IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人広島大学の特許一覧

特開2023-174637分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法
<>
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図1
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図2
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図3
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図4
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図5
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図6
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図7
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図8
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図9
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図10
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図11
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図12
  • 特開-分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174637
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 69/12 20060101AFI20231201BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/10 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20231201BHJP
   B01D 71/34 20060101ALI20231201BHJP
   C01C 1/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B01D69/12
B01D69/10
B01D69/00
B01D71/32
B01D71/02 500
B01D71/68
B01D71/52
B01D71/64
B01D71/10
B01D71/36
B01D71/34
C01C1/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087292
(22)【出願日】2022-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100196380
【弁理士】
【氏名又は名称】森 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】都留 稔了
(72)【発明者】
【氏名】金指 正言
(72)【発明者】
【氏名】長澤 寛規
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA21
4D006HA41
4D006MA02
4D006MA03
4D006MB03
4D006MB04
4D006MC03
4D006MC11
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC45
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63
4D006NA45
4D006PA01
4D006PB01
4D006PB63
4D006PB66
4D006PB70
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】少ないエネルギーで効率よくアンモニアを分離できる分離膜及び分離膜製造方法を提供するとともに、分離膜を用いたエネルギー効率のよいアンモニア合成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る分離膜は、複数の細孔を有する多孔質である支持体と、支持体上に形成された、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質膜である分離層と、を備える。また、本発明に係るアンモニア合成装置は、水素と窒素とから、触媒を用いてアンモニアを合成する反応器と、前記の分離膜とを備え、分離膜でアンモニアを透過させて分離する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細孔を有する多孔質である支持体と、
前記支持体上に形成された、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質膜である分離層と、を備える、
ことを特徴とする分離膜。
【請求項2】
前記分離層の厚さは、10nm以上3μm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
前記高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質膜である、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項4】
前記支持体と前記分離層との間に、前記支持体の細孔より小さく、前記分離層の細孔より大きい細孔を有する中間層を、備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項5】
前記分離層の少なくとも一部は、
前記中間層中に形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の分離膜。
【請求項6】
前記分離層の少なくとも一部は、
前記支持体中に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項7】
前記支持体は、アルミナ、二酸化ケイ素、ムライト、二酸化チタン及びジルコニアからなる群から選択される金属酸化物又はこれらの複合物からなるセラミック多孔質支持体である、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項8】
前記支持体は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリイミド、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びこれらの誘導体からなる群から選択される高分子化合物から形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項9】
水素と窒素とから、触媒を用いてアンモニアを合成する反応器と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の分離膜と、を備え、
前記分離膜は、前記反応器で合成された気相のアンモニアを透過して分離する、
ことを特徴とするアンモニア合成装置。
【請求項10】
複数の細孔を有する多孔質である支持体に、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質を塗布し、前記高分子電解質を熱処理して分離層を形成する分離層形成工程を含む、
ことを特徴とする分離膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜、アンモニア合成装置及び分離膜製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、肥料の原料として世界的に広く利用されている。また、アンモニアは燃焼しても二酸化炭素を排出しないことから、次世代エネルギーの一つとして活用が期待されている。これにともなって、メラミン樹脂製造や半導体製造等に係る排ガスからのアンモニア回収技術、アンモニア合成技術等が種々開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、窒化ガリウム系化合物半導体の製造工程が行われる気相成長装置から排出されるアンモニア、水素、及び窒素を含む排ガスを加圧して、ヒートポンプ式冷却機によって排ガスに含まれるアンモニアを液化し水素及び窒素と分離、回収する技術が提案されている。
【0004】
また、窒素(N)と水素(H)からアンモニア(NH)を合成する方法として、ハーバー・ボッシュ法が用いられている。ハーバー・ボッシュ法を用いた典型的なアンモニア合成プロセスでは、鉄系触媒を用いて、450℃、14MPa程度の高温高圧で反応を進行させ、その後冷却器で38℃程度に冷却してアンモニアを濃縮させる。近年、このようなハーバー・ボッシュ法の反応条件を緩和するための触媒が種々開発されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-154792号公報
【特許文献2】特開2022-61257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のアンモニア回収方法では、排ガス中に含まれるアンモニアを分離するために、排ガスを加圧、冷却してアンモニアを液化するので、アンモニアの回収に大きなエネルギーが必要となる。
【0007】
また、非特許文献2のような活性触媒を用いるハーバー・ボッシュ法では、300~500℃、1~10MPaで反応させることができるものの、アンモニアの回収には、高温の反応ガスを冷却してアンモニアを液化する必要がある。したがって、アンモニアの回収に大きなエネルギーが必要となる。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、少ないエネルギーで効率よくアンモニアを分離できる分離膜及び分離膜製造方法を提供するとともに、分離膜を用いたエネルギー効率のよいアンモニア合成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る分離膜は、
複数の細孔を有する多孔質である支持体と、
前記支持体上に形成された、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質膜である分離層と、を備える。
【0010】
また、前記分離層の厚さは、10nm以上3μm以下である、
こととしてもよい。
【0011】
また、前記高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質膜である、
こととしてもよい。
【0012】
また、前記支持体と前記分離層との間に、前記支持体の細孔より小さく、前記分離層の細孔より大きい細孔を有する中間層を、備える、
こととしてもよい。
【0013】
また、前記分離層の少なくとも一部は、
前記中間層中に形成されている、
こととしてもよい。
【0014】
また、前記分離層の少なくとも一部は、
前記支持体中に形成されている、
こととしてもよい。
【0015】
また、前記支持体は、アルミナ、二酸化ケイ素、ムライト、二酸化チタン及びジルコニアからなる群から選択される金属酸化物又はこれらの複合物からなるセラミック多孔質支持体である、
こととしてもよい。
【0016】
また、前記支持体は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリイミド、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びこれらの誘導体からなる群から選択される高分子化合物から形成されている、
こととしてもよい。
【0017】
この発明の第2の観点に係るアンモニア合成装置は、
水素と窒素とから、触媒を用いてアンモニアを合成する反応器と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の分離膜と、を備え、
前記分離膜は、前記反応器で合成された気相のアンモニアを透過して分離する。
【0018】
この発明の第3の観点に係る分離膜製造方法は、
複数の細孔を有する多孔質である支持体に、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質を塗布し、前記高分子電解質を熱処理して分離層を形成する分離層形成工程を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分離膜を支持体と分離層とを備える複合膜とすることにより、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する薄膜の高分子電解質膜である分離層を備える分離膜を形成できる。したがって、高いアンモニア透過性及び選択性を有し、少ないエネルギーで効率よくアンモニアを分離可能な分離膜を形成することができる。また、この分離膜を用いることにより、エネルギー効率のよいアンモニア合成装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るアンモニア合成装置の構成を示す概念図である。
図2】実施の形態に係る分離膜の概略図である。
図3】実施の形態に係る分離膜の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図4】フッ素系高分子電解質ゾルの粒径を示すグラフである。
図5】分離膜の断面のSEM写真であり、(A)はNafionを材料とする分離膜、(B)はAquivionを材料とする分離膜である。
図6】中間層の細孔径の例を示すグラフである。
図7】実施の形態に係る分離膜における水素透過率、窒素透過率、アンモニア透過率の経時変化を示すグラフであり、(A)は200℃でNafionを材料とする分離膜の場合、(B)は35℃でNafionを材料とする分離膜の場合、(C)は200℃でAquivionを材料とする分離膜の場合、(D)は35℃でAquivionを材料とする分離膜の場合である。
図8】実施の形態に係る分離膜の150℃におけるガス透過率を示すグラフである。
図9】実施の形態に係る分離膜のガス透過率及び透過率比の温度依存性を示すグラフであり、(A)はNafionを材料とする分離膜の場合、(B)はAquivion-H+を材料とする分離膜の場合、(C)はAquivion-Li+を材料とする分離膜の場合である。
図10】ガス種ごとの透過率を示すグラフであり、(A)はアンモニア透過率、(B)はヘリウム透過率、(C)は水素透過率、(D)は窒素透過率である。
図11】ガス種ごとの透過率比を示すグラフであり、(A)は水素/窒素透過率比、(B)はアンモニア/水素透過率比、(C)はアンモニア/窒素透過率比である。
図12】混合ガス(アンモニア/水素、アンモニア/窒素)におけるアンモニア透過率、水素透過率、窒素透過率に対するアンモニアの組成依存性を示すグラフであり、(A)は200℃の場合、(B)50℃の場合である。
図13】従来の分離膜及び実施の形態に係る分離膜のアンモニアの透過率と選択性との関係を示すグラフであり、(A)はアンモニア/水素の場合、(B)はアンモニア/窒素の場合である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る分離膜及びアンモニア合成装置について説明する。本実施の形態に係るアンモニア合成装置1は、図1の概念図に示すように、反応器10と、分離膜20とを備える。
【0022】
反応器10は、触媒を用いて窒素(N)と水素(H)からアンモニア(NH)を合成する装置であり、公知の反応装置を用いることができる。反応に用いる触媒は特に限定されないが、省エネルギー、分離膜20の耐久性等の観点から、低温活性触媒のように低温低圧でアンモニア合成できるものが好ましい。
【0023】
(分離膜)
分離膜20は、反応器10で合成されたアンモニアを透過させて、気相のアンモニアを分離するものである。本実施の形態に係る分離膜20は、図2に示すように、支持体21、中間層22及び分離層23を備える。
【0024】
支持体21は、複数の細孔を有する多孔質基材である。支持体21の材質は特に限定されず、無機多孔体、有機多孔体などを用いることができる。
【0025】
支持体21となり得る無機多孔体としては、例えばアルミナ(α-Al、γ-Al)、二酸化ケイ素(SiO)、ムライト(3Al・2SiO~2Al・SiO)、二酸化チタン(TiO)及びジルコニア等の金属酸化物又はこれらの複合物からなるセラミックスが挙げられる。
【0026】
また、支持体21となり得る多孔質基材を形成する高分子化合物としては、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリイミド、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びこれらの誘導体から選択されるものが挙げられる。
【0027】
本実施の形態に係る支持体21は、安価かつ入手容易であり、耐熱性、強度において優れ、アンモニア合成プロセスにおける高温高圧条件下で使用可能なα-アルミナを主成分とするセラミックスである。
【0028】
支持体21の形状は特に限定されないが、円筒状や板状が好ましい。また、支持体21の平均細孔径は、0.05μm~10μm程度が好ましい。支持体21の細孔径が大きすぎると分離層23の細孔径との差が大きくなり過ぎ、支持体21の細孔径が小さすぎると透過性能が低下する。したがって、支持体21の平均細孔径は、より好ましくは0.1~5μmであり、さらに好ましくは0.5~3μmである。
【0029】
分離膜20は、支持体21と分離層23との間に中間層22を備えることにより、隣接する層間の細孔径の差を小さくすることが好ましい。したがって、中間層22の細孔径は、支持体21の細孔径より小さく、分離層23の細孔径より大きくなるように設定される。このような大きさの細孔径を有する中間層22を形成できるものであれば、中間層22を構成する材質は、特に限定されない。例えば、支持体21を構成する材質の成分を含む微粒子を、中間層22を構成する材質として用いることができる。また、中間層22は、複数の層から形成されていてもよい。
【0030】
分離層23は、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質膜である。分離層23の詳細な分離特性については後述するが、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質膜を分離層23として用いることにより、分離層23は、塩基性/酸性に基づく親和性によってアンモニア選択透過膜として機能する。
【0031】
高分子電解質は、主に、主鎖が炭化水素系高分子である炭化水素系高分子電解質と、主鎖がフッ素系高分子であるフッ素系高分子電解質に分類される。本実施の形態に係る分離層23は、よりすぐれた耐熱性、耐薬品性を有するフッ素系高分子電解質であることとする。これにより、高温のアンモニア合成プロセスに適した分離膜20を形成することができる。フッ素系高分子電解質としては、例えば、ケマーズ社製のNafion(登録商標)、AGC(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ソルベイ社製のAquivion(登録商標)などを用いることができる。
【0032】
(分離膜の製造方法)
以下、図3のフローチャートを参照しつつ、本実施の形態に係る分離膜20の製造方法について説明する。本実施の形態に係る分離膜20の製造方法は、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質のゾルを調製するゾル調製工程と、支持体21上に中間層22を形成する中間層形成工程と、高分子電解質を熱処理して分離層23を形成する分離層形成工程とを含む。
【0033】
まず、ゾル調製工程として、分離層23の材料となるフッ素系高分子電解質のゾルを調製する(ステップS11)。本実施の形態では性能比較のため、3種類の材料を用いて、分離層23の構成の異なる3種類の分離膜20を形成する。具体的には、上記フッ素系高分子電解質を原料とする市販の溶液であるNafion(20wt%、シグマ-アルドリッチ社)、Aquivion-H+(24wt%、シグマ-アルドリッチ社)、Aquivion-Li+(25wt%、シグマ-アルドリッチ社)を用いてゾルを調製し、調製されたゾルで分離層23を形成する。
【0034】
Nafionの化学構造は下記の通りであり、Nafionのイオン交換容量(IEC:Ion Exchange Capacity)は1.03~1.12mmol/gである。
【化1】
【0035】
Aquivionの化学構造は下記の通りであり、Aquivionのイオン交換容量は1.17~1.23mmol/gである。
【化2】
【0036】
Nafionゾルは、上記のNafion溶液を溶媒である1-プロパノールで、Nafionが3wt%となるように希釈し、室温で1時間撹拌して調製される。また、Aquivionゾルは、上記の各Aquivion溶液を1-プロパノール、水、エタノールを用いて、Aquivion:1-プロパノール:水:エタノール=3:56.5:40:0.5の重量比となるように調合し、室温で1時間撹拌して調製される。動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)で計測した各ゾルの粒径は、図4に示すように、概ね1~3nmであった。
【0037】
続いて、中間層形成工程として、支持体21上に中間層22を形成する。本実施の形態では、まず支持体21であるセラミック多孔質支持体の外表面の均質化を行う(ステップS12)。より具体的には、支持体21である平均細孔径約1μmの多孔性α-アルミナ管((株)ニッカトー製、外径10mm、内径8mm、平均細孔径1μm以下、空隙率50%)の外表面にα-アルミナ粒子を塗布し、多孔性α-アルミナ管の外表面の均質化を行う。
【0038】
より具体的には、シリカ-ジルコニア(SiO-ZrO(Si/Zr=1:1))コロイドゾルをバインダーとして約10wt%程度に希釈したアルミナ粒子(平均粒径1.9μm)(住友化学工業(株))を、不織布(ベンコット(登録商標),旭化成(株))を用いてアルミナ管の外表面に塗布する。そして、5分間室温で乾燥し、10分間200℃で乾燥した後、3ゾーン式セラミック電気管状炉(ARF3-600-50KC,(株)アサヒ理化製作所)で550°C,空気中で10分間焼成する。この操作を計4回行う。繰り返し回数は、アルミナ粒子の大きさによって変更してもよい。例えば、アルミナ粒子の平均粒径が0.2μm程度の小粒径の場合、繰り返し回数を2回としてもよい。
【0039】
次に、外表面を均質化した支持体21を予め高温(200°C)に加熱し、支持体21の外表面に、シリカ-ジルコニアコロイドゾルの希薄溶液(0.5wt%)を、不織布を用いて塗布し(ホットコーティング法)、550°C,空気中で10分間焼成する。この操作を数回繰り返し、支持体21の外表面に細孔径1nm程度の中間層22を形成する(ステップS13)。本実施の形態では、この操作を10回繰り返して中間層22を形成する。
【0040】
続いて、分離層形成工程として、中間層22上に分離層23を形成する。ステップS11で調製したゾルを、室温にて、不織布(ベンコット(商品名),旭化成(株))を用いて、中間層22上に塗布(コールドコーティング)し(ステップS14)、室温、窒素(N)雰囲気下で乾燥させる(ステップS15)。そして、塗布されたゾルを150℃60分で熱処理する(ステップS16)。本実施の形態では、ステップS14~S16の処理を3回繰り返す(ステップS17のNO)。フッ素系高分子電解質ゾルの塗布、乾燥及び熱処理を3回繰り返して(ステップS17のYES)、分離層23が形成される。以上の工程により、分離膜20が形成される。本実施の形態ではステップS14~S16を3回繰り返すこととしたがこれに限られず、分離層23が所望の膜厚となるように、適宜繰り返し回数を選択すればよい。
【0041】
以上のように、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質を支持体21上に塗布して分離層23を形成することにより、薄膜の分離層23を備える複合膜の分離膜20を製造することができる。分離層23は、スルホン酸基又はカルボン酸基を有するので、アンモニア選択膜として機能する。また、分離層23を薄膜形成できるので、分離膜20は透過性の高い分離膜として機能する。以下、分離膜20の詳細な構造及び特性について説明する。
【0042】
(分離膜の構造)
図5(A)、(B)に本実施の形態に係る分離膜20の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察した結果を示す。図5(A)は、Nafionを材料とする分離膜20(以下、分離膜20-Nという。)の断面図である。図5(B)は、Aquivion-H+を材料とする分離膜20(以下、分離膜20-AHという。)の断面図である。図5(A)、(B)に示すように、支持体21である多孔性α-アルミナ管の粒子径は数μmであり、α-アルミナ管に粒子径200nm程度のα-アルミナ粒子層が1μm程度の厚みで形成されている。さらに、シリカ-ジルコニア(SiO-ZrO)の中間層22が400nm程度の厚みで形成されている。
【0043】
図6は、毛管凝縮法による細孔径分布測定法であるナノパームポロメトリー法を用いて計測した中間層22の細孔径の例である。図6に示すように、中間層22の平均細孔径は、約1nmである。
【0044】
また、図5(A)、(B)の例に示すように、中間層22上に分離層23が形成されている。分離層23は、分離性能を確保するため、アンモニア以外の成分に対して高いバリア性を有すること(ピンホールフリーであること)が好ましい。中間層22の細孔径にはばらつきがあり、分離膜の表面は均質な平面ではない。このような場合、コーティングされる分離層23が十分なバリア性を有するためには、分離層23は、コーティング基材となる中間層22の平均細孔径の10倍程度のコーティング膜厚を有することが好ましいと考えられる。したがって、分離層23の厚さは、10nm以上であることが好ましい。
【0045】
また、Nafion膜によるアンモニア透過性に関する報告(He,Y., Cussler,E.L., “Ammonia permeabilities of perfluorosulfonic membranes in various ionic forms”, Journal of Membrane Science, vol.68, P.43-52, 1992)によれば、膜厚38μmにおいて、供給温度21℃供給圧270kPaの条件で、流束は3×10-6mol/(cm・s)であった。この場合の透過率は、1.1×10-7mol/(m・s・Pa)である。実用上、分離層23の透過率は、1×10-6mol/(m・s・Pa)以上であることが好ましいと考えられることから、分離層23の厚さは、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。分離層23の厚さは、高分子電解質の希釈濃度と塗布回数とで制御することができる。本実施の形態では、3wt%に希釈した高分子電解質を中間層22上に3回塗布することにより、厚さ数nm~数百nm程度の分離層23を形成している。
【0046】
(分離膜の特性評価)
図7(A)~(D)は、分離膜20-N及び分離膜20-AHの35℃及び200℃における窒素(N)、水素(H)、アンモニア(NH)の各ガスの透過率の経時変化を示すグラフである。図7(A)~(D)に示すように、分離膜20-N,20-AHについて、アンモニアを3時間透過させる前後で、水素、窒素の透過率を測定することにより、アンモニアに対する安定性を評価する。図7(A)、(C)に示すように、200℃においては、アンモニアの透過の前後で水素、窒素の透過率に変化は見られなかった。また、35℃においては、アンモニアの透過率は3時間ほとんど一定の値であったが、アンモニアの透過後に水素、窒素の透過率は低下した。しかしながら、これらの分離膜20-N,20-AHを200℃に加熱することで、当初の透過率に戻ることが確認できた。この透過率の回復は、200℃環境でアンモニアが脱着したことによるものと考えられる。以上のように、分離膜20-N,20-AHは、アンモニアに対して安定であるといえる。
【0047】
図8は、150℃における、分離膜20-N,20-AH及びAquivion-Li+を材料とする分離膜20(以下、分離膜20-ALiという。)のガスの透過率を示すグラフである。図8に示すように、各分離膜20の透過率は、分子サイズが大きいほど低い。また、分子サイズが大きいほど、各分離膜20の透過率の差が大きくなり、全体的に分離膜20-AHが最も小さな透過率であった。水素/窒素(H/N)透過率比は、分離膜20-Nで11.3、分離膜20-AHで14.5、分離膜20-ALiで12.4であり、同等程度であった。
【0048】
また、分離膜20-N,20-AH,20-ALiのアンモニア、水素、窒素の各ガスの透過率及び透過率比の温度依存性を図9(A)~(C)に示す。また、図9(A)~(C)の各ガス及びヘリウム(He)の透過率をガス種ごとにまとめたものを図10(A)~(D)に示す。50~200℃では、分離膜20-N,20-AH,20-ALiの全てにおいて、アンモニアの透過率が、水素、窒素の透過率より高かった。より具体的には、分離膜20-Nのアンモニア透過率は9.30×10-7mol/(m・s・Pa)以上、分離膜20-ALiのアンモニア透過率は8.70×10-7mol/(m・s・Pa)以上、分離膜20-AHのアンモニア透過率は1.55×10-6mol/(m・s・Pa)以上であり、分離膜20-AHのアンモニア透過率が最も高かった。本実施の形態に係る分離膜20は、高いアンモニアの透過性を有している。これは、セラミックスの支持体21に材料を塗布、熱処理して分離層23を形成することにより、分離層23の厚みを薄くできていることによると考えられる。
【0049】
図11(A)~(C)は、図10(A)~(D)の透過率比をガス種ごとにまとめたグラフである。図11(A)~(C)に示すように、水素/窒素透過率比は、分離膜20-N,20-AH,20-ALiの各分離膜20とも温度による変化は小さい。アンモニア/水素(NH/H)透過率比及びアンモニア/窒素(NH/N)透過率比では、分離膜20-AHが最も高い値となった。分離膜20-AHのアンモニア/水素透過率比は、200℃で約6倍、50℃で約119倍であった。また、分離膜20-AHのアンモニア/窒素透過率比は、200℃で約74倍、50℃で約2085倍であり、非常に高い選択性を示した。低温でより高い透過率比を示したのは、吸着性ガスであるアンモニアが、低温でより多く吸着し、膜透過したからと考えられる。
【0050】
また、分離膜20-Nと分離膜20-AHとを比較すると、水素/窒素透過率比では大きな差異はない。一方、分離膜20-AHのアンモニア選択性は分離膜20-Nのアンモニア選択性より高い。これは、Aquivionのイオン交換容量(IEC)が、Nafionのイオン交換容量より大きいためと考えられる。
【0051】
また、分離膜20-ALiのアンモニア透過率及びアンモニア選択性が分離膜20-AHと比較して低い値となったのは、Liにイオン交換的に吸着することにより、スルホン酸基の酸性部分(SO )が中和されて中性的になったためと考えられる。
【0052】
続いて、アンモニア選択性が高い分離膜20-AHを用いて混合ガスによる評価を行った。図12(A)、(B)は、200℃及び50℃における、アンモニア、水素、窒素の透過率に対するアンモニアの組成(モル分率)依存性を示している。図12(A)、(B)に示すように、200℃、50℃ともに供給される混合ガスの組成によらず、アンモニア、水素、窒素の透過率は概ね一定であった。また、混合ガス(アンモニア/水素,アンモニア/窒素)では、混合ガスの種類によらず、アンモニア透過率は同等程度であった。すなわち、本実施の形態に係る分離膜20においては、アンモニアの組成によって水素、窒素の透過率に大きな変化はなく、ブロッキングの影響は認められなかった。
【0053】
また、本実施の形態に係る分離膜20を用いたアンモニアの透過においては、分離膜20の可塑化による選択性の低下は認められなかった。より具体的には、200℃でのアンモニア透過率は、9.24×10-7mol/(m・s・Pa)以上、アンモニア選択性は、アンモニア/水素で4以上、アンモニア/窒素で40以上であった。また、50℃でのアンモニア透過率は、2.31×10-6mol/(m・s・Pa)以上、アンモニア選択性は、アンモニア/水素で90以上、アンモニア/窒素で800以上であった。したがって、分離膜20は、単成分の場合と同様に、混合ガスの場合でも高いアンモニア透過率及びアンモニア選択性を有しているといえる。
【0054】
図13(A)、(B)は、従来の分離膜と本実施の形態に係る分離膜20におけるアンモニアの透過率と選択性との関係を示すグラフである。従来の分離膜としては、Nafionなどの親和性による分離を行う高分子膜(He,Y., Cussler,E.L., “Ammonia permeabilities of perfluorosulfonic membranes in various ionic forms”, Journal of Membrane Science, vol.68, P.43-52, 1992),(Tricoli,V., Cussler,E.L., ”Ammonia selective hollow fibers”, Journal of Membrane Science Vol.104, P.19-26, 1995)、ゼオライト、ゼオライトMFIを利用し分子ふるいによって分離を行う無機材料を用いた膜(Inami,H., Abe,C., Hasegawa,Y., “Development of Ammonia Selectively Permeable Zeolite Membrane for Sensor in Sewer System”, Membranes, 11, 348, 2021),(Camus,O. et al., “Ceramic Membranes for Ammonia Recovery”, AIChE Journal Vol.52, P.2055-2065, 2006),(Duan,X. et al., “High-performance ammonia-selective MFI nanosheet membranes”, Chem Comm, Vol.57, P.580-582, 2021)、吸着型選択性を有するMXeneとアルミニウム多孔質膜(AAO)との複合膜(Petukhov,D.I. et al., “MXene-based gas separation membranes with sorption type selectivity”, Journal of Membrane Science, Vol.621, 118994, 2021)、プロトン性キャリアによるアンモニア輸送を行う薄膜プルシアンブルー(PB)とAAOとAuとを組み合わせた複合膜(Komkova,M.A. et al., “Facilitated transport of ammonia in ultra-thin Prussian Blue membranes with potential-tuned selectivity”, Journal of Membrane Science, Vol.639, 119714, 2021)などである。
【0055】
従来の分離膜である高分子膜は膜厚が厚いので、透過性を10-6mol/(m・s・Pa)以上に高めることは難しかった。また、従来の高分子膜は、100℃以上の温度での透過は困難であった。また、従来の分離膜であるSilica膜は、50℃ではアンモニア選択性を示すが、400℃の高温では水素選択性(水素/アンモニア透過率100以上)を示すため、安定的にアンモニアを分離することは難しかった。
【0056】
これらの従来の分離膜に対し、本実施の形態に係るフッ素系高分子電解質膜を有する分離膜20(分離膜20-N,1-AH,1-ALi)は、50℃及び100℃で高いアンモニア透過率と高いアンモニア選択性を有している。したがって、本実施の形態に係る分離膜20は、アンモニアの分離に適した分離膜であると考えられる。より具体的には、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する高分子電解質膜を分離層23とすることにより、高いアンモニア選択性を有する分離膜20を形成することができる。また、分離膜20を複合膜とし、支持体21上に希釈した高分子電解質ゾルを塗布して分離層23を形成することにより、分離層23を薄膜化(10nm以上3μm以下)することができる。したがって、高いアンモニア透過率を有する分離膜20を形成することができる。
【0057】
また、上述の評価結果に示すように、本実施の形態に係る分離膜20は、200℃程度の高温においても、高いアンモニア透過率と高いアンモニア選択性を有しているので、高温でアンモニアを合成するアンモニア合成装置に適した分離膜であると考えられる。これは、耐熱性の高いセラミックを支持体21として用いるとともに、耐熱性の高いフッ素系高分子電解質を分離層23の高分子電解質として用いたことによるものと考えられる。
【0058】
また、分離膜20は高いアンモニア透過率と高いアンモニア選択性を有するので、上記実施の形態に係るハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成プロセス等において、気相のアンモニアを液化することなく、透過、分離させることができる。したがって、高いエネルギー効率で、アンモニアを分離、回収することができる。
【0059】
さらに、ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成プロセスの反応器10に分離膜20を設置することにより、合成されたアンモニアを順次反応器10から取り出すことができる。したがって、合成されたアンモニアの逆反応を抑制することができるので、より効率よくアンモニアを合成することが可能となる。特に、本実施の形態に係る分離膜20は、反応速度の低い低温活性触媒を用いたアンモニア合成プロセスでも効率よくアンモニアを分離できるので、エネルギー効率よくアンモニア合成を行うことができる。また、低温活性触媒を用いたアンモニア合成プロセスに分離膜20を用いる場合、支持体21は高分子化合物から形成されることとしてもよい。支持体21である多孔質基材を形成する高分子化合物は、高分子化合物の耐熱温度及びアンモニアの合成温度に基づいて選択すればよい。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係る分離膜20は、分離層23に含まれるスルホン酸基とアンモニアとがイオン交換的に相互作用することによりアンモニアを透過させるので、高いアンモニア選択性を有すると考えられる。より詳細には、塩基性分子であり電子供与性を有するアンモニアが、プロトン酸(ブレンステッド酸)あるいは電子吸引点(ルイス酸)に吸着するという塩基性/酸性に基づく親和性によって、分離膜20はアンモニアを選択分離するものと考えられる。
【0061】
高分子電解質の酸性基としては、スルホン酸及びカルボン酸が知られており、これらはともにプロトン酸(ブレンステッド酸)特性を示すなどの共通する特性を有している。このような共通する特性から、スルホン酸基を有する高分子電解質及びカルボン酸基を有する高分子電解質は、いずれも食塩電解質隔膜、燃料電池隔膜等として用いられている。上述のように、本実施の形態に係る分離膜20の分離原理は、塩基性/酸性の親和性に基づくものであるので、カルボン酸基を有する高分子電解質膜の分離層23は、スルホン酸基を有する高分子電解質膜の分離層23と同様に機能すると考えられる。
【0062】
また、本実施の形態に係る分離膜20は複合膜であり、分離層23は、希釈された高分子電解質を支持体21又は中間層22上に塗布して形成される。したがって、分離層23を薄膜化することができるので、高いアンモニア透過率を有する複合膜の分離膜20を形成することができる。分離層23の厚さは、アンモニア透過性、アンモニア選択性及び膜の耐久性の観点から、10nm以上3μm以下であることが好ましく、高分子電解質の塗布回数によって調整される。
【0063】
本実施の形態に係る分離膜20では、中間層22上に分離層23が形成されることとしたが、これに限られない。例えば、分離層23の少なくとも一部は、中間層22中に形成されていることとしてもよい。具体的には、分離層形成工程において、中間層22に塗布されたフッ素系高分子電解質ゾルが中間層22の細孔に浸透し、分離層23の一部が中間層22と重なるように形成されることとしてもよい。これにより、バリア性の高い分離層23を、より薄い厚さで形成することができる。したがって、分離層23をさらに薄膜化することができるので、アンモニア透過性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る分離膜20は中間層22を含むこととしたが、これに限られない。例えば、高分子材料の支持体21上に、分離層23を形成することとしてもよい。この場合、分離層23の少なくとも一部は、支持体21中に形成されていることとしてもよい。これにより、分離層23を薄膜化することができるので、アンモニア透過性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、アンモニアの分離に好適である、特に触媒を用いて窒素と水素とからアンモニアを合成するアンモニア合成装置におけるアンモニアの分離等の気相のアンモニア分離に好適である。
【符号の説明】
【0066】
1 アンモニア合成装置、10 反応器、20 分離膜、21 支持体、22 中間層、23 分離層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13