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特開2023-174630保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174630
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
G03G21/18 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087283
(22)【出願日】2022-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】與五澤 一輝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 香弘
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智広
(72)【発明者】
【氏名】土屋 右騎
(72)【発明者】
【氏名】橋川 ほたる
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA03
2H171GA13
2H171JA23
2H171KA04
2H171KA17
2H171KA23
2H171KA24
2H171KA27
2H171QA04
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC24
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】保持装置の筐体に対して位置決め部材が相対的に傾斜するように設置されてしまっても、第1回転体と第2回転体との対向距離を高精度に設定する。
【解決手段】感光体ドラム11(第1回転体)を回転可能に支持するカートリッジケース50と、カートリッジケース50に設置されて現像ローラ13a(第2回転体)の軸部13a10が突き当たって感光体ドラム11と現像ローラ13aとの対向距離Hを定める面板40と、カートリッジケース50に着脱可能に設置されて面板40に突き当たった状態の軸部13a10を面板40に向けて押し付ける押付部材41と、が設けられている。そして、面板40は、感光体ドラム11の回転中心軸X1と現像ローラ13aの回転中心軸X2とを含む断面でみたときに、現像ローラ13aの軸部13a10が突き当たる突当部40aが軸部13a10に点接触するように形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転体と第2回転体とを回転可能に保持する保持装置であって、
前記第1回転体を回転可能に支持する筐体と、
前記筐体に設置されて、前記第2回転体の軸部が突き当たって前記第1回転体と前記第2回転体との対向距離を定める位置決め部材と、
前記筐体又は前記位置決め部材に着脱可能に設置されて、前記位置決め部材に突き当たった状態の前記軸部を前記位置決め部材に向けて押し付ける押付部材と、
を備え、
前記位置決め部材は、前記第1回転体の回転中心軸と前記第2回転体の回転中心軸とを含む断面でみたときに、前記第2回転体の前記軸部が突き当たる突当部が前記軸部に点接触するように形成されたことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記位置決め部材の前記突当部は、前記断面でみたときに、円弧状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記断面でみたときに、前記突当部の円弧の中心が、前記第1回転体の回転中心軸と、前記突当部が点接触する位置を通って前記第1回転体の回転中心軸に直交する仮想線と、の交点であることを特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記位置決め部材は、前記第1回転体を回転可能に保持する軸受を具備し、
前記筐体は、前記位置決め部材を介して前記第1回転体を回転可能に支持し、
前記断面でみたときに、前記突当部の円弧の中心が、第1回転体の回転中心軸上であって前記軸受の軸方向の中央位置に位置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記位置決め部材の前記突当部は、前記断面でみたときに、三角形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
前記位置決め部材は、金属材料で形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の保持装置。
【請求項7】
前記位置決め部材の前記突当部は、少なくとも前記第2回転体の前記軸部に当接する表面が非導電性材料で形成されたことを特徴とする請求項6に記載の保持装置。
【請求項8】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される請求項1又は請求項2に記載の保持装置としてのプロセスカートリッジであって、
前記第1回転体としての像担持体と、
前記第2回転体としての現像剤担持体が回転可能に保持されて、当該プロセスカートリッジに対して着脱可能に設置された現像装置と、
を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスカートリッジが着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの回転体をそれぞれ回転可能に保持する保持装置と、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジと、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置されるプロセスカートリッジにおいて、現像ローラ(現像剤担持体)と感光体ドラム(像担持体)とのギャップ(対向距離)を高精度に設定するとともに、メンテナンス性を向上させることを目的として、現像ローラの軸部と感光体ドラムの軸部との距離を定める面板(位置決め部材)を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1等におけるプロセスカートリッジは、プロセスカートリッジの筐体に着脱可能に設置された面板に対して、現像ローラの軸部を突き当てた状態で、制限部材(押付部材)によって、現像ローラの軸部を面板に向けて押し付けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプロセスカートリッジ(保持装置)は、感光体ドラム(第1回転体)の回転中心軸と現像ローラ(第2回転体)の回転中心軸とを含む断面でみたときに、現像ローラの軸部が突き当たる面板(位置決め部材)の突当部が、現像ローラの軸部に線接触(面接触)するように、突当部が平面状に形成されていた。そのため、上述した断面において、プロセスカートリッジの筐体に対して面板が相対的に傾斜するように設置されてしまった場合に、面板(突当部)の角部が現像ローラの軸部に突き当たってしまうことがあった。そして、それにより、感光体ドラムと現像ローラとのギャップ(対向距離)を高精度に設定することができなくなる可能性があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、保持装置の筐体に対して位置決め部材が相対的に傾斜するように設置されてしまっても、第1回転体と第2回転体との対向距離を高精度に設定することができる、保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における保持装置は、第1回転体と第2回転体とを回転可能に保持する保持装置であって、前記第1回転体を回転可能に支持する筐体と、前記筐体に設置されて、前記第2回転体の軸部が突き当たって前記第1回転体と前記第2回転体との対向距離を定める位置決め部材と、前記筐体又は前記位置決め部材に着脱可能に設置されて、前記位置決め部材に突き当たった状態の前記軸部を前記位置決め部材に向けて押し付ける押付部材と、を備え、前記位置決め部材は、前記第1回転体の回転中心軸と前記第2回転体の回転中心軸とを含む断面でみたときに、前記第2回転体の前記軸部が突き当たる突当部が前記軸部に点接触するように形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保持装置の筐体に対して位置決め部材が相対的に傾斜するように設置されてしまっても、第1回転体と第2回転体との対向距離を高精度に設定することができる、保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す構成図である。
図3】プロセスカートリッジの要部を長手方向に示す断面図である。
図4】プロセスカートリッジに現像装置が装着された状態を示す図である。
図5】プロセスカートリッジから現像装置が取り外された状態を示す図である。
図6】プロセスカートリッジの要部を示す斜視図である。
図7】プロセスカートリッジにおける面板の近傍を示す断面図である。
図8】(A)面板が正常な姿勢で設置された状態を示す拡大図と、(B)面板が傾斜した姿勢で設置された状態を示す拡大図と、である。
図9】比較例としての、(A)面板が正常な姿勢で設置された状態を示す拡大図と、(B)面板が傾斜した姿勢で設置された状態を示す拡大図と、である。
図10】変形例1としての、面板を示す断面図である。
図11】変形例2としての、(A)面板が正常な姿勢で設置された状態を示す拡大図と、(B)面板が傾斜した姿勢で設置された状態を示す拡大図と、である。
図12】変形例3としての、プロセスカートリッジの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機、3は原稿を原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、6は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、7は用紙等のシートPが収納される給紙装置、10Y、10M、10C、10BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部としてのプロセスカートリッジ(保持装置)、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、を示す。
また、20はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、28は各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの現像装置に各色のトナーを補給するためのトナー容器、30は廃トナーが回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0011】
ここで、各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(保持装置)は、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置13、クリーニング装置15が一体化されたものである(図2参照)。そして、各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKは、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKにおける感光体ドラム11(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部6に送信される。そして、書込み部6からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11上に向けて照射される。
【0013】
一方、4つの感光体ドラム11は、それぞれ、図1図2の時計方向に回転している。そして、図2を参照して、まず、感光体ドラム11の表面は、帯電装置12(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11の表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部6において、光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応して射出される。レーザ光Lは、ポリゴンミラーに入射して反射した後に、複数のレンズを透過する。複数のレンズを透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0014】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11の表面に照射される。こうして、帯電ローラ12aにて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ10Cの感光体ドラム11の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ10Mの感光体ドラム11の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ10BKの感光体ドラム11の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0015】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面は、それぞれ、現像装置13(図2参照)との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、像担持体としての中間転写ベルト17(中間転写体)との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写ローラ14が設置されている。そして、1次転写ローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0016】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、クリーニング装置15(図2参照)との対向位置に達する。そして、クリーニング装置15で、感光体ドラム11上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置15内に回収された未転写トナーは、搬送スクリュ15b(図2参照)によって搬送管16内を搬送されて、廃トナーとして廃トナー回収容器30内に回収される。
その後、感光体ドラム11の表面は、除電装置の位置を通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
他方、感光体ドラム11上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト17の表面は、図1中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ18の位置に達する。そして、2次転写ローラ18の位置で、シートP上に中間転写ベルト17上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置9(クリーニング装置)の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置9に回収されて、中間転写ベルト17上の一連の転写プロセスが完了する。なお、中間転写ベルトクリーニング装置9内に回収された未転写トナーは、搬送スクリュ15b(図2参照)によって搬送管16内を搬送されて、廃トナーとして廃トナー回収容器30内に回収される。
【0018】
ここで、2次転写ローラ18の位置のシートPは、給紙装置7から搬送ガイド、レジストローラ19等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置7から、給紙ローラ8により給送されたシートPが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ19に導かれる。レジストローラ19に達したシートPは、中間転写ベルト17上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ18の位置に向けて搬送される。
【0019】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ29によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙部5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0020】
次に、図2及び図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
図2は、黒色用のプロセスカートリッジ10BKを示す構成図である。その他の3つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cは、それぞれ、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる点を除き、黒色用のプロセスカートリッジ10BKとほぼ同じに構成されているため、その図示と説明とを省略する。
【0021】
図2に示すように、保持装置としてのプロセスカートリッジ10BKには、主として、像担持体としての感光体ドラム11と、現像装置13と、帯電装置12と、クリーニング装置15と、がカートリッジケース50(筐体)に一体的に収納されている。
クリーニング装置15には、感光体ドラム11に当接するクリーニングブレード15a及び搬送スクリュ15bが設置されている。
【0022】
現像装置13は、主として、感光体ドラム11に対向して現像領域を形成する現像剤担持体としての現像ローラ13a、現像ローラ13aに対向する第1搬送スクリュ13b1(第1搬送部材)、仕切部材13eを介して第1搬送スクリュ13b1に対向する第2搬送スクリュ13b2(第2搬送部材)、現像ローラ13aに対向して現像ローラ13a上に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード13c(現像剤規制部材)、等で構成される。
【0023】
現像装置13内には、トナーとキャリアとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
現像ローラ13aは、感光体ドラム11に対して微小なギャップH(図3参照)をあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ13aは、図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の極(磁極)を形成するマグネット13a1と、マグネット13a1の周囲を回転するスリーブ13a2と、で構成される。
【0024】
搬送部材としての搬送スクリュ13b1、13b2は、現像装置13の内部に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路(図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ13b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ13b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材13e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口13f、13gを介して連通している。具体的に、図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口13fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口13gを介して連通している。すなわち、仕切部材13eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
第1搬送スクリュ13b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ13aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ13b2(第2搬送経路B2)は仕切部材13eを介して第1搬送スクリュ13b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ13b1は、現像剤を長手方向に搬送しながら、現像ローラ13aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ13aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、トナー補給口13dから補給されたフレッシュな現像剤と、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、いずれも、軸部にスクリュ部が巻装されたものである。
【0025】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに詳しく説明する。
現像ローラ13aは、図2中の矢印方向に回転している。現像装置13内の現像剤は、図3に示すように、間に仕切部材13eを介在するように配設された第1搬送スクリュ13b1及び第2搬送スクリュ13b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路27を経てトナー補給口13d(流入口)から補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(図3中の破線矢印方向の循環である。)。
なお、現像装置13のトナー補給口13dは、画像形成装置本体1に対する現像装置13(プロセスカートリッジ10BK)の着脱動作に連動して、画像形成装置本体1のトナー補給経路27に連通・連通解除されることになる。
【0026】
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ13a上に形成された剤汲上げ極によって、キャリアとともに現像ローラ13a上に汲み上げられる。現像ローラ13a上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード13cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ13a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ13aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ13aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム11の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0027】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置13内のトナーの消費にともない、トナー補給口13dから現像装置13内に適宜に補給されるものである。現像装置13内のトナーの消費は、現像装置13内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサによって検知される。
また、トナー補給口13dは、第2搬送スクリュ13b2の長手方向(図3の左右方向である。)の一端側であって、第2搬送スクリュ13b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0028】
以下、図3図8等を用いて、本実施の形態における保持装置としてのプロセスカートリッジ10BKの、特徴的な構成・動作について詳しく説明する。
先に図2図3等を用いて説明したように、プロセスカートリッジ10BKは、画像形成装置本体1に対して着脱可能に設置されるユニットである。そして、プロセスカートリッジ10BKは、回転可能な像担持体としての感光体ドラム11(第1回転体)や、感光体ドラム11に対向する回転可能な現像剤担持体としての現像ローラ13a(第2回転体)などが設置されている。すなわち、プロセスカートリッジ10BKは、第1回転体としての感光体ドラム11と、第2回転体としての現像ローラ13aと、を回転可能に保持する保持装置として機能している。
【0029】
なお、第1回転体としての感光体ドラム11は、筐体としてのカートリッジケース50に回転可能に支持されている。詳しくは、カートリッジケース50(筐体)は、後述する位置決め部材としての面板40(感光体ドラム11を回転可能に保持する軸受45が設置されている。)を介して感光体ドラム11を回転可能に支持している。さらに具体的に、カートリッジケース50に保持される面板40には穴部(軸受45が圧入されている。)が形成されていて、その軸受45に感光体ドラム11のドラム軸11aが回転可能に挿入されている。
これに対して、第2回転体としての現像ローラ13a(現像剤担持体)は、現像装置13に回転可能に保持されている。また、現像装置13は、内部に現像剤を収容可能に構成されていて、プロセスカートリッジ10BKに対して着脱可能に設置されている。
【0030】
ここで、図3図4等を参照して、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10BKには、現像ローラ13aの軸部13a10(非回転のマグネット13a1の軸部である。)に突き当たって感光体ドラム11と現像ローラ13aとの対向距離H(現像ギャップ)を定める位置決め部材としての面板40が、軸方向(図3の左右方向であって、図4の紙面垂直方向である。)の両端に、それぞれカートリッジケース50(筐体)に対して着脱可能に設置されている。
これら2つの面板40は、互いに左右対称に形成されている点を除き、ほぼ同様に構成されている。このような軸方向両端部に設置された2つの面板40の関係は、後述する押付部材41や2つの壁部50a、50b(規制部)についても同様である。
【0031】
図4図8に示すように、面板40(位置決め部材)は、軸部13a10が突き当たる突当部40aが、軸部13a10の側(図4の左側である。)に突き出すように形成されている。
なお、本実施の形態において、面板40は、複数のネジ60によるネジ締結によってカートリッジケース50(筐体)に着脱可能に設置されている。そして、面板40におけるネジ穴用穴部の穴径は、ネジ60のネジ径に比べて大きく設定されている。これにより、カートリッジケース50に対する面板40の相対的な位置を調整して、現像ギャップHを微調整できることになる。
【0032】
なお、本実施の形態では、軸方向両端部に設置された2つの面板40は、いずれも、非回転のマグネット13a1の軸部が突き当たるように構成した。
これに対して、現像ローラ13aにおける、非回転の軸部13a10と、回転可能な軸部13a20と、を2つの面板40でそれぞれ保持するように構成することもできる。このような場合、2つの面板40のうち、一方の面板40は、現像ローラ13aにおける非回転の軸部13a10(マグネット13a1の回転方向の姿勢を定めるための軸部である。)が突き当たるように構成され、他方の面板40は、現像ローラ13aにおける回転可能な軸部13a20(スリーブ13a2を回転させるための軸部である。)が突き当たるように構成されることになる。
【0033】
ここで、図4図7に示すように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10BK(保持装置)には、押付部材41が、カートリッジケース50(筐体)に着脱可能に設置されている。
この押付部材41は、面板40(位置決め部材)に突き当たった状態の軸部13a10を面板40に向けて押し付けるための部材である。換言すると、押付部材41は、面板40に突き当たった状態の軸部13a10に対して面板40から離れる所定方向の移動(図4の左方、図7の下方への移動である。)を制限するための部材である。
すなわち、軸部13a10は、押付部材41によって面板40に突き当たるように図7の白矢印方向に付勢されて(離間方向の移動が規制されて)、カートリッジケース50に面板40を介して位置決めされた感光体ドラム11との軸間距離が定められる。
【0034】
ここで、本実施の形態における押付部材41には、図4に示すように、軸部13a10に向かって突き出すように略半球状の当接部41aが形成されている。これにより、当接部41aに当接する軸部13a10が回転する場合であっても、当接部41aによる点接触によって押付部材41の摺動抵抗を軽減することができる。
【0035】
なお、図4図6に示すように、筐体としてのカートリッジケース50には、軸部13a10に対して面板40(位置決め部材)と押付部材41とによって制限される所定方向に対して交差する方向(水平方向に対して交差する方向である。)の移動を規制する規制部としての2つ壁部50a、50bが設けられている。
2つ壁部50a、50b(規制部)は、軸部13a10を挟むように対向していて、カートリッジケース50の先端部に口ばし状(切欠き状)に形成されている。2つ壁部50a、50bの対向距離は、軸部13a10の軸径に一致するように(又は、僅かに大きくなるように)設定されている。
したがって、軸部13a10は、押付部材41と面板40と2つの壁部50a、50bとによって、上下左右の移動が規制されて位置決めされることになる。また、図5に示すように、押付部材41が取り外された状態では、軸部13a10が2つ壁部50a、50bに沿ってスライド移動可能になる。
【0036】
さらに具体的に、2つの壁部50a、50b(規制部)は、それぞれ、カートリッジケース50(筐体)に対して感光体ドラム11(第1回転体)から離れる方向(図5の左方である。)に突出するように形成されている。
また、2つの壁部50a、50bは、その根元部(カートリッジケース50の本体に繋がる部分であって、切欠きの底部である。)が、面板40が軸部13a10に突き当たる突当部40aよりも、感光体ドラム11(第1回転体)に近づく位置に位置している。すなわち、2つの壁部50a、50bの根元部は、突当部40aよりも、図5の右方に位置している。
このような構成により、軸部13a10は、2つの壁部50a、50bの根元部に突き当たるのではなくて、面板40の突当部40aに突き当たることになる。そのため、面板40によって現像ローラ13aと感光体ドラム11との対向距離H(現像ギャップ)が精度良く設定されることになる。
【0037】
また、図4図6を参照して、本実施の形態において、押付部材41は、一端側(上部である。)が2つの壁部50a、50bのうち一方の壁部50aに保持されて、他端側(下部である。)が他方の壁部50bに形成された凹部50b1に嵌合して感光体ドラム11(第1回転体)から離れる方向(図4の左方である。)の移動が規制されている。
詳しくは、押付部材41は、その上部にネジ用穴部が形成されている。また、上方の壁部50aには、押付部材41のネジ用穴部に対向する位置に、雌ネジ部が形成されている。また、下方の壁部50bには、上方に開口するように凹部50b1(図5の左右方向の開口幅が、押付部材41の厚さよりも大きく設定されている。)が形成されている。
そして、押付部材41の下部を凹部50b1に嵌合した状態で、押付部材41のネジ穴用穴部を介して上方の壁部50aの雌ネジ部にネジ61を螺合させる。これにより、押付部材41がカートリッジケース50に固定されて(位置決めされて)、軸部13a10の離間方向の移動を制限する押付部材41の機能が効率的に達成されることになる。なお、押付部材41をカートリッジケース50から取り外す場合には、1本のネジ61の螺合を解除することにより、その作業を簡単におこなうことができる。
なお、本実施の形態では、押付部材41をネジ締結によって面板40に着脱可能に設置したが、押付部材41の設置方法はこれに限定されず、例えば、押付部材41をスナップフィットによって面板40に着脱可能に設置することもできる。
【0038】
このように構成されたプロセスカートリッジ10BK(保持装置)では、面板40によって、感光体ドラム11(ドラム軸11a)に対する現像ローラ13a(軸部13a10)の位置が定められる。特に、現像ローラ13aは、押付部材41によって軸部13a10が面板40(突当部40a)に密着するように保持されることになる。さらに、現像ローラ13aは、2つの壁部50a、50bによって軸部13a10(13a20)が挟まれるように規制されることで、感光体ドラム11に対する姿勢(傾き、角度)も精度良く設定されることになる。これにより、感光体ドラム11と現像ローラ13aとの軸間距離と位置関係とが定まり、現像ギャップH(図3参照)が狙いの値に精度良く設定されることになる。
特に、現像ローラ13aに担持された現像剤が感光体ドラム11に接触するときに、現像ローラ13aが現像剤による圧力(反力)を受けても、現像ギャップHが変化することはなく、良好な現像工程がおこなわれることになる。
【0039】
そして、本実施の形態において、2つの壁部50a、50bは、2つの壁部50a、50b(カートリッジケース50)への軸部13a10の挿脱が可能となるように、図5の左方に開口している。
これにより、図5の矢印方向に軸部13a10を移動してカートリッジケース50から離脱したり、その逆方向に軸部13a10を移動してカートリッジケース50に装着したりすることができる。また、軸部13a10を、2つの壁部50a、50bに沿って移動(スライド移動)することができる。
【0040】
このように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10BKは、現像ローラ13aのメンテナンスや交換に関わる時間や手間が低減されることになる。
具体的に、現像ローラ13a(現像装置13)のメンテナンスや交換をおこなうときに、感光体ドラム11や面板40をプロセスカートリッジ10BK(カートリッジケース50)から取り外す手間や時間を掛けることなく、感光体ドラム11や面板40が装着された状態のプロセスカートリッジ10BK(カートリッジケース50)に対して、現像ローラ13a(現像装置13)を着脱することができる。
【0041】
特に、図4図5を参照して、本実施の形態において、2つの壁部50a、50b(規制部)は、それぞれ、感光体ドラム11(第1回転体)の回転中心に直交する断面でみたときに、感光体ドラム11の回転中心と現像ローラ13aの回転中心とを通る仮想線S1に対して平行になるように形成されている。
これにより、プロセスカートリッジ10BKに対する現像ローラ13a(現像装置13)の着脱性が向上することになる。その反面、現像ローラ13aが感光体ドラム11側から圧力を受けて軸部13a10が壁部50a、50bに沿って移動しやすくなるが、押付部材41によって軸部13a10のそのような移動を効率的に制限している。
【0042】
ここで、図3図4を参照して、本実施の形態において、位置決め部材としての面板40は、カートリッジケース50に着脱可能に結合(本実施の形態では、ネジ締結である。)されている。
カートリッジケース50は、現像ケース13rとは異なるプロセスカートリッジ10BKの筐体であって、感光体ドラム11の他、帯電装置12とクリーニング装置15とが保持されている。現像ケース13rは、現像ローラ13aの他、2つの搬送スクリュ13b1、13b2やドクターブレード13cが保持されている。
詳しくは、面板40には、ネジ60を挿入可能なネジ用穴部が3つ形成されている。また、カートリッジケース50の側面には3つの雌ネジ部が形成されている。そして、面板40のネジ用穴部を介して、カートリッジケース50の3つの雌ネジ部にそれぞれネジ60が螺合される。
【0043】
ここで、現像装置13は、カートリッジケース50に対する押付部材41の結合が解除された状態(1つネジ61が外された状態である。)で、現像ローラ13aの軸部13a10を2つの壁部50a、50bの間で移動させて、カートリッジケース50(プロセスカートリッジ10BK)に対して現像ローラ13aとともに着脱可能に形成されている。
【0044】
具体的に、図4に示すように、現像装置13のメンテナンスや交換などをおこなうため、現像装置13が押付部材41を介して結合されたプロセスカートリッジ10BKに対して、現像装置13を取り外す場合には、まず、画像形成装置本体1からプロセスカートリッジ10BKを取り出す。
そして、図5に示すように、取り出したプロセスカートリッジ10BKにおいて、押付部材41を結合するネジ61(両端の2つの面板40にそれぞれ1つ設置されている。)を取り外す。このとき、感光体ドラム11や面板40はカートリッジケース50に結合されたままである。
そして、図5に示すように、押付部材41が取り外された状態で、現像装置13を、カートリッジケース50の壁部50a、50bに沿って水平方向に移動して、プロセスカートリッジ10BKから現像装置13を取り外す。このとき、プロセスカートリッジ10BKにおいて、現像装置13以外の構成部材(感光体ドラム11、帯電装置12、クリーニング装置15)は、カートリッジケース50に保持されたままとなる。
なお、プロセスカートリッジ10BKに対して現像装置13を装着するときには、上述した離脱時とは逆の手順で操作がおこなわれることになる。
【0045】
このようにプロセスカートリッジ10BKを構成することで、現像装置13のメンテナンスや交換に関わる時間や手間が低減されることになる。
具体的に、現像装置13のメンテナンスや交換をおこなうときに、感光体ドラム11や面板40をカートリッジケース50から取り外す手間や時間を掛けることなく、カートリッジケース50に対して現像装置13を着脱することができる。
【0046】
ここで、図7に示すように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10BK(保持装置)において、位置決め部材としての面板40は、第1回転体としての感光体ドラム11の回転中心軸X1と第2回転体としての現像ローラ13aの回転中心軸X2とを含む断面でみたときに、現像ローラ13aの軸部13a10が突き当たる突当部40aが軸部13a10に点接触(点接触に近い接触状態も含む。)するように形成されている。
詳しくは、面板40(位置決め部材)の突当部40aは、上述した断面(図7に示す断面である。)でみたときに、円弧状(曲面状)に形成されている。また、面板40の突当部40aは、立体的にみると、図6に示すように、略半円柱状に形成されている。
すなわち、本実施の形態において突当部40aは、軸部13a10に対向する表面(対向面)が、図9に示すように平面状に形成されているのではなくて、図7図8等に示すように曲面状(円弧状)に形成されている。
【0047】
これに対して、図9に比較例として示す面板140のように、突当部140aが軸部13a10に線接触(又は、面接触)するように形成されている場合には(突当部140aが平面状に形成されている場合には)、図9(A)に示すように、面板140が正常な姿勢でカートリッジケース50に設置されたときに対して、図9(B)に示すように、面板140が傾斜した姿勢で設置されてしまうと、軸部13a10に面板140(突当部140a)の角部が当たりやすくなる。そして、そのように軸部13a10に面板140(突当部140a)が角当たりしてしまうと、現像ローラ13a(軸部13a10)が角部に相対的に押動された状態になって、その分ΔHだけ感光体ドラム11と現像ローラ13aとの対向距離(現像ギャップH)が狙いのものからズレてしまう。
これに対して、本実施の形態では、カートリッジケース50に対する面板40の相対的な傾斜の有無に関わらず、突当部40aが軸部13a10に点接触するように形成されているため、突当部40aが軸部13a10に角当たりすることなく、現像ギャップHが狙いのものに高精度に設定することができる。
【0048】
なお、カートリッジケース50に対して面板40が相対的に傾斜するときは、現像ローラ13a(回転中心軸X2)に対して面板40が傾斜した姿勢になるときであって、(1)現像ローラ13a(回転中心軸X2)に対して傾斜することなく正常な姿勢で設置されたカートリッジケース50に対して、面板40が傾斜した姿勢で設置された態様、(2)現像ローラ13a(回転中心軸X2)に対して傾斜した姿勢で設置されたカートリッジケース50に対して、面板40が正常な姿勢(又は、傾斜した姿勢)で設置された態様、がある。
そして、いずれの態様に対しても、突当部40aが軸部13a10に点接触するように構成することで、現像ギャップHを高精度に設定することができる。
なお、カートリッジケース50に対して面板40が相対的に傾斜してしまう場合としては、カートリッジケース50や面板40の部品精度(例えば、互いの接触面の面精度や平行度などの精度である。)や組付け精度が低い場合などがある。また、面板40の機械的強度が小さくて、面板40が変形して傾斜してしまうような場合もある。
【0049】
<変形例1>
図10(A)に示すように、変形例1におけるプロセスカートリッジ10BK(保持装置)は、先に図7で説明した断面でみたときに、突当部40aの円弧の中心W1が、感光体ドラム11(第1回転体)の回転中心軸X1と、突当部40aが点接触する位置(破線で囲んだ位置である。)を通って感光体ドラム11の回転中心軸X1に直交する仮想線Y1と、の交点となるように構成されている。
すなわち、突き当て部40aの表面は、図10(A)の中心W1から半径R1の円弧を描くように、曲面状に形成されている。
このように構成することで、面板40が図10(A)の中心W1を基準としてカートリッジケース50に対して相対的に傾斜していても、その傾斜の影響を小さくして、現像ギャップHを高精度に設定しやすくなる。
また、図10(B)に示すように、先に図7で説明した断面でみたときに、突当部40aの円弧の中心W2が、感光体ドラム11(第1回転体)の回転中心軸X1上であって軸受45の軸方向の中央位置(図中の破線Y2上の位置である。)に位置するように構成した場合であっても(突き当て部40aの表面が、中心W2から半径R2の円弧を描くように、曲面状に形成された場合であっても)、同じような効果を得ることができる。すなわち、面板40が図10(B)の中心W2を基準としてカートリッジケース50に対して相対的に傾斜していても、その傾斜の影響を小さくして、現像ギャップHを高精度に設定しやすくなる。
また、上述した中心W1と中心W2とが一致するように、プロセスカートリッジ10BKを構成することもできる。
カートリッジケース50に面板40を着脱可能に設置するように構成する場合に、感光体ドラム11の回転中心軸X1を基準に設計することがほとんどであるため、このような構成が有用になる。
【0050】
<変形例2>
図11に示すように、変形例2におけるプロセスカートリッジ10BK(保持装置)において、面板40(位置決め部材)の突当部40aは、先に図7を用いて説明した断面でみたときに、三角形状に形成されている。
すなわち、本実施の形態において突当部40aは、軸部13a10に対向する表面(対向面)が、図8に示すもののように円弧状に形成されているのではなくて、図11に示すように三角状に形成されている。また、変形例2において、面板40の突当部40aは、立体的にみると、略三角柱状に形成されている。
このように構成した場合であっても、突当部40aが軸部13a10に点接触することになり、図11(A)に示すように、面板40が正常な姿勢でカートリッジケース50に設置されたときはもちろんのこと、図11(B)に示すように、面板40が傾斜した姿勢で設置されたときであっても、軸部13a10に面板40(突当部40a)が角当たりしにくくなる。
したがって、カートリッジケース50に対する面板40の相対的な傾斜の有無に関わらず、突当部40aが軸部13a10に点接触して、突当部40aが軸部13a10に角当たりすることなく、現像ギャップHを高精度に設定しやすくなる。
【0051】
<変形例3>
変形例3における図12に示すプロセスカートリッジ10BK(保持装置)においても、面板40(位置決め部材)は、軸部13a10に点接触するように形成されている。
そして、変形例3において、面板40は、金属材料で形成されている。これにより、面板40の機械的強度が高められて、面板40が変形によって傾斜する不具合が軽減されることになる。
また、変形例3において、突当部40aは、少なくとも現像ローラ13a(第2回転体)の軸部13a10に当接する表面が非導電性材料で形成されている。具体的に、面板40自体を非導電性の金属材料で形成したり、突当部40aの表面のみを非導電性の金属材料で形成したり、突当部40aの表面に非導電性材料からなるコーティングを施したり、することができる。これにより、現像ローラ13aの軸部13aに現像バイアスが印加されるような場合であっても、その現像バイアスが面板40を介して感光体ドラム11に流れる不具合を防止することができる。
さらに詳しくは、図12に示すように、変形例3における壁部50a、50b(規制部)には、軸部13a10の移動を制限する押付部材として、軸部13a10を面板40の側(図12の右側である。)に付勢する板バネ部材42(弾性部材)が用いられている。
この板バネ部材42(押付部材)は、略L字状に形成された導電性とバネ性とを有する金属板である。
一方、壁部50a、50b(規制部)には、板バネ部材42が軸部13a10との当接によって弾性変形可能に差込まれる差込穴部50eが形成されている。差込穴部50eは、板バネ部材42の押圧部(曲げ部を除く部分である。)が弾性変形可能に差込まれて、上方の壁部50aを貫通する穴部である。下方の壁部50bには、板バネ部材42の先端部が挿入される部分である。上方の壁部50aの上面は、板バネ部材42の曲げ部が面接触可能に突き当てられる。
板バネ部材42は、軸部13a10が存在しない場合(弾性変形していない状態である。)には、図12の破線で示すように、軸部13a10の設置が予定される範囲(軸部の外径の範囲内)に入り込むことになる。そして、軸部13a10が設置された状態で、板バネ部材42が図12の実線で示すように弾性変形して、軸部13a1(現像ローラ13a)を感光体ドラム11の側に付勢することになる。
これにより、軸部13a10が突当部40a(面板40)に密着するように突き当たって、感光体ドラム11と現像ローラ13aとの軸間距離が定まり、現像ギャップHが狙いの値に精度良く設定されることになる。
ここで、図12を参照して、変形例3におけるプロセスカートリッジ10BKは、板バネ部材42(押付部材)を介して現像ローラ13aの軸部13a10に現像バイアスを印加するように構成されている。
詳しくは、板バネ部材42は、現像装置13(プロセスカートリッジ10BK)が画像形成装置本体1に着脱される動作に連動して、画像形成装置本体1に設置された電源90に対して電気的に接続・接続解除されるように構成されている。そして、現像装置13(プロセスカートリッジ10BK)が画像形成装置本体1に装着された状態で、通常の画像形成プロセスにおいて、先に図2を用いて説明したように、電源90から板バネ部材42を介して現像ローラ13aに所定の現像バイアスが印加されて、現像工程がおこなわれることになる。
このように板バネ部材42を現像バイアスを印加するための電極としても機能させることで、そのような電極を専用で設置する場合に比べて、装置が小型化、低コスト化されることになる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10BKは、感光体ドラム11(第1回転体)と現像ローラ13a(第2回転体)とを回転可能に保持する保持装置であって、感光体ドラム11を回転可能に支持するカートリッジケース50(筐体)と、カートリッジケース50に設置されて現像ローラ13aの軸部13a10が突き当たって感光体ドラム11と現像ローラ13aとの対向距離Hを定める面板40(位置決め部材)と、カートリッジケース50(又は、面板40)に着脱可能に設置されて面板40に突き当たった状態の軸部13a10を面板40に向けて押し付ける押付部材41と、が設けられている。そして、面板40は、感光体ドラム11の回転中心軸X1と現像ローラ13aの回転中心軸X2とを含む断面でみたときに、現像ローラ13aの軸部13a10が突き当たる突当部40aが軸部13a10に点接触するように形成されている。
これにより、プロセスカートリッジ10BKのカートリッジケース50に対して面板40が相対的に傾斜するように設置されてしまっても、感光体ドラム11と現像ローラ13aとの対向距離Hを高精度に設定することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム11(第1回転体)のドラム軸11aが、面板40に回転可能に支持されるように構成した。しかし、第1回転体の支持方法はこれに限定されず、例えば、感光体ドラム11(第1回転体)の端部に圧入した凹状のフランジに、面板40に形成した凸状部を回転可能に嵌合させるように構成することもできる。
また、本実施の形態では、感光体ドラム11(第1回転体)を面板40(位置決め部材)を介してカートリッジケース50(筐体)に間接的に回転可能に保持するように構成したが、感光体ドラム11をカートリッジケース50(筐体)に直接的に回転可能に保持するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、押付部材41をカートリッジケース50(筐体)に着脱可能に設置したが、特許文献1のもののように、押付部材41を面板40(位置決め部材)に着脱可能に設置することもできる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、カートリッジケース50(筐体)に2つの壁部50a、50bが形成されたプロセスカートリッジ10BK(保持装置)に対して本発明を適用したが、カートリッジケース50に2つの壁部50a、50bが形成されていないプロセスカートリッジ10BKに対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、第1回転体としての感光体ドラム11と第2回転体としての現像ローラ13aとを回転可能に保持するプロセスカートリッジ10BK(保持装置)に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されず、第1回転体と第2回転体とを回転可能に保持する保持装置であれば、それらのすべてに対して本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、本実施の形態では、感光体ドラム11(像担持体)と現像装置13と帯電装置12とクリーニング装置15とからなるプロセスカートリッジ10BKに対して本発明を適用したが、本発明が適用されるプロセスカートリッジはこれに限定されず、少なくとも感光体ドラム(像担持体)と現像装置(現像剤担持体)とが設置されたものであれば本発明を適用することができる。
そして、そのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0056】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
10Y、10M、10C、10BK プロセスカートリッジ(保持装置)、
11 感光体ドラム(第1回転体、像担持体)、
11a ドラム軸、
13 現像装置、
13a 現像ローラ(第2回転体、現像剤担持体)、
13a10 軸部、
13r 現像ケース、
40 面板(位置決め部材)、
40a 突当部、
41 押付部材、
45 軸受、
50 カートリッジケース(筐体)、
H 現像ギャップ(対向距離)、
X1、X2 回転中心軸、
Y1 仮想線。
【0058】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~9の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
第1回転体と第2回転体とを回転可能に保持する保持装置であって、
前記第1回転体を回転可能に支持する筐体と、
前記筐体に設置されて、前記第2回転体の軸部が突き当たって前記第1回転体と前記第2回転体との対向距離を定める位置決め部材と、
前記筐体又は前記位置決め部材に着脱可能に設置されて、前記位置決め部材に突き当たった状態の前記軸部を前記位置決め部材に向けて押し付ける押付部材と、
を備え、
前記位置決め部材は、前記第1回転体の回転中心軸と前記第2回転体の回転中心軸とを含む断面でみたときに、前記第2回転体の前記軸部が突き当たる突当部が前記軸部に点接触するように形成されたことを特徴とする保持装置。
(付記2)
前記位置決め部材の前記突当部は、前記断面でみたときに、円弧状に形成されたことを特徴とする付記1に記載の保持装置。
(付記3)
前記断面でみたときに、前記突当部の円弧の中心が、前記第1回転体の回転中心軸と、前記突当部が点接触する位置を通って前記第1回転体の回転中心軸に直交する仮想線と、の交点であることを特徴とする付記2に記載の保持装置。
(付記4)
前記位置決め部材は、前記第1回転体を回転可能に保持する軸受を具備し、
前記筐体は、前記位置決め部材を介して前記第1回転体を回転可能に支持し、
前記断面でみたときに、前記突当部の円弧の中心が、第1回転体の回転中心軸上であって前記軸受の軸方向の中央位置に位置することを特徴とする付記2又は付記3に記載の保持装置。
(付記5)
前記位置決め部材の前記突当部は、前記断面でみたときに、三角形状に形成されたことを特徴とする付記1に記載の保持装置。
(付記6)
前記位置決め部材は、金属材料で形成されたことを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載の保持装置。
(付記7)
前記位置決め部材の前記突当部は、少なくとも前記第2回転体の前記軸部に当接する表面が非導電性材料で形成されたことを特徴とする付記6に記載の保持装置。
(付記8)
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される付記1~付記7のいずれかに記載の保持装置としてのプロセスカートリッジであって、
前記第1回転体としての像担持体と、
前記第2回転体としての現像剤担持体が回転可能に保持されて、当該プロセスカートリッジに対して着脱可能に設置された現像装置と、
を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
(付記9)
付記1~付記7のいずれかに記載の保持装置、又は、付記8に記載のプロセスカートリッジ、が着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2022-46342号公報
図1
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