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  • 特開-容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172343
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20231129BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65D77/00 B
B65D77/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084055
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】窪田 周平
(72)【発明者】
【氏名】勝又 基成
(72)【発明者】
【氏名】皆川 健一朗
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB26
3E067AB81
3E067AC01
3E067BA06C
3E067BA11B
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB15A
3E067BB15B
3E067EB17
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA01
3E067FA04
3E067FB15
3E067FC01
3E067GA01
(57)【要約】
【課題】廃棄時にきわめて容易にリサイクルに供することが可能で廃棄時における環境負荷の小さな合成樹脂製の容器を提供する。
【解決手段】容器1は、外装箱の内部に収納されて使用される所謂、バッグインボックスの内袋であり、内容物(液体等)を収容するための合成樹脂フィルムからなる容器本体2と、その容器本体2の上面の開口部に固着される合成樹脂製の注出口部材3とによって構成されている。そして、容器1においては、容器本体2を構成する合成樹脂フィルム、および、注出口部材3が、同じ直鎖状低密度ポリエチレンによって形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のフィルムからなる袋状の容器本体と、
前記容器本体の開口部に装着される合成樹脂製の注出口部材とからなる容器であって、
前記容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料と、
前記注出口部材を構成する樹脂の原料とが同一であることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記合成樹脂フィルム、および、前記注出口部材が単層構造のものであることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料、および、前記注出口部材を構成する樹脂の原料が直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1、または2に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種の液体や半固形物等を収容(収納)するための合成樹脂製の容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料水、薬品、化粧品、インキ、溶剤等の各種の液体や半固形物を収容するための容器として、内容物を収納可能な合成樹脂フィルム製の容器本体の上部に、内容物を注出するための合成樹脂製の注出口部材を装着した容器が広く用いられている。また、そのような合成樹脂製の容器の中には、特許文献1の如く、紙製の外装箱の内部に収納された状態で、二重容器(所謂、バッグインボックス)の内袋として使用されるものもある。当該バッグインボックスは、紙製の外箱を併用することで合成樹脂フィルムからなる包装袋の欠点である脆弱性と不定形性を補うことができる上、使用後(内容物を消費した後)に廃棄する際に折り畳んで減容することができる、という優れた機能を有している。
【0003】
上記したバッグインボックスの内袋は、通常、廃棄時に折り畳み易いように、容器本体が柔軟性の高い低密度ポリエチレンからなるフィルムによって形成されており、注出口部材は、キャップと螺合させて密封するために、相当の硬度を発現し得るポリエステルや高密度ポリエチレン等によって形成されている。
【0004】
また、近年、上記したバッグインボックスの内袋のような合成樹脂(プラスチック)製の容器を廃棄する際には、環境への負荷を低減するために、リサイクルが進められており、回収した廃プラスチックを粉砕した後に溶融させて再びプラスチック製品として再利用する方法(マテリアルリサイクル)や、廃プラスチックを分子レベルまで分解して樹脂のみならず種々の化学物質として再利用する方法(ケミカルリサイクル)等が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-52583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のバッグインボックスの内袋等の合成樹脂製の容器は、容器本体と注出口部材とが別々の原料によって形成されているため、廃棄時にリサイクルに供する場合には、容器本体と注出口部材とを分別しなければならず、その分別作業に手間が掛かる、という不具合があった。特に、ケミカルリサイクルをする場合には、容器本体と注出口部材とを完全に分離・分別しなければならないため、その傾向がより顕著なものとなる。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の合成樹脂製の容器が有する問題点を解消し、廃棄時にきわめて容易にリサイクルに供することが可能で廃棄時における環境負荷の小さな合成樹脂製の容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、合成樹脂製のフィルムからなる袋状の容器本体と、前記容器本体の開口部に装着される合成樹脂製の注出口部材とからなる容器であって、前記容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料と、前記注出口部材を構成する樹脂の原料とが同一であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記合成樹脂フィルム、および、前記注出口部材が単層構造のものであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、前記容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料、および、前記注出口部材を構成する樹脂の原料が直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の容器は、容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料と、注出口部材を構成する樹脂の原料とが同一であるため、使用後に廃棄してリサイクル(特に、ケミカルリサイクル)する場合に、容器本体と注出口部材とを分別する必要がないので、容易にリサイクルに供することができ、環境への負荷が小さい。
【0012】
請求項2に記載の容器は、合成樹脂フィルム、および、注出口部材が単層構造のものであるため、使用後に廃棄してケミカルリサイクルする場合でも、そのまま回収してリサイクルに供することができるので、リサイクル作業をきわめて容易なものとすることが可能である。
【0013】
請求項3に記載の容器は、容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料、および、注出口部材を構成する樹脂の原料が低密度ポリエチレンであるため、ケミカルリサイクルする場合に、高い温度を加える必要がないため、環境の負荷がきわめて小さい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】容器を示す説明図(斜視図)である。
図2】注出口部材を示す説明図(正面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る容器は、合成樹脂製のフィルムからなる袋状の容器本体と、容器本体の開口部に装着される合成樹脂製の注出口部材とからなるものである。すなわち、本発明に係る容器としては、注出口部材として所謂スパウト等を設けたガゼット袋、パウチや、紙製の外装箱の内部に収納されて用いられるバッグインボックスの内袋等を挙げることができる。なお、本発明に係る容器をバッグインボックスの内袋として用いる場合には、当該内袋の大きさ(すなわち、内容量)は、特に限定されないが、1~35リットルの液体を収容可能な程度の大きさであると取り扱いが容易となるので好ましい。また、当該内袋の形状も、特に限定されないが、折り畳み性、取り扱い性の観点から、略立方体形状であると好ましい。
【0016】
また、容器本体の成形原料、および、注出口部材の成形原料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、あるいは、それらの1種または2種以上の混合物や変性物を用いることができるが、低密度ポリエチレン(LDPE)あるいは直鎖状低密度ポリエチレンを用いると、容器本体や注出口部材の加工が容易なものとなる上、廃棄した際のリサイクル(特に、ケミカルリサイクル)が容易なものとなるので好ましい。加えて、容器本体の成形原料、および、注出口部材の成形原料として、石油由来のポリエチレンを単独で、あるいは、他の合成樹脂と混合して用いると、製造時の環境負荷が低減されるので好ましい。
【0017】
そして、本発明に係る容器においては、容器本体を構成する合成樹脂フィルムの原料と、注出口部材を構成する合成樹脂の原料とを同一にすることが必要である。そのように同一の原料を用いることによって、使用後に廃棄してリサイクル(特に、ケミカルリサイクル)する場合に、容器本体と注出口部材とを分別する必要がなくなり、容易にリサイクルに供することが可能となる。なお、原料が同一とは、原料である合成樹脂の種類が同じであることを意味するが、容器本体および注出口部材の原料である合成樹脂の分子量、分子量分布や、滑剤等の添加物をも同一にすると、よりケミカルリサイクルをし易くなるので好ましい。
【0018】
それゆえ、容器本体を構成する合成樹脂フィルムとしては、原料が異なる2種類以上の合成樹脂フィルムを積層したラミネートフィルム等を用いることはできず、単層のものを用いるのが好ましい。加えて、容器本体を構成する合成樹脂フィルムは、溶融押出成形された後に、(注出口部材と同様に)延伸処理や融点以上の熱処理が施されていないものが好ましい。
【実施例0019】
以下、本発明に係る容器について、実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
【0020】
図1は、容器を示したものであり、容器1は、バッグインボックスの内袋であり、内容物(液体等)を収容するための容器本体2と、その容器本体2の上面の開口部に固着される注出口部材3とによって構成されている。
【0021】
容器本体2は、原料として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いて真空成形法(中空成形法)によって成形されたものである。すなわち、容器本体2は、原料であるLLDPEを、双頭ダイを備えた押出機を利用して130℃の温度で溶融押出しし、それらの2枚のシート状溶融膜を真空成形用金型に導入した後、金型をピンチし、金型の内部を真空に脱気して成形し、しかる後に冷却することによって成形したものである。上記した方法により形成される容器本体2は、厚さ約50μmの透明なLLDPEフィルムからなる中空の立方体状であり、上面に開口部(図示せず)が穿設されている。なお、表1は、容器本体2の原料であるLLDPEの特性を測定したものであり、表2は、容器本体2を構成する合成樹脂フィルムの特性を測定したものである。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
一方、注出口部材3は、外周にネジ山を有する円筒状に形成された口部材3aと、上端にフランジを有する扁平な円筒状に形成されたリング部材3bとによって構成されており、それらの口部材3a、リング部材3bとも、容器本体2の原料と同じ(分子量分布、添加物の種類・量等も同一の)LLDPEを用いて、射出成形することによって形成されたものである。口部材3aは、周壁筒の基端側(下端側)に周壁筒よりも大径の台座部が形成されており、当該台座部の外周面に周溝が形成されている。
【0025】
そして、当該口部材3aは、周溝の形成部分に、容器本体(LLDPEフィルム)2の開口部(図示せず)の周縁を引き込むとともに、加熱して径を大きくしたリング部材3bを、周溝の外側に嵌め込んで冷却することにより、容器本体2の開口部の周縁を、台座部の周溝形成部分とリング部材3bとで挟み込む(かしめる)ことによって、容器本体2に取り付けられている。
【0026】
上記のように構成された容器1は、容器本体2の内部に液体等を充填し、注出口部材3の口部材3aの先端に合成樹脂製のキャップ(図示せず)を螺着させて密封した状態で、外装箱(図示せず)の内部に収納されて使用される。そして、使用後には、外装箱から取り出してキャップを取り外した状態で、そのままリサイクル(ケミカルリサイクル等)に供することができる。
【0027】
<容器の効果>
容器1は、上記の如く、容器本体2を構成する合成樹脂フィルムの原料と、注出口部材3を構成する樹脂の原料とが同一(同じ特性を有する同じ種類の樹脂)であるため、使用後に廃棄してリサイクル(特に、ケミカルリサイクル)する場合に、容器本体2と注出口部材3とを分別する必要がないので、容易にリサイクルに供することができ、環境への負荷小さい。
【0028】
また、容器1は、容器本体2を構成する合成樹脂フィルム、および、注出口部材がいずれも単層構造のものである(すなわち、積層フィルム等ではない)ため、使用後に廃棄してケミカルリサイクルする場合でも、そのまま回収してリサイクルに供することができるので、リサイクル作業をきわめて容易なものとすることが可能である。
【0029】
さらに、容器1は、容器本体2を構成する合成樹脂フィルムの原料、および、注出口部材3を構成する樹脂の原料が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であるため、ケミカルリサイクルする場合に、高い温度を加える必要がないので、環境への負荷がきわめて小さい。
【0030】
<容器の変更例>
本発明に係る容器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、容器本体、注出口部材の材質、形状、構造、大きさ等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0031】
たとえば、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、容器本体および注出口部材がLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)であるものに限定されず、通常の低密度ポリエチレン等の他の合成樹脂(熱可塑性樹脂)によって形成されたものでも良い。また、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、注出口部材が口部材とリング部材とからなるものに限定されず、注出口部材が単一の部材からなるものに変更することも可能である。さらに、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、注出口部材が容器本体にかしめ装着されるものに限定されず、注出口部材が容器本体に融着されるもの等でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る容器は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、食品、化粧品や薬品をはじめとする各種の液状物、半固形物等を収容するための容器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1・・容器
2・・容器本体
3・・注出口部材
3a・・口部材
3b・・リング部材
図1
図2