(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172734
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】潜熱蓄熱体及び潜熱蓄熱体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 5/14 20060101AFI20231129BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C09K5/14 E
H05B3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084748
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀内 道夫
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QB02
3K092RF11
3K092VV40
(57)【要約】
【課題】安定性を向上することができる潜熱蓄熱体及び潜熱蓄熱体の製造方法を提供する。
【解決手段】潜熱蓄熱体は、閉空間が形成された多結晶体からなるセラミック部と、前記閉空間内に設けられ、銅を含有する金属部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉空間が形成された多結晶体からなるセラミック部と、
前記閉空間内に設けられ、銅を含有する金属部と、
を有する潜熱蓄熱体。
【請求項2】
前記閉空間の容積は、前記金属部の体積よりも大きい請求項1に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項3】
25℃において、前記閉空間の容積は、前記金属部の体積の112%以上120%以下である請求項2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項4】
前記金属部は、99質量%以上の割合で銅を含有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項5】
前記セラミック部は、
90質量%以上の割合で酸化アルミニウムを含有するか、
90質量%以上の割合でムライトを含有するか、
95質量%以上の割合で窒化アルミニウムを含有するか、又は
95質量%以上の割合で窒化アルミニウム及び窒化ホウ素の混合物を含有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項6】
前記セラミック部は、内壁面と外壁面とを備えた筒形状を有し、
前記閉空間及び前記金属部は、前記内壁面及び前記外壁面に沿った螺旋形状を有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項7】
前記セラミック部に、第1方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
前記閉空間及び前記金属部は、前記第1方向に平行な柱形状を有し、
前記閉空間及び前記金属部の組を複数有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項8】
前記セラミック部に、第1方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
前記閉空間及び前記金属部は、前記第1方向に垂直な第2方向に延びる蛇腹形状を有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項9】
前記セラミック部に、第1方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
前記閉空間及び前記金属部は、前記第1方向に延びる蛇腹形状を有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項10】
前記金属部と前記セラミック部との間にチタンが存在する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項11】
前記チタンの質量は、前記金属部の質量の0%超、10%以下である請求項10に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項12】
前記金属部を加熱することができるヒータを有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項13】
前記ヒータは、前記セラミック部内に設けられている請求項12に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項14】
前記ヒータは、前記セラミック部の表面上に設けられている請求項12に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項15】
前記ヒータは、タングステンと酸化アルミニウムとの混合物、又はモリブデンと酸化アルミニウムとの混合物を含有する請求項12に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項16】
前記ヒータは、二ケイ化モリブデン、酸化ルテニウム、ニッケル-クロム合金又は銀-パラジウム合金を含有する請求項12に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項17】
前記ヒータは、更にガラスを含有する請求項16に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項18】
前記金属部の温度変化により電力を生じる熱電対を有する請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項19】
前記熱電対は、前記セラミック部内に設けられている請求項18に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項20】
前記熱電対は、前記セラミック部の表面上に設けられている請求項18に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項21】
前記熱電対は、タングステン-レニウム合金を含有する請求項18に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項22】
前記金属部を加熱することができるヒータを有する請求項18に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項23】
前記セラミック部は、熱媒体が流れる流路を有する請求項18に記載の潜熱蓄熱体。
【請求項24】
銅を含有する金属部と、前記金属部を収容した未焼成のセラミック部と、を有する複合体を準備する工程と、
前記金属部及び前記セラミック部を同時に焼成する工程と、
を有する潜熱蓄熱体の製造方法。
【請求項25】
前記金属部はチタンを含有する請求項24に記載の潜熱蓄熱体の製造方法。
【請求項26】
前記金属部は、99質量%以上の割合で銅を含有する請求項24又は25に記載の潜熱蓄熱体の製造方法。
【請求項27】
前記セラミック部は、
90質量%以上の割合で酸化アルミニウムを含有するか、
90質量%以上の割合でムライトを含有するか、
95質量%以上の割合で窒化アルミニウムを含有するか、又は
95質量%以上の割合で窒化アルミニウム及び窒化ホウ素の混合物を含有する請求項24又は25に記載の潜熱蓄熱体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、潜熱蓄熱体及び潜熱蓄熱体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相変化物質(phase change material:PCM)として銅が用いられ、PCMがニッケル又はクロムの保護層で包囲された潜熱蓄熱体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6967790号公報
【特許文献2】特許第6057184号公報
【特許文献3】特開2012-111825号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】N. Maruokaら, "Development of PCM for recovering high temperature waste heat and utilization for producing hydrogen by reforming reaction of methane", ISIJ international, 2002
【非特許文献2】H. Liら, "Numerical analysis of thermal energy charging performance of spherical Cu@ Cr@ Ni phase-change capsules for recovering high-temperature waste heat", Journal of Materials Research, 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
潜熱蓄熱体は高温で使用される。従来のPCMがニッケル又はクロムの保護層で包囲された潜熱蓄熱体においては、使用中に保護層が変質する。例えば、空気等の酸化性ガスが熱媒体として使用された場合、保護層が酸化する。特に、無機塩類等の不純物が使用環境下に存在する場合、酸化が進行しやすい。保護層の変質は潜熱蓄熱体の寿命を短縮するおそれがある。
【0006】
本開示は、安定性を向上することができる潜熱蓄熱体及び潜熱蓄熱体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態によれば、閉空間が形成された多結晶体からなるセラミック部と、前記閉空間内に設けられ、銅を含有する金属部と、を有する潜熱蓄熱体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
【
図2】第1実施形態に係る潜熱蓄熱体の製造方法を例示する図である。
【
図3】第2実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
【
図4】第3実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
【
図5】第3実施形態に係る潜熱蓄熱体の製造方法を例示する図である。
【
図6】第2実施形態に係る潜熱蓄熱体の製造方法を例示する図である。
【
図7】第4実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視図である。
【
図8】第5実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視図である。
【
図9】第5実施形態における貫通孔及び金属部の配置の例を示す断面図である。
【
図10】第6実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
【
図11】第6実施形態に係る潜熱蓄熱体に含まれる金属部を示す斜視図である。
【
図12】第7実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
【
図13】第7実施形態に係る潜熱蓄熱体に含まれる金属部を示す斜視図である。
【
図14】第8実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図15】第8実施形態の第1変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図16】第8実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図17】第9実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
【
図18】第9実施形態に係る潜熱蓄熱体の使用方法を例示する図である。
【
図19】第10実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視図である。
【
図20】第10実施形態に係る潜熱蓄熱体の使用方法を例示する図である。
【
図21】第11実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視断面図である。
【
図22】第12実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図23】第12実施形態の第1変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図24】第12実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図25】第13実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【
図26】第13実施形態に係る潜熱蓄熱体の使用方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図1は、第1実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
図1(a)は斜視図であり、
図1(b)は断面図である。
【0012】
第1実施形態に係る潜熱蓄熱体1は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120とを有する。
【0013】
セラミック部110には、閉空間111が形成されている。セラミック部110及び閉空間111の形状は直方体状である。セラミック部110は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部110には、閉空間111に繋がる接合部が存在しない。セラミック部110は、例えば、90質量%以上の割合で酸化アルミニウムを含有するか、90質量%以上の割合でムライトを含有するか、95質量%以上の割合で窒化アルミニウムを含有するか、又は95質量%以上の割合で窒化アルミニウム及び窒化ホウ素の混合物を含有する。つまり、セラミック部110は、純度が90質量%以上の酸化アルミニウムから構成されていてもよく、純度が90質量%以上のムライトから構成されていてもよく、純度が95質量%以上の窒化アルミニウムから構成されていてもよく、又は純度が95質量%以上の、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素の混合物から構成されていてもよい。
【0014】
金属部120は閉空間111内に設けられている。言い換えれば、金属部120はセラミック部110に封止されている。金属部120が、連続体であるセラミック部110により気密に覆われているということもできる。金属部120は銅を含有する。例えば、金属部120の主成分は銅である。金属部120は、例えば99質量%以上の割合で銅を含有する。つまり、金属部120は、純度が99質量%以上の銅から構成されていてもよい。
【0015】
閉空間111の容積は、金属部120の体積よりも大きいことが好ましい。これは、後述のように、潜熱蓄熱体1の使用時に金属部120が固体から液体へと相変化し、この相変化の際に金属部120が膨張するからである。また、金属部120の主成分が銅である場合、金属部120は相変化の際に約12体積%膨張する。従って、25℃において、閉空間111の容積は金属部120の体積の112%以上であることがより好ましい。なお、閉空間111の容積が金属部120の体積に対して過剰に大きい場合、セラミック部110が無駄に大きくなるだけでなく、セラミック部110と金属部120との間での熱抵抗が大きくなる。従って、25℃において、閉空間111の容積は金属部120の体積の120%以下であることがより好ましい。金属部120の主成分が銅である場合、金属部120は、その温度が25℃から融点に到達するまでの間に約17ppm/℃の割合で熱膨張するが、この程度の熱膨張であれば、セラミック部110は熱応力に耐えることができる。
【0016】
閉空間111の容積が金属部120の体積よりも大きい場合、金属部120の表面と閉空間111の内面との間に隙間が存在する。金属部120の表面と閉空間111の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0017】
銅の融点は1084.5℃である。金属部120の主成分が銅である場合、1084.5℃程度で固体と液体との間の相変化が生じる。この程度の温度であれば、多結晶体からなるセラミック部110は化学的に安定である。従って、金属部120が固体であっても液体であっても、セラミック部110は金属部120を閉空間111内に金属部120を閉じ込めておくことができる。また、高温で使用されても、セラミック部110に酸化等の化学変化が生じにくい。
【0018】
潜熱蓄熱体1によれば、金属部120が相変化物質(PCM)として機能するため、高い熱伝導率を得ることができる。また、高温で使用されても、セラミック部110に酸化等の変質が生じにくい。従って、安定性を向上することができる。このため、熱媒体として、空気等の酸化性を備えるものも用いることができ、熱媒体の選択範囲を広げることができる。
【0019】
更に、潜熱蓄熱体1の表面のクリーニングを容易に行うことができる。例えば、熱媒体が未燃成分を含む燃焼炉の排ガスである場合等には、煤等の潜熱蓄熱体1に付着しやすい物質が熱媒体に含まれることがある。このような物質の付着は熱伝導性の低下及び流動抵抗の上昇につながるおそれがある。これに対し、潜熱蓄熱体1では、大気中での高温処理等により、付着した物質を容易に除去することができる。付着した物質が非有機性である場合には、酸洗浄等により除去することも可能である。
【0020】
次に、第1実施形態に係る潜熱蓄熱体1の製造方法について説明する。
図2は、第1実施形態に係る潜熱蓄熱体1の製造方法を例示する図である。
図2(a)は斜視図であり、
図2(b)は断面図である。
【0021】
まず、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、未焼成のセラミック部130と、金属部140とを有する複合体1Aを準備する。金属部140はセラミック部130に覆われている。後に、セラミック部130はセラミック部110となり、金属部140は金属部120となる。
【0022】
セラミック部130は、例えば、セラミック部110の材料を含む、グリーンシート積層体、スリップキャスティング体、ゲルキャスト体、又は造粒粉を予備成形した後の冷間等方加圧(cold isostatic pressing:CIP)成形体である。セラミック部130は、例えば、90質量%以上の割合で酸化アルミニウムを含有するか、90質量%以上の割合でムライトを含有するか、95質量%以上の割合で窒化アルミニウムを含有するか、又は95質量%以上の割合で窒化アルミニウム及び窒化ホウ素の混合物を含有する。セラミック部130が、更に焼結助剤等を含んでもよい。焼結助剤としては、ケイ素、マグネシウム及びカルシウム等が挙げられる。セラミック部130に含まれるセラミック粒の粒径は、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.3μm以下である。
【0023】
金属部140は、例えば、銅を含む、線材、柱材、ペースト、スリップキャスティング体、ゲルキャスト体、又は造粒粉を予備成形した後のCIP成形体である。金属部140は、例えば99質量%以上の割合で銅を含有する。
【0024】
セラミック部130には、閉空間131が形成されており、金属部260は閉空間131内に設けられている。閉空間131の容積は、金属部140の体積よりも大きく、金属部140の表面と閉空間131の内面との間に隙間が存在する。
【0025】
次に、セラミック部130及び金属部140を同時に焼成する。この結果、セラミック部130からセラミック部110が形成され、金属部140から金属部120が形成される(
図1(a)及び
図1(b)参照)。この時、多孔質体であったセラミック部130が緻密化し、多結晶体からなるセラミック部110の相対密度は95%~99%程度となる。一方、金属部140はほとんど緻密化せず、金属部120の相対密度はほぼ100%となる。従って、セラミック部130及び金属部140の相対密度は、焼成による相対密度の変化の差を考慮して決定することが好ましい。なお、本開示では、セラミック部の焼成の際に、金属部に相変化以外の成分又は性質等の変化が生じない場合であっても金属部の焼成が行われるとし、これらを同時に焼成するということがある。また、相対密度とは、中実なバルクの状態における密度に対する密度をいう。言い換えると、相対密度とは、空隙や欠陥が全く存在しない状態の密度に対する、比較対象物の密度の割合をいう。
【0026】
同時焼成の温度は、例えば金属部140の融点よりも100℃以上900℃以下高い温度とする。同時焼成時の昇温速度は、例えば5℃/分以上15℃/分以下とする。同時焼成の雰囲気は、例えば、水素等の還元性ガスを含む還元性雰囲気、窒素等の非酸化性ガスを含む非酸化性雰囲気のいずれであってもよい。
【0027】
このようにして、第1実施形態に係る潜熱蓄熱体1を製造することができる。
【0028】
セラミック部130が、90質量%以上の割合で酸化アルミニウムを含有するか、90質量%以上の割合でムライトを含有するか、95質量%以上の割合で窒化アルミニウムを含有するか、又は95質量%以上の割合で窒化アルミニウム及び窒化ホウ素の混合物を含有する場合(以下、「所定の組成を有する場合」ということがある)、セラミック部130及び金属部140の同時焼成の際のセラミック部130の材料と金属部140の材料との反応を特に抑制しやすい。
【0029】
また、セラミック部130が所定の組成を有する場合、溶融した金属部140のセラミック部130への浸透を特に抑制しやすい。例えば、金属部140の融点は、セラミック部130の緻密化が生じる温度よりも低く、セラミック部130の緻密化が生じる前に金属部140が溶融する。溶融した金属部140が緻密化前のセラミック部130に浸透すると、セラミック部130の緻密化が阻害されて閉空間111が形成されなくなったり、金属部140がセラミック部130の外部に流れ出したりするおそれがある。セラミック部130が所定の組成を有する場合、このような現象を未然に特に抑制しやすい。
【0030】
また、セラミック部130が所定の組成を有する場合、溶融した金属部140の一部が蒸発しても、蒸発した成分のセラミック部130への浸透を特に抑制しやすい。金属部140が溶融すると、閉空間131内でその一部が蒸発する。蒸発した成分が緻密化前のセラミック部130に浸透すると、セラミック部130の緻密化が阻害されて閉空間111が形成されなくなったり、蒸発した成分がセラミック部130の外部に拡散したりするおそれがある。セラミック部130が所定の組成を有する場合、このような現象を未然に特に抑制しやすい。
【0031】
なお、閉空間111の容積を金属部120の体積よりも大きくするためには、例えば、金属部140がペースト、スリップキャスティング体、ゲルキャスト体又はCIP成形体である場合、焼成前の金属部140の相対密度を低く調整しておくことが好ましい。また、閉空間111の容積を金属部120の体積よりも大きくするためには、例えば、金属部140が線材又は柱材である場合、線材又は柱材の表面に、焼成中に消失する有機成分を設けておくことが好ましい。このような有機成分としては、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメタクリレート等が好適に用いられる。セラミック部130の緻密化が生じる温度は、有機成分が消失する温度及び金属部140の融点よりも高いため、セラミック部130の緻密化は阻害されない。
【0032】
金属部120と熱媒体との間の熱交換効率を高めるためには、セラミック部110は薄いことが好ましい。その一方で、同時焼成の際には、溶融した金属部140が球体に近づこうとするため、溶融した金属部140からセラミック部130に力がかかることがある。このため、セラミック部130を薄くしておくと、セラミック部130が変形するおそれがある。そこで、セラミック部130の変形を未然に抑制するために、同時焼成の前に、金属部140の表面に酸化チタンの粉末を設けておくことが好ましい。酸化チタンの粉末は、例えばペースト又は有機成分に混入させておくことができる。酸化チタンはアナターゼ又はルチルのいずれでもよい。同時焼成の際に、酸化チタンに含まれるチタンが、主に金属部140の表面とセラミック部130の内面との間に介在し、金属部140の変形(球状化)を抑制する。同時焼成を経て製造された潜熱蓄熱体1においては、金属部120とセラミック部110との間にチタンが存在することとなる。チタンの質量は、例えば金属部120の質量の0%超、10%以下である。
【0033】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図3は、第2実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
図3(a)は斜視図であり、
図3(b)は断面図である。
【0034】
第2実施形態に係る潜熱蓄熱体2は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、多結晶体からなるセラミック部210と、金属部220とを有する。
【0035】
セラミック部210には、閉空間211が形成されている。セラミック部210及び閉空間211の形状は円柱状である。セラミック部210は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部210には、閉空間211に繋がる接合部が存在しない。セラミック部210はセラミック部110と同様の材料から構成されている。
【0036】
金属部220は閉空間211内に設けられている。言い換えれば、金属部220はセラミック部210に封止されている。金属部220が、連続体であるセラミック部210により気密に覆われているということもできる。金属部220は金属部120と同様の材料から構成されている。
【0037】
閉空間211の容積は、金属部220の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間211の容積が金属部220の体積よりも大きい場合、
図3(a)では省略するが、金属部220の表面と閉空間211の内面との間に隙間が存在する。金属部220の表面と閉空間211の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0038】
他の構成は第1実施形態と同様である。また、第2実施形態に係る潜熱蓄熱体2は、形状の点を除いて第1実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0039】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、セラミック部210への外部からの応力が分散されやすいため、より高い耐久性を得ることができる。
【0040】
なお、潜熱蓄熱体の形状が球体状又は角柱状等であってもよい。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図4は、第3実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
図4(a)は斜視図であり、
図4(b)は断面図である。
【0042】
第3実施形態に係る潜熱蓄熱体3は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、多結晶体からなるセラミック部310と、複数の金属部320とを有する。
【0043】
セラミック部310には、複数の閉空間311が形成されている。セラミック部310及び閉空間311の形状は直方体状である。セラミック部310は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部310には、閉空間311に繋がる接合部が存在しない。セラミック部310はセラミック部110と同様の材料から構成されている。閉空間311は、セラミック部310の互いに平行な1組の平面に平行な面内で、互いに直交する2方向に等間隔で配置されている。
【0044】
金属部320は閉空間311内に1個ずつ設けられている。言い換えれば、金属部320はセラミック部310に封止されている。金属部320が、連続体であるセラミック部310により気密に覆われているということもできる。金属部320は金属部120と同様の材料から構成されている。
【0045】
閉空間311の容積は、金属部320の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間311の容積が金属部320の体積よりも大きい場合、
図4(a)では省略するが、金属部320の表面と閉空間311の内面との間に隙間が存在する。金属部320の表面と閉空間311の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0046】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0047】
次に、第3実施形態に係る潜熱蓄熱体3の製造方法について説明する。
図5は、第3実施形態に係る潜熱蓄熱体3の製造方法を例示する図である。
【0048】
まず、
図5(a)に示すように、閉空間311となる複数のキャビティ351が形成された未焼成のセラミック部350Aを準備する。セラミック部350Aは、例えばグリーンシートの積層体である。射出成形等によりセラミック部350Aを形成してもよい。後に、セラミック部350Aはセラミック部310の一部となる。
【0049】
次に、
図5(b)に示すように、各キャビティ351内に金属部360を設ける。後に、金属部360は金属部320となる。金属部360は、例えば、ペースト、ビーズ、巻き線又はシートである。
【0050】
次に、
図5(b)に示すように、キャビティ351の開口端を塞ぐようにして、セラミック部350Aの上にシート状のセラミック部350Bを設ける。後に、セラミック部350Bはセラミック部310の一部となる。
【0051】
このようにして、
図5(c)に示すように、未焼成のセラミック部350A及び350Bと、金属部360とを有する複合体3Aが得られる。
【0052】
次に、セラミック部350A及び350B並びに金属部360を同時に焼成する。この結果、セラミック部350A及び350Bからセラミック部310が形成され、金属部360から金属部320が形成される(
図4(a)及び
図4(b)参照)。
【0053】
このようにして、第3実施形態に係る潜熱蓄熱体3を製造することができる。
【0054】
第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、複合体3Aの焼成前に複合体3Aを金属部360毎に分割してもよい。この場合、第1実施形態に係る潜熱蓄熱体1を得ることができる。
【0056】
同様の方法により、第2実施形態に係る潜熱蓄熱体2を得ることもできる。
図6は、第2実施形態に係る潜熱蓄熱体2の製造方法を示す図である。
【0057】
まず、
図6(a)に示すように、閉空間211となる複数のキャビティ251が形成された未焼成のセラミック部250Aを準備する。
【0058】
次に、
図6(b)に示すように、各キャビティ251内に金属部260を設ける。
【0059】
次に、
図6(c)に示すように、キャビティ251の開口端を塞ぐようにして、セラミック部250Aの上にシート状のセラミック部250Bを設けることで複合体2Aを得る。
【0060】
次に、複合体2Aを金属部260毎に分割する。そして、セラミック部250A及び250B並びに金属部260を同時に焼成する。
【0061】
このような方法により、第2実施形態に係る潜熱蓄熱体2を製造することもできる。
【0062】
なお、潜熱蓄熱体を製造するための複合体は、セラミックスラリーのディップコーティング法等により製造してもよい。
【0063】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図7は、第4実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視図である。
【0064】
第4実施形態に係る潜熱蓄熱体4は、
図7に示すように、多結晶体からなるセラミック部410と、金属部420とを有する。
【0065】
セラミック部410の形状は、貫通孔414を備えた円筒状である。セラミック部410の形状が、貫通孔414を備えた角筒状であってもよい。セラミック部410は、内壁面412と外壁面413とを備えた筒形状を有する。セラミック部410には、閉空間411が形成されている。閉空間411は、内壁面412及び外壁面413に沿った螺旋形状を有する。セラミック部410は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部410には、閉空間411に繋がる接合部が存在しない。セラミック部410はセラミック部110と同様の材料から構成されている。
【0066】
金属部420は閉空間411内に設けられている。言い換えれば、金属部420はセラミック部410に封止されている。金属部420が、連続体であるセラミック部410により気密に覆われているということもできる。金属部420は、内壁面412及び外壁面413に沿った螺旋形状を有する。金属部420は金属部120と同様の材料から構成されている。
【0067】
閉空間411の容積は、金属部420の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間411の容積が金属部420の体積よりも大きい場合、
図7では省略するが、金属部420の表面と閉空間411の内面との間に隙間が存在する。金属部420の表面と閉空間411の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0068】
他の構成は第1実施形態と同様である。また、第4実施形態に係る潜熱蓄熱体4は、形状の点を除いて第1実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0069】
第4実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、貫通孔414を熱媒体の流路として用いることができる。この場合、熱媒体の流量及び流速を安定させやすい。
【0070】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図8は、第5実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視図である。
【0071】
第5実施形態に係る潜熱蓄熱体5は、
図8に示すように、多結晶体からなるセラミック部510と、金属部520とを有する。
【0072】
セラミック部510には、複数の閉空間511が形成されている。セラミック部510の形状は略直方体状である。セラミック部510に、第1方向に延びる複数の貫通孔514が形成されている。第1方向はセラミック部510の互いに平行な1組の平面に垂直である。閉空間511の形状は円筒状である。複数の閉空間511は第1方向に延びる。閉空間511は貫通孔514の近傍に設けられている。セラミック部510は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部510には、閉空間511に繋がる接合部が存在しない。セラミック部510はセラミック部110と同様の材料から構成されている。
【0073】
金属部520は閉空間511内に1個ずつ設けられている。言い換えれば、金属部520はセラミック部510に封止されている。金属部520が、連続体であるセラミック部510により気密に覆われているということもできる。金属部520は、第1方向に平行な柱形状を有する。金属部520は金属部120と同様の材料から構成されている。
【0074】
閉空間511の容積は、金属部520の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間511の容積が金属部520の体積よりも大きい場合、
図8では省略するが、金属部520の表面と閉空間511の内面との間に隙間が存在する。金属部520の表面と閉空間511の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0075】
他の構成は第1実施形態と同様である。また、第5実施形態に係る潜熱蓄熱体5は、形状の点を除いて第1実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0076】
第5実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、複数の貫通孔514を熱媒体の流路として用いることができる。この場合、熱媒体の流量及び流速を安定させやすい。
【0077】
ここで、貫通孔514及び金属部520の配置の例について説明する。
図9は、第5実施形態における貫通孔514及び金属部520の配置の例を示す断面図である。
【0078】
図9(a)に示す例では、第1方向に垂直な第2方向に沿って貫通孔514と金属部520とが交互に配置されている。また、第1方向から見たときに貫通孔514及び金属部520が三角格子を構成している。
【0079】
図9(b)に示す例では、第1方向に垂直な第2方向に沿って貫通孔514と2個で1組の金属部520とが交互に配置されている。また、第1方向から見たときに貫通孔514及び金属部520が三角格子を構成している。そして、各貫通孔514が6個の金属部520により囲まれている。
【0080】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。第6実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図10は、第6実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
図10(a)は斜視図であり、
図10(b)は断面図である。
図11は、第6実施形態に係る潜熱蓄熱体に含まれる金属部を示す斜視図である。
【0081】
第6実施形態に係る潜熱蓄熱体6は、
図10及び
図11に示すように、多結晶体からなるセラミック部610と、金属部620とを有する。
【0082】
セラミック部610には、閉空間611が形成されている。セラミック部610の形状は略直方体状である。セラミック部610に、第1方向に延びる複数の貫通孔614が形成されている。第1方向はセラミック部610の互いに平行な1組の平面に垂直である。貫通孔614は、第1方向に垂直な2方向(一方は第2方向、他方は第3方向)に等間隔で配置されている。閉空間611は、第2方向に延びる蛇腹形状を有する。閉空間611は、規則的に配置された貫通孔614の間を縫うように形成されている。閉空間611は、第2方向に延びる部分と、第3方向に延びる部分とを有し、第2方向に延びる部分と第3方向に延びる部分とが交互につながっている。閉空間611は、第1方向に複数並んで形成されている。第1方向で隣り合う閉空間611が互いにつながっていてもよい。セラミック部610は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部610には、閉空間611に繋がる接合部が存在しない。セラミック部610はセラミック部110と同様の材料から構成されている。
【0083】
金属部620は閉空間611内に設けられている。言い換えれば、金属部620はセラミック部610に封止されている。金属部620が、連続体であるセラミック部610により気密に覆われているということもできる。金属部620は、第2方向に延びる蛇腹形状を有する。金属部620は、規則的に配置された貫通孔614の間を縫うように設けられている。金属部620は、第2方向に延びる部分と、第3方向に延びる部分とを有し、第2方向に延びる部分と第3方向に延びる部分とが交互につながっている。金属部620は、第1方向に複数並んで設けられている。第1方向で隣り合う金属部620が互いにつながっていてもよい。
【0084】
閉空間611の容積は、金属部620の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間611の容積が金属部620の体積よりも大きい場合、
図10では省略するが、金属部620の表面と閉空間611の内面との間に隙間が存在する。金属部620の表面と閉空間611の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0085】
他の構成は第1実施形態と同様である。また、第6実施形態に係る潜熱蓄熱体6は、形状の点を除いて第1実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0086】
第6実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、複数の貫通孔614を熱媒体の流路として用いることができる。この場合、熱媒体の流量及び流速を安定させやすい。
【0087】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。第7実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図12は、第7実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
図12(a)は斜視図であり、
図12(b)は断面図である。
図13は、第7実施形態に係る潜熱蓄熱体に含まれる金属部を示す斜視図である。
【0088】
第7実施形態に係る潜熱蓄熱体7は、
図12及び
図13に示すように、多結晶体からなるセラミック部710と、金属部720とを有する。
【0089】
セラミック部710には、閉空間711が形成されている。セラミック部710の形状は略直方体状である。セラミック部710に、第1方向に延びる複数の貫通孔714が形成されている。第1方向はセラミック部710の互いに平行な1組の平面に垂直である。貫通孔714は、第1方向に垂直な2方向(一方は第2方向、他方は第3方向)に等間隔で配置されている。閉空間711は、第1方向に延びる蛇腹形状を有する。閉空間711は、第3方向で隣り合う複数の貫通孔714が並ぶ複数の仮想平面715を仮定したときに、第2方向で隣り合う仮想平面715の間に形成されている。閉空間711は、第1方向に延びる部分と、第3方向に延びる部分とを有し、第1方向に延びる部分と第3方向に延びる部分とが交互につながっている。閉空間711は、第2方向に複数並んで形成されている。第2方向で隣り合う閉空間711が互いにつながっていてもよい。セラミック部710は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部710には、閉空間711に繋がる接合部が存在しない。セラミック部710はセラミック部110と同様の材料から構成されている。
【0090】
金属部720は閉空間711内に設けられている。言い換えれば、金属部720はセラミック部710に封止されている。金属部720が、連続体であるセラミック部710により気密に覆われているということもできる。金属部720は、第1方向に延びる蛇腹形状を有する。金属部720は、第2方向で隣り合う仮想平面715の間に設けられている。金属部720は、第1方向に延びる部分と、第3方向に延びる部分とを有し、第1方向に延びる部分と第3方向に延びる部分とが交互につながっている。金属部720は、第2方向に複数並んで設けられている。第2方向で隣り合う金属部720が互いにつながっていてもよい。
【0091】
閉空間711の容積は、金属部720の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間711の容積が金属部720の体積よりも大きい場合、
図12では省略するが、金属部720の表面と閉空間711の内面との間に隙間が存在する。金属部720の表面と閉空間711の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0092】
他の構成は第1実施形態と同様である。また、第7実施形態に係る潜熱蓄熱体7は、形状の点を除いて第1実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0093】
第7実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、複数の貫通孔714を熱媒体の流路として用いることができる。この場合、熱媒体の流量及び流速を安定させやすい。
【0094】
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。第8実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図14は、第8実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0095】
第8実施形態に係る潜熱蓄熱体8は、
図14に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120と、金属部120を加熱することができる電熱体830とを有する。
【0096】
電熱体830はセラミック部110内に設けられている。電熱体830は、例えば金属部120の最も大きな1組の面の一方の近傍に設けられている。電熱体830は、例えば、タングステンと酸化アルミニウムとの混合物、又はモリブデンと酸化アルミニウムとの混合物を含有する。この場合、電熱体830が、更に、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を1種又は2種以上含有してもよい。電熱体830はヒータの一例である。
【0097】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0098】
第8実施形態に係る潜熱蓄熱体8の製造に際しては、例えば、タングステン又はモリブデンの粉末に酸化アルミニウムの粉末を混合し、溶剤やバインダー等の有機成分を加えてペーストを調合し、スクリーン印刷法等により電熱体830の形状を備えた電熱体用ペースト部を形成する。そして、セラミック部130及び金属部140と同時に電熱体用ペースト部を、中性雰囲気又は還元性雰囲気中で焼成する。酸化アルミニウムの量に応じて電熱体830の抵抗率を調整することができる。ペーストに、更に、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を1種又は2種以上添加してもよい。これらの無機成分は、焼成中に液相又は複合酸化物相を形成し、電熱体830のセラミック部130との密着強度を向上したり、抵抗率の安定性を向上したりできる。
【0099】
第8実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、電熱体830が金属部120を加熱することができるため、外部から付与した電気エネルギを熱に変換して潜熱蓄熱体8に蓄積することができる。例えば、余剰電力により電熱体830から熱を発生することで、余剰電力を熱として蓄積することができる。そして、潜熱蓄熱体8に蓄積したエネルギは、熱、蒸気(圧力)又は電力(蒸気圧力によるタービン発電等)のエネルギとして、工場、オフィス又は商業ビル等に供給することができる。
【0100】
また、潜熱蓄熱体8が電熱体830を含んでいるため、エネルギの損失を低減できる。例えば、電熱体と潜熱蓄熱体とが分離されている場合には、電熱体から発生した熱を熱風等として潜熱蓄熱体まで伝達させることになり、エネルギが損失しやすいが、本実施形態では、このようなエネルギの損失を抑制することができる。
【0101】
なお、電熱体830の抵抗率は、酸化アルミニウムの含有量の調整だけでなく、電熱体830の断面積及び長さ等によっても調整することができる。
【0102】
(第8実施形態の第1変形例)
第8実施形態の第1変形例について説明する。
図15は、第8実施形態の第1変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0103】
第8実施形態の第1変形例に係る潜熱蓄熱体8Aは、
図15に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120と、金属部120を加熱することができる2個の電熱体830とを有する。一方の電熱体830は、金属部120の最も大きな1組の面の一方の近傍に設けられ、他方の電熱体830は、金属部120の最も大きな1組の面の他方の近傍に設けられている。
【0104】
他の構成は第8実施形態と同様である。
【0105】
第8実施形態の第1変形例によっても第8実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第8実施形態の第1変形例によれば、金属部120をより加熱しやすい。
【0106】
(第8実施形態の第2変形例)
第8実施形態の第2変形例について説明する。
図16は、第8実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0107】
第8実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体8Bでは、
図16に示すように、電熱体830がセラミック部110の表面上に設けられている。電熱体830は、例えば金属部120の最も大きな1組の面の一方の近傍に設けられている。電熱体830は、例えば、二ケイ化モリブデン、酸化ルテニウム、ニッケル-クロム合金又は銀-パラジウム合金を含有する。この場合、電熱体830が、更に、ガラスを含有してもよい。
【0108】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0109】
第8実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体8Bの製造に際しては、例えば、セラミック部130及び金属部140の同時焼成を行った後に、二ケイ化モリブデン、酸化ルテニウム、ニッケル-クロム合金又は銀-パラジウム合金に溶剤やバインダー等の有機成分を加えてペーストを調合し、スクリーン印刷法等により電熱体830の形状を備えた電熱体用ペースト部を形成する。そして、電熱体用ペースト部を焼成する。この焼成は大気雰囲気等の酸化性雰囲気中で行ってもよい。電熱体用ペースト部にガラスを添加してもよい。電熱体830の材料として白金を用いてもよく、第8実施形態と同様の材料を用いてもよい。
【0110】
なお、2個の電熱体830がセラミック部110の2つの表面上に設けられていてもよい。例えば、一方の電熱体830が金属部120の最も大きな1組の面の一方の近傍に設けられ、他方の電熱体830が金属部120の最も大きな1組の面の他方の近傍に設けられていてもよい。
【0111】
(第9実施形態)
第9実施形態について説明する。第9実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図17は、第9実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する図である。
図17(a)は斜視図であり、
図17(b)は断面図である。
【0112】
第9実施形態に係る潜熱蓄熱体9は、
図17(a)及び
図17(b)に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120と、金属部120を加熱することができる電熱体930とを有する。
【0113】
電熱体930はセラミック部110内に設けられている。電熱体930は、例えば金属部120の最も大きな1組の面の一方の近傍に設けられている。電熱体930は蛇腹状に配置されている。電熱体930は電熱体830と同様の材料から構成されている。電熱体930はヒータの一例である。
【0114】
他の構成は第8実施形態と同様である。また、第9実施形態に係る潜熱蓄熱体9は、形状の点を除いて第8実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0115】
第9実施形態によっても第8実施形態と同様の効果を得ることができる。また、電熱体930が蛇腹状に配置されているため、より大きな発熱量を得ることができる。
【0116】
ここで、第9実施形態に係る潜熱蓄熱体9の使用方法の一例について説明する。
図18は、第9実施形態に係る潜熱蓄熱体9の使用方法を例示する図である。
図18(a)は斜視図であり、
図18(b)は上面図である。
【0117】
この例では、
図18(a)及び
図18(b)に示すように、同じ形状を備えた複数の潜熱蓄熱体9を用いる。複数の潜熱蓄熱体9は一列に並んでおり、隣り合う潜熱蓄熱体9の間では、最も大きい面同士が対向している。
【0118】
蓄熱時には、電熱体930から熱を発生し、金属部120を溶融させる。そして、潜熱蓄熱体9に蓄積された熱を利用する際には、
図18(a)及び
図18(b)に示すように、潜熱蓄熱体9に向けて、金属部120の融点よりも低温の熱媒体960を供給する。熱媒体960は潜熱蓄熱体9により加熱され、供給時よりも大きな熱エネルギを備えた状態となって潜熱蓄熱体9から遠ざかる。このようにして、熱媒体960に熱エネルギを伝達することができる。
【0119】
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。第10実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図19は、第10実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視図である。
【0120】
第10実施形態に係る潜熱蓄熱体10は、
図19に示すように、多結晶体からなるセラミック部210と、金属部220と、金属部220を加熱することができる電熱体1030とを有する。電熱体1030は、セラミック部210の表面と金属部220の表面との間に設けられている。電熱体1030は略円筒形状を有する。電熱体1030は、柱状の金属部220の長軸に平行な方向から見たときに、例えば、時計回りと反時計回りとを交互に繰り返しながら螺旋を構成している。電熱体1030は電熱体830と同様の材料から構成されている。電熱体1030はヒータの一例である。
【0121】
他の構成は第8実施形態と同様である。また、第10実施形態に係る潜熱蓄熱体10は、形状の点を除いて第8実施形態と概ね同様の方法で製造することができる。電熱体1030の金属部220の長軸に垂直な部分(円周部分)は、例えば、セラミックグリーンシートの表面に印刷した抵抗体ペーストにより形成することができる。電熱体1030の金属部220の長軸に平行に延びる部分は、例えば、セラミックグリーンシートに形成した貫通孔に充填した抵抗体ペーストにより形成することができる。
【0122】
第9実施形態によっても第8実施形態と同様の効果を得ることができる。また、電熱体1030が螺旋状に形成されているため、より大きな発熱量を得ることができる。
【0123】
なお、セラミック部210及び金属部220の形状が角柱状で、電熱体1030が略角筒形状を有していてもよい。
【0124】
ここで、第10実施形態に係る潜熱蓄熱体10の使用方法の一例について説明する。
図20は、第10実施形態に係る潜熱蓄熱体の使用方法を例示する図である。
【0125】
この例では、
図20に示すように、同じ形状を備えた複数の潜熱蓄熱体10を用いる。複数の潜熱蓄熱体10は、セラミック部210の底面に平行な面内に並んでいる。
【0126】
蓄熱時には、電熱体1030から熱を発生し、金属部120を溶融させる。そして、潜熱蓄熱体10に蓄積された熱を利用する際には、
図20に示すように、潜熱蓄熱体10に向けて、金属部120の融点よりも低温の熱媒体1060を供給する。熱媒体1060は、例えばセラミック部210の底面に平行に供給する。熱媒体1060は潜熱蓄熱体10により加熱され、供給時よりも大きな熱エネルギを備えた状態となって潜熱蓄熱体10から遠ざかる。このようにして、熱媒体1060に熱エネルギを伝達することができる。
【0127】
なお、熱媒体1060をセラミック部210の底面に垂直に供給してもよい。
【0128】
(第11実施形態)
第11実施形態について説明する。第11実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図21は、第11実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する斜視断面図である。
【0129】
第11実施形態に係る潜熱蓄熱体10は、
図21に示すように、多結晶体からなるセラミック部1110と、複数の金属部1120と、金属部1120を加熱することができる複数の電熱体1130とを有する。
【0130】
セラミック部1110には、複数の閉空間1111が形成されている。閉空間1111の形状は円筒状である。複数の閉空間1111は互いに同一の方向に延びる。セラミック部1110に、閉空間1111と平行に延びる貫通孔1114が形成されている。閉空間1111は貫通孔1114の近傍に設けられている。セラミック部1110は、例えば一体的に構成されている。例えば、セラミック部1110には、閉空間1111に繋がる接合部が存在しない。セラミック部1110はセラミック部110と同様の材料から構成されている。
【0131】
金属部1120は閉空間1111内に1個ずつ設けられている。言い換えれば、金属部1120はセラミック部1110に封止されている。金属部1120が、連続体であるセラミック部1110により気密に覆われているということもできる。金属部120は柱形状を有する。金属部1120は金属部120と同様の材料から構成されている。
【0132】
閉空間1111の容積は、金属部1120の体積よりも大きいことが好ましい。閉空間1111の容積が金属部1120の体積よりも大きい場合、
図21では省略するが、金属部1120の表面と閉空間1111の内面との間に隙間が存在する。金属部1120の表面と閉空間1111の内面との間の隙間は1箇所のみに存在していてもよく、複数箇所に存在していてもよい。
【0133】
電熱体1130はセラミック部1110内に設けられている。電熱体1130は、例えば電熱体1030と同様に、略円筒形状を有し、柱状の金属部1120の長軸に平行な方向から見たときに、例えば、時計回りと反時計回りとを交互に繰り返しながら螺旋を構成している。電熱体1130は電熱体830と同様の材料から構成されている。電熱体1130はヒータの一例である。
【0134】
第11実施形態に係る潜熱蓄熱体11は、形状の点を除いて第11実施形態と同様の方法で製造することができる。
【0135】
蓄熱時には、電熱体1130から熱を発生し、金属部1120を溶融させる。そして、潜熱蓄熱体11に蓄積された熱を利用する際には、貫通孔1114内に、金属部1120の融点よりも低温の熱媒体を供給する。熱媒体は潜熱蓄熱体11により加熱され、供給時よりも大きな熱エネルギを備えた状態となって潜熱蓄熱体11から遠ざかる。このようにして、熱媒体に熱エネルギを伝達することができる。
【0136】
第11実施形態によっても第10実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0137】
(第12実施形態)
第12実施形態について説明する。第12実施形態は潜熱蓄熱体に関する。
図22は、第12実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0138】
第12実施形態に係る潜熱蓄熱体12は、
図22に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120と、金属部120の温度変化により電力を生じる熱電対1240とを有する。
【0139】
熱電対1240は、第1導体1241と、第2導体1242とを有する。第1導体1241の一端と第2導体1242の一端とが接続されている。第1導体1241と第2導体1242との間で熱電能が相違している。例えば、第1導体1241及び第2導体1242はタングステン-レニウム合金を含有し、第1導体1241は5質量%のレニウム及び95質量%のタングステンから構成され、第2導体1242は26質量%のレニウム及び74質量%のタングステンから構成されている。
【0140】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0141】
第12実施形態に係る潜熱蓄熱体12の製造に際しては、例えば、第1導体1241用のペースト及び第2導体1242用のペーストを調合し、スクリーン印刷法等により熱電対1240の形状を備えた熱電対用ペースト部を形成する。そして、セラミック部130及び金属部140と同時に熱電対用ペースト部を焼成する。
【0142】
第12実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、熱電対1240が設けられているため、金属部120の状態を容易に把握することができる。例えば、蓄熱過程においては、金属部120が固体である間は、時間の経過と共に、熱電対1240が示す温度が上昇する一方で、金属部120が固体から液体へと相変化している間は、熱電対1240が示す温度が安定する。その後、相変化が完了すると、時間の経過と共に、熱電対1240が示す温度が再度上昇する。従って、相変化が開始されているか、相変化が継続しているか、相変化が完了したかを容易に把握することができる。
【0143】
潜熱蓄熱体においては、相変化が完了して液体となった金属部を更に加熱しても潜熱を蓄積することができず、投入したエネルギが無駄となる恐れがある。これに対し、本実施形態では、熱電対1240を用いて相変化の完了を検出することができるため、相変化が完了した後には、別の潜熱蓄熱体12に蓄熱するようにすれば、エネルギの無駄を抑制することができる。
【0144】
(第12実施形態の第1変形例)
第12実施形態の第1変形例について説明する。
図23は、第12実施形態の第1変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0145】
第12実施形態の第1変形例に係る潜熱蓄熱体12Aは、
図23に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120と、金属部120の温度変化により電力を生じる熱電対1240と、金属部120を加熱することができる電熱体830とを有する。電熱体830は、例えば金属部120の最も大きな1組の面の一方の近傍に設けられている。
【0146】
他の構成は第12実施形態と同様である。
【0147】
第12実施形態の第1変形例によっても第12実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第12実施形態の第1変形例によれば、第8実施形態と同様に、潜熱蓄熱体12Aが電熱体830を含んでいるため、エネルギの損失を低減できる。
【0148】
(第12実施形態の第2変形例)
第12実施形態の第2変形例について説明する。
図24は、第12実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0149】
第12実施形態の第2変形例に係る潜熱蓄熱体12Bでは、
図24に示すように、セラミック部110に、熱媒体が流れる流路1214が形成されている。
【0150】
第12実施形態の第2変形例によっても第12実施形態と同様の効果を得ることができる。また、流路1214が形成されているため、流路1214を流れる熱媒体と金属部120との間での熱交換効率を向上することができる。
【0151】
(第13実施形態)
第13実施形態について説明する。第13実施形態は潜熱蓄熱体に関し、第12実施形態の応用例に相当する。
図25は、第13実施形態に係る潜熱蓄熱体を例示する断面図である。
【0152】
第13実施形態に係る潜熱蓄熱体13は、
図25に示すように、多結晶体からなるセラミック部110と、金属部120と、金属部120の温度変化により電力を生じる熱電対1240と、断熱容器150とを有する。セラミック部110が断熱容器150に収容されている。断熱容器150には、熱の流入口151及び流出口152が設けられている。
【0153】
ここで、第13実施形態に係る潜熱蓄熱体13の使用方法の一例について説明する。
図26は、第13実施形態に係る潜熱蓄熱体13の使用方法を例示する図である。
図26において、金属部120には梨地を付しており、梨地が密であるほど温度が高いことを示している。
【0154】
この例では、
図26(a)に示すように、複数の潜熱蓄熱体13を用いる。複数の潜熱蓄熱体13の間では、流入口151と流出口152とが交互に直接に接続され、熱伝達系統(直列体)が構成されている。熱の移動の最も上流側に接続された潜熱蓄熱体13から下流に向かって金属部120の温度が低くなっている。各潜熱蓄熱体13では、熱電対1240を用いて金属部120の相変化の状態を検出できる。
【0155】
最も上流側の潜熱蓄熱体13において相変化の完了が検出されると、
図26(b)に示すように、当該潜熱蓄熱体13を熱伝達系統から切り離し、そのまま熱を保持しておくか、又は熱の利用が要求される用途に用いる。そのまま熱を保持しておく場合には、流入口151及び流出口152を塞ぐことが好ましい。その一方で、上流側から2番目に接続されていた潜熱蓄熱体13に直接熱を流入するようにし、この潜熱蓄熱体13を最も上流側の潜熱蓄熱体13とする。以降、図示は省略するが、相変化の完了が検出された潜熱蓄熱体13を順次熱伝達系統から切り離す。
【0156】
第13実施形態によれば、このようにして、熱エネルギの無駄を抑制しながら、複数の潜熱蓄熱体13に熱を蓄積することができる。
【0157】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0158】
1、2、3、4、5、6、7、8、8A、8B、9、10、11、12、12A、12B、13 潜熱蓄熱体
110、130、210、250A、250B、310、350A、350B、410、510、610、710、1110 セラミック部
120、140、220、260、320、360、420、520、620、720、1120 金属部
111、131、211、311、411、511、611、711、1111 閉空間
150 断熱容器
414、514、614、714、1114 貫通孔
1130 電熱体
1240 熱電対