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特開2023-175041接着剤セット、構造体及び構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175041
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】接着剤セット、構造体及び構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20231201BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231201BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231201BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J11/04
C09J11/06
C09J4/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184047
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2019198351の分割
【原出願日】2019-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100221992
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】大治 雅史
(72)【発明者】
【氏名】松永 昌大
(72)【発明者】
【氏名】藤安 陽介
(72)【発明者】
【氏名】川守 崇司
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC061
4J040GA13
4J040GA29
4J040HA306
4J040HC03
4J040JA13
4J040JB05
4J040KA03
4J040KA16
4J040MA03
4J040MB05
4J040MB09
(57)【要約】
【課題】高い接着力を発現できる二液型の接着剤セットを提供すること。
【解決手段】接着剤セットは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル化合物、及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有する第一液と、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基のいずれもと反応する求核性反応基を有する化合物を含む硬化剤を含有する第二液と、を備え、第一液又は第二液のうち少なくとも一方が、ジメチルシリル基、ブチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、又は(メタ)アクリロイルシリル基を有するシリカ粒子を更に含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル化合物、及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有する第一液と、
エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基のいずれもと反応する求核性反応基を有する化合物を含む硬化剤を含有する第二液と、を備え、
前記第一液又は前記第二液のうち少なくとも一方が、ジメチルシリル基、ブチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、又は(メタ)アクリロイルシリル基を有するシリカ粒子を更に含有する、接着剤セット。
【請求項2】
前記シリカ粒子が、ブチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、又は(メタ)アクリロイルシリル基を有する、請求項1に記載の接着剤セット。
【請求項3】
前記シリカ粒子の比表面積が60~180m/gである、請求項1又は2に記載の接着剤セット。
【請求項4】
前記(メタ)アクリロイル化合物が、二官能(メタ)アクリロイル化合物を含み、前記第二液における前記求核性反応基を有する化合物の含有量が、前記第二液の量に対して、80質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤セット。
【請求項5】
前記第一液が前記シリカ粒子を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤セット。
【請求項6】
前記シリカ粒子の含有量が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して1~15質量部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤セット。
【請求項7】
前記求核性反応基が脂肪族アミノ基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤セット。
【請求項8】
2以上の被着体と、前記2以上の被着体を接着する接着層と、を有し、
前記接着層が、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤セットによって形成された層である、構造体。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤セットを用いて、2以上の被着体同士を接着する工程を備え、
前記工程において、前記2以上の被着体間に前記第一液及び前記第二液の混合物を配置して前記混合物を硬化する、構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤セット、構造体及び構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤の一種として、(メタ)アクリル系モノマーを用いた二液型接着剤が知られている(例えば特許文献1)。(メタ)アクリル系モノマーを用いた従来の二液型接着剤の場合、一般に、重合開始剤と還元剤とで形成されるレドックス触媒系によって(メタ)アクリル系モノマーの重合が進行し、その結果、接着剤が硬化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-117011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二液型接着剤には、接着力をより向上することが望まれている。本発明の一側面は、高い接着力を発現できる二液型の接着剤セットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル化合物、及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有する第一液と、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基のいずれもと反応する求核性反応基を有する化合物を含む硬化剤を含有する第二液と、を備え、第一液又は第二液のうち少なくとも一方が、置換基を有する無機充填剤を更に含有する、接着剤セットを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一側面によれば、高い接着力を発現できる二液型の接着剤セットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書中、(メタ)アクリロイルは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、これはその他の類似表現についても同様である。
【0008】
[接着剤セット]
一実施形態に係る接着剤セットは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル化合物、及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有する第一液と、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基のいずれもと反応する求核性反応基を有する化合物を含む硬化剤を含有する第二液と、を備え、第一液又は第二液のうち少なくとも一方が、置換基を有する無機充填剤を更に含有する。
【0009】
本実施形態に係る(メタ)アクリロイル化合物は、アクリロイル基、メタクリロイル基又はこれらの両方を有する2官能以上の化合物である。(メタ)アクリロイル化合物が有する(メタ)アクリロイル基の数は2~4であってもよい。
【0010】
(メタ)アクリロイル化合物は、例えば、脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートであってもよい。脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートの例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリロイル化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリロイル化合物、並びに、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリロイル化合物が挙げられる。(メタ)アクリロイル化合物の他の例としては、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、2,2’-ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルホスフェート、及びエチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリロイル化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
(メタ)アクリロイル化合物が、2個以上の(メタ)アクリロイル基と、エポキシ基とを有していてもよい。本明細書において、2個以上の(メタ)アクリロイル基と、1個以上のエポキシ基とを有する化合物は、(メタ)アクリロイル化合物に分類される。(メタ)アクリロイル化合物が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、エポキシ基を有しない化合物であってもよい。
【0012】
本実施形態に係るエポキシ樹脂は、二官能以上のエポキシ樹脂であればよい。エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数が2~4であってもよい。
【0013】
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、及び水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;多塩基酸(例えばフタル酸、ダイマー酸)とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アミン化合物(例えばp-アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸)とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;並びに脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
【0014】
エポキシ樹脂が、(メタ)アクリロイル基を更に有していてもよい。本明細書において、2個以上のエポキシ基と、1個の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物は、エポキシ樹脂に分類される。エポキシ樹脂が、2個以上のエポキシ基を有し、(メタ)アクリロイル基を有しない化合物であってもよい。
【0015】
第一液は、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリロイル化合物、1個のエポキシ基を有する単官能エポキシ樹脂、又はこれらの両方を更に含有してもよい。
【0016】
第一液における(メタ)アクリロイル化合物の含有量は、(メタ)アクリロイル化合物及びエポキシ樹脂の合計量に対して、10~90質量%、20~80質量%、30~70質量%、又は40~60質量%であってもよい。
【0017】
第二液に含まれる硬化剤は、エポキシ樹脂、(メタ)アクリロイル化合物、又はこれらの両方と反応することにより、第一液と第2液との混合物(接着剤)を硬化させる成分である。硬化剤は、少なくとも、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基のいずれもと反応する求核性反応基を有する化合物を含む。この化合物は、2~4個、又は2~3個の求核性反応基を有していてもよい。
【0018】
求核性反応基は、例えば、脂肪族アミノ基、又はチオール基であってもよい。(メタ)アクリロイル基との反応性の観点から、求核性反応基が脂肪族アミノ基であってもよい。脂肪族アミノ基を有する化合物の例としては、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、及び1,6-ヘキサンジアミンのような、2個以上の第一級脂肪族アミノ基を有する脂肪族アミン化合物が挙げられる。脂肪族アミノ基を有する化合物の市販品の例としては、jERキュア3080(三菱ケミカル株式会社製、商品名)が挙げられる。
【0019】
第二液に含まれる硬化剤が、実質的にエポキシ樹脂のみと反応する化合物を更に含んでいてもよい。そのような化合物の例としては、芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0020】
第二液における求核性反応基を有する化合物の含有量は、第二液の量に対して、80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であってもよい。100質量%以下、99質量%以下、又は98質量%以下であってもよい。
【0021】
本実施形態に係る無機充填剤は、置換基を有する。置換基を有する無機充填剤の配合により、第一液と第二液との混合物の塗布性が向上し、被着体との接着力を高めることができる。置換基を有する無機充填剤は、第一液、第二液又はこれらの両方に含有されてよい。第一液が無機充填剤を含有すると、本発明の奏する効果をより発現し易くなる。
【0022】
無機充填剤の例としては、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、ジルコニア粒子、及びアルミナ粒子が挙げられる。置換基は、アルキル基又は(メタ)アクリロイル基を有してもよい。アルキル基の炭素数は、1~10、1~9、2~8、2~6、又は2~4であってもよい。
【0023】
無機充填剤がシリカ粒子である場合、シリカ粒子表面のヒドロキシ基が置換された置換基を有していてもよい。この場合、シリカ粒子由来のケイ素原子と置換基とで、置換基を有するシリル基を形成していてもよい。このような置換基を有するシリル基としては、例えば、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、ブチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、及び(メタ)アクリロイルシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基は、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、ブチルシリル基、ヘキシルシリル基、又はオクチルシリル基であることが好ましく、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であることが更に好ましい。
【0024】
本実施形態に係る無機充填剤の比表面積は、60~250m/g、70~200m/g、又は80~180m/gであってもよい。
【0025】
無機充填剤の含有量は、接着力をより向上する観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、1~15質量部、2~10質量部、4~9質量部、又は5~8質量部であってもよい。第一液における無機充填剤の含有量は、第一液の量に対して、1~10質量%、1~8質量%、又は2~5質量%であってもよい。第二液における無機充填剤の含有量は、第二液の量に対して、0~10質量%、0~8質量%、又は0~5質量%であってもよい。
【0026】
第一液、第二液又はこれらの両方が、シランカップリング剤を更に含有していてもよい。シランカップリング剤は、例えば、加水分解性シリル基と、(メタ)アクリロイル化合物、エポキシ樹脂又は硬化剤のうち少なくとも一つと反応する官能基とを有する化合物であってもよい。加水分解性シリル基は、例えば、ケイ素原子と、該ケイ素原子に結合した1~3個のアルコキシ基とを有する基である。ケイ素原子に結合したアルコキシ基の炭素数は、例えば1~4であってよい。(メタ)アクリロイル化合物又はエポキシ樹脂のうち少なくとも一方と反応する官能基の例としては、第一級アミノ基及び第二級アミノ基等のアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、並びに(メタ)アクリロイル基が挙げられる。本明細書において、加水分解性シリル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、シランカップリング剤に分類される。
【0027】
シランカップリング剤の具体例としては、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0028】
シランカップリング剤の市販品として、例えば、KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-4803、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103、KBM-5803、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-575、KBM-802、及びKBM-803(以上、信越化学工業株式会社製、商品名)が入手可能である。
【0029】
第一液におけるシランカップリング剤の含有量は、第一液の量に対して、0~5質量%、又は0~3質量%であってもよい。第二液におけるシランカップリング剤の含有量は、第二液の量に対して、0~5質量%、又は0~3質量%であってもよい。
【0030】
第一液、第二液又はこれらの両方が、必要によりその他の成分を更に含有してもよい。その他の成分の例としては、顔料(例えばカーボンブラック、酸化チタン粒子)、及びエラストマーが挙げられる。
【0031】
[構造体]
以上例示された接着剤セットは、第一液及び第二液の混合物である接着剤によって被着体同士を接着して、2以上の被着体と、これらを接着する接着層とを有する所望の構造体を得るために用いられる。本実施形態に係る構造体の製造方法は、上述した接着剤セットを用いて、2以上の被着体同士を接着する工程(接着工程)を備える。
【0032】
被着体は、例えば、鋼、鉄、銅、ブリキ、アルミニウム、ステンレス等の金属、樹脂、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の成形体であってもよい。2以上の被着体は、互いに同種又は異種の材料の成形体であることができる。
【0033】
接着工程では、2以上の被着体間に第一液及び第二液の混合物を配置し、混合物を硬化する。具体的には、例えば、一の被着体と他の被着体とを所定の隙間を空けて配置し、ミキシングノズル等の装置を用いて、当該隙間に第一液及び第二液を注入することにより、第一液及び第二液の混合物(接着剤)が硬化し、被着体同士が接着される。この際、被着体間に注入するのと略同時に第一液及び第二液を混合してもよく、被着体間に注入する直前に第一液及び第二液を混合してもよい。
【0034】
第一液と第二液との混合比は、第一液に含まれる(メタ)アクリロイル化合物及びエポキシ樹脂と第二液に含まれる硬化剤との反応の化学量論比等を考慮して、接着剤が適切に硬化するように調整される。例えば、第二液に対する第一液の体積比が、0.5~5.0であってもよい。
【0035】
硬化条件は、接着剤が適切に硬化するように調整される。例えば、10~40℃の環境下で接着剤を硬化してもよい。硬化時間は、例えば、10分間以上であってよく、1週間以下であってよい。接着剤を加熱してもよく、その場合の加熱温度は例えば40~120℃であってもよい。
【0036】
以上の構造体の製造方法により、2以上の被着体と、2以上の被着体同士を接着する接着層と、を備える構造体が得られる。接着層は、上記の接着剤セットによって形成された層である。言い換えれば、接着層は、上記の第一液及び第二液を含む混合物の硬化物である。
【実施例0037】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限られない。
【0038】
[接着剤セットの調製]
以下の各原料を用いて、表1に示す組成の第一液及び第二液を調製した。
(A)(メタ)アクリロイル化合物
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(ビスコート230、新中村化学工業株式会社)
両末端アクリレートポリマー(XMAP RC110C、株式会社カネカ、Mw:10000)
(B)エポキシ樹脂
ビスフェールF型エポキシ樹脂(EPICLON830、DIC株式会社)
(C)硬化剤
1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC、三菱ガス化学株式会社)
脂肪族アミン系硬化剤(jERキュア3080、三菱ケミカル株式会社)
(D)無機充填剤
ジメチルシリル基を有するシリカ粒子(アエロジルR972CF、日本アエロジル株式会社、比表面積:110±20m/g)
オクチルシリル基を有するシリカ粒子(アエロジルR805、日本アエロジル株式会社、比表面積:150±25m/g)
メタクリルシリル基を有するシリカ粒子(アエロジルR711、日本アエロジル株式会社、比表面積:150±25m/g)
未修飾のシリカ粒子(アエロジル200V、日本アエロジル株式会社、比表面積:200±25m/g)
(E)シランカップリング剤
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社)
3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業株式会社)
【0039】
[接着強度の評価]
第1液及び第2液の吐出に、手動ガン(トミタエンジニアリング株式会社、型番:DMA51-1×1/2×1)、カードリッジ(トミタエンジニアリング株式会社、体積比:2:1、充填量:50mL、型番:CD050-02-PP)、及びミキシングノズル(トミタエンジニアリング株式会社、全長:124mm、エレメント:5.4mm×21個、筒外径:7.6mm、吐出口内径:1.5mm、型番:MA5.4-21-S)を備える、2液混合ディスペンサーを用いた。
【0040】
被着体として、鋼板(大きさ:25mm×100mm、厚み:2.0mm)を2枚準備し、スペーサーとして、シリコーンゴムシート(大きさ:10mm×30mm、厚み:0.5mm)を2枚準備した。鋼板の間に、接着層の大きさが25mm×12.5mm、厚みが0.5mmとなるように、シリコーンゴムシートを2枚配置した。この状態で、2液混合ディスペンサーのカードリッジに体積比2:1で充填された第1液及び第2液を、ミキシングノズルで混合しながら手動ガンで吐出して、第1液及び第2液の混合物を2枚の鋼板の間に注入した。次いで、室温で30分養生した後、100℃で1時間加熱した。その後、シリコーンゴムシートを取り除き、評価サンプルを得た。
【0041】
上記評価サンプルを用いて、引張りせん断試験を行った。引張りせん断試験には、オートグラフ(50kN、島津製作所会製)を使用し、1mm/分の引張り速度の条件下でせん断接着強度を測定した。得られた応力-ひずみ曲線の最大点応力をせん断接着強度とした。応力は、測定される荷重と接着面積(25mm×12.5mm)から算出した。また、試験後のサンプルの破断面を目視しで観察し、破壊モードを評価した。
【0042】
【表1】