(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173810
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0239 20210101AFI20231130BHJP
H01S 5/02257 20210101ALI20231130BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231130BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
H01S5/0239
H01S5/02257
F21S2/00 100
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086306
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 創一郎
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC12
5F173MC15
5F173MD16
5F173MD37
5F173ME22
5F173ME44
5F173MF28
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】基板形状の複雑化を回避し、安全性にも配慮された発光装置を実現する。
【解決手段】本発光装置は、基部、複数の内側面を有する枠部、及び蓋部を有するパッケージと、基部の上面に配置される、光を出射する発光素子と、光が入射する光入射体と、を備え、蓋部は、下面を有し、上面視で、光の光軸方向に垂直な方向において、複数の内側面は、対向する第1内側面及び第2内側面を含み、発光素子は、第1配置領域に配置され、光の光軸方向に垂直な方向において、光入射体の長さは、第1内側面と第2内側面との間の長さよりも長く、基部の上面に垂直な方向の基部の上面からの高さについて、発光素子の上面よりも光入射体の上面のほうが高く、発光素子の下面よりも光入射体の下面が低く、また、光入射体の長さは、発光素子の上面から蓋部の下面までの長さよりも長く、光入射体は、第1側面と第2側面を有し、第2側面に対向し、第2側面との間に空間を有する第1対向面を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、複数の内側面を有する枠部と、蓋部と、を有するパッケージと、
前記基部の上面に、前記枠部に囲まれて配置され、側方に進む指向性を有する光を出射する発光素子と、
前記基部の上面に、前記枠部に囲まれて前記発光素子の前記側方に配置され、前記光が入射する光入射体と、を備え、
前記蓋部は、少なくとも一部が、前記光入射体及び前記発光素子の上方に位置する下面を有し、
上面視で、前記光の光軸方向である第1方向に対して垂直な第2方向において、前記複数の内側面は、対向する第1内側面及び第2内側面を含み、
前記発光素子は、前記第1内側面と前記第2内側面との間に位置する第1配置領域に配置され、
前記第2方向において、前記光入射体の長さは、前記第1内側面と前記第2内側面との間の長さよりも長く、
前記基部の上面に垂直な第3方向において、
前記基部の上面からの前記光入射体の上面の高さは、前記基部の上面からの前記発光素子の上面の高さよりも高く、
前記基部の上面からの前記光入射体の下面の高さは、前記基部の上面からの前記発光素子の下面の高さよりも低く、
前記光入射体の長さは、前記発光素子の上面から前記蓋部の下面までの長さよりも長く、
前記光入射体は、前記発光素子と対向する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置する第2側面と、を有し、
前記第2側面に対向し、前記第2側面との間に空間を有する第1対向面を有する、発光装置。
【請求項2】
前記複数の内側面は、前記第2方向において対向する第3内側面及び第4内側面を含み、
前記光入射体は、前記第3内側面と前記第4内側面との間に位置する第2配置領域に配置され、
前記光入射体は、前記第2側面と交わり、前記第1方向にそれぞれ延伸する第3側面及び第4側面をさらに含み、
前記第3側面と対向し、前記第3側面との間に空間を有する第2対向面、及び前記第4側面と対向し、前記第4側面との間に空間を有する第3対向面を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2方向において、前記第3内側面と前記第4内側面との間の距離は、前記第1内側面と前記第2内側面との間の距離よりも長い、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2対向面は、前記第3内側面であり、前記第3対向面は、前記第4内側面である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2方向において、前記第2対向面と前記第3側面との間の空間の長さ、及び前記第3対向面と前記第4側面との間の空間の長さは、50μm以上400μm以下である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の内側面は、前記第3内側面と前記第4内側面とを接続し、前記光入射体を挟んで前記発光素子とは反対側に位置する第5内側面をさらに含み、
前記第5内側面は、前記第1対向面である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1方向において、前記第1対向面と前記第2側面との間の空間の長さは、50μm以上400μm以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記光入射体の上面と、前記蓋部の下面との間に空間を有し、
前記第3方向において、前記上面と前記蓋部の下面との間の空間の長さは、50μm以上400μm以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記光入射体は、下面でのみ、他の部材と接合する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1方向において、前記光入射体の長さは、前記発光素子の長さよりも長い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記基部の上面にサブマウントが配置され、
前記光入射体の下面は、接合部材を介して前記サブマウントの上面と接合する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
前記サブマウントの上面は、前記発光素子の下面よりも上方には位置しない、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記光入射体は、前記発光素子の出射端面から出射された前記光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を出射する出射面と、をさらに有し、
前記入射側面は、前記第1側面の少なくとも一部に位置し、
前記光入射体は、前記発光素子の方に延伸する突出部をさらに備え、
前記突出部は、前記入射側面よりも上方において、前記発光素子側に突出しており、
前記突出部は、上面視で、前記出射端面と重なるように配置されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1方向において、前記入射側面から前記出射端面までの長さは、400μm以下である、請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記出射面は、前記光入射体の上面に設けられ、入射した前記光を上方に出射する、請求項13に記載の発光装置。
【請求項16】
前記光入射体の前記入射側面の少なくとも一部は、前記発光素子から出射される光の光軸よりも下方に位置する、請求項13に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を備える発光装置では、レーザ光を用いる点から安全性が求められることがある。特許文献1には、発光素子であるレーザダイオードを有し、レーザダイオードから出射された光を波長変換体に入射し、波長変換体に入射した光を異なる波長の光に変換して外部に出射する発光装置が開示されている。特許文献1に開示の発光装置では、波長変換体を固定するための凹形状の嵌合部をその基板を設け、嵌合部に波長変換体を嵌め込むようにして固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、波長変換体に合わせた嵌合部を設けるため、基板の形状が複雑になり、かつ、波長変換体と基板を高い製造精度で形成することが要求される。そこで、このように波長変換体の形状に合わせた基板形状の複雑化を回避し、安全性にも配慮された発光装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、基部と、複数の内側面を有する枠部と、蓋部と、を有するパッケージと、前記基部の上面に、前記枠部に囲まれて配置され、側方に進む指向性を有する光を出射する発光素子と、前記基部の上面に、前記枠部に囲まれて前記発光素子の前記側方に配置され、前記光が入射する光入射体と、を備え、前記蓋部は、少なくとも一部が、前記光入射体及び前記発光素子の上方に位置する下面を有し、上面視で、前記光の光軸方向である第1方向に対して垂直な第2方向において、前記複数の内側面は、対向する第1内側面及び第2内側面を含み、前記発光素子は、前記第1内側面と前記第2内側面との間に位置する第1配置領域に配置され、前記第2方向において、前記光入射体の長さは、前記第1内側面と前記第2内側面との間の長さよりも長く、前記基部の上面に垂直な第3方向において、前記基部の上面からの前記光入射体の上面の高さは、前記基部の上面からの前記発光素子の上面の高さよりも高く、前記基部の上面からの前記光入射体の高さは、前記基部の上面からの前記発光素子の下面の高さよりも低く、前記光入射体の長さは、前記発光素子の上面から前記蓋部の下面までの長さよりも長く、前記光入射体は、前記発光素子と対向する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置する第2側面と、を有し、前記第2側面に対向し、前記第2側面との間に空間を有する第1対向面を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、安全性に配慮された発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態及び第2実施形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための上面図である。
【
図4】第1実施形態に係る発光装置を例示する、
図3のIV-IV線における断面図である。
【
図5】基部及び枠部を説明するための上面図である。
【
図6】基部及び枠部を説明するための、
図5のVI-VI線における断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線における光入射体の断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る発光装置の光入射体及び発光素子についてさらに詳細に説明するための
図3に対応する上面図である。
【
図11】第1実施形態に係る発光装置の光入射体及び発光素子についてさらに詳細に説明するための
図4に対応する断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための上面図である。
【
図13】第2実施形態に係る発光装置を例示する、
図12のXIII-XIII線における断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る発光装置の他の例の内部構造を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる。しかし、本明細書で用いる「上」、「下」、等の方向や位置を示す用語は、それぞれの構成、部材の相対的な方向や位置関係を明示するために用いるものであり、例えば使用時における関係と一致していなくてもよい。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0009】
また、本開示において、三角形や四角形等の多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本開示で記載される"多角形"の解釈に含まれるものとする。
【0010】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸等、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、"辺"の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない"多角形"や"辺"を、加工された形状と区別する場合は"厳密な"を付して、例えば、"厳密な四角形"等と記載するものとする。
【0011】
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置等を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態や変形例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。さらに、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略した模式図を用いたり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。
【0012】
[第1実施形態]
図1から
図11を参照して、第1実施形態に係る発光装置200について説明する。
図1は、発光装置200を例示する斜視図である。
図2は、発光装置200の内部構造を説明するための斜視図である。説明の便宜上、
図3に示す配線270は、
図2では省略している。
図3は、発光装置200の内部構造を説明するための上面図である。
図4は、発光装置200を例示する、
図1のIV-IV線における断面図である。
図5は、基部211及び枠部212を説明するための上面図である。
図6は、基部211及び枠部212を説明するための、
図5のVI-VI線における断面図である。
図7は、
図3に示す光入射体240の上面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線における光入射体240の断面図である。
図9は、光入射部241の一例を示す斜視図である。
図10は、発光装置200の光入射体240及び発光素子220についてさらに詳細に説明するための
図3に対応する上面図である。
図11は、発光装置200の光入射体240及び発光素子220についてさらに詳細に説明するための
図4に対応する断面図である。
【0013】
発光装置200は、パッケージ210と、発光素子220と、光入射体240と、を備える。図示する例では、サブマウント230及び235と、保護素子250と、配線270と、をさらに備える。なお、これらの構成要素は必須ではない。
【0014】
発光装置200の各構成要素について説明する。
【0015】
図1~
図8、
図10、
図11には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸と平行な方向を、それぞれ第1方向X、第2方向Y、第3方向Zとしている。第1方向X及び第2方向Yは基部211の上面211aに平行であり、第3方向Zは基部211の上面211aに垂直である。
【0016】
(パッケージ210)
パッケージ210は、基部211と、枠部212と、蓋部213とを有している。基部211は、上面211a、及び下面211bを有している。基部211は、上面視で外形が矩形である。この矩形は、長辺と短辺を有する矩形であってよい。なお、上面視における基部211の外形は、矩形でなくてもよい。特に正方形を除外するような言及がされていない限り、矩形には正方形も含まれてよいものとする。
【0017】
枠部212は、基部211の上面211aと接続して上面211aよりも上方に延伸する。枠部212は、1又は複数の上面、第1下面212b、複数の内側面、1又は複数の外側面212iを有している。枠部212の1又は複数の上面は、1又は複数の外側面212iと交わる第1上面212aを有する。第1上面212aの外縁形状は、例えば矩形である。第1上面212aの内縁形状は、例えば矩形である。枠部212の複数の内側面は、基部211の上面211aと交わる。
【0018】
基部211と枠部212により、枠部212の第1上面212aから基部211の上面211aの方向に窪んだ凹形状が形成される。凹形状は、上面視で枠部212の外形の内側に形成される。上面視で、基部211の上面211aは、枠部212の複数の内側面が形成する枠によって囲まれる。この枠の外形は、長辺と短辺を有する矩形である。基部211と枠部212は、別々に形成され、接合される。なお、基部211と枠部212は、一体に形成されても良い。
【0019】
パッケージ210において、枠部212の内側には、段形状が形成される。具体的には、枠部212は、上面視で第1の段形状214又は/及び第2の段形状215を有する。
図3、
図5、及び
図6の例では、枠部212は、第1上面212aの内縁形状の第1方向Xに延伸する2辺それぞれに沿って第2上面214a、第3上面215aを有する。上面視で、第2上面214aは、第1上面212aのX方向に延伸する一方の辺に沿って設けられる。上面視で、第3上面215aは、第1上面212aのX方向に延伸する他方の辺に沿って設けられる。枠部212において、第2上面214a及び第3上面215aは、第1方向Xに延伸する辺の全長に亘っては設けられない。第2上面214a及び第3上面215aは、第1方向Xに延伸する2辺それぞれの一部のみに沿って設けられ、図示する例では、いずれも第1方向Xにおいて負方向側に設けられる。
【0020】
枠部212は、さらに、第2上面214aと交わり下方に進む1又は複数の内側面を有する。1又は複数の内側面は、第2上面214aと交わる第1内側面212cを含む。第1内側面212cは、基部211の上面211aに交わる。図示する例では、第1内側面212cと第2上面214aとが交わる複数の辺は、上面視で、第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺を含む。第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺との間には曲線をさらに有する。同様に、第1内側面212cと基部211の上面211aとが交わる辺は、上面視で、第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺を含む。第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺との間には曲線をさらに有する。また、第1内側面212cは、第1上面212aに交わらない。
【0021】
枠部212は、第3上面215aと交わり下方に進む1又は複数の内側面を有する。1又は複数の内側面は、第3上面215aと交わる第2内側面212dを含む。第2内側面212dは、基部211の上面211aに交わる。図示する例では、第2内側面212dと第3上面215aとが交わる複数の辺は、上面視で、第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺を含む。第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺との間には曲線をさらに有する。同様に、第2内側面212dと基部211の上面211aとが交わる辺は、上面視で、第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺を含む。第1方向Xに延伸する辺と、第2方向Yに延伸する辺との間には曲線をさらに有する。また、第2内側面212dは、第1上面212aに交わらない。なお、枠部212が、第1の段形状214のみを有し、第2の段形状215を有さない場合においては、第2内側面212dは、第1上面212aと基部211の上面211aを接続する。その場合、枠部212は、後述する第4内側面212fを有さない。
【0022】
第2上面214a及び第3上面215aは、上面視で、第1上面212aの内縁よりも内側に位置する。図示する例において、第2上面214a及び第3上面215aは、基部211の上面211aよりも上方、かつ、枠部212の第1上面212aよりも下方に位置する。また、第2上面214a及び第3上面215aは、例えば、基部211の上面211aと平行になる。なお、第2上面214a及び第3上面215aは第1上面212aと同じ高さであってもよい。第1内側面212cと第2内側面212dは、それぞれ第2方向Yにおいて互いに対向する部分を有する。第1内側面212c、及び第2内側面212dの互いに対向する部分は、それぞれ第2上面214aの第1方向Xに延伸する辺、及び第3上面215aの第1方向Xに延伸する辺と交わる。
【0023】
さらに、
図3、
図5、及び
図6を示して、枠部212の複数の内側面を説明する。枠部212の複数の内側面は、さらに、第2方向Yにおいて対向する第3内側面212e及び第4内側面212fを含んでもよい。第3内側面212eは、第1上面212aの第1方向Xに延伸する一辺と交わり、下方に進む面である。第3内側面212eは、基部211の上面211aと交わる。さらに、第2上面214aと交わる。同様に、第4内側面212fは、第1上面212aの第1方向Xに延伸する他方の辺と交わり、下方に進む面である。第4内側面212fは、基部の上面211aと交わる。さらに、第3上面215aと交わる。なお、第2上面214a及び第3上面215aが第1上面212aと同じ高さである場合、第3内側面212eは、第2上面214aと第1上面212aのX方向に延伸する一方の辺上の点において交わる。同様に、第4内側面212fは、第3上面215aと第1上面212a上のX方向に延伸する他方に辺上の点において交わる。
【0024】
第3内側面212eと第4内側面212fは、第2方向Yにおいて互いに対向する。第1方向Xに延伸する2辺について、第1内側面212cと第3内側面212eが一方の一辺の側に位置する。第2内側面212dと第4内側面212fが他方の一辺の側に位置する。
【0025】
枠部212の複数の内側面は、第3内側面212eと第4内側面212fとを接続する第5内側面212gと、第1方向Xにおいて第5内側面212gと対向する第6内側面212hとをさらに含む。第5内側面212gは、第1上面212aと交わり、下方に進む面である。第5内側面212gは、基部211の上面211aと交わる。第5内側面212gは、第1内側面212c及び第2内側面212dとは交わらない。第6内側面212hは、第1上面212aと交わり、下方に進む面である。第6内側面212hは、基部211の上面211aと交わる。第6内側面212hは、第1内側面212c及び第2内側面212dと交わる。第3内側面212e及び第4内側面212fは、第2方向Yに対して例えば垂直である。第5内側面212g及び第6内側面212hは、第1方向Xに対して例えば垂直である。第1内側面212cは、第1方向Xにおいて第5内側面212gに対向する部分を有する。また、第2内側面212dは、第1方向Xにおいて第5内側面212gに対向する部分を有する。これらの部分は、それぞれ第2上面214aの第2方向Yに延伸する辺、及び第3上面215aの第2方向Yに延伸する辺と交わる。
【0026】
基部211の上面211aは、枠部212の内側において露出する部分を有する。基部211の上面211aには、第1配置領域211rと第2配置領域211sとを有する。上面視で、第1配置領域211rは、第1内側面212cと上面211aとが交わり、第1方向Xに延伸する辺、及び第2内側面212dと上面211aとが交わり、第1方向Xに延伸する辺の間に位置する領域である。上面視で、第2配置領域211sは、第3内側面212eと上面211aが交わる辺及び第4内側面212fと上面211aが交わる辺の間に位置する領域である。
【0027】
より具体的には、第1配置領域211rは、第1方向Xにおいて、第1内側面212cと第3内側面212eとが交わる辺よりも第6内側面212h側に位置する。第1配置領域211rは、第1内側面212cと第3内側面212eとが交わる辺よりも第5内側面212g側には位置しない。第2配置領域211sは、第1方向Xにおいて、第1内側面212cと第3内側面212eとが交わる辺よりも第5内側面212g側に位置する。第2配置領域211sは、第1内側面212cと第3内側面212eとが交わる辺よりも第6内側面212h側には位置しない。
【0028】
第1内側面212cと第3内側面212eとが交わる辺と、この辺に交わり、第2方向Yに平行な直線とを含む仮想面YAを規定する。図示する例において、仮想面YAは、第2内側面212dと第4内側面212fが交わる辺を包含する。第1配置領域211rは、基部211の上面211aにおいて、上面視で、仮想面YA、第1内側面212c、第2内側面212d、第6内側面212hにより画定される領域である。また、第2配置領域211sは、基部211の上面211aにおいて、上面視で、仮想面YA、第3内側面212e、第4内側面212f、第5内側面212gにより画定される領域である。
【0029】
上面視で、第1方向Xにおける第2上面214aの長さは、例えば第1方向Xにおける第3内側面212eの長さの1/2より短い。上面視で、第1方向Xにおける第3上面215aの長さは、例えば第1方向Xにおける第4内側面212fの長さの1/2より短い。
【0030】
ここで、第1の段形状214及び第2の段形状215について説明する。第1の段形状214は、上面視で、第1上面212aと第3内側面212eとが交わる辺の一部、及び第2上面214aと第1内側面212cとが交わる複数の辺によって形成される段形状を指す。ここでの第1上面212aと第3内側面212eとが交わる辺の一部は、仮想面YAよりも第1方向Xの正方向側に位置する部分を指す。同様に、第2の段形状215は、上面視で、第1上面212aと第4内側面212fとが交わる辺の一部、及び第3上面215aと第2内側面212dとが交わる複数の辺によって形成される段形状を指す。ここでの第1上面212aと第4内側面212fとが交わる辺の一部は、仮想面YAよりも第1方向Xの正方向側に位置する部分を指す。
【0031】
第2上面214a及び第3上面215aには、1又は複数の金属膜が設けられてもよい。また、第1上面212aには、1又は複数の金属膜が設けられてもよい。第2上面214a又は/及び第3上面215aに設けられる1又は複数の金属膜には、第1上面212aに設けられた金属膜と電気的に接続する金属膜が含まれてもよい。金属膜には、例えば、Ni/Au(Ni、Auの順で積層した金属膜)やTi/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)などを用いることができる。
【0032】
図6に示すように、枠部212は、第2上面214a、及び第3上面215aの反対側に位置する第2下面216bをさらに有してもよい。第2下面216bは、基部211の上面211aと、例えば金属接着剤を介して接合される。図示する例では、上面視で、第2下面216bは、第1上面212aの一部と重なる。枠部212は、第2下面216bと交わり、下方に伸びる1又は複数の側面216cをさらに有し得る。側面216cは、さらに第2下面216bと交わる。第2下面216bは、例えば、基部211の上面211aと平行である。図示する例では、側面216cは、基部211の側面と離隔している。
【0033】
図1~
図4に示すように、蓋部213は、上面213aと、下面213bと、上面213a及び下面213bと交わる1又は複数の側面213cとを有している。1又は複数の側面213cは上面213aの外縁と下面213bの外縁とを接続する。蓋部213は、例えば、直方体又は立方体である。この場合、蓋部213の上面213a及び下面213bはいずれも矩形であり、蓋部213は4つの矩形の側面213cを有する。
【0034】
ただし、蓋部213は、直方体や立方体には限定されない。すなわち、蓋部213は、上面視で矩形には限定されず、円形、楕円形、多角形等の任意の形状とすることが可能である。
【0035】
蓋部213は枠部212に支持され、基部211の上面211aに配置されている。蓋部213の下面213bの外周部は、例えば、枠部212の第1上面212aと接合されている。蓋部213が枠部212に接合されることで、基部211、枠部212、及び蓋部213に囲まれた封止空間が形成される。下面213bは、基部211の上面211aと封止空間を介して対向する。また、下面213bは、少なくともその一部が封止空間を確定する。
【0036】
基部211は、例えば、金属を主材料として形成することができる。例えば、金属として、銅、銅合金等を用いることができる。また、枠部212は、例えば、セラミックスを主材料として形成することができる。例えば、セラミックスとして、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。基部211及び枠部212は、例えば、セラミックスを主材料として形成してもよいし、絶縁性を有する他の材料を主材料として形成してもよい。
【0037】
蓋部213は、所定波長の光を透過させる光透過領域を有してもよい。光透過領域は、蓋部213の上面213aおよび下面213bの一部を構成する。蓋部213の光透過領域は、例えば、サファイアを主材料に用いて形成できる。サファイアは、比較的透過率が高く、比較的強度も高い材料である。なお、蓋部213の光透過領域の主材料には、サファイアの他に、例えば、石英、炭化ケイ素、又は、ガラス等を含む透光性の材料を用いてもよい。蓋部213の光透過領域以外の部分は、光透過領域と同一材料により、光透過領域と一体に形成されてもよい。
【0038】
(発光素子220)
図示される発光装置200の例では、1つの発光素子220が搭載されている。発光装置200は、複数の発光素子を搭載してもよい。発光素子220は、指向性を有する光を出射する。発光素子220は、例えば、半導体レーザ素子である。
図1~
図5に例示的に図示される発光装置200では、発光素子220として、半導体レーザ素子が採用されている。
【0039】
発光素子220は、例えば、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、発光素子220から放射される光の出射端面となる。また、発光素子220の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
【0040】
ここで、発光素子220が半導体レーザ素子である場合について説明する。発光素子220から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布を示す。
【0041】
発光素子220から出射される楕円形状の光に基づき、楕円形状の長径を通る方向をFFPの速軸方向、楕円形状の短径を通る方向をFFPの遅軸方向とする。発光素子220におけるFFPの速軸方向は、発光素子220の活性層を含む複数の半導体層が積層される積層方向と一致し得る。
【0042】
また、発光素子220のFFPの光強度分布に基づいて、ピーク強度値に対する1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。また、この光強度分布において1/e2の強度に相当する角度を拡がり角と呼ぶものとする。FFPの速軸方向における拡がり角は、FFPの遅軸方向における拡がり角よりも大きい。
【0043】
また、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光、と呼ぶものとする。また、FFPの楕円形上の中心を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。
【0044】
発光素子220として、青色光、緑色光、又は赤色光を出射する発光素子を用いることができる。本開示における発光素子220が出射する青色光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。青色光及び緑色光を出射する発光素子220としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、又はAlGaNを用いることができる。赤色光を出射する発光素子220としては、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系、及びAlGaAs系のいずれかの半導体材料を含む半導体レーザ素子が挙げられる。
【0045】
なお、発光素子220から出射される光の色は、これに限らなくてよい。また、発光素子220は、ここで挙げた波長範囲外の波長の光を出射してもよい。
【0046】
(サブマウント230)
サブマウント230は、例えば、直方体の形状で構成され、下面、上面、及び、1または複数の側面を有する。また、サブマウント230は上下方向の幅が最も小さい。なお、形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント230は、例えば、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成されるが、他の材料を用いてもよい。また、サブマウント230の上面には、例えば、金属膜が設けられている。
【0047】
(サブマウント235)
サブマウント235は、例えば、サブマウント230と同じ材料から形成されるものを用いることができる。なお、サブマウント230と異なる材料から形成されるものを用いても良い。
【0048】
(光入射体240)
光入射体240は、第1側面240cとその反対側に位置する第2側面240dを有する。第1側面240c及び第2側面240dは、例えば、第2方向Yと平行である。
【0049】
また、
図7及び
図8に示すように、光入射体240は、上面240aと、上面240aの反対側に位置する下面240bとを有し得る。上面240aと下面240bは、例えば第3方向Zに垂直な面である。図示する例のように、光入射体240は、さらに、第2側面240dと交わり、第1方向Xにそれぞれ延伸する第3側面240e及び第4側面240fを含んでもよい。第3側面240e及び第4側面240fは、さらに第1側面240cと交わってもよい。
【0050】
図7及び
図8に示す例では、光入射体240は、光入射部241と、包囲部242とを有する。光入射部241は、光が入射する光入射面を有する。包囲部242は、光入射部241の複数の側面を包囲する面を有する。包囲部242は、光入射部241の全面を包囲しない。少なくとも、光入射部241の光入射面と光出射面は、包囲部に包囲されずに露出する。なお、光入射体240は、光入射部241及び包囲部242から構成されなくともよく、例えば光入射部241のみから構成されても良いし、光入射部241とその他の構成を有していても良い。
【0051】
図7~
図9を参照して、光入射部241の構造例を説明する。なお、光入射部241の構造、又は形状は、これに限定されない。光入射部241は、例えば、上面241aと、上面241aの反対面である下面241bと、1又は複数の側面とを有する。図示する例では、光入射部241は、1又は複数の側面として、入射側面241i、第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fを備えている。なお、
図8に示す例では、入射側面241iは、光入射体240の第1側面240cの少なくとも一部を構成している。
【0052】
第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fは、上面241aの外縁と下面241bの外縁とに接続する。第3側面241eは、第1側面241cと第4側面241fとを接続する。第4側面241fは、第2側面241dと第3側面241eとを接続する。
【0053】
第1側面241c及び第2側面241dは、上方側では互いに接続し、下方側ではそれぞれが入射側面241iと接続する。入射側面241iの下方側は、下面241bの外縁に接続する。入射側面241iの下方側は、第1側面241cと第2側面241dの接続部分から、内側に窪んでいる。
図4に示す例では、第1方向Xの正方向に窪んでいる。
【0054】
上面視で、第1側面241cと第4側面241fは、平行であってもよい。また、上面視で、第2側面241dと第3側面241eは、平行であってもよい。また、上面視で、第1側面241cと第2側面241d、第1側面241cと第3側面241e、第3側面241eと第4側面241f、第4側面241fと第2側面241dは、それぞれ垂直であってもよい。
【0055】
次に包囲部242について説明する。包囲部242は、上面と、上面の反対面である1又は複数の下面と、上面の内縁と交わり、光入射部241の第1~第4側面241c~241fと接触する複数の内側面と、上面の外縁又は/及び下面の外縁に交わる複数の外側面とを有する。包囲部242は、1または複数の内側面に入射する光に対する反射率が80%以上100%以下であり得る。
【0056】
包囲部242は、光入射部241の第1側面241cから第4側面241fを被覆する。光入射部241の入射側面241iは、包囲部242に被覆されず、包囲部242から露出する。これにより、例えば入射側面241iから入射し、光入射部241の側面から出射する光を光入射部241に反射する。光入射部241に入射した光は、上面241aから出射される。
【0057】
上面視で、包囲部242の、1又は複数の外側面と上面とを接続する辺は、いずれも、光入射部241の第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fから離隔する。図示する例では、包囲部242の複数の外側面は、光入射体240の第2側面240d、第3側面240e、第4側面240fに含まれる。また、包囲部242の一つの外側面が、光入射部241の入射側面241iと連続する一つの平面を形成し、光入射体240の第1側面240cを構成してもよい。上面視で、包囲部242の1又は複数の外側面は、いずれも、光入射部241の2つの対角線のうち一方と平行又は垂直であってよい。上面視で、包囲部242の1又は複数の外側面は、いずれも、光入射部241の入射側面241iと平行又は垂直であってよい。
【0058】
光入射部241の上面241aと包囲部242の上面が、連続する1つの平面を形成してもよい。また、光入射部241の下面と包囲部242の1つの下面が、連続する1つの平面を形成してもよい。
【0059】
図示する例では、包囲部242は、さらに突出部242tを備える。突出部242tは、入射側面241iよりも上方側において、入射側面241iよりも、入射側面241iに垂直な方向に関して第2側面240dの反対側に向かって突起している。
【0060】
突出部242tは、包囲部242の上面の一部、1つの外側面、及び1つの下面を含む。突出部242tを構成する下面は、光入射体240の下面240bを構成する包囲部242の下面とは別の下面である。また、光入射体240が突出部242tを有するとき、包囲部242の上面と交わる外側面は、第1側面240cに含まれない。
【0061】
ここまで、光入射体240の形状を説明したが、光入射体240の形状はこれに限定されない。例えば直方体の形状であって良いし、一部に円弧を有する形状であっても良い。
【0062】
光入射体240は、例えば波長変換部材である。この場合、光入射部241が蛍光体を有する波長変換部である。以下では、光入射体が波長変換部材である場合の構造例を説明する。
【0063】
光入射部241が波長変換部である場合、光入射部241は、例えば、光入射面である入射側面241iから入射した光を異なる波長の光に変換し、変換された光を例えば上面241aから出射させる。光入射部241は、入射した光の一部を異なる波長の光に変換してもよいし、光入射部241は、入射した光をすべて異なる波長の光に変換してもよい。また、選択的に、あるいはこれと併合的に、波長変換部材または波長変換部の上面に、波長変換された光を透過し、入射した光を反射する、DBR(Distributed Bragg Reflector)膜等の光学膜を設けてもよい。このようにして、光入射部241に入射した光の一部を、光入射部241の上面241aから出射させない構成とすることもできる。
【0064】
光入射部241の母材は、光の照射により分解されにくい無機材料を主材料に用いて形成することが好ましい。主材料は、例えば、セラミックスである。なお、主材料の例には、セラミックスの他にサファイアや石英が挙げられる。光入射部241の主材料がセラミックスである場合、セラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化マグネシウムが挙げられる。なお、主材料とは、その構成要素において、重量比または体積比で、最も多くの割合を占める材料である。また、主材料のみでその構成要素を形成してもよい。
【0065】
光入射部241は、例えば、蛍光体と、酸化アルミニウム等の透光性材料とを焼結させて形成できる。蛍光体の含有量は、セラミックスの総体積に対して0.05体積%~50体積%とすることができる。また、例えば、蛍光体の紛体を焼結させた、実質的に蛍光体のみからなるセラミックスを用いてもよい。また、光入射部241は、蛍光体の単結晶で形成されてもよい。
【0066】
蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)、αサイアロン蛍光体、βサイアロン蛍光体等が挙げられる。なかでも、YAG蛍光体は、耐熱性が良好である。
【0067】
包囲部242は、例えば、セラミックスを主材料として形成された焼結体である。主材料に用いられるセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、包囲部242は、セラミックスを主材料としなくてもよい。包囲部242は、例えば、金属や、セラミックスと金属の複合体や、樹脂等を用いて形成されてもよい。
【0068】
光入射体240は、光入射部241と包囲部242とを一体的に形成して構成することができる。なお、光入射部241と包囲部242を別々に形成し、これらを接合して光入射体240を形成してもよい。光入射部241と包囲部242とは、例えば、焼結体によって一体的に形成される。例えば、光入射部241の焼結体を形成した上で、光入射部241と一体的に包囲部242の焼結体を形成することで、一体焼結体を形成することができる。
【0069】
ここまで、光入射体240が波長変換部材である場合を説明したが、光入射体240は、波長変換部材でなくても良い。光入射体240は、例えば、所定の領域に光が入射し、他の領域から光が出射する構成を有する物体である。より具体的には、光入射体240は、指向性を有する光を入射し、入射した光の指向性よりも弱い指向性を有する光、又は、指向性を有さない光を出射する構成を有する物体である。その例として、波長変換部材の他に、光散乱体が挙げられる。例えば、光入射部241を光散乱部として形成することができる。また、包囲部242を有さなくても良い。あるいは、入射した光を回折させて出射する回折部材であり得る。
【0070】
光入射体240は、例えば上面240aに反射防止膜を有してもよい。反射防止膜は、光入射部241の上面241a、あるいは、光入射部241の上面241a及び包囲部242の上面に設けることができる。また、光入射体240は、光入射部241の下面241b及び包囲部242の下面に、金属膜を有してもよい。また。光入射体240は、光入射部241の入射側面241iに、入射側面241iから外部に出射する光を反射する反射膜を有してもよい。
【0071】
(保護素子250)
保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子を保護するための構成要素である。例えば保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子に過剰な電流が流れて破壊されることを防ぐための構成要素である。保護素子250としては、例えば、Siで形成されたツェナーダイオードを使用できる。また例えば、保護素子250は、特定の素子が温度環境によって故障しないように温度を測定するための構成要素であってもよい。このような温度測定素子としては、サーミスタを使用できる。温度測定素子は、発光素子220の出射端面の近くに配置するのがよい。
【0072】
(配線270)
配線270は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、配線270は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。配線270は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。配線270としては、例えば、金属のワイヤを用いることができる。金属としては、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、タングステンなどが挙げられる。
【0073】
(発光装置200)
次に、
図1~
図11を参照して、発光装置200を説明する。
【0074】
発光装置200において、基部211の上面211aに、発光素子220及び光入射体240が配置される。図示する例では、発光素子220は、サブマウント230を介して上面211aに配置されている。光入射体240は、サブマウント235を介して上面211aに配置される。後述するように、第1内側面212cと第2内側面212dとの間の長さよりも長い光入射体240が配置されるため、第2方向Yにおいて、サブマウント235は、サブマウント230よりも長い。第3方向Zにおいて、サブマウント230の高さは、サブマウント235の高さよりも高い。これにより、発光素子220から出射される光のうち、下方に進む光も光入射部241に効率よく入射させることができる。サブマウント230及びサブマウント235は、例えば、金属接着剤を介して上面211aに接合される。
【0075】
発光素子220及び光入射体240は、基部211の上面211aにおいて、枠部212に囲まれる。より具体的には、発光素子220は、第1配置領域211rに配置される。図示する例のように、発光素子220は、第1配置領域211r及び第2配置領域211sに亘って配置され得る。光入射体240は、第2配置領域211sに配置される。光入射体240は、第1配置領域211rには配置されない。発光素子220は、側方に向かって指向性を有する光を出射する。側方に進行する光は、光入射体240の第1側面240cに向かって出射される。
【0076】
さらに、発光素子220及び光入射体240の上方に、蓋部213が配置される。基部211、枠部212、及び蓋部213によって形成される封止空間に、発光素子220及び光入射体240は配置される。
【0077】
本明細書において、発光素子220から出射される光の光軸OA上を進む光の進行方向を「光進行方向」と呼ぶ場合が有る。また、2つの部材の位置において、一方に対して他方が光進行方向の正方向に位置している場合に、一方に対して他方が「光進行方向側」に位置すると呼ぶ。図示する例において、「光進行方向」は第1方向Xの正方向に一致し、一方の部材が他方の部材に対して「光進行方向側」に位置するとは、より第1方向Xの正方向側に位置することと一致する。発光素子220から出射される光の光軸OAは、第1内側面212c及び第2内側面212dと、例えば平行である。また、光軸OAは、第5内側面212g及び第6内側面212hと、例えば垂直である。
【0078】
発光素子220は、その出射端面220aが、サブマウント230の1つの側面と同一方向を向くように配置される。また、発光素子220の出射端面220aは、例えば、枠部212の第1内側面212cに垂直となる。
【0079】
出射端面220aと交わる発光素子220の2つの側面のうちの一方の側面は、枠部212の第1内側面212cと対向する。出射端面と交わる発光素子220の2つの側面のうちの一方の側面は、例えば、第1内側面212cと平行になる。出射端面と交わる発光素子220の2つの側面のうちの他方の側面は、枠部212の第2内側面212dと対向する。出射端面と交わる発光素子220の2つの側面のうちの他方の側面は、例えば、第2内側面212dと平行になる。
【0080】
光入射体240は、第1側面240cが発光素子220と対向するように配置される。より具体的には、第1側面240cは、発光素子220の出射端面220aと対向するように配置される。なお、図示する例において、突出部242tに含まれる外側面は、発光素子と対向しない。図示する例において、突出部242tは、発光素子220と上面視で重なるように配置される。これにより、発光素子220が配置されるサブマウント230が脱落し、上方に光を出射する場合においても、突出部242tでその光を反射することができる。
【0081】
さらに、第1側面240cの一部を構成する光入射部241の入射側面241iは、発光素子220の出射端面220aと対向する。出射端面220aから出射され側方に進行する光が、入射側面241iに入射する。入射側面241iの少なくとも一部は、光軸OAよりも下方に位置する。入射側面241iに入射した光は、例えば、上面241aから出射する。上面241aから出射される光には、光入射部241に入射し、包囲部242によって反射され、再び光入射部241に入射した光が含まれる。
図1~
図11の例では、光入射部241の上面241aが、光入射体240の出射面である。光入射部241が蛍光体を有する波長変換部である場合、入射側面241iに入射し、波長変換された光を上方に出射する。
【0082】
光入射体240は、第1側面240cの反対側に位置する第2側面240dを有する。第2側面240dは、他の構成要素と対向する。第2側面240dと対向する他の構成要素の面を第1対向面と呼ぶ。言い換えると、発光装置200は、光入射体240の第2側面240dに対向する第1対向面を有する。
図10の例では、枠部212の第5内側面212gが、第1対向面である。
【0083】
なお、第1対向面は、枠部212の第5内側面212gに限定されない。図示しないが、第1方向Xにおいて、光入射体240を挟んで発光素子220とは反対側にレンズ等の他の構成要素が配置されている場合、レンズ等の構成要素の光入射体240の第2側面240dに対向する面が第1対向面となる。
【0084】
発光装置200は、光入射体240の第3側面240eと対向する第2対向面、及び第4側面240fと対向する第3対向面をさらに有してもよい。
図10の例では、第2対向面は枠部212の第3内側面212eであり、第3対向面は枠部212の第4内側面212fである。
【0085】
図10に示すように、第2方向Yにおいて、光入射体240の長さL1は、枠部212の第1内側面212cと第2内側面212dとの間の長さL2よりも長い。このような寸法関係により、光入射体240が基部211から脱落した場合でも、第1方向Xにおいて光入射体240の移動が制限される。具体的には、第2配置領域211sに配置される光入射体240が、第1配置領域211rに移動することを抑制できる。また、第2方向Yにおいて、第3内側面212eと第4内側面212fとの間の距離L3は、第1内側面212cと第2内側面212dとの間の長さL2よりも長い。
【0086】
また、
図11に示すように、第3方向Zにおいて、光入射体240の長さH1は、発光素子220の上面から蓋部213の下面213bまでの長さH2よりも長い。このような寸法関係により、光入射体240が基部211から脱落した場合でも、光入射体240が第1方向Xにおいて移動し、発光素子220の上方に移動することを制限できる。第3方向Zにおいて、基部211の上面211aからの光入射体240の上面240aの高さH3は、基部211の上面211aからの発光素子220の上面の高さH4よりも高い。また、第3方向Zにおける、光入射体240の上面240aと蓋部213の下面213bとの間の距離H6は、サブマウント230の厚さとサブマウント235の厚さの差よりも小さい。これにより、光入射体240の第1方向Xにおける移動を制限できる。より具体的には、光入射体240が発光素子220側に移動することを制限できる。
【0087】
このように、発光装置200は、光入射体240が基部211から脱落した場合でも、第1方向X及び第3方向Zにおいて、光入射体240の移動が制限される構造である。そのため、光入射体240が基部211から脱落した場合でも、光入射体240は、発光素子220からの光が入射される位置にとどまり続ける。その結果、発光素子220の出射光が直接発光装置200の外部に出にくいため、安全性に優れた発光装置200を実現できる。
【0088】
また、第1方向Xにおいて、光入射体240の長さL4は、発光素子220の長さL5よりも長い。さらに、側面視で、光入射体240の対角線の長さL6が、光入射体240の下面240bから蓋部213の下面213bまでの第3方向Zにおける長さよりも長いことが好ましい。ここで、光入射体240の対角線の長さとは、上面240a上の最も発光素子220に近い点と、下面240b上の最も第1対向面に近い点(図示される例では第5内側面212g)を結んだ線分を指す。これにより、側面視での光入射体240の回転方向の移動を抑制することができる。
【0089】
光入射体240は、その下面240bでのみ、基部211に直接あるいは間接的に固定されることが好ましい。図示する例では、光入射体240の下面240bは、サブマウント235の上面に接する。光入射体240の、上面及び1または複数の側面は、その他の部材と離隔して配置される。つまり、光入射体240の第2側面240dは、第1対向面との間に空間を有する。第3側面240eは、第2対向面との間に空間を有する。第4側面240fは、第3対向面との間に空間を有する。上面240aは、蓋部213の下面213bとの間に空間を有する。
【0090】
このように、光入射体240の側面と、側面に対向する対向面との間に空間を有していることで、発光装置200において、光入射体240の実装する場合に、位置の調整が容易である。また、このような配置により、発光装置200内のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0091】
図示する例では、光入射体240は、その下面240bが接合部材を用いてサブマウント235の上面に接合される。サブマウント235の上面は、発光素子220の下面よりも上方には位置しない。図示する例においては、サブマウント235の上面が発光素子220の下面よりも下方に位置する。これにより、発光素子220から出射された光のうち、光軸よりも下方に進む光を、入射側面241iから効率よく光入射部241に取り込むことができる。
【0092】
図示する例では、側面視において、光入射体240の下面240bの最も光進行方向側に位置する端点は、サブマウント235の上面の最も光進行方向側に位置する端点よりも、光進行方向側に位置する。このような配置とすることにより、光入射体240と第1対向面(第5内側面212g)との間の距離を近づけることができる。また、光入射体240の下面240bの最も光進行方向反対側に位置する端点よりも、サブマウント235の上面の最も光進行方向反対側に位置する端点は、光進行方向反対側に位置する。このような配置とすることにより、発光素子220の光が入射する光入射部241の下面全面がサブマウント235の上面と接合するため、効率よく放熱することができる。
【0093】
次に、発光装置200における、寸法関係の具体例について説明する。第1方向Xにおいて、第1対向面(図示する例においては、枠部212の第5内側面212g)と第2側面240dとの間の空間の長さL7は、50μm以上400μm以下である。50μm以上とすることにより、実装の容易性、及びレイアウトの自由度を向上できる。400μm以下とすることで、第1方向Xにおける光入射体240の移動の制限が可能である。
【0094】
また、第2方向Yにおいて、枠部212の第3内側面212e(第2対向面)と光入射体240の第3側面240eとの間の空間の長さL8、及び枠部212の第4内側面212f(第3対向面)と光入射体240の第4側面240fとの間の空間の長さL9は、50μm以上400μm以下であることが好ましい。長さL8及び長さL9をそれぞれ50μm以上とすることにより、実装の容易性、及びレイアウトの自由度を向上できる。400μm以下とすることで、第2方向Yにおける光入射体240の移動の制限が可能である。また、第2方向Yにおいて、光入射体240の長さL1は、枠部212の第3内側面212eと第4内側面212fとの間の距離L3の0.6倍以上0.95倍以下であることが好ましい。
【0095】
第3方向Zにおいて、光入射体240の上面240aと、蓋部213の下面213bとの間の空間の長さH6は、50μm以上400μm以下であることが好ましい。50μm以上とすることにより、実装の容易性、及びレイアウトの自由度を向上できる。400μm以下とすることで、第3方向Zにおける光入射体240の移動の制限が可能である。また、第3方向Zにおいて、光入射体240の長さH1、光入射体240の上面240aから蓋部213の下面213bまでの距離H5の0.05倍以上0.99倍以下であることが好ましく、0.2倍以上0.95倍以下であることがより好ましい。
【0096】
第1方向Xにおいて、光入射体240の長さL4は、発光素子220の出射端面220aから枠部212の第5内側面212gまでの長さの0.5倍以上1.1倍以下であることが好ましい。また、第1方向Xにおいて、入射側面241iから発光素子220の出射端面220aまでの長さL10は、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、400μm以下である。
【0097】
ここで、光入射体240は、例えば上面240aの第1方向Xの長さを20μm以上3000μ以下とすることができる。また、上面240aの第2方向Yの長さを20μm以上3000μm以下とすることができる。また、第3方向Zにおいて、上面240aと下面240bの間の高さを、20μm以上3000μm以下とすることができる。
【0098】
また、側面視で、発光素子220の上面の第2方向Yに延伸する辺の中点を通るXZ平面で切った断面積よりも光入射体240の上面240aの第2方向Yに延伸する辺の中点を通るXZ平面で切った断面積の方が大きいことが好ましい。さらに、発光素子220の体積よりも光入射体240の体積の方が大きいことが好ましい。また、パッケージ210の基部211、枠部212、及び蓋部213が確定する封止空間の体積は、光入射体240の体積の20倍を超えない。好ましくは、10倍を超えない。
【0099】
上面視で、光入射体240の上面240aの対角線の長さは、長さL3よりも長い。このような長さとすることで、光入射体240は、XY平面における回転方向の移動が制限される。より具体的には、上面視で、光入射体240は、その上面240aの対角線を軸として、XY平面の回転方向に30度以下までしか回転できない。
【0100】
光入射部241が波長変換部である場合、発光素子220から出射される光(第1の光)は、波長変換部の入射側面241iに入射し、波長変換部によって第1の光とは異なる波長の光(第2の光)に変換される。入射側面241iから入射した第1の光が上面241aから出射される。また、変換された第2の光が上面241aから出射される。第1の光、及び第2の光が、光入射部241の上面241aから上方へと出射される。このように、側面に光の入射面が設けられ、上面に光の出射面が設けられた波長変換部材を配置することで、側方から上方への光路変換及び波長変換を実現することができる。
【0101】
上面視で、光入射部241の上面241aは、光軸OAに対して線対称であってもよい。また、上面視で、包囲部242の上面は、光軸OAに対して線対称であってもよい。なお、光軸OAの方向は、第1方向Xと平行である。
【0102】
図示する例においては、突出部242tは、光入射体240の下面240bの発光素子220側の端部よりも発光素子220側に突出する。突出部242tは、上面視で、発光素子220の出射端面220aと重なるように配置されていることが好ましい。突出部242tは、上面視で、発光素子220の出射端面220aの全体に重なるように配置されていることがさらに好ましい。
【0103】
第2上面214a又は/及び第3上面215aは、例えば、基部211の上面211aを基準として、発光素子220の上面の高さよりも高い。図示する例では、第2上面214a又は/及び第3上面215aは、例えば、基部211の上面211aを基準として、光入射体240の上面240aの高さよりも低い位置にある。同様に、第2上面214a又は/及び第3上面215aは、上面211aを基準に、光入射部241の上面241aよりも低い位置にある。第2上面214a又は/及び第3上面215aは、上面211aを基準として、光入射体240の突出部242tに含まれる下面よりも高い。光入射体240の上面240aが第2上面214a又は/及び第3上面215aよりも高い位置にいることで、H6の長さが大きくなることを抑制できる。また、光入射体240の突出部242tに含まれる下面が第2上面214a又は/及び第3上面215aよりも低い位置にいることで、光入射体240が発光素子220側に移動する場合に、突出部と第1内側面212c又は/及び第2内側面212dが接触する。これにより、光入射体240の第1方向Xにおける動きを制限する効果を向上することができる。
【0104】
第1方向Xにおいて、光入射体240の突出部242tの端部から、枠部212の第1内側面212cの出射端面220aに近い側の端部までの長さL12は、長さL10よりも小さいことが好ましい。このような長さとすることで、光入射体240の脱落時に、出射端面220aに入射側面241iが接触する前に、突出部242tが第1内側面212cに接触する。より光入射体240の動きを制限できる発光装置とすることができる。長さL12は、例えば30μm以上500μm以下である。30μmは、第1方向Xにおいて、突出部242tの端部と第1内側面212cの端部とを近づけることができる最小の長さである。また、第1方向Xにおいて、突出部242tの端部と第1内側面212cの端部との長さが500μm以下であれば、上面視での光入射体240の回転方向の位置ずれを抑制することができる。
【0105】
発光装置200において、配線270により、発光素子220及び保護素子250が、基部211と電気的に接続される。図示される発光装置200における配線270は、保護素子250をツェナーダイオードとした例であるが、保護素子250が温度測定素子であった場合には、図とは異なる配線の接続となることがある。
【0106】
発光素子220は、配線270を介して、第2上面214a又は/及び第3上面215aに設けられた金属膜と電気的に接続されている。図示する発光装置200は、複数の配線270を有している。複数の配線270には、両端のうち一端の接合部が第2上面214aに接合され、他端の接合部が発光素子220の上面に接合される配線270が含まれる。さらに、両端のうちの一端の接合部が第3上面215aに接合され、他端の接合部がサブマウント230上に接合される配線270が含まれる。
【0107】
発光素子220と外部電源との電気的な接続には、例えば、基部211の下面211b又は/及び枠部212の第1下面212bに設けられた金属膜を利用することができる。これにより、ビアホールに設けられた金属材料を介して第2上面214a又は/及び第3上面215aに設けられた金属膜と電気的に接続された下面211b又は/及び第1下面212bの金属膜を介して、発光素子220と外部電源とを電気的に接続できる。
【0108】
蓋部213は、光入射体240の上面240aから出射された光を透過させて外部に出射させる光透過領域を有する。蓋部213の下面213b全体が光入射面であり、蓋部213全体が光透過領域であってもよい。蓋部213の光透過領域は、発光素子220から出射される光及び光入射体240から発せられる光の50%以上、さらには70%以上を透過させることが好ましい。なお、蓋部213はその一部にのみ光透過領域を有してもよい。
【0109】
また、蓋部213は、遮光部を有することができる。遮光部は、下面213bに光が入射すること、または、上面213aから光が出射することを遮る。遮光部は、蓋部213の上面213aまたは下面213bの一部を構成する。遮光部は、例えば、蓋部213の上面213a又は/及び下面213bに部分的に設けられ得る。また例えば、蓋部213の光透過領域以外の部分を金属等を含む遮光性の材料で構成することで遮光部を形成してもよい。
【0110】
[第2実施形態]
図1、
図12~
図14を参照して、第2実施形態に係る発光装置200Aを説明する。
図1は、第2実施形態に係る発光装置200Aの斜視図である。
図12は、第2実施形態に係る発光装置200Aの内部構造を説明するための上面図である。
図13は、第2実施形態に係る発光装置200Aを例示する、
図12のXIII-XIII線における断面図である。
図14は、第2実施形態に係る発光装置200Aの他の内部構造を説明するための上面図である。なお、
図1、
図12~
図14には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸と平行な方向を、それぞれ第1方向X、第2方向Y、第3方向Zとしている。第1方向X及び第2方向Yは基部211の上面211aに平行であり、第3方向Zは基部211の上面211aに垂直である。
【0111】
図12に示すように、発光装置200Aでは、枠部212Aが、上面視でその内縁に段形状を有さず、第1上面212aの第1方向Xに延伸する1辺又は2辺全体に設けられる段差部を有する点で、第1実施形態に係る発光装置200と相違する。以下、発光装置200Aの第1実施形態に係る発光装置200との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については適宜省略する。
【0112】
(枠部212A)
枠部212Aは、上面212aを有する。上面212aの内縁形状のうち、第1方向Xに延伸する1辺または2辺全体に沿って、1又は複数の段差部が設けられる。図示する例では、複数の段差部が設けられており、第1段差部214A及び第2段差部215Aが枠部212Aの内側に設けられる。第1段差部214Aは上面214aを有する。第2段差部215Aは上面215aを有する。上面214a及び上面215aは、基部211の上面211aよりも高く、枠部212Aの上面212aよりも低い。
【0113】
枠部212Aは、上面212aと交わり、下方に進む第1内側面212c及び第2内側面212dを有する。第1内側面212cは、第1段差部214Aの上面214aと交わる。第2内側面212dは、第2段差部215Aの上面215aと交わる。第1内側面212c及び第2内側面212dは、基部211の上面211aと交わらない。第1段差部214Aは、上面214aと交わり下方に進む側面214cを有する。側面214cは、基部211の上面211aに交わる。第2段差部215Aは、上面215aと交わり下方に進む側面215cを有する。側面215cは、基部211の上面211aに交わる。基部211の上面211aは、側面214cと側面215cとの間で露出する領域を有する。なお、枠部212Aの内側に、段差部を設けなくても良い。その場合には、第1内側面212c及び第2内側面212dが、それぞれ基部211の上面211aに交わる。なお、発光素子220と電気的に接続する金属膜は、基部211の上面211aに設けられる。ただし、段差部を有し、その上面に金属膜を設けて配線と接合する方が、基部211の上面211aの金属膜と配線を接合させるよりも、光入射体240や発光素子220の移動は制限しやすい、枠部212Aは、さらに第1内側面212cと第2内側面212d、及び側面214cと側面215cを接続する2つの内側面を有する。
【0114】
(発光装置200A)
次に、発光装置200Aについて、
図1、
図12~
図14を参照して説明する。
【0115】
発光素子220及び光入射体240は、側面214cと上面211aが交わる辺、及び側面215cと上面211aが交わる辺との間に位置する。
図12に示される例のように、第2方向Yにおいて、光入射体の長さL1と、枠部212Aの側面214cと側面215cとの間の長さL11との差を、1000μm以下とすることができる。光入射体240に対する大きさをこのような大きさとすることで、発光装置200A全体の小型化を奏することができる。
【0116】
図13に示す例では、発光装置200Aにおいて、発光素子220と光入射体240は、1つのサブマウント230上に配置されている。光入射体240の下面240bは、接合部材を介してサブマウント230の上面と接合している。このように、発光素子220と光入射体240とを同じサブマウント230上に配置することで、発光素子220と光入射体240とを近づけることができる。その結果、サブマウント230が脱落した場合においても、発光素子220からの光を光入射体240に入射することができる。また、発光装置200Aを小型化することができる。図示する例では、第3方向Zにおいて、光入射体240の長さは、発光素子220の上面から蓋部213の下面213bまでの長さよりも短い。
図13に示すように、側面視で、第2方向Yにおけるサブマウント230の最も光進行側に位置する端点は、第2方向Yにおける光入射体240の最も光進行側に位置する端点よりも光進行側に位置する。このような配置とすることで、光入射体240の下面からサブマウント230への放熱性を高めることができる。なお、第1実施形態のように、第2方向Yにおけるサブマウント230の最も光進行側に位置する端点は、第2方向Yにおける光入射体240の最も光進行側に位置する端点よりも光進行反対側に位置するように配置しても良い。
【0117】
このように、発光装置200Aでは、光入射体240、及び発光装置200A全体の小型化を奏することができる。一方で、第1実施形態に係る発光装置200に比べ、光入射体240の第1方向Xにおける移動の制限が低減する恐れがある。そこで、配線270の接合を工夫することにより、光入射体240の第1方向Xにおける移動を制限することができる。1又は複数の配線270は、第1段差部214Aの上面214a又は/及び第2段差部215Aの上面215aに接合される。
【0118】
第3方向Zにおいて、光入射体240の上面240aから配線270の最上点までの長さH8よりも、光入射体240の上面240aから発光素子220の上面までの長さH7のほうが長い。また、基部211の上面211aを基準とすると、配線270の最上点の高さは、光入射体240の突出部242tの下面よりも高い。配線270の最上点をこのような高さとなるように接合することにより、脱落時における光入射体240の第1方向Xにおける移動を制限できる。さらに、図示する例において、配線270の最上点は、上面214a又は/及び上面215aよりも高くに位置する。
【0119】
第3方向Zにおいて、基部211の上面211aから配線270の最上点までの長さは、上面211aから蓋部213の下面213bまでの長さH5の1/2よりも長いことが好ましい。また、図示する例において、長さH8は、例えば、長さH7の0.1倍以上0.8倍以下である。より好ましくは、長さH8は、長さH7の0.5倍以下である。このように配線270を接合することにより、光入射体240の第1方向Xにおける移動を制限できる。長さH8は、例えば、-200μm以上500μm以下である。ここで、マイナスは、配線270の最上点が光入射体240の上面240aよりも高い位置にある場合を指し、プラスは、配線270の最上点が光入射体240の上面240aよりも低い位置にある場合を指す。つまり、配線270の最上点は、例えば、光入射体240の上面240aよりも上側に200μm以下の位置にあり、下側に500μm以下の位置にある。
【0120】
さらに、上面視において、発光素子220の上面と接合する1又は複数の配線270のうち、第1方向Xにおいて光入射体240に最も近い配線270は、第1方向Xに関して、発光素子220の中点よりも光進行方向側で、上面214a又は/及び上面215aと接合する。このように配線270を接合することにより、光入射体240の第1方向Xにおいて移動する範囲を狭めることができる。図示する例において、上面214aと接合する複数の配線270のうち、少なくとも1の配線270は、発光素子220の中点よりも光進行方向側で、上面214aに接合される。上面215aと接合する複数の配線270のうち、少なくとも1の配線270は、発光素子220の中点よりも光進行方向側で、上面215aに接合される。保護素子250は、サブマウント230の上面において、発光素子220の中心よりも光進行方向反対側に配置される。
【0121】
また、上面視で、第1方向Xにおいて、光入射体240の突出部242tの端部から配線270の端部までの長さL13は、50μm以上1200μm以下であることが好ましい。このような寸法関係により、光入射体240がサブマウント230から脱落しても、光入射体240の突出部242tの端部が配線270によってブロックされるため、第1方向Xにおいて光入射体240の移動が制限される。例えば、光入射体240がサブマウント230から脱落した場合でも、光入射体240を、発光素子220からの光が入射される位置にとどまり易くすることができる。その結果、発光素子220の出射光が直接発光装置200Aの外部に出ることを抑制できるため、安全性に優れた発光装置200Aを実現できる。
【0122】
図14に示す例のように、突出部242tに近い位置においてその一端が発光素子220に接合される配線270の他端を、突出部242tよりも光進行方向側で、段差部の上面に接合しても良い。図示する例では、発光装置200Aは、突出部242tよりも光進行方向で、第1段差部214Aの上面214a、第2段差部215Aの上面215aにそれぞれ接合される2つの配線270を有する。2つの配線270は、上面視で光入射体240の上面240aを通過するように上面214a、215aに接合される。このように配線270を上面214a、215aに接合することにより、光入射体240の第3方向Zの移動を制限することができる。
【0123】
また、第3方向Zにおいて、発光素子220から出射される光の光軸OAは、基部211の上面211aを基準として、上面211aから、上面211a下面213bとの間の長さH5の1/2までの高さよりも低い位置に存在することが好ましい。
【0124】
発光装置200及び200Aは、例えば、車載ヘッドライトに利用できる。また、発光装置200、200Aは、これに限らず、照明、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ、その他ディスプレイのバックライト等の光源に利用できる。
【0125】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、前述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、前述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0126】
以上の実施形態に加えて、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
基部と、複数の内側面を有する枠部と、蓋部と、を有するパッケージと、
前記基部の上面に、前記枠部に囲まれて配置され、側方に進む指向性を有する光を出射する発光素子と、
前記基部の上面に、前記枠部に囲まれて前記発光素子の前記側方に配置され、前記光が入射する光入射体と、を備え、
前記蓋部は、少なくとも一部が、前記光入射体及び前記発光素子の上方に位置する下面を有し、
上面視で、前記光の光軸方向である第1方向に対して垂直な第2方向において、前記複数の内側面は、対向する第1内側面及び第2内側面を含み、
前記発光素子は、前記第1内側面と前記第2内側面との間に位置する第1配置領域に配置され、
前記第2方向において、前記光入射体の長さは、前記第1内側面と前記第2内側面との間の長さよりも長く、
前記基部の上面に垂直な第3方向において、
前記基部の上面からの前記光入射体の上面の高さは、前記基部の上面からの前記発光素子の上面の高さよりも高く、
前記基部の上面からの前記光入射体の下面の高さは、前記基部の上面からの前記発光素子の下面の高さよりも低く、
前記光入射体の長さは、前記発光素子の上面から前記蓋部の下面までの長さよりも長く、
前記光入射体は、前記発光素子と対向する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置する第2側面と、を有し、
前記第2側面に対向し、前記第2側面との間に空間を有する第1対向面を有する、発光装置。
(付記2)
前記複数の内側面は、前記第2方向において対向する第3内側面及び第4内側面を含み、
前記光入射体は、前記第3内側面と前記第4内側面との間に位置する第2配置領域に配置され、
前記光入射体は、前記第2側面と交わり、前記第1方向にそれぞれ延伸する第3側面及び第4側面をさらに含み、
前記第3側面と対向し、前記第3側面との間に空間を有する第2対向面、及び前記第4側面と対向し、前記第4側面との間に空間を有する第3対向面を有する、付記1に記載の発光装置。
(付記3)
前記第2方向において、前記第3内側面と前記第4内側面との間の距離は、前記第1内側面と前記第2内側面との間の距離よりも長い、付記2に記載の発光装置。
(付記4)
前記第2対向面は、前記第3内側面であり、前記第3対向面は、前記第4内側面である、付記2または3に記載の発光装置。
(付記5)
前記第2方向において、前記第2対向面と前記第3側面との間の空間の長さ、及び前記第3対向面と前記第4側面との間の空間の長さは、50μm以上400μm以下である、付記2から4のいずれか1に記載の発光装置。
(付記6)
前記複数の内側面は、前記第3内側面と前記第4内側面とを接続し、前記光入射体を挟んで前記発光素子とは反対側に位置する第5内側面をさらに含み、
前記第5内側面は、前記第1対向面である、付記2から5のいずれか1に記載の発光装置。
(付記7)
前記第1方向において、前記第1対向面と前記第2側面との間の空間の長さは、50μm以上400μm以下である、付記1から6のいずれか1に記載の発光装置。
(付記8)
前記光入射体の上面と、前記下面との間に空間を有し、
前記第3方向において、前記上面と前記下面との間の空間の長さは、50μm以上400μm以下である、付記1から7のいずれか1に記載の発光装置。
(付記9)
前記光入射体は、下面でのみ、他の部材と接合する、付記1から8のいずれか1に記載の発光装置。
(付記10)
前記第1方向において、前記光入射体の長さは、前記発光素子の長さよりも長い、付記1から9のいずれか1に記載の発光装置。
(付記11)
前記基部の上面にサブマウントが配置され、
前記光入射体の下面は、接合部材を介して前記サブマウントの上面と接合する、付記1から10のいずれか1に記載の発光装置。
(付記12)
前記サブマウントの上面は、前記発光素子の下面よりも上方には位置しない、付記11に記載の発光装置。
(付記13)
前記光入射体は、前記発光素子の出射端面から出射された前記光が入射する入射側面と、前記入射側面に入射した光を出射する出射面と、をさらに有し、
前記入射側面は、前記第1側面の少なくとも一部に位置し、
前記光入射体は、前記発光素子の方に延伸する突出部をさらに備え、
前記突出部は、前記入射側面よりも上方において、前記発光素子側に突出しており、
前記突出部は、上面視で、前記出射端面と重なるように配置されている、付記1から12のいずれか1に記載の発光装置。
(付記14)
前記第1方向において、前記入射側面から前記出射端面までの長さは、400μm以下である、付記13に記載の発光装置。
(付記15)
前記出射面は、前記光入射体の上面に設けられ、入射した前記光を上方に出射する、付記13又は14に記載の発光装置。
(付記16)
前記光入射体の前記入射側面の少なくとも一部は、前記発光素子から出射される光の光軸よりも下方に位置する、付記13から15のいずれか1に記載の発光装置。
【符号の説明】
【0127】
200,200A 発光装置
210 パッケージ
211 基部
211a 上面
211b 下面
211r 第1配置領域
211s 第2配置領域
212 枠部
212a 第1上面、上面
212b 第1下面
212c 第1内側面
212d 第2内側面
212e 第3内側面
212f 第4内側面
212g 第5内側面
212h 第6内側面
212i 外側面
213 蓋部
213a 上面
213b 下面
213c 側面
214 第1の段形状
214A 第1段差部
215 第2の段形状
215A 第2段差部
214a 第2上面、上面
214c 側面
215a 第3上面、上面
215c 側面
216b 第2下面
216c 側面
220 発光素子
220a 出射端面
230,235 サブマウント
240 光入射体
240a 上面
240b 下面
240c 第1側面
240d 第2側面
240e 第3側面
240f 第4側面
241 光入射部
241a 上面
241b 下面
241c 第1側面
241d 第2側面
241e 第3側面
241f 第4側面
241i 入射側面
242 包囲部
242t 突出部
250 保護素子
270 配線