IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171413
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231124BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20231124BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20231124BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
B24B7/04 A
B24B7/04 Z
B23K26/53
H01L21/68 P
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159353
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2022064945の分割
【原出願日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2018047159
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018087711
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】田之上 隼斗
(57)【要約】
【課題】基板同士が接合された重合基板において、一の基板の周縁部を適切に除去する。
【解決手段】基板を処理する基板処理方法であって、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を準備する工程と、前記第1の基板における除去対象の周縁部と中央部との境界に沿って当該第1の基板の内部に改質層を形成する改質層形成処理を行うことと、前記周縁部において、前記第1の基板における前記第1の基板と前記第2の基板が接合される面側の非加工面近傍の前記第1の基板内部であって前記境界から径方向外側に改質処理を行うことと、前記改質層を基点に前記周縁部を除去することと、を有する。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理方法であって、
第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を準備する工程と、
前記第1の基板における除去対象の周縁部と中央部との境界に沿って当該第1の基板の内部に改質層を形成する改質層形成処理を行うことと、
前記周縁部において、前記第1の基板における前記第1の基板と前記第2の基板が接合される面側の非加工面近傍の前記第1の基板内部であって前記境界から径方向外側に改質処理を行うことと、
前記改質層を基点に前記周縁部を除去することと、を有する。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記改質処理は、前記重合基板を回転させつつ、レーザ光の集光部を径方向に移動させながら行われる。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理方法において、
前記レーザ光の集光部を径方向に移動させることは、前記重合基板を保持するチャックを径方向に移動させることにより行われる。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理方法において、
前記改質層形成処理において、前記第1の基板の内部において前記境界から径方向外側に延伸した径方向改質層を形成する。
【請求項5】
第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を処理する基板処理システムであって、
前記第1の基板における除去対象の周縁部と中央部との境界に沿って当該第1の基板の内部に改質層を形成することと、
前記周縁部において、前記第1の基板における前記第1の基板と前記第2の基板が接合される面側の非加工面近傍の前記第1の基板内部であって前記境界から径方向外側に改質処理を行うことと、を実行する処理装置と、
前記改質層を基点に前記周縁部を除去する周縁除去装置と、
前記処理装置、前記周縁除去装置の間で前記重合基板を搬送する搬送装置と、を有する。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理システムにおいて、
前記処理装置において、前記第1の基板の内部に前記改質層を形成することと、前記第1の基板内部に改質処理を行うことは、共通のレーザヘッドにより行われる。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理システムにおいて、
前記処理装置は、前記重合基板を保持するチャックを備え、
前記処理装置において、前記改質処理は、前記チャックを回転させつつ、径方向に移動させることにより前記レーザヘッドから照射されるレーザ光の集光部を径方向に移動させながら行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年3月14日に日本国に出願された特願2018-47159号及び2018年4月27日に日本国に出願された特願2018-87711号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【0002】
本発明は、基板処理方法及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成された半導体ウェハ(以下、ウェハという)に対し、当該ウェハの裏面を研削して、ウェハを薄化することが行われている。そして、この薄化されたウェハをそのまま搬送したり、後続の処理を行ったりすると、ウェハに反りや割れが生じるおそれがある。そこで、ウェハを補強するために、例えば支持基板にウェハを貼り付けることが行われている。
【0004】
ところで、通常、ウェハの周縁部は面取り加工がされているが、上述したようにウェハを研削処理を行うと、ウェハの周縁部が鋭く尖った形状(いわゆるナイフエッジ形状)になる。そうすると、ウェハの周縁部でチッピングが発生し、ウェハが損傷を被るおそれがある。そこで、研削処理前に予めウェハの周縁部を削る、いわゆるエッジトリムが行われている。
【0005】
例えば特許文献1には、エッジトリムを行う装置として、縦軸型の端面研削装置が開示されている。この端面研削装置を用いてウェハの周縁部を研削する場合には、先ず、支持基板が貼り付けられたウェハをテーブルに固定し、テーブルを鉛直軸に平行な軸の回りに回転させる。そして、スピンドルを回転させて、研削工具であるホイールに回転を与えた後、スピンドルを鉛直方向に移動させることにより、ホイールの研削面をウェハに当接させて、ウェハの周縁部を研削する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-216152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の端面研削装置では、スピンドルの鉛直方向の移動は、例えば公差などの種々の要因により一定ではない場合がある。かかる場合、ホイールの鉛直移動が適切に制御されず、支持基板の表面まで研削されるおそれがある。したがって、従来のエッジトリムには改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板同士が接合された重合基板において、一の基板の周縁部を適切に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一態様は、基板を処理する基板処理方法であって、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を準備する工程と、前記第1の基板における除去対象の周縁部と中央部との境界に沿って当該第1の基板の内部に改質層を形成する改質層形成処理を行うことと、前記周縁部において、前記第1の基板における前記第1の基板と前記第2の基板が接合される面側の非加工面近傍の前記第1の基板内部であって前記境界から径方向外側に改質処理を行うことと、前記改質層を基点に前記周縁部を除去することと、を有する。
【0010】
別な観点による本発明の一態様は、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を処理する基板処理システムであって、前記第1の基板における除去対象の周縁部と中央部との境界に沿って当該第1の基板の内部に改質層を形成することと、前記周縁部において、前記第1の基板における前記第1の基板と前記第2の基板が接合される面側の非加工面近傍の前記第1の基板内部であって前記境界から径方向外側に改質処理を行うことと、を実行する処理装置と、前記改質層を基点に前記周縁部を除去する周縁除去装置と、前記処理装置、前記周縁除去装置の間で前記重合基板を搬送する搬送装置と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、基板同士が接合された重合基板において、一の基板の周縁部を適切に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態にかかる基板処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
図2】重合ウェハの構成の概略を示す側面図である。
図3】改質層形成装置の構成の概略を示す側面図である。
図4】被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す縦断面図である。
図5】被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す平面図である。
図6】加工装置の研削ユニットの構成の概略を示す側面図である。
図7】第1の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図8】第1の実施形態の変形例にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図9】第2の実施形態にかかる基板処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
図10】周縁除去装置の構成の概略を示す側面図である。
図11】第2の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図12】他の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図13】他の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図14】他の実施形態において被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す縦断面図である。
図15】他の実施形態において被処理ウェハに改質層を形成する様子を示す説明図である。
図16】他の実施形態において被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す平面図である。
図17】他の実施形態において被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す平面図である。
図18】他の実施形態において被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す平面図である。
図19】他の実施形態において被処理ウェハに改質層を形成した様子を示す縦断面図である。
図20】界面処理装置の構成の概略を示す側面図である。
図21】他の実施形態において被処理ウェハに改質溝を形成した様子を示す平面図である。
図22】他の実施形態において被処理ウェハに改質面を形成した様子を示す平面図である。
図23】他の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図24】界面処理装置の構成の概略を示す側面図である。
図25】処理装置の構成の概略を示す側面図である。
図26】他の実施形態において被処理ウェハの内部に改質面を形成した様子を示す縦断面図である。
図27図26に示した改質面を形成する様子を示す縦断面の説明図である。
図28】他の実施形態において被処理ウェハのデバイス層に改質面を形成した様子を示す縦断面図である。
図29図28に示した改質面を形成する様子を示す縦断面の説明図である。
図30】他の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程において被処理ウェハの様子を示す説明図である。
図31】重合ウェハにおいて被処理ウェハが偏心した様子を示す平面図である。
図32】改質層が改質面の内周より径方向内側に位置した場合の説明図である。
図33】改質層が改質面の内周より径方向外側に位置した場合の説明図である。
図34】処理装置の構成の概略を示す側面図である。
図35】第3の実施形態にかかる基板処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態にかかる基板処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0015】
基板処理システム1では、図2に示すように第1の基板としての被処理ウェハWと第2の基板としての支持ウェハSを接合して重合基板としての重合ウェハTを形成し、さらに被処理ウェハWを薄化する。以下、被処理ウェハWにおいて、加工される面(支持ウェハSと接合される面と反対側の面)を「加工面Wg」といい、加工面Wgと反対側の面を「非加工面Wn」という。また、支持ウェハSにおいて、被処理ウェハWと接合される面を「接合面Sj」といい、接合面Sjと反対側の面を「非接合面Sn」という。
【0016】
被処理ウェハWは、例えばシリコンウェハなどの半導体ウェハであって、非加工面Wnに複数のデバイスが形成されている。なお、被処理ウェハWの周縁部は面取り加工がされており、周縁部の断面はその先端に向かって厚みが小さくなっている。
【0017】
支持ウェハSは、被処理ウェハWを支持するウェハである。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの非加工面Wnのデバイスを保護する保護材として機能する。なお、支持ウェハSの接合面Sjの複数のデバイスが形成されている場合には、被処理ウェハWと同様に接合面Sjにデバイス層(図示せず)が形成される。
【0018】
図1に示すように基板処理システム1は、例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCw、Cs、Ctが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0019】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセットCw、Cs、CtをX軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCw、Cs、Ctの個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
【0020】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送領域20が設けられている。ウェハ搬送領域20には、X軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2本の搬送アーム23、23を有している。各搬送アーム23は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム23の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。
【0021】
処理ステーション3には、ウェハ搬送領域20のY軸正方向側に、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する接合装置30、被処理ウェハWの内部に改質層を形成する改質層形成装置31、及び被処理ウェハWの加工面Wgを研削して加工する加工装置32がX軸負方向から正方向側に向けて並べて配置されている。なお、これら接合装置30、改質層形成装置31、加工装置32の数や配置は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。また、本実施形態では加工装置32が、本発明の周縁除去装置として機能する。
【0022】
以上の基板処理システム1には、制御装置40が設けられている。制御装置40は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御装置40にインストールされたものであってもよい。
【0023】
次に、接合装置30、改質層形成装置31、及び加工装置32について説明する。
【0024】
接合装置30は、被処理ウェハWの非加工面Wnと支持ウェハSの接合面Sjをファンデルワールス力及び水素結合(分子間力)によって接合する。この接合の際、非加工面Wnと接合面Sjは、それぞれ改質され親水化されているのが好ましい。具体的に非加工面Wnと接合面Sjを改質する際には、例えば減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが非加工面Wnと接合面Sjに照射されて、非加工面Wnと接合面Sjがプラズマ処理され、活性化される。また、このように改質された非加工面Wnと接合面Sjに純水を供給し、非加工面Wnと接合面Sjを親水化する。なお、接合装置30の構成は任意であり、公知の接合装置を用いることができる。
【0025】
改質層形成装置31は、被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射し、改質層を形成する。改質層形成装置31は、図3に示すように被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、重合ウェハTを保持する、保持部としてのチャック100を有している。チャック100は、移動機構101によってX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されている。移動機構101は、一般的な精密XYステージで構成されている。また、チャック100は、回転機構102よって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0026】
チャック100の上方には、被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射する、改質部としてのレーザヘッド103が設けられている。レーザヘッド103は、レーザ光発振器(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザ光であって、被処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光を、被処理ウェハWの内部の所定位置に集光して照射する。これによって、図4に示すように被処理ウェハWの内部においてレーザ光Lが集光した部分が改質して、改質層Mが形成される。改質層Mは、板厚方向に延伸し、縦長のアスペクト比を有する。図3に示すようにレーザヘッド103は、移動機構104によってX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されていてもよい。移動機構104は、一般的な精密XYステージで構成されている。またレーザヘッド103は、昇降機構105によってZ軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0027】
改質層形成装置31では、先ず、チャック100で重合ウェハTを保持した後、移動機構101によってチャック100を水平方向に移動させて、重合ウェハTのセンタリングを行うと共に、移動機構104によってレーザヘッド103が重合ウェハT(被処理ウェハW)の所定位置の直上に位置するように位置調整行う。その後、回転機構102によってチャック100を回転させながら、レーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光Lを照射して、図5に示すように被処理ウェハWに環状の改質層Mを形成する。なお、上述した位置調整を行うため、改質層形成装置31には、重合ウェハTの位置を撮像するカメラ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0028】
この改質層Mの被処理ウェハWにおける形成位置について詳述する。基板処理システム1では、支持ウェハSに接合された被処理ウェハWの加工面Wgを研削するが、研削後の被処理ウェハWの周縁部にナイフエッジが形成されるのを回避するため、研削前に周縁部を除去しておく。改質層Mは、この周縁部除去の際の基点となるものであり、図5に示すように被処理ウェハWにおける除去対象の周縁部Weと中央部Wcとの境界に沿って、環状に形成される。なお、周縁部Weは、例えば被処理ウェハWの端部から径方向に0.5mm~2.0mmの範囲であり、面取り部が含まれる。
【0029】
また、図4に示すように改質層Mの下端は、研削後の被処理ウェハWの目標表面(図4中の点線)より上方に位置している。すなわち、改質層Mの下端と被処理ウェハWの非加工面Wnとの間の距離H1は、研削後の被処理ウェハWの目標厚みH2より大きい。距離H1は任意であるが、目標厚みH2より例えば5μm~10μm大きい。かかる場合、研削後の被処理ウェハWに改質層Mは残らない。
【0030】
なお、本実施形態の改質層形成装置31では、チャック100を水平方向に移動させていたが、レーザヘッド103を水平方向に移動させてもよく、あるいはチャック100とレーザヘッド103の両方を水平方向に移動させてもよい。また、チャック100を回転させていたが、レーザヘッド103を回転させてもよい。
【0031】
加工装置32は、被処理ウェハWの加工面Wgを研削して加工する。具体的に加工装置32は、例えば加工面Wgを研削する研削ユニット、被処理ウェハWの加工面Wgや支持ウェハSの非接合面Snを洗浄する洗浄ユニットなどを備えている。
【0032】
図6に示すように研削ユニット110は、被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、重合ウェハTを保持するチャック111を有している。チャック111は、回転機構(図示せず)よって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0033】
チャック111の上方には、環状形状の研削砥石112が設けられている。研削砥石112にはスピンドル113を介して駆動部114が設けられている。駆動部114は例えばモータ(図示せず)を内蔵し、研削砥石112を回転させると共に、鉛直方向及び水平方向に移動させる。
【0034】
そして、研削ユニット110では、チャック111に保持された被処理ウェハWと研削砥石112の円弧の一部を当接させた状態で、チャック111と研削砥石112をそれぞれ回転させることによって、被処理ウェハWの加工面Wgを研削する。
【0035】
次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
【0036】
先ず、複数の被処理ウェハWを収納したカセットCw、複数の支持ウェハSを収納したカセットCsが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。
【0037】
次に、ウェハ搬送装置22によりカセットCw内の被処理ウェハWが取り出され、接合装置30に搬送される。また続けて、ウェハ搬送装置22によりカセットCs内の支持ウェハSも取り出され、接合装置30に搬送される。接合装置30では、被処理ウェハWが上側で支持ウェハSが下側に配置された状態で、ファンデルワールス力及び分子間力によって接合され、重合ウェハTが形成される。この際、被処理ウェハWの非加工面Wnと支持ウェハSの接合面Sjが、例えばプラズマ化された酸素イオン又は窒素イオンによって活性化されていると、ファンデルワールス力及び分子間力が適切に生じる。
【0038】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により改質層形成装置31に搬送される。改質層形成装置31に搬送された重合ウェハTは、チャック100に受け渡され保持される。その後、移動機構101によってチャック100を水平方向に移動させて、重合ウェハTのセンタリングを行うと共に、レーザヘッド103が重合ウェハT(被処理ウェハW)の所定位置の直上に位置するように位置調整行う。この所定位置は、被処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界である。その後、回転機構102によってチャック100を回転させながら、レーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光Lを照射して、図7(a)に示すように被処理ウェハWの内部に環状の改質層Mを形成する。なお、この改質層Mの形成位置は、上述した図4及び図5を用いて説明したとおりである。
【0039】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により加工装置32に搬送される。加工装置32に搬送された重合ウェハTは、チャック111に受け渡され保持される。その後、図7(b)に示すように被処理ウェハWと研削砥石112の円弧の一部を当接させた状態で、研削砥石112を下降させつつ、チャック111と研削砥石112をそれぞれ回転させることによって、被処理ウェハWの加工面Wgを研削する。
【0040】
加工面Wgの研削時において、被処理ウェハWの内部には、改質層Mから板厚方向にクラックCが進展し、加工面Wgと非加工面Wnに到達する。クラックCは、被処理ウェハWがシリコンの単結晶を有するのでほぼ直線状に進展する。また、クラックCは、平面視において環状に形成される。なお、クラックCは、改質層形成装置31で改質層Mを形成する際に進展する場合もある。換言すれば、クラックCが形成されるタイミングは、加工装置32における加工面Wgの研削時であってもよいし、改質層形成装置31で改質層Mが形成する場合であってもよい。
【0041】
また、加工面Wgの研削を進めていくと、図7(c)に示すように改質層MとクラックCを基点に被処理ウェハWの周縁部Weが剥離して除去される。この際、上述したようにクラックCはほぼ直線状に進展しているので、除去された後の被処理ウェハWの外側面を、凹凸が少ない平坦にすることができる。また、上述したように改質層Mの下端は、研削後の被処理ウェハWの目標表面より上方に位置しているので、改質層Mは加工面Wgの研削時に除去される。改質層Mは、アモルファス化しており強度が弱い。この点、本実施形態では、研削後の被処理ウェハWに改質層Mが残らないので、強い強度を確保することができる。
【0042】
こうして改質層形成装置31では、周縁部Weが除去されつつ、被処理ウェハWの加工面Wgが目標厚みまで研削される。
【0043】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0044】
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。上記においては、接合装置30で被処理ウェハWと支持ウェハSを接合した後、改質層形成装置31で被処理ウェハWの内部に改質層Mを形成したが、本変形例では、この順序を逆にする。
【0045】
すなわち、基板処理システム1では、先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットCw内の被処理ウェハWが取り出され、改質層形成装置31に搬送される。改質層形成装置31では、図8(a)に示すように被処理ウェハWの内部の所定位置に改質層Mが形成される。
【0046】
なお、この改質層形成装置31で改質層Mを形成するのと並行して、ウェハ搬送装置22によりカセットCs内の支持ウェハSが取り出され、接合装置30に搬送される。
【0047】
次に、被処理ウェハWはウェハ搬送装置22により接合装置30に搬送される。接合装置30では、図8(b)に示すように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、重合ウェハTが形成される。
【0048】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により加工装置32に搬送される。加工装置32では、図8(c)に示すように被処理ウェハWと研削砥石112の円弧の一部を当接させた状態で、研削砥石112を下降させつつ、チャック111と研削砥石112をそれぞれ回転させることによって、被処理ウェハWの加工面Wgを研削する。そして、図8(d)に示すように周縁部Weが除去されつつ、被処理ウェハWの加工面Wgが目標厚みまで研削される。
【0049】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0050】
以上の第1の実施形態及び変形例によれば、次の効果を享受できる。以下の説明においては、従来のように被処理ウェハの周縁部をホイール(研削工具)で研削して除去する場合と対比して説明する。なお、従来、ブレード(研削工具)を用いて被処理ウェハの周縁部を除去する場合があるが、この場合もホイールを用いた場合と同様の課題がある。
【0051】
被処理ウェハと支持ウェハを接合後に、従来のように、すなわち上述した特許文献1に記載されたように、重合ウェハにおける被処理ウェハの周縁部をホイールで研削除去する場合、例えば公差などの種々の要因により、ホイールの鉛直移動が適切に制御されず、支持ウェハの表面まで研削されるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、被処理ウェハWの内部に改質層Mを形成することで、当該改質層MとクラックCを基点に周縁部Weを除去することができる。かかる場合、支持ウェハSの接合面Sjが研削等によるダメージを被ることがない。
【0052】
被処理ウェハと支持ウェハを接合前に、従来のように被処理ウェハの周縁部をホイールで研削除去する場合、研削によってパーティクルが発生し、当該パーティクルが被処理ウェハのデバイスに付着するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、被処理ウェハWの内部に形成した改質層MとクラックCを基点に周縁部Weを剥離させて除去するので、パーティクルが発生しない。したがって、特に図8に示した変形例のように、接合前の被処理ウェハWに処理を行う場合でも、非加工面Wnのデバイスが汚染されることがない。
【0053】
従来のようにホイールを用いる場合、ホイールの水平方向の位置調整には限界があり、数μm程度のばらつきが生じる。そうすると、ホイールで研削除去される周縁部の幅(トリム幅)にもばらつきが生じ、加工精度が良くない。
これに対して、本実施形態では、レーザを用いて被処理ウェハWの内部に改質層Mを形成するので、例えば1μm未満の高い精度を確保できる。このため、改質層Mを基点として除去される周縁部Weの幅(トリム幅)の精度も向上する。
【0054】
従来のようにホイールを用いる場合、ホイールを下降させて周縁部を研削するため、被処理ウェハを保持するチャックの回転速度に制限があり、周縁部を除去するのに時間がかかる。
これに対して、本実施形態では、高周波のレーザを用いて被処理ウェハWの内部に改質層Mを形成するので、チャック100の回転速度を速くすることができ、極めて短時間で処理を行うことができる。したがって、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0055】
従来のようにホイールを用いる場合、当該ホイールが摩耗するため、定期的な交換が必要となる。また、ホイールを用いた研削においては、研削水を使用し、その廃液処理も必要となる。このため、ランニングコストがかかる。
これに対して、本実施形態では、レーザヘッド103自体が経時的に劣化することはなく、メンテナンス頻度を低減することができる。また、レーザを用いたドライプロセスであるため、研削水や廃水処理が不要となる。このため、ランニングコストを低廉化することができる。
【0056】
また、半導体ウェハである被処理ウェハWには、結晶方位の方向を示すためのノッチが形成されているが、従来のブレードのみによる周縁部Weの除去では、このノッチの形状をそのまま残すのが困難であった。
これに対して、本実施形態では、例えば改質層形成装置31において、被処理ウェハWとレーザ光を相対的に動作制御することにより、改質層Mをノッチの形状に合わせて形成することができ、ノッチの形状を残したまま、周縁部Weを容易に除去することもできる。
【0057】
なお、以上の実施形態において、加工面Wgの研削時に周縁部Weを効率よく除去する方法として、回転する被処理ウェハWに対して研削砥石112の回転方向を被処理ウェハWの外側から内側に回転させる、あるいは回転する被処理ウェハWに対して研削砥石112の回転方向を被処理ウェハWの内側から外側に回転させるなどがある。このように研削砥石112の回転方向を、被処理ウェハWの種類や加工工程に応じて変更することができる。
【0058】
また、加工面Wgの研削時に、高圧水を被処理ウェハWの内側から外側に向けて周縁部Weに当てることにより、周縁部Weを効率よく除去しても(飛ばしても)よい。
【0059】
なお、以上の第1の実施形態の変形例では、改質層形成装置31における改質層Mの形成、接合装置30における被処理ウェハWと支持ウェハSの接合、加工装置32における周縁部Weの除去を順次行ったが、ウェハの接合と周縁部Weの除去の順序は逆でもよい。すなわち、改質層形成装置31における改質層Mの形成、加工装置32における周縁部Weの除去、接合装置30における被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を順次行ってもよい。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態にかかる基板処理システム200の構成の概略を模式的に示す平面図である。基板処理システム200は、第1の実施形態の基板処理システム1の構成において、処理ステーション3に被処理ウェハWの周縁部Weを除去するための周縁除去装置210をさらに有している。周縁除去装置210は、例えば改質層形成装置31と加工装置32の間に配置されている。
【0061】
周縁除去装置210は、改質層形成装置31で被処理ウェハWに改質層Mを形成した後、当該改質層Mより外側に力を作用させて周縁部Weを除去する。すなわち、第1の実施形態では、加工装置32で被処理ウェハWの加工面Wgを研削中に周縁部Weを除去していたが、第2の実施形態では、この周縁部Weの除去を周縁除去装置210で行う。
【0062】
図10に示すように周縁除去装置210は、被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、重合ウェハTを保持するチャック211を有している。チャック211は、回転機構(図示せず)よって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0063】
チャック211の上方には、環状形状の砥石ホイール212を有している。砥石ホイール212にはスピンドル213を介して駆動部214が設けられている。駆動部214は例えばモータ(図示せず)を内蔵し、砥石ホイール212を回転させると共に、鉛直方向及び水平方向に移動させる。なお、本実施形態では砥石ホイール212を用いたが、これに限定されず、例えばブレードを用いてもよい。
【0064】
そして、周縁除去装置210では、チャック211に保持された被処理ウェハWの周縁部Weと砥石ホイール212の円弧の一部を当接させた状態で、チャック211と砥石ホイール212をそれぞれ回転させることによって、周縁部Weに衝撃を付与する。この衝撃によって、周縁部Weは除去される。かかる場合、改質層Mの形成により、被処理ウェハWの除去面の精度を出すことができる。
【0065】
次に、以上のように構成された基板処理システム200を用いて行われるウェハ処理について説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0066】
先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットCw内の被処理ウェハWが取り出され、改質層形成装置31に搬送される。改質層形成装置31では、図11(a)に示すように被処理ウェハWの内部の所定位置に改質層Mが形成される。
【0067】
なお、この改質層形成装置31で改質層Mを形成するのと並行して、ウェハ搬送装置22によりカセットCs内の支持ウェハSが取り出され、接合装置30に搬送される。
【0068】
次に、被処理ウェハWはウェハ搬送装置22により接合装置30に搬送される。接合装置30では、図11(b)に示すように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、重合ウェハTが形成される。
【0069】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により周縁除去装置210に搬送される。周縁除去装置210では、図11(c)に示すように被処理ウェハWの改質層Mより外側に砥石ホイール212の円弧の一部を当接させる。この状態で、砥石ホイール212を下降させつつ、チャック211と砥石ホイール212をそれぞれ回転させると、被処理ウェハWの周縁部Weに衝撃が付与される。この衝撃によって、図11(d)に示すように周縁部Weは、改質層MとクラックCを基点に剥離して除去される。
【0070】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により加工装置32に搬送される。加工装置32では、図11(e)に示すように被処理ウェハWの加工面Wgが目標厚みまで研削される。
【0071】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム200における一連のウェハ処理が終了する。
【0072】
以上の第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0073】
なお、第2の実施形態において図11に示した例では、改質層Mの形成、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合、周縁部Weの除去、及び被処理ウェハWの加工面Wgの研削が順次行われたが、改質層Mの形成と被処理ウェハWと支持ウェハSの接合の順序は反対でもよい。すなわち、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合、改質層Mの形成、周縁部Weの除去、及び被処理ウェハWの加工面Wgの研削をこの順で行ってもよい。
【0074】
以上の実施形態では、支持ウェハSに対して、1枚の被処理ウェハWが接合される場合について説明したが、デバイスが形成された半導体ウェハ同士の接合や、デバイスが形成された被処理ウェハWが複数積層されてもよい。以下の説明では、第1の実施形態の基板処理システム1を用いて、デバイスが形成された被処理ウェハWを複数積層する場合について説明する。
【0075】
第1の実施形態におけるウェハ処理が施された重合ウェハTでは、図12(a)に示すように被処理ウェハWの周縁部Weが除去され、且つ加工面Wgが目標厚みまで研削されている。以下の説明においては、この1枚目の被処理ウェハWを第1の被処理ウェハW1という。
【0076】
この重合ウェハTはウェハ搬送装置22により接合装置30に搬送される。また、次に積層される第3の基板としての被処理ウェハWもウェハ搬送装置22により接合装置30に搬送される。以下の説明においては、この2枚目の被処理ウェハWを第2の被処理ウェハW2という。そして、接合装置30では、図12(a)に示すように第1の被処理ウェハW1の加工面Wgと第2の被処理ウェハW2の非加工面Wnが接合され、重合ウェハTが形成される。
【0077】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により改質層形成装置31に搬送される。改質層形成装置31では、図12(b)に示すように第2の被処理ウェハW2の内部の所定位置に改質層Mが形成される。
【0078】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により加工装置32に搬送される。加工装置32では、図12(c)に示すように第2の被処理ウェハW2と研削砥石112の円弧の一部を当接させた状態で、研削砥石112を下降させつつ、チャック111と研削砥石112をそれぞれ回転させることによって、第2の被処理ウェハW2の加工面Wgを研削する。そして、図12(d)に示すように周縁部Weが除去されつつ、第2の被処理ウェハW2の加工面Wgが目標厚みまで研削される。
【0079】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0080】
ここで、図12(a)に示した重合ウェハTに対して、従来のようにホイールを用いて第2の被処理ウェハW2の周縁部Weを除去する場合、第2の被処理ウェハW2の非加工面Wnの下方が中空になっているため、当該周縁部Weを研削し難い。
これに対して、本実施形態では、第2の被処理ウェハW2の内部に改質層Mを形成することで、当該改質層MとクラックCを基点に周縁部Weを容易に除去することができる。
【0081】
また、従来のようにホイールやブレードを用いる場合、ホイールやブレードの水平方向の位置調整には限界があり、数μm程度のばらつきが生じる。そうすると、ホイールやブレードで研削除去される周縁部の幅(トリム幅)にもばらつきが生じ、特に被処理ウェハを積層するとのそのばらつきが積み上げられていく。このため、例えば上層の被処理ウェハが下層の被処理ウェハからはみ出す場合もある。
これに対して、本実施形態では、レーザを用いて第2の被処理ウェハW2の内部に改質層Mを形成するので、高い精度を確保することができ、被処理ウェハWを適切に積層することができる。
【0082】
なお、本実施形態のように被処理ウェハWを複数積層する場合、上層の第2の被処理ウェハW2で除去される周縁部Weを、下層の第1の被処理ウェハW1で除去される周縁部Weの内側にしてもよい。すなわち、図13(a)に示すように第2の被処理ウェハW2の内部の改質層Mを、第1の被処理ウェハW1の端部より径方向内側に形成してもよい。かかる場合、図13(b)に示すように最終的に積層される第2の被処理ウェハW2の径は、第1の被処理ウェハW1の径よりも小さくなる。そうすると、第2の被処理ウェハW2が第1の被処理ウェハW1からはみ出すことを確実に防止することができる。
【0083】
以上の実施形態の改質層形成装置31では、図4に示したように改質層Mは、その下端が被処理ウェハWの研削後の目標表面より上方に位置するように、1箇所に形成されていたが、改質層Mの形成方法はこれに限定されない。
【0084】
図14(a)~(d)に示すように改質層Mは、被処理ウェハWの厚み方向に複数形成されていてもよい。なお、図14では、重合ウェハTの被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に形成された、デバイス層や酸化膜を図示している。すなわち、被処理ウェハWの非加工面Wnには、複数のデバイスが形成されたデバイス層Dが形成され、デバイス層Dにはさらに酸化膜Fw(例えばSiO膜)が形成されている。また、支持ウェハSの接合面Sjにも酸化膜Fsが形成されている。なお、支持ウェハSの接合面Sjの複数のデバイスが形成されている場合には、被処理ウェハWと同様に接合面Sjにデバイス層(図示せず)が形成される。
【0085】
図14(a)に示す例においては改質層M1~M4が、被処理ウェハWの厚み方向に複数段、例えば4段に形成されている。最下層の改質層M4の下端は、研削後の被処理ウェハWの目標表面(図14(a)中の点線)より上方に位置している。また、これら改質層M1~M4によって進展するクラックCは、被処理ウェハWの加工面Wgと非加工面Wnに到達している。
【0086】
図14(b)に示す例においては改質層M1~M2が、被処理ウェハWの厚み方向に複数段、例えば2段に形成されている。下層の改質層M2の下端は、研削後の被処理ウェハWの目標表面(図14(b)中の点線)より上方に位置している。また、これら改質層M1~M2によって進展するクラックCは、被処理ウェハWの非加工面Wnに到達するが、加工面Wgには到達していない。かかる場合、例えば加工装置32において、研削砥石112を下降させて加工面Wgを研削する際、研削砥石112の研削面がクラックCに到達するまでは、加工面Wgが被処理ウェハWの周縁部Weを含めて研削される。そして、研削砥石112の研削面がクラックCに到達すると、当該クラックCより下方において周縁部Weが剥離して除去される。このように改質層M1~M2から延伸するクラックCの上端高さを所定位置に制御することで、除去される周縁部Weの小片の大きさ(高さ)を制御することができる。
【0087】
図14(c)に示す例においては改質層M1~M4が、被処理ウェハWの厚み方向に複数段、例えば4段に形成されている。最下層の改質層M4の下端は、研削後の被処理ウェハWの目標表面(図14(c)中の点線)より下方に位置している。また、これら改質層M1~M4によって進展するクラックCは、被処理ウェハWの加工面Wgと非加工面Wnに到達している。かかる場合、研削後の被処理ウェハWにおいて周縁部Weと中央部Wcの境界に改質層M4が形成されているので、当該周縁部Weをより確実に剥離させて除去することができる。なお、このように改質層M4を目標表面より下方に形成する場合、改質層M4から延びるクラックCが発生しがたいようにレーザ光の集光をぼかすことにより制御する。そうすると、被処理ウェハWに接合された支持ウェハSにまで、クラックCを発生させることを抑制できる。クラックCの位置は全周方向で変わってくるが、このように改質層M4の下端は制御できるので、精度よく除去できる。
【0088】
図14(d)に示す例においては改質層M1~M4が、被処理ウェハWの厚み方向に複数段、例えば4段に形成されている。最下層の改質層M4の下端は、デバイス層Dの内部に位置している。また、これら改質層M1~M4によって進展するクラックCは、被処理ウェハWの加工面Wgに到達している。かかる場合でも、研削後の被処理ウェハWにおいて周縁部Weと中央部Wcの境界に改質層M4が形成されているので、当該周縁部Weをより確実に剥離させて除去することができる。
【0089】
図14に示したように改質層Mを、被処理ウェハWの厚み方向に複数形成する方法は任意であるが、例えば図15に示すように3つの加工方法が挙げられる。図15においては、被処理ウェハWにおいて改質層Mが形成される部分(周縁部Weと中央部Wcの境界)を平面に展開した図である。すなわち、図15の横方向は、周縁部Weと中央部Wcの境界の周方向を示し、縦方向は、被処理ウェハWの厚み方向を示す。また、図15において点線は改質層M1~M4を示し、被処理ウェハWの厚み方向に複数の改質層M1~M4が形成されている様子を示す。
【0090】
図15(a)に示す加工方法においては、改質層形成装置31において、回転機構102によってチャック100を回転させながら、鉛直方向に固定されたレーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、環状の改質層M4を形成する。次に、チャック100の回転を停止し、レーザヘッド103からのレーザ光の照射を停止した後、昇降機構105によってレーザヘッド103を所定位置、すなわち改質層M3を形成する位置まで上昇させる。その後、チャック100を回転させながらレーザヘッド103からレーザ光を照射して、環状の改質層M3を形成する。改質層M2、M1についても同様に形成して、被処理ウェハWに改質層M1~M4を形成する。
【0091】
なお、改質層M1~M4を形成するに際しては、チャック100の回転を継続した状態で、レーザヘッド103からのレーザ光の照射をオンオフ制御してもよい。例えばチャック100を回転させながら、レーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、改質層M4を形成する。その後、チャック100の回転を継続した状態で、一旦レーザヘッド103からのレーザ光の照射を停止する。続けて、レーザヘッド103を上昇させ、再びレーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、改質層M3を形成する。なおこの際、改質層M4を形成する際のレーザ光の照射開始位置及び照射終了位置を記憶しておくことで、次に改質層M3を形成する際のレーザ光の照射開始位置及び照射終了位置を合わせこむことができる。そして、以上のようにチャック100の回転を停止させないことで、チャック100の回転加速及び減速中のレーザ光の照射待ち時間を短縮し、全体の処理時間を短縮することができる。さらにチャック100の回転速度を等速に維持することで、レーザ処理を均一に行うことができ、改質層Mの水平方向のピッチを等しくすることも可能となる。
【0092】
図15(b)に示す加工方法においては、回転機構102によってチャック100を回転させながら、鉛直方向に固定されたレーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、環状の改質層M4を形成する。この改質層M4の形成が終了する前に、チャック100の回転とレーザヘッド103からのレーザ光の照射とを継続した状態で、昇降機構105によってレーザヘッド103を所定位置、すなわち改質層M3を形成する位置まで上昇させる。その後、レーザヘッド103の鉛直方向位置を固定した状態で、チャック100を回転させながらレーザヘッド103からレーザ光を照射して、環状の改質層M3を形成する。改質層M2、M1についても同様に形成して、被処理ウェハWに改質層M1~M4を形成する。かかる場合、改質層M1~M4を連続して形成することができるので、図15(a)に示した加工方法に比べて、加工処理に要する時間を短縮することができる。
【0093】
図15(c)に示す加工方法においては、回転機構102によってチャック100を回転させつつ、昇降機構105によってレーザヘッド103を上昇させながら、当該レーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、環状の改質層M1~M4を連続して形成する。すなわち、本加工方法では、改質層M1~M4を螺旋状に連続して形成する。かかる場合でも、改質層M1~M4を連続して形成することができるので、図15(a)に示した加工方法に比べて、加工処理に要する時間を短縮することができる。しかも、改質層M1~M4を側面視において急勾配で形成することがなく、図15(b)に示した加工方法に比べて、鉛直方向(被処理ウェハWの厚み方向)に均一に形成することができる。
【0094】
以上の実施形態では、改質層形成装置31において、被処理ウェハWの内部に環状の改質層Mを形成したが、図16に示すように環状の改質層Mから径方向外側に延伸する複数の径方向改質層M’をさらに形成してもよい。かかる場合、例えば加工装置32で周縁部Weを除去する際、当該周縁部Weは、環状の改質層Mを基点に剥離しつつ、径方向改質層M’によって複数に分割される。そうすると、除去される周縁部Weが小さくなり、より容易に除去することができる。
【0095】
また、加工面Wgの研削時に除去する周縁部We(エッジ片)を小片化する方法として、図16に示すように改質層Mと同心円方向に任意の間隔で、複数の環状の分割改質層M”を形成してもよい。かかる場合、除去される周縁部Weをより小さくすることができる。また、分割改質層M”の径方向の間隔を制御することで、除去される周縁部Weの小片の大きさを制御することができる。
【0096】
さらに、このように複数の環状の分割改質層M”を形成する場合、図17に示すように平面視において分割改質層M”を螺旋状に形成してもよい。かかる場合、改質層形成装置31において、チャック100又はレーザヘッド103を水平方向に移動させつつ、チャック100を回転させながらレーザヘッド103から被処理ウェハWにレーザ光を照射することで、螺旋状の分割改質層M”を連続して形成することができる。その結果、加工処理に要する時間を短縮することができる。
【0097】
また、図18に示すように分割改質層M”は、平面視において螺旋状、且つ蛇行して形成してもよい。かかる場合、改質層形成装置31において、チャック100又はレーザヘッド103を水平方向に移動させつつ、チャック100を回転させながらレーザヘッド103から被処理ウェハWにレーザ光を照射する。この際、チャック100又はレーザヘッド103の移動の位相、周期、振幅を制御することで、このような蛇行する波形状の分割改質層M”を形成することができる。また、この分割改質層M”を2周以上形成する。そして、分割改質層M”の蛇行位相のずれや周数を制御することで、除去される周縁部Weの小片の大きさを制御することができる。なお、本実施形態においては、図16及び図17に示した径方向改質層M’は不要となる。
【0098】
また、図19(a)に示すように分割改質層M”を、分割改質層M”から進展するクラックCが、被処理ウェハWの内部の所定位置まで延伸するように形成してもよい。すなわち、クラックCは、被処理ウェハWの非加工面Wnに到達するが、加工面Wgには到達しない。かかる場合、例えば加工装置32において研削砥石112を下降させて加工面Wgを研削する際、研削砥石112の研削面がクラックCに到達するまでは、図19(b)に示すように加工面Wgが被処理ウェハWの周縁部Weを含めて研削される。そして、研削砥石112の研削面がクラックCに到達すると、当該クラックCより下方において周縁部Weが剥離して除去される。このようにクラックCの上端高さを所定位置に制御することで、除去される周縁部Weの小片の大きさ(高さ)を制御することができる。なお、図19の例においては、分割改質層M”は2段に形成されているが、レーザヘッド103からの集光点を2つに調整することで、チャック100を回転させながら、2段の分割改質層M”を同時に形成することも可能である。
【0099】
以上の実施形態において、周縁部Weを効率的に除去する方法として、次の方法を用いてもよい。すなわち、例えば接合装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する前に、除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWと支持ウェハS間の界面における接合力を低下させることにより、周縁部Weを効率的に除去することができる。この接合力を低下させる方法の具体例としては、次の方法が考えられる。
【0100】
1つ目の接合力低下方法は、例えば除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWの非加工面Wnに対し、レーザ光などを照射して荒らす方法である。具体的には、図20に示す界面処理装置300を用いる。なお、界面処理装置300は、例えば基板処理システム1の処理ステーション3において任意の位置に設けられる。
【0101】
界面処理装置300は、非加工面Wnが上方を向いた状態で被処理ウェハWを保持するチャック301を有している。チャック301は、移動機構302によってX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されている。移動機構302は、一般的な精密XYステージで構成されている。また、チャック301は、回転機構303によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0102】
チャック301の上方には、被処理ウェハWの周縁部Weにおける非加工面Wnにレーザ光Kを照射するレーザヘッド304が設けられている。レーザヘッド304から照射するレーザ光Kは任意であるが、例えばエキシマレーザやファイバーレーザが用いられる。非加工面Wnには上述したようにデバイス層Dと酸化膜Fwが形成されているが、レーザ光は酸化膜Fwに吸収される波長、例えば266nmであればよい。なお、レーザヘッド304は、移動機構(図示せず)によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0103】
レーザヘッド304のレーザ光Kの照射口は、移動機構(図示せず)によって水平方向に移動可能に構成されている。移動機構は、例えばレーザヘッド304の照射口を機械的に移動させてもよいし、あるいは音響素子で照射口を移動させてもよい。レーザ光は酸化膜Fwに吸収されるため、その集光点を厳密に制御する必要がない。このため、本実施形態のように移動機構によって、レーザヘッド304の照射口を移動させて、周縁部Weにおける非加工面Wn(酸化膜Fw)を改質して粗面化することができる。
【0104】
チャック301の上方には、被処理ウェハWに対してガスを供給するガス供給部305が設けられている。ガス供給部305から供給されるガスには、例えば清浄空気や、窒素ガスなどの不活性ガスが用いられる。ガス供給部305は、ガスを供給するノズル306と、ノズル306から供給されたガスを整流する整流板307とを有している。ノズル306は、ガスを貯留して供給するガス供給源(図示せず)に連通している。またノズル306におけるガスの供給口は、被処理ウェハWの中心上方に形成されている。整流板307は、チャック301に保持された被処理ウェハWと略平行に設けられ、ノズル306からのガスが、被処理ウェハWの非加工面Wn上を流れるように制御する。
【0105】
チャック301の周囲には、ガス供給部305からのガスを収集して排気するためのカップ308が設けられている。カップ308の下面には、ガスを排出するための排気管309が接続されている。なお、カップ308は、被処理ウェハWの全周を覆うものであってもよいし、あるいはレーザヘッド304の周囲のみを局所的に覆うものであってもよい。
【0106】
界面処理装置300では、先ず、チャック301で被処理ウェハWを保持した後、移動機構302によってチャック301を水平方向に移動させて、被処理ウェハWのセンタリングを行う。その後、回転機構303によってチャック301を回転させながら、レーザヘッド304から被処理ウェハWの周縁部Weにおける非加工面Wnにレーザ光Kを照射して、当該非加工面Wnを粗面化する。
【0107】
また、非加工面Wnを粗面化する際、ガス供給部305から被処理ウェハWの非加工面Wnに対してガスを供給する。供給されたガスは、非加工面Wnの全面を流れて排気管309から排出される。本実施形態のようにレーザ光を用いて周縁部Weにおける非加工面Wnを改質する場合、デブリ(ゴミ)が発生する場合がある。このデブリが中央部Wcにおける非加工面Wnに付着すると、デバイスが損傷を被るおそれがある。そこで、ガス供給部305からガスを供給してパージすることで、デブリが非加工面Wnに付着するのを抑制することができる。なお、界面処理装置300における界面処理の後、さらに別の洗浄装置(図示せず)において非加工面Wnを洗浄してもよい。かかる場合、例えば界面処理装置300のように整流板307と被処理ウェハWの間にガスを供給する構成がない場合に比べて、本実施形態では界面処理装置300で洗浄を行うため、上記別の洗浄装置における洗浄を軽度に抑えることができる。
【0108】
非加工面Wnの粗面化する位置には、図21に示すように、例えば除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWの非加工面Wnと、除去されない中央部Wcに相当する部分の被処理ウェハWの非加工面Wnとの境界を改質して、接合力を低下させる接合力低下部としての改質溝R1を形成してもよい。またさらに、改質溝R1の外側に複数の環状の改質溝R2を形成してもよい。あるいは、図22に示すように周縁部Weに相当する部分を面状で改質して、粗面化された改質面R3を形成してもよい。かかる場合、複数の改質溝R2で改質面R3を形成してもよいし、あるいはレーザ光の照射範囲を調整して改質面R3を形成してもよい。
【0109】
次に、以上の界面処理装置300が設けられた基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0110】
先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットCw内の被処理ウェハWが取り出され、界面処理装置300に搬送される。界面処理装置300では、図23(a)に示すように被処理ウェハWの周縁部Weにおいて非加工面Wn(酸化膜Fw)が改質され、粗面化された改質溝R1、R2、改質面R3のいずれかが形成される。
【0111】
なお、この界面処理装置300での非加工面Wnの粗面化と並行して、ウェハ搬送装置22によりカセットCs内の支持ウェハSが取り出され、接合装置30に搬送される。
【0112】
次に、被処理ウェハWはウェハ搬送装置22により接合装置30に搬送される。この際、被処理ウェハWはウェハ搬送装置22又は反転装置(図示せず)によって表裏面が反転される。接合装置30では、図23(b)に示すように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、重合ウェハTが形成される。
【0113】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により改質層形成装置31に搬送される。改質層形成装置31では、図23(c)に示すように被処理ウェハWの内部の所定位置に改質層Mが形成される。すなわち、改質層Mは、改質溝R1、R2、改質面R3に対応して形成される。
【0114】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により加工装置32に搬送される。加工装置32では、図23(d)に示すように被処理ウェハWの加工面Wgが目標厚みまで研削される。加工面Wgの研削を進めていくと、図23(e)に示すように改質層MとクラックCを基点に被処理ウェハWの周縁部Weが剥離して除去される。この際、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面(非加工面Wn)が粗面化され接合力が低下しているので、周縁部Weを適切に除去することができる。
【0115】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0116】
なお、本実施形態では、図23(a)に示したように被処理ウェハWに改質溝R1、R2、改質面R3のいずれかを形成した後、図23(b)に示したように被処理ウェハWと支持ウェハSを接合し、さらに図23(c)に示したように被処理ウェハWに改質層Mを形成したが、これらの順序は限定されない。例えば、改質溝R1、R2、改質面R3の形成、改質層Mの形成、ウェハW、Sの接合をこの順で行ってもよい。また例えば、改質層Mの形成、改質溝R1、R2、改質面R3の形成、ウェハW、Sの接合をこの順で行ってもよい。さらに例えば、改質層Mの形成、ウェハW、Sの接合、改質溝R1、R2、改質面R3の形成をこの順で行ってもよい。
【0117】
また、本実施形態では、界面処理装置300は、改質層形成装置31と別に設けられていたが、これら界面処理装置300と改質層形成装置31は同じ装置であってもよい。かかる場合、例えば改質層形成装置31に、レーザヘッド304が設けられる。
【0118】
あるいは、界面処理装置300におけるレーザ処理に先だって、非加工面Wnに保護膜を形成してもよい。かかる場合、基板処理システム1の処理ステーション3には、保護膜を形成する塗布装置(図示せず)と、保護膜を洗浄する洗浄装置(図示せず)とが設けられる。塗布装置は、例えばスピン塗布法によって非加工面Wnの全面に保護材を塗布し、保護膜を形成する。また、洗浄装置は、例えばスピン洗浄法によって非加工面Wnの全面に洗浄液を供給し、保護膜を洗浄除去する。
【0119】
そして、基板処理システム1では先ず、塗布装置において、非加工面Wnの全面に保護膜を形成する。その後、界面処理装置300において、図23(a)に示したように周縁部Weにおける非加工面Wnを改質する。この際、被処理ウェハWの中央部Wcには保護膜が形成されているため、レーザ光によるデブリが発生しても、デバイスが損傷を被るのを抑制できる。そして、洗浄装置において、非加工面Wnの保護膜を洗浄除去すれば、その後、図23(b)に示したように被処理ウェハWと支持ウェハSを接合できる。
【0120】
2つ目の接合力低下方法は、例えば除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWの非加工面Wnに、離型剤を塗布して離型膜を形成する方法である。具体的には、例えば図24に示す界面処理装置310を用いる。なお、界面処理装置310は、例えば基板処理システム1の処理ステーション3において任意の位置に設けられる。
【0121】
界面処理装置310は、非加工面Wnが上方を向いた状態で被処理ウェハWを保持するチャック311を有している。チャック311は、回転機構312よって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0122】
チャック311の上方には、被処理ウェハWの周縁部Weにおける非加工面Wnに離型剤Aを塗布するノズル313が設けられている。ノズル313は、離型剤Aを貯留して供給する離型剤供給源(図示せず)に連通している。またノズル313は、移動機構(図示せず)によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されていてもよい。離型剤Aには、被処理ウェハWと支持ウェハS間の界面における接合力を低下させる、任意の材料が用いられる。
【0123】
以上の界面処理装置310が設けられた基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理方法は、図23に示した方法において、界面処理装置300のレーザ処理を、界面処理装置310の離型剤塗布処理に変更したものである。界面処理装置310では、チャック311を回転させながら、ノズル313から周縁部Weの非加工面Wnに離型剤Aを塗布することで、当該非加工面Wnに離型膜が形成される。そして、周縁部Weでは離型膜によって被処理ウェハWと支持ウェハSの接合力が低下するため、図23(e)において周縁部Weを適切に除去することができる。
【0124】
なお、界面処理装置310におけるチャック311の回転速度が高速の場合、塗布された離型剤Aは遠心力によって被処理ウェハWの外側に振り切られる。一方、チャック311の回転速度が中速の場合、被処理ウェハWの加工面Wgに離型剤Aが回り込むおそれがあるため、当該加工面Wg側から離型剤Aのリンス液を供給してもよい。また、チャック311の回転速度が低速の場合、被処理ウェハWの外側から離型剤Aを吸引して排出してもよい。
【0125】
3つ目の接合力低下方法は、例えば除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWの非加工面Wnを、薬液などで薄くエッチングする方法である。例えばTEOS膜の場合、フッ酸でエッチングを行う。このエッチングを行う界面処理装置の構成は任意であり、公知のエッチング装置を用いることができる。
【0126】
本実施形態においては、図23(a)に示した界面処理装置300のレーザ処理に代えて、周縁部Weのエッチング処理が行われる。エッチングされた周縁部Weは除去されて中央部Wcとの間で段差が形成されるか、あるいはエッチングされた周縁部Weは粗面化される。そうすると、図23(b)に示したように接合装置30で被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する際、周縁部Weにおいては被処理ウェハWと支持ウェハSが接合されない。このため、図23(e)において周縁部Weを適切に除去することができる。
【0127】
4つ目の接合力低下方法は、例えば上述したように接合装置30がプラズマを利用した接合装置である場合には、除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWの非加工面Wnを、接合時にプラズマ照射する方法である。上述したように接合装置30では、プラズマ化された酸素イオン又は窒素イオンが非加工面Wnに照射されて、非加工面Wnがプラズマ処理され、活性化される。そこで、この接合装置30において、周縁部Weにおける非加工面Wnに酸素イオン又は窒素イオンが照射されないように、当該非加工面Wnの上方に遮蔽板を設けてもよい。
【0128】
かかる場合、接合装置30では、被処理ウェハWの中央部Wcにおける非加工面Wnは酸素イオン又は窒素イオンによって活性化されるが、周縁部Weにおける非加工面Wnは活性化されない。そうすると、図23(b)に示したように接合装置30で被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する際、周縁部Weにおいては被処理ウェハWと支持ウェハSが接合されない。このため、図23(e)において周縁部Weを適切に除去することができる。
【0129】
なお、以上の実施形態では、接合前の被処理ウェハWの非加工面Wnに対して、上述した4つの処理を行って接合力を低下させたが、支持ウェハSの接合面Sjに対して同様の処理を行ってもよい。
【0130】
以上の実施形態において、周縁部Weを効率的に除去する方法として、接合装置30により被処理ウェハWと支持ウェハSを接合した後、除去される周縁部Weに相当する部分の被処理ウェハWと支持ウェハS間の界面における接合力を低下させることによって、周縁部Weを効率的に除去することができる。この接合力を低下させる方法の具体例としては、次の方法が考えられる。
【0131】
例えば被処理ウェハWの非加工面Wnまでレーザ光を透過させて、各界面でアブレーションを起こす。具体的には、例えば図25に示す処理装置320を用いる。なお、処理装置320は、例えば基板処理システム1の処理ステーション3において改質層形成装置31に代えて設けられる。
【0132】
処理装置320は、改質層形成装置31の構成において、さらにレーザヘッド321、移動機構322及び昇降機構323を有している。レーザヘッド321は、非加工面Wnにレーザ光を照射して改質する。レーザヘッド321は、レーザ光発振器(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザ光であって、被処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光を、被処理ウェハWの内部の所定位置に集光して照射する。これによって、被処理ウェハWの内部においてレーザ光が集光した部分が改質する。移動機構322は、レーザヘッド321をX軸方向及びY軸方向に移動させる。移動機構322は、一般的な精密XYステージで構成されている。また、昇降機構323は、レーザヘッド321をZ軸方向に移動させる。以上のとおり処理装置320は、改質層形成装置と界面処理装置を兼ねている。
【0133】
処理装置320で、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面を処理する際には、被処理ウェハWの内部を改質するか、あるいはデバイス層Dの内部を改質する。すなわち、本実施形態における界面には、これら被処理ウェハWの内部とデバイス層Dの内部が含まれる。
【0134】
図26に示すように被処理ウェハWの内部を改質する場合、周縁部We(改質層Mの外側)において、非加工面Wnの近傍に改質面R4が形成される。この加工方法としては、図27に示すようにレーザヘッド321から被処理ウェハWの内部に向けてレーザ光Lを照射する。レーザ光Lは被処理ウェハWの内部を透過して集光し、集光した部分が改質される。そして、回転機構102によってチャック100を回転させつつ、移動機構322によってレーザヘッド321を径方向外側に移動させながら、レーザヘッド321から被処理ウェハWの内部にレーザ光Lを照射する。そうすると、改質面R4が形成される。なお、改質面R4を形成するに際しては、移動機構101によってチャック100を径方向に移動させてもよいし、あるいはレーザヘッド321とチャック100の両方を移動させてもよい。
【0135】
なお、このように被処理ウェハWの内部に改質面R4を形成する場合、周縁部Weを除去した後、支持ウェハS上に被処理ウェハWの一部が残存することになる。このため、周縁部Weを除去した後に、この残存する被処理ウェハWの一部をエッチングして除去してもよい。
【0136】
図28に示すようにデバイス層Dの内部を改質する場合、周縁部We(改質層Mの外側)において、デバイス層Dの内部に改質面R5が形成される。この加工方法としては、例えば図29に示すように3つの方法がある。
【0137】
1つ目の加工方法は、図29(a)に示すようにレーザヘッド321からのレーザ光Lの集光点を、被処理ウェハWの内部であってデバイス層Dの上方に位置させる方法である。かかる場合、レーザ光Lが集光しても被処理ウェハWが改質されない程度に、レーザ光Lのエネルギーを小さくしておく。そうすると、レーザ光Lは被処理ウェハWの内部で一旦集光するが、さらにデフォーカスさせて広がったレーザ光Lは被処理ウェハWを透過してデバイス層Dに照射される。レーザ光Lはデバイス層Dに吸収され、当該デバイス層Dがアブレーションを起こす。そして、回転機構102によってチャック100を回転させつつ、移動機構322によってレーザヘッド321を径方向外側に移動させながら、レーザヘッド321からレーザ光Lを照射する。そうすると、デバイス層Dに改質面R5が形成される。なお、改質面R5を形成するに際しては、移動機構101によってチャック100を径方向に移動させてもよいし、あるいはレーザヘッド321とチャック100の両方を移動させてもよい。
【0138】
2つ目の加工方法は、図29(b)に示すようにレーザヘッド321からのレーザ光Lの集光点を、デバイス層Dの内部に位置させる方法である。かかる場合、レーザ光Lは被処理ウェハWを透過してデバイス層Dに照射され、当該デバイス層Dがアブレーションを起こす。そして、回転機構102によってチャック100を回転させつつ、移動機構322によってレーザヘッド321を径方向外側に移動させながら、レーザヘッド321からレーザ光Lを照射する。そうすると、デバイス層Dに改質面R5が形成される。なお、改質面R5を形成するに際しては、移動機構101によってチャック100を径方向に移動させてもよいし、あるいはレーザヘッド321とチャック100の両方を移動させてもよい。
【0139】
3つ目の加工方法は、図29(c)に示すようにレーザヘッド321からのレーザ光Lの集光点を、デバイス層Dの下方に位置させる方法である。かかる場合、レーザ光Lは被処理ウェハWを透過してデバイス層Dに照射され、当該デバイス層Dがアブレーションを起こす。なお、レーザ光Lはデバイス層Dに吸収されるので、当該デバイス層Dの下方で集光することはない。そして、回転機構102によってチャック100を回転させつつ、移動機構322によってレーザヘッド321を径方向外側に移動させながら、レーザヘッド321からレーザ光Lを照射する。そうすると、デバイス層Dに改質面R5が形成される。なお、改質面R5を形成するに際しては、移動機構101によってチャック100を径方向に移動させてもよいし、あるいはレーザヘッド321とチャック100の両方を移動させてもよい。
【0140】
なお、デバイス層Dに改質面R5を形成する場合には、周縁部Weのデバイス層Dにおけるアブレーションの影響が、その内側の中央部Wcにおけるデバイス層Dに及ぶおそれがある。そこで、図14(d)に示したようにデバイス層Dに改質層M4を形成した後、改質面R5を形成するのが好ましい。かかる場合、改質層M4がアブレーションの影響をせき止める役割を果たし、当該アブレーションの影響が中央部Wcに及ぶのを確実に防止することができる。
【0141】
次に、以上の処理装置320が設けられた基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0142】
先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットCw内の被処理ウェハWが取り出され、接合装置30に搬送される。また続けて、ウェハ搬送装置22によりカセットCs内の支持ウェハSも取り出され、接合装置30に搬送される。接合装置30では、図30(a)に示すように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、重合ウェハTが形成される。
【0143】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により処理装置320に搬送される。処理装置320では、レーザヘッド103を周縁部Weの上方に移動させる。そして、チャック100を回転させながら、レーザヘッド103から被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、図30(b)に示すように被処理ウェハWの内部の所定位置に改質層Mが形成される。
【0144】
続けて、処理装置320では、レーザヘッド103を退避させると共に、レーザヘッド321を周縁部Weの上方に移動させる。そして、チャック100を回転させつつ、レーザヘッド321を径方向外側に移動させながら、レーザヘッド321からレーザ光を照射する。そうすると、図30(c)に示すように被処理ウェハWの内部に又はデバイス層Dに、それぞれ改質面R4又はR5が形成される。
【0145】
なお、図30(b)に示した改質層Mの形成と、図30(c)に示した改質面R4又はR5の形成は、その順序は逆であってもよい。
【0146】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置22により加工装置32に搬送される。加工装置32では、図30(d)に示すように被処理ウェハWの加工面Wgが目標厚みまで研削される。加工面Wgの研削を進めていくと、図30(e)に示すように改質層MとクラックCを基点に被処理ウェハWの周縁部Weが剥離して除去される。この際、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に改質面R4又はR5が形成されて接合力が低下しているので、周縁部Weを適切に除去することができる。
【0147】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0148】
本実施形態においても、上記第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を享受することができる。しかも、処理装置320では、同じチャック100を用いて、改質層Mの形成と改質面R4又はR5の形成とを行っているので、レーザヘッド103による処理とレーザヘッド321による処理とにおいて、被処理ウェハWは偏心しない。その結果、改質層Mの位置と、改質面R4又はR5の内周位置を一致させることができ、周縁部Weをより適切に除去することができる。
【0149】
なお、処理装置320において、レーザヘッド103とレーザヘッド321は別々に設ける必要はなく、共通のヘッドとしてもよい。また、処理装置320におけるレーザヘッド103とレーザヘッド321が別の装置に設けられていてもよく、それぞれ改質層形成装置31と界面処理装置に設けられていてもよい。
【0150】
また、図12に示したよう重合ウェハTにさらに第2の被処理ウェハW2を積層する場合にも、本実施形態を適用できる。この際、第2の被処理ウェハW2で除去される周縁部Weの位置が、重合ウェハTの位置と一致する場合には、改質面R4又はR5の形成を省略できる。
【0151】
また、図13に示したように上層の第2の被処理ウェハW2で除去される周縁部Weを、下層の第1の被処理ウェハW1で除去される周縁部Weの内側にする場合にも、本実施形態を適用できる。但しこの場合、第2の被処理ウェハW2において、第1の被処理ウェハW1から除去される周縁部Weには、改質面R4又はR5が形成されているのが好ましい。
【0152】
以上の実施形態において、接合前の被処理ウェハWに形成される改質溝R1の位置、改質面R3の内周位置、又は接合後の被処理ウェハWに形成される改質面R4、R5の内周位置はいずれも、改質層Mの位置と一致させるのが好ましい。
【0153】
この理由を説明するにあたり、一例として図31に、重合ウェハTに対して被処理ウェハWが偏心して接合され、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置がずれている場合を示す。かかる場合、図31に示すように改質層Mが改質面R4の内周より径方向内側に位置する場所と、改質層Mが改質面R4の内周より径方向外側に位置する場所が存在する。
【0154】
図32(a)に示すように改質層Mが改質面R4の内周より径方向内側に位置する場合、図32(b)に示すように被処理ウェハWの加工面Wgを研削して周縁部Weを除去する際に、除去された周縁部の幅D1が、除去すべき周縁部Weの目標幅D2よりも小さくなる場合がある。また、除去された周縁部は改質層MとクラックCを介さずに剥離するため、当該周縁部を除去した後の被処理ウェハWの外側面が粗くなる場合がある。
【0155】
なお、改質層Mが改質面R4の内周より径方向内側に位置した場合であっても、改質層Mと改質面R4の内周との距離が十分に小さい場合には、被処理ウェハWと支持ウェハS間の接合力が十分に小さくなるため、周縁部Weを除去できる。
【0156】
図33(a)に示すように改質層Mが改質面R4の内周より径方向外側に位置する場合、図33(b)に示すように被処理ウェハWの加工面Wgを研削して周縁部Weを除去すると、被処理ウェハWとデバイス層Dの間に改質面R4が残る。この改質面R4がある部分では、被処理ウェハWとデバイス層Dが剥離する場合があり、チッピングが発生する可能性がある。
【0157】
このような改質層Mの位置と改質面R4の内周位置のずれを解消する方法としては、次の2つの方法が考えられる。1つ目のずれ解消方法は、重合ウェハTにおける被処理ウェハWの偏心を検出し、その検出結果に基づいて、改質層Mの位置又は改質面R4の内周位置を調整する方法である。2つ目のずれ解消方法は、改質層Mの位置又は改質面R4の内周位置を検出し、その検出結果に基づいて、後続の処理で形成される改質面R4又は改質層Mの位置を調整する方法である。
【0158】
上述した2つのずれ解消方法を実行するに際しては、例えば図34に示す処理装置330を用いる。処理装置330は、例えば基板処理システム1の処理ステーション3において処理装置320に代えて設けられる。処理装置330は、処理装置320の構成において、1つ目のずれ解消方法を実行するための偏心検出部331と、2つ目のずれ解消方法を実行するための位置検出部332を有している。
【0159】
1つ目のずれ解消方法について説明する。偏心検出部331は、チャック100の中心部上方に配置される。なお、偏心検出部331は、移動機構(図示せず)によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されている。偏心検出部331は、例えばCCDカメラを有している。そして、偏心検出部331は、チャック100に保持された重合ウェハT、具体的には例えば外周部の少なくとも3点を撮像する。そして、チャック100の回転中心に対する被処理ウェハWの中心のずれ、すなわち重合ウェハTにおける被処理ウェハWの偏心を検出する。なお、偏心検出部331の構成は本実施形態に限定されず、例えばIRカメラを有していてもよい。かかる場合、偏心検出部331は、例えば被処理ウェハWに形成されたアライメントマークを撮像し、重合ウェハTにおける被処理ウェハWの偏心を検出する。
【0160】
1つ目のずれ解消方法は、この偏心検出部331における検出結果を用いて行われる。ここでは、基板処理システム1において、図30に示したウェハ処理を行う場合に沿って説明する。
【0161】
先ず、接合装置30において、図30(a)に示したように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、重合ウェハTが形成される。次に、重合ウェハTは処理装置330に搬送される。処理装置330では、重合ウェハTはチャック100に保持された後、偏心検出部331によって重合ウェハTが撮像され、重合ウェハTにおける被処理ウェハWの偏心が検出される。偏心検出部331の検出結果は、制御装置40に出力される。
【0162】
制御装置40では、偏心検出部331の検出結果、すなわち被処理ウェハWの偏心に基づいて、チャック100の中心軸、レーザヘッド103から照射されるレーザ光の照射軸、又はレーザヘッド321から照射されるレーザ光の照射軸を調整する。チャック100の中心軸又はレーザヘッド103の照射軸を調整することで、図30(b)に示したように被処理ウェハWに改質層Mを適切に形成することができる。また、チャック100の中心軸又はレーザヘッド321の照射軸を調整することで、図30(c)に示したように被処理ウェハWに改質面R4を適切に形成することができる。
【0163】
以上のように、偏心検出部331による被処理ウェハWの偏心の検出結果に基づいて、チャック100の中心軸、レーザヘッド103の照射軸又はレーザヘッド321の照射軸を調整することで、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0164】
なお、偏心検出部331は、処理装置320の外部の偏心検出装置(図示せず)に設けられていてもよい。かかる場合、ウェハ搬送装置22により重合ウェハTを偏心検出装置から処理装置320に搬送する際、偏心検出部331による被処理ウェハWの偏心の検出結果に基づいて、被処理ウェハWの中心とチャック100の中心を一致させるように重合ウェハTを搬送する。そうすると、図30(b)に示したように被処理ウェハWに改質層Mを適切に形成することができ、また図30(c)に示したように被処理ウェハWの内部又はデバイス層に改質面R4を適切に形成することができる。したがって、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0165】
また、偏心検出部331は、重合ウェハTにさらに積層して接合される第2の被処理ウェハW2の偏心を検出してもよい。かかる場合でも、重合ウェハTに対する第2の被処理ウェハW2の偏心の検出結果に基づいて、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0166】
2つ目のずれ解消方法について説明する。位置検出部332は、チャック100の外周部上方に配置される。なお、位置検出部332は、移動機構(図示せず)によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されている。位置検出部332には、例えば赤外線を用いたIRカメラが用いられる。そして、位置検出部332は、チャック100に保持された重合ウェハTに対し、被処理ウェハWに形成された改質層Mの位置又は改質面R4の内周位置を検出する。
【0167】
2つ目のずれ解消方法は、この位置検出部332における検出結果を用いて行われる。ここでは、基板処理システム1において、図30に示したウェハ処理を行う場合に沿って説明する。
【0168】
先ず、接合装置30において、図30(a)に示したように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、重合ウェハTが形成される。次に、重合ウェハTは処理装置330に搬送される。処理装置330では、レーザヘッド103を用いて、図30(b)に示したように被処理ウェハWに改質層Mが形成される。
【0169】
被処理ウェハWに改質層Mが形成されると、位置検出部332により赤外線を用いて被処理ウェハWの内部の改質層Mが撮像され、当該改質層Mの位置が検出される。位置検出部332の検出結果は、制御装置40に出力される。
【0170】
制御装置40では、位置検出部332の検出結果、すなわち改質層Mの位置に基づいて、チャック100の中心軸又はレーザヘッド321の照射軸を調整する。そうすると、図30(c)に示したように被処理ウェハWに改質面R4を適切に形成することができる。そしてその結果、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0171】
なお、図30(b)に示した改質層Mの形成と、図30(c)に示した改質面R4の形成の順序は逆であってもよい。かかる場合、被処理ウェハWに改質面R4を形成した後、位置検出部332により赤外線を用いて改質面R4が撮像され、当該改質面R4の内周位置が検出される。位置検出部332の検出結果は、制御装置40に出力される。
【0172】
制御装置40では、位置検出部332の検出結果、すなわち改質面R4の内周位置に基づいて、チャック100の中心軸又はレーザヘッド103の照射軸を調整する。そうすると、被処理ウェハWに改質層Mを適切に形成することができる。そしてその結果、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0173】
また、以上の実施形態では、位置検出部332は、接合後の被処理ウェハWに形成される改質層Mの位置又は改質面R4の内周位置を検出したが、接合前の被処理ウェハWに形成される改質層Mの位置又は改質面R4の内周位置を検出してもよい。かかる場合でも、位置検出部332での検出後に、改質面R4又は改質層Mを適切に形成して、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0174】
要は、改質層Mの形成又は改質面R4の形成のいずれが先に行われても、位置検出部332で改質層Mの位置又は改質面R4の内周位置を検出することで、その後、改質面R4又は改質層Mを適切に形成することができ、改質層Mの位置と改質面R4の内周位置を一致させることができる。
【0175】
次に、本発明の第3の実施形態の基板処理システムについて説明する。図35は、第3の実施形態にかかる基板処理システム400の構成の概略を模式的に示す平面図である。
【0176】
基板処理システム400は、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCtが搬入出される搬入出ステーション401と、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション402とを一体に接続した構成を有している。
【0177】
搬入出ステーション401には、カセット載置台410が設けられている。図示の例では、カセット載置台410には、複数、例えば4つのカセットCtをY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台410に載置されるカセットCtの個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
【0178】
搬入出ステーション401には、カセット載置台410に隣接してウェハ搬送領域420が設けられている。ウェハ搬送領域420には、Y軸方向に延伸する搬送路421上を移動自在なウェハ搬送装置422が設けられている。ウェハ搬送装置422は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2本の搬送アーム423、423を有している。各搬送アーム423は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム423の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。
【0179】
処理ステーション402には、ウェハ搬送領域430が設けられている。ウェハ搬送領域430には、X軸方向に延伸する搬送路431上を移動自在なウェハ搬送装置432が設けられている。ウェハ搬送装置432は、後述するトランジション装置434、ウェットエッチング装置440、441、加工装置450に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。また、ウェハ搬送装置432は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2本の搬送アーム433、433を有している。各搬送アーム433は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム433の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。
【0180】
ウェハ搬送領域420とウェハ搬送領域430との間には、重合ウェハTを受け渡すためのトランジション装置434が設けられている。
【0181】
ウェハ搬送領域430のY軸正方向側には、ウェットエッチング装置440、441が、搬入出ステーション401側からX軸方向にこの順で並べて配置されている。ウェットエッチング装置440、441では、被処理ウェハWの加工面Wgに対して例えばフッ酸等の薬液でウェットエッチングを行う。
【0182】
ウェハ搬送領域430のX軸正方向側には、加工装置450が配置されている。加工装置450では、被処理ウェハWに対して研削や洗浄などの加工処理が行われる。加工装置450は、回転テーブル460、搬送ユニット470、処理ユニット480、第1の洗浄ユニット490、第2の洗浄ユニット500、粗研削ユニット510、中研削ユニット520、及び仕上研削ユニット530を有している。
【0183】
回転テーブル460は、回転機構(図示せず)によって回転自在に構成されている。回転テーブル460上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック461が4つ設けられている。チャック461は、回転テーブル460と同一円周上に均等、すなわち90度毎に配置されている。4つのチャック461は、回転テーブル460が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1~A3に移動可能になっている。また、4つのチャック461はそれぞれ、鉛直軸回りに回転機構(図示せず)によって回転可能に構成されている。
【0184】
本実施形態では、受渡位置A0は回転テーブル460のX軸負方向側且つY軸負方向側の位置であり、受渡位置A0のX軸負方向側には、第2の洗浄ユニット500、処理ユニット480及び第1の洗浄ユニット490が並べて配置される。処理ユニット480と第1の洗浄ユニット490は上方からこの順で積層されて配置される。第1の加工位置A1は回転テーブル460のX軸正方向側且つY軸負方向側の位置であり、粗研削ユニット510が配置される。第2の加工位置A2は回転テーブル460のX軸正方向側且つY軸正方向側の位置であり、中研削ユニット520が配置される。第3の加工位置A3は回転テーブル460のX軸負方向側且つY軸正方向側の位置であり、仕上研削ユニット530が配置される。
【0185】
搬送ユニット470は、複数、例えば3つのアーム471を備えた多関節型のロボットである。3つのアーム471は、それぞれが旋回自在に構成されている。先端のアーム471には、重合ウェハTを吸着保持する搬送パッド472が取り付けられている。また、基端のアーム471は、アーム471を鉛直方向に移動させる移動機構473に取り付けられている。そして、かかる構成を備えた搬送ユニット470は、受渡位置A0、処理ユニット480、第1の洗浄ユニット490、及び第2の洗浄ユニット500に対して、重合ウェハTを搬送できる。
【0186】
処理ユニット480では、研削処理前の重合ウェハTの水平方向の向きを調節する。例えばチャック100に保持された重合ウェハTを回転させながら、検出部(図示せず)で被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して重合ウェハTの水平方向の向きを調節する。
【0187】
また、処理ユニット480は、処理装置320の構成、すなわちチャック100、移動機構101、回転機構102、レーザヘッド103、移動機構104、昇降機構105、レーザヘッド321、移動機構322、昇降機構323を有している。そして、処理ユニット480では、レーザヘッド103によって被処理ウェハWに改質層Mを形成し、レーザヘッド321によって被処理ウェハWに改質面R4又はR5を形成する。なお、被処理ウェハWに予め改質層Mが形成されている場合には、処理ユニット480では改質面R4又はR5のみを形成する。あるいは逆に、被処理ウェハWに予め改質面R4又はR5が形成されている場合には、処理ユニット480では改質層Mのみを形成する。
【0188】
第1の洗浄ユニット490では、研削処理後の被処理ウェハWの加工面Wgを洗浄し、より具体的にはスピン洗浄する。例えばスピンチャック(図示せず)に保持された重合ウェハTを回転させながら、洗浄液ノズル(図示せず)から加工面Wgに洗浄液を供給する。そうすると、供給された洗浄液は加工面Wg上を拡散し、当該加工面Wgが洗浄される。
【0189】
第2の洗浄ユニット500では、研削処理後の被処理ウェハWが搬送パッド472に保持された状態の支持ウェハSの非接合面Snを洗浄するとともに、搬送パッド472を洗浄する。
【0190】
粗研削ユニット510では、被処理ウェハWの加工面Wgを粗研削する。粗研削ユニット510は、粗研削部511を有している。粗研削部511は、図6に示した研削砥石112、スピンドル113、及び駆動部114を有している。また、粗研削部511は、支柱512に沿って鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。
【0191】
中研削ユニット520では、被処理ウェハWの加工面Wgを中研削する。中研削ユニット520は、中研削部521を有している。中研削部521は、図6に示した研削砥石112、スピンドル113、及び駆動部114を有している。また、中研削部521は、支柱522に沿って鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。なお、中研削部521の研削砥石112の砥粒の粒度は、粗研削部511の研削砥石112の砥粒の粒度より小さい。
【0192】
仕上研削ユニット530では、被処理ウェハWの加工面Wgを仕上研削する。仕上研削ユニット530は、仕上研削部531を有している。仕上研削部531は、図6に示した研削砥石112、スピンドル113、及び駆動部114を有している。また、仕上研削部531は、支柱532に沿って鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。なお、仕上研削部531の研削砥石112の砥粒の粒度は、中研削部521の研削砥石112の砥粒の粒度より小さい。
【0193】
次に、以上のように構成された基板処理システム400を用いて行われるウェハ処理について説明する。本実施形態では、図30に示したウェハ処理を行う場合に沿って説明する。
【0194】
先ず、複数の重合ウェハTを収納したカセットCtが、搬入出ステーション401のカセット載置台410に載置される。なお、本実施形態では、基板処理システム400の外部の接合装置(図示せず)において、図30(a)に示したように被処理ウェハWと支持ウェハSが接合される。
【0195】
次に、ウェハ搬送装置422によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、トランジション装置434に搬送される。続けて、ウェハ搬送装置432により、トランジション装置434の重合ウェハTが取り出され、加工装置450に搬送される。
【0196】
加工装置450に搬送された重合ウェハTは、処理ユニット480に受け渡される。処理ユニット480では、検出部(図示せず)によって、被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される。処理ユニット480ではさらに、レーザヘッド103を用いて、図30(b)に示したように被処理ウェハWに改質層Mを形成した後、レーザヘッド321を用いて、図30(c)に示したように被処理ウェハWに改質面R4又はR5を形成する。
【0197】
次に、重合ウェハTは搬送ユニット470により、処理ユニット480から受渡位置A0に搬送され、当該受渡位置A0のチャック461に受け渡される。その後、チャック461を第1の加工位置A1に移動させる。そして、粗研削ユニット510によって、図30(d)に示したように被処理ウェハWの加工面Wgが粗研削される。そうすると、図30(e)に示したように改質層MとクラックCを基点に被処理ウェハWの周縁部Weが剥離して除去される。この際、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に改質面R4又はR5が形成されて接合力が低下しているので、周縁部Weを適切に除去することができる。
【0198】
次に、チャック461を第2の加工位置A2に移動させる。そして、中研削ユニット520によって、被処理ウェハWの加工面Wgが中研削される。なお、上述した粗研削ユニット510において、周縁部Weが完全に除去できない場合には、この中研削ユニット520で周縁部Weが完全に除去される。すなわち、粗研削ユニット510と中研削ユニット520の2段階で、周縁部Weを除去してもよい。かかる場合、除去される周縁部Weの大きさを段階的に小さくすることができる。すなわち、各研削ユニット510、520で除去される周縁部Weが小さくなる。
【0199】
次に、チャック461を第3の加工位置A3に移動させる。そして、仕上研削ユニット530によって、被処理ウェハWの加工面Wgが仕上研削される。
【0200】
次に、チャック461を受渡位置A0に移動させる。ここでは、洗浄液ノズル(図示せず)を用いて、被処理ウェハWの加工面Wgが洗浄液によって粗洗浄される。この際、加工面Wgの汚れをある程度まで落とす洗浄が行われる。
【0201】
次に、重合ウェハTは搬送ユニット470により、受渡位置A0から第2の洗浄ユニット500に搬送される。そして、第2の洗浄ユニット500では、被処理ウェハWが搬送パッド472に保持された状態で、支持ウェハSの非接合面Snが洗浄し、乾燥される。
【0202】
次に、重合ウェハTは搬送ユニット470によって、第2の洗浄ユニット500から第1の洗浄ユニット490に搬送される。そして、第1の洗浄ユニット490では、洗浄液ノズル(図示せず)を用いて、被処理ウェハWの加工面Wgが洗浄液によって仕上洗浄される。この際、加工面Wgが所望の清浄度まで洗浄し乾燥される。
【0203】
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置432によりウェットエッチング装置440、441に順次搬送され、2段階で加工面Wgがウェットエッチングされる。
【0204】
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置432によりトランジション装置434に搬送され、さらにウェハ搬送装置422によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、基板処理システム400における一連のウェハ処理が終了する。
【0205】
以上の第3の実施形態においても、上記第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0206】
なお、本実施形態の基板処理システム400は、周縁除去装置210をさらに有していてもよい。周縁除去装置210は、例えば処理ユニット480及び第1の洗浄ユニット490に積層して設けられる。
【0207】
かかる場合、処理ユニット480において改質層M、及び改質面R4又はR5が形成された後、周縁除去装置210において改質層Mを基点に周縁部Weが除去される。その後、粗研削ユニット510における粗研削、中研削ユニット520における中研削、仕上研削ユニット530における仕上研削、第2の洗浄ユニット500における非接合面Snの洗浄、第1の洗浄ユニット490における加工面Wgの洗浄、ウェットエッチング装置440、441における加工面Wgのウェットエッチングが順次行われる。
【0208】
なお、本実施形態では、改質層Mを形成するためのレーザヘッド103と、改質面R4又はR5を形成するためのレーザヘッド321はそれぞれ、重合ウェハTのアライメントを行う処理ユニット480に設けられていたが、装置構成はこれに限定されない。レーザヘッド103、移動機構104及び昇降機構105を備え、改質層Mを形成する改質層形成ユニットと、レーザヘッド321、移動機構322及び昇降機構323を備え、改質面R4又はR5を形成する界面処理ユニットはそれぞれ、処理ユニット480と別に設けられていてもよい。改質層形成ユニットと界面処理ユニットは、搬送ユニット470が重合ウェハTを搬送できる範囲であれば任意の位置に配置できる。例えば改質層形成ユニットと界面処理ユニットは、処理ユニット480に積層して設けられてもよい。あるいは処理ユニット480の水平方向に隣接した位置、例えば移動機構473を挟んで処理ユニット480と反対側の位置に設けられていてもよい。なお、改質層形成ユニットと界面処理ユニットのいずれか一方が、加工装置450の内部に配置されていてもよい。あるいは改質層形成ユニットと界面処理ユニットの両方が、加工装置50の外部に配置されていてもよい。
【0209】
また、本実施形態の基板処理システム400には、被処理ウェハWの加工面Wgを研磨するCMP装置(CMP:Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)が設けられていてもよく、かかる場合、研磨後の加工面Wgを洗浄する洗浄装置が設けられていてもよい。CMP装置は、例えば処理ステーション402において、ウェハ搬送領域430のY軸負方向側に設けられてもよい。また、洗浄装置は、例えばウェハ搬送領域430のX軸正方向側において、ウェットエッチング装置440、441に積層して設けられてもよい。
【0210】
また、本実施形態の基板処理システム400では、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合は基板処理システム400の外部の接合装置で行われていたが、かかる接合装置は基板処理システム400の内部に設けられてもよい。かかる場合、基板処理システム400の搬入出ステーション401には、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCw、Cs、Ctが搬入出される。そして、カセット載置台410には、これらカセットCw、Cs、CtがY軸方向に一列に載置自在になっている。
【0211】
以上の実施形態では、被処理ウェハWと支持ウェハSを直接接合する場合について説明したが、これら被処理ウェハWと支持ウェハSは接着剤を介して接合されてもよい。
【0212】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0213】
1 基板処理システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
22 ウェハ搬送装置
30 接合装置
31 改質層形成装置
32 加工装置
40 制御装置
100 チャック
101 移動機構
102 回転機構
103 レーザヘッド
104 移動機構
105 昇降機構
200 基板処理システム
210 周縁除去装置
300、310 界面処理装置
320、330 処理装置
400 基板処理システム
401 搬入出ステーション
402 処理ステーション
450 加工装置
480 処理ユニット
510 粗研削ユニット
520 中研削ユニット
530 仕上研削ユニット
C クラック
D デバイス層
Fw、Fs 酸化膜
M 改質層
M’ 径方向改質層
M” 分割改質層
R1、R2 改質溝
R3、R4、R5 改質面
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W(W1、W2) 被処理ウェハ
Wc 中央部
We 周縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35