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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174035
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20231130BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20231130BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H05K5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086645
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】石井 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】フーエルダー ジョー
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AA01
4E360AB13
4E360AB31
4E360BA03
4E360EA03
4E360ED03
4E360ED12
4E360GA29
4E360GB92
5G361AA06
5G361AB09
5G361AC02
5G361AC04
5G361BA01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】防水性が良好な電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱は、アッパーケース21と、センターケース11と、ロアケース31と、アッパー基板41と、ロア基板51と、を備える。アッパー基板41は、アッパーケース21とセンターケース11との間に配置される。ロア基板51は、センターケース11とロアケース31との間に配置される。センターケース11の側壁部13と、アッパーケース21の側壁部23とが、第1ラビリンス構造を介して接続されている。センターケース11の側壁部13と、ロアケース31の側壁部33とが、第2ラビリンス構造を介して接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケース及び複数の回路基板を有する電気接続箱であって、
複数の前記ケースは、アッパーケースと、センターケースと、ロアケースと、を含み、
複数の前記回路基板は、
前記アッパーケースと前記センターケースとの間に配置される第1回路基板と、
前記センターケースと前記ロアケースとの間に配置される第2回路基板と、
を含み、
前記センターケースの側壁部と、前記アッパーケースの側壁部とが、第1ラビリンス構造を介して接続され、
前記センターケースの側壁部と、前記ロアケースの側壁部とが、第2ラビリンス構造を介して接続されていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記センターケースの側壁部は、前記センターケースの全周にわたって設けられており、
前記第1ラビリンス構造及び前記第2ラビリンス構造のうち少なくとも何れかが、前記センターケースの側壁部の全周にわたって配置されていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項3】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記センターケースの側壁部に、強度を向上させるためのリブが形成されていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項4】
請求項3に記載の電気接続箱であって、
前記リブは前記側壁部の外側に形成されていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項5】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記センターケースに、第1ボス部が上方に突出するように形成され、
前記第1回路基板に形成された凹部に前記第1ボス部が挿入されることで、前記第1回路基板が位置決めされ、
前記センターケースに、第2ボス部が下方に突出するように形成され、
前記第2回路基板に形成された凹部に前記第2ボス部が挿入されることで、前記第2回路基板が位置決めされることを特徴とする電気接続箱。
【請求項6】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記センターケースと、前記アッパーケース及び/又は前記ロアケースとは、ロック構造を介して固定されており、
前記第1ラビリンス構造及び前記第2ラビリンス構造のうち少なくとも何れかが、前記ロック構造の内側を通過するように配置されていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項7】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記センターケースは、前記側壁部が一体的に形成されるベース部を備え、
前記ベース部に、単位形状を反復した構成のリブが形成されていることを特徴とする電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ECU搭載電気接続箱を開示する。この電気接続箱は、下ケースハウジング、上ケースハウジング、及びカバー部を備え、制御基板及び内部基板を収容する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5687751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気接続箱は、複数の基板を収容する構成であるため、部品点数が増大し、内部への水の侵入を防止することが難しかった。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、防水性が良好な電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の電気接続箱が提供される。即ち、この電気接続箱は、複数のケース及び複数の回路基板を有する。複数の前記ケースは、アッパーケースと、センターケースと、ロアケースと、を含む。複数の前記回路基板は、第1回路基板と、第2回路基板と、を含む。前記第1回路基板は、前記アッパーケースと前記センターケースとの間に配置される。前記第2回路基板は、前記センターケースと前記ロアケースとの間に配置される。前記センターケースの側壁部と、前記アッパーケースの側壁部とが、第1ラビリンス構造を介して接続されている。前記センターケースの側壁部と、前記ロアケースの側壁部とが、第2ラビリンス構造を介して接続されている。
【0008】
この構成では、中間に位置するセンターケースの側壁部を上下両側から挟み込むように、アッパーケースの側壁部及びロアケースの側壁部が取り付けられる。しかも、センターケースの側壁部とアッパーケースの側壁部が接続する部分、及び、センターケースの側壁部とロアケースの側壁部が接続する部分には、それぞれラビリンス構造が形成される。従って、耐水性を向上させることができる。
【0009】
前記の電気接続箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センターケースの側壁部は、前記センターケースの全周にわたって設けられている。前記第1ラビリンス構造及び前記第2ラビリンス構造のうち少なくとも何れかが、前記センターケースの側壁部の全周にわたって配置されている。
【0010】
これにより、水の侵入をより確実に防止できる。
【0011】
前記の電気接続箱においては、前記センターケースの側壁部に、強度を向上させるためのリブが形成されていることが好ましい。
【0012】
これにより、センターケースの剛性の向上を実現できる。
【0013】
前記の電気接続箱においては、前記リブは前記側壁部の外側に形成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、センターケースの剛性の向上を、コンパクトな構成で実現できる。
【0015】
前記の電気接続箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センターケースに、第1ボス部が上方に突出するように形成される。前記第1回路基板に形成された凹部に前記第1ボス部が挿入されることで、前記第1回路基板が位置決めされる。前記センターケースに、第2ボス部が下方に突出するように形成される。前記第2回路基板に形成された凹部に前記第2ボス部が挿入されることで、前記第2回路基板が位置決めされる。
【0016】
これにより、第1回路基板及び第2回路基板を、センターケースを基準とした第1ボス部及び第2ボス部によって、独立して位置決めすることができる。従って、第1回路基板及び第2回路基板の位置決め精度を向上させることができる。
【0017】
前記の電気接続箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センターケースと、前記アッパーケース及び/又は前記ロアケースとは、ロック構造を介して固定されている。前記第1ラビリンス構造及び前記第2ラビリンス構造のうち少なくとも何れかが、前記ロック構造の内側を通過するように配置されている。
【0018】
これにより、ロック構造とラビリンス構造との干渉を防止しつつ、ラビリンス構造によって水の侵入を確実に防止できる。
【0019】
前記の電気接続箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センターケースは、前記側壁部が一体的に形成されるベース部を備える。前記ベース部に、単位形状を反復した構成のリブが形成されている。
【0020】
これにより、センターケースの剛性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の全体的な構成を示す斜視図。
図2】電気接続箱の分解斜視図。
図3図1のX-X線で電気接続箱を切断した断面斜視図。
図4】アッパーケースを下側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電気接続箱1の全体的な構成を示す斜視図である。図2は、電気接続箱1の分解斜視図である。図3は、図1のX-X線で電気接続箱1を切断した断面斜視図である。図4は、アッパーケース21を下側から見た斜視図である。
【0023】
図1に示す電気接続箱1は、アッパー基板(第1回路基板)41及びロア基板(第2回路基板)51を収容するために用いられている。この電気接続箱1は、平面視で実質的に矩形状に形成されている。
【0024】
本実施形態において、アッパー基板41はパワー基板として構成されており、図示しないパワー半導体等が実装されている。ロア基板51は公知のECUとして構成された制御基板であり、CPU、ROM、RAM等の図示しない半導体が実装されている。ただし、基板の構成は上記に限定されない。
【0025】
電気接続箱1は、上記のアッパー基板41及びロア基板51を備える。電気接続箱1は更に、センターケース11と、アッパーケース21と、ロアケース31と、を備える。センターケース11、アッパーケース21及びロアケース31のそれぞれは、合成樹脂を射出成型することにより形成されている。
【0026】
図2に示すように、センターケース11は、上下方向の両側を開放させた形状となっている。アッパーケース21及びロアケース31は、それぞれ、センターケース11に近い側を開放させた形状となっている。
【0027】
センターケース11の上側はアッパーケース21によって閉鎖される。センターケース11とアッパーケース21の間に内部空間が形成される。この内部空間にアッパー基板41が配置される。
【0028】
センターケース11の下側はロアケース31によって閉鎖される。センターケース11とアッパーケース21の間に内部空間が形成される。この内部空間にロア基板51が配置される。
【0029】
センターケース11は、図2に示すように、ベース部12と、側壁部13と、を備える。ベース部12と側壁部13は、互いに一体的に形成されている。
【0030】
ベース部12は、実質的に平板状に形成された部分である。平面視で、ベース部12は概ね矩形状に構成されている。ベース部12は、その厚み方向を上下方向に向けて配置される。ベース部12は、アッパー基板41が配置される内部空間と、ロア基板51が配置される内部空間と、を仕切るように配置されている。
【0031】
側壁部13は、ベース部12を取り囲むように、ベース部12の外縁に沿って配置される。側壁部13は、平板状に形成された4つの壁部が互いに接続された形状となっている。4つの壁部は、ベース部12に対して垂直に配置される。4つの壁部は、それぞれ、ベース部12の矩形の4つの辺に対応する。
【0032】
ベース部12は、側壁部13の上下方向中途部に配置されている。言い換えれば、側壁部13は、ベース部12から上方へ突出する部分と、側壁部13から下方へ突出する部分と、を有している。
【0033】
アッパーケース21は、天板部22と、側壁部23と、を備える。天板部22と側壁部23は、互いに一体的に形成されている。
【0034】
天板部22は、実質的に平板状に形成された部分である。平面視で、天板部22は概ね矩形状に形成されている。天板部22は、センターケース11のベース部12と概ね平行に配置される。
【0035】
天板部22の上面には、コネクタハウジング22aが一体的に形成されている。コネクタハウジングには、アッパー基板41に対する図略のコネクタを上側から差し込むことができる。コネクタハウジング22aに対応して、アッパー基板41には、コネクタに電気的に接続するための図略のピンが設けられている。
【0036】
側壁部23は、天板部22の外縁に沿って配置される。側壁部23は、平板状に形成された4つの壁部が互いに接続された形状となっている。4つの壁部は、天板部22に対して垂直に配置される。側壁部23の4つの壁部は、それぞれ、天板部22の矩形の4つの辺に対応する。
【0037】
側壁部23は、天板部22から下方へ延びるように形成されている。アッパーケース21の側壁部23の形状は、センターケース11の側壁部13の上部の形状に対応している。
【0038】
側壁部23は、外側壁部23aと内側壁部23bからなる2重壁構造となっている。外側壁部23aと内側壁部23bとの間には、細長い溝24が形成されている。溝24は、センターケース11の側壁部13に対応して、平面視で矩形状に形成されている。
【0039】
溝24は下方を開放させるように形成されている。センターケース11の上側をアッパーケース21によって閉鎖するとき、図3に示すように、溝24の内部に、センターケース11の側壁部13が差し込まれる。溝24の内部に側壁部13が差し込まれた状態では、外側壁部23aと内側壁部23bとの間に側壁部13が挟まれた状態となる。これにより、第1ラビリンス構造が構成される。
【0040】
ロアケース31は、図2に示すように、底板部32と、側壁部33と、を備える。底板部32と側壁部33は、互いに一体的に形成されている。
【0041】
底板部32は、実質的に平板状に形成された部分である。平面視で、底板部32は概ね矩形状に形成されている。底板部32は、センターケース11のベース部12と概ね平行に配置される。
【0042】
底板部32の下面には、コネクタハウジング32aが一体的に形成されている。コネクタハウジング32aには、ロア基板51に対する図略のコネクタを下側から差し込むことができる。コネクタハウジング32aに対応して、ロア基板51には、コネクタに電気的に接続するための図略のピンが設けられている。
【0043】
側壁部33は、底板部32の外縁に沿って配置される。側壁部33は、平板状に形成された4つの壁部が互いに接続された形状となっている。4つの壁部は、側壁部33に対して垂直に配置される。側壁部33の4つの壁部は、それぞれ、底板部32の矩形の4つの辺に対応する。
【0044】
側壁部33は、底板部32から上方へ延びるように形成されている。ロアケース31の側壁部33の形状は、センターケース11の側壁部13の下部の形状に対応している。
【0045】
側壁部33が有する4つの壁部のうち3つにおいて、側壁部33は、外側壁部33aと内側壁部33bからなる2重壁構造となっている。外側壁部33aと内側壁部33bとの間には、細長い溝34が形成されている。溝34は、センターケース11の側壁部13に対応して、平面視で矩形状に形成されている。
【0046】
溝34は上方を開放させるように形成されている。センターケース11の下側をロアケース31によって閉鎖するとき、溝34の内部に、センターケース11の側壁部13が差し込まれる。溝34の内部に側壁部13が差し込まれた状態では、外側壁部33aと内側壁部33bとの間に側壁部13が挟まれた状態となる。これにより、第2ラビリンス構造が構成される。
【0047】
4つの壁部のうち残りの1つにおいて、側壁部33は2重壁構造となっていない。その代わりに、図3の破線の円で示されるように、センターケース11の下部が2重壁構造となっている。センターケース11の2重壁構造の部分に側壁部33が下から差し込まれることで、ラビリンス構造が構成される。
【0048】
上述したように、センターケース11の側壁部13とアッパーケース21の側壁部23は、第1ラビリンス構造を介して接続される。同様に、センターケース11の側壁部13とロアケース31の側壁部33は、第2ラビリンス構造を介して接続される。2つのラビリンス構造により、電気接続箱1の内部空間に水が侵入しにくくなる。
【0049】
センターケース11の側壁部13は、ベース部12を取り囲むように、センターケース11の全周にわたって設けられている。これに対応して、上記の2つのラビリンス構造も、センターケース11の側壁部13の全周にわたって配置されている。これにより、水の侵入を良好に防止できる。
【0050】
側壁部13の外面には、リブ15が一体的に形成されている。リブ15は、上下方向に細長い縦リブと、水平方向に細長い横リブと、を一体的に結合した形状となっている。
【0051】
リブ15において、横リブは下部(具体的にいえば、下端部)に配置されている。センターケース11の下側をロアケース31によって閉鎖した状態では、横リブが、外側壁部33aと側壁部13との間の隙間に近接し、隙間の上方を覆うように位置する。アッパーケース21の溝24とは異なり、ロアケース31の溝34は上方に開放しているので、本来的に、水が隙間に入り込み易い。本実施形態では、強度を向上させるためのリブ15(特に、横リブ)が、側壁部13の外面から外側へ突出するように配置されている。従って、水の侵入をリブ15によって良好に防止できる。
【0052】
本実施形態において、リブ15は例えばE字状に形成されている。リブ15の形状は、例えば、L字状、H字状、十字状、矩形状等に変更することもできる。
【0053】
アッパーケース21の側壁部23の複数箇所において、外側壁部23aの外面に突起28が形成される。突起28はU字状に形成されており、外側壁部23aからセンターケース11側へ突出するように設けられている。突起28は弾性変形が可能である。突起28に対応して、センターケース11の側壁部13の外面に、爪18が形成される。爪18と突起28とにより、ロック構造が構成される。爪18に突起28を引っ掛けることにより、センターケース11にアッパーケース21を固定することができる。
【0054】
ロアケース31の側壁部33の複数箇所において、外側壁部33aの外面に突起39が形成される。突起39はU字状に形成されており、外側壁部33aからセンターケース11側へ突出するように設けられている。突起39は弾性変形が可能である。突起39に対応して、センターケース11の側壁部13の外面に、爪19が形成される。爪19と突起39とにより、ロック構造が構成される。爪19に突起39を引っ掛けることにより、センターケース11にロアケース31を固定することができる。
【0055】
突起28,39は何れも、2重壁構造の側壁部23,33の外側に配置されているため、上述したラビリンス構造と干渉しない。従って、2つのラビリンス構造は何れも、センターケース11とアッパーケース21又はロアケース31を固定するためのロック構造(具体的に言えば、突起28,39と爪18,19)の内側で、平面視でループ状となるように配置される。図4にはアッパーケース21を下方から見た様子が示され、突起28の内側で溝24が矩形ループ状に配置されている。溝24の部分が、第1ラビリンス構造に実質的に相当する。ラビリンス構造がロック構造の部分で途切れないので、水の侵入を良好に防止できる。
【0056】
センターケース11において、ベース部12の上面には、2つの丸棒状の第1ボス部16が一体的に形成されている。それぞれの第1ボス部16は、ベース部12から上方へ突出するように配置されている。第1ボス部16に対応する位置において、アッパー基板41には貫通孔(凹部)42が形成される。2つの第1ボス部16のそれぞれは、アッパー基板41の貫通孔42を通過して上方へ延びる。貫通孔42に第1ボス部16が差し込まれることで、アッパー基板41をセンターケース11に位置決めすることができる。
【0057】
第1ボス部16に対応する位置において、アッパーケース21の天板部22には、円筒状のボス部26が形成される。ボス部26には、円形の差込凹部26aが形成される。差込凹部26aに第1ボス部16が挿入されることで、センターケース11に対するアッパーケース21の位置決めを行うことができる。
【0058】
センターケース11において、ベース部12の下面には、2つの丸棒状の第2ボス部17が形成されている。それぞれの第2ボス部17は、ベース部12から下方へ突出するように配置されている。本実施形態において、平面視で第1ボス部16と第2ボス部17は同一の位置に配置されているが、異なる位置に配置されても良い。第2ボス部17に対応する位置において、ロア基板51には貫通孔(凹部)52が形成される。2つの第2ボス部17のそれぞれは、ロア基板51の貫通孔52を通過して下方へ延びる。貫通孔52に第2ボス部17が差し込まれることで、ロア基板51をセンターケース11に位置決めすることができる。
【0059】
第2ボス部17に対応する位置において、ロアケース31の底板部32には、円筒ボス部37が形成される。円筒ボス部37には、円形の差込凹部37aが形成される。差込凹部37aに第2ボス部17が挿入されることで、センターケース11に対するロアケース31の位置決めを行うことができる。
【0060】
アッパー基板41及びロア基板51のそれぞれについて位置決めを行う場合、センターケース11から第1ボス部16を上方へ突出するように設ける代わりに、アッパーケース21の天板部22からボス部を下方へ突出するように設ける構成とすることもできる。この場合、センターケース11に差込凹部が設けられることで、センターケース11がアッパーケース21に対して位置決めされる。このセンターケース11に対して、ロア基板51及びロアケース31が、上記と同様の構成の第2ボス部17によって位置決めされる。しかし、この構成では、2つのボス部の位置決め誤差が累積する形になるため、ロア基板51の位置決め精度が低下する。
【0061】
この点、本実施形態では、センターケース11に第1ボス部16及び第2ボス部17が形成され、第1ボス部16によってアッパー基板41が位置決めされ、第2ボス部17によってロア基板51が位置決めされる。従って、位置決め誤差が累積しないため、特にロア基板51の位置決め精度を高めることができる。ロア基板51には、コネクタハウジング32aのための図略の端子が設けられている。ロア基板51の位置決め精度が良好であるため、電気接続のための端子の位置決め精度も良好である。
【0062】
前述の特許文献1の構成では、基板に対してコネクタ部(コネクタハウジングを含む)が固定されており、コネクタハウジングは、本願のアッパーケースに相当するカバー部とは別部品である。従って、基板に対するコネクタハウジングの位置決め精度は良好であるが、カバー部とコネクタハウジングとの間に隙間が生じてしまう。この点、本実施形態の構成では、コネクタハウジング22aがアッパーケース21に一体的に設けられるので、コネクタハウジング22aとアッパーケース21との間の防水性は極めて良好であるが、コネクタハウジング22aの位置が、アッパーケース21の位置の影響を受ける。同様に、本実施形態の構成では、コネクタハウジング32aがロアケース31に一体的に設けられるコネクタハウジング32aとロアケース31の間の防水性は極めて良好であるが、コネクタハウジング32aの位置が、ロアケース31の位置の影響を受ける。本実施形態では、センターケース11に第1ボス部16及び第2ボス部17の両方が形成されることによって交差の累積が上記のとおり回避されるので、アッパーケース21及びロアケース31の位置決め精度が良好である。このように、本実施形態の構成においては、通常はトレードオフの関係にある、防水性と端子のアライメント性とを両立することができる。
【0063】
図2に示すように、ベース部12の上面には、4角形(ひし形)と3角形の組合せを水平方向で反復して配置した構成のリブ12aが形成されている。これにより、センターケース11の剛性を向上させることができる。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態の電気接続箱1は、複数のケース及び複数の回路基板を有する。複数のケースは、アッパーケース21と、センターケース11と、ロアケース31と、を含む。複数の回路基板は、アッパー基板41と、ロア基板51と、を含む。アッパー基板41は、アッパーケース21とセンターケース11との間に配置される。ロア基板51は、センターケース11とロアケース31との間に配置される。センターケース11の側壁部13と、アッパーケース21の側壁部23とが、第1ラビリンス構造を介して接続されている。センターケース11の側壁部13と、ロアケース31の側壁部33とが、第2ラビリンス構造を介して接続されている。
【0065】
この構成では、中間に位置するセンターケース11の側壁部13を上下両側から挟み込むように、アッパーケース21の側壁部23及びロアケース31の側壁部33が取り付けられる。しかも、センターケース11の側壁部13とアッパーケース21の側壁部23が接続する部分、及び、センターケース11の側壁部13とロアケース31の側壁部33が接続する部分には、それぞれラビリンス構造が形成される。従って、耐水性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態の電気接続箱1において、センターケース11の側壁部13は、センターケース11の全周にわたって設けられている。2つのラビリンス構造は、センターケース11の側壁部13の全周にわたって配置されている。
【0067】
これにより、水の侵入をより確実に防止できる。
【0068】
また、本実施形態の電気接続箱1において、センターケース11の側壁部13に、強度を向上させるためのリブ15が形成されている。
【0069】
これにより、センターケース11の剛性の向上を実現できる。
【0070】
また、本実施形態の電気接続箱1において、リブ15は側壁部13の外側に形成されている。
【0071】
これにより、センターケース11の剛性の向上を、コンパクトな構成で実現できる。
【0072】
また、本実施形態の電気接続箱1において、センターケース11に、第1ボス部16が上方に突出するように形成される。アッパー基板41に形成された貫通孔42に第1ボス部16が挿入されることで、アッパー基板41が位置決めされる。センターケース11に、第2ボス部17が下方に突出するように形成される。ロア基板51に形成された貫通孔52に第2ボス部17が挿入されることで、ロア基板51が位置決めされる。
【0073】
これにより、アッパー基板41及びロア基板51を、センターケース11を基準とした第1ボス部16及び第2ボス部17によって、独立して位置決めすることができる。従って、アッパー基板41及びロア基板51の位置決め精度を向上させることができる。
【0074】
本実施形態の電気接続箱1において、センターケース11とアッパーケース21とは、爪18と突起28からなるロック構造を介して固定されている。センターケース11とロアケース31とは、爪19と突起39からなるロック構造を介して固定されている。2つのラビリンス構造は何れも、ロック構造の内側を通過するように配置されている。
【0075】
これにより、ロック構造とラビリンス構造との干渉を防止しつつ、ラビリンス構造によって水の侵入を確実に防止できる。
【0076】
本実施形態の電気接続箱1において、センターケース11は、側壁部13が一体的に形成されるベース部12を備える。ベース部12に、単位形状(正方形及び3角形)を反復した構成のリブ12aが形成されている。
【0077】
これにより、センターケース11の剛性を効果的に向上させることができる。
【0078】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。変更は単独で行われても良いし、複数の変更が任意に組み合わせて行われても良い。
【0079】
センターケース11のベース部12の形状は任意であり、例えばL字状、台形状等に変更することができる。
【0080】
2つのラビリンス構造のうち少なくとも1つが、センターケース11の側壁部13の全周にわたって配置されなくても良い。
【0081】
リブ15は、側壁部13の外側に代えて内側に形成することもできる。リブ15が省略されても良い。
【0082】
ロック構造は適宜の構成に変更することができる。例えば、突起をセンターケース11側に設け、爪をアッパーケース21及び/又はロアケース31に設けることができる。
【0083】
センターケース11のベース部12に形成されるリブ12aは、正方形を反復した構成に限定されない。例えば、リブ12aを、正6角形を反復したハニカム形状に変更することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 電気接続箱
11 センターケース
12 ベース部
13 側壁部
15 リブ
16 第1ボス部
17 第2ボス部
21 アッパーケース
31 ロアケース
41 アッパー基板(第1回路基板)
42 貫通孔(凹部)
51 ロア基板(第2回路基板)
52 貫通孔(凹部)
図1
図2
図3
図4