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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173809
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0239 20210101AFI20231130BHJP
   H01S 5/02257 20210101ALI20231130BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231130BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20231130BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
H01S5/0239
H01S5/02257
F21S2/00 100
F21V9/32
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086305
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 創一郎
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC12
5F173MC17
5F173MD16
5F173MD29
5F173MD33
5F173MD64
5F173ME22
5F173MF28
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】出射光として利用されない光が出射光に影響することを抑制した発光装置を実現する。
【解決手段】本発光装置は、基部と、前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、を備え、前記波長変換部材は、前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を波長変換した光を出射する出射面と、を有する波長変換部と、前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、前記包囲部は、前記発光素子よりも上方において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、前記突出部は、上面視で、前記出射端面と重なるように配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、
前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、を備え、
前記波長変換部材は、
前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を波長変換した光を出射する出射面と、を有する波長変換部と、
前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、
前記包囲部は、前記発光素子よりも上方において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、
前記突出部は、上面視で、前記出射端面と重なるように配置されている、発光装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記波長変換部材の下面の前記発光素子側の端部よりも前記発光素子側に突出する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記出射面は、前記波長変換部材の上面に設けられ、波長変換された光を上方に出射する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記波長変換部は、上方側では互いに接続し、下方側ではそれぞれが前記入射側面と接続する、第1側面及び第2側面を備え、
前記波長変換部は、前記第1側面及び前記第2側面が前記包囲部に覆われて露出せず、前記入射側面は前記包囲部に覆われずに露出する請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記波長変換部の前記入射側面の少なくとも一部は、前記発光素子から出射される光の光軸よりも下方に位置する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記突出部は、上面視で、前記1または複数の発光素子のそれぞれの前記出射端面に重なるように配置されている、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記突出部は、上面視で、前記1または複数の発光素子のそれぞれの前記出射端面の全体に重なるように配置されている、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項8】
上面視で、前記発光素子から出射する光の光軸に平行な方向において、前記波長変換部の中心から前記突出部の先端までの長さは、前記波長変換部の中心から前記包囲部の前記突出部とは反対側の端部までの長さよりも長い、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項9】
上面視で、前記発光素子から出射する光の光軸に平行な方向において、前記出射端面から前記突出部の先端までの長さは、400μm以下である、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項10】
上面に前記波長変換部材が配置されるサブマウントをさらに備え、
前記サブマウントの上面は、前記発光素子の下面よりも上方には位置しない、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項11】
前記発光素子は、前記波長変換部材が配置される前記サブマウント上に配置されている、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記発光素子と接続するための配線をさらに備え、
上面視で、前記配線は、前記発光素子の中心よりも前記波長変換部材の反対側において、前記発光素子と接合する請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項13】
前記基部と接合し、前記発光素子及び前記波長変換部材を囲む枠部と、
前記枠部に支持され、前記発光素子及び前記波長変換部材が配置される封止空間を形成する蓋部と、をさらに備え、
前記蓋部には、金属膜が設けられ、
上面視で、前記金属膜は、少なくとも一部が前記突出部と重なる、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項14】
前記蓋部の下面は、前記金属膜が設けられない領域に、前記波長変換部の出射面から出射された光を透過させる光透過領域をさらに有し、
上面視で、前記出射端面と前記突出部の端部を結ぶ仮想的な直線上よりも光進行方向反対側に前記金属膜が位置しており、光進行方向側に前記光透過領域は位置する請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
基部と、
前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、
前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、
前記波長変換部材の上方に配置される透光性部材と、を備え、
前記波長変換部材は、
前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を出射する出射面とを有する波長変換部と、前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、
前記包囲部は、前記波長変換部材の上方側において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、
前記透光性部材は、遮光膜が設けられる遮光領域と、遮光膜が設けられない光透過領域を有し、
前記出射端面の上端と、前記突出部の最も前記発光素子側に位置する側面の上端とを結ぶ仮想線が通過する位置に、前記遮光膜が設けられている、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子として半導体レーザ素子を有し、半導体レーザ素子から出射されたレーザ光が反射部材で反射して波長変換部材に入射し、波長変換部により異なる波長に変換される発光装置が開示されている。波長変換された光は、保持部材の貫通孔、透光性部材を通過して外部に出射する。例えば保持部材は、レーザ光の光路がずれた場合の遮光部材としても機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-199850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子から発される光の全てではなく、所望の部分を出射光として利用する場合、出射光として利用されない光が出射光に影響することを抑制するのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、基部と、前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、を備え、前記波長変換部材は、前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を波長変換した光を出射する出射面と、を有する波長変換部と、前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、前記包囲部は、前記発光素子よりも上方において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、前記突出部は、上面視で、前記出射端面と重なるように配置されている。
【0006】
本開示の他の実施形態に係る発光装置は、基部と、前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、前記波長変換部材の上方に配置される透光性部材と、備え、前記波長変換部材は、前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を出射する出射面とを有する波長変換部と、前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、前記包囲部は、前記波長変換部材の上方側において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、前記透光性部材は、遮光膜が設けられる遮光領域と、遮光膜が設けられない光透過領域を有し、前記出射端面の上端と、前記突出部の最も前記発光素子側に位置する側面の上端とを結ぶ仮想線が通過する位置に、前記遮光膜が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、出射光として利用されない光が出射光に影響することを抑制する発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態及び第2実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示す第1実施形態に係る発光装置から蓋部を取り除いた状態の斜視図である。
図3図3は、図2に示す発光装置の上面図である。
図4図4は、図1のIV-IV断面線における第1実施形態に係る発光装置の断面図である。
図5図5は、図1のV-V断面線における第1実施形態に係る発光装置の断面図である。
図6図6は、本開示に係る波長変換部の構造例を示す斜視図である。
図7図7は、本開示に係る波長変換部材の構造例を示す斜視図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII断面線における波長変換部材の断面図である。
図9図9は、図5に示す発光装置について、発光素子及び波長変換部材とその近傍を拡大した拡大断面図である。
図10図10は、図3に示す発光装置について、発光素子及び波長変換部材とその近傍を拡大した拡大上面図である。
図11図11は、図1のXI-XI断面線における第1実施形態に係る発光装置の変形例を示す断面図である。
図12図12は、図1に示すXII-XII断面線において、第2実施形態に係る発光装置について発光素子、波長変換部材、及び透光性部材とその近傍を拡大した拡大断面図である。
図13図13は、図1に示すXIII-XIII断面線において、第2実施形態に係る発光装置の変形例について発光素子、波長変換部材、及び透光性部材とその近傍を拡大した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる。しかし、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が過度に制限されるものではない。例えば、「上面」と記載した場合に、常に上を向くように発明が用いられなければならないわけではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0010】
また、本開示において、三角形や四角形等の多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本開示で記載される"多角形"の解釈に含まれるものとする。
【0011】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸等、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、"辺"の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない"多角形"や"辺"を、加工された形状と区別する場合は"厳密な"を付して、例えば、"厳密な四角形"等と記載するものとする。
【0012】
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置等を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態や変形例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。さらに、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略した模式図を用いたり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態の発光装置は、1又は複数の発光素子と、波長変換部材と、1又は複数の発光素子及び波長変換部材が配置される基部と、を備える。図1から図10を参照して、第1実施形態に係る発光装置200の構造例を説明する。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る発光装置200を例示する斜視図である。図2は、図1に示す発光装置200から蓋部213を取り除いた状態の斜視図である。なお、図2における斜視図においては、説明の便宜上、発光素子220の上面に設けられる金属膜221及び配線270を省略している。図3は、図2に示す発光装置200の上面図である。図4は、図1のIV-IV断面線における発光装置200の断面図である。図5は、図1のV-V断面線における発光装置200の断面図である。なお、説明の便宜上、発光素子220の上面に設けられる金属膜221、サブマウント230の上面に設けられる第1金属膜232a、第2金属膜232b、配線270は省略している。図6は、本開示に係る波長変換部241の斜視図である。図7は、本開示に係る波長変換部材240の斜視図である。図8は、図7のVIII-VIII断面線における波長変換部材240の断面図である。図9は、図5に示す発光装置200について、発光素子220及び波長変換部材240とその近傍を拡大した拡大断面図である。なお、説明の便宜上、発光素子220の上面に設けられる金属膜221、サブマウント230の上面に設けられる第1金属膜232a、第2金属膜232b、配線270は省略している。図10は、図3に示す発光装置200について、発光素子220及び波長変換部材240とその近傍を拡大した拡大上面図である。
【0015】
本実施形態に係る発光装置200は基部211、1又は複数の発光素子220、及び波長変換部材240を備える。図示される例では、発光装置200は、さらに枠部212、蓋部213、サブマウント230、保護素子250、及び配線270を備える。なお、発光装置200は、これらの構成要素の全てを備えなくてもよい。
【0016】
発光装置200の各構成要素について説明する。
【0017】
(基部211)
基部211は、上面211a、及び下面211bを有している。基部211は、上面視で外形が矩形である。この矩形は、長辺と短辺を有する矩形であってよい。なお、上面視における基部211の外形は、矩形でなくてもよい。特に正方形を除外するような言及がされていない限り、矩形には正方形も含まれてよいものとする。
【0018】
基部211は、例えば、金属を主材料として形成することができる。例えば、金属として、銅、銅合金等を用いることができる。なお、基部211を金属以外の主材料から形成してもよく、例えば、セラミックスから形成してもよい。
【0019】
(枠部212)
枠部212は、上面212a、下面212b、1又は複数の内側面212c、1又は複数の外側面212dを有している。枠部212は、例えば、上面視で矩形の枠状である。枠部212の1又は複数の内側面212cは、上面212aと交わり、上面212aから下方に延伸する。枠部212の1又は複数の外側面212dは、枠部212の上面212a及び下面212bと交わる。
【0020】
枠部212は、基部211の上面211aよりも上方、かつ、枠部212の上面212aよりも下方に位置する上面214aを有した段差部214をさらに有してもよい。段差部214は、上面214aに交わり、下方に延伸する内側面をさらに有する。上面214aは、枠部212の1又は複数の内側面212cと交わる。上面214aは、例えば基部211の上面211aと平行であり得る。段差部214の内側面は、例えば、基部211の上面211aと交わる。図示する例において、段差部214は、上面視で、対向する2つの内側面212cに沿ってそれぞれ設けられる。なお、段差部214は、一方の内側面212cのみに沿って設けてもよい。なお、枠部212は、段差部214を有さなくても良い。
【0021】
段差部214の上面214aには、1又は複数の金属膜が設けられ得る。さらに、基部211の下面211b及び/又は枠部212の下面212bに、1又は複数の金属膜が設けられてもよい。段差部214の上面214aに設けられる1又は複数の金属膜と、下面211b及び/又は下面212bに設けられた金属膜とは、例えばビアを通して導通することができる。金属膜には、例えば、Ni/Au(Ni、Auの順で積層した金属膜)やTi/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)などを用いることができる。
【0022】
段差部214は、段差部214の内側面と交わる下面214bをさらに有し得る。下面214bは、上面214aと平行な平面であり得る。下面214bは、枠部212の下面212bよりも上方に位置する。段差部214の下面214bが基部211の上面211aと接合する。図示する例では、枠部212は、下面214bと交わり、下方に延伸する側面をさらに有する。側面は、枠部212の下面212bと交わる。また、側面は、基部211の側面と接し得る。
【0023】
基部211と枠部212は、枠部212の上面212aから基部211の上面211aの方向に窪んだ凹形状を形成する。凹形状は、上面視で枠部212の外形の内側に形成される。上面視で、基部211の上面211aは、枠部212の1又は複数の内側面212c又は/及び段差部214の内側面が形成する枠によって囲まれる。この枠の外形は、長辺と短辺を有する矩形である。図示される例で、基部211と枠部212は、それぞれを別々に形成し、これらを接合して形成される。なお、基部211と枠部212は、一体に形成してもよく、これについては変形例で説明する。
【0024】
枠部212は、例えば、基部211と異なる材料を主材料として形成することができる。枠部212を形成する主材料の例として、セラミックスが挙げられる。例えば、セラミックスとして、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。
【0025】
(蓋部213)
蓋部213は、上面213aと、下面213bと、上面213a及び下面213bと交わる1または複数の側面213cとを有している。1または複数の側面213cは上面213aの外縁と下面213bの外縁とを接続する。蓋部213は、例えば、直方体又は立方体である。この場合、蓋部213の上面213a及び下面213bは何れも矩形であり、蓋部213は4つの矩形の側面213cを有する。
【0026】
ただし、蓋部213は、直方体や立方体には限定されない。すなわち、蓋部213は、上面視で矩形には限定されず、円形、楕円形、多角形等の任意の形状とすることが可能である。
【0027】
蓋部213は枠部212に支持される。蓋部213は、基部211の上面211aの上方に配置されている。蓋部213の下面213bの外周部は、例えば、枠部212の上面212aと接合されている。蓋部213が枠部212に接合されることで、基部211、枠部212、及び蓋部213に囲まれた封止空間が形成される。
【0028】
蓋部213は、所定波長の光を透過させる光透過領域を有する。光透過領域は、蓋部213の上面213aおよび下面213bの少なくとも一部を構成する。蓋部213の光透過領域は、例えば、サファイアを主材料に用いて形成できる。サファイアは、比較的透過率が高く、比較的強度も高い材料である。なお、蓋部213の光透過領域の主材料には、サファイアの他に、例えば、石英、炭化ケイ素、又は、ガラス等を含む透光性の材料を用いてもよい。蓋部213の光透過領域以外の部分は、光透過領域と同一材料により、光透過領域と一体に形成されてもよい。
【0029】
(発光素子220)
図示される発光装置200の例では、1つの発光素子220が搭載されている。発光装置200は、複数の発光素子を搭載してもよい。発光素子220は、例えば、半導体レーザ素子である。発光素子220は、半導体レーザ素子に限らず、例えば、発光ダイオード(LED)や有機発光ダイオード(OLED)などであってもよい。図1図5、及び図9図10に例示的に図示される発光装置200では、発光素子220として、半導体レーザ素子が採用されている。
【0030】
発光素子220は、例えば、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、発光素子220から放射される光の出射端面となる。また、発光素子220の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
【0031】
発光素子220の上面には、金属膜221が設けられていてよい。金属膜221は、例えば他の部材と導通するための配線等が設けられる。図示する例において、発光素子220の上面に設けられる金属膜221は、発光素子220の上面全体には設けられない。発光素子220の上面の長辺方向に延伸するように金属膜221は設けられる。なお、発光素子220の上面には、金属膜221が設けられていなくても良い。
【0032】
ここで、発光素子220が半導体レーザ素子である場合について説明する。発光素子220から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布を示す。
【0033】
発光素子220から出射される楕円形状の光に基づき、楕円形状の長径を通る方向をFFPの速軸方向、楕円形状の短径を通る方向をFFPの遅軸方向とする。発光素子220におけるFFPの速軸方向は、発光素子220の活性層を含む複数の半導体層が積層される積層方向と一致し得る。
【0034】
また、発光素子220のFFPの光強度分布に基づいて、ピーク強度値に対する1/e以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。また、この光強度分布において1/eの強度に相当する角度を拡がり角と呼ぶものとする。FFPの速軸方向における拡がり角は、FFPの遅軸方向における拡がり角よりも大きい。
【0035】
また、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光、と呼ぶものとする。また、FFPの楕円形状の中心を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。
【0036】
発光素子220として、出射される光が青色光である発光素子を用いることができる。「青色光を出射する発光素子」とは、出射される光の発光ピーク波長が、405nm~494nmの範囲にある発光素子を用いることを指すものとする。また、発光素子220として、出射される光のピーク波長が430nm~480nmである発光素子を用いることが好ましい。このような発光素子220としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、又はAlGaNを用いることができる。
【0037】
なお、発光素子220から出射される光の発光ピークは、これに限らなくてよい。例えば、発光素子220から出射される光は、青色光の他に、前述した波長範囲外の波長を有する緑色光、赤色光を含む可視光、紫外光、赤外光であり得る。
【0038】
(サブマウント230)
サブマウント230は、例えば、直方体の形状で構成され、下面、上面、及び、1または複数の側面を有する。また、サブマウント230は上下方向の幅が最も小さい。なお、形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント230は、例えば、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成されるが、他の材料を用いてもよい。
【0039】
図示する例において、サブマウント230の上面には第1金属部231aが、下面には第2金属部231bが設けられている。第1金属部231a及び第2金属部231bを形成する材料として、例えば銅等の金属が挙げられる。上面視で、第1金属部231aの面積は、第2金属部231bの面積より小さい。第1金属部231aはサブマウント230の上面の一部に設けられる。第1金属部231aは、サブマウント230の上面全体には設けられない。図示する例において、第1金属部231aは、上面視で矩形である。サブマウント230の上面が長方形である場合、第1金属部231aは、長方形の長辺方向の一部に沿って設けられる。第1金属部231aは、長方形の対向する2つの短辺のうちの1辺側に寄って位置する。さらに、サブマウント230の下面に、第2金属部231bが設けられる。第2金属部231bは、上面視で、サブマウント230を介して第1金属部231a全体の直下に位置し、後述する第2金属膜232bの少なくとも一部の領域の直下に位置する。
【0040】
第1金属部231aの上に、さらに第1金属膜232aが設けられる。第1金属膜232aは、例えば第1金属部231aの上面の一部に設けられる。図示する例では、第1金属膜232aは、上面視で第1金属部231aの第1金属膜232aが設けられない領域に挟まれるように配置される。上面視で、第1金属膜232aの面積は、第1金属部231aの第1金属膜が設けられていない領域の面積よりも小さい。さらに、サブマウント230の上面において、第1金属部231aが設けられていない領域に、第2金属膜232bが設けられる。上面視で、第2金属膜232bの面積は、第1金属膜232aの面積よりも大きい。第1金属膜232a及び第2金属膜232bは、例えば金などの金属から形成される。
【0041】
サブマウント230に設けられる金属部及び金属膜について記載したが、例えば金属部が設けられず、金属膜のみが設けられていてもよい。ただし、サブマウントの上面及び下面に金属部が設けられることにより、放熱性を向上することができる。特に、第1金属部231aの直上に配置される部材からの熱を効率よく放熱できる。また、第1金属部231a及び第2金属部231bは、第1金属膜232a及び第2金属膜232bよりもサブマウントの上面に垂直な方向の厚さが厚い。
【0042】
(波長変換部材240)
波長変換部材240は、波長変換部241と、包囲部242とを有する。波長変換部241は、上面241aと、上面241aの反対面である下面241bと、複数の側面とを有する。図6は、波長変換部の一例を示す斜視図である。図6の例では、波長変換部241は、複数の側面として、入射側面241i、第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fを備えている。
【0043】
第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fは、上面241aの外縁と下面241bの外縁とに接続する。第3側面241eは、第1側面241c及び第4側面241fとそれぞれ接続する。第4側面241fは、第2側面241d及び第3側面241eとそれぞれ接続する。第1側面241cと第4側面241fは接続しない。第2側面241dと第3側面241eは接続しない。
【0044】
第1側面241c及び第2側面241dは、上方側では互いに接続し、下方側ではそれぞれが入射側面241iと接続する。第1側面241cと第2側面241dは、上面241aと垂直な方向における上面241aと下面241bとの間の中間点よりも上方側で、互いに接続する。また、中間点よりも下方側で、それぞれ入射側面241iと接続する。例えばこの中間点は、入射側面241iの最上点である。入射側面241iの下方側は、下面241bの外縁に接続する。入射側面241iの下方側は、第1側面241cと第2側面241dの接続部分から内側方向に窪んでいる。言い換えると、入射側面241iの下方側は、第1側面241cと第2側面241dの接続部分側から、第3側面241eと第4側面241fの接続部分側に向かって窪んでいる。
【0045】
上面視で、第1側面241cと第4側面241fは、平行であってもよい。また、上面視で、第2側面241dと第3側面241eは、平行であってもよい。また、上面視で、第1側面241cと第2側面241d、第1側面241cと第3側面241e、第3側面241eと第4側面241f、第4側面241fと第2側面241dは、それぞれ垂直であってもよい。
【0046】
波長変換部241には光が照射されるため、波長変換部241の母材は、光の照射により分解されにくい無機材料を主材料に用いて形成することが好ましい。主材料は、例えば、セラミックスである。波長変換部241の主材料がセラミックスである場合、セラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化マグネシウムが挙げられる。セラミックスの主材料は、波長変換部241に熱による変形や変色等の変質が生じないように、融点が1300℃~2500℃の材料を選択することが好ましい。ここで、特定の部材の「主材料」とは、その構成要素において、質量比または体積比で、最も多くの割合を占める材料である。また、「主材料」には、他の材料が含まれない、つまり、主材料のみでその構成要素を形成することも含み得る。なお、波長変換部241はセラミックス以外の材料を主材料として形成されていても良い。
【0047】
波長変換部241は、蛍光体を含む。波長変換部241は、例えば、蛍光体と、酸化アルミニウム等とを焼結させて形成できる。蛍光体の含有量は、セラミックスの総体積に対して0.05体積%~50体積%とすることができる。また、例えば、蛍光体の紛体を焼結させた、実質的に蛍光体のみからなるセラミックスを用いてもよい。また、波長変換部241は、蛍光体の単結晶で形成されてもよい。
【0048】
蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)SiO)、αサイアロン蛍光体、βサイアロン蛍光体等が挙げられる。なかでも、YAG蛍光体は、耐熱性が良好である。
【0049】
包囲部242は、上面242aと、上面242aの反対面である第1下面242b及び第2下面242cと、上面242aの内縁と第1下面242bの内縁とを接続する複数の内側面と、上面242aの外縁と第1下面242bの外縁及び/又は第2下面242cの外縁とを接続する複数の外側面とを有する。包囲部242はさらに、第1下面242bと交わり、第2下面242cと接続する接続側面242dを有する。第2下面242cと接続側面242dは、側面視で、丸みを有する縁部を介して接続する。包囲部242は、複数の内側面において、光に対する反射率が80%以上100%以下であることが好ましい。
【0050】
包囲部242は、波長変換部241の周囲に設けられる。包囲部242は、波長変換部241の入射側面241i以外の側面を被覆する。入射側面241iは、包囲部242に覆われず露出している。図示する例では、入射側面241iは、包囲部242の接続側面242dと接続し、同じ平面上に位置する。包囲部242は、複数の内側面が、波長変換部241の第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fを覆っている。
【0051】
包囲部242の上面242aは、波長変換部241の上面241aと同じ平面上に位置する。同様に、包囲部242の第1下面242bは、波長変換部241の下面241bと同じ平面上に位置する。なお、上面242aは、波長変換部241の上面241aと同じ平面上に位置していなくてもよい。同様に、包囲部242の第1下面242bは、波長変換部241の下面241bと同じ平面上に位置しなくても良い。図示する例において、上面視で、包囲部242の4つの外側面と上面242aが交わる4辺は、いずれも、波長変換部241の上面241aと、4つの側面とが交わる4辺と非平行である。ここでの「非平行」とは、対象の2辺が、5度以上の角度を有することを指すものとする。
【0052】
包囲部242は、さらに、突出部242tを備えている。本明細書においては、包囲部242の、入射側面241iよりも上方側において、入射側面241iに垂直な方向に向かって入射側面241iよりも突出する部分を「突出部242t」とする。また、突出部242tは、入射側面241iよりも、外側に突出している。
【0053】
突出部242tは、包囲部242の上面242aの少なくとも一部と、第2下面242cと、上面242aと第2下面242cを接続する複数の外側面を有する。突出部242tは、第1下面242bを有さない。突出部242tは、包囲部242を入射側面241iの平面部分に平行な平面で、かつ、第1側面241cと第2側面241dの接続部分を通る平面によって二分したときの、接続部分以外で第1側面241c及び第2側面241dと接さない側に位置する部分である。
【0054】
上面視で、入射側面241i及び接続側面242dの面方向における波長変換部材240の両端に亘って、突出部は入射側面241iよりも突出している。突出部242tが有する複数の外側面のうち、入射側面241i及び/又は接続側面242dと同じ方向を向く外側面を突出面242eと呼ぶ。図示する例では、突出面242eは、入射側面241i及び接続側面242dと平行である。突出面242eは、第1下面242b及び上面242aに例えば垂直である。なお、ここでの「平行」とは、対象の2つの面が交わる角度が±5度以内であることを指す。また、ここでの「垂直」とは、対象の2つの面が交わる角度が85度以上95度以下であることを指す。いずれについても、対象の面が交わらない場合においても、それぞれの面を延長した仮想面同士が交わる場合においては、その2つの仮想面が交わる角度が、対象の2つの面が「交わる角度」としてみなせるものとする。
【0055】
包囲部242は、例えば、セラミックスを主材料として形成された焼結体である。主材料に用いられるセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、包囲部242は、セラミックスを主材料としなくてもよい。包囲部242は、例えば、金属や、セラミックスと金属の複合体や、樹脂等を用いて形成されてもよい。
【0056】
波長変換部材240において、波長変換部241と包囲部242は一体的に形成することができる。なお、波長変換部241と包囲部242を別々に形成し、これらを接合して波長変換部材240を形成してもよい。波長変換部241と包囲部242とは、例えば、一体焼結体である。
【0057】
なお、波長変換部材240は、上面に反射防止膜を有してもよい。ここで、波長変換部材240の上面は、波長変換部241の上面241a及び/又は包囲部242の上面242aを指す。図示する例においては、波長変換部材240の上面は、上面241a及び242aを含む。言い換えると、反射防止膜は、波長変換部241の上面241a及び/又は包囲部242の上面242aに設けることができる。また、波長変換部材240は、下面に金属膜が設けられる。ここで、波長変換部材240の下面は、波長変換部241の下面241b及び/又は包囲部242の第1下面242bを指す。図示する例においては、波長変換部材240の下面は、下面241b及び第1下面242bを含む。波長変換部材240の下面は、包囲部242の第2下面242cを含まない。言い換えると、波長変換部241の下面241b及び/又は包囲部242の第1下面242bに、金属膜を有してもよい。また、波長変換部材240は、入射側面241iに、反射膜を有してもよい。
【0058】
(保護素子250)
保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子を保護するための構成要素である。例えば保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子に過剰な電流が流れて破壊されることを防ぐための構成要素である。保護素子250としては、例えば、Siで形成されたツェナーダイオードを使用できる。また例えば、保護素子250は、特定の素子が温度環境によって故障しないように温度を測定するための構成要素であってもよい。このような温度測定素子としては、サーミスタを使用できる。温度測定素子は、発光素子220の出射端面の近くに配置するのがよい。
【0059】
(配線270)
配線270は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、配線270は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。配線270は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。配線270としては、例えば、金属のワイヤを用いることができる。金属としては、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、タングステンなどが挙げられる。
【0060】
(発光装置200)
次に、発光装置200について説明する。
【0061】
1又は複数の発光素子220は、基部211の上面211aに配置される。図示される例では、1つの発光素子220が上面211aに配置される。基部211の上面211aの垂直方向から見る上面視で、発光素子220は、さらに枠部212によって側方を囲まれる。これ以降の「上面視」は、特に言及がない限り、基部211の上面211aの垂直方向における「上面視」を指す。発光素子220は、側方に進む光を出射する。発光素子220から出射される光は、例えば青色光である。なお、発光素子220から出射される光は、青色光に限定されない。また、図示される例において、発光素子220は、半導体レーザ素子である。
【0062】
発光素子220は、基部211の上面211aに配置されたサブマウント230上に載置される。より具体的には、サブマウント230の上面に設けられる第1金属部231aが設けられる領域に配置される。さらに具体的には、発光素子220は、第1金属部231a上に設けられた第1金属膜232aに、例えば金属接着剤を介して接合される。また、サブマウント230は、第2金属部231bが設けられた下面側において、基部211の上面211aに例えば金属接着剤を介して接合される。これらの接合に用いる金属接着剤としては、例えばAuSnが挙げられる。
【0063】
発光素子220は、出射端面が、サブマウント230の1つの側面と同一方向を向くように配置される。また、発光素子220の出射端面は、例えば、枠部212の1つの内側面212c又は1つの外側面212dと平行/垂直であり得る。
【0064】
波長変換部材240は、基部211の上面211aに配置される。波長変換部材240は、発光素子220の側方に配置される。より具体的には、波長変換部材240は、発光素子220から出射され、側方に進行する光が入射する位置に配置される。さらに、波長変換部材240は、発光素子220から側方に出射された光の光軸上に位置する。図示する例において、発光素子220から出射され、波長変換部材240の波長変換部241に入射するまでの間には、出射された光の光軸の方向は変換されない。図示される例において、発光素子220と波長変換部241との間には、他の部材が介在しない。これにより、発光装置200の小型化を実現することができる。なお、発光素子220と波長変換部241との間には、コリメートレンズ等の他の部材を配置しても良い。
【0065】
波長変換部材240は、例えばサブマウント230を介して基部の上面211aに配置される。図示する例において、波長変換部材240は、発光素子220が配置されるサブマウントに配置される。発光素子220と波長変換部材240とを同じサブマウント230上に配置することで、発光素子220と波長変換部材240とを近づけて配置することができる。その結果、発光素子220からの拡がりを有する出射光を効率よく波長変換部材240に入射することができる。また、発光装置200を小型化することができる。なお、波長変換部材240を、発光素子220が配置されるサブマウントとは異なるサブマウントに配置しても良い。その場合には、波長変換部材240が配置されるサブマウントの上面は、発光素子220の下面よりも上方には位置しない。
【0066】
図示する例において、波長変換部材240は、サブマウント230の上面の、第1金属部231aが設けられていない領域に配置される。より具体的には、波長変換部材240の下面に設けられる金属膜と、サブマウント230の上面に設けられる第2金属膜232bとは、例えば金属接着剤を介して接合される。金属接着剤の例として、AuSnが挙げられる。サブマウント230の下面において、波長変換部材240の直下に位置する領域の少なくとも一部に、第2金属部231bの一部が設けられる。言い換えると、波長変換部材240の下面、及び第2金属膜232bは、上面視で、第2金属部231bと重なる。
【0067】
波長変換部材240は、発光素子220の出射端面から出射され、側方に進行する光が入射する入射側面と、入射した光が波長変換された光を出射する出射面を有する。図示する例において、波長変換部241の入射側面241iと、上面241aが、それぞれ入射側面及び出射面になる。波長変換部241の上面241aは、波長変換部241によって発光素子からの光が波長変換された光を上方に出射する。波長変換部材240の包囲部242は、波長変換部241の周囲に設けられる。包囲部242は、波長変換部241に入射し、さらに包囲部242の内側面に入射した光を反射する。包囲部242によって反射された光は、波長変換部241内を進行する。これにより、入射側面241iに入射した光を、効率よく出射面である上面241aから出射させることができる。
【0068】
下面視で、波長変換部241の第1側面241cと下面241bとが交わる辺の延長線と第2側面241dと下面241bとが交わる辺の延長線とは、入射側面241iよりも光進行方向反対側である第2方向側において交わる。言い換えると、2つの延長線は、入射側面241iよりも第2方向側、つまり発光素子220側で交わる。また、下面視で、波長変換部241の第3側面241eと第4側面241fとは、入射側面241iに対して光進行方向側である第1方向、つまり発光素子220とは反対側で交わる。
【0069】
ここで、「第1方向側」及び「第2方向側」について説明する。本明細書において、発光素子220から出射される光の光軸を通る光が進む方向を第1方向と呼ぶ。図示する例においては、発光素子220から出射される光の光軸、及びその仮想的な延長線である仮想線OAを通る光が進む方向を、第1方向とする。また、本明細書では、2つ以上の部材を比較するとき、一方の部材が他方の部材より第1方向の正方向側に位置する場合に、一方の部材が他方の部材よりも「第1方向側」に位置すると言うものとする。反対に、第1方向と反対の方向を「第2方向」と呼び、一方の部材が他方の部材よりも第2方向の正方向側に位置する場合に、一方の部材が他方の部材よりも「第2方向側」に位置すると言うものとする。図示する例では、発光素子220に対して、波長変換部材240は第1方向側に位置し、発光素子220は、波長変換部材240に対して第2方向側に位置する。
【0070】
波長変換部材240が有する包囲部242の突出部242tは、発光素子220よりも上方において、入射側面241iよりも第2方向側(発光素子220側)に突出する。また、突出部242tは、波長変換部材240の下面の第2方向側(発光素子220側)の端部よりも第2方向側(発光素子220側)に突出する。より具体的には、波長変換部241の下面241b、及び/又は包囲部242の第1下面242bの発光素子側の端部よりも第2方向側(発光素子220側)に突出する。突出部242tは、上面視で、発光素子220の出射端面220aと重なるように配置されている。より具体的には、出射端面220aは、突出部242tの第2下面242cと、上面視で重なる。また、突出部242tの突出面242eは、出射端面220aよりも第2方向側に位置する。上面視で、発光素子220の出射端面220aは、突出部242tに隠れて見えない。
【0071】
発光素子220から出射される光のうち、主要部分の光は、側方に進行し、波長変換部241に入射する。より具体的には、発光素子220から出射された光の主要部分が波長変換部241に照射される領域は、入射側面241iに包含される。波長変換部241は、入射した光を波長変換して、上面241aから上方に波長変換された光を出射する。一方で、発光素子220が有する活性層から漏れ出た光の一部、及び/又は発光素子220から出射される光の主要部分の光以外の光の一部は、出射端面220a、及びその近傍から上方に進行する漏れ光となり得る。漏れ光は、波長変換部241には入射しないため、波長変換されずに上方に進行する。前述のように、包囲部242の突出部242tを、上面視で発光素子220の出射端面220aに重なるように配置することで、上方に進行する漏れ光を突出部242tで反射し、発光装置200の外部に出射されることを抑制することができる。波長変換部241に入射して発光装置200から出射する光に波長変換部241に入射しない漏れ光が混じることを抑制できる。これにより、発光素子220の出射光として利用されない光が、波長変換部材240に入射して取り出される光に与える影響を抑制した発光装置200を実現することができる。
【0072】
また、突出部242tは、上面視で、発光素子220の出射端面220aの全体に重なるように配置されていることが好ましい。具体的には、突出面242eが、上面視で出射端面220aよりも第2側に位置する。また、上面視で出射端面220aと平行な方向において、突出面242eの長さは、出射端面220a全体の長さよりも長い。このような配置にすることにより、前述の漏れ光を抑制する効果を向上することができる。また、発光装置200が、複数の発光素子220を備える場合、全ての発光素子220の出射端面220aと、突出部242tは、上面視で重なることが好ましい。これにより、全ての発光素子220の出射端面220aから上方に進行する漏れ光を抑制することができる。また、複数の発光素子220を備える場合、突出部242tは、それぞれの発光素子220の出射端面220a全体と、上面視で重なる。具体的には、突出面242eは、それぞれの出射端面220a全体よりも、第2方向側に位置する。また、上面視で出射端面220aと平行な方向において、突出面242eの長さは、複数の発光素子220のうち、両端に配置された発光素子の出射端面220aのそれぞれの端点同士を結んだ直線よりも長い。図示しないが、上述の「端点同士を結んだ直線」のうち、最も長い直線よりも、突出面242eは長い。
【0073】
ここで、具体例として、発光素子220から出射される光が青色光である場合を説明する。発光素子220から出射された光の主要部分は、側方に出射され、波長変換部241に入射する。波長変換部241に入射した光の一部は、波長変換されて例えば黄色光となり、波長変換部241の上面241aから出射される。黄色光は、波長変換部241に入射した光のうち、波長変換されずに上面241aから出射される青色光と混色し、例えば白色光となり、発光装置200から出射される。一方で、発光素子220の出射端面220aから上方に入射する漏れ光は、青色光であり、発光装置200から出射されて白色光と混色し得る。漏れ光と混色した白色光は、色むらが生じる恐れが有る。包囲部242の突出部242tを、出射端面220aと上面視で重なるように配置することで、漏れ光が、波長変換部241の上面241aからの出射光に干渉し、混色することを抑制することができ、色むらの発生を抑制することができる。
【0074】
図7及び図8に示すように、波長変換部241は、例えば、上面視で、発光素子220から出射する光の光軸が入射側面241iを通過するように配置される。上面視で、波長変換部241の上面241aは、入射側面241iに入射するまでの光軸を通る仮想線OAに対して線対称であってもよい。同様に、上面視で、包囲部242の上面は、仮想線OAに対して線対称であってもよい。
【0075】
図示する例において、仮想線OAは、入射側面241iの、上面211aに垂直な方向における中点を通って、枠部212の内側面212cの1つと交わる。このような構造により、仮に波長変換部241が破損し、発光素子220から側方に出射された光が波長変換部241に入射しなくなったとしても、発光素子220から側方に出射された光は、その光路上に位置する枠部212に当たる。例えば、枠部212の仮想線OAと交わる部分とその近傍を、光を吸収する材料から形成された遮光部とすることで、光は遮光部に吸収され、発光装置200の外部に出射する恐れを低減できる。
【0076】
上面視で、仮想線OAに平行な方向において、波長変換部241の中心から突出部242tの先端までの長さL1は、波長変換部241の中心から包囲部242の突出部242tとは反対側の端部までの長さL2より長い。ここで、波長変換部241の中心とは、上面視で、第1側面241c及び第2側面241dが交わる点と第3側面241e及び第4側面241fが交わる点を結んだ線分の中点である。突出部242tの先端とは、突出面242eと上面242aが交わる辺上から選択される任意の点である。長さL1が長さL2より長いことで、波長変換部241の仮想線OA方向の長さを維持しつつ、突出部242tの、出射端面220aからの第2方向側への長さを大きくすることができるため、発光装置200の外部に出射される漏れ光を一層低減できる。なお、長さL1は長さL2と同じであっても良い。
【0077】
また、上面視で、仮想線OAに平行な方向において、発光素子220の出射端面220aから突出部242tの先端までの長さL3は、0μm以上400μm以下であることが好ましい。長さL3を0μm以上とすることで、突出部242tを出射端面220aと重ねることができ、漏れ光の抑制を実現できる。また、長さL3を400μm以下とすることで、発光素子220と接続するための配線270を配置する領域を確保することができる。
【0078】
発光素子220から出射された光は、波長変換部材240の方向に向かって進行し、包囲部242から露出する波長変換部241の入射側面241iに入射する。波長変換部241の入射側面241iの少なくとも一部は、仮想線OAよりも下方に位置する。これにより、発光素子220から出射された光のうち、仮想線OAよりも下方に進む光を、入射側面241iから効率よく波長変換部241に取り込むことができる。入射側面241iに入射した光に基づき、波長変換部241の上面241aから光が出射される。ここで、入射した光に基づいて出射される光とは、例えば、入射した光であり、また例えば、入射した光が波長変換された光である。
【0079】
発光素子220の出射端面220aは、波長変換部241の入射側面241iと対向する。発光素子220の出射端面220aは、例えば、波長変換部241の入射側面241iと平行になる。波長変換部241の入射側面241iと、出射端面220aとの間の長さは、例えば20μm以上1000μm以下である。また、入射側面241iと突出部242tの第2方向側(発光素子220側)の端部までの長さは、例えば、50μm以上800μm以下である。より好ましくは、100μm以上500μm以下である。100μm以上とすることで、突出部242tの、上方へ進む出射端面220aからの漏れ光を遮光する効果を向上することができる。また、500μm以下とすることで、配線270を接合する発光素子220の上面の領域を確保することができる。
【0080】
発光素子から出射され、入射側面241iから波長変換部241に入射した光は、包囲部242の内側面で反射されて波長変換部241の上面241a側に進み、波長変換部241の上面241aから出射される。これにより、効率的に、上面241aから光を出射させることができる。
【0081】
出射端面220aと交わる発光素子220の2つの側面のうちの一方の側面は、対向する2つの内側面212cの一方又は一方の内側面212cに沿って設けられた段差部214の側面と対向する。出射端面220aと交わる発光素子220の2つの側面のうちの一方の側面は、例えば、一方の内側面212c又は一方の内側面212cに沿って設けられた段差部214の側面と平行になる。出射端面と交わる発光素子220の2つの側面のうちの他方の側面は、他方の内側面212c又は他方の内側面212cに沿って設けられた段差部214の側面と対向する。出射端面と交わる発光素子220の2つの側面のうちの他方の側面は、例えば、他方の内側面212c又は他方の内側面212cに設けられた段差部214の側面と平行になる。段差部214の上面214aは、例えば、基部211の上面211aを基準として、波長変換部241の上面241aの高さよりも低い位置にある。このような高さにすることで、上面241aから上方に出射された光が直接に段差部214に照射されなくなる。
【0082】
段差部214の上面214aは、例えば、基部211の上面211aを基準として、発光素子220の上面の高さよりも高い。
【0083】
発光装置200において、配線270により、発光素子220及び保護素子250が、基部211及び/又は枠部212と電気的に接続される。図示される発光装置200における配線270は、保護素子250をツェナーダイオードとした例であるが、保護素子250が温度測定素子であった場合には、図とは異なる配線の接続となることがある。
【0084】
発光素子220は、配線270を介して、段差部214の上面214aに設けられた金属膜と電気的に接続されている。図示する例において、発光素子220の上面に設けられた金属膜221に、配線270の一端が接合される。発光装置200は、例えば、さらに複数の配線270を有している。複数の配線270には、両端のうちの一端が段差部214の上面214aに接合され、他端がサブマウント230上に接合される配線270が含まれる。図示する例では、他端はサブマウント上に設けられた第1金属部231aの上面に接合される。
【0085】
発光素子220と接続するための配線270は、発光素子220の中心よりも第2方向側(波長変換部材240の反対側)において、発光素子220の上面、及び段差部214の上面214aに設けられた金属膜とに接合される。発光素子220と接続するための配線270をこのように配置することで、上面視で、配線270と突出部242tが重ならない範囲を拡大できるため、突出部242tの第2方向側(発光素子220側)への突出量を大きくすることができる。
【0086】
発光素子220と外部電源との電気的な接続には、例えば、基部211の下面211bに設けられた金属膜を利用することができる。これにより、ビアホールに設けられた金属材料を介して段差部214の上面214aに設けられた金属膜と電気的に接続された枠部212の上面212aの金属膜を介して、発光素子220と外部電源とを電気的に接続できる。
【0087】
蓋部213は、枠部212の上面212aに配置される。詳細には、蓋部213は枠部212の上面212aに支持され、枠部212に囲まれる発光素子220の上方に配置される。蓋部213の下面の外周部は、例えば、枠部212の上面212aと接合される。例えば、蓋部213の下面の外周部に設けられた金属膜と、枠部212の上面212aに設けられた金属膜とがAu-Sn等を介して接合し固定される。
【0088】
蓋部213が枠部212の上面212aに接合されることで、発光素子220及び波長変換部材240が配置される封止空間を形成する。また、この封止空間は、気密封止された状態で形成されてもよい。この封止空間が気密封止されることで、発光素子220の出射端面220aに有機物等が集塵することを抑制できる。
【0089】
蓋部213は、波長変換部241の上面241aから出射された光を透過させて外部に出射させる光透過領域を有する。つまり、波長変換部241の上面241aから蓋部213側に出射された光は、蓋部213の光透過領域を透過して発光装置200の外部に出射されてもよい。蓋部213の全体が光透過領域であってもよい。蓋部213の光透過領域は、発光素子220から出射される光及び波長変換部材240から発せられる光の70%以上を透過させる。
【0090】
(変形例)
次に、図1から図3、及び図11を参照して、変形例に係る発光装置201を説明する。
【0091】
図1は、第1実施形態の変形例に係る発光装置201の斜視図である。図2は、図1に示す発光装置201から蓋部213を取り除いた状態の斜視図である。図3は、図2に示す発光装置201の上面図である。図11は、図1のXI-XI断面線における発光装置201の断面図である。
【0092】
変形例に係る発光装置201は、基部211及び枠部212が一体的に形成されている。また、基部211は、その上面211a側に凸部211tを有する。図示する例において、基部211の上面211aは、凸部211tの上面と、凸部211tの上面よりも下方に位置する上面とを含む。発光素子220は、凸部211tの上面に直接配置される。波長変換部材240は、凸部211tの上面よりも下方に位置する上面に直接配置される。発光素子220及び波長変換部材240は、サブマウント上に配置されない。なお、基部211は、凸部211tを有さなくても良い。
【0093】
一体に形成される基部211及び枠部212に用いられる主材料として、例えば、セラミックスが挙げられる。セラミックスの例は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は炭化ケイ素である。なお、基部211及び枠部212を形成する主材料は、セラミックスに限定されず、例えば銅等の金属から形成しても良い。
【0094】
<第2実施形態>
次に、図1図12図13を参照して、第2実施形態に係る発光装置300を説明する。第2実施形態に係る発光装置300は、その下面313bに遮光膜380を有する透光性部材313を備える点で、第1実施形態に係る発光装置200と相違する。
【0095】
図1は、第2実施形態に係る発光装置300、及び第2実施形態の変形例に係る発光装置301の斜視図である。図12は、図1に示すXII-XII断面線において、第2実施形態に係る発光装置300について発光素子220、波長変換部材240、及び透光性部材313とその近傍を拡大した拡大断面図である。図13は、図1に示すXIII-XIII断面線において、第2実施形態の変形例に係る発光装置301について発光素子220、波長変換部材240、及び透光性部材313とその近傍を拡大した拡大断面図である。
【0096】
まず、各部材について説明する。なお、第1実施形態と重複する内容は、適宜省略する。
【0097】
(透光性部材313)
透光性部材313は、透光性を有する主材料から形成される。ここで、「透光性を有する」とは、特定の波長を有する光の透過率が80%以上であることをいうものとする。透光性部材313を形成する主材料として、例えばサファイアや、酸化ケイ素、窒化ケイ素などのガラスが挙げられる。
【0098】
透光性部材313は、上面と、下面313bと、上面及び下面313bと交わる1または複数の側面とを有している。1または複数の側面は、上面の外縁と下面313bの外縁とを接続する。透光性部材313は、例えば、直方体である。なお、透光性部材313は、直方体に限定されず、例えば多角柱形状を有し得る。
【0099】
透光性部材313は、波長変換部材240及び発光素子の上方に配置される。さらに、図示される例において、透光性部材313は、枠部212に支持される。より具体的には、透光性部材313は、下面313bにおいて、枠部212の上面212aと接合される。ここで、透光性部材313が枠部212に支持される場合、透光性部材313を「蓋部」と呼ぶ場合が有る。この場合の「蓋部」とは、第1実施形態の「蓋部213」と一致する。透光性部材313、枠部212、基部211によって、発光素子220及び波長変換部材240が封止される封止空間が形成される。
【0100】
(遮光膜380)
遮光膜380は、透光性部材313の上面及び/又は下面313bに設けられ得る。図12及び図13に示す例では、透光性部材313の下面313bに遮光膜380が設けられる。
【0101】
遮光膜380は、入射する光を反射又は吸収する部材から形成される。遮光膜380は、金属から形成された金属膜であり得る。金属膜としては、例えば、チタン、アルミニウム、金、銀、銅、プラチナ、クロム、ニッケル、鉄、亜鉛、コバルト、パラジウム、タンタル、タングステン、及びこれらから選択される一種以上の金属を含む合金を用いることができる。なお、遮光膜380として用いられる部材は、金属膜に限定されず、樹脂、SiO、Ta、TiO等の酸化物を用いた誘電体膜、誘電体多層膜のように光を反射又は吸収する部材で形成され得る。
【0102】
(発光装置300)
次に、第2実施形態に係る発光装置300について説明する。第1実施形態と重複する部分は適宜省略し、遮光膜380と波長変換部材240を中心に説明する。
【0103】
図12に示す発光装置300は、第1実施形態と同様に、上面視で、波長変換部材240の突出部242tと、発光素子220の出射端面220aとは重なる。図示する例において、透光性部材313の下面313bに設けられた遮光膜380は、少なくとも一部が突出部242tと重なる。遮光膜380の少なくとも一部が突出部242tと重なることで、発光素子220の出射端面220a付近から漏れ出た光の一部が波長変換部材240よりも上方に達しても、遮光膜380で反射/吸収されるため、発光装置300の外部に出射されることを抑制できる。その結果、色むらが低減され、出射する光の均一性が高い発光装置300を実現できる。図示する例では、発光素子220の出射端面220aと、遮光膜380は、上面視で重ならない。
【0104】
本実施形態において、透光性部材313の下面313bは、遮光膜380が設けられる遮光領域、及び遮光膜380が設けられない光透過領域を有する。光透過領域は、波長変換部241の上面241aから出射された光を透過させる。図12に示すように、側面視で、発光素子220の出射端面220aと上面とが交わる辺上の任意の点と突出部242tの端部を結ぶ仮想的な直線V1(以降、仮想線V1と呼ぶ)上に、遮光領域が位置する。仮想線V1上には、光透過領域は位置しない。このような位置に遮光膜380を設けることで、発光装置300の意図しない領域から光が出射することを抑制できる。透光性部材313の下面313b上において、仮想線V1から第2方向側(発光素子220側)に、遮光領域が位置する。仮想線V1上よりも第1方向側(波長変換部材240側)に、遮光領域及び光透過領域がこの順で位置する。なお、仮想線V1よりも第1方向側(波長変換部材240側)には、遮光領域が設けられていなくてもよい。また、仮想線OA方向において、出射端面220aから30μm以上離れた発光素子220の上面の任意の点と、突出部242tの端部を結ぶ直線上に、遮光領域が位置していても良い。このような位置に遮光領域を設けることで、出射端面220a付近からの漏れ光の遮光を、より向上させることができる。
【0105】
次に、図13を参照して変形例に係る発光装置301を説明する。図13に示す発光装置301は、第2実施形態に係る発光装置300とは異なり、波長変換部材240の突出部242tが、上面視で発光素子220の出射端面220aと重ならないように配置される。この時、遮光膜380は、上面視で、波長変換部材240の突出部242tと少なくとも一部が重なる。また、発光素子220の出射端面220aと、遮光膜380は、上面視で重なる。
【0106】
図13において、発光素子220の出射端面220aの上端と、突出部242tの最も第2方向側(発光素子220側)に位置する側面の上端とを結ぶ仮想的な直線V2(以降、仮想線V2と呼ぶ)が通過する位置に、遮光膜380が設けられてる遮光領域が位置する。仮想線V2上には、光透過領域は位置しない。透光性部材313の下面313b上において、仮想線V2から第2方向側(発光素子220側)に、遮光領域が位置する。仮想線V2上よりも第1方向側(波長変換部材240側)に、遮光領域及び光透過領域がこの順で位置する。なお、仮想線V2よりも第1方向側(波長変換部材240側)には、遮光領域が位置しなくてもよい。
【0107】
このような位置に遮光膜380を設けることで、上面視で、突出部242tが発光素子220の出射端面220aと重ならない場合においても、発光装置301の外部に漏れ光が出射されることを抑制できる。その結果、色むらが低減され、出射する光の均一性が高い発光装置301を実現できる。また、発光素子220の安全性を向上できる。
【0108】
なお、図12、13に示す構造例のいずれの場合においても、遮光膜380は、上面視で波長変換部241の上面241aと重ならない。つまり、上面視で、波長変換部241と光透過領域が重なり、波長変換部241と遮光領域は重ならない。このような配置とすることにより、光透過領域が狭くなり、波長変換部241から出射される光の一部が遮光され、発光装置300、301の光取り出し効率が低下するおそれを抑制することができる。
【0109】
発光装置200、201、300、301は、例えば、車載ヘッドライトに利用できる。また、発光装置200、201、300、301は、これに限らず、照明、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ、その他ディスプレイのバックライト等の光源に利用できる。
【0110】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、前述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、前述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0111】
以上の実施形態に加えて、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
基部と、
前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、
前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、を備え、
前記波長変換部材は、
前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を波長変換した光を出射する出射面と、を有する波長変換部と、
前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、
前記包囲部は、前記発光素子よりも上方において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、
前記突出部は、上面視で、前記出射端面と重なるように配置されている、発光装置。
(付記2)
前記突出部は、前記波長変換部材の下面の前記発光素子側の端部よりも前記発光素子側に突出する、付記1に記載の発光装置。
(付記3)
前記出射面は、前記波長変換部材の上面に設けられ、波長変換された光を上方に出射する、付記1または2に記載の発光装置。
(付記4)
前記波長変換部は、上方側では互いに接続し、下方側ではそれぞれが前記入射側面と接続する、第1側面及び第2側面を備え、
前記波長変換部は、前記第1側面及び前記第2側面が前記包囲部に覆われて露出せず、前記入射側面は前記包囲部に覆われずに露出する付記1から3のいずれか1に記載の発光装置。
(付記5)
前記波長変換部の前記入射側面の少なくとも一部は、前記発光素子から出射される光の光軸よりも下方に位置する、付記1から4のいずれか1に記載の発光装置。
(付記6)
前記突出部は、上面視で、前記1または複数の発光素子のそれぞれの前記出射端面に重なるように配置されている、付記1から5のいずれか1に記載の発光装置。
(付記7)
前記突出部は、上面視で、前記1または複数の発光素子のそれぞれの前記出射端面の全体に重なるように配置されている、付記1から6のいずれか1に記載の発光装置。
(付記8)
上面視で、前記発光素子から出射する光の光軸に平行な方向において、前記波長変換部の中心から前記突出部の先端までの長さは、前記波長変換部の中心から前記包囲部の前記突出部とは反対側の端部までの長さよりも長い、付記1から7のいずれか1に記載の発光装置。
(付記9)
上面視で、前記発光素子から出射する光の光軸に平行な方向において、前記出射端面から前記突出部の先端までの長さは、400μm以下である、付記1から8のいずれか1に記載の発光装置。
(付記10)
上面に前記波長変換部材が配置されるサブマウントをさらに備え、
前記サブマウントの上面は、前記発光素子の下面よりも上方には位置しない、付記1から9のいずれか1に記載の発光装置。
(付記11)
前記発光素子は、前記波長変換部材が配置される前記サブマウント上に配置されている、付記10に記載の発光装置。
(付記12)
前記発光素子と接続するための配線をさらに備え、
上面視で、前記配線は、前記発光素子の中心よりも前記波長変換部材の反対側において、前記発光素子と接合する付記1から11のいずれか1に記載の発光装置。
(付記13)
前記基部と接合し、前記発光素子及び前記波長変換部材を囲む枠部と、
前記枠部に支持され、前記発光素子及び前記波長変換部材が配置される封止空間を形成する蓋部と、をさらに備え、
前記蓋部には、金属膜が設けられ、
上面視で、前記金属膜は、少なくとも一部が前記突出部と重なる、付記1から12のいずれか1に記載の発光装置。
(付記14)
前記蓋部の下面は、前記金属膜が設けられない領域に、前記波長変換部の出射面から出射された光を透過させる光透過領域をさらに有し、
上面視で、前記出射端面と前記突出部の端部を結ぶ仮想的な直線上よりも光進行方向反対側に前記金属膜が位置しており、光進行方向側に前記光透過領域は位置する付記13に記載の発光装置。
(付記15)
基部と、
前記基部の上面に配置され、側方に進む光を出射する1または複数の発光素子と、
前記基部の上面に配置され、前記発光素子の前記側方に配置される波長変換部材と、
前記波長変換部材の上方に配置される透光性部材と、を備え、
前記波長変換部材は、
前記発光素子の出射端面から出射され側方に進行する光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を出射する出射面とを有する波長変換部と、前記波長変換部の周囲に設けられる包囲部と、を有し、
前記包囲部は、前記波長変換部材の上方側において、前記入射側面よりも前記発光素子側に突出する突出部を備え、
前記透光性部材は、遮光膜が設けられる遮光領域と、遮光膜が設けられない光透過領域を有し、
前記出射端面の上端と、前記突出部の最も前記発光素子側に位置する側面の上端とを結ぶ仮想線が通過する位置に、前記遮光膜が設けられている、発光装置。
【符号の説明】
【0112】
200,201,300,301 発光装置
211 基部
211a 上面
211b 下面
211t 凸部
212 枠部
212a 上面
212b 下面
212c 内側面
212d 外側面
213 蓋部
213a 上面
213b 下面
213c 側面
214 段差部
214a 上面
214b 下面
220 発光素子
221 金属膜
220a 出射端面
230 サブマウント
231a 第1金属部
231b 第2金属部
232a 第1金属膜
232b 第2金属膜
240 波長変換部材
241 波長変換部
241a 上面
241b 下面
241c 第1側面
241d 第2側面
241e 第3側面
241f 第4側面
241i 入射側面
242 包囲部
242a 上面
242b 第1下面
242c 第2下面
242d 接続側面
242e 突出面
242t 突出部
250 保護素子
270 配線
313 透光性部材
313b 下面
380 遮光膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13