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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173681
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/28 20060101AFI20231130BHJP
   H01J 37/10 20060101ALI20231130BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20231130BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20231130BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20231130BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/10
H01J37/147 B
H01J37/22 502H
G01B15/00 K
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086108
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健良
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢磨
【テーマコード(参考)】
2F067
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
2F067AA23
2F067AA51
2F067CC17
2F067EE10
2F067HH06
2F067KK04
2F067LL16
2F067NN01
2F067RR25
2F067SS01
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB05
4M106DB20
4M106DH12
4M106DH14
5C101AA03
5C101BB03
5C101EE14
5C101EE22
5C101EE45
5C101EE59
5C101FF02
5C101GG22
5C101HH17
5C101HH61
5C101JJ02
5C101JJ06
5C101KK18
(57)【要約】
【課題】試料の計測に要する時間を短縮し、高スループットで試料を計測することを可能にする。
【解決手段】この荷電粒子線装置は、レシピに対応する補正値テーブルを記憶する記憶装置と、レシピで定められた測定順番に従って試料の複数の測定点に対して測定を実行するコンピュータシステムとを備える。コンピュータシステムは、第1の試料に対してレシピを実行する場合に、第1の試料の複数の測定点の各々における、1以上の撮像条件の調整結果を前記補正値テーブルに記憶させ、第1の試料とは別の第2の試料に対して前記レシピを実行する場合に、複数の測定点の各々において、補正値テーブルに記憶された1以上の撮像条件の調整結果に基づいて撮像条件を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に荷電粒子ビームを照射することによって前記試料を測定する荷電粒子線装置において、
レシピに対応する補正値テーブルを記憶する記憶装置と、
前記レシピで定められた測定順番に従って前記試料の複数の測定点に対して測定を実行するコンピュータシステムと
を備え、
前記コンピュータシステムは、
第1の試料に対して前記レシピを実行する場合に、前記第1の試料の複数の測定点の各々における、1以上の撮像条件の調整結果を前記補正値テーブルに記憶させ、
前記第1の試料とは別の第2の試料に対して前記レシピを実行する場合に、前記複数の測定点の各々において、前記補正値テーブルに記憶された1以上の撮像条件の調整結果に基づいて、前記撮像条件を調整する
ことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、前記第1の試料に対して前記レシピを実行する場合に、前記複数の測定点における前記荷電粒子ビームのフォーカスの補正値を前記補正値テーブルに記憶し、
前記コンピュータシステムは、前記第2の試料に対して前記レシピを実行する場合に、補正値テーブルに記憶されたフォーカスの補正値に基づいて、前記荷電粒子ビームのフォーカスを調整する、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、前記補正値テーブルに記憶された前記フォーカスの補正値に基づいて、前記第2の試料に対し前記荷電粒子ビームのフォーカスを調整する場合に、高速オートフォーカスを実行する、請求項2に記載の荷電粒子線装置。
【請求項4】
前記コンピュータシステムは、前記高速オートフォーカスによるフォーカス調整前後の焦点高さの差分を、前記補正値の誤差として表示手段上に表示させるよう構成されている、請求項3に記載の荷電粒子線装置。
【請求項5】
前記コンピュータシステムは、前記補正値の誤差に基づいて、前記補正値テーブルを更新する、請求項4に記載の荷電粒子線装置。
【請求項6】
前記コンピュータシステムは、前記補正値テーブルに記憶された前記レシピの実行開始からの経過時間に基づいて、フォーカスの補正値の第1修正項を算出し、前記第1修正項に基づいてフォーカス調整を実行する、請求項2に記載の荷電粒子線装置。
【請求項7】
前記コンピュータシステムは、前記補正値テーブルに記憶された前記レシピの実行開始からの温度変化に基づいて、フォーカスの補正値の第2修正項を算出し、前記第2修正項に基づいてフォーカス調整を実行する、請求項2に記載の荷電粒子線装置。
【請求項8】
前記コンピュータシステムは、第1の試料に対して前記レシピを実行した場合に、前記複数の測定点におけるABCCの調整結果を前記補正値テーブルに記憶し、
前記第1の試料とは異なる第2の試料に対して前記レシピを実行した場合に、前記補正値テーブルに記憶されたABCCの調整結果に基づいて、前記第2の試料におけるABCCを調整する、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項9】
前記コンピュータシステムは、第1の試料に対して前記レシピを実行した場合に、前記複数の測定点におけるビームチルト角の調整結果を前記補正値テーブルに記憶し、
前記第1の試料とは異なる第2の試料に対して前記レシピを実行した場合に、前記補正値テーブルに記憶されたビームチルト角の調整結果に基づいて、ビームチルト角を調整する、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項10】
複数の荷電粒子線装置が、ネットワークを介して接続され、
前記コンピュータシステムは、前記複数の荷電粒子線装置のうちの第1の荷電粒子線装置で算出された補正値テーブルを、前記第1の荷電粒子線装置とは別の第2の荷電粒子線装置の記憶装置に前記ネットワークを介して提供し、
前記第2の荷電粒子線装置は、提供された前記補正値テーブルに含まれる補正値に基づいて、前記撮像条件を調整する、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項11】
前記複数の荷電粒子線装置と前記ネットワークを介して接続されるデータステーションを更に備え、
前記データステーションは、前記第1の荷電粒子線装置で算出された前記補正値テーブルを記憶すると共に、前記第2の荷電粒子線装置に提供するよう構成されている、請求項10に記載の荷電粒子線装置。
【請求項12】
前記コンピュータシステムは、前記補正値テーブルを前記レシピ毎に記憶し、前記レシピを実行した場合に、該当するレシピの補正値テーブルに記憶されたビームチルト角の調整結果に基づいて、前記試料に入射する荷電粒子ビームのビームチルト角を調整する、請求項9に記載の荷電粒子線装置。
【請求項13】
前記コンピュータシステムは、前記レシピ毎の補正値テーブルを、前記試料の加工に使用された製造装置毎に記憶し、前記レシピを実行した場合に、該当する前記製造装置の補正値テーブルに記憶されたビームチルト角の調整結果に基づいて、前記ビームチルト角を調整する、請求項12に記載の荷電粒子線装置。
【請求項14】
前記コンピュータシステムは、前記製造装置のメンテナンスからの経過時間に対する関数として補正値テーブルを記憶し、前記試料が前記製造装置で加工された時の前記メンテナンスからの経過時間を前記関数に入力して得られるビームチルト角の調整結果に基づいて、前記ビームチルト角を調整する、請求項13に記載の荷電粒子線装置。
【請求項15】
前記コンピュータシステムは、複数の測定点を測定する場合において、1つ前の測定点と現在の測定点との間の移動距離に従って、前記1つ前の測定点における前記ビームチルト角が設定されるよう、前記ビームチルト角を調整する、請求項12に記載の荷電粒子線装置。
【請求項16】
前記補正値テーブルは、前記試料の加工に使用された製造装置毎に記憶される第1の補正値テーブル、及び荷電粒子線装置毎に記憶される第2の補正値テーブルを含む、請求項1に記載の荷電粒子線装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の各種形状を計測するためのデバイスとして、走査型電子顕微鏡等の荷電粒子線装置が知られている。試料は、一例としては、複数層を重ね合わせて形成される半導体デバイスである。半導体デバイスは一般に、フォトマスクに形成されたパターンをリソグラフィ処理やエッチング処理によりウェハ上に転写する工程を繰り返し、複数の層を重ね合わせることにより製造される。このような製造プロセスにおいて、複数層間の重ね合わせ誤差の管理が歩留まりを向上するために重要となっている。
【0003】
半導体デバイスの近年の微細化の進展に伴い、半導体デバイスの上層と下層の重ね合わせ誤差を高精度に計測する必要性が高まっている。高精度な重ね合わせ誤差の計測の実現のために、走査型電子顕微鏡を用いた検査においても、ウェハ一枚あたりに必要な測定点数が年々増加しており、一測定点あたりの測定時間短縮の要請が高まってきている。
【0004】
測定時間の短縮の要請に応える技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1には、オートフォーカスに要する時間の短縮のため、光学式高さ検出器を用いてウェハの高さ分布を予め取得しておき、各計測点の合焦高さを予測してオートフォーカスを実行する技術が開示されている。しかし、この手法は、ベアウェハを用いて高さ分布を予め取得するものであり、計測時間の短縮のためには十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3542478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、試料の計測に要する時間を短縮し、高スループットで試料を計測することを可能にする荷電粒子線装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、試料に荷電粒子ビームを照射することによって前記試料を測定する荷電粒子線装置において、レシピに対応する補正値テーブルを記憶する記憶装置と、前記レシピで定められた測定順番に従って前記試料の複数の測定点に対して測定を実行するコンピュータシステムとを備える。前記コンピュータシステムは、第1の試料に対して前記レシピを実行する場合に、前記第1の試料の複数の測定点の各々における、1以上の撮像条件の調整結果を前記補正値テーブルに記憶させ、前記第1の試料とは別の第2の試料に対して前記レシピを実行する場合に、前記複数の測定点の各々において、前記補正値テーブルに記憶された1以上の撮像条件の調整結果に基づいて、前記撮像条件を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、試料の計測に要する時間を短縮し、高スループットで試料を計測することを可能にする荷電粒子線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図2】記憶装置120に記憶される補正値テーブルの一例を示す。
図3】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明するフローチャートである。
図4】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明するフローチャートである。
図5】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明する概略図である。
図6】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明するフローチャートである。
図7】第2の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図8】第2の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図9】第6の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図10】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図11】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図12】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図13】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図14】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図15】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置の動作を説明するフローチャートである。
図16】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置の動作を説明するフローチャートである。
図17】第8の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図18】第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図19】第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図20】第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
以下の実施の形態では、荷電粒子線装置の一例として走査電子顕微鏡を用いた例を説明するが、これは本開示の単なる一例であって、本開示は以下説明する実施の形態に限定されるものではない。本開示において荷電粒子線装置とは、荷電粒子線を用いてウェハ等の試料の画像を撮像する装置を広く含むものとする。荷電粒子線装置の一例として、走査型電子顕微鏡を用いた検査装置、レビュー装置、パターン計測装置が挙げられる。また、汎用の走査型電子顕微鏡や、走査型電子顕微鏡を備えたウェハ加工装置やウェハ解析装置にも適用可能である。また、以下で荷電粒子線装置とは、上記の荷電粒子線装置がネットワークで接続されたシステムや上記の荷電粒子線装置の複合装置も含むものとする。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1の概略図を参照して、第1の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。第1の実施の形態の走査電子顕微鏡は、撮像装置101を有すると共に、撮像装置101を制御する制御部118、制御のための各種データを記憶する記憶装置120を備える。
【0014】
撮像装置101は、その内部に電子源102、収束レンズ103、偏向コイル104、対物レンズ105、検出器106、検出器107、静電チャック109、ステージ可動部110、光源121、高さセンサ122、温度センサ123、124を含む。
【0015】
電子源102から射出された一次電子は、収束レンズ103及び対物レンズ105によって収束され、偏向コイル104によってウェハ108(試料)上を二次元的に走査される。電子源102は、高電圧電源111から供給される高電圧により一次電子を発生・射出させる。収束レンズ103は収束レンズ制御部112により制御され、偏向コイル104は偏向コイル制御部114により制御される。また、対物レンズ105の焦点位置は、焦点高さ制御部115により制御される。
【0016】
一次電子の照射によりウェハ108上から発生した信号電子は、運動エネルギーに応じて、二次電子と反射電子に分類され、それぞれ検出器106及び107によって検出される。検出器106及び107からの出力は、画像演算部113に供給され、二次電子及び反射電子に基づく画像の演算・生成が行われる。画像演算部113は、一次電子の走査位置を画素に対応付けられることにより画像を生成する。生成された画像は、制御部118を経て、入出力部119(例えばモニターなど)に送られ、ウェハ108のSEM画像が表示される。
【0017】
静電チャック109及びステージ可動部110は、ウェハ108を搭載するためのステージを構成する。静電チャック109は、検査対象物(試料)であるウェハ108を静電吸着して保持するよう構成される。ステージ可動部110は、ステージ制御部116による制御により制御され、静電チャック109と共にウェハ108を2次元方向に移動可能に構成される。静電チャック109上に静電吸着されたウェハ108の高さは、光源121から照射されウェハ108の表面で反射して高さセンサ122に受光される光に基づいて計測される。また、温度センサ123、124の検出信号は、A/D変換器125でディジタル信号に変換されて制御部118に供給される。
【0018】
制御部118は、高電圧電源111、収束レンズ制御部112、偏向コイル制御部114、焦点高さ制御部115、ステージ制御部116、高さ演算部117を制御するように構成されている。また、制御部118は、画像演算部113、高さ演算部117、及びA/D変換器125から得られた演算データに従い、ウェハ108のパターン等の形状を計測すると共に、ウェハ108の高さや温度等を演算する。撮像装置101は、SEMを構成している。なお、走査型電子顕微鏡には真空容器、ウェハ搬送システム等も搭載されているが、図1では説明の簡単のため図示を省略している。
【0019】
さらに、ウェハ108への一次電子の入射角(ビームチルト角)が所望の角度となるように、一次電子が走査される場合もある。電子源102では高電圧電源111を用いて電子銃の陰極と陽極の間に掛けられた電圧を変更することもでき、加速された電子が放出される。この電圧を加速電圧と呼ぶ。第1の実施の形態の荷電粒子線装置でも、複数の加速電圧条件で一次電子を照射することが可能である。
【0020】
記憶装置120には、レシピ、及びレシピと紐づいた補正値テーブル、ベアウェハ高さ情報Zmap等が記憶される。レシピとは、ウェハ108等の測定を実施する場合において、その測定の実行手順を、測定点の座標や測定条件と共に指定するデータ群である。測定条件とは、視野サイズ、撮像倍率、パターンの設計寸法等を含む情報を指す。以降では、レシピにしたがって1枚のウェハに対して一連の測定を実施することを、単に「レシピを実行する」と記述する。ベアウェハ高さ情報Zmapは、レシピ実行より前に取得されるウェハ108(ベアウェハ)の表面の高さ分布に関する情報である。ベアウェハ高さ情報Zmapの取得方法や活用方法については後述する。
【0021】
図2に、記憶装置120に記憶される補正値テーブルの例を示す。補正値テーブルとは、レシピを実行した際の測定点の順番、座標、焦点高さの調整結果、経過時間、ウェハ温度等を集約したデータ群である。図2に示した項目は一例であり、運用方法によっては、図示以外の項目を追加しても良いし、図示の項目を削除してもよい。
【0022】
次に、図3図6のフローチャート及び概略図を参照して、第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明する。
【0023】
まず、レシピに登録されている補正値取得設定データを読み出す(ステップS301)。この設定についての詳細な説明は後述する。
【0024】
次に、ステップS302において、補正値テーブルを取得するか否かが判定される。例えば、ステップS301で読み出した補正値取得設定データにおいて、補正値テーブルを取得する選択となっていた場合、もしくは実行するレシピに紐づく補正値テーブルが記憶装置120中に存在しない場合、補正値テーブルを取得するフロー(ステップS303)に移行する。一方、補正値テーブルを取得する設定になっていない場合は、既に取得されている補正値テーブルを、レシピに従った測定の結果に反映させる補正値反映フロー(ステップS304)を実行する。
【0025】
図4のフローチャートを参照して、補正値取得フロー(ステップS303)の詳細を説明する。ここでは、補正値(ΔOBJ(i))を算出するために必要な処理について説明する。以降の説明において、レシピに登録された測定点の数をn点とし、説明に使用する変数i(=1、2、3…、n)は、レシピ内の任意の測定点の順番を示す。
【0026】
まず、レシピに登録されているi番目の測定点に、一次電子が照射できるよう、ステージ可動部110を駆動する(ステップS401)。ステージ可動部110は、ステージ制御部116からの制御信号により所望の位置に移動させることできる。ウェハ108は静電チャック109により静電吸着されて強力に保持されているため、ウェハ108はステージ可動部110を移動させてもステージ可動部110から離れることはない。
【0027】
次に、ステップS401で移動した測定点において適切な明るさの画像を取得するために、明るさ及びコントラストの制御(ABCC:Automatic Brightness and Contrast Control)を実施する(ステップS402)。このABCCは、画像演算部113における画像信号の増幅率を調整する処理として実行され得る。ABCCの調整は、明るさ調整値(ブライトネス値)とコントラスト調整値(コントラスト値)を、ウェハ108の材料や、ウェハ108の帯電状態等によって決定することによって行うことができる。
【0028】
次に、i番目の測定点の測定が終了する時刻T(i)のデータを取得する(ステップ403)。そして、1番目の測定点の測定が終了してからi番目の測定点の測定が終了するまでの経過時間ΔT(i)(=T(i)-T(1))を計測する。
【0029】
次に、ウェハ108の温度W(i)を測定する(ステップS404)。ウェハ108の温度は、センサ123、124で計測することができ、温度の計測信号(アナログ信号)は、A/D変換器125にてデジタルデータに変換される。
【0030】
次に、ベアウェハ高さ情報Zmapを読み出して、i番目の測定点でのウェハ高さZ(i)を予測し、一次電子の焦点高さを調整する(ステップS405)。ベアウェハ高さ情報Zmapの取得方法を以下に示す。ウェハ108(ベアウェハ)の面内の任意の点の高さを計測する場合、光源121からウェハ108の当該任意の点に対して斜めに光を照射する。当該任意の点で反射した照射光は高さセンサ122に入射する。この高さセンサ122で得られた信号を高さ演算部117でウェハ108の高さ情報に変換する。このような計測をウェハ108の全面において、平面上に任意の間隔で実施することにより、ウェハ108の面内の高さ分布を取得し、その測定結果の集合をベアウェハ高さ情報Zmapとして取得することができる。ベアウェハ高さ情報Zmapは記憶装置120に記憶され、レシピ実行の際に読み出される。ベアウェハ高さ情報Zmapの取得の際に計測の対象とされるウェハ108は、何の加工もされていないベアウェハである。ベアウェハを用いる理由としては、光源121から照射された光が表面パターンにより散乱され、正確に高さを計測することが困難になるためである。
【0031】
次に、オートフォーカスを実行して、一次電子がウェハ108上に合焦するよう焦点高さOBJ(i)を調整する(ステップS406)。オートフォーカスとは、ウェハ108の表面に一次電子が合焦するように、例えば焦点高さ制御部115の制御により、対物レンズ105の焦点位置を自動的に制御する動作である。ベアウェハ高さ情報Zmapに従った一次電子の焦点高さZ(i)から距離d1だけ離れた位置を初期位置として、焦点高さを変えながら複数枚の画像を取得する。それらの複数の画像の先鋭度を比較し、最適な焦点高さを算出し、焦点高さ制御部115により対物レンズの電流を制御しウェハ108に合焦する焦点高さOBJ(i)を設定する。
【0032】
次に、ベアウェハ高さ情報Zmap反映後の一次電子の焦点高さZ(i)と、オートフォーカス実行後の一次電子の焦点高さOBJ(i)の差分としての調整値ΔOBJ(i)(=OBJ(i)-Z(i))を算出する(ステップS407)。
【0033】
次に、i番目の測定点の座標(X(i)、Y(i))を取得する(ステップS408)。そして、そのi番目の測定点についての得られた各種データ(座標、調整値ΔOBJ(i)、経過時間ΔT(i)、ウェハ温度W(i))を、補正値テーブルに書き込む(ステップS409)。
【0034】
続いて、レシピに登録された測定条件に従ってウェハ108を撮像し、及び各種測定、例えばウェハ108の上層と下層の間の重ね合わせ誤差の測定を実施する(ステップS410)。全部の測定点に関し終了するまで上記の手順が繰り返される(ステップS411)。
【0035】
図5は、レシピ内のi-1番目の測定点とi番目の測定点の測定中における焦点高さOBJの変化の一例を示す模式図である。図5の上段の図はウェハ108と静電チャック109の平面図を示しており、中段の図はその縦断面図を示している。また、下段のグラフは、i-1番目の測定点と、i番目の測定点との間での焦点高さOBJの変化を示すグラフである。
【0036】
図5の中段の図に示すように、ウェハ108は、製造工程中のCMPやエッチングなどにより、その面内の高さ分布が均一ではないことがあり得る。また、静電チャック109は、撮像装置101への組付け時に完全に水平に組付けられていないことがあり得る。
【0037】
図5の下段の図に示すように、i番目の測定点では、ベアウェハ高さ情報Zmapの反映により静電チャック109に起因する高さ変化が補正されて焦点高さZ(i)が得られるが、ウェハ108に起因する高さ変化は補正されずに残る。これは、オートフォーカス動作が実行されることにより補正され、焦点高さOBJ(i)が得られ、調整値ΔOBJ(j)が計算される。
【0038】
図6のフローチャートを参照して、図3のステップS304の補正値反映フローの詳細を説明する。ここでは、図3のステップS303により取得された補正値を反映させる処理について説明する。
【0039】
まず、レシピに登録されているi番目の測定点に、一次電子が照射できるようにステージ可動部110を移動させる(ステップS601)。次に、i番目の測定点において適切な明るさの画像を取得するために、ABCCを実施する(ステップS602)。
【0040】
続いて、i番目の測定点の測定が終了する時刻T’(i)のデータを取得する(ステップ603)。経過時間T’(i)は、通常、ステップS403で取得した経過時間T(i)とすることができる。そして、1番目の測定点の測定が終了してからi番目の測定点の測定が終了するまでの経過時間ΔT’(i)(=T’(i)-T’(1))を計測する。
【0041】
次に、ウェハ温度W’(i)を取得する(ステップS604)。ウェハ温度W’(i)は、通常、ステップS404で取得したウェハ温度データW(i)とすることができる。
【0042】
次に、i番目の測定点に関し、記憶装置120から読み出されたベアウェハ高さ情報Zmapに従い、i番目の測定点のウェハ高さを予測し、その予測に従い、一次電子の焦点高さをZ’(i)に調整する(ステップS605)。続いて、記憶装置120から補正値テーブルを読み出し、i番目の測定点に対応する調整値ΔOBJ(i)を特定し、これを一次電子の焦点高さに反映する(ステップS606)。調整値ΔOBJ(i)を反映後の焦点高さOBJ_x(i)が得られる。
【0043】
このようにして得られた、調整値ΔOBJ(i)の反映後の焦点高さOBJ_x(i)に従って、高速オートフォーカスを実行し、一次電子の焦点高さをOBJ’(i)に調整する(ステップS607)。このオートフォーカス動作は、図4のステップS403のオートフォーカス動作と比べて、初期位置を現在の一次電子の焦点高さからd2(<d1)だけ離すことで実行され得る。初期位置が近い分だけ、より高速に合焦位置に到達することが可能になる。換言すれば、製造プロセスに起因する調整値ΔOBJ(i)を焦点高さに加算した位置からオートフォーカス動作を開始するため、失敗によるオートフォーカスの再実行のリスクを低減し、高速オートフォーカス動作を実現することができる。
【0044】
このようにして補正値テーブルによる補正値を反映した状態で、レシピに登録された測定条件に従って撮像及び測定が実施される(ステップS608)。上記の処理が、レシピに登録された全ての測定点に関し繰り返される(ステップS609)。
【0045】
以上説明したように、第1の実施の形態の走査型電子顕微鏡によれば、製造プロセスに起因する調整値ΔOBJ(i)を焦点高さに加算した位置からオートフォーカス動作を開始するため、失敗によるオートフォーカスの再実行のリスクを低減し、高速オートフォーカス動作を実現することができる。
【0046】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して第2の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。装置の全体構成、及び基本動作は第1の実施の形態(図1図6)と同一であるので、重複する説明は省略し、相違点のみについて説明する。
【0047】
この第2の実施の形態では、補正値テーブルを更新可能に制御部118が構成されている。具体的には、第1の実施の形態と同様にして補正値の反映フロー(図6)を実行した後、調整値ΔOBJ(i)を反映後の焦点高さOBJ_x(i)と、高速オートフォーカス動作実行後の焦点高さOBJ’(i)の差分を誤差E(i)(=OBJ’(i)-OBJ_x(i)として算出する(換言すれば、高速オートフォーカスによるフォーカス調整前後での焦点高さの差分(=OBJ’(i)-OBJ_x(i))を、調整値ΔOBJ(i)の誤差として算出する)。そして、図7に示すように、この誤差E(i)をディスプレイ等において表示する。例えば、図7に示すように、ウェハ108における複数の測定点の位置を示すグラフィック表示と、その複数の測定点の各々におけるドット表示により、誤差E(i)を表示することができる。誤差E(i)の大きさは、図7のように色分けされたドットにより表示することができる。これに替えて、数値やドットの形状の違いにより誤差E(i)を表示することも可能である。この図7の画面の表示のように、誤差E(i)を測定点毎に表示することで、誤差E(i)の分布を確認することができる。
【0048】
オペレータは、このディスプレイの表示により、補正値テーブルの補正値を反映後において生ずる誤差E(i)を確認し、記憶装置120に記憶されている補正値テーブルの補正値の良否を判断する。調整値ΔOBJ(i)が正確でないと判断される場合には、既存の補正値テーブルを破棄し、誤差ΔE(i)を反映した新たな補正値テーブルを取得し直す(更新する)ことができる。図7の画面右下の更新「Yes」のアイコンを押すことで、保存済の補正値テーブルに替えて、測定された誤差ΔE(i)を反映した補正値テーブルを取得することができる。逆に「No」のアイコンが押されることで、保存済の補正値テーブルが引き続き使用され得る。
【0049】
図7は、補正値テーブルの更新の決定をオペレータに選択させる場合の画面を例示したものであるが、この補正値テーブルの更新を、オペレータの選択によらず自動的に実行させるようにしてもよい(自動更新)。また、補正値テーブルは更新せず、最初に生成された補正値テーブルが継続的に使用されるようにしても良い(更新無し)。
【0050】
図8(a)に補正値テーブルの設定に関するGUI画面の一例を示す。このGUI画面は、補正値テーブルの補正値を反映させた後における誤差が所定値以上となった場合に補正値テーブルを自動更新するか(自動更新)、更新前にオペレータに更新するか否かを選択させるか(更新前に確認)、または補正値テーブルを更新しないか(更新しない)を選択させるための画面である。なお、図示の3つ以外の選択肢を追加で表示することもできる。「更新前に確認」が選択されると、図7の画面が表示され、補正値テーブルを更新するか否かをオペレータに選択(Yes又はNo)させることができる。「自動更新」が選択される場合、図7の画面は表示されるが、Yes/Noのアイコンが押されることなく、補正値テーブルが自動的に更新され、更新がされた旨がディスプレイ画面上に表示される。
【0051】
図8(b)は、補正値テーブルの設定に関するGUI画面の別の例を示す。このGUI画面では、補正値テーブルの「自動更新」、「更新確認」、「更新無し」を選択することに加え、補正項目を選択する画面も表示している。この図示の例では、フォーカスに加え、ABCC、ビームチルト角に関する補正も実施するか否かを選択可能にされている。
【0052】
以上説明したように、この第2の実施の形態によれば、補正値テーブルを自動的に、またはオペレータの選択を介して更新可能とされており、第1の実施の形態と比較して更にオートフォーカス動作の高速化を図ることが可能になる。
【0053】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。装置の全体構成、及び基本動作は第1の実施の形態(図1図6)と同一であるので、重複する説明は省略し、相違点のみについて説明する。
【0054】
この第3の実施の形態では、1つのレシピに対して補正値取得フローが複数回実行され、記憶装置120には、1つのレシピについて補正値テーブルが複数個記憶されており、この点において前述の実施の形態と異なっている。j個の補正値テーブルを持っている場合、図6のステップS606で反映する調整値ΔOBJ_ave(i)は、次の[数1]のように、j個の調整値ΔOBJ(i)の加算平均により算出することができる。
【0055】
[数1]
ΔOBJ_ave(i)=(ΔOBJ_1(i)+ΔOBJ_2(i)+・・・+ΔOBJ_j(i))/j
ここで、ΔOBJ_k(i)(k=1,2、…j)は、k個目(k=1、2、・・・、j)の補正値テーブルのi番目の測定点における補正値を示している。均一な平均値とする代わりに、加重平均や中間値を計算することも可能である。
【0056】
このような調整値ΔOBJ_ave(i)を、ウェハ108上の複数の測定点に関して取得し、補正値テーブルが取得され、記憶装置120に記憶される。この補正値テーブルを使用することにより、前述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、レシピ実行の開始前に調整値ΔOBJ_ave(i)を予め作成し、記憶装置120に記憶してもよいし、調整値ΔOBJ_ave(i)は予め計算せず、個々の測定点における処理の途中で並行して調整値ΔOBJ_ave(i)を計算し、適用してもよい。
【0057】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。装置の全体構成、及び基本動作は第1の実施の形態(図1図6)と同一であるので、重複する説明は省略し、相違点のみについて説明する。
【0058】
第4の実施の形態は、補正値テーブルに含まれる調整値ΔOBJ(i)に加え、レシピの実行開始からの経過時間T(i)やウェハ温度W(i)を加味した修正項を用いて焦点高さを算出する構成とされており、この点で前述の実施の形態と異なっている。レシピ実行開始からの経過時間T(i)が異なると、対物レンズ105や各制御部、撮像装置101の温度も変化する。このような温度変化が生じると、一次電子の焦点高さが変化する。
【0059】
経過時間T(i)が複数の測定の間で略同一するのであれば、第1の実施の形態のように、固定の調整値ΔOBJ(i)で十分に補正がなされる。しかし、経過時間T(i)は、オートフォーカスのリトライ回数や計測エラー回数などによって複数の測定間で異なる。このため、固定の調整値ΔOBJ(i)を複数の測定間で用いる場合、高速オートフォーカスの実行が不可能になり、測定の失敗に繋がる虞がある。そこで、調整値ΔOBJ(i)を取得した際の経過時間T(i)と、調整値ΔOBJ(i)を反映させる際の経過時間ΔT’(i)との差分を入力とする関数F(T)を用いて、経過時間による高さ変化の修正項ΔZ_T(i)を以下の[数2]のように算出する。算出したΔ修正項Z_T(i)は、ステップS606の調整値ΔOBJ(i)の反映時において、調整値ΔOBJ(i)に加えて焦点高さに反映され得る。
【0060】
[数2]
ΔZ_T(i)=F(ΔT’(i)-ΔT(i))
【0061】
経過時間T(i)の違いによる温度変化と同様に、ウェハ108や静電チャック109は温度によって反りの状態が変化するため、反りを補正する必要がある。そこで、各測定点の処理中に取得しているウェハ温度W(i)を用いて、高さ変化を把握する必要がある。ウェハ108の中心の座標(X0、Y0)、測定点の座標(X、Y)、ウェハ温度Wを入力とする関数G(X、Y、W、X0、Y0)を用いて、ウェハ108の温度による高さ変化の修正項ΔZ_W(i)を算出する。
【0062】
[数3]
ΔZ_W(i)=G((X’(i)-X(i))、(Y’(i)-Y(i))、(W’(i)-W(i))、X0、Y0)
【0063】
算出した修正項ΔZ_W(i)は、ステップS606の調整値ΔOBJ反映時において、調整値ΔOBJ(i)や修正項ΔZ_T(i)に加えて焦点高さに反映され得る。
【0064】
なお、上述の関数F及びGは、シミュレーションなどを用いて予め決定しても良いし、複数の補正値テーブルの値を用いて最適となるように決定してもよい。また、修正項ΔZ_T(i)やΔZ_W(i)の算出には、ディープラーニングや機械学習等の手法によるAIが用いられてもよい。
【0065】
加えて、上記の説明では、経過時間T(i)の関数Fと、ウェハ温度W(i)及び座標の関数Gとを分けて説明したが、補正値テーブルに記憶される全て、あるいは一部のデータを用いて最適な焦点位置の補正値を算出しても良い。このような多数のパラメータからの最適値の推定には、ディープラーニングや機械学習などの手法によるAIが用いられてもよい。
【0066】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、レシピ中の経過時間T(i)やウェハ温度W(i)を加味した修正項を用いて焦点高さを算出するため、前述の実施の形態に比べても更に高速なオートフォーカス動作を実行することが可能になる。
【0067】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。装置の全体構成、及び基本動作は第1の実施の形態(図1図6)と同一であるので、重複する説明は省略し、相違点のみについて説明する。
【0068】
この第5の実施の形態では、補正値テーブルに基づき、焦点高さの補正に加え、ABCC(ブライトネス値とコントラスト値)や、ビームチルト角についても補正するよう構成されており、この点において前述の実施の形態と異なっている。
【0069】
この第5の実施の形態でも、補正値テーブルを第1の実施の形態と同様に取得し、これを他のウェハでの高速オートフォーカス動作時に反映させる(図3図6)。ABCCの調整結果は、第1の実施の形態と同様に、ステップS402において取得され得る。ただし、この第5の実施の形態では、ステップS402で取得されたABCCのブライトネス値とコントラスト値が、ステップS409におけるデータ書き込み時に補正値テーブルに書き込まれる。その後、図6のステップS602では、補正値テーブルから読み出したブライトネス値とコントラスト値を反映させてABCCを実行する。ABCCの調整結果は、主に試料の帯電状態によって変化することが知られている。そのため、同一の測定順番でレシピを実行する場合には、試料の帯電状態は再現される。したがって、上記のように、同一のウェハで実行され補正値テーブルに書き込まれたABCCの調整の結果を、他のウェハの測定の際に用いることが可能になる。これにより、ABCCに要する時間を短縮することができる。
【0070】
ビームチルト角の補正についても同様である。温度変化によるウェハ108の反りや、測定点の位置の相違によって、最適な入射一次電子のビームチルト角が決まる。ウェハ108のウェハ温度W’(i)、測定点の座標(X、Y)、及びウェハ108の中心の座標(X0、Y0)を入力とする関数H(X、Y、W、X0、Y0)を用いて、基準角度からのビームチルト角調整量ΔTilt(i)を算出することができる。算出した最適ビームチルト角ΔTilt(i)は、例えば図6のステップS602におけるABCC実行時において反映させることができる。
【0071】
[数4]
ΔTilt(i)=H((X’(i)-X(i))、(Y’(i)-Y(i))、(W’(i)-W(1))、X0、Y0)
【0072】
ABCC調整結果やビームチルト角の算出には、ディープラーニングや機械学習等の手法によるAIが用いられてもよい。また、ABCC調整結果やビームチルト角は、他の方法で算出された調整結果を記憶してもよい。また、補正値テーブルが複数ある場合、第3の実施形態で説明した複数の調整値ΔOBJの算出平均と同様に、ABCCやビームチルト角についても算術平均により算出することが可能である。
【0073】
[第6の実施の形態]
次に、図9を参照して、第6の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。装置の全体構成、及び基本動作は第1の実施の形態(図1図6)と同一であるので、重複する説明は省略し、相違点のみについて説明する。
【0074】
この第6の実施の形態は、複数台の荷電粒子線装置(例えば装置A~Cの3台)を備えている点で、前述の実施の形態と異なっている。装置A~Cは、ネットワークを介してデータステーション200と接続されている。
【0075】
データステーション200は、装置A~Cの間の通信を制御する。例えば、装置Aについて保存されている任意のレシピを装置Bに移動もしくはコピーする場合において、すでに装置Aで算出した補正値テーブルが存在するなら、レシピのデータと同様に、当該補正値テーブルも移動又はコピーすることができる。
【0076】
第1の実施の形態で取得した補正値テーブルは、半導体の製造プロセスに起因するウェハの反りや面内高さ分布の偏りであるため、異なる装置A~Cの間でも同じ補正値テーブルの利用が可能である。また、補正値テーブルは、それを取得した装置A~Cにおいて管理することも可能であるが、データステーション200において管理し、適宜装置A~Cに供給することも可能である。
【0077】
[第7の実施の形態]
次に、図10図16を参照して、第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。図10は、第7の実施の形態の走査電子顕微鏡の全体構成を示す概略図である。図10において、図1と同一の構成要素については図1と同一の参照符号を付しているので、重複する説明は省略する。
【0078】
ここの第7の実施の形態の走査型電子顕微鏡は、撮像装置101が、電子源102から発せられた一次電子ビームのチルト角を調整するための傾斜制御コイル126を備えると共に、傾斜制御コイル126を制御するための傾斜制御部127を備えている。また、記憶装置120は、後述するように、ウェハ108を用いた半導体デバイスの製造に使用される半導体製造装置毎に異なるビームチルト角の補正値データを、補正値テーブル内に有している。第7の実施の形態は、第1の実施の形態のような、一次電子ビームのフォーカス位置の調整値ΔOBJ(i)に加え、又はこれに代えて、このようなビームチルト角の補正値データを備えたものである。
【0079】
三次元NAND型フラッシュメモリに代表されるように、三次元化による高集積化が半導体デバイスの分野で進展している。このような三次元デバイスにおいては、深い穴や溝のパターン形状を高精度に計測することのニーズが高まっている。このため、形成された深穴や溝に合わせてビームを傾斜させることにより、穴の底部の観察が可能とされた走査型電子顕微鏡が求められている。例えば、図11左図に示すように、傾斜した深穴601が半導体デバイス(ウェハ108)に形成されている場合、チルト角が略垂直な一次電子ビーム602を使用したのでは、図11右上図のように、底部の一部が隠れてしまうSEM像が得られてしまう。これに対し、深穴601の傾斜に合わせて傾斜したチルト角を有する一次電子ビーム602を用いることで、正確な底部形状計測が可能なSEM像605を得ることができる。
【0080】
深穴の傾斜角は、ウェハ108内の位置に依存して変化する。図12はウェハ108中の異なる位置に形成された深穴611~613の傾斜角の違いを模式的に示している。ウェハ108の中心付近の深穴612は、傾斜角が小さく、一次電子の入射角がほぼ垂直だとしても、深穴612の底部は明瞭に観察することができる(615)。一方、ウェハ108の周縁部に形成された深穴611、613は一般に傾斜角が大きく、一次電子の入射角がほぼ垂直の場合、その底部の全体に一次電子が入射せず、その反射電子も外部に射出しないため、底部の画像を明瞭に観察することができない(614、616)。
【0081】
一般に、半導体工場においては、図13に示すように、通常同一の加工プロセスに対して複数の製造装置(例えばD、Eの2つ)を使用しているが、製造装置D、Eのいずれが使用されたかにより、ウェハ108の表面に形成された深穴の傾斜の分布に違いが生じる。このため、この第7の実施の形態においては、図14に例示するように、各レシピにおいて、異なる製造装置D,E毎に一次電子のビームチルト角(Tilt_X、Tilt_Y)の調整結果を補正値テーブルの一部として記憶しておく。図14の例では、ビームチルト角としてX方向のチルト角Tilt_XとY方向のチルト角Tilt_Yを記憶しているが、チルト角の記憶の形態はこれに限られるものではない。例えば、一次電子のチルト量とチルト方向とを極座標表現により記憶することもできる。
【0082】
次に、図15図16のフローチャートを参照して、第7の実施の形態の荷電粒子線装置における一次電子ビームのチルト角の補正手順を説明する。レシピの実行が開始されると、そのレシピに対応するチルト角の補正値データが記憶装置120中に存在するか(記憶されているか)否かが判断される(ステップS701)。補正値データが無いと判断されれば(No)、そのレシピに設定されている一次電子ビームのチルト角が設定され、当該ウェハ108の計測が開始される(ステップS702)。
【0083】
一方、ステップS701において、そのレシピに対応するチルト角の補正値データが存在すると判断される場合には(Yes)、そのウェハ108が加工された製造装置の補正値が補正値データとして記憶されているか否かを判断する(ステップS703)。該当する製造装置の補正値データが存在する場合には(Yes)、該当製造装置の補正値データを読み出して、そのウェハ108の測定時における一次電子ビームのチルト角の調整に用いる(ステップS704)。一方、該当する製造装置の補正値データが記憶装置120中に存在しないと判断される場合には(No)、他の全ての製造装置の補正値データの平均値が演算され、その平均値に従って、一次電子ビームのチルト角の補正がなされる(ステップS705)。
【0084】
次に、図16を参照して、ステップS702の詳細を説明する。前述のように、選択されたレシピにおいて一次電子ビームのチルト角のための補正値データが存在しない場合には、原則としてそのレシピに設定された設定値に従い、一次電子ビームのチルト角が設定されて当該ウェハ108の測定がなされるが、図16に示すように、複数の測定点の間における移動距離に従い、ビームチルト角を変更することも可能である。すなわち、ある測定点において、1つ前の測定点からの移動距離が閾値未満であるか否かが判定される(ステップS801)。Noの場合には、原則通りレシピの設定値に従い一次電子ビームのチルト角が設定されるが(ステップS802)、Yesの場合には、1つ前の測定点において設定された一次電子ビームのチルト量が設定される(ステップS803)。これは、測定点間の距離が十分に近い場合は、パターン傾斜の差が小さいと考えられるためである。ステップS801の判定がYes、Noのどちらの場合でも、設定されたビームチルト角によるパターン計測を実行し(ステップS804)、測定されたパターンの傾斜を補正値として補正値テーブルに記憶する(ステップS805)。全測定点の測定が完了していればレシピを終了し、測定点が残っていれば次の測定点に移動する(ステップS806)。
【0085】
[第8の実施の形態]
次に、図17を参照して、第8の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。図10は、第7の実施の形態の走査電子顕微鏡の全体構成を示す概略図である。図10において、図1と同一の構成要素については図1と同一の参照符号を付しているので、重複する説明は省略する。
【0086】
この第8の実施の形態は、第7の実施の形態と同様に、一次電子ビームのチルト角の調整を、補正値データに従って実行するように構成されている。ただし、第8の実施の形態では、製造装置のメンテナンスからの経過時間Tmと、その経過時間Tmにおいて形成される深穴の傾斜角TiltHとの関係を示す関数(TiltH=A×Tm+B、A、Bは定数)に従って定まる深穴の傾斜角TiltHを判断し、その判断に従って一次電子のビームのチルト角を調整する。補正値テーブルには、補正値データとして、今までの深穴の傾斜角TiltHの計測結果(TiltH(1)~(N-1))と、そのときのメンテナンスからの経過時間Tmとが格納されている。この補正値データに従って、上記の関係式が、例えば最小二乗法等を用いて定められる。製造装置のメンテナンスからの経過時間がT(N)となった場合に、この関係式から定まる深穴の傾斜角TiltH(N)に従い、一次電子ビームのチルト角が調整される。なお、関係式は、上記のような一次式であってもよいが、それ以外の式であってもよい。
【0087】
[第9の実施の形態]
次に、図18図20を参照して、第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する。装置の全体構成、及び基本動作は前述の実施の形態と同様で良く、その重複した説明は省略する。この第9の実施の形態は、ウェハ108の加工に使用された製造装置毎に記憶される補正値テーブル、及び荷電粒子線装置毎の補正値テーブルの両方を用いて、レシピ実行時のビームチルト角を補正するものであり、この点において前述の実施の形態と異なっている。なお、製造装置毎の補正値テーブル、荷電粒子線装置毎の補正値テーブルを用いて、ビームチルト角を補正することに代えて、又はそれに加えて、焦点高さの補正やABCCの補正を実行することも可能である。
【0088】
ウェハ108に深穴や深溝の加工を行う場合においては、前述したように、製造装置毎にウェハ108の面内での深穴の傾斜角の分布に違いが生じることがある。このため、第7の実施の形態では、各レシピにおいて、異なる製造装置D,E毎に一次電子のビームチルト角(Tilt_X、Tilt_Y)の調整結果を補正値テーブルの一部として記憶する(図14参照)。通常、静電チャック109がウェハ108の反りに与える影響は、製造装置の加工におけるパターン傾斜に比べて小さいと考えられる。しかしながら、高精度な測定が要求される場合には、静電チャック109の影響が無視できなくなる。このため、この第9の実施の形態では、製造装置毎の補正値テーブルに加え、図18に示すような計測装置(荷電粒子線装置)起因の補正値テーブルを記憶装置120に記憶させ、2通りの補正値テーブルに基づき、ビームチルト角の補正を実行する。レシピを実行した場合の、各測定点におけるビームチルト角の補正量(Tilt_x、Tilt_Y)は、図19に示すように、製造装置毎の補正量(TX‐A、TY-A)と、計測装置(荷電粒子線装置)毎の補正量(TX-Z、TY-Z)とを合算した値となる。
【0089】
図20のフローチャートを参照して、第9の実施の形態の荷電粒子線装置における一次電子ビームのチルト角の補正手順を説明する。レシピの実行が開始されると、該当レシピに対応する、当該荷電粒子線装置毎の補正値が記憶装置120中に存在するか否かが確認され(ステップS701)、補正値がなければ(No)、レシピに設定された標準のビームチルト角に一次電子ビームのチルト角が調整される(ステップS702)。
【0090】
一方、該当レシピに対応する当該荷電粒子線装置毎の補正値が記憶装置120中に存在すると判断がされた場合には(Yes)、更にステップS703において、ウェハ108が加工された製造装置に対応する補正値が記憶装置120中に存在するか否かが判断される。そのような補正値が存在すると判断される場合には(Yes)、ステップS706に移行し、当該製造装置毎の補正値に、当該荷電粒子線装置毎の補正量を加算した値を補正値として使用して一次電子ビームのチルト角の補正を実行する(ステップS706)。一方、当該製造装置に対応する補正値が記憶装置120中に存在しないと判断される場合には、全製造装置のチルト角の補正値の平均値を演算し、この平均値と、荷電粒子線装置毎のチルト角の補正値とを加算した値を補正値とする(ステップS707)。そして、レシピに従って得られたウェハ108の深穴の傾斜角の測定値から、荷電粒子線装置毎の補正量を減算した値に従って、記憶装置120に記憶されている製造装置毎の補正値テーブルを更新する(ステップS708)。
【0091】
以上説明したように、この第9の実施の形態によれば、製造装置毎の補正値テーブルと、荷電粒子線装置毎の補正値テーブルとの両方を一次電子ビームのチルト角の調整に用いることができるので、製造装置毎のバラつきを吸収することが出来る。
【0092】
以上、本開示の種々の実施形態を説明したが、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0093】
101…撮像装置、 102…電子源、 103…収束レンズ、 103…収束レンズ、 104…偏向コイル、 105…対物レンズ、 106、107…検出器、 108…ウェハ、 109…静電チャック、 110…ステージ可動部、 111…高電圧電源、 112…収束レンズ制御部、 113…画像演算部、 114…偏向コイル制御部、 115…焦点高さ制御部、 116…ステージ制御部、 118…制御部、 119…入出力部、 120…記憶装置、 121…光源、 122…高さセンサ、 123、124…温度センサ、 125…A/D変換器、 126…傾斜制御コイル、 127…傾斜制御部、 200…データステーション、 601…深穴、 602…一次電子ビーム、 611、612、613…深穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
図1】第1の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図2】記憶装置120に記憶される補正値テーブルの一例を示す。
図3】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明するフローチャートである。
図4】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明するフローチャートである。
図5】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明する概略図である。
図6】第1の実施の形態の荷電粒子線装置における補正値テーブルの補正値の取得・及び補正値の反映のための動作を説明するフローチャートである。
図7】第2の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図8】第2の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図9】第6の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図10】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図11】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図12】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図13】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図14】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図15】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置の動作を説明するフローチャートである。
図16】第7の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置の動作を説明するフローチャートである。
図17】第8の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図18】第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図19】第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置を説明する概略図である。
図20】第9の実施の形態の走査電子顕微鏡(SEM)を用いた荷電粒子線装置 動作を説明するフローチャートである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図4のフローチャートを参照して、補正値テーブル取得フロー(ステップS303)の詳細を説明する。ここでは、補正値(ΔOBJ(i))を算出するために必要な処理について説明する。以降の説明において、レシピに登録された測定点の数をn点とし、説明に使用する変数i(=1、2、3…、n)は、レシピ内の任意の測定点の順番を示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
次に、i番目の測定点の測定が終了する時刻T(i)のデータを取得する(ステップ403)。そして、1番目の測定点の測定が終了してからi番目の測定点の測定が終了するまでの経過時間ΔT(i)(=T(i)-T(1))を計測する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図5の下段の図に示すように、i番目の測定点では、ベアウェハ高さ情報Zmapの反映により静電チャック109に起因する高さ変化が補正されて焦点高さZ(i)が得られるが、ウェハ108に起因する高さ変化は補正されずに残る。これは、オートフォーカス動作が実行されることにより補正され、焦点高さOBJ(i)が得られ、調整値ΔOBJ()が計算される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
続いて、i番目の測定点の測定が終了する時刻T’(i)のデータを取得する(ステップ603)。経過時間T’(i)は、通常、ステップS403で取得した経過時間T(i)とすることができる。そして、1番目の測定点の測定が終了してからi番目の測定点の測定が終了するまでの経過時間ΔT’(i)(=T’(i)-T’(1))を計測する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
この第2の実施の形態では、補正値テーブルを更新可能に制御部118が構成されている。具体的には、第1の実施の形態と同様にして補正値の反映フロー(図6)を実行した後、調整値ΔOBJ(i)を反映後の焦点高さOBJ_x(i)と、高速オートフォーカス動作実行後の焦点高さOBJ’(i)の差分を誤差E(i)(=OBJ’(i)-OBJ_x(i))として算出する(換言すれば、高速オートフォーカスによるフォーカス調整前後での焦点高さの差分(=OBJ’(i)-OBJ_x(i))を、調整値ΔOBJ(i)の誤差として算出する)。そして、図7に示すように、この誤差E(i)をディスプレイ等において表示する。例えば、図7に示すように、ウェハ108における複数の測定点の位置を示すグラフィック表示と、その複数の測定点の各々におけるドット表示により、誤差E(i)を表示することができる。誤差E(i)の大きさは、図7のように色分けされたドットにより表示することができる。これに替えて、数値やドットの形状の違いにより誤差E(i)を表示することも可能である。この図7の画面の表示のように、誤差E(i)を測定点毎に表示することで、誤差E(i)の分布を確認することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
経過時間T(i)が複数の測定の間で略同一するのであれば、第1の実施の形態のように、固定の調整値ΔOBJ(i)で十分に補正がなされる。しかし、経過時間T(i)は、オートフォーカスのリトライ回数や計測エラー回数などによって複数の測定間で異なる。このため、固定の調整値ΔOBJ(i)を複数の測定間で用いる場合、高速オートフォーカスの実行が不可能になり、測定の失敗に繋がる虞がある。そこで、調整値ΔOBJ(i)を取得した際の経過時間T(i)と、調整値ΔOBJ(i)を反映させる際の経過時間ΔT’(i)との差分を入力とする関数F(T)を用いて、経過時間による高さ変化の修正項ΔZ_T(i)を以下の[数2]のように算出する。算出した修正項ΔZ_T(i)は、ステップS606の調整値ΔOBJ(i)の反映時において、調整値ΔOBJ(i)に加えて焦点高さに反映され得る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
経過時間T(i)の違いによる温度変化と同様に、ウェハ108や静電チャック109は温度によって反りの状態が変化するため、反りを補正する必要がある。そこで、各測定点の処理中に取得しているウェハ温度W(i)を用いて、高さ変化を把握する必要がある。ウェハ108の中心の座標(X0、Y0)、測定点の座標(X、Y)、ウェハ温度W(i)を入力とする関数G(X、Y、W、X0、Y0)を用いて、ウェハ108の温度による高さ変化の修正項ΔZ_W(i)を算出する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
ビームチルト角の補正についても同様である。温度変化によるウェハ108の反りや、測定点の位置の相違によって、最適な入射一次電子のビームチルト角が決まる。ウェハ108のウェハ温度W’(i)、測定点の座標(X、Y)、及びウェハ108の中心の座標(X0、Y0)を入力とする関数H(X、Y、W、X0、Y0)を用いて、基準角度からのビームチルト角調整量ΔTilt(i)を算出することができる。算出した最適ビームチルト角調整量ΔTilt(i)は、例えば図6のステップS602におけるABCC実行時において反映させることができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
ABCC調整結果やビームチルト角の算出には、ディープラーニングや機械学習等の手法によるAIが用いられてもよい。また、ABCC調整結果やビームチルト角は、他の方法で算出された調整結果を記憶してもよい。また、補正値テーブルが複数ある場合、第3の実施形態で説明した複数の調整値ΔOBJの算術平均と同様に、ABCCやビームチルト角についても算術平均により算出することが可能である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
101…撮像装置、 102…電子源、 103…収束レンズ、 104…偏向コイル、 105…対物レンズ、 106、107…検出器、 108…ウェハ、 109…静電チャック、 110…ステージ可動部、 111…高電圧電源、 112…収束レンズ制御部、 113…画像演算部、 114…偏向コイル制御部、 115…焦点高さ制御部、 116…ステージ制御部、 118…制御部、 119…入出力部、 120…記憶装置、 121…光源、 122…高さセンサ、 123、124…温度センサ、 125…A/D変換器、 126…傾斜制御コイル、 127…傾斜制御部、 200…データステーション、 601…深穴、 602…一次電子ビーム、 611、612、613…深穴。
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4