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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172737
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G03G15/20 540
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084751
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 嘉紀
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 有信
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚吾
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033AA06
2H033AA20
2H033AA21
2H033AA24
2H033AA26
2H033AA31
2H033BA25
2H033BA27
2H033BA30
2H033BA38
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB24
2H033BB26
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB37
2H033BE00
2H033CA02
2H033CA27
2H033CA43
(57)【要約】
【課題】反射部材の劣化を抑制でき、ニップ部内の温度ムラを低減できる定着装置を提供する。
【解決手段】定着部材21と、加圧部材22と、ニップ形成部材と、熱源23と、ニップ形成部材を支持する第1の支持部材25と、第1の支持部材と接触し、熱源の熱を反射する反射部材28とを備える。ニップ形成部材は、第1の支持部材と接触する第2の支持部材24と、第2の支持部材に接触して支持され、第2の支持部材よりも加圧部材側に配置された金属部材26とを有する。記録媒体が前記ニップ部を通過する方向を搬送方向としたとき、搬送方向において、金属部材の長さは第2の支持部材よりも長く、第2の支持部材が第1の支持部材と接触する箇所は、第2の支持部材における搬送方向の両端部であり、前記第2の支持部材は、前記ニップ部側の面でのみ前記金属部材と接触している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能であり可撓性を有する無端状の定着部材と、
前記定着部材の外周面に当接する加圧部材と、
前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を介して前記加圧部材とニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を加熱する熱源と、
前記ニップ形成部材を支持する第1の支持部材と、
前記第1の支持部材と接触し、前記熱源の熱を反射する反射部材と、を備え、
前記ニップ形成部材は、前記第1の支持部材と接触する第2の支持部材と、前記第2の支持部材に接触して支持され、前記第2の支持部材よりも前記加圧部材側に配置された金属部材と、を有し、
記録媒体が前記ニップ部を通過する方向を搬送方向としたとき、搬送方向において、前記金属部材の長さは前記第2の支持部材よりも長く、
前記第2の支持部材が前記第1の支持部材と接触する箇所は、前記第2の支持部材における搬送方向の両端部であり、
前記第2の支持部材は、前記ニップ部側の面でのみ前記金属部材と接触していることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第2の支持部材は、熱伝導率が10W/mK以上の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面は、前記定着部材の回転軸方向において複数あることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面の面積は、前記定着部材の回転軸方向の中央よりも端部の方が大きいことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面の面積は一定であり、
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面は、隣り合う接触面の間隔が前記定着部材の回転軸方向の中央で広く、端部に向かうにつれて間隔が狭くなることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面は、隣り合う接触面の間隔が前記定着部材の回転軸方向で一定であり、
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面の面積は、前記定着部材の回転軸方向の中央で小さく、端部に向かうにつれて面積が大きくなることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第2の支持部材は、金属からなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項8】
前記定着部材と前記金属部材との間に摺動部材を備え、
前記摺動部材は、前記定着部材の内周と摺動することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項9】
前記第2の支持部材は、前記定着部材の回転軸方向と垂直な断面において、板部材を2度曲げた形状であり、2つの端部が同じ方向に向いた形状であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項10】
前記第2の支持部材は、前記板部材を2度折り曲げた部分の2つの端部側に、前記ニップ部とは反対側の方向に凸となる複数の凸部を有することを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、未定着トナー画像を記録媒体に転写し、この記録媒体が定着装置に搬送されて、記録媒体上の未定着トナー画像を熱と圧力により記録媒体に定着させる。近年、画像形成装置に対し、省エネルギー化、高速化についての市場要求が強くなってきている。高速化させて生産性を向上させた場合、それに伴い、熱源の熱量も増えてしまう。
【0003】
特許文献1では、定着ベルトの内周面と摺接してその長手方向に熱を移動する熱移動補助部材と、中空フィラーを混在した耐熱性樹脂で形成されたニップ形成部材を用いる定着装置が開示されている。
特許文献1によれば、熱伝導しにくい樹脂を用いたニップ形成部材を備えることで、ニップ形成部材の熱伝導率が下がり、定着に寄与しないニップ形成部材への熱移動量が減り、定着装置での消費電力量が削減できるとしている。
【0004】
特許文献2では、ニップ形成部材は熱伝導率が異なる複数の層から構成されていて、ニップ形成部材内において定着部材の長手方向及び記録媒体搬送方向と直交する方向の熱伝導率が異なるようにしている。また、複数の層の熱伝導率が定着部材の長手方向において異なっていて、ニップ形成部材の支持部材に接する側にある支持部材側の層は、その熱伝導率が支持部材の熱伝導率よりも高くなっている。
特許文献2によれば、小さいサイズの記録媒体を連続通紙した際に発生する端部における過度の温度上昇をニップ形成部材がその内部側に素早く逃がそうとする際に、ニップ形成部材内での熱移動が阻害されることを防止できるとしている。
【0005】
特許文献3では、ニップ形成部材は樹脂ニップ形成部材と金属ニップ形成部材を有し、金属ニップ形成部材は、軸方向端部側に、保持部材が有する金属部材に接触する接触面を有することが開示されている。
特許文献3によれば、簡単な構成で、軸方向の温度ムラが少なく、立ち上がり時間を短くすることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、熱源から他の部材(例えばニップ形成部材を支持する支持部材)への熱を定着部材に反射させることを目的として、反射部材を用いている。反射部材を用いることで、熱源からの熱を定着部材に反射させることができ、エネルギー消費を抑制できるとしている。
【0007】
しかしながら、従来技術では、熱伝導しにくい部材をニップ形成部材に用いているため、ニップ形成部材が熱伝導の壁となってしまい、熱源からの熱が反射部材や支持部材から移動しにくくなる。このため、反射部材や支持部材が高温となり、反射部材が劣化しやすいという問題があり、反射部材の破損にもつながる。また、反射部材を用いた従来技術では、ニップ部内の温度ムラを十分に抑えられておらず、ニップ部内に温度ムラが生じると、異常画像が発生してしまう。
【0008】
そこで本発明は、反射部材の劣化を抑制でき、ニップ部内の温度ムラを低減できる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、回転可能であり可撓性を有する無端状の定着部材と、前記定着部材の外周面に当接する加圧部材と、前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を介して前記加圧部材とニップ部を形成するニップ形成部材と、前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を加熱する熱源と、前記ニップ形成部材を支持する第1の支持部材と、前記第1の支持部材と接触し、前記熱源の熱を反射する反射部材と、を備え、前記ニップ形成部材は、前記第1の支持部材と接触する第2の支持部材と、前記第2の支持部材に接触して支持され、前記第2の支持部材よりも前記加圧部材側に配置された金属部材と、を有し、記録媒体が前記ニップ部を通過する方向を搬送方向としたとき、搬送方向において、前記金属部材の長さは前記第2の支持部材よりも長く、前記第2の支持部材が前記第1の支持部材と接触する箇所は、前記第2の支持部材における搬送方向の両端部であり、前記第2の支持部材は、前記ニップ部側の面でのみ前記金属部材と接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反射部材の劣化を抑制でき、ニップ部内の温度ムラを低減できる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る定着装置の一例を示す概略図である。
図3】本発明に含まれない定着装置の例(比較例3)を示す概略図である。
図4】本発明に係る定着装置の一例を示す概略図であり、熱移動を説明する図である。
図5A】比較例1を説明する図(a)~(d)である。
図5B】比較例2を説明する図(a)~(d)である。
図5C】比較例3を説明する図(a)~(d)である。
図5D】実施例1を説明する図(a)~(d)である。
図5E】実施例2を説明する図(a)~(d)である。
図6】第2の支持部材と金属部材の接触を説明する概略図(a)~(d)である。
図7】第1の支持部材と第2の支持部材の接触面の一例を説明するための平面概略図(a)~(c)である。
図8】第2の支持部材の他の例を示す斜視概略図(a)及び側面概略図(b)である。
図9】第2の支持部材の他の例を示す斜視概略図(a)及び側面概略図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明の定着装置は、回転可能であり可撓性を有する無端状の定着部材と、前記定着部材の外周面に当接する加圧部材と、前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を介して前記加圧部材とニップ部を形成するニップ形成部材と、前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を加熱する熱源と、前記ニップ形成部材を支持する第1の支持部材と、前記第1の支持部材と接触し、前記熱源の熱を反射する反射部材と、を備え、前記ニップ形成部材は、前記第1の支持部材と接触する第2の支持部材と、前記第2の支持部材に接触して支持され、前記第2の支持部材よりも前記加圧部材側に配置された金属部材と、を有し、記録媒体が前記ニップ部を通過する方向を搬送方向としたとき、搬送方向において、前記金属部材の長さは前記第2の支持部材よりも長く、前記第2の支持部材が前記第1の支持部材と接触する箇所は、前記第2の支持部材における搬送方向の両端部であり、前記第2の支持部材は、前記ニップ部側の面でのみ前記金属部材と接触していることを特徴とする。
【0014】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
本例の画像形成装置は、カラー画像を形成可能であり、中間転写ベルト30の展張方向に沿って4つの作像部4が並置して設けられている。4つの作像部4は、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容する以外は、同じ構成となっている。
【0015】
作像部4は、例えば、潜像担持体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を備えている。潜像担持体としては例えばドラム状の感光体を用いる。感光体は、露光装置によって表面が露光される。帯電装置は、感光体の表面を帯電させる。現像装置は、感光体の表面にトナーを供給する。クリーニング装置は、感光体の表面をクリーニングする。
【0016】
特に制限されるものではないが、例えば読取装置100により原稿の読み取りが行われ、画像データが得られる。画像データに基づいて露光が行われ、潜像(静電潜像などと称してもよい)が感光体に形成される。現像装置により現像が行われ、感光体上にトナー像が形成される。
【0017】
感光体に形成されたトナー像は、転写手段によって中間転写ベルト30に転写される。中間転写ベルト30に転写されたトナー像は、転写ローラ36により記録媒体(記録材などとも称される)に転写される。
【0018】
記録媒体は、例えば給紙トレイ10から給紙ローラ11により給紙され、レジストローラ12により搬送される。記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、周知のように、手差し給紙機構が設けられていてもよい。
【0019】
トナー像が転写された記録媒体は、定着装置20に搬送される。定着装置20は、記録媒体に転写されたトナー画像(未定着画像などと称してもよい)を定着する。定着が行われた記録媒体は、排紙トレイ14に排紙される。必要に応じて記録媒体の両面に画像を形成してもよい。
【0020】
図2は、本実施形態の定着装置20の一例を示す概略図である。
本実施形態の定着装置20は、例えば、定着ベルト21、加圧ローラ22、ヒータ23、メタルサポータ24、ステー25、金属パッド26、ベルト支持部材27、リフレクタ28を備えている。
【0021】
定着ベルト21は、定着部材の一例であり、可撓性を有する無端状のベルトである。無端状のベルトをスリーブ状のベルトと称してもよい。定着ベルト21は、ベルト支持部材27により支持され、回転可能である。定着ベルト21の回転軸の方向は紙面と垂直な方向であり、軸方向などとも称する。定着ベルト21は、その内部(ループ内)に配された熱源としてのヒータ23の輻射熱によって加熱される。
【0022】
定着ベルト21としては、例えば、ニッケルやSUS等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成された内周側の基材と、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等で形成された外周側の離型層によって構成されている。基材と離型層の間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、あるいはフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。この弾性層の厚さを100μm程度にすれば、未定着トナーを押し潰して定着させるときに弾性層の弾性変形により、ベルト表面の微小な凹凸を吸収でき、光沢ムラの発生を回避できる。
【0023】
定着ベルト21は、全体として厚さ1mm以下に、直径20~40mmに設定されていることが好ましく、この場合、低熱容量化を図ることができる。そして、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さは、適宜変更可能であるが、例えば20~50μm、100~300μm、10~50μmの範囲に設定されていることが好ましい。更に低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、更に望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよく、直径は30mm以下とするのが望ましい。
【0024】
ベルト支持部材27は、例えば定着ベルト21を定着ベルト21の両端部で支持する。ベルト支持部材27は、ベルト保持部材などと称されてもよい。ベルト支持部材27は、例えば側板フランジを用いることができる。
【0025】
加圧ローラ22は、定着ベルト21の外周面に当接している。また、加圧ローラ22は、ニップ形成部材と対向する位置で定着ベルト21を圧接し、定着ベルト21とニップ部Nを形成する。加圧ローラ22は、例えば、芯金と、芯金の表面に設けられた発泡性シリコーンゴムやフッ素ゴム等から成る弾性層と、弾性層の表面に設けられたPFAやPTFE等から成る離型層によって構成することができる。例えば加圧手段のバネにより加圧ローラ22が定着ベルト21に押し付けられ、定着ベルト21と圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層が押し潰されることで、所定幅のニップ部Nが形成される。なお、ニップ部Nは、定着ニップNなどと称してもよい。
【0026】
加圧ローラ22は、例えば、画像形成装置本体に設けられたモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。定着ベルト21は定着ニップNで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では両端部に配された側板フランジにガイドされ、走行する。
【0027】
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の熱源を配設してもよい。弾性層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラの内部に熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
【0028】
本実施形態におけるニップ形成部材は、定着ベルト21の内部に配置され、定着ベルト21を介して加圧ローラ22とニップ部Nを形成する。本実施形態におけるニップ形成部材は、メタルサポータ24と金属パッド26を有する。
【0029】
ステー25は、第1の支持部材の一例であり、ニップ形成部材を支持する。例えばステー25は、メタルサポータ24と接触し、メタルサポータ24を支持する。
【0030】
メタルサポータ24は、第2の支持部材の一例であり、金属パッド26を支持する。メタルサポータ24は、ステー25と接触して配置されている。
【0031】
金属パッド26は、金属部材の一例であり、メタルサポータ24(第2の支持部材)に接触して支持されている。また金属パッド26は、メタルサポータ24よりも加圧ローラ22側に配置されている。換言すると、メタルサポータ24と加圧ローラ22との間に金属パッド26の少なくとも一部が配置されている。メタルサポータ24と金属パッド26の大きさの関係についての詳細例は後述する。
【0032】
金属パッド26は、図示する例のように、定着ベルト21の内周と摺動するように配置されていてもよい。また、金属パッド26と定着ベルト21の内周との間に、例えば摺動シートが設けられていてもよい。
【0033】
ヒータ23は、熱源の一例であり、定着ベルト21の内部に配置され、定着ベルト21を加熱する。ヒータ23は、例えば輻射熱により定着ベルト21を加熱する。熱源としては、例えば、ハロゲンヒータを用いることができ、その他にも、誘導加熱装置、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。図示するように、熱源は複数であってもよい。
【0034】
リフレクタ28は、反射部材の一例であり、ヒータ23(熱源)の熱、例えば輻射熱を反射する。リフレクタ28を用いることにより、ヒータ23の定着ベルト21に対する加熱効率を上げることができる。また、リフレクタ28を用いることにより、ヒータ23からの熱によりステー25が加熱されることによるエネルギー消費を抑制することができる。
【0035】
記録媒体Pがニップ部Nを通過することで、記録媒体P上の未定着画像32が記録媒体Pに定着される。図中の白矢印は、記録媒体Pの搬送方向を模式的に示している。
【0036】
図2に示すように、記録媒体がニップ部Nを通過する方向を搬送方向としたとき、搬送方向において、金属パッド26の長さはメタルサポータ24よりも長くなっている。また、本実施形態において、メタルサポータ24がステー25と接触する箇所は、メタルサポータ24における搬送方向の両端部である。また、メタルサポータ24は、ニップ部N側の面でのみ金属パッド26と接触している。
【0037】
本実施形態の定着装置は、リフレクタ28の熱がステー25、メタルサポータ24、金属パッド26を介して定着ベルト21まで伝熱する経路を有するため、リフレクタ28の温度が高温になることを抑制することができる。また、搬送方向において、金属パッド26の長さがメタルサポータ24よりも長くなっていることにより、メタルサポータ24がステー25と接触する位置が高温になりニップ部N内に温度偏差が生じることを抑制することができる。これにより、ニップ部Nにおける温度ムラを抑制でき、異常画像の発生を抑制することができる。また、メタルサポータ24はニップ部N側の面でのみ金属パッド26と接触している。これにより、ニップ部Nまでの領域で金属パッド26端部の温度が高くなり過ぎることを防ぐことができる。
【0038】
図3は、本発明に含まれない定着装置の例を示す図である。後述の比較例3に該当する例である。本例では、搬送方向における金属パッド26の長さが図2に示す例と異なっており、メタルサポータ24の側面が金属パッド26と接触している。この場合、メタルサポータ24から金属パッド26に伝熱し、金属パッド26端部の温度が高くなり過ぎてしまう。
【0039】
図4は、本実施形態の定着装置20の概略図であり、熱の移動経路を説明するための図である。図中の黒矢印は、熱の移動経路を模式的に示している。ヒータ23からの熱は、一部がリフレクタ28に吸収され、リフレクタ28の熱はステー25に移動する。ステー25に移動した熱は、メタルサポータ24に移動し、更に金属パッド26に移動する。金属パッド26に移動した熱は、定着ベルト21に移動する。このようにヒータ23からの熱が移動することにより、リフレクタ28の温度が過度に上昇することを防ぐことができ、リフレクタ28の劣化や破損を抑制することができる。また、本実施形態では、ニップ形成部材(メタルサポータ24、金属パッド26)に伝わった熱がニップ部Nに移動するため、ニップ形成部材に伝わった熱をニップ部Nに有効活用することができ、消費電力を低減することができる。
【0040】
ヒータ23とリフレクタ28を用いる場合、ヒータ23の輻射熱を定着ベルト21側に反射させるために、反射率の高いリフレクタ28を図示するような配置で設けることが好ましい。リフレクタ28により輻射熱が定着ベルト21に反射されるため、省エネ性の向上や復帰時間の短縮につながる。また、リフレクタ28の反射率は90%以上であることが好ましい。しかし、リフレクタ28がヒータ23からの全ての熱を反射するわけではなく、一部の熱を吸収する。そのため、連続通紙を行うと、リフレクタ28の温度が高温となり、リフレクタ28が吸収した熱により、反射率の低下や破損など劣化が生じてしまう。
【0041】
次に、本実施形態において、ニップ部N内の温度ムラを抑制できることについて説明する。
リフレクタ28が吸収した熱は、ステー25との接触部からステー25に伝熱する。そのため、ステー25では、リフレクタ28との接触部の温度が高温となり、リフレクタ28との非接触部の温度は接触部の温度に比べて相対的に低い温度となる。この温度差が記録媒体を通紙するニップ部N内の温度分布に影響を与え、ニップ部N内の温度ムラが生じる。ニップ部N内に温度ムラが存在する場合、光沢ムラ等の画像不良が生じるため、ニップ部N内の温度ムラを抑制する必要がある。
【0042】
本実施形態において、ニップ形成部材は、メタルサポータ24と金属パッド26を有している。金属パッド26は、搬送方向においてメタルサポータ24よりも大きくしている。また、メタルサポータ24とステー25との接触位置は、搬送方向におけるメタルサポータ24の端部に位置する。これらを同時に満たすことにより、ニップ部N内の温度ムラを改善することができる。また、メタルサポータ24はニップ部N側の面のみ金属パッド26と接触している。これにより、ニップ部Nまでの領域で金属パッド26端部の温度が高くなり過ぎることを防ぐことができる。一方、メタルサポータ24の側面も金属パッド26と接触していると、メタルサポータ24から金属パッド26に伝熱し、金属パッド26端部の温度が高くなり過ぎてしまう。
【0043】
また、金属パッド26が搬送方向においてメタルサポータ24よりも大きい(長い)ことにより、メタルサポータ24における搬送方向に沿った部分で、端部の温度が高くなり過ぎることを防止できる。これは、メタルサポータ24の端部の熱が、金属パッド26に移動し、更に金属パッド26の端部方向に熱が移動できることによるものと考えられる。
一方、金属パッド26が搬送方向においてメタルサポータ24よりも大きくなっていない場合、メタルサポータ24における搬送方向に沿った部分で、端部の温度が高くなり過ぎてしまう。そのため、メタルサポータ24における搬送方向に沿った部分で、温度の差が大きくなりやすくなり、ニップ部N内の温度ムラが生じる。
【0044】
上記について、図を用いて更に説明する。
なお、本実施形態では、定着ベルト21の回転軸方向を長手方向とも称する。記録媒体がニップ部Nを通過する方向を搬送方向とも称する。また、搬送方向を短手方向とも称する。長手方向と短手方向は直交する方向である。
【0045】
図5Aは、本発明に含まれない比較例1を示す図である。図5A(a)は、ニップ形成部材の側面図もしくは断面図であり、図5A(b)は、ニップ形成部材を定着ベルト21の内側から見た場合の平面図であり、図5A(c)は、ニップ部N内の温度分布を模式的に示す図であり、図5A(d)は、ニップ形成部材における熱の移動を模式的に示す図である。
【0046】
なお、ニップ部Nは、メタルサポータと加圧部材との関係で決まるため、メタルサポータの幅をニップ部としている。そのため、図5A(c)のように、メタルサポータ24aの幅をニップ部Nとしている。その他の比較例及び実施例も同様である。
【0047】
比較例1は、図示するように、搬送方向(短手方向)において、金属パッド26の長さはメタルサポータ24aよりも長くなっている。しかし、メタルサポータ24aがステー25と接触する箇所は、メタルサポータ24aにおける搬送方向の両端部になっていない。このため、比較例1は本発明に含まれない例である。
【0048】
比較例1においても、ステー25との接触部の温度は高くなり、非接触部の温度は相対的に低くなる。メタルサポータ24に移動した熱は、金属パッド26を介して定着ベルト21に移動する。このとき、定着ベルト21に伝熱するまでの間に、搬送方向(短手方向)におけるメタルサポータ24aの中央部(図のr2)は、熱の移動によって同じ温度に均熱化される。一方、図5A(d)に示すように、メタルサポータ24aは、搬送方向の両端部でステー25と接触していないため、ステー25からの熱は、中央部(r2)の方向へ流れる熱と、両端部(r1、r3)の方向へ流れる熱とに分かれる。メタルサポータ24から金属パッド26に熱が移動する際に、両端部(r1、r3)から金属パッド26に流れる熱の方が、中央部(r2)から金属パッド26に流れる熱よりも大きくなる。そのため、両端部(r1、r3)の温度が中央部(r2)よりも小さくなり、図5A(c)に示すように、ニップ部N内で大きな温度偏差(温度ムラ)が生じてしまう。
【0049】
図5Bは、本発明に含まれない比較例2を示す図であり、図5A等と同様の図である。
比較例2は、図示するように、メタルサポータ24がステー25と接触する箇所は、メタルサポータ24aにおける搬送方向の両端部になっている。しかし、搬送方向(短手方向)において、金属パッド26aの長さはメタルサポータ24の長さと同じになっている。このため、比較例2は本発明に含まれない例である。
【0050】
図5B(d)に示すように、メタルサポータ24から金属パッド26aに熱が移動した後、金属パッド26aでは、端部(r4、r5)よりも更に端部側に移動することができない。これは、金属パッド26が搬送方向においてメタルサポータ24よりも大きくなっていないためである。そのため、図5B(c)に示すように、端部(r4、r5)の温度が高くなってしまい、温度ムラが生じてしまう。
【0051】
図5Cは、本発明に含まれない比較例3を示す図であり、図5A等と同様の図である。比較例3は図3にも該当する。
比較例3は図示するように、搬送方向(短手方向)において、金属パッド26の長さはメタルサポータ24よりも長くなっている。また、メタルサポータ24がステー25と接触する箇所は、メタルサポータ24における搬送方向の両端部になっている。しかし、メタルサポータ24の側面が金属パッド26と接触している。
【0052】
図5C(d)に示すように、メタルサポータ24の側面が金属パッド26と接触しているため、端部(r6、r7)の熱が金属パッド26の両端部(r8、r9)に移動し、金属パッド26端部の温度が高くなり過ぎてしまう。また、金属パッド26に伝熱することで、ニップ部端部(r6、r7)の温度が上がり、図5C(c)に示すように温度ムラが生じてしまう。
【0053】
図5Dは、本発明に含まれる実施例1を示す図であり、図5A等と同様の図である。実施例1は図2にも該当する。
実施例1は図示するように、搬送方向(短手方向)において、金属パッド26の長さはメタルサポータ24よりも長くなっている。また、メタルサポータ24がステー25と接触する箇所は、メタルサポータ24における搬送方向の両端部になっている。また、メタルサポータ24はニップ部N側の面のみ金属パッド26と接触している。
【0054】
図5D(d)に示すように、端部(r10、r11)の熱は、ニップ部N側の面まで移動した後、金属パッド26に移動し、更に金属パッド26の端部側に移動する。これにより、図5D(c)に示すように、ニップ部N内で温度ムラが生じることを防止できる。
なお、上述したように、ニップ部Nは、メタルサポータと加圧部材との関係で決まるため、図5D(c)に示すようにメタルサポータ26の幅をニップ部Nとしている。
【0055】
図5Eは、本発明に含まれる実施例2を示す図であり、図5A等と同様の図である。図5E(a)に示すように、金属パッド26bの形状は、図5Dのようなコの字形状でなくてもよい。実施例2は実施例1と同様に、搬送方向(短手方向)において、金属パッド26bの長さはメタルサポータ24よりも長くなっており、メタルサポータ24がステー25と接触する箇所は、メタルサポータ24における搬送方向の両端部になっている。また、メタルサポータ24はニップ部N側の面でのみ金属パッド26bと接触している。そのため、本実施形態の効果が得られる。
【0056】
一方、金属パッドが板状である場合、回転する定着ベルト21に金属パッドのエッジが当たり、定着ベルト21が摩耗する可能性がある。そのため、金属パッドの形状は図5Dのようなコの字形状であることが好ましい。
【0057】
メタルサポータ24(第2の支持部材)の熱伝導率は、10W/mK以上であることが好ましい。この場合、リフレクタ28の熱を定着ベルト21に伝熱しやすくすることができ、リフレクタ28の破損をより抑制することができる。また、メタルサポータ24の熱伝導率を10W/mK以上にすることで、熱源の熱がニップ部Nにも伝わりやすくなり、熱源の熱をよりニップ部Nに有効活用することができ、消費電力をより低減することができる。メタルサポータ24の熱伝導率が10W/mK未満であると、リフレクタ28からの熱がメタルサポータ24により遮られ、定着ベルト21に移動しにくくなる。
【0058】
ニップ形成部材が有する第2の支持部材は、本例のメタルサポータ24のように、金属からなることが好ましい。この場合、リフレクタ28の熱を定着ベルト21に伝熱しやすくすることができ、リフレクタ28の破損をより抑制することができる。また、第2の支持部材が金属である場合、熱源の熱がニップ部Nにも伝わりやすくなり、熱源の熱をよりニップ部Nに有効活用することができ、消費電力をより低減することができる。
【0059】
メタルサポータ24(第2の支持部材)に用いられる金属としては、例えばSECC(電気亜鉛メッキを施した鋼板)、アルミニウム等が挙げられ、ステー25の材質としては、例えばSECC等が挙げられる。これらは熱伝導及び支持強度の観点から好ましい。
金属パッド26としては、例えば、高熱伝導部材が用いられ、例えばSECC、SUM(快削鋼)、SUS(ステンレス鋼)等を用いることができる。これらを用いる場合、リフレクタ28の熱を定着ベルト21に伝熱しやすくすることができ好ましい。
【0060】
定着ベルト21と金属パッド26との間には摺動部材が設けられていてもよい。摺動部材は定着ベルト21の内周と摺動する。摺動部材としては、例えば摺動シートが挙げられる。摺動部材の材質としては、耐熱性の優れた材料であることが好ましい。
【0061】
次に、メタルサポータ24(第2の支持部材)と金属パッド26(金属部材)の接触について、図6を用いて説明する。本実施形態におけるメタルサポータ24はニップ部N側の面でのみ金属パッド26と接触している。本発明でいうニップ部側の面でのみ接触とは、メタルサポータ24の曲面で接触している場合も含む。そのため、図6(a)に示すようにメタルサポータ24と金属パッド26が接触する場合だけでなく、図6(b)~(d)に示すようにメタルサポータ24の曲面24rの一部又は全部が金属パッド26と接触する場合も本発明に含まれる。例えば図6(d)では、メタルサポータ24の曲面24rの全部が金属パッド26と接触しているが、メタルサポータ24の側面は金属パッド26と接触しておらず、上述した効果が得られる。ただし、メタルサポータ24が曲面24rを有する場合、金属パッド26はメタルサポータ24の曲面に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。また、金属パッド26は図6(b)のように角度をもって曲げられていてもよいし、図6(c)、(d)のように曲線をもって曲げられていてもよい。
【0062】
次に、メタルサポータ24(第2の支持部材)の例について説明する。
ステー25(第1の支持部材)とメタルサポータ24(第2の支持部材)がどのように接触するかについては、適宜選択することができる。ステー25とメタルサポータ24は、定着ベルト21の回転軸方向(長手方向とも称する)において一直線全面で接触していてもよい。ステー25とメタルサポータ24が、長手方向において一直線全面で接触する場合、メタルサポータ24を加工しやすいという利点がある。一方、定着ベルト21の熱が金属パッド26を介してメタルサポータ24に伝わった場合に、一直線全面で接触していると、メタルサポータ24からステー25に熱が伝わりやすくなる。そのため、定着ベルト21の温度が想定よりも下がる場合があり、ヒータ23の発熱量が増え、消費電力が大きくなる場合がある。
【0063】
上記を考慮すると、ステー25とメタルサポータ24との接触面は、定着ベルト21の回転軸方向において複数あることが好ましい。このように、ステー25とメタルサポータ24との接触面を複数にすることで、定着ベルト21の熱が金属パッド26を介してメタルサポータ24に伝わった場合に、メタルサポータ24からステー25に熱が奪われにくくなる。このため、定着ベルト21から熱が奪われることを抑え、ヒータ23の発熱量が増えることを抑制でき、消費電力が大きくなることを抑制できる。
【0064】
このように、ステー25とメタルサポータ24との接触面を複数にするには、例えば、メタルサポータ24の形状を適宜選択する方法が挙げられ、例えば、メタルサポータ24の形状を後述の図8に示すような形状にする方法が挙げられる。
【0065】
図7は、本例のニップ形成部材を定着ベルト21の内側から見た場合の平面概略図であり、ステー25とメタルサポータ24との接触面を説明するための図である。
図7(a)では、ステー25とメタルサポータ24との接触面24bが図示されており、ステー25とメタルサポータ24との接触面24bは、定着ベルト21の回転軸方向(長手方向)において複数ある。図示される例を、ステー25とメタルサポータ24が長手方向において部分的に接触するなどと表現してもよい。
【0066】
図7(b)は、メタルサポータ24の他の例を示す平面概略図である。ステー25とメタルサポータ24との接触面24bの面積は、長手方向の中央よりも端部の方が大きいことが好ましい。図示するように、接触面24bの面積は、長手方向の中央よりも端部の方が大きくなっている。例えば、接触面24bの面積をS1~S4としたとき、本例では、S4<S3<S2<S1となっている。中央の接触面24bの面積S4が最も小さく、端部の接触面24bの面積S1が最も大きくなっている。
【0067】
このように、長手方向における端部の接触面24bの面積を大きくすることで、定着ベルト21の端部の熱を、金属パッド26、メタルサポータ24、ステー25の順に移動させやすくすることができる。これにより、非通紙部の定着ベルト21の温度が上がり過ぎることを抑制することができる。
【0068】
また、ステー25の温度は、長手方向の中央が高くなりやすい。ステー25の端部は、フレームへの伝熱が生じることの他、マシン内部の気流が当たりやすく冷めやすいことが考えられる。そのため、本例のように、中央の接触面積を小さくして熱の移動量を小さくし、端部の接触面積を大きくして熱の移動量を大きくすると、ニップ部に均一に熱を与えることができ、長手方向の中央と端部とで伝熱量の差を小さくすることができる。
【0069】
また図7(b)では、隣り合う接触面の間隔が長手方向で一定になるようにしており、この場合、より好ましい。すなわち、ステー25とメタルサポータ24との接触面は、隣り合う接触面の間隔が定着ベルト21の回転軸方向で一定であり、ステー25とメタルサポータ24との接触面の面積は、定着ベルト21の回転軸方向の中央で小さく、端部に向かうにつれて面積が大きくなることが好ましい。この場合、ニップ部Nの温度ムラをより抑制できる。
【0070】
図7(c)は、メタルサポータ24の他の例を示す平面概略図である。本例において、ステー25とメタルサポータ24との接触面24bの面積は一定であり、ステー25とメタルサポータ24との接触面24bは、隣り合う接触面24bの間隔が定着ベルト21の回転軸方向(長手方向)の中央で広く、端部に向かうにつれて間隔が狭くなる。
【0071】
図示するように、隣り合う接触面24bの間隔は、長手方向の中央で広く、端部に向かうにつれて広くなっている。例えば、隣り合う接触面24bの間隔をL1~L3としたとき、本例では、L1<L2<L3となっている。隣り合う接触面24bの間隔は、端部の間隔L1が最も小さく、中央の間隔L3が最も大きくなっている。
【0072】
このようにすることで、定着ベルト21の端部の熱を、金属パッド26、メタルサポータ24、ステー25の順に移動させやすくすることができる。これにより、ニップ部Nにおける非通紙部の温度が上がり過ぎることを抑制することができる。
【0073】
なお、図7(c)に示す例については、接触面24bの面積は一定であり、端部ほど接触面の密度が高いと表現してもよいし、接触面24bの面積は一定であり、端部ほど接触面の数が多いと表現してもよい。
【0074】
図8(a)に、メタルサポータ24における斜視図の一例を示す。また、図8(b)に、図8(a)を定着ベルト21の内側から見た場合の平面図を示す。図8に示す例は、例えば図7(a)に示す例に対応する。メタルサポータ24をこのような形状にすることで、ステー25とメタルサポータ24との接触面24bを、長手方向において複数にすることができる。
【0075】
本例のメタルサポータ24(第2の支持部材)は、定着ベルト21の回転軸方向(長手方向)と垂直な断面において、板部材を2度曲げた形状であり、2つの端部が同じ方向に向いた形状である。換言すると、長手方向と垂直な断面において、コの字形状であるともいえる。このような形状の場合、メタルサポータ24がステー25と接触する箇所を、メタルサポータ24における搬送方向の両端部にしやすくなる。
【0076】
なお、図2及び図3に示すメタルサポータ24の例においても、長手方向と垂直な断面において、板部材を2度曲げた形状であり、2つの端部が同じ方向に向いた形状であるといえる。このような形状である場合、加工がしやすく、また加工精度(寸法精度)を向上させることができ、ステー25に対して安定的に接触させることができる。
【0077】
図示するように、本例のメタルサポータ24は、板部材を2度折り曲げた部分の2つの端部側に、ニップ部Nとは反対側の方向に凸となる複数の凸部(例えば、凸部24x、24y、24z)を有している。換言すると、板部材を折り曲げた部分では、複数の隙間が設けられているともいえる。その他にも、複数の凸部を1つ1つ折り曲げた形状であるともいえる。
【0078】
なお、本例のメタルサポータ24は、ステー25と接触する側の形状が凹凸形状になっていると表現してもよい。また、このような凹凸形状をげた形状と称してもよい。
【0079】
図9(a)に、メタルサポータ24における斜視図の他の例を示す。また、図9(b)に、図9(a)におけるメタルサポータ24を側面から見た場合の図を示す。
図9に示す例においても、メタルサポータ24は、板部材を2度折り曲げた部分の2つの端部側に、ニップ部Nとは反対側の方向に凸となる複数の凸部(例えば、凸部24x、24y、24z)を有している。本例において、複数の凸部は、定着ベルト21の軸方向(ニップ形成部材の長手方向)において、軸方向の中央が最も高く、軸方向の端部に向かって低くなっている。例えば、長手方向の中央側の凸部24zの高さがc3であり他の凸部に比べて高く、長手方向の端部側の凸部24xの高さがc1であり他の凸部に比べて低くなっている。図示する例では、c1<c2<c3の関係になっている。
【0080】
図9では、長手方向の一方側のみを図示しており、他方側については図示を省略している。他方側についても同様に、軸方向の中央が最も高く、軸方向の端部に向かって低くなっている。換言すると、コの字に曲げて作製したメタルサポータ24のコの字の高さは、中央が高く、端部に向かって低くなっている。
【0081】
上述のように、ステー25の温度は長手方向の中央が高くなりやすいため、ステー25の中央部が撓みやすくなる。本例のように、複数の凸部において、軸方向の中央が最も高く、軸方向の端部に向かって低くなっていることで、ステー25が撓んでも安定してニップ部Nを形成することができる。
【0082】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>回転可能であり可撓性を有する無端状の定着部材と、
前記定着部材の外周面に当接する加圧部材と、
前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を介して前記加圧部材とニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記定着部材の内部に配置され、前記定着部材を加熱する熱源と、
前記ニップ形成部材を支持する第1の支持部材と、
前記第1の支持部材と接触し、前記熱源の熱を反射する反射部材と、を備え、
前記ニップ形成部材は、前記第1の支持部材と接触する第2の支持部材と、前記第2の支持部材に接触して支持され、前記第2の支持部材よりも前記加圧部材側に配置された金属部材と、を有し、
記録媒体が前記ニップ部を通過する方向を搬送方向としたとき、搬送方向において、前記金属部材の長さは前記第2の支持部材よりも長く、
前記第2の支持部材が前記第1の支持部材と接触する箇所は、前記第2の支持部材における搬送方向の両端部であり、
前記第2の支持部材は、前記ニップ部側の面でのみ前記金属部材と接触していることを特徴とする定着装置。
<2>前記第2の支持部材は、熱伝導率が10W/mK以上の材料からなることを特徴とする<1>に記載の定着装置。
<3>前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面は、前記定着部材の回転軸方向において複数あることを特徴とする<1>又は<2>に記載の定着装置。
<4>前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面の面積は、前記定着部材の回転軸方向の中央よりも端部の方が大きいことを特徴とする<3>に記載の定着装置。
<5>前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面の面積は一定であり、
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材と接触面は、隣り合う接触面の間隔が前記定着部材の回転軸方向の中央で広く、端部に向かうにつれて間隔が狭くなることを特徴とする<3>に記載の定着装置。
<6>前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面は、隣り合う接触面の間隔が前記定着部材の回転軸方向で一定であり、
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との接触面の面積は、前記定着部材の回転軸方向の中央で小さく、端部に向かうにつれて面積が大きくなることを特徴とする<3>に記載の定着装置。
<7>前記第2の支持部材は、金属からなることを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載の定着装置。
<8>前記定着部材と前記金属部材との間に摺動部材を備え、
前記摺動部材は、前記定着部材の内周と摺動することを特徴とする<1>から<7>のいずれかに記載の定着装置。
<9>前記第2の支持部材は、前記定着部材の回転軸方向と垂直な断面において、板部材を2度曲げた形状であり、2つの端部が同じ方向に向いた形状であることを特徴とする<1>から<8>のいずれかに記載の定着装置。
<10>前記第2の支持部材は、前記板部材を2度折り曲げた部分の2つの端部側に、前記ニップ部とは反対側の方向に凸となる複数の凸部を有することを特徴とする<9>に記載の定着装置。
<11><1>から<10>のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0083】
20 定着装置
21 定着ベルト
22 加圧ローラ
23 ヒータ
24 メタルサポータ
25 ステー
26 金属パッド
27 ベルト支持部材
28 リフレクタ
32 未定着画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2017-116922号公報
【特許文献2】特開2015-111243号公報
【特許文献3】特開2021-182077号公報
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9