IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特開-加工装置 図1
  • 特開-加工装置 図2
  • 特開-加工装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173611
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231130BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231130BHJP
   B24B 55/06 20060101ALN20231130BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALN20231130BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
H01L21/304 622Q
H01L21/78 P
H01L21/304 648G
B24B55/06
B23Q17/00 D
B23Q11/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085978
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】有賀 真也
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C047
5F057
5F063
5F157
【Fターム(参考)】
3C011BB11
3C029FF00
3C047FF17
3C047FF19
5F057AA21
5F057AA37
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB05
5F057BB11
5F057BC06
5F057CA25
5F057DA11
5F057DA14
5F057DA38
5F057FA37
5F057FA41
5F063AA15
5F063AA28
5F063BA17
5F063BA33
5F063BA42
5F063BA48
5F063DD02
5F063FF35
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB23
5F157BB45
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF44
5F157CF50
5F157CF54
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DA31
(57)【要約】
【課題】メンテナンスを行うタイミングを装置側で自動的に算出し把握する。
【解決手段】液体供給路を介して液体供給源に接続された圧力ポンプと、流路を介して圧力ポンプに接続されたノズルと、圧力ポンプからノズルへ供給される液体の圧力を計測する圧力計と、プロセッサ及びメモリを有する制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、予め定められた時間間隔Tごとにおいて圧力計を利用して定められる液体の圧力pと、圧力ポンプ及び時間間隔Tに応じて予め定められた使用上限定数Κと、に基づいて、数式(1)を計算し、数式(1)がゼロ以下になるときを、圧力ポンプのメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなす加工装置を提供する。
【数1】
但し、Nは2以上の自然数である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置であって、
液体供給路を介して液体供給源に接続された圧力ポンプと、
流路を介して該圧力ポンプに接続されたノズルと、
該圧力ポンプから該ノズルへ供給される液体の圧力を計測する圧力計と、
プロセッサ及びメモリを有する制御ユニットと、
を備え、
該制御ユニットは、予め定められた時間間隔Tごとにおいて該圧力計を利用して定められる該液体の圧力pと、該圧力ポンプ及び該時間間隔Tに応じて予め定められた使用上限定数Κと、に基づいて、数式(1)を計算し、数式(1)がゼロ以下になるときを、該圧力ポンプのメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなすことを特徴とする加工装置。
【数1】
但し、Nは2以上の自然数である。
【請求項2】
画像を表示する表示装置を更に備え、
該制御ユニットは、数式(1)を時間の次元に換算することで、該目安のタイミングまでの残り時間を算出し、該残り時間を該表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該制御ユニットは、該残り時間を算出する際に、最も直近に測定された該圧力pを利用して、数式(1)を時間の次元に換算することを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
加工装置は、スピンナ洗浄装置であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加工装置。
【請求項5】
加工装置であって、
液体供給路を介して液体供給源に接続された圧力ポンプと、
流路を介して該圧力ポンプに接続されたノズルと、
該圧力ポンプから該ノズルへ供給される液体の圧力を計測する圧力計と、
プロセッサ及びメモリを有する制御ユニットと、
を備え、
該制御ユニットは、
該圧力ポンプ及び第1の時間間隔Tに対応して予め定められる使用上限定数Kから、該第1の時間間隔Tにおいて該圧力計を利用して定められる該液体の圧力pの平方根が減算された第1の値Kを計算し、
該第1の値Kを、該第1の時間間隔Tとは異なる第2の時間間隔Tに応じた値に換算した上で、換算後の該第1の値Kから該第2の時間間隔Tにおいて該圧力計を利用して定められる該液体の圧力pの平方根が減算された第2の値Kを計算し、
該第2の値Kがゼロ以下になるときを、該圧力ポンプのメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなすことを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力ポンプと、流路を介して圧力ポンプに接続されたノズルと、を備える加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、コンピュータ等の電子機器には、半導体デバイスチップが搭載されている。半導体デバイスチップは、例えば、シリコン製のウェーハを加工することで製造される。
【0003】
例えば、まず、ウェーハの表面に格子状に設定された複数のストリートで区画される矩形状の各領域に、IC(Integrated Circuit)等のデバイスを形成し、その後、ウェーハを各ストリートに沿って分割することで、ウェーハはデバイスチップに分割される。
【0004】
ウェーハをデバイスチップに分割する際には、例えば、切削装置を用いてウェーハを切削する。切削装置は、例えば、チャックテーブルと、切削ユニットと、スピンナ洗浄装置と、を備える。
【0005】
切削ユニットは、スピンドルと、スピンドルの先端部に装着された切削ブレードと、を含み、スピンナ洗浄装置は、ウェーハを吸引保持した状態で高速回転可能なスピンナテーブルと、スピンナテーブルに対して洗浄水を噴射するノズルと、を含む。
【0006】
ウェーハを切削する際には、まず、ウェーハの裏面側にウェーハよりも大径のダイシングテープを貼り付けると共に、ダイシングテープの外周部にリングフレームを貼り付けることで、ウェーハがダイシングテープを介してリングフレームで支持されたウェーハユニットを形成する。
【0007】
次いで、ウェーハユニットをチャックテーブルへ搬送し、切削ユニットでウェーハを切削した後、ウェーハは、チャックテーブルからスピンナ洗浄装置へ搬送されて、スピンナ洗浄装置で洗浄される(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
ところで、チャックテーブル及び切削ユニットを有さず、切削装置から独立した態様のスピンナ洗浄装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。スピンナ洗浄装置には、加圧された洗浄水を切削後のウェーハに噴射するために、高圧ポンプ等の圧力ポンプが設けられることがある。
【0009】
圧力ポンプには、シール、パッキン等の消耗部品が使用されている。圧力ポンプを所定時間稼働させて、消耗部品が消耗すると、圧力ポンプが適切に稼働しなくなるので、消耗する前に、適時に消耗部品を交換するメンテナンスを行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003-229382号公報
【特許文献2】特開2009-188296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
圧力ポンプのメンテナンスを行うタイミングを算出する所定の算出式を用いて、オペレータがメンテナンスのタイミングを算出することも考えられるが、計算ミス等の人為的なミスにより、適切なタイミングでメンテナンスを行うことができないという問題がある。
【0012】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、圧力ポンプのメンテナンスを消耗部品が消耗する前の適切なタイミングで実行するために、メンテナンスを行うタイミングを装置側で自動的に算出し把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、加工装置であって、液体供給路を介して液体供給源に接続された圧力ポンプと、流路を介して該圧力ポンプに接続されたノズルと、該圧力ポンプから該ノズルへ供給される液体の圧力を計測する圧力計と、プロセッサ及びメモリを有する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、予め定められた時間間隔Tごとにおいて該圧力計を利用して定められる該液体の圧力pと、該圧力ポンプ及び該時間間隔Tに応じて予め定められた使用上限定数Κと、に基づいて、数式(1)を計算し、数式(1)がゼロ以下になるときを、該圧力ポンプのメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなす加工装置が提供される。
【数1】
但し、Nは2以上の自然数である。
【0014】
好ましくは、加工装置は、画像を表示する表示装置を更に備え、該制御ユニットは、数式(1)を時間の次元に換算することで、該目安のタイミングまでの残り時間を算出し、該残り時間を該表示装置に表示させる。
【0015】
また、好ましくは、該制御ユニットは、該残り時間を算出する際に、最も直近に測定された該圧力pを利用して、数式(1)を時間の次元に換算する。
【0016】
また、好ましくは、加工装置は、スピンナ洗浄装置である。
【0017】
本発明の他の態様によれば、加工装置であって、液体供給路を介して液体供給源に接続された圧力ポンプと、流路を介して該圧力ポンプに接続されたノズルと、該圧力ポンプから該ノズルへ供給される液体の圧力を計測する圧力計と、プロセッサ及びメモリを有する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該圧力ポンプ及び第1の時間間隔Tに対応して予め定められる使用上限定数Kから、該第1の時間間隔Tにおいて該圧力計を利用して定められる該液体の圧力pの平方根が減算された第1の値Kを計算し、該第1の値Kを、該第1の時間間隔Tとは異なる第2の時間間隔Tに応じた値に換算した上で、換算後の該第1の値Kから該第2の時間間隔Tにおいて該圧力計を利用して定められる該液体の圧力pの平方根が減算された第2の値Kを計算し、該第2の値Kがゼロ以下になるときを、該圧力ポンプのメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなす加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る加工装置の制御ユニットは、予め定められた時間間隔Tごとの液体の圧力pと、圧力ポンプ及び時間間隔Tに応じて予め定められた使用上限定数Κと、に基づいて、上述の数式(1)を算出する。
【0019】
制御ユニットは、数式(1)がゼロ以下になるときを、圧力ポンプのメンテナンスを行うべきメンテナンスの目安のタイミングとみなす。この様に、目安のタイミングを装置側で自動的に算出し把握できるので、タイミングを算出する際において計算ミス等の人為的なミスを排除できる。
【0020】
本発明の他の態様に係る加工装置においても同様に、制御ユニットが、圧力ポンプのメンテナンスを行うべきメンテナンスの目安のタイミングを自動的に算出し把握できるので、タイミングを算出する際において計算ミス等の人為的なミスを排除できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】スピンナ洗浄装置の斜視図である。
図2】メンテナンスを行うべき目安のタイミングを説明する図である。
図3】タッチパネルの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、図1を参照し、本実施形態に係るスピンナ洗浄装置(加工装置)2の構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係るスピンナ洗浄装置2の斜視図である。
【0023】
図1に示す、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(前後方向)及びZ軸方向(上下方向、高さ方向)は、互いに直交する。なお、図1では、複数の構成要素を、機能ブロック、線、直方体等で示す。
【0024】
スピンナ洗浄装置2は、2.3MPa以上11.8MPa以下に加圧された洗浄水を用いて加工後のウェーハ11を洗浄する高圧洗浄装置である。スピンナ洗浄装置2は、例えば、切削装置(ダイサー)、バイト切削装置、研削装置(グラインダ)等の各種の加工装置によって加工されたウェーハ11に対して高圧洗浄を行う。
【0025】
ウェーハ11は、シリコン等の半導体材料で形成された円盤状の単結晶基板を含む。ウェーハ11の表面11a側は、格子状に配置された複数のストリート(分割予定ライン)によって、複数の矩形状の領域に区画されている。
【0026】
ウェーハ11の表面11a側の各矩形状の領域には、IC(Integrated Circuit)、LED(Light Emitting Diode)等のデバイスが形成されている。ウェーハ11を各ストリートに沿って分割して個片化することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
【0027】
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えばウェーハ11は、シリコン以外の化合物半導体、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等でなる基板であってもよい。また、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等に制限はない。
【0028】
図1に示すウェーハ11の裏面11b側には、樹脂製で略円形のテープ(例えば、ダイシングテープ)13の中央部が貼り付けられ、テープ13の外周部には、ウェーハ11よりも大径の開口を有する金属製のリングフレーム15の一面が貼り付けられている。
【0029】
この様に、テープ13を介してリングフレーム15でウェーハ11が支持されたフレームユニット17を形成することで、ウェーハ11を単体で扱う場合に比べて、ウェーハ11の搬送等が容易になる。
【0030】
なお、ウェーハ11に代えて、複数のデバイスチップが封止樹脂で封止された短冊状のストリップ基板が、テープ13を介してリングフレーム15で支持されてもよい。
【0031】
ストリップ基板の一面にも格子状に複数のストリートが設定されており、例えば、各ストリートに沿ってストリップ基板を分割すれば、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded package)等のパッケージデバイスが製造される。
【0032】
スピンナ洗浄装置2は、金属で形成された筐体2aを有する。筐体2a内部の前方側(Y軸方向の一方側)には、フレームユニット17を支持する柱状の載置台4が設けられている。載置台4の上面は、XY平面(水平面)と概ね平行な平坦面であり、フレームユニット17を支持する支持面4aを構成している。
【0033】
支持面4aには、位置合わせ機構(不図示)が設けられており、支持面4aへ搬入されたフレームユニット17は、支持面4aの略中央に位置する所定領域4bに位置合わせされる。支持面4aの上方には、搬送ユニット6が設けられている。
【0034】
搬送ユニット6は、Y軸方向移動機構8を備える。Y軸方向移動機構8は、Y軸方向に沿って配置された一対のガイドレール10を備える。一対のガイドレール10には、直方体状の移動ブロック12がガイドレール10に沿ってスライド可能に取り付けられている。
【0035】
移動ブロック12の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられている。ナット部には、一対のガイドレール10の間においてY軸方向に沿って配置されたねじ軸14がボール(不図示)を介して連結されている。ねじ軸14の端部には、ステッピングモータ等のモータ16が連結されている。
【0036】
モータ16でねじ軸14を回転させると、移動ブロック12がガイドレール10に沿ってY軸方向に移動する。移動ブロック12表面には、アーム18の基端部が固定されている。アーム18の先端部には、エアシリンダ20が設けられている。
【0037】
エアシリンダ20は、Z軸方向に沿って移動可能なピストンロッド22を有する。ピストンロッド22の下端部には、直方体状の昇降ブロック24が固定されている。昇降ブロック24の下面側には、平面視でH字状に形成された平板状の支持基台26が固定されている。
【0038】
支持基台26は、XY平面と概ね平行に配置されており、支持基台26の四隅の下面側には、それぞれリングフレーム15を吸引保持する吸引パッド28が設けられている。各吸引パッド28は、チューブ、フレキシブルパイプ等を含む流路30を介して、真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0039】
載置台4へ搬入された後、支持面4aの所定領域4bに位置合わせされたフレームユニット17は、搬送ユニット6により、載置台4の後方側(Y軸方向の他方側)に配置されたスピンナ洗浄ユニット32へ搬送される。
【0040】
スピンナ洗浄ユニット32は、円盤状のスピンナテーブル34を有する。スピンナテーブル34は、金属で形成された円盤状の枠体を有する。枠体の上部には、円盤状の凹部(不図示)が形成されており、この凹部には円盤状の多孔質板が固定されている。
【0041】
多孔質板には、真空ポンプ等の吸引源(不図示)から負圧が伝達される。枠体及び多孔質板の上面は、略面一、且つ、XY平面と略平行であり、テープ13を介してウェーハ11を吸引保持する保持面34aとして機能する。
【0042】
スピンナテーブル34の周囲には、リングフレーム15をそれぞれ挟持するための複数のクランプ34bが設けられている。スピンナテーブル34の下面側には、円柱状の回転軸36の上端部が連結されている。回転軸36はZ軸方向と略平行に配置されている。
【0043】
回転軸36の下部には、モータを構成するロータ、ステータ等が収容された円筒状の回転駆動部38が設けられている。回転軸36はロータに連結されており、回転駆動部38を駆動させると、スピンナテーブル34は、回転軸36と共に高速(例えば、500rpm以上5000rpm以下)で回転する。
【0044】
回転駆動部38には、昇降機構40が連結されている。昇降機構40は、回転駆動部38の側部に固定された複数のエアシリンダ42を備える。複数のエアシリンダ42は、回転駆動部38の周方向に沿って略等間隔に配置されている。
【0045】
各エアシリンダ42を同時に動作させることにより、スピンナテーブル34、回転軸36及び回転駆動部38は、Z軸方向に沿って一体的に昇降する。例えば、フレームユニット17を保持面34aに対して搬入搬出する際には、スピンナテーブル34を上昇位置に配置し、ウェーハ11を洗浄する際には、スピンナテーブル34を下降位置に配置する。
【0046】
スピンナテーブル34の下面側には、回転軸36の上部を囲む様に円筒状のカバー部材44が設けられてる。本実施形態のカバー部材44は、スピンナテーブル34と略同径である。カバー部材44の外側には、カバー部材44の外径と略同径の内径を有する円筒状の内壁部46aが設けられている。
【0047】
内壁部46aの底部の外周部には、環状の底壁部46bが接続されている。また、底壁部46bの外周部には、円筒状の外壁部46cの底部が接続されている。内壁部46a、底壁部46b及び外壁部46cは、水受け部46を構成する。
【0048】
なお、図1では、エアシリンダ42のピストンロッドがロッドカバーから最大限突出することにより、スピンナテーブル34が上昇位置にある。これに対して、エアシリンダ42のピストンロッドがロッドカバーに最大限引込むと(不図示)、スピンナテーブル34が下降位置に位置付けられる。このとき、保持面34aは、外壁部46cの上端と、内壁部46aの上端と、の間の高さ位置にある。
【0049】
水受け部46の底壁部46bには開口が形成されており、この開口には排液管48が連結されている。スピンナ洗浄で使用された洗浄水等は、排液管48を通じてスピンナ洗浄ユニット32から排出される。
【0050】
水受け部46の内側には、ウェーハ11を洗浄するための純水等の洗浄水を噴射するための洗浄ノズル(ノズル)50が設けられている。洗浄ノズル50は、アーム52の先端部に設けられ、その開口が下方を向く様に配置されている。
【0051】
アーム52の先端部は、XY平面において保持面34aの中心の上方を通過する態様で揺動可能である。アーム52の基端部には、アーム52を揺動させるための駆動機構(不図示)が設けられている。
【0052】
洗浄ノズル50は、アーム52等に接続されている所定の流路54を介して圧力ポンプ56に接続されている。本実施形態の圧力ポンプ56は、増圧式のピストンポンプである。しかし、圧力ポンプ56は、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等の他の種類の往復動ポンプであってもよく、他の種類の容積式ポンプであってもよい。
【0053】
圧力ポンプ56には、金属、樹脂等で形成された管部(液体供給路)58を介して液体供給源60が接続されている。液体供給源60は、例えば、工場に設けられている純水生成装置である。液体供給源60は、イオン交換樹脂等を用いて水道水を処理することにより、純水(液体)19を生成する。
【0054】
液体供給源60は、生成された純水19を貯留するタンク(不図示)と、タンクの純水19を例えば0.2MPa程度の圧力で送水するポンプ(不図示)と、を更に含む。なお、液体供給源60は、スピンナ洗浄装置2の圧力ポンプ56に加えて、他の加工装置にも純水19を供給する。
【0055】
液体供給源60から圧力ポンプ56へ送水された純水19は、圧力ポンプ56により2.3MPa以上11.8MPa以下の所定値にまで加圧される。加圧された純水19は、洗浄水として、流路54を介して洗浄ノズル50から噴射される。
【0056】
圧力ポンプ56は、その機械的な動作に起因して、シール、パッキン等が消耗するので、消耗部品が消耗する前に、適時に消耗部品を交換するメンテナンスを行う必要がある。圧力ポンプ56は、所定の吐出圧力で純水19を供給する様に設定されているが、消耗部品の消耗度合等に応じて吐出圧力は常に一定ではなく若干変動し得る。
【0057】
圧力ポンプ56から洗浄ノズル50へ供給される純水19の圧力は、流路54に設けられた液体圧力計(圧力計)62により計測される。液体圧力計62としては、例えば、ダイヤフラム式の液体圧力計を用いることができるが、他の液体圧力計を用いてもよい。
【0058】
液体圧力計62は、圧力ポンプ56から流路54へ供給される純水19の圧力(つまり、圧力ポンプ56の吐出圧力)を常に計測している。本実施形態では、予め定められた時間間隔Tでの圧力ポンプ56の吐出圧力の最大値を圧力pと定める。
【0059】
なお、iは、1以上N以下の自然数であり、Nは2以上の自然数である。また、Tは1分、2分…、1時間(即ち、60分)、2時間(即ち、120分)…等の固定された時間間隔である。後述する様に、本実施形態では、圧力pを利用して圧力ポンプ56のメンテナンスを行うべき目安のタイミングが算出される。
【0060】
図2に示す様に、pは、圧力ポンプ56の使用開始時(基準時、ゼロ時)から最初の時間間隔T経過するまで(即ち[0,T])に測定された最大の圧力値であり、pは、使用開始時から時間間隔Tが経過したタイミングから、更に時間間隔Tが経過するまで(即ち[T,2T])に測定された最大の圧力値である。
【0061】
同様に、pは、使用開始時から時間間隔2Tが経過したタイミングから、更に時間間隔Tが経過するまで(即ち[2T,3T])に測定された最大の圧力値である。この様に、pは、[(i-1)T,iT]に測定された最大の圧力値である。
【0062】
しかし、圧力ポンプ56の吐出圧力は、瞬間的に異常に高い値となることもあるので、液体圧力計62で測定された圧力値から、異常に高い値を除去するフィルタリング処理をした上で、各時間間隔Tでの圧力ポンプ56の吐出圧力の最大値を圧力pとしてもよい。
【0063】
ここで、図1に戻る。流路54には、流路54から分岐する態様で、分岐流路(不図示)が設けられている。この分岐流路には、電磁弁(不図示)が設けられている。電磁弁は、洗浄ノズル50から純水19を噴射する洗浄時には閉状態とされている。
【0064】
しかし、純水19の噴射を停止する際には、電磁弁を開状態とすると共に、圧力ポンプ56から流路54への純水19の供給を停止する。これにより、直前まで流路54内に残留していた純水19を素早く流路54から除去できるので、洗浄ノズル50からの液だれを抑制できる。
【0065】
水受け部46の内側には、乾燥エアを噴射するためのエアノズル64が設けられている。乾燥エアは、洗浄後のウェーハ11を乾燥するたに使用される。エアノズル64は、アーム66の先端部に設けられ、その開口が下方を向く様に配置されている。
【0066】
アーム66の先端部は、XY平面において保持面34aの中心の上方を通過する態様で揺動可能である。アーム66の基端部には、アーム66を揺動させるための駆動機構(不図示)が設けられている。エアノズル64は、アーム66等に形成されている所定の流路(不図示)を介して乾燥エア供給源(不図示)に接続されている。
【0067】
乾燥エア供給源は、例えば、外部からエアを取り込むコンプレッサと、取り込まれたエアから微細なゴミを除去するためのフィルタと、取り込まれたエアの水分を低減するためのミストセパレータと、ごみの除去及び水分の低減を経た乾燥エアを貯めるエアタンクと、を有する。
【0068】
乾燥エア供給源のエアタンクと、エアノズル64と、を接続する管部(不図示)には、電磁弁、流量調整器等が設けられる。なお、乾燥エア供給源は、スピンナ洗浄装置2のエアノズル64に加えて、他の加工装置にも乾燥エアを供給する。
【0069】
上述の載置台4、搬送ユニット6、スピンナ洗浄ユニット32、圧力ポンプ56等は、スピンナ洗浄装置2の筐体2a内に収容されている。筐体2aの前方側面には、タッチパネル68が設けられている。
【0070】
タッチパネル68は、加工条件を入力するための入力装置や、画像を表示するための表示装置として機能する。なお、タッチパネル68に代えて、液晶モニタ等の表示装置が筐体2aの前方側面に設けられ、キーボード、マウス、ジョイスティック等の入力装置が表示装置とは別途に設けられてもよい。
【0071】
筐体2aの頂部の前方側には、LEDランプ等を有する表示灯70が設けられている。表示灯70は、スピンナ洗浄装置2の動作状況を外部に報知する機能を有する。例えば、表示灯70では、異常動作やエラーが発生した場合に赤色のランプが点灯し、通常動作が行われている場合に青色のランプが点灯する。
【0072】
搬送ユニット6、スピンナ洗浄ユニット32、圧力ポンプ56、タッチパネル68、表示灯70等の動作は、制御ユニット72により制御される。制御ユニット72は、筐体2aの内部に配置されている。
【0073】
制御ユニット72は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)74と、メモリ(記憶装置)76と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0074】
メモリ76は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含む。
【0075】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従いプロセッサ74等を動作させることによって、制御ユニット72の機能が実現される。
【0076】
制御ユニット72には、タイムカウンタ、アワーメータ等の時間計測ユニット78が接続されている。時間計測ユニット78は、圧力ポンプ56の稼働時間を計測するために用いられる。
【0077】
時間計測ユニット78は、ケーブル等を用いて制御ユニット72に電気的に接続(所謂、外付け)されてもよく、制御ユニット72を構成するマザーボード(不図示)に一体的に固定することで電気的に接続されてもよい。
【0078】
なお、圧力ポンプ56等の稼働時間を把握できるのであれば、制御ユニット72は、時間計測ユニット78に代えて、リアルタイムに時刻を把握可能な時計機能を利用してもよい。
【0079】
ところで、消耗部品の交換目安時間をH(h)とし、圧力ポンプ56の吐出圧力をp(MPa)とすると、下記の数式(2)が成り立つことが知られている。単位hは時を意味し、1hは、60min(60分)、3600s(3600秒)等に相当する。
【0080】
【数2】
【0081】
数式(2)は、圧力ポンプ56の吐出圧力がp(MPa)であれば、消耗部品を交換することなくH(h)の間は圧力ポンプ56を適切に使用できることを意味している。一例を挙げて具体的に説明すると、pが9.86(MPa)である場合、√pは約3.14であるので、数式(2)からH(h)は2000(h)となる。
【0082】
ここで、数式(2)は、下記の数式(3)と等価である。
【0083】
【数3】
【0084】
数式(3)において、Hやpは可変であるが、6280は固定された値である。見方を変えると、数式(3)は、下記の数式(4)と表現することもできる。数式(4)において、kは4以上の自然数である。
【0085】
【数4】
【0086】
仮に、√p=√p=…=√p=3.14(MPa)であり、且つ、k=2000であるならば、数式(4)の右辺は左辺と等しい。
【0087】
つまり、1(h)(所定の時間間隔T)ごとの圧力pを利用して下記の数式(5)を計算し、数式(5)がゼロ以下になるときが、圧力ポンプ56のメンテナンスを行うべき目安のタイミングであると言える。
【0088】
【数5】
【0089】
上述の説明は、1(h)ごとの圧力pを考えたが、1(h)ごとに圧力pを監視する場合、計算式に基づいて推定されるメンテナンスの目安のタイミングと、メンテナンスを行うべき実際のタイミングと、の間での乖離が大きくなる可能性がある。
【0090】
そこで、1(h)よりも短い時間間隔、例えば、1(min)(所定の時間間隔T)を利用することが考えられる。これにより、推定されるタイミングを、実際のタイミングに近づけることができる。
【0091】
1(min)ごとの圧力pを利用するならば、下記の数式(6)を用いればよい。数式(6)において、376800(min)=6280(h)×60(min/h)である。
【0092】
【数6】
【0093】
同様に、2(min)(所定の時間間隔T)ごとの圧力pを利用するならば、下記の数式(7)を用いればよい。数式(7)において、188400(min)=6280(h)×(60/2)(min/h)である。
【0094】
【数7】
【0095】
また同様に、3(min)(所定の時間間隔T)ごとの圧力pを利用するならば、下記の数式(8)を用いればよい。数式(8)において、125600(min)=6280(h)×(60/3)(min/h)である。
【0096】
【数8】
【0097】
上述の内容を一般化して、本実施形態の制御ユニット72は、予め定められた時間間隔Tごとの圧力pと、使用上限定数Κと、に基づいて、上述の数式(1)を計算し、数式(1)がゼロ以下になるときを、圧力ポンプ56のメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなす。以下に、数式(1)を再度示す。
【0098】
【数1】
【0099】
数式(1)に示す使用上限定数Kは、上述の消耗部品を含む圧力ポンプ56と、時間間隔Tと、に応じて予め定められる。より具体的には、使用上限定数Kは、消耗部品等の影響が予め組み込まれた定数6280と、時間間隔Tの要素(1(h)、1(min)等)を反映する換算式(数式(5)から(8)参照)と、に基づいて定められる。
【0100】
繰り返しとなるが、時間間隔Tが1(h)である場合、数式(5)に示す様に、使用上限定数Kは6280となる。時間間隔Tが1(min)である場合、数式(6)に示す様に、使用上限定数Kは376800となる。
【0101】
時間間隔Tが2(min)である場合、数式(7)に示す様に、使用上限定数Kは188400となり、時間間隔Tが3(min)である場合、数式(8)に示す様に、使用上限定数Kは125600となる。
【0102】
図2は、メンテナンスを行う目安のタイミングを説明する図である。横軸は時間(任意単位)である。上述の様に、圧力pは、予め定められた時間間隔Tでの圧力ポンプ56の吐出圧力の最大値である。なお、図2では、圧力pが得られたタイミングを便宜的に示している。圧力pは、各時間間隔Tの中間時に常に測定されるわけではない。
【0103】
図2は、下記の数式(9)及び数式(10)により表現されるケース(即ち、メンテナンスを行うべき目安のタイミングが、圧力ポンプ56を使用開始時から(N-1)Tが経過時後、且つ、NT経過前である場合)を示している。このタイミングの一例を、図2中に×で示す。
【0104】
【数9】
【0105】
【数10】
【0106】
ところで、数式(1)がゼロ以下になるときを、圧力ポンプ56のメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなすことの一例として、制御ユニット72は、数式(1)を使用して、現時点からメンテナンスを行う目安のタイミングまでの残り時間を算出する。
【0107】
上述の数式(1)は、時間と、圧力の2分1乗と、の積に対応する次元を有するが、制御ユニット72は、数式(1)を時間の次元に換算することで、現時点からメンテナンスを行うべき目安のタイミングまでの残り時間を算出できる。
【0108】
制御ユニット72は、この残り時間を算出する際に、例えば、最も直近に(即ち、時間的に最も現時点に近い時点で)使用された圧力pを利用して数式(1)を時間の次元に換算する。
【0109】
mを2以上N以下の自然数とすると、最も直近に利用した圧力pを用いて、下記の数式(11)により残り時間を算出できる。上述の目安のタイミングや残り時間の算出は、補助記憶装置に記憶されている所定のプログラムをプロセッサで実行することで、制御ユニット72において実現できる。
【0110】
【数11】
【0111】
本実施形態の制御ユニット72は、算出された残り時間をタッチパネル68に表示させる。図3は、タッチパネル68の表示画面の一例を示す図であり、メンテナンスを行うべき目安のタイミングまで残り10(h)であることを示す。なお、残り時間の単位は、h、m、sのいずれもよい。
【0112】
この様に、目安のタイミングをタッチパネル68に表示することで、スピンナ洗浄装置2のオペレータは、余裕をもってメンテナンスの準備ができる。また、目安のタイミングを利用して生産計画の修正等を行うこともできる。
【0113】
なお、制御ユニット72は、目安のタイミングが所定時間(例えば、1(h))以下となった場合、表示灯70の黄色のランプを点灯させ、目安のタイミングが来た場合、表示灯70の赤色を点滅させてもよい。
【0114】
同様に、制御ユニット72は、目安のタイミングが所定時間以下となった場合、タッチパネル68の背景画面を黄色で表示し、目安のタイミングが来た場合、タッチパネル68の背景画面を赤色で表示させてもよい。
【0115】
本実施形態では、メンテナンスを行うべき目安のタイミングをスピンナ洗浄装置2側で自動的に算出し把握できるので、タイミングを算出する際において計算ミス等の人為的なミスを排除できる。
【0116】
(第2の実施形態)第1の実施形態では、予め定められた時間間隔Tを、1時間、1分、2分、3分等のうちの1種類で固定した。しかし、第2の実施形態では、複数の種類の時間間隔Tを使用する。
【0117】
具体的には、予め定められた互いに異なる2つの時間間隔(即ち、第1の時間間隔T及び第2の時間間隔T)を用いる。例えば、第1の時間間隔Tは1分であり、第2の時間間隔Tは2分である。
【0118】
説明を簡単にするために、[0,T]において液体圧力計62を利用して定められる圧力pが9.86(MPa)であり、[T,T]において液体圧力計62を利用して定められる圧力pが9.86(MPa)である場合について考える。
【0119】
この場合、使用上限定数Kは、圧力ポンプ56及び第1の時間間隔Tに対応して376800と予め定められる(上述の数式(6)の説明箇所を参照)。
【0120】
[0,T]における圧力ポンプ56の使用を考慮すれば、使用上限定数Kは、使用上限定数K(即ち、376800)から圧力pの平方根(√9.86≒3.14)が減算された第1の値K(=376800-3.14)となる。
【0121】
次に、[T,T]において、同様に圧力pの平方根を減算するためには、まず、第1の値Kを第2の時間間隔Tに応じた値に換算する。第2の時間間隔Tは2分であるので、第1の値Kは、下記の数式(12)の様に換算される。
【0122】
【数12】
【0123】
この様に換算した上で、換算後の第1の値Kから、第2の時間間隔Tにおいて圧力pの平方根が減算された第2の値Kを計算する。具体的には、第2の値Kは、下記の数式(13)により計算される。数式(13)の二項目の3.14は、√9.86の近似値である。
【0124】
【数13】
【0125】
制御ユニット72は、この様にして得られた第2の値Kがゼロ以下になるときを、圧力ポンプ56のメンテナンスを行うべき目安のタイミングとみなす。勿論、第1の時間間隔Tを複数回連続して使用した後に、第2の時間間隔Tに切り替えてもよい。
【0126】
例えば、第1の時間間隔Tをn回(nは自然数)連続して使用した後に、第1の時間間隔Tを第2の時間間隔Tに切り替える場合、第2の値Kは、下記の数式(14)により計算される。なお、数式(14)では、最初のT、2回目のT…n回目のTでの圧力を、√p11、√p12、…√p1nと表現している。
【0127】
【数14】
【0128】
この様に、互いに異なる第1の時間間隔T及び第2の時間間隔Tを用いても、メンテナンスを行うべき目安のタイミングをスピンナ洗浄装置2側で自動的に算出し把握できる。なお、第1の時間間隔Tを第2の時間間隔Tよりも長くしてもよい。例えば、第1の時間間隔Tを2分とし、第2の時間間隔Tを1分としてもよい。
【0129】
また、互いに異なる3種類以上の時間間隔Tを用いてもよい。勿論、第1の実施形態と同様に、残り時間の算出及び表示を行ってもよい。但し、比較的短い時間間隔T(例えば、1(min))を一貫して利用する方が、よりきめ細かい時間間隔で圧力pを監視できる。
【0130】
ところで、上述の実施形態では、ウェーハ11に対する加工としてスピンナ洗浄のみを行うスピンナ洗浄装置2を説明した。しかし、スピンナ洗浄ユニット32、流路54、圧力ポンプ56、液体圧力計62、時間計測ユニット78等を含む洗浄機構が、他の加工装置と一体的に設けられてもよい。
【0131】
この場合、洗浄機構の動作は、他の加工装置の各構成要素の動作を制御する制御ユニット(不図示)により制御される。この制御ユニットも、プロセッサ及びメモリを有する。メモリに記憶された所定のプログラムを含むソフトウェアに従いプロセッサ等を動作させることで、上述の制御ユニット72と同等の機能が実現される。
【0132】
(第1変形例)例えば、他の加工装置は、洗浄機構を有する切削装置(不図示)である。切削装置は、フレームユニット17の形態でのウェーハ11を吸引保持するための円盤状のチャックテーブル(不図示)を有する。
【0133】
チャックテーブルは、ボールねじ式の第1移動機構により、加工送り方向(例えば、X軸方向)に沿って移動可能に支持されている。チャックテーブルの上方には、切削ユニット(不図示)が配置されている。
【0134】
切削ユニットは、加工送り方向と直交する割り出し送り方向(例えば、Y軸方向)と、加工送り方向及び割り出し送り方向と直交する切り込み送り方向(例えば、Z軸方向)と、に沿って移動可能である。
【0135】
切削ユニットの割り出し送り方向に沿う移動は、例えば、ボールねじ式の第2移動機構(不図示)により実現され、切削ユニットの切り込み送り方向に沿う移動は、例えば、ボールねじ式の第3移動機構(不図示)により実現される。
【0136】
切削ユニットは、割り出し送り方向に沿って長手部が配置されたスピンドルハウジングを有する。スピンドルハウジングには、長手部が割り出し送り方向に沿って配置された円柱状のスピンドルの一部が回転可能に収容されている。
【0137】
スピンドルは、スピンドルハウジング内に設けられたモータ等の回転駆動源により高速で回転可能である。スピンドルの先端部には、円環状の切り刃を有する切削ブレードが装着されている。切削ブレードの切り刃は、XZ平面に沿う様に配置されている。
【0138】
チャックテーブルで吸引保持されたウェーハ11は、切削ユニットにより切削された後、搬送ユニット6と同等の搬送ユニットで洗浄機構へ搬送されて、スピンナ洗浄される。上述の様に、切削装置の制御ユニットは、洗浄機構のメンテナンスを行うべき目安のタイミングを自動的に算出し把握できる。
【0139】
(第2変形例)ところで、他の加工装置は、上述の洗浄機構を有するバイト切削装置(不図示)であってもよい。バイト切削装置は、ウェーハ11を吸引保持するための円盤状のチャックテーブル(不図示)を有する。チャックテーブルは、ボールねじ式の第4移動機構により、加工送り方向(例えば、X軸方向)に沿って移動可能に支持されている。
【0140】
チャックテーブルの上方には、バイト切削ユニット(不図示)が配置されている。バイト切削ユニットは、加工送り方向と直交する高さ方向(例えば、Z軸方向)に沿って移動可能である。バイト切削ユニットの高さ方向に沿う移動は、例えば、ボールねじ式の第5移動機構(不図示)により実現される。
【0141】
バイト切削ユニットは、高さ方向に沿って長手部が配置されたスピンドルハウジングを有する。スピンドルハウジングには、長手部が高さ方向に沿って配置された円柱状のスピンドルの一部が回転可能に収容されている。
【0142】
スピンドルは、スピンドルハウジング内に設けられたモータ等の回転駆動源により高速で回転可能である。スピンドルの下端部には、円盤状のマウントが固定されており、マウントの下面側には、バイト切削ホイールが装着されている。
【0143】
バイト切削ホイールは、マウントの下面側に装着される円環状のホイール基台を有する。ホイール基台の下面側の一部には、ダイヤモンド等で形成された切り刃を有するバイト工具が固定されている。
【0144】
ウェーハ11の裏面11b側に対してバイト切削を施す際には、まず、ウェーハ11の表面11a側をチャックテーブルで吸引保持する。そして、バイト切削ホイールを高速で回転させると共に、チャックテーブルを加工送りする。
【0145】
切り刃の下端がウェーハ11の裏面11b側に接触すると、ウェーハ11の裏面11b側がバイト切削される。バイト切削後のウェーハ11は、搬送ユニットで洗浄機構へ搬送されて、スピンナ洗浄される。上述の様に、バイト切削装置の制御ユニットは、洗浄機構のメンテナンスを行うべき目安のタイミングを自動的に算出し把握できる。
【0146】
(第3変形例)ところで、他の加工装置は、洗浄機構を有するインフィード方式の研削装置(不図示)であってもよい。研削装置は、ウェーハ11を吸引保持するためのチャックテーブル(不図示)を有する。
【0147】
チャックテーブルの下面側には、回転軸36と同様の回転軸が連結されており、チャックテーブルは、回転駆動部38と同様の駆動部により高速で回転可能である。チャックテーブル及び駆動部は、ボールねじ式の第6移動機構により、所定方向(例えば、X軸方向)に沿って移動可能に支持されている。
【0148】
チャックテーブルよりも上方には、研削ユニット(不図示)が配置されている。研削ユニットは、所定方向と直交する研削送り方向(例えば、Z軸方向)に沿って移動可能である。研削ユニットの研削送り向に沿う移動は、例えば、ボールねじ式の第7移動機構(不図示)により実現される。
【0149】
研削ユニットは、研削送り方向に沿って長手部が配置されたスピンドルハウジングを有する。スピンドルハウジングには、長手部が研削送り方向に沿って配置された円柱状のスピンドルの一部が回転可能に収容されている。
【0150】
スピンドルは、スピンドルハウジング内に設けられたモータ等の回転駆動源により高速で回転可能である。スピンドルの下端部には、円盤状のマウントが固定されており、マウントの下面側には、研削ホイールが装着されている。
【0151】
研削ホイールは、マウントの下面側に装着される円環状のホイール基台を有する。ホイール基台の下面側には、各々ブロック状の複数の研削砥石がホイール基台の周方向に沿って略等間隔に配置されている。
【0152】
ウェーハ11の裏面11b側に対して研削を施す際には、まず、ウェーハ11の表面11a側をチャックテーブルで吸引保持し、研削ユニットの下方に配置する。そして、チャックテーブル及び研削ホイールを高速で所定方向に回転させると共に、研削ユニットを下方に移動させる(研削送りする)。
【0153】
これにより、ウェーハ11の裏面11b側が研削される。研削後のウェーハ11は、搬送ユニットで洗浄機構へ搬送されて、スピンナ洗浄される。上述の様に、研削装置の制御ユニットは、洗浄機構のメンテナンスを行うべき目安のタイミングを自動的に算出し把握できる。
【0154】
なお、研削装置は、インフィード方式に代えて、クリープフィード方式を採用してもよい。その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0155】
2:スピンナ洗浄装置(加工装置)、2a:筐体
4:載置台、4a:支持面、4b:所定領域
6:搬送ユニット
8:Y軸方向移動機構
10:ガイドレール
12:移動ブロック
11:ウェーハ、11a:表面、11b:裏面
13:テープ
14:ねじ軸
15:リングフレーム
16:モータ
17:フレームユニット
18:アーム
19:純水(液体)
20:エアシリンダ
22:ピストンロッド
24:昇降ブロック
26:支持基台
28:吸引パッド
30:流路
32:スピンナ洗浄ユニット
34:スピンナテーブル、34a:保持面、34b:クランプ
36:回転軸
38:回転駆動部
40:昇降機構
42:エアシリンダ
44:カバー部材
46:水受け部、46a:内壁部、46b:底壁部、46c:外壁部
48:排液管
50:洗浄ノズル(ノズル)
52:アーム
54:流路
56:圧力ポンプ
58:管部(液体供給路)
60:液体供給源
62:液体圧力計(圧力計)
64:エアノズル
66:アーム
68:タッチパネル
70:表示灯
72:制御ユニット
74:プロセッサ
76:メモリ
78:時間計測ユニット
、p、p、p、p、p(N-1)、p:圧力
K:使用上限定数
T:時間間隔
図1
図2
図3