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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172249
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083916
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 竣平
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA70
5F131EA05
5F131EB38
5F131EC33
5F131EC68
5F131EC72
(57)【要約】
【課題】不要となったテープを吸盤から確実に離脱させて廃棄部に回収すること。
【課題手段】中央に開口1aを有するテープ1が廃棄される廃棄部10と、廃棄部10にテープ1を搬送する搬送機構20と、廃棄部10と搬送機構20とを相対的に昇降させる昇降機構30と、制御部40とを備える加工装置において、廃棄部10は、基台11に立設された柱12と、柱12の上端に設けられた爪部13を備え、搬送機構20は、搬送パッド21の四隅に設けられた吸盤23と、吸盤23からエアを噴射するエア噴射機構28とを備え、制御部40は、廃棄部10と搬送機構20とを相対的に接近する方向に移動させてテープ1の開口1aが爪部23を通過させることと、吸盤23からエアを噴射させることと、廃棄部10と搬送機構202とを相対的に遠ざかる方向に移動させて爪部13にテープ1が引っ掛かって該テープ1を吸盤23から離間させることを制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に円形の開口を有し外形が矩形のテープが廃棄される廃棄部と、該廃棄部に該テープを搬送する搬送機構と、該廃棄部と該搬送機構とを相対的に昇降させる昇降機構と、制御部と、を備える加工装置であって、
該廃棄部は、該テープの下面を支持する基台と、該基台に立設され該テープの該開口が進入可能で且つ該開口の中心を中心として対向配置された少なくとも2本の柱と、該柱の上端から該開口の径方向外側に延在して該テープの該開口が先端に接触する爪部と、を備え、
該搬送機構は、該テープの上面の四隅を吸引保持する吸盤と、該吸盤が配置された搬送パッドと、該吸盤からエアを噴射するエア噴射機構と、を備え、
該制御部は、該昇降機構の制御によって、該廃棄部と該廃棄部の上方に位置し該テープを吸引保持した該搬送機構とを相対的に接近する方向に移動させ、該爪部に接触することによって該開口が変形して該爪部を通過するか、または、該テープが該爪部を押し下げて該開口が該爪部を通過して、該開口に該柱を進入させることと、該吸盤からエアを噴射させることと、該廃棄部と該搬送機構とを相対的に遠ざかる方向に移動させ該爪部に該テープが引っ掛かって該テープを該吸盤から離間させることと、を制御する加工装置。
【請求項2】
該廃棄部は、該爪部を少なくとも4つ配置し、該テープの該開口と外周との間の距離が短い箇所に該爪部を接触させる、請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該廃棄部が載置される載置テーブルを備え、該廃棄部は、該テープと共に該載置テーブルから取り外し可能である、請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハなどの被加工物の加工に使用されたテープのはみ出したはみ出し部(切れ端)を回収して廃棄するためのテープ廃棄機構を備える加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを個々のチップに分割する装置として、例えば、特許文献1には、ウェーハの裏面(デバイスが形成された面とは反対の面)に貼着された矩形のテープのウェーハの外周縁からはみ出した部分を挟持し、対向するはみ出し部を含む外周縁を互いに遠ざかる方向に移動させてテープを拡張させる拡張装置が提案されている。この拡張装置によれば、ウェーハの分割予定ラインに沿って形成された分割起点でウェーハを分割し、分割後の隣接するチップ同士の間に隙間を形成することができる。
【0003】
上記拡張装置においてテープを拡張させることによって、隣接するチップ間に隙間を形成した後、ウェーハを収容可能な円形の開口を有するリングフレームの開口に円板状のウェーハを配置した状態で、拡張したテープをリングフレーム及びウェーハに貼着してチップ間の隙間を固定している。
【0004】
そして、上述のようにリングフレーム及びウェーハに矩形のテープを貼着した後、テープのうちリングフレームに貼着された部分をリングフレームの幅の範囲内で開口の中心を中心とする円にカットし、カットした部分よりも外側の切れ端をテープゴミとしてゴミ箱に廃棄している。
【0005】
したがって、ゴミ箱に廃棄するテープゴミは、外周が矩形であり、中央に円形の開口を有しているが、このような形状のテープゴミは、その四隅の上面が吸盤で吸引保持された状態でゴミ箱に搬送され、吸盤からのエアの噴射によって吸盤から離脱してゴミ箱に廃棄されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-110188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、テープゴミをゴミ箱に廃棄する場合、吸盤からエアを噴射してもテープゴミが吸盤から離脱しないことがあり、テープゴミをゴミ箱内に積み重ねて廃棄することができないという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、テープゴミを吸盤から確実に離脱させて廃棄部に廃棄することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明は、中央に円形の開口を有し外形が矩形のテープが廃棄される廃棄部と、該廃棄部に該テープを搬送する搬送機構と、該廃棄部と該搬送機構とを相対的に昇降させる昇降機構と、制御部と、を備える加工装置であって、該廃棄部は、該テープの下面を支持する基台と、該基台に立設され該テープの該開口が進入可能で且つ該開口の中心を中心として対向配置された少なくとも2本の柱と、該柱の上端から該開口の径方向外側に延在して該テープの該開口が先端に接触する爪部と、を備え、該搬送機構は、該テープの上面の四隅を吸引保持する吸盤と、該吸盤が配置された搬送パッドと、該吸盤からエアを噴射するエア噴射機構と、を備え、該制御部は、該昇降機構の制御によって、該廃棄部と該廃棄部の上方に位置して該テープを吸引保持した該搬送機構とを相対的に接近する方向に移動させ、該爪部に接触することによって該開口が変形して該爪部を通過するか、または、該テープが該爪部を押し下げて該開口が該爪部を通過して該開口に該柱を進入させることと、該吸盤からエアを噴射させることと、該廃棄部と該搬送機構とを相対的に遠ざかる方向に移動させ該爪部に該テープが引っ掛かって該テープを該吸盤から離間させることと、を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、円形の開口を有し外形が矩形のテープゴミは、その四隅が搬送機構の4つの吸盤に吸引保持されて廃棄部へと搬送され、搬送機構が廃棄部に対して昇降機構によって相対的に下降すると、搬送機構の吸盤に吸引保持されたテープの開口が爪部に接触することによって変形しながら爪部を通過し、或いは、廃棄部の爪部を押し下げて爪部を通過し、開口に廃棄部の柱が進入する。そして、この状態から搬送機構のエア噴射機構によって各吸盤からエアを噴射しながら廃棄部と搬送機構とを相対的に遠ざかる方向に移動させれば、テープの開口が爪部に引っ掛かるために該テープが各吸盤から確実に離脱して廃棄部に廃棄される。したがって、廃棄部内に多くのテープゴミを重ねて廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る加工装置に設けられたテープ廃棄機構が備える搬送機構のテープ吸着前の状態を示す斜視図である。
図2】(a)~(c)は搬送機構によるテープの吸着保持の過程をその行程順に示す破断部分側面図である。
図3】本発明に係る加工装置に設けられたテープ廃棄機構の搬送機構によって保持されたテープが廃棄部の上方へと搬送された状態を示す斜視図である。
図4】(a)~(d)は搬送機構に保持されたテープが廃棄部へと廃棄される過程をその行程順に示す破断部分側面図である。
図5】複数のテープが廃棄部に廃棄された状態を示す斜視図である。
図6】複数のテープが廃棄された廃棄部を載置テーブル上でスライドさせた状態を示す斜視図である。
図7】複数のテープが廃棄された廃棄部を持ち上げて載置テーブルから離脱させた状態を示す斜視図である。
図8】本発明の変形例1に係る廃棄部の斜視図である。
図9】(a),(b)は本発明の変形例1に係る廃棄部にテープが廃棄される過程をその行程順に示す破断部分側面図である。
図10】本発明の第2変形例に係る廃棄部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る加工装置は、薄い円板状のウェーハを加工する装置であって、ウェーハの加工に使用されるテープが切り出された後の切れ端であるテープゴミ(以下、単に「テープ」と称する)を回収して廃棄するテープ廃棄機構を備えている。なお、以下の説明においては、図1に矢印にて示す方向をそれぞれX軸方向(左右方向)、Y軸方向(前後方向)、Z軸方向(上下方向)とする。
【0012】
[テープ廃棄機構の構成]
本実施の形態に係るテープ廃棄機構は、テープ1が廃棄される廃棄部10(図3参照)と、廃棄部10にテープ1を搬送する搬送機構20(図1参照)と、廃棄部10と搬送機構20とを相対的に昇降させる昇降機構30と、制御部40とを備えている。
ここで、テープ1は、図1に示すように、その中央部にウェーハの外周に沿って切断された円形の開口1aが形成されている。一方、テープ1の外形は矩形に形成されている。
【0013】
廃棄部10は、図3に示すように、テープ1の下面を支持する矩形プレート状の基台11と、基台11に垂直に立設された前後一対の各棒状の柱12と、各柱12の上端に水平にそれぞれ取り付けられた爪部13を備えている。ここで、前後一対の柱12は、テープ1の開口1aが進入可能であって、テープ1の開口1aの中心を中心としてY軸方向(前後方向)に対向配置されている。
【0014】
基台11は、矩形プレート状のスライドテーブル11Aと、スライドテーブル11Aの上面に形成された十字状の嵌合溝11aに上方から嵌合する十字状の下部ベース11Bとによって構成されており、下部ベース11BのY軸方向(前後方向)両端からは一対の柱12がそれぞれ垂直に立設されている。なお、前後一対の柱12の上端部間には、補強用のステー14がY軸方向に沿って水平に架設されている。
【0015】
そして、各柱12の上端にそれぞれ取り付けられた各爪部13は、柱12からY軸方向(前後方向)に沿って互いが離間する水平方向に延びており、その先端部には、斜め下方に傾斜する傾斜部13aがそれぞれ形成されている。ここで、一対の爪部13の各先端(傾斜部13aの先端)間の距離Lは、テープ1の開口1aの内径φDよりも僅かに大きく設定されている(L>φD)。なお、各爪部13の先端に傾斜部13aを必ずしも形成する必要はない。
【0016】
以上のように構成された廃棄部10は、その下部に配置された矩形プレート状の載置テーブル15によってX軸方向(左右方向)にスライド可能に支持されている。すなわち、載置テーブル15の上面のY軸方向(前後方向)両端部には、横断面矩形のガイドドレール16がX軸方向(左右方向)に沿って互いに平行に突設されており、これらのガイドレール16に、スライドテーブル11Aの下面のY軸方向(前後方向)両端部にX軸方向(左右方向)に沿って互いに平行に形成された横断面矩形の嵌合溝11bがそれぞれ嵌合している。したがって、スライドテーブル11Aを備える廃棄部10がガイドレール16に沿ってX軸方向(左右方向)にスライドすることができる。
【0017】
搬送機構20は、テープ1を吸着保持して廃棄部10へと搬送するものであって、図1に示すように、矩形枠状の搬送パッド21と、搬送パッド21のY軸方向(前後方向)両端に位置する前後一対の辺のX軸方向(左右方向)中央部から上方に立設された門型の支持フレーム22を備えている。
【0018】
また、搬送パッド21の四隅には、テープ1の上面の四隅を吸着保持する吸盤23がそれぞれ設けられている。ここで、各吸盤23は、ゴムなどの弾性体によって中空円錐台状に成形されており、搬送パッド21の四隅に上下可能に挿通する垂直な軸24の下端にそれぞれ取り付けられている。そして、各軸24の搬送パッド21の上方に突出する上端部には円盤状のドグ25がそれぞれ取り付けられており、各ドグ25には図2に示す遮光板25aがそれぞれ突設されている。また、搬送パッド21の四隅には、ドグ25(吸盤23)の上昇を光学的に検知するセンサ26がそれぞれ設けられている。なお、各軸24の外周にはコイルスプリング27がそれぞれ巻回されている。
【0019】
ここで、前記各センサ26は、光透過型のフォトセンサ(フォトインタラプタ)であって、中央部に前記遮光板25aが選択的に挿入/離脱する凹部26aがそれぞれ形成されており、凹部26aを挟んでこれの両側には不図示の投光部と受光部とが設けられている。このセンサ26は、吸盤23がテープ1に押圧されて該吸盤23によってテープ1が吸着保持されたか否かを検知するものであって、制御部40に電気的に接続されている。なお、このセンサ26の作用の詳細については後述する。
さらに、図1に示すように、搬送機構20には、各吸盤23からエアをそれぞれ噴射するエア噴射機構28が設けられている。そして、このエア噴射機構28は、制御部40に電気的に接続されており、その動作が制御部40によって制御される。
【0020】
昇降機構30は、本実施の形態では、テープ1または廃棄部10に対して搬送機構20をZ軸方向に昇降させるものであって、不図示のボールネジ機構やシリンダ機構によって昇降動するロッド31が搬送機構20の支持フレーム22に取り付けられている。ここで、図1に示すように、昇降機構30は、制御部40に電気的に接続されており、その動作が制御部40によって制御される。
【0021】
制御部40は、制御プログラムにしたがって演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリなどを備えている。この制御部40は、搬送機構20に設けられたセンサ26からの検知信号を受信して搬送機構20の動作を制御する他、昇降機構30やエア噴射機構28の動作を制御する。
【0022】
[テープ廃棄機構の作用]
次に、以上のように構成されたテープ廃棄機構の作用について説明する。
加工装置によるウェーハの加工に使用された後に残ったテープ1を回収して廃棄するには、先ず、図1に示すように、搬送機構20の4つの吸盤23がテープ1の四隅の上方に位置するように搬送機構20が位置決めされる。そして、この状態から昇降機構30が駆動されて搬送機構20が-Z軸方向に下降すると、図2(a)に示すように、各吸盤23(図2(a)には1つのみ図示)がテープ1の四隅の上面に当接する。そして、この状態から搬送機構20がさらに下降すると、図2(b)に示すように、吸盤23を支持する軸24がコイルスプリング27を圧縮しながら上動し、軸24の上端のドグ25に設けられた遮光板25aがセンサ26の凹部26aから上方に抜けると、センサ26の投光部から出射する光を受光部が受光するため、その信号が制御部40へと送信される。すると、制御部40は、搬送機構20の各吸盤23がテープ1の上面の四隅に押圧されてテープ1が吸盤23によって吸着保持されたものと判断して昇降機構30を駆動し、該昇降機構30によって搬送機構20が+Z軸方向に上昇する。
なお、テープ1の上面の四隅に押圧した吸盤23を吸引源に連通してテープ1を吸引保持してもよい。そして、、吸盤23を吸引源に連通させる連通路内の圧力を監視して、テープ1が吸盤23によって吸着保持されたものと判断してもよい。
【0023】
上述のように4つの吸盤23によってテープ1を吸引保持した搬送機構20が+Z軸方向に上昇すると、図2(c)に示すように、4つの各軸24(図2(c)には1つのみ図示)と各軸24の上端と下端にそれぞれ取り付けられたドグ25と吸盤23がコイルスプリング27の付勢力によって下動して元の状態(図2(a)に示す状態)に復帰する。このとき、ドグ25に設けられた遮光板25aがセンサ26の凹部26aに挿入されてセンサ26の投光部から出射する光を遮断するため、受光部は光を受光せず、制御部40は、センサ26から送信される検知信号を受信して吸盤23によるテープ1の吸着保持が完了したものと判断する。
【0024】
すると、制御部40は、搬送機構20の動作を制御して該搬送機構20を図3に示すように廃棄部10の上方へと移動させる。そして、この状態から制御部40が昇降機構30を駆動して搬送機構20を-Z軸方向に下降させる。
【0025】
上述のように、4つの吸盤23によってテープ1を吸着保持した搬送機構20が-Z軸方向に下降すると、前述のように、廃棄部10の一対の爪部13の先端(傾斜部13aの先端)間の距離Lは、テープ1の開口1aの内径φDよりも僅かに大きく設定されているため(L>φD)、図4(a)に示すように、テープ1の開口1aの内周が、柱12の上端から開口1aの径方向外側に延在する一対の爪部13(図4(a)には1つのみ図示)の先端(傾斜部13aの先端)に当接しながら爪部13に接触した部分の開口1aの一部が広がるように弾性変形する結果、図4(b)に示すように、テープ1の開口1aが一対の爪部13を通過し、この開口1aに一対の柱12が進入する。
【0026】
図4(b)に示すように、テープ1の開口1aが一対の爪部13を通過すると、制御部40は、図4(c)に示すように、エア噴射機構28を駆動してエアを各吸盤23から下方に向けて噴射するとともに、昇降機構30を駆動して搬送機構20を+Z軸方向に上昇させる。すると、エアの噴射によってテープ1が各吸盤23から離れ易くなるとともに、テープ1の開口1aが一対の爪部13の先端部(傾斜部13a)に引っ掛かるため、テープ1が吸盤23から確実に離脱し、図4(d)に示すように、テープ1が下方へと落下する。そして、この落下するテープ1は、既に廃棄部10に収容された他のテープ1の上に重ねられる。
【0027】
以上の動作を繰り返すことによって、図5に示すように、廃棄部10には複数のテープ1が重ねられた状態で廃棄されるが、このように重ねられた複数のテープ1は、一対の柱12によって横ずれが防がれるため、廃棄部10に複数のテープ1が整然と重ねられた状態で廃棄される。そして、廃棄部10に所定枚数のテープ1が廃棄されると、図6に示すように、廃棄部10を一対のガイドレール16に沿って載置テーブル15上を矢印方向(+X軸方向)にスライドさせ、図7に示すようにステー14を把持して上方に持ち上げる。すると、廃棄部10の下端の十字状の下部ベース11Bのスライドテーブル11Aの嵌合溝11aとの嵌合が外れ、下部ベース11Bによって下方から支持された複数のテープ1を不図示のゴミ箱へと搬送し、複数のテープ1をゴミ箱内へと廃棄することができる。
【0028】
次に、本発明の変形例について説明する。
<変形例1>
上記実施の形態では、廃棄部10の一対の爪部13を各柱12の上端にそれぞれ固定したが、図8に示すように、各爪部13を、その基端部が各柱12に対して軸17を中心として上下に回動可能に支持するようにしても良い。この場合、各爪部13は、各支柱12の上端部の溝12aに収容された不図示のスプリングによって上方向に付勢されており、これに下向きの外力が作用していないときには、図示のように水平状態を維持している。
【0029】
搬送機構20の各吸盤23に吸着保持されたテープ1を廃棄部10に廃棄する際、テープ1の開口1aが各爪部13を通過するときには、図9(a)に示すように、テープ1の開口1aの周縁が各爪部13(図9(a)には1つのみ図示)の先端部に当接して各爪部13を軸17を中心として下方(矢印方向)に回動させるため、テープ1の開口1aが爪部13を無理なくスムーズに通過することができる。
そして、テープ1の開口1aが爪部を通過すると、図9(b)に示すように、爪部13が不図示のスプリングの付勢力によって軸17を中心として矢印方向に回動し、元の水平状態に復帰する。
【0030】
<変形例2>
以上の実施の形態では、廃棄部10に2つの柱12を立設し、各柱12の上端に爪部13をそれぞれ取り付けたが、図10に示すように、4つの柱12を立設し、各柱12の上端に爪部13をそれぞれ取り付けるようにしても良い。この場合、各爪部13は、テープ1の開口1aと外周との間の距離が短い箇所(矩形のテープ1の各辺の中央部分に対応する箇所)に配置される。
【0031】
上記のように廃棄部10に4つの柱12を立設することによって、廃棄部10に廃棄された複数のテープ1の横ずれを一層効果的に防ぐことができる。また、各爪部13をテープ1の開口1aと外周との間の距離が短い箇所に配置することによって、テープ1の開口1aが各爪部13を通過する際に該開口1aが広がり易くなり、開口1aの爪部13の通過が一層容易且つスムーズになされる。
【0032】
なお、柱12の数は、複数であれば任意であって、5つ以上であっても良い。また、各爪部13を図8に示すように軸17を中心として各柱12に回動可能に支持するとともに、各爪部13を不図示のスプリングによって一方向(水平状態を保つ方向)に付勢する構成を採用しても良い。
【0033】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1:テープ、1a:テープの開口、10:廃棄部、11:基台、
11A:スライドテーブル、11B:下部ベース、11a,11b:篏合溝、
12:柱、12a:柱の溝、13:爪部、13a:爪部の傾斜部、14:ステー、
15:載置テーブル、16ガイドレール、17:軸、20:搬送機構、
21:搬送パッド、22:支持フレーム、23:吸盤、24:軸、25:ドグ、
25a:遮光板、26:センサ、26a:センサの凹部、27:コイルスプリング、
28:エア噴射機構、30:昇降機構、31:ロッド、40:制御部、
φD:テープの開口の内径、L:爪部の先端間の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10