(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171224
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、及び、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20231124BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/304 644B
H01L21/304 648A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017597
(22)【出願日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2022081813
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好友
【テーマコード(参考)】
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
5F146JA04
5F146JA15
5F157AA15
5F157AA91
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BA02
5F157BA07
5F157BA08
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB22
5F157BB37
5F157CF14
5F157CF18
5F157CF60
5F157CF70
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】基板の膜が形成された裏面から異物を適切に除去する。
【解決手段】本開示の一側面に係る基板処理装置は、基板の表面におけるレジスト膜の形成を含む所定の処理を実行する膜処理部と、膜処理部に対して、基板の搬入出を行う搬入出部と、を備える。膜処理部は、基板の表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成部と、基板の表面と反対側の裏面に形成された裏面膜に対して、裏面膜を除去するための処理液を供給する膜除去処理部と、膜除去処理部により処理された基板の裏面に対してブラシを接触させた状態で、ブラシを基板の裏面に沿って移動させる異物除去処理部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面におけるレジスト膜の形成を含む所定の処理を実行する膜処理部と、
前記膜処理部に対して、前記基板の搬入出を行う搬入出部と、を備え、
前記膜処理部は、
前記基板の表面に前記レジスト膜を形成するレジスト膜形成部と、
前記基板の表面と反対側の裏面に形成された裏面膜に対して、前記裏面膜を除去するための処理液を供給する膜除去処理部と、
前記膜除去処理部により処理された前記基板の裏面に対してブラシを接触させた状態で、前記ブラシを前記基板の裏面に沿って移動させる異物除去処理部と、を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記ブラシは、洗浄用のブラシであり、
前記異物除去処理部は、
前記基板の裏面に対して前記洗浄用のブラシとは別の研磨用のブラシを接触させた状態で、前記研磨用のブラシを前記基板の裏面に沿って移動させることで、前記基板の裏面を研磨し、
前記基板の裏面を研磨した後に、前記基板の裏面に対して前記洗浄用のブラシを接触させた状態で、前記洗浄用のブラシを前記基板の裏面に沿って移動させることで、前記基板の裏面を洗浄する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記膜除去処理部は、前記基板の裏面を下に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面に対して前記処理液を供給する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記異物除去処理部は、前記基板の裏面を下に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面における異物を除去する処理を実行する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板の裏面の上下を反転させる反転処理部を更に備え、
前記異物除去処理部は、前記反転処理部により反転された後の前記基板に対して処理を実行し、
前記異物除去処理部は、前記基板の裏面を上に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面における異物を除去する処理を実行する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記膜除去処理部は、前記基板の裏面を下に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面に対して前記処理液を供給し、
前記反転処理部は、前記膜除去処理部により処理が行われた後の前記基板の裏面の上下を反転させる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記異物除去処理部により処理が行われた後の前記基板の裏面の上下を反転させる第2反転処理部を更に備える、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記膜除去処理部及び前記異物除去処理部は、前記レジスト膜形成部により前記基板の表面に前記レジスト膜が形成された後、前記基板に対して露光処理が施される前に、前記基板の裏面に対して処理を実行する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記膜除去処理部及び前記異物除去処理部は、前記膜処理部に前記基板が搬入された後、前記レジスト膜形成部により前記基板の表面に前記レジスト膜が形成される前に、前記基板の裏面に対して処理を実行する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記レジスト膜形成部は、前記基板の表面に対して前記レジスト膜を形成するための別の処理液を供給して、前記基板の表面に前記レジスト膜を形成し、
前記基板処理装置は、
前記レジスト膜形成部での前記別の処理液による処理を行うための第1処理空間から、前記基板処理装置の外に、前記別の処理液を排出する第1排液ラインと、
前記第1処理空間内のガスを、前記基板処理装置の外に排出する第1排気ラインと、
前記膜除去処理部での前記処理液による処理を行うための第2処理空間から、前記基板処理装置の外に、前記第1排液ラインとは独立して、前記処理液を排出する第2排液ラインと、
前記第2処理空間内のガスを、前記第1排気ラインとは独立して、前記基板処理装置の外に排出する第2排気ラインと、を更に備える、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記異物除去処理部により処理が行われた後の前記基板の裏面に、露光処理時に前記基板の裏面を保持する部分と、前記基板の裏面との間の摩擦を低減する摩擦低減膜を形成する低減膜形成部を更に備える、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記膜除去処理部により処理が行われる前の前記基板の裏面に、露光処理時に前記基板の裏面を保持する部分と、前記基板の裏面との間の摩擦を低減する摩擦低減膜を形成する低減膜形成部を更に備える、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記低減膜形成部は、前記基板の裏面の周縁部に前記摩擦低減膜を形成し、
前記膜除去処理部は、前記基板の裏面の周縁部以外の領域に対して、前記裏面膜を除去する処理を行う、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
膜処理部において、基板の表面におけるレジスト膜の形成を含む所定の処理を実行することと、
前記膜処理部に対して、前記基板の搬入出を行うことと、を含み、
前記所定の処理は、
前記基板の表面に前記レジスト膜を形成する第1処理と、
前記基板の表面と反対側の裏面に形成された裏面膜に対して、前記裏面膜を除去するための処理液を供給する第2処理と、
前記第2処理が実行された前記基板の裏面に対してブラシを接触させた状態で、前記ブラシを前記基板の裏面に沿って移動させる第3処理と、を更に含む、基板処理方法。
【請求項15】
前記ブラシは、洗浄用のブラシであり、
前記第3処理は、
前記基板の裏面に対して前記洗浄用のブラシとは別の研磨用のブラシを接触させた状態で、前記研磨用のブラシを前記基板の裏面に沿って移動させることで、前記基板の裏面を研磨することと、
前記基板の裏面を研磨した後に、前記基板の裏面に対して前記洗浄用のブラシを接触させた状態で、前記洗浄用のブラシを前記基板の裏面に沿って移動させることで、前記基板の裏面を洗浄することと、を含む、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第2処理では、前記基板の裏面を下に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面に対して前記処理液が供給される、請求項14又は15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記第3処理では、前記基板の裏面を下に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面における異物を除去する処理が実行される、請求項14又は15に記載の基板処理方法。
【請求項18】
反転処理部により、前記基板の裏面の上下を反転させることを更に含み、
前記第3処理では、前記反転処理部により反転された後の前記基板に対して処理が実行され、
前記第3処理では、前記基板の裏面を上に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面における異物を除去する処理が実行される、請求項14又は15に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記第2処理では、前記基板の裏面を下に向けて前記基板を保持した状態で、前記基板の裏面に対して前記処理液が供給され、
前記反転処理部により前記基板の裏面の上下を反転させることは、前記第2処理が行われた後の前記基板の裏面の上下を前記反転処理部により反転させることを含む、請求項18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
請求項14又は15に記載の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法、及び、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の裏面の除去対象物を除去する基板処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の膜が形成された裏面から異物を適切に除去することが可能な基板処理装置、基板処理方法、及び、記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、基板の表面におけるレジスト膜の形成を含む所定の処理を実行する膜処理部と、膜処理部に対して、基板の搬入出を行う搬入出部と、を備える。膜処理部は、基板の表面に対して第1処理液を供給して、基板の表面にレジスト膜を形成する膜形成部と、基板の表面と反対側の裏面に形成された裏面膜に対して、裏面膜を除去するための第2処理液を供給する膜除去処理部と、膜除去処理部により処理された基板の裏面に対してブラシを接触させた状態で、ブラシを基板の裏面に沿って移動させる異物除去処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の膜が形成された裏面から異物を適切に除去することが可能な基板処理装置、基板処理方法、及び、記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、基板処理システムの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、塗布現像装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、液処理ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、裏面に膜が形成されたワークの断面の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1裏面処理ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図6】
図6は、第2裏面処理ユニットの一例を模式的に示す上面図である。
【
図7】
図7は、第2裏面処理ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、異物除去処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、塗布現像装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図14】
図14は、基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、塗布現像装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図16】
図16は、研磨ユニットの一例及び洗浄ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図17】
図17は、塗布現像装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図18】
図18は、低減膜形成ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図19】
図19は、基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。一部の図面にはX軸、Y軸、及びZ軸により規定される直交座標系が示される。以下の実施形態では、Z軸が鉛直方向に対応し、X軸及びY軸が水平方向に対応する。Z軸正方向が鉛直上向きに対応し、Z軸負方向が鉛直下向きに対応する。
【0009】
[第1実施形態]
最初に、
図1~
図12を参照して、第1実施形態に係る基板処理システムを説明する。
図1に示される基板処理システム1(基板処理装置)は、ワークWに対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象のワークWは、例えば基板、あるいは所定の処理が施されることで膜又は回路等が形成された状態の基板である。当該基板は、一例として、シリコンウェハである。ワークW(基板)は、円形であってもよい。ワークWは、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)などであってもよい。
【0010】
ワークWの縁にベベル(面取り)が存在する場合、本開示におけるワークWの「表面」には、ワークWの表面側から見たときのベベル部分も含まれ、ワークWの「裏面」には、ワークWの裏面側から見たときのベベル部分も含まれる。ワークWの表面(以下、「表面Wa」と表記する。)は、ワークWにおける一対の主面のうちの感光性被膜が形成される主面である。ワークWの裏面(以下、「裏面Wb」と表記する。)は、上記一対の主面のうちの表面Waとは反対側の主面である。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0011】
図1及び
図2に示されるように、基板処理システム1は、塗布現像装置2と、露光装置3と、制御装置100と、を備える。露光装置3は、ワークW(基板)に形成されたレジスト膜(感光性被膜)を露光する装置である。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。エネルギー線は、例えば、電離放射線、又は非電離放射線などであってもよい。
【0012】
塗布現像装置2(基板処理装置)は、露光装置3による露光処理前に、ワークWの表面Waにレジスト膜を形成する処理を行う。塗布現像装置2は、例えば、ワークWの表面Waにレジストを塗布してワークWの表面Waにレジスト膜を形成する。塗布現像装置2は、レジスト膜を形成する処理に加えて、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行ってもよい。現像処理前のレジスト膜の露光対象部分には、露光装置3によって選択的にエネルギー線が照射されている。塗布現像装置2は、例えば、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、を備える。
【0013】
キャリアブロック4は、塗布現像装置2内へのワークWの導入及び塗布現像装置2内からのワークWの導出を行う。キャリアブロック4は、例えば、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。このように、搬送装置A1を含むキャリアブロック4は、処理ブロック5にワークWを搬入し、処理ブロック5からワークWを搬出する。処理ブロック5は、処理モジュール11,12,13,14を有する。
【0014】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール11は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりワークWの表面Wa上に下層膜を形成する。液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークWの表面Waに供給し、その処理液をワークWの表面Wa上に塗布する。熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0015】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール12は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液をワークWの表面Waに供給し、その処理液を下層膜上に塗布する。熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。処理モジュール12における液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2は、ワークWの表面Waにレジスト膜を形成するレジスト膜形成部として機能する。
【0016】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール13は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。液処理ユニットU1は、上層膜形成用の処理液をワークWの表面Waに供給し、その処理液をレジスト膜上に塗布する。熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0017】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光処理が施されたレジスト膜の現像処理及び現像処理に伴う熱処理を行う。液処理ユニットU1は、現像液を用いた液処理(現像処理)をワークWに対して施すユニットである。液処理ユニットU1は、露光済みのワークWの表面Wa上に現像液を供給して、ワークWの表面Wa上に形成されたレジスト膜の現像処理を行う。液処理ユニットU1は、現像液による現像を行った後、ワークWの表面Wa上の現像液をリンス液により洗い流す。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、及び現像後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0018】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0019】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0020】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続されている。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0021】
上述した塗布現像装置2は基板処理装置の一例であり、基板処理装置は、ワークWの表面におけるレジスト膜の形成を含む所定の処理を実行する膜処理部と、膜処理部に対して、ワークWの搬入出を行う搬入出部と、を備えていれば、どのように構成されてもよい。上述の塗布現像装置2において、処理ブロック5及びインタフェースブロック6が、表面Waにおけるレジスト膜の形成を含む所定の処理を実行する膜処理部として機能する。キャリアブロック4が、膜処理部に対して、ワークWの搬入出を行う搬入出部として機能する。処理ブロック5及びインタフェースブロック6が実行する所定の処理は、露光されたレジスト膜の現像を含んでもよく、当該現像を含まなくてもよい。
【0022】
制御装置100は、塗布現像装置2を部分的及び全体的に制御する。制御装置100は、1以上の制御用コンピュータにより構成される。制御装置100が複数の制御用コンピュータで構成される場合に、これらの複数の制御用コンピュータが、互いに通信可能に接続されてもよい。
【0023】
制御装置100は、機能上の構成として、記憶部102と制御部104とを有する。記憶部102は、塗布現像装置2に含まれる各種ユニット及び各種装置を動作させるためのプログラムを記憶している。記憶部102は、各種のデータ(例えば、塗布現像装置2に含まれる処理ユニット等を動作させるための信号に係る情報)、及び各部に設けられたセンサ等からの情報も記憶している。記憶部102は、例えば半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、又は、光磁気記録ディスクである。当該プログラムは、記憶部102とは別体の外部記憶装置、又は伝播信号などの無形の媒体にも含まれ得る。これらの他の媒体から記憶部102に当該プログラムをインストールして、記憶部102に当該プログラムを記憶させてもよい。
【0024】
制御部104は、記憶部102から読み出したプログラムに基づいて、塗布現像装置2に含まれる各種ユニット及び各種装置の動作を制御する。制御部104は、少なくとも、ワークWの表面Waにおけるレジスト膜の形成と、露光されたレジスト膜の現像とを含む所定の処理を実行するように処理ブロック5を制御することと、処理ブロック5に対して、ワークWの搬入と搬出とを行うようにキャリアブロック4を制御することと、を実行するように構成されている。以下では、塗布現像装置2に含まれる各種処理ユニットについて説明する。
【0025】
(液処理ユニット)
図3には、処理モジュール12の液処理ユニットU1の一例が模式的に示されている。液処理ユニットU1は、処理液を用いた液処理をワークWに施すユニットである。液処理ユニットU1は、例えば、筐体21と、回転保持部22と、処理液供給部24と、カバー部材26と、ブロア28と、を有する。筐体21は、回転保持部22、処理液供給部24の一部、カバー部材26、及び、ブロア28を収容する。筐体21は、液処理ユニットU1による処理液を用いた液処理を行うための処理空間S1(第1処理空間)を形成する。
【0026】
回転保持部22は、ワークWを保持して回転させる。回転保持部22は、例えば、回転駆動部222と、シャフト224と、保持部226と、を含む。回転駆動部222は、制御装置100からの信号に基づき動作し、シャフト224を回転させる。回転駆動部222は、例えば、電動モータ等の動力源を含む。保持部226は、シャフト224の先端部に設けられている。
【0027】
保持部226上には、ワークWの表面Waが上向きの状態で、ワークWが配置される。保持部226は、例えば、吸着等によりワークWを略水平に保持する。回転保持部22は、ワークWの姿勢が略水平である状態で、ワークWの表面Waに対して垂直な中心軸(回転軸)まわりにワークWを回転させる。保持部226は、上記回転軸がワークWの中心に略一致するように、ワークWを保持してもよい。
【0028】
処理液供給部24は、回転保持部22(保持部226)に保持されたワークWの表面Waに対して、レジスト膜を形成するための処理液を供給する。以下、処理液供給部24により供給される処理液を「処理液L1」と表記し、表面Waに形成されるレジスト膜を「レジスト膜R」と表記する。処理液L1(別の処理液)は、レジスト膜Rを形成するためのレジスト液である。本開示において、液体又は気体の流体(例えば、処理液L1)をワークWの主面(例えば、表面Wa)に対して供給することは、その主面に既に形成されている膜に対して当該流体を接触させることを含む。
【0029】
処理液供給部24は、例えば、処理液供給源246と、ノズル242と、開閉バルブ244と、ノズル駆動部248と、を含む。処理液供給源246は、処理液L1の液源であり、ノズル242に処理液L1を供給する。処理液供給源246は、例えば、処理液L1を収容するタンクと、処理液L1を圧送するポンプとを含む。ノズル242は、処理液供給源246から供給される処理液L1を、ワークWの表面Waに向けて吐出する。
【0030】
開閉バルブ244は、制御装置100からの信号に基づいて、処理液供給源246とノズル242との間の処理液L1の流路を開閉する。ノズル駆動部248は、制御装置100からの信号に基づいて、少なくともワークWの表面Waに沿う方向(水平方向)において、ノズル242を移動させる。
【0031】
カバー部材26は、回転保持部22の周囲に設けられている。カバー部材26は、例えば、カップ本体262と、排液口264と、排気口266と、を含む。カップ本体262は、ワークWに対する液処理のためにワークWに供給された処理液L1を受け止める集液容器として機能する。
【0032】
排液口264は、カップ本体262の底部に設けられている。カップ本体262によって集められた処理液L1の排液が、排液口264を介して、液処理ユニットU1の外に排出される。排液口264には、排液ラインlL1(第1排液ライン)が接続されている。排液ラインlL1は、液処理ユニットU1での処理液L1による処理を行うための処理空間S1から、塗布現像装置2の外に、処理液L1を排出する。排液ラインlL1は、処理液L1を塗布現像装置2の外に導く配管である。1つの液処理ユニットU1に接続される排液ラインlL1は、処理モジュール12における他の液処理ユニットU1に接続される排液ラインlL1と合流したうえで、塗布現像装置2の外に処理液L1を排出してもよい。
【0033】
排気口266は、カップ本体262の底部に設けられている。排気口266から、筐体21内のガスが、液処理ユニットU1の外に排出される。排気口266には、排気ラインgL1(第1排気ライン)が接続されている。排気ラインgL1は、液処理ユニットU1での処理液L1による処理を行うための処理空間S1内(筐体21内)のガスを、塗布現像装置2の外に排出する。排気ラインgL1は、筐体21内から排出されたガスを塗布現像装置2の外に導く配管である。1つの液処理ユニットU1に接続される排気ラインgL1は、処理モジュール12における他の液処理ユニットU1に接続される排気ラインgL1と合流したうえで、塗布現像装置2の外に筐体21内のガスを排出してもよい。
【0034】
ブロア28は、筐体21内において、回転保持部22及びカバー部材26の上方に配置されている。ブロア28は、制御装置100からの信号に基づいて、カバー部材26及び回転保持部22に向かう下降流を形成する。
【0035】
液処理ユニットU1が処理液L1の塗布膜を表面Waに形成した後、熱処理ユニットU2がワークWの熱処理を行うことで、レジスト膜Rが形成される。
図3では、熱処理前の処理液L1の塗布膜が「R」で示されている。以上のように、処理モジュール12の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2は、ワークWの表面Waにレジスト膜を形成する処理(第1処理)を行う。
【0036】
(反転ユニット)
図2に示されるように、塗布現像装置2の処理ブロック5は、1以上の反転ユニット18を有してもよい。塗布現像装置2の処理ブロック5は、複数の反転ユニット18を有してもよい。1以上の反転ユニット18は、棚ユニットU10の一部のセルに配置されていてもよい。1以上の反転ユニット18が、棚ユニットU10の複数のセルのうちの処理モジュール11に対応するセルに配置されていてもよい。
【0037】
反転ユニット18(反転処理部)は、ワークWの裏面Wbの上下を反転させるユニットである。反転ユニット18は、裏面Wbが下向きの状態から、裏面Wbが上向きの状態となるように、ワークWの上下を反転させる。反転ユニット18は、裏面Wbが上向きの状態から、裏面Wbが下向きの状態となるように、ワークWの上下を反転させる。
【0038】
<裏面Wbにおける膜>
図4には、ワークWの断面の一例が模式的に示されている。ワークWの裏面Wb(表面Waと反対側の主面)には、種々の目的で膜が形成される場合がある。以下、ワークWの裏面Wbに形成されている膜を「膜F」と表記する。膜F(裏面膜)は、単層の膜であってもよく、多層の膜であってもよい。膜Fは、シリコン酸化膜F1と、シリコン窒化膜F2とを含んでよい。シリコン酸化膜F1と、シリコン窒化膜F2とは、ワークWの裏面Wbから、この順で積層されてもよい。シリコン酸化膜F1とシリコン窒化膜F2との間に、他の膜が存在していてもよい。
図4では、ワークWの表面Waに形成される膜(レジスト膜R等)は省略されている。
【0039】
膜Fは、塗布現像装置2での処理(レジスト膜Rの形成及び現像)の前に、形成されてもよい。膜Fは、塗布現像装置2に導入される前に、既に形成されていてもよい。裏面Wbに形成された膜Fには、異物が存在している。膜Fに存在する異物は、例えば、ワークWの裏面Wbと他の部材(例えば、ワークWを保持する部材等)との接触、又は、ワークWに対する膜形成等の処理に伴って発生する。膜Fに存在する異物には、例えば、ワークWの裏面Wbに付着したパーティクルP1、ワークWの裏面Wbに形成されたバリB1、及び、膜F内に埋め込まれたパーティクルP2が含まれる。
【0040】
塗布現像装置2(処理ブロック5及びインタフェースブロック6)では、ワークWの裏面Wbから異物を除去するための処理が行われ、裏面Wbにおける欠陥が低減される。塗布現像装置2は、例えば、1以上の第1裏面処理ユニット30と、1以上の第2裏面処理ユニット40と、を有する(
図2参照)。
【0041】
(第1裏面処理ユニット)
図5には、第1裏面処理ユニット30の一例が模式的に示されている。第1裏面処理ユニット30は、処理モジュール11に設けられてもよい。第1裏面処理ユニット30(膜除去処理部)は、ワークWの表面Waと反対側の裏面Wbに形成された膜Fに対して、膜Fを除去するための処理液を供給する処理(第2処理)を行う。第1裏面処理ユニット30により供給される処理液を「処理液L2」と表記する。処理液L2は、膜Fの少なくとも一部を除去することが可能な薬液である。第1裏面処理ユニット30は、膜Fを除去することが可能な薬液である処理液L2により、膜Fのエッチングを行う。
【0042】
第1裏面処理ユニット30は、ワークWの裏面Wbを下に向けて保持した状態で、裏面Wbに対して、エッチングのための処理液L2を裏面Wbに供給してもよい(下から供給してもよい)。第1裏面処理ユニット30は、例えば、筐体32と、回転保持部34と、処理液供給部35と、カバー部材39と、を有する。
【0043】
筐体32は、回転保持部34の一部、処理液供給部35の一部、及び、カバー部材39を収容する。筐体32は、第1裏面処理ユニット30による処理液を用いた処理を行うための処理空間S2(第2処理空間)を形成する。筐体32の天井部にはブロア32aが設けられており、ブロア32aは、筐体32内に下降流を形成する。ブロア32aは、FFU(Fun Filter Unit)であってもよい。
【0044】
回転保持部34は、ワークWを保持して回転させる。回転保持部34は、ワークWの裏面Wbを下に向けた状態で、ワークWの周縁部(周縁とその近傍)を保持してもよい。回転保持部34は、例えば、回転駆動部342と、シャフト344と、保持部346と、複数の把持部348と、を含む。回転駆動部342は、制御装置100からの信号に基づき動作し、シャフト344を回転させる。回転駆動部342は、例えば、電動モータ等の動力源を含む。保持部346は、シャフト344の先端部に設けられている。
【0045】
複数の把持部348は、保持部346の上面に設けられている。複数の把持部348は、ワークWの周縁部を把持する。複数の把持部348は、保持部346の上面とワークWとの間に隙間を設けた状態で、ワークWの周縁部を把持(保持)してもよい。複数の把持部348は、ワークWの裏面Wbを下に向けた状態で、ワークWを保持する。回転保持部34は、ワークWの姿勢が略水平である状態で、ワークWの表面Waに対して垂直な中心軸(回転軸)まわりにワークWを回転させる。複数の把持部348は、上記回転軸がワークWの中心に略一致するように、ワークWの周縁部を把持してもよい。
【0046】
処理液供給部35は、複数の把持部348によって把持されたワークWの裏面Wbに対して、処理液L2(1以上の処理液)を供給する。処理液供給部35は、ワークWの裏面Wbに対して、下から処理液L2を供給してもよい。シャフト344及び保持部346の中央部には、上記回転軸に沿って貫通する挿入孔が形成されており、処理液供給部35は、上記挿入孔に配置されている。処理液供給部35は、上記回転軸に沿って延び、処理液L2を導く流路を含む。処理液供給部35の上端は、複数の把持部348に把持されたワークWの裏面Wbに対して、処理液L2を吐出する。
【0047】
処理液供給部35には、例えば、第1薬液供給部36、第2薬液供給部37、及び、リンス液供給部38が接続されている。処理液供給部35には、第1薬液供給部36、第2薬液供給部37、及びリンス液供給部38のいずれか1つの供給部から液が供給され、処理液供給部35は、その液をワークWの裏面Wbに対して供給する。処理液供給部35は、第1薬液供給部36及び第2薬液供給部37のいずれか一方から供給される処理液L2を、裏面Wbに対して吐出する。第1裏面処理ユニット30は、処理液供給部35から吐出される処理液L2を、所定の温度範囲に加熱するヒータを有してもよい。
【0048】
第1薬液供給部36は、処理液供給部35に対して、処理液L2として第1薬液を供給する。第1薬液は、膜Fを除去するための処理液である。第1薬液供給部36は、第1薬液供給源362と、開閉バルブ364と、流量調節器366と、を含む。第1薬液供給源362、開閉バルブ364、及び、流量調節器366は、第1薬液の流路において、上流側から、この順で配置されている。
【0049】
第1薬液供給源362は、第1薬液の液源であり、例えば、第1薬液を収容するタンクを含む。開閉バルブ364は、制御装置100からの信号に基づき、第1薬液供給源362と処理液供給部35との間の第1薬液の流路を開閉する。流量調節器366は、制御装置100からの信号に基づき、第1薬液供給源362から処理液供給部35に供給される第1薬液の流量を調節する。第1薬液は、フッ酸であってもよい。
【0050】
第2薬液供給部37は、処理液供給部35に対して、処理液L2として第2薬液を供給する。第2薬液は、膜Fを除去するための処理液である。第2薬液供給部37は、第2薬液供給源372と、開閉バルブ374と、流量調節器376と、を含む。第2薬液供給源372、開閉バルブ374、及び、流量調節器376は、第2薬液の流路において、上流側から、この順で配置されている。
【0051】
第2薬液供給源372は、第2薬液の液源であり、例えば、第2薬液を収容するタンクを含む。開閉バルブ374は、制御装置100からの信号に基づき、第2薬液供給源372と処理液供給部35との間の第2薬液の流路を開閉する。流量調節器376は、制御装置100からの信号に基づき、第2薬液供給源372から処理液供給部35に供給される第2薬液の流量を調節する。第2薬液は、アンモニア、過酸化水素、及び水の混合液であるSC-1であってもよい。本開示において、処理液L2は、膜Fを除去するための第1薬液及び第2薬液の総称である。すなわち、処理液L2は、第1薬液及び第2薬液のどちらか一方、又は、第1薬液及び第2薬液の双方を意味する。
【0052】
リンス液供給部38は、処理液供給部35に対してリンス液を供給する。リンス液は、ワークWの裏面Wbに供給された薬液を洗い流すための液であり、DIW(Deionized Water)であってもよい。リンス液供給部38は、リンス液供給源382と、開閉バルブ384と、流量調節器386と、を含む。リンス液供給源382、開閉バルブ384、及び、流量調節器386は、リンス液の流路において、上流側から、この順で配置されている。
【0053】
リンス液供給源382は、リンス液の液源であり、例えば、リンス液を収容するタンクを含む。開閉バルブ384は、制御装置100からの信号に基づき、リンス液供給源382と処理液供給部35との間のリンス液の流路を開閉する。流量調節器386は、制御装置100からの信号に基づき、リンス液供給源382から処理液供給部35に供給されるリンス液の流量を調節する。
【0054】
カバー部材39は、回転保持部34の周囲に設けられている。カバー部材39は、例えば、カップ本体392と、排液口394と、排気口396と、を含む。カップ本体392は、ワークWの裏面Wbに供給された第1薬液等の処理液L2を受け止める集液容器として機能する。
【0055】
排液口394は、カップ本体392の底部に設けられている。カップ本体392によって集められた処理液L2の排液が、排液口394を介して、第1裏面処理ユニット30の外に排出される。排液口394には、排液ラインlL2(第2排液ライン)が接続されている。排液ラインlL2は、第1裏面処理ユニット30での処理液L2による処理を行うための処理空間S2から、塗布現像装置2の外に、処理液L2(処理液L2及びリンス液)を排出する。
【0056】
排液ラインlL2は、処理液L2(処理液L2及びリンス液)を塗布現像装置2の外に導く配管である。1つの第1裏面処理ユニット30に接続される排液ラインlL2は、他の第1裏面処理ユニット30に接続される排液ラインlL2と合流したうえで、塗布現像装置2の外に処理液L2を排出してもよい。排液ラインlL2は、液処理ユニットU1に接続される上述の排液ラインlL1とは独立して、処理液L2を塗布現像装置2の外に排出する(
図2も参照)。この場合、排液ラインlL2は、排液ラインlL1と合流しないで、塗布現像装置2の外に処理液L2を導く。
【0057】
排気口396は、カップ本体392の底部に設けられている。排気口396から、筐体32内のガスが、第1裏面処理ユニット30の外に排出される。排気口396には、排気ラインgL2(第2排気ライン)が接続されている。排気ラインgL2は、第1裏面処理ユニット30での処理液L2による処理を行うための処理空間S2内(筐体32内)のガスを、塗布現像装置2の外に排出する。
【0058】
排気ラインgL2は、筐体32内から排出されたガスを塗布現像装置2の外に導く配管である。1つの第1裏面処理ユニット30に接続される排気ラインgL2は、他の第1裏面処理ユニット30に接続される排気ラインgL2と合流したうえで、塗布現像装置2の外に筐体32内のガスを排出してもよい。排気ラインgL2は、液処理ユニットU1に接続される上述の排気ラインgL1とは独立して、筐体32内のガスを塗布現像装置2の外に排出する(
図2も参照)。この場合、排気ラインgL2は、排気ラインgL1とは合流しないで、塗布現像装置2の外に筐体32内のガスを導く。
【0059】
以上のように構成された第1裏面処理ユニット30は、最初に、表面Waが上を向いた(裏面Wbが下を向いた)状態のワークWの周縁部を複数の把持部348によって保持する。そして、第1裏面処理ユニット30は、回転駆動部342により、複数の把持部348によって保持されたワークWを回転させる。その後、第1裏面処理ユニット30は、回転しているワークWの裏面Wbの中央の領域に向けて、処理液供給部35から複数の薬液を順に供給する。一例では、第1裏面処理ユニット30は、回転するワークWの裏面Wbの中央領域に向けて、処理液供給部35から、フッ酸、DIW、SC-1、及び、DIWをこの順で供給する。
【0060】
処理液供給部35から複数の薬液が、ワークWの裏面Wbの中央領域に向けて供給されることで、裏面Wbに形成されている膜Fがエッチングされる。膜Fのエッチングに伴って、裏面Wbに付着したパーティクルP1と、裏面Wbの膜Fの中に埋め込まれたパーティクルP2とが除去され得る。第1裏面処理ユニット30は、リンス液であるDIWにより、裏面Wbに残るSC-1を洗い流すリンス処理を行った後に、薬液が供給されていない状態でワークWを回転させることで、ワークWを乾燥させる処理を行う。
【0061】
(第2裏面処理ユニット)
図6及び
図7には、第2裏面処理ユニット40の一例が模式的に示されている。第2裏面処理ユニット40(異物除去処理部)は、第1裏面処理ユニット30により処理されたワークWの裏面Wbに対してブラシを接触させた状態で、ブラシをワークWの裏面Wbに沿って移動させる処理(第3処理)を行う。ブラシを接触させて裏面Wbに沿って移動させることで、裏面Wbに存在する異物が除去され得る。裏面Wbに対してブラシ等の部材を接触させることには、裏面Wbに既に形成されている膜F等の膜に部材を接触させることを含む。
【0062】
第2裏面処理ユニット40は、2以上(2種類以上)のブラシを用いて、裏面Wbにおける異物を除去する処理を行ってもよい。2以上のブラシ(2種類以上のブラシ)が用いられる場合、第2裏面処理ユニット40は、互いに異なるタイミングで、各ブラシを裏面Wbに接触させて、裏面Wbに沿って移動させる。第2裏面処理ユニット40は、反転ユニット18により反転された後のワークW(裏面Wbが上を向くワークW)に対して処理を行う。第2裏面処理ユニット40は、裏面Wbを上に向けてワークWを保持した状態で、ワークWの裏面Wbにおける異物を除去する処理を実行してもよい。以下では、第2裏面処理ユニット40が、2つのブラシ(2種類のブラシ)を用いて、異物の除去を行う場合を例示する。
【0063】
第2裏面処理ユニット40は、ワークWの裏面Wbに対して研磨処理を行い、研磨処理後に、裏面Wbに対して洗浄処理を行うことで、裏面Wbにおける異物を除去してもよい。第2裏面処理ユニット40は、研磨処理において、研磨用のブラシを裏面Wbに接触させた状態で、研磨用のブラシを裏面Wbに沿って移動させることで、裏面Wbを研磨する。第2裏面処理ユニット40は、洗浄処理において、洗浄用のブラシを接触させた状態で、洗浄用のブラシを裏面Wbに沿って移動させることで、裏面Wbを洗浄する。
【0064】
第2裏面処理ユニット40は、例えば、筐体41と、回転保持部42と、カバー部材43と、研磨部44と、洗浄部45と、第1供給部47と、第2供給部48と、を有する。筐体41は、回転保持部42の一部、カバー部材43、研磨部44、洗浄部45、第1供給部47の一部、及び、第2供給部48の一部を収容する。筐体41は、第2裏面処理ユニット40による処理を行うための処理空間を形成する。筐体41の天井部にはブロア41aが設けられており、ブロア41aは、筐体41内に下降流を形成する。ブロア41aは、FFUであってもよい。
【0065】
回転保持部42は、ワークWを保持して回転させる。回転保持部42は、ワークWの裏面Wbを上に向けた状態で、ワークWの周縁部を保持してもよい。回転保持部42は、例えば、回転駆動部422と、シャフト424と、本体部426と、複数の把持部428と、を含む。回転駆動部422は、制御装置100からの信号に基づき動作し、シャフト424を回転させる。回転駆動部422は、例えば、電動モータ等の動力源を含む。本体部426は、シャフト424の先端部に設けられている。本体部426は、円板状に形成された部材であり、本体部426の径は、ワークWの径よりも大きい。
【0066】
複数の把持部428は、本体部426の上面に設けられている。複数の把持部428は、ワークWの周縁部を把持する。複数の把持部428は、本体部426の上面とワークWとの間に隙間を設けた状態で、ワークWの周縁部を把持(保持)してもよい。複数の把持部428は、ワークWの裏面Wbを上に向けた状態で、ワークWの周縁部を把持(保持)してもよい。回転保持部42は、ワークWの姿勢が略水平である状態で、ワークWの表面Waに対して垂直な中心軸(回転軸)まわりにワークWを回転させる。複数の把持部428は、上記回転軸がワークWの中心に略一致するように、ワークWの周縁部を把持してもよい。
【0067】
カバー部材43は、回転保持部42の周囲に設けられている。カバー部材43は、例えば、カップ本体432と、排液口434と、排気口436と、を含む。カップ本体432は、ワークWの裏面Wbに供給された薬液等を受け止める集液容器として機能する。排液口434は、カップ本体432の底部に設けられている。カップ本体432によって集められた薬液が、排液口434を介して、第2裏面処理ユニット40(塗布現像装置2)の外に排出される。排気口436は、カップ本体432の底部に設けられている。排気口436から、筐体41内のガスが、第2裏面処理ユニット40(塗布現像装置2)の外に排出される。
【0068】
研磨部44は、複数の把持部428に保持されたワークWの裏面Wbを研磨する。研磨部44は、例えば、研磨ブラシ442(研磨用のブラシ)と、シャフト444と、アーム445と、レール446と、駆動部448と、を有する。研磨ブラシ442は、砥石を含んでもよい。研磨ブラシ442は、ダイヤモンド砥石、又は、ダイヤモンドシートを含んでもよい。研磨ブラシ442は、円柱状に形成されてもよい。研磨ブラシ442は、その先端部がワークWの裏面Wbに接触した状態で、裏面Wbに沿って移動することにより、裏面Wbを研磨する。
【0069】
研磨ブラシ442は、Z軸方向に沿って延びるように形成されたシャフト444を介してアーム445に接続されている。アーム445は、水平方向に沿って延びるように形成されており、シャフト444を介して研磨ブラシ442を支持する。駆動部448は、電動モータ等の動力源を含んでおり、アーム445をレール446に沿って移動させる。駆動部448は、アーム445をZ軸方向にも移動させることが可能である。研磨部44は、研磨ブラシ442を通る軸線まわりに研磨ブラシ442を回転させる回転駆動部を有してもよい。研磨部44は、上記回転駆動部により、シャフト444に対して研磨ブラシ442を回転させてもよい。
【0070】
洗浄部45は、研磨部44による研磨後に、複数の把持部428に保持されたワークWの裏面Wbを洗浄する。洗浄部45は、例えば、洗浄ブラシ452(洗浄用のブラシ)と、シャフト454と、アーム455と、レール456と、駆動部458と、を有する。洗浄ブラシ452は、PVCスポンジ、ウレタンスポンジ、又は、ナイロン繊維によって形成されてもよい。洗浄ブラシ452は、円柱状に形成されてもよい。洗浄ブラシ452は、その先端部がワークWの裏面Wbに接触した状態で、裏面Wbに沿って移動することにより、裏面Wbを洗浄する。
【0071】
洗浄ブラシ452は、Z軸方向に沿って延びるように形成されたシャフト454を介してアーム455に接続されている。アーム455は、水平方向に沿って延びるように形成されており、シャフト454を介して洗浄ブラシ452を支持する。駆動部458は、電動モータ等の動力源を含んでおり、アーム455をレール456に沿って移動させる。駆動部458は、アーム455をZ軸方向にも移動させることが可能である。洗浄部45は、洗浄ブラシ452を通る軸線まわりに洗浄ブラシ452を回転させる回転駆動部を有してもよい。洗浄部45は、上記回転駆動部により、シャフト454に対して洗浄ブラシ452を回転させてもよい。
【0072】
第1供給部47は、複数の把持部428に保持されたワークWに対して洗浄液及びリンス液を個別に供給する。第1供給部47は、カバー部材43の外方に配置されている。第1供給部47は、例えば、ノズル471と、アーム472と、駆動部473と、開閉バルブ474と、第1洗浄液供給源475と、開閉バルブ476と、リンス液供給源477と、を含む。
【0073】
ノズル471は、ワークWに対して洗浄液を吐出し、ワークWに対してリンス液を吐出する。アーム472は、ノズル471を支持する。駆動部473は、電動モータ等の動力源を含み、アーム472をZ軸方向に沿う軸線まわりに回転させ、アーム472を昇降する。
【0074】
ノズル471は、開閉バルブ474等を介して第1洗浄液供給源475に接続されている。開閉バルブ474は、制御装置100からの信号に基づき、ノズル471と第1洗浄液供給源475との間の流路を開閉する。開閉バルブ474が開状態であるときに、ノズル471は、第1洗浄液供給源475から供給される第1洗浄液をワークWの裏面Wbに対して吐出する。第1洗浄液供給源475から供給される第1洗浄液は、例えば、SC-1である。
【0075】
ノズル471は、開閉バルブ476等を介してリンス液供給源477に接続されている。開閉バルブ476は、制御装置100からの信号に基づき、ノズル471とリンス液供給源477との間の流路を開閉する。開閉バルブ476が開状態であるときに、ノズル471は、リンス液供給源477から供給されるリンス液をワークWの裏面Wbに対して吐出する。リンス液供給源477から供給されるリンス液は、例えば、DIWである。
【0076】
第2供給部48は、複数の把持部428に保持されたワークWに対して、洗浄液と気体とを混合することで得られるミスト化した洗浄液を供給する。第2供給部48は、カバー部材43の外方に配置されている。第2供給部48は、例えば、ノズル481と、アーム482と、駆動部483と、開閉バルブ484と、第2洗浄液供給源485と、開閉バルブ486と、気体供給源487と、を含む。
【0077】
ノズル481は、例えば、2流体ノズルであり、ミスト化した洗浄液をワークWに対して吐出する。アーム482は、ノズル481を支持する。駆動部483は、電動モータ等の動力源を含み、アーム482をZ軸方向に沿う軸線まわりに回転させ、アーム482を昇降させる。
【0078】
ノズル481は、開閉バルブ484等を介して第2洗浄液供給源485に接続されており、開閉バルブ486等を介して気体供給源487に接続されている。開閉バルブ484は、制御装置100からの信号に基づき、ノズル481と第2洗浄液供給源485との間の流路を開閉する。開閉バルブ486は、制御装置100からの信号に基づき、ノズル481と気体供給源487との間の流路を開閉する。
【0079】
第2供給部48は、第2洗浄液供給源485から供給される第2洗浄液と、気体供給源487から供給される気体とをノズル481内で混合したうえで、混合して得られるミスト化した洗浄液をノズル481からワークWの裏面Wbに吐出する。第2洗浄液供給源485から供給される第2洗浄液は、例えば、DIWであり、気体供給源487から供給される気体は、例えば、窒素ガス等の不活性ガスである。
【0080】
以上のように構成された第2裏面処理ユニット40は、反転ユニット18により裏面Wbが上向きに反転された状態のワークWに対して処理を実行してもよい。第2裏面処理ユニット40は、最初に、裏面Wbが上向きの状態で複数の把持部428によりワークWの周縁部を保持する。そして、第2裏面処理ユニット40は、回転駆動部422により、複数の把持部428によって保持されたワークWを回転させる。第2裏面処理ユニット40は、ワークWが回転している状態で、研磨部44の駆動部448により、研磨ブラシ442をワークWの裏面Wbに上方から接触させる。その後、第2裏面処理ユニット40は、研磨ブラシ442をシャフト444に対して回転させながら、駆動部448により、裏面Wbに接触した状態を維持しつつ、研磨ブラシ442をワークWの径方向に沿って移動させる。これにより、ワークWの裏面Wbが研磨され(裏面Wbに対する研磨処理が行われ)、ワークWの裏面Wbに残るバリB1が除去され得る。
【0081】
裏面Wbに対する研磨処理を行った後、第2裏面処理ユニット40は、回転するワークWの裏面Wbに対して第1供給部47から第1洗浄液を供給しながら、洗浄部45の駆動部458により、洗浄ブラシ452をワークWの裏面Wbに上方から接触させる。そして、第2裏面処理ユニット40は、洗浄ブラシ452をシャフト454に対して回転させながら、駆動部458により、裏面Wbに接触した状態を維持しつつ、洗浄ブラシ452をワークWの径方向に沿って移動させる。これにより、ワークWの裏面Wbが洗浄され(裏面Wbに対する洗浄処理が行われ)、研磨処理後に裏面Wbに残る、バリB1の削り屑を除去することができる。
【0082】
裏面Wbに対する洗浄処理の後、第2裏面処理ユニット40は、第2供給部48の駆動部483により、回転するワークWの裏面Wbの上方にノズル481を配置して、ノズル481からワークWの裏面Wbに対して、ミスト化された第2洗浄液を供給する。これにより、ワークWの裏面Wbが更に洗浄され、第1裏面処理ユニット30でのエッチング処理、研磨ブラシ442による研磨処理、及び、洗浄ブラシ452による洗浄処理によって除去されなかった異物を裏面Wbから除去することができる。
【0083】
第2供給部48からのミスト化された第2洗浄液による洗浄の後、第2裏面処理ユニット40は、ワークWの裏面Wbに対して第1供給部47からリンス液を供給する。これにより、ワークWの裏面Wbに残る薬液が洗い流される(裏面Wbに対するリンス処理が行われる)。そして、第2裏面処理ユニット40は、ワークWに対して薬液等が供給されていない状態で、ワークWを回転させることによって、ワークWを乾燥させる処理(乾燥処理)を行う。
【0084】
第2裏面処理ユニット40による全ての処理が実行された後、反転ユニット18(第2反転処理部)は、第2裏面処理ユニット40により処理が行われた後のワークWの裏面Wbの上下を反転させる。第2裏面処理ユニット40の処理後に裏面Wbが下向きとなるようにワークWの上下を反転させる反転ユニット18は、第2裏面処理ユニット40の処理前に上下を反転させる反転ユニット18と同一のユニットであってもよく、異なるユニットであってもよい。第2裏面処理ユニット40の処理前に上下を反転させる反転ユニット18は、第1裏面処理ユニット30により処理が行われた後のワークWの裏面Wbを反転させて、裏面Wbを下向きの状態から上向きの状態に変化させてもよい。
【0085】
[基板処理方法]
続いて、基板処理方法の一例として、塗布現像装置2において実行される塗布現像処理を説明する。
図8は、1枚のワークWに関して制御装置100が実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御装置100は、ステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、制御装置100の制御部104が、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御して、棚ユニットU10における処理モジュール11用のセルにワークWを配置するように搬送装置A7を制御する。ステップS11の実行により、処理ブロック5及びインタフェースブロック6に対して、ワークWが搬入される。
【0086】
次に、制御装置100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、制御部104が、ワークWの裏面Wbに対して異物を除去するための処理(以下、「異物除去処理」という。)を施すように、反転ユニット18、第1裏面処理ユニット30、及び第2裏面処理ユニット40を制御する。ステップS12の異物除去処理の詳細については、後述する。
【0087】
次に、制御装置100は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、制御部104が、棚ユニットU10(反転ユニット18)のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御部104は、このワークWの表面Wa上に下層膜を形成するように、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御装置100は、下層膜が形成されたワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0088】
次に、制御装置100は、ステップS14を実行する。ステップS14では、例えば、制御部104が、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御部104は、このワークWの表面Waにレジスト膜Rを形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御部104は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0089】
次に、制御装置100は、ステップS15を実行する。ステップS15では、例えば、制御部104が、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御部104は、このワークWのレジスト膜R上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御部104は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0090】
次に、ステップS16が実行される。ステップS16の実行前に、制御部104は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。ステップS16では、露光装置3によって、そのワークWに対して露光処理が行われる。ステップS16の実行後、制御部104は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0091】
次に、制御装置100は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、制御部104が、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御部104は、このワークWのレジスト膜Rに対する現像処理及び現像処理に伴う熱処理を行うように、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。レジスト膜Rの現像処理が行われることで、ワークWの表面Waには、レジストパターンが形成される。
【0092】
次に、制御装置100は、ステップS18を実行する。ステップS18では、例えば、制御部104が、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。ステップS18の実行により、処理ブロック5及びインタフェースブロック6から、ワークWが搬出される。
【0093】
以上により1枚のワークWについての塗布現像処理が完了する。制御装置100は、後続の複数のワークWのそれぞれについても、上述のステップS11~S18の処理と同様に、塗布現像処理を塗布現像装置2に実行させる。
【0094】
図9は、ステップS12の異物除去処理の一例を示すフローチャートである。ステップS12では、制御装置100が、最初にステップS21を実行する。ステップS21では、例えば、制御部104が、
図10(a)に示されるように、ワークWが回転保持部34の複数の把持部348に保持されるように、第1裏面処理ユニット30等を制御する。この段階では、例えば、膜Fが形成されている裏面Wbにおいて、異物として、パーティクルP1、パーティクルP2、及び、バリB1が存在している。複数の把持部348にワークWが保持された後、制御部104が、ワークWの裏面Wbに対してエッチング処理を施すように、第1裏面処理ユニット30を制御する。
【0095】
エッチング処理では、制御部104が、
図10(b)に示されるように、回転駆動部342により、複数の把持部348に保持されたワークWを回転させる。ワークWを回転させている状態で、制御部104は、処理液供給部35により、回転するワークWの裏面Wbに向けて第1薬液(例えば、フッ酸)を供給する。処理液供給部35から供給されるフッ酸の濃度は45%~55%であってもよく、その温度が20℃~50℃であってもよい。フッ酸の供給時間が、10秒間~180秒間であってもよい。
【0096】
その後、制御部104は、処理液供給部35により、回転するワークWの裏面Wbに向けて第2薬液(例えば、SC-1)を供給する。SC-1の混合比が、アンモニア:過酸化水素:水=1:1:5~1:10:100であり、その温度が20℃~70℃であってもよい。SC-1の供給時間が、10秒間~30秒間であってもよい。第2薬液の供給後、制御部104は、処理液供給部35により、回転するワークWの裏面Wbに向けてリンス液(例えば、DIW)を供給する。リンス液の供給後、制御部104は、ワークWの回転数を増加させて、回転駆動部342によりワークWの回転を所定時間継続することで、ワークWの裏面Wbに残る薬液をワークWの外に排出してワークWを乾燥させる。
【0097】
制御部104は、エッチング処理後において膜Fの一部が残るように、ステップS21を実行してもよい。この場合、エッチング処理の後に実行される他の処理(例えば、研磨処理)において、ワークWの裏面Wbが傷付けられるのを抑制できる。ステップS21では、ワークWの裏面Wbに複数の薬液が順次供給されて、膜Fのエッチングが行われる。複数の薬液を用いることで、膜Fのうち、表層であるシリコン窒化膜F2を選択的にエッチングすることができる。
【0098】
次に、制御装置100は、ステップS22を実行する。ステップS22では、例えば、制御部104が、第1裏面処理ユニット30から反転ユニット18にワークWを搬送するように搬送装置A3を制御する。そして、制御部104は、反転ユニット18により、裏面Wbが上向きとなるように(表面Waが下向きとなるように)、ワークWの上下を反転させる。
【0099】
次に、制御装置100は、ステップS23を実行する。ステップS23では、例えば、制御部104が、裏面Wbが上向きとなったワークWを反転ユニット18から第2裏面処理ユニット40に搬送するように搬送装置A3を制御する。制御部104は、裏面Wbが上方に向けられた状態(表面Waが下方に向けられた状態)で、第2裏面処理ユニット40の筐体41内にワークWを搬入するように搬送装置A3を制御する。
【0100】
制御部104は、ワークWを搬入する際に、
図11(a)に示されるように、ワークWが回転保持部42の複数の把持部428に保持されるように、第2裏面処理ユニット40等を制御する。この段階では、ワークWの裏面Wbには、異物として、バリB1が残っている。そして、制御部104は、ワークWの裏面Wbが上を向いた状態で、裏面Wbに対して研磨処理を施すように、第2裏面処理ユニット40を制御する。
【0101】
研磨処理では、制御部104が、
図11(b)に示されるように、回転駆動部422により、複数の把持部428に保持されたワークWを回転させる。ワークWを回転させている状態で、制御部104は、研磨部44の駆動部448により、研磨ブラシ442の先端部をワークWの裏面Wbに上方から接触させる。そして、制御部104は、研磨ブラシ442を回転させながら、駆動部448により、研磨ブラシ442をワークWの径方向(例えば、ワークWの中心部からワークWの外縁の外に向かって)移動させる。ステップS23では、研磨ブラシ442が裏面Wbに接触した状態で、裏面Wbに沿って研磨ブラシ442が(裏面Wbに対して相対的に)移動することで、ワークWの裏面Wbが研磨され、その結果、バリB1が除去される。この段階では、バリB1の削り屑が異物として裏面Wbに残っている。
【0102】
次に、制御装置100は、ステップS24を実行する。ステップS24では、例えば、制御部104が、裏面Wbに対して第1洗浄処理を施すように、第2裏面処理ユニット40を制御する。第1洗浄処理では、制御部104が、
図12(a)に示されるように、回転駆動部422によりワークWを回転させている状態で、洗浄部45の駆動部458により、洗浄ブラシ452の先端部をワークWの裏面Wbに上方から接触させる。そして、制御部104は、洗浄ブラシ452を回転させながら、駆動部458により、洗浄ブラシ452をワークWの径方向(例えば、ワークWの中心部からワークWの外縁の外に向かって)移動させる。
【0103】
洗浄ブラシ452の移動と共に、制御部104は、回転するワークWの上方に配置されたノズル471から裏面Wbに向けて第1洗浄液(例えば、SC-1)を供給するように第1供給部47を制御する。ノズル471から吐出されるSC-1の混合比は、アンモニア:過酸化水素:水=1:1:5~1:10:100であってもよく、SC-1の温度は、20℃~70℃であってもよい。ステップS24では、洗浄ブラシ452が裏面Wbに接触した状態で、裏面Wbに沿って(裏面Wbに対して相対的に)移動することで、ワークWの裏面Wbが洗浄され、その結果、裏面Wbに残るバリB1の削り屑が除去される。
【0104】
次に、制御装置100は、ステップS25を実行する。ステップS25では、例えば、制御部104が、裏面Wbに対して第2洗浄処理を施すように第2裏面処理ユニット40を制御する。第2洗浄処理では、
図12(b)に示されるように、回転するワークWの上方に配置されたノズル481から裏面Wbに向けて、ミスト化された第2洗浄液を供給するように、第2供給部48を制御する。ミスト化された第2洗浄液の供給により、ワークWの裏面Wbが洗浄され、エッチング処理、研磨処理、及び、第1洗浄処理によって除去されなかった異物を裏面Wbから除去することができる。
【0105】
次に、制御部104は、ステップS26を実行する。ステップS26では、例えば、制御部104が、裏面Wbに対してリンス処理を施すように第2裏面処理ユニット40を制御する。リンス処理では、制御部104が、回転するワークWの上方に配置されたノズル471から裏面Wbに向けてリンス液を供給するように、第1供給部47を制御する。リンス処理により、ワークWの裏面Wb上に残る薬液が洗い流される。
【0106】
次に、制御部104は、ステップS27を実行する。ステップS27では、例えば、制御部104が、ワークWに対して乾燥処理を施すように第2裏面処理ユニット40を制御する。乾燥処理では、制御部104が、回転駆動部422により、ワークWの回転数を増加させて、所定時間だけワークWの回転を継続する。乾燥処理により、ワークWの裏面Wbに残るリンス液がワークWの外に排出され、ワークWの乾燥が行われる。
【0107】
次に、制御装置100は、ステップS28を実行する。ステップS28では、例えば、制御部104が、第2裏面処理ユニット40から反転ユニット18にワークWを搬送するように搬送装置A3を制御する。そして、制御部104は、反転ユニット18により、裏面Wbが下向きとなるように(表面Waが上向きとなるように)、ワークWの上下を反転させる。以上により、ステップS12の異物除去処理が終了する。
【0108】
図8及び
図9に示される一連の処理では、第1裏面処理ユニット30及び第2裏面処理ユニット40は、レジスト膜Rが形成される前に、裏面Wbに対する処理を実行する。具体的には、第1裏面処理ユニット30及び第2裏面処理ユニット40は、処理ブロック5にワークWが搬入された後、処理モジュール12により表面Waにレジスト膜Rが形成される前に、裏面Wbに対して処理を実行する。上記一連の処理では、第1裏面処理ユニット30によりエッチング処理が行われた後、処理液を用いたワークWに対する他の処理が行われることなく、第2裏面処理ユニット40が、研磨処理及び第1洗浄処理を実行する。
【0109】
[第2実施形態]
図13には、第2実施形態に係る基板処理システム1が備える塗布現像装置2Aが模式的に示されている。塗布現像装置2Aは、処理モジュール11に代えて、処理モジュール13が、第1裏面処理ユニット30及び第2裏面処理ユニット40を備える点において、塗布現像装置2と相違する。塗布現像装置2Aでは、1以上の反転ユニット18が、棚ユニットU10の複数のセルのうちの処理モジュール13に対応するセルに配置されてもよい。1以上の反転ユニット18が、棚ユニットU11のセルに配置されてもよい。
【0110】
図14は、塗布現像装置2Aを備える基板処理システム1において、制御装置100が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図8に示される一連の処理に比べて、
図14に示される一連の処理では、ステップS12の異物除去処理の実行順序が異なっている。制御装置100の制御部104は、ステップS15の上層膜の形成後、ステップS16の露光処理の前に、ステップS12を実行してもよい。
【0111】
図14に示される一連の処理では、処理モジュール13に設けられた第1裏面処理ユニット30及び第2裏面処理ユニット40が、処理モジュール12により表面Waにレジスト膜Rが形成された後、ワークWに対して露光処理が施される前に、裏面Wbに対する処理を実行する。
図14に示される一連の処理では、表面Waにおける膜の形成が行われた後、ワークWに対する処理液を用いた他の処理が行われることなく、制御部104がステップS12を実行する。
【0112】
[第3実施形態]
図15には、第3実施形態に係る基板処理システム1が備える塗布現像装置2Bが模式的に示されている。塗布現像装置2Bは、第2裏面処理ユニット40に代えて、研磨ユニット60及び洗浄ユニット70を備える点で、塗布現像装置2Aと装置する。塗布現像装置2Bでは、研磨ユニット60及び洗浄ユニット70のそれぞれ、又は、研磨ユニット60及び洗浄ユニット70が、ワークWの裏面Wbに対してブラシを接触させて状態で、ブラシを裏面Wbに沿って移動させる異物除去処理部として機能する。研磨ユニット60及び洗浄ユニット70は、インタフェースブロック6に配置されていてもよい。
【0113】
研磨ユニット60は、裏面Wbに対して研磨用のブラシを接触させた状態で、研磨用のブラシを裏面Wbに沿って移動させることで、ワークWの裏面Wbを研磨する。研磨ユニット60は、裏面Wbを下に向けてワークWを保持した状態で、裏面Wbにおける異物を除去する処理(研磨処理)を実行する。研磨ユニット60は、処理モジュール13に配置された第1裏面処理ユニット30により処理が行われた後のワークWに対して研磨処理を実行する。第1裏面処理ユニット30と研磨ユニット60との間の処理において、反転ユニット18によるワークWの上下の反転は行われない。第1裏面処理ユニット30と研磨ユニット60との間の処理において、ワークWに対して処理液を用いた他の処理は行われなくてもよい。
【0114】
図16には、研磨ユニット60の一例が模式的に示されている。研磨ユニット60は、例えば、筐体61と、2つの吸着パッド62と、枠体63と、保持部64と、シャフト66と、駆動部67と、昇降ピン68と、研磨ブラシ65と、を有する。
【0115】
筐体61は、その上部が開口するように形成されている。2つの吸着パッド62は、ワークWの裏面Wbの周縁領域を保持できるように、平面視にて保持部64を間に挟んで設けらる。2つの吸着パッド62それぞれは、水平な一方向に延びるように形成されている。枠体63は、2つの吸着パッド62それぞれの両端部を支持する。枠体63は、駆動部により、水平方向及び上下方向に沿って移動自在である。2つの吸着パッド62と、保持部64との間で、ワークWの受け渡しが可能である。
【0116】
保持部64は、裏面Wbを下に向けた状態のワークWを水平な状態に保持する。保持部64は、吸着によりワークWの裏面Wbの中央領域を保持してもよい。保持部64は、シャフト66を介して駆動部67に接続されている。保持部64は、駆動部67により回転及び昇降自在である。昇降ピン68は、保持部64(シャフト66)の周囲に設けられており、昇降駆動部により昇降自在である。
【0117】
研磨ブラシ65(研磨用のブラシ)は、支持体632により支持されている。支持体632は、駆動部634に接続されている。駆動部634は、筐体61に設けられ、
図16において紙面に対して垂直な方向に沿って支持体632を移動させる。研磨ブラシ65は、支持体632内に設けられた駆動部により、研磨ブラシ65を通る軸線まわりに回転自在であってもよい。
【0118】
研磨ユニット60は、駆動部634により、研磨ブラシ65の上面をワークWの裏面Wbに接触させた状態で、裏面Wbに沿って研磨ブラシ65を移動させることで、裏面Wbを研磨する。研磨ユニット60は、2つの吸着パッド62がワークWを保持した状態で、研磨ブラシ65により、裏面Wbの中央領域を研磨する。研磨ユニット60は、保持部64がワークWを保持した状態で、研磨ブラシ65により、裏面Wbの周縁領域を研磨する。
【0119】
図16には、洗浄ユニット70の一例が模式的に示されている。洗浄ユニット70は、裏面Wbに対して洗浄用のブラシを接触させた状態で、洗浄用のブラシを裏面Wbに沿って移動させることで、ワークWの裏面Wbを洗浄する。洗浄ユニット70は、裏面Wbを下に向けてワークWを保持した状態で、裏面Wbにおける異物を除去する処理(洗浄処理)を実行する。洗浄ユニット70は、研磨ユニット60により処理が行われた後のワークWに対して洗浄処理を実行する。研磨ユニット60及び洗浄ユニット70との間の処理において、ワークWに対して処理液を用いた他の処理は行われない。
【0120】
洗浄ユニット70は、研磨ユニット60と同様に構成されてもよい。洗浄ユニット70は、例えば、筐体71と、2つの吸着パッド72と、枠体73と、保持部74と、シャフト76と、駆動部77と、昇降ピン79と、洗浄ブラシ75と、を有する。洗浄ブラシ75が、研磨ブラシ65とは異なり洗浄用の材質(例えば、プラスチック繊維)で形成されること以外は、洗浄ユニット70の各部材は、研磨ユニット60の対応する部材と同様の構成及び機能を有してもよい。
【0121】
洗浄ブラシ75(洗浄用のブラシ)は、支持体732により支持されている。支持体732は、駆動部734に接続されている。支持体732及び駆動部734は、それぞれ支持体632及び駆動部634と同様の構成及び機能を有する。洗浄ユニット70は、駆動部734により、洗浄ブラシ75の上面をワークWの裏面Wbに接触させた状態で、裏面Wbに沿って洗浄ブラシ75を移動させることで、裏面Wbを洗浄する。洗浄ユニット70は、2つの吸着パッド72がワークWを保持した状態で、洗浄ブラシ75により裏面Wbの中央領域を洗浄する。洗浄ユニット70は、保持部74がワークWを保持した状態で、洗浄ブラシ75により裏面Wbの周縁領域を洗浄する。
【0122】
塗布現像装置2Bを備える基板処理システム1においても、制御装置100は、
図14に示される一連の処理を実行してもよい。この場合、研磨ユニット600が、ステップS12において研磨処理を実行し、洗浄ユニット70が、ステップS12において洗浄処理を実行する。塗布現像装置2Bは、研磨ユニット60及び洗浄ユニット70に代えて、研磨用のブラシによる研磨処理を行い、研磨処理後に洗浄用のブラシによる洗浄処理を行う1つの裏面処理ユニット(異物除去処理部)を備えてもよい。
【0123】
[変形例]
塗布現像装置2,2A,2Bは、異物除去処理に加えて、ワークWの裏面Wbに摩擦低減膜を形成する処理を行ってもよい。摩擦低減膜は、露光装置3における露光処理時にワークWの裏面Wbを保持する部分と、ワークWの裏面Wbとの間の摩擦を低減する膜である。以下、第1実施形態に係る塗布現像装置2が、摩擦低減膜を形成する処理を行う場合を例に説明を行う。
図17に示されるように、塗布現像装置2は、低減膜形成ユニット80(低減膜形成部)を備えてもよい。処理ブロック5及びインタフェースブロック6で構成される膜処理部が、低減膜形成ユニット80を有してもよい。低減膜形成ユニット80は、例えば、処理モジュール13に配置される。
【0124】
低減膜形成ユニット80は、例えば、摩擦低減膜を形成するための材料を含むガス(以下、「原料ガス」という。)をワークWの裏面Wbに蒸着させることで、裏面Wbに摩擦低減膜を形成する。表面Waが上方を向いた状態において、ワークWの周縁部分が中央部分に比べて下方に撓むようにワークWが反っている場合がある。このような反りが含まれるワークWが、露光装置3において露光処理を行う際にワークWを保持する保持部分(ステージの保持面)に吸着して保持されると、ステージに保持されたワークWの周縁部において過度なストレスが加わるおそれがある。
【0125】
一方、ワークWの裏面Wbに上記摩擦低減膜が形成された場合、その摩擦低減膜は、露光装置3の上記保持部分に対して高い接触角を有するので、摩擦低減膜を形成しない場合に比べて、裏面Wbと露光装置3の保持部分との間の摩擦係数が低下する。この場合、摩擦低減膜によって露光装置3の保持部分上を滑るようにワークWが載せられ、上述した周縁部でのストレスを低減することができる。なお、摩擦低減膜の種類は、摩擦を低減することができれば特に限定されないが、一例では、フッ素樹脂膜が用いられる。低減膜形成ユニット80は、第2裏面処理ユニット40により処理が行われた後のワークWの裏面Wbに摩擦低減膜を形成してもよい。
【0126】
図18には、低減膜形成ユニット80の一例が模式的に示されており、
図18では、低減膜形成ユニット80の一部の断面が示されている。低減膜形成ユニット80は、例えば、チャンバ802と、昇降駆動部808と、ヒータ810と、支持部812と、支持部814と、昇降駆動部816と、ガス供給部830と、を有する。
【0127】
チャンバ802は、ワークWを収容し、摩擦低減膜を形成する処理を行うための処理空間Kを形成する。チャンバ802は、上部チャンバ804と、下部チャンバ806とを含む。上部チャンバ804は、所定位置に固定されていてもよい。下部チャンバ806は、昇降可能に設けられてもよく、昇降駆動部808は、下部チャンバ806を昇降させる。下部チャンバ806が上昇して上部チャンバ804に密着することで、チャンバ802の内部に密閉された処理空間Kが形成される。一方、下部チャンバ806が下降すると、チャンバ802の内部が大気に開放される。
【0128】
ヒータ810は、処理空間Kに配置されたワークWを加熱する。ヒータ810は、上部チャンバ804に設けられてもよい。支持部812及び支持部814それぞれは、ワークWを支持する。支持部812は、3つの昇降ピンを含んでもよく、支持部814は、3つの昇降ピンを含んでもよい。支持部812及び支持部814は、個別に昇降可能となるように設けられており、昇降駆動部816によって昇降する。下部チャンバ806には、支持部812及び支持部814に含まれる複数の昇降ピンそれぞれを挿入するための貫通孔806aが形成されている。
【0129】
ガス供給部830は、支持部812又は支持部814に支持されたワークWの裏面Wbに対して、原料ガスを供給する。ガス供給部830は、チャンバ802の内部底面の中央部に設けられている。ガス供給部830は、ワークWの裏面Wbの全面に対して原料ガスを噴射できるように構成されていてもよい。
【0130】
ガス供給部830には、原料ガスが流通するガス供給管831が接続されている。ガス供給管831は、液体状の原料液を原料ガスに気化させる気化器832に接続されている。気化器832には、原料液が流通する液供給管833と、窒素ガスが流通するガス供給管834とが接続されている。液供給管833は原料液を貯留する原料タンク835に接続されており、液供給管833には原料タンク835から気化器832に原料液を圧送するためのポンプ836が設けられている。ガス供給管834は、気化器832に窒素ガスを供給する窒素ガス供給源837に接続されている。
【0131】
気化器832の内部にはヒータが設けられており、原料タンク835から導入された原料液を加熱して気化させる。原料ガスがフッ素樹脂、例えばテフロン(登録商標)樹脂である場合、気化器832における加熱温度は、例えば180℃である。気化器832において気化された原料ガスは、窒素ガス供給源837から供給された窒素ガスによって圧送され、ガス供給部830に供給される。
【0132】
下部チャンバ806の側壁の内部には、チャンバ300の内部(処理空間K)からガスを排出する排気路840が設けられている。排気路840には排気ラインが接続され、排気ラインは、例えば真空ポンプなどの排気装置に接続されており、処理空間Kから塗布現像装置2の外までガスを排出する。なお、低減膜形成ユニット80は、ワークWの裏面Wbに摩擦低減膜を形成できる限り、どのように構成されてもよい。
【0133】
塗布現像装置2は、ワークWの裏面Wbに対して紫外線を照射する紫外線照射ユニットを備えてもよい。紫外線照射ユニットは、低減膜形成ユニット80において裏面Wbに摩擦低減膜が形成される前に、裏面Wbに対して紫外線を照射することで裏面Wbを活性化させてもよい。紫外線照射ユニットは、露光処理後において、ワークWの裏面Wbに形成された摩擦低減膜に対して紫外線を照射することで、その摩擦低減膜を除去してもよい。
【0134】
図19は、塗布現像装置2が低減膜形成ユニット80及び紫外線照射ユニットを備える場合において、制御装置100が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図8に示される一連の処理に比べて、
図19に示される一連の処理では、ステップS31及びステップS32が更に実行される点において相違する。制御装置100は、ステップS13において下層膜が形成された後、ステップS14においてレジスト膜Rを形成する前に、ステップS31を実行してもよい。
【0135】
ステップS31では、例えば、制御装置100の制御部104が、ステップS12での異物除去処理が施された後のワークWの裏面Wbの全面に摩擦低減膜を形成するように低減膜形成ユニット80を制御する。一例では、ステップS31において、制御部104は、
図20(a)に示されるように、昇降駆動部808により下部チャンバ806を下降させた状態で、チャンバ802の内部にワークWを搬入するように低減膜形成ユニット80等を制御する。チャンバ802の内部に搬入される際に、ワークWの裏面Wbが、支持部812によって支持される。
【0136】
そして、制御部104は、
図20(b)に示されるように、昇降駆動部808により下部チャンバ806を上昇させて、チャンバ802の内部に密閉された処理空間Kを形成する。また、制御部104は、昇降駆動部816により支持部812を上昇させることで、ワークWを所定の処理位置に配置する。その後、制御部104は、ヒータ810によりワークWを所定の温度(例えば、120℃程度)に加熱しつつ、ワークWの裏面Wbに対してガス供給部830から原料ガスを供給するように低減膜形成ユニット80等を制御する。これにより、ワークWの裏面Wbにおいて、支持部812に支持された箇所以外に原料ガスが蒸着し、摩擦低減膜が形成される。ヒータ810による加熱は、裏面Wbと原料ガスとの反応を促進するために行われる。
【0137】
支持部812に支持された箇所以外に摩擦低減膜が形成された後、制御部104は、
図20(c)に示されるように、昇降駆動部816により支持部814を上昇させて、支持部814にワークWを支持させると共に、昇降駆動部816により支持部812を下降させる。そして、ワークWの裏面Wbに対してガス供給部830から原料ガスを供給するように低減膜形成ユニット80等を制御する。これにより、支持部812によって支持されていた箇所にも原料ガスが蒸着し、ワークWの裏面Wbの全面において摩擦低減膜が形成される。ガス供給部830から原料ガスが供給されている間、排気路840を介して処理空間Kの排気が行われるので、原料ガスが、ワークWの表面Waに回り込むのを抑制できる。
【0138】
制御装置100は、ステップS17においてレジスト膜Rが現像された後、ステップS18においてワークWが搬出される前に、ステップS32を実行してもよい。ステップS32では、例えば、制御部104が、裏面Wbに対して紫外線を照射して、裏面Wbに形成された摩擦低減膜を除去(剥離)するように上記紫外線照射ユニットを制御する。
【0139】
以上の例では、ステップS13とステップS14との間において、ステップS31が実行されるが、ステップS31は、ステップS12の実行後、且つステップS16の実行前の期間において、どのタイミングで実行されてもよい。例えば、ステップS31は、ステップS15における上層膜の形成後、ステップS16の露光処理の前に実行されてもよい。この場合、ステップS31で摩擦低減膜が形成された後、露光処理の前に、処理液を用いた他の処理が実行されなくてもよい。
【0140】
低減膜形成ユニット80において摩擦低減膜を形成する際に、ワークWの表面Waに少量の原料ガスが回り込む可能性がある。表面Waに形成される膜が全て形成された後、露光処理の直前に、摩擦低減膜を形成することで、表面Waへの原料ガスの回り込みに起因した膜形成への影響を避けることができる。一方、レジスト膜Rを形成する前に、裏面Wbに摩擦低減膜を形成することで、摩擦低減膜を形成する際の加熱に起因したレジスト膜Rへの影響を避けることができる。どのタイミングで摩擦低減膜を形成する処理を実行するかは、表面Waに形成する膜の種別(材料)、及び各種の製造条件等を考慮して決定されてもよい。
【0141】
低減膜形成ユニット80は、第1裏面処理ユニット30により処理が行われる前のワークWの裏面Wbに摩擦低減膜を形成してもよい。この場合、低減膜形成ユニット80は、裏面Wbの全面に対して摩擦低減膜を形成してもよい。裏面Wbの全面に摩擦低減膜が形成されても、第1裏面処理ユニット30でのエッチング処理において、ワークWの周縁部が挟持されているので、裏面Wbの周縁部を除いて摩擦低減膜が除去され得る。裏面Wbの周縁部のみに摩擦低減膜が残っても、露光処理時においては、摩擦低減膜によってワークWの周縁部にかかるストレスが低減し得る。
【0142】
低減膜形成ユニット80は、裏面Wbの全面に代えて、裏面Wbの周縁部のみに摩擦低減膜を形成してもよい。例えば、低減膜形成ユニット80のガス供給部830が、裏面Wbの周縁部のみに対して原料ガスを噴射するように構成されてもよく、裏面Wbの周縁部に選択的に原料ガスを噴射可能であってもよい。摩擦低減膜が形成される周縁部の範囲(円環状の部分の幅)は、ワークWの半径の1/15程度又は1/30程度であってもよい。例えば、ワークWの半径が150mmである場合、摩擦低減膜が形成される周縁部を構成する円環状の部分の径方向に沿った幅は、10mm程度又は5mm程度である。
【0143】
具体的には、第2実施形態に係る塗布現像装置2Aが、低減膜形成ユニット80及び紫外線照射ユニットを備えてもよい。
図21は、塗布現像装置2Aが低減膜形成ユニット80及び紫外線照射ユニットを備える場合において、制御装置100が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図14に示される一連の処理に比べて、
図21に示される一連の処理では、ステップS31及びステップS32が更に実行される点において相違する。制御装置100は、ステップS13において下層膜が形成された後、ステップS14においてレジスト膜Rを形成する前に、ステップS31を実行してもよい。
【0144】
図21に示される一連の処理では、ステップS31が、ステップS12の異物除去処理の前に実行される。ステップS31は、ステップS11の実行後、且つステップS12の実行前の期間において、どのタイミングで実行されてもよい。ステップS12の異物除去処理では、第1裏面処理ユニット30は、ワークWの裏面Wbの周縁部以外の領域に対して、膜Fを除去する処理を行い、第2裏面処理ユニット40は、ワークWの裏面Wbの周縁部以外の領域に対して、研磨処理及び洗浄処理を行う。
【0145】
第3実施形態に係る塗布現像装置2Bが、低減膜形成ユニット80及び紫外線照射ユニットを備えてもよい。低減膜形成ユニット80が、塗布現像装置2の外に配置されてもよい。この場合、塗布現像装置2(処理ブロック5及びインタフェースブロック6)に導入される前に、ワークWの裏面Wbに摩擦低減膜が既に形成されていてもよい。
【0146】
本開示の内容は、上述した第1実施形態、第2実施形態、及び、第3実施形態に限られない。いずれかの実施形態で説明した一部の事項が、他の実施形態に適用されてもよい。
図8、
図9、
図14、
図19、及び
図21それぞれの一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。制御装置100の制御部104は、一連の処理において、一のステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。制御部104は、いずれかのステップを省略してもよく、いずれかのステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。
【0147】
塗布現像装置2,2A,2Bの異物除去処理部は、裏面Wbにおける異物を除去するための処理として、研磨処理を実行せず、洗浄処理を実行してもよい。塗布現像装置2,2Aは、第2裏面処理ユニット40に代えて、研磨用のブラシを備えず、洗浄用のブラシにより洗浄処理を行う裏面処理ユニット(異物除去処理部)を備えてもよい。塗布現像装置2Bは、研磨ユニット60を備えずに、洗浄ユニット70(異物除去処理部)を備えてもよい。塗布現像装置2,2A,2Bの異物除去処理部は、裏面Wbにおける異物を除去するための処理として、洗浄処理を実行せずに、研磨処理を実行してもよい。
【0148】
第1裏面処理ユニット30は、裏面Wbを上に向けた状態でワークWを保持して、処理液L2を裏面Wbに対して供給してもよい。第1裏面処理ユニット30及び第2裏面処理ユニット40は、下層膜が表面Waに形成された後、レジスト膜Rが表面Waに形成される前に、裏面Wbに対する処理を実行してもよい。第1裏面処理ユニット30及び第2裏面処理ユニット40は、レジスト膜Rが表面Waに形成された後、上層膜が表面Waに形成される前に、裏面Wbに対する処理を実行してもよい。
【0149】
レジスト膜Rを形成する方法は、処理液L1の供給により形成する方法に限られない。塗布現像装置2の膜処理部は、蒸着(例えば、CVD:Chemical Vapor Deposition)によりレジスト膜Rを形成するレジスト膜形成部を備えてもよい。以上に説明した種々の例のうちの1つの例において、他の例において説明した事項の少なくとも一部が組み合わされてもよい。
【0150】
[異物除去処理の評価結果]
裏面Wbにおける平坦度が露光処理又は露光装置に影響を及ぼす。裏面Wbには複数種の異物が含まれ、異物の中でも、パーティクルP2のように膜Fに埋め込まれた異物の高さ(周囲から突出する程度)が、他の種類の異物の高さよりも大きいことが見出された。そのため、膜Fに埋め込まれた異物(以下、「埋め込み異物」という。)が、裏面Wbにおける平坦度に大きく影響を及ぼすことが見出された。上述した実施形態のように、処理液L2を用いたエッチング処理と、研磨処理又は洗浄処理(ブラシを用いた洗浄処理)の少なくとも一方とを実行した場合の埋め込み異物の高さの変化を評価した。
【0151】
埋め込み異物の高さ(ワークWに垂直な方向における裏面Wbの測定箇所の位置)の測定では、裏面Wbの周縁領域を観察して埋め込み異物を抽出した後に、抽出した異物の高さの平均値を算出した。裏面Wbに対する処理の前後での埋め込み異物の高さの減少率(=処理後の高さの計測値/処理前の高さの計測値)を評価した。比較例1,2及び実施例1~3の条件で異物除去のための処理を行った。評価結果は、表1に示すとおりであった。
【0152】
【0153】
比較例1,2及び実施例1~3は、以下の条件で裏面Wbに対する処理を実行した。比較例1では、エッチング処理を行わずに、研磨処理及び洗浄処理を行った。比較例2では、設定時間Tのエッチング処理を行い、研磨処理及び洗浄処理を行わなかった。設定時間Tは、膜Fのうちのシリコン窒化膜F2の略全てが除去できる程度に設定した。実施例1では、設定時間Tの半分の時間のエッチング処理を行い、研磨処理及び洗浄処理を行った。実施例2では、設定時間Tのエッチング処理を行い、研磨処理を行わずに洗浄処理を行った。実施例3では、設定時間Tのエッチング処理を行い、研磨処理及び洗浄処理を行った。
【0154】
表1に示される評価結果から、比較例1,2に比べて、実施例1~3での埋め込み異物の高さの減少率が大きいことがわかる。すなわち、比較例1,2の裏面Wbに対する処理に比べて、実施例1~3での裏面Wbに対する処理によって、裏面Wbにおける平坦度がより向上していることがわかる。実施例2と実施例3との比較結果から、エッチング処理後に研磨処理及び洗浄処理の双方を行うことで、減少率が更に大きくなること(平坦度が更に向上している)ことがわかる。
【0155】
[実施形態の効果]
以上に説明した塗布現像装置2,2A,2Bは、ワークWの表面Waにおけるレジスト膜Rの形成を含む所定の処理を実行する膜処理部と、膜処理部に対して、ワークWの搬入出を行う搬入出部と、を備える。膜処理部は、ワークWの表面Waにレジスト膜Rを形成するレジスト膜形成部と、ワークWの表面Waと反対側の裏面Wbに形成された膜Fに対して、膜Fを除去するための処理液L2を供給する膜除去処理部と、膜除去処理部により処理されたワークWの裏面Wbに対してブラシを接触させた状態で、ブラシをワークWの裏面Wbに沿って移動させる異物除去処理部と、を有する。
【0156】
塗布現像装置2,2A,2Bでは、裏面Wbに形成された膜Fのエッチング処理が行われた後に、ブラシを用いた研磨処理又は洗浄処理の少なくとも一方が実行される。エッチング処理により、膜Fに付着した異物、及び、膜Fに埋め込まれた異物を裏面Wbから除去することができ、ブラシを接触させて移動させることで、裏面Wbに残る異物を除去することができる。したがって、膜Fが形成された裏面Wbから異物を適切に除去することが可能である。
【0157】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、上記ブラシは、洗浄ブラシ452,75であってもよい。異物除去処理部は、ワークWの裏面Wbに対して洗浄用のブラシとは別の研磨ブラシ442,65を接触させた状態で、研磨ブラシ442,65をワークWの裏面Wbに沿って移動させることで、ワークWの裏面Wbを研磨してもよい。異物除去処理部は、ワークWの裏面Wbを研磨した後に、ワークWの裏面Wbに対して洗浄ブラシ452,75を接触させた状態で、洗浄ブラシ452,75をワークWの裏面Wbに沿って移動させることで、ワークWの裏面Wbを洗浄してもよい。この場合、エッチング処理後の研磨により、裏面Wbに形成されたバリが除去され、研磨後の洗浄により、裏面Wbに残るバリの削り屑を裏面Wbから除去できる。したがって、膜Fが形成された裏面Wbから異物をより適切に除去することが可能である。
【0158】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、膜除去処理部は、ワークWの裏面Wbを下に向けてワークWを保持した状態で、ワークWの裏面Wbに対して処理液L2を供給してもよい。裏面Wbに対して供給された処理液は下に落下するので、裏面Wbを下に向けた状態で処理液L2を供給することで、処理液L2の排液を集めやすい。したがって、処理液L2の排液の効率的な回収が可能である。
【0159】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、異物除去処理部は、ワークWの裏面Wbを下に向けてワークWを保持した状態で、ワークWの裏面Wbにおける異物を除去する処理を実行してもよい。表面Waにレジスト膜を形成する場合には、表面Waを上に向けて、膜を形成するための処理を行う場合が多い。上記構成では、異物除去処理を行う際に、ワークWの上下を反転させる必要がないので、処理工程の簡素化が可能である。
【0160】
上記塗布現像装置2,2A,2Bは、ワークWの裏面Wbの上下を反転させる反転処理部を更に備えてもよい。異物除去処理部は、反転処理部により反転された後のワークWに対して処理を実行してもよい。異物除去処理部は、ワークWの裏面Wbを上に向けてワークWを保持した状態で、ワークWの裏面Wbにおける異物を除去する処理を実行してもよい。保持されたワークWの上方の領域は、下方の領域に比べて他の部材が配置されていない。上記構成では、ワークWの裏面Wbに対してブラシを上から当てることで、裏面Wbに対する異物を除去する処理を実行することができる。そのため、他の部材と干渉し難く、ブラシを裏面Wbに当てるのが容易であり、異物除去処理部の構成の簡素化が可能である。
【0161】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、膜除去処理部は、ワークWの裏面Wbを下に向けてワークWを保持した状態で、ワークWの裏面Wbに対して処理液L2を供給してもよい。反転処理部は、膜除去処理部により処理が行われた後のワークWの裏面Wbの上下を反転させてもよい。裏面Wbに対して供給された処理液は下に落下するので、裏面Wbを下に向けた状態で処理液L2を供給することで、処理液L2の排液を集めやすい。したがって、処理液L2の排液の効率的な回収が可能である。
【0162】
上記塗布現像装置2,2A,2Bは、異物除去処理部により処理が行われた後のワークWの裏面Wbの上下を反転させる第2反転処理部を更に備えてもよい。この場合、裏面Wbを上向きにして異物除去処理を行う場合でも、異物除去処理後に表面Waを上向きにして他の処理を実行することができる。したがって、異物の適切な除去と、基板処理の効率化との両立を図ることが可能である。
【0163】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、膜除去処理部及び異物除去処理部は、レジスト膜形成部によりワークWの表面Waにレジスト膜Rが形成された後、ワークWに対して露光処理が施される前に、ワークWの裏面Wbに対して処理を実行してもよい。この場合、露光処理前に、裏面Wbに対して異物を除去する処理が行われるので、裏面Wbの異物に起因した露光処理又は露光装置への影響を低減することが可能である。また、レジスト膜Rが形成される処理に起因して、裏面Wbに異物が発生し得る。上記構成では、レジスト膜Rの形成後に裏面Wbでの異物除去処理が行われるので、露光処理及び露光装置において、レジスト膜Rの形成に伴う裏面Wbの異物の影響を低減することが可能である。
【0164】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、膜除去処理部及び異物除去処理部は、膜処理部にワークWが搬入された後、レジスト膜形成部によりワークWの表面Waにレジスト膜Rが形成される前に、ワークWの裏面Wbに対して処理を実行してもよい。レジスト膜Rの形成後に露光処理が行われるので、露光処理前に、裏面Wbに対して異物を除去する処理が行われる。そのため、裏面Wbの異物に起因した露光処理又は露光装置への影響を低減することが可能である。また、レジスト膜Rの形成前に裏面Wbでの異物除去処理が行われるので、レジスト膜Rを形成する段階において、裏面Wbの異物の影響を低減することが可能である。
【0165】
上記塗布現像装置2,2A,2Bにおいて、レジスト膜形成部は、ワークWの表面Waに対してレジスト膜Rを形成するための処理液L1を供給して、ワークWの表面Waにレジスト膜Rを形成してもよい。上記塗布現像装置2,2A,2Bは、レジスト膜形成部での処理液L1による処理を行うための処理空間S1から、塗布現像装置2,2Aの外に、処理液L1を排出する排液ラインlL1と、処理空間S1内のガスを、塗布現像装置2,2Aの外に排出する排気ラインgL1と、膜除去処理部での処理液L2による処理を行うための処理空間S2から、塗布現像装置2,2Aの外に、排液ラインlL1とは独立して、処理液L2を排出する排液ラインlL2と、処理空間S2内のガスを、排気ラインgL1とは独立して、塗布現像装置2,2Aの外に排出する排気ラインgL2と、を更に備えてもよい。この場合、膜Fを除去するための処理液L2に、処理液L1の成分と混合させることが望ましくない成分が含まれていても、処理液L2を用いたエッチング処理を塗布現像装置2,2Aの内部において実行することが可能である。
【0166】
上記塗布現像装置2は、異物除去処理部により処理が行われた後のワークWの裏面Wbに、露光処理時にワークWの裏面Wbを保持する部分と、ワークWの裏面Wbとの間の摩擦を低減する摩擦低減膜を形成する低減膜形成部を更に備えてもよい。この場合、露光処理時に裏面Wbを保持する部分に対して滑るようにワークWが載せられるので、ワークWの周縁部が下方に撓むように反っていても、露光処理においてワークWの周縁部に加わるストレスを低減することができる。
【0167】
上記塗布現像装置2A,2Bは、膜除去処理部により処理が行われる前のワークWの裏面Wbに、露光処理時にワークWの裏面Wbを保持する部分と、ワークWの裏面Wbとの間の摩擦を低減する摩擦低減膜を形成する低減膜形成部を更に備えてもよい。この場合、露光処理時に裏面Wbを保持する部分に対して滑るようにワークWが載せられるので、ワークWの周縁部が下方に撓むように反っていても、露光処理においてワークWの周縁部に加わるストレスを低減することができる。
【0168】
上記塗布現像装置2A,2Bにおいて、低減膜形成部は、ワークWの裏面Wbの周縁部に摩擦低減膜を形成してもよい。膜除去処理部は、ワークWの裏面Wbの周縁部以外の領域に対して、裏面膜を除去する処理を行ってもよい。この場合、摩擦低減膜を形成する領域が、裏面Wbの全面に形成する場合に比べて縮小され、また、膜除去処理部による処理において摩擦低減膜を含めて裏面膜を除去する必要がない。そのため、摩擦低減膜を形成する処理、及び裏面膜を除去する処理の簡素化が図られる。
【符号の説明】
【0169】
1…基板処理システム、2,2A,2B…塗布現像装置、U1…液処理ユニット、L1…処理液、S1…処理空間、lL1…排液ライン、gL1…排気ライン、U2…熱処理ユニット、18…反転ユニット、30…第1裏面処理ユニット、S2…処理空間、lL2…排液ライン、gL2…排気ライン、40…第2裏面処理ユニット、442…研磨ブラシ、452…洗浄ブラシ、60…研磨ユニット、65…研磨ブラシ、70…洗浄ユニット、75…洗浄ブラシ、80…低減膜形成ユニット、W…ワーク、Wa…表面、Wb…裏面、F…膜。