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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171714
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】自動教示エンクロージャシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20231128BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20231128BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/68 A
B25J9/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125903
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2022533062の分割
【原出願日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】16/708,337
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コペック, ニコラス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】コシンスキー, ライル
(72)【発明者】
【氏名】ファーバー, マトヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハジェンズ, ジェフリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動教示動作を可能とするエンクロージャシステムを提供する。
【解決手段】自動教示エンクロージャシステム200は、内部空間202を少なくとも部分的に包囲し、フロントインタフェースを形成する複数の表面である側壁表面210A、210B、底面212、上面214、背面216等と、内部空間内に少なくとも部分的に配置された自動教示ピン230を含む。自動教示ピンは、自動教示エンクロージャシステム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャである。フロントインタフェースは、複数の表面のうちの1つ以上に結合され、自動教示エンクロージャシステムをウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続する。自動教示ピンによって、自動教示エンクロージャシステム内の固定位置を、ウエハ処理システムのロボットアームに自動的に教示する動作である自動教示動作が可能となる。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動教示エンクロージャシステムであって、
前記自動教示エンクロージャシステムの内部空間を少なくとも部分的に包囲する複数の表面と、
前記内部空間内に少なくとも部分的に配置された自動教示ピンであって、前記自動教示エンクロージャシステム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャである自動教示ピンと、
前記複数の表面のうちの1つ以上に結合されたフロントインタフェースであって、前記自動教示エンクロージャシステムをウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続するためのフロントインタフェースと、
を備え、
前記自動教示ピンが、前記ウエハ処理システムのロボットアームの自動教示動作を可能とし、前記自動教示動作が、前記自動教示エンクロージャシステム内の前記固定位置を、前記ウエハ処理システムの前記ロボットアームに自動的に教示する動作である、自動教示エンクロージャシステム。
【請求項2】
前記複数の表面のうちの底面に結合されたベースプレートであって、前記ロードポートの実質的に水平方向の部分と接続するためのベースプレートをさらに備え、
前記自動教示ピンが、前記ベースプレートに固定されており、前記底面を貫通して前記内部空間内へと延在する、請求項1に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項3】
前記ベースプレートが、前記ロードポートの前記実質的に水平方向の部分の運動学的ピンと係合するための複数のレセプタクルを含み、前記自動教示ピンの前記固定位置は、前記複数のレセプタクルに対して相対的である、請求項2に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項4】
前記自動教示ピンが、
前記自動教示ピンを前記ベースプレートに固定するクランプと、
前記クランプと前記ベースプレートの間に固定されるシール部と、
を含む、請求項2に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項5】
前記自動教示ピンが、
円筒状の側壁を含む第1の部分であって、
前記ロボットアームが前記第1の部分を使用して前記自動教示エンクロージャシステム内の前記固定位置を特定する、第1の部分
をさらに含む、請求項2に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項6】
前記自動教示ピンが、
平面的な側壁を含んでおり、前記第1の部分と前記ベースプレートとの間に配置された第2の部分であって、ロボットアーム誤差の較正を可能とするよう構成された第2の部分
をさらに含む、請求項5に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項7】
前記自動教示エンクロージャシステムが、
前記複数の表面のうちの少なくとも1つに結合されており、前記自動教示エンクロージャシステムの移送を可能とするよう構成されたハンドル又はオーバヘッド移送(OHT:overhead transport)フランジの少なくとも一方と、
前記複数の表面のうちの少なくとも1つに結合された1つ以上のパージアダプタであって、
前記ロードポートにドッキングされたことに応じて、前記フロントインタフェースが前記ロードポートに密着し、前記自動教示エンクロージャシステムの前記内部空間は、前記自動教示エンクロージャシステムが開けられる前に前記1つ以上のパージアダプタを介してパージされるよう構成される、1つ以上のパージアダプタと、
を含む、請求項1に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項8】
前記ロボットアームのエンドエフェクタが、前記内部空間に入って前記自動教示ピンを走査し、前記ロボットアームの前記自動教示動作を実行する、請求項1に記載の自動教示エンクロージャシステム。
【請求項9】
方法であって、
自動教示エンクロージャシステムの内部空間と、ウエハ処理システムのファクトリインタフェースの内部と、を含む密閉された環境を確立するために、前記自動教示エンクロージャシステムのフロントインタフェースを、前記ファクトリインタフェースのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続することと、
前記密閉された環境を維持しながら、前記ファクトリインタフェースのロボットアームによって、前記自動教示エンクロージャシステムの前記内部空間内に配置された自動教示ピンを走査することと、
前記走査の結果に基づいて、前記自動教示エンクロージャシステムに関連付けられた固定位置を決定することであって、物品が、前記固定位置に基づいてロボットアームによって転送される、固定位置を決定することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記自動教示エンクロージャシステムの、少なくとも部分的に前記内部空間を包囲する複数の表面のうちの少なくとも1つに結合された1つ以上のパージアダプタを介して、前記自動教示エンクロージャシステムをパージすることと、
続いて前記自動教示エンクロージャシステムを開けて、前記密閉された環境を確立することと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ロボットアームによって、前記自動教示エンクロージャシステムの前記内部空間内の自動教示ピンより上方の複数の支持構造に載置された較正基板の較正ピンを、前記較正基板の第1の位置を決定するために走査することと、
前記ロボットアームによって、前記複数の支持構造から前記較正基板を取り除くことと、
前記較正基板を第1の位置に配置するよう、前記ロボットアームに指示することと、
前記較正基板の第2の位置を決定するために、前記ロボットアームによって、前記較正基板の前記較正ピンを再び走査することと、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の差に基づいて、ロボットアーム誤差を決定することと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記固定位置を決定することが、前記ロボットアーム誤差にさらに基づいている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ロボットアームに物品を転送させることが、前記ロボットアーム誤差にさらに基づいている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記較正基板の第1の幅に対応する第1の向きにある前記較正基板の下に、前記ロボットアームを位置決めすることと、
前記第1の向きにある前記較正基板を固定するために、前記ロボットアームのプランジャを作動させることと、
前記第1の向きにある前記較正基板を固定する際に、第1の誤差が発生するかどうかを判定することと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記較正基板の、前記第1の幅とは異なる第2の幅に対応する第2の向きにある前記較正基板の下に、前記ロボットアームを位置決めすることと、
前記第2の向きにある前記較正基板を固定するために、前記プランジャを作動させることと、
前記第2の向きにある前記較正基板を固定する際に、第2の誤差が発生するかどうかを判定することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エンクロージャシステムであって、
前記エンクロージャシステムの内部空間を少なくとも部分的に包囲する複数の表面と、
前記内部空間内に配置された複数の支持構造と、
前記内部空間内の前記複数の支持構造に載置された較正基板であって、較正ピンを含む較正基板と、
前記複数の表面のうちの1つ以上に結合されたフロントインタフェースであって、前記エンクロージャシステムをウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続するよう構成されたフロントインタフェースと、
を備え、
前記較正基板によって、前記ウエハ処理システムのロボットアームのロボットアーム誤差を自動的に決定するという前記ロボットアームの較正動作が可能となる、エンクロージャシステム。
【請求項17】
前記複数の表面のうちの前記1つ以上と接続し、前記エンクロージャシステムの移送中に前記較正基板の移動を防止するドアをさらに備える、請求項16に記載のエンクロージャシステム。
【請求項18】
前記較正ピンより下方の前記内部空間内に少なくとも部分的に配置された自動教示ピンであって、前記自動教示エンクロージャシステム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャであり、前記自動教示ピンによって、前記ロボットアームの自動教示動作が可能となり、前記自動教示動作は、前記自動教示エンクロージャシステム内の前記固定位置を前記ロボットアームに自動的に教示する動作である、自動教示ピン
をさらに含む、請求項16に記載のエンクロージャシステム。
【請求項19】
前記較正基板を支持するための、前記自動教示ピンに載置されたカラーをさらに含む、請求項18に記載のエンクロージャシステム。
【請求項20】
前記較正基板によって、前記較正基板を固定する際に第1の誤差が発生するかどうかを判定するという前記ロボットアームの診断動作が可能となる、請求項16に記載のエンクロージャシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、例えばウエハ処理システムで使用されるようなエンクロージャシステムに関し、特に、自動教示動作を可能とするよう構成されたエンクロージャシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理及び他の電子部品の処理では、ロボットアームを使用してウエハ等の物体を、処理チャンバ間で、貯蔵エリア(例えば、前方開口統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)から処理チャンバへ、処理チャンバから貯蔵エリアへ、といったように移送するプラットフォームがしばしば使用されている。ウエハ処理システムといった処理システムは、ウエハを処理するための1つ以上の処理チャンバを有する。ガスが、処理チャンバ内のウエハをエッチングするために使用されうる(例えば、エッチングチャンバ内の定位置でウエハを静電的に固定しながら、エッチングすることができる)。ロボットアームが、特定の位置から物体を持ち上げて、その物体を特定の位置に移送する。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本開示の幾つかの態様の基本的な理解をうながすための、本開示の簡略化された概要である。本概要は、本開示の詳細な概説ではない。本開示の主要な又は重要な要素を確認することも、本開示の特定の実施形態の範囲又は特許請求の範囲を記述することも意図されていない。その唯一の目的は、以下に提示されるより詳細な記載の前置きとして、本開示の幾つかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0004】
本開示の一態様において、自動教示エンクロージャシステムが、自動教示エンクロージャシステムの内部空間を少なくとも部分的に包囲する複数の表面を含む。自動教示エンクロージャシステムは、内部空間内に少なくとも部分的に配置された自動教示ピンをさらに含む。自動教示ピンは、自動教示エンクロージャシステム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャである。自動教示エンクロージャシステムは、複数の表面のうちの1つ以上に結合されたフロントインタフェースであって、自動教示エンクロージャシステムをウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続するためのフロントインタフェースを含む。自動教示ピンによって、ウエハ処理システムのロボットアームの自動教示動作が可能となる。自動教示動作は、自動教示エンクロージャシステム内の固定位置を、ウエハ処理システムのロボットアームに自動的に教示する動作である。
【0005】
本開示の他の態様において、本方法は、自動教示エンクロージャシステムの内部空間と、ウエハ処理システムのファクトリインタフェースの内部と、を含む密閉された環境を確立するために、自動教示エンクロージャシステムのフロントインタフェースを、ファクトリインタフェースのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続することを含む。本方法は、密閉された環境を維持しながら、ファクトリインタフェースのロボットアームによって、自動教示エンクロージャシステムの内部空間内に配置された自動教示ピンを走査することをさらに含む。本方法は、走査の結果に基づいて、自動教示エンクロージャシステムと関連付けられた固定位置を決定することをさらに含む。物品が、固定位置に基づいてロボットアームによって転送される。
【0006】
本開示の他の態様において、エンクロージャシステムが、エンクロージャシステムの内部空間を少なくとも部分的に包囲する複数の表面を含む。エンクロージャシステムは、内部空間内に配置された複数の支持構造をさらに含む。エンクロージャシステムは、内部空間内の複数の支持構造に載置された較正基板をさらに含む。較正基板は、較正ピンを含む。エンクロージャシステムは、複数の表面のうちの1つ以上に結合されたフロントインタフェースをさらに含む。フロントインタフェースは、エンクロージャシステムを、ウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続するよう構成される。較正基板によって、ウエハ処理システムのロボットアームのロボットアーム誤差を自動的に決定するというロボットアームの較正動作が可能となる。
【0007】
本開示は、添付の図面において非限定的な例として示されており、図では、同様の参照符号が類似した要素を示す。本開示における「或る(an)」又は「一(one)」実施形態に対する様々な言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものはなく、このような言及が、少なくとも1つを意味することに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】特定の実施形態に係る処理システムを示す。
図2A】特定の実施形態に係る自動教示エンクロージャシステムの正面図を示す。
図2B】特定の実施形態に係る自動教示エンクロージャシステムの分解斜視図を示す。
図2C】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステム内に配置された較正基板の斜視図を示す。
図3A】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムの自動教示ピンの正面図を示す。
図3B】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムの自動教示ピンの上面図を示す。
図4A】特定の実施形態に係るロボットアームの上面図を示す。
図4B】特定の実施形態に係るロボットアームの上面図を示す。
図4C】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して較正動作を実行する方法を示す。
図5A】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を実行する方法を示す。
図5B】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して較正動作を実行する方法を示す。
図5C】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して自動教示動作を実行する方法を示す。
図5D】特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して診断動作を実行する方法を示す。
図6】特定の実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される実施形態は、自動教示エンクロージャシステムに関する。ロボットアーム(例えば、大気用ロボット、ファクトリインタフェースのロボットなど)は、ウエハ処理システムのファクトリインタフェース内に配置されており、ウエハ処理システム内でウエハを移動させる。エンクロージャシステム(例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod、前方開口型統一ポッド)又は他の基板エンクロージャシステム)が、ウエハといった物体を移送するために使用される。エンクロージャシステムは、移送中に密閉された環境を提供する。エンクロージャシステムがウエハ処理システムと接続し(例えば、ウエハ処理システムにドッキングする、ウエハ処理システムに密着する等)、その結果、エンクロージャシステムの内部空間と、ファクトリインタフェースの内部空間と、を含む密閉された環境が得られる。ロボットアームが、稼働中にエンクロージャシステムから物体を取り出し及び/又はエンクロージャシステムに物体を挿入し、エンクロージャシステムは、エンクロージャシステムのウエハの処理が完了すると、閉じられて、ウエハ処理システムから取り外される(例えば、ドアで密閉されて切り離される)。ロボットアームは、エンクロージャシステムからの特定の位置からウエハを持ち上げ、エンクロージャシステム内の特定の位置にウエハを配置する。
【0010】
誤差を含むロボットアームは、ウエハ、エンクロージャシステム、及び/又はロボットアームに対する損傷を引き起こす。ロボットアーム誤差は、教示、較正、及び/又は構成要素の診断に関連する。教示とは、ロボットアームにエンクロージャシステムの位置(例えば、基準点)を教示することを指している。例えば、基準点は、エンクロージャシステムの中心でありうる。較正とは、ロボットアームの動きにおける誤差(例えば、ジョイントの運動学的誤差、ジョイントのヒステリシス、ジョイントのバックラッシュ)を決定することと、決定された誤差を補償するためにロボットアームの設定を調整することと、を指している。診断とは、ロボットアームの構成要素が誤動作しているかどうかを判定することを指している。例えば、ロボットアームのエンドエフェクタは、平面的な上面と、平面的な上面から上方に延びる突起(例えば、ファング(fang))と、平面的な上面の上に配置されたプランジャと、を有する。エンドエフェクタは、プランジャを作動させて、作動されたプランジャと遠位端の突起との間に基板を固定することによって、平面的な上面上に配置された基板を把持するよう構成されている。ロボットアームのプランジャが誤作動している(例えば、基板を固定するのに十分なほど遠くまでプランジャが伸びない、プランジャが十分に速く作動しないなど)と判定するために、診断が行われうる。
【0011】
エンクロージャシステムの位置(例えば、エンクロージャシステムの中心位置)が、ロボットアームに教示されていない場合には、ロボットアームは、誤った位置からウエハを持ち上げること及び/又は誤った位置にウエハを置くことを試みることになる。誤った位置からウエハを持ち上げること及び/又は誤った位置にウエハを配置することによって、ウエハ、エンクロージャシステム、及び/又はロボットアームに対する損傷が引き起こされる。さらに、ロボットアームが、ウエハを正しい位置で持ち上げて正しい位置で配置するよう指示されているとしても、ロボットアームが較正されていない場合には、実際にその正しい位置で持ち上げ配置することが実現されないことがしばしばある。ロボットアームが較正されていない場合、較正されていないことに起因するロボットアームの動きの誤差によって、ロボットアームは、誤った位置からウエハを持ち上げ及び/又は誤った位置にウエハを配置するようになり、これにより、ウエハ、エンクロージャシステム、及び/又はロボットアームに対する損傷が引き起こされる。さらに、エンクロージャシステムの中心又はゼロ位置がロボットアームに教示されており、かつロボットアームが較正されていたとしても、ロボットアームは誤動作する可能性があり、やはりウエハ、エンクロージャシステム、及び/又はロボットアームに対する損傷が生じうる。これに対応して、幾つかの実施形態において、ロボットアームが誤動作しているかどうかを判定するため及び/又はロボットアームがどのように誤動作しているかを判定するために、診断が実施される。エンクロージャシステムの正しい位置がロボットアームに教示されていないこと、ロボットアームの動きが較正されていないこと、及び/又はロボットアームの誤作動している部品が正しく診断されていないことから生じる誤差によって、さらに、ウエハが不適切に処理されることになりうる。
【0012】
従来では、ロボットアームに位置を教示することと、ロボットアームの動きを較正すること、及びロボットアームの誤動作している部品を診断すること(例えば、ロボットアームの誤差、閾値速度より下がったロボットアームの速度を決定すること)は、手動のプロセスである。手動のプロセスのために、技術者は、ウエハ処理システムを開け(結果的に、ウエハ処理システムのファクトリインタフェース内の密閉された環境が大気に曝される)、ロボットアームを手動で操作し(ロボットアームに汚染物質を導入する可能性がある)、教示、較正、及び診断を手動で行う。開けられた後に、ウエハ処理システムでは長い再適格性評価プロセスが行われ、その間、ウエハ処理システムは、ウエハを処理するために使用されない。再適格性評価プロセスは、ラインの歩留まり、スケジューリング、品質、ユーザ時間、使用されるエネルギーなどに影響を与える。
【0013】
本明細書で開示される装置、システム、及び方法は、自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を可能とする自動教示エンクロージャシステム(例えば、FOUP)を提供する。一実施形態において、自動教示エンクロージャシステムは、自動教示エンクロージャシステムの内部空間を少なくとも部分的に包囲する表面(例えば、上面、側面、底面、背面など)を含む。自動教示ピンが、内部空間内に少なくとも部分的に配置されている。自動教示ピンは、自動教示エンクロージャシステム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャ(例えば、ロボットアームによって走査することが可能な円筒状のフィーチャ)である。表面(例えば、側面、上面、底面など)のうちの1つ以上に結合されたフロントインタフェース(例えば、ドアフレーム)が、自動教示エンクロージャシステムを、ウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続する(例えば、自動教示エンクロージャシステムを密閉する)。自動教示エンクロージャシステムは、自動教示エンクロージャシステムの表面(例えば、壁)のうちの底面(例えば、底壁)に固定されたベースプレートを含む。自動教示ピンはベースプレートに固定されており、底面を貫通して内部空間内へと延在している。ベースプレートが、自動教示エンクロージャシステムを、ロードポートの実質的に水平方向の部分と接続する。この実質的に水平方向の部分は、自動教示エンクロージャシステムを正確な位置(例えば、自動教示エンクロージャシステムがロードポートと接続する度に同じ位置)に配置するための運動学的装置(例えば、運動学的ピン、運動学的フランジなど)を含む。ロボットアームは自動教示ピンを走査して、自動教示動作を実行する。自動教示動作は、自動教示エンクロージャシステム、ロードポートの実質的に水平方向の部分、又は運動学的装置などのうちの1つ以上の固定位置(例えば、中心)を、(例えば、自動教示ピンの位置に基づいて)自動的に決定する動作である。ロボットアームは、決定された固定位置を使用して、ロードポートと接続する他のエンクロージャシステムから物体を取り出し及び/又は当該他のエンクロージャシステムに物体を挿入する。
【0014】
幾つかの実施形態において、較正基板が、自動教示エンクロージャシステムの内部空間内の支持構造に載置されている。較正基板は、実質的に水平であり、較正基板の上面に固定された較正ピンを含む。ロボットアームが、較正基板を使用して較正動作を実行する。ロボットアームは、較正基板の(例えば、較正ピンの)第1の位置を決定するために較正ピンを走査し、支持構造から較正基板を取り除き(例えば、自動教示エンクロージャシステムから較正基板を取り除き)、較正基板を支持構造上の第1の位置に配置するよう指示され、較正基板の第2の位置を決定するために較正ピンを走査し、第1の位置と第2の位置との間の差に基づいてロボットアーム誤差を決定する。
【0015】
一実施形態において、ロボットアームが、較正基板によって診断動作を実行するために使用される。較正基板は、第1の向きにある第1の幅、及び第2の向きにある第2の幅を有する。幾つかの例において、較正基板の周面がノッチを含む。ロボットアームが動かされて、第1の向きにある較正基板の下に配置され、ロボットアームのプランジャが、第1の向きにある較正基板を固定するために作動されて、第1の向きにある較正基板を固定する際に第1の誤差が発生するかどうかが判定される。同じプロセスが、第2の向きにおいて繰り返され、第2の向きにある較正基板を固定する際に第2の誤差が発生するかどうかが判定される。幾つかの実施形態において、第1の誤差又は第2の誤差は、較正基板に対して固定するのにプランジャが要する閾値量を上回る時間、ロボットアームと較正基板との間の距離に等しくないプランジャが伸びた距離、などのうちの1つ以上を含む。
【0016】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、従来の解決策に対して利点を有する。自動教示エンクロージャシステムは、ウエハ処理システムのロードポートと接続して、自動教示動作、自動較正動作、及び/又は自動構成要素診断動作のうちの1つ以上を可能とし(例えば、密閉された環境を維持しながら、上記動作の実行を可能とし)、その際に、ウエハ処理システムが開かれることはなく(例えば、ウエハ処理システムのファクトリインタフェースが開かれることはなく)、かつ、ウエハ処理システムの後続の再適格性評価プロセスが設けることもない。ロードポートは、前方開口型統一ポッド(FOUP)といった様々な種類のエンクロージャシステムを受け入れるよう構成される。ロードポートは、自動教示エンクロージャシステムのフロントインタフェースに密着して、ウエハ処理システム(ファクトリインタフェース)内での汚染を防止し、有害ガスがウエハ処理システム(ファクトリインタフェース)から出るのを防止し、及び/又はファクトリインタフェース内の不活性環境を維持する。自動教示エンクロージャシステムは、自動教示動作を可能とするための自動教示ピンを含む。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステムは、較正動作又は診断動作のうちの1つ以上を可能とするための較正基板を含む。自動教示エンクロージャシステムは、ロードポートに対する固定位置、ロボットアーム誤差、及び/又はロボットアームの問題を学習するために使用され、正確な位置からウエハを取り除き正確な位置にウエハを配置するようロボットアームを制御することを可能にする。そうすることで、自動教示エンクロージャシステムは、ウエハの誤差を低減し、ロボットアーム、エンクロージャシステム、及び/又はウエハ処理システムに対する損傷を低減する。自動教示エンクロージャシステムの使用は、従来の解決策よりも、ラインの歩留まり、スケジューリング、品質、ユーザ時間、使用されるエネルギーなどに与える影響が小さい。
【0017】
自動教示動作のために使用される自動教示エンクロージャシステムは、限定というより例示を目的としている。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステムが、較正動作、診断動作、又は自動教示動作のうちの1つ以上のために使用される。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステムは、自動教示動作のためには使用されない(例えば、自動教示動作は設けられず、較正及び/又は診断動作のために使用される)。
【0018】
図1は、特定の実施形態に係る処理システム100(例えば、ウエハ処理システム)を示している。処理システム100は、ファクトリインタフェース101及びロードポート128(例えば、ロードポート128A~128D)を含む。幾つかの実施形態において、ロードポート128A~128Dが、ファクトリインタフェース101に直接取り付けられている(例えば、ファクトリインタフェース101に対してシールする)。エンクロージャシステム130(例えば、カセット、FOUP、プロセスキットエンクロージャシステム、又は自動教示エンクロージャシステムなど)が、ロードポート128A~128Dに着脱可能に結合(例えば、ドッキング)するよう構成されている。図1を参照すると、エンクロージャシステム130Aがロードポート128Aに結合され、エンクロージャシステム130Bがロードポート128Bに結合され、エンクロージャシステム130Cがロードポート128Cに結合され、エンクロージャシステム130Dがロードポート128Dに結合されている。幾つかの実施形態において、1つ以上のエンクロージャシステム130が、ウエハ及び/又は他の基板を処理システム100に出し入れするためにロードポート128に結合される。エンクロージャシステム130のそれぞれが、対応するロードポート128に対してシールしうる。幾つかの実施形態において、第1のエンクロージャシステム130Aは、(例えば、ファクトリインタフェース101のロボットアームに教示し、当該ロボットアームを較正し及び/又は診断するために)ロードポート128Aにドッキングされている。このような動作が一旦実行されると、その後第1のエンクロージャシステム130Aはロードポート128Aから切り離され、次に、第2のエンクロージャシステム130(例えば、ウエハを含むFOUP)が、同じロードポート128Aにドッキングされる。幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130(例えば、エンクロージャシステム130A)が、自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を実行するための自動教示エンクロージャシステムである。幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130(例えば、エンクロージャシステム130B)が、プロセスキットリングといった物品110を処理システム100に出し入れするためのプロセスキットエンクロージャシステムである。
【0019】
幾つかの実施形態において、ロードポート128が、垂直方向の開口(又は実質的に垂直方向の開口)を形成するフロントインタフェースを含む。ロードポート128は、さらに、エンクロージャシステム130(例えば、カセット、自動教示エンクロージャシステム)を支持するための水平面を含む。各エンクロージャシステム130(例えば、ウエハのFOUP、自動教示エンクロージャシステム、プロセスキットエンクロージャシステム)が、垂直方向の開口を形成するフロントインタフェースを有する。エンクロージャシステム130のフロントインタフェースは、ロードポート128のフロントインタフェースに接続する(例えば、当該フロントインタフェースに密着する)よう寸法決定されている(例えば、エンクロージャシステム130の垂直方向の開口は、ロードポート128の垂直方向の開口とほぼ同じ大きさである)。エンクロージャシステム130は、ロードポート128の水平面に載置されており、エンクロージャシステム130の垂直方向の開口は、ロードポート128の垂直方向の開口と位置合わせされている。エンクロージャシステム130のフロントインタフェースは、ロードポート128のフロントインタフェースと相互接続する(例えば、ロードポート128に留められる、ロードポート128に固定される、ロードポート128に密着されられる)。エンクロージャシステム130の底部プレート(例えば、ベースプレート)が、ロードポート128の水平面と係合するフィーチャ(例えば、凹部又はレセプタクルといった、ロードポートの運動学的ピンフィーチャと係合するロードフィーチャ、ピンクリアランスのためのロードポートフィーチャ、及び/又は、エンクロージャシステムドッキングトレイラッチクランプフィーチャ)を有している。同じロードポート128が、様々な種類のエンクロージャシステム130(例えば、自動教示エンクロージャシステム、プロセスキットエンクロージャシステム、ウエハを含むカセットなど)のために使用される。
【0020】
幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130(例えば、自動教示エンクロージャシステム)が、自動教示動作を実行するための自動教示ピンを含む。幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130が、較正動作又は診断動作のうちの1つ以上を実行するための、(例えば、較正ピンを含む)較正基板を含む。これに対応して、エンクロージャシステム130は、自動教示ピンと較正基板の両方を含みうる。
【0021】
幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130B(例えば、プロセスキットエンクロージャシステム)が、1項目以上の物品110(例えば、プロセスキットリング、空のプロセスキットリングキャリア、プロセスキットリングキャリアに載置されたプロセスキットリング、配置検証ウエハなどのうちの1つ以上)を含む。幾つかの例において、エンクロージャシステム130Bが、(例えば、ロードポート128を介して)ファクトリインタフェース101に結合されており、使用済みプロセスキットリングを交換するために、処理システム100内へとプロセスキットリングキャリア上のプロセスキットリングを自動移送することが可能となる。
【0022】
幾つかの実施形態において、処理システム100が、第1の真空ポート103a、103bも含み、第1の真空ポート103a、103bが、ファクトリインタフェース101を対応する脱気チャンバ104a、104bに結合する。第2の真空ポート105a、105bが、対応する脱気チャンバ104a、104bに結合され、かつ脱気チャンバ104a、104bと移送チャンバ106との間に配置されており、移送チャンバ106へのウエハ及び物品110(例えば、プロセスキットリング)の移送を促進する。幾つかの実施形態において、処理システム100が、1つ以上の脱気チャンバ104及び対応する数の真空ポート103、105を含む及び/又は使用する(例えば、処理システム100は、単一の脱気チャンバ104、単一の第1の真空ポート103、及び単一の第2の真空ポート105を含む)。移送チャンバ106は、その周りに複数の処理チャンバ107(例えば、4つの処理チャンバ107、6つの処理チャンバ107など)が配置されており、当該複数のチャンバと結合されている。処理チャンバ107は、スリット弁等といった各ポート108を介して移送チャンバ106に結合されている。幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェース101には、より高い圧力が掛かっており(例えば、大気圧)、移送チャンバ106には、より低い圧力が掛かっている(例えば、真空)。各脱ガスチャンバ104(例えば、ロードロック、圧力チャンバ)は、ファクトリインタフェース101から脱ガスチャンバ104をシールするための第1のドア(例えば、第1の真空ポート103)と、移送チャンバ106から脱ガスチャンバ104をシールするための第2のドア(例えば、第2の真空ポート105)と、を有する。第1のドアが開けられ第2のドアが閉じられて間に、ファクトリインタフェース101から脱気チャンバ104内へと物品が移送され、第1のドアが閉じられ、移送チャンバ106と一致するように脱気チャンバ104内の圧力が下げられ、第2のドアが開けられ、物品が脱気チャンバ104から移送される。LCF(local center finding)装置が、移送チャンバ106内の物品を(例えば、処理チャンバ107に入る前、処理チャンバ107を出た後に)位置合わせするために使用される。
【0023】
幾つかの実施形態において、処理チャンバ107が、エッチングチャンバ、堆積チャンバ(原子層堆積、化学気相堆積、物理的気相堆積、又はこれらのプラズマ強化バージョンを含む)、又はアニールチャンバ等のうちの1つ以上を含む。
【0024】
ファクトリインタフェース101は、ファクトリインタフェースのロボット111を含む。ファクトリインタフェースのロボット111は、SCARA(selective compliance assembly robot arm)ロボットといった、ロボットアームを含む。SCARAロボットの例として、2リンクSCARAロボット、3リンクSCARAロボット、4リンクSCARAロボットなどが挙げられる。ファクトリインタフェースのロボット111は、ロボットアームの末端のエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、ウエハといった特定の物体を持ち上げて取り扱うよう構成されている。代替的又は追加的に、エンドエフェクタは、較正基板及びプロセスキットリング(エッジリング)といった物体を取り扱うよう構成されている。エンドエフェクタはまた、物体(例えば、自動教示ピン、較正ピンなど)を走査するよう構成されており、これについては、以下で詳細に記載する(例えば、図4A図4C)。ロボットアームは、様々な向きに様々な位置へとエンドエフェクタを動かすために動かされるよう構成された1つ以上のリンク又は部材(例えば、リスト部材、上腕部材、前腕部材など)を有する。
【0025】
ファクトリインタフェースのロボット111は、エンクロージャシステム130(例えば、カセット、FOUP)と、脱気チャンバ104a、104b(又はロードポート)と、の間で物体を移送するよう構成されている。従来のシステムでは、(例えば、ファクトリインタフェースのロボットの)ロボットアームの誤作動を教示、較正、及び/又は診断するために、オペレータが処理システム100(例えば、ファクトリインタフェース101)を開ける(例えば、それを分解する、その密閉を解く、それを汚染する)ことと関連しているが、処理システム100は、オペレータが処理システム100を開けることなく(例えば、それを分解することなく、その密閉の解くことなく、それを汚染することなく)、自動教示、較正、及び/又は診断を促進にするよう構成されている。これに対応して、実施形態では、エンクロージャシステム130の内部空間及びファクトリインタフェース101の内部空間を含む密閉された環境が、自動教示動作、較正動作及び/又は診断動作の間維持されうる。
【0026】
実施形態において、ファクトリインタフェースのロボット111には、エンクロージャシステム130(例えば、自動教示エンクロージャシステムの自動教示ピン)を使用して、ロードポート128に対する固定位置が教示される。一実施形態における固定位置は、特定のロードポート128に配置されたエンクロージャシステム130A(例えば、自動教示エンクロージャシステム)の中心位置に対応しており、この中心位置はまた、実施形態では、特定のロードポート128に配置されたエンクロージャシステム130B(例えば、基板のカセット)の中心位置にも対応している。代替的に、固定位置は、エンクロージャシステム130の前又は後ろといった、エンクロージャシステム130内の他の固定位置に対応してよい。ファクトリインタフェースのロボット111は、幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130(例えば、自動教示エンクロージャシステムの自動教示ピン及び/又は較正基板)を使用して較正される。ファクトリインタフェースのロボット111は、幾つかの実施形態において、エンクロージャシステム130(例えば、自動教示エンクロージャシステムの較正基板)を使用して診断される。
【0027】
移送チャンバ106は、移送チャンバのロボット112を含む。移送チャンバのロボット112はロボットアームを含み、ロボットアームは、当該ロボットアームの末端にエンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、ウエハといった特定の物体を取り扱うよう構成されている。幾つかの実施形態において、移送チャンバのロボット112はSCARAロボットであるが、幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェースのロボット111よりもリンクが少なくてよく及び/又は当該ロボット111よりも自由度が低くてよい。
【0028】
コントローラ109が、処理システム100の様々な観点を制御する。コントローラ109は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラ等といった計算装置であり及び/又はこれを含む。コントローラ109は、1つ以上の処理装置を含み、この1つ以上の処理装置は、幾つかの実施形態において、マイクロプロセッサ、又は中央処理ユニットといった汎用処理装置である。より詳細には、幾つかの実施形態において、プロセッサ装置は、複合命令セット演算(CISC:complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC:reduced instruction set computing)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW:very long instruction word)マイクロプロセッサ、又は、他の命令セットを実装するプロセッサ、若しくは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサである。幾つかの実施形態において、プロセッサ装置は、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、又はネットワークプロセッサ等といった、1つ以上の特殊用途処理装置である。幾つかの実施形態において、コントローラ109は、データ記憶装置(例えば、1つ以上のディスクドライブ及び/又はソリッドステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインタフェース、及び/又は他の構成要素を含む。幾つかの実施形態において、コントローラ109が、本明細書に記載の方法又はプロセスのうちの任意の1つ以上を実施するための命令を実行する。命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されており、コンピュータ可読記憶媒体は、(命令が実行される間には)メインメモリ、スタティックメモリ、二次ストレージ、及び/又は処理装置のうちの1つ以上を含む。コントローラ109は、幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェースのロボット111及びウエハ移送チャンバのロボット112から信号を受信して、ファクトリインタフェースのロボット111及びウエハ移送チャンバのロボット112に信号を送る。
【0029】
図1は、処理チャンバ107内への物品110(例えば、プロセスキットリングキャリアに結合されたプロセスキットリング)の移送を概略的に示している。本開示の一態様によれば、物品110が、ファクトリインタフェース101内に配置されたファクトリインタフェースのロボット111を介して、プロセスキットエンクロージャシステム130Bから取り出される。ファクトリインタフェースのロボット111は、第1の真空ポート103a、103bのうちの1つを介して、それぞれの脱ガスチャンバ104a、104b内へと物品110を移送する。移送チャンバ106内に位置する移送チャンバのロボット112が、第2の真空ポート105a又は105bを介して、脱気チャンバ104a、104bのうちの1つから物品110を取り出す。移送チャンバのロボット112が、物品110を移送チャンバ106内へと移動させ、そこで、物品110は、対応するポート108を介して処理チャンバ107へと移送される。明確にするために図1には示されていないが、物品110の移送は、プロセスキットリングキャリアに載置されたプロセスキットリングの移送、空のプロセスキットリングキャリアの移送、配置検証ウエハの移送などを含む。
【0030】
図1は、物品110の転送の一例を示すが、他の例も考えられる。幾つかの例において、プロセスキットエンクロージャシステム130Bが、(例えば、移送チャンバ106に取り付けられたロードポートを介して)移送チャンバ106に結合されることが企図される。移送チャンバ106からは、物品110が、移送チャンバのロボット112によって処理チャンバ107内へとロードされる。さらに、幾つかの実施形態において、物品110が、基板支持ペデスタル(SSP:substrate support pedestal)にロードされる。幾つかの実施形態において、追加のSSPが、図示されるSSPとは反対側に、ファクトリインタフェース101と通信するよう配置される。処理された物品110(例えば、使用済みプロセスキットリング)が、本明細書に記載の任意のやり方と逆方向に、処理システム100から取り除かれる。複数のエンクロージャシステム130B、又はエンクロージャシステム130BとSSPとの組み合わせを利用するときには、幾つかの実施形態において、1のSSP又はエンクロージャシステム130Bが、処理されていない物品110(例えば、新しいプロセスキットリング)のために使用され、他のSSP又はエンクロージャシステム130Bが、処理された物品110(例えば、使用済みプロセスキットリング)を受け取るために使用される。エンクロージャシステム130Aは、ロボットアームを介した物品110の移送の前に、ロボットアーム(例えば、ファクトリインタフェースのロボット111、移送チャンバのロボット112など)の自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を実行するために使用される。自動教示、較正、又は診断動作のうちの1つ以上によって、(例えば、エンクロージャシステム130Aがドッキングしたのと同じロードポート128にエンクロージャシステム130Bがドッキングすると、)ロボットアームが、エンクロージャシステム130B内の特定の位置から物体を正確に取り出し、エンクロージャシステム130B内の特定の位置に物体を正確に配置することが可能となりうる。
【0031】
処理システム100は、ファクトリインタフェース101(例えば、EFEM(equipment front end module))といったチャンバと、ファクトリインタフェース101に隣接する隣接チャンバ(例えば、ロードポート128、エンクロージャシステム130、SSP、又はロードロックといった脱気チャンバ104等)と、を含む。1つ以上のチャンバがシールされている(例えば、チャンバのそれぞれがシールされている)。隣接するチャンバは、ファクトリインタフェース101に密着している。幾つかの実施形態において、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、又はキセノンのうちの1つ以上)が、1つ以上のチャンバ(例えば、ファクトリインタフェース101及び/又は隣接するチャンバ)に供給されて、1つ以上の不活性環境をもたらす。幾つかの例において、ファクトリインタフェース101が、ファクトリインタフェース101内の不活性環境(例えば、不活性EFEMミニ環境)を維持する不活性EFEMであり、これにより、ユーザはファクトリインタフェース101に入る必要がない(例えば、処理システム100は、ファクトリインタフェース101内の手動アクセスのためには構成されていない)。
【0032】
幾つかの実施形態において、ガス流(例えば、不活性ガス、窒素)が、処理システム100の1つ以上のチャンバ(例えば、ファクトリインタフェース101)に供給される。幾つかの実施形態において、ガス流が、1つ以上のチャンバを通した漏れよりも大きく、上記1つ以上のチャンバ内の陽圧を維持する。幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェース101内の不活性ガスが再循環させられる。幾つかの実施形態において、不活性ガスの一部が排出される。幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェース101内への、再循環されないガスのガス流が、排出されるガス流及びガス漏れよりも大きく、ファクトリインタフェース101内の不活性ガスの陽圧を維持する。幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェース101が、1つ以上の弁及び/又はポンプに結合されており、ファクトリインタフェース101への及びファクトリインタフェース101からのガス流を提供する。(例えば、コントローラ109の)処理装置が、ファクトリインタフェース101内への及びファクトリインタフェースからのガス流を制御する。幾つかの実施形態において、処理装置が、1つ以上のセンサ(例えば、酸素センサ、湿度センサ、運動センサ、ドア作動センサ、温度センサ、圧力センサなど)からセンサデータを受信し、センサデータに基づいて、ファクトリインタフェース101に流入し及び/又はそこから流出する不活性ガスの流量を決定する。
【0033】
エンクロージャシステム130は、ファクトリインタフェース101内及び隣接するチャンバ内の密閉された環境を開放することなく、(例えば、ファクトリインタフェースのロボットの)ロボットアームに教示し、当該ロボットアームを較正し及び/又は診断することを可能にする。ロボットアームへの教示、較正、及び診断については、以下でより詳細に説明する。エンクロージャシステム130は、ロードポート128にドッキングされたことに応じてロードポート128に密着する。エンクロージャシステム130がパージポートアクセスを提供し、これにより、エンクロージャシステム130を開ける前に、エンクロージャシステム130の内部をパージすることが可能であり、ファクトリインタフェース101内の不活性環境が乱れることが最小に抑えられる。
【0034】
図2Aは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステム200(例えば、図1のエンクロージャシステム130)の正面図を示している。自動教示エンクロージャシステム200は、自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を可能とするよう構成されている。
【0035】
自動教示エンクロージャシステム200は、内部空間202を少なくとも部分的に包囲する(例えば、キャビティ又はチャンバを形成する)表面(例えば、壁、側壁、実質的に平面的な構造など)を含む。幾つかの実施形態において、内部空間202が、ミニ環境(例えば、密閉された環境)である。幾つかの実施形態において、内部空間202が、実質的に粒子が無い(例えば、実質的に汚染されていない)状態に保たれる。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、(例えば上面に、)内部空間202内の粒子を無くすファンを含む。幾つかの実施形態において、内部空間には、水分、酸素、又は粒子(例えば、塵)などのうちの1つ以上が実質的に無い(又は完全に無い)。
【0036】
表面は、側壁表面210A~210B(例えば、側壁)、底面212(例えば、底壁)、上面214(例えば、上壁)、及び背面216(例えば、後壁)を含む。幾つかの実施形態において、上記の表面は、クランプ可能なタブを形成する。1つ以上の上記表面(例えば、側壁表面210A~210B、底面212、上面214など)が、フロントインタフェースを形成する。フロントインタフェースは、自動教示エンクロージャシステム200の移送のためのドアと接続する(例えば、ドアに密着する)よう構成されている。フロントインタフェースは、ウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続する(例えば、当該垂直方向部分に密着する)よう構成されている。フロントインタフェースがドア又はロードポートに密着したことに応じて、自動教示エンクロージャシステム200は、密閉された環境を形成する(例えば、ガス及び/又は粒子が、自動教示エンクロージャシステム200から出たり、ウエハ処理システムの外の周囲環境から自動教示エンクロージャシステム200に入ったりしない)。
【0037】
幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、底面212に結合されたベースプレート220(例えば、アダプタプレート)を含む。ベースプレート220は、ロードポートの水平方向部分と接続するよう構成されている。ベースプレート220は、ロードポートの水平方向部分の運動学的装置(例えば、運動学的ピン、精密に位置決めされたピン)を受け入れるためのフィーチャ(例えば、凹部、レセプタクル、運動学的界面)を有する。幾つかの実施形態において、ベースプレート220は、自動教示エンクロージャシステム200がロードポートと接続する前に底面212に固定される。幾つかの実施形態において、ベースプレート220がロードポートに固定され、次いで、底面212がベースプレート220に固定される。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200は、底面212における開口であって、自動教示ピン230がそれを貫通する開口をシールするためのシール部(例えば、押しつぶされうるシール部、ガスケット)を有している。
【0038】
幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200の移送(例えば、自動化された移送、手動での移送など)のために、オーバヘッド移送(overhead transport)フランジ222又は少なくとも1つのハンドル224のうちの1つ以上が、自動教示エンクロージャシステム200の1つ以上の表面に結合される。幾つかの実施形態において、OHTフランジ222が上面214に結合されている。幾つかの実施形態において、第1のハンドル224Aが、第1の側壁表面210A上に配置され、第2のハンドル224Bが、第2の側壁表面210B上に配置されている。
【0039】
幾つかの実施形態において、自動教示ピン230が、内部空間202内に少なくとも部分的に配置されている。幾つかの実施形態において、自動教示ピン230が、ベースプレート220に結合されており、自動教示ピンの少なくとも一部が、底面212の開口を貫通して内部空間202内へと延在している。自動教示ピン230によって、自動教示動作が可能となる(例えば、図5Cの方法540を参照)。幾つかの実施形態において、自動教示ピン230が、ベースプレート220の中心に配置されている。
【0040】
幾つかの実施形態において、較正基板240が、内部空間202内に配置されている。較正基板240は、平面的な物体(例えば、ウエハ)であり、エンドエフェクタがそれを把持して動かすことが可能である。較正基板240は、センサ較正(例えば、較正動作)を実行するために完全には固定されていない(例えば、完全には固定されていない動かせる較正基板240)。
【0041】
幾つかの実施形態において、較正ピン242が、較正基板240の上面に載置されている(例えば、当該上面に固定されている)。幾つかの実施形態において、較正基板240が、内部空間202内の1つ以上の支持構造244に(例えば、3~4個の支持構造に)載置されている。幾つかの実施形態において、較正基板240が、背面216の近傍に配置された第1の支持構造244A及び第2の支持構造244Bに載置されている。幾つかの実施形態において、較正基板240が、(例えば、支持構造244A~244Bに加えて)フロントインタフェースの近傍の支持構造244C~244Dに載置されている。幾つかの実施形態において、カラー246が、自動教示ピン230に載置され、較正基板240が、(例えば、支持構造244A~244Bに加えて)カラー246に載置されている。幾つかの実施形態において、支持構造244が、底面212に載置されている(例えば、底面212から較正基板240まで延在している)。幾つかの実施形態において、支持構造244が、側壁表面210A、側壁表面210B、又は背面216のうちの1つ以上に載置されている。較正基板240によって、較正動作(例えば、図5Bの方法520を参照)又は診断動作(例えば、図5Dの方法560を参照)のうちの1つ以上が可能となる。
【0042】
幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、単一の自動教示ピン230を含む(例えば、自動教示エンクロージャシステム200は、較正ピン242を含む又は含まない)。代替的に、自動教示システム200が、複数の自動教示ピン230を含む。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、単一の較正ピン242を含む(例えば、自動教示エンクロージャシステム200は、自動教示ピン230を含む又は含まない)。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、自動教示ピン230及び較正ピン242を含む。幾つかの実施形態において、自動教示ピン230及び較正ピン242が、単一のピンである(例えば、単一のピンが、自動教示と較正の両方のために使用されうる)。
【0043】
幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200は、ピン(例えば、自動教示ピン230及び/又は較正ピン242)を含み、ここで、ピンの少なくとも一部分の形状(例えば、台形)が、較正及び角度検出を提供するよう構成されている。幾つかの例において、ピンの台形部分が、較正と角度検出の両方を提供し、かつ、旋盤加工部品に加工するのが容易である。幾つかの実施形態において、精度を上げるために、台形部分の角が圧入ピンを介して配置される(例えば、4つの上記角が、単一の機械加工されたフィーチャの代わりに、圧入ピンでありうる)。
【0044】
幾つかの実施形態において、較正を提供するために、ピンの少なくとも一部分が、中央のピン(例えば、ピンの円筒部分)の周りで斜めになった又は非対称な形状(例えば、台形)を有している。較正のために、ピンの第1の部分(例えば、ピンの円筒部分)の対称性が、ピンの第2の部分(例えば、ピンの台形部分)の非対称性と比較される。ロボットアームが、z方向の運動を行って(例えば、上下に移動して)、比較のためにピンの第1の部分(例えば、円筒状)及び第2の部分(例えば、台形)を走査する。ロボットアームは、単一のジョイントの周りで回転運動を行って、比較のために第1の角度から及び第2の角度から、第2の部分(例えば、台形)を測定する。ロボットアームが運動することによって、同じ接近した領域についてのジョイント角度の比較が可能となり、その際、ロボットは他の物体を走査するためにジョイント姿勢を完全に変える必要がない。幾つかの実施形態において、角度検出のために、走査の角度に起因して別々に増加又は減少するオフセットフィーチャ(例えば、台形部分の辺又は端面)のセットが使用される。
【0045】
幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、2つ以上の自動教示ピン230及び/又は2つ以上の較正ピン242を有する。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が2つ以上のピンを含み、各ピンが、自動教示及び/又は較正のうちの1つ以上のために使用されうる。幾つかの実施形態において、1つ以上のピンが底面212から延在している。幾つかの実施形態において、1つ以上のピンが、自動教示エンクロージャシステム200の表面(例えば、側壁表面210A、側壁表面210B、上面214、又は背面216など)から、自動教示エンクロージャシステム200の内部空間内へと延在している。幾つかの実施形態において、1つ以上のピンが、自動教示エンクロージャシステム200の内部空間内の構造(例えば、較正構造240)から延在している。幾つかの実施形態において、第1のピンが、自動教示エンクロージャシステム200内の第1の構造(例えば、第1の較正構造240A、ロボットアームによって動かせる構造)から延在しており、第2のピンが、自動教示エンクロージャシステム200内の第2の構造(例えば、第2の較正構造240B、ロボットアームによって動かせる構造)から延在している。
【0046】
図2Bは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステム200の分解斜視図を示している。
【0047】
自動教示エンクロージャシステム200の表面(例えば、壁、側壁)は、側壁表面210A~210B、底面212、上面214、及び背面216を含む。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200がベースプレート220を含み、自動教示ピン230が、ベースプレート220に載置されている。底面212が、1つ以上の開口を形成する。ベースプレート220は底面212に固定されており、自動教示ピン230が、底面212の開口を貫通して自動教示エンクロージャシステム200の内部空間202内へと延在している。自動教示ピン230は、底面212の開口において、(例えば、密閉された環境を提供するための)シール部を提供する。
【0048】
幾つかの実施形態において、1つ以上のパージアダプタ250が、底面212に形成された開口に挿入されるよう構成されている。パージアダプタ250は、自動教示エンクロージャシステム200にガス(例えば、窒素(N2))を充填すること、自動教示エンクロージャシステムからガスを除去すること、又は自動教示エンクロージャシステム200にガスを流過させること、のうちの1つ以上のために使用される。パージアダプタ250のそれぞれが、底面212の対応する開口において、(例えば、密閉された環境を提供するための)シール部を提供する。幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、ロードポートにドッキングされたことに応じて、ロードポートに密着する。自動教示エンクロージャシステム200の内部空間は、自動教示エンクロージャシステム200が開けられる前に1つ以上のパージアダプタ250を介してパージされるよう構成される。
【0049】
自動教示エンクロージャシステム200の上記表面のうちの1つ以上が、フロントインタフェースを提供する。自動教示エンクロージャシステム200はドア252を含む。ドア252は、自動教示エンクロージャシステム200のフロントインタフェースに密着して、密閉された環境を提供する。移送中に較正基板が動くのを防止するために、ドア252が、較正基板と接続する(例えば、図2Bを参照)(例えば、較正基板を所定の位置に固定する、較正基板に対して押し付ける)。
【0050】
幾つかの実施形態において、自動教示エンクロージャシステム200が、自動教示エンクロージャシステム200の移送のためのハンドル224A~224B及び/又はOHTフランジ222を含む。
【0051】
図2Cは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステム200の斜視図を示している。
【0052】
幾つかの実施形態において、ベースプレート220が底面212に固定されており、自動教示ピン230が、底面212を貫通して自動教示エンクロージャシステムの内部空間202内へと延在している。パージアダプタ250が、底面212に配置されており、ベースプレート220を貫通して、(例えば、自動教示エンクロージャシステム200をパージする、自動教示エンクロージャシステム200内で真空を形成する、自動教示エンクロージャシステム200にガスなどを充填するなどのために)ガスライン又は真空ラインのうちの1つ以上と流体的に接続する。幾つかの実施形態において、ハンドル224及びOHTフランジ222が、自動教示エンクロージャシステム200の対応する表面に固定されている。幾つかの実施形態において、較正基板240が、自動教示エンクロージャシステム200の内部空間202内の1つ以上の支持構造244に載置されている。較正基板240は、当該較正基板240の上面に固定された較正ピン242を含む。較正基板240は、第1の向きの第1の幅と、第2の向きの第2の幅と、を含む。幾つかの実施形態において、較正基板240がノッチ又は凹部を有する。較正基板240の第1の幅は、較正基板240の周面の第1の位置から、周面の第2の位置までであり(例えば、第1の位置又は第2の位置のいずれもノッチ又は凹部を含まない)、較正基板240の第2の幅は、ノッチ又は凹部がある周面の第3の位置から周面の第4の位置までである。第3の位置が凹部又は内向きのノッチであることに応じて、第2の幅は第1の幅よりも短い。第1の幅及び第2の幅は、ロボットアーム上で診断動作を実行するため(例えば、エンドエフェクタが第1の幅及び第2の幅の閾値時間量の範囲内で較正基板240を把持できるかどうかを判定する等のため)に使用される。較正基板240及び支持構造244は、(例えば、ロボットアーム誤差を決定するために、)較正基板240がロボットアームによって第1の位置から持ち上げられて(例えば、ロボットアームのエンドエフェクタのファング及びプランジャによって把持されて)第1の位置とは異なる支持構造244上の第2の位置に配置されるのを可能とするよう寸法決定されている。較正ピン242は、(例えば、ロボットアーム誤差を決定するために、)ロボットアーム(例えば、エンドエフェクタ)が較正ピン242を走査して較正ピン242の位置を決定するのを可能とするよう寸法決定されて、位置付けられている。自動教示ピン230は、(例えば、自動教示エンクロージャシステム200及び/又はロードポートの中心位置を教示するために、)ロボットアーム(例えば、エンドエフェクタ)が自動教示ピン230を走査して自動教示ピン230の位置を決定するのを可能とするよう寸法決定されて、位置付けられている。
【0053】
図3A図3Bは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステム(例えば、図1の自動教示エンクロージャシステム130及び/又は図2A図2Cの200)の自動教示ピン300(例えば、図2A図2ACの自動教示ピン230)を示している。図3Aは、自動教示ピン300の正面図を示し、図3Bは、自動教示ピン300の上面図を示す。幾つかの実施形態において、較正ピン(例えば、図2A図2Bの較正ピン242)の1つ以上の部分は、自動教示ピン300の対応する部分と同様である。幾つかの例において、較正ピンが、円筒部分と台形部分とを有する。
【0054】
自動教示ピン300は、円筒部分302(例えば、円筒状の側壁を有する第1の部分)を含む。ロボットアームは、円筒部分302を使用して、自動教示エンクロージャシステム及び/又はロードポートの固定位置(例えば、x-y位置)を特定する自動教示動作を行う。
【0055】
自動教示ピン300は、台形部分304(例えば、平面的な側壁を含む第2の部分)を含む。ロボットアームは、ロボットアーム誤差の較正を可能にするために台形部分304を使用する。幾つかの実施形態において、台形部分304は、楕円又は多角形(例えば、台形、方形、矩形、三角形等)の周面を有しており、ロボットアームが、様々な角度から台形部分を走査して様々な長さ(例えば、深さ)を測定し、ロボットアームを較正することを可能にする。
【0056】
幾つかの実施形態において、自動教示ピン300が、ベースプレート320(例えば、図2A図2Cのベースプレート220)の突出部分324に固定されたベース306を含む。1つ以上のベース締め具(例えば、ボルト、ねじなど)が、ベース306をベースプレート320の突出部分324に結合している。
【0057】
自動教示エンクロージャシステムの底面は、自動教示ピン(例えば、円筒部分302、台形部分304、及びベース306)のための開口と、クランプファスナ330のための開口と、を含む。ベースプレート320は、ベースフランジ322と、突出部分324と、を含む。シール部326が、ベースフランジ322に載置されており、ベース306が、突出部分324に固定されている。ベースプレート320は、自動教示エンクロージャシステムの底面に固定されており、これにより、自動教示ピン300の少なくとも一部分が、底面の開口を貫通して、自動教示エンクロージャシステムの内部空間内へと延在する。幾つかの例において、円筒部分302、台形部分304、及び、ベース306の少なくとも一部分が、内部空間内へと延在する。幾つかの実施形態において、ベースフランジ322が、自動教示エンクロージャシステムの底面の傾斜(例えば、水平ではない傾斜)に合わせられている。底面は、ベースフランジ322に載置されたシール部326に載置されている。クランプ308が、ベース306を取り囲んで底面に載置されている。クランプ締め具330が、クランプ308、底面、及びシール部326を貫通してベースフランジ322に係合することによって、クランプ308をベースフランジに固定する。ベースフランジ322、シール部326、底面、及びクランプ308は、互いに実質的に平行であり、クランプ締め具330は、ベースフランジ322、シール部326、底面、及びクランプ308に対して実質的に垂直である。
【0058】
円筒部分302の上面は、第1のウエハ移送平面を意味する。台形部分304の上面は、代替的なウエハ移送平面を意味する。円筒部分302の上面の近傍の、円筒部分302の遠位端は、較正基板を支持するためのカラーを支持するよう構成されている。
【0059】
円筒部分302は、丸い周面を有し、ロボットアームが走査するための精密に管理された表面を有する。円筒部分302の直径は、プログラム可能なパラメータとして変化する。円筒部分302は、ロードポート(例えば、ロードポートの実質的に水平方向の部分)の運動学的装置(例えば、運動学的ピン)に対する、x-y中心(例えば、ロードポートの中心)を示している。円筒部分302は、自動教示動作のために使用される。
【0060】
台形部分304は、バックラッシュのための較正及び2つの追加のロボット直線性位置(例えば、10度及び-10度)を可能とし、合計6つの走査可能位置をもたらす。台形部分304は、ロボットアーム上の特定のジョイントのバックラッシュの較正のために使用される。様々な角度から近付かれた場合には、台形部分304は様々な走査深度を提供する。台形部分によって、個別ジョイントにおけるバックラッシュ(例えば、ジョイントにおける一般的な誤差)の分離が可能となる。
【0061】
図4Aは、特定の実施形態に係るロボットアーム400の上面図を示している。ロボットアーム400は、自動教示エンクロージャシステムを使用して、自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を実行するよう構成されている。ロボットアーム400は、エンドエフェクタ408と、リスト部材436と、ビームセンサ450と、光源452と、受光器454と、を含む。光伝送ファイバ456Aが、リスト部材436及びエンドエフェクタ408を通って配線されて、エンドエフェクタ408の第1の末端458Aで終端する。受光ファイバ456Bが、リスト部材436及びエンドエフェクタ408を通って配線されて、エンドエフェクタ408の第2の末端458Bで終端する。エンドエフェクタ408の第1の末端458Aと第2の末端458Bとは、間隙460に亘って離間しており、間隙460は、基板の端面、自動教示ピン、又は較正ピン等を検出することを含む特定の種類の処理のための開放領域を形成している。
【0062】
光伝送ファイバ456Aは、第1の末端458Aの近傍の第1の光路開口462Aで終端する。同様に、受光ファイバ456Bは、第2の末端458Bの近傍の第2の光路開口462Bで終端する。第1の光路開口462Aと第2の光路開口462Bとは互いに対向しており、物体(例えば、自動教示ピン、較正ピン、基板など)の端面の有無を検出するための光伝送路464(例えば、光線)を形成する。光伝送路464は、第1の末端458Aと第2の末端458Bとの間(例えば、2点間)に延びており、これにより、間隙460内での物体の検出が可能となる。
【0063】
ビームセンサ450は、光伝送ファイバ456Aと受光ファイバ456Bとの間の光伝送の度合いを検出する光伝送/受光モジュール466をさらに含む。光伝送/受光モジュール466は、物体が光伝送路464を遮断したことに応じて、第1光路開口462Aと第2光路開口462Bとの間に位置する物体の端面を感知する。光伝送/受光モジュール466によって生成された出力信号が、ロボットアーム400を通る導体を介してコントローラに供給される。
【0064】
ロボットアーム400の稼働中に、コントローラ(例えば、図1のコントローラ109)が、エンドエフェクタ408を特定の位置に移動させる信号をロボットアーム400に送信する。幾つかの例において、コントローラが、ウエハ処理システムのファクトリインタフェース内又は移送チャンバ内の位置といった特定の位置へと、ロボットアームの1つ以上の部分(例えば、上腕、前腕、リスト部材436)を移動させる信号を生成する。コントローラは、ロボットアーム400に対する固定位置に基づいて、エンドエフェクタ408を動かすための信号を生成する。例えば、ロボットアーム400が、自動教示動作(例えば、ロボットアーム400が固定位置の座標を決定する)、較正動作(例えば、ロボットアーム400がロボットアーム400のロボットアーム誤差を決定する)、及び/又は、診断動作(例えば、ロボットアーム400がロボットアーム400における誤差又は誤動作を決定する)を実行する。その後、コントローラは、(例えば、ロボットアームの誤差などに考慮して、)ロボットアーム400の1つ以上の部分(例えば、上腕、前腕、リスト部材436)を動かしてエンドエフェクタ408を固定位置に対して相対的な特定の位置へと移動させるための信号を生成する。
【0065】
幾つかの実施形態において、ロボットアーム400の機械的構造における1つ以上の誤差によって、エンドエフェクタ408を位置決めする際に誤差が生じる。例えば、(例えば、上腕、前腕、リスト部材436の間の)1つ以上のジョイントには誤差又は遊びがあり、このことは位置の誤差に寄与する。この位置の誤差によって、ロボットアーム400が実行する自動教示動作の精度が下がる。1つ以上のジョイントにおける誤差には、ジョイントの運動学的誤差、ジョイントのヒステリシス、及びジョイントのバックラッシュが含まれる。ジョイントの運動学的誤差(ジョイント誤差)は、指示されたようにジョイントが回転しないことの結果である。例えば、或るジョイントが特定の角度に回転するように指示されるが、そのジョイントは異なる角度に回転する。ジョイントのバックラッシュは、ジョイントが時計回り又は反時計回りに回転させられるときに発生し、再現可能な位置の差が生じる。ジョイントのヒステリシスは、ジョイントの時計回りの回転及び反時計回りの回転において観察されるヒステリシスに関連する。解析される他の誤差には、ロボットアームの1つ以上の部分(例えば、上腕、前腕、リスト部材436)の実際の長さに対するコントローラに格納されたそれらの長さが含まれる。
【0066】
自動教示の精度は、様々なロボット姿勢を利用して、固定位置に対してエンドエフェクタ408を繰り返し方向付けることによって改善される。ロボットの姿勢とは、ロボットアームの1つ以上の部分(例えば、上腕、前腕、リスト部材436)の位置を指している。ロボットアーム400は、ロボットアーム誤差(例えば、ジョイント誤差及び他の誤差)に起因して変わる固定位置の様々な座標を決定する。
【0067】
図4Bは、特定の実施形態に係るロボットアーム400の上面図を示している。ロボットアーム400は、自動教示エンクロージャシステムを使用して、自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を実行するよう構成されている。ロボットアーム400は、エンドエフェクタ408と、リスト部材436と、光源452に結合された第1光路開口462A(例えば、ファイバエミッタ)と、受光器454に結合された第2光路開口462B(例えば、ファイバレシーバ)と、を含む。光伝送路464(例えば、光線、ビームをトリガする経路)が、第1光路開口462Aと第2光路開口462Bとの間に配置されている。
【0068】
ロボットアーム400は、ロボットリスト中心410を有し、このロボットリスト中心410が、実際のウエハ中心412に対応する。ロボットアーム400の特徴的誤差414(例えば、ロボットアーム誤差)は、中心線と誤差線との間の距離又は角度である。中心線は、ロボットリスト中心410と実際のウエハ中心412との間にある。誤差線は、光伝送路464に対して(例えば、90度の角度416により)直交している。幾つかの実施形態において、ロボットアーム400が、較正動作を介して特徴的誤差414を決定する。
【0069】
図4Cは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して較正動作を実行する方法470を示している。特定の流れ又は順序で示されているが、特に規定されない限り、プロセスの順序は変更することが可能である。したがって、図示される実施形態は単に例として理解すべきであり、図示されるプロセスは、異なる順序で実施することができ、幾つかのプロセスが並行して実施されうる。さらに、様々な実施形態において、1つ以上のプロセスを省略することが可能である。したがって、全実施形態において全てのプロセスが必要とされるわけではない。
【0070】
図4Cの方法470を参照すると、ブロック472において、(例えば、自動教示エンクロージャシステムがドッキングされてロードポートに密着したのに応じて、)ロボットアーム400が、較正ピンを含む較正基板(例えば、ピン止めされたウエハ)を、自動教示エンクロージャシステム内の支持構造上の第1の位置(例えば、Tx0、Ty0)に配置する。幾つかの実施形態において、較正基板は、自動教示エンクロージャシステムがドッキングされる前に、第1の位置に配置される。
【0071】
ブロック474において、ロボットアーム400が、自動教示エンクロージャシステム内の較正ピンの第1の走査(例えば、自動教示走査)を実行する。ロボットアーム400は、較正ピンが第1の位置にあると判定する。走査を実行するために、ロボットアーム400は、リスト中心410の周りを左右に回転する。
【0072】
ブロック476において、ロボットアーム400は較正基板を持ち上げ、自動教示エンクロージャシステム内の支持構造上の第2の位置(例えば、Tx1、Ty1)に較正基板を移動させるよう指示される。幾つかの実施形態において、第2の位置は第1の位置と同じである。幾つかの実施形態において、第2の位置が第1の位置とは異なっている。
【0073】
ブロック478において、ロボットアーム400は、第2の走査(例えば、自動教示走査)を実行し、ブロック480において、較正ピンが自動教示エンクロージャシステム内の第3の位置(例えば、Tx2、Ty2)にあると判定する。走査を実行するために、ロボットアーム400は、リスト中心410の周りを左右に回転する。
【0074】
ロボットアーム400は、第1の位置、第2の位置、又は第3の位置のうちの2つ以上に基づいて、ロボットアーム誤差を決定する。一例において、ロボットアーム誤差は、第3の位置(例えば、実際の位置)と第2の位置(例えば、指示された位置)との間の差である。これに対応して、ロボットアームは、ロボットアーム誤差を使用して物体の実際の位置を決定する。
【0075】
幾つかの実施形態において、ロボットアームは、ロボットアームの各部材(例えば、リスト部材、上腕、前腕)について方法470を実行して、ロボットアームの部材ごとにロボットアーム誤差を決定する。幾つかの例において、ロボットアームは、他の部材を静止状態に維持しながら前腕の前腕中心を回転させることによって方法470を実行して、前腕に特有のロボットアーム誤差を決定する。
【0076】
図5A図5Dは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して、(例えば、密閉された環境を維持しながら)自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上を実行する方法を示している。自動教示動作、較正動作、又は診断動作のうちの1つ以上が、ユーザ入力に応じて(例えば、ファクトリインタフェースのボタンを押下することによって、)自動的に実行される。特定の流れ又は順序で示されているが、特に規定されない限り、プロセスの順序は変更することが可能である。したがって、図示される実施形態は単に例として理解すべきであり、図示されるプロセスは、異なる順序で実施することができ、幾つかのプロセスが並行して実施されうる。さらに、様々な実施形態において、1つ以上のプロセスを省略することが可能である。したがって、全実施形態において全てのプロセスが必要とされるわけではない。
【0077】
図5Aの方法500を参照すると、ブロック502において、自動教示エンクロージャシステムのフロントインタフェースが、ウエハ処理システムのロードポートの実質的に垂直方向の部分と接続する。フロントインタフェースは、ロードポートの実質的に垂直方向の部分に密着する。幾つかの例において、フロントインタフェースが、ロードポートの実質的に垂直方向の部分に固定され、シール部材(例えば、ガスケット)が、フロントインタフェースと、ロードポートの実質的に垂直方向の部分と、の間に配置される。
【0078】
ブロック504において、自動教示包囲のベースプレートが、ロードポートの実質的に水平方向の部分と接続する。ベースプレートは、ロードポートの実質的に水平方向の部分の運動学的装置(例えば、運動学的ピン)と接続するフィーチャ(例えば、凹部又はレセプタクル)を含む。ベースプレートのフィーチャ(例えば、円錐)が、ロードポートの運動学的フィーチャ(例えば、運動学的ピン)と接続して、ロードポートに対して相対的な特定の位置に自動教示エンクロージャシステムを配置する。ロードポートの運動学的フィーチャが、他のエンクロージャシステム(例えば、プロセスキットリングエンクロージャシステム)のフィーチャと接続して、ロードポートに対して相対的な、自動教示エンクロージャシステムと同じ特定の位置に他のエンクロージャシステムを配置する。
【0079】
ブロック506において、ロボットアームを使用して、自動教示動作(例えば、図5Cの方法540を参照)、較正動作(例えば、図5Bの方法520を参照)、又は診断動作(例えば、図5Dの方法560を参照)のうちの1つ以上を実行する。
【0080】
幾つかの実施形態において、自動教示動作を使用して、ロボットアームに固定位置(例えば、x-y平面におけるエンクロージャシステム又はロードポートの中心)が教示され、これにより、ロボットアームは、持ち上げ動作中には各ウエハの中心の下に位置決めされ、配置(例えば、引き渡し)動作においては各ウエハを正しい位置に移送することができる。
【0081】
幾つかの実施形態において、較正動作を使用して、ロボットアームの動きにおける誤差を決定し、その誤差を補償する。例えば、ロボットアームのリストが、指示された角度量より小さい第1の角度量だけ回転したと判定されたことに応じて、コントローラは、(例えば、回転誤差を補償するために、)第1の角度量と指示された角度量との差の分だけ、即ち、ロボットアームの回転におけるリストの1度の誤差の分だけ回転するようリストに指示する。
【0082】
幾つかの実施形態において、診断動作を使用して、ロボットアームの構成要素が適切に機能しているかどうか(例えば、適切な速度、適切な測定、ウエハの適切な固定など)を判定する。
【0083】
自動教示動作、較正動作、及び診断動作のそれぞれが、自動教示エンクロージャシステムを用いて、ファクトリインタフェースを開けることなく実行される。
【0084】
図5Bは、特定の実施形態に係る、自動教示エンクロージャシステムを使用して、(例えば、密閉された環境を維持しながら)較正動作を実行する方法520を示している。幾つかの実施形態において、較正動作が、工場において、ロボットアームの1つ以上の部品(例えば、コントローラ、部材、ジョイントなど)の交換後に、ロボットアームの1つ以上の部分の操作後に、ロボットアームへの損傷の後に、又は、(例えば、工場から取得された)以前のロボットアーム誤差デーダが喪失された後など、のうちの1つ以上において実行される。較正動作によって、任意の特定のステーションに特化されていない(例えば、ウエハ製造システムの任意のロードポートでロボットアームに適用されうる)ロボットアームのロボットジョイント誤差が提供されうる。
【0085】
図5Bの方法520を参照すると、ブロック522において、較正基板が、自動教示エンクロージャシステムの内部空間内の支持構造上の自動教示ピンの上に配置される。
【0086】
ブロック524において、ロボットアームが、較正基板の第1の位置を決定するために、較正基板の較正ピンを走査する。ロボットアームは、ロボットアームの部材の中心(例えば、リスト中心)を中心に左右に動くことによって、較正ピンを走査する。ロボットアームは、ロボットアームの一部材(例えば、リスト部材)のみを動かしロボットアームの他の部材を静止状態に保つことによって、較正ピンを走査する。ロボットアームは、第1の位置を格納する。
【0087】
ブロック526において、ロボットアームが、支持構造から較正基板を取り除く。ロボットアームが、ロボットアームのエンドエフェクタを較正基板の下に配置させる。ロボットアームは、エンドエフェクタのプランジャ(例えば、空気圧プランジャ)を作動させて、エンドエフェクタのプランジャと遠位端のパッド(例えば、ファング)との間で較正基板を把持する。幾つかの実施形態において、ロボットアームが、ロボットアームの一部材のみ使用してロボットアームの他の部材を静止状態に保ちながら、較正基板を持ち上げて、較正基板を移動させる。幾つかの実施形態において、ロボットアームが、自動教示エンクロージャシステムから較正基板を取り除く。
【0088】
ブロック528において、ロボットアームは、較正基板を第1の位置に配置するよう指示される。ロボットアームは、メモリから第1の位置を取得して、第1の位置に較正基板を配置することを試みる。ロボットアームは、支持構造から較正基板を取り除くために使用したロボットアームの同じ部材(例えば、リスト部材)を使用して(、例えば、決定されるロボットアーム誤差を1つの部材に限定する)。
【0089】
ブロック530において、ロボットアームが、較正基板の第2の位置を決定するために、較正基板の較正ピンを再び走査する。
【0090】
ブロック532において、ロボットアーム誤差が、第1の位置と第2の位置との間の差に基づいて決定される。ロボットアーム誤差は、エンクロージャシステムの任意の動作(例えば、自動教示動作、ロボットアームの他の部材の較正動作、診断動作など)、及び/又は、後に自動教示エンクロージャシステムと同じロードポートにドッキングされる他のエンクロージャシステムの動作(例えば、ウエハ、キャリア、プロセスキットリング、配置検証ウエハの移送など)のために使用される。
【0091】
図5Cは、特定の実施形態に係る、(例えば、密閉された環境を維持しながら、)自動教示エンクロージャシステムを使用して自動教示動作を実行する方法540を示している。幾つかの実施形態において、自動教示動作が、(例えば、ウエハ製造システムのツールの)起動時に、周期的に(例えば、1年に1回)、ロボットアームから受信した値のドリフトに応じて、ロボットアームが老朽化するにつれて、ロボットアームの部品を交換した後に、のうちの1つ以上において実行される。自動教示動作は、自動教示エンクロージャシステム及び/又はロードポートの特定の位置を提供する。特定の位置は、ロボットアームによって、同じロードポートに取り付けられた任意のエンクロージャシステム内の物体の位置を決定するために使用される。
【0092】
図5Cの方法540を参照すると、ブロック542において、ロボットアームが、自動教示エンクロージャシステムの内部空間内に配置された自動教示ピンを走査する。幾つかの実施形態において、ロボットアームが、ロボットアームの一部材(例えば、リスト部材)のみを動かしてロボットアームの他の部材を静止状態に保つことによって、自動教示ピンを走査する。幾つかの実施形態において、ロボットアームが、較正動作において使用されたのと同じ部材を使用する。
【0093】
ブロック544において、ブロック542の走査の結果に基づいて、自動教示エンクロージャシステム及び/又はロードポートと関連付けられた固定位置(例えば、中心位置)が決定される。幾つかの実施形態において、固定位置はさらに、ロボットアーム誤差に基づいて決定される。
【0094】
ブロック546において、ロボットアームが、固定位置に基づいて物品を転送させられる。幾つかの実施形態において、ロボットアームが、ロボット誤差に基づいて物品を転送する。ロボットアームは、エンクロージャシステムの任意の動作(例えば、ロボットアームの他の部材の較正動作、診断動作など)、及び/又は、後に自動教示エンクロージャシステムと同じロードポートにドッキングされる他のエンクロージャシステムの動作(例えば、ウエハ、キャリア、プロセスキットリング、配置検証ウエハなどの移送)のために、固定位置を使用する。
【0095】
図5Dは、特定の実施形態に係る、(例えば、密閉された環境を維持しながら、)自動教示エンクロージャシステムを使用して診断動作を実行する方法560を示している。幾つかの実施形態において、ロボットアームに対して統計的プロセス制御(SPC:statistical process control)追跡を行って、ロボットアームが劣化しているかどうかを予め知りダウンタイムを計画するなどのために、診断動作が、周期的に(例えば、毎日、毎週、毎月)、ロボットアームが老朽化するにつれて、ロボットアーム及び/又はロボットアームが取り扱うウエハに関して問題が検出されたときに、のうちの1つ以上において実行される。診断動作は、ロボットアームの任意の構成要素が誤動作しているかどうかを判定するために実行されうる。
【0096】
図5Dの方法560を参照すると、ブロック562において、ロボットアームが、較正基板の第1の幅に対応する第1の向きにある較正基板の下に位置決めされる。幾つかの実施形態において、ロボットアームのエンドエフェクタが、較正基板の下に位置決めされる。エンドエフェクタは、平面的な上面と、ロボットアームのリストとは反対側の1つ以上の遠位端と、を有する。1つ以上の遠位端はそれぞれ、平面的な表面から上方に延びる対応する突起(例えば、ファング)を有する。エンドエフェクタは、平面的な上面の上に配置されたプランジャを有する。平面的な上面は、基板を支持するよう構成されている。プランジャは、作動されると基板の1の側面を押すよう構成され、その一方で突起(例えば、ファング)が基板の他の側面を押圧しており、これにより、基板が、プランジャと突出部との間で把持(例えば、固定)される。ロボットアームは、エンドエフェクタを介して基板を固定しながら、基板を移送することが可能である。
【0097】
ブロック564において、ロボットアームのプランジャが、作動して第1の向きにある較正基板を固定するよう指示される。較正基板を固定するために、較正基板は、エンドエフェクタの遠位端のパッド(例えば、ファング)とプランジャとの間で固定される。
【0098】
ブロック566において、第1の向きにある基板を固定する際の第1の誤差の発生について判定される。ロボットアームは、閾値時間量に達するまで、又は、プランジャの遠位端とパッドとの間の距離が決定されたことに応じて基板がプランジャとパッドとの間に固定されていると判定される(例えば、センサが、プランジャの作動に対する閾値抵抗量を決定する)まで、のうちの早い方に達するまで、プランジャを作動しうる。例えば、プランジャとパッドとの間の距離は、プランジャの各作動ポジションと対応しうる。
【0099】
幾つかの実施形態において、第1の誤差を決定することが、プランジャの閾値作動時間量内に基板がプランジャとパッドとの間に固定されていない(例えば、閾値時間量内に閾値抵抗量が検出されていない)と判定されたことに応じている。このことは、プランジャが、作動されないこと又は閾値速度を下回る速度で作動されることにより誤作動していることを示しうる。
【0100】
幾つかの実施形態において、第1の誤差を決定することが、較正基板を固定するためにプランジャが閾値距離よりも大きく作動した(その結果、測定された幅が実際の幅よりも小さい、等)と判定したことに応じている。このことは、プランジャが、作動するよう指示されていた距離よりも小さく作動することにより誤作動していることを示しうる。
【0101】
幾つかの実施形態において、第1の誤差を決定することは、第1の向きにある較正基板の測定された幅が、第1の向きにある較正基板の実際の幅とは異なっていると判定することに応じている。このことは、プランジャが、作動するよう指示された程度まで作動しておらず又は較正基板を適切に固定していないことにより誤作動していることを示しうる。
【0102】
幾つかの実施形態において、第1の誤差は、較正基板がロボットアームに適切に着座していないこと(例えば、1つ以上の部分が、エンドエフェクタのファングの上に飛び出している)、又はエンドエフェクタの磨耗などに応じている。
【0103】
ブロック568において、ロボットアームが、較正基板の、第1の幅とは異なる第2の幅に対応する第2の向きにある較正基板の下に位置決めされる。第1の向き又は第2の向きの一方が、較正基板の周面にあるフィーチャ(例えば、ノッチ、凹部)に対応している。
【0104】
ブロック570では、ロボットアームのプランジャが、第2の向きにある較正基板を固定するために作動される。幾つかの実施形態において、ブロック570はブロック564と同様である。
【0105】
ブロック572において、第2の向きにある較正基板を固定する際の第2の誤差の発生について判定される。幾つかの実施形態において、ブロック572はブロック566と同様である。幾つかの実施形態において、誤差の発生が、第1の向き又は第2の向きの一方について決定される(例えば、第1の向き又は第2の向きの他方には誤差がない)。
【0106】
図6は、特定の実施形態に係るコンピュータシステム600を示すブロック図である。幾つかの実施形態において、コンピュータシステム600は、コントローラ109である(例えば、図1を参照)。コンピュータシステム600(例えば、処理装置602)は、ロボットアームに、自動教示動作、較正動作、及び/又は診断動作を実行させるために使用される。
【0107】
幾つかの実施形態において、コンピュータシステム600は、(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、イントラネット、エクストラネット、又はインタネットといったネットワークを介して)他のコンピュータシステムに接続されている。コンピュータシステム600は、クライアントサーバ環境ではサーバ若しくはクライアントコンピュータとして、又は、ピアツーピアの環境(又は分散)ネットワーク環境においてはピアコンピュータとして稼働する。コンピュータシステム600は、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB:set-top box)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、そのマシンによって行われるアクションを規定する命令のセットを(連続的に又は別様に)実行することが可能な任意のマシンによって提供される。さらに、「コンピュータ」という用語は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ以上を実行するために、1セットの(又は複数のセットの)命令を、個別に又は連携させて実行するコンピュータのいかなる集合も含むものとする。
【0108】
さらなる態様において、コンピュータシステム600は、処理装置602、揮発性メモリ604(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory))、不揮発性メモリ606(例えば、リードオンリメモリ(ROM:read-only memory)又は電気的消去可能なROM (EEPROM:electrically-erasable programmable ROM))、及び、データ記憶装置618を含み、これらはバス608を介して互いに通信する。
【0109】
処理装置602は、汎用プロセッサ(例えば、複雑命令セットコンピューティング(CISC:complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC:reduced instruction set computing)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW:very long instruction word)マイクロプロセッサ、他の種類の命令セットを実装したマイクロプロセッサ、他の種類の命令セットの種類の組み合わせを実装したマイクロプロセッサ、又は、特化されたプロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)、又はネットワークプロセッサ)といった、1つ以上のプロセッサによって提供される。
【0110】
コンピュータシステム600は、(例えば、ネットワーク674を介して通信する)ネットワークインタフェースデバイス622をさらに含む。コンピュータシステム600はまた、映像表示ユニット610(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))、英数字入力装置612(例えばキーボード)、カーソル制御装置614(例えばマウス)、及び信号生成装置620も含む。
【0111】
幾つかの実現において、データ記憶装置618が、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体624を含み、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体624には、本明細書に記載の方法又は機能のうちの任意の1つ以上を符号化する命令626が格納され、命令626は、本明細書に記載の方法を実現するための(例えば、ロボットアームに自動教示動作を実行させるため、ロボットアームに較正動作を実行させるため、ロボットアームに診断動作を実行させるため、及び/又は図4Cの方法470を実行するための)命令を含む。
【0112】
命令626はまた、コンピュータシステム600によって実行される間、不揮発性メモリ604内及び/又は処理装置602内に、完全に又は少なくとも部分的に常駐し、従って、不揮発性メモリ604及び処理装置602も、幾つかの実施形態において、マシン可読記憶媒体を構成する。
【0113】
示される例では、コンピュータ可読記憶媒体624が単一の媒体として示されているが、「非一過性のコンピュータ可読記憶媒体(non-transitory computer-readable storage medium)」という用語は、1つ以上の実行可能な命令セットを格納する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース又は分散データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものとする。「非一過性のコンピュータ可読記憶媒体」という用語はまた、コンピュータにより実行するための命令のセットであって、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ以上をコンピュータに実施させる命令のセットを格納又は符号化することが可能ないずれの媒体も含むものとする。「非一過性のコンピュータ可読記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むが、これらに限定されない。
【0114】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法、構成要素、及び特徴が、別々のハードウェア構成要素によって実現され、又はASICS、FPGA、DSP、又は同様のデバイスといった他のハードウェア構成要素の機能に組み込まれている。幾つかの実施形態において、方法、構成要素、及び特徴が、ハードウェアデバイス内のファームウェアモジュール又は機能回路によって実現される。さらに、幾つかの実施形態において、方法、構成要素、及び特徴が、ハードウェアデバイスとコンピュータプログラム構成要素との任意の組合せにおいて、又はコンピュータプログラムにおいて実現される。
【0115】
特に規定されない限り、「走査する(scanning)」、「移動する(moving)」、「~させる(causing)」、「実施する(performing)」「取り除く(removing)」、「配置する(placing)」、「指示する(directing)」、「判定する(determining)」、「配置する(disposing)」、「作動させる(actuating)」、又は「位置決めする(locating)」等といった用語は、コンピュータシステムであって、当該コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)量として表されるデータを操作し、当該コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ、又は他のこのような情報記憶デバイス、伝送デバイス、若しくは表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステムによって実行又は実現されるアクション及びプロセスを指している。さらに、本明細書では、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」、「第4の(fourth)」等の用語は、様々な要素の間で区別するためのラベルとして示されており、その数字表示に従った順序的意味を有さなくてよい。
【0116】
本明細書に記載の例は、本明細書に記載の方法を実行するための装置にも関する。幾つかの実施形態において、本装置は、本明細書に記載の方法を実行するために特別に構築され、又はコンピュータシステムに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされた汎用コンピュータシステムを含む。幾つかの実施形態において、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読な有形の記憶媒体に格納されている。
【0117】
本明細書に記載の方法及び実例は、いかなる特定のコンピュータ又はその他の装置にも本質的に関連していない。様々な汎用システムが、本明細書に記載された教示に従って使用可能であり、又は、より特殊化された装置が、本明細書に記載の方法及び/又はその個々の機能、ルーチン、サブルーチン、若しくは動作のそれぞれを実行するために構築されうる。様々な上記システムの構造の例が、先の明細書の記載において説明されている。
【0118】
先の明細書の記載では、本開示の幾つかの実施形態が良く理解できるように、特定のシステム、構成要素、方法などの例といった数多くの具体的な詳細事項について説明している。しかしながら、本開示の少なくとも幾つかの実施形態が、上記の具体的な詳細事項がなくとも実施可能であることは、当業者には明らかであろう。他の例において、本開示を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の構成要素又は方法が詳細には記載されず、又は簡素なブロック図の形式で提示される。したがって、記載された特定の詳細事項は、例示的なものにすぎない。特定の実施形態は、上記の例示的な詳細事項から変更することができ、それでもなお本開示の範囲に入ると考えられる。
【0119】
本明細書を通じて、「一実施形態(one embodiment)」又は「或る実施形態(an embodiment)」とは、その実施形態との関連で記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれるということを意味している。したがって、本明細書の様々な箇所に現われる「一実施形態において」又は「或る実施形態において」というフレーズは、全てが必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、「又は(or)」という用語は、排他的な「又は」というより、包含的な「又は」を意味することが意図されている。「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語が本明細書で使用されるとき、これは、提示される公称値が±10%の範囲内で正確であることを意味することが意図されている。
【0120】
本明細書に記載の方法の動作は、特定の順序で示され記載されているが、各方法の動作の順序を変更することが可能であり、これにより、或る動作は逆の順序で実行され、或る動作は他の動作と少なくとも部分的に同時に実行される。他の実施形態において、命令又は別々の動作の下位工程が、断続的に及び/又は交互に実行される。
【0121】
先の明細書の記載は、限定ではなく例示を意図するものと理解されたい。先の明細書の記載を読んで理解すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、本開示の範囲は、当該権利が付与される均等物の完全な範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して定められる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ処理システムの自動教示システムであって、
前記自動教示システム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャである自動教示ピンであって、前記自動教示ピンが、前記ウエハ処理システムのロボットアームの自動教示動作を可能とし、前記自動教示動作が、前記自動教示システム内の前記固定位置を、前記ウエハ処理システムの前記ロボットアームに自動的に教示する動作である、自動教示ピン
を備え、
前記自動教示ピンは、
円筒状の側壁を含む第1の部分であって、 前記ロボットアームが前記第1の部分を使用して前記自動教示システム内の前記固定位置を特定する、第1の部分と、
ロボットアーム誤差の較正を可能とするように構成された平面的な側壁を含む第2の部分と
を備える、自動教示システム。
【請求項2】
前記ロボットアームのエンドエフェクタが、前記自動教示ピンを走査し、前記ロボットアームの前記自動教示動作を実行する、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項3】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも上方に配置されている、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項4】
前記第1の部分は円形の周面を有し、前記第2の部分は台形、楕円、多角形、方形、矩形、三角形のうちの1つ以上の周面を有する、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項5】
前記第1の部分の中心軸は前記第1の部分の円形周面の中心を通り、前記第2の部分は、前記第1の部分の中心軸に対して非対称である周面を有する、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項6】
較正を実行するために、前記第1の部分の対称性が前記第2の部分の非対称性と比較される、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項7】
前記ロボットアームは前記第1の部分と前記第2の部分を走査するためz方向に動き、前記ロボットアームは、較正を実行するために、単一のジョイントの周りで回転運動を行って複数の角度から前記第2の部分を測定する、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項8】
前記第1の部分の遠位端頂面は、較正基板を支持するためのカラーを支持するように構成されており、前記較正基板は、前記ロボットアームにより持ち上げられる、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項9】
前記自動教示ピンは、ベースプレートの突出部分に固定されるベースを備え、1つ以上のベース締め具が、前記ベースプレートの前記突出部分に前記ベースを結合する、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項10】
前記ロボットアームは、前記ロボットアームの較正を実行するために、異なる角度から前記第2の部分を走査して、前記第2の部分の複数の測定を決定する、請求項1に記載の自動教示システム。
【請求項11】
ウエハ処理システムの較正システムであって、
前記ウエハ処理システムの複数の支持構造に載置されるように構成された較正基板であって、前記較正基板は較正ピンを備え、前記較正基板によって、前記ウエハ処理システムのロボットアームのロボットアーム誤差を自動的に決定するために前記ロボットアームの較正動作が可能となる、較正基板
を備える、較正システム。
【請求項12】
前記較正基板は、前記支持構造に載置されるように構成された実質的に水平な構成を備え、前記較正ピンは、前記実質的に水平な構成の上面に取り付けられる、請求項11に記載の較正システム。
【請求項13】
前記較正ピンは前記ロボットアームによって走査される、
前記較正基板は、前記較正ピンが走査された後、前記ロボットアームによって第1の位置から持ち上げられる、
前記較正基板は、前記ロボットアームが当該較正基板を持ち上げることに応じて、前記ロボットアームによって第2の位置に配置される、
前記較正ピンは、前記較正基板が前記支持構造上に配置されることに応じて、前記ロボットアームによって再走査される、
前記ロボットアーム誤差は、前記第1の位置と前記第2の位置の間の差に基づいて決定される、
請求項11に記載の較正システム。
【請求項14】
前記較正ピンの下方に配置された自動教示ピンをさらに備え、前記自動教示ピンは、固定位置を有する走査可能なフィーチャであり、且つ前記ロボットアームの自動教示動作を可能とし、前記自動教示動作が、前記固定位置を前記ロボットアームに自動的に教示する動作である、請求項11に記載の較正システム。
【請求項15】
前記自動教示ピン上に設けられたカラーをさらに備え、前記較正基板は前記カラー上に設けられる、請求項14に記載の較正システム。
【請求項16】
前記較正基板によって、前記較正基板を固定する際に第1の誤差が発生するかどうかを判定するという前記ロボットアームの診断動作が可能となるように構成されている、請求項11に記載の較正システム。
【請求項17】
前記第1の誤差は、前記ロボットアームのエンドエフェクタが閾値時間量の範囲内で前記較正基板を把持するかどうかに基づく、請求項16に記載の較正システム。
【請求項18】
前記較正基板は、第1の向きにある第1の幅と、第2の向きにある第2の幅を有し、前記第1の幅は前記第2の幅と異なり、前記第1の誤差は、前記ロボットアームのエンドエフェクタが前記第1の向きと前記第2の向きで閾値時間量の範囲内で前記較正基板を把持するかどうかに基づく、請求項16に記載の較正システム。
【請求項19】
前記第1の幅は、前記較正基板によって形成されたノッチ又は凹部に対応する、請求項18に記載の較正システム。
【請求項20】
方法であって、
ウエハ処理システムのロボットアームによって、前記ウエハ処理システム内に固定位置を有する走査可能なフィーチャである自動教示ピンを走査することであって、前記自動教示ピンは、円筒状の側壁を含む第1の部分と、平面的な側壁を含む第2の部分とを有する、自動教示ピンを走査すること、
前記自動教示ピンの前記第1の部分の円筒状の側壁に基づいて、前記ロボットアームの自動教示動作を実行することであって、前記自動教示動作は、前記ウエハ処理システム内の前記固定位置を前記ロボットアームに自動的に教示する動作である、前記ロボットアームの自動教示動作を実行すること、及び
前記自動教示ピンの前記第2の部分の前記平面的な側壁に基づいて、ロボットアーム誤差を自動的に較正する較正動作を実行すること、
を含む方法。
【外国語明細書】