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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175121
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231205BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231205BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/68 N
C23C16/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087409
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 直己
(72)【発明者】
【氏名】野沢 秀二
(72)【発明者】
【氏名】米田 崚平
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030EA05
4K030EA11
4K030GA02
4K030KA02
5F004BB21
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F045AA06
5F045AB39
5F045BB08
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH05
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EK07
5F045EM03
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA09
5F131CA32
5F131EB33
5F131EB72
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】処理後の基板を迅速に搬出する。
【解決手段】基板処理装置であって、処理容器と、ステージと、排気口と、駆動部と、クランプリングと、圧力調整機構とを備える。ステージは、処理容器内に設けられ、基板が載せられる。排気口は、処理容器の内側壁に沿って、ステージの周囲に配置されている。駆動部は、ステージを、ステージに載せられた基板に対して処理を行う際の位置である処理位置と、処理位置よりも低い位置であって、基板をステージ上に搬入する際、および、基板をステージ上から搬出する際の位置である搬送位置との間でステージを昇降させる。クランプリングは、ステージが処理位置にある場合にステージ上の基板の周縁上に配置され基板の周縁を覆い、ステージが搬送位置にある場合に、処理容器の側壁に設けられた棚部に支持される。圧力調整機構は、ステージ上の基板の上方の空間と、ステージの下方の空間との圧力差を抑制する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板が載せられるステージと、
前記処理容器の内側壁に沿って、前記ステージの周囲に配置された排気口と、
前記ステージを、前記ステージに載せられた前記基板に対して処理を行う際の位置である処理位置と、前記処理位置よりも低い位置であって、前記基板を前記ステージ上に搬入する際、および、前記基板を前記ステージ上から搬出する際の位置である搬送位置との間で前記ステージを昇降させる駆動部と、
前記ステージが前記処理位置にある場合に前記ステージ上の前記基板の周縁上に配置され前記基板の周縁を覆い、前記ステージが前記搬送位置にある場合に、前記処理容器の側壁に設けられた棚部に支持されるクランプリングと、
前記ステージ上の前記基板の上方の空間と、前記ステージの下方の空間との圧力差を抑制する圧力調整機構と
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記圧力調整機構は、
前記クランプリングの厚さ方向に沿って形成された貫通孔である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理容器の上部に設けられ、前記ステージ上の前記基板を処理するための処理ガスを、下面に設けられた吐出口から前記処理容器内に供給するシャワーヘッドを備え、
前記貫通孔は、平面視において、前記吐出口が設けられる領域よりも外側の領域に形成される請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理容器の上部には、前記上部から下方に突出する凸部が設けられており、
前記凸部は、
前記ステージが前記処理位置にある場合に、前記クランプリングの前記貫通孔に挿入されることにより、前記貫通孔の開口部を塞ぎ、
前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に、前記クランプリングの前記貫通孔から離れることにより、前記貫通孔の開口部を開放する請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記圧力調整機構は、
前記クランプリングと前記棚部との間に形成された隙間である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記棚部の上面には、凸部が設けられており、
前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に、前記クランプリングが前記凸部に支持されることにより、前記クランプリングの下面と前記棚部の上面との間に隙間が形成される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記棚部の上面には、平面視において前記クランプリングの領域の外側まで延在する溝が形成されており、前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に、前記クランプリングの下面と前記棚部の前記溝との間で隙間が形成される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記圧力調整機構は、
前記ステージ上の前記基板の上方の空間と、前記ステージの下方の空間とを接続する配管である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記配管には、前記ステージが前記処理位置にある場合に閉じられ、前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に開けられるバルブが設けられている請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記ステージの下方の空間には、パージガスが供給される請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の種々の側面および実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に膜を形成する基板処理装置において、成膜ガスが基板の裏面に回り込むと、基板の裏面に反応副生成物(いわゆるデポ)が付着する。基板の裏面にデポが付着すると、基板を搬送する際に、デポが基板から剥がれ、基板処理装置内にパーティクルとなって飛散する場合がある。基板処理装置内にパーティクルが飛散すると、パーティクルが基板に付着し、基板が汚染される場合がある。そこで、基板の周縁に、基板の周縁を覆うように環状のクランプリングが設けられる場合がある(例えば下記の特許文献1参照)。これにより、基板の裏面への成膜ガスの回り込みが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理後の基板を迅速に搬出することができる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、基板処理装置であって、処理容器と、ステージと、排気口と、駆動部と、クランプリングと、圧力調整機構とを備える。ステージは、処理容器内に設けられ、基板が載せられる。排気口は、処理容器の内側壁に沿って、ステージの周囲に配置されている。駆動部は、ステージを、ステージに載せられた基板に対して処理を行う際の位置である処理位置と、処理位置よりも低い位置であって、基板をステージ上に搬入する際、および、基板をステージ上から搬出する際の位置である搬送位置との間でステージを昇降させる。クランプリングは、ステージが処理位置にある場合にステージ上の基板の周縁上に配置され基板の周縁を覆い、ステージが搬送位置にある場合に、処理容器の側壁に設けられた棚部に支持される。圧力調整機構は、ステージ上の基板の上方の空間と、ステージの下方の空間との圧力差を抑制する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の種々の側面および実施形態によれば、処理後の基板を迅速に搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置の一例を示す概略断面図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるステージの周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。
図3図3は、第1の実施形態においてクランプリングに形成される貫通孔の形状および配置の一例を示す平面図である。
図4図4は、第1の実施形態においてクランプリングに形成される貫通孔の形状および配置の他の例を示す平面図である。
図5図5は、第1の実施形態において、ステージが下降する際のステージとクランプリングの位置関係の一例を示す拡大断面図である。
図6図6は、比較例において、ステージが下降する際のステージとクランプリングの位置関係の一例を示す拡大断面図である。
図7図7は、比較例において、基板が破損した状態の一例を示す拡大断面図である。
図8図8は、第2の実施形態におけるステージの周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。
図9図9は、第2の実施形態において、ステージが下降する際の凸部と貫通孔の位置関係の一例を示す拡大断面図である。
図10図10は、第2の実施形態における凸部および貫通孔の形状の一例を示す拡大断面図である。
図11図11は、第3の実施形態におけるステージの周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。
図12図12は、第3の実施形態において、ステージが下降する際のステージとクランプリングの位置関係の一例を示す拡大断面図である。
図13図13は、図12のA-A断面の一例を示す拡大断面図である。
図14図14は、第4の実施形態におけるステージの周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。
図15図15は、第4の実施形態において棚部に形成される溝の形状および配置の一例を示す平面図である。
図16図16は、第4の実施形態において、ステージが下降する際のステージとクランプリングの位置関係の一例を示す拡大断面図である。
図17図17は、溝とクランプリングの位置関係の一例を示す拡大断面図である。
図18図18は、第5の実施形態におけるステージの周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。
図19図19は、第5の実施形態におけるステージの周縁付近の構造の他の例を示す拡大断面図である。
図20図20は、第5の実施形態におけるステージの周縁付近の構造のさらなる他の例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示される基板処理装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示される基板処理装置が限定されるものではない。
【0009】
ところで、基板に対する処理が終了した場合、基板の搬送が行われる前に、基板の上方の空間内に残存する処理ガスが排気される。これにより、基板の上方の空間の圧力が、基板を支持するステージの下方の空間の圧力よりも低くなる。この状態で、基板を搬出するためにステージを下降させると、クランプリングが処理容器の側壁に支持された位置で、基板とクランプリングと処理容器によって閉空間が形成される。これにより、基板が基板の上方の空間に吸い寄せられ、クランプリングに密着する。そして、ステージがさらに下降すると、基板がクランプリングに吸着したままステージが下降する。
【0010】
そして、基板とクランプリングとの間、および、クランプリングと処理容器の側壁との間から、ステージの下方の空間内のガスがリークすると、基板の上方の空間とステージの下方の空間との圧力差が小さくなる。基板の上方の空間とステージの下方の空間との圧力差が所定値未満になると、基板がクランプリングから離れ、ステージ上に落下する。これにより、基板が破損する場合がある。
【0011】
基板の上方の空間とステージの下方の空間との圧力差が所定値未満になるまで、ステージの下降を待機することで基板の破損を回避することも考えられるが、この場合、基板の処理におけるスループットが低下する。
【0012】
そこで、本開示は、処理後の基板を迅速に搬出することができる技術を提供する。
【0013】
(第1の実施形態)
[基板処理装置10の構成]
図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置10の一例を示す概略断面図である。基板処理装置10は、装置本体200と、装置本体200を制御する制御装置100とを備える。装置本体200は、処理容器209を有する。処理容器209は、下部容器201、排気ダクト202、支持構造体210、およびシャワーヘッド230を有する。
【0014】
下部容器201は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。排気ダクト202は、下部容器201の上部の周縁に設けられている。排気ダクト202は、縦断面が中空の角型形状であり、下部容器201の上部に沿って環状に延在している。排気ダクト202には、スリット状の排気口203が形成されている。また、排気ダクト202の上には、環状の絶縁部材204が配置されている。シャワーヘッド230は、下部容器201の上方に設けられており、絶縁部材204に支持されている。下部容器201の略中央には、基板Wを支持する支持構造体210が設けられている。支持構造体210とシャワーヘッド230との間の空間を処理空間SPと定義する。
【0015】
下部容器201の側壁には、基板Wの搬入および搬出を行うための開口部205が形成されている。開口部205は、ゲートバルブGによって開閉される。
【0016】
排気ダクト202には、排気管206の一端が接続されている。排気管206の他端は、APC(Auto Pressure Controller)バルブ等の圧力調整バルブ207を介して真空ポンプ等を有する排気装置208に接続されている。圧力調整バルブ207は、制御装置100によって制御され、処理空間SP内の圧力を予め設定された圧力に制御する。
【0017】
排気ダクト202の側壁およびシャワーヘッド230の上面には図示しないヒータが設けられており、排気ダクト202およびシャワーヘッド230は、例えば200℃以上の温度となるように加熱される。これにより、排気ダクト202およびシャワーヘッド230への反応副生成物(いわゆるデポ)の付着を抑制することができる。なお、排気管206、圧力調整バルブ207、および排気装置208においても、ヒータが設けられ、デポが付着しにくい温度に加熱されてもよい。
【0018】
支持構造体210は、ステージ211および支持部212を有する。ステージ211は、例えばアルミニウム等の金属により構成され、上面に基板Wが載せられる。支持部212は、例えばアルミニウム等の金属により筒状に構成され、ステージ211を下方から支持する。
【0019】
ステージ211には、ヒータ214が埋め込まれている。ヒータ214は、供給された電力に応じてステージ211上に載せられた基板Wを加熱する。ヒータ214に供給される電力は、制御装置100によって制御される。
【0020】
また、ステージ211内には、冷媒が流通する流路215が形成されている。流路215には、配管216aおよび配管216bを介して、図示しないチラーユニットが接続されている。チラーユニットによって予め定められた温度に調整された冷媒が配管216aを介して流路215に供給され、流路215内を循環した冷媒が、配管216bを介してチラーユニットに戻される。流路215内を循環する冷媒によりステージ211が冷却される。チラーユニットは、制御装置100によって制御される。
【0021】
支持部212は、下部容器201の底部に形成された開口部を貫通するように下部容器201内に配置されている。支持部212は、昇降機構240の駆動により上下に昇降する。昇降機構240は、駆動部の一例である。基板Wが搬入される際には、昇降機構240の駆動により支持構造体210が基板Wの搬送が行われる搬送位置まで下降し、ゲートバルブGが開けられる。そして、開口部205を介して図示しない搬送ロボットによって基板Wが下部容器201内に搬入され、ステージ211上に突出した図示しないリフトピンに渡される。そして、図示しないリフトピンが下降することにより、基板Wがステージ211上に載せられる。そして、ゲートバルブGが閉じられ、昇降機構240の駆動により支持構造体210が基板Wの処理が行われる処理位置まで上昇し、基板Wへの成膜処理が実行される。また、基板Wが搬出される際には、昇降機構240の駆動により支持構造体210が下降し、ゲートバルブGが開けられる。そして、図示しないリフトピンが上昇することにより、基板Wがステージ211から持ち上げられる。そして、図示しないリフトピン上の基板Wが図示しない搬送ロボットによって開口部205を介して下部容器201の外部へ搬出される。
【0022】
ステージ211に対向する位置には、シャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230は、拡散室231aおよび拡散室231bを有する。拡散室231aおよび拡散室231bは互いに連通していない。拡散室231aおよび拡散室231bには、ガス供給部220が接続されている。具体的には、拡散室231aには、配管225aを介して、バルブ224a、MFC(Mass Flow Controller)223a、気化器222a、および原料供給源221aが接続されている。原料供給源221aは、第1のモノマーの一例であるイソシアネートの供給源である。気化器222aは、原料供給源221aから供給されたイソシアネートの液体を気化させる。MFC223aは、気化器222aによって気化されたイソシアネートの蒸気の流量を制御する。バルブ224aは、イソシアネートの蒸気の配管225aへの供給および供給停止を制御する。
【0023】
拡散室231bには、配管225bを介して、バルブ224b、MFC223b、気化器222b、および原料供給源221bが接続されている。原料供給源221bは、第2のモノマーの一例であるアミンの供給源である。気化器222bは、原料供給源221bから供給されたアミンの液体を気化させる。MFC223bは、気化器222bによって気化されたアミンの蒸気の流量を制御する。バルブ224bは、アミンの蒸気の配管225bへの供給および供給停止を制御する。イソシアネートの蒸気およびアミンの蒸気は、処理ガスの一例である。
【0024】
また、シャワーヘッド230には、配管225aおよび配管225bを介して、バルブ224c、MFC223c、およびクリーニングガス供給源221cが接続されている。クリーニングガス供給源221cは、例えば酸素原子またはフッ素原子を含む分子を含有するクリーニングガスの供給源である。MFC223cは、クリーニングガス供給源221cから供給されたクリーニングガスの流量を制御する。バルブ224cは、クリーニングガスの配管225aおよび配管225bへの供給および供給停止を制御する。
【0025】
拡散室231aは、複数の吐出口232aを介して処理空間SPと連通しており、拡散室231bは、複数の吐出口232bを介して処理空間SPと連通している。配管225aを介して拡散室231a内に供給されたガスは、拡散室231a内を拡散し、吐出口232aを介して処理空間SP内にシャワー状に吐出される。また、配管225bを介して拡散室231b内に供給されたガスは、拡散室231b内を拡散し、吐出口232bを介して処理空間SP内にシャワー状に吐出される。イソシアネートおよびアミンの蒸気は、吐出口232aおよび吐出口232bを介して処理空間SP内に別々に吐出された後、処理空間SP内において混合され、ステージ211に載せられた基板Wの表面に尿素結合を有する重合体の有機膜を形成する。
【0026】
例えば、第1のモノマーとしてジイソシアネート、第2のモノマーとしてジアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、直鎖のポリ尿素を生成させることができる。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)および1,12-ジアミノドデカン(DAD)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,12-ジアミノドデカン(DAD)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)およびm-キシリレンジアミン(XDA)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)およびベンジルアミン(BA)の組み合わせである。
【0027】
例えば、第1のモノマーとしてジイソシアネート、第2のモノマーとしてトリアミン(例えば、第1級アミン)またはテトラアミン(例えば、第2級アミン)を用いることで、架橋性ポリ尿素を生成させることができる。また、第1のモノマーとしてモノイソシアネート、第2のモノマーとしてジアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、尿素結合を有するトリマーを生成させることができる。また、第1のモノマーとしてモノイソシアネート、第2のモノマーとしてモノアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、尿素結合を有するダイマーを生成させることができる。
【0028】
シャワーヘッド230には、整合器261を介して、プラズマ発生用のRF(Radio Frequency)電力を供給するRF電源260が接続されている。シャワーヘッド230は、ステージ211に対してカソード電極として機能する。処理容器209内のクリーニングにおいて、シャワーヘッド230を介してガス供給部220から処理空間SP内にクリーニングガスが供給され、整合器261を介してRF電源260から処理空間SP内にRF電力が供給される。これにより、処理空間SP内においてクリーニングガスがプラズマ化され、プラズマに含まれる活性種により、処理容器209内のクリーニングが行われる。
【0029】
ステージ211の下方の下部容器201には、配管225dを介して、バルブ224d、MFC223d、およびパージガス供給源221dが接続されている。パージガス供給源221dは、パージガスの供給源である。パージガスは、例えば窒素ガスや希ガス等の不活性ガスである。MFC223dは、パージガス供給源221dから供給されたパージガスの流量を制御する。バルブ224dは、パージガスの配管225dへの供給および供給停止を制御する。ステージ211の下方の下部容器201内の空間を下部空間SLと定義する。下部空間SL内にパージガスが供給されることにより、処理空間SP内に供給された成膜ガスが下部空間SL内に侵入することを抑制することができる。
【0030】
制御装置100は、メモリ、プロセッサ、および入出力インターフェイスを備える。メモリには、制御プログラムおよび処理レシピ等が格納される。プロセッサは、制御プログラムをメモリから読み出して実行し、メモリに格納されたレシピ等に基づいて、入出力インターフェイスを介して装置本体200の各部を制御する。
【0031】
[ステージ211の周縁付近の構造]
図2は、第1の実施形態におけるステージ211の周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。図2には、ステージ211が処理位置にある場合の状態が示されている。ステージ211の上方であって、ステージ211に載せられた基板Wの周縁には、基板Wの周縁を覆うように、環状のクランプリング30が設けられている。クランプリング30は、ステージ211が搬送位置にある場合、下部容器201の側壁に設けられた棚部2010に支持されている。クランプリング30には、クランプリング30の厚さ方向に沿って形成され1つ以上の貫通孔300が形成されている。貫通孔300は、圧力調整機構の一例である。
【0032】
クランプリング30は、ステージ211が搬送位置から処理位置まで上昇する際に、ステージ211上の基板Wの周縁に支持され、例えば図2に示されるように下部容器201の棚部2010から離れる。この状態で、基板Wに対して成膜処理が行われる。
【0033】
成膜処理では、処理空間SP内に供給された処理ガスは、シャワーヘッド230の下面とクランプリング30の上面との間の空間を通って、排気口203から排気される。一方、ステージ211の下方の下部空間SLに供給されたパージガスは、クランプリング30の下面と棚部2010の上面との間の空間を通って排気口203から排気される。これにより、処理空間SP内に供給された処理ガスがクランプリング30の下面と棚部2010の上面との間の空間を通ってステージ211の下方に侵入することが抑制される。
【0034】
なお、下部空間SLに供給されたパージガスの一部は、クランプリング30の貫通孔300を介してクランプリング30の上方へも流れる。これにより、処理空間SP内に供給された処理ガスが貫通孔300を介してステージ211の下方に侵入することが抑制される。
【0035】
ここで、クランプリング30の貫通孔300は、例えば図3に示されるように、平面視において、処理ガスが供給される吐出口232aおよび吐出口232bが配置される領域Rsの外側に配置される。図3は、第1の実施形態においてクランプリングに形成される貫通孔の形状および配置の一例を示す平面図である。このように、平面視において、貫通孔300が吐出口232aおよび吐出口232bが配置される領域Rsの外側に配置されることにより、貫通孔300を介してクランプリング30の上方に流れるパージガスが処理空間SP内に侵入しにくくなる。これにより、処理空間SP内に供給された処理ガスの濃度がパージガスの侵入により低下することを防止することができ、基板Wに対する処理に要する時間が長くなることを防止することができる。
【0036】
なお、図3の例では、クランプリング30に、4つの貫通孔300が形成されているが、開示の技術はこれに限られず、クランプリング30に形成される貫通孔300の数は、4つより少なくてもよく、4つより多くてもよい。また、図3の例では、貫通孔300の開口部の形状は略円形であるが、開示の技術はこれに限られない。貫通孔300の開口部の形状は、多角形や長丸の形状であってもよい。また、例えば図4に示されるように、貫通孔300’の開口部の形状は、クランプリング30の延在方向に沿った細長い形状であってもよい。
【0037】
基板Wに対する処理が終了した場合、処理空間SP内への処理ガスの供給が停止し、処理空間SP内の処理ガスが排気口203を介して排気される。これにより、処理空間SP内の圧力が低下する。この状態で、基板Wを搬出するためにステージ211が下降すると、例えば図5に示されるように、クランプリング30の下面が棚部2010の上面に接触する。これにより、基板W、クランプリング30、シャワーヘッド230、絶縁部材204、排気ダクト202、および棚部2010によって閉空間が形成される。
【0038】
しかし、基板W、クランプリング30、シャワーヘッド230、絶縁部材204、排気ダクト202、および棚部2010によって形成された閉空間内には、貫通孔300を介してパージガスが流れる。これにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される。これにより、基板Wがクランプリング30に密着することなく、ステージ211の下降と共に下方に移動する。これにより、処理後の基板Wを迅速に搬出することができる。
【0039】
ここで、クランプリング30に貫通孔300が形成されていない場合を考える。図6は、比較例において、ステージ211が下降する際のステージ211とクランプリング30の位置関係の一例を示す拡大断面図である。処理後の基板Wを搬出するためにステージ211が下降すると、例えば図6に示されるように、基板W、クランプリング30、シャワーヘッド230、絶縁部材204、排気ダクト202、および棚部2010によって閉空間が形成される。
【0040】
図6の比較例では、クランプリング30に貫通孔300が形成されていないため、閉空間内のガスが排気口203から排気されると、処理空間SP内の圧力がさらに低下する。処理空間SP内の圧力が低下すると、処理空間SPと下部空間SLとの圧力差により、基板Wが処理空間SPに吸い寄せられクランプリング30に密着する。基板Wがクランプリング30に密着した状態でステージ211がさらに下降すると、基板Wがステージ211から離れる。そして、基板Wとクランプリング30の間、および、クランプリング30と棚部2010の間からのパージガスのリークが進み、処理空間SPと下部空間SLとの圧力差が所定値未満になると、基板Wがクランプリング30から離れ、ステージ211上に落下する。これにより、例えば図7に示されるように、基板Wが破損する場合がある。
【0041】
そのため、比較例では、処理空間SPと下部空間SLとの圧力差が所定値未満になるまで、ステージ211の下降を待機することで基板Wの破損を回避することになる。この場合、基板Wの処理におけるスループットが低下する。
【0042】
これに対し、本実施形態では、クランプリング30に貫通孔300が形成されている。そのため、ステージ211の下降に伴って、基板W、クランプリング30、シャワーヘッド230、絶縁部材204、排気ダクト202、および棚部2010によって閉空間が形成された場合でも、閉空間内に貫通孔300を介してパージガスが流れる。これにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される。これにより、基板Wがクランプリング30に密着することなく、ステージ211の下降と共に基板Wを迅速に下降させることができ、処理後の基板Wを迅速に搬出することができる。従って、基板Wの処理におけるスループットを向上させることができる。
【0043】
以上、第1の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態における基板処理装置10は、処理容器209と、ステージ211と、排気口203と、昇降機構240と、クランプリング30と、圧力調整機構とを備える。ステージ211は、処理容器209内に設けられ、基板Wが載せられる。排気口203は、処理容器209の内側壁に沿って、ステージ211の周囲に配置されている。昇降機構240は、ステージ211を、ステージ211に載せられた基板Wに対して処理を行う際の位置である処理位置と、処理位置よりも低い位置であって、基板Wをステージ211上に搬入する際、および、基板Wをステージ上から搬出する際の位置である搬送位置との間でステージ211を昇降させる。クランプリング30は、ステージ211が処理位置にある場合にステージ211上の基板Wの周縁上に配置され基板Wの周縁を覆い、ステージ211が搬送位置にある場合に、処理容器209の側壁に設けられた棚部2010に支持される。圧力調整機構は、ステージ211上の基板Wの上方の処理空間SPと、ステージ211の下方の下部空間SLとの圧力差を抑制する。これにより、処理後の基板Wを迅速に搬出することができる。
【0044】
また、上記した実施形態において、圧力調整機構は、クランプリング30の厚さ方向に沿って形成された貫通孔300である。これにより、圧力調整機構を容易に構成することができる。
【0045】
また、上記した実施形態における基板処理装置10は、処理容器209の上部に設けられ、ステージ211上の基板Wを処理するための処理ガスを、下面に設けられた吐出口232aおよび吐出口232bから処理容器209内に供給するシャワーヘッド230を備える。貫通孔300は、平面視において、吐出口232aおよび吐出口232bが設けられる領域よりも外側の領域に形成される。これにより、貫通孔300を介してクランプリング30の上方に流れるパージガスが処理空間SP内に侵入しにくくなる。これにより、処理空間SP内に供給された処理ガスの濃度がパージガスの侵入により低下することを防止することができ、基板Wに対する処理に要する時間が長くなることを防止することができる。
【0046】
また、上記した実施形態において、ステージ211の下方の下部空間SLには、パージガスが供給される。これにより、下部空間SLに配置された部材や基板Wの裏面等にデポが付着することを抑制することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、基板Wの処理が行われている間も、貫通孔300を介してパージガスがクランプリング30の上方へ流れる。これに対し、本実施形態では、ステージ211が処理位置にある場合に貫通孔300の開口部が塞がれ、ステージ211が処理位置よりも下方に移動した場合に、貫通孔300の開口部が開放される点が第1の実施形態とは異なる。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0048】
図8は、第2の実施形態におけるステージ211の周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。図8には、ステージ211が処理位置にある場合の状態が示されている。本実施形態では、例えば図8に示されるように、シャワーヘッド230の下面に、シャワーヘッド230からクランプリング30へ向かう方向に突出する凸部2301が形成されている。シャワーヘッド230は、処理容器209の上部の一例である。凸部2301は、クランプリング30の貫通孔300に対応する位置に形成されている。ステージ211が処理位置にある場合、例えば図8に示されるように、貫通孔300の開口部が凸部2301によって塞がれる。これにより、基板Wの処理が行われる際に、貫通孔300を介してパージガスが処理空間SP内にさらに侵入しにくくなる。そのため、基板Wに対する処理に要する時間が長くなることをさらに防止することができる。
【0049】
また、基板Wに対する処理が終了し、基板Wが搬出される場合、ステージ211が下降することにより、例えば図9に示されるように、シャワーヘッド230の凸部2301と貫通孔300の開口部とが離れる。これにより、貫通孔300の開口部が開放され、貫通孔300を介してパージガスがクランプリング30の上方へ流れる。そのため、ステージ211が下降し、基板W、クランプリング30、シャワーヘッド230、絶縁部材204、排気ダクト202、および棚部2010によって閉空間が形成された場合でも、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される。これにより、基板Wがクランプリング30に密着することなく、ステージ211の下降と共に基板Wを下方に移動させることができる。
【0050】
なお、シャワーヘッド230の凸部2301の先端には、例えば図10に示されるように、テーパ部2301aが形成されることが好ましい。また、貫通孔300の開口部には、例えば図10に示されるように、テーパ部300aが形成されることが好ましい。これにより、凸部2301と貫通孔300の位置が多少ずれていても、凸部2301によって貫通孔300の開口部を塞ぐことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、凸部2301の少なくとも一部が貫通孔300内に挿入されることにより貫通孔300の開口部が塞がれるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、凸部2301は、貫通孔300の開口部の領域よりも大きい領域の断面を有する形状であってもよい。この場合、平面視において、凸部2301の断面の領域内に貫通孔300の開口部の領域が含まれる位置に凸部2301が配置される。これにより、凸部2301とクランプリング30とが接触することにで、貫通孔300の開口部が凸部2301によって塞がれる。
【0052】
以上、第2の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態において、処理容器209の上部には、処理容器209の上部から下方に突出する凸部2301が設けられている。凸部2301は、ステージ211が処理位置にある場合に、クランプリング30の装置本体200に挿入されることにより、貫通孔300の開口部を塞く。また、凸部2301は、ステージ211が処理位置から搬送位置に移動する際に、クランプリング30の貫通孔300から離れることにより、貫通孔300の開口部を開放する。これにより、基板Wの処理が行われる際に、貫通孔300を介してパージガスが処理空間SP内にさらに侵入しにくくなり、基板Wに対する処理に要する時間が長くなることをさらに防止することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、クランプリング30に形成された貫通孔300を介してパージガスがクランプリング30の上方へ流れることにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される。これに対し、本実施形態では、下部容器201の棚部2010とクランプリング30との間に隙間を形成し、その隙間を介して、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される点が第1の実施形態とは異なる。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0054】
図11は、第3の実施形態におけるステージ211の周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。図11には、ステージ211が処理位置にある場合の状態が示されている。本実施形態では、例えば図11に示されるように、棚部2010の上面に、棚部2010からシャワーヘッド230へ向かう方向に突出する凸部2010aが形成されている。凸部2010aは、クランプリング30に沿って棚部2010の上面に例えば3つ以上形成されている。ステージ211が処理位置にある場合、例えば図11に示されるように、クランプリング30と凸部2010aとは離れている。本実施形態では、クランプリング30に貫通孔300が形成されていないため、基板Wの処理が行われる際に、パージガスが処理空間SP内に侵入しにくい。そのため、基板Wに対する処理に要する時間が長くなることを防止することができる。
【0055】
基板Wに対する処理が終了し、基板Wが搬出される場合、ステージ211が下降することにより、例えば図12に示されるように、クランプリング30と凸部2010aとが接触し、クランプリング30が支持構造体2101aによって支持される。図12のA-A断面は、例えば図13のようになる。図13に示されるように、凸部2010aによって、クランプリング30と棚部2010との間には、隙間40が形成される。凸部2010aによってクランプリング30と棚部2010との間に形成される隙間40は、圧力調整機構の一例である。この隙間40によって、下部空間SL内のパージガスが処理空間SP内に流れる。これにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される。
【0056】
以上、第3の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態において、棚部2010の上面には、凸部2010aが設けられており、ステージ211が処理位置から搬送位置に移動する際に、クランプリング30が凸部2010aに支持されることにより、クランプリング30の下面と棚部2010の上面との間に隙間40が形成される。これにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差を容易に抑制することができる。
【0057】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、棚部2010に形成された凸部2010aによって、クランプリング30と棚部2010との間に隙間40が形成された。これに対し、本実施形態では、棚部2010に溝を形成することにより、クランプリング30と棚部2010との間に隙間40が形成される点が第3の実施形態とは異なる。以下では、第3の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0058】
図14は、第4の実施形態におけるステージ211の周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。図14には、ステージ211が処理位置にある場合の状態が示されている。本実施形態では、例えば図14に示されるように、棚部2010の上面に溝2010bが形成されている。溝2010bは、例えば図15に示されるように、平面視において、クランプリング30の領域Rcの外側まで延在するように、棚部2010の上面に形成されている。
【0059】
ステージ211が処理位置にある場合、例えば図14に示されるように、クランプリング30と棚部2010とは離れている。本実施形態では、クランプリング30に貫通孔300が形成されていないため、基板Wの処理が行われる際に、パージガスが処理空間SP内に侵入しにくい。そのため、基板Wに対する処理に要する時間が長くなることを防止することができる。
【0060】
基板Wに対する処理が終了し、基板Wが搬出される場合、ステージ211が下降することにより、例えば図16に示されるように、クランプリング30と棚部2010とが接触し、クランプリング30が支持構造体2101によって支持される。図16のA-A断面は、例えば図17のようになる。図17に示されるように、クランプリング30と棚部2010との間には、02010bによって隙間40が形成される。溝2010bによってクランプリング30と棚部2010との間に形成される隙間40は、圧力調整機構の一例である。この隙間40によって、下部空間SL内のパージガスが処理空間SP内に流れ、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差が抑制される。
【0061】
以上、第4の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態において、2010の棚部2010の上面には、平面視においてクランプリング30の領域の外側まで延在する溝2010bが形成されている。そして、ステージ211が処理位置から搬送位置に移動する際に、クランプリング30の下面と棚部2010の溝2010bとの間で隙間40が形成される。これにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差を容易に抑制することができる。
【0062】
(第5の実施形態)
第4の実施形態では、棚部2010に形成された溝2010bによってクランプリング30と棚部2010との間に形成された隙間40を介して、下部空間SL内のパージガスが処理空間SP内に流れる。これに対し、本実施形態では、棚部2010内に配管を形成することにより、当該配管を介して下部空間SL内のパージガスを処理空間SP内に流す点が第4の実施形態とは異なる。以下では、第4の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0063】
図18は、第5の実施形態におけるステージ211の周縁付近の構造の一例を示す拡大断面図である。図18には、ステージ211が処理位置にある場合の状態が示されている。本実施形態では、例えば図18に示されるように、棚部2010内に配管2010cが設けられる。配管2010cは、棚部2010の上方の空間と、棚部2010の下方の空間とに連通している。配管2010cは、平面視において、配管2010cの開口部が、クランプリング30が配置される領域の外側に配置されるように、棚部2010内に設けられている。これにより、ステージ211が下降し、クランプリング30が棚部2010に支持された場合でも、配管2010cを介して、下部空間SL内のパージガスを処理空間SP内に流すことができる。これにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差を容易に抑制することができる。
【0064】
なお、棚部2010の上方の空間と、棚部2010の下方の空間とに連通する配管2010cには、例えば図19に示されるように、バルブ2010eが設けられていてもよい。バルブ2010eは、ステージ211が処理位置にある場合に閉じられ、ステージ211が処理位置から搬送位置に移動する際に開けられる。バルブ2010eは、制御装置100によって制御される。ステージ211が処理位置にある場合にバルブ2010eが閉じられることにより、棚部2010の上方に過剰にパージガスが供給され、その一部が処理空間SP内に侵入してしまうことを防止することができる。また、基板Wが搬出される場合にバルブ2010eが開けられることにより、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差を容易に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態における配管2010cは、棚部2010の上方の空間と、棚部2010の下方の空間とに連通するが、開示の技術はこれに限られない。他の形態として、例えば図20に示されるように、配管2010cは、棚部2010の下方の空間と、排気管206とに連通してもよい。この場合、配管2010cには、ステージ211が処理位置にある場合に閉じられ、ステージ211が処理位置から搬送位置に移動する際に開けられるバルブ2010eが設けられる。このような構成であっても、基板Wの搬出時に、処理空間SP内と下部空間SL内との圧力差を容易に抑制することができる。
【0066】
[その他]
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記した第3および第4の実施形態では、棚部2010の上面に凸部2010aや溝2010bを設けることにより、クランプリング30と棚部2010との間に隙間40を形成する。しかし、開示の技術はこれに限られず、他の方法によってクランプリング30と棚部2010との間に隙間40が形成されてもよい。例えば、他の形態として、棚部2010の上面と接触するクランプリング30の下面に凸部や溝が設けられてもよい。あるいは、クランプリング30の下面および棚部2010の上面の両方に、凸部または溝が設けられてもよい。あるいは、クランプリング30の下面および棚部2010の上面のいずれか一方または両方に粗面加工が施されていてもよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、第1のモノマーとしてイソシアネート、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面に尿素結合(-NH-CO-NH-)を有する重合体の膜が形成されたが、開示の技術はこれに限られない。例えば、第1のモノマーとしてエポキシド、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面に2-アミノエタノール結合(-NH-CH2-CH(OH)-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。あるいは、第1のモノマーとしてイソシアネート、第2のモノマーとしてアルコールを用いて、基板Wの表面にウレタン結合(-NH-CO-O-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。あるいは、第1のモノマーとしてハロゲン化アシル、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面にアミド結合(-NH-CO-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。あるいは、第1のモノマーとしてカルボン酸無水物、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面にイミド結合(-CO-N(-)-CO-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。
【0069】
基板Wの表面にイミド結合を有する重合体の膜が形成される場合、第1のモノマーとしては、例えばピロメリト酸二無水物(PMDA)等を用いることができる。また、基板Wの表面にイミド結合を有する重合体の膜が形成される場合、第2のモノマーとしては、例えば4,4’-オキシジアニリン(44ODA)、または、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)等を用いることができる。
【0070】
また、上記した実施形態では、基板処理装置10として、成膜を行う装置を例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。クランプリング30が設けられる基板処理装置であれば、成膜を行う装置以外に、エッチングを行う装置や、基板Wの改質を行う装置等にも開示の技術を適用することができる。
【0071】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。また、上記した各実施形態は、構造的に矛盾しない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0072】
また、上記の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0073】
(付記1)
処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板が載せられるステージと、
前記処理容器の内側壁に沿って、前記ステージの周囲に配置された排気口と、
前記ステージを、前記ステージに載せられた前記基板に対して処理を行う際の位置である処理位置と、前記処理位置よりも低い位置であって、前記基板を前記ステージ上に搬入する際、および、前記基板を前記ステージ上から搬出する際の位置である搬送位置との間で前記ステージを昇降させる駆動部と、
前記ステージが前記処理位置にある場合に前記ステージ上の前記基板の周縁上に配置され前記基板の周縁を覆い、前記ステージが前記搬送位置にある場合に、前記処理容器の側壁に設けられた棚部に支持されるクランプリングと、
前記ステージ上の前記基板の上方の空間と、前記ステージの下方の空間との圧力差を抑制する圧力調整機構と
を備える基板処理装置。
(付記2)
前記圧力調整機構は、
前記クランプリングの厚さ方向に沿って形成された貫通孔である付記1に記載の基板処理装置。
(付記3)
前記処理容器の上部に設けられ、前記ステージ上の前記基板を処理するための処理ガスを、下面に設けられた吐出口から前記処理容器内に供給するシャワーヘッドを備え、
前記貫通孔は、平面視において、前記吐出口が設けられる領域よりも外側の領域に形成される付記2に記載の基板処理装置。
(付記4)
前記処理容器の上部には、前記上部から下方に突出する凸部が設けられており、
前記凸部は、
前記ステージが前記処理位置にある場合に、前記クランプリングの前記貫通孔に挿入されることにより、前記貫通孔の開口部を塞ぎ、
前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に、前記クランプリングの前記貫通孔から離れることにより、前記貫通孔の開口部を開放する付記2または3に記載の基板処理装置。
(付記5)
前記圧力調整機構は、
前記クランプリングと前記棚部との間に形成された隙間である付記1に記載の基板処理装置。
(付記6)
前記棚部の上面には、凸部が設けられており、
前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に、前記クランプリングが前記凸部に支持されることにより、前記クランプリングの下面と前記棚部の上面との間に隙間が形成される付記5に記載の基板処理装置。
(付記7)
前記棚部の上面には、平面視において前記クランプリングの領域の外側まで延在する溝が形成されており、前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に、前記クランプリングの下面と前記棚部の前記溝との間で隙間が形成される付記5に記載の基板処理装置。
(付記8)
前記圧力調整機構は、
前記ステージ上の前記基板の上方の空間と、前記ステージの下方の空間とを接続する配管である付記1に記載の基板処理装置。
(付記9)
前記配管には、前記ステージが前記処理位置にある場合に閉じられ、前記ステージが前記処理位置から前記搬送位置に移動する際に開けられるバルブが設けられている付記8に記載の基板処理装置。
(付記10)
前記ステージの下方の空間には、パージガスが供給される付記1から8のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0074】
G ゲートバルブ
Rs 領域
Rc 領域
W 基板
10 基板処理装置
100 制御装置
200 装置本体
201 下部容器
2010 棚部
2010a 凸部
2010b 溝
2010c 配管
2010e バルブ
202 排気ダクト
203 排気口
204 絶縁部材
205 開口部
206 排気管
207 圧力調整バルブ
208 排気装置
209 処理容器
210 支持構造体
211 ステージ
212 支持部
214 ヒータ
215 流路
216 配管
220 ガス供給部
221a 原料供給源
221b 原料供給源
221c クリーニングガス供給源
221d パージガス供給源
222 気化器
223 MFC
224 バルブ
225 配管
230 シャワーヘッド
2301 凸部
2301a テーパ部
300a テーパ部
231 拡散室
232 吐出口
240 昇降機構
260 RF電源
261 整合器
30 クランプリング
300 貫通孔
40 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20