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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174240
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231130BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20231130BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231130BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L23/36 C
H05K1/02 F
H05K1/03 630Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086984
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長澤 隆政
【テーマコード(参考)】
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA15
5E338BB05
5E338EE02
5E338EE60
5F136BB01
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA25
5F136FA51
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】熱負荷時の応力を緩和でき、かつ高熱伝導率の熱伝導部材を用いた基板の提供。
【解決手段】本基板は、複数のカーボンナノチューブ、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に設けられた第1樹脂層、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に設けられた第2樹脂層、を有する熱伝導部材と、前記第1樹脂層上に積層された第1金属層と、前記第2樹脂層上に積層された第2金属層と、を有し、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層はフィラーを含有せず、前記第1樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に含浸し、前記第2樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に含浸している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカーボンナノチューブ、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に設けられた第1樹脂層、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に設けられた第2樹脂層、を有する熱伝導部材と、
前記第1樹脂層上に積層された第1金属層と、
前記第2樹脂層上に積層された第2金属層と、を有し、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層はフィラーを含有せず、
前記第1樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に含浸し、
前記第2樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に含浸している、基板。
【請求項2】
複数のカーボンナノチューブ、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に設けられた第1樹脂層、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に設けられた第2樹脂層、を有する2つの熱伝導部材と、
一方の前記熱伝導部材の前記第1樹脂層上に積層された第1金属層と、
他方の前記熱伝導部材の前記第2樹脂層上に積層された第2金属層と、
一方の前記熱伝導部材の前記第2樹脂層と、他方の前記熱伝導部材の前記第1樹脂層との間に接合されたセラミック基板と、を有し、
各々の前記熱伝導部材の前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層はフィラーを含有せず、
各々の前記熱伝導部材の前記第1樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に含浸し、
各々の前記熱伝導部材の前記第2樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に含浸している、基板。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、
前記第1樹脂層の前記第1金属層側に積層された第3樹脂層と、
前記第2樹脂層の前記第2金属層側に積層された第4樹脂層と、をさらに有し、
前記第3樹脂層は、前記第1樹脂層よりも熱伝導率が高く、
前記第4樹脂層は、前記第2樹脂層よりも熱伝導率が高く、
前記第3樹脂層及び前記第4樹脂層はフィラーを含有する、請求項1又は2に記載に基板。
【請求項4】
前記第1樹脂層を構成する樹脂は、前記第1金属層の前記第1樹脂層側の面の凹凸に追従した表面形状を有し、
前記第2樹脂層を構成する樹脂は、前記第2金属層の前記第2樹脂層側の面の凹凸に追従した表面形状を有する、請求項1又は2に記載の基板。
【請求項5】
前記第3樹脂層を構成する樹脂は、前記第1金属層の前記第3樹脂層側の面の凹凸に追従した表面形状を有し、
前記第4樹脂層を構成する樹脂は、前記第2金属層の前記第4樹脂層側の面の凹凸に追従した表面形状を有する、請求項3に記載の基板。
【請求項6】
前記第1樹脂層の前記第1金属層側は、複数の前記カーボンナノチューブの一端側が入り込んでいなく、樹脂のみから形成された領域であり、
前記第2樹脂層の前記第2金属層側は、複数の前記カーボンナノチューブの他端側が入り込んでいなく、樹脂のみから形成された領域である、請求項1又は2に記載の基板。
【請求項7】
前記第1樹脂層は前記第3樹脂層よりも薄く、前記第2樹脂層は前記第4樹脂層よりも薄い、請求項3に記載の基板。
【請求項8】
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層は、ポリフェニレンエーテル系樹脂から形成されている、請求項1又は2に記載の基板。
【請求項9】
前記第3樹脂層及び前記第4樹脂層は、ポリフェニレンエーテル系樹脂から形成されている、請求項3に記載の基板。
【請求項10】
前記熱伝導部材は、前記熱伝導部材を貫通し、前記第1金属層を露出する第1開口部を備え、
前記第2金属層は、前記第2金属層を貫通し、前記第1開口部と連通する第2開口部を備える、請求項1に記載の基板。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、
前記第1樹脂層を貫通し、前記カーボンナノチューブの一端と接合する第1パッドと、
前記第2樹脂層を貫通し、前記カーボンナノチューブの他端と接合する第2パッドと、を備え、
前記第1パッドと前記第2パッドとは、前記カーボンナノチューブを介して導通する、請求項1に記載の基板。
【請求項12】
前記熱伝導部材は、
前記第1樹脂層及び前記第3樹脂層を貫通し、前記カーボンナノチューブの一端と接合する第1パッドと、
前記第2樹脂層及び前記第4樹脂層を貫通し、前記カーボンナノチューブの他端と接合する第2パッドと、を備え、
前記第1パッドと前記第2パッドとは、前記カーボンナノチューブを介して導通する、請求項3に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック基板等の絶縁基板と、この絶縁基板の一方の面に形成された回路パターンを有する金属層と、他方の面に形成された放熱用の金属層とを有する基板が知られている。回路パターンを有する金属層には、例えば、電力制御用の半導体チップ等の動作時に発熱体となるデバイスが実装される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、セラミック基板等の絶縁基板は、柔軟性が低くて硬く、また上下に配置される金属層との間に熱膨張係数の差があることから、熱負荷時に応力が生じて絶縁基板と金属層との間に剥離が発生したりする場合があった。また近年、セラミック基板等の代替として、絶縁樹脂層の利用が広がっているが、熱伝導率とすると10W/m・K程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-258416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、熱負荷時の応力を緩和でき、かつ高熱伝導率の熱伝導部材を用いた基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本基板は、複数のカーボンナノチューブ、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に設けられた第1樹脂層、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に設けられた第2樹脂層、を有する熱伝導部材と、前記第1樹脂層上に積層された第1金属層と、前記第2樹脂層上に積層された第2金属層と、を有し、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層はフィラーを含有せず、前記第1樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの一端側に含浸し、前記第2樹脂層を構成する樹脂は、複数の前記カーボンナノチューブの他端側に含浸している。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、熱負荷時の応力を緩和でき、かつ高熱伝導率の熱伝導部材を用いた基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る基板を例示する断面図である。
図2】第1実施形態に係る熱伝導部材の製造工程を例示する図(その1)である。
図3】第1実施形態に係る熱伝導部材の製造工程を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る熱伝導部材の製造工程を例示する図(その3)である。
図5】第1実施形態に係る基板の製造工程を例示する図である。
図6】第1実施形態の変形例1に係る基板を例示する断面図である。
図7】第1実施形態の変形例2に係る基板を例示する断面図である。
図8】第1実施形態の変形例3に係る基板を例示する断面図(その1)である。
図9】第1実施形態の変形例3に係る基板の製造方法を例示する図である。
図10】第1実施形態の変形例3に係る基板を例示する断面図(その2)である。
図11】第2実施形態に係る基板を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る基板を例示する断面図であり、図1(a)は全体図、図1(b)は図1(a)の熱伝導部材10の部分拡大図、図1(c)は図1(a)のA部の拡大図である。
【0011】
図1(a)を参照すると、第1実施形態に係る基板1は、熱伝導部材10と、第1金属層20と、第2金属層30とを有している。図1(b)を参照すると、熱伝導部材10は、複数のカーボンナノチューブ11と、第1樹脂層12と、第2樹脂層13とを有している。
【0012】
第1金属層20と第2金属層30とは、熱伝導部材10を挟んで上下に配置されている。熱伝導部材10は、所謂TIM(Thermal Interface Material)であり、第1金属層20と第2金属層30との間の熱伝導を行う部材である。第1金属層20は、熱伝導部材10の第1樹脂層12上に積層されている。第1金属層20の上面は、熱伝導部材10の第1樹脂層12の下面と接している。図1(c)に示すように、第1金属層20の上面には凹凸があるが、第1樹脂層12を構成する樹脂が第1金属層20の上面に形成された凹凸に入り込む。すなわち、第1樹脂層12を構成する樹脂は、第1金属層20の第1樹脂層12側の面の凹凸に追従した表面形状を有する。そのため、第1金属層20の上面と第1樹脂層12の下面とは、点接触にならず、広い面積で接触する。その結果、第1金属層20の上面と第1樹脂層12の下面との間の熱抵抗が低くなり、第1樹脂層12から第1金属層20に容易に熱が伝わる。
【0013】
第2金属層30は、熱伝導部材10の第2樹脂層13上に積層されている。第2金属層30の下面は、熱伝導部材10の第2樹脂層13の上面と接している。図1(c)の場合と同様に、第2金属層30の下面には凹凸があるが、第2樹脂層13を構成する樹脂が第2金属層30の下面に形成された凹凸に入り込む。すなわち、第2樹脂層13を構成する樹脂は、第2金属層30の第2樹脂層13側の面の凹凸に追従した表面形状を有する。そのため、第2金属層30の下面と第2樹脂層13の上面とは、点接触にならず、広い面積で接触する。その結果、第2金属層30の下面と第2樹脂層13の上面との間の熱抵抗が低くなり、第2金属層30から第2樹脂層13に容易に熱が伝わる。
【0014】
第2金属層30上には、発熱体となるデバイスを実装可能である。第2金属層30は、例えば、実装されるデバイスの電極構造に合わせてパターニングされている。第2金属層30上に実装されるデバイスが動作時に発熱すると、熱は熱伝導部材10を経由して第1金属層20に伝達され、第1金属層20から放熱される。第1金属層20及び第2金属層30は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導性に優れた材料から形成することができる。第1金属層20及び第2金属層30の厚さは、例えば、0.1μm~3.0μm程度とすることができる。なお、第2金属層30の一部又は全部は、配線として機能してもよいし、実装されるデバイスと電気的に接続されていない単なる金属層であってもよい。また、第2金属層30は、パターニングされていなくてもよい。また、第1金属層20は、放熱板と接合されてもよい。
【0015】
[熱伝導部材の構造]
図1(b)に示すように、熱伝導部材10において、複数のカーボンナノチューブ11は、第1樹脂層12と第2樹脂層13との間に、長手方向を概ね熱伝導方向に向けて配置されている。ここで、熱伝導方向とは、第2樹脂層13の上面及び第1樹脂層12の下面に略垂直な方向である。隣接するカーボンナノチューブ11の間隔は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。隣接するカーボンナノチューブ11は接してもよいが、隣接するカーボンナノチューブ11の間に空隙があることが好ましい。これにより、カーボンナノチューブ11の収縮性が向上し、膨張や収縮しやすくなる。
【0016】
カーボンナノチューブ11は、例えば直径が0.7~70nm程度の略円筒形をした炭素の結晶である。カーボンナノチューブ11の長手方向の長さは、例えば、50μm以上300μm以下である。カーボンナノチューブ11は熱伝導性が高く、その熱伝導率は、例えば3000W/m・K程度である。良好な伝熱性能を得るために、カーボンナノチューブ11の面密度は、1×1010本/cm以上であることが好ましい。
【0017】
第1樹脂層12は、複数のカーボンナノチューブ11の一端側に設けられている。第1樹脂層12を構成する樹脂は、複数のカーボンナノチューブ11の一端側に含浸している。言い換えれば、複数のカーボンナノチューブ11の一端側は、第1樹脂層12に埋め込まれている。
【0018】
複数のカーボンナノチューブ11の一端側において、第1樹脂層12に埋め込まれている部分の長さは、例えば、0.1μm以上10μm以下である。なお、それぞれのカーボンナノチューブ11の一端側の先端11aの位置は、ばらついていても構わない。
【0019】
複数のカーボンナノチューブ11の一端側の先端11aは、第1樹脂層12の下面から突出していない。すなわち、第1樹脂層12の第1金属層20側は、複数のカーボンナノチューブ11の一端側が入り込んでいなく、樹脂のみから形成された領域である。ただし、一部のカーボンナノチューブ11の一端側の先端11aは、第1樹脂層12の下面に達してもよいし、下面から突出してもよい。
【0020】
第2樹脂層13は、複数のカーボンナノチューブ11の他端側に設けられている。第2樹脂層13を構成する樹脂は、複数のカーボンナノチューブ11の他端側に含浸している。言い換えれば、複数のカーボンナノチューブ11の他端側は、第2樹脂層13に埋め込まれている。
【0021】
複数のカーボンナノチューブ11の他端側の、第2樹脂層13に埋め込まれている部分の長さは、例えば、0.1μm以上10μm以下である。ただし、それぞれのカーボンナノチューブ11の他端側の先端11bの位置は、ばらついていても構わない。
【0022】
複数のカーボンナノチューブ11の他端側の先端11bは、第2樹脂層13の上面から突出していない。すなわち、第2樹脂層13の第2金属層30側は、複数のカーボンナノチューブ11の他端側が入り込んでいなく、樹脂のみから形成された領域である。ただし、一部のカーボンナノチューブ11の他端側の先端11bは、第2樹脂層13の上面に達してもよいし、上面から突出してもよい。
【0023】
第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々は、フィラーを含有していない。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々の熱伝導率は、例えば、0.1W/m・K~0.3W/m・K程度である。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々は、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂から形成することができる。
【0024】
第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々の厚さは、例えば、1μm以上30μm以下とすることができる。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々の厚さは、1μm以上10μm以下とすることが好ましく、0.1μm以上5μm以下とすることがより好ましい。
【0025】
第1樹脂層12及び第2樹脂層13の厚さが1μm以上30μm以下であれば、第1樹脂層12及び第2樹脂層13の熱抵抗を低く抑えられ、熱伝導部材10全体としての熱伝導率の低下を抑制することができる。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の厚さが1μm以上10μm以下であれば熱伝導部材10全体としての熱伝導率の低下をさらに抑制することができ、0.1μm以上5μm以下であれば熱伝導部材10全体としての熱伝導率の低下をさらに抑制することができる。
【0026】
熱伝導部材10では、カーボンナノチューブ11の一端側にフィラーを含有しない第1樹脂層12を配置し、カーボンナノチューブ11の他端側にフィラーを含有しない第2樹脂層13を配置している。そのため、第1樹脂層12及び第2樹脂層13を構成する樹脂がカーボンナノチューブ11の両端側へ含浸することができ、シート化が可能となる。また、熱伝導部材10では、第1樹脂層12及び第2樹脂層13を熱伝導部材10の放熱性に影響がない程度に薄化している。その結果、熱伝導部材10は、シート化が可能であるとともに、高熱伝導率であり放熱性に優れている。熱伝導部材10の熱伝導率は、例えば、20~30W/m・K程度とすることができる。
【0027】
[熱伝導部材の製造方法]
次に、熱伝導部材の製造方法について説明する。図2図4は、第1実施形態に係る熱伝導部材の製造工程を例示する図である。
【0028】
まず、図2(a)に示す工程では、基板200を準備し、基板200の上面に複数のカーボンナノチューブ11を形成する。基板200としては、例えば、板状のシリコン(Si)や銅(Cu)等を用いることができる。
【0029】
より具体的には、基板200の上面にスパッタ法等によって、金属触媒層を形成する。金属触媒層としては、例えばFe、Co、Al、及びNi等を用いることができる。金属触媒層の厚さは、例えば数nm程度とすることができる。次に、金属触媒層が形成された基板200を加熱炉に入れて、CVD法(化学的気相成長法)により所定の圧力及び温度、プロセスガスで金属触媒層上にカーボンナノチューブ11を形成する。加熱炉の圧力及び温度は、例えば0.1~8.0kPa及び500~800℃とすることができる。又、プロセスガスとしては、例えばアセチレンガス等を用いることができ、キャリアガスとしては、例えばアルゴンガスや水素ガス等を用いることができる。
【0030】
次に、図2(b)に示す工程では、基板200上に成長したカーボンナノチューブ11の上端部に転写部材210を接触させ、基板200側に押圧する。転写部材210としては、例えば、シリコンゴムシート等を用いることができる。次に、図2(c)に示す工程では、図2(b)に示す基板200を剥離する。これにより、カーボンナノチューブ11が転写部材210に転写される。
【0031】
次に、図3(a)に示す工程では、保護層16及び第1樹脂層12の積層体を準備し、カーボンナノチューブ11が転写された転写部材210を、カーボンナノチューブ11を第1樹脂層12側に向けて第1樹脂層12上に配置する。第1樹脂層12としては、例えば、フィルム状の熱硬化性のポリフェニレンエーテル系樹脂を用いることができる。第1樹脂層12は、フィラーを含有していない。保護層16としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を用いることができる。
【0032】
次に、図3(b)に示す工程では、図3(a)に示す構造体を加熱しながら、転写部材210を第1樹脂層12側へ押圧する。これにより、第1樹脂層12が軟化し、第1樹脂層12を構成する樹脂は、複数のカーボンナノチューブ11の一端側に含浸する。
【0033】
次に、図4(a)に示す工程では、図3(b)に示す転写部材210をカーボンナノチューブ11から除去する。図3(b)に示す工程において加熱する際の熱は、転写部材210にも伝えられ、転写部材210が軟化する。そのため、転写部材210はカーボンナノチューブ11から容易に除去することができる。
【0034】
次に、図4(b)に示す工程では、保護層17及び第2樹脂層13の積層体を準備する。そして、第2樹脂層13をカーボンナノチューブ11側に向けて配置し、加熱しながら第1樹脂層12側へ押圧する。これにより、第2樹脂層13が軟化し、第2樹脂層13を構成する樹脂は、複数のカーボンナノチューブ11の他端側に含浸する。第2樹脂層13としては、例えば、フィルム状の熱硬化性のポリフェニレンエーテル系樹脂を用いることができる。第2樹脂層13は、フィラーを含有していない。保護層17としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を用いることができる。以上の工程により、保護層16及び17を備えた熱伝導部材10が完成する。
【0035】
[基板の製造方法]
引き続き、基板の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態に係る基板の製造工程を例示する図である。
【0036】
まず、図5(a)に示す工程では、図4(b)に示す熱伝導部材10の第1樹脂層12上に設けられた保護層16を剥がす。そして、第1金属層20を準備し、第1金属層20と第1樹脂層12とが接するように、第1金属層20上に熱伝導部材10を配置する。次に、第1樹脂層12及び第1金属層20を加熱し、第1樹脂層12と第1金属層20とを仮接着する。加熱は、例えば、150~200℃程度で数分程度行う。その際、保護層17側からローラー等を転がして押圧することが好ましい。
【0037】
次に、図5(b)に示す工程では、第1樹脂層12及び第1金属層20を冷却した後、熱伝導部材10の第2樹脂層13上に設けられた保護層17を剥がす。そして、第2金属層30を準備し、第2金属層30と第2樹脂層13とが接するように、第2樹脂層13上に第2金属層30を配置する。次に、第2樹脂層13及び第2金属層30を加熱し、第2樹脂層13と第2金属層30とを仮接着する。加熱は、例えば、150~200℃程度で数分程度行う。その際、第2金属層30側からローラー等を転がして押圧することが好ましい。
【0038】
図5(b)に示す工程の後、熱伝導部材10と第1金属層20及び第2金属層30とを本接着する。具体的には、例えば、200℃程度の温度の雰囲気中で、0.1~1.0MPa程度の圧力で第1金属層20及び第2金属層30側から熱伝導部材10側に10~20分間程度押圧し続ける。これにより、基板1が完成する。
【0039】
前述のように第1金属層20の上面には凹凸があるが、仮接着時及び/又は本接着時に、加熱により軟化した第1樹脂層12を構成する樹脂が第1金属層20の上面に形成された凹凸に入り込む。そのため、第1金属層20の上面と第1樹脂層12の下面とは広い面積で接触し、両者の間の熱抵抗が低くなる。同様に、第2金属層30の下面には凹凸があるが、仮接着時及び/又は本接着時に、加熱により軟化した第2樹脂層13を構成する樹脂が第2金属層30の下面に形成された凹凸に入り込む。そのため、第2金属層30の下面と第2樹脂層13の上面とは広い面積で接触し、両者の間の熱抵抗が低くなる。
【0040】
なお、従来のDBC(Direct Bonded Copper)基板やDBA(Direct Bonded Aluminum)基板では、基板1の熱伝導部材10の位置にセラミック基板が設けられており、セラミック基板は上面及び下面に位置する金属層と拡散接合により、強固な接合が得られている。しかし、セラミック基板は、柔軟性が低くて硬く、また上下に配置される金属層との間に熱膨張係数の差があることから、熱負荷時に応力が生じてセラミック基板と金属層との間に反りによる剥離が発生する。そのため、セラミック基板の上面及び下面と金属層との界面に空隙が発生し、セラミック基板の上面及び下面と金属層とは点接触となり、両者の間の熱抵抗が高くなる。
【0041】
また、従来のDBC基板やDBA基板から置き換えが進む絶縁樹脂層を用いた基板構造においては、高熱伝導フィラー等を用いて熱伝導率の向上が図られているが、熱伝導率とすると10W/m・K程度である。
【0042】
一方、熱伝導部材10を有する基板1では、熱伝導部材10の厚さ方向の中央部に柔軟性に優れたカーボンナノチューブ11が配置されている。そのため、各部材の熱膨張係数の差から生じる熱負荷時の応力をカーボンナノチューブ11が緩和することができる。その結果、熱負荷時に熱伝導部材10と第1金属層20及び第2金属層30との間に剥離が発生したり反りが生じたりするおそれを低減できる。なお、カーボンナノチューブ11を有する熱伝導部材10の弾性率は5GPa以下であり、この値はセラミック基板やはんだ等に対して十分に小さい。また、カーボンナノチューブ11を有する熱伝導部材10は、上記の絶縁樹脂層を用いた基板構造に対して、2~3倍程度の高熱伝導率となる。
【0043】
なお、第1樹脂層12及び第2樹脂層13を構成する樹脂は絶縁性樹脂であるため、第1金属層20と第2金属層30との絶縁性を確保することができる。また、これらの絶縁性樹脂は、熱硬化性樹脂であるため、耐熱性が良好であり、370℃程度の耐熱温度を実現可能である。
【0044】
〈第1実施形態の変形例〉
第1実施形態の変形例では、第1実施形態に係る基板とは構造の異なる基板の例を示す。なお、第1実施形態の変形例において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0045】
図6は、第1実施形態の変形例1に係る基板を例示する断面図である。図6を参照すると、第1実施形態の変形例1に係る基板1Aは、2つの熱伝導部材10と、第1金属層20と、第2金属層30と、セラミック基板40とを有している。
【0046】
第1金属層20は、一方の熱伝導部材10(図6では下側の熱伝導部材10)の第1樹脂層12上に積層されている。第2金属層30は、他方の熱伝導部材10(図6では上側の熱伝導部材10)の第2樹脂層13上に積層されている。セラミック基板40は、一方の熱伝導部材10の第2樹脂層13と、他方の熱伝導部材10の第1樹脂層12との間に接合されている。言い換えれば、第1金属層20とセラミック基板40とは、一方の熱伝導部材10を挟んで上下に配置されている。また、第2金属層30とセラミック基板40とは、他方の熱伝導部材10を挟んで上下に配置されている。
【0047】
このように、基板1Aでは、2つの熱伝導部材10の間にセラミック基板40を挟んでいるため、セラミック基板40の放熱性、絶縁性、及び耐久性を活かしつつ、熱負荷時に各部材の熱膨張係数の差から生じる応力を各々の熱伝導部材10のカーボンナノチューブ11が緩和する。その結果、熱負荷時に熱伝導部材10に反りや剥離が発生することなく、第2金属層30から第1金属層20に良好な熱伝導を実現可能である。
【0048】
図7は、第1実施形態の変形例2に係る基板を例示する断面図である。図7を参照すると、第1実施形態の変形例2に係る基板1Bでは、熱伝導部材10は、熱伝導部材10を貫通し、第1金属層20の上面を露出する第1開口部10xを備えている。また、第2金属層30は、第2金属層30を貫通し、第1開口部10xと連通する第2開口部30xを備えている。第1開口部10x及び第2開口部30xは平面視で円形や矩形の貫通孔でもよいし、熱伝導部材10や第2金属層30を複数の領域に分割するスリットであってもよい。基板1Bのような構造により、例えば、第1開口部10x及び第2開口部30x内にワイヤを配置し、第1金属層20と第2金属層30とを電気的に接続することが可能となる。
【0049】
図8は、第1実施形態の変形例3に係る基板を例示する断面図(その1)である。図8を参照すると、第1実施形態の変形例3に係る基板1Cでは、熱伝導部材10は、第1樹脂層12を貫通し、カーボンナノチューブ11の一端と接合する第1パッド10aを備えている。また、熱伝導部材10は、第2樹脂層13を貫通し、カーボンナノチューブ11の他端と接合する第2パッド10bを備えている。第1パッド10aと第2パッド10bとは、カーボンナノチューブ11を介して導通している。
【0050】
第1パッド10aは、第1樹脂層12を貫通するビアホール10y内に形成されている。また、第2パッド10bは、第2樹脂層13を貫通するビアホール10z内に形成されている。また、第2金属層30を貫通する第2開口部30xが、ビアホール10y及び10zと平面視で重複する位置に形成されている。
【0051】
図9は、第1実施形態の変形例3に係る基板の製造方法を例示する図である。なお、図9(a)及び図9(b)は、図4(b)とは上下を反転して描かれている。
【0052】
まず、第1実施形態の図2(a)~図4(b)と同様の工程を実施後、図9(a)に示す工程では、熱伝導部材10の第1樹脂層12を貫通するビアホール10yを形成する。ビアホール10yは、例えば、保護層16を介して第1樹脂層12にレーザ光を照射することで形成できる。ビアホール10yの形成には、例えば、炭酸ガスレーザや紫外線レーザ等を用いることができる。
【0053】
次に、図9(b)に示す工程では、ビアホール10y内に第1パッド10aを形成する。第1パッド10aは、例えば、ビアホール10y内に熱硬化性の導電性ペーストや導電性フィルムを配置し、加熱して硬化させることで形成できる。
【0054】
次に、図9(c)に示す工程では、図9(b)に示す構造体を上下反転させ、図9(a)と同様にして熱伝導部材10の第2樹脂層13を貫通するビアホール10zを形成し、さらに図9(b)と同様にしてビアホール10z内に第2パッド10bを形成する。
【0055】
次に、図9(d)に示す工程では、図5(a)及び図5(b)と同様にして、第1樹脂層12と接するように第1金属層20を形成し、第2樹脂層13と接するように第2開口部30xを有する第2金属層30を形成する。これにより、基板1Cが完成する。
【0056】
基板1Cのような構造により、例えば、第2開口部30x内にワイヤを配置し、第2金属層30と第2パッド10bとを電気的に接続することが可能となる。これにより、第2金属層30と第1パッド10a及び第2パッド10bとが電気的に接続される。
【0057】
図10は、第1実施形態の変形例3に係る基板を例示する断面図(その2)である。図10に示す基板1Dのように、ビアホール10y内に第1パッド10cが形成され、ビアホール10z内に第2パッド10fが形成されてもよい。第1パッド10cは、カーボンナノチューブ11側から薄膜樹脂層10dとはんだ層10eが積層された構造である。また、第2パッド10fは、カーボンナノチューブ11側から薄膜樹脂層10gとはんだ層10hが積層された構造である。
【0058】
基板1Dにおいて、薄膜樹脂層10d及び10gを極力薄くすることで、はんだ層10eとはんだ層10hとを、カーボンナノチューブ11を介して導通させることができ、図9の導電性ペーストや導電性フィルムを用いた構造より、電気伝導性の向上が期待できる。はんだ層10eとはんだ層10hの代わりに、焼結材やインジウム等を用いてもよい。この場合も、図9の導電性ペーストや導電性フィルムを用いた構造より、電気伝導性の向上が期待できる。なお、薄膜樹脂層10d及び10gは、カーボンナノチューブ11とはんだ層、焼結材やインジウム等との直接接着が困難であるため、バッファー層の役割を果たしている。
【0059】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、第1実施形態とは構造の異なる熱伝導部材を有する基板の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0060】
図11は、第2実施形態に係る基板を例示する断面図であり、図11(a)は全体図、図11(b)は図11(a)の熱伝導部材10Aの部分拡大図、図11(c)は図11(a)のB部の拡大図である。
【0061】
図11(a)を参照すると、第2実施形態に係る基板2は、熱伝導部材10が熱伝導部材10Aに置換された点が、基板1(図1等参照)と相違する。
【0062】
熱伝導部材10Aは、熱伝導部材10の構成に加え、第1樹脂層12の第1金属層20側に積層された第3樹脂層14と、第2樹脂層13の第2金属層30側に積層された第4樹脂層15とをさらに有している。
【0063】
第1金属層20は、熱伝導部材10Aの第3樹脂層14上に積層されている。第1金属層20の上面は、熱伝導部材10Aの第3樹脂層14の下面と接している。図11(c)に示すように、第1金属層20の上面には凹凸があるが、第3樹脂層14を構成する樹脂が第1金属層20の上面に形成された凹凸に入り込む。すなわち、第3樹脂層14を構成する樹脂は、第1金属層20の第3樹脂層14側の面の凹凸に追従した表面形状を有する。そのため、第1金属層20の上面と第3樹脂層14の下面とは、点接触にならず、広い面積で接触する。その結果、第1金属層20の上面と第3樹脂層14の下面との間の熱抵抗が低くなり、第3樹脂層14から第1金属層20に容易に熱が伝わる。
【0064】
第2金属層30は、熱伝導部材10Aの第4樹脂層15上に積層されている。第2金属層30の下面は、熱伝導部材10Aの第4樹脂層15の上面と接している。図11(c)の場合と同様に、第2金属層30の下面には凹凸があるが、第4樹脂層15を構成する樹脂が第2金属層30の下面に形成された凹凸に入り込む。すなわち、第4樹脂層15を構成する樹脂は、第2金属層30の第4樹脂層15側の面の凹凸に追従した表面形状を有する。そのため、第2金属層30の下面と第4樹脂層15の上面とは、点接触にならず、広い面積で接触する。その結果、第2金属層30の下面と第4樹脂層15の上面との間の熱抵抗が低くなり、第2金属層30から第4樹脂層15に容易に熱が伝わる。
【0065】
第1実施形態と同様に、第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々は、フィラーを含有していない。一方、第3樹脂層14は、フィラー14fを含有する。第3樹脂層14は、第1樹脂層12よりも熱伝導率が高い。また、第4樹脂層15は、フィラー15fを含有する。第4樹脂層15は、第2樹脂層13よりも熱伝導率が高い。フィラー14f及び15fとしては、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等を用いることができる。フィラー14f及び15fの径は、例えば、0.1μm~10μm程度とすることができる。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々の熱伝導率は、例えば、0.1W/m・K~0.3W/m・K程度である。一方、第3樹脂層14及び第4樹脂層15の各々の熱伝導率は、例えば、1W/m・K~15W/m・K程度である。
【0066】
第3樹脂層14及び第4樹脂層15は、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂から形成することができる。なお、第3樹脂層14及び第4樹脂層15を構成する樹脂層は、第1樹脂層12及び第2樹脂層13と異なる樹脂から形成してもよい。
【0067】
第1樹脂層12は第3樹脂層14よりも薄く、第2樹脂層13は第4樹脂層15よりも薄いことが好ましい。第1樹脂層12及び第3樹脂層14の各々の厚さは、例えば、1μm以上30μm以下とすることができる。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の各々の厚さは、1μm以上10μm以下とすることが好ましく、0.1μm以上5μm以下とすることがより好ましい。第3樹脂層14及び第4樹脂層15の各々の厚さは、例えば、50μm~250μm程度とすることができる。
【0068】
第1樹脂層12は第3樹脂層14よりも熱伝導率が低く、第2樹脂層13は第4樹脂層15よりも熱伝導率が低い。しかし、第1樹脂層12及び第2樹脂層13の厚さが1μm以上30μm以下であれば、第1樹脂層12及び第2樹脂層13の熱抵抗を低く抑えられ、熱伝導部材10A全体としての熱伝導率の低下を抑制することができる。第1樹脂層12及び第2樹脂層13の厚さが1μm以上10μm以下であれば熱伝導部材10A全体としての熱伝導率の低下をさらに抑制することができ、0.1μm以上5μm以下であれば熱伝導部材10A全体としての熱伝導率の低下をさらに抑制することができる。
【0069】
熱伝導部材10Aでは、熱伝導部材10と同様に、カーボンナノチューブ11の一端側にフィラーを含有しない第1樹脂層12を配置し、カーボンナノチューブ11の他端側にフィラーを含有しない第2樹脂層13を配置している。そのため、第1樹脂層12及び第2樹脂層13を構成する樹脂がカーボンナノチューブ11の両端側へ含浸することができ、シート化が可能となる。また、第1樹脂層12及び第2樹脂層13を熱伝導部材10Aの放熱性に影響がない程度に薄化し、さらに第1樹脂層12に熱伝導率のよい第3樹脂層14を積層し、第2樹脂層13に熱伝導率のよい第4樹脂層15を積層している。その結果、熱伝導部材10Aは、シート化が可能であるとともに、高熱伝導率であり放熱性に優れている。熱伝導部材10Aの熱伝導率は、例えば、カーボンナノチューブ11、第1金属層20、及び第2金属層30と、第3樹脂層14及び第4樹脂層15内のフィラー14f及び15fが、コンタクトした場合、20~30W/m・K程度とすることができる。
【0070】
基板2のように、基板1の熱伝導部材10に代えて熱伝導部材10Aを用いても、基板1と同様の効果を奏することができる。なお、熱伝導部材10Aは、熱伝導部材10と同様にして製造可能である。ただし、図3(a)に示す工程では、保護層16、第3樹脂層14、及び第1樹脂層12の積層体を準備する。また、図4(b)に示す工程では、保護層17、第4樹脂層15、及び第2樹脂層13の積層体を準備する。
【0071】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0072】
例えば、第1実施形態の変形例1~3及び第2実施形態は、技術的な矛盾がない範囲内で組み合わせることができる。
【0073】
例えば、第1実施形態の変形例3と第2実施形態とを組み合わせると、熱伝導部材は、第1樹脂層及び第3樹脂層を貫通し、カーボンナノチューブの一端と接合する第1パッドと、第2樹脂層及び第4樹脂層を貫通し、カーボンナノチューブの他端と接合する第2パッドと、を備え、第1パッドと第2パッドとがカーボンナノチューブを介して導通する。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,1B,1C,1D,2 基板
10,10A 熱伝導部材
10a,10c 第1パッド
10b,10f 第2パッド
10d,10g 薄膜樹脂層
10e,10h はんだ層
10x 第1開口部
10y,10z ビアホール
11 カーボンナノチューブ
11a カーボンナノチューブの一端側の先端
11b カーボンナノチューブの他端側の先端
12 第1樹脂層
13 第2樹脂層
14f,15f フィラー
14 第3樹脂層
15 第4樹脂層
16,17 保護層
20 第1金属層
30 第2金属層
30x 第2開口部
40 セラミック基板
200 基板
210 転写部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11