IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特開2023-174984半導体デバイスの欠陥検出装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174984
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】半導体デバイスの欠陥検出装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181884
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2021131177の分割
【原出願日】2015-12-04
(31)【優先権主張番号】62/088,284
(32)【優先日】2014-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/154,109
(32)【優先日】2015-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリフォート トム
(72)【発明者】
【氏名】トルエンス カール
(72)【発明者】
【氏名】ウッターズ クリストフ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB06
2G051AB08
2G051BA06
2G051CA03
2G051CB02
2G051DA07
(57)【要約】
【課題】個片化ワークピースにおける側面欠陥及び内部欠陥を高分解能で検出する装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1個の光源18を設け、ワークピース2が透明になる波長域の照明光をその光源で生成する。カメラ6が、レンズによって、ワークピース2の少なくとも一面からの光を自カメラの検出器26上にイメージングする。ステージを用いワークピース2を動かし、ワークピース2の少なくとも一面をカメラ6で以て完全にイメージングする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの欠陥検出方法であって、
ある波長域の照明を生成するステップと、
前記照明の1部を前記半導体デバイスの頂面に対して斜角で方向付け、前記半導体デバイスの前記頂面を透過して前記半導体デバイスの側面に向けて伝搬して前記側面の1つまたは複数の欠陥を検査するようにするステップと、
前記半導体デバイスの前記頂面を通って出射する照明をカメラで収集するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記カメラがレンズと検出器を備える、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記検出器は1つまたは複数のセンサを備え、前記カメラは、前記半導体デバイスの頂面から出射する照明を前記レンズを介して前記センサでイメージングする、
方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、さらに、
光学システムによって、前記半導体デバイスの側面から出射する照明の像を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記光学システムが、前記半導体デバイスの側面から撮像した像と、前記半導体デバイスの前記頂面からの像とが同時に集束するように構成される、
方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、さらに、
少なくとも1つの光源からの照明を、前記半導体デバイスの側面及び前記半導体デバイスの頂面に別々に結合させるステップを含む。
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
光源と、前記半導体デバイスの頂面または側面の少なくともいずれかとの間に光導波路が配置される、
方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記照明の前記波長域が赤外線を含む、
方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記半導体デバイスは個片化半導体デバイスを含む、方法。
【請求項10】
半導体デバイスの欠陥検出装置であって、
ある波長域の照明を提供するように構成された少なくとも1つの光源であって、前記照明の1部を前記半導体デバイスの頂面に対して斜角で方向付けて前記半導体デバイスの頂面を透過し前記半導体デバイスの側面に向けて伝搬して前記側面の1つまたは複数の欠陥を検査するように構成された少なくとも1つの光源と、
前記半導体デバイスの前記頂面を通って出射する前記照明を収集するカメラと、
を備える装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
前記カメラは、前記半導体デバイスの前記頂面から出射し収集された前記照明に基づき、前記半導体デバイス内の1つまたは複数の欠陥をイメージングするように構成される、
装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光源が、前記半導体デバイスの前記頂面から出射する前記照明が前記半導体デバイスの前記頂面に向けられる光と同軸になるように配列されている、
装置。
【請求項13】
請求項10に記載の装置において、さらに、
光導波路を備え、前記光導波路は、前記少なくとも1つの光源からの前記照明を前記半導体デバイスの各側面に案内する、
装置。
【請求項14】
請求項10に記載の装置において、
前記カメラがレンズと1つまたは複数のセンサを含む、
装置。
【請求項15】
請求項10に記載の装置において、さらに
前記半導体デバイスの側面から出射する照明の1つまたは複数の像を形成するように構成される光学システム、
を備える装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、
前記光学システムの先端は1つまたは複数のミラーを含み、前記1つまたは複数のミラーは、前記半導体デバイスの頂面の1部からの照明、及び前記半導体デバイスの側面から出射した照明を集光する、
装置。
【請求項17】
請求項10に記載の装置において、
前記半導体デバイスは個片化半導体デバイスを含む、
装置。
【請求項18】
請求項10に記載の装置において、
前記照明の前記波長域が赤外線を含む、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークピース欠陥検出装置に関する。更に、本発明はワークピース欠陥検出方法に関する。加えて、本発明は非一時的コンピュータ可読媒体上に配されたコンピュータプログラム製品、特にワークピースにおける欠陥検出のためコンピュータを制御するよう動作させうるコンピュータ可実行処理ステップで構成される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は2014年12月5日付米国暫定特許出願第62/088284号及び2015年4月28日付米国暫定特許出願第62/154109号に基づく優先権を主張するものであり、この参照を以て両暫定特許出願の全容を本願に繰り入れることとする。
【0003】
例えば、特許文献1では半導体チップ向け赤外線試験が開示されている。この試験は、半導体チップの底面上に向け赤外線を輻射し、ボンディングパッドから反射されてくる赤外線を受光し、更にそのボンディングパッドの画像をモニタ上に表示させることによって実行される。赤外線から得られるこの画像には、ボンディングパッド自体に又はシリコン基板のうちボンディングパッド下の部分に欠陥があるか、或いはバンプに対するボンディングパッドのずれがあるか否か、という情報が含まれている。
【0004】
特許文献2では、そのバンドギャップが1.12eV超である半導体素材の内部欠陥を検出するのに主に使用される検出装置が開示されている。半導体素材の内部欠陥を検出するこの検出装置は、光学顕微鏡、赤外CCDカメラ、ビデオケーブル、シミュレーション画像モニタ、ディジタル画像収集カード、コンピュータ、並びに解析処理・表示用ソフトウェアで構成されている。
【0005】
加えて、特許文献3では、土地の温度分布の熱ダイアグラムフォームを記録する光電的方法であり、赤外ラインスキャンシステムを航空機にて使用するものが開示されている。本装置では、窓越しに熱輻射を受け取るロータリスキャニングミラーシステムが利用されている。このミラーシステムは4個の反射性側面を有するシステムであり、電動モータによってある軸周りで回される。輻射はミラーによってIRレンズへ、更には行をなす光電的レシーバ素子へと差し向けられる。レシーバ素子の行はミラーシステムの回動軸に対し平行であり、各レシーバ素子は、複数個ある発光ダイオードのうち対応するものに、リード線及び増幅デバイスにより個々接続されている。
【0006】
特許文献4ではウェハの微小構造化サンプルを解析する装置が開示されている。この装置の目的は同装置の潜在的用途を増やすこと、なかでも両側が構造化されているが被覆又は介在素材が透明でないためVISやUVにてその構造が見えないウェハ等の構造的詳細を示せるようにすることである。就中、IR像におけるコントラストを顕著に向上させる透視照明を発生させつつIR光を反射光として使用することで、反射又は透過IR光と反射可視光とで同時にそのサンプルを示せるようにしている。
【0007】
典型的な欠陥としては、ダイシングプロセスにより生じる側面クラックや、デバイス内の誘電体層・シリコン構造間に内部応力により生じる埋入クラックがある。
【0008】
図1に、四側面又は五側面検査を実行することで半導体デバイス2の側面欠陥9を探す従来方法を示す。半導体デバイス2は第1側面3、第2側面3、第3側面3、第4側面3、頂面4及び底面5を有している。図1のセットアップでは、レンズ7付きのカメラ6が半導体デバイス2の底面5を観望している。ミラー8が、半導体デバイス2の第1側面3、第2側面3、第3側面3及び第4側面3それぞれに対し45°を以て配置されている。図1では、ミラー8として、半導体デバイス2の第2側面3及び第4側面3に対し配置されているもののみを示してある。
【0009】
図1のセットアップを用い得られるのは、第1側面3、第2側面3、第3側面3、第4側面3及び底面5それぞれの像10(図2参照)である。加えて、図1のセットアップには大きな欠点がある。底面5ビューの光学長11が、第1側面3ビュー、第2側面3ビュー、第3側面3ビュー及び第4側面3ビューの光学長12と異なることである。そのため、焦点が、常に、半導体デバイス2の底面5側の焦点と、第1側面3、第2側面3、第3側面3及び第4側面3それぞれの側の焦点と、の間でトレードオフとなる。加えて、この四側面ビューの解像には広い視野が必要であるため、使用可能な画素分解能が制約されることとなろう。10μm未満の側面ビューについては、20又は25メガ画素の高分解能カメラを用いたとしても、使用できる作業セットアップがない。そのため、良好な焦点及び高い分解能を有するものとし、ひいては非限界的汚染から実存する欠陥を弁別可能なものとすることができない。
【0010】
図3は従来型セットアップの別例、特に半導体デバイス2の頂面4上を観望することで内部欠陥9(側面欠陥)を検出するものである。内部欠陥9(外側からは見えない欠陥)の検出に適したハイボリューム検査策はない。存するのは低速な手法、特にIR光13及び光学系14を用いること及び半導体デバイス2の背面を観望すること(“IR背面ビュー”)によるものである。カメラ6は半導体デバイス2から返ってくるIR光15を検出する。図3のセットアップで得られる像16の模式的表現を図4に示す。IR光13で内部欠陥9を検出するこの“IR背面ビュー”法にもやはり欠点がある。第1に、この方法は低速である。存するのはマニュアル式のローボリュームな手法のみである。これを自動化及び高速化したい場合、利用できるIRカメラ6の画素数及びサイズに重大な制限がかかる。加えて、うまく働くデバイス群が、ベアシリコンの側面がありそこにIR光が達しうるものに限られている。デバイスの趨勢は、IR光について透明でないデバイス保護被覆を備えるものである。更なる欠点は信号対雑音比である。半導体デバイス2の頂面4でも反射が生じるので、内部欠陥9から頂面欠陥を弁別することは難しかろう。
【0011】
上述したこの従来方法には大きな欠点、特にワークピース(個片化半導体デバイス)の五側面を検査することによるそれがある。欠点の一つは、ワークピースの側面と底面の間で焦点が異なることである。底面ビューと側面ビューとで光学長が異なるので、焦点が、常に、ワークピースの底面側の焦点と、そのワークピースのエッジ(側面)側の焦点との間で、トレードオフとなる。更なる欠点は画像分解能である。四側面のビューには広い視野が必要であるので、使用可能な画素分解能が制限されよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6339337号明細書
【特許文献2】中国実用新案第2791639号明細書
【特許文献3】欧州特許第2699071号明細書
【特許文献4】米国特許第8154718号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、個片化ワークピースにおける側面欠陥及び内部欠陥を高分解能で検出する装置を提供し、且つワークピースの面上に実存する欠陥と汚染とを弁別しうるようにすることにある。加えて、本装置には、そうしたワークピースを対象に省時間品質制御を実行すべく高スループットであることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上掲の目的は、
ワークピースが透明になる波長域の照明光をもたらす少なくとも1個の光源と、
レンズを伴うカメラであり、そのレンズがワークピースの少なくとも一面からの光を自カメラの検出器上にイメージングするカメラと、
ワークピースを動かすため及びそのワークピースの上記少なくとも一面を完全にイメージングするためのステージと、
を備えるワークピース欠陥検出装置によって達成される。
【0015】
本発明の装置の長所は、個片化ワークピース例えば半導体デバイス、別称ダイにおける側面欠陥及び内部欠陥を信頼性良く検出できることである。本発明の装置を使用することで、そうしたワークピースを対象とした品質制御を高スループットで実行することができる。
【0016】
本発明の更なる目的は、個片化ワークピースにおける側面欠陥及び内部欠陥を高分解能で検出する方法を提供し、ワークピースの面上の汚染と実存する欠陥とを弁別できるようにすることである。加えて、本方法には、そうしたワークピースを対象にした品質制御を十分に短時間で実行すべく高スループットにしうることが求められる。
【0017】
この目的は、
ワークピースの少なくとも一面の一部分をそのワークピースが透明になる波長域の照明光で照明するステップと、
ワークピースの少なくとも一面の上記一部分からの光をカメラの検出器上にイメージングするステップと、
ワークピースの上記少なくとも一面がカメラによって完全にイメージングされるよう、ワークピースを保持するステージ及びカメラの相対運動を実行するステップと、
を有するワークピース欠陥検出方法によって達成される。
【0018】
本発明の方法の長所は、個片化ワークピース例えば半導体デバイス、別称ダイにおける側面欠陥及び内部欠陥を信頼性良く検出できることである。本発明の方法を使用することで、そうしたワークピースを対象とした品質制御を高スループットで実行することができる。
【0019】
本発明の目的は、更には、個片化ワークピース(半導体デバイス)における側面欠陥及び内部欠陥を高分解能で自動検出することができ、ひいてはそのワークピースの面上に実存する欠陥と汚染とを弁別することができるよう、非一時的コンピュータ可読媒体上に配されたコンピュータプログラム製品を提供することにある。加えて、本コンピュータプログラムには、そうしたワークピースを対象にした品質制御を十分に短時間で実行すべく高スループットであることが求められる。
【0020】
上掲の目的は、ワークピースにおける欠陥検出のため非一時的コンピュータ可読媒体上に配されたコンピュータプログラム製品であり、その製品を構成するコンピュータ可実行処理ステップを実行してコンピュータを制御することで、
ワークピースをステージ上に載置し、
ワークピースの少なくとも一面をそのワークピースが透明になる波長域の照明光で照明し、
ある光学的セットアップで以て、ワークピースの上記少なくとも一面からカメラに備わる少なくとも1個のラインセンサへと光を差し向けることで、そのワークピースの上記少なくとも一面のライン状の光をイメージングし、且つ、
ワークピースの上記少なくとも一面が、上記カメラのラインセンサによって完全にイメージングされるよう且つそのステージの運動の間そのカメラの焦点に位置するよう、そのワークピースを保持するステージを動かす、
ことが可能なコンピュータプログラム製品によって達成される。
【0021】
本発明によって検出されうる典型的な欠陥は、ワークピースのダイシングプロセスによって生じる側面クラックや、ワークピース内の内部応力によって生じる埋入クラックである。ワークピースが半導体デバイスである場合、内部応力が例えば誘電体層・シリコン構造間に現れうる。なお、本発明(装置、方法及びコンピュータプログラム)は半導体デバイスに限定されるものではなく、側面欠陥及び内部欠陥全般に適用可能である。
【0022】
典型的には、シリコンベース半導体デバイスを貫通しうる赤外(IR)光が用いられることとなろうが、そのワークピースの素材が透明になる波長域次第で光源は別のものになりうる。
【0023】
本発明のある態様によれば、照明光がワークピースの一側面へと差し向けられ、カメラがそのワークピースの遠方側面から出射される光を受光するよう、上掲の少なくとも1個の照明源が配列される。ワークピースのこの遠方側面が、そのワークピースの側面のうち照明光を受光する側面とは逆側にあるため、バックライト照明が得られる。
【0024】
他の途は、ワークピースの側面のうち照明光を受光する側面に対し、そのワークピースの遠方側面を、当該遠方側面の暗視野像が得られる向きとすることである。
【0025】
本発明の更なる態様は、照明光がワークピースの頂面へと差し向けられ、更にカメラがそのワークピースの頂面から放たれる光を受光するよう、上掲の少なくとも1個の照明源が配列される態様である。
【0026】
本発明の秀でた実施形態では、カメラの検出器がラインセンサとされ且つそのカメラがラインスキャンカメラとして構成される。この新規な装置又は方法では、ワークピース(半導体デバイス)の側面に対し垂直なラインスキャンカメラを使用し、XYθステージ上でそのワークピースを動かすことによって像が生成される。本発明の光学的セットアップによれば、ワークピースのうち頂面の少なくとも一部分と、少なくとも一側面との、同時ビューを生成することができる。この光学的セットアップでもやはり同軸照明及び外部照明が可能であり、それら二種類のモードでは照明が同一又は個別の照明とされうる。
【0027】
カメラのレンズにより、ワークピースの側面から出射されるライン状の光がラインセンサ上にイメージングされる。その出射光は、バックライト照明が得られるよう配列された少なくとも1個の照明源を起源とする。
【0028】
ワークピースを保持するステージが、イメージング対象ラインに対し垂直なスキャン方向に沿い動かされる。このスキャン運動で以て、ワークピースの側面のうち少なくとも1個の完全な像が生成される。
【0029】
また、ワークピースの頂面の少なくとも一部分からのライン状の光であって、ワークピースの側面のうち1個の隣に位置するものを、カメラのレンズでラインセンサ上にイメージングすることが可能であり、また、ワークピースの頂面の少なくとも一部分上へと差し向けられる光に対し頂面からの光が同軸になるよう、上掲の少なくとも1個の光源を配列することが可能である。ワークピースの少なくとも一部分の像を生成するため、イメージング対象ラインに対し垂直なスキャン方向に沿い、ワークピースを保持するステージを動かす。こうすることで、頂面の少なくとも一部分の完全な像が得られる。頂面のその部分はワークピースの側面のうち少なくとも1個に隣接する。
【0030】
また、ステージ及びカメラにより相対運動を実行することで、例えばワークピースの各面の完全な像を捉えることができる。各面のスキャンはスキャン方向に沿い様々な速度プロファイルで以て実行することができる。好適な実施形態は、各面の長手方向に沿い一定速度のものである。定数の選定ならソフトウェアエフォートがさほど必要なく且つ最良の画質がもたらされる。熟練者にとり明らかな通り、一定速度の選定によって他の速度プロファイルが阻止されるものではない。他の実施形態は、スキャン中に速度を増減させるものである。この実施形態では、エッジで高い撮影速度、各側面の中央で低い撮影速度が得られる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ワークピースの側面から出射されるライン状の光の像及びそのワークピースの頂面からのライン状の光の像を同時に生成する、光学的セットアップがもたらされる。頂面からのライン状の光の像はそのワークピースの各側面からのライン状の光の隣に位置する。光学的セットアップの先端によって、上ミラー並びに第1下ミラー及び第2下ミラーが運ばれる。上ミラーはワークピースの頂面の一部分からライン状の光の像を捉える。第1下ミラー及び第2下ミラーはそのワークピースの側面から出射されるライン状の光の像を捉える。本発明の光学的セットアップは、ワークピースの側面から出射されるライン状の光の像及びそのワークピースの頂面からのライン状の光の像が同時に合焦状態になるように設計される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の光源からの光を、ワークピースの一側面及びそのワークピースの頂面に個別に結合させることができる。
【0033】
有益なのは、上掲の少なくとも1個の光源と、ワークピースの頂面及び/又は各側面との間に、光導波路を配置することである。
【0034】
ワークピースの例は個片化半導体デバイスである。この場合、シリコンベース半導体デバイスがIR光に関し透明であるので、照明光の波長域をIR光の波長域とする。
【0035】
本発明の装置には類を見ない長所がある。2個のビューを組み合わせることができる。別々のカメラで二画像を撮影する必要がない。2個のビューを組み合わせることによって、欠陥に相応しい高めの撮影速度につながるビューと、ノイズに相応しい低い不快度につながるビューとを踏まえた画像処理を行い、それにより情報を補正することができる。ラインスキャンカメラを用いることで高分解能像が得られる。通常のマトリクスカメラに比し高分解能で以て像を生成することができる。IR光を用いた場合、内部欠陥を探し出すこと及び/又は個別の欠陥に係る信号対雑音比を向上させることができる。また、ある角度で以て頂面ビュー(頂面の一部分の像)を実行し、暗視野類似の検査モードを生成することができる。
【0036】
本発明の方法では、例えばワークピースが半導体デバイスである場合に、有益な効果が現れる。本発明の方法を以てすれば、検査対象半導体デバイス内を進むIR光を用いること及びその半導体デバイスの一側面を直に観望することにより、欠陥の像を生成することができる。光源及びカメラのいずれについても、(エッジを真っ直ぐに観望/照射する)垂直型セットアップや角度付セットアップを使用することができる。シリコンの屈折率が高く(λ=1200nmにてn=3.5)且つデバイスのエッジがラフであるため、ほぼ全ての光がそのデバイス内に入ることとなろう。その光線は、デバイス内を小角度で進む一方、拡散光線としてそのデバイスの他側面から出射されることとなろう。このようにして、デバイス自体が散光照明の如く振る舞う。
【0037】
本発明の一実施形態に係る方法では、1200nm超の波長を有する光ではシリコンが透明になる、というシリコン(これはあらゆる半導体デバイス用の基礎素材である)の物理特性が使用される。
【0038】
本方法はこれを踏まえ“IR背面ビュー”向けにも構築されるが、デバイス自体が散光照明器の如く振る舞うため、本発明の方法では信号対雑音比が増加し且つ高速検査ソリューションの途が発生する。通常、ダイシングプロセスのエッジ変動は拡散光線によって平滑される。素材欠陥(例えば検出されるべきクラック等に類するもの)があると、その半導体デバイスの内部で光が受光されず、そこが散光照明デバイス側の暗部として見えることとなるので、高いコントラストがもたらされることとなろう。
【0039】
本発明の重要な技術的側面の一つは、半導体デバイスのエッジが(その半導体デバイスのダイシングプロセスが故に)精密でも清浄でもないことである;そのため、半導体デバイス内を光が直線的且つ予測可能的に進まず、寧ろ攪乱されて散光照明器が生じることとなろう。もう一つの重要な技術的側面は、その側面のみを観望することにより、(“IR背面ビュー”又は“五面ソリューション”で以て)デバイス全体を観望した場合に比べ検査対象面積がひときわ小さくなる結果、分解能を向上させ(より小さな欠陥を捉え)且つより高速な検査を実行する機会が生じることである(他方法に比べ像がなおも顕著に小さいためである)。
【0040】
ある実施形態によれば、照明光が半導体デバイスの一側面上に印加される;そのエッジが(ダイシングプロセスに由来する)ベアシリコンであるためその光は半導体デバイス内を伝搬していく。デバイスのエッジが(ダイシングプロセスに起因し)ラフであるため、光線はデバイス内を真っ直ぐには進まないであろう。半導体デバイスの他側面に達すると、光線のうち小さな角度(約17°未満)で入射したものが半導体デバイス外に伝送されることとなろう。±90°の角度を有する光線は、半導体デバイスのエッジが散光照明器の如く光らせる。これに対し、内部欠陥又は側面クラックに達したときには、ノーマルな光伝搬が阻止される結果、その散光照明デバイス内に‘欠陥のように見える’部分が現れ、ひいてはそのカメラ像中に高コントラストな暗いシミが現れる。クラックの典型例はシリコン構造内擾乱である。光はこの擾乱にて反射されるため伝搬していかない。そのため、この部位を通りやってくる光がカメラで捉えられることはなかろう。
【0041】
半導体デバイスの検査を実行する他の実施形態でも同じ原理が使用される。この実施形態では、“角度付側面ビュー”がもたらされるよう半導体デバイス内がIR光で照らされる。IR光は角度付きでサンプル内へと送られる。光が内部クラックによって阻止されるため、ラフなエッジに発する通常は散光性の照明に変化が生じる。この角度付側面ビューによれば、高い分解能が提供されるに留まらず、高速な検査も可能となる。その欠陥によってノーマルな内部光伝搬が阻止されるため、個々の内部又は側面欠陥がより大きく且つより高コントラストに見える。その半導体デバイスから放たれる拡散IR光は、外部汚染に対する応答性が低いので、実存する欠陥に係る信号対雑音比が高まる。
【0042】
半導体デバイス内へと焦点を移動させれば、そのエッジから遠く離れている内部欠陥を解像することができる。これにより、完成された半導体デバイス内をスキャンすることさえも可能となる。
【0043】
本発明の方法によれば、少なくとも1個の光源の照明光がワークピースの一側面に差し向けられる。ワークピースの遠方側面から出射される光をカメラによりイメージングする。好ましくは、このカメラで以て、ワークピースの遠方側面から出射される光をレンズによりラインセンサ上へとイメージングする。
【0044】
本発明の他の実施形態は、少なくとも1個の光源の照明光をワークピースの頂面に差し向けるものである。カメラでは、レンズの働きで、ワークピースの頂面から放たれる光がイメージングされる。好ましくは、カメラにて、レンズの働きにより、ワークピースの頂面から出射される光をラインセンサ上へとイメージングする。
【0045】
本発明の更なる実施形態は、ワークピースの側面から出射される光のライン像、並びにそのワークピースの頂面の一部分からの光のライン像を、ある光学的セットアップで以て同時に生成するものである。頂面のうち検出対象となる部分はワークピースの各側面に隣接する部分である。
【0046】
本発明の方法の一実施形態によれば、ワークピースの少なくとも二側面及び頂面の個別部分をイメージングすべくステージを動かす途がある。本発明の方法は、
a)カメラの像面が側面のうち1個に対し平行になるよう、ワークピースを伴うステージとカメラとの間の直線的相対運動を実行するステップと、
b)ステージをワークピースと共に回動させるステップと、
c)ワークピースの全側面がカメラによりイメージングされるまでステップa)及びb)を反復するステップと、
を有する。
【0047】
ステージ・カメラ間の直線的相対運動はカメラ単体の直線運動によって実現することができる。カメラの直線運動を、回動ステップ間で逆方向に向けさせる。
【0048】
本発明の方法の更なる実施形態によれば、ワークピースの少なくとも二側面及び頂面の個別部分をイメージングすべくステージを動かす途がある。本発明の方法は、ステージの回転運動中にカメラの焦点が個別の側面上に存し続けるよう、そのステージを回動させるのと並行しそのステージのXY平面内運動を実行するステップを有する。
【0049】
本発明の更なる態様によれば、ワークピースにおける欠陥検出のため非一時的コンピュータ可読媒体上に配されたコンピュータプログラム製品であり、その製品を構成するコンピュータ可実行処理ステップを実行してコンピュータを制御することで、
ワークピースをステージ上に載置し、
ワークピースの少なくとも一面をそのワークピースが透明になる波長域の照明光で以て照明し、
ある光学的セットアップによって、ワークピースの上掲の少なくとも一面からカメラに備わる少なくとも1個のラインセンサへと光を差し向けることで、ワークピースの当該少なくとも一面のライン状の光をイメージングし、且つ、
ワークピースの少なくとも一面が、カメラのラインセンサによって完全にイメージングされるよう且つそのステージの運動の間カメラの焦点に位置するよう、ワークピースを保持するステージを動かす、
ことが可能なものが提供される。
【0050】
上述の通り、本発明の方法の一実施形態によれば、半導体デバイスの側面に対し垂直なラインスキャンカメラが使用される。像は、その半導体デバイスをXYθステージ上で動かすことで生成される。カスタム光学系を介し、半導体デバイスの側面及び頂面の少なくとも一部分の同時ビューが生成される。この光学的セットアップでもやはり同軸照明及び外部照明が可能であり、それら二種類のモードでは照明が同一又は個別の照明とされうる。ラインスキャンカメラセットアップであるので、エリアスキャンカメラでは恐らく不可能な高分解能像が保証される。それら少なくとも一側面及び頂面に係る二通りのビューを組み合わせることにより、かなり多くの情報を含む像、即ち半導体デバイスにおける欠陥の厳密な位置及び原点を突き止めうる像にすることができる。可動ステージセットアップ上への統合により、二通りの高分解能ビューを受け取りつつ高速検査をも実現することができる。
【0051】
ラインセンサ付きカメラでの実施形態には類を見ない長所がある。2個のビューが組み合わされるので、別々のカメラで二画像を撮影する必要がない。更に、2個のビューを組み合わせることによって、欠陥に相応しい高撮影速度につながるビューとノイズに相応しい低不快度につながるビューとを踏まえた画像処理を通じ、情報を補正することができる。ラインスキャンカメラを用いることで、通常のマトリクスカメラに比し高めの分解能を有する像を生成することができる。
【0052】
検査に供される半導体デバイスは、通常はモバイルデバイスにて使用される。上掲の説明で言及した側面クラックは顧客からの返品につながり、デバイス製造業者には高コストが課されることとなるので、自動検査を実行しそれら側面欠陥を検出せよ、という顧客からの強い圧力下に、それらデバイス製造業者が置かれることとなる。更に、そうした欠陥を伴うデバイスでも電気的試験を通ることがあるが、しばしば、現場にて(例.携帯電話を落としたとき)早期故障となる。説明した通り、半導体デバイスにおける欠陥(これは顧客からの返品に係るリスクである)を見逃しかねない反面、さほど重要でない欠陥をきっかけにして良品デバイスが排除される(これは製造業者にとり金銭的損失につながる)ので、現行の方法論が不適切なのは明らかである。
【0053】
以下、本発明及びその長所につき、次のような添付図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】半導体デバイスの側面を観望することで内部欠陥を検出する従来型セットアップを示す図である。
図2図1に示したセットアップにより得られる画像の模式図である。
図3】半導体デバイスの頂面上を観望することで内部欠陥を検出する従来型セットアップを示す図である。
図4図3に示したセットアップにより得られる画像の模式図である。
図5】IR照明による半導体デバイスの検査をバックライト照明による側面ビューで実行する配列の模式図である。
図6】IR照明による半導体デバイスの検査を暗視野照明による側面ビューで実行する配列の模式図である。
図7】IR照明による半導体デバイスの検査をバックライト照明による角度付側面ビューで実行する配列の模式図である。
図8】IR照明による半導体デバイスのエッジ検査を側面ビューで実行し且つその半導体デバイスのスキャン運動を実行する配列の模式図である。
図9】IR照明による半導体デバイスのエッジ検査を頂面ビューで実行し且つその半導体デバイスのスキャン運動を実行する配列の模式図である。
図10】半導体デバイスの側面ビュー及び頂面ビューを同時実行する配列の実施形態を示す図である。
図11】半導体デバイスの一側面の側面ビューを実行する配列の斜視図である。
図12】半導体デバイスの側面ビュー及び頂面ビュー検査の光機械的統合の詳細図である。
図13A】半導体デバイスの直線及び回転スキャンモードの実施形態の模式図である。
図13B】半導体デバイスの直線及び回転スキャンモードの実施形態の模式図である。
図13C】半導体デバイスの直線及び回転スキャンモードの実施形態の模式図である。
図13D】半導体デバイスの直線及び回転スキャンモードの実施形態の模式図である。
図13E】半導体デバイスの直線及び回転スキャンモードの実施形態の模式図である。
図14】半導体デバイスの直線回転複合スキャン運動の実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図中、類似要素又は類似機能要素には類似した参照符号を付してある。更に、明瞭さを考慮し、各図を論ずるのに必要な参照符号のみをその図に示してある。本願記載の方法及び装置は、半導体デバイスにおける欠陥検査向けに、IR光と併せ好適に採用することができる。典型的には、半導体デバイスのシリコン内に浸透させうるようIR光が使用されることとなろう。本発明の他の実施形態では別の光源波長とされうる。前提はただ一つ、検査対象ワークピース(半導体デバイス)の素材が使用波長域にて透明でなければならないことである。以下の説明では半導体デバイスを参照するが、それを本発明の限定事項として理解すべきではない。熟練者には明らかな通り、本発明の原理及び着想はワークピースの内部又は側面欠陥のあらゆる検査に適用可能である。半導体デバイスへの本発明の応用を限定事項と解すべきではない。
【0056】
図5に、IR光13で以て半導体デバイス2の検査を実行する配列20の模式的表現を示す。この配列20はバックライト照明による側面ビュー型である。光源18により生成されたIR光13が、半導体デバイス2の一被選択側面3、3、3又は3に垂直入射されている。IR光13を平行光化しないようにしてもよいし、半導体デバイス2の一被選択側面3、3、3又は3にIR光13を垂直入射させないようにしてもよい。ここに示した配列20で以て、半導体デバイス2内を進むIR光13を使用し欠陥9の像を生成することができる。IR光13を使用する利点は、内部欠陥9を見つけうること及び/又は半導体デバイス2の個々の欠陥9に関し信号対雑音比を向上させうることである。
【0057】
カメラ6は、そのレンズ7で以て、半導体デバイス2の一被選択側面3、3、3又は3を直に観望する。シリコンの屈折率が高いこと(λ=1200nmでn=3.5)及び半導体デバイス2の側面3、3、3又は3(エッジ)がラフであることから、ほぼ全てのIR光13がその半導体デバイス2に入射することとなろう。IR光13の光線は半導体デバイス2内を小角度付きで進んでいき、逆側の側面3、3、3又は3にて拡散光線21として出射されることとなろう。このような形態では、半導体デバイス2自体が散光照明器の如く振る舞う。しかしながら、内部欠陥9又は側面クラックに達すると、ノーマルな光伝搬が阻止される結果、その散光照明にて‘欠陥のように見える’部分となる。IR光13の阻止については破線矢印22で示してある。レンズ7及びカメラ6により側面3、3、3及び3それぞれがイメージングされると、その内部欠陥9がカメラ像内の高コントラスト暗セクションとして現れてくる。このクラック又は内部欠陥9は、典型的には半導体デバイス2のシリコン構造内の擾乱である。IR光13はこの擾乱にて反射され伝搬していかない。そのため、内部欠陥9の部位を通ってやってくる光がカメラ6内の検出器26で捉えられることはなかろう。
【0058】
図6に、IR光13で以て半導体デバイス2の検査を実行する配列20の他の実施形態を示す。この実施形態では、半導体デバイス2の検査が光源18からのIR光13で以て実行される。カメラ6及びそれに付随するレンズ7は、半導体デバイス2の各側面3、3、3又は3の暗視野像がそのカメラ6にて整列記録されるように配列されている。第2面3では、IR光伝搬の方向23が、カメラ6に備わるレンズ7の光軸24に対し垂直になっている。
【0059】
図7に、本発明の配列20の更なる実施形態を示す。IR光13は、光源18から半導体デバイス2の頂面4へ、またその半導体デバイス2の内部へとある角度α付きで送られる。そのIR光13は半導体デバイス2内を伝搬していき、その半導体デバイス2の側面3、3、3及び3のうち1個にそれぞれ合焦する。内部クラック又は欠陥9ではIR光13が阻止され、またラフな側面3、3、3及び3図5参照)のうち1個からの通常は散光性の照明に変化が生じる。図7に示す配列によれば、高い分解能が提供されるだけでなく、半導体デバイス2の側面3、3、3及び3のうち1個の高速検査(ここでは第4側面34が検査対象)も可能となる。個々の内部又は側面欠陥9は、そうした欠陥によってノーマルな内部光伝搬が阻止されるため、カメラ6によって撮影された像ではより大きく且つより高コントラストに見える。半導体デバイス2から放たれる拡散IR光33は半導体デバイス2の外部汚染に対する応答性が低いので、実存する欠陥9に係る信号対雑音比が高まる。
【0060】
有益な代替策として、IR光13の焦点を半導体デバイス2内に移動させることで、その半導体デバイス2の側面3、3、3及び3から遠く離れたところにある内部欠陥9を解像可能にすることもできる。これにより、完成された半導体デバイス2内をスキャンすることさえも可能となる。
【0061】
図8に、本発明の配列20の更なる実施形態の模式的表現を示す。カメラ6はラインセンサ36を有しており、側面3、3、3又は3のうち1個のライン35が、レンズ7によりそのラインセンサ36上にイメージングされる。カメラ6はラインスキャンカメラとして構成されている。カメラ6はあるスキャン方向37に沿い動かされる。この運動は、半導体デバイス2の各側面3、3、3又は3とカメラ6の間の相対運動、特にラインセンサ36上にイメージングされるべきライン35に対し垂直なスキャン方向37に沿った相対運動によって実現することができる。半導体デバイス2の各側面3、3、3又は3とカメラ6の間のこの相対運動は、本発明の限定事項として解されるべきでない。カメラのみ又は半導体デバイスのみを動かしてもよいこともまた明らかである。
【0062】
半導体デバイス2はXYθステージ(ここでは図示せず)上に配置されている。このXYθステージは、カメラ6のラインセンサ36で以て全四側面3、3、3又は3の像が生成されるように動かされる。ここに示されている実施形態では、半導体デバイス2が付加的なバルク半導体層40(BSL)、シリコン基板41、誘電体層42及び金属層43で構成されている。ラインスキャンカメラセットアップであるので、エリアスキャンカメラでは恐らく不可能な高分解能像が可能である。側面ビューのため(図5の配列と同じく)光源18から半導体デバイス2(ダイ)内へと外部IR光13が照射される。このIR光13は半導体デバイス2の一側面3、3、3又は3から到来し、その半導体デバイス2の逆側の側面3、3、3又は3にてラインスキャンカメラ6により捉えられる。半導体デバイス2の各側面3、3、3又は3から高分解能像が生成される。半導体デバイス2内を照らすため、その半導体デバイス2が透明となる波長域が使用される。典型的な半導体デバイス2(又はダイ)におけるそれはIR光13となろう。
【0063】
図9は、IR照明による半導体デバイス2のエッジ検査を側面ビューで実行し且つその半導体デバイス2のスキャン運動を実行する配列20の模式図である。この配列ではカメラ6がやはりラインセンサ36を有しており、頂面4のライン35であって側面3、3、3又は3のうち1個の近くにあるものが、レンズ7によりそのラインセンサ36上にイメージングされる。ビームスプリッタ27は、光源18からのIR光13を半導体デバイス2の頂面4上へと差し向ける。半導体デバイス2の頂面4からの同軸返戻IR光34は、カメラ6のラインセンサ36によって捉えられる。ここでもまた、スキャン方向37に沿った半導体デバイス2の運動が、カメラ6のラインセンサ36上にイメージングされるライン35に対し垂直になっている。半導体デバイス2のこの運動により、半導体デバイス2の頂面4のエッジ部分30、即ち側面3、3、3又は3のうち1個のそばにある部分の頂面ビューを、生成することが可能となる。図9では頂面4のエッジ部分30が半導体デバイス2の第4側面3に隣接している。
【0064】
図10に示す実施形態は、半導体デバイス2の側面ビュー及び頂面ビュー検査を同時実行する配列20を表している。特殊な光学的セットアップ25として、半導体デバイス2の側面3、3、3又は3のうち1個と頂面4とを対象とした同時ビューが可能なものが設けられている。この光学的セットアップ25では、また、半導体デバイス2の側面3、3、3又は3のうち1個の照明(外部照明)と、頂面4の照明(同軸照明)とが可能である。それら二通りの照明モード(同軸照明及び外部照明)では光源が同一光源又は個別光源とされうる。
【0065】
半導体デバイス2の側面3、3、3又は3と頂面4とに関しビューを組み合わせることにより、頂面4の像及び側面3、3、3又は3の像がかなり多くの情報を含むこととなるため、欠陥の厳密な位置及び原点を抽出することが可能となる。可動ステージセットアップ上への統合により、二通りの高分解能ビューに留まらず高速検査も実現することができる。
【0066】
これら配列20及び特殊光学的セットアップ25では、図10に示す通り、半導体デバイス2の一側面3、3、3又は3と頂面4のエッジ部分30(図9参照)との同時ビューを生成することができる。加えて、2個の個別的なラインセンサ36が設けられている。一方は頂面4の一部分の像を捉えるために使用され、他方はその頂面4に隣り合う側面3、3、3又は3のうち1個の像を捉えるために使用される。
【0067】
ここで示した実施形態によれば、IR光13を運ぶため光導波路50が使用される。それら光導波路50は、頂面4のエッジ部分30とそれに隣り合う側面3、3、3又は3のうち1個とをIR光13で以て照明すべく、半導体デバイス2のできるだけ近くに配置される。
【0068】
図11に、半導体デバイス2の側面3、3、3又は3のうち少なくとも1個の側面ビューを実行する装置の斜視外観を示す。半導体デバイス2(ここでは図示せず)はチャック45付きのホールド上に載置される。チャック45はθステージ38上に搭載されていて、そのθステージ38は少なくともX座標方向X及びY座標方向Yに沿い直線的に動かすことができる。加えて傾斜させることも可能である。Z座標方向Zに沿った直線運動も統合しうる。光源18は、照明光13をチャック45上の半導体デバイス2へと差し向ける。ここで示されている実施形態では、半導体デバイス2の一側面3、3、3又は3が照明されるよう光源18が配列されている。光源18のこの配列をバックライト配列と呼ぶ。
【0069】
光源18の逆側には、光学的セットアップ25を伴う配列20が、半導体デバイス2の一側面3、3、3又は3から出射される光、特にその半導体デバイス2の被照明側面3、3、3又は3の逆側にある側面から出射される光を受光しうるよう配列されている。光学的セットアップ25はその配列20の先端39に位置している。配列20は、その配列20から画像データを受け取るコンピュータ32に接続されている。加えて、ステージ38を動かすためのコントローラ31にそのコンピュータ32が接続されているので、各側面3、3、3又は3を配列20によってスキャンすることができる。
【0070】
図12に、配列20の光学的セットアップ25の詳細外観を示す。この光学的セットアップ25によれば、半導体デバイス2の同時的側面ビュー及び頂面ビュー検査が可能である。ここに示されている実施形態では、光学的セットアップ25によって、半導体デバイス2の側面3、3、3又は3から出射されるライン状の光の像と、その半導体デバイス2の頂面4の少なくとも一部分からのライン状の光の像とが、同時に生成される。先に述べた通り、頂面4からのライン状の光は、その半導体デバイス2の各側面3、3、3又は3のライン状の光に対し、隣に位置している。光学的セットアップ25の先端39は上ミラー51、第1下ミラー52及び第2下ミラー53を運んでいる。上ミラー51は、半導体デバイス2の頂面4の一部分からライン状の光の像を捉える。第1下ミラー52及び第2下ミラー53は、半導体デバイス2の側面から出射されるライン状の光の像をと捉えうるよう、光学的セットアップ25の先端39に配列されている。光学的セットアップ25は、半導体デバイス2の側面3、3、3又は3から出射されるライン状の光の像と、その半導体デバイス2の頂面4からのライン状の光の像とが、同時に合焦状態になるよう設計されている。それらの光学的光結合は、上ミラー51を介する光路54並びに第1下ミラー52及び第2下ミラー53を介する光路55が別々に照明されうる態のものである。
【0071】
図13A図13Eに、四側面3、3、3及び3、及び/又は、頂面4のエッジ部分30を、検査するプロセスを示す。四側面3、3、3及び3と、頂面4のエッジ部分30即ち各側面3、3、3又は3に隣り合う部分とを検査する場合、側面ビュー頂面ビュー結合像が得られる。ステージ38は、図13A図13Eの実施形態に記載の如く運動プロファイルを実行する。図13Aでは半導体デバイス2がステージ38上に載置される。上述の通り、その半導体デバイス2はやはり、それ自体ステージ38(θステージ)上に搭載されているチャック(ここでは図示せず)によって保持することができる。
【0072】
図13Bでは、第1側面3がカメラ6の像面44に対し平行になっている。半導体デバイス2を伴うステージ38とカメラ6との間では直線的相対運動46が実行される。この運動46の間、カメラ6の像面44は第1側面3に対し平行に保たれる。第1側面3のスキャンが終了した後は、ステージ38が時計回り方向に90°回される結果、半導体デバイス2の第2側面3がカメラ6の像面44に対し平行になる(図13C参照)。図13Cに示す通り、半導体デバイス2を伴うステージ38とカメラ6との間では逆方向の直線的相対運動46が実行される。この運動46の間はカメラ6の像面44が第2側面3に対し平行である。第2側面3のスキャンが終了した後はステージ38が90°回され、半導体デバイス2の第3側面3がカメラ6の像面44に対し平行になる(図13D参照)。図13Dに示す通り、半導体デバイス2を伴うステージ38とカメラ6との間では直線的相対運動46が実行される。この運動46の間はカメラ6の像面44が第3側面3に対し平行である。第3側面3のスキャンが終了した後はステージ38が90°回され、半導体デバイス2の第4側面3がカメラ6の像面44に対し平行になる(図13E参照)。図13Eに示す通り、半導体デバイス2を伴うステージ38とカメラ6との間では逆方向の直線的相対運動46が実行される。この運動46の間はカメラ6の像面44が第4側面3に対し平行である。
【0073】
上述の通り、配列20及び特殊光学的セットアップ25でもやはり、半導体デバイス2の頂面4のエッジ部分30、即ちその半導体デバイス2の各側面3、3、3又は3に隣り合うエッジ部分30(図9参照)を撮像することができる。
【0074】
図14A図14Fに、半導体デバイス2の少なくとも四側面3、3、3及び3をスキャンするプロセスの更なる実施形態を示す。ステージ(ここでは図示せず)、半導体デバイス2それぞれの運動が、その半導体デバイス2の中心58を巡る回転運動56と、X座標方向X及びY座標方向Yにより規定されるXY平面内での半導体デバイス2の直線運動57とで構成されている。図14Aに示したのは、半導体デバイス2の四側面3、3、3及び3をスキャンするプロセスの開始点である。カメラ(ここでは図示せず)の焦点59が第1側面3上にある。図14Bに示したのは回転運動56の始まりである。半導体デバイス2の中心58が同時にXY平面内運動57に供されており、回転運動56の間、焦点59は第1側面3上に居続ける。図14C図14Eに示したのは半導体デバイス2の回転運動56の諸段階であり、その回転運動56の間、焦点59は第2側面3上に居続ける。図14Fに示したのは焦点59が第3側面3に達した状況であり、半導体デバイス2の回転運動56の間、この焦点59は第3側面3上に居続ける。
【0075】
図11に示したコンピュータ32により回転運動56と同時的なXY平面内運動57とが協調されるので、半導体デバイス2の360°回転が終わったときには、配列20により全四側面3、3、3,及び3がイメージングされ終えている。更に、コンピュータ32により、フル360°回転の間、焦点59が全四側面3、3、3,及び3上に確と保たれるので、全四側面3、3、3,及び3の高品質画像が得られる。
【0076】
信ずるところによれば、本件開示の装置、方法及びコンピュータプログラム並びにそれに付随する多くの長所は上掲の記述から理解されるであろうし、また開示されている主題から離隔すること又はその重要な長所を全て犠牲にすることなく諸構成要素の形態、構成及び配列に様々な変形を施しうることが明らかである。記述してある形態は単なる例である。
【0077】
上掲の記述では、本発明の諸実施形態について全般的理解を得るため多くの具体的細部を示してある。しかしながら、本発明の例示的諸実施形態についての上掲の記述は、排他を意図するものでも、開示されているまさにその形態へと本発明を限定することを意図するものでもない。関連分野での熟練者(いわゆる当業者)には、1個又は複数個の具体的細部を欠いて又は他の方法、構成要素等々を以て本発明を実施しうることが認識されよう。また、本発明の諸態様についての理解困難化を避けるため、周知の構造又は動作については図示や記述を行っていない。本願では説明目的で本発明の具体的実施形態及び例が記述されているが、いわゆる当業者には認識されうるように、本発明の技術的範囲内で様々な等価的変形が可能である。
【0078】
本発明に対しては、上掲の詳細な説明を踏まえこうした修正を施すことができる。後掲の特許請求の範囲で使用されている語を、明細書及び特許請求の範囲にて開示されている具体的実施形態へと本発明を限定する趣旨に解すべきではない。寧ろ、本発明の技術的範囲は後掲の特許請求の範囲により画定されるべきものであり、またそれは特許請求の範囲の解釈に関する確立された理論に従い解されるべきものである。
【符号の説明】
【0079】
2 ワークピース,半導体デバイス、3 第1側面、3 第2側面、3 第3側面、3 第4側面、4 頂面、5 底面、6 カメラ、7 レンズ、8 ミラー、9 欠陥,内部欠陥、10 像、11 光学長、12 光学長、13 IR光,照明光、14 光学系、15 返戻IR光、16 模式像、18 光源、19 欠陥、20 配列、21 拡散光線、22 破線矢印、23 光伝搬の方向、24 光軸、25 特殊光学的セットアップ、26 検出器、27 ビームスプリッタ、30 エッジ部分、31 コントローラ、32 コンピュータ、33 拡散IR光、34 返戻IR光、35 ライン、36 ラインセンサ、37 スキャン方向、38 ステージ,θステージ、39 先端、40 バルク半導体層、41 シリコン基板、42 誘電体層、43 金属層、44 像面、45 チャック、46 直線的相対運動、50 光導波路、51 上ミラー、52 第1下ミラー、53 第2下ミラー、54 光路、55 光路、56 回転運動(図10に注意)、57 運動、58 中心、59 焦点、X X座標方向、Y Y座標方向、Z Z座標方向、α 角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14