(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172116
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】接合装置および接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20231129BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083700
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 祐平
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA60
5F131CA08
5F131CA18
5F131CA32
5F131EA02
5F131EA10
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131EA27
5F131EB01
5F131EB52
(57)【要約】
【課題】接合前のアライメント精度を向上する、技術を提供する。
【解決手段】接合装置は、第1アライメントマークを有する第1基板と、第2アライメントマークを有する第2基板と、を接合する。第1撮像部が第2アライメントマークを撮像する際に、第1照射部が第1撮像部の撮像エリアに白色光を照射する。第2撮像部が第1アライメントマークを撮像する際に、第2照射部が第2撮像部の撮像エリアに白色光を照射する。制御部は、第1撮像部と前記第2撮像部で撮像した画像を処理することで第1アライメントマークと第2アライメントマークの位置を検出する。制御部は、検出した第1アライメントマークの位置を、第1基板で反射した反射光の波長と強度の関係を基に補正する。制御部は、補正した第1アライメントマークの位置を基に移動部を制御する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アライメントマークを含む第1基板と、第2アライメントマークを含む第2基板とを接合する接合装置であって、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部に設けられ、前記第2保持部に保持されている前記第2基板を撮像する第1撮像部と、
前記第1撮像部による前記第2アライメントマークの撮像時に、前記第1撮像部の撮像エリアに白色光を照射する第1照射部と、
前記第2保持部に設けられ、前記第1保持部に保持されている前記第1基板を撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像部による前記第1アライメントマークの撮像時に、前記第2撮像部の撮像エリアに白色光を照射する第2照射部と、
前記第1保持部と前記第2保持部とを相対的に移動させる移動部と、
前記移動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1撮像部と前記第2撮像部で撮像した画像を処理することで前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークの位置を検出し、検出した前記第1アライメントマークの位置を、前記第1基板で反射した反射光の波長と強度の関係を基に補正し、補正した前記第1アライメントマークの位置を基に前記移動部を制御する、接合装置。
【請求項2】
前記制御部は、検出した前記第2アライメントマークの位置を、前記第2基板で反射した反射光の波長と強度の関係を基に補正し、補正した前記第2アライメントマークの位置を基に前記移動部を制御する、請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記第1基板で反射した反射光の反射スペクトルを検出する分光器を備え、
前記制御部は、前記分光器の検出結果を基に、前記第1アライメントマークの位置を補正する、請求項1または2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記第2撮像部はカラーカメラを有し、前記カラーカメラは互いに異なる色の光を受光する第1色受光素子と第2色受光素子とを含み、
前記制御部は、同じ画素を構成する前記第1色受光素子と前記第2色受光素子の受光強度の比を基に、前記第1アライメントマークの位置を補正する、請求項1または2に記載の接合装置。
【請求項5】
前記第2照射部は、前記第1撮像部の撮像エリアに対して互いに異なる色である前記白色光と第1色光と第2色光とを切り替えて照射し、
前記第2撮像部はモノクロカメラを有し、前記モノクロカメラは受光素子を含み、
前記制御部は、前記第1撮像部の撮像エリアを固定した状態で前記第1色光と前記第2色光とを切り替えて照射したときの同じ前記受光素子の受光強度の比を基に、前記第1アライメントマークの位置を補正する、請求項1または2に記載の接合装置。
【請求項6】
前記第2照射部は、前記白色光のうち前記第1色光を選択的に透過する第1色フィルターと、前記白色光のうち前記第2色光を選択的に透過する第2色フィルターと、を有する、請求項5に記載の接合装置。
【請求項7】
前記第2照射部が前記白色光の光源を有し且つ前記白色光の光源が前記第1色光の光源と前記第2色光の光源とを有するか、または前記第2照射部が前記白色光の光源と前記第1色光の光源と前記第2色光の光源とを別々に有する、請求項5に記載の接合装置。
【請求項8】
第1アライメントマークを含む第1基板と、第2アライメントマークを含む第2基板とを接合することを有する接合方法であって、
前記第1基板を第1保持部で保持することと、
前記第2基板を第2保持部で保持することと、
前記第1保持部に設けられる第1撮像部で、前記第2保持部に保持されている前記第2基板を撮像することと、
前記第1撮像部による前記第2アライメントマークの撮像時に、第1照射部から前記第1撮像部の撮像エリアに白色光を照射することと、
前記第2保持部に設けられる第2撮像部で、前記第1保持部に保持されている前記第1基板を撮像することと、
前記第2撮像部による前記第1アライメントマークの撮像時に、第2照射部から前記第2撮像部の撮像エリアに白色光を照射することと、
前記第1撮像部と前記第2撮像部で撮像した画像を処理することで前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークの位置を検出することと、
検出した前記第1アライメントマークの位置を、前記第1基板で反射した反射光の波長と強度の関係を基に補正することと、
補正した前記第1アライメントマークの位置を基に、前記第1保持部と前記第2保持部とを相対的に移動させることと、
を有する、接合方法。
【請求項9】
検出した前記第2アライメントマークの位置を、前記第2基板で反射した反射光の波長と強度の関係を基に補正することと、
補正した前記第2アライメントマークの位置を基に、前記第1保持部と前記第2保持部とを相対的に移動させることと、
を有する、請求項8に記載の接合方法。
【請求項10】
前記第1基板で反射した反射光の反射スペクトルを分光器で検出することと、前記分光器の検出結果を基に、前記第1アライメントマークの位置を補正することと、を有する、請求項8または9に記載の接合方法。
【請求項11】
前記第2撮像部はカラーカメラを有し、前記カラーカメラは互いに異なる色の光を受光する第1色受光素子と第2色受光素子とを含み、
前記接合方法は、同じ画素を構成する前記第1色受光素子と前記第2色受光素子の受光強度の比を基に、前記第1アライメントマークの位置を補正することを有する、請求項8または9に記載の接合方法。
【請求項12】
前記第2照射部は、前記第1撮像部の撮像エリアに対して互いに異なる色である前記白色光と第1色光と第2色光とを切り替えて照射し、
前記第2撮像部はモノクロカメラを有し、前記モノクロカメラは受光素子を含み、
前記接合方法は、前記第1撮像部の撮像エリアを固定した状態で前記第1色光と前記第2色光とを切り替えて照射したときの同じ前記受光素子の受光強度の比を基に、前記第1アライメントマークの位置を補正することを有する、請求項8または9に記載の接合方法。
【請求項13】
前記第2照射部は、前記白色光のうち前記第1色光を選択的に透過する第1色フィルターと、前記白色光のうち前記第2色光を選択的に透過する第2色フィルターと、を有する、請求項12に記載の接合方法。
【請求項14】
前記第2照射部が前記白色光の光源を有し且つ前記白色光の光源が前記第1色光の光源と前記第2色光の光源とを有するか、または前記第2照射部が前記白色光の光源と前記第1色光の光源と前記第2色光の光源とを別々に有する、請求項12に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合装置および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の接合装置は、第1アライメントマークを有する第1基板と、第2アライメントマークを有する第2基板とを接合する。接合装置は、第1保持部と、第2保持部と、第1撮像部と、第1照射部と、第2撮像部と、第2照射部と、制御部と、を備える。第1保持部は第1基板を保持する。第2保持部は第2基板を保持する。第1撮像部が第2アライメントマークを撮像する際に、第1照射部が第1撮像部の撮像エリアに白色光を照射する。第2撮像部が第1アライメントマークを撮像する際に、第2照射部が第2撮像部の撮像エリアに白色光を照射する。制御部は、第1撮像部と第2撮像部で撮像した画像を処理することで第1アライメントマークと第2アライメントマークの位置を検出し、第1基板と第2基板の位置合わせを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、接合前のアライメント精度を向上する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る接合装置は、第1アライメントマークを含む第1基板と、第2アライメントマークを含む第2基板とを接合する。前記接合装置は、第1保持部と、第2保持部と、第1撮像部と、第1照射部と、第2撮像部と、第2照射部と、移動部と、制御部と、を備える。前記第1保持部は、前記第1基板を保持する。前記第2保持部は、前記第2基板を保持する。前記第1撮像部は、前記第1保持部に設けられ、前記第2保持部に保持されている前記第2基板を撮像する。前記第1照射部は、前記第1撮像部による前記第2アライメントマークの撮像時に、前記第1撮像部の撮像エリアに白色光を照射する。前記第2撮像部は、前記第2保持部に設けられ、前記第1保持部に保持されている前記第1基板を撮像する。前記第2照射部は、前記第2撮像部による前記第1アライメントマークの撮像時に、前記第2撮像部の撮像エリアに白色光を照射する。前記移動部は、前記第1保持部と前記第2保持部とを相対的に移動させる。前記制御部は、前記移動部を制御する。前記制御部は、前記第1撮像部と前記第2撮像部で撮像した画像を処理することで前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークの位置を検出し、検出した前記第1アライメントマークの位置を、前記第1基板で反射した反射光の波長と強度の関係を基に補正し、補正した前記第1アライメントマークの位置を基に前記移動部を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、接合前のアライメント精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る接合システムを示す平面図である。
【
図2】
図2は、下ウェハと上ウェハを接合することで得られる重合ウェハの一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る接合方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、接合装置の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、ステップS105の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(A)はステップS112における動作の一例を示す側面図であり、
図6(B)は
図6(A)に続く動作を示す側面図であり、
図6(C)は
図6(B)に続く動作を示す側面図である。
【
図7】
図7(A)はステップS113における動作の一例を示す断面図であり、
図7(B)はステップS114における動作の一例を示す断面図であり、
図7(C)は
図7(B)に続く動作を示す断面図である。
【
図8】
図8は、上撮像部と上照射部と上分光器の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、下アライメントマークを撮像した画像の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、制御部の構成要素の一例を機能ブロックで示す図である。
【
図12】
図12は、上撮像部と上照射部の第1変形例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、上撮像部と上照射部の第2変形例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、上撮像部と上照射部の第3変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに垂直な方向であり、X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
図1を参照して、一実施形態に係る接合システム1について説明する。接合システム1は、第1基板と第2基板とを接合し、重合基板を作製する。
図2に示すように接合時に下側に配置される基板を下ウェハW1と呼び、接合時に上側に配置される基板を上ウェハW2と呼ぶ。下ウェハW1が第1基板に相当し、上ウェハW2が第2基板に相当するが、その組み合わせは逆でもよく、下ウェハW1が第2基板に相当し、上ウェハW2が第1基板に相当してもよい。
【0010】
下ウェハW1と上ウェハW2を接合することで、重合ウェハTが得られる。下ウェハW1の板面のうち、上ウェハW2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、上ウェハW2の板面のうち、下ウェハW1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
【0011】
下ウェハW1は、シリコンウェハなどの半導体基板W1aと、半導体基板W1aの上に形成される膜W1bと、を有する。半導体基板W1aの代わりに、ガラス基板が用いられてもよい。膜W1bは、例えば、デバイス層と、接合層と、を有する。デバイス層は、複数の電子回路を含む。接合層は、デバイス層の上に形成される。接合層は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはシリコン炭窒化膜である。
【0012】
接合層は、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Depositon)法、又はALD(Atomic Layer Deposition)法などで形成される。接合層としてシリコン酸化膜をCVD法で形成する場合、シリコン酸化膜の原料として例えばTEOS(Tetra Ethoxy Silane)が用いられる。
【0013】
下ウェハW1は、下アライメントマークM11~M13を有する。下アライメントマークM11~M13は、接合前の下ウェハW1と上ウェハW2の水平方向位置合わせに用いられる。下アライメントマークM11~M13は、例えば半導体基板W1aと膜W1bの間に形成される。下アライメントマークM11~M13の配置と数は、図示のものには限定されない。
【0014】
同様に、上ウェハW2は、シリコンウェハなどの半導体基板W2aと、半導体基板W2aの上に形成される膜W2bと、を有する。半導体基板W2aの代わりに、ガラス基板が用いられてもよい。膜W2bは、例えば、デバイス層と、接合層と、を有する。デバイス層は、複数の電子回路を含む。接合層は、デバイス層の上に形成される。接合層は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはシリコン炭窒化膜である。
【0015】
上ウェハW2は、上アライメントマークM21~M23を有する。上アライメントマークM21~M23は、接合前の下ウェハW1と上ウェハW2の水平方向位置合わせに用いられる。上アライメントマークM21~M23は、例えば半導体基板W2aと膜W2bの間に形成される。上アライメントマークM21~M23の配置と数は、図示のものには限定されない。
【0016】
下アライメントマークM11~M13が第1アライメントマークに相当し、上アライメントマークM21~M23が第2アライメントマークに相当するが、その組み合わせは逆でもよく、下アライメントマークM11~M13が第2アライメントマークに相当し、上アライメントマークM21~M23が第1アライメントマークに相当してもよい。
【0017】
なお、下ウェハW1と上ウェハW2の一方は、デバイス層を有しなくてもよい。
【0018】
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2及び処理ステーション3は、X軸正方向に沿って、搬入出ステーション2及び処理ステーション3の順番で並べて配置される。また、搬入出ステーション2及び処理ステーション3は、一体的に接続される。
【0019】
搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(例えば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1、C2、C3がそれぞれ載置される。カセットC1は下ウェハW1を収容するカセットであり、カセットC2は上ウェハW2を収容するカセットであり、カセットC3は重合ウェハTを収容するカセットである。なお、カセットC1、C2において、下ウェハW1及び上ウェハW2は、それぞれ接合面W1j、W2jを上面にした状態で向きを揃えて収容される。
【0020】
搬送領域20は、載置台10のX軸正方向側に隣接して配置される。かかる搬送領域20には、Y軸方向に延在する搬送路21と、この搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とが設けられる。搬送装置22は、下ウェハW1、上ウェハW2又は重合ウェハTを保持して搬送する搬送アームを有する。搬送アームは、水平方向と鉛直方向に移動可能であり、且つ鉛直軸周りに旋回可能である。搬送アームの数は、複数であってもよい。搬送アームは、搬送領域20に隣接する所定の装置に上ウェハW2、下ウェハW1又は重合ウェハTを搬送する。
【0021】
なお、載置台10上に載置されるカセットC1~C3の個数は、図示のものに限定されない。また、載置台10上には、カセットC1、C2、C3以外に、不具合が生じた基板を回収するためのカセット等が載置されてもよい。
【0022】
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられる。例えば処理ステーション3の背面側(
図1のY軸正方向側)には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の正面側(
図1のY軸負方向側)には、第2処理ブロックG2が設けられる。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(
図1のX軸負方向側)には、第3処理ブロックG3が設けられる。
【0023】
また、第1処理ブロックG1~第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域60が形成される。搬送領域60には、搬送装置61が配置される。搬送装置61は、下ウェハW1、上ウェハW2又は重合ウェハTを保持して搬送する搬送アームを有する。搬送アームは、水平方向と鉛直方向に移動可能であり、且つ鉛直軸周りに旋回可能である。搬送アームの数は、複数であってもよい。搬送アームは、搬送領域60に隣接する所定の装置に下ウェハW1、上ウェハW2又は重合ウェハTを搬送する。
【0024】
第1処理ブロックG1には、例えば、表面改質装置33と、表面親水化装置34と、が配置される。表面改質装置33は、下ウェハW1の接合面W1j又は上ウェハW2の接合面W2jをプラズマで改質する。表面親水化装置34は、改質された下ウェハW1の接合面W1j又は改質された上ウェハW2の接合面W2jを親水化する。表面改質装置33と表面親水化装置34の位置は図示のものには限定されない。表面改質装置33と表面親水化装置34の数は複数であってもよい。
【0025】
表面改質装置33は、例えば、接合面W1j、W2jにおけるSiO2の結合を切断し、Siの未結合手を形成し、その後の親水化を可能にする。表面改質装置33では、例えば減圧雰囲気下において処理ガスである酸素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。そして、酸素イオンが接合面W1j、W2jに照射されることにより、接合面W1j、W2jがプラズマ処理されて改質される。処理ガスは、酸素ガスには限定されず、例えば窒素ガスなどでもよい。
【0026】
表面親水化装置34は、例えば接合面W1j、W2jにOH基を付与する。表面親水化装置34は、例えばスピンチャックに保持されている下ウェハW1又は上ウェハW2を回転させながら、当該下ウェハW1又は上ウェハW2上に純水を供給する。純水は、接合面W1j、W2j上を拡散し、Siの未結合手にOH基を付与し、接合面W1j、W2jを親水化させる。表面親水化装置34は、接合面W1j、W2jを洗浄する役割も有する。
【0027】
第2処理ブロックG2には、例えば、接合装置41が配置される。接合装置41は、上ウェハW2を上下反転させることで、上ウェハW2の接合面W2jを下に向ける。その後、接合装置41は、親水化された下ウェハW1と上ウェハW2とを接合し、重合ウェハTを作製する。なお、上ウェハW2を上下反転させる装置は、本実施形態では接合装置41の一部として設けられるが、接合装置41とは別に設けられてもよい。
【0028】
第3処理ブロックG3には、例えば、トランジション装置51が配置される。トランジション装置51は、下ウェハW1、上ウェハW2又は重合ウェハTを一時的に保管する。トランジション装置51の数は、複数であってもよい。
【0029】
接合システム1は、制御装置90を備える。制御装置90は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、接合システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、接合システム1の動作を制御する。
【0030】
次に、
図3を参照して、本実施形態の接合方法について説明する。接合方法は、例えばステップS101~S105を有する。ステップS101~S105は、制御装置90による制御下で実施される。なお、接合方法は、ステップS101~S105の全てを有しなくてもよく、少なくともステップS105を有していればよい。また、接合方法は、ステップS105以外の処理を有してもよい。
【0031】
先ず、複数枚の下ウェハW1を収容したカセットC1、複数枚の上ウェハW2を収容したカセットC2、及び空のカセットC3が、搬入出ステーション2の載置台10上に載置される。
【0032】
次に、搬送装置22が、カセットC1内の下ウェハW1を取り出し、トランジション装置51に搬送する。その後、搬送装置61が、トランジション装置51から下ウェハW1を取り出し、表面改質装置33に搬送する。
【0033】
次に、表面改質装置33が、下ウェハW1の接合面W1jを改質する(ステップS101)。接合面W1jの改質は、接合面W1jを上に向けた状態で実施される。その後、搬送装置61が、表面改質装置33から下ウェハW1を取り出し、表面親水化装置34に搬送する。
【0034】
次に、表面親水化装置34が、下ウェハW1の接合面W1jを親水化する(ステップS102)。接合面W1jの親水化は、接合面W1jを上に向けた状態で実施される。その後、搬送装置61が、表面親水化装置34から下ウェハW1を取り出し、接合装置41に搬送する。
【0035】
下ウェハW1に対する上記の処理と並行して、上ウェハW2に対する下記の処理が実施される。先ず、搬送装置22が、カセットC2内の上ウェハW2を取り出し、トランジション装置51に搬送する。その後、搬送装置61が、トランジション装置51から上ウェハW2を取り出し、表面改質装置33に搬送する。
【0036】
次に、表面改質装置33が、上ウェハW2の接合面W2jを改質する(ステップS103)。接合面W2jの改質は、接合面W2jを上に向けた状態で実施される。その後、搬送装置61が、表面改質装置33から上ウェハW2を取り出し、表面親水化装置34に搬送する。
【0037】
次に、表面親水化装置34が、上ウェハW2の接合面W2jを親水化する(ステップS104)。接合面W2jの親水化は、接合面W2jを上に向けた状態で実施される。その後、搬送装置61が、表面親水化装置34から上ウェハW2を取り出し、接合装置41に搬送する。
【0038】
次に、接合装置41は、上ウェハW2を上下反転させることで、上ウェハW2の接合面W2jを下に向ける。その後、接合装置41が、下ウェハW1と上ウェハW2を接合し、重合ウェハTを製造する(ステップS105)。その後、搬送装置61が、接合装置41から重合ウェハTを取り出し、トランジション装置51に搬送する。
【0039】
最後に、搬送装置22が、トランジション装置51から重合ウェハTを取り出し、載置台10上のカセットC3に搬送する。これにより、一連の処理が終了する。
【0040】
次に、
図4を参照して、接合装置41の一例について説明する。接合装置41は、下保持部110と、上保持部120と、下撮像部130と、上撮像部150と、移動部170と、制御部200と、を備える。
【0041】
下保持部110は、下ウェハW1の接合面W1jを上に向けて、下ウェハW1を下方から保持する。上保持部120は、上ウェハW2の接合面W2jを下に向けて、上ウェハW2を上方から保持する。下保持部110が第1保持部に相当し、上保持部120が第2保持部に相当するが、その組み合わせは逆でもよい。
【0042】
下撮像部130は、下保持部110に設けられ、上保持部120に保持されている上ウェハW2を撮像する。上撮像部150は、上保持部120に設けられ、下保持部110に保持されている下ウェハW1を撮像する。下撮像部130が第1撮像部に相当し、上撮像部150が第2撮像部に相当するが、その組み合わせは逆でもよい。
【0043】
移動部170は、下保持部110と上保持部120とを相対的に水平方向と鉛直方向に移動させる。移動部170は、本実施形態では下保持部110を移動させるが、上保持部120を移動させてもよい。移動部170は、下保持部110または上保持部120を鉛直軸周りに回転させてもよい。
【0044】
制御部200は、接合装置41の動作を制御する。制御部200は、例えばコンピュータであり、制御装置90と同様に構成される。制御部200は、制御装置90の一部であってもよい。
【0045】
下保持部110は、複数(例えば2つ)の領域110a、110bに区画される。これら領域110a、110bは、下保持部110の中心部から周縁部に向けてこの順で設けられる。そして、領域110aは平面視において円形状を有し、領域110bは平面視において環状形状を有する。
【0046】
各領域110a、110bには、吸引管111a、111bがそれぞれ独立して設けられる。各吸引管111a、111bには、異なる真空ポンプ112a、112bがそれぞれ接続される。下保持部110は、各領域110a、110b毎に、下ウェハW1を真空吸着可能である。
【0047】
下保持部110には、鉛直方向に昇降自在な複数の保持ピン115が設けられる。下ウェハW1は、複数の保持ピン115の上端に載置される。なお、下ウェハW1は、複数の保持ピン115の上端に真空吸着されてもよい。
【0048】
複数の保持ピン115は、上昇することで、下保持部110の保持面から突出する。その状態で、複数の保持ピン115は、下ウェハW1を搬送装置61から受け取る。その後、複数の保持ピン115が下降し、下ウェハW1が下保持部110の保持面に接触させられる。続いて、下保持部110は、真空ポンプ112a、112bの作動によって、各領域110a、110bにおいて下ウェハW1を水平に真空吸着する。
【0049】
上保持部120は、複数(例えば3つ)の領域120a、120b、120cに区画される。これら領域120a、120b、120cは、上保持部120の中心部から周縁部に向けてこの順で設けられる。領域120aは平面視において円形状を有し、領域120b、120cは平面視において環状形状を有する。
【0050】
各領域120a、120b、120cには、吸引管121a、121b、121cがそれぞれ独立して設けられる。各吸引管121a、121b、121cには、異なる真空ポンプ122a、122b、122cがそれぞれ接続される。上保持部120は、各領域120a、120b、120c毎に、上ウェハW2を真空吸着可能である。
【0051】
上保持部120には、鉛直方向に昇降自在な複数の保持ピン125が設けられる。複数の保持ピン125は、真空ポンプ126に接続され、真空ポンプ126の作動によって上ウェハW2を真空吸着する。上ウェハW2は、複数の保持ピン125の下端に真空吸着される。複数の保持ピン125の代わりに、リング状の吸着パッドが用いられてもよい。
【0052】
複数の保持ピン125は、下降することで、上保持部120の保持面から突出する。その状態で、複数の保持ピン125は、上ウェハW2を真空吸着し、搬送装置61から受け取る。その後、複数の保持ピン125が上昇し、上ウェハW2が上保持部120の保持面に接触させられる。続いて、上保持部120は、真空ポンプ122a、122b、122cの作動によって、各領域120a、120b、120cにおいて上ウェハW2を水平に真空吸着する。
【0053】
また、上保持部120の中心部には、当該上保持部120を鉛直方向に貫通する貫通孔123が形成される。貫通孔123には、後述する押動部190が挿通される。押動部190は、下ウェハW1と間隔をおいて配置された上ウェハW2の中心を押し下げ、下ウェハW1に接触させる。
【0054】
押動部190は、押動ピン191と、当該押動ピン191の昇降ガイドである外筒192とを有する。押動ピン191は、例えばモータを内蔵した駆動部(図示せず)によって、貫通孔123に挿通され、上保持部120の保持面から突出し、上ウェハW2の中心を押し下げる。
【0055】
次に、
図5~
図7を参照して、接合装置41の動作の一例について説明する。先ず、搬送装置61が、接合装置41に対する下ウェハW1と上ウェハW2の搬入を行う(ステップS111)。下保持部110が、下ウェハW1の接合面W1jを上に向けて、下ウェハW1を下方から保持する。上保持部120が、上ウェハW2の接合面W2jを下に向けて、上ウェハW2を上方から保持する。
【0056】
次に、移動部170が、下保持部110と上保持部120を相対的に移動させ、下ウェハW1と上ウェハW2の位置合わせ(アライメント)を行う(ステップS112)。位置合わせには、
図6に示すように下撮像部130と上撮像部150が用いられる。上撮像部150は、上保持部120に対して固定されており、下保持部110に保持されている下ウェハW1の接合面W1jを撮像する。一方、下撮像部130は、下保持部110に対して固定されており、上保持部120に保持されている上ウェハW2の接合面W2jを撮像する。
【0057】
先ず、
図6(A)に示すように、移動部170が、下撮像部130と上撮像部150の水平方向位置合わせを行う。具体的には、下撮像部130が上撮像部150の略真下に位置するように、移動部170が下保持部110を水平方向に移動させる。そして、上撮像部150と下撮像部130とが共通のターゲットXを撮像し、上撮像部150と下撮像部130の水平方向位置が一致するように、移動部170が下撮像部130の水平方向位置を微調節する。これにより、上撮像部150と下撮像部130の水平方向位置合わせが完了する。
【0058】
次に、
図6(B)に示すように、移動部170が、下保持部110を鉛直上方に移動させ、続いて、下保持部110と上保持部120の水平方向位置合わせを行う。具体的には、移動部170が下保持部110を水平方向に移動させながら、上撮像部150が下アライメントマークM11~M13を順次撮像すると共に、下撮像部130が上アライメントマークM21~M23を順次撮像する。なお、
図6(B)は、上撮像部150が下アライメントマークM11を撮像すると共に、下撮像部130が上アライメントマークM23を撮像する様子を示している。
【0059】
下撮像部130と上撮像部150は、撮像した画像データを、制御部200に送信する。制御部200は、下撮像部130と上撮像部150で撮像した画像を処理することで下アライメントマークM11~M13と上アライメントマークM21~M23の位置を検出する。制御部200は、鉛直方向視にて下アライメントマークM11~M13と上アライメントマークM21~M23が重なるように、移動部170を制御する。
【0060】
次に、
図6(C)に示すように、移動部170が下保持部110を鉛直上方に移動させる。その結果、下ウェハW1の接合面W1jと上ウェハW2の接合面W2jとの間隔G(
図4参照)は、予め定められた距離、例えば80μm~200μmになる。
【0061】
次に、
図7(A)に示すように、真空ポンプ122aの作動が停止され、領域120aにおける上ウェハW2の真空吸着が解除される。その後、押動部190の押動ピン191が下降し、上ウェハW2の中心を押し下げ、下ウェハW1に接触させる(ステップS113)。その結果、下ウェハW1と上ウェハW2の中心同士が接合される。
【0062】
下ウェハW1の接合面W1jと上ウェハW2の接合面W2jはそれぞれ改質済みであるので、接合面W1j、W2j間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該接合面W1j、W2j同士が接合される。さらに、接合面W1j、W2jはそれぞれ親水化済みであるので、親水基(例えばOH基)が水素結合し、接合面W1j、W2j同士が強固に接合される。
【0063】
次に、
図7(B)に示すように、真空ポンプ122bの作動が停止され、領域120bにおける上ウェハW2の真空吸着が解除される。続いて、真空ポンプ122cの作動が停止され、
図7(C)に示すように、領域120cにおける上ウェハW2の真空吸着が解除される。
【0064】
このように、上ウェハW2の中心から周縁に向けて、上ウェハW2の真空吸着が段階的に解除され、上ウェハW2が下ウェハW1に段階的に落下して当接する。そして、下ウェハW1と上ウェハW2の接合は、中心から周縁に向けて順次進行する(ステップS114)。その結果、上ウェハW2の接合面W1jと下ウェハW1の接合面W2jとが全面で当接し、下ウェハW1と上ウェハW2とが接合され、重合ウェハTが得られる。その後、押動ピン191は、元の位置まで上昇させられる。
【0065】
次に、移動部170が、下保持部110を下降させ、下保持部110と上保持部120の鉛直方向の間隔を広げる。その後、搬送装置61が、接合装置41に対する重合ウェハTの搬出を行う(ステップS115)。具体的には、先ず、下保持部110が、重合ウェハTの保持を解除する。続いて、複数の保持ピン115が、上昇し、重合ウェハTを搬送装置61に渡す。その後、複数の保持ピン115が、元の位置まで下降する。
【0066】
次に、
図8~
図11を参照して、下アライメントマークM12の位置の検出と、検出した位置の補正の一例について説明する。
図8に示すように、接合装置41は、下アライメントマークM12の位置の検出と、検出した位置の補正とを実施すべく、例えば、上撮像部150と、上照射部160と、上分光器165と、を備える。
【0067】
上撮像部150は、下ウェハW1を撮像する。上撮像部150は、例えば、対物レンズ151と、結像レンズ152と、受光素子153と、を有する。図示しないが、複数の受光素子153が、2次元的に配列されている。1つの受光素子153が、1つの画素を構成する。受光素子153は、下ウェハW1からの反射光を受光する。
【0068】
上撮像部150は、モノクロカメラとカラーカメラのいずれでもよいが、本実施形態ではモノクロカメラである。上撮像部150がモノクロカメラである場合、1つの受光素子153は特定の色の光(特定の波長の光)ではなく、様々な色の光(様々な波長の光)を受光し、その受光強度に応じた電気信号を生成する。受光強度が高いほど、画素の輝度が高くなる。
【0069】
上撮像部150は、対物レンズ151と結像レンズ152の間に、ハーフミラーなどのビームスプリッタ154を有してもよい。ビームスプリッタ154は、例えば、上照射部160によって照射された白色光を下ウェハW1に向けて反射すると共に、白色光が下ウェハW1で反射されること生じた反射光を受光素子153に向けて透過させる。
【0070】
上照射部160は、上撮像部150と同様に上保持部120に対して固定されるが、上保持部120に対して固定されなくてもよい。上照射部160は、上撮像部150による下アライメントマークM12の撮像時に、上撮像部150の撮像エリアに白色光を照射する。白色光は、ビームスプリッタ154を介して上撮像部150の撮像エリアに照射される。なお、ビームスプリッタ154が無くてもよく、白色光は上撮像部150の撮像エリアに直接照射されてもよい。
【0071】
上照射部160は、白色光の光源161を有する。光源161は、例えば白色LEDである。白色LEDの発光方式は、特に限定されない。白色LEDは、青色LEDと黄色蛍光体を含んでもよいし、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとを含んでもよいし、近紫外線LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体とを含んでもよい。
【0072】
図9に示すように、上撮像部150は、下アライメントマークM12とその周囲を含む画像Pを撮像にする。上撮像部150は、画像Pを制御部200に送信する。制御部200は、位置検出部201(
図11参照)を有する。位置検出部201は、画像Pを処理することにより、下アライメントマークM12の位置を検出する。位置検出部201は、例えば画像Pにおける輝度の変化が極大になる位置を、下アライメントマークM12の位置として検出する。
【0073】
画像Pにおける下アライメントマークM12とその周囲との輝度の差(コントラスト)は、主に下アライメントマークM12とその周囲との反射率の差で決まる。反射率の差が大きいほど、輝度の差が大きい。反射率の差は、主に下ウェハW1の膜W1bの膜厚と材質、および下アライメントマークM12の厚みと材質で決まる。
【0074】
図10に、下アライメントマークM12とその周囲との反射スペクトルの一例を示す。下アライメントマークM12とその周囲とでは、下ウェハW1の積層構造が異なるので、反射スペクトルが異なる。下アライメントマークM12とその周囲との反射率の差は、光の波長に応じて大きくなったり小さくなったりする。
【0075】
そこで、上照射部160は、上撮像部150による下アライメントマークM12の撮像時に、上撮像部150の撮像エリアに、特定の波長の光(例えば赤色光)ではなく、様々な波長の光を含む白色光を照射する。これにより、膜W1bの膜厚または材質などが変わっても、下アライメントマークM12とその周囲とで反射率の差を安定して確保でき、画像Pにおける輝度の差を安定して確保できる。
【0076】
上撮像部150の受光素子153は、様々な波長の光を受光する。その際、様々な波長の光が対物レンズ151と結像レンズ152などを通過する。従って、色収差が生じる。色収差は、下アライメントマークM12の検出位置のずれにつながる。検出位置のずれ量(大きさと方向)が一定であれば、問題は無い。しかし、膜W1bの膜厚または材質などが変わると、反射スペクトルが変わり、色収差の影響が変わり、検出位置のずれ量が変わってしまう。
【0077】
そこで、上分光器165は、下ウェハW1で反射した反射光の反射スペクトルを検出する。上分光器165は、上撮像部150と同様に上保持部120に対して固定されるが、上保持部120に対して固定されなくてもよい。上分光器165は、例えば上照射部160と同様に白色光の光源(図示しない)を有しており、その光源から出射した白色光を下ウェハW1に照射し、下ウェハW1で反射した反射光の反射スペクトルを検出する。
【0078】
上分光器165は、主に下アライメントマークM12の周囲で反射した反射光の反射スペクトルを検出する。上分光器165の計測エリアのサイズは下アライメントマークM12のサイズに比べて大きく、下アライメントマークのみで反射した反射光の反射スペクトルを取得するのが困難なためである。
【0079】
上分光器165は、検出した結果を制御部200に送信する。制御部200は、反射特性解析部202(
図11参照)を有する。反射特性解析部202は、反射光の波長と強度の関係を求める。求める関係は、例えば、互いに異なる色である第1色光と第2色光の強度比を含む。第1色光は例えば赤色光であり、第2色光は例えば青色光である。求める関係は、互いに異なる色である第1色光と第2色光と第3色光の強度比を含んでもよい。第3色光は例えば緑色光である。これらの強度比の変化は、色収差の影響の変化を表し、検出位置のずれ量の変化を表す。
【0080】
制御部200は、位置補正部203を有する。位置補正部203は、位置検出部201によって検出した位置を、反射特性解析部202によって求めた関係(第1色光と第2色光の強度比など)を基に補正する。これにより、膜W1bの膜厚または材質などが変わることで色収差の影響が変わっても、下アライメントマークM12の正確な位置を把握できる。第1色光と第2色光の強度比などと、検出した位置の補正量(大きさと方向)との関係は予め試験などで求められ、制御部200の記憶媒体に記憶しておく。
【0081】
制御部200は、移動制御部204を有する。移動制御部204は、位置補正部203によって補正した下アライメントマークM12の位置を基に移動部170を制御する。移動制御部204は、鉛直方向視にて下アライメントマークM12と上アライメントマークM22が重なるように、移動部170を制御する。これにより、接合前のアライメント精度を向上できる。
【0082】
図示しないが、接合装置41は、上アライメントマークM22の位置の検出と、検出した位置の補正とを実施すべく、例えば、下撮像部130と、下照射部と、下分光器と、を備えてもよい。下照射部は、下撮像部130による上アライメントマークM22の撮像時に、下撮像部130の撮像エリアに白色光を照射する。下照射部は、下撮像部130と同様に下保持部110に対して固定されるが、下保持部110に対して固定されなくてもよい。下分光器は、上ウェハW2で反射した反射光の反射スペクトルを検出し、検出した結果を制御部200に送信する。下分光器は、下撮像部130と同様に下保持部110に対して固定されるが、下保持部110に対して固定されなくてもよい。
【0083】
反射特性解析部202は、上ウェハW2で反射した反射光の波長と強度の関係を求める。位置補正部203は、位置検出部201によって検出した上アライメントマークM22の位置を、反射特性解析部202によって求めた関係(第1色光と第2色光の強度比など)を基に補正する。移動制御部204は、位置補正部203によって補正した上アライメントマークM22の位置を基に移動部170を制御する。
【0084】
次に、
図12を参照して、上撮像部150と上照射部160の第1変形例について説明する。以下、相違点について主に説明する。
図12に示すように、接合装置41は、上撮像部150と上照射部160とを備えるが、
図8に示す上分光器165を備えない。反射特性解析部202は、上分光器165の代わりに上撮像部150を用いて、下ウェハW1で反射した反射光の波長と強度の関係を求める。
【0085】
上撮像部150は、カラーカメラである。カラーカメラは、第1色受光素子153Aと第2色受光素子153Bと第3色受光素子153Cを含む。第1色受光素子153Aと第2色受光素子153Bと第3色受光素子153Cは、互いに異なるカラーフィルターを透過した光を受光し、互いに異なる色の光を受光する。1つの画素は、第1色受光素子153Aと、第2色受光素子153Bと、第3色受光素子153Cとで構成される。図示しないが、複数の画素が、2次元的に配列されている。
【0086】
反射特性解析部202は、同じ画素を構成する第1色受光素子153Aと第2色受光素子153Bの受光強度の比を求める。第1色は例えば赤色であり、第2色は例えば青色である。反射特性解析部202は、同じ画素を構成する第1色受光素子153Aと第2色受光素子153Bと第3色受光素子153Cの受光強度の比を求めてもよい。第3色は例えば緑色光である。これらの受光強度の比は、反射光の波長と強度の関係を表す。
【0087】
1つの画素の撮像エリアのサイズは、下アライメントマークM12のサイズに比べて十分に小さい。それゆえ、下アライメントマークM12と下アライメントマークM12の周囲とで別々に、受光強度の比を求めることが可能である。
【0088】
受光強度の比を求める画素は、下アライメントマークM12の周囲を撮像する画素と、下アライメントマークM12を撮像する画素のいずれでもよく、両方でもよい。いずれかの受光強度の比を求めるのに、複数の画素を使用してもよい。つまり、受光強度の比は、平均値であってもよい。
【0089】
本変形例の内容は、下撮像部130と下照射部にも適用可能である。つまり、下撮像部130がカラーカメラである場合、反射特性解析部202は下分光器の代わりに下撮像部130を用いて、上ウェハW2で反射した反射光の波長と強度の関係を求めることが可能である。
【0090】
次に、
図13を参照して、上撮像部150と上照射部160の第2変形例について説明する。以下、相違点について主に説明する。上撮像部150がモノクロカメラであっても、上照射部160が上撮像部150の撮像エリアに対して互いに異なる色である白色光と第1色光と第2色光とを切り替えて照射可能であれば、上分光器165は不要である。反射特性解析部202は、上分光器165の代わりに上撮像部150を用いて、下ウェハW1で反射した反射光の波長と強度の関係を求める。
【0091】
上照射部160は、例えば、白色光の光源161と、第1色フィルター162Aと、第2色フィルター162Bと、を有する。第1色フィルター162Aは、白色光のうち第1色光を選択的に透過する。第2色フィルター162Bは、白色光のうち第2色光を選択的に透過する。第1色光は例えば赤色光であり、第2色光は例えば青色光である。
【0092】
第1色フィルター162Aと第2色フィルター162Bは、それぞれ、白色光の光路の途中の位置と、白色光の光路の外の位置との間で移動させられる。これにより、上照射部160は、上撮像部150の撮像エリアに対して互いに異なる色である白色光と第1色光と第2色光とを切り替えて照射可能である。
【0093】
上照射部160は、さらに、第3色フィルター162Cを有してもよい。第3色フィルター162Cは、白色光のうち第3色光を選択的に透過する。第3色光は例えば緑色光である。第3色フィルター162Cは、白色光の光路の途中の位置と、白色光の光路の外の位置との間で移動させられる。これにより、上照射部160は、上撮像部150の撮像エリアに対して互いに異なる色である白色光と第1色光と第2色光と第3色光とを切り替えて照射可能である。
【0094】
反射特性解析部202は、上撮像部150の撮像エリアを固定した状態で第1色光と第2色光とを切り替えて照射したときの同じ受光素子153の受光強度の比を求める。第1色は例えば赤色であり、第2色は例えば青色である。反射特性解析部202は、上撮像部150の撮像エリアを固定した状態で第1色光と第2色光と第3色光とを切り替えて照射したときの同じ受光素子153の受光強度の比を含んでもよい。第3色は例えば緑色光である。これらの受光強度の比は、反射光の波長と強度の関係を表す。
【0095】
1つの画素の撮像エリアのサイズは、下アライメントマークM12のサイズに比べて十分に小さい。それゆえ、下アライメントマークM12と下アライメントマークM12の周囲とで別々に、受光強度の比を求めることが可能である。
【0096】
受光強度の比を求める画素は、下アライメントマークM12の周囲を撮像する画素と、下アライメントマークM12を撮像する画素のいずれでもよく、両方でもよい。いずれかの受光強度の比を求めるのに、複数の画素を使用してもよい。つまり、受光強度の比は、平均値であってもよい。
【0097】
本変形例の内容は、下撮像部130と下照射部にも適用可能である。下撮像部130がモノクロカメラであっても、下照射部が下撮像部130の撮像エリアに対して互いに異なる色である白色光と第1色光と第2色光とを切り替えて照射可能であれば、下分光器は不要である。下照射部は、白色光の光源と、第1色フィルターと、第2色フィルターと、を有してもよい。下照射部は、さらに第3色フィルターを有してもよい。
【0098】
次に、
図14を参照して、上撮像部150と上照射部160の第3変形例について説明する。以下、相違点について主に説明する。白色光の光源161は、上撮像部150の撮像エリアに対して互いに異なる色である白色光と第1色光と第2色光とを切り替えて照射すべく、第1色光の光源161Aと、第2色光の光源161Bと、第3色光の光源161Cと、を有してもよい。
【0099】
第1色光は例えば赤色光であり、第2色光は例えば青色光であり、第3色光は例えば緑色光である。上照射部160は、3つの光源161A、161B、161Cを同時に点灯することにより、白色光を照射できる。また、上照射部160は、3つの光源161A、161B、161Cのいずれか1つみを点灯することにより、第1色光と第2色光と第3色光のいずれか1つのみを照射できる。
【0100】
白色光の光源161は、第1色光の光源161Aと、第2色光の光源161Bと、第3色光の光源161Cとを有するが、本開示の技術はこれに限定されない。上照射部160は、白色光の光源161と第1色光の光源161Aと第2色光の光源161Bと第3色光の光源161Cとを別々に有してもよい。
【0101】
本変形例の内容は、下撮像部130と下照射部にも適用可能である。つまり、下照射部が白色光の光源を有し、且つ白色光の光源が第1色光の光源と第2色光の光源と第3色光の光源とを有してもよい。また、下照射部が白色光の光源と第1色光の光源と第2色光の光源と第3色光の光源とを別々に有してもよい。
【0102】
以上、本開示に係る接合装置および接合方法の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0103】
1 接合システム
41 接合装置
110 下保持部(第1保持部)
120 上保持部(第2保持部)
130 下撮像部(第1撮像部)
150 上撮像部(第2撮像部)
160 上照射部(第2照射部)
170 移動部
200 制御部
W1 下ウェハ(第1基板)
W2 上ウェハ(第2基板)