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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173594
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】水系組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20231130BHJP
   C09K 23/42 20220101ALI20231130BHJP
   C09D 7/43 20180101ALI20231130BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20231130BHJP
   C08L 75/08 20060101ALI20231130BHJP
   C09D 201/00 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
C08G18/48 033
C09K23/42
C09D7/43
C09K3/00 103N
C09K3/00 103G
C08G18/48 054
C08L75/08
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085949
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】塚原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 聡
(72)【発明者】
【氏名】角 太朗
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J002BG041
4J002BG04W
4J002BG051
4J002BG05W
4J002CK042
4J002CK04X
4J002GH01
4J002HA04
4J002HA07
4J034CA04
4J034CC08
4J034CD04
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG06
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC17
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC73
4J038DG132
4J038KA06
4J038MA08
4J038MA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、有機溶媒を含有しつつ、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有する水系組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】下記の一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と、ハンセン溶解度パラメータのδdが14.5~16.5(MPa)1/2であり、δpが3.0~8.5(MPa)1/2であり、δhが8.0~18.0(MPa)1/2である有機溶媒(b)と、水(c)と、を含有する水系組成物を提供する。

(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基等を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基を表し、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数6~16の2価の炭化水素基を表し、l、nはそれぞれ独立して0~200の数を表し、xは0~10の数を表し、mは0~500の数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と、ハンセン溶解度パラメータのδdが14.5~16.5(MPa)1/2であり、δpが3.0~8.5(MPa)1/2であり、δhが8.0~18.0(MPa)1/2である有機溶媒(b)と、水(c)と、を含有する水系組成物。
【化1】
(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基、又は下記の一般式(2)で表される基を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基を表し、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数6~16の2価の炭化水素基を表し、l、nはそれぞれ独立して0~200の数を表し、xは0~10の数を表し、mは0~500の数を表す。)
【化2】
(式中、Rは炭素原子数6~30の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~30の不飽和脂肪族炭化水素基を表し、R、R10はそれぞれ独立して炭素原子数6~24のアルキル基、炭素原子数6~24のアルケニル基又は炭素原子数6~24の芳香族炭化水素基を表し、aは0又は1の数を表し、bは0又は1の数を表す。)
【請求項2】
水系組成物中の、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)の含有量の質量比が、1:1~1:200である、請求項1に記載の水系組成物。
【請求項3】
水系組成物中の有機溶媒(b)の含有量が0.10~20質量%である、請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項4】
水系組成物中の水(c)の含有量が20~98質量%である、請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項5】
アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、及びイソプレン系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(d)を、水系組成物全量に対して1.0~50質量%含有する、請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項6】
水系組成物中の、有機溶媒(b)と樹脂(d)の含有量の質量比が1:0.3~1:40である、請求項5に記載の水系組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶媒を含有しつつ、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有する、水系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料等の水系組成物の粘度や粘性を調整するための粘性調整剤として、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等の天然系の粘性調整剤、ポリアクリル酸やポリアクリル酸含有コポリマー等のアルカリ増粘型粘性調整剤、疎水変性ポリエーテルウレタン等のウレタン型粘性調整剤等が知られている。これらの中でも、所望のチキソトロピー性、レベリング性とすることが容易で、得られる塗料の耐水性も良好であることから、各種構造のウレタン型粘性調整剤が開発され、用いられている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
しかし、塗料等の水系組成物において、その成膜性を改善するために通常有機溶媒が配合されることがあるが、ウレタン型粘性調整剤、水、有機溶媒を併用すると、粘度やチキソトロピー性が低下するという問題があった。よって、市場では、有機溶媒を含有しつつも、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有する水系組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-213074号公報
【特許文献2】特開平09-110821号公報
【特許文献3】特開2000-239649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、有機溶媒を含有しつつ、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有する水系組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者等は鋭意検討し、特定のウレタン系増粘剤と有機溶媒と水とを含有する水系組成物が、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有し、塗料等に広く用いることができることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と、ハンセン溶解度パラメータのδdが14.5~16.5(MPa)1/2であり、δpが3.0~8.5(MPa)1/2であり、δhが8.0~18.0(MPa)1/2である有機溶媒(b)と、水(c)と、を含有する水系組成物である。
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基、又は下記の一般式(2)で表される基を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基を表し、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数6~16の2価の炭化水素基を表し、l、nはそれぞれ独立して0~200の数を表し、xは0~10の数を表し、mは0~500の数を表す。)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、Rは炭素原子数6~30の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~30の不飽和脂肪族炭化水素基を表し、R、R10はそれぞれ独立して炭素原子数6~24のアルキル基、炭素原子数6~24のアルケニル基又は炭素原子数6~24の芳香族炭化水素基を表し、aは0又は1の数を表し、bは0又は1の数を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の水系組成物は、有機溶媒を含有しつつも、優れた粘度特性とチキソトロピー性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に用いる疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)は、下記の一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーである。
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基、又は下記の一般式(2)で表される基を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基を表し、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数6~16の2価の炭化水素基を表し、l、nはそれぞれ独立して0~200の数を表し、xは0~10の数を表し、mは0~500の数を表す。)
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、Rは炭素原子数6~30の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~30の不飽和脂肪族炭化水素基を表し、R、R10はそれぞれ独立して炭素原子数6~24のアルキル基、炭素原子数6~24のアルケニル基又は炭素原子数6~24の芳香族炭化水素基を表し、aは0又は1の数を表し、bは0又は1の数を表す。)
【0017】
一般式(1)のR、Rはそれぞれ独立して炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基、又は下記の一般式(2)で表される基を表す。このうち、炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数16の直鎖アルキル基、炭素原子数16の分岐アルキル基、炭素原子数18の直鎖アルキル基、炭素原子数18の分岐アルキル基、炭素原子数20の直鎖アルキル基、炭素原子数20の分岐アルキル基、炭素原子数22の直鎖アルキル基、炭素原子数22の分岐アルキル基、炭素原子数24の直鎖アルキル基、炭素原子数24の分岐アルキル基、炭素原子数28の直鎖アルキル基、炭素原子数28の分岐アルキル基、炭素原子数32の直鎖アルキル基、炭素原子数32の分岐アルキル基、炭素原子数36の直鎖アルキル基、炭素原子数36の分岐アルキル基、炭素原子数40の直鎖アルキル基、炭素原子数40の分岐アルキル基等が挙げられる。また、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数16の直鎖アルケニル基、炭素原子数16の分岐アルケニル基、炭素原子数18の直鎖アルケニル基、炭素原子数18の分岐アルケニル基、炭素原子数20の直鎖アルケニル基、炭素原子数20の分岐アルケニル基、炭素原子数22の直鎖アルケニル基、炭素原子数22の分岐アルケニル基、炭素原子数24の直鎖アルケニル基、炭素原子数24の分岐アルケニル基、炭素原子数28の直鎖アルケニル基、炭素原子数28の分岐アルケニル基、炭素原子数32の直鎖アルケニル基、炭素原子数32の分岐アルケニル基、炭素原子数36の直鎖アルケニル基、炭素原子数36の分岐アルケニル基、炭素原子数40の直鎖アルケニル基、炭素原子数40の分岐アルケニル基等が挙げられる。このうち、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数16~32の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数16~32の不飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0018】
一般式(2)のRは炭素原子数6~30の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~30の不飽和脂肪族炭化水素基を表す。このような基としては、例えば、炭素原子数6の直鎖アルキル基、炭素原子数6の分岐アルキル基、炭素原子数8の直鎖アルキル基、炭素原子数8の分岐アルキル基、炭素原子数9の直鎖アルキル基、炭素原子数9の分岐アルキル基、炭素原子数10の直鎖アルキル基、炭素原子数10の分岐アルキル基、炭素原子数12の直鎖アルキル基、炭素原子数12の分岐アルキル基、炭素原子数14の直鎖アルキル基、炭素原子数14の分岐アルキル基、炭素原子数16の直鎖アルキル基、炭素原子数16の分岐アルキル基、炭素原子数18の直鎖アルキル基、炭素原子数18の分岐アルキル基、炭素原子数20の直鎖アルキル基、炭素原子数20の分岐アルキル基、炭素原子数22の直鎖アルキル基、炭素原子数22の分岐アルキル基、炭素原子数24の直鎖アルキル基、炭素原子数24の分岐アルキル基、炭素原子数26の直鎖アルキル基、炭素原子数26の分岐アルキル基、炭素原子数28の直鎖アルキル基、炭素原子数28の分岐アルキル基、炭素原子数30の直鎖アルキル基、炭素原子数30の分岐アルキル基、炭素原子数6の直鎖アルケニル基、炭素原子数6の分岐アルケニル基、炭素原子数8の直鎖アルケニル基、炭素原子数8の分岐アルケニル基、炭素原子数10の直鎖アルケニル基、炭素原子数10の分岐アルケニル基、炭素原子数12の直鎖アルケニル基、炭素原子数12の分岐アルケニル基、炭素原子数14の直鎖アルケニル基、炭素原子数14の分岐アルケニル基、炭素原子数16の直鎖アルケニル基、炭素原子数16の分岐アルケニル基、炭素原子数18の直鎖アルケニル基、炭素原子数18の分岐アルケニル基、炭素原子数20の直鎖アルケニル基、炭素原子数20の分岐アルケニル基、炭素原子数22の直鎖アルケニル基、炭素原子数22の分岐アルケニル基、炭素原子数24の直鎖アルケニル基、炭素原子数24の分岐アルケニル基、炭素原子数26の直鎖アルケニル基、炭素原子数26の分岐アルケニル基、炭素原子数28の直鎖アルケニル基、炭素原子数28の分岐アルケニル基、炭素原子数30の直鎖アルケニル基、炭素原子数30の分岐アルケニル基等が挙げられる。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、Rは炭素原子数6~24の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~24の不飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数6~16の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~16の不飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数6~12の飽和脂肪族炭化水素基であることが更により好ましい。
【0019】
一般式(2)のR、R10はそれぞれ独立して炭素原子数6~24のアルキル基、炭素原子数6~24のアルケニル基又は炭素原子数6~24の芳香族炭化水素基を表す。このような基としては、例えば、炭素原子数6の直鎖アルキル基、炭素原子数6の分岐アルキル基、炭素原子数8の直鎖アルキル基、炭素原子数8の分岐アルキル基、炭素原子数10の直鎖アルキル基、炭素原子数10の分岐アルキル基、炭素原子数12の直鎖アルキル基、炭素原子数12の分岐アルキル基、炭素原子数14の直鎖アルキル基、炭素原子数14の分岐アルキル基、炭素原子数16の直鎖アルキル基、炭素原子数16の分岐アルキル基、炭素原子数18の直鎖アルキル基、炭素原子数18の分岐アルキル基、炭素原子数20の直鎖アルキル基、炭素原子数20の分岐アルキル基、炭素原子数22の直鎖アルキル基、炭素原子数22の分岐アルキル基、炭素原子数24の直鎖アルキル基、炭素原子数24の分岐アルキル基、炭素原子数6の直鎖アルケニル基、炭素原子数6の分岐アルケニル基、炭素原子数8の直鎖アルケニル基、炭素原子数8の分岐アルケニル基、炭素原子数10の直鎖アルケニル基、炭素原子数10の分岐アルケニル基、炭素原子数12の直鎖アルケニル基、炭素原子数12の分岐アルケニル基、炭素原子数14の直鎖アルケニル基、炭素原子数14の分岐アルケニル基、炭素原子数16の直鎖アルケニル基、炭素原子数16の分岐アルケニル基、炭素原子数18の直鎖アルケニル基、炭素原子数18の分岐アルケニル基、炭素原子数20の直鎖アルケニル基、炭素原子数20の分岐アルケニル基、炭素原子数22の直鎖アルケニル基、炭素原子数22の分岐アルケニル基、炭素原子数24の直鎖アルケニル基、炭素原子数24の分岐アルケニル基、フェニル基、炭素原子数7~24のアルキルフェニル基、ベンジル基、炭素原子数8~24のアルキルベンジル基、ナフチル基、炭素原子数12~24のアルキルナフチル基等が挙げられる。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、R、R10はそれぞれ独立して炭素原子数8~18のアルキル基又は、炭素原子数8~18のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数8~16のアルキル基であることがより好ましい。
【0020】
一般式(2)のaは0又は1の数を表す。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、aが0であることが好ましい。
【0021】
一般式(2)のbは0又は1の数を表す。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、bが1であることが好ましい。
【0022】
本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、一般式(1)のR、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基、又は、R、R10がそれぞれ炭素原子数6~24のアルキル基で表される基である一般式(2)で表される基であることが好ましく、R、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数16~36の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
【0023】
一般式(1)のR、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基を表す。このような基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、エチレン基又はプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
【0024】
一般式(1)のR、Rはそれぞれ独立して炭素原子数6~16の2価の炭化水素基を表す。このような基としては、例えば、炭素原子数6~16のアルキレン基、炭素原子数6~16の2価の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~16の2価の脂環式炭化水素基、炭素原子数6~16の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数6~16のアルキレン基又は炭素原子数6~16の2価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数6~10のアルキレン基又は炭素原子数8~16の2価の脂環式炭化水素基であることがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又は4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)から、2つのイソシアネート基を除いた残基であることが更により好ましい。
【0025】
一般式(1)のl、nはそれぞれ独立して0~200の数を表す。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、l、nは0~150であることが好ましく、0~120であることがより好ましい。このとき、l、nの平均値は特に限定されないが、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、l、nの平均値は0~150であることが好ましく、0~120であることがより好ましい。これらの中でも、一般式(1)のR、Rがそれぞれ一般式(2)で表される基を表す場合、一般式(1)のl、nはそれぞれ独立して0~60であることが更により好ましく、また、l、nの平均値はそれぞれ独立して0~60であることが更により好ましい。本発明において、l、nの値及び平均値はそれぞれ、必要に応じてアルカリ加水分解した疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC-MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOFMS)測定結果から算出される。
【0026】
一般式(1)のxは0~10の数を表す。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、xは0~8であることが好ましい。このとき、xの平均値は特に限定されないが、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、xの平均値は0.1~3.0であることが好ましく、0.2~2.0であることがより好ましく、0.5~1.5であることが更により好ましい。本発明において、xの値及び平均値は、必要に応じてアルカリ加水分解した疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC-MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOFMS)測定結果から算出される。
【0027】
一般式(1)のmは0~500の数を表す。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、これらの中でも、mは0~400であることが好ましく、0~350であることがより好ましい。このとき、mの平均値は特に限定されないが、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、mの平均値は0~400であることが好ましく、0~350であることがより好ましい。本発明において、mの値及び平均値は、必要に応じてアルカリ加水分解した疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC-MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOFMS)測定結果から算出される。
【0028】
本発明においては、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)としてこのような疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーを用いることで、特定の有機溶媒と水とを含有する組成物においても、優れた粘度特性とチキソトロピー性を発揮することができる。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)が、一般式(1)のR、Rが、それぞれ独立して、炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基又は一般式(2)で表される基であることが好ましい。
【0029】
一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば、一般式(1)においてR、Rが炭素原子数16~40の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数16~40の不飽和脂肪族炭化水素基である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーは、例えば、特開2000-239649号公報に記載の粘性調整剤の製造方法において、一般式(1)で表される化合物が得られるように、ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート、モノオールの構造及び比率を調整して用いることで製造することができる。また、一般式(1)においてR、Rが一般式(2)で表される基である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーは、例えば、特開2000-239649号公報に記載の粘性調整剤の製造方法において、モノオールの代わりに一般式(2)で表される構造を分子内に有する化合物を用い、一般式(1)で表される化合物が得られるように、さらにポリエーテルポリオール、ポリイソシアネートの構造及び比率を調整して用いることで製造することができる。このとき、一般式(2)で表される構造を分子内に有する化合物としては、例えば、炭素原子数6~24のアルキル基、炭素原子数6~24のアルケニル基又は炭素原子数6~24の芳香族炭化水素基を有する2級アミンと、炭素原子数6~30の飽和脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6~30の不飽和脂肪族炭化水素基を有するグリシジルエーテル、若しくは炭素原子数6~30(グリシジル基を含む)のα―オレフィンオキサイドとを反応させて得られる化合物(中間体1)や、この化合物にさらに炭素原子数2~4のアルキレン基を1~200モル付加して得られる化合物(中間体2)等が挙げられる。
【0030】
前記中間体1の調製に用いる2級アミンとして、同一の炭素原子数6~24のアルキル基を有するジアルキルアミンを用いることがより好ましく、同一の炭素原子数8~16のアルキル基を有するジアルキルアミンを用いることが更により好ましい。このうち、同一の炭素原子数6~24のアルキル基を有するジアルキルアミンとしては、例えば、ジ-ヘキシルアミン、ジ-ヘプチルアミン、ジ-オクチルアミン、ジ-エチルヘキシルアミン、ジ-ノニルアミン、ジ-デシルアミン、ジ-ウンデシルアミン、ジ-ドデシルアミン、ジ-トリデシルアミン、ジ-イソトリデシルアミン、ジ-テトラデシルアミン、ジ-ヘキサデシルアミン、ジ-オクタデシルアミン、ジ-イコシルアミン、ジ-ドコシルアミン、ジ-テトラコシルアミン等が挙げられる。
【0031】
前記中間体1の調製に用いるグリシジルエーテルとして、炭素原子数6~24のアルキル基を有するグリシジルエーテルであることが好ましい。このうち、炭素原子数6~24のアルキル基を有するグリシジルエーテルとしては、例えば、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、イコシルグリシジルエーテル、ドコシルグリシジルエーテル、テトラコシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0032】
前記中間体1をグリシジルエーテルを用いて調製する場合は、上述した2級アミンとグリシジルエーテルとを、公知の方法により反応させることで得られることができ、例えば2級アミンとグリシジルエーテルとを、モル比で1:0.5~1:2の量で混合し、減圧~常圧~加圧環境下、室温~180℃の温度環境下で10分間~240時間反応させることで得ることができる。
【0033】
前記中間体1の調製に用いるα-オレフィンオキサイドとして、炭素原子数8~24のα-オレフィンオキサイドを用いることが好ましい。
また、中間体1をα-オレフィンオキサイドを用いて調製する場合は、上述した2級アミンとα-オレフィンオキサイドとを、公知の方法により反応させることで得られることができ、例えば2級アミンとα-オレフィンオキサイドとを、モル比で1:0.5~1:2の量で混合し、減圧~常圧~加圧環境下、室温~180℃の温度環境下で10分間~240時間反応させることで得ることができる。
【0034】
中間体2は、得られた中間体1に炭素原子数2~4のアルキレン基を1~200モル付加して得られる。中間体1と炭素原子数2~4のアルキレンオキサイドとの反応方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、炭素原子数2~4のアルキレンオキサイドを、1モルの中間体1に対して1~200モル、一度に又は複数回に分けて接触させ、減圧~常圧~加圧環境下、室温~180℃の温度環境下で10分間~24時間反応させることで得ることができる。中間体1に炭素原子数2~4のアルキレン基を付加する際の、アルキレンオキサイドの付加モル数としては、得られる疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーの増粘効果とチキソトロピー性調整効果の観点からは、1モルの中間体1に対して1~150モルであることが好ましく、1~120モルであることがより好ましい。
【0035】
本発明に用いる有機溶媒(b)は、ハンセン溶解度パラメータのδdが14.5~16.5(MPa)1/2であり、δpが3.0~8.5(MPa)1/2であり、δhが8.0~18.0(MPa)1/2である有機溶媒である。ハンセン溶解度パラメータとは、分子集団の結合の強さを分子間力の三要素であるLondon分散エネルギー、双極子間相互作用エネルギーおよび水素結合エネルギーに分けることで物質間の親和性の尺度として用いられており、London分散エネルギーを表す分散項δd、双極子相互作用エネルギーを表す極性項δp、水素結合エネルギーを表す水素結合項δhからなるパラメータである。ハンセン溶解度パラメータの分散項δd、極性項δpおよび水素結合項δhは、原子団寄与法に基づきvan Krevelen & Hoftyzer法により計算することができる。本発明に用いる有機溶媒(b)としては、各パラメータを満たす有機溶媒であれば、特に限定されず用いることができるが、例えば、表1-1~表1-4に示す有機溶媒等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
【表1-1】
【0037】
【表1-2】
【0038】
【表1-3】
【0039】
【表1-4】
【0040】
本発明においては、有機溶媒(b)としてこのような有機溶媒を用いることで、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と水(c)と混合して水系組成物とした際にも、優れた粘度特性とチキソトロピー性を発揮することができる。本発明においては、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、有機溶媒(b)として、2-エチルヘキサノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0041】
本発明の水系組成物は、上述した一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と、ハンセン溶解度パラメータのδdが14.5~16.5(MPa)1/2であり、δpが3.0~8.5(MPa)1/2であり、δhが8.0~18.0(MPa)1/2である有機溶媒(b)と、水(c)と、を含有する水系組成物である。本発明においては、このような成分(a)、(b)、(c)を全て含有することで、有機溶媒を含有しつつ、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有する水系組成物とすることができる。
【0042】
本発明の水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)の含有量は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)の含有量が水系組成物全量に対して0.01~20質量%であることが好ましく、0.02~10質量%であることがより好ましく、0.05~5.0質量%であることが更により好ましい。
【0043】
本発明の水系組成物中の有機溶媒(b)の含有量は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の有機溶媒(b)の含有量が水系組成物全量に対して0.10~20質量%であることが好ましく、0.5~15質量%であることがより好ましく、1.0~10質量%であることが更により好ましい。
【0044】
本発明の水系組成物中の水(c)の含有量は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の水(c)の含有量が水系組成物全量に対して20~98質量%であることが好ましく、30~95質量%であることがより好ましく、40~90質量%であることが更により好ましい。
【0045】
本発明の水系組成物中の、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)の含有量の質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)の含有量の質量比が1:1~1:200であることが好ましく、1:2~1:150であることがより好ましく、1:5~1:80であることが更により好ましい。
【0046】
本発明の水系組成物中の、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と水(c)の含有量との質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と水(c)の含有量の質量比が1:5~1:1000であることが好ましく、1:30~1:800であることがより好ましく、1:50~1:600であることが更により好ましい。
【0047】
本発明の水系組成物中の、有機溶媒(b)と水(c)の含有量の質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の有機溶媒(b)と水(c)の含有量の質量比が1:0.5~1:100であることが好ましく、1:1~1:60であることがより好ましく、1:2~1:30であることが更により好ましい。
【0048】
本発明の水系組成物中の、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)と水(c)の含有量の質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)と水(c)の質量比が、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)と水(c)の含有量を100とした際の質量比で、0.01~20:0.5~60:30~98であることが好ましく、0.02~10:1.0~50:40~96であることがより好ましく、0.03~5.0:2.0~30:60~95であることが更により好ましい。
【0049】
本発明の水系組成物は、上述した疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と有機溶媒(b)と水(c)のみからなっていてもよいが、得られる水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、及びイソプレン系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(d)を含有することが好ましい。
【0050】
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のアクリル系モノマーを含むモノマーを重合して得られる樹脂等が挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリル酸(エステル)単独重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/塩化ビニリデン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/アリルアミン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/ビニルピリジン共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/アルキロールアミド共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N―ジメチルアミノエチルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N-ジエチルアミノエチルビニルエーテル共重合体等が挙げられる。
【0051】
エポキシ系樹脂としては、モノ又はポリグリシジルエーテル系モノマー、モノ又はポリグリシジルエステル系モノマー、モノ又はポリグリシジルアクリレート系モノマー、モノ又はポリグリシジルアミノ系モノマー等のエポキシ系モノマーを含むモノマーを重合して得られる樹脂等が挙げられ、各種構造を有する芳香族エポキシ系樹脂、脂環式エポキシ系樹脂、脂肪族エポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0052】
ビニル系樹脂としては、例えば、酢酸ビニル、酢酸ビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニルエステル、ビニルエーテル等のビニル系モノマーを含むモノマーを重合して得られる樹脂等が挙げられ、より具体的には、酢酸ビニル単独重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸(エステル)共重合体、酢酸ビニル/フマル酸(エステル)共重合体、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/プロピレン共重合体、酢酸ビニル/イソブチレン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニリデン共重合体、酢酸ビニル/シクロペンタジエン共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/アクロレイン共重合体、酢酸ビニル/アルキルビニルエーテル共重合体、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-スチレン共重合体、塩化ビニル-イソブチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-スチレン-無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル-スチレン-アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-イソプレン共重合体、塩化ビニル-塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-各種ビニルエーテル共重合体等が挙げられる。
【0053】
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンを含むモノマーを重合して得られる樹脂が挙げられ、より具体的には、スチレン単独重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/フマルニトリル共重合体、スチレン/マレインニトリル共重合体、スチレン/シアノアクリル酸エステル共重合体、スチレン/酢酸フェニルビニル共重合体、スチレン/クロロメチルスチレン共重合体、スチレン/ジクロロスチレン共重合体、スチレン/ビニルカルバゾール共重合体、スチレン/N,N-ジフェニルアクリルアミド共重合体、スチレン/メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/メチルスチレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/ビニルカルバゾール共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0054】
本発明においては、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、樹脂(d)として、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、及びスチレン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましく、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、及びスチレン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することがより好ましい。
【0055】
本発明の水系組成物が、樹脂(d)を含有する場合の、水系組成物中の樹脂(d)の含有量は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物全量に対して樹脂(d)を1.0~50質量%含有することが好ましく、2.0~45質量%含有することがより好ましく、5.0~40質量%含有することが更により好ましい。
【0056】
本発明の水系組成物が、樹脂(d)を含有する場合の、水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と樹脂(d)の含有量の質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と樹脂(d)の含有量の質量比が1:1~1:1000であることが好ましく、1:10~1:600であることがより好ましく、1:50~1:400であることが更により好ましい。
【0057】
本発明の水系組成物が、樹脂(d)を含有する場合の、水系組成物中の有機溶媒(b)と樹脂(d)の含有量の質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の有機溶媒(b)と樹脂(d)の含有量の質量比が、1:0.3~1:40であることが好ましく、1:1~1:30であることがより好ましく、1:2~1:20であることが更により好ましい。
【0058】
本発明の水系組成物が、樹脂(d)を含有する場合の、水系組成物中の水(c)と樹脂(d)の含有量の質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の水(c)と樹脂(d)の含有量の質量比が、1:0.1~1:5であることが好ましく、1:0.2~1:3であることがより好ましく、1:0.3~1:2であることが更により好ましい。
【0059】
本発明の水系組成物が、樹脂(d)を含有する場合の、水系組成物中の有機溶媒(b)と水(c)の含有量の合計と樹脂(d)の含有量との質量比は特に限定されないが、水系組成物の粘度特性とチキソトロピー性の観点からは、水系組成物中の有機溶媒(b)と水(c)の含有量の合計と樹脂(d)の含有量との質量比が、1:0.05~1:3であることが好ましく、1:0.1~1:2であることがより好ましく、1:0.15~1:1.5であることが更により好ましい。本発明においては、水系組成物中の有機溶媒(b)と水(c)の含有量の合計と樹脂(d)の含有量との質量比が上述した範囲であると、粘度特性とチキソトロピー性に優れつつ、水系組成物中に樹脂(d)が分散した水系組成物とすることができる。
【0060】
本発明の水系組成物は、一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)と、ハンセン溶解度パラメータのδdが14.5~16.5(MPa)1/2であり、δpが3.0~8.5(MPa)1/2であり、δhが8.0~18.0(MPa)1/2である有機溶媒(b)と、水(c)と、必要に応じて用いる樹脂(d)等を、一度に又は複数回に分けて混合することで製造することができる。本発明においては、水系組成物を製造する際に、樹脂(d)として、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、及びイソプレン系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が水に分散した樹脂エマルションを用いて製造することが好ましい。
【0061】
本発明の水系組成物は、目的に応じて、さらに顔料、着色剤、パール剤、防腐剤、香料、可塑剤、消泡剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、遮熱剤、硬化剤、触媒、難燃剤、帯電防止剤、乳化剤、熱安定剤、pH調整剤、意匠剤、凍結防止剤、湿潤剤、分散剤、皮張り防止剤、乾燥促進剤等を含有していてもよい。
【0062】
本発明の水系組成物は、塗料として特に制限なく用いることができ、例えば、機械、船舶、車両、航空機、土木、建築、重防食、インキ、その他一般工業分野において、金属、木材、プラスチック、紙、石材、スレート、コンクリート、モルタル等の基材の各種基材に適用して用いることができる。
【実施例0063】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例中、%は特に記載が無い限り質量基準である。実施例及び比較例に使用した各成分を下記に示す。
【0064】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-1)の調製
攪拌機、温度計、窒素管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物0.15モルと重量平均分子量11000のポリエチレングリコール0.075モルを仕込み、10hPa以下、90~100℃で2時間脱水することで、反応系中に含まれる水分量を0.03質量%以下にした。次に、窒素を導入することで常圧に戻した後、80℃に調温してからヘキサメチレンジイソシアネートを0.15モル加え、窒素気流下で80~90℃、2時間反応させた。赤外分光装置でイソシアネート含量が0%であることを確認することにより、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-1)を得た。
【0065】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-2)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、2-テトラデシル-1-オクタデカノールのエチレンオキサイド100モル付加物0.15モルを用いたこと及び、重量平均分子量11000のポリエチレングリコールを用いなかったこと以外は、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-1)の調製と同様の方法により、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-2)を得た。
【0066】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-3)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、2-テトラデシル-1-オクタデカノールのエチレンオキサイド100モル付加物0.15モルを用いたこと及び重量平均分子量が11000であるポリエチレングリコールの代わりに重量平均分子量が8000であるポリエチレングリコール0.075モルを用いたこと以外は、前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-3)を得た。
【0067】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-4)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、2-テトラデシル-1-オクタデカノールのエチレンオキサイド100モル付加物0.15モルを用いたこと以外は、前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-4)を得た。
【0068】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-5)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、2-テトラデシル-1-オクタデカノール0.15モルを用いたこと以外は、前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-5)を得た。
【0069】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-6)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、2-ヘキシル-1-デカノール0.15モルを用いたこと、ヘキサメチレンジイソシアネートの代わりに4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)0.15モルを用いたこと、及び、重量平均分子量11000のポリエチレングリコールの代わりに重量平均分子量8000のポリエチレングリコール0.075モルを用いたこと以外は前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-6)を得た。
【0070】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-7)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、炭素原子数18の直鎖アルコール0.15モルを用いたこと、ヘキサメチレンジイソシアネートの代わりに4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)0.15モルを用いたこと、及び、重量平均分子量11000のポリエチレングリコールの代わりに重量平均分子量8000のポリエチレングリコール0.075モルを用いたこと以外は前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-7)を得た。
【0071】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-8)の調製
攪拌機、温度計、窒素管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジ-イソトリデシルアミン0.25モル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル0.25モル、三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.1gを仕込み、撹拌しながら、常圧窒素雰囲気下で90~110℃、24時間還流熟成することでジ-イソトリデシルアミンと2-エチルヘキシルグリシジルエーテルを反応させた後、100~110℃、10hPa未満の圧力環境下で未反応の原料を減圧留去することにより、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルのグリシジル基中のエポキシ基が開環してジ-イソトリデシルアミンのアミノ基と結合した構造を有する反応中間体を得た。
【0072】
続いて、別のフラスコに得られた反応中間体0.15モルと重量平均分子量11000のポリエチレングリコール0.075モルを仕込み、10hPa以下、90~100℃で2時間脱水することで、反応系中に含まれる水分量を0.03質量%以下にした。次に、窒素を導入することで常圧に戻した後、溶媒として酢酸ブチル100gを加え、80℃に調温してからヘキサメチレンジイソシアネートを0.15モル加え、窒素気流下で80~90℃、2時間反応させた。赤外分光装置でイソシアネート含量が0%であることを確認した後、溶媒を留去することで、疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a-8)を得た。
【0073】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a’-9)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、炭素原子数12の直鎖アルコール0.15モルを用いたこと以外は、前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a’-9)を得た。
【0074】
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a’-10)の調製
2-デシル-1-テトラデカノールのエチレンオキサイド20モル付加物の代わりに、炭素原子数12の分岐鎖を有するアルコール及び14の分岐鎖を有するアルコールの混合物(モル比1:1)のエチレンオキサイド12モル付加物を合計0.15モルを用いたこと以外は、前記ポリマー(a-1)と同様の方法で疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a’-10)を得た。
【0075】
<疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)>
a-1:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-デシル-1-テトラデシル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nの値がそれぞれ15~25(平均値はそれぞれ20)であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-2:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-テトラデシル-1-オクタデシル基であり、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nの値がそれぞれ80~120(平均値はそれぞれ100)であり、xが0である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-3:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-テトラデシル-1-オクタデシル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nの値がそれぞれ80~120(平均値はそれぞれ100)であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が150~210(平均値は180)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-4:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-テトラデシル-1-オクタデシル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nの値がそれぞれ80~120(平均値はそれぞれ100)であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-5:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-テトラデシル-1-オクタデシル基であり、Rがエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nがそれぞれ0であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-6:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-ヘキシル-1-デシル基であり、Rがエチレン基であり、R、Rがそれぞれ4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)から2つのイソシアネート基を除いた残基であり、l、nがそれぞれ0であり、xが0~8の数(xの平均値は0.7)であり、mの値が150~210(平均値は180)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-7:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ炭素原子数18の直鎖アルキル基であり、Rがエチレン基であり、R、Rがそれぞれ4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)から2つのイソシアネート基を除いた残基であり、l、nがそれぞれ0であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が150~210(平均値は180)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-8:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ、一般式(2)において、Rが2-エチルヘキシル基であり、R、R10がそれぞれ炭素原子数13の分岐アルキル基であり、aが0であり、bが1である基であり、Rがエチレン基であり、l、nがそれぞれ0であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a’-9:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ炭素原子数12の直鎖アルキル基であり、Rがエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nがそれぞれ0であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a’-10:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ炭素原子数12又は14の分岐アルキル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nがそれぞれ12であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
【0076】
<有機溶媒(b)>
b-1:2-エチルヘキサノール(δd=15.9(MPa)1/2、δp=3.3(MPa)1/2、δh=11.8(MPa)1/2
b-2:エチレングリコールモノブチルエーテル(δd=16.0(MPa)1/2、δp=5.1(MPa)1/2、δh=12.3(MPa)1/2
b-3:ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル(δd=15.6(MPa)1/2、δp=6.1(MPa)1/2、δh=11.0(MPa)1/2
b-4:ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル(δd=15.7(MPa)1/2、δp=6.5(MPa)1/2、δh=10.0(MPa)1/2
b-5:プロピレングリコールモノプロピルエーテル(δd=15.8(MPa)1/2、δp=7.0(MPa)1/2、δh=9.2(MPa)1/2
b-6:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(δd=16.0(MPa)1/2、δp=7.0(MPa)1/2、δh=10.6(MPa)1/2
b-7:ジアセトンアルコール(δd=15.8(MPa)1/2、δp=8.2(MPa)1/2、δh=10.8(MPa)1/2
b’-8:アセトン(δd=15.5(MPa)1/2、δp=10.4(MPa)1/2、δh=7.0(MPa)1/2
b’-9:エチレングリコール(δd=17.0(MPa)1/2、δp=11.0(MPa)1/2、δh=26.0(MPa)1/2
b’-10:メタノール(δd=14.7(MPa)1/2、δp=12.3(MPa)1/2、δh=22.3(MPa)1/2
b’-11:シクロヘキセン(δd=17.2(MPa)1/2、δp=1.0(MPa)1/2、δh=2.0(MPa)1/2
【0077】
アクリル系粒子エマルション1:アクリル系樹脂(d-1)含有量30質量%、水(c-1)含有量70質量%(ジャパンコーティングレジン社製 モビニール(登録商標)1711の水希釈品、回転数10rpmでの粘度:10mPa・s未満)
【0078】
<水系組成物の調製1>
疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー、有機溶媒、水、樹脂を、以下の表2~表11に示す配合比で混合することで、実施例1~54及び比較例1~8の水系組成物を調製した。
【0079】
<粘度測定>
調製した実施例1~54及び比較例1~8の水系組成物について、B型回転粘度計(東機産業社製、TVB-10H)を用いて、25℃条件下で、回転数6rpm、60rpmでの粘度をそれぞれ測定した。測定結果を表2~表11に示す。
【0080】
<TI値の算出>
各水系組成物において、上記で測定された回転数6rpm、60rpmでの粘度の値を用いて、計算式「TI値=[回転数6rpmでの粘度(mPa・s)]/[60rpmでの粘度(mPa・s)]」に基づき、実施例1~54及び比較例1~8の水系組成物のTI値をそれぞれ算出した。算出結果を表2~11に示す。なお本水系組成物において、TI値が3.5~10であれば、優れたチキソトロピー性を有する水系組成物であると言える。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
上記の結果から、本発明の水系組成物は、有機溶媒を含有しつつも、優れた粘度特性とチキソトロピー性を有することがわかる。一方で、一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー以外の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマーを用いた場合は、25℃粘度が低い、TI値が小さいなど、粘度特性やチキソトロピー性に劣る水系組成物であった。
【0092】
<水系組成物の調製2>
以下の疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー、有機溶媒、樹脂、顔料、及び水を用いて調製することができる水系組成物の配合例を、以下の表12~20に示す。
【0093】
<疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー(a)>
a-1:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-デシル-1-テトラデシル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nの値がそれぞれ15~25(平均値はそれぞれ20)であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-4:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ2-テトラデシル-1-オクタデシル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nの値がそれぞれ80~120(平均値はそれぞれ100)であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-7:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ炭素原子数18の直鎖アルキル基であり、Rがエチレン基であり、R、Rがそれぞれ4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)から2つのイソシアネート基を除いた残基であり、l、nがそれぞれ0であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が150~210(平均値は180)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a-8:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ、一般式(2)において、Rが2-エチルヘキシル基であり、R、R10がそれぞれ炭素原子数13の分岐アルキル基であり、aが0であり、bが1である基であり、Rがエチレン基であり、l、nがそれぞれ0であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
a’-10:一般式(1)において、R、Rがそれぞれ炭素原子数12又は14の分岐アルキル基であり、R、R、Rがそれぞれエチレン基であり、R、Rがそれぞれへキシレン基であり、l、nがそれぞれ12であり、xが0~8の数(xの平均値は1.0)であり、mの値が200~300(平均値は250)である疎水変性ポリエーテルウレタンポリマー
【0094】
<有機溶媒(b)>
b-1:2-エチルヘキサノール
b-2:エチレングリコールモノブチルエーテル
b-3:ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル
b-6:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
b’-8:アセトン
b’-9:エチレングリコール
【0095】
樹脂d-2:アクリル系樹脂
樹脂d-3:エポキシ系樹脂
樹脂d-4:ビニル系樹脂
樹脂d-5:スチレン系樹脂
樹脂d-6:スチレン・ブタジエン系ゴム
樹脂d-7:アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム
【0096】
顔料-1:二酸化チタン
顔料-2:カーボンブラック
顔料-3:ステアタイト
顔料-4:シリカ
顔料-5:緑色顔料
顔料-6:青色顔料
顔料-7:アルミニウムフレーク顔料
【0097】
【表12】
【0098】
【表13】
【0099】
【表14】
【0100】
【表15】
【0101】
【表16】
【0102】
【表17】
【0103】
【表18】
【0104】
【表19】
【0105】
【表20】