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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172917
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20231129BHJP
   H01Q 5/371 20150101ALI20231129BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
H01Q5/371
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081689
(22)【出願日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022084469
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 充俊
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 栄太
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AB17
5J046LA02
5J046LA04
5J046LA05
5J046LA09
(57)【要約】
【課題】所定の周波数の電波を所望の利得で受信できる車両用窓ガラスを提供する。
【解決手段】車両用窓ガラス1は、車体後部の窓枠2に取り付けられる車両用窓ガラス1であって、ガラス板10と、ガラス板10に設けられるアンテナ30と、ガラス板10に設けられる通電加熱式のデフォッガ20と、を備える。アンテナ30は、給電部31と、第1アンテナ部40と、第2アンテナ部50と、を有する。第1アンテナ部40は、ガラス板10の平面視において、ガラス板10が窓枠2に取り付けられた状態において、窓枠2の金属部と容量結合する部分を含む。第2アンテナ部50は、水平方向に平行に延伸する部分を含む第1エレメント51及び第2エレメント52と、第1エレメント51及び第2エレメント52を接続する第3エレメント53と、を有し、デフォッガ20と容量結合する部分を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の窓枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、
ガラス板と、
前記ガラス板に設けられるアンテナと、
前記ガラス板に設けられる通電加熱式のデフォッガと、を備え、
前記車両用窓ガラスを前記窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向と定義し、前記水平方向に直交する方向を垂直方向と定義すると、
前記デフォッガは、
前記ガラス板の前記水平方向での両端側において前記垂直方向に延在する第1バスバー及び第2バスバーと、
前記第1バスバーと前記第2バスバーとの間に配置され、且つ、前記第1バスバー及び前記第2バスバーを介して電圧が印加されることで前記ガラス板を加熱する複数のヒータ線と、を含み、
前記アンテナは、
給電部と、
前記給電部と電気的に接続された第1アンテナ部と、
前記給電部と電気的に接続された第2アンテナ部と、を有し、
前記第1アンテナ部は、前記ガラス板の平面視において、前記ガラス板が前記窓枠に取り付けられた状態において、前記窓枠の金属部と容量結合する部分を含み、
前記第2アンテナ部は、
前記水平方向に平行に延伸する部分を含む第1エレメント及び第2エレメントと、
前記第1エレメント及び前記第2エレメントを接続する第3エレメントと、を有し、
前記第1エレメント、前記第2エレメントは、この順に、前記垂直方向において前記デフォッガに順次に近づいて配置され、
前記第2アンテナ部は、前記デフォッガと容量結合する部分を含む、車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記第1アンテナ部は、前記給電部と接続して、前記金属部に沿ってL字状となる、第1L字エレメントを含む、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記第1アンテナ部が、前記金属部と容量結合する長さをL、前記アンテナが受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、
0.10×λ×k≦L≦0.40×λ×k
の範囲を満足する、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記給電部を起点として、前記第2エレメント及び前記第3エレメントを経由して前記第1エレメントの開放端までの距離をL、前記アンテナが受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、
0.60×λ×k≦L≦0.90×λ×k
の範囲を満足する、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記第2アンテナ部は、前記第1エレメントに対して、前記第2エレメントとは反対側に位置し、前記第3エレメントと接続されるとともに、前記水平方向に延伸する第4エレメントを含み、
前記第4エレメントは、前記金属部と容量結合する部分を含む、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記第4エレメントが、前記金属部と容量結合する長さをL、前記アンテナが受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、
0.10×λ×k≦L≦0.90×λ×k
の範囲を満足する、請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記第3エレメントに対して、前記第1アンテナ部とは反対側に位置し、前記第1エレメント及び前記第2エレメントを接続する、第5エレメントを有する、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記第3エレメントに対して、前記第1アンテナ部側に位置し、前記第1エレメント及び前記第4エレメントを接続する、第6エレメントを有する、請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記第3エレメントに対して、前記第1アンテナ部とは反対側であり、前記第1エレメント及び前記第4エレメントを接続する、第7エレメントを有する、請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記第1エレメントは、前記第1アンテナ部と容量結合する部分を含む、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記第1エレメントが、前記第1アンテナ部と容量結合する長さをD、前記アンテナが受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、
0.01×λ×k≦D≦0.50×λ×k
の範囲を満足する、請求項10に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記デフォッガと前記第2エレメントとの間に配置され、前記水平方向に延伸するL字形状又はT字形状を含む、補助エレメントを有する、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記補助エレメントは、前記水平方向に延伸する部分の長さをD、前記アンテナが受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、
0.10×λ×k≦D≦0.90×λ×k
の範囲を満足する、請求項12に記載の車両用窓ガラス。
【請求項14】
前記補助エレメントは、前記T字形状を有し、
前記補助エレメントは、
前記T字形状の分岐点から、前記第1アンテナ部に向かって延伸する第1水平補助エレメントと、
前記T字形状の分岐点から、前記第1アンテナ部とは反対側に向かって延伸する第2水平補助エレメントと、を有し、
前記第1水平補助エレメントの長さと、前記第2水平補助エレメントの長さとの比は、
1.0:0.5 ~ 1.0:2.0
の範囲を満足する、請求項12に記載の車両用窓ガラス。
【請求項15】
前記補助エレメントは、複数の前記ヒータ線のうち、前記第2エレメントに最も近い第1ヒータ線と接続されている、請求項12に記載の車両用窓ガラス。
【請求項16】
前記デフォッガは、少なくとも、前記第1ヒータ線と、前記第1ヒータ線と隣り合う第2ヒータ線とを短絡させる第1短絡線を有し、
前記補助エレメントと前記第1ヒータ線との接続点は、前記第1短絡線と前記第1ヒータ線との接続点の近傍の位置に配置される、請求項15に記載の車両用窓ガラス。
【請求項17】
前記デフォッガは、
前記第1バスバーと前記第1短絡線との間に配置されて、少なくとも前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線とを短絡させる第2短絡線と、
前記第2バスバーと前記第1短絡線との間に配置されて、少なくとも前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線とを短絡させる第3短絡線と、を有する、請求項16に記載の車両用窓ガラス。
【請求項18】
前記アンテナは、前記給電部と電気的に接続する第3アンテナ部を有し、
前記第1エレメントは、前記第3アンテナ部の一部と容量結合する部分を含む、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項19】
前記第1エレメントが、前記第3アンテナ部と容量結合する長さをD、前記アンテナが受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、
0.01×λ×k≦D≦0.40×λ×k
の範囲を満足する、請求項18に記載の車両用窓ガラス。
【請求項20】
前記第3アンテナ部は、前記第1エレメントに対して、前記第1アンテナ部とは反対側に配置される、請求項18に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車は、AM放送波、FM放送波、欧州規格のDAB(Digital Audio Broadcasting)のBand III、地上デジタル放送波等の様々な周波数帯の電波を受信できるアンテナが形成された窓ガラスを備えている。
【0003】
このように窓ガラスの開口部に形成されるアンテナは、窓ガラスの開口部の面積に合わせて所定の受信感度が得られるパターンを有する。例えば、自動車のリアガラスには、防曇・防氷のためにガラスを加熱する電熱線を有するデフォッガが配置されている。デフォッガ領域とは異なる開口部の領域には、所定周波数帯の電波において所定感度が得られるためのアンテナパターンが形成されている。
【0004】
以下の特許文献1には、車両用のリアガラスにおいて、デフォッガ領域の外側の開口部に、AM放送波とFM放送波の兼用アンテナ、DABアンテナが配置されている例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/003928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のリアガラスに形成されるアンテナパターンとは異なるアンテナパターンで、所定の周波数の電波を所望の利得で受信できる車両用窓ガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。
[1]車体後部の窓枠に取り付けられる車両用窓ガラスであって、ガラス板と、前記ガラス板に設けられるアンテナと、前記ガラス板に設けられる通電加熱式のデフォッガと、を備え、前記車両用窓ガラスを前記窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向と定義し、前記水平方向に直交する方向を垂直方向と定義すると、前記デフォッガは、前記ガラス板の前記水平方向での両端側において前記垂直方向に延在する第1バスバー及び第2バスバーと、前記第1バスバーと前記第2バスバーとの間に配置され、且つ、前記第1バスバー及び前記第2バスバーを介して電圧が印加されることで前記ガラス板を加熱する複数のヒータ線と、を含み、前記アンテナは、給電部と、前記給電部と電気的に接続された第1アンテナ部と、前記給電部と電気的に接続された第2アンテナ部と、を有し、前記第1アンテナ部は、前記ガラス板の平面視において、前記ガラス板が前記窓枠に取り付けられた状態において、前記窓枠の金属部と容量結合する部分を含み、前記第2アンテナ部は、前記水平方向に平行に延伸する部分を含む第1エレメント及び第2エレメントと、前記第1エレメント及び前記第2エレメントを接続する第3エレメントと、を有し、前記第1エレメント、前記第2エレメントは、この順に、前記垂直方向において前記デフォッガに順次に近づいて配置され、前記第2アンテナ部は、前記デフォッガと容量結合する部分を含む、車両用窓ガラス。
【0008】
[2]前記第1アンテナ部は、前記給電部と接続して、前記金属部に沿ってL字状となる、第1L字エレメントを含む、[1]に記載の車両用窓ガラス。
【0009】
[3]前記第1アンテナ部が、前記金属部と容量結合する長さをL、前記アンテナが受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、0.10×λ×k≦L≦0.40×λ×k、の範囲を満足する、[1]又は[2]に記載の車両用窓ガラス。
【0010】
[4]前記給電部を起点として、前記第2エレメント及び前記第3エレメントを経由して前記第1エレメントの開放端までの距離をL、前記アンテナが受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、0.60×λ×k≦L≦0.90×λ×k、の範囲を満足する、[1]から[3]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0011】
[5]前記第2アンテナ部は、前記第1エレメントに対して、前記第2エレメントとは反対側に位置し、前記第3エレメントと接続されるとともに、前記水平方向に延伸する第4エレメントを含み、前記第4エレメントは、前記金属部と容量結合する部分を含む、[1]から[4]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0012】
[6]前記第4エレメントが、前記金属部と容量結合する長さをL、前記アンテナが受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、0.10×λ×k≦L≦0.90×λ×k、の範囲を満足する、[5]に記載の車両用窓ガラス。
車両用窓ガラスにおいて、前記第4エレメントは、前記第3エレメントの端部から分岐してもよい。
【0013】
[7]前記第3エレメントに対して、前記第1アンテナ部とは反対側に位置し、前記第1エレメント及び前記第2エレメントを接続する、第5エレメントを有する、[1]から[6]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0014】
[8]前記第3エレメントに対して、前記第1アンテナ部側に位置し、前記第1エレメント及び前記第4エレメントを接続する、第6エレメントを有する、[5]から[7]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0015】
[9]前記第3エレメントに対して、前記第1アンテナ部とは反対側であり、前記第1エレメント及び前記第4エレメントを接続する、第7エレメントを有する、[5]から[7]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
車両用窓ガラスは、前記第4エレメントに対する前記第7エレメントの接続点から、前記第1アンテナ部とは反対側に、前記水平方向に延伸する、第8エレメントを有してもよい。
【0016】
[10]前記第1エレメントは、前記第1アンテナ部と容量結合する部分を含む、[1]から[9]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0017】
[11]前記第1エレメントが、前記第1アンテナ部と容量結合する長さをD、前記アンテナが受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、0.01×λ×k≦D≦0.50×λ×k、の範囲を満足する、[10]に記載の車両用窓ガラス。
【0018】
[12]前記デフォッガと前記第2エレメントとの間に配置され、前記水平方向に延伸するL字形状又はT字形状を含む、補助エレメントを有する、[1]から[11]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0019】
[13]前記補助エレメントは、前記水平方向に延伸する部分の長さをD、前記アンテナが受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、0.10×λ×k≦D≦0.90×λ×k、の範囲を満足する、[12]に記載の車両用窓ガラス。
【0020】
[14]前記補助エレメントは、前記T字形状を有し、前記補助エレメントは、前記T字形状の分岐点から、前記第1アンテナ部に向かって延伸する第1水平補助エレメントと、前記T字形状の分岐点から、前記第1アンテナ部とは反対側に向かって延伸する第2水平補助エレメントと、を有し、前記第1水平補助エレメントの長さと、前記第2水平補助エレメントの長さとの比は、1.0:0.5 ~ 1.0:2.0、の範囲を満足する、[12]又は[13]に記載の車両用窓ガラス。
【0021】
[15]前記補助エレメントは、複数の前記ヒータ線のうち、前記第2エレメントに最も近い第1ヒータ線と接続されている、[12]から[14]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0022】
[16]前記デフォッガは、少なくとも、前記第1ヒータ線と、前記第1ヒータ線と隣り合う第2ヒータ線とを短絡させる第1短絡線を有し、前記補助エレメントと前記第1ヒータ線との接続点は、前記第1短絡線と前記第1ヒータ線との接続点の近傍の位置に配置される、[15]に記載の車両用窓ガラス。
車両用窓ガラスにおいて、前記第1短絡線は、前記第1バスバーと前記第2バスバーとの間の中心に配置されてもよい。
【0023】
[17]前記デフォッガは、前記第1バスバーと前記第1短絡線との間に配置されて、少なくとも前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線とを短絡させる第2短絡線と、前記第2バスバーと前記第1短絡線との間に配置されて、少なくとも前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線とを短絡させる第3短絡線と、を有する、[16]に記載の車両用窓ガラス。
【0024】
[18]前記アンテナは、前記給電部と電気的に接続する第3アンテナ部を有し、前記第1エレメントは、前記第3アンテナ部の一部と容量結合する部分を含む、[1]から[17]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0025】
[19]前記第1エレメントが、前記第3アンテナ部と容量結合する長さをD、前記アンテナが受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、としたとき、0.01×λ×k≦D≦0.40×λ×k、を満足する、[18]に記載の車両用窓ガラス。
車両用窓ガラスにおいて、前記第3アンテナ部は、前記給電部又は前記第1アンテナ部と接続して、前記第1アンテナ部に対して前記金属部とは反対側で、L字状となる、第2L字エレメントを含んでもよい。
【0026】
[20]前記第3アンテナ部は、前記第1エレメントに対して、前記第1アンテナ部とは反対側に配置される、[18]又は[19]に記載の車両用窓ガラス。
車両用窓ガラスにおいて、前記アンテナは、FM放送波を受信可能であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、従来のリアガラスに形成されるアンテナパターンとは異なるアンテナパターンで、所定の周波数の電波を所望の利得で受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用窓ガラスの平面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る車両用窓ガラスの平面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る車両用窓ガラスの平面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る車両用窓ガラスの平面図である。
図5】本発明の第1実施例に係る車両用窓ガラスの平面図である。
図6】第1実施例に係る車両用窓ガラスのアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。
図7】本発明の第2実施例に係る車両用窓ガラスの平面図である。
図8】第2実施例に係る車両用窓ガラスのアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る車両用窓ガラスについて詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0030】
また、以下では、車両用窓ガラスを窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向と定義し、当該水平方向に直交する方向を垂直方向と定義する。また、図中に設定したXY座標を必要に応じて参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。このXY座標系において、X軸に平行な方向(X軸方向)、Y軸に平行な方向(Y軸方向)はそれぞれ、ガラス板の左右方向(水平方向)、ガラス板の上下方向(垂直方向)を表す。また、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。また、ガラス板に形成されたアンテナパターンが容量結合している部分については、理解を容易にするため、グレーハッチングを付している。
【0031】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用窓ガラス1の平面図である。図1に示す車両用窓ガラス1は、車体後部の窓枠2に取り付けられる。なお、図1では、窓枠2の開口部を点線で示している。また、図1では、窓枠2に取り付けられた状態の車両用窓ガラス1を、車内側からの視点(車内視)で示している。図1において、点線で示す開口部の外側には、ガラス板10の主面の周縁部と、金属部となるフランジである窓枠2とが(不図示の)ウレタン樹脂等の接着剤で取り付けられる。
【0032】
図1に示す通り、本実施形態に係る車両用窓ガラス1は、ガラス板10、デフォッガ20、及びアンテナ30を備える。ガラス板10は、平面視において略四角形の外形を有する。ガラス板10の外縁は、ガラス板10を窓枠2に取り付けたときに、垂直方向に対向する上縁11及び下縁12と、水平方向に対向する左縁13及び右縁14とを含む。
【0033】
デフォッガ20は、ガラス板10の結露(曇り)を取り除くためにガラス板10に設けられる導電パターンである。図1に示すデフォッガ20は、通電加熱式のデフォッガである。デフォッガ20は、第1バスバー21a及び第2バスバー21bと、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間に配置された複数のヒータ線22a~22fと、を有する。
【0034】
第1バスバー21a及び第2バスバー21bは、ガラス板10の水平方向での両端側において垂直方向に延在している。第1バスバー21aは、ガラス板10の左縁13に沿って垂直方向に延在している導体パターンである。第1バスバー21aは、垂直方向において、左縁13に沿って延在している。
【0035】
第2バスバー21bは、ガラス板10の右縁14に沿って垂直方向に延在している導体パターンである。第2バスバー21bは、垂直方向において、右縁14に沿って延在している。第1バスバー21a及び第2バスバー21bは、ヒータ線22a~22fに給電する。
【0036】
ヒータ線22a~22fは、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間に配置され、第1バスバー21a及び第2バスバー21bを介して電圧(直流電圧)が印加されることでガラス板10を加熱する。ガラス板10が加熱されることで、ガラス板10の結露(曇り)が取り除かれる。
【0037】
ヒータ線22a~22fは、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間において、互いに並走するように水平方向に延在し、垂直方向に間隔をあけて並んで配置されている。ヒータ線22a~22fの一端は、第1バスバー21aに接続されており、ヒータ線22a~22fの他端は、第2バスバー21bに接続されている。なお、ヒータ線22a~22fの数は、ガラス板10を介した車外の視認性を確保しつつガラス板10の結露(曇り)を取り除く効果が得られる限りにおいて、6本より多くても少なくてもよい。
【0038】
アンテナ30は、所定周波数帯の電波を受信可能に形成されており、その所定周波数帯における周波数で共振する。例えば、アンテナ30は、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯の電波を受信可能に形成されてもよい。VHF帯の電波には、DAB規格のバンドIII(174MHz~240MHz)の電波、FM放送波(76MHz~108MHz)等が含まれる。本実施形態に係るアンテナ30は、例えば、FM放送波の電波を受信可能である。
【0039】
アンテナ30は、ガラス板10に設けられるガラスアンテナである。アンテナ30は、ガラス板10を窓枠2に取り付けたときに、デフォッガ20より上側の領域に配置されている。アンテナ30は、給電部31と、給電部31と電気的に接続された第1アンテナ部40と、給電部31と電気的に接続された第2アンテナ部50と、を有する。
【0040】
給電部31は、矩形状に形成された導体パターンである。給電部31は、不図示の給電ラインの一端に電気的に接続されている。なお、給電部31の形状は、円形や他の多角形等の他の形状でもよい。給電部31は、垂直方向において、ガラス板10の左縁13の近傍の位置に、第1バスバー21aと間隔をあけて配置されている。
【0041】
第1アンテナ部40は、給電部31に接続された第1L字エレメント41を有する。第1L字エレメント41は、給電部31から、ガラス板10の左縁13及び上縁11に沿ってL字状に屈曲する導体パターンである。なお、第1アンテナ部40の導体パターンは、所定周波数の電波を受信可能であれば、L字状の導体パターンに限らず、デフォッガ20の領域の外側で任意のパターンを形成できる。例えば、第1アンテナ部40の導体パターンは、左縁13に沿った延長線上に開放端を有する直線状のエレメントでもよい。
【0042】
第1アンテナ部40は、窓枠2の金属部と容量結合する。これにより、第1アンテナ部40及び窓枠2の金属部がアンテナの一部として機能する。また、第1アンテナ部40が第1L字エレメント41を有する場合、第1L字エレメント41を含むアンテナ30は、窓枠2の金属部と容量結合するために、開口部の内側の領域に配置されている。
【0043】
第1L字エレメント41と窓枠2の金属部との間隔は、例えば、10mm程度であるが、30mm以下でもよく、20mm以下でもよく、15mm以下でもよい。第1L字エレメント41と窓枠2の金属部との間隔は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。
【0044】
第1アンテナ部40が、窓枠2の金属部と容量結合する長さをL、アンテナ30が受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、下の関係式(1)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。具体的に、第1L字エレメント41の垂直部分はアンテナ特性の低域改善エレメントとして機能する。さらに、第1L字エレメント41の水平部分はアンテナ特性のピークシフトエレメントとして機能する。
0.10×λ×k≦L≦0.40×λ×k …(1)
【0045】
また、長さLは、
0.20×λ×k≦L≦0.30×λ×k …(1a)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0046】
第1アンテナ部40が窓枠2の金属部と容量結合する長さ(L)は、第1L字エレメント41の垂直方向に延びる部分の長さ(L11)と、第1L字エレメント41の水平方向に延びる部分の長さ(L12)との合計である。なお、上述のように、第1アンテナ部40の導体パターンが、左縁13に沿った延長線上に開放端を有する直線状のエレメントである場合、L=L11の関係となる。
【0047】
アンテナ30が受信する周波数帯の電波の空気中の波長(λ)は、例えば、アンテナ30がFM放送波(76MHz~108MHz)の電波を受信する場合、その中心周波数(92MHz)での空気中の波長(≒3.26m)である。ガラス板10の波長短縮率(k)は、1(空気:k=1)以下の係数(例:k≒0.64)である。
【0048】
第2アンテナ部50は、第1エレメント51と、第2エレメント52と、第3エレメント53とを有するが、さらに、第4エレメント54と、第5エレメント55と、を任意に有してもよい。なお、第2アンテナ部50の導体パターンも、所定周波数の電波を受信可能とする仕様が必要であれば、デフォッガ20の領域の外側で任意のアンテナパターンを形成できる。ここで、任意のアンテナパターンとは、例えば、図1においてデフォッガ20よりも上側でアンテナ30よりも右側にある空白領域において、アンテナ30よりも高い周波数帯の電波を受信できるアンテナを形成するパターンである。例えば、アンテナ30がFM放送波を受信できるアンテナであれば、該空白領域には、DAB規格のバンドIII及び地上デジタル放送波(470MHz~710MHz)の少なくとも一方を受信できるアンテナを配置してもよい。
【0049】
第2エレメント52は、給電部31に接続されている。第2エレメント52は、給電部31からガラス板10の右縁14に向かって水平方向に延在する線状の導体パターンである。第3エレメント53は、ガラス板10の水平方向の中間位置において第2エレメント52に接続されている。第3エレメント53は、第2エレメント52からガラス板10の上縁11に向かって延在する線状の導体パターンである。なお、第3エレメント53は、垂直方向に延在するパターンである。ここでいう垂直方向とは、水平方向に対して略垂直方向も含む。略垂直方向は、例えば、垂直方向を基準にした角度θが絶対値で、0°≦θ≦15°を含んでもよく、0°≦θ≦10°の範囲でもよく、0°≦θ≦5°の範囲でもよく、0°≦θ≦3°でもよく、θ=0°でもよい。このように第3エレメント53が延在する角度θが0°に近づくと意匠性が向上する。さらに、第3エレメント53は、垂直方向を基準に所定の角度θ(例えば、絶対値で0°<θ≦75°の範囲)で延在してもよい。なお、この角度θは、後述する第5エレメント55、第6エレメント56及び第7エレメント57にも同様の範囲を適用できる。
【0050】
第1エレメント51は、水平方向に延在する線状の導体パターンである。第1エレメント51は、第2エレメント52に対して、デフォッガ20とは反対側(第2エレメント52の上側)に位置している。第1エレメント51は、第3エレメント53によって第2エレメント52に接続されている。第1エレメント51は、第3エレメント53に接続して分岐するように、水平方向両側に延在している。
【0051】
第1エレメント51の第1アンテナ部40側に向かう一端(第1端)は、開放端51aとされている。第1エレメント51の第1アンテナ部40と反対側に向かう他端(第2端)は、第5エレメント55を有する場合、第5エレメント55によって第2エレメント52と接続されている。他端(第2端)が、第5エレメント55を有しない場合、他端(第2端)は、開放端となる。なお、第1エレメント51の第3エレメント53との接続点から一端(開放端51a)までの長さは、第1エレメント51の第3エレメント53との接続点から他端までの長さより長い。なお、「接続点」とは、接続点そのものに限らず接続点から僅かにずれた部分も含む「接続点の近傍の位置」でもよく、後述する「接続点」においても、同様の解釈が適用できる。
【0052】
第2アンテナ部50において、給電部31を起点として、第2エレメント52及び第3エレメント53を経由して第1エレメント51の開放端51aまでの距離をL、アンテナ30が受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、下の関係式(2)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
0.60×λ×k≦L≦0.90×λ×k …(2)
【0053】
また、長さLは、
0.70×λ×k≦L≦0.80×λ×k …(2a)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0054】
第2アンテナ部50における給電部31を起点として、第2エレメント52及び第3エレメント53を経由して第1エレメント51の開放端51aまでの距離(L)は、長さ(L21)と、長さ(L22)と、長さ(L23)との合計である。長さ(L21)は、第2エレメント52における給電部31から第3エレメント53の接続位置までの長さである。長さ(L22)は、第3エレメント53における第2エレメント52の接続位置から第1エレメント51の接続位置までの長さである。長さ(L23)は、第1エレメント51における第3エレメント53の接続位置から開放端51aまでの長さである。
【0055】
第4エレメント54は、上記のとおり任意に与えられるエレメントであり、水平方向に延在する線状の導体パターンである。第4エレメント54は、第1エレメント51に対して、第2エレメント52とは反対側(第1エレメント51の上側)に位置している。第4エレメント54は、第3エレメント53によって、第1エレメント51及び第2エレメント52に接続されている。第1エレメント51は、第3エレメント53に接続して分岐、とくに上側の端部から分岐し、水平方向両側に延在している。
【0056】
第4エレメント54の第1アンテナ部40側に向かう一端(第1端)と、第4エレメント54の第1アンテナ部40と反対側に向かう他端(第2端)は、第3エレメント53の上側の端部の分岐点から同じ距離に配置されているが、これらが異なる距離でもよい。そして、第4エレメント54は、ガラス板10の上縁11に沿う窓枠2の金属部と容量結合する。これにより、第4エレメント54及び窓枠2の金属部がアンテナの一部として機能する。
【0057】
第4エレメント54と窓枠2の金属部との間隔は、例えば、10mm程度であるが、30mm以下でもよく、20mm以下でもよく、15mm以下でもよい。第4エレメント54と窓枠2の金属部との間隔は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。
【0058】
第4エレメント54が、窓枠2の金属部と容量結合する長さをL、アンテナ30が受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、下の関係式(3)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。具体的に、第4エレメント54は、アンテナ特性のピークシフトエレメントとして機能する。
0.10×λ×k≦L≦0.90×λ×k …(3)
【0059】
また、長さLは、
0.20×λ×k≦L≦0.30×λ×k …(3a)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0060】
図1において、第4エレメント54が窓枠2の金属部と容量結合する長さ(L)は、第4エレメント54の第1アンテナ部40側に向かう一端から、第4エレメント54の第1アンテナ部40と反対側に向かう他端までの長さである。
【0061】
第5エレメント55は、第3エレメント53に対して、第1アンテナ部40とは反対側(第3エレメント53の右側)に位置し、第1エレメント51及び第2エレメント52に接続する。第5エレメント55は、第1エレメント51の第1アンテナ部40と反対側に向かう他端から第2エレメント52に向かって垂直方向に延在する線状の導体パターンである。ただし、上述のとおり、第5エレメント55は、垂直方向を基準に所定の角度θ(例えば、絶対値で0°<θ≦75°の範囲)で延在してもよい。また、第5エレメント55は、ループ回路を形成し、アンテナ30の共振回路のインダクタを調整する。
【0062】
デフォッガ20は、少なくとも、ヒータ線22a(第1ヒータ線)と、ヒータ線22aと隣り合うヒータ線22b(第2ヒータ線)とを短絡させる第1短絡線23aを有する。図1に示す例では、第1短絡線23aは、ヒータ線22a~22fのうち、少なくとも垂直方向に隣り合う複数のヒータ線を短絡する線状の導体であり、全てのヒータ線を短絡してもよい。第1短絡線23aは、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間の中心に配置される。第1短絡線23aは、第3エレメント53の延長線上に位置している。
【0063】
なお、第1バスバー21aと短絡線23との間の水平方向の長さ、第2バスバー21bと短絡線23との間の水平方向の長さは、アンテナ30が受信する所定周波数帯において定在波が発生しない長さに設定すると、アンテナ感度が低下せず好ましい。つまり、所定周波数帯の空気中の波長をλ1~λ2の間の任意の波長λとし、ガラス板10の波長短縮率をk、1以上の整数をNとするとき、第1バスバー21aと短絡線23との間の水平方向の長さ、第2バスバー21bと短絡線23との間の水平方向の長さは、N×k×λ/2とならないように設定するとよい。
【0064】
例えば、アンテナ30がFM放送波(76MHz~108MHz)の電波を受信する場合、λ1≒2776mm、λ2≒3945mmであり、k≒0.64、N=1とすると、第1バスバー21aと短絡線23との間の水平方向の長さ、第2バスバー21bと短絡線23との間の水平方向の長さは、888mm~1262mmを除く範囲であればよい。また、第1バスバー21aと短絡線23との間の水平方向の長さ、第2バスバー21bと短絡線23との間の水平方向の長さは、k×λ/2未満が好ましく、k×(3×λ/8)以下がより好ましい。
【0065】
また、ガラス板10におけるデフォッガ20と第2エレメント52との間には、任意に追加可能な補助エレメント24が形成されてもよい。図1において、補助エレメント24は、T字形状を有する線状の導体パターンであり、複数のヒータ線22a~22fのうち、第2エレメント52に最も近いヒータ線22aと接続されている。補助エレメント24の水平方向に延伸する部分は、第2エレメント52と容量結合する。これにより、補助エレメント24及び第2エレメント52がアンテナの一部として機能する。
【0066】
補助エレメント24及び第2エレメント52との間隔は、例えば、10mm程度であるが、30mm以下でもよく、20mm以下でもよく、15mm以下でもよい。第4エレメント54と窓枠2の金属部との間隔は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。なお、第2エレメント52は、補助エレメント24を介さずに、デフォッガ20のヒータ線22aと容量結合させてもよい。
【0067】
図1において、補助エレメント24は、水平方向に延伸する部分の長さをD、アンテナ30が受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、下の関係式(4)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。具体的に、補助エレメント24は、アンテナ特性の高域改善エレメントとして機能する。
0.10×λ×k≦D≦0.90×λ×k …(4)
【0068】
また、長さDは、
0.25×λ×k≦D≦0.50×λ×k …(4a)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0069】
補助エレメント24の水平方向に延伸する部分の長さ(D)は、T字形状の分岐点から、第1アンテナ部40に向かって延伸する第1水平補助エレメント24aと、T字形状の分岐点から、第1アンテナ部40とは反対側に向かって延伸する第2水平補助エレメント24bとの合計の長さである。
【0070】
なお、補助エレメント24は、T字状に限らず、第1水平補助エレメント24a及び第2水平補助エレメント24bのいずれか一方が無い、L字状でもよい。また、補助エレメント24とヒータ線22aとの接続点Pは、第1短絡線23aとヒータ線22aとの接続点と一致しているが、第1短絡線23aとヒータ線22aとの接続点の近傍の位置であれば、当該接続点とずれて配置されていてもよい。さらに、補助エレメント24は、図1において、T字状又はL字状が上下反転して、接続点Pが、第2エレメント52と第3エレメント53との接続点又は該接続点の近傍の位置に有して、補助エレメント24とデフォッガ20(ヒータ線22a)とが容量結合する配置でもよい。
【0071】
以上の通り、本実施形態に係る車両用窓ガラス1は、車体後部の窓枠2に取り付けられる車両用窓ガラス1であって、ガラス板10と、ガラス板10に設けられるアンテナ30と、ガラス板10に設けられる通電加熱式のデフォッガ20と、を備える。デフォッガ20は、ガラス板10の水平方向での両端側において垂直方向に延在する第1バスバー21a及び第2バスバー21bと、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間に配置され、且つ、第1バスバー21a及び第2バスバー21bを介して電圧が印加されることでガラス板10を加熱する複数のヒータ線22a~22fと、を含む。アンテナ30は、給電部31と、給電部31に電気的に接続された第1アンテナ部40と、給電部31と電気的に接続された第2アンテナ部50と、を有する。第1アンテナ部40は、ガラス板10の平面視において、ガラス板10が窓枠2に取り付けられた状態において、窓枠2の金属部と容量結合する部分を含む。第2アンテナ部50は、水平方向に平行に延伸する部分を含む第1エレメント51及び第2エレメント52と、第1エレメント51及び第2エレメント52を垂直方向に接続する第3エレメント53と、を有する。第1エレメント51、第2エレメント52は、この順に、垂直方向においてデフォッガ20に順次に近づいて配置され、第2アンテナ部50は、デフォッガ20と容量結合する部分を含む。これにより、所定の周波数の電波を所望の利得で受信できる車両用窓ガラス1を提供できる。
【0072】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第1アンテナ部40は、給電部31に接続して、金属部に沿ってL字状となる、第1L字エレメント41を含む。これにより、第1アンテナ部40が、ガラス板10の左縁13と上縁11の角部に沿う窓枠2の金属部と、容量結合できる。
【0073】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第1アンテナ部40が、金属部と容量結合する長さをL、アンテナ30が受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、
0.10×λ×k≦L≦0.40×λ×k
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0074】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、給電部31を起点として、第2エレメント52及び第3エレメント53を経由して第1エレメント51の開放端までの距離をLとしたとき、
0.60×λ×k≦L≦0.90×λ×k
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0075】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第2アンテナ部50は、第1エレメント51に対して、第2エレメント52とは反対側に位置し、第3エレメント53と接続されるとともに、水平方向に延伸する第4エレメント54を含み、第4エレメント54は、金属部と容量結合する部分を含む。これにより、第2アンテナ部50が、ガラス板10の上縁11に沿う窓枠2の金属部と、容量結合できる。
【0076】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第4エレメント54が、窓枠2の金属部と容量結合する長さをLとしたとき、
0.10×λ×k≦L≦0.90×λ×k
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0077】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第4エレメント54は、第3エレメント53の端部から分岐する。これにより、第4エレメント54の導体パターンがガラス板10において左右対称になり、意匠性が向上する。
【0078】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第3エレメント53に対して、第1アンテナ部40とは反対側に位置し、垂直方向に第1エレメント51及び第2エレメント52を接続する、第5エレメント55を有する。これにより、ループ回路を形成し、アンテナ30の共振回路のインダクタを調整できる。
【0079】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、デフォッガ20と第2エレメント52との間に配置され、水平方向に延伸するL字形状又はT字形状を含む、補助エレメント24を有する。これにより、デフォッガ20のヒータ線22aと第2エレメント52とを容量結合させるために、ヒータ線22aを特殊な形状に変更しなくてもよくなる。
【0080】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、補助エレメント24は、水平方向に延伸する部分の長さをDとしたとき、
0.10×λ×k≦D≦0.90×λ×k
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0081】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、補助エレメント24は、複数のヒータ線のうち、第2エレメント52に最も近いヒータ線22aと接続されている。これにより、補助エレメント24とデフォッガ20との接続が容易になる。
【0082】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、デフォッガ20は、少なくとも、ヒータ線22aと、ヒータ線22aと隣り合うヒータ線22bとを短絡させる第1短絡線23aを有し、補助エレメント24とヒータ線22aとの接続点Pは、第1短絡線23aとヒータ線22aとの接続点の近傍の位置に配置される。これにより、第1短絡線23aとT字状の補助エレメント24とが垂直方向において連続又は略連続し、意匠性が向上する。
【0083】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、第1短絡線23aは、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間の中心に配置される。これにより、デフォッガ20の導体パターンがガラス板10において左右対称になり、意匠性が向上する。
【0084】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、アンテナ30は、FM放送波を受信可能である。
【0085】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態に係る車両用窓ガラス1の平面図である。なお、図2においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
図2に示すように、第2実施形態の車両用窓ガラス1は、第2アンテナ部50が、第6エレメント56と、第7エレメント57と、第8エレメント58と、を有する点で、上述した実施形態と異なる。
【0086】
第6エレメント56は、第3エレメント53に対して、第1アンテナ部40側(第3エレメント53の左側)に位置し、第1エレメント51及び第4エレメント54を接続する。第6エレメント56は、第4エレメント54の第1アンテナ部40側に向かう一端から第1エレメント51に向かって垂直方向に延在する線状の導体パターンであるが、上述のとおり、垂直方向を基準に所定の角度θ(例えば、絶対値で0°<θ≦75°の範囲)で延在してもよい。第6エレメント56は、ループ回路(とくに閉ループ回路)を形成し、アンテナ30の共振回路のインダクタを調整する。
【0087】
第7エレメント57は、第3エレメント53に対して、第1アンテナ部40側とは反対側(第3エレメント53の右側)に位置し、第1エレメント51及び第4エレメント54を接続する。第7エレメント57は、第4エレメント54の第1アンテナ部40と反対側に向かう一端から第1エレメント51に向かって垂直方向に延在する線状の導体パターンであるが、上述のとおり、垂直方向を基準に所定の角度θ(例えば、絶対値で0°<θ≦75°の範囲)で延在してもよい。第7エレメント57は、ループ回路(とくに閉ループ回路)を形成し、アンテナ30の共振回路のインダクタを調整する。
【0088】
第8エレメント58は、第4エレメント54に対する第7エレメント57の接続点の近傍の位置から、第1アンテナ部40とは反対側に、水平方向に延伸する。第8エレメント58は、第4エレメント54の右側の端部から、ガラス板10の右縁14に向かって水平方向に延伸する線状の導体である。第8エレメント58は、第4エレメント54と同様に、ガラス板10の上縁11に沿う窓枠2の金属部と容量結合する。これにより、第8エレメント58及び窓枠2の金属部がアンテナの一部として機能する。
【0089】
また、第2実施形態では、第1エレメント51は、第1アンテナ部40と容量結合する部分(D)を含む。第1エレメント51の開放端51a側の水平部分の端部は、第1L字エレメント41の水平部分の端部と容量結合する。これにより、第1エレメント51及び第1L字エレメント41がアンテナの一部として機能する。なお、図1に示す第1実施形態においても、第1エレメント51は、第1アンテナ部40と容量結合する部分(D)を含んでもよい。
【0090】
第1エレメント51と第1L字エレメント41との間隔は、例えば、10mm程度であるが、30mm以下でもよく、20mm以下でもよく、15mm以下でもよい。第1エレメント51と第1L字エレメント41との間隔は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。
【0091】
第1エレメント51が、第1アンテナ部40と容量結合する長さをD、アンテナ30が受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、下の関係式(5)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。具体的に、第1エレメント51が第1L字エレメント41と容量結合する部分(D)は、アンテナ特性のピークシフトエレメントとして機能する。
0.01×λ×k≦D≦0.50×λ×k …(5)
【0092】
また、長さDは、
0.05×λ×k≦D≦0.15×λ×k …(5a)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0093】
第1エレメント51が、第1アンテナ部40と容量結合する長さ(D)は、第1エレメント51の開放端51a側の水平部分と、第1L字エレメント41の水平部分とが、垂直方向に間隔をあけて対向する、水平方向の長さである。
【0094】
また、第1水平補助エレメント24aの長さBと、第2水平補助エレメント24bの長さBとの比が、下の範囲(6)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性(高域特性)を向上できる。
1.0:0.5 ~ 1.0:2.0 …(6)
【0095】
また、長さBと長さBとの比は、
2.0:1.0 ~ 1.0:2.0 …(6a)
の範囲を満足すると好ましく、
4.0:3.0 ~ 3.0:4.0 …(6b)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0096】
以上の通り、第2実施形態の車両用窓ガラス1では、第3エレメント53に対して、第1アンテナ部40側に位置し、垂直方向に第1エレメント51及び第4エレメント54を接続する、第6エレメント56を有する。これにより、ループ回路を形成し、アンテナ30の共振回路のインダクタを調整できる。
【0097】
また、第2実施形態の車両用窓ガラス1では、第3エレメント53に対して、第1アンテナ部40とは反対側であり、垂直方向に第1エレメント51及び第4エレメント54に接続する、第7エレメント57を有する。これにより、ループ回路を形成し、アンテナ30の共振回路のインダクタを調整できる。
【0098】
また、第2実施形態の車両用窓ガラス1では、第1エレメント51は、第1アンテナ部40と容量結合する部分を含む。なお、第1実施形態の車両用窓ガラス1においても同様の部分を含んでもよい。これにより、第1エレメント51の開放端51a側の水平部分の端部が、第1L字エレメント41の水平部分の端部と容量結合できる。
【0099】
また、第2実施形態の車両用窓ガラス1では、第1エレメント51が、第1アンテナ部40と容量結合する長さをD、アンテナ30が受信する周波数帯域の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、
0.01×λ×k≦D≦0.50×λ×k
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0100】
また、本実施形態に係る車両用窓ガラス1では、補助エレメント24は、T字形状を有し、補助エレメント24は、T字形状の分岐点から、第1アンテナ部40に向かって延伸する第1水平補助エレメント24aと、T字形状の分岐点から、第1アンテナ部40とは反対側に向かって延伸する第2水平補助エレメント24bと、を有し、第1水平補助エレメント24aの長さと、第2水平補助エレメント24bの長さとの比は、
1.0:0.5 ~ 1.0:2.0
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0101】
〔第3実施形態〕
図3は、本発明の第3実施形態に係る車両用窓ガラス1の平面図である。なお、図3においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
図3に示すように、第3実施形態の車両用窓ガラス1は、デフォッガ20が、第2短絡線23bと、第3短絡線23cと、を有する点で、上述した実施形態と異なる。
【0102】
第2短絡線23bは、第1バスバー21aと第1短絡線23aとの間に配置されて、少なくともヒータ線22aとヒータ線22bとを短絡させる。図3に示す例では、第2短絡線23bは、垂直方向に延在し、ヒータ線22a~22dを短絡する線状の導体であり、一方の端部がヒータ線22aに位置し、他方の端部がヒータ線22dとヒータ線22eとの間に位置する。第2短絡線23bは、水平方向において、第1水平補助エレメント24aの第1アンテナ部40側の端部よりも内側(ガラス板10の中心側)に位置する。
【0103】
第3短絡線23cは、第1バスバー21aと第2バスバー21bとの間に配置されて、少なくともヒータ線22aとヒータ線22bとを短絡させる。図3に示す例では、第3短絡線23cは、垂直方向に延在し、ヒータ線22a~22dを短絡する線状の導体であり、一方の端部がヒータ線22aに位置し、他方の端部がヒータ線22dとヒータ線22eとの間に位置する。第3短絡線23cは、水平方向において、第2水平補助エレメント24bの第1アンテナ部40と反対側の端部よりも内側(ガラス板10の中心側)に位置する。第2短絡線23bと第3短絡線23cは、第1短絡線23aに対して線対称の構成である。なお、第2短絡線23b及び第3短絡線23cは、第1アンテナ部40側のヒータ線22aから第1アンテナ部40側とは反対側のヒータ線22fまで、全てのヒータ線を短絡してもよい。さらに、第2短絡線23b及び第3短絡線23cは、第1アンテナ部40側とは反対側のヒータ線22fから第1アンテナ部40側のヒータ線22aよりも手前のヒータ線を短絡してもよく、任意に設定できる。
【0104】
以上の通り、第3実施形態の車両用窓ガラス1では、デフォッガ20は、第1バスバー21aと第1短絡線23aとの間に配置されて、少なくともヒータ線22aとヒータ線22bとを短絡させる第2短絡線23bと、第2バスバー21bと第1短絡線23aとの間に配置されて、少なくともヒータ線22a(第1ヒータ線)とヒータ線22b(第2ヒータ線)とを短絡させる第3短絡線23cと、を有する。これにより、ヒータ線22aとヒータ線22bとを接続し、アンテナ30が受信する所定周波数帯において定在波が発生しない長さに設定し易くなる。
【0105】
〔第4実施形態〕
図4は、本発明の第4実施形態に係る車両用窓ガラス1の平面図である。なお、図4においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
図4に示すように、第4実施形態の車両用窓ガラス1は、アンテナ30が、第3アンテナ部60を有する点で、上述した実施形態と異なる。
【0106】
第3アンテナ部60は、給電部31に接続された第2L字エレメント61を有する。なお、第2L字エレメント61は、第1アンテナ部40(第1L字エレメント41)と接続されてもよい。つまり、第2L字エレメント61は、第1アンテナ部40の導体パターンのうちガラス板10の左縁13に沿った直線状のエレメントの途中から分岐されてもよい。この場合、第2L字エレメント61は、第1L字エレメント41と共通する部分も含むものとする。第2L字エレメント61は、第1アンテナ部40に対して窓枠2の金属部とは反対側で、L字状となっている。第2L字エレメント61は、給電部31から、第1L字エレメント41に沿ってL字状に屈曲する導体パターンである。
【0107】
第2L字エレメント61の水平部分と、第1L字エレメント41の水平部分との間には、第1エレメント51の開放端51a側の水平部分が配置されている。第2L字エレメント61の水平部分(D)は、第1エレメント51の開放端51a側の水平部分と容量結合する。これにより、第2L字エレメント61及び第1エレメント51がアンテナの一部として機能する。
【0108】
第1エレメント51と第2L字エレメント61との間隔は、例えば、10mm程度であるが、30mm以下でもよく、20mm以下でもよく、15mm以下でもよい。第1エレメント51と第2L字エレメント61との間隔は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。
【0109】
第1エレメント51が、第3アンテナ部60(第2L字エレメント61)と容量結合する長さをD、アンテナ30が受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、下の関係式(7)の範囲を満足するとよい。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。具体的に、第1エレメント51が第2L字エレメント61と容量結合する部分(D)は、アンテナ特性のピークシフトエレメントとして機能する。
0.01×λ×k≦D≦0.40×λ×k …(7)
【0110】
また、長さDは、
0.05×λ×k≦D≦0.15×λ×k …(7a)
の範囲を満足するとより好ましい。
【0111】
第1エレメント51が第3アンテナ部60と容量結合する長さ(D)は、第1エレメント51の開放端51a側の水平部分と、第2L字エレメント61の水平部分とが、垂直方向に間隔をあけて対向する、水平方向の長さである。なお、第1エレメント51が第3アンテナ部60と容量結合する長さ(D)は、第1エレメント51が第1アンテナ部40と容量結合する長さ(D)より長い。
【0112】
以上の通り、第4実施形態の車両用窓ガラス1では、アンテナ30は、給電部31と電気的に接続する第3アンテナ部60を有し、第1エレメント51は、第3アンテナ部60の一部と容量結合する部分を含む。
【0113】
また、第4実施形態の車両用窓ガラス1では、第1エレメント51が、第3アンテナ部60と容量結合する長さをD、アンテナ30が受信する周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、としたとき、
0.01×λ×k≦D≦0.40×λ×k
の範囲を満足する。これにより、車両用窓ガラス1のアンテナ特性を向上できる。
【0114】
また、第4実施形態の車両用窓ガラス1では、第3アンテナ部60は、給電部31又は第1アンテナ部40に接続して、第1アンテナ部40に対して窓枠2の金属部とは反対側で、L字状となる、第2L字エレメント61を含む。これにより、第2L字エレメント61が、容量結合する第1アンテナ部40と窓枠2の金属部との間に介在せずにすむ。
【0115】
また、第4実施形態の車両用窓ガラス1では、第3アンテナ部60は、第1エレメント51に対して、第1アンテナ部40とは反対側に配置される。これにより、第1エレメント51に対して、第1アンテナ部40からも第3アンテナ部60からも容量結合できる。
【0116】
以上、本発明の実施形態に係る車両用窓ガラスについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、各実施形態の一部又は全部を組み合わせて実施してもよい。
【実施例0117】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0118】
[第1実施例]
図5は、本発明の第1実施例に係る車両用窓ガラス1の平面図である。なお、図5においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
【0119】
第1実施例の第1アンテナ部40は、以下の寸法を備える。第1L字エレメント41の全長は、330mmである。具体的に、第1L字エレメント41の垂直部分の長さは、150mmである。第1L字エレメント41の水平部分の長さは、180mmである。第1L字エレメント41の垂直部分と窓枠2の金属部との間隔は、10mmである。第1L字エレメント41の水平部分と窓枠2の金属部との間隔は、30mmである。
【0120】
第1実施例の第2アンテナ部50は、以下の寸法を備える。第4エレメント54の全長は、第8エレメント58を含めて、550mmである。具体的に、第4エレメント54の第3エレメント53に対する左側の長さは、200mmである。第4エレメント54の第3エレメント53に対する右側の長さは、第7エレメント57までは200mmであり、第8エレメント58を含めると150mmが加算され、計350mmである。第4エレメントと窓枠2の金属部との間隔は、30mmである。
【0121】
第1エレメント51の全長は、720mmである。具体的に、第1エレメント51の第3エレメント53に対する左側(開放端51a側)の長さは、第6エレメント56までは200mmであり、開放端51aまでを含めると320mmが加算され、計520mmである。第4エレメント54の第3エレメント53に対する右側の長さは、200mmである。第1エレメント51と第1L字エレメント41の水平部分との間隔は、20mmである。
【0122】
第2エレメント52の全長は、765mmである。具体的に、第2エレメント52の給電部31から第3エレメント53までの長さは、365mm+200mmで計565mmである。第2エレメント52の第3エレメント53から第5エレメント55までの長さは、200mmである。第2エレメント52の補助エレメント24との間隔は、5mmである。
【0123】
第3エレメント53の全長は、225mmである。具体的に、第3エレメント53の第2エレメント52から第1エレメント51までの長さは、205mmである。第3エレメント53の、第1エレメント51から第4エレメント54までの長さは、20mmである。第5エレメント55の全長は、205mmである。
【0124】
第1実施例の第3アンテナ部60は、以下の寸法を備える。第2L字エレメント61の全長は、425mmである。具体的に、第2L字エレメント61の垂直部分の長さは、105mmである。第2L字エレメント61の水平部分の長さは、320mmである。第2L字エレメント61の垂直部分と第1L字エレメント41の垂直部分との間隔は、10mmである。第2L字エレメント61の水平部分と第1エレメント51との間隔は、20mmである。
【0125】
第1実施例の補助エレメント24は、以下の寸法を備える。補助エレメント24の全長は、550mmである。具体的に、第1水平補助エレメント24aの長さは、250mmである。第2水平補助エレメント24bの長さは、300mmである。補助エレメント24とヒータ線22aとの間隔は、25mmである。
【0126】
図6は、第1実施例に係る車両用窓ガラス1のアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。図6及び後述する図8では、横軸に周波数[MHz]をとり、縦軸に利得[dB]をとってある。図6中及び後述する図8中の「水平」とは、FM帯における水平偏波に対するアンテナ利得を示す。また、図6中及び後述する図8中の「垂直」とは、FM帯における垂直偏波に対するアンテナ利得を示す。図6中の「L字あり」とは、車両用窓ガラス1が第1L字エレメント41を備える場合を示す。なお、図6中の「L字なし」とは、車両用窓ガラス1が第1L字エレメント41を備えない場合を示す。
図6を参照すると、第1L字エレメント41を備える場合、FM帯(76MHz~108MHz)の範囲におけるアンテナ利得が、垂直偏波及び水平偏波のいずれにおいても、第1L字エレメント41を備えない場合よりも高くなっているのが分かる。
【0127】
[第2実施例]
図7は、本発明の第2実施例に係る車両用窓ガラス1の平面図である。なお、図7においては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
図7に示すように、第2実施例の車両用窓ガラス1は、第2水平補助エレメント24bの長さを、300mm、350mm、400mmと変化させる点で、上述した第1実施例と異なる。その他の寸法は、第1実施例と同じである。なお、第2実施例の車両用窓ガラス1は、第8エレメント58を備えない。
【0128】
図8は、第2実施例に係る車両用窓ガラス1のアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。図8中の「400mm」、「350mm」、「300mm」とは、第2水平補助エレメント24bの長さを示す。
図8を参照すると、第1水平補助エレメント24aの長さ300mmに対し、第2水平補助エレメント24bの長さを、300mm、350mm、400mmと変化させると、FM帯(76MHz~108MHz)の範囲におけるアンテナ利得が、垂直偏波及び水平偏波のいずれにおいても、400mm、350mm、300mmの順に高くなっているのが分かる。
【0129】
FM帯の中心周波数は、92MHzであり、その中心波長(λ)は、3258mmとなる。また、ガラス板10の波長短縮率(k)が0.64とすると、第1実施例及び第2実施例のアンテナ30の各寸法は、上述した(1)~(8)の各関係式及び範囲において、好ましい長さに設定されている。
このように、第1実施例及び第2実施例によれば、所定の周波数の電波を所望の利得で受信できる車両用窓ガラス1を提供できることが分かる。
【0130】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 車両用窓ガラス
2 窓枠
10 ガラス板
20 デフォッガ
21a 第1バスバー
21b 第2バスバー
22a ヒータ線(第1ヒータ線)
22b ヒータ線(第2ヒータ線)
22c ヒータ線
22d ヒータ線
22e ヒータ線
22f ヒータ線
23a 第1短絡線
23b 第2短絡線
23c 第3短絡線
24 補助エレメント
24a 第1水平補助エレメント
24b 第2水平補助エレメント
30 アンテナ
31 給電部
40 第1アンテナ部
41 第1L字エレメント
50 第2アンテナ部
51 第1エレメント
52 第2エレメント
53 第3エレメント
54 第4エレメント
55 第5エレメント
56 第6エレメント
57 第7エレメント
58 第8エレメント
60 第3アンテナ部
61 第2L字エレメント
P 接続点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8