(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173171
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、制御装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20231130BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20231130BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/165 209
B41J2/01 401
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085237
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和磨
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056EC03
2C056EC12
2C056EC54
2C056FA14
2C056FB02
2C056HA27
2C056HA46
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】吐出受けの交換頻度の低下を図る。
【解決手段】画像形成装置200は、複数の媒体に液体を吐出するノズル部と、ノズル部から吐出された液体を受ける吐出受けと、印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体をノズル部から吐出するようにノズル部の動作を制御する制御部と、を備え、複数の媒体は、印刷ジョブによる画像が形成される第1媒体と、印刷ジョブによる画像が形成されない第2媒体と、を含み、制御部は、第2媒体に対して、ノズル部から液体を吐出するようにノズル部の動作を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の媒体に液体を吐出するノズル部と、
前記ノズル部から吐出された前記液体を受ける吐出受けと、
印刷ジョブによる画像形成に寄与しない前記液体を前記ノズル部から吐出するように前記ノズル部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記複数の媒体は、
前記印刷ジョブによる画像が形成される第1媒体と、
前記印刷ジョブによる画像が形成されない第2媒体と、を含み、
前記制御部は、前記第2媒体に対して、前記ノズル部から前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吐出受けにおける空き容量を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量が判定閾値以下となる場合に、前記印刷ジョブの実行中又は実行後に、前記第2媒体に対して前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量が前記判定閾値以下であり、且つ、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量がゼロにならない場合に、前記印刷ジョブが実行される最後の前記第1媒体の後に、前記第2媒体に対して、前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量がゼロになる場合に、前記印刷ジョブの実行中であり、前記空き容量がゼロになる前に、前記第2媒体に対して、前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
操作入力部を更に備え、
前記制御部は、操作者による前記操作入力部への操作に基づいて、前記印刷ジョブの実行中に前記第2媒体に前記液体を吐出するか否かを決定し、前記第2媒体に前記液体を吐出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
操作入力部を更に備え、
前記制御部は、操作者による前記操作入力部への操作に基づいて、前記第2媒体に対して前記液体が吐出される領域を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記液体が吐出された後の前記複数の媒体を受ける複数の排出トレイと、
排出先となる前記排出トレイを変更するトレイ変更機構と、を有し、
前記制御部は、前記第1媒体の排出先と、前記第2媒体の排出先とが異なるように、前記トレイ変更機構の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷ジョブによりノズル部から液体を吐出して第1媒体に画像を形成することと、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から吐出受けに吐出することと、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から、第2媒体に吐出することと、を含むことを特徴する画像形成方法。
【請求項9】
印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体をノズル部から吐出するように前記ノズル部の動作を制御する制御装置であって、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から吐出受けに吐出するように前記ノズル部の動作を制御することと、
前記印刷ジョブにより前記ノズル部から液体を吐出して第1媒体に画像を形成するように前記ノズル部の動作を制御することと、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から、第2媒体に吐出するように前記ノズル部の動作を制御することと、を実行する制御装置。
【請求項10】
印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体をノズル部から吐出するように前記ノズル部の動作を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記プログラムは、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から吐出受けに吐出するように前記ノズル部の動作を制御する処理と、
前記印刷ジョブにより前記ノズル部から液体を吐出して第1媒体に画像を形成するように前記ノズル部の動作を制御する処理と、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から、第2媒体に吐出するように前記ノズル部の動作を制御する処理と、を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成に寄与しないインクを受ける吐出受けの交換頻度を下げるために、画像が形成される媒体の前端及び後端に、画像形成に寄与しないインクを吐出する画像形成装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。媒体の前端及び後端は、媒体の搬送方向における前方の端部及び後方の端部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、画像が大きい場合や印刷の設定により余白が狭くなる場合等には、媒体の前端及び後端に画像形成に寄与しないインクを吐出するための領域を確保できない結果、吐出受けの交換頻度を下げることができない場合がある。
【0004】
本発明は、吐出受けの交換頻度の低下を図ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る画像形成装置は、複数の媒体に液体を吐出するノズル部と、ノズル部から吐出された液体を受ける吐出受けと、印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体をノズル部から吐出するようにノズル部の動作を制御する制御部と、を備え、複数の媒体は、印刷ジョブによる画像が形成される第1媒体と、印刷ジョブによる画像が形成されない第2媒体と、を含み、制御部は、第2媒体に対して、ノズル部から液体を吐出するようにノズル部の動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態の画像形成装置によれば、吐出受けの交換頻度の低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図2】ヘッドモジュール、ドラム、及び吐出受けを示す側面図である。
【
図3】ヘッドモジュールのノズル面を示す底面図である。
【
図4】記録媒体及び吐出受けの配置を示す図であり、ドラムの外周面を示す展開図である。
【
図5】記録媒体、吐出受け、及びフラッシング用紙の配置を示す図であり、ドラムの外周面を示す展開図である。
【
図6】一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】一実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【
図8】フラッシング処理を実行する前の準備処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】フラッシング処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】フラッシング処理の準備処理で使用されるパラメータの一例を示す表である。
【
図11】フラッシングモード実行中を表示する表示画面を示す図である。
【
図12】フラッシング領域を設定するための設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、各図において、直交する3方向として、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を記載する場合がある。X軸方向は、記録媒体PPの搬送方向に沿う。Y軸方向は、搬送方向に交差する方向であり、記録媒体PPの幅方向に沿う。Z軸方向は、記録媒体PPの厚さ方向に沿う。
【0009】
<画像形成装置200の全体構成>
図1は、一実施形態に係る画像形成装置200を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置である。
図1に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200は、搬入部210、前処理部220、印刷部230、第1乾燥部240、第2乾燥部250、記録媒体反転部260、及び搬出部270を備える。画像形成装置200に記録媒体PPにインクを吐出して画像形成する。インクは、液体の一例である。
【0010】
搬入部210は、複数の記録媒体PPを収容する搬入トレイ211A,211Bと、搬入トレイ211の記録媒体PPを1枚ずつ分離して送り出す給送装置212A,212Bとを備える。搬入部210は、前処理部220に対して記録媒体PPを供給する。
【0011】
前処理部220は、搬入部210から供給された記録媒体PPに対して、必要に応じて塗布液としての前処理液を塗布する。前処理部220は、処理液を記録媒体PPの印刷面に付与する処理液付与部221を含む。処理液は、インクを凝集させ、裏写りを防止する。
【0012】
印刷部230は、記録媒体PPに対してインクを付与して所要の印刷を行う。印刷部230は、ドラム10、ヘッドモジュール20、及び渡し胴234,235を備える。渡し胴234は、前処理部220から搬送された記録媒体PPを受け取り、ドラム10に渡す。渡し胴235は、ドラム10によって搬送された記録媒体PPを受け取り、第1乾燥部40に渡す。
【0013】
図2は、ヘッドモジュール、ドラム、及び吐出受けを示す側面図である。
図1及び
図2に示されるように、ヘッドモジュール20は、ヘッドモジュール20A,20B,20C,20D,20Eを含む。なお、ヘッドモジュール20A,20B,20C,20D,20Eを区別しない場合には、ヘッドモジュール20と記載する。
【0014】
ヘッドモジュール20Aは、シアン(C)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Bは、マゼンダ(M)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Cは、イエロー(Y)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Dは、ブラック(K)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Eは、その他の特殊なインクを吐出してもよい。特殊なインクとしては、例えば、白色のインク、金色のインク、銀色のインクなどが挙げられる。
【0015】
複数のヘッドモジュール20は、ドラム10の外周面10aに沿って配置されている。ヘッドモジュール20は、ドラム10の径方向において、外周面10aと隙間を空けて配置されている。記録媒体PPは、ドラム10の外周面10a上に配置され、ドラム10の回転に伴ってドラム10の周方向に搬送される。
【0016】
ドラム10の外周面10aには、記録媒体PPを保持する記録媒体グリッパが設けられている。ドラム10の外周面10aには、複数の吸引穴が分散して形成されている。ドラム10は、吸引穴からドラム10の内部に向かう吸い込み気流を発生されることにより、記録媒体PPをドラム10の外周面10aに保持する。ドラム10は、記録媒体PPを保持した状態で、回転することにより、記録媒体PPをヘッドモジュール20に対向する位置へ搬送する。記録媒体PPは、ドラム10の外周面10aとヘッドモジュール20との間に配置される。
【0017】
ヘッドモジュール20の各々は、記録媒体PPに対してインクを吐出することにより、記録媒体PPの表面に画像を形成する。
図1に示される印刷部230は、画像が形成された後の記録媒体PPを、第1乾燥部240へ送出する。
【0018】
第1乾燥部240は、記録媒体PPを乾燥するヒーター241を備える。第1乾燥部240は、記録媒体PPを搬送する搬送部242を含む。第1乾燥部240は、搬送部242により記録媒体PPを搬送しながら、ヒーター241により加熱する。ヒーター241は、例えば、赤外線を記録媒体PPに照射することにより、記録媒体PPに付着するインクを加熱乾燥する。
【0019】
第2乾燥部250は、記録媒体PPを乾燥するヒーター251を備える。第2乾燥部250は、記録媒体PPを搬送する搬送部252を含む。第2乾燥部250は、搬送部252により記録媒体PPを搬送しながら、ヒーター251により加熱する。ヒーター251は、例えば、紫外線を記録媒体PPに照射することにより、記録媒体PPに付着するインクを加熱する。
【0020】
第2乾燥部250は、乾燥した後の記録媒体PPを搬出部270へ送出する。両面印刷を行う場合には、第2乾燥部250は、記録媒体PPを記録媒体反転部260へ送出する。
【0021】
記録媒体反転部260は、記録媒体PPを反転させる記録媒体反転機構261、及び反転された記録媒体PPを搬送する反転搬送部262を備える。記録媒体反転部260は、第2乾燥部250から送出された記録媒体PPを、記録媒体反転機構261によって反転し、反転搬送部262によって、印刷部230へ送出する。印刷部230は、記録媒体反転部260から送出された記録媒体PPの傾きを補正し、ドラム10へ搬送する。
【0022】
搬出部270は、印刷後の記録媒体PPが積載される複数のトレイ271を備える。搬出部270は、第2乾燥部250から送出された複数の記録媒体PPを、互いに揃えられた状態で積載する。
【0023】
なお、記録媒体PPは、紙の媒体でもよく、その他の媒体でもよい。記録媒体PPは、シート材でもよく、シート材はカットシート材でもよい。シート材は例えば壁紙などの大判のシート材でもよい。
【0024】
<記録ヘッド>
図3は、ヘッドモジュールのノズル面を示す底面図である。
図3に示されるヘッドモジュール20は、ベース部材21に保持された複数の記録ヘッド23を有する。ヘッドモジュール20は、X軸方向に並べられている。ヘッドモジュール20のノズル面には、複数のノズルNが形成されている。複数のノズルNは、X軸方向に並ぶノズル列を形成する。
【0025】
記録ヘッド23は、インクが流れるインク流路、インクを吐出するための駆動素子、インクに圧力を付与する圧力室、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレート等を含む。駆動素子は、例えば圧電素子である。圧力室内のインクは、駆動素子が駆動することにより、圧力が上昇し、ノズルNから吐出される。ノズルNから吐出されたインク滴は、記録媒体上に着弾する。
【0026】
なお、本実施形態の画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置でもよい。そのため、ヘッドモジュール20の複数の記録ヘッド23は、記録媒体PPの搬送方向と直交する方向に並べられて設けられている。画像形成装置200は、ライン走査型インクジェット記録装置への適用に限らず、その他の方式を用いた記録装置にも適用可能である。その他の方式の記録装置として、例えば、記録ヘッドが、主走査方向に移動しながら、記録媒体の表面に画像を形成するシリアル走査型プリンタがある。
【0027】
<吐出受け>
図4は、記録媒体PP及び吐出受けの配置を示す図であり、ドラムの外周面を示す展開図である。
図2及び
図4に示されるように、画像形成装置200は、記録ヘッド23から吐出されたインクを受ける吐出受け30を備える。吐出受け30は、ドラム10に搭載されている。ドラム10は、例えば3つの吐出受け30を有する。複数の吐出受け30は、ドラム10の周方向に等間隔で配置されている。
【0028】
吐出受け30は、記録ヘッド23から吐出されたインクを貯留する容器でもよい。吐出受け30の開口部は、例えば矩形状を成している。吐出受け30の開口部は、ドラム10の外周面10aから露出する。吐出受け30の内部には、インクを保持するためのスポンジが配置されていてもよい。吐出受け30は、液体を貯留可能な立体的な形状を有する容器でもよい。吐出受け30は、液体を吸収することで貯留可能な立体的な形状を有するスポンジ等を収容するものでもよい。吐出受け30を交換する場合には、吐出受け30である容器を交換してもよく、容器内のスポンジ等を交換してもよい。または、吐出受け30内の液体を廃棄した後に、再び吐出受け30を搭載することにより、吐出受け30の液体を貯留する機能を回復してもよい。
【0029】
<フラッシング動作>
画像形成装置200は、記録ヘッド23におけるインクの不吐出、吐出曲がり、吐出速度変化、吐出量変化を抑制し、吐出状態を維持又は回復させるためにフラッシング動作を実行する。例えば、記録ヘッド23におけるインクの詰まりやインクの増粘に伴い、インクの不吐出等が発生するおそれがある。画像形成装置200は、印刷ジョブによる画像形成に寄与しないインクを記録ヘッド23から吐出するフラッシング動作を行う。吐出受け30は、フラッシングにより吐出されたインクを受けることができる。例えば、ユーザは、吐出受け30が満杯になった場合に、新たな吐出受け30に交換する。
【0030】
画像形成装置200は、吐出受け30の交換頻度を低減するために、記録媒体PPの後端や前端の領域F1,F2に対してインクを吐出してフラッシングを行うことができる。後端の領域F1は、記録媒体PPの搬送方向の後端の領域であり、画像が形成された領域F3よりも後方の領域である。前端の領域F2は、記録媒体PPの搬送方向の前端の領域であり、画像が形成される領域F3よりも前方の領域である。記録媒体PPは、第1媒体の一例である。画像が形成される領域F3は、第1領域の一例である。記録媒体PPの後端の領域F1、及び前端の領域F2は、第2領域の一例である。
【0031】
図5は、記録媒体、吐出受け、及びフラッシング用紙の配置を示す図であり、ドラムの外周面を示す展開図である。画像形成装置200は、印刷ジョブにより画像形成される記録媒体PPとは別のフラッシング用紙PFに対して、記録ヘッド23からインクを吐出してフラッシング動作を行うことができる。画像形成装置200は、フラッシング用紙PFのフラッシング領域F4に対して、画像形成に寄与しないインクを吐出して、フラッシング動作を行うことができる。フラッシング用紙PFは、記録媒体PPと同じ仕様の媒体でもよく、異なる仕様の媒体でもよい。記録媒体PP及びフラッシング用紙PFの仕様は、材質、厚さ、形状、大きさ等を含む。フラッシング用紙PFは、画像形成されないフラッシング用の平面媒体である。平面媒体とは、例えば紙と同様の厚さを有するものである。フラッシング用紙PFは、記録媒体PPと同様に、搬送される。フラッシング用紙PFは、記録媒体PPを搬送する搬送部により、記録媒体PPと同様に搬送される。フラッシング用紙PFは、第2媒体の一例である。フラッシング領域F4は、第3領域の一例である。フラッシング領域F4は、記録媒体PPの後端の領域F1、前端の領域F2、及び画像が形成される領域とは異なる領域である。
【0032】
画像形成装置200は、印刷ジョブにより複数の記録媒体PPに対して画像形成を行う場合に、複数の記録媒体PPの最後にフラッシング用紙PFを挿入してもよく、複数の記録媒体PPの最初にフラッシング用紙PFを挿入してもよく、複数の記録媒体PPの途中にフラッシング用紙PFを挿入してもよい。
【0033】
<画像形成装置のハードウェア構成>
次に
図6を参照して、画像形成装置200のハードウェア構成について説明する。
図6は、一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6に示すハードウェア構成は、必要に応じて追加の構成要素を含むことができる。ハードウェアは、必要に応じて
図6に示される構成要素を備えていなくてもよい。
【0034】
画像形成装置200は、制御装置500を備える。制御装置500は、CPU(Center Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、NVRAM(Random Access Memory)504、及びHDD(Hard Disk Drive)508を有する。CPU501は、画像形成装置200全体の制御を司る。ROM502には、CPU501に液体吐出制御を実行させるための各種プログラムの他、塗装に必要な各種データ等が記憶されている。
【0035】
RAM503は、各種データ等を一時的に記憶する。NVRAM504は、不揮発性メモリであり、画像形成装置200の電源が遮断されている間もデータを保持できる。制御装置500は、主制御部500Aを有し、主制御部500Aは、CPU501、ROM502及びRAM503を含む。
【0036】
制御装置500は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)505を有する。ASIC505は、画像形成装置200の装置全体の動作を制御するための入出力信号を処理する。また、ASIC505は、画像データに対して各種信号処理を実行できる。ASIC505は、制御装置500に入力された画像データについて画像処理を実行できる。
【0037】
制御装置500は、外部機器であるホスト600との間でデータ等の送受信を行うことが可能な外部インタフェース(外部I/F)506を備える。ホスト600は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置を含む。制御装置500は、ホスト600から送信されたデータを受信する。ホスト600は、プリンタドライバ601を有していてもよい。プリンタドライバ601は、画像形成装置200から画像出力するためのドッドパターンデータを生成することができる。
【0038】
また、制御装置500は、センサ類18から出力された検知信号を取り込むための入出力部(I/O)507を含む。センサ類18は、各種の温度センサを含んでもよい。センサ類18は、例えば、ホーム位置センサ85、エンコーダ86、媒体検知センサ87、及び容量センサ88を含む。
【0039】
制御装置500は、ヘッドモジュール20の駆動を制御するヘッド制御装置510を含む。ヘッド制御装置510は、ヘッドモジュール20の駆動装置を制御できる。ヘッド制御装置510は、ヘッドモジュール20の駆動素子を制御して、液体吐出を実行できる。ヘッド制御装置510は、ヘッドモジュール20に関する各種制御を実行できる。
【0040】
制御装置500は、モータ駆動装置511を含む。モータ駆動装置511は、CPU501からの指令に従いドラム駆動モータ15の駆動を制御する。ドラム駆動モータ15は、ドラム10を回転させるためのモータである。
【0041】
制御装置500は、モータ駆動装置512を含む。モータ駆動装置512は、CPU501からの指令に従いトレイ駆動モータ75の駆動を制御する。トレイ駆動モータ75は、トレイの位置を変更するためのモータである。
【0042】
画像形成装置200は、操作パネル516を備えていてもよい。制御装置500には、操作パネル516が電気的に接続されている。操作パネル516は、各種情報を表示する表示部を含む。ユーザ(操作者)は、操作パネル516を用いて入力操作を実行できる。制御装置500は、操作パネル516からユーザの操作入力に基づく情報を入力する。制御装置500は、操作パネル516に各種信号を出力し、操作パネル516に情報を表示できる。ユーザは、操作パネル516に表示された情報を参照しながら、入力操作を実行してもよい。操作パネル516は、操作入力部の一例である。
【0043】
<機能構成>
次に、
図7を参照して、画像形成装置200の機能構成について説明する。
図7は、画像形成装置200の機能ブロック図である。
図7に示すCPU501は、ROM502等の記憶部に記憶されているプログラムを実行することで、
図7に示すシステム制御部121、メモリ制御部122、通信制御部123、印刷制御部124、搬送制御部125、UI制御部126、空き容量検出部131、空き容量判定部132、フラッシング用紙必要数判定部133、フラッシング用紙挿入制御部134、フラッシング制御部135の各機能を実現する。なお、制御装置500と接続された外部機器及びセンサは、これらの各機能の一部を実行してもよい。
【0044】
画像形成装置200は、外部機器から印刷画像を含んだ印刷情報(印刷ジョブ)を受け取ることができる。印刷画像はRIP画像を含む。「RIP」は、Raster Image Processorの略称である。画像形成装置200は、例えば外部機器から印刷ジョブの実行の指示を受け、印刷ジョブの内容に従って印刷を行う。画像形成装置200は、画像形成装置200のメモリに格納されている印刷ジョブの内容に従って印刷することができる。
【0045】
システム制御部121は、画像形成装置200の全体の動作を制御する。メモリ制御部122は、ROM502、RAM503、NVRAM504、及びHDD508等のメモリの動作を制御する。通信制御部123は、制御装置500に接続されている外部機器との通信制御を行う。
【0046】
印刷制御部124は、ヘッドモジュール20によるインクの吐出を制御する。印刷制御部124は、ヘッド制御装置510の動作を制御し、印刷ジョブの開始、一時停止、再開、完了の動作を実行する。印刷制御部124は、UI制御部126に対して操作パネル516への出力処理を要求する。
【0047】
搬送制御部125は、搬送部による記録媒体PPの搬送を制御する。搬送部は、記録媒体PPを搬送するためのドラム10、ドラム駆動モータ15、ローラ、及びローラ駆動モータを含む。搬送制御部125は、選択された搬送先のトレイ271に記録媒体PPを排出するように搬送部の動作を制御する。搬送制御部125は、記録媒体PPの搬送先とは異なるトレイ271に、フラッシング用紙PFを排出するように搬送部の動作を制御する。
【0048】
UI制御部126は、操作パネル516から入力した信号に応じた処理を行う。UI制御部126は、操作パネル516に信号を出力して、操作パネル516に各種情報を表示させるように出力処理を要求する。
【0049】
操作パネル516は、ユーザによる入力結果の処理をUI制御部126に要求する。操作パネル516は、UI制御部126から要求された内容を出力する。
【0050】
空き容量検出部131は、容量センサ88から入力した信号に基づいて、吐出受け30の空き容量を監視する。空き容量検出部131は、吐出受け30の空き容量が所定の判定閾値を超えた場合に、吐出受け30のニアフル状態を検出できる。「ニアフル状態」は、吐出受け30の空き容量がゼロに近い状態であることを示す指標である。吐出受け30の全容量を100%とした場合に、例えば90%の値を超えた場合をニアフル状態としてもよい。
【0051】
空き容量判定部132は、印刷ジョブの途中で、吐出受け30が満杯(フル状態)になるか否かの判定を行う。
【0052】
フラッシング用紙必要数判定部133は、フラッシングモードの実行時に必要となるフラッシング用紙の必要枚数を計算する。フラッシング用紙必要数判定部133は、例えばUI制御部126から要求に応じて、フラッシング用紙の必要枚数を計算する。フラッシング用紙必要数判定部133は、計算結果であるフラッシング用紙の必要枚数をUI制御部126に通知する。
【0053】
フラッシング用紙挿入制御部134は、印刷制御部124からの要求を受けて、印刷ジョブによる印刷が行われる記録媒体PPの途中又は最後にフラッシング用紙PFを挿入する。フラッシング用紙挿入制御部134は、最初の記録媒体PPの前にフラッシング用紙PFを挿入してもよい。
【0054】
フラッシング制御部135は、フラッシング用紙PFにフラッシングを行うように、記録ヘッド23の動作を制御する。搬送制御部125は、印刷された記録媒体PPの搬送先とは異なるトレイ271に、フラッシング後のフラッシング用紙PFを排出するように、搬送部の動作を制御できる。
【0055】
なお、システム制御部121、メモリ制御部122、通信制御部123、印刷制御部124、搬送制御部125、UI制御部126、空き容量検出部131、空き容量判定部132、フラッシング用紙必要数判定部133、フラッシング用紙挿入制御部134、フラッシング制御部135は、記憶部に記憶されているプログラムにより、ソフトウェアで実現できる。これらのシステム制御部121、メモリ制御部122、通信制御部123、印刷制御部124、搬送制御部125、UI制御部126、空き容量検出部131、空き容量判定部132、フラッシング用紙必要数判定部133、フラッシング用紙挿入制御部134、フラッシング制御部135のうち全部又は一部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
【0056】
また、プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録され、このような記録媒体を介して、画像形成装置200に提供され得る。また、プログラムは、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録され、このような記録媒体を介して、画像形成装置200に提供され得る。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールする態様で画像形成装置200に提供されるものでもよい。また、プログラムは、画像形成装置200内のROM等に予め組み込まれていてもよい。
【0057】
また、制御装置500は、制御装置500に接続されたコンピュータが実行する機能を実行してもよい。同様に制御装置500に接続されたコンピュータは、制御装置500が実行する機能を実行してもよい。
【0058】
<記録媒体PPの前端及び後端へのフラッシング>
次に、記録媒体PPの前端の領域F1及び後端の領域F2へのフラッシングを実行するためのハードウェア構成について説明する。
【0059】
制御装置500は、フラッシング制御装置510Bを含む。フラッシング制御装置510Bは、吐出受け30に対するフラッシング動作及び記録媒体PPに対するフラッシング動作の制御を司る。フラッシング制御装置510Bは、各種情報を入力する。フラッシング制御装置510Bは、センサ及び記憶部から各種情報を入力することができる。
【0060】
画像形成装置200は、ホーム位置センサ85、エンコーダ86、媒体検知センサ87、及び容量センサ88を含む。
【0061】
ドラム10には、ドラム10の回転とともに周回移動するホーム位置フィラが取り付けられている。ホーム位置センサ85は、ホーム位置フィラがホーム位置を通過したことを検知する。ホーム位置センサ85は、ホーム位置フィラがホーム位置を通過したときにホーム位置検知信号を出力する。エンコーダ86は、ドラム10とともに回転するエンコーダホイールを読み取り、エンコーダホイールを検出したことを示すパルス信号を出力する。
【0062】
媒体検知センサ87は、
図3に示すように、ドラム10の回転方向においてヘッドモジュール20よりも上流側の位置で記録媒体PPの有無(先端、後端、幅方向両端)を検知する。なお、媒体検知センサ87の設置位置は、
図3に示す位置に限られず、
図1に示す渡し胴234より上流側に位置していてもよい。
【0063】
容量センサ88は、吐出受け30に収容されている液量を検出し、検出した液量に関する信号を制御装置500に出力する。
【0064】
記憶部509には、例えば、印刷条件に応じた記録媒体PPへのフラッシングの可否、記録ヘッド23の吐出を安定させるために必要なフラッシング量(フラッシング量)などの情報が記憶されている。
【0065】
フラッシング制御装置510Bは、モータ駆動装置511を介してドラム駆動モータ15を駆動してドラム10を回転させ、吐出受け30をヘッドモジュール20に対向する位置に移動させる制御をする。
【0066】
フラッシング制御装置510Bは、ヘッド制御装置510を介して各ヘッドモジュール20の記録ヘッド23を駆動制御して画像形成に寄与しないインクを吐出させる。
【0067】
次に、フラッシング制御装置510Bによる吐出受け30及び記録媒体PPに対するフラッシング動作の制御の概要について説明する。
【0068】
フラッシング制御装置510Bは、ホーム位置センサ85がドラム10のホーム位置を検知したときから、エンコーダ86の出力パルスのカウントを開始する。例えば、フラッシング制御装置510Bは、最初の吐出受け30が所定の位置に到達するまでのパルス数をカウントする。例えば、所定の位置は、フラッシングを行う記録ヘッド23に対応する位置である。
【0069】
吐出受け30が所定の位置に到達するカウント値になったとき、フラッシング制御装置510Bは、ヘッド制御装置510を介してヘッドモジュール20の各記録ヘッド23にフラッシング用の駆動情報を与える。記録ヘッド23は、フラッシング用の駆動情報を受けて、吐出受け30に対してフラッシングを行う。なお、フラッシング制御装置510Bは、吐出受け30が所定の位置に到達するカウント値になったとき、さらに別のカウント情報を用いて、吐出受け30の移動方向(ドラム10の回転方向)の位置を特定してもよい。
【0070】
フラッシング制御装置510Bは、媒体検知センサ87による記録媒体PPの先端検知結果に基づいて、ヘッド制御装置510を介してヘッドモジュール20の各記録ヘッド23から記録媒体PPの先端部及び後端部に対してフラッシングを行わせる。
【0071】
記録媒体PPの先端部及び後端部のフラッシング位置の検出(決定)は、媒体検知センサ87による記録媒体PPの先端検知からエンコーダ86のエンコーダ信号をカウントして行うことができる。例えば、フラッシング制御装置510Bは、媒体検知センサ87が検出した記録媒体PPの先端から、記録媒体PPの先端部及び後端部に当たる、所定の長さ分の信号の数をカウントして、フラッシング位置を決定してもよい。所定の長さは、記録媒体PPの搬送方向において、記録媒体PPの先端部に対応する長さ、及び後端部に対応する長さでもよい。
【0072】
フラッシング制御装置510Bは、吐出受け30に対する1ノズル当たりのフラッシング量を記録ヘッド23毎に変化させる制御を実行できる。これにより、記録媒体PPの先端部及び後端部に対するフラッシングができないとき、吐出受け30への吐出量を低減してもよい。
【0073】
例えば、記録媒体PPに対するフラッシングができない場合には、吐出受け30へ吐出する記録ヘッド23及びノズルNを、個々に、もしくは、列や所定の数ごとに変えて、順に吐出させてもよい。あるいは、前回フラッシング時に吐出受け30へ吐出させていない記録ヘッド23やノズルNの吐出を行ってもよい。
【0074】
<フラッシング用紙へのフラッシング>
次に、フラッシング用紙PFへのフラッシング動作について説明する。画像形成装置200は、例えば、記録媒体PPの後端の領域F1及び前端の領域F2に対するフラッシングができない場合に、フラッシング用紙PFに対してフラッシングを実行することができる。
図8は、フラッシング動作を実行する前の準備処理の手順を示すフローチャートである。
【0075】
まず、CPU501の空き容量判定部132は、吐出受け30がニアフル状態か否かを判定する(ステップS11)。空き容量検出部131は、容量センサ88からの信号に基づいて、吐出受け30に空き容量を検出する。空き容量判定部132は、空き容量検出部131により検出された空き容量に基づいて、吐出受け30がニアフル状態であるか否かを判定する。吐出受け30がニアフル状態であると判定した場合(ステップS11;YES)には、制御装置500は、ステップS12に進む。吐出受け30がニアフル状態ではない場合には、吐出受け30がニアフル状態と判定されるのを待って、制御装置500は、ステップS12に進む。
【0076】
ステップS12では、印刷制御部124は、印刷ジョブを一時停止する。次に、UI制御部126は、操作パネル516に選択画面を表示させる(ステップS13)。選択画面は、フラッシング用紙PFへのフラッシングを実行するフラッシングモードへ移行するか否かを選択するための選択画面を含む。なお、フラッシング用紙PFへのフラッシングを、「強制紙面上フラッシング」と記載する場合がある。操作パネル516は、選択画面として、選択肢(YES/NO)を表示する。ユーザは、操作パネル516を操作して、「YES」又は「NO」を選択できる。「強制紙面上フラッシングモード」へ移行するとは、画像形成装置200において、フラッシング用紙PFに対してフラッシングを実行する運転モードへ移行することをいう。
【0077】
強制紙面上フラッシングを実行する場合には、フラッシング用紙PFが必要となる。UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードに移行する場合には、フラッシング用紙PFが必要になることをユーザに報知するための情報を操作パネル516に表示する。
【0078】
次に、UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードに移行するか否かを判定する(ステップS14)。UI制御部126は、操作パネル516を介したユーザによる操作入力に基づいて、強制紙面上フラッシングモードに移行するか否かを判定する。強制紙面上フラッシングモードに移行すると判定した場合(ステップS14;YES)には、制御装置500はステップS19に進む。フラッシングモードに移行しないと判定した場合(ステップS14;NO)には、制御装置500は、ステップS15に進む。
【0079】
ステップS15では、空き容量判定部132は、空き容量検出部131による検出結果に基づいて、吐出受け30がフル状態になるか否かを判定する。空き容量判定部132は、現在の印刷ジョブにおいて残りのフラッシングにより吐出されるインク量を計算する。空き容量判定部132は、残りのフラッシングにより吐出されるインク量と、吐出受け30の残りの空き容量とを比較する。空き容量判定部132は、残りのフラッシングにより吐出されるインク量が、吐出受け30の残りの空き容量以上である場合に、印刷ジョブの途中で吐出受け30がフル状態になると判断する。
【0080】
図10は、フラッシング動作の準備処理で使用されるパラメータの一例を示す表である。
図9に示されるように、印刷ジョブの残りのページ数は、例えば10ページである。吐出受け30の空き容量は、例えば100plである。吐出受け30に対する残りのフラッシング回数は、例えば9回である。全てのページ間でフラッシングによる吐出を行う場合、残りのフラッシング回数は、9回(=10-1)となる。吐出受け30に対するフラッシング1回あたりの吐出量は例えば5plである。
【0081】
この場合、吐出受け30に対する残りのフラッシング量は、45pl(=5pl×9回)である。空き容量判定部132は、残りのフラッシング量が、吐出受け30の残りの空き容量以上である場合には、印刷ジョブの途中で吐出受け30がフル状態になると判定する。
【0082】
なお、空き容量判定部132は、記録媒体PPの後端及び前端の領域F1,F2に対する残りのフラッシング量を考慮して、吐出受け30がフル状態になるか否かを判定してもよい。
【0083】
記録媒体PPの後端及び前端の領域F1,F2に対する残りのフラッシング回数は、例えば20回である。残りの全てのページについて、1ページ当たり2回、フラッシングを行う場合、20回(=10×2)となる。記録媒体PPの領域F1,F2に対するフラッシング1回あたりの吐出量は例えば10plである。
【0084】
この場合、記録媒体PPの後端及び前端の領域F1,F2に対する残りのフラッシング量は、200pl(=10pl×20回)である。吐出受け30に対する残りのフラッシング量と、記録媒体PPの後端及び前端の領域F1,F2に対する残りのフラッシング量との合計のフラッシング量は、245pl(=45+200)である。空き容量判定部132は、残りの合計のフラッシング量が、吐出受け30の残りの空き容量以上である場合には、印刷ジョブの途中で吐出受け30がフル状態になると判定してもよい。
【0085】
印刷ジョブの途中で、吐出受け30がフル状態になると判定した場合(ステップS15;YES)には、制御装置500は、ステップS16に進む。印刷ジョブの途中で吐出受け30がフル状態にならない場合(ステップS15;NO)には、制御装置500は、ステップS18に進む。
【0086】
ステップS16では、UI制御部126は、現在実行中の印刷ジョブの途中で吐出受け30がフル状態になるため、強制紙面上フラッシングモードへ移行することを進める旨の表示を操作パネル516に表示する。ステップS16では、UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードへの移行を選択するための選択画面を、再度、操作パネル516に表示する。操作パネル516は、選択画面として、選択肢(YES/NO)を表示する。ユーザは、操作パネル516を操作して、「YES」又は「NO」を選択できる。
【0087】
次に、UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードに移行するか否かを判定する(ステップS17)。UI制御部126は、操作パネル516を介したユーザによる操作入力に基づいて、強制紙面上フラッシングモードに移行するか否かを判定する。強制紙面上フラッシングモードに移行すると判定した場合(ステップS17;YES)には、制御装置500はステップS19に進む。フラッシングモードに移行しないと判定した場合(ステップS17;NO)には、制御装置500は、ステップS18に進む。
【0088】
ステップS18では、印刷制御部124は、印刷ジョブを再開し、ここでの処理を終了する。
【0089】
ステップS19では、制御装置500は、強制紙面上フラッシング処理を実行する。制御装置500は、強制紙面上フラッシング処理として、
図9に示される処理を実行する。
【0090】
図9は、フラッシング処理の手順を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、
図8中のステップS19のフラッシング処理の手順を示す。
【0091】
図9に示されるように、ステップS21では、フラッシング用紙必要数判定部133は、フラッシング用紙PFが足りるか否かを判定する。フラッシング用紙必要数判定部133は、印刷ジョブにおける残りの記録媒体PPのページ数、印刷ジョブ中に実行される残りのフラッシング回数、及びフラッシング1回あたりの吐出量に基づいて、残りのフラッシングを実行する場合に吐出されるインクの吐出量を算出する。フラッシング用紙必要数判定部133は、残りのフラッシングを実行する場合のインクの吐出量に基づいて、フラッシング用紙の必要枚数を判定する。強制紙面上フラッシングにおいて、インクが吐出されるフラッシング用紙は、印刷ジョブを実行する場合にインクが吐出される記録媒体PPと同じ仕様の媒体でもよい。
【0092】
フラッシング用紙必要数判定部133は、例えば、予め想定されているフラッシング用紙PFの枚数に対して、フラッシング用紙PFの必要枚数が多い場合には、フラッシング用紙が足りないと判定する。フラッシング用紙PFが足りない場合(ステップS21;NO)には、制御装置500は、ステップS22に進み、フラッシング用紙PFが足りる場合(ステップS21;YES)には、制御装置500は、ステップS24に進む。
【0093】
ステップS22では、UI制御部126は、フラッシング用紙PFの追加要求を操作パネル516に表示させる。ユーザは、操作パネル516に表示されたフラッシング用紙PFの追加要求を確認後、給紙トレイにフラッシング用紙PFを追加することができる。UI制御部126は、フラッシング用紙PFの必要枚数を表示させることができる。
【0094】
制御装置500は、フラッシング用紙PFが追加された否かを判定する(ステップS23)。制御装置500は、フラッシング用紙PFが追加された場合(ステップS23;YES)には、ステップS24に進む。制御装置500は、フラッシング用紙PFが追加されていない場合には、フラッシング用紙PFの追加を待って、ステップS24に進む。
【0095】
ステップS24では、UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードに移行したことを報知する情報を操作パネル516に表示させる。ユーザは、操作パネル516に表示された情報を視認して、画像形成装置200の動作が強制紙面上フラッシングモードに移行したことを確認できる。
【0096】
次に、ステップS25では、空き容量判定部132は、空き容量検出部131による検出結果に基づいて、吐出受け30がフル状態になるか否かを判定する。ここでの処理は、ステップS15と同じである。吐出受け30がフル状態になる場合(ステップS25;YES)には、制御装置500は、ステップS26に進み、吐出受け30がフル状態にならない場合(ステップS25;NO)には、ステップS29に進む。
【0097】
ステップS26では、印刷制御部124は印刷ジョブを再開する。次に、ステップS27では、フラッシング用紙挿入制御部134は、吐出受け30がフル状態となったタイミングで、印刷ジョブによる記録媒体PPの途中に、フラッシング用紙PFを挿入する。
【0098】
次に、ステップS28では、フラッシング制御部135は、フラッシング用紙PFに対して、フラッシングを行うように、ヘッドモジュール20の動作を制御する。
【0099】
ステップS29では、印刷制御部124は印刷ジョブを再開する。次に、ステップS30では、フラッシング用紙挿入制御部134は、印刷ジョブによる最後の記録媒体PPの後に、フラッシング用紙PFを挿入する。
【0100】
次に、ステップS31では、フラッシング制御部135は、フラッシング用紙PFに対して、フラッシングを行うように、ヘッドモジュール20の動作を制御する。
【0101】
制御装置500は、ステップS28,S31の実行後、ステップS32に進む。ステップS32は、印刷制御部124は、印刷ジョブを完了する。
【0102】
次に、UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードが終了したことを報知する情報を操作パネル516に表示させる。ユーザは、操作パネル516に表示された情報を視認して、画像形成装置200における強制紙面上フラッシングモードが終了したことを確認できる。制御装置500は、ステップS33の処理の終了後、ここでの処理を終了する。
【0103】
図11は、強制紙面上フラッシングモード実行中であることを表示する画像を示す図である。UI制御部126は、強制紙面上フラッシングモードに移行した後に、
図10に示される画像D1を、操作パネル516に表示させる。UI制御部126は、印刷ジョブの再開後、印刷ジョブが完了するまで、画像D1を表示させることができる。
【0104】
画像D1は、「強制紙面上フラッシングモード実施中」との文字情報を含む。画像D1は、印刷物である記録媒体PPの排出先トレイに関する情報を含む。画像D1は、フラッシング用紙PFの排出先トレイに関する情報を含む。
【0105】
ユーザは、操作パネル516に表示された画像D1を視認して、強制紙面上フラッシングモードの実行中であることを確認できる。ユーザは、画像D1を視認して、印刷後の記録媒体PPが排出される排出先のトレイを確認できる。ユーザは、画像D1を視認して、フラッシング後のフラッシング用紙PFが排出される排出先のトレイを確認できる。
【0106】
搬送制御部125は、印刷後の記録媒体PPの排出先と、フラッシング後のフラッシング用紙PFの排出先とが異なるように、搬出部270の動作を制御できる。これにより、フラッシング後のフラッシング用紙PFが、印刷後の記録媒体PPと混ざることが防止される。
【0107】
図12は、フラッシング領域を設定するための設定画像を示す図である。UI制御部126は、強制紙面上フラッシング領域の設定時に、
図12に示される設定画像D2を操作パネル516に表示させることができる。「強制紙面上フラッシング領域」とは、強制紙面上フラッシングによりインクが吐出される領域である。フラッシング制御部135は、設定された強制紙面上フラッシング領域内にインクを吐出するように、ヘッドモジュール20の動作を制御できる。
【0108】
設定画像D2は、「強制紙面上フラッシング領域の設定」との文字情報を含む。設定画像D2は、設定対象となるフラッシング用紙PFのサイズに関する情報を含む。設定画像D2は、「設定対象の用紙サイズ」との文字情報を含む。UI制御部126は、プルダウンにより用紙サイズを表示させるように、操作パネル516を制御できる。ユーザは、プルダウンにより表示された用紙サイズの中から希望する用紙サイズを選択することができる。
【0109】
設定画像D2は、フラッシング用紙PFを示す画像D3、及びフラッシング領域を示す画像D4を含む。フラッシング領域の大きさは、フラッシング用紙PFの大きさを超えない。フラッシング領域を示す画像D4は、フラッシング用紙PFを示す画像D3内に表示される。フラッシング領域を示す画像情報の色は、用紙全体を示す画像情報の色と異なる。
【0110】
ユーザは、例えばマウスを操作して、操作パネル516に対して入力操作を行うことができる。ユーザは、マウスを操作して、フラッシング領域を示す画像D4の大きさを変更できる。
【0111】
設定画像D2は、フラッシング領域のサイズに関する文字情報を含む。ユーザがフラッシング領域を示す画像D4の大きさを変更した場合には、UI制御部126は、フラッシング領域のサイズに関する文字情報を変更できる。また、ユーザが、フラッシング領域のサイズに関する文字情報を変更した場合には、UI制御部126は、フラッシング領域を示す画像D4の大きさを変更できる。
【0112】
設定画像D2は、フラッシングによるインク消費量に関する文字情報を含む。UI制御部126は、フラッシング領域のサイズに基づいて、フラッシングによるインク消費量に関する文字情報を変更できる。ユーザは、表示されたインク消費量に関する文字情報を視認して、強制紙面上フラッシングによるインク消費量を確認できる。
【0113】
設定画像D2は、設定を反映する際に操作される画像D5、及び設定を破棄する際に操作される画像D6を含む。画像D5は、例えば「設定を反映する」との文字情報を含む。画像D6は、例えば「キャンセル」との文字情報を含む。画像D5,D6は、例えば矩形の枠体を有する。画像D5,D6は、ユーザによって操作されるボタンを模した画像である。
【0114】
ユーザは、画像D5によるボタンを押すことにより、操作パネル516に表示されているフラッシング領域に関する設定を反映させることができる。ユーザは、画像D6によるボタンを押すことにより、操作パネル516に表示されているフラッシング領域に関する設定を破棄することができる。
【0115】
UI制御部126は、ユーザにより画像D5によるボタンが押された場合には、操作パネル516に表示されているフラッシング領域に関する設定を反映するように、ヘッドモジュール20の動作を制御する。
【0116】
UI制御部126は、ユーザにより画像D6によるボタンが押された場合には、操作パネル516に表示されているフラッシング領域に関する設定を破棄する。
【0117】
なお、「設定対象の用紙サイズ」を選択した際に最初に操作パネル516に表示されている「設定対象領域」、「フラッシング領域のサイズ」、「フラッシングによるインク消費量」は現在反映中の設定である。
【0118】
<従来技術の課題>
従来技術に係る画像形成装置は、画像形成される記録媒体PPの前端及び後端の領域に対して、インクを吐出することにより、フラッシングを行う。しかしながら、従来技術では、画像が大きい場合や印刷の設定により余白が狭くなる場合に、記録媒体の前端及び後端に対して、インクを吐出するための領域を確保することができない場合がある。
【0119】
また、従来技術では、画像形成される記録媒体の前端及び後端の領域に対して、インクを吐出して、フラッシングを行うので、印刷後において、記録媒体PPから前端及び後端の領域を切断して、切り離す作業が必要となる。
【0120】
また、従来技術では、吐出受けの交換寿命が近くなってから、吐出受けの交換が必要となるまで、どの程度印刷を実行できるかわからず、印刷ジョブの実行中に、吐出受けの交換寿命に達した場合には、吐出受けを交換するまでの間ダウンタイムが発生することになる。
【0121】
<画像形成装置の作用効果>
このような画像形成装置200によれば、制御装置500は、画像形成される記録媒体PPとは別のフラッシング用紙PFに対して、ヘッドモジュール20からインクを吐出するように、ヘッドモジュール20の動作を制御することができる。画像形成装置200では、フラッシング用紙PFに対してインクを吐出してフラッシングを行うことにより、吐出受け30に吐出されるインク量を減らすことができる。そのため、画像形成装置200では、吐出受け30の交換頻度の低下を図り、ダウンタイムの発生を抑制することができる。また、画像形成装置200では、フラッシング用紙PFに対して、インクを吐出してフラッシングを行うことができるので、吐出受け30が満杯になり、交換が必要となった場合であっても、フラッシング用紙PFに対してフラッシングを行うことにより、印刷ジョブを停止することなく記録媒体PPに対する印刷を継続できる。そのため、画像形成装置200では、ダウンタイムの発生を抑制できる。
【0122】
また、画像形成装置200では、画像形成される記録媒体PPの前端及び後端の領域に対してフラッシングを行うことができない場合であっても、印刷ジョブによる画像が形成されないフラッシング用紙PFにインクを吐出してフラッシングを行うことができる。これにより、吐出受け30の交換頻度の低下を図り、ダウンタイムの発生を抑制することができる。また、画像形成装置200では、画像形成しないフラッシング用紙PFにフラッシングを行うので、フラッシングが行われた領域を画像形成された領域から切り離さなくてもよい。
【0123】
画像形成装置200では、印刷ジョブの実行中に吐出受け30の空き容量がニアフル状態となると判定した場合に、制御装置500は、印刷ジョブの実行中又は実行後に、フラッシング用紙PFに対してインクを吐出するようにヘッドモジュール20の動作を制御することができる。画像形成装置200では、吐出受け30が満杯となる前のニアフル状態となった場合に、印刷ジョブを中断して、又は印刷ジョブの実行後に、フラッシング用紙PFにインクを吐出してフラッシングを行うことができる。そのため、吐出受け30が満杯となる前に、フラッシング用紙PFにインクを吐出してフラッシングを行うことができる。その結果、画像形成装置200では、印刷ジョブの実行中に、吐出受け30が満杯になることが防止されることにより、ダウンタイムの発生を抑制することができる。画像形成装置200では、吐出受け30の空き容量がゼロではない場合には、印刷ジョブを優先して実行することができ、吐出受け30の空き容量がゼロとなった場合であっても、印刷ジョブを継続できる。画像形成装置200では、吐出受け30を交換するまでの寿命を把握して、フラッシング用紙PFにフラッシングを行うことにより、ダウンタイムの発生を抑制することができる。
【0124】
画像形成装置200では、印刷ジョブの実行中に吐出受け30の空き容量がニアフル状態となり、且つ、印刷ジョブの実行中に吐出受け30の空き容量がゼロにならないと判定した場合に、制御装置500は、印刷ジョブが実行される最後の記録媒体PPの後に、フラッシング用紙PFを挿入することができる。画像形成装置200では、印刷ジョブが実行される最後の記録媒体PPの後に挿入されたフラッシング用紙PFに対して、フラッシングを行うことができる。これにより、印刷ジョブの実行後、次の印刷ジョブが実行される前に、吐出受け30を交換することができるので、次の印刷ジョブの途中で、吐出受け30が満杯になることが防止される。その結果、画像形成装置200では、次の印刷ジョブの実行中に、吐出受け30を交換するためのダウンタイムの発生が抑制される。画像形成装置200では、吐出受け30を交換するまでの寿命を把握して、フラッシング用紙PFにフラッシングを行うことにより、ダウンタイムの発生を抑制することができる。
【0125】
画像形成装置200では、印刷ジョブの実行中に吐出受けの空き容量がゼロになると判定した場合に、制御装置500は、印刷ジョブの実行中であり、空き容量がゼロになる前に、フラッシング用紙PFに対して、インクを吐出するようにヘッドモジュール20の動作を制御することができる。画像形成装置200では、印刷ジョブの実行中において、吐出受け30の空き容量がゼロになる前に、フラッシング用紙PFに対してフラッシングを行うことができる。そのため、印刷ジョブの実行中に、吐出受け30が満杯となることを防止することにより、吐出受け30を交換するためのダウンタイムの発生が抑制される。画像形成装置200では、吐出受け30を交換するまでの寿命を把握して、フラッシング用紙PFにフラッシングを行うことにより、ダウンタイムの発生を抑制することができる。
【0126】
画像形成装置200では、操作パネル516における操作入力に基づいて、印刷ジョブの実行中にフラッシング用紙PFにインクを吐出して、フラッシングを行うか否かを決定することができる。これにより、ユーザは、操作パネル516を介して、フラッシング用紙PFに対するフラッシングを実行するか否かを選択することができる。画像形成装置200は、ユーザによる操作に基づいて、フラッシング用紙PFに対するフラッシングを実行するか否かを決定することができる。
【0127】
画像形成装置200では、強制紙面上フラッシングモードが実行中であることを、操作パネル516に表示することができる。これにより、ユーザは、強制紙面上フラッシングが実行中であることを確認することができる。
【0128】
画像形成装置200では、操作パネル516における操作入力に基づいて、フラッシング用紙PFに対してインクが吐出されるフラッシング領域F4を変更することができる。ユーザは、操作パネル516を介して操作入力を行い、フラッシング領域F4の大きさを変更することができる。画像形成装置200は、ユーザによる操作に基づいて、フラッシング領域F4の大きさを変更することができる。これにより、ユーザは、フラッシング領域F4の大きさを変更するように、操作入力を行い、フラッシング用紙PFに吐出されるインク量を変更できる。その結果、画像形成装置200では、ユーザによる選択を反映させるように、フラッシング用紙PFに対するフラッシングによるインク量を変更することができる。
【0129】
画像形成装置200は、記録媒体PPの後端の領域F1、及び前端の領域F2に対してインクを吐出するように、フラッシングを行うことができる。これにより、吐出受け30に吐出されるインクの量を減らすことができるので、吐出受け30の交換頻度の減らし、ダウンタイムの発生を抑制できる。
【0130】
画像形成装置200は、記録媒体PPの後端の領域F1、及び前端の領域F2に対して、インクを吐出するフラッシングを実行できない場合に、フラッシング用紙PFに対してインクを吐出するフラッシングを実行することができる。例えば、記録媒体PPに対して画像が形成された領域F3が大きい場合や、印刷の設定によって画像が形成される領域F3が大きく、余白代が少ない場合には、記録媒体PPの後端の領域F1、及び前端の領域F2にインクを吐出してフラッシングを実行することができにない場合がある。画像形成装置200では、記録媒体PPの後端の領域F1、及び前端の領域F2に対してインクを吐出することができない場合であっても、フラッシング用紙PFに対してフラッシングを行うことにより、吐出受け30に吐出されるインクの量を減らすことができる。その結果、画像形成装置200では、吐出受け30の交換頻度の減らし、ダウンタイムの発生を抑制できる。
【0131】
画像形成装置200では、制御装置500は、記録媒体PPの排出先と、フラッシング用紙PFの排出先とが異なるように、トレイ駆動モータ75の動作を制御することができる。画像形成装置200では、フラッシングが実行されたフラッシング用紙PFの排出先となるトレイと、印刷ジョブにより画像形成された記録媒体PPの排出先とトレイとが異なるので、ユーザは、フラッシング用紙PFと記録媒体PPとを容易に区別することができる。例えば、ユーザがフラッシング用紙PFを廃棄する際に、誤って記録媒体PPを廃棄するおそれを減らすことができる。また、記録媒体PPにフラッシング用紙PFが混入することが防止される。
【0132】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0133】
上記の実施形態に係る画像形成装置200では、画像が形成される記録媒体PPの前端及び後端の領域に、フラッシングを行う場合について説明しているが、記録媒体PPの前端及び後端の領域に、フラッシングを行わなくてもよい。
【0134】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
<1>
複数の媒体に液体を吐出するノズル部と、
前記ノズル部から吐出された前記液体を受ける吐出受けと、
印刷ジョブによる画像形成に寄与しない前記液体を前記ノズル部から吐出するように前記ノズル部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記複数の媒体は、
前記印刷ジョブによる画像が形成される第1媒体と、
前記印刷ジョブによる画像が形成されない第2媒体と、を含み、
前記制御部は、前記第2媒体に対して、前記ノズル部から前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
<2>
前記吐出受けにおける空き容量を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量が判定閾値以下となる場合に、前記印刷ジョブの実行中又は実行後に、前記第2媒体に対して前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする上記<1>に記載の画像形成装置。
<3>
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量が前記判定閾値以下であり、且つ、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量がゼロにならない場合に、前記印刷ジョブが実行される最後の前記第1媒体の後に、前記第2媒体に対して、前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする上記<2>に記載の画像形成装置。
<4>
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行中に前記吐出受けの空き容量がゼロになる場合に、前記印刷ジョブの実行中であり、前記空き容量がゼロになる前に、前記第2媒体に対して、前記液体を吐出するように前記ノズル部の動作を制御することを特徴とする上記<2>又は<3>に記載の画像形成装置。
<5>
操作入力部を更に備え、
前記制御部は、操作者による前記操作入力部への操作に基づいて、前記印刷ジョブの実行中に前記第2媒体に前記液体を吐出するか否かを決定し、前記第2媒体に前記液体を吐出することを特徴とする上記<1>~<4>の何れか一項に記載の画像形成装置。
<6>
操作入力部を更に備え、
前記制御部は、操作者による前記操作入力部への操作に基づいて、前記第2媒体に対して前記液体が吐出される領域を変更することを特徴とする上記<1>~<5>の何れか一つに記載の画像形成装置。
<7>
前記液体が吐出された後の前記複数の媒体を受ける複数の排出トレイと、
排出先となる前記排出トレイを変更するトレイ変更機構と、を有し、
前記制御部は、前記第1媒体の排出先と、前記第2媒体の排出先とが異なるように、前記トレイ変更機構の動作を制御することを特徴とする上記<1>~<6>の何れか一つに記載の画像形成装置。
<8>
印刷ジョブによりノズル部から液体を吐出して第1媒体に画像を形成することと、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から吐出受けに吐出することと、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から、第2媒体に吐出することと、を含むことを特徴する画像形成方法。
<9>
印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体をノズル部から吐出するように前記ノズル部の動作を制御する制御装置であって、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から吐出受けに吐出するように前記ノズル部の動作を制御することと、
前記印刷ジョブにより前記ノズル部から液体を吐出して第1媒体に画像を形成するように前記ノズル部の動作を制御することと、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から、第2媒体に吐出するように前記ノズル部の動作を制御することと、を実行する制御装置。
<10>
印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体をノズル部から吐出するように前記ノズル部の動作を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記プログラムは、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から吐出受けに吐出するように前記ノズル部の動作を制御する処理と、
前記印刷ジョブにより前記ノズル部から液体を吐出して第1媒体に画像を形成するように前記ノズル部の動作を制御する処理と、
前記印刷ジョブによる画像形成に寄与しない液体を前記ノズル部から、第2媒体に吐出するように前記ノズル部の動作を制御する処理と、を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0135】
200 画像形成装置
20 ヘッドモジュール(ノズル部)
23 記録ヘッド
30 吐出受け
75 トレイ駆動モータ
88 容量センサ
271 トレイ(排出トレイ)
500 制御装置(制御部)
516 操作パネル(操作入力部)
F1 後端の領域(第2領域)
F2 前端の領域(第2領域)
F3 画像が形成される領域(第1領域)
F4 フラッシング領域(第3領域)
PF フラッシング用紙(第2媒体、フラッシング用の媒体)
PP 記録媒体(第1媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0136】