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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173902
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20231130BHJP
   H04N 25/42 20230101ALI20231130BHJP
【FI】
H04N5/3745
H04N5/343
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086447
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】安江 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】山下 誉行
(72)【発明者】
【氏名】北村 和也
(72)【発明者】
【氏名】中村 友洋
(72)【発明者】
【氏名】菊地 幸大
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏平
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CY08
5C024GX03
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024GZ24
(57)【要約】
【課題】 共有画素構造1つあたりに追加するトランジスタを1個に抑制しつつ、空間解像度と時間解像度の2つの要素をより細かく制御可能とする。
【解決手段】 4トランジスタ型をベースとし、共有画素構造10の各々に、1つの転送ゲート制御トランジスタ(以下、TGC)を設け、TGCは、ゲートを、転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方に接続し、ソース/ドレインの一方を、転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の他方に接続し、ソース/ドレインの他方を、各転送ゲートトランジスタ(以下、TG)のゲートに接続し、各制御単位に含まれる共有画素構造の数をN、各共有画素構造が有するTGの数をNとし、各共有画素構造に1つ設けられたTGCは、各共有画素構造に設けられたN個のTGのうち、当該TGCと対応付けられた1つのTGのゲート端子の各々と接続され、当該TGを駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、所定の数のフォトダイオードと、該フォトダイオードの各々に蓄積された電荷を直接的にまたは間接的にフローティングディフュージョンに読み出す、該フォトダイオードの各々に対応して設けられた転送ゲートトランジスタと、該フローティングディフュージョンを所定の電圧にリセットするリセットトランジスタと、該フローティングディフュージョンに読み出された電荷を、電圧として読み出すソースフォロワトランジスタとを備えた共有画素構造を、制御単位毎に所定の数だけ備え、
さらに前記共有画素構造の各々には、1つの転送ゲート制御トランジスタが設けられ、
該転送ゲート制御トランジスタは、ゲート端子を、転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方に接続され、ソース端子およびドレイン端子の一方を、該転送タイミング信号線および該転送ゲート制御信号線の他方に接続され、該ソース端子および該ドレイン端子の他方を、前記転送ゲートトランジスタのゲート端子に接続されるように構成され、
前記制御単位の各々に含まれる前記共有画素構造の数がN個の場合に、各々の該共有画素構造に含まれる前記転送ゲートトランジスタの数はN個とされ、
各々の前記共有画素構造に設けられた前記1つの転送ゲート制御トランジスタは、各々の該共有画素構造に設けられたN個の前記転送ゲートトランジスタのうち、当該1つの転送ゲート制御トランジスタに対応する1つの該転送ゲートトランジスタのゲート端子の各々と接続され、当該転送ゲートトランジスタを駆動するように構成されていることを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
前記共有画素構造が、前記ソースフォロワトランジスタにより読み出された電圧を、出力信号線に出力する選択トランジスタを備えるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記転送タイミング信号線からの転送タイミング信号が同時に入力される複数の画素が行方向および列方向の一方に配列され、かつ前記転送ゲート制御信号線からの転送ゲート制御信号が同時に入力される複数の画素が行方向および列方向の他方に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
各々の前記共有画素構造に含まれるトランジスタが、N個の前記転送ゲートトランジスタと、各々1個の、前記リセットトランジスタ、前記ソースフォロワトランジスタ、前記選択トランジスタおよび前記転送ゲート制御トランジスタとからなるものとすることを特徴とする請求項2に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記制御単位の各々に含まれる前記共有画素構造の数が4個に設定され、各々の該共有画素構造に含まれる転送ゲートトランジスタの数が4個に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記制御単位の各々が、前記共有画素構造を、水平方向に2個、垂直方向に2個配列して構成されてなることを特徴とする請求項5に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記制御単位の各々が、前記共有画素構造を、水平方向および垂直方向の一方に1個、水平方向および垂直方向の他方に4個配列して構成されてなることを特徴とする請求項5に記載の撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素部がアレイ状に配され、例えば行方向の少なくとも一部の画素部の信号読取りが同時に行われる、特に動画像取得用の撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像素子(以下、単に撮像素子と称する)は、撮像レンズによって結像された光を、2次元平面状に整列したフォトダイオードを用いて光電変換し、フォトダイオードに蓄積された光誘起電荷を読み出して光の強度の2次元空間分布を画像として取得する機能を持つ半導体チップである。また、動画像取得用の撮像素子は、画素に蓄積された電荷を周期的に読み出すことにより動画像を撮影する。
動画像の撮影では、一般的に水平方向の画素数をH、垂直方向の画素数をV、画像を読み出す周期であるフレームレートをF[fps]とすると、1秒間に読み出す画素数である「画素読出しレート」は、H×V×F [pixel/sec] の乗算結果により得られ、このレートの値が消費電力、A/D変換回路の性能、さらには、出力データレート等に大きな影響を与える。撮像素子の分野では、微細製造プロセスや3次元積層技術などの先端半導体製造技術の導入に加え、回路技術やチップ上の信号処理技術を改善して性能向上が図られているが、それらによっても画素読出しレートを高めることは容易とは言えない。
【0003】
上述した一般的な動画像取得方式では、撮像素子の構造から取得される動画像の空間解像度(水平および垂直方向の画素数)および時間解像度(フレームレート)は何れも撮影中は一定となるように設定されているが、動画像の性質に鑑みれば、必ずしも一定である必要は無い。
すなわち、静止している物体を撮影する場合にはフレームレートを高く維持する必要は無く、低いフレームレートで撮影した場合でも、主観的画質の低下を抑制することが可能である。他方、動いている物体を撮影する場合には、動きボケにより空間周波数が低下したものとなっているため、空間解像度を高く維持する必要は無く、低い空間解像度で撮影した場合でも、主観的画質の低下を抑制することが可能である。
【0004】
上述した動画像の性質に鑑みると、撮影される物体が静止している場合には空間解像度を高くかつフレームレートを低くし、物体が動いている場合には空間解像度を低くかつフレームレートを高くするように撮影することが可能な撮像素子は、空間解像度とフレームレートを共に高く撮影する撮像素子に比較して、画素読出しレートを低く抑えながら主観的画質の低下を抑えることが可能である。
また、一般的に、撮影される画面中には、動きの速さが異なる様々な物体が含まれていることから、高空間解像度かつ低フレームレートで撮影される領域と、低空間解像度かつ高フレームレートで撮影される領域が、互いに組み合わされて画面が構成されることが望ましい。
【0005】
このような撮影の実現に向けた技術として、下記特許文献1に記載されている画素並列構造を用いた撮像素子が知られている。この撮像素子は、3次元積層構造を利用して1画素に対して1個のA/D変換回路を画素と同一面積で形成する構造を備えている。この構造では、各画素について独立して読み出し動作を行うことができることから、空間解像度とフレームレートの制御を実現することが可能である。
また、下記非特許文献1には、下記特許文献1のように1画素に対して1個のA/D変換回路を設けるのではなく、16×16画素に対して16個のA/D変換回路を形成し、このブロック毎に露光時間を制御する撮像素子が開示されている。
さらに、下記非特許文献2には、画素内に1bitのメモリーを設けて、そのメモリーに記録した情報によって画素の読み出しをスキップする撮像素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開番号 WO2016/009832 A1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】T. Hirata et. al., “7.8 A 1-inch 17Mpixel 1000fps Block-Controlled Coded-Exposure Back-Illuminated Stacked CMOS Image Sensor for Computational Imaging and Adaptive Dynamic Range Control,” in 2021 IEEE International Solid- State Circuits Conference (ISSCC), San Francisco, CA, USA, Feb. 2021, pp. 120-122. doi: 10.1109/ISSCC42613.2021.9365740.
【非特許文献2】J. Zhang, J. P. Newman, X. Wang, C. S. Thakur, and J. Rattray, “A Closed-Loop, All-Electronic Pixel-Wise Adaptive Imaging System for High Dynamic Range Videography,” IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS AND SYSTEMS, vol. 67, no. 6, p. 12, 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された技術においては、画素をA/D変換回路の面積より小さくすることが困難であるため、画素の小型化に限界があり、実際に報告されている画素の大きさは6.9μmと大きく、小型化の目的は達成されていない。
また、上記非特許文献1に記載された技術によれば、画素の大きさを2.8μmと小さくすることができることが知られているが、制御の単位は16×16画素と粗く、また、制御の手法はシャッターによる露光時間の制御に限られることから、画素読出しレートを一定に保つことを前提としつつ、空間解像度と時間解像度の2つの要素を変化させることはできていない。
さらに、上記非特許文献2に記載された技術によれば、間引き読み出しによる空間解像度の制御と、読み出しスキップによりフレームレートを調整する時間解像度の制御が可能であるが、1つの画素に対して7個のトランジスタが追加になり画素サイズを小さくすることが困難である。実際に、非特許文献2で報告されている画素の大きさは6.5μmサイズである。
【0009】
このように、従来技術においては、原理的には空間解像度および時間解像度の制御が可能であるが、付加されるトランジスタの数が多く画素の小型化を達成できないものか、画素の小型化は可能であるものの制御の単位が粗いものかのいずれかとなっており、一般的にテレビカメラの撮像素子として用いられる5μmサイズより小型の画素を高精細に制御可能な撮像素子が望まれていた。
【0010】
ところで、現在の半導体製造技術ではトランジスタはウエハ面上にしか形成できないことから、画素サイズには内蔵するトランジスタの数が大きく影響する。一方で、近年では、配線を形成した面とは逆の面から光を入射させる裏面照射構造で撮像素子を製造することが一般的であり、かつ、配線層は4層以上の多層で形成することが可能であることから、画素サイズには、配線形成に伴う制約は小さい。
このため、画素サイズの小型化を実現するためには、1画素あたりのトランジスタ数を抑えることが重要である。
【0011】
近年では、複数の画素(フォトダイオードPD)が1つのフローティングディフュージョンFD、増幅トランジスタSF、選択トランジスタSLを共有する共有画素構造を取ることによって、画素(フォトダイオード)あたりのトランジスタの数を抑えることが一般的となっており、感度の低下やばらつきを抑えながら所望する機能を実現するためには、各共有画素あたりのトランジスタの数を一定かつ可能な限り小さく抑えることが望ましい。当然ながら、機能を追加するにあたり最も望ましいのは繰り返し単位である共有画素構造1つあたりの追加トランジスタの数を1個に抑制することが可能な構造とすることである。
本発明は、共有画素構造1つあたりに追加するトランジスタを1個に抑制して小型化を図りつつ、空間解像度と時間解像度の2つの要素をより細かく制御し得る構造を備えた撮像素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の撮像素子は、
少なくとも、所定の数のフォトダイオードと、該フォトダイオードの各々に蓄積された電荷を直接的にまたは間接的にフローティングディフュージョンに読み出す、該フォトダイオードの各々に対応して設けられた転送ゲートトランジスタと、該フローティングディフュージョンを所定の電圧にリセットするリセットトランジスタと、該フローティングディフュージョンに読み出された電荷を、電圧として読み出すソースフォロワトランジスタとを備えた共有画素構造を、制御単位毎に所定の数だけ備え、
さらに前記共有画素構造の各々には、1つの転送ゲート制御トランジスタが設けられ、
該転送ゲート制御トランジスタは、ゲート端子を、転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方に接続され、ソース端子およびドレイン端子の一方を、該転送タイミング信号線および該転送ゲート制御信号線の他方に接続され、該ソース端子および該ドレイン端子の他方を、前記転送ゲートトランジスタのゲート端子に接続されるように構成され、
前記制御単位の各々に含まれる前記共有画素構造の数がN個の場合に、各々の該共有画素構造に含まれる前記転送ゲートトランジスタの数はN個とされ、
各々の前記共有画素構造に設けられた前記1つの転送ゲート制御トランジスタは、各々の該共有画素構造に設けられたN個の前記転送ゲートトランジスタのうち、当該1つの転送ゲート制御トランジスタに対応する1つの該転送ゲートトランジスタのゲート端子の各々と接続され、当該転送ゲートトランジスタを駆動するように構成されていることを特徴とするものである。
また、前記共有画素構造が、該ソースフォロワトランジスタにより読み出された電圧を、出力信号線に出力する選択トランジスタを備えるように構成することが可能である。
【0013】
ここで、上述した「所定の数」とは、「1個または複数個」の中から選択される任意の数を意味する。
また、「直接的にまたは間接的に」における「直接的に」とは、該フォトダイオードの各々に蓄積された電荷を、フローティングディフュージョンに読み出すためのトランジスタが、該フォトダイオードの各々に対応して設けられた転送ゲートトランジスタであることを意味するのに対し、「直接的にまたは間接的に」における「間接的に」とは、該フォトダイオードの各々に蓄積された電荷を、フローティングディフュージョンに読み出すためのトランジスタとして、該フォトダイオードの各々に対応して設けられた転送ゲートトランジスタの他、この転送ゲートトランジスタと組み合わせる他のトランジスタを備えることを意味し、フォトダイオードとフローティングディフュージョンとの間に、該転送ゲートトランジスタに加えて1個以上の所定のトランジスタを設け、該転送ゲートトランジスタと直列に備えることを意味する。例えば、該所定のトランジスタをグローバル転送トランジスタとして撮像素子に共通する信号線により駆動されるようにする。
また、「転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方」と「転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の他方」との用語は、「転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方」が転送タイミング信号線であれば、「転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の他方」は転送ゲート制御信号線となり、「転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方」が転送ゲート制御信号線であれば、「転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の他方」は転送タイミング信号線となることを意味する。
また、「ソース端子およびドレイン端子の一方」と「ソース端子およびドレイン端子の他方」との用語は、「ソース端子およびドレイン端子の一方」がソース端子であれば、「ソース端子およびドレイン端子の他方」はドレイン端子であり、「ソース端子およびドレイン端子の一方」がドレイン端子であれば、「ソース端子およびドレイン端子の他方」はソース端子であることを意味する。
【0014】
前記転送タイミング信号線からの転送タイミング信号が同時に入力される複数の画素が行方向および列方向の一方に配列され、かつ前記転送ゲート制御信号線からの転送ゲート制御信号が同時に入力される複数の画素が行方向および列方向の他方に配列されているものとすることができる。
ここで、「行方向および列方向の一方」と「行方向および列方向の他方」との用語は、「行方向および列方向の一方」が行方向であれば、「行方向および列方向の他方」は列方向となり、「行方向および列方向の一方」が列方向であれば、「行方向および列方向の他方」は行方向となることを意味する。
【0015】
また、各々の前記共有画素構造に含まれるトランジスタが、N個の前記転送ゲートトランジスタと、各々1個の、前記リセットトランジスタ、前記ソースフォロワトランジスタ、前記選択トランジスタおよび前記転送ゲート制御トランジスタとからなるものとすることができる。
【0016】
また、前記制御単位の各々に含まれる前記共有画素構造の数が4個に設定され、各々の該共有画素構造に含まれる転送ゲートトランジスタの数が4個に設定したものとすることができる。
この場合において、前記制御単位の各々が、前記共有画素構造を、水平方向に2個、垂直方向に2個配列して構成することが可能である。
また、前記制御単位の各々が、前記共有画素構造を、水平方向および垂直方向の一方に1個、水平方向および垂直方向の他方に4個配列して構成することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の撮像素子によれば、各制御単位に含まれる共有画素構造をN個とし、制御単位毎に、N個の画素(フォトダイオード)を備えるとともに、共有画素構造の各々には、1つの転送ゲート制御トランジスタを追加し、この転送ゲート制御トランジスタは、ゲート端子を、転送タイミング信号線および転送ゲート制御信号線の一方に接続され、ソース端子もしくはドレイン端子の一方を、該転送タイミング信号線および該転送ゲート制御信号線の他方に接続され、該ソース端子および該ドレイン端子の他方を、前記転送ゲートトランジスタのゲート端子に接続されるように構成されている。また、転送ゲート制御トランジスタは、制御単位の各々に含まれる前記共有画素構造の数がN個の場合に、各々の該共有画素構造に含まれる転送ゲートトランジスタの数はN個とされ、各々の前記共有画素構造に設けられた前記1つの転送ゲート制御トランジスタは、各々の該共有画素構造に設けられたN個の前記転送ゲートトランジスタのうち、当該1つの転送ゲート制御トランジスタに対応する1つの転送ゲートトランジスタのゲート端子の各々と接続され、当該転送ゲートトランジスタを駆動するように構成している。
これにより、画素の信号を個別に読み出し、空間解像度を高める第1の読出し方式と、複数画素の信号を合算して読み出し、フレームレート(時間解像度)を高める第2の読出し方式とを任意に選択することを可能としている。
すなわち、共有画素構造1つあたりに追加するトランジスタを1個に抑制しつつ、各制御単位毎に、空間解像度と時間解像度の2つの要素をより細かく制御し得る撮像素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係る撮像素子の回路構成を示す概略図である。
図2図1に示す撮像素子の1つの共有画素構造(N=2)の構成を拡大して示す概略図である。
図3】実施形態1に係る撮像素子において、各駆動信号のタイミングチャートを示すものである。
図4】実施形態1の変形例に係る撮像素子の回路構成を示す概略図である。
図5】実施形態2に係る撮像素子の回路構成を示す概略図である。
図6図5に示す撮像素子の各制御単位の構成を簡略化して示す模式図である。
図7】実施形態2の変形例に係る撮像素子の各制御単位の構成を簡略化して示す模式図である。
図8】実施形態3に係る撮像素子の制御単位の構成を簡略化して示す模式図である。
図9】従来技術に係る撮像素子の回路構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る撮像素子について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
最初に、実施形態1(N=2(Nは各制御単位中の共有画素構造の数:以下同じ))に係る撮像素子100の基本的な構成を、図1を参照しつつ、また、従来技術(N=2)に係る撮像素子400の基本的な構成を示す図9と比較しつつ説明する。なお、図2は、実施形態1に係る撮像素子100の1つの共有画素構造10を拡大して示すものである。
なお、本実施形態において、図9に示す従来技術のものと、機能が略同様とされている部材については、同様の符号を付して表す。
すなわち、本実施形態に係る撮像素子100は、フォトダイオード(光電変換部:PD)を各々有する複数の画素をアレイ状に配してなる画素アレイ領域を備え、行方向(図中横方向)に配列された画素および列方向(図中縦方向)に配列された画素を駆動することにより、該画素に蓄積された電荷を信号として読みだすように構成されている。
【0020】
まず、比較対象である従来技術による撮像素子400について説明する。この撮像素子400は、図9に示すように、各制御単位中の共有画素構造の数は2個でN=2であることから、2個のフォトダイオードPD(以下、単にPDと称する)と、1個のフローティングディフュージョンFD(以下、単にFDと称する)と、2個の転送ゲートトランジスタTG(以下、単にTGと称する)、1個のリセットトランジスタRT(以下、単にRTと称する)、1個のソースフォロワトランジスタSF(以下、単にSFと称する)、および1個の選択トランジスタSL(以下、単にSLと称する)からなる計5個のトランジスタとにより構成される。ここで、図9においては、各トランジスタが、1個のゲートによって表され、その両端の拡散層の間の高抵抗状態と低抵抗状態を制御する構造が簡略化して表示されている(図1についても同様)。
【0021】
図9において、図面最上行に位置するPDを第1PD(k=1)、その下の行に位置するPDを第2PD(k=2)と定義すると、第1PDは第1のTGタイミング信号(TG(y))によって、また、第2PDは第2のTGタイミング信号(TG(y+1))によって、対応する第1TGおよび第2TGのゲート電圧が制御され、電荷がPDからFDに読み出される。共有画素構造40の最上行に並ぶ第1TGは全て同一の第1のTGタイミング信号(TG(y))によって、第2TGは全て同一の第2のタイミング信号(TG(y+1))によって制御されることから、同一行の共有画素構造40は全て、同一の動作を行うことになる。
【0022】
これに対し、図1、2に示す実施形態1の撮像素子100においては、各共有画素構造10につき1個の転送ゲート制御トランジスタTGC(以下、単にTGCと称する)が追加され、かつN=2であることから、各制御単位には、2個の横方向に並ぶ共有画素構造(第1共有画素構造、第2共有画素構造)が設けられており、制御単位の繰り返しによって画素アレイが形成されている。
【0023】
ここで、撮像素子100の1共有画素構造10の構成を、図1の一部拡大図である図2を用いて説明しておく。
図9に示す従来技術による撮像素子と同様に、PDに蓄積された信号電荷は、TG(第1TG、第2TG)のゲート電圧を高電位にすることによって、FDに転送されるが、本実施形態においては、画素毎、もしくは同一の制御を行う画素群毎に、TGのゲート端子の電位を制御するTGCが設けられている。
【0024】
このTGCのゲート端子は、行毎に設けられたTGタイミング信号線(TG(y))によって、また、ドレイン端子(またはソース端子)は、垂直信号線と同数配置されたTG制御信号線(TGCn(x))(nは自然数)に各々接続され、さらに、このTGCのソース端子(またはドレイン端子)は上述したようにTGのゲート端子に、各々接続される。なお、以下の説明においては、ソース端子またはドレイン端子は、単にソースまたはドレインと簡略化して称したり、一方の拡散層、他方の拡散層と称することがあるが、いずれも同義である。
【0025】
上述した内容を、1つの制御単位の中の構成として説明すると、図1に示すように、制御単位(y,x)中で左方に配された共有画素構造(第1共有画素構造10A)に追加された第1TGCの一方の拡散層には第1TG制御信号(TGC1(x))が、ゲートにはTGタイミング信号(TG(y))が、他方の拡散層には当該制御単位(y,x)に含まれる、第1共有画素構造10Aおよび第2共有画素構造10Bにおける第1TGのゲートが、各々接続されている。
【0026】
他方、制御単位(y,x)中で右方に描かれた共有画素構造(第2共有画素構造10B)に追加された第2TGCの一方の拡散層には第2TG制御信号(TGC2(x))が、ゲートにはTGタイミング信号(TG(y))が、他方の拡散層には当該制御単位(y,x)に含まれる、第1共有画素構造10Aおよび第2共有画素構造10Bにおける第2TGのゲートが、各々接続されている。
なお、水平方向(行方向)に並ぶ制御単位に含まれる、各共有画素構造10のTGCには、同一のTGタイミング信号(TG(y))が接続されていることから、共有画素構造10を水平方向(行方向)に横切るTGタイミング信号の本数は2本から1本に削減されている。
【0027】
このように構成された実施形態1の特徴的な構造によれば、該TGタイミング信号の入力に応じて、従来技術では得られない、以下の如き4つの異なる出力結果を選択することができる。
(1)制御単位に接続されたTG制御信号線からの第1TG制御信号(TGC1(x))が第1TGのソースまたはドレインに入力された場合には、第1TGがON状態とされ制御単位内の第1PDからFDへの電荷転送を行うことが可能となる。
(2)制御単位に接続されたTG制御信号線からの第2TG制御信号(TGC2(x))が第2TGのソースまたはドレインに入力された場合には、第2TGがON状態とされ制御単位内の第2PDからFDへの電荷転送を行うことが可能となる。
(3)また、第1TG制御信号(TGC1(x))と第2TG制御信号(TGC2(x))が共に入力された場合には、制御単位内の第1PDおよび第2PDからFDへの電荷転送が行われ、両者を合算した信号を読み出すことが可能である。
(4)また、第1TG制御信号(TGC1(x))と第2TG制御信号(TGC2(x))が共に入力されなかった場合には、制御単位内の第1PDおよび第2PDからFDへのいずれの電荷転送も行われず、露光および信号の蓄積を継続することも可能である。
【0028】
このように、本実施形態によれば、制御単位毎に第1TG制御信号および第2TG制御信号の入力が可能とされているため、このような、第1PDおよび第2PDからの電荷転送の制御は制御単位毎に独立して行うことが可能である。また、図面中の垂直方向(列方向)の走査は時間差を伴って順次走査されるため、垂直方向の制御単位についても時間差を利用して独立して制御することが可能である。
【0029】
(実施形態1の制御手法)
図1、2に示す実施形態1の画素構造を用いて空間解像度および時間解像度を制御単位毎に制御する手法を、図3に示すタイミング図を用いて説明する。
図1に示す、実施形態1の画素構造は、説明の便宜のため、画素アレイ中の縦4画素、横4画素の一部領域を抜き出したものである。すなわち、実施形態1のものでは、1制御単位中の共有画素構造の数を表すNが2とされており、共有画素構造を水平方向(行方向)に2個ずつ並べることで、垂直方向(列方向)に2画素、水平方向(行方向)に2画素配列したブロックが1制御単位とされている。
【0030】
図1中には、4個の制御単位が並んでおり、この4個の制御単位を、(y,x)、(y,x+1)、(y+1,x)、および(y+1,x+1)と、垂直および水平方向のアドレスを用いて表現し、また、この制御単位中の画素は図面中の左上をk=1、右上をk=2、左下をk=3、右下をk=4と規定することで、制御単位の上記アドレスと併せて、(y,x,k)と表記するようにしている。
垂直方向のアドレスyに対応して、TGタイミング信号であるTG(y)およびTG (y+1)、リセットタイミング信号RT(y)およびRT(y+1)、選択信号SL(y)およびSL(y+1)が図面左横方向から入力され、他方、水平方向のアドレスxに対応して、TG制御信号である、TGC1(x)、TGC2(x)、TGC1(x+1)、TGC2(x+1)が図面下方から入力されている。
【0031】
画面上を垂直方向に移動する走査に合わせて、画素の電荷がFDに転送され順次読み出されることになるが、任意のスキャンfおよび、その次のスキャン(f+1)において、y行およびy+1行の読出しタイミングとなったときの各信号への信号入力を図3に示す。
スキャンfにおけるy行目の読み出しは、SL(y)をON状態としてSLを導通状態としたうえで、RT(y)をON状態としてFDをリセットした後に、TGをON状態とするタイミングでTG(y)が入力される。
【0032】
このTG(y)がON状態となるタイミングで、所定のスキャンfの第y行の転送タイミングに合わせて、TGC1(x)、TGC1(x+1)およびTGC2(x+1)を入力すると、制御単位(y,x)においては画素(y,x,1)の電荷が読み出されて出力信号線1(x)に出力され、画素(y,x,2)の電荷が読み出されて出力信号線2(x)に出力される。
一方、制御単位(y,x+1)においては、画素(y,x+1,1)と画素(y,x+1,3)の電荷が合算され、読み出されて出力信号線1(x+1)に出力され、画素(y,x+1,2)と画素(y,x+1,4)の電荷が合算され、読み出されて出力信号線2(x+1)に出力される。
【0033】
すなわち、スキャンfで読み出される信号は、画素(y,x,1)、画素(y,x,2)、画素(y,x+1,1)と画素(y,x+1,3)の合算、 画素(y,x+1,2)と画素(y,x+1,4)の合算、 画素(y+1,x,1)、 画素(y+1,x,2)、 画素(y+1,x+1,1)、 画素(y+1,x+1,2)の各電荷が読み出される。
【0034】
スキャンf+1ではTG制御信号の入力が、スキャンfとは変化しており、画素(y,x,3)、 画素(y,x,4)、 画素(y,x+1,1)と画素(y,x+1,3)の合算、 画素(y,x+1,2)と画素(y,x+1,4)の合算、 画素(y+1,x,3)、 画素(y+1,x,4)、 画素(y+1,x+1,3)、 画素(y+1,x+1,4)の各電荷が読み出される。
【0035】
以上をまとめると、制御単位(y,x)、(y+1,x)、(y+1,x+1)においてはスキャンf、スキャンf+1の2回のスキャンを用いて全ての画素が個別に読み出され、このパターンが繰り返された場合には露光時間はスキャン2周期分となる。
一方で制御単位(y,x+1)においては、スキャンf、スキャンf+1のいずれにおいても、制御単位内の縦方向に並ぶ2画素が合算して読み出され、露光時間はスキャン1周期となる。
【0036】
すなわち、制御単位(y,x)、(y+1,x)、(y+1,x+1)においては空間解像度が高く時間解像度が低い映像が得られ、制御単位(y,x+1)においては空間解像度が合算によって低くなる代わりに時間解像度の高い映像を得ることができる。
さらに2種類の撮像方式は、Xアドレス方向(図面横方向、行方向)にはTG制御信号によって、他方、Yアドレス方向(図面縦方向、列方向)にはスキャンによる時分割で制御されることから、任意の制御単位に対して任意の方式を指定して信号の読み出しを行うことが可能である。
【0037】
(実施形態1の変形例)
図4に実施形態1の変形例を示す。この変形例も実施形態1と同様に、N=2とされており、従来技術と比べ、1つの共有画素構造について1個のTGCが追加されている。ただし、実施形態1のものとは、TGタイミング信号が該TGCの一方の拡散層に入力され、かつ第1TG制御信号TGC1(x)および第2TG制御信号TGC2(x)が第1´TGCおよび第2´TGCのゲート端子に入力されている点において異なっている。
本変形例においても実施形態1と同様に、TGタイミング信号と第kTG制御信号が同時に入力された場合に制御単位内の第kTGが制御され、第kPDからFDに電荷転送が行われる動作および作用効果は同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
(実施形態2)
図5は、上記Nが4とされた場合の実施形態2に係る撮像素子の概略を示すものである。
また、図6は、図5の各構成を簡略化して示すものである。すなわち、各共有画素構造中に追加されたTGCの対応番号を丸で囲って示すようにし、また、各共有画素構造中の各フォトダイオードの対応番号を四角で囲って示すようにしている。
また各制御単位を点線で囲って示しており、この中に含まれるフォトダイオード(□で囲まれている)が、含まれる同番号のTGC(〇で囲まれている)によって制御される(4つの□と1つの〇で1つの共有画素構造が表される)ことを示している。
【0039】
従来技術(不図示)における、上記Nが4である場合の共有画素構造は、4個のPDと、1個のFDと、4個のTG、1個のRT、1個のSFおよび1個のSLの計7個のトランジスタと、により構成されている。ここで、各共有画素構造において、図面中で左上に位置するPDを第1PD(k=1)、図面中で右上に位置するPDを第2PD(k=2)、図面中で左下に位置するPDを第3PD(k=3)、図面中で右下に位置するPDを第4PD(k=4)と定義すると、第kのTGタイミング信号によって、対応する第kTGのゲート電圧が制御され、電荷が第kPDからFDに読み出される(kは1~4の何れかの自然数)。
水平方向(行方向)に並ぶ各共有画素構造に含まれる第kTGは全て同一の第kタイミング信号によって制御されることから、同一行の共有画素構造は全て、同一の動作を行うことになる。
【0040】
これに対し、実施形態2に係る撮像素子の画素構造は、上記従来技術に比して、1共有画素構造について1個のトランジスタ(TGC)が追加される点で相違している。またNは4であるため、水平方向に2個、垂直方向に2個で合計4個の共有画素構造によって1制御単位が形成されており、このような制御単位(y,x)の2次元的な繰り返しにより画素アレイが形成されている。
【0041】
各制御単位において、図面中で左上に描かれた共有画素構造(第1共有画素構造20A)に配されたTGC(第1TGC)において、ゲートには第1TG制御信号線(TGC1(x))が、一方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはTGタイミング信号線(TG(y))が、他方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはこの制御単位の各共有画素構造に1つずつ配された4個の第1TGのゲートが、各々接続されている。
【0042】
また、各制御単位において、図面中で右上に描かれた共有画素構造(第2共有画素構造20B)に配されたTGC(第2TGC)において、ゲートには第2TG制御信号線(TGC2(x))が、一方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはTGタイミング信号線(TG(y))が、他方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはこの制御単位の各共有画素構造に1つずつ配された4個の第2TGのゲートが、各々接続されている。
【0043】
また、各制御単位において、図面中で左下に描かれた共有画素構造(第3共有画素構造20C)に配されたTGC(第3TGC)において、ゲートには第3TG制御信号線(TGC3(x))が、一方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはTGタイミング信号線(TG(y))が、他方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはこの制御単位の各共有画素構造に1つずつ配された4個の第3TGのゲートが、各々接続されている。
【0044】
また、各制御単位において、図面中で右下に描かれた共有画素構造(第4共有画素構造20D)に配されたTGC(第4TGC)において、ゲートには第4TG制御信号線(TGC4(x))が、一方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはTGタイミング信号線(TG(y))が、他方の拡散層(ソースまたはドレイン)にはこの制御単位の各共有画素構造に1つずつ配された4個の第4TGのゲートが、各々接続されている。
【0045】
このように、水平方向(行方向)に並ぶ各共有画素構造に1つずつ配されたTGCには同一のTGタイミング信号が接続されていることから、共有画素構造を水平方向に横切るTGタイミング信号の、1共有画素構造についての本数は従来技術での4本から0.5本に大幅に削減されている。
このように構成された実施形態2の特徴的な構造によれば、該TGタイミング信号の入力に応じて、従来技術では得られない、以下の如き、特徴的な出力結果(1)~(3)を得ることができる。
【0046】
(1)制御単位に対して、TGタイミング信号の入力に合わせて、第kTG制御信号が入力された場合には、制御単位内の第kPDからFDへの電荷転送を行うことが可能となる。
(2)また、第1から第4までの4つのTG制御信号のうち複数が同時に入力された場合には、制御単位内の第1から第4までの4つのPDのうち該当するPDから共に電荷転送が行われ、それらを合算した信号を読み出すことが可能である。
(3)また、第1から第4までの4つのTG制御信号のうちいずれのTG制御信号も入力されなかった場合には、制御単位内の第1から第4までの4つのPDのうちいずれのPDからの電荷転送も行われず、露光および信号の蓄積を継続することも可能である。
【0047】
このように、本実施形態によれば、制御単位毎に第1TG制御信号から第4TG制御信号までの4つのTG制御信号の中から任意の信号入力を選択可能とされているため、このような、第1PDから第4PDまでの電荷転送の制御は制御単位毎に独立して行うことが可能である。また、図面中の垂直方向(列方向)の走査は時間差を伴って順次走査されるため、垂直方向の制御単位についても時間差を利用して独立して制御することが可能である。
また、N=4の本実施形態においても、上記実施形態1の変形例と同様に、TGタイミング信号とTG制御信号について、入力するTG制御トランジスタ(TGC)の端子を逆に設定した変形例とすることも可能である。
【0048】
(実施形態2の変形例)
図6と同様の表示スタイルによって、実施形態2の変形例を図7に示す。この変形例も実施形態2と同様に、N=4とされており、従来技術と比べ、1つの共有画素構造について1個のTGCが追加されている。ただし、実施形態2の各制御単位は、水平方向(行方向)に2個、垂直方向(列方向)に2個の、共有画素構造を配列することで構成されているが、本変形例は、水平方向(行方向)に4個、垂直方向(列方向)に1個の共有画素構造を配列して構成されている。
【0049】
(実施形態3)
実施形態3は、上記Nが8である場合の撮像素子である。実施形態3の概念図を、図6、7と同様の表示スタイルによって図8に示す。
すなわち、各共有画素構造中に追加されたTGCの対応番号を丸で囲って示すようにし、また、各共有画素構造中の各フォトダイオードの対応番号を四角で囲って示すようにしている。
図8に示すように、この制御単位(x,y)中には、水平方向(行方向)に2個、垂直方向(列方向)に4個の、合計8つの共有画素構造が配されており、各共有画素構造中に配されたTGCが、その丸に囲まれた番号に対応する、各共有画素構造中の同じ番号を付されたPD(およびTG)を制御することが示されている。
【0050】
このように、本実施形態によれば、上記実施形態1、2等と同様の作用により、第1PDから第8PDまでの電荷転送の制御が水平方向(行方向)の制御単位毎に独立して行うことが可能である。また、図面中の垂直方向(列方向)の走査は時間差を伴って順次走査されるため、垂直方向の制御単位についても時間差を利用して独立して制御することが可能である。
【0051】
(変更態様)
本発明の撮像素子としては上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様のものに変更が可能である。例えば、上記実施形態のものでは、1画素を4つのトランジスタで構成する4トランジスタ型(選択トランジスタを設ける代わりに、ソースフォロワトランジスタのVDDの電位を制御することで選択トランジスタの機能を備えるようにしたタイプのものを含む)をベースとしているが、1画素を5つのトランジスタで構成する5トランジスタ型をベースとすることも可能である。
5トランジスタ型とは、上記4トランジスタ型の4種のトランジスタに加え、グローバル転送トランジスタを備えたものである。このグローバル転送トランジスタは、各フォトダイオードに蓄積された電荷を、フォトダイオードの個数と同数だけ設けられた電荷蓄積ノードに読み出すトランジスタ(フォトダイオードの個数と同数だけ設けられている)である。なお、これら複数の電荷蓄積ノードの電荷は転送ゲートトランジスタによってフローティングディフュージョンに読み出されることになる。
また、すべてのグローバル転送トランジスタは、転送タイミング信号の一走査の終了時点から次の走査の開始時点までの間に同一のタイミングで駆動されることになる。
【0052】
また、上記本実施形態の撮像素子と同様の規則に従って、より多くの共有画素構造を有する制御単位を備えた撮像素子を構築することもできる。その場合の共有画素構造の水平方向の数と垂直方向の数の比率は、適宜に設定することが可能である。一方、本発明の撮像素子を、1つの共有画素構造を有する制御単位を備えたものにより構築することもできる。
また、上述した各実施形態に係る撮像素子の画素は、電子蓄積型の画素を前提としており、画素を構成する各トランジスタは、NMOS型であるものとして説明をしているが、各トランジスタをPMOS型で構成し、各信号の高電位および低電位を互いに入れ替えて撮像素子を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10、10´、10A、10B、20A、20B、20C、20D、40 共有画素構造
100、100´、200、200´、300、400 撮像素子
PD フォトダイオード
FD フローティングディフュージョン
TG TGトランジスタ(転送トランジスタ)
TGC TG制御トランジスタ(転送制御トランジスタ)
RT リセットトランジスタ
SF ソースフォロワトランジスタ
SL 選択トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9