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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175652
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20231205BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085031
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022087782
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】曽根 慶太
(72)【発明者】
【氏名】竹中 友英
(72)【発明者】
【氏名】太田 直輝
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270LA18
2H270LA20
2H270LA32
2H270LA45
2H270MA01
2H270MA09
2H270MA14
2H270MB14
2H300EB04
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC05
2H300EH06
2H300EH33
2H300EH36
2H300EJ39
2H300RR19
2H300RR34
2H300RR37
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
可視像における画像濃度周期変動を複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段と、を備える画像形成装置であって、各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、各作像ユニットについて、作像条件を周期変動させて画像濃度周期変動を抑制する画像濃度変動抑制制御を実施する画像濃度変動抑制制御手段とを備え、該制御手段は、取得された高濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、現像バイアスを補正する第一の抑制制御と、その上で、取得された第一の低濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、帯電バイアスを補正する第二の抑制制御と、その上で、取得された第二の低濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、露光光量を補正する第三の抑制制御を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電部材と、
静電潜像に現像剤を付着させて可視像を形成する現像剤担持体と、を有する複数の作像ユニットと、
前記帯電部材によって帯電された前記像担持体を露光し前記像担持体に前記静電潜像を形成する露光手段と、
前記可視像における画像濃度周期変動を前記複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段と、を備える画像形成装置であって、
前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、各作像ユニットについて、作像条件を周期変動させて前記画像濃度周期変動を抑制する画像濃度変動抑制制御を実施する画像濃度変動抑制制御手段とを、さらに備え、
前記画像濃度変動抑制制御手段は、取得された高濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記現像剤担持体に印加される現像バイアスを補正する第一の抑制制御と、
前記第一の抑制制御を行ったうえで、取得された第一の低濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記帯電部材に印加される帯電バイアスを補正する第二の抑制制御と、
前記第一の抑制制御および前記第二の抑制制御を行ったうえで、取得された第二の低濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記露光手段の露光光量を補正する第三の抑制制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる位相合わせ制御を実施する位相制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電バイアスの補正に係る補正量は、所定のゲイン補正が行われていることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定のゲイン補正に係るゲイン係数は、1.0より大きい値であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光光量の補正に係る補正量は、所定のゲイン補正が行われていることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定のゲイン補正に係るゲイン係数は、1.0より小さい値であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体および現像剤担持体を有し、現像剤担持体が担持する現像剤を像担持体に付着させて可視像を作像する複数の作像ユニットと、画像濃度周期変動を複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段とを備える画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、画像濃度周期変動取得手段が取得した像担持体一回転を一周期とする画像濃度周期変動に基づいて、現像バイアスおよび帯電バイアスを変化させて、画像濃度の周期変動を補正するものが記載されている。
【0004】
しかしながら、画像濃度の周期変動を完全に無くすことができず、画像濃度の周期変動が残る場合がある。この場合、各作像ユニットで作像した可視像を重ねわせてフルカラー画像を形成したときに、画像の色合いが周期的に変化し、画像品質が低下するおそれがあった。
【0005】
これに対して、特許文献2では、画像濃度変動抑制制御では補正しきれずに残った各作像ユニットの中間調画像の画像濃度周期変動の位相を一致させる位相合わせ制御を実施し、各作像ユニットで作像した可視像を重ねわせてフルカラー画像を形成したときの画像の色合いの周期的な変化も抑制している構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2では、低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化が悪化するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電部材と、静電潜像に現像剤を付着させて可視像を形成する現像剤担持体と、を有する複数の作像ユニットと、前記帯電部材によって帯電された前記像担持体を露光し前記像担持体に前記静電潜像を形成する露光手段と、前記可視像における画像濃度周期変動を前記複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段と、を備える画像形成装置であって、前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、各作像ユニットについて、作像条件を周期変動させて前記画像濃度周期変動を抑制する画像濃度変動抑制制御を実施する画像濃度変動抑制制御手段とを、さらに備え、前記画像濃度変動抑制制御手段は、取得された高濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記現像剤担持体に印加される現像バイアスを補正する第一の抑制制御と、前記第一の抑制制御を行ったうえで、取得された第一の低濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記帯電部材に印加される帯電バイアスを補正する第二の抑制制御と、前記第一の抑制制御および前記第二の抑制制御を行ったうえで、取得された第二の低濃度画像パターンの画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記露光手段の露光光量を補正する第三の抑制制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図。
図2】同画像形成装置のタンデム型画像形成部の構成例を示す説明図。
図3】同画像形成装置においてトナー像の濃度を検知するトナー付着量センサの構成例の説明図。
図4】同画像形成装置の制御系の要部構成の一例を示すブロック図。
図5】同画像形成装置の画像濃度変動抑制制御の一例を示すフローチャート。
図6】(a)及び(b)はそれぞれ第一の制御及び第二の制御で用いる画像パターンの一例について説明する図。
図7】第一の制御及び第二の制御での作像条件の適用方法について説明する図。
図8】(a)は、Y色の画像濃度周期変動と、M色の画像濃度周期変動と、C色の画像濃度周期変動とを示すグラフであり、(b)は、Y,M,C色の画像を重ね合わせて形成した3Cグレー画像の副走査方向の明度L、色度a、bを示すグラフ。
図9】同画像形成装置の位相合わせ制御の一例を示すフローチャート。
図10】Y,M、C色の感光体の回転駆動の一例を示すシーケンス図。
図11】(a)は、位相合わせ制御後のY色の画像濃度周期変動と、M色の画像濃度周期変動と、C色の画像濃度周期変動とを示すグラフであり、(b)は、位相合わせ制御後のY,M,C色の画像を重ね合わせて形成した3Cグレー画像の副走査方向の明度L、色度a、bを示すグラフ。
図12】(a)は、Y色の高濃度画像の画像濃度変動抑制制御前後の画像濃度周期変動の一例を示す図であり、(b)は、Y色の低濃度画像部の画像濃度変動抑制制御前後の画像濃度周期変動の一例を示す図。
図13】従来技術における感光体の所定の回転位置における目標のトナー付着量対する差分値と画像濃度との関係の一例を示すグラフである。
図14】比較例における感光体の所定の回転位置における目標のトナー付着量対する差分値と画像濃度との関係の一例を示すグラフである。
図15】本実施形態における感光体の所定の回転位置における目標のトナー付着量対する差分値と画像濃度との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0012】
<本実施形における画像形成装置について>
まず、本発明を適用する画像形成装置としての実施形態について説明する。
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図である。図1を参照すると、本実施形態の画像形成装置1は、装置本体(プリンタ部)100と、その装置本体が載せられた記録媒体供給部である給紙装置200と、装置本体100上に取り付けられた画像読取装置としてのスキャナ300とを備える。更に、本実施形態の画像形成装置1は、スキャナ300の上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400を備える。
【0015】
装置本体100は、その中央に、表面移動部材としての無端状ベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14、15、16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これら3つの支持ローラのうち、第二支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうち、第一支持ローラ14と第二支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、画像形成手段であるタンデム画像形成部20が対向配置されている。
【0016】
タンデム画像形成部20は、図1に示すように、前記ベルト部分のベルト移動方向に沿ってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの作像ユニット18Y、18M、18C、18Kを並べて配置した構成になっている。本実施形態においては、第三支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、露光手段としての露光装置21が設けられている。
【0017】
中間転写ベルト10を間にしてタンデム画像形成部20の反対側には、第二の転写手段としての二次転写装置22が設けられている。二次転写装置22においては、2つのローラ231、232間に転写シート搬送部材としての無端状ベルトである二次転写ベルト24が掛け渡されている。二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第三支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この二次転写装置22により、中間転写ベルト10上のトナー像が記録媒体としての転写材である転写シートSに転写される。なお、図1に示すように、二次転写ベルト24の外周面をクリーニングするクリーニング装置170を設けてもよい。
【0018】
二次転写装置22の図中左方には、転写シートS上に転写されたトナー像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、加熱される無端状ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。
【0019】
また、二次転写装置22には、トナー像を中間転写ベルト10から転写シートSに転写した後の転写シートSを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。また、二次転写装置22及び定着装置25の下には、タンデム画像形成部20と平行に、転写シートSの両面に画像を記録すべく転写シートSを反転するシート反転装置28が設けられている。
【0020】
上記構成の画像形成装置1を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、操作部のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。
【0021】
一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第一走行体33及び第二走行体34を走行させる。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに、原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して画像読取センサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0022】
上記原稿読み取りと並行して、駆動源である駆動モータで駆動ローラたる第三支持ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14、15が連れ回り回転する。
【0023】
また、上記原稿読み取り及び中間転写ベルト10の移動と同時に、個々の作像ユニット18において像担持体としてのドラム状の感光体40Y、40M、40C、40Kを回転させる。そして、各感光体40Y、40M、40C、40K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー像(顕像)を形成する 。
【0024】
上記中間転写ベルト10の支持ローラ14,15間のベルト部分を挟んで各感光体40Y、40M、40C、40Kに対向する位置には、一次転写手段としての一次転写ローラを有する一次転写装置62Y、62M、62C、62Kが設けられている。この一次転写装置62Y、62M、62C、62Kにより、各感光体40Y、40M、40C、40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラートナー像を形成する。
【0025】
上記画像形成動作に並行して、給紙装置200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから転写シートSを繰り出す。そして、繰り出した転写シートSを、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して装置本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写シートSを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0026】
次に、中間転写ベルト10上の合成カラートナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間に転写シートSを送り込む。その後、二次転写装置22で転写して転写シートS上にカラートナー像を転写する。
【0027】
トナー像転写後の転写シートSは、二次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で定着ベルト26と加圧ローラ27とによって熱と圧力とを加えて転写トナー像を定着する。この定着の後、切換爪55で切り替えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り替えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0028】
なお、トナー像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、トナー像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0029】
また、装置本体100は、中間転写ベルト10の外周面に形成されたトナー像の濃度を検知する濃度検知手段として、光学センサなどで構成された光学センサユニットである濃度検出センサとしてのトナー付着量センサ310を備えている。トナー付着量センサ310は、中間転写ベルト10上のトナーの付着量を検知して画像の濃度ムラを検出するために中間転写ベルト10上のトナー像の濃度を検出する濃度検出手段として機能しトナー像検知センサやトナー付着量検知センサとも呼ばれる。トナー付着量センサ310により、画像ムラの補正制御に用いるために中間転写ベルト10の表面に形成された後述する補正制御用の画像パターンのトナー像の濃度を検知する。なお、中間転写ベルト10を間にしてトナー付着量センサ310に対向する位置には、図1に示すように対向ローラ311を設けてもよい。
【0030】
<タンデム型画像形成部の構成について>
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のタンデム型画像形成部の構成例を示す説明図である。なお、各作像ユニット18は、同様の構成をしているので、Y,M,C,Kの色符号は、適宜省略して説明する。
【0031】
作像ユニット18は、例えば、図2に示すように、ドラム状の感光体40の周りに、帯電手段としての帯電装置60、電位センサ70、現像手段としての現像装置61、感光体クリーニング装置63、除電装置などを備えている。
【0032】
画像形成動作時には、感光体40は、像担持体回転駆動手段としての駆動モータによって矢印A方向に回転駆動される。そして、感光体40は、その表面が帯電装置60によって一様帯電された後、前述のスキャナ300からの原稿等の画像信号に基づいて制御された露光装置21からの書込露光Lによって露光され、静電潜像が形成される。スキャナ300からの画像データに基づくカラー画像信号は、画像処理部で色変換処理などの画像処理が施され、K、Y、M、Cの各色の画像信号として露光装置21へ出力される。露光装置21は、画像処理部からの画像信号を光信号に変換し、この光信号に基づいて一様に帯電された感光体40の表面を走査して露光することで静電潜像を形成する。
【0033】
現像装置61の現像剤担持体としての現像ローラ61aには現像バイアスが印加されており、感光体40上の静電潜像と、現像ローラ61aとの間に電位差である現像ポテンシャルが形成されている。この現像ポテンシャルにより現像ローラ61a上のトナーが現像ローラ61aから感光体40の静電潜像に転移することで、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。また、現像装置61内の現像剤搬送スクリュー61bが配設されている現像剤搬送部の底面部には、現像剤中のトナー濃度を検知することができるトナー濃度センサ312が設けられている。
【0034】
感光体40上に形成されたトナー像は、一次転写装置62によって中間転写ベルト10上に一次転写される。感光体40は、トナー像転写後に感光体クリーニング装置63によって残留トナーがクリーニングされ、除電装置により除電されて次の画像形成に備えられる。
【0035】
上記構成の画像形成装置1において、露光装置21及び帯電装置60Y、60M、60C、60Kは、感光体40Y、40M、40C,40Kの表面に静電潜像を形成する潜像形成手段として機能する。また、露光装置21、帯電装置60Y、60M、60C、60K及び現像装置61Y、61M、61C、61Kは、感光体40Y、40M、40C,40Kの表面にトナー像を形成するトナー像形成手段として機能する。
【0036】
また、本実施形態の画像形成装置1は、Y,M,Cの作像ユニット18には、感光体40の回転基準位置である被検知部71aを検出できる回転位置検出手段としてのフォトインタラプタ71を備えている。フォトインタラプタ71は、感光体40に設けられた被検知部71aを光学的に検出するものである。このフォトインタラプタ71は、例えば、発光素子と受光素子とが互いに対向して配置されており、その間を、感光体40に設けられた被検知部71aが通過し光をさえぎることにより、感光体の回転基準位置を検出するものである。なお、感光体40の回転基準位置を検出する回転基準位置検出手段は、フォトインタラプタ以外のものを用いてもよい。
【0037】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1においてトナー像の濃度を検知する画像濃度検知手段としてのトナー付着量センサ310の構成例の説明図である。図3(a)は、黒トナー像の濃度検知に適した黒トナー付着量センサ310(K)の構成例を示し、図3(b)は、黒以外のカラートナー像の濃度検知に適したカラートナー付着量センサ310(Y,M,C)の構成例を示している。
【0038】
図3(a)に示すように、黒トナー付着量センサ310(K)は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子310aと、正反射光を受光する正反射受光素子310bとから構成されている。発光素子310aは中間転写ベルト10上に光を照射し、この照射光は中間転写ベルト10によって反射される。正反射受光素子310bは、この反射光のうちの正反射光を受光する。
【0039】
一方、図3(b)に示すように、カラートナー付着量センサ310(Y,M,C)は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子310aと、正反射光を受光する正反射受光素子310bと、拡散反射光を受光する拡散反射受光素子310cとから構成されている。発光素子310aは、黒トナー付着量センサの場合と同様、中間転写ベルト10上に 光を照射し、この照射光は、中間転写ベルト10表面によって反射される。正反射受光素子310bは、この反射光のうちの正反射光を受光し、拡散反射受光素子310cは、反射光のうち拡散反射光を受光する。
【0040】
なお、本実施形態では、発光素子として、発光される光のピーク波長が950nmであるGaAs赤外発光ダイオードを用い、受光素子としては、ピーク受光感度が800nmであるSiフォトトランジスタなどを用いている。発光素子及び受光素子として、ピーク波長及びピーク受光感度がこれと異なるものを用いてもよい。また、黒トナー付着量センサ310(K)及びカラートナー付着量センサ310(Y,M,C)と、検知対象物であるトナー像が転写されている中間転写ベルト10のベルト表面との間には、例えば、5mm程度の距離(検出距離)を設けて配設されている。
【0041】
また、本実施形態では、トナー付着量センサ310を中間転写ベルト10近傍に設け、各感光体40Y、40M、40C、40Kに形成された所定の画像パターンのトナー像を中間転写ベルト10に転写してトナー像の画像濃度を検出している。その中間転写ベルト上で検知したトナーの画像濃度(トナー付着量)の検知結果に基づいて画像形成条件(作像条件)を決定する。このようにトナー付着量センサ310を中間転写ベルト10近傍に設けた構成であるが、トナー付着量センサ310は、感光体40Y、40M、40C、40Kそれぞれの近傍や転写シートSを搬送する転写搬送ベルトの近傍に配設されていても 構わない。そして、感光体40Y、40M、40C、40K上に形成されたトナー像の濃度を、中間転写ベルト10を介さずに直接検知したり、各感光体から転写搬送ベルトにトナー像を転写して検知したりしてもよい。
【0042】
黒トナー付着量センサ310(K)及びカラートナー付着量センサ310(Y,M,C)からの出力は、付着量変換アルゴリズムによってトナー付着量に変換される。付着量変換アルゴリズムについては、従来技術と同様なアルゴリズムを用いることができる。
【0043】
次に、本発明の特徴部について説明する。
【0044】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1の制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置1は、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータ装置で構成された制御手段たる制御部500を備えている。制御部500は、入力される画像情報に応じて、各作像ユニット18(Y,M,C,K)にそれぞれ設けられた感光体駆動モータ72などを制御して、出力画像の画質を調整する画質調整制御を行う制御手段として機能する。本実施形態の画質調整制御には、少なくとも、各作像ユニット18(Y,M,C)における感光体40の回転周期で発生する画像濃度周期変動を一致させるように、各感光体駆動モータ72(Y,M,C)の制御が含まれる。
【0045】
制御部500は、CPU(Central Processing Unit)501を備える。また、CPU501にバスライン502を介して接続された記憶手段としての ROM(Read Only Memory)503及びRAM(Random Access Memory)504と、I/Oインターフェース部505とを備えている。CPU501は、予め組み込まれているコンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、各種演算や各部の駆動制御を実行する。ROM503は、コンピュータプログラムや制御用のデータ等の固定的データを予め記憶する。RAM504は、各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能する。
【0046】
制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、装置本体(プリンタ部)100のトナー付着量センサ310、トナー濃度センサ312、電位センサ70等の各種センサが接続されている。ここで、トナー付着量センサ310、トナー濃度センサ312、電位センサ70等の各種センサは、各センサで検出した情報を制御部500に送り出す。また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、帯電装置60の帯電ローラに所定の帯電バイアスを印加する帯電バイアス設定部(帯電バイアス電源)330が接続されている。更に、現像装置61の現像ローラ61aに所定の現像バイアスを印加する現像バイアス設定部(現像バイアス電源)340が接続されている。
【0047】
また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、一次転写装置62(Y,M,C,K)の一次転写ローラに所定の一次転写バイアスを印加する一次転写バイアス設定部(一次転写バイアス電源)350が接続されている。更に、露光装置21の光源に所定の電圧を印加したり所定の電流を供給したりする露光設定部(光源電源部)360が接続されている。
【0048】
また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、給紙装置200、スキャナ300、原稿自動搬送装置400が接続されている。制御部500は、画像形成条件(例えば、帯電バイアス、現像バイアス、露光光量、一次転写バイアスなど)の制御目標値に基づいて、各部を制御する。
【0049】
ROM503またはRAM504には、例えば、トナー付着量センサ310の出力値に対する単位面積当りのトナー付着量への換算に関する情報を記憶した換算テーブルが格納されている。また、ROM503またはRAM504には、画像形成装置1における各作像ユニット18(Y,M,C,K)の画像形成条件(例えば、帯電バイアス、現像バイアス、露光光量、一次転写バイアス)の制御目標値が格納されている。
【0050】
なお、制御部500は、マイクロコンピュータ等のコンピュータ装置ではなく、例えば、画像形成装置1における制御用に作製された半導体回路素子としてのICなどを用いて構成してもよい。
【0051】
画像形成装置1に用いられる像担持体たる感光体40は、円筒形状で成型されているが、成型の際に生じる部品のばらつきにより、完全な円筒形状ではなく振れを有している。そのような部品の振れは、画像形成装置内での画像形成時に、画像上での感光体40の1回転を1周期とする画像濃度周期変動の原因となる。そのため、本実施形態では、作像条件としての現像バイアスおよび帯電バイアスを感光体の回転周期で周期変動させて、感光体40の1回転を1周期とする画像濃度周期変動を抑制している。
【0052】
ここで、本実施形態においては、感光体40が帯電バイアス印加部である帯電装置60によって帯電バイアスが印加された結果の感光体表面の表面電位を、帯電電位と呼ぶ。また、感光体40の帯電された表面上における露光装置21からの書込露光Lによる露光後の静電潜像の電位を露光電位と呼ぶ。また、現像装置61が備える現像ローラ61aによって現像バイアスが印加された結果の現像ローラ61a表面の表面電位を現像電位と呼び、現像電位と露光電位との差を現像ポテンシャルと呼ぶ。
【0053】
トナーは、その状態や環境に応じた帯電量を有しており、現像装置61の現像ローラ61a上に担持されたトナーは、この現像ポテンシャル分の電位を相殺するように感光体40上に形成された静電潜像へと移動する。よって、感光体40上に形成された静電潜像に対するトナーの付着量は、トナーの帯電量と現像ポテンシャルとによって変化する。
【0054】
帯電電位と現像電位との差は、地肌ポテンシャルと呼ばれる。地肌ポテンシャルが小さすぎると、トナーが静電潜像以外にも付着して地汚れを起こす。そのため、地肌ポテンシャルを大きくするように画像形成条件を変更することによって地汚れを改善させることができる。
【0055】
また、ここで、現像電位、帯電電位および露光電位を補正することで、現像ポテンシャルと地肌ポテンシャルにどのように影響を与えるか説明する。
【0056】
まず、現像電位の補正は、現像ポテンシャルおよび地肌ポテンシャルに影響を与える。そして、帯電電位の補正は、地肌ポテンシャルに影響を与えるが、一方で、現像ポテンシャルにあまり影響を与えない。そして、露光電位の補正は、現像ポテンシャルに影響を与えるが、一方で、地肌ポテンシャルにあまり影響を与えない。このことを踏まえると、帯電電位を上げることで地肌ポテンシャルは、大きくできる。そのため、帯電電位を大きくすることで地汚れを改善させることができる。また、現像電位を小さくすることで地汚れを改善させることができる。また、帯電電位、現像電位の両方を変化させて、結果的に帯電電位と現像電位との差を大きくしても地肌ポテンシャルは大きくなり、地汚れを改善させることができる。
【0057】
図5は、画像濃度周期変動を抑制する画像濃度変動抑制制御の一例を示すフローチャートである。画像濃度変動抑制制御は、高濃度画像部の画像濃度周期変動を低減する第一の作像条件を決定する第一の制御と、低濃度画像部の画像濃度周期変動を低減する第二の作像条件を決定する第二の制御、第三の作像条件を決定する第三の制御とを実行する。これは、画像濃度周期変動は、形成する画像の濃度(例えば、ベタ画像と中間調画像)によって異なるからである。具体的には、ベタ画像などの高濃度画像部では、露光後電位と現像バイアスの電位差、すなわち現像ポテンシャルが支配的となる。これに対し、中間調画像部や低濃度画像部では、感光体の露光前電位と現像バイアスの電位差、すなわち地肌ポテンシャルが支配的となる。そのため、高濃度画像部における濃度ムラを補正するように、現像バイアスを周期変動させると、中間調などの低濃度部では、かえって濃度ムラが悪化してしまう。
【0058】
これは、現像バイアスの周期変動によって生じる地肌ポテンシャルの周期変動によって、中間調やハイライト部のトナー付着量が変化するためである。そのため、本実施形態では、第一の制御で高濃度画像部の画像濃度周期変動を低減するための第一の作像条件(現像バイアス)を決定した後に、第二の制御を実施し、低濃度画像部の画像濃度周期変動を低減する第二の作像条件(帯電バイアス)を決定する。さらに、第三の制御を実施し、低濃度画像部の画像濃度周期変動を低減する第三の作像条件(露光光量)を決定する。これにより、高濃度画像部および低濃度画像部の画像濃度の周期変動を抑制できる。
【0059】
第一の制御(S1~S3)では、まず、各感光体40(Y,M,C,K)上に高濃度の画像パターン(高濃度画像パターン)のトナー像(後述の図6参照)を形成する。そして、このトナー像の濃度(トナー付着量)を中間転写ベルト10上でトナー付着量センサ310によって検知する。このトナー像の濃度(トナー付着量)の検知は、各感光体40(Y,M,C,K)の回転位置をフォトインタラプタ71(Y,M,C,K)によって検知しながら行われる。
【0060】
次に、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量検知信号(トナー像濃度検知信号)とフォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、感光体1回転周期の画像濃度変動の位相情報と振幅情報を得る。そして、この位相情報と振幅情報とから、第一の作像条件としての現像バイアスを周期変動させるための現像バイアス制御テーブルを作成する。現像バイアス制御テーブルは、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置における現像バイアスの制御目標値であり、制御部500は、この制御テーブルに基づいて、現像バイアスを制御することで、現像バイアスを周期変動させる。このようにして作成された現像バイアス制御テーブルは、制御部500内に格納される。
【0061】
第二の制御(S4~S7)は、第一の制御(S1~S3)に続いて実行される。第二の制御では、第一の制御で得られた現像バイアス制御テーブルを適用し、現像バイアスを周期変動させながら、各感光体40(Y,M,C,K)上に所定濃度の第二の画像パターン(中間調画像パターン)のトナー像を形成する。そして、各感光体上に形成された第二の画像パターンのトナー像の濃度(トナー付着量)を、中間転写ベルト10上でトナー付着量センサ310によって検知する。このトナー像の濃度(トナー付着量)の検知も、各感光体40(Y,M,C,K)の回転位置をフォトインタラプタ71(Y,M,C,K)によって検知しながら行われる。
【0062】
次に、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量信号(トナー像濃度検知信号)と、フォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、感光体1回転周期の画像濃度変動の位相情報と振幅情報とを得る。そして、この位相情報と振幅情報とから、第二の作像条件としての帯電バイアスを周期変動させるための帯電バイアス制御テーブルを作成する。帯電バイアス制御テーブルは、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置における帯電バイアスの制御目標値であり、制御部500は、この制御テーブルに基づいて、帯電バイアスを制御することで、帯電バイアスを周期変動させる。
【0063】
次に、上記作成した帯電バイアス制御テーブルの補正を行う。この補正は、第一の制御における第一の画像パターンのトナー像について検知した濃度ムラに応じて行う。具体的には、前述の第一の制御における濃度ムラ位相情報と濃度ムラ振幅情報とに基づいて、上記作成した帯電バイアス制御テーブルを補正する。この補正後の帯電バイアス制御テーブルを、画像形成動作時(印刷時)に適用する帯電バイアス制御テーブルとし、制御部500内に格納される。
【0064】
そして、第三の制御(S8~S10)は、第二の制御(S4~S7)に続いて実行される。第三の制御では、現像バイアス制御テーブルと帯電バイアス制御テーブルが適用された状態で、各感光体40(Y,M,C,K)上に第三の画像パターン(中間調画像パターン)のトナー像を形成する。そして、上述と同様にして、この第三の画像パターンのトナー像の濃度(トナー付着量)をトナー付着量センサ310によって検知する。次に、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量信号(トナー像濃度検知信号)と、フォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、感光体一回転周期の画像濃度変動の位相情報と振幅情報とを得る。そして、この位相情報と振幅情報とから、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置に対する第三の作像条件、具体的には、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置において感光体を露光する露光光量を周期変動させる制御テーブルを作成する。そして、作成した制御テーブルを用いて、露光光量を周期変動させる。
【0065】
図6は、図5で説明した第一~第三の制御で用いる画像パターンの一例について説明する図である。図6(a)は、中間転写ベルト10の幅方向の中央に配置したトナー付着量センサ310(中央センサヘッド)のみを用いて検知する画像パターンの一例を示す説明図である。この例では、トナー付着量センサ310(中央センサヘッド)の検知領域に、ベルト移動方向Vに延在する各色の帯状の単一濃度の画像パターン320(Y,M,C,K)のトナー像が順次形成される。そして、各色の帯状の単一濃度の画像パターン320(Y,M,C,K)のトナー付着量(トナー像の濃度ムラ)が、トナー付着量センサ310で検出される。各画像パターン320(Y,M,C,K)のベルト移動方向Vにおける長さは、後述する画像濃度ムラ情報のばらつきを算出するために、各色少なくとも感光体40の周長Lp及び現像ローラ61aの周長それぞれの1周期以上の長さとしている。この各画像パターン320(Y,M,C,K)のベルト移動方向Vにおける長さは、各色少なくとも感光体40の周長Lp及び現像ローラ61aの周長それぞれの2周期以上の長さであってもよい。この例では、センサが一つですむため、コスト軽減を図れるというメリットが見込める。
【0066】
図6(b)は、複数のトナー付着量センサ310(センサヘッド)を用いて検知する画像パターンの一例を示す説明図である。この例では、複数のトナー付着量センサ310(センサヘッド)それぞれの検知領域に、ベルト移動方向Vに延在する各色の帯状の単一濃度の画像パターン320(Y,M,C,K)のトナー像が形成される。そして、各色の帯状の単一濃度の画像パターン320(Y,M,C,K)のトナー像の濃度ムラが、対応するトナー付着量センサ310で検出される。この例では、それぞれの色の画像パターンを並行して検知するため、検知時間を短縮できるというメリットが見込める。
【0067】
この場合も、図6(a)の例と同様に、各画像パターン320(Y,M,C,K)は、帯状の単一濃度のパターンであり、各色少なくとも感光体の周長Lp及び現像ローラの周長それぞれの1周期以上の長さとしている。また、この各画像パターン320(Y,M,C,K)のベルト移動方向Vにおける長さも、各色少なくとも感光体40の周長Lp及び現像ローラ61aの周長それぞれの2周期以上の長さであってもよい。
【0068】
本実施形態では、第一の制御に用いる第一の画像パターンは、画像濃度が高濃度となる高画像濃度の帯パターンとして形成する。また、第二の制御および第三の制御に用いる第二の画像パターン、第三の画像パターンは、画像濃度が第一の画像パターンよりも低い中間調部を形成するようにハーフトーンによる帯パターンである中間調画像パターンとして形成する。
【0069】
ここで、第一の画像パターンは、画像濃度が濃くなる側の変動が飽和しないよう、画像濃度100%程度の画像パターンであるが、画像濃度の変動が検出されるのであれば、ベタ画像であってもよい。一方、第二の画像パターンは、画像濃度30%の画像パターンである。第三の画像パターンは、画像濃度50%の画像パターンである。
【0070】
なお、画像濃度変動抑制制御については、例えば、特許6115209号公報(米国特許出願公開第2014/0268242号明細書)、特開2017-173357号公報(米国特許出願公開第2017/0269527号明細書)などに開示されている方法と同様のため、具体的な濃度ムラ位相情報と濃度ムラ振幅情報の取得の方法等の詳細な説明は省略する。
【0071】
図7は、図5で説明した第一の制御及び第二の制御で取得した各制御テーブルの適用方法について説明する図である。図7では、所定の画像パターンを形成したときの回転位置検出信号510及びトナー付着量検知信号511と、これらの信号510、511に基づいて制御部500が決定した作像条件の制御テーブル512との関係の例を示している。ここでは、感光体40の二周期分の測定例を示している。トナー付着量検知信号511は、回転位置検出信号510の周期と同じ周期で変動している。このトナー付着量検知信号511と「逆位相」(180°位相をずらした周期変動)になるように、感光体40の回転位置に対する作像条件(現像バイアスおよび帯電バイアス)の制御テーブル512を作成する。以上のように、作成した制御テーブル512を用いて、現像バイアスおよび帯電バイアスを周期変動させる。
【0072】
また、本実施形態では、第二の制御の後に、露光光量の制御データを、第三の作像条件の制御データとして決定する第三の制御を実施する。第三の制御では、上記したが、現像バイアス制御テーブルと帯電バイアス制御テーブルが適用された状態で、各感光体40(Y,M,C,K)上に第三の画像パターン(中間調画像パターン)のトナー像を形成する。そして、上述と同様にして、この第三の画像パターンのトナー像の濃度(トナー付着量)をトナー付着量センサ310によって検知する。次に、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量信号(トナー像濃度検知信号)と、フォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、感光体一回転周期の画像濃度変動の位相情報と振幅情報とを得る。そして、この位相情報と振幅情報とから、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置に対する第三の作像条件、具体的には、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置において感光体を露光する露光光量を周期変動させる制御テーブルを作成する。そして、作成した制御テーブルを用いて、露光光量を周期変動させる。これにより、感光体回転周期で発生する画像濃度周期変動(振幅)を抑えることができる。
【0073】
上記画像濃度変動抑制制御は、例えば、感光体がセットされた直後(初期セット時、交換時、脱着時、等)に行う。感光体40を画像形成装置の本体100から取り外した場合に、感光体周期での画像濃度周期変動の発生状況が変化する可能性が高い。また、感光体交換時には、今まで使っていた感光体に対して、新しい感光体ではフレ特性が異なり、感光体40の1回転周期の画像濃度周期変動が異なる。また、感光体40のフレ特性と被検知部71aとの関係も互いに異なり、画像濃度周期変動の位相も異なってくる。
【0074】
また、メンテナンスのために、単に感光体を脱着した場合においても、感光体脱着に伴う感光体の取り付け状況変化(感光体軸と回転軸方向に対するずれ方の変化)が生じる可能性がある。以上の様な理由により、感光体40がセットされた直後には画像濃度変動抑制制御を実行するのが好ましい。
【0075】
また、装置内の環境条件変動時にも同様に、画像濃度変動抑制制御を実行するのが好ましい。環境条件のうち、特に温度条件が変化した場合には、感光体素管が持っている熱膨張係数に応じて感光体素管が膨張・収縮する。このため、感光体40の外形プロファイルが変化し、現像ギャップの変動状況が変化することにより画像濃度の周期変動が変化する可能性がある。画像濃度変動抑制制御を実行するトリガの決め方としては、例えば、前回の画像濃度変動抑制制御時と比較して、N[deg]以上の温度変化があった場合という決め方でもよい。また、一定枚数の印刷間隔でも同様に、画像濃度変動抑制制御を実行してもよい。
【0076】
フルカラー画像作成時に、各色の画像濃度周期変動の位相が互いに異なることにより、フルカラー画像に色味の周期的な変動が生じることがある。これを抑制するために、画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる位相合わせ制御を実施する位相制御手段を備えるのが好ましい。
【0077】
図8(a)は、Y色の画像濃度周期変動と、M色の画像濃度周期変動と、C色の画像濃度周期変動とを示すグラフであり、図8(b)は、Y,M,C色の画像を重ね合わせて形成した3Cグレー画像の副走査方向の明度L、色度a、bを示すグラフである。図8(a)に示すように各色の画像濃度周期変動の位相が互いに異なる状態で、カラー画像を形成すると、図8(b)に示すように、画像の明度L、色度a、bが周期的に変動する。特に、色度a、bの周期変動は、カラー画像の色味が周期的に変動することを意味し、このような色味の周期変動は、見た目の感度が高く、異常画像として指摘されるケースが多い。
【0078】
なお、色度aについては、M色は、濃度が高いときはプラス方向、Y、C色は、濃度が高いときはマイナス方向に変動する。色度bについては、Y色は、濃度が高いときはプラス方向、M、C色は、濃度が高いときはマイナス方向に変動する。K色については、感光体1回転を1周期とする画像濃度周期変動があっても、色度a、bが周期的に変動することがない。そこで、本実施形態では、画像濃度周期変動の位相を合わせる位相合わせ制御を実施し、色味の変化による画像品質の低下を抑制している。
【0079】
図9は、Y,M,C色の残留画像濃度変動の位相合わせ制御の一例を示すフローチャートである。この例では、Y色を基準にして、画像濃度周期変動の位相合わせを行うが、基準とする色は、M色、C色であってもよい。印刷要求があったら、制御部500は、まず、目標位相差θYMと目標位相差θYCとを算出する(S11)。目標位相差θYMは、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相が一致するときのY色の感光体40Yの回転位置信号とM色の感光体40Mの回転位置信号との位相差である。目標位相差θYCは、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相が一致するときのY色の感光体の回転位置信号とC色の感光体の回転位置信号との位相差である。
【0080】
Y色の現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離をL、M色の現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離をLとする。また、Y色の一次転写位置からM色の一次転写位置までの距離(ドラム間ピッチ)を感光体の周長で割って割り切れなかった値L1とする。Y色の画像濃度周期変動の位相をθ、M色の画像濃度周期変動の位相をθとする。そして、感光体40の回転速度をVとすると、目標位相差θYMは、以下の式(1)で算出することができる。
【0081】
θYM=|V(θ-θ)|+(L+L1-L)・・・(1)
【0082】
また、C色の現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離をL、Y色の一次転写位置からC色の一次転写位置までの距離(ドラム間ピッチ)を感光体の周長で割って割り切れなかった値L2とする。そして、C色の画像濃度周期変動の位相をθとすると目標位相差θYcは、以下の式で算出することができる。
【0083】
θYC=|V(θ-θ)|+(L+L2-L)・・・(2)
【0084】
ドラム間ピッチが、感光体の周長の整数倍で、現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離がY、M,C色で同一の場合は、目標位相差θYMと目標位相差θYCは、画像濃度周期変動の位相θ、θ、θのみを用いて算出することができる。また、式(1)、式(2)で算出した値が、感光体の周長を超えたときは、感光体の周長を差し引いて、感光体の周長以下にする。
【0085】
Y、M,C色の画像濃度周期変動の位相θ、θ、θは、画像濃度変動抑制制御で取得した位相情報を用いることができる。また、現像バイアス制御テーブルおよび帯電バイアス制御テーブルを適用して現像バイアスおよび帯電バイアスを周期変動させる。これにより、Y,M,C色の感光体40(Y,M,C)上に、画像パターンのトナー像を形成し、画像濃度周期変動の位相情報と振幅情報を再取得してもよい。このときの画像パターンは、ユーザーの視認性の高い中間調の画像パターンが好ましい。画像パターンを中間調とすることで、最も抑制したい中間調の色味変動を抑制することが可能となる。なお、このときの画像パターンを高画像濃度の画像パターンとしてもよい。高画像濃度の画像は、付着量の振れが大きいため、画像濃度変動の位相情報を精度よく検出できるメリットがある。
【0086】
次に、各感光体駆動モータ72(Y,M,C)を制御し、Y、M、C色の感光体を同一の回転速度で駆動(S12)する。そして、実際のY色の感光体の回転位置信号に対するM色の感光体の回転位置信号の位相差θRYMと、Y色の感光体位置信号に対するC色の感光体回転位置信号の位相差θRYCとを求める(S13)。
【0087】
位相差θRYMは、Y色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知してから、M色のフォトインタラプタ71が、被検知部71aを検知するまでの時間と、感光体の回転速度Vから求めることができる。
【0088】
位相差θRYCは、Y色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知してから、C色のフォトインタラプタ71が、被検知部71aを検知するまでの時間と、感光体の回転速度Vとから求めることができる。なお、上記時間計測を複数回行って、その平均値から、位相差θRYM、θRYCを求めてもよい。
【0089】
次に、上記式1で求めた目標位相差θYMから、測定した位相差θRYMを差し引いて位相ずれ量(調整量)ZYMを算出する。同様に、上記式2で求めた目標位相差θYCと、測定した位相差θRYCとから、位相ずれ量(調整量)ZYCを算出する(S14)。
【0090】
そして、算出した位相ずれ量ZYM、YCに基づき、Y,M、Cそれぞれの感光体駆動モータ72を制御し、予め決められた規定期間、Y、M、Cの感光体を所定の回転速度で回転させて、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させる(S15)。
【0091】
Y色の感光体の回転速度をV、上記規定期間をTとすると、位相合わせ制御時のM色の感光体40Mの回転速度Vは、以下の式(3)で表すことができ、C色の感光体40Cの回転速度Vは、以下の式(4)で表すことができる。
【0092】
=V+(ZYM/T)・・・(3)
=V+(ZYC/T)・・・(4)
【0093】
式3、式4からわかるように、算出した位相ずれ量ZYM、ZYCが、マイナスのときは、Y色の感光体の回転速度に対して減速させ、算出した位相ずれ量ZYM、ZYCがプラスのときは、Y色の感光体の回転速度に対して増速させる。
【0094】
図10は、Y,M、C色の感光体の回転駆動の一例を示すシーケンス図である。図10に示すように、各感光体を所定のタイミングで駆動させ、位相差ずれを測定する。この例では、各感光体を互いに異なるタイミングで駆動させているが、各感光体を同時に駆動してもよい。
【0095】
そして、位相ずれ量ZYM、YCが算出され、Y色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知したタイミングで、M色の感光体およびC色の感光体を加減速して位相合わせ制御を行う。この図10に示す例では、感光体が2周する間に、各色の画像濃度周期変動の位相が合うように、M色とC色の回転速度を加減速させる。なお、図10の例では、M色については、回転速度を減速させ、C色については、回転速度を増速させて各色の画像濃度周期変動の位相を合わせる。
【0096】
図10の例では、M色の感光体については増速、C色の感光体については減速して基準であるY色の画像濃度周期変動との位相差が0となるように調整している。しかし、増速のみ、もしくは、減速のみでY色の画像濃度周期変動との位相差が0となるように調整してもよい。このように、減速のみ、もしくは、増速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行うことで、制御が簡素化できるメリットがある。また、減速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行うことで、感光体駆動モータ72としてトルクの低い安価なモータを用いることができ、装置の低コスト化を図ることができるというメリットがある。一方、増速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行うことで、減速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行う場合に比べて、位相合わせ制御に必要な制御時間の短縮化を図れるメリットがある。
【0097】
また、上述では、Y色を基準にして、画像濃度周期変動の位相合わせを行っているが、最も制御量が少なくなる色を基準としてもよい。また、上記では基準色以外の色の感光体を基準色の感光体の回転速度に対して所定期間、加減速してY、M、C色の画像濃度周期変動の位相を一致させている。しかし、算出した位相ずれ量に基づいて、基準色に対して、感光体の駆動タイミングをずらすことで、Y、M、C色の画像濃度周期変動の位相を一致させてもよい。
【0098】
なお、Y、M、C色の感光体を、同一のタイミングで駆動、停止するようにして、画像濃度周期変動の位相合わせ制御後に、各感光体の回転位置関係が変化しないような装置であれば、印刷開始の都度、画像濃度周期変動の位相合わせ制御を行わなくてもよい。このような装置においては、感光体が装置本体にセットされた後の最初の印刷時など、各感光体の回転位置関係が変化するタイミングで行えばよい。
【0099】
また、各感光体を同一のタイミングで駆動、停止するようにしても、厳密に同一のタイミングで駆動や停止を行うのは難しく、徐々に位置関係がくずれるおそれがある。そのため、規定枚数毎に、図9に示すフローを行うようにしてもよい。
【0100】
図11(a)は、位相合わせ制御後のY色の画像濃度周期変動と、M色の画像濃度周期変動と、C色の画像濃度周期変動とを示すグラフである。図11(b)は、位相合わせ制御後のY,M,C色の画像を重ね合わせて形成した3Cグレー画像の副走査方向の明度L、色度a、bを示すグラフである。図11に示すように、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させることで、色度a、bの変動が抑えられていることがわかる。また、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相合わせを行うことで、Y、M、C色について、感光体の振れによる感光体表面速度変動が原因で生じる感光体の回転周期の画像伸縮変動の位相も一致させることができる。これにより、Y、M、C色の重ね合わせ画像の位置ずれも抑制できる。また、複数のトナーパッチを等間隔で形成した画像パターンを形成し、トナーパッチ間距離を計測して画像伸縮変動を検出する必要がなくなり、トナー消費量の低減や、装置のダウンタイムの低減を図ることができる。
【0101】
図12(a)は、Y色の高濃度画像部の画像濃度変動抑制制御前後の画像濃度周期変動を示す図であり、図12(b)は、Y色の低濃度画像部の画像濃度変動抑制制御前後の画像濃度周期変動を示す図である。
【0102】
図12(a)、(b)の実線で示すように、画像濃度変動抑制制御前においては、高濃度画像部の画像濃度周期変動と、低濃度画像部の画像濃度周期変動との位相は一致している。しかし、図12(a)の破線で示すように、画像濃度変動抑制制御後では、低濃度画像部の画像濃度周期変動の位相が反転している(逆位相となっている)。一方、高濃度画像部においては、画像濃度変動抑制制御後と画像濃度変動抑制制御前との位相が同位相である。そして、M,C色についても、画像濃度変動抑制制御後では、低濃度画像部の画像濃度周期変動の位相が反転している場合、低濃度画像と高濃度画像の重ね合わせた画像の色味の変化が大きくなるのを抑制することが好ましい。
【0103】
本実施形態では、画像濃度変動抑制制御において、低濃度画像の画像濃度周期変動の位相が、高濃度画像の画像濃度周期変動の位相に対して反転しない(逆位相とならない)ように、作像条件の周期変動を補正するのが好ましい。
【0104】
図12に示すように、画像濃度変動抑制制御後に低濃度画像の画像濃度周期変動の位相が反転するため、低濃度画像の画像濃度周期変動の位相が反転しないように、作像条件を補正する。上述したように、低濃度画像の画像濃度周期変動は、感光体の露光前電位と現像バイアスの電位差、すなわち地肌ポテンシャルが支配的となる。そのため、低濃度画像の画像濃度周期変動は、露光前電位を形成する帯電バイアスの寄与が大きい(帯電バイアスの変化量に対する画像濃度の変化量が大きい:感度が高い)。このため、帯電バイアスの周期変動を補正して、低濃度画像の画像濃度周期変動の位相が反転しないようにする。そこで、本発明では、以下のように制御を行う。
【0105】
まず、本発明では、画像濃度変動抑制制御を実施しても低濃度画像部~高濃度画像部で位相が反転しない点を考慮して、補正を行う。
【0106】
また、本発明に係る制御は、周期的な電界変動を打ち消すように現像バイアス、帯電バイアスや露光光量等の画像形成条件を周期的に変調させる(周期変動を補正する)ものであるが、それぞれの低濃度側、高濃度側とで補正の感度が異なる。
【0107】
具体的には、ベタ画像などの高濃度部では、露光後電位と現像電位(現像バイアス)の電位差、すなわち現像ポテンシャルが支配的となるため、現像バイアス補正の寄与が大きい。
【0108】
一方、中間調画像などの低濃度部では、像担持体の露光前電位と現像バイアスの電位差、すなわち地肌ポテンシャルが支配的となるため、帯電バイアスの補正の寄与が大きい。
【0109】
また、露光光量は、上記現像バイアス/帯電バイアスと比較すると低濃度部、高濃度部の補正の感度差が小さい。
【0110】
これらを踏まえると、現像バイアスの補正は高濃度部に感度が大きく、帯電バイアスの補正は低濃度部に感度が大きい。そして、露光光量の補正は、低濃度部~高濃度部の感度差が小さい。
【0111】
また、補正の感度差は、一般的に、現像バイアスの補正が一番大きく、次に、帯電バイアスの補正、そして、露光光量の補正の順番になる。そのため、本発明では、全画像濃度領域にわたり濃度ムラ位相が反転しないように、露光光量の補正量を決定している。
【0112】
<従来技術における制御について>
図13は、従来における感光体の所定の回転位置における目標のトナー付着量対する差分値と、画像濃度との関係の一例を示すグラフである。
【0113】
まずは、図13のグラフを用いて、従来においての第一および第二の制御後の効果について説明する。
【0114】
まず、第一の制御について説明する。第一の制御では、高濃度画像パターン(画像濃度:70%)の画像濃度周期変動を検出し、この高濃度画像パターンの画像濃度変動を打ち消すように、現像バイアス制御テーブルが作成される。すなわち、図でいえば、一点鎖線部の画像濃度(画像カバレッジ)70%に相当する点を、フレ振幅を0[mg/cm]になるように制御することになる。
【0115】
次に、第二の制御について説明する。第二の制御では、現像バイアスを周期変動させながら形成した中間調(画像濃度:40%)の画像パターンの画像濃度変動を検出して、この中間調の画像パターンの画像濃度変動を打ち消すように補正するように、帯電バイアス制御テーブルが作成される。すなわち、図でいえば、破線部の画像濃度(画像カバレッジ)40%に相当する点を、フレ振幅を0[mg/cm]になるように制御することになる。
【0116】
この場合だが、制御後は、実線部のように画像濃度変動抑制制御の低濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相が、高濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相に対して反転(逆位相)してしまう。そのため、画像濃度40%未満の画像と、画像濃度40%以上の画像とを重ね合わせると、色味の周期変動が悪化するおそれがある。
【0117】
そこで、当該第二の制御について、この中間調画像パターンを検知して得られた画像濃度変動を打ち消すように、補正前の画像濃度周期変動と同位相で周期変動させる帯電バイアスの振幅を所定値増加させて、過剰補正をかける。これにより、第一の制御後に位相が反転した低濃度画像の画像濃度変動の位相を再反転させることができる。
【0118】
その結果、低濃度画像の画像濃度周期変動の位相を、制御前の位相に戻し、画像濃度変動抑制制御後の低濃度画像の画像濃度周期変動の位相と、高濃度画像の画像濃度周期変動の位相とを一致させることも方法としては考えられる。
【0119】
しかしながら、この場合でも、上述した制御後の残留画像濃度周期変動の振幅が、0.003[mg/cm]程度になり、改善の余地が残る。
【0120】
また、別の制御方法について説明する。ここでは、この制御方法を比較例とよぶことにする。図14は、感光体の所定の回転位置における目標のトナー付着量対する差分値と、画像濃度との関係の一例を示すグラフである。
【0121】
図14のグラフについて説明する。図14の実線が画像濃度変動抑制制御前(補正前)であり、破線が第一の制御適用後であり、一点鎖線が第二の制御適用後であり、二点鎖線が第三の制御適用後である。
【0122】
ここで、図14のグラフを用いて、比較例においての第一~第三の制御後の効果について説明する。
【0123】
まず、第一の制御について説明する。第一の制御では、高濃度画像パターン(画像濃度:100%)の画像濃度周期変動を検出し、この高濃度画像パターンの画像濃度変動を打ち消すように、現像バイアス制御テーブルが作成される。すなわち、図14でいえば、実線部の画像濃度(画像カバレッジ)100%に相当する点を、(I)に示すように、フレ振幅を0[mg/cm]になるように制御することになる。
【0124】
次に、第二の制御について説明する。第二の制御では、現像バイアスを周期変動させながら形成した中間調(画像濃度:30%)の画像パターンの画像濃度変動を検出して、この中間調の画像パターンの画像濃度変動を打ち消すように、帯電バイアス制御テーブルが作成される。すなわち、図14でいえば、破線部の画像濃度(画像カバレッジ)30%に相当する点を、(II)に示すように、フレ振幅を0[mg/cm]になるように制御することになる。
【0125】
さらに、第三の制御について説明する。第三の制御では、現像バイアス制御テーブルと帯電バイアス制御テーブルが適用された状態で、各感光体40(Y,M,C,K)上に第三の画像パターン(中間調画像パターン)のトナー像を形成する。そして、上述と同様にして、この第三の画像パターンのトナー像の濃度(トナー付着量)をトナー付着量センサ310によって検知する。
【0126】
次に、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量信号(トナー像濃度検知信号)と、フォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、感光体一回転周期の画像濃度変動の位相情報と振幅情報とを得る。そして、この位相情報と振幅情報とから、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置に対する第三の作像条件を作成する。具体的にいえば、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置において感光体を露光する露光光量を周期変動させる制御テーブルを作成する。そして、作成した制御テーブルを用いて、露光光量を周期変動させる。
【0127】
すなわち、図14でいえば、一点鎖線部の画像濃度(画像カバレッジ)50%に相当する点を、(IV)に示すように、フレ振幅を0[mg/cm]になるように制御することになる。
【0128】
しかしながら、上述した制御を行うことで、制御後において、低濃度画像については、目標の画像濃度に対してマイナスに振れているのに対し、高濃度画像については、目標の画像濃度に対してプラスに振れている。すなわち、低濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相が、高濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相に対して反転している(逆位相)となっていることがわかる。
【0129】
また、図14の二点鎖線で示すように、第三の制御後は、制御後に残った残留画像濃度周期変動の振幅は、0.004[mg/cm]程度になってしまうため、この方法では望ましくない。
【0130】
<本発明における制御について>
そこで、上記課題に対して、以下に述べる制御を行う。図15は、本実形態における感光体の画像濃度周期変動がピークとなる位置における目標のトナー付着量対する差分値と、画像濃度との関係の一例を示すグラフである。ここで、図15のグラフを用いて、本発明においての第一~第三の制御適用後の効果について説明する。
【0131】
まず、第一の制御について説明する。第一の制御では、高濃度画像パターン(画像濃度:100%)の画像濃度周期変動を検出し、この高濃度画像パターンの画像濃度変動を打ち消すように、現像バイアス制御テーブルが作成される。すなわち、図15でいえば、実線部の画像濃度(画像カバレッジ)100%に相当する点を、(I)に示すように、フレ振幅を0[mg/cm]になるように制御することになる。なお、第一の制御については、従来の方法とは変わらない。
【0132】
次に、第二の制御について説明する。第二の制御では、現像バイアスを周期変動させながら形成した中間調(画像濃度:30%)の画像パターンの画像濃度変動を検出して、この中間調の画像パターンの画像濃度変動を打ち消すように、帯電バイアス制御テーブルが作成される。
【0133】
ここで、本発明では、作成された帯電バイアス制御テーブルは、帯電バイアスの補正量が決められている。また、帯電バイアスの補正量は、所定のゲイン補正を行っている。具体的にいえば、帯電バイアスの補正量は、所定のゲイン係数をかけたものを補正量としている。そして、ここでは、例えば、2倍といったゲイン係数をかけたものを補正量とする。なお、この係数は、予め評価等を行い決定した数値であるとする。
【0134】
すなわち、図15でいえば、破線部の画像濃度(画像カバレッジ)30%に相当する点を、(II)に示すように、フレ振幅をA点の値になるように制御することになる。
【0135】
さらに、第三の制御について説明する。第三の制御では、現像バイアス制御テーブルと帯電バイアス制御テーブルが適用された状態で、各感光体40(Y,M,C,K)上に第三の画像パターン(中間調画像パターン)のトナー像を形成する。そして、上述と同様にして、この第三の画像パターンのトナー像の濃度(トナー付着量)をトナー付着量センサ310によって検知する。
【0136】
次に、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量信号(トナー像濃度検知信号)と、フォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、感光体一回転周期の画像濃度変動の位相情報と振幅情報とを得る。そして、この位相情報と振幅情報とから、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置に対する第三の作像条件を作成する。具体的にいえば、感光体40(Y,M,C,K)の各回転位置において感光体を露光する露光光量を周期変動させる制御テーブルを作成する。そして、作成した制御テーブルを用いて、露光光量を周期変動させる補正を行う。
【0137】
このとき、本発明では、作成された当該制御テーブルは、露光光量の補正量が決められている。また、露光光量の補正量は、所定のゲイン補正を行っている。具体的にいえば、露光光量の補正量は、所定のゲイン係数をかけたものを補正量としている。そして、ここでは、例えば、0.8倍といったゲイン係数をかけたものを補正量とする。なお、この係数は、予め評価等を行い決定した数値であるとする。
【0138】
すなわち、図15でいえば、一点鎖線部の画像濃度(画像カバレッジ)50%に相当する点を、(IV)に示すように、フレ振幅をB点の値になるように制御することになる。
【0139】
上述した制御を行うことで、図15の二点鎖線で示すように、第三の制御後は、制御後に残った残留画像濃度周期変動の振幅を、0.002[mg/cm]程度までには、抑えることができることになる。これにより、画像濃度の周期変動を良好に抑制することができる。
【0140】
さらに、低濃度画像および高濃度画像ともに、目標の画像濃度に対してプラスに振れている。すなわち、低濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相が、高濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相と一致していることになっていることがわかる。これにより、低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化を抑制することができる。
【0141】
上述した制御方法を踏まえると、図15に係る本発明では、図14に係る比較例とは、次に述べる違いがある。まず、第一の制御に関しては、比較例に係る第一の制御と同じである。
【0142】
一方で、第二の制御についてだが、比較例においては、帯電バイアスの補正量は、所定のゲイン係数について1.0をかけたものとしていたといえる。しかしながら、本発明では、所定のゲイン係数について2倍といったゲイン係数をかけたものを帯電バイアスの補正量としている点で異なる。
【0143】
また、第三の制御についてだが、比較例においては、露光光量の補正量は、所定のゲイン係数について1.0をかけたものとしていたといえる。しかしながら、本発明では、所定のゲイン係数について0.8倍といったゲイン係数をかけたものを露光光量の補正量としている点で異なる。
【0144】
そして、このようにすることで、第三の制御を行った時点で、低濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相が、高濃度画像の残留画像濃度周期変動の位相に対して同じ位相にすることができる。これにより、低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化を抑制することができる。
【0145】
すなわち、本発明においては、第二の制御における帯電バイアスの補正量、第三の制御における露光光量の補正量は、ゲイン係数について1以外をかけたゲイン補正をしたものとするのが好ましい。そして、第二の制御におけるゲイン係数は従来よりもあえて大きくすることでフレ振幅を大きくしておくのが好ましく、第三の制御におけるゲイン係数は従来よりも小さくするのが好ましく、第三の制御を行った時点で低濃度~高濃度の位相を合わせられるようになる。なお、上記したゲイン係数は、第三の制御を行った時点で、低濃度~高濃度の位相を合わせられるように、あらかじめ評価等を行い決定する。また、これらのゲイン係数は、一例であり、機種や環境によって異なるものとする。
【0146】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0147】
[第1態様]
第1態様は、を有する作像ユニット(例えば、作像ユニット18)と、像担持体(例えば、感光体40)と、前記像担持体を帯電する帯電部材(例えば、帯電装置60)と、静電潜像に現像剤を付着させて可視像を形成する現像剤担持体と、を有する複数の作像ユニット(例えば、作像ユニット18)と、前記帯電部材によって帯電された前記像担持体を露光し前記像担持体に前記静電潜像を形成する露光手段(例えば、露光装置21)と、前記可視像における画像濃度周期変動を前記複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段(例えば、制御部500等)と、を備える画像形成装置であって、前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、各作像ユニットについて、作像条件を周期変動させて前記画像濃度周期変動を抑制する画像濃度変動抑制制御を実施する画像濃度変動抑制制御手段(例えば、制御部500等)とを、さらに備え、前記画像濃度変動抑制制御手段は、取得された高濃度画像パターン(例えば、100%)の画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記現像剤担持体に印加される現像バイアスを補正する第一の抑制制御(例えば、第一の制御)と、前記第一の抑制制御を行ったうえで、取得された第一の低濃度画像パターン(例えば、30%)の画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記帯電部材に印加される帯電バイアスを補正する第二の抑制制御(例えば、第二の制御)と、前記第一の抑制制御および前記第二の抑制制御を行ったうえで、取得された第二の低濃度画像パターン(例えば、50%)の画像濃度周期変動を打ち消すように、前記作像条件のうち前記露光手段の露光光量を補正する第三の抑制制御(例えば、第三の制御)を行うことを特徴としている。
【0148】
第1態様によれば、低濃度画像と高濃度画像とを重ね合わせた画像の色合いの周期的な変化を抑制することができる。
【0149】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる位相合わせ制御を実施する位相制御手段(例えば、制御部500等)を備えたことを特徴としている。
【0150】
第2態様によれば、画像濃度の周期変動を良好に抑制することができる。
【0151】
[第3態様]
第3態様は、第1態様または第2態様において、前記帯電バイアスの補正に係る補正量は、所定のゲイン補正が行われていることを特徴としている。
【0152】
第3態様によれば、画像濃度の周期変動を良好に抑制することができる。
【0153】
[第4態様]
第4態様は、前記所定のゲイン補正に係るゲイン係数は、1.0より大きい値(例えば、2.0)であることを特徴としている。
【0154】
第4態様によれば、第3の態様において、画像濃度の周期変動を良好に抑制することができる。
【0155】
[第5態様]
第5態様は、第1態様乃至第4態様のいずれかにおいて、前記露光光量の補正に係る補正量は、所定のゲイン補正が行われていることを特徴としている。
【0156】
第5態様によれば、画像濃度の周期変動を良好に抑制することができる。
【0157】
[第6態様]
第6態様は、前記所定のゲイン補正に係るゲイン係数は、1.0より小さい値(例えば、0.8)であることを特徴としている。
【0158】
第6態様によれば、第5態様において、画像濃度の周期変動を良好に抑制することができる。
【符号の説明】
【0159】
1 :画像形成装置
18 :作像ユニット
21 :露光装置
40 :感光体
60 :帯電装置
61 :現像装置
61a :現像ローラ
70 :電位センサ
71 :フォトインタラプタ
71a :被検知部
72 :感光体駆動モータ
310 :トナー付着量センサ
320 :画像パターン
500 :制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0160】
【特許文献1】特許第6115209号公報
【特許文献2】特開2021-182124号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15