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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174717
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】形状測定機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20231201BHJP
   G01B 21/20 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G01B5/20 C
G01B21/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167824
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2022521826の分割
【原出願日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2020085357
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】増田 光
(72)【発明者】
【氏名】森井 秀樹
【テーマコード(参考)】
2F062
2F069
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062AA51
2F062AA66
2F062EE01
2F062FF02
2F062FF12
2F062GG71
2F062HH21
2F069AA01
2F069AA57
2F069AA60
2F069AA61
2F069GG01
2F069GG07
2F069GG63
2F069HH01
2F069HH11
2F069JJ04
2F069JJ11
2F069QQ01
(57)【要約】
【課題】 測定対象物の形状測定の異常発生の原因を容易に検出可能な形状測定機及びその制御方法を提供する。
【解決手段】 接触子の変位を検出する変位検出器と、測定対象物に対して変位検出器を相対移動させて測定対象物の被測定面を接触子によりトレースさせる相対移動機構と、測定対象物に対する変位検出器の相対位置を検出する位置検出センサと、接触子を撮影して接触子の撮影画像を出力するカメラと、相対移動機構による相対移動が行われている間、位置検出センサによる相対位置の検出と変位検出器による変位の検出とカメラによる撮影とを含む3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させる同期制御部と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に接触する接触子を用いて前記測定対象物の形状測定を行う形状測定機において、
前記接触子の変位を検出する変位検出器と、
前記測定対象物に対して前記変位検出器を相対移動させて前記測定対象物の被測定面を前記接触子によりトレースさせる相対移動機構と、
前記測定対象物に対する前記変位検出器の相対位置を検出する位置検出センサと、
前記接触子を撮影して前記接触子の撮影画像を出力するカメラと、
前記相対移動機構による相対移動が行われている間、前記位置検出センサによる前記相対位置の検出と前記変位検出器による前記変位の検出と前記カメラによる撮影とを含む3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させる同期制御部と、
を備える形状測定機。
【請求項2】
前記同期制御部が、前記3つの動作を同期させる同期信号を、前記位置検出センサ、前記変位検出器、及び前記カメラに対して出力する請求項1に記載の形状測定機。
【請求項3】
前記3つの動作が同期して実行されるごとに、前記位置検出センサにより検出された前記相対位置と、前記変位検出器により検出された前記接触子の変位と、前記カメラにより撮影された前記撮影画像と、を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部を備える請求項1又は2に記載の形状測定機。
【請求項4】
前記相対位置ごとの前記接触子の変位を示す変位検出信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部が生成した前記変位検出信号から、前記変位検出信号の波形が異常になる異常波形を検出する異常波形検出部と、
前記異常波形検出部により前記異常波形が検出された前記相対位置の範囲を第1範囲とした場合に、前記第1範囲に対応する前記記憶部内の前記撮影画像に基づき、前記形状測定の異常の有無を判定する第1異常判定部と、
を備える請求項3に記載の形状測定機。
【請求項5】
前記第1異常判定部が、前記撮影画像内の異物の像の有無に基づき前記形状測定の異常の有無を判定する請求項4に記載の形状測定機。
【請求項6】
前記相対移動機構を駆動して、前記被測定面を前記接触子により再トレースする再測定を実行する再測定制御部を備え、
前記第1異常判定部が異常有と判定するごとに、前記再測定制御部が前記再測定を実行し、且つ前記信号生成部が前記変位検出信号を生成し、且つ前記異常波形検出部が前記異常波形の検出を行い、且つ前記第1異常判定部が前記形状測定の異常の有無の判定を行う請求項4又は5に記載の形状測定機。
【請求項7】
前記再測定の回数が予め定めた一定回数を超える場合に、警告情報を報知する報知部を備える請求項6に記載の形状測定機。
【請求項8】
前記記憶制御部は、前記位置検出センサにより検出された前記相対位置と、前記変位検出器により検出された前記接触子の変位と、前記カメラにより撮影された前記撮影画像とを含むデータを、前記記憶部のバッファメモリに一時記憶させ、前記バッファメモリに一時記憶させたデータのうち、前記第1異常判定部により異常有と判定されたデータを前記記憶部のデータストレージに記憶させる、請求項4から7のいずれか1項に記載の形状測定機。
【請求項9】
前記記憶部に記憶されている前記撮影画像ごとに、前記形状測定の異常の有無を判定する第2異常判定部を備える請求項3に記載の形状測定機。
【請求項10】
前記第2異常判定部が、前記記憶部内に記憶された前記撮影画像ごとに、前記撮影画像内の異物の像の有無に基づき前記形状測定の異常の有無を判定する請求項9に記載の形状測定機。
【請求項11】
前記相対位置ごとの前記接触子の変位を示す変位検出信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部が生成した前記変位検出信号をモニタに表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部が、前記記憶部を参照して前記第2異常判定部が異常有と判定した前記撮影画像に対応する前記相対位置の範囲である第2範囲を検出し、前記モニタに表示される前記変位検出信号の波形の中で前記第2範囲に対応する波形領域を識別可能に前記モニタに表示させる請求項9又は10に記載の形状測定機。
【請求項12】
前記第2異常判定部が異常有と判定した場合に、警告情報を報知する報知部を備える請求項9から11のいずれか1項に記載の形状測定機。
【請求項13】
前記記憶制御部は、前記位置検出センサにより検出された前記相対位置と、前記変位検出器により検出された前記接触子の変位と、前記カメラにより撮影された前記撮影画像とを含むデータを、前記記憶部のバッファメモリに一時記憶させ、前記バッファメモリに一時記憶させたデータのうち、前記第2異常判定部により異常有と判定されたデータを前記記憶部のデータストレージに記憶させる、請求項9から12のいずれか1項に記載の形状測定機。
【請求項14】
前記相対移動機構が、前記測定対象物に対して前記変位検出器を水平方向に相対移動させる請求項1から13のいずれか1項に記載の形状測定機。
【請求項15】
前記相対移動機構が、円柱状又は円筒状の前記測定対象物の周面に前記接触子を接触させた状態で、前記測定対象物と前記変位検出器とを回転中心の周りに相対回転させる請求項1から13のいずれか1項に記載の形状測定機。
【請求項16】
測定対象物に接触する接触子を有する変位検出器と、前記測定対象物に対して前記変位検出器を相対移動させて前記測定対象物の被測定面を前記接触子によりトレースさせる相対移動機構と、を備え、前記接触子を用いて前記測定対象物の形状測定を行う形状測定機の制御方法において、
前記測定対象物に対する前記変位検出器の相対位置を検出する位置検出ステップと、
前記変位検出器により前記接触子の変位を検出する変位検出ステップと、
前記接触子を撮影して前記接触子の撮影画像を出力する撮影ステップと、
前記相対移動機構による相対移動が行われている間、前記位置検出ステップでの前記相対位置の検出と前記変位検出ステップでの前記変位の検出と前記撮影ステップでの撮影とを含む3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させる同期制御ステップと、
を有する形状測定機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触子を用いて測定対象物の形状測定を行う形状測定機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(被測定物)の表面の輪郭形状及び表面粗さ等の表面形状を測定する表面形状測定機(形状測定機)が知られている。このような表面形状測定機では、接触子をワーク表面に接触させた状態で接触子とワークとを水平方向に相対移動させることで、接触子でワーク表面をトレースしながら接触子の揺動による変位を変位検出器により検出し、この変位検出器から出力される変位検出信号に基づきワーク表面の表面形状を測定する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-161548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表面形状測定機を用いてワークの表面形状を測定する場合に、変位検出器から出力される変位検出信号に異常な波形が発生することがある。この場合に、この異常な波形がワーク表面の実形状に起因するのか、或いは外的な環境要因(例えばワーク表面に付着した埃等)に起因するのかを判別することは困難である。
【0005】
そこで、表面形状測定機の測定力(接触子がワークを押圧する押圧力)を強くすることで、測定結果がワーク表面に付着した異物の影響を受け難くすることが考えられる。しかしながら、この測定力を強くすると、ワークが変形したり或いはワーク表面に傷が付いたりするおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、測定対象物の形状測定の異常発生の原因を容易に検出可能な形状測定機及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するための形状測定機は、測定対象物に接触する接触子を用いて測定対象物の形状測定を行う形状測定機において、接触子の変位を検出する変位検出器と、測定対象物に対して変位検出器を相対移動させて測定対象物の被測定面を接触子によりトレースさせる相対移動機構と、測定対象物に対する変位検出器の相対位置を検出する位置検出センサと、接触子を撮影して接触子の撮影画像を出力するカメラと、相対移動機構による相対移動が行われている間、位置検出センサによる相対位置の検出と変位検出器による変位の検出とカメラによる撮影とを含む3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させる同期制御部と、を備える。
【0008】
この形状測定機によれば、3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させることにより、変位検出器の相対位置ごとに、相対位置と同期したタイミングで取得された撮影画像をオペレータが確認することができる。すなわち、任意の相対位置に対応する撮影画像をオペレータが確認することができる。
【0009】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、同期制御部が、3つの動作を同期させる同期信号を、位置検出センサ、変位検出器、及びカメラに対して出力する。これにより、上述の3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させることができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、3つの動作が同期して実行されるごとに、位置検出センサにより検出された相対位置と、変位検出器により検出された接触子の変位と、カメラにより撮影された撮影画像と、を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部を備える。これにより、変位検出器の相対位置ごとに、相対位置と同期したタイミングで取得された撮影画像をオペレータが確認することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、相対位置ごとの接触子の変位を示す変位検出信号を生成する信号生成部と、信号生成部が生成した変位検出信号をモニタに表示させる表示制御部と、モニタに表示されている変位検出信号の任意の指定位置を指定する指定操作を受け付ける操作部と、を備え、表示制御部が、操作部に対する指定操作で指定された指定位置に対応する撮影画像を記憶部から取得して、撮影画像をモニタに表示させる。これにより、所望の指定位置に対応する撮影画像をオペレータが確認することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、表示制御部が、指定位置が変更されるごとに、記憶部からの撮影画像の取得と、モニタでの撮影画像の表示と、を繰り返し実行する。これにより、所望の指定位置に対応する撮影画像をオペレータが確認することができる。また、変位検出信号に異常波形が発生した場合に、その前後で撮影された撮影画像を確認することができるので、異常波形の発生原因を容易に検出することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、信号生成部が生成した変位検出信号に対してローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタを備え、表示制御部が、ローパスフィルタ処理の前後の変位検出信号をモニタに表示させる重畳表示モードを有する。これにより、形状測定の測定結果から異物等の外的な環境要因に起因する偽形状をより高精度に排除することができるので、測定結果の信頼性及び精度をより高めることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、相対位置ごとの接触子の変位を示す変位検出信号を生成する信号生成部と、信号生成部が生成した変位検出信号から、変位検出信号の波形が異常になる異常波形を検出する異常波形検出部と、異常波形検出部により異常波形が検出された相対位置の範囲を第1範囲とした場合に、第1範囲に対応する記憶部内の撮影画像に基づき、形状測定の異常の有無を判定する第1異常判定部と、を備える。これにより、形状測定の異常の有無を自動的に判定することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、第1異常判定部が、撮影画像内の異物の像の有無に基づき形状測定の異常の有無を判定する。これにより、形状測定の異常の有無を自動的に判定することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、相対移動機構を駆動して、被測定面を接触子により再トレースする再測定を実行する再測定制御部を備え、第1異常判定部が異常有と判定するごとに、再測定制御部が再測定を実行し、且つ信号生成部が変位検出信号を生成し、且つ異常波形検出部が異常波形の検出を行い、且つ第1異常判定部が形状測定の異常の有無の判定を行う。これにより、形状測定の異常が発生した場合に再測定を実施することができるので、異常が被測定面の実形状に起因するのか或いは外的な環境要因(異物等)に起因するのかをより正確に判別することができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、再測定の回数が予め定めた一定回数を超える場合に、警告情報を報知する報知部を備える。これにより、オペレータが異常の発生を認識して、その異常の発生要因の確認を速やかに実行することができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、記憶制御部は、位置検出センサにより検出された相対位置と、変位検出器により検出された接触子の変位と、カメラにより撮影された撮影画像とを含むデータを、記憶部のバッファメモリに一時記憶させ、バッファメモリに一時記憶させたデータのうち、第1異常判定部により異常有と判定されたデータを記憶部のデータストレージに記憶させる。
【0019】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、記憶部に記憶されている撮影画像ごとに、形状測定の異常の有無を判定する第2異常判定部を備える。これにより、形状測定の異常の有無を自動的に判定することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、第2異常判定部が、記憶部内に記憶された撮影画像ごとに、撮影画像内の異物の像の有無に基づき形状測定の異常の有無を判定する。これにより、形状測定の異常の有無を自動的に判定することができる。
【0021】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、相対位置ごとの接触子の変位を示す変位検出信号を生成する信号生成部と、信号生成部が生成した変位検出信号をモニタに表示させる表示制御部と、を備え、表示制御部が、記憶部を参照して第2異常判定部が異常有と判定した撮影画像に対応する相対位置の範囲である第2範囲を検出し、モニタに表示される変位検出信号の波形の中で第2範囲に対応する波形領域を識別可能にモニタに表示させる。これにより、形状測定の異常が発生している第2範囲の位置及び範囲をオペレータに報知することができる。
【0022】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、第2異常判定部が異常有と判定した場合に、警告情報を報知する報知部を備える。これにより、オペレータが異常の発生を認識して、その異常の発生要因の確認を速やかに実行することができる。
【0023】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、記憶制御部は、位置検出センサにより検出された相対位置と、変位検出器により検出された接触子の変位と、カメラにより撮影された撮影画像とを含むデータを、記憶部のバッファメモリに一時記憶させ、バッファメモリに一時記憶させたデータのうち、第2異常判定部により異常有と判定されたデータを記憶部のデータストレージに記憶させる。
【0024】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、相対移動機構が、測定対象物に対して変位検出器を水平方向に相対移動させる。
【0025】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、相対移動機構が、円柱状又は円筒状の測定対象物の周面に接触子を接触させた状態で、測定対象物と変位検出器とを回転中心の周りに相対回転させる。
【0026】
本発明の目的を達成するための形状測定機の制御方法は、測定対象物に接触する接触子を有する変位検出器と、測定対象物に対して変位検出器を相対移動させて測定対象物の被測定面を接触子によりトレースさせる相対移動機構と、を備え、接触子を用いて測定対象物の形状測定を行う形状測定機の制御方法において、測定対象物に対する変位検出器の相対位置を検出する位置検出ステップと、変位検出器により接触子の変位を検出する変位検出ステップと、接触子を撮影して接触子の撮影画像を出力する撮影ステップと、相対移動機構による相対移動が行われている間、位置検出ステップでの相対位置の検出と変位検出ステップでの変位の検出と撮影ステップでの撮影とを含む3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行させる同期制御ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、測定対象物の形状測定の異常発生の原因を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の表面形状測定機の概略図である。
図2】第1実施形態の制御装置の構成を示したブロック図である。
図3】記憶制御部によりデータストレージに記憶される保存データの概略図である。
図4】指定操作に応じたモニタ上での撮影画像の表示を説明するための説明図である。
図5】指定位置の変更操作に応じたモニタ上での撮影画像の表示切替を説明するための説明図である。
図6】表面形状測定機によるワークの表面の形状測定処理の流れを示すフローチャートである。
図7】表面形状測定機における変位検出信号及び撮影画像の表示処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第2実施形態の表面形状測定機の制御装置の構成を示したブロック図である。
図9】第2実施形態においてモニタに表示される変位検出信号の波形及び撮影画像38を説明するための説明図である。
図10】第3実施形態の表面形状測定機の制御装置の構成を示したブロック図である。
図11】異常波形検出部による異常波形の検出の第1例から第3例を説明するための説明図である。
図12】異常判定部による表面の形状測定の異常の有無の判定処理を説明するための説明図である。
図13】第3実施形態の報知制御部による警告情報の報知を説明するための説明図である。
図14】第3実施形態の表面形状測定機による再測定処理及び警告処理の流れを示すフローチャートである。
図15】第4実施形態の表面形状測定機の制御装置の構成を示したブロック図である。
図16】第4実施形態の異常判定部による表面の形状測定の異常の有無の判定処理を説明するための説明図である。
図17】異常判定部が表面の形状測定の異常有と判定した場合に、モニタに表示される変位検出信号の一例を説明するための説明図である。
図18】第4実施形態の報知制御部による警告情報の報知を説明するための説明図である。
図19】真円度測定機の概略図である。
図20】回転テーブル及びワークの回転中に接触子をカメラで撮影することにより得られる効果を説明するための説明図である。
図21】第3の実施形態に係る表面形状測定機の変形例を示すブロック図である。
図22】第4の実施形態に係る表面形状測定機の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本発明の形状測定機に相当する第1実施形態の表面形状測定機10の概略図である。図1に示すように、表面形状測定機10は、ワークWの表面Waの形状測定、具体的には輪郭形状又は表面粗さ等を測定する。ここで、ワークWは本発明の測定対象物に相当し、表面Waは本発明の被測定面に相当する。また、図中の互いに直交するXYZ方向のうちでXY方向を含むXY平面は水平方向に平行な面であり且つZ方向は水平方向に対して垂直な上下方向である。
【0030】
表面形状測定機10は、平板状の測定台12と、コラム14と、検出器移動機構16と、位置検出センサ18と、変位検出器20と、カメラ22と、操作部25と、モニタ27と、制御装置28と、を備える。
【0031】
測定台12のXY平面に平行な上面にはワークWがセットされる。また、測定台12の上面にはZ方向に延びたコラム14が設けられている。このコラム14には、検出器移動機構16がZ方向に移動自在に取り付けられている。
【0032】
検出器移動機構16は、本発明の相対移動機構に相当するものであり、ホルダ17をX方向に移動自在に保持する公知のアクチュエータである。この検出器移動機構16を駆動することで、ワークWに対して変位検出器20(接触子34)をX方向に相対移動させることができる。また、検出器移動機構16には位置検出センサ18が設けられている。
【0033】
位置検出センサ18は、例えばX方向(左右方向)に延びたリニアスケール18aと、このリニアスケール18aを光学的又は磁気的等の各種方法で読み取る読取ヘッド18bとを有する。位置検出センサ18は、検出器移動機構16によりX方向に移動されるホルダ17のX方向の変位(変位方向及び変位量)を検出することで、後述の変位検出器20のX方向位置、すなわちワークWに対する変位検出器20のX方向の相対位置を検出する。そして、位置検出センサ18は、変位検出器20のX方向位置検出結果D1を制御装置28へ出力する。なお、位置検出センサ18として、スケール型検出器以外の公知の検出器を用いてもよい。
【0034】
ホルダ17には、変位検出器20及びカメラ22が設けられている。これにより、変位検出器20は、ホルダ17を介して検出器移動機構16によりX方向に移動自在に保持される。また、変位検出器20は、ホルダ17及び検出器移動機構16を介して、コラム14によりZ方向に位置調整自在に保持される。
【0035】
変位検出器20は、揺動支点30と、アーム32と、接触子34と、変位検出センサ36と、を備える。
【0036】
揺動支点30は、Y方向に平行な回転軸(揺動軸)を中心としてアーム32を揺動自在に支持する。
【0037】
アーム32は、揺動支点30に揺動自在に支持されており、X方向の一方向側(コラム14とは反対側)に延びたアーム先端部32aと、X方向の他方向側に延びたアーム基端部32bと、を備える。
【0038】
アーム先端部32aの先端側には、接触子34(触針又は測定子ともいう)が設けられている。接触子34は表面Waに接触する。接触子34は、アーム32が揺動支点30を中心として揺動することでZ方向に変位する。また、接触子34は、検出器移動機構16により変位検出器20がX方向に移動されることで、表面WaをX方向に沿ってトレース(走査)する。
【0039】
アーム基端部32bは、不図示の付勢部材によりZ方向上方側に付勢される。これにより、アーム先端部32a及び接触子34は、揺動支点30を中心として、Z方向下方側に付勢される。これにより、接触子34が表面Waに接触した状態が維持される。
【0040】
変位検出センサ36は、例えば線形可変差動変圧器(Linear Variable Differential Transformer:LVDT)が用いられる。この場合、変位検出センサ36は、図示は省略するが、アーム基端部32bに設けられたコアと、このコアが挿入されるコイルとを備える。変位検出センサ36は、アーム32及び接触子34の揺動によるZ方向の変位(変位方向及び変位量)を検出して、この変位の検出結果である変位検出結果D2を制御装置28へ出力する。なお、変位検出センサ36として、LVDT以外の公知のセンサ(例えばスケール型のセンサ)を用いてもよい。
【0041】
カメラ22は、ホルダ17に設けられており、接触子34の先端部を連続撮影(動画撮影)し、接触子34の撮影画像38(画像データ)を制御装置28へ逐次出力する。撮影画像38に基づき、表面Waへの埃等の異物59(図4参照)の付着の有無の確認と、表面Waの実形状の確認とを行うことができる。
【0042】
操作部25は、例えばキーボード、マウス、操作パネル、及び操作ボタン等が用いられ、オペレータによる各種操作の入力を受け付ける。
【0043】
モニタ27は、公知の液晶表示ディスプレイ等の各種ディスプレイが用いられる。このモニタ27は、表面形状測定機10による表面Waの形状測定結果である後述の変位検出信号D3(図2参照)、カメラ22による撮影画像38、各種設定画面、及び各種操作画面等を表示する。
【0044】
制御装置28は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置28の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0045】
図2は、第1実施形態の制御装置28の構成を示したブロック図である。図2に示すように、制御装置28には、既述の検出器移動機構16、位置検出センサ18、変位検出器20の変位検出センサ36、カメラ22、操作部25、及びモニタ27等が接続されており、表面形状測定機10の各部の動作を統括制御する。また、制御装置28は、位置検出センサ18による検出と、変位検出センサ36による検出と、カメラ22による撮影とを同期させる。さらに、制御装置28は、上述の検出及び撮影が実行されるごとに、位置検出センサ18により検出された変位検出器20のX方向位置検出結果D1と、変位検出センサ36により検出された接触子34の変位検出結果D2と、カメラ22により撮影された撮影画像38と、を関連付けてデータストレージ50に記憶させる。
【0046】
制御装置28には、駆動制御部40、同期制御部42、信号取得部44、画像取得部46、記憶制御部48、データストレージ50、信号生成部52、ローパスフィルタ54(Low Pass Filter:LPF)、及び表示制御部56が設けられている。
【0047】
駆動制御部40は、検出器移動機構16の駆動を制御する。この駆動制御部40は、操作部25に対する測定開始操作の入力に応じて、検出器移動機構16を駆動して変位検出器20等をX方向に移動させる。これにより、接触子34によりX方向に沿って表面Waがトレースされる、すなわち表面Waの形状測定が実行される。
【0048】
同期制御部42は、検出器移動機構16による変位検出器20のX方向の移動が実行されている間、すなわち表面形状測定機10による表面Waの形状測定が行われている間(以下、単に「表面形状測定中」と略す)、位置検出センサ18と変位検出センサ36とカメラ22とに対して同期信号CLを出力する。この同期信号CLは、位置検出センサ18による検出と、変位検出センサ36による検出と、カメラ22による撮影とを同期させる信号であり、例えばクロック信号が用いられる。これにより、表面形状測定中において、位置検出センサ18による変位検出器20のX方向位置の検出と、変位検出センサ36による接触子34の変位の検出と、カメラ22による接触子34の撮影と、を含む3つの動作(以下、単に「3つの動作」と略す)が同期信号CLにより互いに同期して繰り返し実行される。
【0049】
信号取得部44は、位置検出センサ18及び変位検出センサ36に接続する接続インタフェースである。信号取得部44は、表面形状測定中において、位置検出センサ18からの変位検出器20のX方向位置検出結果D1の取得及び記憶制御部48へのX方向位置検出結果D1の出力を実行し、且つ変位検出センサ36からの接触子34の変位検出結果D2の取得及び記憶制御部48への変位検出結果D2の出力を実行する。
【0050】
画像取得部46は、カメラ22と接続する接続インタフェースである。画像取得部46は、表面形状測定中において、カメラ22からの撮影画像38の取得と記憶制御部48への撮影画像38の出力とを繰り返し行う。
【0051】
図3は、記憶制御部48によりデータストレージ50に記憶される保存データ51の概略図である。図3及び既述の図2に示すように、データストレージ50は、本発明の記憶部に相当するものであり、データを永続的(一時的でも可)に記憶可能な公知の各種記憶媒体(メモリ、ストレージ等)である。
【0052】
記憶制御部48は、表面形状測定中に、データストレージ50に対する保存データ51の記憶を行う。この保存データ51は、表面形状測定中において、同期信号CLに同期した3つの動作で取得されたX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38を関連付けて連続的に記憶したデータである。
【0053】
具体的に記憶制御部48は、同期信号CLに同期して3つの動作が実行されるごとに、位置検出センサ18及び変位検出センサ36から信号取得部44を介して入力されるX方向位置検出結果D1及び変位検出結果D2と、カメラ22から画像取得部46を介して入力される撮影画像38と、を関連付けてデータストレージ50に記憶させる。これにより、3つの動作が実行されるごとに、X方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38が関連付けられた状態でデータストレージ50に繰り返し記憶される。
【0054】
図2に戻って信号生成部52は、データストレージ50の保存データ51を参照して、変位検出器20(接触子34)のX方向位置ごとの接触子34のZ方向の変位、すなわち表面Waの表面形状を示す変位検出信号D3を生成して、この変位検出信号D3をローパスフィルタ54へ出力する。なお、信号生成部52が、表面形状測定中に信号取得部44から直接的且つ連続的にX方向位置検出結果D1及び変位検出結果D2を取得することで、変位検出信号D3を生成してローパスフィルタ54へ出力してもよい。
【0055】
ローパスフィルタ54は、信号生成部52から出力される変位検出信号D3に対し、予め設定されたカットオフ値に基づきローパスフィルタ処理を行い、変位検出信号D3から高周波ノイズを除去する。ローパスフィルタ54から出力された変位検出信号D3は表示制御部56に入力される。
【0056】
表示制御部56は、ローパスフィルタ54から入力される変位検出信号D3をモニタ27に表示させる。また、表示制御部56は、操作部25に対する後述の指定操作の入力に応じて、この指定操作に対応する撮影画像38をモニタ27に表示させる。
【0057】
図4は、指定操作に応じたモニタ27上での撮影画像38の表示を説明するための説明図である。図4の符号4A及び既述の図2に示すように、操作部25は、モニタ27に表示されている変位検出信号D3の波形上の任意の指定位置SPを指定する指定操作の入力を受け付ける。これにより、オペレータは、例えばモニタ27上の変位検出信号D3の波形内に異常波形ERが含まれている場合に、この異常波形ERを指定位置SPとして指定することができる。
【0058】
図4の符号4Bに示すように、最初に表示制御部56は、操作部25に対する指定位置SPの指定操作に基づき、この指定位置SPに対応する変位検出器20のX方向位置を判別する。次いで、表示制御部56は、判別したX方向位置に基づき、データストレージ50を参照してこのX方向位置に対応する撮影画像38を保存データ51から取得する。
【0059】
そして、表示制御部56は、図4の符号4Cに示すように、変位検出信号D3に加えて、保存データ51から取得した撮影画像38をモニタ27に表示させる。これにより、オペレータは、指定位置SPに対応する撮影画像38を確認することができる。ここでいう指定位置SPに対応する撮影画像38とは、指定位置SPに対応する変位検出器20のX方向位置の検出と同期してカメラ22により撮影された撮影画像38を指す。
【0060】
また、表示制御部56は、撮影画像38と共に変位検出信号D3の波形をモニタ27に表示させる場合に、変位検出信号D3の波形上に指定位置SPを示すカーソルCuを重畳表示させる。
【0061】
図5は、指定位置SPの変更操作に応じたモニタ27上での撮影画像38の表示切替を説明するための説明図である。図5の符号5Aに示すように、表示制御部56は、カーソルCu(指定位置SP)をX方向に移動させる指定位置変更操作C1が操作部25に入力された場合、移動後のカーソルCuに対応した変位検出器20のX方向位置を再判別する。次いで、表示制御部56は、図5の符号5Bに示すように、変位検出器20のX方向位置の再判別結果に基づき、このX方向位置に対応する撮影画像38を保存データ51から取得する。
【0062】
そして、表示制御部56は、図5の符号5Cに示すように、保存データ51から取得した撮影画像38に基づきモニタ27上の撮影画像38の表示を更新する。以下、カーソルCu(指定位置SP)の指定位置変更操作C1が実行されるごとに、変位検出器20のX方向位置の再判別と、保存データ51からの撮影画像38の取得と、モニタ27上の撮影画像38の表示更新と、が繰り返し実行される。これにより、オペレータは、所望のカーソルCuの位置(指定位置SP)に対応した撮影画像38を確認することができる。
【0063】
なお、カーソルCuが移動されるごとに、カーソルCuが示す指定位置SPの前後の撮影画像38を連結した連結画像(所謂パノラマ画像)を生成し、この連結画像をモニタ27に表示させてもよい。また、モニタ27に撮影画像38及び変位検出信号D3を同時表示させる代わりに、いずれか一方を選択的に表示させてもよい。
【0064】
[第1実施形態の作用]
図6は、本発明の形状測定機の制御方法に係る表面形状測定機10によるワークWの表面Waの形状測定処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、オペレータは、測定台12にワークWをセットし且つ接触子34の先端を表面Waに接触させた後、操作部25にて測定開始操作を行う。この操作を受けて駆動制御部40が検出器移動機構16を駆動して、変位検出器20をX方向に移動させる(ステップS1)。これにより、表面Waが接触子34によりX方向に沿ってトレースされる。
【0065】
また、測定開始操作に応じて、同期制御部42が位置検出センサ18と変位検出センサ36とカメラ22とに対して同期信号CLを出力する(ステップS2、本発明の同期制御ステップに相当)。これにより、位置検出センサ18による変位検出器20のX方向位置の検出(ステップS3A)と、変位検出センサ36による接触子34の変位の検出(ステップS3B)と、カメラ22による接触子34の撮影(ステップS3C)と、含む3つの動作が同期して実行される。なお、ステップS3Aは本発明の位置検出ステップに相当し、ステップS3Bは本発明の変位検出ステップに相当し、ステップS3Cは本発明の撮影ステップに相当する。
【0066】
次いで、位置検出センサ18が検出したX方向位置検出結果D1及び変位検出センサ36が検出した変位検出結果D2が、信号取得部44を介して記憶制御部48に入力される。また、カメラ22が撮影した撮影画像38が、画像取得部46を介して記憶制御部48に入力される。そして、記憶制御部48が、既述の図3に示したように、互いに同期した3つの動作で取得されたX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38を関連付けて保存データ51に記憶させる(ステップS4)。
【0067】
以下、変位検出器20の移動が終了するまで、ステップS2からステップS4までの処理が繰り返し実行される(ステップS5)。これにより、表面形状測定中に、3つの動作が同期信号CLにより互いに同期して繰り返し実行され、且つ3つの動作が実行されるごとに、X方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38が関連付けられた状態で保存データ51に繰り返し記憶される。
【0068】
図7は、表面形状測定機10における変位検出信号D3及び撮影画像38の表示処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、表面Waの形状測定の完了後、オペレータが操作部25に対して変位検出信号D3の表示操作を実行すると、信号生成部52が保存データ51を参照して変位検出信号D3を生成する。この変位検出信号D3は、ローパスフィルタ54でローパスフィルタ処理が施された後、表示制御部56に入力される。そして、表示制御部56がローパスフィルタ処理後の変位検出信号D3をモニタ27に表示させる(ステップS10)。
【0069】
オペレータは、モニタ27に変位検出信号D3が表示されると、既述の図4に示したように、モニタ27上の変位検出信号D3の任意の指定位置SP(例えば異常波形ER内の任意点)を指定する指定操作を操作部25に入力する(ステップS11)。この操作を受けて表示制御部56が、指定位置SPに対応する変位検出器20のX方向位置を判別し(ステップS12)、このX方向位置に対応する撮影画像38を保存データ51から取得する(ステップS13)。
【0070】
次いで、表示制御部56が、変位検出信号D3と保存データ51から取得した撮影画像38とをモニタ27に表示させると共に、変位検出信号D3の波形上にカーソルCuを重畳表示させる(ステップS14)。これにより、オペレータは、異常波形ERを指定位置SPとして指定した場合には、指定位置SPに対応する撮影画像38に基づき、この異常波形ERの発生原因が表面Waに付着した異物59によるものであるか或いは表面Waについた傷に起因するものであるかを容易に判定することができる。
【0071】
次いで、オペレータが、既述の図5に示したように、操作部25にてカーソルCuの指定位置変更操作C1を実行すると、既述のステップS12からステップS14の処理が繰り返し実行されることで、位置変更後のカーソルCuの位置(指定位置SP)に対応した撮影画像38がモニタ27に表示される(ステップS15)。これにより、オペレータは、異常波形ERの前後で撮影された撮影画像38を確認することができるので、異常波形ERの発生原因を容易に検出することができる。
【0072】
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態では、表面形状測定中において、3つの動作(X方向位置の検出、接触子34の変位の検出、接触子34の撮影)を互いに同期させて繰り返し実行することで、3つの動作が実行されるごとにX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38を関連付けて保存データ51に記憶させることができる。その結果、変位検出信号D3の波形上の所望の位置に対応する撮影画像38をオペレータが確認することができるので、表面Waの形状測定の異常発生の原因を効率的且つ容易に検出することができる。
【0073】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の表面形状測定機10の制御装置28の構成を示したブロック図である。図9は、第2実施形態においてモニタ27に表示される変位検出信号D3の波形及び撮影画像38を説明するための説明図である。なお、第2実施形態の表面形状測定機10は、モニタ27での変位検出信号D3の表示方法が異なる点を除けば上記第1実施形態と基本的に同じ構成であるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0074】
上記第1実施形態の表示制御部56は、ローパスフィルタ54によるローパスフィルタ処理後の変位検出信号D3をモニタ27に表示させている。この場合には、変位検出信号D3の波形から表面Waに付着した異物59等に起因する波形の突起形状(偽形状)を判別することは困難である。
【0075】
そこで、図8及び図9の符号9Aに示すように、第2実施形態の表示制御部56は、ローパスフィルタ54によるローパスフィルタ処理前後の変位検出信号D3をモニタ27に重畳表示させる重畳表示モードを有している。これにより、ローパスフィルタ処理によって判別が困難となる上述の偽形状を容易に判別することができる。
【0076】
そして、図9の符号9B及び符号9Cに示すように、変位検出信号D3の波形上で偽形状が発生している位置にカーソルCu(指定位置SP)を設定することで、その付近の撮影画像38をモニタ27に表示させることができる。これにより、表面Waの形状測定の異常発生の原因をより高精度に特定することができるので、この形状測定の信頼性を高めることができる。
【0077】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の表面形状測定機10の制御装置28の構成を示したブロック図である。この第3実施形態の表面形状測定機10は、変位検出信号D3に基づき表面Waの形状測定の異常の有無を判定し、形状測定の異常有と判定した場合に表面Waの形状の再測定を実行する。
【0078】
第3実施形態の表面形状測定機10は、制御装置28に異常波形検出部60、異常判定部62、再測定制御部64、及び報知制御部66が設けられている点を除けば上記各実施形態と基本的に同じ構成であるので、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0079】
異常波形検出部60は、信号生成部52が生成した変位検出信号D3の波形から異常波形ERを検出する。
【0080】
図11は、異常波形検出部60による異常波形ERの検出の第1例から第3例を説明するための説明図である。
【0081】
図11の符号XIAに示すように、第1例において異常波形検出部60は、変位検出信号D3に基づき、接触子34のZ方向の変位量が予め定められた異常判定閾値ETよりも大きくなるか或いは正常範囲NR内(異常判定閾値ET内)に収まるかに基づき、異常波形ERの発生の有無を判定する。そして、異常波形検出部60は、異常波形ERの発生有と判定した場合に、異常波形ERのX方向位置の範囲を示す範囲情報67(本発明の第1範囲に相当)を異常判定部62へ出力する。
【0082】
図11の符号XIBに示すように、第2例において異常波形検出部60は、変位検出信号D3に基づき、接触子34のZ方向の変位量が異常判定閾値ETを超える状態が所定期間以上だけ連続した場合に異常波形ERの発生有と判定し、異常波形ERの範囲情報67を異常判定部62へ出力する。これにより、変位検出信号D3のノイズにより異常波形ERの発生有との誤検出を行うことが防止される。
【0083】
図11の符号XICに示すように、第3例において異常波形検出部60は、変位検出信号D3に基づき、接触子34のZ方向の変位量の移動平均線MAを演算する。そして、異常波形検出部60は、移動平均線MAからの変位量の偏差が異常判定閾値ETを超えた状態から元の状態(異常判定閾値ET内の状態)に戻った場合に異常波形ERの発生有と判定し、異常波形ERの範囲情報67を異常判定部62へ出力する。これにより、変位検出信号D3のドリフトと異常波形ERとを区別することができ、異常波形検出部60の検出精度を向上させることができる。
【0084】
図12は、異常判定部62による表面Waの形状測定の異常の有無の判定処理を説明するための説明図である。図12に示すように、異常判定部62は、本発明の第1異常判定部に相当するものであり、異常波形検出部60から入力される異常波形ERの範囲情報67に基づき、保存データ51(撮影画像38)を参照して、表面Waの形状測定の異常の有無を判定する。
【0085】
具体的には、異常判定部62は、異常波形検出部60から入力された範囲情報67に基づき、この範囲情報67が示す変位検出器20のX方向位置(範囲)に対応する撮影画像38、すなわち異常波形ERの発生箇所に対応する撮影画像38を保存データ51から取得する。そして、異常判定部62は、異常波形ERの発生箇所に対応する撮影画像38を公知の手法(パターンマッチング法等)で画像解析して、撮影画像38内に異物59或いは傷(図示は省略)の像が含まれるか否かに基づき、表面Waの形状測定の異常の有無を判定する。
【0086】
図10に戻って、再測定制御部64は、異常判定部62が形状測定の異常有と判定した場合に、駆動制御部40を介して検出器移動機構16を駆動して変位検出器20をX方向に移動させることで、表面Waの被測定領域をX方向に沿って接触子34で再トレースする再測定を実行する。これにより、上記各実施形態と同様に上述の3つの動作が互いに同期して繰り返し実行され、且つ3つの動作が実行されるごとにX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38を関連付けて保存データ51に記憶させることができる。なお、本実施形態では、表面Waの被測定領域の全領域を再測定しているが、範囲情報67に基づき被測定領域の中で異常波形ERの発生箇所のみを再測定してもよい。
【0087】
再測定制御部64により再測定が実行されると、上述の信号生成部52による変位検出信号D3の生成と、異常波形検出部60による異常波形ERの検出と、異常判定部62による判定とが繰り返し実行される。以下、異常判定部62が形状測定の異常有と判定するごとに、後述の一定回数の範囲内において、再測定制御部64による再測定と、信号生成部52による変位検出信号D3の生成と、異常波形検出部60による異常波形ERの検出と、異常判定部62による判定と、が繰り返し実行される。
【0088】
図13は、第3実施形態の報知制御部66による警告情報68の報知を説明するための説明図である。図13及び既述の図10に示すように、報知制御部66は、モニタ27と共に本発明の報知部を構成する。この報知制御部66は、再測定制御部64による再測定の実行回数が予め定められた一定回数を超える場合に、その旨を示す警告情報68をモニタ27に表示させる。これにより、ワークW(表面Wa)の形状測定の異常発生をオペレータに報知することができる。なお、警告情報68をモニタ27に表示させる代わりに、或いは警告情報68をモニタ27に表示させると共に、この警告情報68を不図示のスピーカ(報知部に相当)から音声出力させてもよい。
【0089】
図14は、第3実施形態の表面形状測定機10による再測定処理及び警告処理の流れを示すフローチャートである。なお、ステップS1からステップS5までのワークWの表面Waの形状測定の流れは既述の図6に示した第1実施形態と同様であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0090】
初回の表面Waの形状測定が完了すると、信号生成部52が保存データ51を参照して変位検出信号D3を生成する(ステップS21)。変位検出信号D3の生成が完了すると、異常波形検出部60が、既述の図11に示したように、変位検出信号D3の波形から異常波形ERの検出を行い、変位検出信号D3に異常波形ERが含まれている場合にはその範囲情報67を異常判定部62へ出力する(ステップS22)。
【0091】
次いで、異常判定部62が、異常波形検出部60から入力された範囲情報67に基づき、既述の図12に示したように異常波形ERの発生箇所に対応する撮影画像38を保存データ51から取得する(ステップS23)。そして、異常判定部62が、公知の画像解析法を用いて撮影画像38内に異物59或いは傷(図示は省略)の像が含まれるか否かを判定することで、表面Waの形状測定の異常の有無を判定する(ステップS24)。
【0092】
異常判定部62が形状測定の異常有と判定した場合(ステップS24でYES、ステップS25でNO)、再測定制御部64が、駆動制御部40を介して検出器移動機構16を駆動することで表面Waの形状の再測定を実行する(ステップS26)。これにより、上述の3つの動作が互いに同期して繰り返し実行され、且つ3つの動作が実行されるごとにX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38を関連付けて保存データ51に記憶させることができる。
【0093】
再測定が完了すると、ステップS21からステップS24までの処理が繰り返し実行される。異常判定部62が形状測定の異常有と判定し且つ再測定の回数が上述の一定回数未満である場合には、再びステップS26、S21~S24の処理が繰り返し実行される(ステップS24でYES、ステップS25でNO)。以下、再測定の回数が一定回数に達するまでは、異常判定部62が形状測定の異常有と判定するごとに上述の処理が繰り返し実行される。表面Waに付着した異物59に起因する偽形状が変位検出信号D3に発生する場合においても、再測定を繰り返し実施することで偽形状を測定結果として採用するリスクが低減される。
【0094】
報知制御部66は、再測定の回数が一定回数を超える場合には、既述の図13に示したようにその旨を示す警告情報68をモニタ27に表示させる警告表示を行う(ステップS25でYES、ステップS27)。これにより、表面Waの形状測定の異常の発生をオペレータに報知することができる。その結果、オペレータが異常の発生を認識して、その異常の発生要因の確認を速やかに実行することができる。
【0095】
以上のように第3実施形態では、変位検出信号D3の波形に基づき表面Waの形状測定の異常の有無を判定し、形状測定に異常が発生している場合には再測定を行うことで、この異常が表面Waの実形状に起因するのか或いは外的な環境要因(異物59等)に起因するのかをより正確に判別することができる。
【0096】
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態の表面形状測定機10の制御装置28の構成を示したブロック図である。上記第3実施形態の異常判定部62は、変位検出信号D3に基づき表面Waの形状測定の異常の有無を判定しているが、第4実施形態の異常判定部62は、保存データ51に記憶されている撮影画像38に基づき形状測定の異常の有無を判定する。
【0097】
図15に示すように、第4実施形態の表面形状測定機10は、上記第4実施形態の表面形状測定機10と基本的に同じ構成であるので、上記第3実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0098】
図16は、第4実施形態の異常判定部62(本発明の第2異常判定部に相当)による表面Waの形状測定の異常の有無の判定処理を説明するための説明図である。
【0099】
図16及び既述の図15に示すように、第4実施形態の異常判定部62は、保存データ51内に記憶されている各撮影画像38を個々に第3実施形態と同様の公知の手法で画像解析する。具体的には異常判定部62は、保存データ51内の撮影画像38ごとに、撮影画像38内に異物59或いは傷(図示は省略)の像が含まれるか否かに基づき、形状測定の異常の有無を判定する。これにより、異常判定部62が形状測定の異常有と判定した場合には、上記第4実施形態と同様に再測定制御部64により再測定が実行される。なお、表面Waの被測定領域の全てを再測定してもよいし、或いは後述の範囲情報67Aに基づき被測定領域の中で異常波形ERの発生箇所のみを再測定してもよい。
【0100】
また、異常判定部62は、表面Waの形状測定の異常有と判定した場合、保存データ51を参照して、形状測定の異常有と判定した撮影画像38に対応する変位検出器20のX方向位置の範囲を示す範囲情報67A(本発明の第2範囲に相当)を生成する。そして、異常判定部62は、範囲情報67Aを表示制御部56に出力する。
【0101】
さらに、異常判定部62は、表面Waの形状測定の異常有と判定した場合、既述の範囲情報67Aに基づき、信号生成部52が生成した変位検出信号D3の中から範囲情報67Aに対応する異常波形ERのデータを抽出する。さらにまた、異常判定部62は、形状測定の異常有と判定した撮影画像38の画像解析結果に基づき、形状測定の異常の内容(例えば異物59の付着等)を示す異常内容情報69を生成する。そして、異常判定部62は、範囲情報67A、異常波形ERのデータ、異常内容情報69、及び形状測定の異常有と判定した撮影画像38を含む警告情報70(図18参照)を生成して、この警告情報70を報知制御部66へ出力する。
【0102】
図17は、異常判定部62が表面Waの形状測定の異常有と判定した場合に、モニタ27に表示される変位検出信号D3の一例を説明するための説明図である。図17に示すように、表示制御部56は、異常判定部62が形状測定の異常有と判定した場合に、変位検出信号D3をモニタ27に表示させる。
【0103】
また、この際に表示制御部56は、異常判定部62から入力された範囲情報67Aに基づき、モニタ27に表示される変位検出信号D3の波形の中で範囲情報67Aに対応する波形領域WRを識別可能に表示、例えば着色表示等する。これにより、形状測定の異常が発生している範囲情報67Aの位置及び範囲をオペレータに報知することができる。なお、波形領域WRを識別可能であればその表示態様については特に限定はされない。
【0104】
図18は、第4実施形態の報知制御部66による警告情報70の報知を説明するための説明図である。図18に示すように、第4実施形態の報知制御部66は、異常判定部62が表面Waの形状測定の異常有と判定した場合に、この異常判定部62から入力される警告情報70に基づき、表示制御部56を制御してモニタ27に警告情報70を表示させる。これにより、表面Waの形状測定の異常の発生と、その異常の発生位置(範囲)及び内容と、異常波形ERと、異常発生箇所の撮影画像38と、をオペレータに通知することができる。
【0105】
以上のように第4実施形態では、データストレージ50(保存データ51)に記憶されている撮影画像38に基づき形状測定の異常の有無を判定可能であるので、上記第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0106】
[第5実施形態]
図19は、本発明の形状測定機に相当する真円度測定機100の概略図である。図19に示すように、真円度測定機100(円筒形状測定機を含む)は、接触子132を用いて円柱状又は円筒状のワークWの周面Wb(外周面、内周面)の真円度の測定を行う。なお、周面Wbは被測定面に相当する。
【0107】
真円度測定機100は、測定台102と、回転テーブル104と、モータ106と、回転角度検出センサ108と、コラム110と、水平アーム112と、変位検出器114と、カメラ116と、操作部118と、モニタ120と、制御装置122と、を備える。
【0108】
測定台102は、真円度測定機100の各部を支持する支持台(基台)である。測定台102の上面側には、回転テーブル104とコラム110とが設けられている。また、測定台102の内部には、モータ106及び回転角度検出センサ108が設けられている。
【0109】
回転テーブル104の上面にはワークWが載置される。この回転テーブル104は、Z方向に平行な回転中心RC(回転軸)を中心として回転自在に測定台102に設けられている。
【0110】
モータ106は、本発明の相対移動機構に相当するものであり、後述の制御装置122の制御の下、回転中心RCを中心として回転テーブル104を回転させる。このように回転テーブル104を回転させることで、周面Wbに対しその周方向(以下、単にワーク周方向という)に沿って変位検出器114(接触子132)を相対移動させることができる。
【0111】
回転角度検出センサ108は、本発明の位置検出センサに相当するものであり、例えばロータリエンコーダが用いられる。この回転角度検出センサ108は、回転テーブル104の回転角度を検出することで、周面Wbに対する変位検出器114のワーク周方向の相対位置を検出する。そして、回転角度検出センサ108は、回転テーブル104の回転角度検出結果Dθを制御装置122へ出力する。
【0112】
コラム110は、測定台102の上面で且つ回転テーブル104からX方向側にシフトした位置に設けられており、Z方向に延びた形状を有している。このコラム110は、不図示のキャリッジを介して水平アーム112をZ方向及びX方向に移動自在に保持している。この水平アーム112の先端部には、変位検出器114が取り付けられている。
【0113】
変位検出器114は、アーム130と、接触子132と、変位検出センサ134と、を備える。アーム130は、変位検出器114においてY方向に平行な支点に揺動自在に支持されている。
【0114】
接触子132は、アーム130の先端部に設けられており、周面Wbに接触する。本実施形態の接触子132は、アーム130が揺動することで図中の矢印AXに示すようにX方向に変位する。また、接触子132は、モータ106により回転テーブル104及びワークWが変位検出器114に対して相対回転されることで、周面Wbをワーク周方向に沿ってトレース(走査)する。
【0115】
変位検出センサ134は、例えば上記各実施形態の変位検出センサ36と同様の線形可変差動変圧器或いはスケール型センサであり、接触子132のX方向の変位を検出してその変位検出結果D2を制御装置122へ出力する。
【0116】
カメラ116は、水平アーム112に設けられており、接触子132の先端部を連続撮影(動画撮影)し、接触子132の撮影画像38を制御装置122へ逐次出力する。
【0117】
操作部118は、例えばキーボード、マウス、操作パネル、及び操作ボタン等が用いられ、オペレータによる各種操作の入力を受け付ける。
【0118】
モニタ120は、公知の液晶表示ディスプレイ等の各種ディスプレイが用いられる。このモニタ120は、周面Wbの形状測定結果である変位検出信号D3、カメラ116による撮影画像38、各種設定画面、及び各種操作画面等を表示する。
【0119】
制御装置122は、真円度測定機100の各部の動作を統括制御する。この制御装置122は、上記各実施形態の制御装置28と基本的に同じ構成であり、回転角度検出センサ108による検出と、変位検出センサ134による検出と、カメラ116による撮影とを含む3つの動作を同期させる。さらに、制御装置28は、互いに同期した3つの動作が実行されるごとに、回転角度検出センサ108により検出された回転角度検出結果Dθと、変位検出センサ134により検出された接触子132の変位検出結果D2と、カメラ116により撮影された撮影画像38と、を関連付けてデータストレージ50(図2参照)に記憶させる。
【0120】
また、制御装置122は、回転テーブル104の回転角度位置ごとの接触子132のX方向の変位、すなわち周面Wbの表面形状(真円度)を示す変位検出信号D3を生成してモニタ120に表示させる。さらに、制御装置122は、操作部118にてモニタ120に表示される変位検出信号D3の任意の指定位置SPを指定する指定操作がなされた場合に、この指定位置SPに対応する撮影画像38をモニタ120に表示させる。
【0121】
以上のように第5実施形態の真円度測定機100においても3つの動作を互いに同期させて繰り返し実行することで、3つの動作が実行されるごとに回転角度検出結果Dθ、変位検出結果D2、及び撮影画像38を関連付けて保存データ51に記憶させることができる。その結果、上記各実施形態と同様の効果が得られる。また、上記第2実施形態と同様にローパスフィルタ処理前後の変位検出信号D3をモニタ120に表示させてもよい。さらに、上記第3実施形態及び第4実施形態と同様に、周面Wbの形状測定の異常の有無を判定し、異常有の場合には再測定、報知、及び警告表示等を実行してもよい。
【0122】
図20は、回転テーブル104及びワークWの回転中に接触子132をカメラ116で撮影することにより得られる効果を説明するための説明図である。図20に示すように、仮に周面Wbに異物59が付着していた場合には、回転テーブル104等の回転角度ごとに撮影された各撮影画像38内において、異物59の像が矢印AYに示す方向に沿って移動する。この際、異物59の像は、接触子132に接触する位置でピントが合い、逆に接触子132に対して左右方向(Y方向)にずれた位置でぼける。そして、異物59の像のぼけ量は、接触子132を基準とする左右位置において同等のぼけ量となる。従って、各撮影画像38内の異物59の像の大きさ(ぼけ量)に基づき、接触子132が異物59を乗り越えた位置(回転角度)を判別することができる。
【0123】
[変形例]
なお、上記の実施形態では、3つの動作が実行されるごとに、X方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38が関連付けられた保存データ51をデータストレージ50に繰り返し記憶していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、3つの動作が実行されるごとに得られた保存データ51をバッファメモリ(例えば、リングバッファメモリ等)に一時記憶しておく。そして、バッファメモリに一時記憶した保存データ51のうちの一部のみ(例えば、異常判定部62により異常有と判定された保存データ51のみ)を選択的にデータストレージ50に記憶するようにしてもよい。
【0124】
[変形例1]
図21は、本発明の第3の実施形態に係る表面形状測定機の変形例を示すブロック図である。なお、図21には、表面形状測定機10の構成要素のうち、記憶制御に関するもののみを図示しており、以下の説明では、記憶制御に関する説明のみを行い、その他の構成についての説明を省略する。
【0125】
図21に示すように、変形例1に係る表面形状測定機10は、リングバッファメモリ200Aから200Cを備えている。
【0126】
リングバッファメモリ200Aから200Cは、それぞれ本発明の記憶部の構成要素であるバッファメモリに相当するものであり、所謂リングバッファ形式でデータの記憶が可能な記憶媒体(メモリ、ステージ等)である。
【0127】
リングバッファメモリ200Aから200Cは、n個(n>1)の保存領域A1からAnを含んでいる。
【0128】
信号取得部44は、3つの動作が実行されるごとに、位置検出センサ18及び変位検出センサ36からそれぞれ取得したX方向位置検出結果D1及び変位検出結果D2を、それぞれリングバッファメモリ200A及び200Bの保存領域A1からAnに順次記憶させる。
【0129】
画像取得部46は、3つの動作が実行されるごとに、カメラ22から取得した撮影画像38をリングバッファメモリ200Cの保存領域A1からAnに順次記憶させる。
【0130】
そして、リングバッファメモリ200Aから200Cにおいて、保存領域Anにデータ(D1、D2及び38)が記憶されると、その次に取得したデータ(D1、D2及び38)、保存領域A1に記憶(上書き記憶)される。
【0131】
このように、リングバッファメモリ200Aから200Cには、3つの動作が実行されるごとに得られたデータ(D1、D2及び38)のうち、最新の一定期間のデータが保存される。
【0132】
信号生成部52は、リングバッファメモリ200A及び200Bに一時記憶されたX方向位置検出結果D1及び変位検出結果D2を参照して、変位検出器20(接触子34)のX方向位置ごとの接触子34のZ方向の変位、すなわち、表面Waの表面形状を示す変位検出信号D3を生成する。
【0133】
異常波形検出部60は、信号生成部52が生成した変位検出信号D3の波形から異常波形ERを検出する。異常波形検出部60は、異常波形ERの発生有と判定した場合に、異常波形ERのX方向位置の範囲を示す範囲情報67(第1範囲)を異常判定部62へ出力する(図11参照)。
【0134】
異常判定部(第1異常判定部)62は、異常波形検出部60から入力された範囲情報67に基づき、この範囲情報67が示す変位検出器20のX方向位置(範囲)に対応する撮影画像38、すなわち、異常波形ERの発生箇所に対応する撮影画像38をリングバッファメモリ200Cから取得して画像解析する。そして、異常判定部62は、表面Waの形状測定の異常有と判定した場合、リングバッファメモリ200Aから200Cを参照して、形状測定の異常有と判定した撮影画像38に対応する変位検出器20のX方向位置の範囲を示す範囲情報67を生成し、記憶制御部48に出力する。
【0135】
記憶制御部48は、リングバッファメモリ200Aから200Cに一時記憶されたデータのうち、範囲情報67に対応するX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38が関連付けられた保存データ51をデータストレージ50に記憶させる。
【0136】
変形例1によれば、測定対象物の形状測定の異常発生の原因を検出する際に、データストレージ50に記憶される保存データ51を最小限にすることができるので、表面形状測定機10の低コスト化が可能となる。
【0137】
[変形例2]
図22は、本発明の第4の実施形態に係る表面形状測定機の変形例を示すブロック図である。なお、図22には、表面形状測定機10の構成要素のうち、記憶制御に関するもののみを図示しており、以下の説明では、記憶制御に関する説明のみを行い、その他の構成についての説明を省略する。
【0138】
図22に示すように、変形例2に係る表面形状測定機10は、変形例1と同様に、リングバッファメモリ200Aから200Cを備えている。リングバッファメモリ200Aから200Cには、それぞれX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38が一時記憶される。
【0139】
異常判定部(第2異常判定部)62は、リングバッファメモリ200Cに一時記憶された撮影画像38を画像解析する。異常判定部62は、表面Waの形状測定の異常有と判定した場合、リングバッファメモリ200Aから200Cを参照して、形状測定の異常有と判定した撮影画像38に対応する変位検出器20のX方向位置の範囲を示す範囲情報67A(第2範囲)を生成し、記憶制御部48に出力する。
【0140】
記憶制御部48は、リングバッファメモリ200Aから200Cに一時記憶されたデータのうち、範囲情報67Aに対応するX方向位置検出結果D1、変位検出結果D2、及び撮影画像38が関連付けられた保存データ51をデータストレージ50に記憶させる。
【0141】
変形例2によれば、測定対象物の形状測定の異常発生の原因を検出する際に、データストレージ50に記憶される保存データ51を最小限にすることができるので、表面形状測定機10の低コスト化が可能となる。
【0142】
[その他]
上記各実施形態では、制御装置28にデータストレージ50が内蔵されているが、データストレージ50が表面形状測定機10と別体(例えば外部のサーバ或いはデータベース)に設けられていてもよい。
【0143】
上記第1実施形態から第4実施形態では、表面形状測定機10による表面Waの形状測定時に変位検出器20をX方向に移動させているが、測定台12及びワークWをX方向に移動させてもよい。すなわち変位検出器20とワークWとをX方向に相対移動可能であればその移動方法は特に限定はされない。また、第5実施形態においてワークWを回転させる代わりに、回転中心RCを中心として変位検出器114を回転させてもよい。
【0144】
上記各実施形態ではXY平面が水平面に平行であるが、水平面に対して非平行であってもよい。
【0145】
上記第1実施形態から第4実施形態では、据置型の表面形状測定機10を例に挙げて説明したが、ハンディタイプの表面形状測定機10にも本発明を適用可能である。
【0146】
上記各実施形態では、同期制御部42から出力される同期信号CLに基づき、位置検出センサ18による検出と、変位検出センサ36による検出と、カメラ22による撮影とを同期させているが、位置検出センサ18、変位検出センサ36、及びカメラ22のいずれかを同期制御部42として機能させてもよい。この場合、位置検出センサ18、変位検出センサ36、及びカメラ22のいずれかの動作タイミングを同期信号CL(トリガ)として他の2つを動作させる。
【0147】
上記各実施形態では表面形状測定機10及び真円度測定機100を例に挙げて説明したが、本発明はワーク(測定対象物)に接触する接触子を用いてワーク又はその各種被測定面の形状測定を行う各種の形状測定機に適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
10 表面形状測定機
12 測定台
14 コラム
16 検出器移動機構
17 ホルダ
18 位置検出センサ
18a リニアスケール
18b 読取ヘッド
20 変位検出器
22 カメラ
25 操作部
27 モニタ
28 制御装置
30 揺動支点
32 アーム
32a アーム先端部
32b アーム基端部
34 接触子
36 変位検出センサ
38 撮影画像
40 駆動制御部
42 同期制御部
44 信号取得部
46 画像取得部
48 記憶制御部
50 データストレージ
51 保存データ
52 信号生成部
54 ローパスフィルタ
56 表示制御部
59 異物
60 異常波形検出部
62 異常判定部
64 再測定制御部
66 報知制御部
67 範囲情報
67A 範囲情報
68 警告情報
69 異常内容情報
70 警告情報
100 真円度測定機
102 測定台
104 回転テーブル
106 モータ
108 回転角度検出センサ
110 コラム
112 水平アーム
114 変位検出器
116 カメラ
118 操作部
120 モニタ
122 制御装置
130 アーム
132 接触子
134 変位検出センサ
200A リングバッファメモリ
200B リングバッファメモリ
200C リングバッファメモリ
C1 指定位置変更操作
CL 同期信号
Cu カーソル
D1 X方向位置検出結果
D2 変位検出結果
D3 変位検出信号
Dθ 回転角度検出結果
ER 異常波形
ET 異常判定閾値
MA 移動平均線
NR 正常範囲
RC 回転中心
SP 指定位置
W ワーク
WR 波形領域
Wa 表面
Wb 周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22