051】
[第1実施形態]
図1及び
図2を参照して、第1実施形態に係る着用物品1の構成について説明する。
図1は、着用物品1を肌側から見た平面図である。
図2は、着用物品1を非肌側から見た平面図である。
図1及び
図2は、着用物品1を、皺が形成されない状態まで伸長させた状態(以下「伸長状態」という。)を示している。本実施形態では、着用物品1は、テープタイプの布下着である。
【0052】
本実施形態において、「着用者」は、吸収性パッド2が取り付けられた着用物品1を着用する者である。「肌側」は、吸収性パッド2が着用物品1と共に着用者に着用された状態(以下「着用状態」という。)において着用者の肌に面する側である。「非肌側」は、着用状態において着用者の肌とは反対側に向けられる側である。
【0053】
以下では、着用物品1の伸長状態(
図1及び
図2参照)における長手方向を「長手方向L」と表し、長手方向Lに直交する吸収性パッド2の短手方向を「幅方向W」と表し、長手方向L及び幅方向Wに直交する方向を「厚さ方向T」と表す。また、着用物品1の長手方向Lの中央部を通り幅方向Wに平行な直線を「中心線CL」と表す。長手方向Lは、着用状態において、着用者の身体前側(腹側)から身体後側(背側)に延びる方向である。幅方向Wは、着用状態において、着用者の左右方向と一致する方向である。厚さ方向Tは、着用物品1を構成する資材(後述する本体部10、結合部30等)が積層された方向である。
【0054】
着用物品1は、吸収性パッド2を介して着用者の胴体下部の周囲に着用される再利用可能な布下着である。吸収性パッド2は、着用物品1に装着され、着用物品1と着用者との間に配置される。
【0055】
着用物品1は、本体部10を有する。
図1及び
図2に示されるように、本体部10は、着用状態において吸収性パッド2の裏面(後述する裏面シート22)に対向する内面10aと、内面10aとは反対側の外面10bと、を有する。本体部10は、着用状態において着用者の腹側に位置する腹側部101と、着用状態において着用者の背側に位置する背側部102と、腹側部101と背側部102との間に位置する股下部103と、に区分される。腹側部101、股下部103、背側部102は、着用者の腹側(前方)から背側(後方)に向かって、長手方向Lに沿って並んでいる。一例として、本体部10を長手方向Lにおいて4等分した場合に、最も腹側に位置する1つ分の領域が腹側部101に相当し、最も背側に位置する1つ分の領域が背側部102に相当し、腹側部101と背側部102との間(すなわち、本体部10の長手方向中央部)に位置する2つ分の領域が股下部103に相当する。
【0056】
背側部102の内面10aの幅方向Wの両端部には、固定部11が設けられている。固定部11は、例えば、面ファスナーのフック部によって構成される。また、腹側部101の外面10bの幅方向Wの両端部には、固定部11に対応する固定部12が設けられている。固定部12は、例えば、面ファスナーのループ部によって構成される。
図6に示されるように、着用状態において、各固定部11が各固定部12と結合される。これにより、股下部103の全域、並びに腹側部101の股下部103側の一部及び背側部102の股下部103側の一部(
図1の範囲R)の幅方向Wにおける側縁部によって、足ぐり部分13が構成される。
【0057】
足ぐり部分13は、着用状態において、着用者の両脚が通される開口部を形成する部分である。足ぐり部分13に沿った部分には、足ぐり部分13に沿って収縮する弾性部材14が設けられている。また、腹側部101の前端部101aに沿った部分には、着用状態において着用者の胴回りを締めるように幅方向Wに収縮する弾性部材15(腹側弾性部材)が設けられている。背側部102の後端部102aに沿った部分には、着用状態において着用者の胴回りを締めるように幅方向Wに収縮する弾性部材16(背側弾性部材)が設けられている。弾性部材14,15,16は、例えば、平ゴム、伸縮性シート等である。
【0058】
本体部10は、厚さ方向Tから見た場合に、瓢箪状(或いは、砂時計状)に形成されており、股下部103において、本体部10の幅(幅方向Wの長さ)が最小となる最狭部17が形成されている。
【0059】
内面10aには、吸収性パッド2と結合可能に構成された複数の結合部30が設けられている。なお、「結合」とは、着脱可能な程度に吸収性パッド2に対して固定されることを意味し、係合、接着等の種々の手段を含む。結合部30は、例えば、先端部に爪部を有する複数のピン(フック構造)を含む領域等によって構成され得る。複数の結合部30は、腹側結合部31と、背側結合部32と、股下結合部33と、を含む。腹側結合部31は、内面10aの腹側部101に設けられている。背側結合部32は、内面10aの背側部102に設けられている。股下結合部33は、内面10aの股下部103に設けられている。長手方向Lにおいて、腹側結合部31、股下結合部33、及び背側結合部32は、互いに離間して配置されている。
【0060】
複数の結合部30は、腹側結合部31における結合及び背側結合部32における結合よりも股下結合部33における結合が弱い構造(以下「特定結合構造」という。)を有する。つまり、複数の結合部30を介して吸収性パッド2を着用物品1に結合した場合において、股下結合部33における吸収性パッド2と着用物品1との結合を解除するために必要な力が、腹側結合部31又は背側結合部32における吸収性パッド2と着用物品1との結合を解除するために必要な力よりも小さくなるように構成されている。結合部30の具体的な構成例については後述する。
【0061】
一例として、腹側結合部31及び背側結合部32は、厚さ方向Tから見た場合に、同一の矩形状を有する。腹側結合部31及び背側結合部32は、幅方向Wに延びる長方形状(すなわち、長手方向Lの長さよりも幅方向Wの長さの方が長い矩形状)に形成されている。股下結合部33(本実施形態では、後述する第1股下結合部331及び第2股下結合部332の各々)は、厚さ方向Tから見た場合に、腹側結合部31及び背側結合部32よりも小さい矩形状を有している。股下結合部33も、腹側結合部31及び背側結合部32と同様に、幅方向Wに延びる長方形状に形成されている。一例として、股下結合部33の長手方向Lの長さは、腹側結合部31及び背側結合部32の各々の長手方向Lの長さと一致している。一方で、股下結合部33の幅方向Wの長さは、腹側結合部31及び背側結合部32の各々の幅方向Wの長さよりも短くされている。腹側結合部31、背側結合部32,及び股下結合部33の幅方向Wの中心位置は、本体部10の幅方向Wの中心位置と一致している。
【0062】
次に、
図3~
図6を参照して、着用物品1に装着される吸収性パッド2について説明する。
図3は、吸収性パッド2を肌側から見た平面図である。
図4は、吸収性パッド2を非肌側から見た平面図である。
図5は、吸収性パッド2が装着された着用物品1の平面図である。
図6は、吸収性パッド2が装着された着用物品1の斜視図である。
【0063】
吸収性パッド2は、本体部20を有する。
図3及び
図4に示されるように、本体部20は、伸長状態において厚さ方向Tから見た場合に、矩形状の外形を有している。本体部20は、表面シート21と、裏面シート22と、吸収体23と、を有する。表面シート21、裏面シート22及び吸収体23等の各部材同士は、例えば、接着剤等の公知の材料を用いて接合され得る。
【0064】
表面シート21は、着用者の肌側に配置され、着用状態において着用者の肌に面する液透過性のシートである。表面シート21は、例えば、液透過性を有する不織布又は織布、液透過孔を有する合成樹脂フィルム、又はこれらの複合シート等によって形成され得る。
【0065】
裏面シート22は、着用者の非肌側に配置され、着用状態において着用物品1に面する液不透過性のシートである。裏面シート22は、例えば、液不透過性の不織布、合成樹脂フィルム、又はこれらの複合シート等によって形成され得る。
【0066】
吸収体23は、表面シート21と裏面シート22との間に配置されている。吸収体23は、吸収性コア23aと、吸収性コア23aを覆うコアラップ(不図示)と、を含む。吸収性コア23aは、着用者の排泄物を吸収する部材であり、液吸収性及び液保持性を有する。吸収性コア23aは、例えば、粉砕パルプ若しくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含む吸収材料の積層体である。コアラップは、例えばティッシュ又は不織布シートである。
【0067】
図3に示されるように、本実施形態では一例として、吸収性コア23aは、厚さ方向Tから見た場合に、瓢箪状(或いは、砂時計状)に形成されており、吸収性コア23aの長手方向Lの中央部がくびれた形状を有する。すなわち、吸収性コア23aの幅(幅方向Wの長さ)は、腹側及び背側の両端を含む部分において最大となっており、吸収性コア23aの長手方向Lの略中央部を含む部分において最小となっている。
【0068】
本体部20の幅方向Wの両側には、一対のレッグサイドギャザー24が設けられている。レッグサイドギャザー24は、本体部20の長手方向Lの略全域に長手方向Lに沿って延在している。レッグサイドギャザー24の長手方向Lの両端部には、レッグサイドギャザー24と表面シート21とが互いに固定される固定領域B(
図3において斜線ハッチングで示した領域)が設けられている。レッグサイドギャザー24と表面シート21とは、例えば、接着剤等による貼付、超音波接合、エンボスロールによる熱融着等によって、固定領域Bにおいて互いに固定(接着)されている。
【0069】
レッグサイドギャザー24は、長手方向Lに収縮することによって起立可能に構成されている。より具体的には、レッグサイドギャザー24は、長手方向Lの両端部に設けられた一対の固定領域Bの間において、長手方向Lに沿って延在する弾性部材25を有する。一例として、弾性部材25は、一以上(本実施形態では3本)の糸ゴムによって構成されている。レッグサイドギャザー24は、弾性部材25が長手方向Lに収縮することにより、起立可能とされている。着用状態において弾性部材25が収縮し、レッグサイドギャザー24が起立状態となることにより、排泄物が本体部20の外側に漏出(横漏れ)することが抑制される。すなわち、レッグサイドギャザー24が起立状態となることにより、排泄物が表面シート21の表面を伝って外部に漏れることを防ぐための防漏カフが形成される。
【0070】
図3は、レッグサイドギャザー24が幅方向Wの内側に折り畳まれた状態を示している。このため、
図3において、レッグサイドギャザー24の頂部24aは、本体部20の幅方向Wの外端部よりも内側に位置している。本実施形態では一例として、裏面シート22がレッグサイドギャザー24と一体化されている。これにより、本体部20の幅方向Wの外端部が、レッグサイドギャザー24の起立支点24bと一致している。起立支点24bは、レッグサイドギャザー24の立ち上がり部分の根元の部分(折れ起点)であり、長手方向Lに延在している。
【0071】
図5に示されるように、着用物品1は、吸収性パッド2よりも大きい形状を有している。すなわち、着用物品1の長手方向Lの長さは、吸収性パッド2の長手方向Lの長さよりも長い。また、吸収性パッド2の幅(幅方向Wの長さ)は、着用物品1の最狭部17の幅Lmin(
図1参照)よりも短い。本実施形態では、着用物品1の長手方向L及び幅方向Wにおける略中央部に吸収性パッド2が装着される。より具体的には、
図4に示されるように、吸収性パッド2の裏面シート22の表面22aには、着用物品1の内面10aに設けられた複数の結合部30の各々に対応する複数の対応領域40が設けられている。各対応領域40は、各結合部30と結合可能な表面を有する領域である。複数の対応領域40は、腹側結合部31に対応する対応領域41と、背側結合部32に対応する対応領域42と、股下結合部33に対応する対応領域43(本実施形態では、第1股下結合部331に対応する対応領域431及び第2股下結合部332に対応する対応領域432)と、を有する。複数の結合部30がそれぞれ対応する複数の対応領域40に結合されることにより、吸収性パッド2が着用物品1に装着される。
【0072】
なお、裏面シート22のうち対応領域40以外の領域(非対応領域)も結合部30と結合可能に構成されてもよいが、対応領域40の方が非対応領域よりも結合部30と強く結合されるように構成されていることが好ましい。また、吸収性パッド2を着用物品1に装着する装着者の利便性の観点から、対応領域40は、非対応領域と区別可能な態様(例えば、非対応領域とは異なる素材、着色等)で構成されることが好ましい。
【0073】
[第1実施形態の作用効果]
着用物品1においては、長手方向Lの両端部(腹側部101及び背側部102)だけでなく、股下部103にも結合部30(股下結合部33)が設けられている。これにより、吸収性パッド2が着用物品1に装着された状態(以下「装着状態」という。)において、着用物品1に対する吸収性パッド2の位置ずれを抑制できると共に、吸収性パッド2が着用者の股間部に挟み込まれることを抑制できる。すなわち、仮に股下結合部33が設けられておらず、着用者の股間部において吸収性パッド2が着用物品1から分離可能になっていると、着用者の動作によって、吸収性パッド2のみが着用者の股間部に喰い込み、吸収性コア23aにヨレが生じるおそれがある。股下結合部33において吸収性パッド2が着用物品1に結合されることにより、上記のような事態の発生を回避できる。
【0074】
また、着用物品1においては、長手方向Lにおいて、腹側結合部31、股下結合部33、及び背側結合部32は、互いに離間して配置されている。これにより以下の効果が奏される。布下着である着用物品1は、長手方向Lに縮む力を有することが一般的である。本実施形態では、着用物品1の足ぐり部分13に沿って弾性部材14が設けられていることにより、特に股下部103が、長手方向Lに収縮し易くなっている。このため、仮に、吸収性パッド2の裏面全体に結合部(着用物品1に結合される部分)を設けた場合(例えば、吸収性パッド2の裏面全体を着用物品1に接着する場合等)、自然状態で長手方向Lに収縮した状態(以下「収縮状態」という。)の着用物品1に吸収性パッド2を取り付けることは困難である。すなわち、吸収性パッド2を着用物品1に対して適切に取り付けるためには、着用物品1を長手方向Lに伸ばした状態で吸収性パッド2を取り付ける必要があるが、この際、着用物品1を十分に伸ばしきれず、吸収性パッド2と着用物品1との結合面(接着面等)に皺ができるおそれがある。また、結合面の面積が大きいため、吸収性パッド2を着用物品1から取り外すことも容易ではない。これに対して、上述した吸収性パッド2では、長手方向Lの両端部(腹側部101及び背側部102)と股下部103とに配置された各結合部30が互いに離間して配置されているため、収縮状態の着用物品1に対して吸収性パッド2を容易に取り付けることができる。また、上記のように吸収性パッド2の裏面全体を着用物品1に結合させる場合と比較して、結合面の面積を小さくできるため、吸収性パッド2を着用物品1から容易に取り外すことが可能となる。以上により、長手方向Lに互いに離間した腹側結合部31、背側結合部32、及ぶ股下結合部33を有する着用物品1によれば、着用状態における吸収性パッド2のヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッド2の着脱を容易に行うことができる。
【0075】
さらに、着用物品1は、特定結合構造(股下結合部33における結合が腹側結合部31及び背側結合部32における結合よりも弱い構造)を有する。腹側結合部31及び背側結合部32には、通常、比較的高い結合力(吸収性パッド2と結合される強度)が必要となる。例えば、着用者の身体に着用物品1をフィットさせるために着用物品1を吸収性パッド2と共に動かした場合に、着用者の身体との擦れ等によって吸収性パッド2の長手方向Lの両端部(すなわち、腹側結合部31及び背側結合部32によって結合される部分)が着用物品1から外れない程度に、腹側結合部31及び背側結合部32の結合力が設定される。このため、仮に、股下結合部33にも腹側結合部31及び背側結合部32と同等の結合力を与えてしまうと、吸収性パッド2が腹側、背側、及び股下の全域において着用物品1に対して強く結合されてしまい、着用物品1から吸収性パッド2を取り外すことが困難となる。これに対して、着用物品1では、複数の結合部30が上記の特定結合構造を有することにより、腹側結合部31及び背側結合部32において着用物品1と吸収性パッド2とをしっかりと結合しつつ、股下結合部33において着用物品1から吸収性パッド2を容易に取り外すことが可能とされている。また、以下のように、股下結合部33における吸収性パッド2の取付を容易に行うこともできる。すなわち、まず、収縮状態の着用物品1の腹側結合部31及び背側結合部32に対して吸収性パッド2(対応領域41及び対応領域43)を結合させる。このとき、着用物品1が長手方向Lに収縮していることが原因で、股下結合部33が吸収性パッド2の適切な位置(対応領域43)に結合されない可能性がある。その場合でも、腹側結合部31及び背側結合部32で吸収性パッド2と結合された状態の着用物品1を長手方向Lに勢いよく引き延ばすことにより、股下結合部33における吸収性パッド2と着用物品1との結合が一旦外れた後、着用物品1が長手方向Lに十分に引き延ばされて股下結合部33と吸収性パッド2とが接する状態(すなわち、股下結合部33が吸収性パッド2における適切な取付位置(対応領域43)に面する状態)になった際に、股下結合部33と吸収性パッド2とを再度結合させることができる。以上により、特定結合構造を有する着用物品1によれば、着用状態における吸収性コアのヨレの発生を抑制しつつ、吸収性パッド2の着脱を容易に行うことができる。
【0076】
以下、本実施形態の各部の詳細な構成、及び当該構成により得られる効果について説明する。
【0077】
上述したように、腹側結合部31、股下結合部33(本実施形態では、第1股下結合部331及び第2股下結合部332)、及び背側結合部32は、長手方向Lにおいて互いに離間している。これにより、腹側結合部31と股下結合部33(本実施形態では、股下結合部33のうち腹側に配置された第1股下結合部331)との間には、結合部30が存在しない非結合領域UR1(第1非結合領域)が形成されている。また、背側結合部32と股下結合部33(本実施形態では、股下結合部33のうち背側に配置された第2股下結合部332)との間には、結合部30が存在しない非結合領域UR2(第2非結合領域)が形成されている。非結合領域UR1と非結合領域UR2とを合わせた領域の長手方向Lの長さ(すなわち、「D1+D2」)は、腹側結合部31と背側結合部32との距離Dの半分以上とされている。すなわち、「D1+D2>D/2」が成立するように、複数の結合部30が配置されている。上記構成によれば、腹側結合部31と背側結合部32との間において、非結合領域UR1,UR2の大きさ(長手方向Lの大きさ)を十分に確保することができる。その結果、上述したような着用物品1への吸収性パッド2の着脱時等において、着用物品1を長手方向Lに引き伸ばすために必要となる力を小さくすることができる。これにより、吸収性パッド2の着用物品1に対する着脱をより一層容易に行うことができる。
【0078】
図1に示されるように、腹側結合部31は、長手方向Lにおいて、腹側部101の股下部103側とは反対側の端部である前端部101aと腹側部101の足ぐり部分13(すなわち、
図1の範囲Rの腹側端部)との間に配置されている。上記構成によれば、腹側結合部31を十分に腹側端部(前端部101a)に近い位置(すなわち、吸収性パッド2の腹側端部が配置される位置に近い位置)に配置することができる。その結果、腹側結合部31によって、吸収性パッド2の腹側端部の位置決め及び固定を適切に行うことができる。
【0079】
腹側部101は、前端部101aに沿って設けられ、着用状態において着用者の胴回りを締めるように幅方向Wに収縮する弾性部材15を有し、腹側結合部31は、長手方向Lにおいて、弾性部材15よりも股下部103側に配置されている。すなわち、腹側結合部31は、弾性部材15と重ならないように配置されている。上記構成によれば、腹側結合部31によって弾性部材15の収縮が阻害されることを防止できると共に、腹側結合部31が弾性部材15の影響によって幅方向Wに収縮すること(その結果として、吸収性パッド2を腹側結合部31に結合させることが困難になること)を防止できる。
【0080】
図1に示されるように、腹側結合部31の幅L1(幅方向Wにおける腹側結合部31の長さ)は、本体部10の最狭部17の幅Lminよりも短い。
図5に示されるように、通常、吸収性パッド2の幅は最狭部17の幅Lminよりも短い。つまり、着用物品1は、厚さ方向Tから見て、吸収性パッド2よりも大きい形状を有する。このため、腹側結合部31の幅L1を最狭部17の幅Lminよりも長く延ばしたとしても、このように長く延びた部分は吸収性パッド2と重ならず、吸収性パッド2と結合されないため、無駄となる。また、腹側結合部31が本体部10の生地よりも硬い素材で形成される場合、腹側結合部31の面積が大きくなる程、着用者が感じる着用時の違和感が大きくなるおそれがある。上記のように、「幅L1<幅Lmin」を満たすように腹側結合部31の幅L1を設定することにより、上述したような無駄及び違和感を抑制できる。
【0081】
図1に示されるように、背側結合部32は、長手方向Lにおいて、背側部102の股下部103側とは反対側の端部である後端部102aと背側部102の足ぐり部分13(すなわち、
図1の範囲Rの背側端部)との間に配置されている。上記構成によれば、背側結合部32を十分に背側端部(後端部102a)に近い位置(すなわち、吸収性パッド2の背側端部が配置される位置に近い位置)に配置することができる。その結果、背側結合部32によって、吸収性パッド2の背側端部の位置決め及び固定を適切に行うことができる。
【0082】
背側部102は、後端部102aに沿って設けられ、着用状態において着用者の胴回りを締めるように幅方向Wに収縮する弾性部材16を有し、背側結合部32は、長手方向Lにおいて、弾性部材16よりも股下部103側に配置されている。すなわち、背側結合部32は、弾性部材16と重ならないように配置されている。上記構成によれば、背側結合部32によって弾性部材16の収縮が阻害されることを防止できると共に、背側結合部32が弾性部材16の影響によって幅方向Wに収縮すること(その結果として、吸収性パッド2を背側結合部32に結合させることが困難になること)を防止できる。
【0083】
背側結合部32の幅L2(幅方向Wにおける背側結合部32の長さ)は、本体部10の最狭部17の幅Lminよりも短い。上述した理由により、背側結合部32の幅L2を最狭部17の幅Lminよりも長く延ばしたとしても、このように長く延びた部分は吸収性パッド2と重ならず、吸収性パッド2と結合されないため、無駄となる。また、背側結合部32が本体部10の生地よりも硬い素材で形成される場合、背側結合部32の面積が大きくなる程、着用者が感じる着用時の違和感が大きくなるおそれがある。上記のように、「幅L2<幅Lmin」を満たすように背側結合部32の幅L2を設定することにより、上述したような無駄及び違和感を抑制できる。
【0084】
股下結合部33は、幅方向Wに沿って延在しており、股下結合部33の横幅L31(幅方向Wにおける股下結合部33の長さ)は、股下結合部33の縦幅L32(長手方向Lにおける股下結合部33の長さ)よりも長い。上記構成によれば、幅方向Wに延在する股下結合部33によって、吸収性パッド2(股下結合部33と結合される部分)の幅方向Wの動き(ヨレ等)を効果的に抑制できる。なお、本実施形態のように股下結合部33が長手方向Lにおいて分離された複数の結合部(本実施形態では、第1股下結合部331及び第2股下結合部332)を有する場合、股下結合部33の縦幅L32とは、複数の結合部(本実施形態では、第1股下結合部331及び第2股下結合部332)の縦幅を足し合わせたものではなく、個別の結合部の縦幅を意味する。
【0085】
股下結合部33の横幅L31は、腹側結合部31の幅L1及び背側結合部32の幅L2よりも短い。上記構成によれば、長手方向Lの両端部に配置される腹側結合部31及び背側結合部32の幅L1,L2を比較的長くすることにより、着用物品1と吸収性パッド2とを強固に結合することができる。一方、着用者の着用感に与える影響がより大きい股間部に配置される股下結合部33の横幅L31を比較的短くすることにより、着用者が着用時に感じる股間部の違和感を低減することができる。
【0086】
股下結合部33の横幅L31は、本体部10の最狭部17の幅Lminよりも短い。上述した理由により、股下結合部33の横幅L31を最狭部17の幅Lminよりも長く延ばしたとしても、このように長く延びた部分は吸収性パッド2と重ならず、吸収性パッド2と結合されないため、無駄となる。また、股下結合部33が本体部10の生地よりも硬い素材で形成される場合、股下結合部33の面積が大きくなる程、着用者が感じる着用時の違和感が大きくなるおそれがある。上記のように、「横幅L31<幅Lmin」を満たすように股下結合部33の横幅L31を設定することにより、上述したような無駄及び違和感を抑制できる。
【0087】
幅方向Wにおける股下結合部33の第1端部33aから、幅方向Wにおける股下結合部33の第1端部33aとは反対側の第2端部33bまでの距離(本実施形態では、股下結合部33の横幅L31)は、本体部10の最狭部17の幅Lminの1/3以上である。上記構成によれば、股下結合部33の横幅L31を一定以上確保することにより、吸収性パッド2(股下結合部33と結合される部分)の幅方向Wの動き(ヨレ等)を効果的に抑制できる。
【0088】
股下結合部33は、第1股下結合部331及び第2股下結合部332を有する。第1股下結合部331は、長手方向Lにおいて、第2股下結合部332よりも腹側部101側に配置されている。上記構成によれば、股下結合部33を複数の結合部(第1股下結合部331及び第2股下結合部332)で構成することにより、着用状態における着用者の股間部への吸収性パッド2の挟み込み、ひいては吸収性コア23aのヨレの発生を一層効果的に抑制できる。
【0089】
第1股下結合部331は、長手方向Lにおける本体部10の中央位置(すなわち、中心線CL)よりも腹側部101側に配置されている。一方、第2股下結合部332は、中心線CLよりも背側部102側に配置されている。着用状態において、通常、股下部103のうち中心線CLよりも腹側に着用者の排尿口が位置し、股下部103のうち中心線CLよりも背側に着用者の排便口が位置する。従って、上記構成によれば、排尿口及び排便口のそれぞれに対応するように第1股下結合部331及び第2股下結合部332を設けることにより、排尿口及び排便口に近い位置において、吸収性コア23aのヨレの発生を抑制できる。その結果、排泄物の吸収漏れを好適に抑制できる。
【0090】
第1股下結合部331と第2股下結合部332とは、中心線CLに対して非対称に配置されている。言い換えると、本体部10を中心線CLに沿って二つ折りにした場合に、第1股下結合部331と第2股下結合部332とは、完全に重なり合わないように配置されている。より具体的には、
図1に示されるように、長手方向Lにおいて、第1股下結合部331から中心線CLまでの距離D3は、第2股下結合部332から中心線CLまでの距離D4よりも長くなっている。つまり、腹側に配置された第1股下結合部331の方が、背側に配置された第2股下結合部332よりも中心線CLから離れた位置に配置されている。また、長手方向Lにおいて、腹側結合部31から第1股下結合部331までの距離D1は、第2股下結合部332から背側結合部32までの距離D2よりも短くなっている。通常、着用状態において、股下部103のうち着用者の排尿口に対向する位置は、股下部103のうち着用者の排便口に対向する位置よりも、中心線CLから離れている。つまり、中心線CLから排尿口に対応する位置(中心線CLよりも腹側の位置)までの距離は、中心線CLから排便口に対応する位置(中心線CLよりも背側の位置)までの距離よりも大きい。従って、上記構成によれば、第1股下結合部331及び第2股下結合部332を排尿口及び排便口に対応する位置に近づけることができる。その結果、排尿口及び排便口により近い位置において、吸収性コア23aのヨレの発生を効果的に抑制でき、排泄物の吸収漏れをより一層効果的に抑制できる。
【0091】
本体部10のうち股下結合部33と重なる部分と股下結合部33とから構成される第1部分の剛軟度は、本体部10のうち腹側結合部31と重なる部分と腹側結合部31とから構成される第2部分の剛軟度、及び本体部10のうち背側結合部32と重なる部分と背側結合部32とから構成される第3部分の剛軟度よりも低くされている。上記の「剛軟度」は、例えば、カンチレバー法によって測定される値である。本体部10の第1部分は、着用者の股間部に対向する部分であるため、着用時の着用者の動作に応じて柔軟に変形することが求められる。上記構成によれば、このような第1部分の剛軟度を第2部分及び第3部分の剛軟度よりも低くすることにより、吸収性コア23aのうち第1部分に対向する部分を着用物品1と共に柔軟に変形させることが可能になる。
【0092】
本実施形態では、股下結合部33自体の剛軟度が、腹側結合部31自体の剛軟度及び背側結合部32自体の剛軟度よりも低くされている。上記構成によれば、結合部30の剛軟度を調整することにより、上述した第1部分の剛軟度が第2部分の剛軟度及び第3部分の剛軟度よりも低い構成を容易に実現できる。
【0093】
次に、結合部30の構造について詳細に説明する。結合部30の構造(すなわち、吸収性パッド2と着用物品1とを結合するために採用される結合の手段及び方式)は、特定の構造に限定されない。また、結合部30に対応する吸収性パッド2の対応領域40には、結合部30の構造に応じた構造が設けられればよい。以下に、結合部30のいくつかの具体例を列挙する。
【0094】
第1例として、結合部30は、先端部に爪部を有する複数のピンを含むフック材(例えば、いわゆる面ファスナーのフック部)によって形成されてもよい。この場合、対応領域40には、フック材が結合(係合)される部材(例えば、いわゆる面ファスナーのループ部)によって構成されてもよい。
【0095】
第2例として、結合部30は、粘着構造によって形成されてもよい。粘着構造は、例えば表面にホットメルト接着剤(HMA)等の粘着材料が設けられた粘着面等によって構成され得る。
【0096】
第3例として、結合部30は、磁力を有する部材(例えば磁石)によって形成されてもよい。対応領域40には、結合部30と磁力によって惹き付け合う磁性材料等が設けられればよい。
【0097】
第4例として、結合部30は、スナップボタンの一方の部材(凸部又は凹部)によって形成されてもよい。対応領域40には、スナップボタンの他方の部材(凹部又は凸部)が設けられればよい。
【0098】
第5例として、結合部30は、摩擦抵抗を利用して着用物品1に係合される摩擦抵抗部材によって形成されてもよい。摩擦抵抗部材の例としては、接触面積を増やすように構成された起毛素材又は凹凸構造を表面に有する部材が挙げられる。摩擦抵抗部材の具体例としては、ナノフロント(登録商標)によって形成された資材等が挙げられる。
【0099】
第6例として、結合部30は、ゴム材料によって形成されてもよい。例えば、結合部30は、超強力両面テープ、ゴム製の滑り止め等によって形成されてもよい。
【0100】
次に、上述した特定結合構造を実現するためのいくつかの構成例について説明する。
【0101】
(第1構成例)
股下結合部33の面積が腹側結合部31の面積及び背側結合部32の面積よりも小さくされることにより、特定結合構造が実現されてもよい。ここで、股下結合部33の面積とは、本実施形態のように股下結合部33が複数の結合部(第1股下結合部331及び第2股下結合部332)によって構成されている場合には、上記複数の結合部の個別の面積を意味する。すなわち、本実施形態では、第1股下結合部331及び第2股下結合部332の各々が、腹側結合部31及び背側結合部32の各々の面積よりも小さい面積を有するように構成されていることにより、特定結合構造が実現されている。第1構成例によれば、股下結合部33と腹側結合部31及び背側結合部32との間で面積差をつけることにより、特定結合構造を比較的容易に実現できる。
【0102】
第1構成例の具体的な実現方式として、幅方向Wにおいて、股下結合部33の長さ(すなわち、横幅L31)は、腹側結合部31の長さ(すなわち、幅L1)及び背側結合部32の長さ(すなわち、幅L2)よりも短くされてもよい。上記構成によれば、上記第1構成例の構造を容易に実現できる。また、股下部103に配置される股下結合部33の横幅L31を長手方向Lの両端部の結合部(腹側結合部31及び背側結合部32)の幅L1,L2よりも短くすることで、着用状態において、股下結合部33によって着用者が受ける着用時の違和感を抑制することができる。
【0103】
(第2構成例)
結合部30の構造として上記第1例が採用される場合、股下結合部33のピンの数、高さ、材質、及び爪部の形状の少なくとも1つに関する結合構造を腹側結合部31の結合構造及び背側結合部32の結合構造と異ならせることにより、特定結合構造が実現されてもよい。上述のように股下結合部33と腹側結合部31及び背側結合部32との間で結合構造を異ならせる方法のいくつかの例を以下に示す。例えば、腹側結合部31及び背側結合部32のピンの高さを股下結合部33のピンの高さよりも高くしてもよい。また、腹側結合部31及び背側結合部32のピンの本数を股下結合部33のピンの本数よりも多くしてもよい。また、上述したピンの数、高さ、材質、及び爪部の形状の組み合わせによって、股下結合部33の結合強度を腹側結合部31及び背側結合部32の結合強度よりも高くしてもよい。上記構成によれば、フック材によって構成された各結合部30(腹側結合部31、背側結合部32、及び股下結合部33)の結合構造を異ならせることにより、特定結合構造を容易に実現できる。
【0104】
(第3構成例)
結合部30の構造として上記第2例が採用される場合、例えば、股下結合部33と腹側結合部31及び背側結合部32との間で、粘着材料の塗工目付、塗工面積、塗工パターン等を異ならせることにより、特定結合構造が実現されてもよい。
【0105】
(第4構成例)
結合部30の構造として上記第3例が採用される場合、例えば、股下結合部33と腹側結合部31及び背側結合部32との間で、磁力を有する部材の磁力、面積等を異ならせることにより、特定結合構造が実現されてもよい。
【0106】
(第5構成例)
結合部30の構造として上記第4例が採用される場合、例えば、股下結合部33と腹側結合部31及び背側結合部32との間で、配置されるボタンの数、面積等を異ならせることにより、特定結合構造が実現されてもよい。
【0107】
(第6構成例)
股下結合部33の結合方式(例えば、上述した第1例~第6例の各々に対応する方式)を腹側結合部31の結合方式及び背側結合部32の結合方式と異ならせることにより、特定結合構造が実現されてもよい。上記構成によれば、股下結合部33と腹側結合部31及び背側結合部32との間で結合方式を異ならせることにより、特定結合構造を容易に実現できる。
【0108】
第6構成例の具体例として、以下の構成例が挙げられる。すなわち、腹側結合部31及び背側結合部32の構造として上記第1例が採用され、股下結合部33の構造として上記第5例が採用されることにより、特定結合構造が実現されてもよい。上記構成によれば、比較的簡易な構造により、腹側結合部31及び背側結合部32と股下結合部33との間で、好適な結合強度差をつけることができる。
【0109】
[第2実施形態]
図7及び
図8を参照して、第2実施形態に係る着用物品1Aの構成について説明する。
図7は、着用物品1Aを肌側から見た平面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿った着用物品1Aの断面構造を模式的に示した図である。
【0110】
着用物品1Aは、腹側部101及び背側部102のそれぞれにポケット部18が設けられている点で着用物品1と相違し、その他の構成については着用物品1と同様である。なお、ポケット部18は、腹側部101及び背側部102のいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0111】
各ポケット部18は、長手方向Lにおける吸収性パッド2の端部2aを収容し、当該端部2aが収容された収容状態において当該端部2aの外面(すなわち、表面シート21の表面21a)を覆うように構成されている。本実施形態では一例として、ポケット部18は、厚さ方向T(
図8参照)から見た場合に矩形状の外形を有する。厚さ方向Tから見たポケット部18の縁部のうち幅方向Wの外側部分及び長手方向Lの外側部分には、本体部10の内面10aと刺繍等によって固定された固定部18a(
図7のドットハッチング部分)が形成されている。一方、厚さ方向Tから見たポケット部18の縁部のうち長手方向Lの内側部分は、本体部10の内面10aに固定されておらず、吸収性パッド2を挿入可能な開口を形成している。
【0112】
上記のようなポケット部18を有する着用物品1Aによれば、着用物品1に対して吸収性パッド2をより安定的に取り付けることができると共に、着用物品1に対する吸収性パッド2の位置決めを容易に行うことができる。
【0113】
図7に示されるように、腹側のポケット部18は、本体部10と結合部30とが重なる方向である厚さ方向Tから見た場合に、腹側結合部31の少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、腹側のポケット部18は、腹側結合部31の全体を覆っている。つまり、厚さ方向Tにおいて、腹側のポケット部18は、腹側結合部31の全体と重なっている。同様に、背側のポケット部18は、厚さ方向Tから見た場合に、背側結合部32の少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、背側のポケット部18は、背側結合部32の全体を覆っている。つまり、厚さ方向Tにおいて、背側のポケット部18は、背側結合部32の全体と重なっている。上記構成によれば、吸収性パッド2が装着されていない状態において、比較的結合力が強い(すなわち、股下結合部33よりも結合力が強い)腹側結合部31及び背側結合部32が吸収性パッド2以外の部材、或いは着用物品1自体の一部と意図せず結合してしまう(くっついてしまう)ことを抑制することができる。ポケット部18が結合部30(腹側結合部31又は背側結合部32)の少なくとも一部を覆う構造によっても上記効果が得られるが、ポケット部18が結合部30(腹側結合部31又は背側結合部32)の全体を覆う構造の方が、より一層高い効果が得られる。
【0114】
ここで、腹側結合部31及び背側結合部32が、それぞれ先端部に爪部を有する複数のピンを有する構造(上記第1例の構造)を有する場合について考える。この場合において、収容状態において吸収性パッド2の端部2aの表面21aに面するポケット部18の内側面18b(第1面)を構成する生地は、上記爪部の突出幅よりも太い繊維によって構成されていてもよい。この場合、上記爪部が内側面18bに係合され難くなる。従って、上記構成によれば、吸収性パッド2が着用物品1に装着されていない状態(すなわち、内側面18bが腹側結合部31又は背側結合部32と直接対向している状態)において、内側面18bが腹側結合部31又は背側結合部32に固着されてしまうことを防止することができる。これにより、吸収性パッド2をポケット部18に挿入しようとする際等において、ポケット部18が開き易くなるため、着用物品1に吸収性パッド2を装着しようとする装着者の利便性を向上させることができる。
【0115】
ポケット部18の内側面18bを構成する生地は、フィルムであってもよい。この場合にも、内側面18bが腹側結合部31又は背側結合部32に固着されてしまうことを防止することができ、上述同様の効果が得られる。
【0116】
また、ポケット部18の内側面18bは、疎水性を有してもよい。例えば、内側面18bは、防水加工されていてもよい。上記構成によれば、吸収性パッド2に吸収された着用者の排泄物が吸収性パッド2の端部2aを介してポケット部18に漏れ伝わった場合に、当該排泄物がポケット部18の外面18cに染み出すことを防止することができる。
【0117】
一方、着用状態において着用者の肌に面するポケット部18の外面18c(第2面)は、親水性を有してもよい。例えば、外面18cは、糸や生地の隙間に水分を溜め込んで親水機能を発現させる生地(例えば、綿等の天然繊維又はポリエステル等の構成繊維からなる生地)によって構成され得る。上記構成によれば、着用者の肌に面する外面18cに親水性を持たせることにより、吸汗性を高めることができ、着用物品1の着用感を向上させることができる。
【0118】
[第2実施形態の変形例]
図9を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。当該変形例は、ポケット部18の代わりにポケット部18Aを有し、腹側結合部31の代わりに腹側結合部131を有する点で、第2実施形態と相違し、その他の構成については第2実施形態と同様である。
図9の(A)は、ポケット部18Aが配置される部分の平面図であり、
図9の(B)は、(A)におけるB-B線に沿った断面構造を模式的に示す図である。なお、本変形例では、腹側のポケット部18Aと腹側結合部31とによって構成される部分について説明を行うが、背側のポケット部18Aと背側結合部32とによって構成される部分も同様に構成されてもよい。
【0119】
本変形例では、複数の結合部30は、ポケット部18Aの内側面18b(第1面)に設けられたポケット結合部34を更に有する。また、ポケット結合部34は、吸収性パッド2の端部2aの表面21a(
図8参照)に結合される。すなわち、ポケット結合部34は、吸収性パッド2の表面21aに結合可能な表面を有する。上記構成によれば、ポケット結合部34と腹側結合部131とで吸収性パッド2を挟み込むようにして、着用物品1Aと吸収性パッド2とを結合させることができる。これにより、着用物品1と吸収性パッド2との結合力を高めることができる。
【0120】
また、本変形例では、ポケット結合部34は、厚さ方向Tにおいて、腹側結合部131と重ならないように配置されている。一例として、
図9の(A)に示されるように、ポケット結合部34は、幅方向Wに互いに離間するように配置された複数(本変形例では2つ)の部分34a,34bを有する。また、腹側結合部131は、幅方向Wに互いに離間するように配置された複数(本変形例では3つ)の部分131a,131b,131cを有する。部分34a,34bと部分131a,131b,131cとは、幅方向Wに沿って互い違いに配置されている。すなわち、部分34a,34bと部分131a,131b,131cとは、厚さ方向Tにおいて互いに重ならないように配置されている。着用物品1Aの厚みが大きくなってしまうと、厚みが大きい部分において剛性が高くなり、柔軟性が損なわれる。一方、上記構成によれば、ポケット結合部34と腹側結合部131とで着用物品1Aと吸収性パッド2とを強固に結合させることができると共に、ポケット結合部34と腹側結合部131とを上下に重ねないように配置することにより、結合部30同士が重なり合うことに起因する着用物品1Aの厚みの増加を抑制し、着用物品1Aの柔軟性を確保することができる。
【0121】
[変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限られない。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。また、上述した実施形態の構成に含まれる一部の構成は、変更又は省略されてもよいし、他の構成が付加されてもよい。
【0122】
複数の結合部30の個数、形状、配置は、上記実施形態に限定されない。例えば、各結合部30は、幅方向Wに分離された複数の部分によって構成されてもよい。また、上記実施形態では、股下結合部33は、2つの結合部30(第1股下結合部331及び第2股下結合部332)から構成されたが、例えば中心線CLに沿って配置される1つの結合部30によって構成されてもよい。また、上記実施形態では、各結合部30の長手方向Lの長さは同一とされたが、結合部30の長手方向Lの長さは、結合部30間で異なっていてもよい。
【0123】
上記実施形態では、着用物品1は、テープタイプの布下着であったが、着用物品1は、パンツタイプの布下着であってもよい。
【0124】
上記実施形態では、吸収性パッド2の裏面シート22の表面22aに各結合部30に対応する対応領域40が設けられる形態を例示したが、表面22aが各結合部30と結合可能な素材で形成されている場合には、対応領域40は省略されてもよい。
【0125】
また、複数の結合部30の特定結合構造による効果を得るためには、腹側結合部31、股下結合部33、及び背側結合部32が長手方向Lに沿って連続的に(すなわち、離間せずに)設けられていてもよい。すなわち、上記効果を得るためには、腹側結合部31、股下結合部33、及び背側結合部32が長手方向Lに沿って互いに離間して配置される構成は、必須ではない。
【符号の説明】
【0126】
1,1A…着用物品、2…吸収性パッド、2a…端部、10…本体部、10a…内面、13…足ぐり部分、15…弾性部材(腹側弾性部材)、16…弾性部材(背側弾性部材)、17…最狭部、30…結合部、31,131…腹側結合部、32…背側結合部、33…股下結合部、33a…第1端部、33b…第2端部、101…腹側部、101a…前端部、102…背側部、102a…後端部、103…股下部、331…第1股下結合部、332…第2股下結合部、L…長手方向、T…厚さ方向、UR1…非結合領域(第1非結合領域)、UR2…非結合領域(第2非結合領域)、W…幅方向。