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特開2023-173812学習装置、方法およびプログラム、学習済みモデル、画像処理装置、方法およびプログラム、並びに画像導出装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173812
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】学習装置、方法およびプログラム、学習済みモデル、画像処理装置、方法およびプログラム、並びに画像導出装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231130BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61B6/03 360Q
A61B6/03 360T
A61B6/00 360B
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086309
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日朝 祐太
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093DA03
4C093EC16
4C093FF11
4C093FF16
4C093FF17
4C093FF24
4C093FF35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】学習装置、方法およびプログラム、学習済みモデル、画像処理装置、方法およびプログラム、並びに画像導出装置、方法およびプログラムにおいて、透視画像のような術中に取得される画像において特定の構造物を精度よく抽出できるようにする。
【解決手段】プロセッサは、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出し、少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出する。学習用合成情報および第2の時相の2次元画像に基づく情報を用いて学習対象モデルを学習する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および前記第1の3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
前記少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
前記少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出し、
前記少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出し、
前記学習用合成情報および前記第2の時相の2次元画像に基づく情報を学習対象モデルに入力し、前記第2の時相の2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの第2の2次元特定成分画像を前記学習対象モデルから出力させ、前記第1の2次元特定成分画像および前記第2の2次元特定成分画像についての評価結果に基づいて前記学習対象モデルを学習し、
それぞれが前記学習用合成情報、前記第2の時相の2次元画像に基づく情報および前記第1の2次元特定成分画像を含む複数の教師データを用いて前記学習対象モデルの学習を繰り返すことにより、処理対象3次元画像から導出された少なくとも1つの処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成することにより導出された処理対象合成情報、および前記処理対象2次元画像に基づく情報が入力されると、前記処理対象2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を出力する学習済みモデルを構築する学習装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1の2次元特定成分画像および前記第2の2次元特定成分画像との相違を前記評価結果として用いて前記学習対象モデルを学習する請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第1の2次元特定成分画像および前記第2の2次元特定成分画像のそれぞれが、前記学習対象モデルから出力されたものであるか否かの判別結果を前記評価結果として用いて前記学習対象モデルを学習する請求項1に記載の学習装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの3次元成分画像のうちの少なくとも1つを前記第2の時相の2次元画像に投影することにより、前記少なくとも1つの3次元成分画像のうちの少なくとも1つと前記第2の時相の2次元画像とを合成して前記学習用合成情報を導出する請求項1から3のいずれか1項に記載の学習装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの3次元成分画像および前記第2の時相の2次元画像を同一次元に次元圧縮し、次元圧縮された前記少なくとも1つの3次元成分画像と前記第2の時相の2次元画像とを合成して前記学習用合成情報を導出する請求項1から3のいずれか1項に記載の学習装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1の時相の第1の3次元画像を変形することにより前記第2の時相の第2の3次元画像を導出し、
前記第2の3次元画像を前記特定方向に投影することにより前記第2の時相の2次元画像を導出する請求項1に記載の学習装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記同一被検体を実際に撮影することにより取得された前記第2の時相の実2次元画像を前記第2の時相の2次元画像として取得する請求項1に記載の学習装置。
【請求項8】
前記第1の時相は吸気相であり、前記第2の時相は呼気相である請求項1に記載の学習装置。
【請求項9】
前記特定の成分は、特定の臓器に対する相対位置が特定された疾患を含む請求項1に記載の学習装置。
【請求項10】
前記第1の3次元画像は前記被検体の胸部を含み、
前記特定の成分は、肺の軟部組織、胸郭、肺に存在する病変および血管の少なくとも1つである請求項1に記載の学習装置。
【請求項11】
請求項1に記載の学習装置により構築された学習済みモデル。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
処理対象3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像および処理対象2次元画像を取得し、
前記処理対象3次元成分画像と前記処理対象2次元画像とを合成して処理対象合成情報を導出し、
請求項11に記載の学習済みモデルを用いて、前記処理対象合成情報および前記処理対象2次元画像に基づく情報から、前記処理対象2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を導出する画像処理装置。
【請求項13】
同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および前記第1の3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
前記少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
前記少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出し、
前記少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出し、
前記学習用合成情報および前記第2の時相の2次元画像に基づく情報を学習対象モデルに入力し、前記第2の時相の2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの第2の2次元特定成分画像を前記学習対象モデルから出力させ、前記第1の2次元特定成分画像および前記第2の2次元特定成分画像についての評価結果に基づいて前記学習対象モデルを学習し、
それぞれが前記学習用合成情報、前記第2の時相の2次元画像に基づく情報および前記第1の2次元特定成分画像を含む複数の教師データを用いて前記学習対象モデルの学習を繰り返すことにより、処理対象3次元画像から導出された少なくとも1つの処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成することにより導出された処理対象合成情報、および前記処理対象2次元画像に基づく情報が入力されると、前記処理対象2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を出力する学習済みモデルを構築する学習方法。
【請求項14】
処理対象3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像および処理対象2次元画像を取得し、
前記処理対象3次元成分画像と前記処理対象2次元画像とを合成して処理対象合成情報を導出し、
請求項11に記載の学習済みモデルを用いて、前記処理対象合成情報および前記処理対象2次元画像に基づく情報から、前記処理対象2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を導出する画像処理方法。
【請求項15】
同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および前記第1の3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得する手順と、
前記少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出する手順と、
前記少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する手順と、
前記少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出する手順と、
前記学習用合成情報および前記第2の時相の2次元画像に基づく情報を学習対象モデルに入力し、前記第2の時相の2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの第2の2次元特定成分画像を前記学習対象モデルから出力させ、前記第1の2次元特定成分画像および前記第2の2次元特定成分画像についての評価結果に基づいて前記学習対象モデルを学習する手順と、
それぞれが前記学習用合成情報、前記第2の時相の2次元画像に基づく情報および前記第1の2次元特定成分画像を含む複数の教師データを用いて前記学習対象モデルの学習を繰り返すことにより、処理対象3次元画像から導出された少なくとも1つの処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成することにより導出された処理対象合成情報、および前記処理対象2次元画像に基づく情報が入力されると、前記処理対象2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を出力する学習済みモデルを構築する手順とをコンピュータに実行させる学習プログラム。
【請求項16】
処理対象3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像および処理対象2次元画像を取得する手順と、
前記処理対象3次元成分画像と前記処理対象2次元画像とを合成して処理対象合成情報を導出する手順と、
請求項11に記載の学習済みモデルを用いて、前記処理対象合成情報および前記処理対象2次元画像に基づく情報から、前記処理対象2次元画像に含まれる前記特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を導出する手順とをコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および前記第1の3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
前記少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
前記少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する画像導出装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記第1の時相の第1の3次元画像を変形することにより前記第2の時相の第2の3次元画像を導出し、
前記第2の3次元画像を前記特定方向に投影することにより前記第2の時相の2次元画像を導出する請求項17に記載の画像導出装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記同一被検体を実際に撮影することにより取得された前記第2の時相の実2次元画像を前記第2の時相の2次元画像として取得する請求項17または18に記載の画像導出装置。
【請求項20】
前記第1の時相は吸気相であり、前記第2の時相は呼気相である請求項17に記載の画像導出装置。
【請求項21】
前記特定の成分は、特定の臓器に対する相対位置が特定された疾患を含む請求項17に記載の画像導出装置。
【請求項22】
前記第1の3次元画像は前記被検体の胸部を含み、
前記特定の成分は、肺の軟部組織、胸郭、肺に存在する病変および血管の少なくとも1つである請求項17に記載の画像導出装置。
【請求項23】
同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および前記第1の3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
前記少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
前記少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する画像導出方法。
【請求項24】
同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および前記第1の3次元画像から導出された前記被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得する手順と、
前記少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出する手順と、
前記少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する手順とをコンピュータに実行させる画像導出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、学習装置、方法およびプログラム、学習済みモデル、画像処理装置、方法およびプログラム、並びに画像導出装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡観察部および超音波観察部を先端に有する超音波内視鏡を被検体の消化器官あるいは気管支内等の管腔に挿入し、管腔内の内視鏡画像および管腔壁の外側にある病変等の部位の超音波画像を撮像することが行われている。また、管腔壁の外側にある部位の組織を鉗子等の処置具により採取する生検も行われている。
【0003】
このような超音波内視鏡を用いた処置を行う際には、超音波内視鏡を被検体内の目標位置に正確に到達させることが重要である。このため、処置中に放射線を放射線源から被検体に連続的に照射し、これにより取得される透視画像をリアルタイムで表示する透視撮影を行うことにより、超音波内視鏡と人体構造との位置関係を把握することが行われている。
【0004】
ここで、透視画像は被検体内の臓器、血管および骨等の解剖構造が重なり合った状態で含まれるため、管腔および病変の認識が容易ではない。このため、CT(Computed Tomography)装置およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等により、被検体の3次元画像を処置前にあらかじめ取得し、3次元画像において病変位置を特定し、3次元画像と透視画像との位置合わせを行うことにより、透視画像において病変位置を特定することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-137796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された手法は、3次元画像と2次元の透視画像との位置合わせを行うものである。このため、透視画像内において位置合わせの精度が十分でない箇所が生じうる。このように、位置合わせの精度が十分でないと、透視画像において病変あるいは対象とする臓器等の特定の構造物を精度よく抽出することができない。
【0007】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、透視画像のような術中に取得される画像から特定の構造物を精度よく抽出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様に係る学習装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および第1の3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し
少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出し、
少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出し、
学習用合成情報および第2の時相の2次元画像に基づく情報を学習対象モデルに入力し、第2の時相の2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの第2の2次元特定成分画像を学習対象モデルから出力させ、第1の2次元特定成分画像および第2の2次元特定成分画像についての評価結果に基づいて学習対象モデルを学習し、
それぞれが学習用合成情報、第2の時相の2次元画像に基づく情報および第1の2次元特定成分画像を含む複数の教師データを用いて学習対象モデルの学習を繰り返すことにより、処理対象3次元画像から導出された少なくとも1つの処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成することにより導出された処理対象合成情報、および処理対象2次元画像に基づく情報が入力されると、処理対象2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を出力する学習済みモデルを構築する。
【0009】
本開示の第2の態様に係る学習装置は、第1の態様に係る学習装置において、プロセッサは、第1の2次元特定成分画像および第2の2次元特定成分画像との相違を評価結果として用いて学習対象モデルを学習するものであってもよい。
【0010】
本開示の第3の態様に係る学習装置は、第1の態様に係る学習装置において、プロセッサは、第1の2次元特定成分画像および第2の2次元特定成分画像のそれぞれが、学習対象モデルから出力されたものであるか否かの判別結果を評価結果として用いて学習対象モデルを学習するものであってもよい。
【0011】
本開示の第4の態様に係る学習装置は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る学習装置において、プロセッサは、少なくとも1つの3次元変形成分画像のうちの少なくとも1つを第2の時相の2次元画像に投影することにより、少なくとも1つの3次元変形成分画像のうちの少なくとも1つと第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出するものであってもよい。
【0012】
本開示の第5の態様に係る学習装置は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る学習装置においてまた、プロセッサは、少なくとも1つの3次元成分画像および第2の時相の2次元画像を同一次元に次元圧縮し、次元圧縮された少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出するものであってもよい。
【0013】
本開示の第6の態様に係る学習装置は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る学習装置において、プロセッサは、第1の時相の第1の3次元画像を変形することにより第2の時相の第2の3次元画像を導出し、
第2の3次元画像を特定方向に投影することにより第2の時相の2次元画像を導出するものであってもよい。
【0014】
本開示の第7の態様に係る学習装置は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る学習装置において、プロセッサは、同一被検体を実際に撮影することにより取得された第2の時相の実2次元画像を第2の時相の2次元画像として取得するものであってもよい。
【0015】
本開示の第8の態様に係る学習装置は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る学習装置において、第1の時相は吸気相であり、第2の時相は呼気相であってもよい。
【0016】
本開示の第9の態様に係る学習装置は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る学習装置において、特定の成分は、特定の臓器に対する相対位置が特定された疾患を含むものであってもよい。
【0017】
本開示の第10の態様に係る学習装置は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る学習装置において、第1の3次元画像は被検体の胸部を含み、
特定の成分は、肺の軟部組織、胸郭、肺に存在する病変および血管の少なくとも1つであってもよい。
【0018】
本開示による学習済みモデルは、本開示による学習装置により構築される。
【0019】
本開示による画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、処理対象3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像および処理対象2次元画像を取得し、
処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成して処理対象合成情報を導出し、
本開示による学習済みモデルを用いて、処理対象合成情報および処理対象2次元画像に基づく情報から、処理対象2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を導出する。
【0020】
本開示による学習方法は、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および第1の3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出し、
少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出し、
学習用合成情報および第2の時相の2次元画像に基づく情報を学習対象モデルに入力し、第2の時相の2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの第2の2次元特定成分画像を学習対象モデルから出力させ、第1の2次元特定成分画像および第2の2次元特定成分画像についての評価結果に基づいて学習対象モデルを学習し、
それぞれが学習用合成情報、第2の時相の2次元画像に基づく情報および第1の2次元特定成分画像を含む複数の教師データを用いて学習対象モデルの学習を繰り返すことにより、処理対象3次元画像から導出された少なくとも1つの処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成することにより導出された処理対象合成情報、および処理対象2次元画像に基づく情報が入力されると、処理対象2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を出力する学習済みモデルを構築する。
【0021】
本開示による画像処理方法は、処理対象3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像および処理対象2次元画像を取得し、
処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成して処理対象合成情報を導出し、
本開示による学習済みモデルを用いて、処理対象合成情報および処理対象2次元画像に基づく情報から、処理対象2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を導出する。
【0022】
本開示による学習プログラムは、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および第1の3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得する手順と、
少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出する手順と、
少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する手順と、
少なくとも1つの3次元成分画像と第2の時相の2次元画像とを合成して学習用合成情報を導出する手順と、
学習用合成情報および第2の時相の2次元画像に基づく情報を学習対象モデルに入力し、第2の時相の2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの第2の2次元特定成分画像を学習対象モデルから出力させ、第1の2次元特定成分画像および第2の2次元特定成分画像についての評価結果に基づいて学習対象モデルを学習する手順と、
それぞれが学習用合成情報、第2の時相の2次元画像に基づく情報および第1の2次元特定成分画像を含む複数の教師データを用いて学習対象モデルの学習を繰り返すことにより、処理対象3次元画像から導出された少なくとも1つの処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成することにより導出された処理対象合成情報、および処理対象2次元画像に基づく情報が入力されると、処理対象2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を出力する学習済みモデルを構築する手順とをコンピュータに実行させる。
【0023】
本開示による画像処理プログラムは、処理対象3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像および処理対象2次元画像を取得する手順と、
処理対象3次元成分画像と処理対象2次元画像とを合成して処理対象合成情報を導出する手順と、
本開示による学習済みモデルを用いて、処理対象合成情報および処理対象2次元画像に基づく情報から、処理対象2次元画像に含まれる特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象2次元特定成分画像を導出する手順とをコンピュータに実行させる。
【0024】
本開示の画像導出装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および第1の3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する。
【0025】
本開示の画像導出装置においては、プロセッサは、第1の時相の第1の3次元画像を変形することにより第2の時相の第2の3次元画像を導出し、
第2の3次元画像を特定方向に投影することにより第2の時相の2次元画像を導出するものであってもよい。
【0026】
本開示の画像導出装置においては、プロセッサは、同一被検体を実際に撮影することにより取得された第2の時相の実2次元画像を第2の時相の2次元画像として取得するものであってもよい。
【0027】
本開示の画像導出装置においては、第1の時相は吸気相であり、第2の時相は呼気相であってもよい。
【0028】
本開示の画像導出装置においては、特定の成分は、特定の臓器に対する相対位置が特定された疾患を含むものであってもよい。
【0029】
本開示の画像導出装置においては、第1の3次元画像は被検体の胸部を含み、
特定の成分は、肺の軟部組織、胸郭、肺に存在する病変および血管の少なくとも1つであってもよい。
【0030】
本開示の画像導出方法は、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および第1の3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得し、
少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出し、
少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する。
【0031】
本開示の画像導出プログラムは、同一被検体についての第1の時相の第1の3次元画像および第1の3次元画像から導出された被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を取得する手順と、
少なくとも1つの3次元成分画像を変形することにより第2の時相の少なくとも1つの3次元変形成分画像を導出する手順と、
少なくとも1つの3次元変形成分画像を特定方向に投影して少なくとも1つの第1の2次元特定成分画像を導出する手順とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、透視画像のような術中に取得される画像から特定の構造物を精度よく抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示の第1の実施形態による学習装置および画像処理装置を適用した医療情報システムの概略構成を示す図
図2】第1の実施形態による学習装置および画像処理装置の概略構成を示す図
図3】第1の実施形態による学習装置および画像処理装置の機能構成図
図4】第1の実施形態による学習装置が行う処理を模式的に示す図
図5】合成情報の導出を模式的に示す図
図6】教師データを示す図
図7】第1の実施形態における学習処理を模式的に示す図
図8】第1の実施形態における他の学習処理を模式的に示す図
図9】第1の実施形態による画像処理装置が行う処理を模式的に示す図
図10】透視成分画像の表示画面を示す図
図11】第1の実施形態において行われる学習処理のフローチャート
図12】第1の実施形態において行われる画像処理のフローチャート
図13】第2の実施形態における学習処理を模式的に示す図
図14】第2の実施形態における他の学習処理を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。まず、第1の実施形態による学習装置、画像処理装置および画像導出装置を適用した医療情報システムの構成について説明する。図1は、医療情報システムの概略構成を示す図である。図1に示す医療情報システムは、第1の実施形態による学習装置、画像処理装置および画像導出装置を内包するコンピュータ1、3次元画像撮影装置2、透視画像撮影装置3および画像保管サーバ4が、ネットワーク5を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0035】
コンピュータ1は、第1の実施形態による学習装置、画像処理装置および画像導出装置を内包するものであり、第1の実施形態の学習プログラム、画像処理プログラムおよび画像導出プログラムがインストールされている。コンピュータ1は、後述するように被検体に対して処置を行う処置室に設置される。コンピュータ1は、処置を行う医療従事者が直接操作するワークステーションあるいはパーソナルコンピュータでもよいし、それらとネットワークを介して接続されたサーバコンピュータでもよい。学習プログラム、画像処理プログラムおよび画像導出プログラムは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、あるいはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて医師が使用するコンピュータ1にダウンロードされ、インストールされる。または、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータ1にインストールされる。
【0036】
3次元画像撮影装置2は、被検体Hの診断対象となる部位を撮影することにより、その部位を表す3次元画像を生成する装置であり、具体的には、CT装置、MRI装置、およびPET(Positron Emission Tomography)装置等である。3次元画像撮影装置2により生成された、複数の断層画像からなる3次元画像は画像保管サーバ4に送信され、保存される。なお、本実施形態においては、被検体Hの対象部位は肺であり、3次元画像撮影装置2はCT装置であり、後述するように被検体Hに対する処置の前に、被検体の胸部を撮影することにより、被検体Hの胸部を含むCT画像を3次元画像としてあらかじめ取得する。
【0037】
透視画像撮影装置3は、Cアーム3A、X線源3BおよびX線検出器3Cを有する。X線源3BおよびX線検出器3CはCアーム3Aの両端部にそれぞれ取り付けられている。透視画像撮影装置3においては、被検体Hを任意の方向から撮影可能なようにCアーム3Aが回転および移動可能に構成されている。そして、透視画像撮影装置3は、後述するように被検体Hに対する処置中に、あらかじめ定められたフレームレートによりX線を被検体Hに連続的に照射し、被検体Hを透過したX線をX線検出器3Cにより順次検出する透視撮影を行うことにより、被検体HのX線画像を順次取得する。以降の説明においては、順次取得されるX線画像を透視画像と称する。
【0038】
画像保管サーバ4は、各種データを保存して管理するコンピュータであり、大容量外部記憶装置およびデータベース管理用ソフトウェアを備えている。画像保管サーバ4は、有線あるいは無線のネットワーク5を介して他の装置と通信を行い、画像データ等を送受信する。具体的には3次元画像撮影装置2で取得された3次元画像、および透視画像撮影装置3で取得された透視画像の画像データを含む各種データをネットワーク経由で取得し、大容量外部記憶装置等の記録媒体に保存して管理する。なお、画像データの格納形式およびネットワーク5経由での各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等のプロトコルに基づいている。
【0039】
また、画像保管サーバ4には、後述する学習済みモデルを構築するための複数の学習用3次元画像Vs0が保存されている。学習用3次元画像Vs0も被検体Hの胸部を撮影することにより取得されたものである。
【0040】
なお、本実施形態においては、被検体Hの透視撮影を行いつつ、被検体Hの肺に存在する肺結節等の病変の一部を切り取って、病気の存在を詳しく調べる生検の処置を行うものとする。このため、透視画像撮影装置3は生検を行うための処置室に配置されている。また、処置室には、超音波内視鏡装置6が設置されている。超音波内視鏡装置6は、先端に超音波プローブおよび鉗子等の処置具が取り付けられた内視鏡6Aを備える。本実施形態においては、病変の生検を行うべく、操作者は内視鏡6Aを被検体Hの気管支に挿入し、透視画像撮影装置3により被検体Hの透過画像を撮影し、撮影した透視画像をリアルタイムで表示しつつ、透過画像において被検体H内における内視鏡6Aの先端位置を確認し、目標となる病変の位置まで内視鏡6Aの先端を移動させる。
【0041】
ここで、肺結節等の肺の病変は気管支の内側ではなく気管支の外側に発生する。このため、操作者は内視鏡6Aの先端を目標位置まで移動させた後、超音波プローブにより気管支の外側の超音波画像を撮影して超音波画像を表示し、超音波画像において病変位置を確認しながら鉗子等の処置具を用いて病変の一部を採取する処置を行う。
【0042】
次いで、第1の実施形態による学習装置、画像処理装置および画像導出装置について説明する。図2は、第1の実施形態による学習装置、画像処理装置および画像導出装置のハードウェア構成を示す図である。なお、本実施形態による画像導出装置は本実施形態による学習装置に含まれるため、以降の説明において学習装置は画像導出装置を含むものとする。また、学習プログラムは画像導出プログラムを含むものとする。図2に示すように、学習装置および画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、不揮発性のストレージ13、および一時記憶領域としてのメモリ16を含む。また、学習装置および画像処理装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ14、キーボードとマウス等の入力デバイス15、およびネットワーク5に接続されるネットワークI/F(InterFace)17を含む。CPU11、ストレージ13、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16およびネットワークI/F17は、バス18に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0043】
ストレージ13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、およびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ13には、学習プログラム12Aおよび画像処理プログラム12Bが記憶される。CPU11は、ストレージ13から学習プログラム12Aおよび画像処理プログラム12Bを読み出してメモリ16に展開し、展開した学習プログラム12Aおよび画像処理プログラム12Bを実行する。
【0044】
次いで、第1の実施形態による学習装置および画像処理装置の機能的な構成を説明する。図3は、第1の実施形態による学習装置および画像処理装置の機能的な構成を示す図である。図4は、第1の実施形態による学習装置が行う処理を模式的に示す図である。図3に示すように学習装置および画像処理装置(以下、学習装置で代表させる)10は、画像取得部21、解析部22、変形部23、第1導出部24、第2導出部25、合成部26、学習部27、抽出部28、および表示制御部29を備える。そして、CPU11が学習プログラム12Aを実行することにより、CPU11は画像取得部21、解析部22、変形部23、第1導出部24、第2導出部25、合成部26および学習部27として機能する。また、CPU11が画像処理プログラム12Bを実行することにより、CPU11は画像取得部21、解析部22、変形部23、第1導出部24、第2導出部25、合成部26、抽出部28および表示制御部29として機能する。また、CPU11が不図示の画像導出プログラムを実行することにより、画像取得部21、解析部22、変形部23および第1導出部24として機能する。
【0045】
画像取得部21は、操作者による入力デバイス15からの指示により、後述する学習済みモデルを構築するための教師データとして、学習用3次元画像Vs0を画像保管サーバ4から取得する。また、被検体Hに対して処置を行う際に、処置前に取得した被検体Hの処理対象3次元画像V0を画像保管サーバ4から取得する。また、画像取得部21は、被検体Hの処置中に透視画像撮影装置3により取得される処理対象の透視画像T0を順次取得する。
【0046】
ここで、学習用3次元画像Vs0および3次元画像V0は、CT装置により取得されたものである。CT装置による撮影時には、濃度の淡い病変を見やすくするために、息を吸い込んだ吸気の状態で撮影を行う。このため、学習用3次元画像Vs0および3次元画像V0は吸気相の3次元画像である。学習用3次元画像Vs0が第1の時相の第1の3次元画像の一例である。
【0047】
解析部22は、学習用3次元画像Vs0を解析することにより、学習用3次元画像Vs0に含まれる被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの3次元成分画像を導出する。本実施形態において、解析部22は、公知のコンピュータ支援画像診断(CAD: Computer Aided Diagnosis、以下CADと称する)のアルゴリズムを用いて、学習用3次元画像Vs0に含まれる肺野内部の軟部組織、胸郭および病変のそれぞれの成分を抽出することにより、3つの3次元成分画像Vc1~Vc3を導出する。
【0048】
3次元成分画像Vc1は、学習用3次元画像Vs0における肺野内部の軟部組織以外の領域の各画素(ボクセル)が最小のCT値(例えば-9999)、肺野内部の軟部組織の各画素が学習用3次元画像Vs0のCT値を有する画像である。3次元成分画像Vc2は、学習用3次元画像Vs0における胸郭以外の領域の各画素が最小のCT値、胸郭の領域の各画素が学習用3次元画像Vs0のCT値を有する画像である。3次元成分画像Vc3は、学習用3次元画像Vs0における病変以外の領域の各画素が最小のCT値、病変の領域の各画素が学習用3次元画像Vs0のCT値を有する画像である。
【0049】
CADによる検出手法としては、肺野内部の軟部組織、胸郭および病変をそれぞれ検出するように機械学習がなされた機械学習モデルを用いる手法等を用いることができる。ここで、肺野内部の軟部組織は肺野、気管支および血管を含む。胸郭は、肺野を囲む肋骨および椎骨を含む。病変は肺野内部における病変の相対的な位置を含む。病変の位置としては病変の重心位置等を用いることができる。
【0050】
なお、解析部22による病変の検出手法は、これに限定されるものではなく、テンプレートマッチング等の任意の手法を用いることが可能である。また、解析部22は、表示された学習用3次元画像Vs0において操作者が入力デバイス15を用いることにより学習用3次元画像Vs0において指定した軟部組織、胸郭および病変をそれぞれ3次元成分画像Vc1~Vc3として導出するものであってもよい。
【0051】
変形部23は、吸気相の学習用3次元画像Vs0、吸気相の3次元成分画像Vc1~Vc3を変形することにより、呼気相に相当する学習用3次元変形画像Vs1および3次元変形成分画像Vd1~Vd3を導出する。本実施形態においては、変形部23は、吸気相のCT画像が入力されると、呼気相のCT画像を出力するように学習がなされた変形モデルを用いて学習用3次元変形画像Vs1および3次元変形成分画像Vd1~Vd3を導出する。変形モデルは、呼気相のCT画像および吸気相のCT画像の組み合わせを多数用意し、呼気相のCT画像が入力されると吸気相のCT画像を出力するようにニューラルネットワークを学習することにより構築される。学習用3次元変形画像Vs1が本開示の第2の時相の第2の3次元画像の一例である。
【0052】
なお、変形モデルは、CT画像全体、肺野内部の軟部組織および胸郭のそれぞれについて用意しておいてもよい。この場合、病変については、CT画像全体あるいは肺野内部の軟部組織についての変形モデルを用いて、3次元変形成分画像Vd3を導出すればよい。
【0053】
また、変形は変形モデルを用いるものに限定されない。呼気と吸気との間における肺の標準的な変形量および肋骨の標準的な変形量を統計的にあらかじめ導出しておき、導出された変形量を学習用3次元画像Vs0および3次元成分画像Vc1~Vc3に適用して、学習用3次元変形画像Vs1および3次元変形成分画像Vd1~Vd3を導出するようにしてもよい。
【0054】
第1導出部24は、3次元変形成分画像Vd1~Vd3に基づいて第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3を導出する。具体的には、第1導出部24は、3次元変形成分画像Vd1~Vd3をあらかじめ定められた特定方向に投影することにより、第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3を導出する。第1の2次元特定成分画像Ga1は、学習用3次元画像Vs0についての呼気相の肺野内部の軟部組織を疑似的に2次元で表すものとなる。第1の2次元特定成分画像Ga2は、学習用3次元画像Vs0についての呼気相の胸郭を疑似的に2次元で表すものとなる。第1の2次元特定成分画像Ga3は、学習用3次元画像Vs0についての呼気相の病変を疑似的に2次元で表すものとなる。
【0055】
なお、第1導出部24は、3次元変型成分画像Vd1~Vd3のそれぞれに含まれる、肺野内部の軟部組織、胸郭および病変の位置座標、輪郭座標を特定方向に投影して第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3を導出するものであってもよい。また、第1導出部24は、3次元変形成分画像Vd1~Vd3をあらかじめ定められた特定方向に投影し、さらに投影した軟部組織、胸郭および病変の領域をマスクしたマスク画像を第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3として導出するものであってもよい。
【0056】
第2導出部25は、学習用3次元変形画像Vs1を第1導出部24と同様のあらかじめ定められた特定方向に投影することにより、2次元画像Gs1を導出する。2次元画像Gs1は、学習用3次元画像Vs0についての呼気相の2次元画像を疑似的に表すものとなる。2次元画像Gs1が本開示の第2の時相の2次元画像の一例である。
【0057】
なお、第1導出部24および第2導出部25においてCT画像から2次元画像を導出する手法は、例えば「Dorgham, Osama M., Stephen D. Laycock, and Mark H. Fisher. "GPU accelerated generation of digitally reconstructed radiographs for 2-D/3-D image registration." IEEE Transactions on biomedical engineering 59.9 (2012): 2594-2603」に記載された手法等、任意の手法を用いることが可能である。
【0058】
合成部26は、3次元成分画像Vc1~Vc3と2次元画像Gs1とを合成して合成情報を導出する。図5は合成情報の導出を模式的に示す図である。図5に示すように、合成部26は、3次元成分画像Vc1~Vc3を2次元画像Gs1の撮影方向と同一の方向、すなわち学習用3次元変形画像Vs1から2次元画像Gs1を導出した際と同一の特定方行に投影することにより、肺野内部の軟部組織、胸郭および病変のそれぞれについての3つの2次元特定成分画像Gvc1~Gvc3を導出する。これにより導出される肺野内部の軟部組織についての2次元特定成分画像Gvc1は、学習用3次元画像Vs0についての吸気相の肺野内部の軟部組織を疑似的に2次元で表すものとなる。胸郭についての2次元特定成分画像Gvc2は、学習用3次元画像Vs0についての吸気相の胸郭を疑似的に2次元で表すものとなる。病変についての2次元特定成分画像Gvc3は、学習用3次元画像Vs0についての吸気相の病変を疑似的に2次元で表すものとなる。
【0059】
合成部26は、3つの2次元特定成分画像Gvc1~Gvc3を2次元画像Gs1と一致させるように、2次元画像Gs1と3つの2次元特定成分画像Gvc1~Gvc3のそれぞれとの位置合わせを行うことにより合成情報を導出する。なお、導出される合成情報は後述する学習対象モデルの学習に使用される。このため、合成部26が導出する合成情報を学習用合成情報Cs0と称する。学習用合成情報Cs0は、位置合わせにより導出された3つの合成2次元特定成分画像Gc1~Gc3を含む。学習用合成情報Cs0に含まれる肺野内部の軟部組織についての合成2次元特定成分画像Gc1は、学習用3次元画像Vs0についての呼気相の肺野内部の軟部組織を疑似的に2次元で表すものとなる。胸郭についての合成2次元特定成分画像Gc2は、学習用3次元画像Vs0についての呼気相の胸郭を疑似的に2次元で表すものとなる。病変についての合成2次元特定成分画像Gc3は、学習用3次元画像Vs0についての吸気相の病変を疑似的に2次元で表すものとなる。
【0060】
以上により、後述する学習対象モデルを構築するためのニューラルネットワークの学習に使用する教師データが導出される。図6は教師データを示す図である。図6に示すように、教師データ30は、学習データ31と正解データ32とからなる。学習データ31は学習用合成情報Cs0および2次元画像Gs1からなり、正解データ32は第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3からなる。
【0061】
学習部27は教師データ30を用いて学習対象のニューラルネットワークを学習する。図7は学習処理を模式的に示す図である。図7に示すように、学習部27は学習データ31すなわち学習用合成情報Cs0および2次元画像Gs1に基づく情報を学習対象モデル40に入力する。本実施形態において、2次元画像Gs1に基づく情報は、2次元画像Gs1そのものとする。学習対象モデル40は、2次元画像Gs1に含まれる特定の成分のみを含む第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3を出力する。第2の2次元特定成分画像Gb1は、2次元画像Gs1に含まれる呼気相の肺野内部の軟部組織を疑似的に2次元で表すものとなる。第2の2次元特定成分画像Gb2は、2次元画像Gs1に含まれる呼気相の胸郭を疑似的に2次元で表すものとなる。第2の2次元特定成分画像Gb3は、2次元画像Gs1に含まれる呼気相の病変を疑似的に2次元で表すものとなる。
【0062】
学習部27は、正解データ32である第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3および第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3についての評価結果に基づいて、学習対象モデル40を学習する。具体的には、学習部27は、第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3および第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3のそれぞれとの相違を損失L1~L3として導出する。そして、損失L1~L3が小さくなるように学習対象モデル40が学習される。学習はあらかじめ定められた終了条件を満足するまで繰り返される。具体的には、学習部27は、損失L0があらかじめ定められたしきい値となるまで、あるいは評価結果が十分に小さくなるようなあらかじめ定められた回数の学習が終了するまで学習対象モデル40の学習を繰り返して学習済みモデル41を構築する。
【0063】
なお、学習部27による学習は上記に限定されるものではない。図8は学習部27による他の学習処理を模式的に示す図である。図8に示すように、他の学習において学習される学習対象モデル42は、ジェネレータ43およびディスクリミネータ44からなる。ジェネレータ43はディスクリミネータ44とともに敵対的生成ネットワーク(GAN)を構成する。
【0064】
ジェネレータ43は、学習データ31すなわち学習用合成情報Cs0および2次元画像Gs1に基づく情報が入力されると、第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3を出力する。第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3は実際に撮影により取得された画像ではないが、実際に撮影された画像と同一の表現形式を有する画像である。このため、第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3は実際の画像すなわち実画像ではなく、疑似画像である。
【0065】
ディスクリミネータ44は、入力された画像が実画像であるかジェネレータ43により生成された疑似画像であるかを判別して判別結果TF0を出力する。判別結果TF0が本開示の評価結果の一例である。ここで、本実施形態における実画像とは、ジェネレータ43が生成した画像ではなく、実際に被検体Hを撮影することにより取得された学習用3次元画像Vs0から解析部22、変形部23および第1導出部24により導出された第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3である。これに対して、疑似画像は、ジェネレータ43により学習用合成情報Cs0および2次元画像Gs1に基づく情報から生成された、実際に撮影された画像ではないが実際に撮影された画像と同一の表現形式を有する画像である。
【0066】
本実施形態においては、入力された画像が実画像であるか、ジェネレータ43により生成された疑似画像であるかの判別結果TF0を正解するように、ディスクリミネータ44が学習される。また、入力された学習用合成情報Cs0および2次元画像Gs1に基づく情報から実画像である第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3に似せた疑似画像を導出し、ディスクリミネータ44が判別結果TF0を不正解とするように、ジェネレータ43が学習される。これにより、ジェネレータ43はディスクリミネータ44に識別されない、本物の2次元画像と同一の表現形式を有する疑似画像を生成できるようになる。この場合、学習済みのジェネレータ43が学習済みモデル41となる。
【0067】
次に、本実施形態による画像処理装置について説明する。図9は画像処理装置が行う処理を模式的に示す図である。本実施形態による画像処理装置においては、被検体Hに対して生検の処置を行う際に、画像取得部21が、被検体Hの処理対象3次元画像V0を画像保管サーバ4から取得する。また、画像取得部21は、被検体Hの処置中に透視画像撮影装置3により取得される透視画像T0を順次取得する。なお、透視画像T0が本開示の処理対象2次元画像の一例である。
【0068】
また、解析部22が、処理対象3次元画像V0を解析することにより、処理対象3次元画像V0に含まれる被検体Hの特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像を導出する。本実施形態においては、解析部22は、学習時と同様に、処理対象3次元画像V0に含まれる肺野内部の軟部組織、胸郭および病変のそれぞれの成分を抽出することにより、3つの処理対象3次元成分画像V1~V3を導出する。なお、処理対象3次元画像V0は吸気相の3次元画像である。
【0069】
合成部26は、処理対象3次元成分画像V1~V3と透視画像T0とを合成して処理対象の合成情報C0を導出する。合成情報C0は、3つの合成2次元特定成分画像G1~G3を含む。合成部26が行う処理は、図5に示す処理と同様である。
【0070】
抽出部28には学習部27が構築した学習済みモデル41が適用される。抽出部28は学習済みモデル41を用いて、合成情報C0および透視画像T0に基づく情報から、透視画像T0に含まれる特定の成分のみを含む透視成分画像Tc1~Tc3を導出する。本実施形態において、透視画像T0に基づく情報は透視画像T0そのものを用いる。透視成分画像Tc1は透視画像T0に含まれる肺野内部の軟部組織を表し、透視成分画像Tc2は透視画像T0に含まれる胸郭を表し、透視成分画像Tc3は透視画像T0に含まれる病変を表す。
【0071】
表示制御部29は、抽出部28が導出した透視成分画像Tc1~Tc3をディスプレイ14に表示する。図10は透視成分画像Tc1~Tc3の表示画面を示す図である。図10に示すように、表示画面50には、3つの透視成分画像Tc1~Tc3が並べられて表示されている。なお、入力デバイス15の操作により、3つの透視成分画像Tc1~Tc3を切り替えて表示するようにしてもよい。
【0072】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図11は、第1の実施形態において行われる学習処理のフローチャートである。まず、画像取得部21が、学習済みモデルを構築するための教師データとして、複数の学習用3次元画像Vs0を画像保管サーバ4から取得する(ステップST1)。次いで、解析部22が、学習用3次元画像Vs0を解析することにより3次元成分画像Vc1~Vc3を導出する(ステップST2)。そして、変形部23が、吸気相の学習用3次元画像Vs0および吸気相の3次元成分画像Vc1~Vc3を変形することにより、呼気相に相当する学習用3次元変形画像Vs1および3次元変形成分画像Vd1~Vd3を導出する(ステップST3)。
【0073】
次に、第1導出部24が、3次元変形成分画像Vd1~Vd3を特定方向に投影することにより、第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3を導出する(ステップST4)。さらに、第2導出部25が、学習用3次元変形画像Vs1をあらかじめ定められた特定方向に投影することにより2次元画像Gs1を導出する(ステップST5)。続いて、合成部26が、3次元成分画像Vc1~Vc3と2次元画像Gs1とを合成して学習用合成情報Cs0を導出する(ステップST6)。
【0074】
次いで、学習部27が、学習用合成情報Cs0および2次元画像Gs1に基づく情報からなる学習データ31、並びに第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3からなる正解データ32を含む教師データ30を用いて、学習対象モデル40を学習する(ステップST7)。そして、学習部27は、評価結果があらかじめ定められた終了条件を満足したか否かを判定し(ステップST8)、ステップST8が否定されるとステップST1に戻り、ステップST1~ステップST8の処理を繰り返す。ステップST8が肯定されると学習処理を終了する。これにより、学習済みモデル41が構築される。
【0075】
次いで、第1の実施形態において行われる画像処理について説明する。図12は本実施形態において行われる画像処理を示すフローチャートである。まず、画像取得部21が、処理対象3次元画像V0を取得し(ステップST11)、解析部22が、処理対象3次元画像V0を解析することにより、処理対象3次元画像V0に含まれる被検体の特定の成分のみを含む少なくとも1つの処理対象3次元成分画像を導出する(ステップST12)。次いで、画像取得部21が透視画像T0を取得し(ステップST13)、合成部26が、処理対象3次元成分画像V1~V3と透視画像T0とを合成して処理対象の合成情報C0を導出する(ステップST14)。
【0076】
そして、抽出部28が学習済みモデル41を用いて、合成情報C0および透視画像T0に基づく情報から、透視画像T0に含まれる特定の成分のみを含む透視成分画像Tc1~Tc3を導出する(ステップST15)。さらに表示制御部29が、抽出部28が導出した透視成分画像Tc1~Tc3をディスプレイ14に表示し(ステップST16)、ステップST13にリターンする。
【0077】
このように、本実施形態の学習装置により構築された学習済みモデル41を用いることにより、処置中に取得される透視画像T0から、肺野内部の軟部組織、胸郭および病変といった特定の構造物を精度よく抽出することが可能となる。
【0078】
ここで、本実施形態による学習済みモデル41を構築するために必要な画像は医用画像である。このため、学習済みモデル41を十分に学習できる程度の数の教師データを用意することが難しい。本実施形態の画像導出装置は、3次元変形成分画像Vd1~Vd3に基づいて第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3を導出するようにした。これにより、導出された2次元特定成分画像Ga1~Ga3を用いて教師データを用意することができるため、十分に学習された学習済みモデル41を構築することができる。
【0079】
なお、上記第1の実施形態においては、学習用3次元画像Vs0を用いて学習済みモデル41を構築しているが、これに限定されるものではない。学習用3次元画像Vs0を取得した被検体について、透視画像(Ts0とする)が学習用3次元画像Vs0と対応付けられて画像保管サーバ4に保存されている場合がある。このような場合には、さらに透視画像Ts0を用いてニューラルネットワークを学習するようにしてもよい。以下、これを第2の実施形態として説明する。
【0080】
図13は、第2の実施形態における学習処理を模式的に示す図である。第2の実施形態においては、教師データ30の学習データ31として、2次元画像Gs1に代えて透視画像Ts0を用いて学習対象モデル40の学習が行われる。このために、学習部27は学習データ31すなわち学習用合成情報Cs0および透視画像Ts0に基づく情報を学習対象の学習対象モデル40に入力する。ここで、透視画像Ts0に基づく情報は透視画像Tsそのものを用いる。学習対象モデル40は、透視画像Ts0に含まれる特定の成分のみを含む第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3を出力する。なお、透視画像Ts0が本開示の実2次元画像の一例である。
【0081】
学習部27は、正解データ32である第1の2次元特定成分画像Ga1~Ga3および第2の2次元特定成分画像Gb1~Gb3についての評価結果に基づいて、上記第1の実施形態と同様に学習対象モデル40を学習する。
【0082】
また、ジェネレータ43およびディスクリミネータ44からなる学習対象モデル42を学習する場合にも、図14に示すように、2次元画像Gs1に代えて透視画像Ts0を用いるようにしてもよい。
【0083】
また、上記各実施形態においては、3次元成分画像Vc1~Vc3を第2の時相の2次元画像Gs1の撮影方向と同一の方向に投影することにより、3つの2次元特定成分画像Gvc1~Gvc3を導出し、3つの2次元特定成分画像Gvc1~Gvc3を2次元画像Gs1と位置合わせすることにより合成情報を導出しているが、これに限定されるものではない。3次元成分画像Vc1~Vc3および第2の時相の2次元画像Gs1を同一次元に次元圧縮し、次元圧縮された3次元変形成分画像Vd1~Vd3と2次元画像Gs1とを合成して学習用合成情報Cs0を導出するようにしてもよい。次元圧縮としては、3次元成分画像Vc1~Vc3および2次元画像Gs1を、例えばラスタスキャン等により1次元ベクトルに展開することが挙げられる。この場合、合成は1次元ベクトル同士の加算等が挙げられる。
【0084】
また、上記各実施形態においては、学習対象モデル40に入力する第2の時相の2次元画像Gs1に基づく情報として2次元画像Gs1そのものを用いているが、これに限定されるものではない。上記のように学習用合成情報Cs0が次元圧縮により導出された場合、第2の時相の2次元画像Gs1を学習用合成情報Cs0と同一次元に次元圧縮した情報を、第2の時相の2次元画像Gs1に基づく情報として用いてもよい。
【0085】
また、上記各実施形態においては、解析部22が学習用3次元画像Vs0あるいは処理対象3次元画像V0から3次元成分画像を導出しているが、これに限定されるものではない。本実施形態による学習装置および画像処理装置とは別個の解析装置により学習用3次元画像Vs0あるいは処理対象3次元画像V0から3次元成分画像を導出するようにしてもよい。この場合、3次元成分画像を画像保管サーバ4に保存しておき、画像取得部21が、画像保管サーバ4から学習用3次元画像Vs0あるいは処理対象3次元画像V0と併せて、3次元成分画像を取得するようにしてもよい。また、この場合、解析部22は不用となる。
【0086】
また、上記各実施形態においては、被検体Hの特定の成分として、軟部組織、胸郭および病変を用いているが、これに限定されるものではない。軟部組織、胸郭および病変の内の少なくとも1つを被検体の特定の成分として用いてもよい。また、軟部組織、胸郭および病変以外の成分を特定の成分として用いてもよい。例えば、血管を特定の成分としてさらに用いてもよい。
【0087】
また、上記各実施形態においては、CT画像等の3次元画像と透視画像T0とを位置合わせする場合に本開示の技術を適用しているが、これに限定されるものではない。例えば3次元画像と、人体の管腔内に挿入された内視鏡により撮影された内視鏡画像とを位置合わせする場合においても本開示の技術を適用できる。この場合、内視鏡画像が本開示の2次元画像の一例である。
【0088】
また、上記各実施形態において、例えば、画像取得部21、解析部22、変形部23、第1導出部24、第2導出部25、合成部26、学習部27、抽出部28、および表示制御部29といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0089】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0090】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0091】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 コンピュータ
2 3次元画像撮影装置
3 透視画像撮影装置
3A アーム
3B X線源
3C X線検出器
4 画像保管サーバ
5 ネットワーク
6 超音波内視鏡装置
6A 内視鏡
10 学習装置および画像処理装置
11 CPU
12A 学習プログラム
12B 画像処理プログラム
13 ストレージ
14 ディスプレイ
15 入力デバイス
16 メモリ
21 画像取得部
22 解析部
23 変形部
24 第1導出部
25 第2導出部
26 合成部
27 学習部
28 抽出部
29 表示制御部
30 教師データ
31 学習データ
32 正解データ
40,42 学習対象モデル
41 学習済みモデル
43 ジェネレータ
44 ディスクリミネータ
50 表示画面
C0 処理対象の合成情報
Cs0 学習用合成情報
Ga1~Ga3 第1の2次元特定成分画像
Gb1~Gb3 第2の2次元特定成分画像
Gc1~Gc3 合成2次元特定成分画像
Gs1 2次元画像
Gvc1~Gvc3 2次元特定成分画像
H 被検体
L1~L3 損失
T0 透視画像
Tc1~Tc3 透視成分画像
TF0 判別結果
V0 処理対象3次元画像
V1~V3 処理対象3次元成分画像
Vc1~Vc3 3次元成分画像
Vd1~Vd3 3次元変形成分画像
Vs0 学習用3次元画像
Vs1 学習用3次元変形画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14