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特開2023-174394部品定義情報管理システム、および、部品定義情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174394
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】部品定義情報管理システム、および、部品定義情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/38 20180101AFI20231130BHJP
【FI】
G06F8/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087233
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中沢 隆紀
(72)【発明者】
【氏名】西田 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】田澤 功
(72)【発明者】
【氏名】角谷 有司
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BC13
5B376BC14
5B376BC21
5B376BC43
(57)【要約】
【課題】
GUIの開発者が設計済みの部品を再利用する際に、設計済みの部品がどのような業務のために設計されたものかを判別可能にして、業務特性に合った部品の再利用を実現する。
【解決手段】
部品定義情報管理システムは、部品定義情報および部品用途を取得し、部品定義情報と部品用途とを紐づけを行い、部品用途の単位で部品定義情報の内容の共通率を分析し、分析結果をもとに、共通率の閾値評価に関する抽象度を部品定義情報に付与し、抽象度を付与する基準となる閾値を設定し、部品定義情報を選定する際に、業務に関する業務情報を取得し、取得した業務情報に含まれる文字列に対応する部品用途が紐づけられた部品定義情報を検索し、ヒットした部品定義情報とそれに付与された抽象度を取得し、取得した部品定義情報と抽象度を出力する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品定義情報を選定する部品定義情報管理システムであって、
前記部品定義情報を取得する部品定義情報入力部と、
部品用途を取得する部品用途入力部と、
前記部品定義情報と前記部品用途とを紐づける登録部と、
前記部品用途の単位で前記部品定義情報の内容の共通率を分析する分析部と、
前記分析部の分析結果をもとに、前記共通率の閾値評価に関する抽象度を前記部品定義情報に付与する抽象度分類部と、
前記抽象度分類部が前記抽象度を付与する基準となる閾値を設定する閾値設定部と、
部品定義情報を選定する際に、業務に関する業務情報を取得する業務情報入力部と、
取得した前記業務情報に含まれる文字列に対応する前記部品用途が紐づけられた前記部品定義情報を検索し、ヒットした前記部品定義情報とそれに付与された前記抽象度を取得する検索部と、
前記検索部が取得した前記部品定義情報と前記抽象度を出力する出力部と、を備える、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品定義情報管理システムであって、
検索部の検索結果の部品定義情報から、出力する前記部品定義情報の一部を指定する指定部と、
前記指定部の指定に基づいて前記部品定義情報の一部を切り出す部品切り出し部と、を備え、
前記出力部は、
前記部品切り出し部が切り出した部分を部品定義情報として出力する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の部品定義情報管理システムであって、
前記部品定義情報管理システムの出力である部品定義情報を入力として受け付ける交換用入力部を備え、
前記出力部は、
前記交換用入力部が入力として受け付けた部品定義情報が保持するパラメータを引き継いだ部品定義情報を出力する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の部品定義情報管理システムであって、
前記部品定義情報管理システムの出力である部品定義情報を入力として受け付ける交換用入力部を備え、
前記出力部は、
前記交換用入力部が入力として受け付けた部品定義情報が保持するパラメータを引き継いだ部品定義情報を出力する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の部品定義情報管理システムであって、
部品定義情報の記載内容に応じた重み付けを設定する重み付け設定部を備え、
前記分析部は、
前記重み付けに基づいた共通率を算出する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の部品定義情報管理システムであって、
部品定義情報の記載内容に応じた重み付けを設定する重み付け設定部を備え、
前記分析部は、
前記重み付けに基づいた共通率を算出する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項7】
請求項3に記載の部品定義情報管理システムであって、
部品定義情報の記載内容に応じた重み付けを設定する重み付け設定部を備え、
前記分析部は、
前記重み付けに基づいた共通率を算出する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項8】
請求項4に記載の部品定義情報管理システムであって、
部品定義情報の記載内容に応じた重み付けを設定する重み付け設定部を備え、
前記分析部は、
前記重み付けに基づいた共通率を算出する、
ことを特徴とする部品定義情報管理システム。
【請求項9】
部品定義情報を選定する部品定義情報管理方法であって、
前記部品定義情報管理方法は、
プロセッサと、記憶部と、入力装置と、表示装置と、を用いて行う方法であり、
前記プロセッサは、
前記部品定義情報を取得し、
部品用途を取得し、
前記部品定義情報と前記部品用途とを紐づける部品用途テーブルを作成し前記記憶部に記憶させ、
前記部品用途の単位で前記部品定義情報の内容の共通率を分析し、
分析結果をもとに、前記共通率の閾値評価に関する抽象度を前記部品定義情報に付与することに用いる抽象度テーブルを作成し、
前記抽象度を付与する基準となる閾値を設定し、
部品定義情報を選定する際に前記入力装置を介してユーザが入力する業務に関する業務情報を取得し、
取得した前記業務情報に含まれる文字列に対応する前記部品用途が紐づけられた前記部品定義情報を前記記憶部から検索し、ヒットした前記部品定義情報とそれに付与された前記抽象度を取得し、
取得した前記部品定義情報と前記抽象度を前記表示装置に出力する、
ことを特徴とする部品定義情報管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の部品定義情報管理方法をプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品定義情報管理システムおよび部品定義情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非効率な業務を改善するため、DX(Digital Transformation)を進めるデジタルソリューション開発が盛んとなっている。デジタルソリューション開発では、従来業務を改善するアプリケーションを開発し、業務の現場に導入することで生産性の改善をめざす方法がある。業務で利用するアプリケーションの中には、GUI(Graphical User Interface)を備えるものが存在する。例えば、製造の遅れや材料の欠品といった生産ラインの状況を可視化する生産管理ダッシュボードのアプリケーションには、ユーザに生産ラインの状況をサマリで表示するダッシュボードや、生産ラインの内訳を表示する詳細画面等を備える。このように、GUIはアプリケーションとユーザとの接点となる。よって、GUIのデザインが悪いと、生産性の低下につながる可能性があるため、GUIのデザインは現場に導入する上で重要となる。しかし、GUIのデザインはソフトウェアの要件として記述がしにくいため、開発後に手戻りが発生しやすく、開発者がGUIを完成させるまでの工数が増大していた。
【0003】
そこで、GUIの試作と改善のためにプロトタイピングを通じて、業務でアプリケーションを利用するユーザと開発者のゴールイメージを近づけることを考える。例えば、開発者がユーザに対して業務のヒアリングを行う中で、業務に導入するアプリケーションのGUIを迅速に開発してユーザに見せることで、開発者が開発しようとするGUIのイメージが業務特性に合っているかどうかを早期段階で確認することができる。しかし、開発者が迅速にGUIを開発してユーザに見せることは、開発者が1からGUIを開発する場合、開発者への負担が大きく工数を要してしまうため難しい。この負担を軽減する方法として、設計済みのGUIの部品を再利用することを考える。GUIを構成するボタンやカードは、複数のGUIで共通して利用できるため、設計済みの部品を再利用することで工数を削減できる。しかし、部品の再利用を可能にするためには、予め開発者が設計済みの部品を用意し、個々の部品に名称を付与しておく必要がある。例えば、部品がGUIの「ボタン」の場合、その部品の名称は「ボタン」とすることができる。そして、同一種類の部品が複数存在する場合には、「ボタン1」、「ボタン2」・・・「ボタンN」というように種類ごとに番号の異なる名称を各部品に付与することで区別可能である。このようにすることで、開発者が部品を再利用する際は、部品に付与された名称を頼りに部品を探すことができる。しかし、部品の種類に基づく名称からその部品の実体を理解することは困難である。このため、従来では開発者が部品の名称から再利用の判断ができず、部品が表すGUIの実体を確認するために、部品が表すGUIを画面上に表示させ、さらに画面上で直接的に部品を指定して呼び出すという余分の操作が必要であった。したがって、部品を効率的に再利用するためには、開発者が再利用を容易に判断できる部品の管理が課題となる。この課題を解決する方法として、特許文献1がある。特許文献1には「画面を構成する部品には、それに対して設定された特定の項目の部品設定内容を表す名称が付与される。つまり、部品設定における画面作成者の思考を反映した名称が付与される。これにより、部品の種類のみに基づく画一的な名称を付与する場合と比べて、部品とその名称との対応の把握が容易となり、名称から部品の実体を連想し易くなる。また、名称の生成の基礎となる項目に優先順位を定めておけば、画面作成者自身による名称の付与に似通った自動の名称付与を実現することができる。」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-212242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、部品に対して、あらかじめ設定された特定の項目を表す名称を付与することで、部品の実体を理解可能にしている。これにより、開発者は部品の名称を参照した再利用が可能となる。しかし、開発者が部品の再利用を判断する際に、部品がどのような業務のために設計されたものかを判別することができないため、業務特性に合ったGUIを開発する際には利便性に欠けていた。公知例では、GUIの形状、色、機能から名称を参照して部品を再利用することができるが、その部品がどのような業務で利用することを想定して作られたのか判別することができない。例えば、GUIのログイン画面を開発する場合、IDとパスワードで認証する場合や、外部アカウントで認証する場合などが存在し、GUIを構成する部品も異なるため、用途に応じた部品の判別を可能にすることが必要である。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、開発者が設計済みの部品を再利用する際に、設計済みの部品がどのような業務のために設計されたものかを判別可能にして、業務特性に合った部品の再利用を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の第1の態様によれば、下記の部品定義情報管理システムが提供される。部品定義情報管理システムは、部品定義情報を選定するシステムである。部品定義情報管理システムは、部品定義情報入力部と、部品用途入力部と、登録部と、分析部と、抽象度分類部と、閾値設定部と、業務情報入力部と、検索部と、出力部と、を備える。部品定義情報入力部は、部品定義情報を取得する。部品用途入力部は、部品用途を取得する。登録部は、部品定義情報と部品用途とを紐づける。分析部は、部品用途の単位で部品定義情報の内容の共通率を分析する。抽象度分類部は、分析部の分析結果をもとに、共通率の閾値評価に関する抽象度を部品定義情報に付与する。閾値設定部は、抽象度分類部が抽象度を付与する基準となる閾値を設定する。業務情報入力部は、部品定義情報を選定する際に、業務に関する業務情報を取得する。検索部は、取得した業務情報に含まれる文字列に対応する部品用途が紐づけられた部品定義情報を検索し、ヒットした部品定義情報とそれに付与された前記抽象度を取得する。出力部は、検索部が取得した部品定義情報と前記抽象度を出力する。
【0008】
上記の課題を解決する本発明の第2の態様によれば、下記の部品定義情報管理方法が提供される。部品定義情報管理方法は、部品定義情報を選定する方法であって、プロセッサと、記憶部と、入力装置と、表示装置と、を用いて行う方法である。プロセッサは、部品定義情報を取得し、部品用途を取得し、部品定義情報と部品用途とを紐づける部品用途テーブルを作成し記憶部に記憶させ、部品用途の単位で部品定義情報の内容の共通率を分析し、分析結果をもとに、共通率の閾値評価に関する抽象度を部品定義情報に付与することに用いる抽象度テーブルを作成し、抽象度を付与する基準となる閾値を設定し、部品定義情報を選定する際に入力装置を介してユーザが入力する業務に関する業務情報を取得し、取得した業務情報に含まれる文字列に対応する部品用途が紐づけられた部品定義情報を記憶部から検索し、ヒットした部品定義情報とそれに付与された抽象度を取得し、取得した部品定義情報と抽象度を表示装置に出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開発者が設計済みの部品を再利用する際に、設計済みの部品がどのような業務のために設計されたものかを判別可能にして、業務特性に合った部品の再利用を実現することができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における部品定義情報とGUIの例を示す図である。
図2】第1実施形態における部品定義情報管理システムの機能構成例を示す図である。
図3】第1実施形態における生産管理ダッシュボードの例を示す図である。
図4】第1実施形態における部品用途記憶部の例を示す図である。
図5】第1実施形態における抽象度記憶部の例を示す図である。
図6】第1実施形態における部品定義情報の具体例を示す図である。
図7】第1実施形態における分析部の処理の流れを示すフローチャートの例である。
図8】第1実施形態における抽象度分類部の処理の流れを示すフローチャートの例である。
図9】第1実施形態における閾値設定部の例を示す図である。
図10】第2実施形態における部品定義情報管理システムの機能構成例を示す図である。
図11】第2実施形態における画面表示の例である。
図12】第2実施形態における部品切り出し部の処理の流れを示すフローチャートの例である。
図13】第3実施形態における部品定義情報管理システムの機能構成例を示す図である。
図14】第4実施形態における部品定義情報管理システムの機能構成例を示す図である。
図15】第4実施形態における重み付け設定部の例を示す図である。
図16】第4実施形態における重み付け設定を入力する画面の例を示す図である。
図17】部品定義情報管理システムを実現するコンピュータのハードウェア例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、下記はあくまでも実施の例に過ぎず、下記具体的内容に発明自体が限定されることを意図するものではない。また、以下の説明において、同一または類似の要素および処理に同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。また、後出の実施形態では、既出の実施形態との差異のみを説明し、重複説明を省略する場合がある。また、以下の実施形態の説明および各図で示す構成および処理は、本発明の理解および実施に必要な程度で実施形態の概要を示すものであり、本発明に係る実施の態様を限定することを意図する趣旨ではない。また、各実施形態および各変形例は、本発明の趣旨を逸脱せず、互いに整合する範囲内で、一部または全部を組合せることができる。
【0012】
<第1実施形態>
本実施形態では、GUIの開発において、開発者が設計済みの部品を再利用する場合に、業務情報に適した部品を選定し、選定結果から開発者が再利用する部品を選択できるようにする処理を示す。本実施形態は、再利用の準備のために設計済みの部品を登録する登録フェーズと、再利用したい部品を検索する検索フェーズの2つのフェーズからなる。
【0013】
ここで、開発者が設計済みの部品を再利用して開発するGUIの例について説明する。図1に示すGUIの例101(a)は、IDパスワードを用いてログインすることを必要とする業務の際に使われるGUIであり、IDの入力フォームとパスワードの入力フォームがあり、ログインのボタンがその下部にある。また、GUIの例101(b)は外部アカウント連携を用いてログインすることを必要とする業務の際に使われるGUIであり、どの外部アカウントであるかを示すカードがあり、その右側にログインのボタンがある。
【0014】
このように、ログインすることを必要とする業務は、IDパスワードと用いるか、外部アカウント連携を用いるか等存在し、業務の違いによって、GUIが含むボタン、入力フォーム、カードといった種類が異なる。よって、設計済みの部品を再利用する際には、業務の違いによってGUIを使い分ける必要があるため、本実施形態では、業務ごとにまとめてGUIを管理することにしている。このようなGUIの管理を実現する、GUIの部品の形状、大きさ、配置、色、機能等を取り決める情報を部品定義情報100と定義する。
【0015】
部品定義情報100について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態における部品定義情報100の例を示す図である。部品定義情報100の例100(a)と100(b)にはGUIの部品の形状、大きさ、配置、色、機能等の取り決めが記述されている。部品定義情報の例100(a)には、GUIの例101(a)におけるボタンとフォームの情報が記述されている。ボタンの場合は、種類を定義するsetType、表示する文字列や画像を定義するsetView、機能を定義するsetEvent、形状を定義するshape、大きさを定義するsize、配置を定義するplacement、色を定義するcolor、フォントを定義するfontといったパラメータから成り、各パラメータを設定することで、GUI上のボタンを定義することができる。部品定義情報例100(a)の入力フォームの場合は、種類を定義するsetType、表示する文字列や画像を定義するsetView、機能を定義するsetEvent、形状を定義するshape、大きさを定義するsize、配置を定義するplacement、色を定義するcolor、フォントを定義するfontといったパラメータから成り、各パラメータを設定することで、GUI上の入力フォームを定義することができる。
【0016】
なお、IDパスワードを用いてログインすることを必要とする業務のGUIは、ボタンと入力フォームの組み合わせにより構成されるため、ボタンと入力フォームをまとめて記述するようにしている。例えば、部品定義情報の例100(a)では、ボタンと入力フォームの記述が、IDパスワードを用いてログインすることを必要とする業務のGUIのためのものであることがわかるように、ボタンと入力フォームの記述を「//IDパスワード」という記号で囲むようにしている。本実施形態では、このような記号を開始終了記号と定義する。
【0017】
開始終了記号は、部品定義情報100の開発者が、どのような業務のための記述であるかを他者が理解できるように示しており、業務を表現する文字列を含んでいる。本実施形態では、予め開始終了記号が含まれる文字列の候補を用意しておき、その候補の文字列を用いることによって、開始終了記号が記述される。これにより、複数人で共通の理解が可能となっている。
【0018】
また、部品定義情報100(b)では、外部アカウント連携を用いてログインすることを必要とする業務のための記述であることがわかるように、「//外部アカウント連携」という開始終了記号でボタンとカードを囲むようにしている。
【0019】
なお、通常、「//IDパスワード」と「//外部アカウント連携」の開始終了記号とそれらに囲まれた記述の両方が、同じ部品定義情報100に含まれる。一方、部品を再利用する開発者は、開発するアプリケーションを操作するユーザの業務の違いによって、「//IDパスワード」か、「//外部アカウント連携」のどちらかに対応するGUIか、両方に対応するGUIを再利用したい場合がある。例えば、開発するアプリケーションを操作するユーザの業務が外部アカウントを用いてログインする必要がない場合には、「//IDパスワード」に対応するGUIのみを再利用したいと考える。また、業務において汎用的に必要となるGUIかどうかを、再利用の判断基準にする場合がある。特に、開発者がプロトタイピングでGUIを開発する際には、汎用的なGUIを再利用して迅速化したいと考える。例えば、ログイン画面のGUIにおいては、「//IDパスワード」が汎用的であると考えることができる。
【0020】
このようなGUIの使い分けに対応するために、開始終了記号の組み合わせを考える。例えば、「//IDパスワード」と「//外部アカウント連携」の2つの開始終了記号の組み合わせを持つ部品定義情報100の場合、部品定義情報100が持つ開始終了記号の組み合わせは、「//IDパスワード」のみ、「//外部アカウント連携」のみ、「//IDパスワード」と「//外部アカウント連携」の3通りとなる。本実施形態では、このような開始終了記号の組み合わせを利用して、GUIの汎用性を判別可能にしながら、部品定義情報100を再利用する方法を考える。
【0021】
このような観点から、本実施形態では、業務の違いに基づいて部品を再利用できるようにするため、部品定義情報100を管理するシステムである部品定義情報管理システム200について説明する。
【0022】
ここで、本実施形態における部品定義情報管理システム200の機能構成例について図2を用いて説明する。図2は、第1実施形態における部品定義情報管理システム200の機能構成例を示す図である。図2に示すように、部品定義情報管理システム200は、部品定義情報入力部201、部品用途入力部202、登録部203、記憶部204、分析部205、抽象度分類部206、閾値設定部207、業務情報入力部208、検索部209、出力部210を含んで構成される。また、記憶部204は、記憶領域として、部品定義情報記憶部204-1、部品用途記憶部204-2、抽象度記憶部204-3を含んで構成されており、部品定義情報記憶部204-1は複数の部品定義情報100を保持する。
【0023】
始めに、部品定義情報入力部201について説明する。部品定義情報入力部201は、登録フェーズにおいて、再利用の準備のために、設計済みの部品定義情報100の入力を受け付ける。入力された部品定義情報100は、部品定義情報記憶部204-1が記憶する。部品定義情報入力部201への部品定義情報100の入力は、開発者の操作による入力でもよいし、プログラムからの自動入力でもよい。以降の実施形態では、開発者の操作による入力について示す。なお、本実施形態では、部品定義情報100がテキストファイルとして入力される場合について説明する。
【0024】
部品用途入力部202は、登録フェーズにおいて、部品定義情報入力部201に入力される部品定義情報100の部品用途の入力を受け付ける。なお、本実施形態において、部品用途とは、部品定義情報100の用途を文字列で表記したものと定義する。例えば、図3に示す生産管理ダッシュボードの例であれば、ログイン画面300、ダッシュボード画面301、詳細画面302、の画面遷移を持つ。まず、ログイン画面300はIDパスワードを用いてログインする画面である。ログイン画面300のLoginボタンを押すと、ダッシュボード画面301に遷移する。ここでは生産ラインの状況をサマリで表示しており、この例では、作業が遅れている生産ラインの数を示している。さらに、遅れている生産ラインの内訳を知りたい場合は、詳細ボタンを押すことで、生産ラインの詳細を示す詳細画面302が表示される。これにより、実際に遅れている生産ラインがラインAとラインBであることが確認できる。このようなダッシュボードにおいては、部品用途を示す文字列の一例として、ログイン画面300には「ログイン」、ダッシュボード画面301には「ダッシュボード」、詳細画面302には「詳細」が考えられる。
【0025】
登録部203は、部品定義情報入力201に入力された部品定義情報100を記憶部204に記憶させる。また、部品定義情報100と部品用途入力部202に入力された部品用途とを紐づける部品用途テーブルを作成し、記憶部204に記憶させる。
【0026】
記憶部204は、上記したように、部品定義情報記憶部204-1、部品用途記憶部204-2、抽象度記憶部204-3を含む。ここで、本実施形態における部品用途記憶部204-2の情報について図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態における部品用途記憶部204-2が記憶する情報の例を示す図である。図4に示すように、部品用途記憶部204-2は、登録部203が作成した、部品用途と部品定義情報100とを紐づける部品用途テーブル400を記憶している。部品用途に紐づけられた部品定義情報100は図2で示した部品定義情報記憶部204-1に記憶されている。図4に示すように、1つの部品用途に対して、複数の部品定義情報100が紐づけられて記憶される。
【0027】
分析部205は、部品用途記憶部204-2に記憶されている部品用途に紐づけられた部品定義情報100に対して、開始終了記号を比較して共通率を算出する。なお、本実施形態において、共通率とは、同じ部品用途が紐づけられた部品定義情報100の中で、ある開始終了記号を持つ部品定義情報100の個数の割合を表す数値とする。部品定義情報100がN個で、ある開始終了記号を持つ部品定義情報がM個の時、共通率M/N*100%とする。ある開始終了記号を同じ部品用途が紐づけられた全ての部品定義情報100が持つ場合、共通率100%とする。
【0028】
抽象度分類部206は、分析部205が算出した共通率から、部品定義情報100の抽象度を判定し、部品定義情報100と抽象度を紐づけて管理する抽象度テーブル500を作成し、抽象度記憶部204-3に記憶させる。図5は抽象度テーブル500の例である。抽象度テーブル500は、部品定義情報記憶部204-1が記憶する部品定義情報100とその部品定義情報100が持つ開始終了記号の組み合わせの対応関係を紐づけ、それぞれの組み合わせに抽象度を紐づけて管理する。
【0029】
例えば、図5に示すfile1の中身が図6の部品定義情報Xとすると、開始終了記号の組み合わせは「IDパスワード」のみ、「多要素認証」のみ、「カレンダー表示」のみ、「IDパスワード」と「多要素認証」、「IDパスワード」と「カレンダー表示」、「多要素認証」と「カレンダー表示」、「IDパスワード」と「多要素認証」と「カレンダー表示」の7通りとなるため、これらの組み合わせをfile1と紐づけて管理する。
【0030】
なお、本実施形態において、抽象度とは、部品定義情報100が持つ開始終了記号が、その部品定義情報100と同じ部品用途が紐づけされた部品定義情報100の中で、多くの数の部品定義情報100が持つ場合に高く、少ない数の部品定義情報100が持つ場合に低くなるものと定義する。例えば、図5に示す例の場合、「IDパスワード」はfile1、file2、file3で共通しているため抽象度を「高」とし、「多要素認証」はfile1にはあるがfile2、file3で共通していないため抽象度を「低」としている。
【0031】
高低の判定には(すなわち、閾値評価には)、閾値設定部207で閾値が設定できるものとし、設定された閾値以上の共通率を持つ開始終了記号を含む部品定義情報100の抽象度を「高」、設定された閾値未満の共通率を持つ開始終了記号を含む部品定義情報100の抽象度を「低」とする。また、抽象度の段階は「高」と「低」の2段階ではなく、「中」を含む3段階や、それ以上の段階数を設けても良い。本実施形態では、抽象度の段階を「高」、「中」、「低」の3段階で説明する。共通率の閾値について60%以上が抽象度「高」、30%以上が抽象度「中」、30%未満が抽象度「小」とする。
【0032】
本実施形態における抽象度記憶部204-3の情報について説明する。抽象度記憶部204-3は、抽象度分類部206が作成した、図5で示した部品定義情報100と抽象度とを紐づける抽象度テーブル400を記憶している。なお、上記したように、紐づけられた部品定義情報100は、図2で示した部品定義情報記憶部204-1に記憶されている。図5に示すように、1つの部品定義情報100に対して、その開始終了記号の組み合わせから、閾値設定部207で設定された「高」、「中」、「低」といった抽象度が紐づけられて記憶される。
【0033】
業務情報入力部208は、検索フェーズにおいて、部品定義情報100を再利用する際の検索時に、ユーザ(開発者等)からの業務情報の入力を受け付ける。なお、本実施形態において、業務情報とは、業務が必要とすることを文字列で表したものである。例えば、図3に示す生産管理ダッシュボードの例の場合、「システムにログインする」、「サマリをダッシュボードで確認する」、「生産ラインの内訳を詳細で確認する」等が業務情報の一例となる。
【0034】
検索部209は、検索フェーズにおいて、業務情報入力部208に入力された業務情報を利用して、部品用途記憶部204-2を検索し、ヒットした部品用途に紐づけられた部品定義情報100と抽象度テーブル500を部品定義情報記憶部204-1と抽象度記憶部204-3からそれぞれ取得する。例えば、業務情報として「システムにログインする」が入力された場合、その中の「ログイン」という文字列が部品用途にヒットする。部品用途にヒットしなかった場合は、例えば後述する表示装置1706を介して、異なる業務情報の入力を、部品を再利用する開発者に促す。
【0035】
出力部210は、検索フェーズにおいて、検索部209が取得した部品定義情報100と抽象度テーブル500を出力する。
【0036】
ここで、分析部205における共通率の算出について、図6及び図7を用いて説明する。図7は第1実施形態における共通率の算出処理の流れを示すフローチャートの例である。図7のフローチャートの処理において、図6で示す部品定義情報記憶部204-1に記憶された部品定義情報100を利用する。
【0037】
分析部205の処理は、部品定義情報記憶部204-1への部品定義情報100の記憶を契機に実行される(S701)。例えば、新たに記憶される部品定義情報は図6に示す部品定義情報Xとし、既に記憶されている部品定義情報は図6に示す部品定義情報Y1、部品定義情報Y2、部品定義情報Y3とする。
【0038】
次に、分析部205は部品定義情報Xを分析し、開始終了記号を記憶する(S702)。例えば、図6に示す部品定義情報Xの「IDパスワード」、「多要素認証」、「カレンダー表示」を記憶する。
【0039】
次に、分析部205は、部品用途記憶部204-2を参照し、部品定義情報Xに紐づけられた部品用途と、同じ部品用途に紐づけられている部品定義情報100を取得する(S703)。例えば、図6に示す部品定義情報Y1、部品定義情報Y2、部品定義情報Y3を取得する。
【0040】
次に、比較対象の部品定義情報から部品定義情報を1つ取得する(S704)。例えば、図6に示す部品定義情報Y1を取得する。次に、分析部205は、S704で取得した部品定義情報100を分析し、開始終了記号を記憶する(S705)。例えば、図6に示す部品定義情報Y1の「IDパスワード」、「多要素認証」、「キャンペーン表示」を記憶する。
【0041】
次に、分析部205はS702とS705で記憶した開始終了記号の共通率を算出する。例えば、「IDパスワード」と「多要素認証」は部品定義情報Xと部品定義情報Y1で共通しているため共通率100%、「カレンダー表示」と「キャンペーン表示」は部品定義情報Xと部品定義情報Y1の片方のみに記載されているため共通率50%となる。
【0042】
次に、まだ比較対象の部品定義情報100が残っているかを判定し(S707)、まだ比較対象の部品定義情報100が残っている場合(S707-Yes)、次の比較対象の部品定義情報100を取得し(S708)、比較する部品定義情報100が無くなるまでS705を繰り返し実施する。なお、次の繰り返しにおいては、それより前に記憶した開始終了記号全てに対して共通率を再計算する。例えば、次の繰り返しで図7に示す部品定義情報Y2を取得した場合、S705では「IDパスワード」、「外部アカウント連携」、「ニュース表示」を記憶する。その後S706で共通率を算出する際には、以前に記憶した部品定義情報Xの「IDパスワード」、「多要素認証」、「カレンダー表示」と部品定義情報Y1の「IDパスワード」、「多要素認証」、「キャンペーン表示」の全てに対して共通率を算出する。例の場合、「IDパスワード」は部品定義情報X、部品定義情報Y1、部品定義情報Y2全てに共通しているため共通率100%、「多要素認証」は部品定義情報Xと部品定義情報Y1に共通し、部品定義情報Y2に共通しないため共通率66.6%、「カレンダー表示」、「キャンペーン表示」、「外部アカウント連携」、「ニュース表示」は部品定義情報X、部品定義情報Y1、部品定義情報Y2のいずれか1つのみに記載のため共通率33.3%のように再計算される。
【0043】
ここで、抽象度分類部206における部品定義情報100の抽象度判定について図8を用いて説明する。図8は第1実施形態における抽象度分類部206の抽象度判定の流れを示すフローチャートの例である。図9は第1実施形態における閾値設定部207の具体例を示す図である。図8のフローチャートの説明において、図9を利用する。
【0044】
抽象度分類部206の処理は、分析部205の共通率算出処理の終了を契機に実行される。まず、分析部205が取得した部品定義情報100と新たに記憶された部品定義情報100を取得する(S801)。以降、新たに記憶された部品定義情報100は分析部205が取得した部品定義情報100に含めるものとする。
【0045】
次に、部品定義情報100を1つ取得する。(S802)。次に、取得した部品定義情報100が持つ開始終了記号の組み合わせを算出する(S803)。例えば、図6に示す部品定義情報Xの場合、開始終了記号の組み合わせは「IDパスワード」のみ、「多要素認証」のみ、「カレンダー表示」のみ、「IDパスワード」と「多要素認証」、「IDパスワード」と「カレンダー表示」、「多要素認証」と「カレンダー表示」、「IDパスワード」と「多要素認証」と「カレンダー表示」の7通りとなる。
【0046】
次に、S803で算出した組み合わせを1つ取得する(S804)。例えば、「IDパスワード」のみ、の組み合わせを取得する。次に、取得した組み合わせが含む開始終了記号の共通率を取得する(S805)。例えば、「IDパスワード」のみの場合、「IDパスワード」の共通率100%を取得する。次に、閾値設定部207に設定された図9に示す閾値800をもとに抽象度を判定する(S806)。例えば、図8に示すように、閾値を共通率60%以上で抽象度「高」、共通率30%以上で抽象度「中」、共通率0%以上で抽象度「小」と設定した場合、「IDパスワード」の共通率100%であるから、「IDパスワード」のみの組み合わせは抽象度「高」と判定される。この時、組み合わせが複数の開始終了記号を含む場合、各開始終了記号が持つ共通率の中から、最も低い共通率を用いて抽象度を判定する。
【0047】
次に、まだ取得していない開始終了記号の組み合わせが残っているかを判定する(S807)。まだ取得していない開始終了記号の組み合わせが残っている場合(S807-Yes)、次の開始終了記号の組み合わせを取得し(S808)、取得していない開始終了記号の組み合わせが無くなるまでS805を繰り返し実施する。次に、まだ取得していない部品定義情報100が残っているかを判定する(S809)。まだ取得していない部品定義情報100が残っている場合(S809-Yes)、次の部品定義情報100を取得し(S810)、取得していない部品定義情報100が無くなるまでS803を繰り返し実施する。抽象度分類部206が判定した抽象度と部品定義情報100の紐づけ情報は図5に示す抽象度テーブル500を例として、抽象度記憶部2043に記憶される。
【0048】
本実施形態によれば、GUIの開発において設計済みの部品を再利用する場合に、部品定義情報管理システム200に入力した業務情報に対して適切な部品定義情報を選定することができ、GUIの開発にかかる工数削減が可能になるほか、抽象度の付与によって部品の汎用性が判別でき、設計済みの部品の業務に合わせた再利用が可能となる。したがって、経済的な観点で貢献することができる。
【0049】
<第2実施形態>
第1実施形態では、抽象度の付与によって部品の汎用性の判別を可能にする方法を示した。本実施形態では、抽象度の付与によって汎用性の判別を可能にするだけでなく、部品定義情報100の一部を指定することで、必要な部品定義情報100のみを出力する方法を示す。
【0050】
まず、本実施形態における部品定義情報管理システム200(a)の機能構成例について図10を用いて説明する。図10は第2実施形態における部品定義情報管理システム200(a)の機能構成例を示す図である。第1実施形態における部品定義情報管理システム200の機能構成図である図1と比較して、指定部1000と部品切り出し部1001を含む点が異なり、その他は同一である。
【0051】
第1実施形態では、検索部209の検索結果から部品定義情報100と抽象度テーブル500を出力部210に出力する方法を示したが、本実施形態では、検索部209の検索結果の部品定義情報100から、指定部1000によって部品定義情報100の一部を指定することにより、部品切り出し部1001が部品定義情報100の一部を切り出してから出力部210に出力する点が異なる。これにより、検索部209の検索結果から、開発者が利用したい部品定義情報の一部を指定し、当該部分を切り出して出力することが可能になる。以下、この差異についてのみ説明する。
【0052】
指定部1000は、検索部209の検索結果の部品定義情報100に対して、出力の対象とする部品定義情報100の一部を指定する。例えば、出力する部品定義情報100の一部の指定を開発者に促すために、検索部209の検索結果の部品定義情報100と抽象度テーブル500を開発者が見やすいように整形し、一例として図11に示す検索結果表示画面1100のように、出力部210に接続された後述する表示装置1706の画面上に表示させる。
【0053】
図11に示す検索結果表示画面1100は、GUIの開発者が再利用したい部品定義情報100とその抽象度を、指定部1000に接続された後述する入力装置1705によって選択することができる画面である。そして、例えば、開発者はマウスのクリック操作によって選択する。
【0054】
開発者が部品定義情報100とその抽象度を選択すると、その部品定義情報100によって構成されるGUIをプレビュー表示1101のように表示させることができ、開発者が確認することができる。開発者はプレビュー表示1101で利用したい部品であることを確認した上で、図11の検索結果表示画面1100から出力する部品定義情報100とその抽象度を選択することができ、指定部1000はその選択により、抽象度テーブル500に紐づけられた部品定義情報100の開始終了記号を指定する。
【0055】
部品切り出し部1001は、指定部1000の指定に基づいて、検索部209の検索結果の部品定義情報100の一部を切り出す。
【0056】
ここで、部品切り出し部1001の処理について、図12を用いて説明する。図12は第2実施形態における部品切り出し部1001の処理の流れを示すフローチャートの例である。
【0057】
図12の処理は、指定部1000による部品定義情報100の開始終了記号の指定を契機に実行される。まず、指定部1000が開始終了記号の指定の対象とした部品定義情報を取得する(S1201)。次に、指定部1000が指定した開始終了記号を1つ取得する(S1202)。次に、S1201で取得した部品定義情報の中から、開始終了記号を1つ取得する(S1203)。
【0058】
次に、S1202で取得した指定の開始終了記号とS1203で取得した開始終了記号が一致するかを判定する(S1204)。指定の開始終了記号と一致しない場合(S1204-No)、次の開始終了記号を取得する(S1205)。指定の開始終了記号と一致する場合(S1204-Yes)、開始終了記号に囲まれた記述を記憶する(S1206)。
【0059】
次に、まだ取得していない開始終了記号が残っているかを判定する(S1207)。また取得していない開始終了記号が残っている場合(S1207-Yes)、次の開始終了記号を取得し(S1208)、取得していない開始終了記号が無くなるまでS1203を繰り返し実施する。まだ取得していない開始終了記号が残っていない場合(S1207-No)、記憶した記述を持つ部品定義情報100を作成し(S1209)、処理を終了する。
【0060】
部品切り出し部1001の処理終了後、部品切り出し部1001が作成した部品定義情報100を出力部210が出力する。
【0061】
本実施形態によれば、部品定義情報の一部を指定することで、必要な部品定義情報のみを出力できる。
【0062】
<第3実施形態>
開発者は、部品定義情報管理システムが出力した部品定義情報100を再利用してGUIを開発した後、GUIを操作するユーザからの要望を受けて、より業務特性に合ったGUIに近づけるため開発を継続する。この時、再利用する部品定義情報100を異なる部品定義情報100に交換することによって、開発を迅速化することを考える。しかし、開発者が部品定義情報100を再利用する際には、パラメータ設定作業が発生する。例えば、ボタンに表示する文字列を「Login」から「Sign in」に変更するためには、表示する文字列を定義するパラメータの設定を変更する必要がある。このような作業を、部品定義情報100の交換時に毎回実施することは非効率である。
よって、本実施形態では、部品定義情報管理システムの出力によって得た部品定義情報100を用いて部品定義情報100を検索し、異なる部品定義情報に交換する際、交換後の部品定義情報100に交換前の部品定義情報100が持つパラメータを引き継がせることによって、再度のパラメータの設定作業を回避する方法を示す。
【0063】
まず、本実施形態における部品定義情報管理システム200(b)の機能構成例について図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態における部品定義情報管理システム200(b)の機能構成例を示す図である。第2実施形態における部品定義情報管理システム200(a)の機能構成図である図10と比較して、交換用入力部1300と交換用記憶部1301を含む点が異なり、その他は同一である。
【0064】
第2実施形態では業務情報の入力を基に、検索部209が部品定義情報100を検索し、指定部900による部品定義情報100の一部の指定に基づいて部品定義情報100の一部を切り出して出力する方法を示した。本実施形態では、交換用の部品定義情報100の入力を受け付け、入力された部品定義情報100を用いて部品定義情報100を検索し、交換前の部品定義情報100のパラメータを交換後の部品定義情報に引き継がせる点が異なる。以下、この差異についてのみ説明する。
【0065】
交換用入力部1300は、部品定義情報100の入力を受け付ける。ここで入力される部品定義情報100は、部品定情報管理システムが出力した部品定義情報100とする。検索部209はその部品定義情報100の名称を用いて、部品定義情報100と抽象度テーブル500を検索可能とする。
【0066】
交換用記憶部1301は、交換用入力部1300に入力された部品定義情報100が保持するパラメータを記憶する。第2実施形態と同様の方法で部品切り出し部1001が部品切り出しを行った後、交換用記憶部1301が記憶するパラメータが部品切り出し部1001によって作成された部品定義情報100に記述される。そして、出力部210は、パラメータが記述された部品定義情報100を出力する。
【0067】
本実施形態によれば、一度出力した部品定義情報が保持するパラメータを、部品定義情報を交換した際に、交換後の部品定義情報に引き継がせることができるため、再度のパラメータの設定作業を回避できる。なお、部品切り出し部1001が作成した部品定義情報100を例に説明されたが、第1実施形態の場合であっても同様にして、パラメータを引き継がせた部品定義情報100を出力することができる。
【0068】
<第4実施形態>
第1実施形態では、分析部205が、同じ部品用途が紐づけられた部品定義情報100の中で、ある開始終了記号を持つ部品定義情報100の個数の割合を表す数値を算出することによって共通率を求める方法を示した。本実施形態では、部品を再利用する開発者が求めている部品定義情報100をより正確に選択可能にする方法を考える。例えば、ボタンやフォームといったGUIの種類や機能といった基本的な構造に着目しているか、配置や色といったGUIの装飾に着目しているかによって、再利用したい部品定義情報100が異なる。
ここで、本実施形態において、GUIの種類、表示する文字列や画像、機能を取り決める記述を、基本的な構造を表すものとして、GUIの生成の記述と定義する。また、GUIの形状、大きさ、配置、色、フォントを取り決める記述を、GUIの装飾を表すものとして、GUIのスタイル情報の記述と定義する。
ここで、部品定義情報100はGUIの生成の記述とGUIのスタイル情報の記述を区別することができる。例えば、図1に示す部品定義情報の例100(a)のボタンの場合、setType、setView、setEventはGUIの生成の記述であり、shape、size、placement、color、fontはGUIのスタイル情報の記述である。
本実施形態では、共通率を算出する際に、取得した開始終了記号に囲まれた記述のうち、GUIの生成の記述と、GUIのスタイル情報の記述を判別し、重みを付けて共通率を計算する方法を示す。
【0069】
まず、本実施形態における部品定義情報管理システム200(c)の機能構成例について図14を用いて説明する。図14は、第4実施形態における部品定義情報管理システムの機能構成例を示す図である。第1実施形態における部品定義情報管理システム200の機能構成図である図2と比較して、分析部205の共通率の算出方法が異なる点と、重み付け設定部1400を含む点が異なり、その他は同一である。
【0070】
第1実施形態では、分析部205の処理において、部品定義情報100に記載の開始終了記号を取得し、同じ部品用途が紐づけられた部品定義情報100の中で、ある開始終了記号を持つ部品定義情報100の個数の割合を表す数値によって共通率を算出する方法を示したが、本実施形態では、取得した開始終了記号に囲まれた記述のうち、GUIの生成の記述と、GUIのスタイル情報の記述を判別し、重みを付けて共通率を計算する点が異なる。以下、この差異についてのみ説明する。
【0071】
分析部205は、第1実施形態と同様に開始終了記号の共通率を算出する際、各開始終了記号の本質的共通率を同時に算出する。なお、本実施形態において、本質的共通率とは、同じ開始終了記号で囲まれた記述に対して、GUIの生成の記述とGUIのスタイル情報の記述のそれぞれの文字列比較によって記述共通率を計算し、重み付け設定部の重みに基づいてそれぞれの記述共通率に重みを掛けて合算したものである。また、本実施形態において、記述共通率とは、ある記述が、複数の部品定義情報100における、同じ開始終了記号で囲まれた記述の中で、共通した記述を持つ開始終了記号の個数の割合を表す数値とする。ある部品定義情報100における、ある開始終了記号に囲まれた記述がS個のパラメータを持っていて、それが同じ開始終了記号に囲まれた記述のパラメータとT個共通している時、記述共通率T/S*100とする。
【0072】
重み付け設定部1400は、分析部205の本質的共通率の算出において、開始終了記号に囲まれた記述内容を比較する際に、その記述がGUIの生成の記述か、GUIのスタイル情報の記述かによって重み付けをするために、後述する入力装置1705を介した、部品を再利用する開発者の操作によって、重みの値を設定する。図15に示す例のように、GUIの生成の記述の重みを90%、GUIのスタイル情報の記述の重みを10%と、部品を再利用する開発者がキーボードで数値を入力することで、設定することができる。例えば、図16の画面を表示させ、入力フォームに重み付け設定を入力することができる。
【0073】
ここで、本質的共通率の算出例を説明する。開始終了記号「IDパスワード」に囲まれた記述に対して、文字列比較を行った結果、GUIの生成の記述の文字列共通率(記述共通率)が100%であり、GUIのスタイル情報の記述の文字列共通率(記述共通率)が80%であったとする。ここで、GUIの生成の記述の重みが90%、GUIのスタイル情報の重みが10%と設定されていた場合、本質的共通率は100%*0.9+10%*0.1=91%となる。なお、開発者がGUIのスタイル情報の記述の文字列共通率(記述共通率)を重視する場合、GUIのスタイル情報の重みを高く設定する。
【0074】
計算結果は、第1実施形態における部品定義情報100と抽象度テーブル400の出力と合わせて出力部210に出力させ、開発者が本質的共通率を確認可能とする。
【0075】
本実施形態によれば、GUIの本質的な共通率を判断することができる。なお、第1実施形態と比較した説明を行ったが、本実施形態に係る処理が、他の実施形態でも同様にして実行されてもよい。
【0076】
<ハードウェア構成>
次に、図17を参照しながら、部品定義情報管理システムのハードウェア構成例について説明する。図17に示すように、部品定義情報管理システム(200、200(a)、200(b)、200(c))は、コンピュータ1700と、入力装置1705と、出力装置1706と、を用いて構成することができる。コンピュータ1700は、プロセッサ(この例では、CPU1702)と、記憶媒体1704と、ROM1701と、RAM1703と、を備える。記憶媒体1704は、HDD等の適宜の記憶装置とされる。記憶媒体は処理に関するデータを記憶し、例えば、部品定義情報100の群である部品定義情報群1704-1を記憶する。また、記憶媒体1704には、記憶領域として、上記で説明した、部品定義情報記憶部204-1と、部品用途記憶部204-2と、抽象度記憶部204-3と、交換用記憶部1301と、が配置される。ROM1703は、処理に関するデータを記憶する。この例では、所定の処理の実行に用いる各種のプログラムを記憶する。ROM1703は、上記で説明した、部品定義情報入力部201、部品用途入力部202と、登録部203と、分析部205と、抽象度分類部206と、閾値設定部207と、業務情報入力部208と、検索部209と、出力部210と、指定部1000と、部品切り出し部1001と、交換用入力部1300と、重み付け設定部1400と、をプログラムとして記憶する。ROM1703が記憶するプログラムには、共通率の計算に用いる共通率計算プログラム1703-1と、抽象度を判定する抽象度判定プログラム1703-2と、検索処理に用いる検索プログラム1703-3と、部分定義情報100の切り出しに用いる切り出しプログラム1703-4が含まれる。RAM1701は、主記憶装置として構成され、プロセッサはデータをRAM1701に読み込んで所定の処理を実行する。
【0077】
なお、ハードウェア構成は一例であり、処理を適切に実行できれば適宜に変更されてもよい。例えば、プロセッサは、処理を適切に実行する主体であればよく、例えば、他の異なる種類の半導体デバイスを用いて構成されてもよい。記憶部204は、一例として、記憶媒体1704とROM1703を含めた構成とすることができるが、適切な処理を行うことができれば適宜に変更されてもよい。記憶部204は、例えば、記憶媒体1704から構成され、ROM1703に記憶されるプログラム等が記憶媒体1704に記憶されてもよい。
【0078】
入力装置1705は、ユーザ(開発者等)が各種のデータ入力に用いる構成であり、マウスやキーボード、タッチパネル等を用いて適宜に構成される。出力装置1706は適宜のディスプレイを用いて構成され、出力装置1506には、例えば、上記で説明した各種のデータが出力される。
【0079】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、各実施形態の処理における各ステップは、同一結果を得ることができる限りにおいて適宜順序を入れ替えて実行されてもよい。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶部、または、ICカード、半導体記録媒体、磁気記録媒体、光学記録媒体に格納することができる。
【符号の説明】
【0080】
100 部品定義情報
101 GUIの例
200 部品定義情報管理システム
201 部品定義情報入力部
202 部品用途入力部
203 登録部
204 記憶部
204-1 部品定義情報記憶部
204-2 部品用途記憶部
204-3 抽象度記憶部
205 分析部
206 抽象度分類部
207 閾値設定部
208 業務情報入力部
209 検索部
210 出力部
300 ログイン画面
301 ダッシュボード画面
302 詳細画面
400 部品用途テーブル
500 抽象度テーブル
1000 指定部
1001 部品切り出し部
1100 検索結果表示画面
1101 プレビュー表示
1300 交換用入力部
1301 交換用記憶部
1400 重み付け設定部
1700 コンピュータ
1701 RAM
1702 CPU
1703 ROM
1703-1 共通率計算プログラム
1703-2 抽象度判定プログラム
1703-3 検索プログラム
1703-4 切り出しプログラム
1704 記憶媒体
1704-1 部品定義情報群
1705 入力装置
1706 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17