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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173165
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】照明装置、及び画像読み取り装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20231130BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20231130BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H04N1/028 J
H04N1/04 101
H04N1/12 Z
G01J3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085230
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】大橋 理人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽平
(72)【発明者】
【氏名】新保 晃平
【テーマコード(参考)】
2G020
5C051
5C072
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA12
2G020DA22
2G020DA24
2G020DA32
2G020DA43
5C051AA01
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB29
5C051DB35
5C051DC05
5C051DC07
5C051FA01
5C072AA01
5C072BA04
5C072BA20
5C072CA05
5C072CA09
5C072DA02
5C072DA03
5C072DA04
5C072DA09
5C072DA10
5C072DA21
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA16
(57)【要約】
【課題】ロッドレンズの位置精度を向上させること。
【解決手段】照明装置は、第1方向に延在し、第1方向と交差する第2方向に光を出射して、光を対象物に照射する線状光源と、線状光源に対して第2方向に離れて配置され、第1方向に延在し、線状光源から出射された光を透過させるロッドレンズと、ロッドレンズを支持する支持部と、を備え、支持部は、第1方向に見て、第2方向に交差する第3方向に延在する第1面と、第1方向に見て、第2方向及び第3方向に交差する第4方向に延在する第2面と、を含み、ロッドレンズは、第1面及び前記第2面に接触している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在し、前記第1方向と交差する第2方向に光を出射して、前記光を対象物に照射する線状光源と、
前記線状光源に対して前記第2方向に離れて配置され、前記第1方向に延在し、前記線状光源から出射された前記光を透過させるロッドレンズと、
前記ロッドレンズを支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、
前記第1方向に見て、前記第2方向に交差する第3方向に延在する第1面と、
前記第1方向に見て、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向に延在する第2面と、を含み、
前記ロッドレンズは、前記第1面及び前記第2面に接触していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第2方向は、前記第1方向に見て、前記対象物の基準面に対して45度で傾斜する方向に沿うことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記第1方向に互いに離れて配置された一対の側板を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第3方向は、前記第1方向に見て、前記対象物の基準面に沿う方向であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第4方向は、前記第1方向に見て、前記第3方向に対して直交する方向であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
それぞれが前記線状光源及び前記ロッドレンズを有する複数の照明ユニットを含み、
前記複数の照明ユニットは、前記対象物の基準面に沿う方向に、互いに離れて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記線状光源は、前記第1方向に並ぶ複数の白色LED光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記支持部に取り付けられ、前記支持部とともに、前記ロッドレンズを支持するレンズ抑えを更に備え、
前記レンズ抑えは、前記第1方向に見て、前記第3方向及び前記第4方向に交差する第5方向に延在する第3面を含み、
前記ロッドレンズは、前記第3面に接触していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置から出射されて、前記対象物で反射された前記光を受光する受光部と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、及び画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光を出射して原稿の原稿面を照明する照明装置と、原稿面で反射した光を読み取る読み取り部とを備える画像読み取り装置が知られている(例えば特許文献1参照)。照明装置は、光を出射する複数の白色LED光源と、白色LED光源から出射された光を集光するロッドレンズとを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の照明装置では、部品の位置調整により光源とロッドレンズとの相対位置精度を高めるため、位置調整の工数が増加する点に改善の余地がある。
【0004】
本発明は、部品の位置調整のための工数増加を抑えつつ、光源とロッドレンズとの相対位置精度を高く維持可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る照明装置は、第1方向に延在し、第1方向と交差する第2方向に光を出射して、光を対象物に照射する線状光源と、線状光源に対して第2方向に離れて配置され、第1方向に延在し、線状光源から出射された光を透過させるロッドレンズと、ロッドレンズを支持する支持部と、を備え、支持部は、第1方向に見て、第2方向に交差する第3方向に延在する第1面と、第1方向に見て、第2方向及び第3方向に交差する第4方向に延在する第2面と、を含み、ロッドレンズは、第1面及び前記第2面に接触している。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態の照明装置によれば、部品の位置調整のための工数増加を抑えつつ、光源とロッドレンズとの相対位置精度を高く維持可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る測色装置を示す斜視図である。
図2】色データ取得ユニットを示す概略図である。
図3】照明装置を上方から示す概略図である。
図4】照明装置を下方から示す斜視図である。
図5】照明装置を示す側面図である。
図6】ロッドレンズ、及びレンズ接触面を示す概略側面図である。
図7】ロッドレンズ抑えを示す側面図である。
図8】照明装置、測定面、及び高さ範囲を示す概略側面図である。
図9】ロッドレンズの位置ずれに伴う影響予測を示す表である。
図10】ロッドレンズの位置ずれを示す概略側面図である。
図11】実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、各図において、直交する3方向として、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を記載する場合がある。Y軸方向は、用紙100の搬送方向に沿う。X軸方向は、用紙100の搬送方向に交差する方向であり、用紙100の幅方向に沿う。Z軸方向は、用紙100の厚さ方向に沿う。
【0009】
<測色装置>
図1は、実施形態に係る測色装置を示す斜視図である。図1に示す測色装置10は、色データ取得ユニット20と、用紙搬送機構30と、用紙検知センサ41と、色データ取得ユニット搬送機構40と、校正色標50と、制御装置300とを有する。色データ取得ユニット20は、「画像読み取り装置」の一例である。制御装置300は、画像形成装置の制御装置でもよい。制御装置300は、測色装置10の動作を制御する。
【0010】
用紙搬送機構30は、用紙100を一定の速度でY軸方向に搬送する。用紙搬送機構30は、例えば2つのローラを有するニップローラを含む。用紙搬送機構30は、ニップローラにより用紙100を挟みながら、ニップローラを回転させて用紙100を搬送する。
【0011】
用紙検知センサ41は、用紙100が所定の位置に存在することを検知する。用紙検知センサ41は、例えば所定の位置である色データ取得領域21に用紙100が存在することを検知する。用紙検知センサ41は、例えば用紙100に光を照射し、反射光をフォトダイオード等で検出する。測色装置10は、用紙検知センサ41の出力に基づき、用紙100が色データ取得ユニット20による色データ取得領域21の位置にあることを検知できる。
【0012】
色データ取得ユニット搬送機構40は、色データ取得ユニット20をX軸方向に搬送する。色データ取得ユニット搬送機構40は、例えばボールネジ及びガイドを有する搬送ステージを含んでもよい。
【0013】
校正色標50は、分光特性の算出に用いる変換行列の校正を行う際に使用される。
【0014】
測色装置10は、用紙100の色データ取得領域21内において、Y軸方向における複数の位置の分光特性を同時に取得してもよい。
【0015】
<色データ取得ユニット>
図2は、色データ取得ユニットを示す概略図である。図1及び図2に示されるように、色データ取得ユニット20は、ライン照明光源60と、縮小結像レンズ70と、分光ユニット80と、を備える。図2に示されるように、色データ取得ユニット20は、照明部22及び受光部23を有する。照明部22は、ライン照明光源60を含む。受光部23は、縮小結像レンズ70及び分光ユニット80を含む。
【0016】
ライン照明光源60は、色データ取得領域21をライン状の光で照明する。色データ取得領域21は、「対象物の基準面」の一例である。ライン照明光源60は、Y軸方向に見て、X軸方向に対して例えば45度傾斜した方向から色データ取得領域21に光を照射できる。ライン照明光源60による光の照射方向は、光軸方向の一例である。光の傾斜角度は、45度に限定されず、その他の角度でもよい。Y軸方向は、「第1方向」の一例である。X軸方向は、「第3方向」の一例である。ライン照明光源60による光軸方向は、「第2方向」の一例である。
【0017】
ライン照明光源60は、例えば、白色のLEDアレイを備えていてもよい。LEDは、「Light Emitting Diode」(発光ダイオード)の略称である。白色のLEDアレイは、例えば可視光の略全域において強度を有する。なお、ライン照明光源60は、LEDを備えるものに限定されず、例えば冷陰極管等の蛍光灯やランプ光源等を備えるものでもよい。
【0018】
ライン照明光源60は、分光に必要な波長領域の光を発するものであって、かつ色データ取得領域21の全体にわたって均質に照明可能なものでもよい。照明部22は、ライン照明光源60から出射された光を集光するコリメートレンズを備えるものでもよい。コリメートレンズは、ライン照明光源60から出射された光を集光し、用紙100に対して平行光、又は収束光を照射することができる。
【0019】
縮小結像レンズ70は、光軸がZ軸方向に沿うように配置されている。縮小結像レンズ70は、用紙100からの反射光、すなわち反射光束を、分光ユニット80の入射面に所定倍率で結像することができる。ここで、縮小結像レンズ70は、像側テレセントリック特性が付加されたものでもよい。縮小結像レンズ70に像側テレセントリック特性を付加することにより、像面に入射する光束の主光線を光軸と平行にすることができる。縮小結像レンズ70は、複数枚のレンズから構成されたものでもよい。コリメートレンズとして、ロッドレンズを採用することができる。
【0020】
なお、縮小結像レンズ70は、像側テレセントリック特性が付加されたものでなくてもよい。例えば、像面の各位置での主光線の傾きに合わせて、ピンホールアレイの各ピンホールとレンズアレイの各レンズの位置関係を調整することで、像面に入射する光束の主光線を簡易に光軸と略平行にできる。
【0021】
分光ユニット80は、用紙100に照射された光の拡散反射光を分光する機能と、分光した光を受光し、受光した光に応じた信号を出力する機能を有する。
【0022】
なお、図1に例示する光学系は、ライン照明光源60から出射される照明光が用紙100に対して略斜め45度より入射し、分光ユニット80が用紙100から垂直方向に拡散反射する光を受光する所謂45/0光学系である。しかしながら、光学系の構成は図1に例示するものに限定されず、例えば、ライン照明光源60から出射される照明光が用紙100に対して垂直に入射し、分光ユニット80が用紙100から45度方向に拡散する光を受光する所謂0/45光学系等としてもよい。
【0023】
色データ取得ユニット20は、白色基準板51を備えていてもよい。分光ユニット80は、駆動回路、CCD、及び分光素子を備えていてもよい。受光部23は、ペルチェ温度制御系、スキャナレンズ、及びUV・IRカットフィルタを備えていてもよい。色データ取得ユニット20は、折り返しミラー25,26を備えていてもよい。
【0024】
<照明装置>
次に、図3図5を参照して、照明装置400について説明する。図3は、照明装置を上方から示す概略図である。図4は、照明装置を下方から示す斜視図である。図5は、照明装置を示す側面図である。色データ取得ユニット20は、ライン照明光源60として、照明装置400を備える。
【0025】
照明装置400は、側板410、軸420、金属板430、ロッドレンズ450、ロッドレンズ抑え460、白色LED基板470を備える。側板410は、「支持部」の一例である。白色LED基板470は、「線状光源」の一例である。
【0026】
図3及び図4に示されるように、照明装置400は、一対の側板410を備える。一対の側板410は、Y軸方向に互いに離れて配置されている。側板410の板厚方向はY軸方向に沿う。軸420は、Y軸方向に延在し、一対の側板410を連結する。
【0027】
図4及び図5に示されるように、白色LED基板470は金属板430に固定されている。白色LED基板470は、白色LEDアレイを実装する。白色LEDアレイは、Y軸方向に並ぶ複数のLEDを含む。白色LED基板470は、例えばネジにより金属板430に固定されている。白色LED基板470から発生した熱は、金属板430に伝熱される。金属板430は、伝達された熱を放熱する。金属板430には、例えばアルミニウム製のヒートシンクが取り付けられていてもよい。金属板430の熱は、ヒートシンクに伝熱されることにより、放熱される。
【0028】
金属板430の長手方向は、Y軸方向に沿う。金属板430の長手方向の両端部は、一対の側板410により支持されている。金属板430には、金属板430が嵌る開口が設けられている。金属板430の側面は、側板410の開口の周縁に接触していてもよい。金属板430の側面は、Y軸方向に見て、金属板430の板厚方向に沿う面である。金属板430の一対の側面は、金属板430の短手方向に対向する面である。
【0029】
金属板430の底面は、側板410の開口の周縁に接触していてもよい。金属板430の底面は、Y軸方向に見て、板厚方向と交差する面のうち、用紙100に近い方に配置される面である。白色LED基板470は、金属板430の底面に取り付けられている。
【0030】
照明装置400は、金属板430の底面を光軸方向に押し当てる押圧部材を備えていてもよい。押圧部材としては、ばね部材を用いることができる。光軸方向は、白色LED基板470から出射される光の出射方向でもよい。押圧部材は、側板410に取り付けられ、金属板430を光軸方向に押すことができる。光軸方向は、「第2方向」の一例である。
【0031】
ロッドレンズ450は、棒状を成し、Y軸方向に延在する。ロッドレンズ450は、ロッドレンズ450の長手方向と交差する直径方向に光を透過させる。ロッドレンズ450は、例えばアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂:PMMA)から形成されていてもよい。アクリル樹脂は、軽量であり、光の透過率に優れている。ロッドレンズ450は、その他の材質から形成されたものでもよい。
【0032】
ロッドレンズ450の両端部は、一対の側板410によって支持されている。側板410には、ロッドレンズ450が嵌る切り欠きが設けられている。ロッドレンズ450は、Y軸方向に見て、白色LED基板470に対して、光軸方向に離れて配置されている。ロッドレンズ450が配置される切り欠きは、Y軸方向に側板410を貫通するように形成されている。切り欠きは、Y軸方向に見て、Z軸方向の端部から凹むように形成されていてもよい。切り欠きは、Z軸方向に延びる周縁と、X軸方向に延びる周縁とにより、形成されていてもよい。
【0033】
側板410には、ロッドレンズ450の側面に接触するレンズ接触面411,412が形成されている。レンズ接触面411,412は、ロッドレンズ450が嵌る切り欠きの周縁を形成する。レンズ接触面411は、「第1面」の一例である。レンズ接触面412は、「第2面」の一例である。
【0034】
図6は、ロッドレンズ、及びレンズ接触面を示す概略側面図である。図6に示されるように、レンズ接触面411は、Z軸方向と交差する面を含み、Y軸方向に見て、X軸方向に沿うように形成されている。レンズ接触面411は、Z軸方向においてロッドレンズ450と接触する。ロッドレンズ450は、レンズ接触面411と接触し、上方への移動が抑制される。Z軸方向は、「第4方向」の一例である。
【0035】
レンズ接触面412は、Y軸方向に見て、レンズ接触面411と交差するように形成されている。レンズ接触面412は、X軸方向と交差する面を含み、Y軸方向に見て、Z軸方向に沿うように形成されている。レンズ接触面412は、X軸方向においてロッドレンズ450と接触する。ロッドレンズ450は、レンズ接触面412と接触し、X軸方向への移動が抑制される。
【0036】
図5に示されるように、照明装置400は、複数の白色LED基板470を備える。複数の白色LED基板470は、X軸方向に互いに離れて配置されている。同様に、照明装置400は、複数のロッドレンズ450を備える。複数のロッドレンズ450は、X軸方向に互いに離れて配置されている。図6に示されるように、レンズ接触面412は、X軸方向において、2つのロッドレンズ450の外側にそれぞれ配置されている。
【0037】
図7は、ロッドレンズ抑えを示す側面図である。図7に示されるロッドレンズ抑え460は、例えばネジ等により側板410に取り付けられている。ロッドレンズ抑え460は、板状を成し、ロッドレンズ抑え460の板厚方向は、Y軸方向に沿う。ロッドレンズ抑え460は、Y軸方向において側板410の外側に配置されている。ロッドレンズ抑え460は、Y軸方向に見て、ロッドレンズ450が配置される切り欠きに重なるように張り出している。
【0038】
ロッドレンズ抑え460は、ロッドレンズ450の側面と接触するレンズ接触面461を有する。レンズ接触面461は、「第3面」の一例である。レンズ接触面461は、白色LED基板470の光軸方向と交差する面を含み、Y軸方向に見て、X軸方向及びZ軸方向に交差する方向に延在する。レンズ接触面461は、図6に示されるレンズ接触面411,412と交差する方向に延在する。ロッドレンズ450は、ロッドレンズ450の周方向において、互いに異なる位置で、レンズ接触面411,412,461と接触する。ロッドレンズ抑え460は、X軸方向に対向する一対のロッドレンズ450の間に配置されている。レンズ接触面461は、X軸方向において両側に張り出すように形成されている。ロッドレンズ抑え460は、X軸方向に対向する一対のロッドレンズ450を支持することができる。照明装置400は、ロッドレンズ抑え460をロッドレンズ450に対して押し当てる押圧機構を備えていてもよい。押圧機構は、例えば、バネ部材を有する。
【0039】
<ロッドレンズの直径のばらつきの影響>
次に、図8図10を参照して、ロッドレンズ450の直径が交差でばらついた場合の影響について説明する。図8は、照明装置、測定面、及び高さ範囲を示す概略側面図である。図9は、ロッドレンズの位置ずれに伴う影響予測を示す表である。図10は、ロッドレンズの位置ずれを示す概略側面図である。
【0040】
図8に示されるように、ロッドレンズ450の直径交差により寸法がばらついた場合において、直径方向ΔRのシフト量、光軸方向ΔVのシフト量、及び光軸直交方向ΔWのシフト量により、照明装置400の光学特性が影響を受けるおそれがある。図9は、ロッドレンズ450の直径方向ΔRの公差が5倍のときの光学特性への影響予測、ロッドレンズ450の光軸方向ΔVの公差が5倍のときの光学特性への影響予測、及び、ロッドレンズ450の光軸直交方向ΔWの公差が5倍のときの光学特性への影響予測を示す。
【0041】
<ロッドレンズの直径方向ΔRの公差が5倍の場合>
主走査最低照度比の目標値は、例えば0.9以上である。主走査最低照度比とは、「主走査照度最高値」に対する「主走査照度最低値」の比である(主走査最低照度比=主走査照度最低値/主走査照度最高値)。従来技術では、主走査最低照度比は、例えば0.97程度であった。「従来技術」と「拡大後」との構造上の違いは、ロッドレンズ直径の公差の違いである。従来技術のロッドレンズ直径の公差は、直径φ12±0.1mmである。拡大後のロッドレンズ直径の公差は、直径φ12±0.5mmである。
【0042】
「拡大後の主走査最低照度比」は、0.97以上0.98以下であった。評価としては、「〇」であった。「目標値を満足した場合」の評価を「〇」とし、「目標値を満足しなかった場合」の評価を「×」とした。
【0043】
照度比0.99以上の高さ範囲A1の目標値は、±0.25mm以上である。Z軸方向において、測定面Q1の位置を「0」とする。測定面Q1は、用紙100の画像面をでもよい。高さ範囲A1が±0.25mm以上である場合とは、測定面Q1の位置がある幅をもって変動したときの変動幅が0.5mm(=0.25mm×2)以上であることをいう。用紙により厚みが異なるので、用紙厚0.1mm~0.6mmに対応させようとした場合には、変動幅は0.5mmとなる。高さ範囲A1が±0.25mm以上であると、上記のように用紙厚(0.1mm~0.6mm)が異なる用紙に対応できる。または、高さ範囲A1が±0.25mm以上であると、用紙100の浮きが発生しても安定した照度比が確保できる。
【0044】
従来技術では、照度比0.99以上の高さ範囲A1は、例えば「-0.26mm以上、0.33mm以下」であった。「拡大後の照度比0.99以上の高さ範囲A1」は、「-0.26mm以上、0.33mm以下」であった。「従来」と「拡大後」において、変化はなかった。評価としては、「〇」であった。
【0045】
<ロッドレンズの光軸方向ΔVの公差が5倍の場合>
主走査最低照度比の目標値は、例えば0.9以上である。従来技術では、主走査最低照度比は、例えば0.97程度であった。「拡大後の主走査最低照度比」は、0.97以上0.98以下であった。評価としては、「〇」であった。
【0046】
照度比0.99以上の高さ範囲A1の目標値は、±0.25mm以上である。従来技術では、照度比0.99以上の高さ範囲A1は、例えば「-0.26mm以上、0.33mm以下」であった。「拡大後の照度比0.99以上の高さ範囲A1」は、「-0.26mm以上、0.33mm以下」であった。「従来」と「拡大後」において、変化はなかった。評価としては、「〇」であった。
【0047】
<ロッドレンズの光軸直交方向ΔWの公差が5倍の場合>
主走査最低照度比の目標値は、例えば0.9以上である。従来技術では、主走査最低照度比は、例えば0.97程度であった。「拡大後の主走査最低照度比」は、0.97以上0.98以下であった。評価としては、「〇」であった。
【0048】
照度比0.99以上の高さ範囲A1の目標値は、±0.25mm以上である。従来技術では、照度比0.99以上の高さ範囲A1は、例えば「-0.26mm以上、0.33mm以下」であった。「拡大後の照度比0.99以上の高さ範囲A1」は、「0mm」であった。目標値は、「±0.25mm以上」とは、「0.25mm以上」、及び、「-0.25mm以下」である。評価としては、「×」であった。
【0049】
以上の影響予測の結果、ロッドレンズ450の光軸直交方向ΔWのシフト量を抑えれば、直径公差±0.1を5倍の±0.5に拡大しても、照明装置400の光学特性に問題ないことが分かった。換言すると、ロッドレンズ450の直径公差を拡大することができるので、ロッドレンズ450の寸法精度を緩和することができる。これにより、ロッドレンズ450の製造コストの低減を図ることができる。
【0050】
図10では、基準位置のロッドレンズ450と、基準位置から光軸直交方向ΔWに位置ずれしている場合のロッドレンズ450Bとを示す。光軸直交方向ΔWに位置ずれしたロッドレンズ450Bにより、光が屈曲する。これにより、ロッドレンズ450Bを透過した光の照射位置は、基準位置のロッドレンズ450を透過した光の場合と比較して、Z軸方向において上方にずれる。
【0051】
図6に示されるように、照明装置400では、ロッドレンズ450が側板410のレンズ接触面411,412に接触するように、位置決めされている。ロッドレンズ450が、Y軸方向に見て、X軸方向に沿うレンズ接触面411に接触しているので、ロッドレンズ450のZ軸方向への移動が抑制される。ロッドレンズ450が、Y軸方向に見て、Z軸方向に沿うレンズ接触面412に接触しているので、ロッドレンズ450のX軸方向への移動が抑制される。換言すると、ロッドレンズ450は、レンズ接触面411及びレンズ接触面412に接触することにより、光軸方向ΔVへの移動は許容され、光軸直交方向ΔWへの移動を制限できる。
【0052】
<作用効果>
このような照明装置400では、ロッドレンズ450が、光軸方向に交差するX軸方向に延在するレンズ接触面411と、光軸方向及びX軸方向に交差するZ軸方向に延在するレンズ接触面412とに接触するように位置決めされている。これにより、ロッドレンズ450の光軸直交方向ΔWへの移動が抑制されるので、白色LED基板470と、ロッドレンズ450との相対位置の精度を高く維持することができる。照明装置400では、レンズ接触面411,412に接触するように、ロッドレンズ450を支持することにより、ロッドレンズ450の位置精度を高く維持できる。そのため、白色LED基板470とロッドレンズ450との相対位置の調整のための工数の増加を抑制することができる。照明装置400では、上述したように、ロッドレンズ450の直径公差を従来と比較して5倍に拡大することができる。照明装置400では、ロッドレンズ450を製造するためのコストの増加を抑制できる。
【0053】
照明装置400では、レンズ接触面411がX軸方向に沿って配置されているので、用紙100の画像面に交差する方向へのロッドレンズ450の移動を抑制することができる。
【0054】
照明装置400では、レンズ接触面412がZ軸方向に沿って配置されているので、用紙100の画像面に沿う方向へのロッドレンズ450の移動を抑制することができる。
【0055】
照明装置400では、レンズ接触面411,412が互いに直交するように配置されているので、互いに直交する2方向に対して、ロッドレンズ450の移動を抑制することができる。
【0056】
<画像形成装置>
次に図11を参照して、画像形成装置について説明する。図11は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。図11に示される画像形成装置200は、例えばインクジェット方式の画像形成装置である。画像形成装置200は、作像部201、給紙部202、乾燥部203、及び排紙部204を備える。画像形成装置200は、上記の測色装置10を備える。画像形成装置200は、測色装置10を備えることにより、インラインにおいて分光特性の取得、及び作像条件の調整を行うことができる。
【0057】
作像部201は、複数のインクジェットヘッドGr、O、Y、M、Cy、及びKを有する。インクジェットヘッドGrは、グリーンのインクを吐出する。インクジェットヘッドOは、オレンジのインクを吐出する。インクジェットヘッドYは、イエローのインクを吐出する。インクジェットヘッドMは、マゼンダのインクを吐出する。インクジェットヘッドCyは、シアンのインクを吐出する。インクジェットヘッドKは、ブラックのインクを吐出する。
【0058】
給紙部202は、対象物としての用紙100を収容する。給紙部202は、作像部201に用紙100を供給する。
【0059】
作像部201は、画像情報に基づいて対応する色のインクを用紙100に吐出する。インクジェットから吐出されたインクは、用紙100に付着して、可視像を形成する。作像部201は、インクが塗布された用紙100を乾燥部203に供給する。
【0060】
乾燥部203は、用紙100を搬送しながらインクを乾燥する。乾燥部203は、乾燥後の用紙100を排紙部204に搬送する。排紙部204は、用紙100を排出する。排紙部204は、用紙100をスタッカーに収容してもよい。
【0061】
排紙部204には、測色装置10が設けられている。測色装置10は、用紙100の画像面に対向するように配置されている。用紙100の画像面は、インクが付着する面である。測色装置10は、画像形成装置200の起動時、用紙100の紙種の変更時、及び定期検査時に動作する。定期検査は、例えば、一定時間の稼働後に実施される。測色装置10は、搬送中の用紙100の画像データの分光特性を取得することができる。測色装置10は、取得した分光特性に関するデータに基づいて、用紙100の画像面内の色むらや色変動を監視することができる。
【0062】
測色装置10により取得されたデータは、画像形成装置200の制御装置に出力される。画像形成装置200の制御装置は、測色装置10による監視結果に基づいて、インクジェットヘッドから吐出されるインクの吐出量を調整することができる。画像形成装置200の制御装置は、測色装置10による監視結果に基づいて、画像形成条件を調整し、作像条件を調整できる。画像形成装置200の制御装置は、画像評価装置として機能し、色再現性を向上させることができる。
【0063】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0064】
上記の実施形態では、第1方向は、Y軸方向に沿う方向と説明しているが、第1方向は、Y軸方向に限定されず、その他の方向でもよい。上記の実施形態では、第3方向は、X軸方向に沿う方向と説明しているが、第3方向は、X軸方向に限定されず、その他の方向でもよい。
【0065】
上記の実施形態では、第4方向は、Z軸方向に沿う方向と説明しているが、第4方向は、Z軸方向に限定されず、その他の方向でもよい。第4方向は、第1方向に見て、第3方向に直交する方向と説明しているが、第4方向は、第3方向に直交する方向に限定されず、第3方向に対して交差する方向でもよい。
【0066】
上記の実施形態では、第2方向は、用紙100の基準面に対して45度で傾斜する方向として説明しているが、第2方向は、基準面に対して45で傾斜する方向に限定されず、その他の方向でもよい。第2方向は、例えば、第1方向に見て、用紙100の基準面に対して直交する方向でもよい。
【0067】
上記の実施形態では、第5方向は、光軸直交方向として説明しているが、第5方向はこれに限定されない。第5方向は、例えば、第1方向に見て、光軸方向に対して交差する方向でもよい。
【0068】
上記の実施形態では、レンズ接触面411,412が互いに直交して配置されているとして説明しているが、レンズ接触面411,412は、互いに直交するもに限定されず、その他の角度で交差していてもよい。
【0069】
上記の実施形態では、照明装置を有する画像読み取り装置を備えた画像形成装置200について説明しているが、照明装置及び画像読み取り装置は、画像形成装置以外の装置に適用してもよい。
【0070】
上記の実施形態では、照明装置が、線状光源及びロッドレンズをそれぞれ有する複数の照明ユニットを備える構成について例示しているが、照明装置は1つの照明ユニットを備えるものでもよい。また、照明装置は、3つ以上の複数の照明ユニットを備えていてもよい。
【0071】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
<1>
第1方向に延在し、第2方向に光を出射して、前記光を対象物に照射する線状光源と、
前記線状光源に対して前記第2方向に離れて配置され、前記第1方向に延在するロッドレンズと、
前記ロッドレンズを支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、
前記第1方向に見て、前記第2方向に交差する第3方向に延在する第1面と、
前記第1方向に見て、前記第2方向及び前記第3方向に交差する第4方向に延在する第2面と、を含み、
前記ロッドレンズは、前記第1面及び前記第2面に接触していることを特徴とする照明装置。
<2>
前記第2方向は、前記第1方向に見て、前記対象物の基準面に対して45度で傾斜する方向に沿うことを特徴とする上記<1>に記載の照明装置。
<3>
前記支持部は、前記第1方向に互いに離れて配置された一対の側板を含むことを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の照明装置。
<4>
前記第3方向は、前記第1方向に見て、前記対象物の基準面に沿う方向であることを特徴とする上記<1>~<3>の何れか一つに記載の照明装置。
<5>
前記第4方向は、前記第1方向に見て、前記第3方向に対して直交する方向であることを特徴とする上記<1>~<4>の何れか一つに記載の照明装置。
<6>
それぞれが前記線状光源及び前記ロッドレンズを有する複数の照明ユニットを含み、
前記複数の照明ユニットは、前記対象物の基準面に沿う方向に、互いに離れて配置されていることを特徴とする上記<1>~<5>の何れか一つに記載の照明装置。
<7>
前記線状光源は、前記第1方向に並ぶ複数の白色LED光源を含むことを特徴とする上記<1>~<6>の何れか一つに記載の照明装置。
<8>
前記支持部に取り付けられ、前記支持部とともに、前記ロッドレンズを支持するレンズ抑えを更に備え、
前記レンズ抑えは、前記第1方向に見て、前記第3方向及び前記第4方向に交差する第5方向に延在する第3面を含み、
前記ロッドレンズは、前記第3面に接触していることを特徴とする上記<1>~<7>の何れか一つに記載の照明装置。
<9>
上記<1>~<8>の何れか一つに記載の照明装置と、
前記照明装置から出射されて、前記対象物で反射された前記光を受光する受光部と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【符号の説明】
【0072】
200 画像形成装置
400 照明装置
10 測色装置
20 色データ取得ユニット(画像読み取り装置)
21 色データ取得領域(基準面)
22 照明部
23 受光部
60 ライン照明光源(照明ユニット)
100 用紙(対象物)
410 側板(支持部)
411 レンズ接触面(第1面)
412 レンズ接触面(第2面)
450 ロッドレンズ
460 ロッドレンズ抑え
461 レンズ接触面(第3面)
470 白色LED基板(線状光源)
471 白色LED光源
ΔR 直径方向
ΔV 光軸方向(第2方向)
ΔW 光軸直交方向(第5方向)
X X軸方向(第3方向)
Y Y軸方向(第1方向)
Z Z軸方向(第4方向)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特許2011-82969号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11