(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173377
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】円筒研削機
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20231130BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20231130BHJP
B24B 5/04 20060101ALI20231130BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20231130BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B24B41/06 J
B24B49/12
B24B41/06 A
B24B5/04
B23Q17/00 B
H01L21/304 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085586
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】中川 和也
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C043
5F057
【Fターム(参考)】
3C029EE04
3C029EE20
3C034AA01
3C034BB74
3C034BB81
3C034BB93
3C034CA13
3C034CA22
3C034CB02
3C034CB14
3C034DD10
3C034DD13
3C043AA03
3C043CC02
3C043DD02
3C043DD05
3C043DD06
3C043DD11
3C043EE04
5F057AA14
5F057BA01
5F057CA04
5F057FA12
(57)【要約】
【課題】ローディング工程において、結晶棒の端部の破損や支持ユニットの機械的位置ずれの発生を抑制でき、工程所要時間を短縮でき、結晶棒と主軸等との位置関係を検知する部位についてメンテナンスの必要性を軽減可能な円筒研削機を提供する。
【解決手段】円筒研削機であって、結晶棒の一端や他端と主軸や副軸との近接を非接触で検知する第1、第2の検知手段と、副軸側の第2支持ユニットの移動速度を変更調整可能な駆動機構とを有し、結晶棒の一端と副軸との接触支持において、第2検知手段による一端と副軸との近接の検知から接触支持までの間の第2支持ユニットの移動速度Bが、近接の検知までの移動速度Aよりも低速に調整され、かつ、結晶棒の他端と主軸との接触支持において、第1検知手段による他端と主軸との近接の検知から接触支持までの間の移動速度Dが、近接の検知までの移動速度Cよりも低速に調整される円筒研削機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶棒を保持して搬送する搬送ユニットと、該搬送ユニットに保持された結晶棒を軸方向に挟んで軸周りに回転可能にする一対の支持ユニットと、該一対の支持ユニットに支持された結晶棒の軸方向に沿って移動しつつ該結晶棒の外周をトラバース研削する研削ユニットとを有しており、
前記一対の支持ユニットは、主軸を有する第1支持ユニットと、副軸を有する第2支持ユニットとを有しているとともに、前記第2支持ユニットを前記第1支持ユニットに向かって移動可能な駆動機構とを有しており、
該駆動機構により前記第1支持ユニットに向かって前記第2支持ユニットが移動することで、前記搬送ユニットで保持された結晶棒の一端が前記第2支持ユニットの前記副軸に近づいて接触して支持され、続いて、前記結晶棒の他端が前記第1支持ユニットの前記主軸に近づいて接触して支持されて、前記結晶棒が前記主軸と前記副軸との間に挟まれて支持される円筒研削機であって、
前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を非接触で検知する第1検知手段と、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を非接触で検知する第2検知手段とをさらに有しており、
前記駆動機構は、
前記第2支持ユニットの移動速度を変更調整可能なものであり、
前記結晶棒の一端と前記副軸との接触支持において、前記第2検知手段による前記結晶棒の一端と前記副軸との近接の検知から前記接触支持までの間の前記第2支持ユニットの移動速度Bが、前記近接の検知までの前記第2支持ユニットの移動速度Aよりも低速に調整されるものであり、かつ、
前記結晶棒の他端と前記主軸との接触支持において、前記第1検知手段による前記結晶棒の他端と前記主軸との近接の検知から前記接触支持までの間の前記第2支持ユニットの移動速度Dが、前記近接の検知までの前記第2支持ユニットの移動速度Cよりも低速に調整されるものであることを特徴とする円筒研削機。
【請求項2】
前記主軸と前記副軸は、各々、前記結晶棒が接触して支持される保持部を有しており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、各々、センサーであり、
前記主軸と前記副軸の各保持部の内部において、前記センサーは前記主軸と前記副軸に垂直な方向に配置されていて前記センサーによる検出ラインが設けられており、
前記第1検知手段は、前記結晶棒の他端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を検知するものであり、
前記第2検知手段は、前記結晶棒の一端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を検知するものであることを特徴とする請求項1に記載の円筒研削機。
【請求項3】
前記主軸と前記副軸は、各々、前記結晶棒が接触して支持される保持部を有しており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、各々、センサーであり、
前記センサーは、各々、ブラケットを介して前記第1支持ユニットと前記第2支持ユニットと連結しており、かつ、前記主軸と前記副軸の各保持部の外部に配置されていて、該外部で前記センサーによる検出ラインが設けられており、
前記第1検知手段は、前記結晶棒の他端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を検知するものであり、
前記第2検知手段は、前記結晶棒の一端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を検知するものであることを特徴とする請求項1に記載の円筒研削機。
【請求項4】
前記センサーは、投光器と受光器とを有する光電式センサー、または、画像センサーであることを特徴とする請求項2に記載の円筒研削機。
【請求項5】
前記センサーは、投光器と受光器とを有する光電式センサー、または、画像センサーであることを特徴とする請求項3に記載の円筒研削機。
【請求項6】
前記第2支持ユニットの移動速度Aおよび移動速度Cは3,000~4,000mm/minであり、
前記第2支持ユニットの移動速度Bおよび移動速度Dは50~200mm/minであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の円筒研削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶棒(シリコン単結晶インゴットなど)をトラバース研削するための準備工程(ローディング工程)に於いて、結晶棒の両端(円錐状のコーン部、及びテール部)を検出することで、主軸と副軸により該結晶棒を軸方向に挟んで支持する動作を安全に且つ短時間で行える円筒研削機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体デバイスはその性能向上と製造コストの低減のため、半導体デバイス製造に使用されるウェーハの大直径化が進んでいる。この半導体デバイス製造に使用されているウェーハは、チョクラルスキー法等により円筒状の直胴部の前後に円錐状のコーン部とテール部を有する結晶棒を作製し、円筒研削機にて結晶棒の外周を円筒研削後、軸方向に対して垂直にスライスして板状に切り出し、研磨工程を経て製造されている。そのため、1本の結晶棒から得るウェーハの枚数の増加やウェーハの大直径化に伴い、作製される結晶棒も大直径化し、高重量化している。
【0003】
このような結晶棒を円筒研削する際、一般的な円筒研削機は、結晶棒を機内外に搬送するための搬送ユニット、結晶棒を機内で支持するための支持ユニット、結晶棒の外周をトラバース研削するための研削ユニットから構成されている。
図8に結晶棒を搬送ユニット38、及び支持ユニット34a、34bにより結晶軸方向に挟む準備工程(ローディング工程)を示す。
(結晶棒の搬入)
結晶棒7を直径方向に挟んだ搬送ユニット38は、主軸33aと副軸33bの回転中心9に結晶軸中心10を合わせるために移動する(
図8の工程1)。
【0004】
(結晶棒の支持)
次いで結晶棒7を支持ユニット34a、34bで挟む。円筒研削機は一般的に主軸側の支持ユニット34aが固定されており、副軸側の支持ユニット34bがサーボモーターなどの駆動機構により移動する(
図8の工程2)。
前記サーボモーターなどの駆動機構により主軸側に向かって連続移動する副軸側の支持ユニット34bの保持部(支持装置)32bは結晶棒7の円錐状のテール部12に接触し、結晶棒7を直径方向に挟んだ搬送ユニット38ごと主軸側に移動を続ける(
図8の工程3)。
そして、上記の連続した移動により、主軸側の支持ユニット34aの保持部32aと結晶棒7の円錐状のコーン部11にも接触する。結晶棒7は主軸側の保持部32aと副軸側の保持部32bに挟まれ支持されるが、後工程の円筒研削工程に於いて結晶棒7の円筒面を研削ユニットの砥石により削られる際に、研削抵抗により保持部32a、32bとコーン部11、テール部12が滑らないようする必要がある。そのため、結晶棒7が保持部32a、32bに挟まれ支持された後、さらに副軸側の支持ユニット34bが主軸側に移動し続けて、結晶棒7のコーン部11と保持部32aの間の摩擦力、テール部12と保持部32bの間の摩擦力を高める(
図8の工程4)。
【0005】
(搬送ユニットの退避)
前記工程にて結晶棒7が支持ユニット34a、34bにより結晶軸方向に挟み込まれた後、搬送ユニット38は結晶棒7を離して退避する(
図8の工程5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のようなローディング工程において、副軸側の支持ユニット34bの動作により、結晶棒7の円錐状のコーン部11、及びテール部12が保持部32a、32bに接触するため、接触による衝撃などにより結晶棒7の円錐状のコーン部11、及びテール部12が破損することがある。この場合は円筒研削工程に於いて、結晶棒7の円筒面を研削ユニットの砥石により削る際に研削抵抗により結晶棒が滑ったり、位置ずれを発生させ、研削された円筒面の状態不良や直径精度不良など品質に悪影響を及ぼすため、副軸側の支持ユニット34bを低速度で動作させなければならない。
一方で、上記の衝撃などによる破損を抑制するため、副軸側の支持ユニット34bを低速度で動作するとローディング工程に多くの時間を費やすことになる。
【0008】
また特許文献1では、ホルダー(支持装置)の係合孔を通してインゴット(結晶棒)の端部(コーン部、及びテール部)に当接可能なインゴット検知棒を備えた技術が開示されている。
図9に従来における結晶棒7とホルダー45との接触直前の位置を検知する接触式検知技術を示す。
結晶棒7を搬送ユニットにより直径方向に挟み、主軸と副軸の回転中心に結晶軸中心を合わせるために移動した後(
図9の上図:ここでは副軸側を示す)、サーボモーターなどの駆動機構により主軸側に連続移動する副軸側のホルダー45の係合孔を通して摺動部47に保持されたインゴット検知棒46(インゴット検知棒可動装置50で可動)と結晶棒7の端部(テール部12)が接触し、端部検出ドグ49がセンサー48aの位置から移動することでセンサー48bが検出状態となれば、端部がホルダー45に接触する直前位置が把握できる事が容易に想定できる(
図9の下図)。
【0009】
特許文献1のようなインゴット検知棒46を含む接触式検知技術は、結晶棒の端部(円錐状のコーン部、及びテール部)の位置を検出するのに有効な手段であると言えるが、構成部品の故障や老朽化などが懸念される。具体的には、インゴット検知棒46が摺動部47で保持されており、円筒研削工程にて円筒外周面を研削されたミスト状の研削粉などの進入により、摺動部47などが摩耗して摺動不良(動作不良)が発生することも考えられ、定期的なメンテナンスが必要となる。
【0010】
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、ローディング工程において、主軸や副軸との接触による衝撃などにより、結晶棒の端部の破損や支持ユニットの機械的位置ずれが発生するのを抑制でき、また、ローディング工程に費やす時間を短縮でき、さらには、結晶棒と主軸や副軸との位置関係を検知する構成部品についてメンテナンスの必要性を軽減可能な円筒研削機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、結晶棒を保持して搬送する搬送ユニットと、該搬送ユニットに保持された結晶棒を軸方向に挟んで軸周りに回転可能にする一対の支持ユニットと、該一対の支持ユニットに支持された結晶棒の軸方向に沿って移動しつつ該結晶棒の外周をトラバース研削する研削ユニットとを有しており、
前記一対の支持ユニットは、主軸を有する第1支持ユニットと、副軸を有する第2支持ユニットとを有しているとともに、前記第2支持ユニットを前記第1支持ユニットに向かって移動可能な駆動機構とを有しており、
該駆動機構により前記第1支持ユニットに向かって前記第2支持ユニットが移動することで、前記搬送ユニットで保持された結晶棒の一端が前記第2支持ユニットの前記副軸に近づいて接触して支持され、続いて、前記結晶棒の他端が前記第1支持ユニットの前記主軸に近づいて接触して支持されて、前記結晶棒が前記主軸と前記副軸との間に挟まれて支持される円筒研削機であって、
前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を非接触で検知する第1検知手段と、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を非接触で検知する第2検知手段とをさらに有しており、
前記駆動機構は、
前記第2支持ユニットの移動速度を変更調整可能なものであり、
前記結晶棒の一端と前記副軸との接触支持において、前記第2検知手段による前記結晶棒の一端と前記副軸との近接の検知から前記接触支持までの間の前記第2支持ユニットの移動速度Bが、前記近接の検知までの前記第2支持ユニットの移動速度Aよりも低速に調整されるものであり、かつ、
前記結晶棒の他端と前記主軸との接触支持において、前記第1検知手段による前記結晶棒の他端と前記主軸との近接の検知から前記接触支持までの間の前記第2支持ユニットの移動速度Dが、前記近接の検知までの前記第2支持ユニットの移動速度Cよりも低速に調整されるものであることを特徴とする円筒研削機を提供する。
【0012】
このような本発明の円筒研削機であれば、ローディング工程において、上記駆動機構により、結晶棒の端部であるテール部(一端)やコーン部(他端)と主軸や副軸との近接の検知を境にして第2支持ユニットの移動速度が低速化されるので、結晶棒の端部と主軸や副軸との接触時の衝撃を緩和して安全に接触させることができる。このため、結晶棒の端部の破損を軽減できるし、各支持ユニットの機械的位置ずれの発生を抑制可能である。したがって、後の円筒研削工程において研削抵抗により結晶棒が滑ったり、位置ずれが生じたりすることもなく、研削された円筒面の状態不良や直径精度不良などの品質面への悪影響を防ぐことができる。
また上記の近接の検知まではより高速で第2支持ユニットが移動するので、ローディング工程の最初から最後まで低速で移動させる従来の円筒研削機よりも、工程時間を大幅に短縮可能なものとなる。したがって、処理能力が向上された円筒研削機であり、生産性を改善することができる。
さらには上記の近接の検知の手段が従来のような接触式ではなく非接触式であるため、検知のための構成部品同士の摩耗による不良等も発生せず、メンテナンスの頻度を低減化することができる。
【0013】
この場合、前記主軸と前記副軸は、各々、前記結晶棒が接触して支持される保持部を有しており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、各々、センサーであり、
前記主軸と前記副軸の各保持部の内部において、前記センサーは前記主軸と前記副軸に垂直な方向に配置されていて前記センサーによる検出ラインが設けられており、
前記第1検知手段は、前記結晶棒の他端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を検知するものであり、
前記第2検知手段は、前記結晶棒の一端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を検知するものとすることができる。
【0014】
または、前記主軸と前記副軸は、各々、前記結晶棒が接触して支持される保持部を有しており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、各々、センサーであり、
前記センサーは、各々、ブラケットを介して前記第1支持ユニットと前記第2支持ユニットと連結しており、かつ、前記主軸と前記副軸の各保持部の外部に配置されていて、該外部で前記センサーによる検出ラインが設けられており、
前記第1検知手段は、前記結晶棒の他端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を検知するものであり、
前記第2検知手段は、前記結晶棒の一端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を検知するものとすることができる。
【0015】
このように保持部の内部または外部に配置されたセンサーにより、結晶棒の端部と主軸や副軸との近接の検知をより簡便に行うことが可能である。
【0016】
また、前記センサーは、投光器と受光器とを有する光電式センサー、または、画像センサーとすることができる。
【0017】
このようなセンサーにより、結晶棒の端部と主軸や副軸との近接の検知をより確実に行うことが可能である。
【0018】
また、前記第2支持ユニットの移動速度Aおよび移動速度Cは3,000~4,000mm/minであり、
前記第2支持ユニットの移動速度Bおよび移動速度Dは50~200mm/minであるものとすることができる。
【0019】
このようなものであれば、ローディング工程に要する時間をより確実に短縮化することができるし、結晶棒の端部の破損等をより確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の円筒研削機であれば、ローディング工程における結晶棒の端部の破損や位置ずれを防ぐことができる。また、ローディング工程に要する時間を極めて短縮化することができる。さらにメンテナンスの必要性を低減することができる。ひいては、円筒研削後の結晶棒の品質やその生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の円筒研削機の一例を示す説明図である。
【
図2】ローディング工程(前半)における検知手段と駆動手段の機能と連携を示すフロー図である。
【
図3】ローディング工程(後半)における検知手段と駆動手段の機能と連携を示すフロー図である。
【
図4】検知手段の実施態様1での一例(内部配置)を示す説明図である。
【
図5】実施態様1での結晶棒の端部と副軸(保持部)との近接の検知前後の一例を示す説明図である。
【
図6】検知手段の実施態様2での一例(外部配置)を示す説明図である。
【
図7】実施態様2での結晶棒の端部と副軸(保持部)との近接の検知前後の一例を示す説明図である。
【
図8】従来のローディング工程の一例を示すフロー図である。
【
図9】従来の結晶棒とホルダーとの接触直前の位置を検知する接触式検知技術を示すフロー図である。
【
図10】従来機におけるインゴット検知棒と結晶棒の端部の形状との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に本発明の円筒研削機1の全体図を示す。
図1に示すように円筒研削機1は、まず、搬送ユニット8と、一対の支持ユニット4と、研削ユニット5を有している。さらには非接触式の検知手段14を有している。
まず搬送ユニット8は結晶棒7を保持して搬送することができるものであればよい。また研削ユニット5は砥石6を有しており、一対の支持ユニット4に支持された結晶棒7の軸方向に沿って移動しつつ結晶棒7の外周をトラバース研削することができるものであればよい。これらの搬送ユニット8や研削ユニット5は不図示の駆動機構を備えていて移動可能なものであり、例えば従来と同様のものとすることができる。
【0023】
次に一対の支持ユニット4について説明する。一対の支持ユニット4は、搬送ユニット8に保持された結晶棒7を軸方向に挟んで軸周りに回転可能にするものであり、第1支持ユニット4a、第2支持ユニット4bを有している。第1支持ユニット4aは主軸3aを有しており、第2支持ユニット4bは副軸3bを有している。また主軸3aは先端に保持部2a、副軸3bは先端に保持部2bを有している。このため結晶棒7は主軸3aの保持部2aと副軸3bの保持部2bとの間に挟まれて支持される。
なお、ここでは結晶棒7のテール部(一端)12が副軸3b側、コーン部(他端)11が主軸3a側で支持されている例を示すがこれに限定されず、結晶棒7の向きは逆であっても良い。
【0024】
また一対の支持ユニット4は駆動機構13を有している。なお、簡単のため、駆動機構13は
図1にのみ示す。この駆動機構13は、例えばモーター(サーボモーター等)を有しており、第2支持ユニット4bを第1支持ユニット4aに向かって移動させることができる。もちろん、第1支持ユニット4aと反対方向に移動させることもできる。モーターの回転数や回転方向の調整により、第2支持ユニット4bの移動速度や移動方向を自在に変更調整可能である。また、コンピュータ等を備えたものとすることもでき、特には、検知手段14からの検知信号と連動して自動的に第2支持ユニット4bの移動速度を調整できるようになっている。
【0025】
また検知手段14は、結晶棒7と一対の支持ユニット4との近接を非接触で検知するものである。より具体的には、結晶棒7の他端11と主軸3aとの近接を検知する第1検知手段14aと、結晶棒7の一端12と副軸3bとの近接を検知する第2検知手段14bからなっている。
【0026】
ここで、検知手段14と駆動手段13の機能および連携について、ローディング工程(
図2:前半、
図3:後半)の説明を交えて説明する。
まず、ローディング工程における基本的なフローは前述した一般例(
図8)と同様である。すなわち、結晶棒7の搬入後、駆動機構13により第1支持ユニット4aに向かって第2支持ユニット4bが移動することで、搬送ユニット8で保持された結晶棒7の一端12が第2支持ユニット4bの副軸3b(より具体的には保持部2b)に近づいて接触して支持され、続いて、結晶棒7の他端11が第1支持ユニット4aの主軸3a(より具体的には保持部2a)に近づいて接触して支持されて、結晶棒7が主軸3a(保持部2a)と副軸3b(保持部2b)との間に挟まれて支持される。その後、搬入ユニット8は退避する。
しかしながら、本発明の円筒研削機1では、上記の結晶棒7の一端12と副軸3bとの接触支持や、結晶棒7の他端11と主軸3aとの接触支持において、それぞれ、第2検知手段14bと駆動機構13の連携、第1検知手段14aと駆動機構13の連携がある。
【0027】
フローごとに説明する。
(結晶棒の搬入)
結晶棒7を直径方向に挟んだ搬送ユニット8は、主軸3aと副軸3bの回転中心9に結晶軸中心10を合わせるために移動する(
図2の工程1)。
【0028】
(結晶棒の支持)
次いで結晶棒7を第1支持ユニット4aと第2支持ユニット4bで挟むため、第2支持ユニット4bが駆動機構13により第1支持ユニット4aに向かって移動する。このとき、第2検知手段14bにより、結晶棒7の一端12と副軸3bとの近接が検知されるまで移動速度Aで移動するよう調整される(
図2の工程2~工程3)。
【0029】
そして、第2検知手段14bにより上記近接が検知されると、その検知信号に基づき、駆動機構13により、そこから一端12と副軸3bとの接触支持までの間、移動速度Aより低速の移動速度Bで移動するよう自動的に調整される。(
図2の工程3~工程4)。
【0030】
一端12と副軸3bとの接触支持後、連続して、第2支持ユニット4bが駆動機構13により第1支持ユニット4aに向かってさらに移動する。このとき、結晶棒7、搬送ユニット8、第2支持ユニット4bが一体となって移動する。そして、第1検知手段14aにより、結晶棒7の他端11と主軸3aとの近接が検知されるまで移動速度Cで移動するよう調整される(
図2の工程4~
図3の工程5)。移動速度Cは移動速度Bよりも高速とすることができ、例えば移動速度Aと同じ速度にすることができる。なお、移動速度Bから移動速度Cへの変更調整は例えば結晶棒7や搬送ユニット8の移動開始を目視で確認して作業者の手動で行っても良いし、あるいは、搬送ユニット8の位置制御の機構から、その移動開始を駆動機構13に伝えて自動的に変更調整する仕組みとすることもできる。
【0031】
そして、第1検知手段14aにより上記近接が検知されると、その検知信号に基づき、駆動機構13により、そこから他端11と主軸3aとの接触支持までの間、移動速度Cより低速の移動速度Dで移動するよう自動的に調整される(
図3の工程5~工程6)。移動速度Dは例えば移動速度Bと同じ速度にすることができる。
これにより、結晶棒7は主軸3aと副軸3bとの間に挟まれ支持されるが、後工程の円筒研削工程に於いて結晶棒7の円筒面を研削ユニットの砥石により削られる際に、研削抵抗により主軸3a、副軸3bと他端11、一端12とが滑らないようするため、さらに第2支持ユニット4bが第1支持ユニット4a側に移動し続けて(押し続けて)、結晶棒7の他端11や一端12と接触する主軸3aや副軸3bとの間の摩擦力を高める(
図3の工程6)。このようにして結晶棒7を第1支持ユニット4a、第2支持ユニット4bにより結晶軸方向に挟み込むが、その挟み込み完了のタイミングは例えば結晶棒7や搬送ユニット8の移動停止を目視で確認して決めても良いし、あるいは、搬送ユニット8の位置制御の機構から、その移動停止を確認して決めても良い。
【0032】
(搬送ユニットの退避)
前記工程にて結晶棒7が挟み込まれた後、搬送ユニット8は結晶棒7を離して退避する(
図3の工程7)。
【0033】
このような検知手段14と駆動機構13の連携を備えた本発明の円筒研削機1であれば、結晶棒7の端部が主軸3aや副軸3bに近接したときに、第2支持ユニット4bの移動速度を低速化するので、それらの接触時の衝撃を原因として、結晶棒7の端部の破損や支持ユニット4の機械的位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
また、近接するまでは高速で第2支持ユニット4bを移動させることができるので、ローディング工程にかかる時間の短縮化を図ることができる。
さらには、前述したように特許文献1のような接触式の検知手段では検知に関する部品の摩耗等が生じてメンテナンスが必要になったりしたが、本発明のような非接触式の検知手段14であれば、そのような部品の摩耗も生じずメンテナンスの必要性を低減することができる。
そしてこれらの優れた効果によって、高品質の円筒研削物を取得でき、またその生産性も優れたものとなる。
【0034】
なお、第2支持ユニット4bの移動速度A-Dの具体的な設定値は特に限定されるものではないが、移動速度Aおよび移動速度Cは、例えば3,000~4,000mm/minとすることができ、移動速度Bおよび移動速度Dは、例えば50~200mm/minとすることができる。これらの数値範囲から選択した設定値であれば、ローディング工程の短縮化や結晶棒7の端部の破損等の防止をより確実なものとすることができる。
【0035】
検知手段14(第1検知手段14a、第2検知手段14b)の例としては各種のセンサーを挙げることができ、例えば光電式センサーや画像センサーを用いることができる。光電式センサーでは投光器と受光器を備えたものとすることができる。また、画像センサーの場合、取得した画像を処理するための画像処理機(コンピュータ等)をさらに用いることができる。これらであれば、結晶棒と主軸・副軸との近接の検知をより確実に行うことが可能である。
【0036】
以下では検知手段14の具体的な態様について説明する(実施態様1、2)。なお、第2検知手段14bおよび副軸3b(保持部2b)を例に挙げて説明するが、第1検知手段14aおよび主軸3a(保持部2a)の場合でも同様の構成とすることができる。
【0037】
(検知手段の実施態様1:内部配置)
図4に検知手段14(第2検知手段14b)の一例を示す。保持部2bの内部において、副軸3bに垂直な方向に配置されているケースである。また
図5に結晶棒7の端部と副軸3b(保持部2b)との近接の検知前後の例を示す。
結晶棒7が接触して支持される副軸3bの先端の保持部2bには、円錐状の凹部と所定直径の孔が組み合わさった貫通孔が形成されている。この貫通孔内に結晶棒7の端部が挿入されて支持できるようになっている。
また保持部2bにはセンサー設置孔21が設けられており、その中に第2検知手段14bとして円錐部検出センサー22が配置されていて、該円錐部検出センサー22による検出ライン23が設けられている。結晶棒7の一端12が検出ライン23を通過することにより、一端12と副軸3b(保持部2b)との近接を検知するものである。このような構成により、近接の検知をより簡便に行うことができる。
【0038】
また、センサー設置孔21に圧縮空気24を流す仕組みも設けておくことで、円筒研削工程にて結晶棒7の円筒外周面が研削されて発生したミスト状の研削粉などの進入により、円錐部検出センサー22が汚れるのを防止し、メンテナンスを極力少なく出来る。
【0039】
またこの場合、結晶棒7の端部を検出する際に接触する部位がないため(検出手段14が非接触式であるため)、保持部2bに進入する距離の制約もなく、端部の形状に制限がないことが分かる。
なお、第1検知手段14aにおいても同様の構成とすることができる。
【0040】
この結晶棒の端部の形状制限について、特許文献1の接触式の例について考察する。
図10はインゴット検知棒46と結晶棒7の端部の形状との関係を示したものであり、上段:インゴット検知棒を伸ばした状態、中段:結晶棒の端部の形状が短い場合、下段:結晶棒の端部の形状が長い場合の例である。
結晶棒7の端部(円錐状のコーン部及びテール部)がホルダー45に支持されるため、インゴット検知棒46、及びインゴット検知棒可動装置50の許容ストローク(a)より、端部がホルダー45内に進入する距離が小さくなくてはならない。
図10の中段は、進入距離(b)<許容ストローク(a)となり、問題なく結晶棒7の円錐状の端部がホルダー45に支持されるが、
図10の下段は、進入距離(c)>許容ストローク(a)となり結晶棒7の端部がホルダー45に正常に支持されないことが分かる。すなわち、接触式の検知手段の場合、結晶棒7の端部の形状により制限されることを意味し、デメリットの一つと考えられる。
【0041】
このように接触式の検知手段では結晶棒7の端部の進入を阻害してしまう場合があるため、結晶棒7の端部の形状も考慮しないといけないが、本発明のような非接触式であればそのような考慮も不要とすることができて簡便である。
【0042】
(検知手段の実施態様2:外部配置)
図6に検知手段14(第2検知手段14b)の他の一例を示す。保持部2bの外部に配置されているケースである。第2検知手段14bとしての端部検出センサー25を保持部2bの外部に設置することで結晶棒7の端部が保持部2bへ進入する前に検出することが可能となる。
端部検出センサー25と保持部2bとの相対位置を一定にする必要があるため、最も容易な設置手段として、端部検出センサー25は第2支持ユニット4b(例えば第2支持ユニットのベース部27b)にブラケット28を介して連結して完全固定することが望ましい。これにより、サーボモーターなどの駆動機構により主軸側に移動する副軸側の第2支持ユニット4bとこの端部検出センサー25を同期移動することが可能となる。
また、端部検出センサー25による検出ライン26が設けられている。結晶棒7の一端12が検出ライン26を通過することにより、一端12と副軸3b(保持部2b)との近接を検知するものである。このような構成により、近接の検知をより簡便に行うことができる。
なお、第1検知手段14aにおいても同様の構成とすることができる。
【0043】
更に
図5の実施態様1では、結晶棒7の円錐状の端部が保持部2bの内部に進入する必要があるため、結晶棒7の端部に円錐状の端部を有さない場合には検出することが出来ないが、外部配置の場合は
図7に示す通り結晶棒7の端部が円錐状であろうが、平坦であっても検出が可能となる。
【0044】
結晶棒の端部と主軸や副軸との近接を検知する検知手段14は、特許文献1のように結晶棒との接触や検知のための構成部品同士が接触する構造を必要とするものではなく、非接触で検知して駆動機構13と上述した連携が可能なものであればよく、特に限定されない。
結晶棒の端部の破損等を防止するにあたって、支持ユニット4と結晶棒7の端部との接触直前に第2支持ユニット4bを低速移動するためには、支持ユニット4と結晶棒7の端部とが近接する位置を検知する必要があり、前述した実施態様1や実施態様2のような仕組みであれば、近接の検知をより簡便に行うことが可能である。
【実施例0045】
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
従来の技術である結晶棒の端部(円錐状のコーン部、及びテール部)を検出しない自動円筒研削機(比較例)と、非接触式検出手段である
図6の端部検出センサー25を主軸側および副軸側の保持部の外部にそれぞれ設置した本発明の自動円筒研削機(
図1)(実施例)を用意し、それぞれを用いてローディング工程の所要時間を比較した。
(実施例)
端部検出センサー25は投光器と受光器が分離した一般的な光電式センサーであり、副軸3b側において、その光電式センサーの光軸と保持部2bの端面との距離29が100mm、投光器と受光器の間隔30が450mmとなるように、ブラケット28を介して第2支持ユニット4bのベース部27bに完全に固定した。主軸3a側も同じ条件となる様にセッティングした。
使用した結晶棒7は、直径300mm、コーン部長さ150mm、直胴部長さ1,000mm、テール部長さ250mmである。
【0046】
図2、
図3のようにしてローディング工程を行った。
まず、搬送ユニット8により、主軸3aと副軸3bの回転中心9に結晶軸中心10を合わせるよう結晶棒7を移動搬入した(
図2の工程1)。要した時間は30秒であった。なお、この搬入により、副軸3b側の端面とテール部(一端)12との間隔、また、主軸3a側の端面とコーン部(他端)11との間隔は、共に1,000mmであった。
テール部12の検出まで、第2支持ユニット4bを駆動機構13により主軸3a側に連続移動した(
図2の工程2~工程3)。副軸3b側の端部検出センサー(第2検知手段14b)が検出するまでの移動速度は4,000mm/min(以下、高速度)とし、要した時間は約15秒であった。
次いで、そこから結晶棒7の円錐状のテール部12が保持部2bの内部に進入して接触させた(
図2の工程3~工程4)。接触するまでの移動速度は100mm/min(以下、低速度)とし、要した時間が約48秒であった。
【0047】
主軸3a側の保持部2aと結晶棒7の円錐状のコーン部11も同様に動作する。
コーン部11の検出までの、主軸3a側の端部検出センサー(第1検知手段14a)が検出するまで第2支持ユニット4bを高速度で移動した(
図2の工程4~
図3の工程5)。要した時間は約18秒であった。
結晶棒7のコーン部11が保持部2aの内部に進入して接触するまで低速度で移動して、結晶棒7が保持部2aと保持部2bとの間に挟まれ支持された後、さらに第2支持ユニット4bが第1支持ユニット4a側に移動し続けて、結晶棒7のコーン部11と保持部2aの間の摩擦力、および、テール部12と保持部2bの間の摩擦力を高めて挟み込みを完了させた(
図3の工程5~工程6)。要した時間は78秒であった。
その後、搬送ユニット8を結晶棒7から離して退避させた。要した時間は30秒であった。
【0048】
(比較例)
使用した結晶棒は実施例と同じものを使用した。
図8のようにしてローディング工程を行った。
なお、結晶棒の搬入(
図8の工程1)と搬送ユニット8の退避(
図8の工程5)は実施例と同様であり、要した時間も実施例と同様に各々30秒であった。
また、副軸側の支持ユニット4bを駆動機構により移動させ、結晶棒7のテール部12を支持ユニット4bの副軸の保持部と接触させ(
図8の工程2~工程3)、また、結晶棒7のコーン部11を主軸側の支持ユニット4aの副軸の保持部と接触させ、さらに結晶棒7の挟み込みを完了させた(
図8の工程3~工程4)。この工程2~工程4での支持ユニット4bの移動速度は全て低速度の100mm/minであり、工程2~工程3、工程3~工程4に要した時間は、それぞれ630秒、663秒であった。
【0049】
実施例および比較例でのローディング工程での各段階の所要時間を表1にまとめた。
ローディング工程の所要時間の合計が比較例では1,353秒であるのに対し、実施例では219秒であった。このように実施例は比較例の約16%の所要時間であり、約84%もの大幅な時間短縮が確認出来た。
自動円筒研削機では、円筒研削時間に要する時間が大半を占め、結晶棒1本で約2~4時間(結晶棒の長さなどに左右される)かかることを考慮すると、ローディング工程を含む円筒研削の全体工程において、本発明にて約11~5%の処理時間の短縮が可能となり、生産性が向上する。
また、実施例の条件で結晶棒を支持して円筒研削を行っても、比較例の条件で結晶棒を支持して円筒研削を行った場合と同様、位置ずれを起こすことなく、研削面は比較例の条件と同様な面状態となった。
【0050】
【0051】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]: 結晶棒を保持して搬送する搬送ユニットと、該搬送ユニットに保持された結晶棒を軸方向に挟んで軸周りに回転可能にする一対の支持ユニットと、該一対の支持ユニットに支持された結晶棒の軸方向に沿って移動しつつ該結晶棒の外周をトラバース研削する研削ユニットとを有しており、
前記一対の支持ユニットは、主軸を有する第1支持ユニットと、副軸を有する第2支持ユニットとを有しているとともに、前記第2支持ユニットを前記第1支持ユニットに向かって移動可能な駆動機構とを有しており、
該駆動機構により前記第1支持ユニットに向かって前記第2支持ユニットが移動することで、前記搬送ユニットで保持された結晶棒の一端が前記第2支持ユニットの前記副軸に近づいて接触して支持され、続いて、前記結晶棒の他端が前記第1支持ユニットの前記主軸に近づいて接触して支持されて、前記結晶棒が前記主軸と前記副軸との間に挟まれて支持される円筒研削機であって、
前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を非接触で検知する第1検知手段と、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を非接触で検知する第2検知手段とをさらに有しており、
前記駆動機構は、
前記第2支持ユニットの移動速度を変更調整可能なものであり、
前記結晶棒の一端と前記副軸との接触支持において、前記第2検知手段による前記結晶棒の一端と前記副軸との近接の検知から前記接触支持までの間の前記第2支持ユニットの移動速度Bが、前記近接の検知までの前記第2支持ユニットの移動速度Aよりも低速に調整されるものであり、かつ、
前記結晶棒の他端と前記主軸との接触支持において、前記第1検知手段による前記結晶棒の他端と前記主軸との近接の検知から前記接触支持までの間の前記第2支持ユニットの移動速度Dが、前記近接の検知までの前記第2支持ユニットの移動速度Cよりも低速に調整されるものである円筒研削機。
[2]: 前記主軸と前記副軸は、各々、前記結晶棒が接触して支持される保持部を有しており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、各々、センサーであり、
前記主軸と前記副軸の各保持部の内部において、前記センサーは前記主軸と前記副軸に垂直な方向に配置されていて前記センサーによる検出ラインが設けられており、
前記第1検知手段は、前記結晶棒の他端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を検知するものであり、
前記第2検知手段は、前記結晶棒の一端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を検知するものである上記[1]の円筒研削機。
[3]: 前記主軸と前記副軸は、各々、前記結晶棒が接触して支持される保持部を有しており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、各々、センサーであり、
前記センサーは、各々、ブラケットを介して前記第1支持ユニットと前記第2支持ユニットと連結しており、かつ、前記主軸と前記副軸の各保持部の外部に配置されていて、該外部で前記センサーによる検出ラインが設けられており、
前記第1検知手段は、前記結晶棒の他端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の他端と前記主軸との近接を検知するものであり、
前記第2検知手段は、前記結晶棒の一端が前記検出ラインを通過することにより、前記結晶棒の一端と前記副軸との近接を検知するものである上記[1]の円筒研削機。
[4]: 前記センサーは、投光器と受光器とを有する光電式センサー、または、画像センサーである上記[2]または上記[3]の円筒研削機。
[5]: 前記第2支持ユニットの移動速度Aおよび移動速度Cは3,000~4,000mm/minであり、
前記第2支持ユニットの移動速度Bおよび移動速度Dは50~200mm/minである上記[1]から上記[4]のいずれかの円筒研削機。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。