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特開2023-172374メス型端子、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172374
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】メス型端子、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/187 20060101AFI20231129BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01R13/187 B
H01B7/00 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084118
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智明
(72)【発明者】
【氏名】樋口 貴之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 猛
(72)【発明者】
【氏名】和田 卓十
【テーマコード(参考)】
5G309
【Fターム(参考)】
5G309FA04
5G309FA05
(57)【要約】
【課題】電線等が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できるメス型端子、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】バネ部材30は、側壁21と側壁21の間に配置されるとともに、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かう高さ方向Hに延設されて接続ブレード3に接触するアーム状のアームバネ35を有し、アームバネ35は、高さ方向Hに対して交差する長手方向Lに複数配置されるとともに、複数のアームバネ35のうちの四つが他のアームバネ35よりも高弾性である高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jとされ、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jは、長手方向Lの両側の端側部分に配置されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス型端子と電気的に接続されるバネ部材、及び、前記バネ部材と電気的に接続される基台部を有する端子本体が設けられ、
前記基台部は、前記オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有し、
前記バネ部材は、前記側壁と前記側壁の間に配置されるとともに、前記挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて前記オス型端子に接触するアーム状の接点バネ部を有し、
前記接点バネ部は、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置されるとともに、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも一つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部とされ、
前記高弾性接点バネ部は、前記交差方向の両側の端側部分のうちの少なくとも一方側の端側部分に配置された
メス型端子。
【請求項2】
前記高弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が広く形成された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項3】
前記高弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べて基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが短く形成された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項4】
前記高弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が広く、且つ基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが短く形成された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項5】
複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも一つが他の前記接点バネ部よりも低弾性である低弾性接点バネ部とされ、
前記低弾性接点バネ部は、前記交差方向の中央部分に配置された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項6】
前記低弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が狭く形成された
請求項5に記載のメス型端子。
【請求項7】
前記低弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べて基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが長く形成された
請求項5に記載のメス型端子。
【請求項8】
前記低弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が狭く、且つ基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが長く形成された
請求項5に記載のメス型端子。
【請求項9】
前記バネ部材は、前記側壁のそれぞれに対して装着された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項10】
前記バネ部材は、前記接点バネ部の基部に対向して当該基部とともに前記側壁を把持する把持板を有し、当該把持板が前記側壁の外側に配置された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項11】
前記接点バネ部の先端は、隣接する他の前記接点バネ部から独立して設けられた
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項12】
前記接点バネ部は、前記オス型端子との接触箇所に当該オス型端子の側に突出する突出部を設けた
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項13】
前記接点バネ部は、当該接点バネ部の基部から先端縁に向かって徐々にアーム幅が小さくなるように形成された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のうちいずれかに記載のメス型端子が電線に接続された
端子付き電線。
【請求項15】
請求項1乃至請求項13のうちいずれかに記載のメス型端子がコネクタハウジングに収容された
メス型コネクタ。
【請求項16】
請求項14に記載の端子付き電線を構成する前記メス型端子がコネクタハウジングに収容された
コネクタ付き電線。
【請求項17】
請求項14に記載の端子付き電線を含む
ワイヤーハーネス。
【請求項18】
請求項16に記載のコネクタ付き電線を含む
ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、大電流用のワイヤーハーネスに用いられるメス型端子、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の電装機器は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを介して別の電装機器や電源装置と接続され、電気回路を構成している。ワイヤーハーネスと電装機器ならびにワイヤーハーネスと電源装置は、それぞれの接続端子によって電気的に接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示すメス型端子は、コネクタハウジングの収容空間に収容されており、かかるコネクタハウジングとオス型端子が収容された相手側のコネクタハウジングとが接続されると、メス型端子の内部にオス型端子が挿入されて電気的に接続されることとなる。
【0004】
また、例えば駆動系電気回路の大電流用のワイヤーハーネスに用いられるメス型端子は、厚みのある端子板材で構成される必要があるところ、厚みのある端子板材で構成されたメス型端子は、弾性力が低下するため、オス型端子に対する付勢力が低下し、ひいては導電性が低下するおそれがあった。そのため、このようなメス型端子においては、厚みのある端子板材で基台部を構成し、かかる基台部に高い弾性力を有するバネ部材が装着されている。
【0005】
ところで、このようなメス型端子のバネ部材は、オス型端子が挿入される挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に対して交差する交差方向に複数の接点バネ部を有し、それぞれの接点バネ部が挿入されたオス型端子に付勢力を作用させる。そのため、各接点バネ部がオス型端子に密着し、確実に導電させることが可能となる。しかしながら、大きな電流が流れる電線は大径化しているため、メス型端子とオス型端子とが接続した状態において電線が振動すると、各接点バネ部における接触状態が不安定となり、導電性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-245701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電線等が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できるメス型端子、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、オス型端子と電気的に接続されるバネ部材、及び、前記バネ部材と電気的に接続される基台部を有する端子本体が設けられ、前記基台部は、前記オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有し、前記バネ部材は、前記側壁と前記側壁の間に配置されるとともに、前記挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて前記オス型端子に接触するアーム状の接点バネ部を有し、前記接点バネ部は、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置されるとともに、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも一つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部とされ、前記高弾性接点バネ部は、前記交差方向の両側の端側部分のうちの少なくとも一方側の端側部分に配置されたメス型端子である。
本発明におけるアーム状の接点バネ部とは、一方側が固定端とされて他方側が自由端とされた片持ち支持構造の接点バネ部であることを意味している。
【0009】
またこの発明は、上述のメス型端子が電線に接続された端子付き電線であること、上述のメス型端子がコネクタハウジングに収容されたメス型コネクタであること、上述の端子付き電線を構成するメス型端子がコネクタハウジングに収容されたコネクタ付き電線であること、上述の端子付き電線及び上述のコネクタ付き電線の少なくとも一方を含むワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0010】
この発明により、電線等が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できる。
詳述すると、メス型端子は、オス型端子と電気的に接続されるバネ部材、及び、バネ部材と電気的に接続される基台部を有する端子本体が設けられ、基台部は、オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有している。また、バネ部材は、側壁と側壁の間に配置されるとともに、挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されてオス型端子に接触するアーム状の接点バネ部を有している。そのため、挿入されたオス型端子に対してバネ部材の一部である接点バネ部を押し付けて密着させることができる。
【0011】
また、接点バネ部は、挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置されるため、挿入されたオス型端子に対して複数箇所で接触することとなり、複数の導電路を確保することが可能となる。また、例えば、オス型端子における接点バネ部との接触箇所に凹凸があったとしても、それぞれの接点バネ部が追従するため、確実にオス型端子と接点バネ部とを接触させることが可能となる。さらに、それぞれの接点バネ部の変形荷重が小さくなるため、オス型端子を挿入する際の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0012】
また、複数の接点バネ部のうちの少なくとも一つが他の接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部とされ、高弾性接点バネ部は、交差方向の両側の端側部分のうちの少なくとも一方側の端側部分に配置されている。そのため、電線等が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できる。
【0013】
つまりは、電線等の振動が接続状態のメス型端子及びオス型端子に伝わると、交差方向の少なくとも一方側の端側部分、すなわち交差方向の少なくとも一方側の端にあたるある程度の幅をもった所定部分に振動の影響が出やすくなるところ、かかる部分に高弾性接点バネ部を配置しているため、他の接点バネ部による付勢力よりも高い付勢力を作用させることができ、接点バネ部を確実に密着させて接触状態の不安定化を抑制することが可能となる。そのため、電線等が振動しても全ての接点バネ部の接触状態が良好となるので、導電性が低下することを防止できる。
【0014】
この発明の態様として、前記高弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が広く形成されてもよい。
この発明により、オス型端子の挿入による接点バネ部の変形量を変えずに、他の接点バネ部に比べて弾性力の高い高弾性接点バネ部を構成することができる。なお、高弾性接点バネ部のアーム幅を調整することで高弾性接点バネ部の弾性力を所望の値に調整することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記高弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べて基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが短く形成されてもよい。
この発明により、他の接点バネ部に比べて弾性力の高い高弾性接点バネ部を構成することができる。なお、高弾性接点バネ部のアーム長さを調整することで高弾性接点バネ部の弾性力を所望の値に調整することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記高弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が広く、且つ基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが短く形成されてもよい。
この発明により、他の接点バネ部に比べて弾性力の高い高弾性接点バネ部を構成することができる。なお、高弾性接点バネ部のアーム幅及びアーム長さを調整することで高弾性接点バネ部の弾性力を所望の値に調整することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも一つが他の前記接点バネ部よりも低弾性である低弾性接点バネ部とされ、前記低弾性接点バネ部は、前記交差方向の中央部分に配置されてもよい。
この発明により、全ての接点バネ部を確実に密着させて接触状態の不安定化を抑制しつつも、オス型端子を挿入する際の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0018】
つまりは、電線等の振動が接続状態のメス型端子及びオス型端子に伝わったとしても、交差方向の中央部分、すなわち交差方向の中央にあたるある程度の幅をもった所定部分には振動の影響が出にくいところ、かかる部分に低弾性接点バネ部を配置しているため、他の接点バネ部による付勢力よりも低い付勢力を作用させることができ、接点バネ部を確実に密着させて接触状態の不安定化を抑制しつつも、オス型端子を挿入する際の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記低弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が狭く形成されてもよい。
この発明により、オス型端子の挿入による接点バネ部の変形量を変えずに、他の接点バネ部に比べて弾性力の低い低弾性接点バネ部を構成することができる。なお、低弾性接点バネ部のアーム幅を調整することで低弾性接点バネ部の弾性力を所望の値に調整することができる。また、バネ部材の交差方向の長さを短縮化できるため、コンパクトなメス型端子を構成することも可能となる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記低弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べて基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが長く形成されてもよい。
この発明により、他の接点バネ部に比べて弾性力の低い低弾性接点バネ部を構成することができる。なお、低弾性接点バネ部のアーム長さを調整することで低弾性接点バネ部の弾性力を所望の値に調整することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記低弾性接点バネ部は、他の前記接点バネ部に比べてアーム幅が狭く、且つ基部から前記オス型端子に接触する接点部までのアーム長さが長く形成されてもよい。
この発明により、他の接点バネ部に比べて弾性力の低い低弾性接点バネ部を構成することができる。なお、低弾性接点バネ部のアーム幅及びアーム長さを調整することで低弾性接点バネ部の弾性力を所望の値に調整することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記バネ部材は、前記側壁のそれぞれに対して装着されてもよい。
この発明により、挿入されたオス型端子をバネ部材で挟み込むことができるため、接続状態のメス型端子及びオス型端子を安定させることができるとともに、複数の導電路を確保することが可能となる。したがって、より導電性を向上させることが可能となる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記バネ部材は、前記接点バネ部の基部に対向して当該基部とともに前記側壁を把持する把持板を有し、当該把持板が前記側壁の外側に配置されてもよい。
この発明により、接点バネ部の基部と把持板とで側壁を把持することができるため、側壁に対して接点バネ部を安定させることが可能となる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記接点バネ部の先端は、隣接する他の前記接点バネ部から独立して設けられてもよい。
この発明により、例えば、オス型端子における接点バネ部との接触箇所に凹凸があったとしても、それぞれの接点バネ部が柔軟に追従するため、確実にオス型端子と接点バネ部とを接触させることが可能となる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記接点バネ部は、前記オス型端子との接触箇所に当該オス型端子の側に突出する突出部を設けてもよい。
この発明により、例えば、オス型端子における接点バネ部との接触箇所に凹凸があったとしても、突出部の頂点部分がオス型端子に接触していわゆる片当たりを防ぐため、確実にオス型端子と接点バネ部とを接触させることが可能となる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記接点バネ部は、当該接点バネ部の基部から先端縁に向かって徐々にアーム幅が小さくなるように形成されてもよい。
この発明により、電線等の振動が接続状態のメス型端子及びオス型端子に伝わったとしても、接点バネ部における先端縁に近い部分が変形しやすいため、メス型端子からオス型端子への振動の伝達あるいはオス型端子からメス型端子への振動の伝達を吸収することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、電線等が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できるメス型端子、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】コネクタ付き電線の斜視図。
図2】メス型端子の斜視図。
図3】メス型端子の分解斜視図。
図4】メス型端子を図2における矢印Xの方向から視た正面図。
図5】メス型端子を図2における矢印Yの方向から視た側面図。
図6】メス型端子を図2における矢印Zの方向から視た平面図。
図7】メス型端子の図6におけるA-A矢視断面図。
図8】メス型端子の図6におけるB-B矢視断面図。
図9】メス型端子の内側に接続ブレードが挿入された状態の図8におけるC-C矢視断面図及びD-D矢視断面図及びE-E矢視断面図。
図10】メス型端子における各アームバネが作用させる付勢力の説明図。
図11】他の実施形態に係るメス型端子の断面図。
図12】メス型端子の内側に接続ブレードが挿入された状態の図11におけるF-F矢視断面図及びG-G矢視断面図及びH-H矢視断面図。
図13】他の実施形態に係るメス型端子の断面図。
図14】メス型端子の内側に接続ブレードが挿入された状態の図13におけるI-I矢視断面図及びJ-J矢視断面図及びK-K矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図面とともに詳述する。
図1はコネクタ付き電線1の斜視図を示している。図1(a)はコネクタ付き電線1の斜視図であり、図1(b)はコネクタハウジング2を透過状態としたコネクタ付き電線1の斜視図である。
【0030】
図2はメス型端子10の斜視図を示し、図3はメス型端子10の分解斜視図を示している。図4はメス型端子10を図2における矢印Xの方向から視た正面図を示し、図5はメス型端子10を図2における矢印Yの方向から視た側面図を示し、図6はメス型端子10を図2における矢印Zの方向から視た平面図を示している。
【0031】
また、図7図6におけるA-A矢視断面図を示している。図8図6におけるB-B矢視断面図を示している。図9はメス型端子10の内側に接続ブレード3が挿入された状態の図8におけるC-C矢視断面図及びD-D矢視断面図及びE-E矢視断面図を示している。そして、図10はメス型端子10における各アームバネ35が作用させる付勢力の説明図である。
【0032】
以下において説明するメス型端子10は、オス型端子の平板状の接続ブレード3(図9参照)と電気的に接続されるバネ部材30、及び、バネ部材30と電気的に接続される基台部20とを有しており、図1に示すように、コネクタハウジング2の内部に配置されてコネクタ付き電線1を構成している。
【0033】
電線5は、内部の導体6を絶縁被覆で被覆した大電流用の丸電線であり、電線5の先端において絶縁被覆が剥がされて露出する導体6にメス型端子10が接続されたものを端子付き電線4と称する。
【0034】
コネクタハウジング2は、略直方体形状のハウジング部2aと、ハウジング部2aから延びる電線挿通部2bとを有しており、電線挿通部2bから挿通された端子付き電線4のメス型端子10がハウジング部2aの内部の収容空間2cに配置される。
【0035】
メス型端子10が配置される収容空間2cは、ハウジング部2aにおいて電線挿通部2bが配置された側と反対側に開口されており、外部からメス型端子10を望むことができる。コネクタ付き電線1は、2本の端子付き電線4が装着され、ハウジング部2aの内部の収容空間2cにおいてメス型端子10が隣接して配置されている。
【0036】
このように、コネクタ付き電線1は、ワイヤーハーネスの端部を構成したり、ワイヤーハーネスの幹線から分岐した枝線の端部を構成したりしており、コネクタハウジング2と図示省略する相手側のコネクタハウジングとが接続されると、メス型端子10の内側にオス型端子の接続ブレード3(図9参照)が挿入されて電気的に接続されることとなる。
【0037】
図2及び図3に示すように、メス型端子10は、電線接続部11及び端子接続部12が設けられている。端子接続部12は、無端状溶接部40によって導電可能に固定された基台部20とバネ部材30とを有している。そして、電線接続部11と端子接続部12(基台部20)とで端子本体15を構成している。
【0038】
なお、以下の説明においては、端子本体15における電線接続部11と端子接続部12とを直列配置した方向(図2及び図3において左上と右下を結ぶ方向)を長手方向Lとし、電線接続部11が設けられた側を基端側Lb、その逆側を先端側Ltとしている。また、長手方向Lに直交する方向(図2及び図3における上下方側)を高さ方向Hとし、挿入空間12Xが開口された側を上方側Hu、その逆側を下方側Hdとしている。さらに、長手方向Lと高さ方向Hに直交する方向(図2及び図3において左下と右上を結ぶ方向)を幅方向Wとし、電線接続部11が設けられた側壁21の側を奥側Wb、その逆側を手前側Wfとしている。
【0039】
電線接続部11は、電線5の導体6が接続される部位である。電線接続部11は、端子接続部12を構成する基台部20の奥側Wbの側壁21と連続しており、長手方向L且つ高さ方向Hに延びる板状に形成されている。電線接続部11における端子接続部12との境界部分には、上方側Huに切欠部11aが設けられ、下方側Hdに切欠部11bが設けられている。
【0040】
端子接続部12は、接続ブレード3(図9参照)が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21と、それぞれの側壁21の下端部分を連結する側壁連結部22とを有している。端子接続部12は、これら側壁21及び側壁連結部22で構成される導電性の基台部20と、挿入空間12Xに挿入された接続ブレード3に対して付勢力を作用させて接触する導電性のバネ部材30とを有している。
【0041】
詳述すると、基台部20は、電線接続部11の先端側Ltに配置されており、長手方向L且つ高さ方向Hに沿う平面状の側壁21が幅方向Wに所定間隔を隔てて2枚設けられ、これら側壁21の下方側Hdの端部同士を幅方向Wに連結する側壁連結部22を有している。また、手前側Wfの側壁21には、先端側Ltに延出された部分が奥側Wbに向かって曲げられることにより、フック部23が形成されている。
【0042】
また、本実施形態に係るメス型端子10おいては、上述したように、幅方向Wにおける奥側Wbの側壁21が電線接続部11と長手方向Lに連続している。そして、奥側Wbの側壁21に対して手前側Wfの側壁21が所定間隔を隔てて平行に配置されており、これら側壁21の下方側Hdの端部同士が側壁連結部22によって連結されることにより、高さ方向Hの上方側Huが開口されたU字状に形成されている。
【0043】
なお、電線接続部11及び端子接続部12(基台部20)で構成された端子本体15は、銅合金等の導電性を有する金属製の板材である端子板材を所定形状に切り抜き、折り曲げることによって上述の形状に形成されている。端子本体15は、大電流に対応するように所定の厚みを有する厚板で構成されている。また、端子本体15は、スズメッキ等のメッキ処理が施されていない非メッキ部材である。但し、導電性を向上させるためにメッキ処理が施されてもよいし、例えば電線接続部11に部分的にメッキ処理が施されてもよい。
【0044】
バネ部材30は、基台部20におけるそれぞれの側壁21に装着される。これらバネ部材30は、二つ一組で使用され、挿入空間12Xに挿入された接続ブレード3(図9参照)を挟み込むように付勢力が作用する構成とされている。
【0045】
具体的に説明すると、バネ部材30は、長手方向Lから視て下方側Hdが開口する逆U字状に形成されている。バネ部材30は、側壁21の内側面に沿う内板31と、側壁21の外側面に沿う外板32と、内板31と外板32の上方側Huの端部同士を幅方向Wに連結する鍔板33とを有している。そして、側壁21と外板32が略四角状の無端状溶接部40にて溶接されている。但し、側壁21と内板31あるいは側壁21と鍔板33が溶接されてもよいし、基台部20が側壁21に溶接固定されていなくてもよい。
【0046】
また、バネ部材30は、外板32から長手方向Lに沿って延設されるとともに、内板31の側に垂直に折り曲げられた止板34を有している。そのため、バネ部材30を幅方向Wにおける奥側Wbの側壁21に装着すると、かかる側壁21の先端面に止板34が当接することとなる。反対に、バネ部材30を幅方向Wにおける手前側Wfの側壁21に装着すると、かかる側壁21の基端面に止板34が当接することとなる。かかる止板34は、基台部20に対するバネ部材30の位置決めに用いられる。
【0047】
さらに、バネ部材30は、図7に示すように、内板31における下方側Hdの端縁から対向する他方の側壁21に向かって斜めに延出されるアームバネ35を有している。アームバネ35は、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かうにつれて対向する側壁21に対して徐々に近接するアーム部351と、アーム部351の所定箇所から折り曲げられて徐々に離間するアーム先端部352とを有している。そして、アーム部351とアーム先端部352の境界部分には、対向する側壁21に向かって突出する突出接点353が形成されている。かかる突出接点353は、挿入された接続ブレード3の側面に対して接触する(図9参照)。
【0048】
加えて、バネ部材30は、図8に示すように、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かう奥行方向(高さ方向H)に対して交差する交差方向(長手方向L)に片側十枚のアームバネ35を有している。これらのアームバネ35は、内板31との境界部分を基部Pbとする固定端とされており、全てのアームバネ35における先端縁が高さ方向Hにズレなく一致している。また、全てのアームバネ35における突出接点353も高さ方向Hにズレなく一致している。
そのため、これらのアームバネ35は、基部Pbを基点として接続ブレード3とアームバネ35の接触箇所である接点部Pcまでのアーム長さDmが全て等しいものとされている(図9参照)。
【0049】
ところで、本実施形態に係るメス型端子10においては、アームバネ35における長手方向Lの寸法が基部Pbから先端縁に向かって僅かに細くなるように形成されている。そして、その代表寸法あるいは平均寸法、少なくとも任意箇所の寸法であるアーム幅Dnが異なるものとされている。
【0050】
詳しくは、アーム幅Dnが三段階に異なるものとされている。以降に、長手方向Lの基端側Lbから先端側Ltに向かって並ぶアームバネ35を順にアームバネ35A~35Jとし、且つ三段階に異なるアーム幅Dnをアーム幅D1~D3として説明する。
【0051】
まず、アームバネ35C,35Dならびにアームバネ35G,35Hについて説明する。
アームバネ35Cは、基端側Lbから三番目に配置され、アームバネ35Dは、その先端側Ltに隣接して配置されている。他方で、アームバネ35Hは、先端側Ltから三番目に配置され、アームバネ35Gは、その基端側Lbに隣接して配置されている。
【0052】
これらのアームバネ35C,35D,35G,35Hのアーム幅D1は、互いに等しく設定されている。そのため、接続ブレード3の挿入による弾性変形により、かかる接続ブレード3に対して所定の付勢力Fが作用することとなる。
【0053】
次に、アームバネ35A,35Bならびにアームバネ35I,35Jについて説明する。
アームバネ35Aは、最も基端側Lbに配置され、アームバネ35Bは、その先端側Ltに隣接して配置されている。他方で、アームバネ35Jは、最も先端側Ltに配置され、アームバネ35Iは、その基端側Lbに隣接して配置されている。
【0054】
これらのアームバネ35A,35B,35I,35Jは、長手方向Lの両側の端側部分に配置されている。そして、アーム幅D2は、互いに等しく設定され、且つ上述のアーム幅D1よりも大きく設定されている。そのため、接続ブレード3の挿入による弾性変形により、かかる接続ブレード3に対して大きな付勢力Fが作用することとなる(図9(a)及び図9(c)参照)。
【0055】
次に、その他のアームバネ35であるアームバネ35Eとアームバネ35Fについて説明する。
アームバネ35Eは、基端側Lbから五番目に配置され、アームバネ35Fは、先端側Ltから五番目に配置されている。これらのアームバネ35E,35Fは、長手方向Lの中央部分において、互いに隣接して配置されている。そして、アームバネ35E,35Fは長さ方向の中間部分がアーム幅D3となるが、基部から先端に向かって細くなる略台形状に形成されている。なお、アーム幅D3は、互いに等しく設定され、且つ上述のアーム幅D1よりも小さく設定されている。そのため、接続ブレード3の挿入による弾性変形により、かかる接続ブレード3に対して小さな付勢力Fが作用することとなる(図9(b)参照)。なお、アームバネ35E,35Fについては、アーム幅D3を小さくすることで小さな付勢力Fが作用するように構成しているが、幅方向Wに貫通する貫通孔や切り欠きを設けることで小さな付勢力Fが作用するように構成してもよい。
【0056】
このような構成により、図10に示すように、長手方向Lの両側の端側部分において大きな付勢力Fが作用する。そして、長手方向Lの中央部分において小さな付勢力Fが作用する。これは、長手方向Lの両側の端側部分に振動の影響が出やすく、長手方向Lの中央部分に振動の影響が出にくいという特性に対応したものである。この点、長手方向Lの基端側Lbの端側部分のみに振動の影響が出やすい場合は、かかる端側部分において大きな付勢力Fが作用するようにすればよい。反対に、長手方向Lの先端側Ltの端側部分のみに振動の影響が出やすい場合は、かかる端側部分において大きな付勢力Fが作用するようにすればよい。
【0057】
以上のように、オス型端子と電気的に接続されるバネ部材30、及び、バネ部材30と電気的に接続される基台部20を有する端子本体15が設けられた本実施形態に係るメス型端子10において、基台部20は、オス型端子の接続ブレード3が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21を有している。そして、バネ部材30は、側壁21と側壁21の間に配置されるとともに、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かう高さ方向Hに延設されて接続ブレード3に接触するアーム状のアームバネ35を有している。アームバネ35は、高さ方向Hに対して交差する長手方向Lに複数配置されるとともに、複数のアームバネ35のうちの四つが他のアームバネ35よりも高弾性である高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jとされ、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jは、長手方向Lの両側の端側部分に配置されている。
【0058】
このようなメス型端子10によれば、例えば、電線5が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できる。
詳述すると、メス型端子10は、オス型端子と電気的に接続されるバネ部材30、及び、バネ部材30と電気的に接続される基台部20を有する端子本体15が設けられ、基台部20は、オス型端子の接続ブレード3が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21を有している。
【0059】
また、バネ部材30は、側壁21と側壁21の間に配置されるとともに、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かう高さ方向Hに延設されて接続ブレード3に接触するアーム状のアームバネ35を有している。そのため、挿入された接続ブレード3に対してバネ部材30の一部であるアームバネ35を押し付けて密着させることができる。
【0060】
また、アームバネ35は、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かう高さ方向Hに対して交差する長手方向Lに複数配置されるため、挿入された接続ブレード3に対して複数箇所で接触することとなり、複数の導電路を確保することが可能となる。
【0061】
また、例えば、接続ブレード3におけるアームバネ35との接触箇所に凹凸があったとしても、それぞれのアームバネ35が追従するため、確実に接続ブレード3とアームバネ35とを接触させることが可能となる。さらに、それぞれのアームバネ35の変形荷重が小さくなるため、接続ブレード3を挿入する際の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0062】
また、複数のアームバネ35のうちの四つが他のアームバネ35よりも高弾性である高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jとされ、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jは、長手方向Lの両側の端側部分に配置されている。そのため、例えば、電線5が振動しても接続ブレード3との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できる。
【0063】
つまりは、例えば、電線5の振動が接続状態のメス型端子10及びオス型端子に伝わると、長手方向Lの両側の端側部分、すなわち長手方向Lの両側の端にあたるある程度の幅をもった所定部分に振動の影響が出やすくなるところ、かかる部分に高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jを配置している。
【0064】
そのため、他のアームバネ35による付勢力Fよりも高い付勢力Fを作用させることができ、アームバネ35を確実に密着させて接触状態の不安定化を抑制することが可能となる。そのため、例えば、電線5が振動しても全てのアームバネ35の接触状態が良好となるので、導電性が低下することを防止できる。
【0065】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jは、他のアームバネ35に比べてアーム幅D2が広く形成されている。
このようなメス型端子10によれば、接続ブレード3の挿入によるアームバネ35の変形量を変えずに、他のアームバネ35に比べて弾性力の高い高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jを構成することができる。なお、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jのアーム幅D2を調整することで高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jの弾性力を所望の値に調整することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、複数のアームバネ35のうちの二つが他のアームバネ35よりも低弾性である低弾性アームバネ35E,35Fとされ、低弾性アームバネ35E,35Fは、長手方向Lの中央部分に配置されている。
このようなメス型端子10によれば、全てのアームバネ35を確実に密着させて接触状態の不安定化を抑制しつつも、接続ブレード3を挿入する際の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0067】
つまりは、例えば電線5の振動が接続状態のメス型端子10及びオス型端子に伝わったとしても、長手方向Lの中央部分、すなわち長手方向Lの中央にあたるある程度の幅をもった所定部分には振動の影響が出にくいところ、かかる部分に低弾性アームバネ35E,35Fを配置しているため、他のアームバネ35による付勢力よりも低い付勢力を作用させることができ、アームバネ35を確実に密着させて接触状態の不安定化を抑制しつつも、接続ブレード3を挿入する際の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、低弾性アームバネ35E,35Fは、他のアームバネ35に比べてアーム幅D3が狭く形成されているため、オス型端子の挿入によるアームバネ35の変形量を変えずに、他のアームバネ35に比べて弾性力の低い低弾性アームバネ35E,35Fを構成することができる。
【0069】
なお、低弾性アームバネ35E,35Fのアーム幅D3を調整することで低弾性アームバネ35E,35Fの弾性力を所望の値に調整することができる。また、バネ部材30の長手方向Lの長さを短縮化できるため、コンパクトなメス型端子10を構成することも可能となる。
【0070】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、バネ部材30は、側壁21のそれぞれに対して装着されているため、挿入された接続ブレード3をバネ部材30で挟み込むことができる。よって、接続状態のメス型端子10及びオス型端子を安定させることができるとともに、複数の導電路を確保することが可能となる。したがって、より導電性を向上させることが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、バネ部材30は、アームバネ35の基部Pbに対向して基部Pbとともに側壁21を把持する外板32を有し、外板32が側壁21の外側に配置されているため、アームバネ35の基部Pbと外板32とで側壁21を把持することができ、側壁21に対してアームバネ35を安定させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、アームバネ35は、隣接する他のアームバネ35と基部Pbは共通するものの、かかる基部Pbよりも下方側Hdである先端側はそれぞれ独立して設けられているため、例えば、接続ブレード3におけるアームバネ35との接触箇所に凹凸があったとしても、それぞれのアームバネ35が柔軟に追従するため、確実に接続ブレード3とアームバネ35とを接触させることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、アームバネ35は、接続ブレード3との接触箇所に接続ブレード3の側に突出する突出接点353を設けているため、例えば、接続ブレード3におけるアームバネ35との接触箇所に凹凸があったとしても、突出接点353の頂点部分が接続ブレード3に接触していわゆる片当たりを防ぐため、確実に接続ブレード3とアームバネ35とを接触させることが可能となる。
【0074】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、低弾性アームバネ35E,35Fは、アームバネ35の基部Pbから先端縁に向かって徐々にアーム幅Dnが小さくなるように略台形状に形成されているため、例えば、電線5の振動が接続状態のメス型端子10及びオス型端子に伝わったとしても、アームバネ35における先端縁に近い部分が変形しやすく、メス型端子10からオス型端子への振動の伝達あるいはオス型端子からメス型端子10への振動の伝達を吸収することが可能となる。
【0075】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
コネクタハウジングはコネクタハウジング2に対応し、
オス型端子の一部は接続ブレード3に対応し、
端子付き電線は端子付き電線4に対応し、
メス型端子はメス型端子10に対応し、
端子本体は端子本体15に対応し、
基台部は基台部20に対応し、
側壁は側壁21に対応し、
バネ部材はバネ部材30に対応し、
把持板は外板32に対応し、
接点バネ部はアームバネ35(35A~35J)に対応し、
高弾性接点バネ部は高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jに対応し、
低弾性接点バネ部は低弾性アームバネ35E,35Fに対応し、
突出部は突出接点353に対応し、
アーム長さはアーム長さDmに対応し、
アーム幅はアーム幅Dn(D1~D3)に対応し、
接点バネ部の基部は基部Pbに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0076】
例えば、アームバネ35のアーム幅Dnを一定としつつ、アームバネ35のアーム長さDmを異なるものとしてもよい。例えば、アームバネ35のアーム長さDmを三段階に異なるものとしてもよい。
【0077】
つまりは、図11及び図12に示すように、アームバネ35の先端縁の位置を高さ方向Hに異なるものとすることにより、アームバネ35の基部Pbを基点として接続ブレード3とアームバネ35の接触箇所である接点部Pcまでのアーム長さDmを三段階に異なるものとするのである。
【0078】
具体的に説明すると、アームバネ35C,35D,35G,35Hのアーム長さDmに対して高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jのアーム長さDmを短くし、アームバネ35C,35D,35G,35Hのアーム長さDmに対して低弾性アームバネ35E,35Fのアーム長さDmを長くするのである。
【0079】
あるいは、図13及び図14に示すように、アームバネ35のアーム部351とアーム先端部352の折り曲げ箇所を異なるものとすることにより、アームバネ35の基部Pbを基点として接続ブレード3とアームバネ35の接触箇所である接点部Pcまでのアーム長さDmを三段階に異なるものとするのである。
【0080】
具体的に説明すると、アームバネ35C,35D,35G,35Hのアーム長さDmに対して高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jのアーム長さDmを短くし、アームバネ35C,35D,35G,35Hのアーム長さDmに対して低弾性アームバネ35E,35Fのアーム長さDmを長くするのである。
【0081】
このような構成としても、図10に示すように、長手方向Lの両側の端側部分において大きな付勢力Fが作用する。そして、長手方向Lの中央部分において小さな付勢力Fが作用する。これは、アーム長さDmが短くなると変形に対する剛性が高くなり、アーム長さDmが短くなると剛性が低くなることを利用したものである。
【0082】
このような実施形態に係るメス型端子10において、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jは、他のアームバネ35に比べて基部Pbからオス型端子に接触する接点部Pcまでのアーム長さDmが短く形成されている。
【0083】
このようなメス型端子10によれば、他のアームバネ35に比べて弾性力の高い高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jを構成することができる。なお、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jのアーム長さDmを調整することで高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jの弾性力を所望の値に調整することができる。
【0084】
なお、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jは、他のアームバネ35に比べてアーム幅Dnが広く、且つ基部Pbからオス型端子に接触する接点部Pcまでのアーム長さDmが短く形成されてもよい。
【0085】
このようなメス型端子10としても、他のアームバネ35に比べて弾性力の高い高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jを構成することができる。なお、高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jのアーム幅Dn及びアーム長さDmを調整することで高弾性アームバネ35A,35B,35I,35Jの弾性力を所望の値に調整することができる。
【0086】
また、このような実施形態に係るメス型端子10において、低弾性アームバネ35E,35Fは、他のアームバネ35に比べて基部Pbからオス型端子に接触する接点部Pcまでのアーム長さDmが長く形成されている。
【0087】
このようなメス型端子10によれば、他のアームバネ35に比べて弾性力の低い低弾性アームバネ35E,35Fを構成することができる。なお、低弾性アームバネ35E,35Fのアーム長さDmを調整することで低弾性アームバネ35E,35Fの弾性力を所望の値に調整することができる。
【0088】
なお、低弾性アームバネ35E,35Fは、他のアームバネ35に比べてアーム幅Dnが狭く、且つ基部Pbからオス型端子に接触する接点部Pcまでのアーム長さDmが長く形成されてもよい。
【0089】
このようなメス型端子10としても、他のアームバネ35に比べて弾性力の低い低弾性アームバネ35E,35Fを構成することができる。なお、低弾性アームバネ35E,35Fのアーム幅Dn及びアーム長さDmを調整することで低弾性アームバネ35E,35Fの弾性力を所望の値に調整することができる。
【0090】
加えて、上述の各実施形態に係るメス型端子10においては、片側十枚のアームバネ35を有しているが、アームバネ35の枚数について限定するものではない。アームバネ35の枚数が増減しても上述の実施形態において説明したものと同様の効果を得ることができる。
【0091】
最後に、本願の発明には、上述のメス型端子10が電線5に接続された端子付き電線4、上述のメス型端子10がコネクタハウジング2に収容されたメス型コネクタ、上述の端子付き電線4を構成するメス型端子10がコネクタハウジング2に収容されたコネクタ付き電線、上述の端子付き電線4及び上述のコネクタ付き電線の少なくとも一方を含むワイヤーハーネスが含まれている。
【0092】
これらにおいても、本願発明に係るメス型端子10と同様の効果を奏する。すなわち、例えば、電線5が振動してもオス型端子との接触状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できる。その他にも、上述の実施形態において説明したものと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
2…コネクタハウジング
3…接続ブレード
4…端子付き電線
10…メス型端子
15…端子本体
20…基台部
21…側壁
30…バネ部材
32…外板
35(35A~35J)…アームバネ
35A,35B,35I,35J…高弾性アームバネ
35E,35F…低弾性アームバネ
353…突出部
Dm…アーム長さ
Dn(D1~D3)…アーム幅
Pb…基部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14