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特開2023-175681がんの治療のためのII型抗CD20抗体及び抗CD20/CD30二重特異性抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175681
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】がんの治療のためのII型抗CD20抗体及び抗CD20/CD30二重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20231205BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231205BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K16/46
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128418
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2019566130の分割
【原出願日】2018-05-31
(31)【優先権主張番号】17174320.6
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バカック, マリーナ
(72)【発明者】
【氏名】コロンベッティ, サラ
(72)【発明者】
【氏名】クライン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】サム, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ウマーニャ, パブロ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】T細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法において使用する抗体を提供する。
【解決手段】個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体であって、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される、II型抗CD20抗体を提供する。前記抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び前記II型抗CD20抗体は、単一の組成物で一緒に投与されるか、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体であって、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される、II型抗CD20抗体。
【請求項2】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、単一の組成物で一緒に投与されるか、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与される、請求項1に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項3】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、異なる時点で投与される2つ以上の異なる組成物で投与される、、請求項1又は2に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項4】
II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;並びに配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項5】
II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項6】
II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG1抗体であり、かつ、抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項7】
II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項8】
II型抗CD20抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項9】
抗PD-L1抗体、好ましくはアテゾリズマブがさらに投与される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項10】
抗PD-L1抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも一方と別々に、又は組み合わせて投与される、請求項9に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項11】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項12】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含む、請求項11に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項13】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号97のCDR-H1配列、配列番号98のCDR-H2配列、及び配列番号99のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR-L1配列、配列番号101のCDR-L2配列、及び配列番号102のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項11又は12に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項14】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項11又は12に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項15】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項16】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項17】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含む、請求項11から16のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項18】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項17に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項19】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項17又は18に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項20】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインがクロスFab分子であり、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されており、かつ、第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合は、従来のFab分子である、請求項11から19のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項21】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体がIgG1 Fcドメインを含む、請求項20に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項22】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインが、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、請求項21に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項23】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインが、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含む、請求項21又は22に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項24】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、第3の抗原結合ドメインを含み、
ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており、又は(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している、請求項21から23のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項25】
組み合わせが、約1週間から3週間の間隔で投与される、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項26】
併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療が実施され、ここで、前治療と併用治療との間の期間が、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分である、請求項1から25のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項27】
II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を投与することを含む、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法であって、ここで、II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、単一の組成物又は2つ以上の組成物で投与される、方法。
【請求項28】
併用治療における使用のためのII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD-L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物。
【請求項29】
II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第1の医薬と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD-L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含むキット。
【請求項30】
キットが、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための第1の医薬及び第2の医薬及び任意で第3の医薬の使用説明書を含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
好ましくは、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための、治療用途のための医薬の製造における、II型抗CD20抗体と抗CD20/抗CD3二重特異性抗体との組み合わせの使用。
【請求項32】
個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用であって、ここで、医薬がII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ、治療が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む、使用。
【請求項33】
個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造における抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の使用であって、ここで、医薬が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ、治療が抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む、使用。
【請求項36】
II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3抗体を個体に投与することを含む、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法。
【請求項37】
抗PD-L1抗体が個体にさらに投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体がII型抗CD20抗体と組み合わせて使用される、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項40】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、単一の組成物で一緒に投与されるか、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与される、請求項39に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項41】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、異なる時点で投与される2つ以上の異なる組成物で投与される、請求項39又は40に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項42】
II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;並びに配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項39から41のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項43】
II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、請求項39から42のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項44】
II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG1抗体であり、ここで、抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、請求項39から42のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項45】
II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項39から44のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項46】
II型抗CD20抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与される、請求項39から45のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項47】
抗PD-L1抗体、好ましくはアテゾリズマブがさらに投与される、請求項39から46のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項48】
抗PD-L1抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも一方と別々に、又は組み合わせて投与される、請求項47に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項49】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、請求項39から48のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項50】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含む、請求項49に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項51】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号97のCDR-H1配列、配列番号98のCDR-H2配列、及び配列番号99のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR-L1配列、配列番号101のCDR-L2配列、及び配列番号102のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項48から50のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項52】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項48から51のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項53】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項48から52のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項54】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項48から52のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項55】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含む、請求項48から54のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項56】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項55に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項57】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項55又は56に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項58】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインがクロスFab分子であり、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されており、かつ、第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子である、請求項48から57のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項59】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体がIgG1 Fcドメインを含む、請求項58に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項60】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインが、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、請求項59に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項61】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインが、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含む、請求項59又は60に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項62】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、第3の抗原結合ドメインを含み、
ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており、又は(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している、請求項59から61のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【請求項63】
組み合わせが、約1週間から3週間の間隔で投与される、請求項39から62に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項64】
併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療が実施され、ここで、前治療と併用治療との間の期間が、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分である、請求項39から63のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。
【請求項65】
併用治療における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD-L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物。
【請求項66】
本明細書に記載される発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患、特にB細胞増殖性疾患を治療する方法、及びT細胞活性化治療剤の投与に応答した有害作用を低減するための方法に関する。本発明はさらに、疾患を治療する併用治療法及びそのような方法における使用のための抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
B細胞増殖性疾患は、白血病とリンパ腫の両方を含む悪性腫瘍の異種グループを記述する。リンパ腫はリンパ細胞から発生し、主に2つのカテゴリー:ホジキンリンパ腫(HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)が含まれる。米国においては、B細胞由来のリンパ腫はすべての非ホジキンリンパ腫症例の約80-85%を占めており、起源のB細胞における遺伝子型及び表現型発現パターンに基づいて、B細胞サブセット内にはかなりの異質性がある。例えば、B細胞リンパ腫サブセットには、濾胞性リンパ腫(FL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)などの進行の遅い緩徐進行型で不治の疾患、並びにより攻撃的なサブタイプ、マントル細胞リンパ腫(MCL)及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が含まれる。
【0003】
B細胞増殖性疾患の治療のためのさまざまな薬剤の利用可能性にもかかわらず、患者の寛解を延長し、治癒率を向上させるための安全で効果的な治療法の開発のための継続的な必要性がある。
【0004】
現在調査されている戦略は、悪性B細胞に対するT細胞の関与である。悪性B細胞に対してT細胞を効果的に関与させるために、最近2つの手法が開発された。これらの2つの手法は次のとおりである:1)生体外で腫瘍細胞を認識するように操作されたT細胞の投与(キメラ抗原受容体改変T細胞療法[CAR-T細胞]としても知られる)(Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517);及び、2)二重特異性抗体など、内因性T細胞を活性化する薬剤の投与(Oak and Bartlett, Expert Opin Investig Drugs (2015) 24, 715-724)。
【0005】
第1の手法の例は、Maudeらによる研究で報告されており、そこでは30人の成人及び小児患者が、CD19指向性キメラ抗原受容体レンチウイルスベクターで形質導入された自己T細胞(CTL019 CAR-T細胞)で治療された。その結果、6か月のイベントフリー生存率67%及び全生存率78%に基づく持続的な寛解が得られた。しかしながら、すべての患者がサイトカイン放出症候群(CRS)(腫瘍負荷に関連する)を患っており、患者の27%が重度のCRSを患っていた。原因不明の中枢神経系毒性も高頻度で認められた。
【0006】
対照的に、腫瘍標的を認識するために内因性T細胞を活性化することを含む第2の手法は、このスケーラビリティのハードルを回避し、競合的有効性、安全性データ、及び潜在的に長期の応答期間も提供することができる。異なるCD20血液悪性腫瘍において、この手法は、微小残存病変陽性の急性リンパ性白血病(ALL)を有する患者のために最近承認された、CD19 CD3標的指向性T細胞二重特異性分子であるブリナツモマブによって最もよく実証されている(Bargou et al., Science (2008) 321, 974-977)。2つの単鎖Fv断片(いわゆるBiTE(登録商標)フォーマット)からなるこの化合物は、細胞溶解性T細胞によるCD19細胞の溶解を指示する。ブリナツモマブの主な制約は、その短い半減期(約2時間)であり、4-8週間にわたってポンプを介して継続的に注入する必要がある。それにもかかわらず、ブリナツモマブは、再発/難治性の非ホジキンリンパ腫(r/r NHL)とALLの両方を有する患者において、重度のサイトカイン放出症候群及びCNS毒性を緩和するために必要なステップアップ投薬(SUD)により、強力な有効性を有している(Nagorsen and Baeuerle, Exp Cell Res (2011) 317, 1255-1260)。
【0007】
CD20 CD3標的指向性T細胞二重特異性分子、CD20XCD3 bsABは、次世代のB細胞標的指向性抗体の別の例である。CD20XCD3 bsABは、B細胞に発現するCD20及びT細胞に存在するCD3イプシロン鎖(CD3e)を標的とするT細胞二重特異性(TCB)抗体である。
【0008】
CD20XCD3 bsABの作用機序は、CD20 B細胞及びCD3 T細胞への同時結合を含み、T細胞活性化及びB細胞のT細胞媒介性死滅をもたらす。CD20 B細胞の存在下では、循環又は組織常在性であるかにかかわらず、薬理学的に活性な用量は、T細胞の活性化及び関連するサイトカイン放出を誘発する。CD20XCD3 bsABは、非臨床モデルにおいて競合的T細胞結合剤よりも高い効力を示しており、IgGベースのフォーマットであるため、ブリナツモマブよりも大幅に改善された半減期を有する。
【0009】
サイトカイン放出は、T細胞の活性化の結果である。TeGeneroにより実施された第1相試験において(Suntharalingam et al., N Engl J Med (2006) 355,1018-1028)、6人の健常ボランティア全員が、不適切に投与されたT細胞刺激スーパーアゴニスト抗CD28モノクローナル抗体の注入後直ちに、ほぼ致命的な重度のサイトカイン放出症候群(CRS)を経験した。より最近では、再発性ALLを有する患者のCD19標的指向性、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)治療に関するMaudeらによる上記の研究では、30人の患者全員がサイトカイン放出を有し、これは患者の27%において重度として分類された。CRSは、CAR-T細胞療法の一般的であるが重度の合併症である(Xu and Tang, Cancer Letters (2014) 343, 172-178に総説される)。
【0010】
CD19-CD3 T細胞二重特異性薬剤、ブリナツモマブにより、重度のCRS及びCNS毒性も頻繁に観察されている(Klinger et al., Blood. 2012;119(26):6226-6233)。すべての臨床試験においてブリナツモマブを投与された患者では、患者の約50%において神経毒性が発生しており、観察された毒性の種類は添付文書において明確に定義されている。
【0011】
CNS毒性がサイトカインの早期放出又はT細胞活性化に関連するかどうか、又はどのように関連するかはよく理解されていない。ブリナツモマブと同様に、CD19標的指向性CAR-T細胞で治療されたr/r ALL患者の43%(13/30)について、CNS AE(せん妄からグローバル脳症まで)が報告された(Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517; Ghorashian et al., Br J Haematol (2015) 169, 463-478)。神経毒性作用は、典型的には、CRSの症状がピークに達し、消散し始めた後に発生した;しかしながら、重度のCRSとの直接的で明確な関連性は見いだされなかった。著者らは、神経毒性のメカニズムが、直接的なCAR-T細胞媒介性毒性を引き起こし得るか、又はそれがサイトカイン媒介性であり得ることを提案した。対照的に、CD19標的指向性CAR-T細胞療法の別の研究においては、重度のCRSと神経毒性(脳症など)の間の関連が示唆されており(Davila et al., Sci Transl Med (2014) 6, 224ra25)、直接的なCAR-T誘導性障害と対比して、一般的なT細胞の活性化に起因するものと推測されている。
【0012】
サイトカイン放出及び/又はCNS関連毒性は、CD3細胞を組織特異的(すなわち、非循環)標的細胞に連結する他のT細胞二重特異性抗体と比較して、CD3細胞をB細胞に連結するT細胞二重特異性抗体において特に明白である。
【0013】
したがって、NHL及びCLLなどのB細胞増殖性疾患を有する患者の治療に対して有意に寄与する可能性を有するこれらの有望な薬剤のそのような副作用を低減又は防止する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、CD20XCD3 bsABなどのT細胞活性化治療剤の対象への投与に関連するサイトカイン放出が、オビヌツズマブなどのII型抗CD20抗体による前記対象の前治療によって有意に減少させることができるという驚くべき発見に基づいている。
【0015】
オビヌツズマブは、CD20抗原に高親和性で結合する、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)、低い補体依存性細胞傷害(CDC)活性、及び高い直接細胞死誘導を誘導する、ヒト化糖鎖操作II型抗CD20 mAbである。
【0016】
理論に縛られることを望まないが、GAZYVA(登録商標)前治療(Gpt)の使用は、腫瘍細胞の消失を媒介するために、投薬の開始から十分高いT細胞活性化治療剤の曝露レベルをサポートしつつ、T細胞活性化治療剤による強力な全身性T細胞活性化からの関連性の高い有害事象(AE)(例えば、CRS)のリスクが低減されるように、末梢血及び二次リンパ器官の両方においてB細胞の急速な枯渇を助けるはずである。現在まで、オビヌツズマブの安全性プロファイル(サイトカイン放出を含む)は、現在進行中のオビヌツズマブ臨床試験の何百人もの患者において評価及び管理されている。最後に、CD20XCD3 bsABなどのT細胞活性化治療剤の安全性プロファイルをサポートすることに加えて、Gptはこれらの固有の分子に対する抗薬物抗体(ADA)の形成の防止にも役立つはずである。
【0017】
患者のために、Gptは安全性プロファイルが強化され、より良好な薬物曝露につながるはずである。
【0018】
Gptは、ステップアップ投薬(SUD)など、T細胞二重特異性薬剤により使用される他の方法と比較して、上記の目標を達成するのにより効果的である。オビヌツズマブの単一用量により、再発/難治性の患者は、ステップアップ投薬からの時間遅延なしに、一度決定されたCD20XCD3 bsABなどのT細胞活性化治療剤の全治療用量を受けることができるはずである。例えば、最近、進行中の第2相試験におけるr/r DLBCLの患者に対するブリナツモマブ投与レジメンは、ダブルステップアップ手法(すなわち、9→28→112μg/m/日)を組み込んでおり、したがって、最大用量112μg/m/日に達するために14日間を必要とすると報告されている(Viardot el at., Hematol Oncol (2015) 33, 242(Abstract 285)。
【0019】
実施例に示すように、オビヌツズマブによる前治療後、カニクイザルへのCD20XCD3 bsABの投与は、Gptなしで許容されるレベルよりも10倍高いレベルまで許容された。
【0020】
第1のCD20XCD3 bsAB注射に関連する末梢血中のサイトカイン放出の大幅な減少と共に、効率的な末梢血B細胞の枯渇と抗腫瘍活性がGptによって観察された。
【0021】
したがって、第1の態様では、本発明は、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法であって、治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む方法を提供する。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、対象における疾患を治療する方法を提供し、該方法は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
【0023】
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体を提供する。
一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
【0025】
さらなる態様では、本発明は、対象における疾患を治療する方法における使用のためのII型抗CD20抗体を提供し、該方法は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。
【0026】
さらなる態様では、本発明は、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出の減少のための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用を提供し、
ここで該医薬は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンにおいて使用されるべきであり、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。
【0027】
なおさらなる態様では、本発明は、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出の減少のためのキットを提供し、該キットは、II型抗CD20抗体組成物と、
(i)II型抗CD20抗体組成物の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンにおいてII型抗CD20抗体組成物を使用するための説明書とを含むパッケージを含み、
ここで、II型抗CD20抗体組成物の投与と治療剤の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体組成物の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。一実施態様では、キットは治療剤組成物をさらに含む。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、対象における疾患を治療する方法における使用のためのT細胞活性化治療剤を提供し、該方法は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。
【0029】
本発明は、なおさらなる態様では、対象における疾患の治療のための医薬の製造におけるT細胞活性化治療剤の使用を提供し、ここで治療は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。
【0030】
本発明は、さらなる態様では、対象における疾患の治療のためのキットを提供し、該キットは、T細胞活性化治療剤組成物と、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤組成物の対象への投与
を含む治療レジメンにおいて治療剤組成物を使用するための説明書とを含むパッケージを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤組成物の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
【0031】
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体組成物の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。一実施態様では、キットはII型抗CD20抗体組成物をさらに含む。
【0032】
本発明の方法、使用、II型抗CD20抗体、治療剤及びキットは、以下に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて組み込むことができる。
【0033】
一実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0034】
より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。
【0035】
一実施態様では、II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG抗体である。
【0036】
一実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される。一実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている。
【0037】
特定の実施態様では、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブである。
【0038】
一実施態様では、T細胞活性化治療剤は、抗体、特に多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。
【0039】
一実施態様では、抗体は、活性化T細胞抗原に特異的に結合する。
【0040】
一実施態様では、抗体は、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127の群から選択される抗原に特異的に結合する。
【0041】
一実施態様では、抗体は、CD3、特にCD3εに特異的に結合する。
【0042】
一実施態様では、抗体は、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0043】
一実施態様では、抗体は、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む。
【0044】
一実施態様では、抗体は、B細胞抗原、特に悪性B細胞抗原に特異的に結合する。
【0045】
一実施態様では、抗体は、CD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、特にCD20又はCD19に特異的に結合する。
【0046】
一実施態様では、抗体はCD20に特異的に結合する。
【0047】
一実施態様では、抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0048】
一実施態様では、抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。
【0049】
一実施態様では、抗体は多重特異性抗体、特に二重特異性抗体である。
【0050】
一実施態様では、多重特異性抗体は、(i)活性化T細胞抗原及び(ii)B細胞抗原に特異的に結合する。
【0051】
一実施態様では、多重特異性抗体は、(i)CD3並びに(ii)CD20及びCD19から選択される抗原に特異的に結合する。
【0052】
一実施態様では、多重特異性抗体は、CD3及びCD20に特異的に結合する。
【0053】
一実施態様では、治療剤は、
(i)CD3に特異的に結合し、かつ、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分;並びに
(ii)CD20に特異的に結合し、かつ、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分
を含む二重特異性抗体を含む。
【0054】
特定の実施態様では、治療剤はCD20XCD3 bsABを含む。
【0055】
一実施態様では、治療剤は、キメラ抗原受容体(CAR)、又はCARを発現するT細胞、特にB細胞抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む。
【0056】
一実施態様では、疾患はB細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患である。
【0057】
一実施態様では、疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される。
【0058】
さらなる態様では、本発明は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体を提供する。II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される。
【0059】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、単一の組成物で一緒に投与されても、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与されてもよい。
【0060】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、2つ以上の異なる組成物で投与されてもよい。2つ以上の異なる組成物は、異なる時点で投与されてもよい。
【0061】
II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域を含み得る。II型抗CD20抗体は、配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域をさらに含み得る。
【0062】
II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含み得る。
【0063】
II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得る。抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%は、非フコシル化されていてもよい。
【0064】
特に、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブである。
【0065】
II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。
【0066】
さらに、抗PD-L1抗体、好ましくはアテゾリズマブが投与され得る。
【0067】
抗PD-L1抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも1つと別々に、又は組み合わせて投与され得る。ここで、「の少なくとも1つと組み合わせて(in combination with at least one of)」とは、抗PD-L1抗体が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と一緒に、又はII型抗CD20抗体と一緒に、又は両方と一緒に投与されることを意味する。
【0068】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。
【0069】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含み得る。
【0070】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号97のCDR-H1配列、配列番号98のCDR-H2配列、及び配列番号99のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR-L1配列、配列番号101のCDR-L2配列、及び配列番号102のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。
【0071】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。
【0072】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0073】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0074】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含み得る。
【0075】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む。
【0076】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0077】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、クロスFab分子であってもよく、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換され、かつ第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子であり得る。
【0078】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、IgG1 Fcドメインを含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み得る。
【0079】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、第3の抗原結合ドメインを含んでもよく、ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。あるいは、(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。
【0080】
II型CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の組み合わせは、約1週間から3週間の間隔で投与され得る。
【0081】
さらに、併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療を実施してもよい。前治療と併用治療との間の期間は、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分であり得る。前治療において使用されるII型抗CD20抗体は、上記及び下記のII型抗CD20抗体の1つ又は複数の特徴を有し得る。
【0082】
本発明のさらなる態様は、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法に関する。本方法は、II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を投与することを含み、ここで、II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、単一の組成物又は2つ以上の組成物で投与される。
【0083】
本発明のさらなる態様は、併用治療における使用のためのII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗PD-L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物の要素は、併用治療において連続的に又は同時に使用され得る。
【0084】
本発明のさらなる態様は、II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第1の医薬、並びに疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬を含むキットに関する。任意で、キットは、疾患、特にがんの前述の併用治療における使用のための、抗PD-L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬を含む。キットの要素は、併用治療において連続的に又は同時に使用され得る
【0085】
キットはさらに、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための第1の医薬及び第2の医薬及び任意で第3の医薬の使用説明書を含み得る。使用説明書は添付文書であり得る。
【0086】
本発明のさらなる態様は、好ましくは、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための、治療応用のための医薬の製造における、II型抗CD20抗体と抗CD20/抗CD3二重特異性抗体との組み合わせの使用に関する。
【0087】
本発明のさらなる態様は、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用に関し、ここで、医薬はII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ治療は抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む。
【0088】
本発明のさらなる態様は、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造における抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の使用に関し、ここで、医薬は抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ治療は抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む。
【0089】
本発明のさらなる態様は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20抗体の製造に関し、ここで、II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される。
【0090】
本発明のさらなる態様は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の製造に関し、ここで、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、II型抗CD20抗体と組み合わせて使用される。
【0091】
本発明のさらなる態様は、個体に、II型抗CD20抗体を投与すること、及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を投与することを含む、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法に関する。II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD30二重特異性抗体は、両方の組み合わせが有効量を表すように投与される。逆に、II型抗CD20抗体自体は有効量で投与されず、かつ抗CD20/抗CD30二重特異性抗体自体は有効量で投与されない。しかし、両方の組み合わせは有効量につながる。
【0092】
加えて、抗PD-L1抗体が個体に投与され得る。PD-L1抗体を含む組み合わせは、有効量を表す。
【0093】
本発明のさらなる態様は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体に関する。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、II型抗CD20抗体と組み合わせて使用される。
【0094】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、単一の組成物で一緒に投与されても、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与されてもよい。
【0095】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、2つ以上の異なる組成物で投与されてもよい。2つ以上の異なる組成物は、異なる時点で投与されてもよい。
【0096】
II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域を含み得る。II型抗CD20抗体は、配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域をさらに含み得る。
【0097】
II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含み得る。
【0098】
II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得る。抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%は、非フコシル化されていてもよい。
【0099】
特に、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブである。
【0100】
II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。
【0101】
さらに、抗PD-L1抗体、好ましくはアテゾリズマブが投与され得る。
【0102】
抗PD-L1抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも1つと別々に、又は組み合わせて投与され得る。ここで、「の少なくとも1つと組み合わせて(in combination with at least one of)」とは、抗PD-L1抗体が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と一緒に、又はII型抗CD20抗体と一緒に、又は両方と一緒に投与されることを意味する。
【0103】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。
【0104】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含み得る。
【0105】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号97のCDR-H1配列、配列番号98のCDR-H2配列、及び配列番号99のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR-L1配列、配列番号101のCDR-L2配列、及び配列番号102のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。
【0106】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。
【0107】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0108】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0109】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含み得る。
【0110】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0111】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0112】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、クロスFab分子であってもよく、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換され、かつ第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子であり得る。
【0113】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、IgG1 Fcドメインを含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み得る。
【0114】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、第3の抗原結合ドメインを含んでもよく、ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。あるいは、(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。
【0115】
II型CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の組み合わせは、約1週間から3週間の間隔で投与され得る。
【0116】
さらに、併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療が実施される。前治療と併用治療との間の期間は、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分であり得る。前治療において使用されるII型抗CD20抗体は、上記及び下記のII型抗CD20抗体の1つ又は複数の特徴を有し得る。
【0117】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、単一の組成物で一緒に投与されても、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与されてもよい。
【0118】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、2つ以上の異なる組成物で投与されてもよく、ここで、2つ以上の異なる組成物は、異なる時点で投与される。
【0119】
II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0120】
II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含み得る。
【0121】
II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得、ここで抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている。II型抗CD20抗体はオビヌツズマブであり得る。
【0122】
II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。
【0123】
さらに、抗PD-L1抗体、好ましくはアテゾリズマブが投与され得る。
【0124】
抗PD-L1抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも1つと別々に、又は組み合わせて投与され得る。
【0125】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。
【0126】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含み得る。
【0127】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号97のCDR-H1配列、配列番号98のCDR-H2配列、及び配列番号99のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR-L1配列、配列番号101のCDR-L2配列、及び配列番号102のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。
【0128】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。
【0129】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0130】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0131】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含み得る。
【0132】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR-H1配列、配列番号5のCDR-H2配列、及び配列番号6のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR-L1配列、配列番号8のCDR-L2配列、及び配列番号9のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0133】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。
【0134】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、クロスFab分子であってもよく、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換され、かつ第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子であり得る。
【0135】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、IgG1 Fcドメインを含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み得る。
【0136】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、第3の抗原結合ドメインを含む。(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されてもよく、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されてもよく、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されてもよい。あるいは、(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されてもよく、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されてもよく、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されてもよい。
【0137】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型CD20抗体の組み合わせは、約1週間から3週間の間隔で投与され得る。
【0138】
併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療を実施してもよい。前治療と併用治療との間の期間は、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分であり得る。前治療において使用されるII型抗CD20抗体は、上記及び下記のII型抗CD20抗体の1つ又は複数の特徴を有し得る。
【0139】
本発明のさらなる態様は、併用治療における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD-L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物の要素は、併用治療において連続的に又は同時に使用され得る。
【0140】
本発明のさらなる態様は、前述の本発明に関する。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1A-F】本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(A、D)「1+1 CrossMab」分子の図。(B、E)別の順序でCrossfab及びFab成分を有する(「反転型」)「2+1 IgG Crossfab」分子の図。(C、F)「2+1 IgG Crossfab」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、--:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、-CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては-代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
図1G-N】本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(G、K)別の順序でCrossfab及びFab成分を有する(「反転型」)「1+1 IgG Crossfab」分子の図。(H、L)「1+1 IgG Crossfab」分子の図。(I、M)2つのCrossFabを有する「2+1 IgG Crossfab」分子の図。(J、N)2つのCrossFabを有し、かつ別の順序でCrossfab及びFab成分を有する(「反転型」)「2+1 IgG Crossfab」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、--:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、-CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては-代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
図1O-V】本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(O、S)「Fab-Crossfab」分子の図。(P、T)「Crossfab-Fab」分子の図。(Q、U)「(Fab)-Crossfab」分子の図。(R、V)「Crossfab-(Fab)」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、--:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、-CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては-代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
図1W-Z】本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(W、Y)「Fab-(Crossfab)」分子の図。(X、Z)「(Crossfab)-Fab」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、--:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、-CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては-代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
図2】異なる治療群における末梢血中のB細胞及びT細胞の数。第1及び第2のCD20XCD3 bsAB投与の24時間後と72時間後の、ビヒクル及びCD20XCD3 bsABで治療した完全ヒト化NOGマウスの末梢血中のCD19 B細胞(A)及びCD3 T細胞(B)のフローサイトメトリー分析。黒い矢印は、CD20XCD3 bsAB投与の日を示している。
図3】異なる治療群の間で末梢血中に放出されるサイトカイン。CD20XCD3 bsABの第1及び第2の投与から24時間後及び72時間後の、ビヒクル及び治療マウスの血液中のサイトカインの多重分析。ヒストグラムバーは5匹の動物の平均を表し、エラーバーは標準偏差を示す。IFNγ、TNFα及びIL-6の代表的なグラフが示されている。CD20XCD3 bsABの第1の注射のサイトカイン放出を、オビヌツズマブ前治療ありとなしで比較する(比較されるべきバーは、接続線で示される)。
図4】CD20XCD3 bsAB、オビヌツズマブ、及びGpt+CD20XCD3 bsABの抗腫瘍活性。完全ヒト化NOGマウスにおける、単独療法としてのCD20XCD3 bsAB及びオビヌツズマブ、又はGpt+CD20XCD3 bsABの抗腫瘍活性。黒い矢印は治療の開始を示す。(8<n<10)。腫瘍モデル:WSU-DLCL2。
図5】CD20XCD3 bsAB及びGpt+CD20XCD3 bsAB治療による投薬後のカニクイザルの末梢血中に放出されるサイトカイン。
図6A-B】(A-B)中悪性度リンパ腫モード(WSU-DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC-NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又はアテゾリズマブとの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(A)ビヒクルの有効性、(B)抗CD20-抗CD3 T細胞二重特異性抗体の治療の有効性。
図6C-D】(C-D)中悪性度リンパ腫モード(WSU-DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC-NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又はアテゾリズマブとの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(C)オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))の治療の有効性、(D)抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))の併用治療の有効性。
図6E-F】(E-F)中悪性度リンパ腫モード(WSU-DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC-NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又はアテゾリズマブとの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(E)抗CD20/CD3二重特異性抗体とアテゾリズマブの併用治療の有効性、(F)抗PD-L1抗体の治療の有効性。
図7】(A-B)中悪性度リンパ腫モデル(OCI-Ly18腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC-NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(A)ビヒクル、抗CD20/CD3二重特異性抗体、オビヌツズマブ、及び抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせの有効性。(B)抗CD20/CD3二重特異性抗体、オビヌツズマブ、及び抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせの個々のマウスの有効性。
【発明を実施するための形態】
【0142】
定義
本明細書の用語は、以下で特に定義されない限り、当該技術分野で一般的に使われるように使用される。
【0143】
CD20(Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu-16、Bp35、BM5、及びLF5としても知られ;ヒトタンパク質は、UniProtデータベースエントリP11836において特徴づけられる)は、プレBリンパ球及び成熟Bリンパ球上に発現する分子量約35kDの疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine, M.A. et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 11282-11287; Tedder, T.F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-212; Stamenkovic, I., et al., J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-1980; Einfeld, D.A., et al., EMBO J. 7 (1988) 711-717; Tedder, T.F., et al., J. Immunol. 142 (1989) 2560-2568)。対応するヒト遺伝子は、MS4A1としても知られている、膜貫通4ドメイン、サブファミリーA、メンバー1である。この遺伝子は膜貫通4A遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。この新生タンパク質ファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴及び類似のイントロン/エクソンのスプライス境界により特徴づけられ、造血細胞及び非リンパ系組織間で固有の発現パターンを示す。この遺伝子はB細胞の形質細胞への発生及び分化において役割を果たしているBリンパ球表面分子をコードする。このファミリーメンバーは、ファミリーメンバーのクラスターの中で11q12に局在している。この遺伝子の選択的スプライシングは、同じタンパク質をコードする2つの転写変異体をもたらす。
【0144】
特に断らない限り、本明細書で使用する用語「CD20」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然のCD20を指す。その用語は、「完全長」で未処理のCD20、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD20を含む。その用語はまた、CD20の天然に生じる変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体を含む。一実施態様では、CD20はヒトCD20である。例示的なヒトCD20のアミノ酸配列は、配列番号1に示される。
【0145】
用語「抗CD20抗体」及び「CD20に結合する抗体」は、抗体がCD20を標的とする診断薬及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でCD20に結合することができる抗体を指す。一実施態様では、抗CD20抗体の、無関係な、非CD20タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体のCD20への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、CD20に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば10-8M以下、例えば10-8Mから10-13M、例えば10-9Mから10-13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施態様では、抗CD20抗体は、異なる種由来のCD20間で保存されているCD20のエピトープに結合する。
【0146】
「II型抗CD20抗体」とは、Cragg et al., Blood 103 (2004) 2738-2743; Cragg et al., Blood 101 (2003) 1045-1052, Klein et al., mAbs 5 (2013), 22-33に記載され、以下の表1に要約されるように、II型抗CD20抗体の結合特性及び生物学的活性を有する抗CD20抗体を意味する。
表1.I型及びII型抗CD20抗体の特性
【0147】
II型抗CD20抗体の例は、例えば、オビヌツズマブ(GA101)、トシツムマブ(B1)、ヒト化B-Ly1抗体IgG1(国際公開第2005/044859号に開示されるキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(国際公開第2004/035607号に開示)及びAT80 IgG1を含む。
【0148】
I型抗CD20抗体の例は、例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、PRO131921、ウブリツキシマブ、HI47 IgG3(ECACC、ハイブリドーマ)、2C6 IgG1(国際公開第2005/103081号に開示)、2F2 IgG1(国際公開第2004/035607号及び国際公開第2005/103081号に開示)及び2H7 IgG1(国際公開第2004/056312号に開示)を含む。
【0149】
用語「ヒト化B-Ly1抗体」は、IgG1由来のヒト定常ドメインとのキメラ化及びその後のヒト化によって、マウスモノクローナル抗CD20抗体B-Ly1(マウス重鎖の可変領域(VH):配列番号2;マウス軽鎖の可変領域(VL):配列番号3)(Poppema, S. and Visser, L., Biotest Bulletin 3(1987)131-139を参照)から得られた、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に開示されているヒト化B-Ly1抗体を指す(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号を参照)。これらの「ヒト化B-Ly1抗体」は、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に詳細に開示されている。
【0150】
本明細書で使用される用語「サイトカインの放出」又は「サイトカイン放出」は、「サイトカインストーム」又は「サイトカイン放出症候群」(「CRS」と略される)と同義であり、治療剤の投与中又は投与直後(例えば、1日以内)の対象の血液中のサイトカイン、特に腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-2(IL-2)及び/又はインターロイキン-8(IL-8)のレベルの増加を指し、有害な症状をもたらす。サイトカイン放出は注入関連反応(IRR)の一種であり、治療剤に対する一般的な薬物有害反応であり、治療剤の投与にタイムリーに関連している。IRRは、典型的には、治療剤の投与中又はその直後に、すなわち、典型的には注入後24時間以内に、主に第1の注入時に発生する。場合によっては、例えばCAR-T細胞の投与後、CRSは後でのみ、例えばCAR-T細胞の増殖時に投与後数日で、発生する可能性がある。通常、発生率及び重症度は、典型的にはその後の注入により低下する。症状は、症候性の不快感から致命的な事象まで及び、発熱、悪寒、めまい、高血圧、低血圧、呼吸困難、落ち着きのなさ、発汗、潮紅、皮膚発疹、頻脈、頻呼吸、頭痛、腫瘍痛、吐き気、嘔吐及び/又は臓器不全を含み得る。
【0151】
本明細書で使用される用語「アミノ酸変異」は、アミノ酸の置換、欠失、挿入、及び修飾を包含することを意図している。最終構築物が所望の特性、例えば、Fc受容体への結合の低減を有することを条件として、置換、欠失、挿入、及び修飾の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達させることができる。アミノ酸配列の欠失及び挿入には、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端の欠失、並びにアミノ酸の挿入が含まれる。特定のアミノ酸変異はアミノ酸の置換である。例えばFc領域の結合特性を変更する目的で、非保存的アミノ酸置換、すなわち、1つのアミノ酸を異なる構造的及び/又は化学的性質を有する別のアミノ酸で置換することが特に好ましい。アミノ酸置換には、20種類の標準アミノ酸の、天然に存在しないアミノ酸又は天然に存在するアミノ酸誘導体(例えば、4-ヒドロキシプロリン、3-メチルヒスチジン、オルニチン、ホモセリン、5-ヒドロキシリジン)による置換が含まれる。アミノ酸変異は、当該技術分野で良く知られた遺伝学的方法又は化学的方法を用いて生成することができる。遺伝学的方法には、部位特異的突然変異誘発、PCR、遺伝子合成などが含まれ得る。化学修飾などの遺伝子工学以外の方法によって、アミノ酸の側鎖基を変更する方法も有用であり得ると考えられる。本明細書では、同じアミノ酸変異を示すためにさまざまな命名が使用され得る。例えば、Fc領域の329位のプロリンからグリシンへの置換は、329G、G329、G329、P329G、又はPro329Glyとして示される。
【0152】
「親和性」は、分子(例えば、受容体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、リガンド)との間の共有結合性相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用される場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、受容体とリガンド)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する本質的な結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(K)によって表され、この解離定数(K)は、解離速度定数と会合速度定数(それぞれ、koff及びkon)の比である。したがって、等価な親和性は、速度定数の比が同じままである限り、異なる速度定数を含み得る。親和性は、当該技術分野で知られた十分に確立された方法によって測定することができる。親和性を測定するための特定の方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)である。
【0153】
「減少(reduction)」(及び「減少する(reduce)」又は「減少する(reducing)」などの文法的変形)、例えば、B細胞の数又はサイトカイン放出の減少は、当該技術分野で知られた適切な方法によって測定される、それぞれの量の減少を指す。明確に示すために、用語はゼロ(又は分析方法の検出限界を下回る値)への減少、すなわち完全な消失(abolishment)及び除去(elimination)も含む。逆に、「増加(increased)」は、それぞれの量の増加を指す。
【0154】
本明細書で使用される場合、用語「抗原結合部分」は、抗原決定基に特異的に結合するポリペプチド分子を指す。一実施態様では、抗原結合部分は、それが結合する実体(例えば、サイトカイン又は第2の抗原結合部分)を標的部位へ、例えば特定の型の腫瘍細胞又は抗原決定基を保有する腫瘍間質へと指向させることができる。抗原結合部分には、本明細書でさらに定義される抗体及びその断片が含まれる。好ましい抗原結合部分には、抗体重鎖可変領域及び抗体軽鎖可変領域を含む、抗体の抗原結合ドメインが含まれる。特定の実施態様では、抗原結合部分は、本明細書でさらに定義され、かつ当技術分野において既知であるように、抗体定常領域を含むことができる。有用な重鎖定常領域は、5つのアイソタイプ:α、δ、ε、γ、又はμのいずれかを含む。有用な軽鎖定常領域は、2つのアイソタイプ:κ及びλのいずれかを含む。
【0155】
「特異的に結合する」とは、結合が、抗原について選択的であり、望ましくない相互作用又は非特異的相互作用とは区別可能であることを意味する。抗原結合部分の、特定の抗原決定基への結合能は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)又は当業者によく知られた他の技術、例えば表面プラズモン共鳴技術(BIAcore装置における解析)(Liljeblad et al., Glyco J 17, 323-329 (2000))、及び古典的結合アッセイ(Heeley, Endocr Res 28, 217-229 (2002))により測定することができる。一実施態様では、抗原結合部分の無関係なタンパク質への結合の程度は、例えばSPRによって測定される場合、抗原結合部分の抗原への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、抗原に結合する抗原結合部分、又は抗原結合部分を含む抗原結合分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。
【0156】
「結合の減少」、例えばFc受容体への結合の減少とは、例えばSPRによって測定されるように、各相互作用に対する親和性の減少を指す。明確に示すために、用語はゼロ(又は分析方法の検出限界を下回る値)への親和性の減少、すなわち相互作用の完全な消失も含む。逆に、「結合の増加」は、各相互作用に対する親和性の増加を指す。
【0157】
本明細書において使用される用語「抗原結合分子」は、その最も広い意味において、抗原決定基に特異的に結合する分子を指す。抗原結合分子の例は、免疫グロブリン及び誘導体、例えば、その断片である。
【0158】
本明細書において使用される用語「抗原決定基」は、「抗原」及び「エピトープ」と同義であり、抗原結合部分が結合し、抗原結合部分-抗原複合体を形成するポリペプチド巨大分子上の部位(例えば、アミノ酸の連続的区間又は非連続的アミノ酸の異なる領域から形成される立体構造配置)を指す。有用な抗原決定基は、例えば、腫瘍細胞の表面に、ウイルス感染細胞の表面に、他の疾患細胞の表面に、血清中に遊離した状態で、及び/又は細胞外マトリックス(ECM)に見いだすことができる。特に断らない限り、本明細書において抗原と呼ばれるタンパク質(例えばCD3)は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来のタンパク質の任意の天然形態を指す。特定の実施態様では、抗原はヒトタンパク質である。本明細書において特定のタンパク質が言及される場合、その用語は「完全長」の未処理のタンパク質と、細胞内でのプロセシングにより得られる任意の形態のタンパク質とを包含する。その用語はまた、天然に存在するタンパク質の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体を包含する。抗原として有用な例示的なヒトタンパク質は、CD3、特にCD3のイプシロンサブユニットである(ヒト配列についてUniProt no.P07766(バージョン130)、NCBI RefSeq no.NP_000724.1、配列番号105を;カニクイザル[Macaca fascicularis]配列についてはUniProt no.Q95LI5(バージョン49)、NCBI GenBank no.BAB71849.1、配列番号106を参照)。特定の実施態様では、本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子は、異なる種由来のCD3又は標的細胞抗原間で保存されている、CD3又は標的細胞抗原のエピトープに結合する。
【0159】
本明細書において使用される用語「ポリペプチド」は、アミノ結合(ペプチド結合としても知られる)により線形に結合したモノマー(アミノ酸)からなる分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特定の長さの生成物を指すものではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、又は2つ以上のアミノ酸の鎖を指す他のいずれの用語も「ポリペプチド」の定義に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これら用語のいずれかの代わりに、又はいずれかと交換可能に、使用することができる。用語「ポリペプチド」は、ポリペプチドの発現後修飾の生成物を指すことも意図しており、このような生成物には、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、又は天然に存在しないアミノ酸による修飾が含まれる。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来する場合もあれば、組換え技術によって産生される場合もあるが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるわけではない。ポリペプチドは化学合成によるものを含め、どのような方法で生成されてもよい。本発明のポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1000以上、又は2000以上の大きさのアミノ酸からなってよい。ポリペプチドは、定義された三次元構造を有し得るが、必ずしもそのような構造を有するものではない。定義された三次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれていると言われ、定義された三次元構造を有しないが、多数の異なる立体構造をとることができるポリペプチドは折り畳まれていないと言われる。
【0160】
「単離された」ポリペプチド若しくは変異体、又はその誘導体とは、その自然の環境にないポリペプチドを意味する。特定のレベルの精製は必要でない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然又は自然の環境から除去することができる。宿主細胞に発現される、組換えにより産生されたポリペプチド及びタンパク質を、任意の適切な技術により分離、分画、又は部分的若しくは実質的に精製された天然又は組換えポリペプチドのように、本発明のために単離することが考慮される。
【0161】
参照ポリペプチド配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、最大の配列同一性パーセントを得るように配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後の、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなさない、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当該技術分野の範囲内にあるさまざまな方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較される配列の完全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社によって著作され、ソースコードは米国著作権庁、ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)のV4.0Dを含む、UNIX(登録商標)オペレーティングシステムで使用するためにコンパイルする必要がある。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bと、又はそれに対して特定の%アミノ酸配列同一性を有する又は含む所与のアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
100×分率X/Y
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一の一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、前段落で説明したように得られる。
【0162】
本明細書における用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、さまざまな抗体構造を包含し、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。
【0163】
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然の抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0164】
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。本明細書で使用される用語「抗体断片」は、単一ドメイン抗体も包含する。
【0165】
用語「免疫グロブリン分子」は、天然に存在する抗体の構造を有するタンパク質を指す。例えば、IgGクラスの免疫グロブリンは、ジスルフィド結合している2つの軽鎖と2つの重鎖からなる約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)が続いている。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインが続いている。免疫グロブリンの重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)、又はμ(IgM)と呼ばれる5つのクラスのうちの1つに割り当てることができ、それらのいくつかはさらにサブタイプ、例えばγ(IgG)、γ(IgG)、γ(IgG)、γ(IgG)、α(IgA)及びα(IgA)に分けられる。免疫グロブリンの軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つの種類のうちの1つに割り当てることができる。免疫グロブリンは、本質的に、免疫グロブリンのヒンジ領域を介して連結された2つのFab分子とFcドメインからなる。
【0166】
用語「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部又は全部に特異的に結合し、かつ相補的である領域を含む抗体の部分を指す。抗原結合ドメインは、例えば、1つ又は複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)により提供され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
【0167】
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。通常、天然の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、各々が4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)とを含む類似構造を有する。例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照。抗原結合特異性を付与するには、単一のVH又はVLドメインで十分であり得る。
【0168】
「ヒト抗体」とは、ヒト若しくはヒト細胞により産生される抗体、又はヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体をコードする配列を利用する非ヒト起源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0169】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、HVR(例えば、CDR)のすべて又は実質的にすべてが非ヒト抗体のものに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
【0170】
本明細書で用いられる用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変である抗体可変ドメインの領域(「相補性決定領域」すなわち「CDR」)及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域及び/又は抗原に接触する残基(「抗原コンタクト(antigen contact)」を含有する抗体可変ドメインの領域のそれぞれを指す。一般的に、抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)の計6つのHVRを含む。本明細書において、例示的なHVRは、
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)、及び96-101(H3)に生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)、及び95-102(H3)に生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)、及び93-101(H3)に生じる抗原コンタクト(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基46-56(L2)、47-56(L2)、48-56(L2)、49-56(L2)、26-35(H1)、26-35b(H1)、49-65(H2)、93-102(H3)、及び94-102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組み合わせ
を含む。
【0171】
特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上掲のKabatらに従って番号付けされる。
【0172】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR配列及びFR配列は、一般にVH(又はVL)の以下の配列に現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0173】
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IGA、及びIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0174】
本明細書の用語「Fcドメイン」又は「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域と変異型Fc領域を含む。IgG重鎖のFc領域の境界はわずかに異なる可能性があるが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸びると定義される。しかし、宿主細胞によって産生される抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数の、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後切断を受ける可能性がある。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって宿主細胞によって産生される抗体には、完全長重鎖が含まれ得るか、完全長重鎖の切断された変異体(本明細書では「切断された変異型重鎖」とも呼ばれる)が含まれ得る。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)とリジン(K447、Kabat EUインデックスによる番号付け)である場合に当てはまる。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)とリジン(K447)は、存在してもしなくてもよい。本明細書に別途指定のない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991(上記も参照)。本明細書において使用されるFcドメインの「サブユニット」は、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドの一方、すなわち、免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含み、安定な自己会合能を有するポリペプチドを指す。例えば、IgG Fcドメインのサブユニットは、IgG CH2及びIgG CH3定常ドメインを含む。
【0175】
「Fcドメインの第1及び第2のサブユニットの会合を促進する修飾」とは、Fcドメインのサブユニットを含むポリペプチドの、同一のポリペプチドとの会合によるホモ二量体の形成を低減又は抑制する、ペプチド骨格の操作又はFcドメインサブユニットの翻訳後修飾である。本明細書において使用される会合を促進する修飾には、特に、会合することが望ましい2つのFcドメインサブユニット(すなわち、Fcドメインの第1及び第2のサブユニット)の各々に対して行われる別々の修飾が含まれ、これらの修飾は、2つのFcドメインサブユニットの会合を促進するために互いに相補的である。例えば、会合を促進する修飾は、Fcドメインサブユニットの一方又は両方の構造又は電荷を変化させることにより、それらの会合を、それぞれ立体的に又は静電的に好ましいものにすることができる。このように、(ヘテロ)二量体化は、第1のFcドメインサブユニットを含むポリペプチドと、第2のFcドメインサブユニットを含むポリペプチドとの間で起こり、これらのポリペプチドは、サブユニットの各々に融合したさらなる成分(例えば、抗原結合部分)が同じでないという意味で非同一であり得る。いくつかの実施態様では、会合を促進する修飾は、Fcドメイン内におけるアミノ酸変異、特にアミノ酸置換を含む。特定の実施態様では、会合を促進する修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの各々における別々のアミノ酸変異、具体的にはアミノ酸置換を含む。
【0176】
「活性化Fc受容体」は、抗体のFc領域の結合に続いて、エフェクター機能を実行するように受容体保有細胞を刺激するシグナル伝達現象を生じさせるFc受容体である。活性化Fc受容体には、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)、及びFcαRI(CD89)が含まれる。
【0177】
用語「エフェクター機能」は、抗体に関連して使用される場合、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指し、これは抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、及びB細胞活性化が含まれる。
【0178】
本明細書で使用される用語「エフェクター細胞」は、エフェクター部分受容体、例えばサイトカイン受容体、及び/又はエフェクター部分、例えばサイトカイン、及び/又は抗体のFc領域と結合する表面上のFc受容体を提示し、標的細胞、例えば腫瘍細胞の破壊に寄与するリンパ球の集団を指す。エフェクター細胞は、例えば、細胞傷害作用又は食細胞作用を媒介し得る。エフェクター細胞には、限定されないが、エフェクターT細胞、例えば、CD8細胞傷害性T細胞、CD4ヘルパーT細胞、γδT細胞、NK細胞、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞及びマクロファージ/単球などが含まれる。
【0179】
本明細書において使用される場合、用語「操作する(engineer)、操作された(engineered)、操作(engineering)」は、ペプチド骨格の任意の操作、又は天然に存在するポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはその断片の翻訳後修飾を含むと考慮される。操作には、アミノ酸配列、グリコシル化パターン、又は個々のアミノ酸の側鎖基の修飾、及びこれらの手法の組み合わせが含まれる。「操作」、特に接頭辞「糖鎖」を伴うもの、及び用語「グリコシル化操作」には、細胞内で発現される糖タンパク質の改変されたグリコシル化を達成するためのオリゴ糖合成経路の遺伝子操作を含む、細胞のグリコシル化機構の代謝操作が含まれる。さらに、グリコシル化操作は、グリコシル化における突然変異及び細胞環境の影響を含む。一実施態様では、グリコシル化操作は、グリコシルトランスフェラーゼ活性の改変である。特定の実施態様では、操作は、グルコサミニルトランスフェラーゼ活性及び/又はフコシルトランスフェラーゼ活性の改変をもたらす。グリコシル化操作を使用して、「GnTIII活性が増加した宿主細胞」(例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作された宿主細胞)、「ManII活性が増加した宿主細胞」(例えば、α-マンノシダーゼII(ManII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作された宿主細胞)、又は「α(1,6)フコシルトランスフェラーゼ活性が低下した宿主細胞」(例えば、α(1,6)フコシルトランスフェラーゼの減少したレベルを発現するように操作された宿主細胞)を得ることができる。
【0180】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は、互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、それには初代形質転換細胞及び、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は親細胞と核酸含量が完全に同一でなくてもよく、突然変異を含んでいてもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異型子孫が本明細書において含まれる。宿主細胞は、本発明のために使用されるタンパク質を生成するために使用され得る任意の種類の細胞系である。一実施態様では、宿主細胞は、修飾されたオリゴ糖を有する抗体の産生を可能にするように操作される。特定の実施態様では、宿主細胞は、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作されている。特定の実施態様では、宿主細胞は、α-マンノシダーゼII(ManII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するようにさらに操作されている。宿主細胞は、培養細胞、例えばいくつか例を挙げると、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞、又はハイブリドーマ細胞といった哺乳動物の培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び植物細胞を含み、さらには、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、又は培養された植物若しくは動物組織内部に含まれる細胞も含む。
【0181】
本明細書で使用される場合、用語「GnTIII活性を有するポリペプチド」は、N-結合型オリゴ糖のトリマンノシルコアのβ-結合マンノシドへのβ-1,4結合におけるN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基の付加を触媒することができるポリペプチドを指す。これには、特定の生物学的アッセイで測定される場合、用量依存性の有無にかかわらず、国際生化学分子生物学連合(NC-IUBMB)の命名委員会による、β-1,4-マンノシル糖タンパク質の4-β-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.144)としても知られるβ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIの活性に類似しているが必ずしも同一ではない酵素活性を示す融合ポリペプチドが含まれる。用量依存性が存在する場合、GnTIIIのそれと同一である必要はなく、GnTIIIと比較して、所定の活性における用量依存性とかなり実質的に類似している必要がある(すなわち、候補ポリペプチドは、GnTIIIと比較して、より高い活性、又は約25倍以下、好ましくは約10倍以下の活性、最も好ましくは約3倍以下の活性を示す)。特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインと異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインとを含む融合ポリペプチドである。特に、ゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼII又はGnTIの局在化ドメイン、最も具体的にはマンノシダーゼIIの局在化ドメインである。あるいは、ゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼIの局在化ドメイン、GnTIIの局在化ドメイン、及びα1,6コアフコシルトランスフェラーゼの局在化ドメインからなる群から選択される。そのような融合ポリペプチドを生成し、それらを使用してエフェクター機能が増加した抗体を産生する方法は、国際公開第2004/065540号、米国仮特許出願第60/495142号及び米国特許出願公開第2004/0241817号に開示されており、その内容全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0182】
本明細書で使用される場合、用語「ゴルジ局在化ドメイン」は、ポリペプチドをゴルジ複合体内の位置に固定することに関与するゴルジ常在性ポリペプチドのアミノ酸配列を指す。一般的に、局在化ドメインは、酵素のアミノ末端「テール」を含む。
【0183】
本明細書で使用される場合、用語「ManII活性を有するポリペプチド」は、N-結合型オリゴ糖の分岐GlcNAcManGlcNAcマンノース中間体における末端1,3-及び1,6-結合α-D-マンノース残基の加水分解を触媒できるポリペプチドを指す。これには、国際生化学分子生物学連合(NC-IUBMB)の命名委員会による、マンノシルオリゴ糖1,3-1,6-α-マンノシダーゼII(EC 3.2.1.114)としても知られるゴルジα-マンノシダーゼIIの活性に類似しているが必ずしも同一ではない酵素活性を示すポリペプチドが含まれる。
【0184】
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)は、免疫エフェクター細胞による抗体被覆標的細胞の溶解を引き起こす免疫機構である。標的細胞は、Fc領域を含む抗体又はその断片が、一般にFc領域のN末端にあるタンパク質部分を介して、特異的に結合する細胞である。本明細書で使用される場合、用語「増加した/減少したADCC」は、標的細胞を取り囲む媒質中の所定の抗体濃度において、上記で定義されたADCCの機構による、所定の時間内に溶解される標的細胞の数の増加/減少、及び/又は、ADCCの機構により、所定の時間内に所定の数の標的細胞の溶解を達成するために必要な、標的細胞を囲む媒質中の抗体濃度の減少/増加のいずれかとして定義される。ADCCの増加/減少は、同じ標準的な産生方法、精製方法、製剤化法、及び貯蔵方法(当業者に知られている)を使用して、ただし操作されていない、同じ型の宿主細胞によって産生される同じ抗体によって媒介されるADCCに対して相対的なものである。例えば、本明細書に記載の方法により、グリコシル化の改変したパターンを有するように(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、GnTIII、又は他のグリコシルトランスフェラーゼを発現するように)操作された宿主細胞により産生される抗体により媒介されるADCCの増加は、同じ型の非操作宿主細胞により産生される同じ抗体により媒介されるADCCに対して相対的なものである。
【0185】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)が増加/減少した抗体」とは、当業者に知られた任意の適切な方法により決定されるようにADCCが増加/減少した抗体を意味する。1つの受け入れられているin vitro ADCCアッセイは、以下の通りである:
1)アッセイは、抗体の抗原結合領域によって認識される標的抗原を発現することが知られている標的細胞を使用する;
2)アッセイは、エフェクター細胞として、無作為に選択された健常なドナーの血液から単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する;
3)アッセイは、以下のプロトコールに従って実行される:
i)PBMCは、標準的な密度の遠心分離手順を使用して単離され、RPMI細胞培養培地に5×10細胞/mlで懸濁される。
ii)標的細胞を標準的な組織培養法により増殖させ、90%を超える生存率の指数増殖期から回収し、RPMI細胞培養培地で洗浄し、100マイクロキュリーの51Crで標識し、細胞培養培地で2回洗浄し、10個の細胞/mlの密度で細胞培養培地に再懸濁させる;
iii)100マイクロリットルの上記の最終標的細胞懸濁物を96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移す;
iv)抗体を細胞培養培地で4000ng/mから0.04ng/mlに段階希釈し、50マイクロリットルの得られた抗体溶液を96ウェルマイクロタイタープレート中の標的細胞に添加し、上記の濃度範囲全体をカバーするさまざまな抗体濃度で3重試験する。
v)最大放出(MR)コントロールのために、標識された標的細胞を含むプレート中の3つの追加のウェルに、抗体溶液(上記のiv項)の代わりに非イオン性界面活性剤(Nonidet,Sigma,St.Louis)の2%(V/V)水溶液50マイクロリットルを入れる;
vi)自然放出(SP)コントロールのために、標識された標的細胞を含むプレート中の3つの追加のウェルに、抗体溶液(上記のiv項)の代わりにRPMI細胞培地50マイクロリットルを入れる;
vii)次いで、96ウェルマイクロタイタープレートを50xgで1分間遠心分離し、4℃で1時間インキュベートする。
viii)50マイクロリットルのPBMC懸濁液(上記のi項)を各ウェルに加えて、エフェクター:標的細胞比を25:1にし、プレートを37℃で4時間、5%CO雰囲気下のインキュベーターに入れる;
ix)各ウェルから無細胞上清を回収し、ガンマカウンターを使用して実験的に放出された放射活性(ER)を定量する;
x)特異的溶解の百分率を、各抗体濃度について、式(ER-MR)/(MR-SR)×100[式中、ERはその抗体濃度について定量された平均放射活性(上記ix項参照)であり、MRはMRコントロール(上記v項参照)について定量された平均放射活性(上記ix項参照)であり、SRはSRコントロール(上記vi項参照)について定量された平均放射活性(上記ix項参照)である]に従って計算する。
4)「増加した/減少したADCC」は、上記の試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大百分率の増加/減少、及び/又は上記の試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大百分率の半分を達成するのに必要な抗体濃度の減少/増加のいずれかとして定義される。ADCCの増加/減少は、上記のアッセイで測定され、当業者に知られている、同じ標準的な産生方法、精製方法、製剤化法、及び貯蔵方法を使用して、ただし操作されていない、同じ型の宿主細胞によって産生される同じ抗体によって媒介されるADCCに対して相対的なものである。
【0186】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる突然変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の製造時に発生し、一般的に少量で存在している可能性のある変異体抗体を除いて、集団を構成する個々の抗体は同一であり、かつ/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むさまざまな技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は本明細書に記載されている。
【0187】
本明細書で使用される場合、抗原結合部分などに関する用語「第1」、「第2」、「第3」などは、各型の部分が複数存在するとき、区別する便宜のために使用される。これらの用語の使用は、特に明記されていない限り、特定の順序又は配向を付与することを意図しているのではない。
【0188】
用語「多重特異性」及び「二重特異性」は、抗原結合分子が少なくとも2つの異なる抗原決定基に特異的に結合することができることを意味する。典型的には、二重特異性抗原結合分子は2つの抗原結合部位を含み、その各々は異なる抗原決定基に対して特異的である。特定の実施態様では、二重特異性抗原結合分子は、2つの抗原決定基、特に2つの別個の細胞上に発現した2つの抗原決定基に同時に結合することができる。
【0189】
本明細書において使用される用語「価」は、抗原結合分子内における特定数の抗原結合部位の存在を意味する。このように、用語「抗原に対する一価の結合」は、抗原結合分子における抗原に特異的な1つの(かつ1つを超えない)抗原結合部位の存在を意味する。
【0190】
「抗原結合部位」は、抗原との相互作用を提供する抗原結合分子の部位、すなわち1つ又は複数のアミノ酸残基を指す。例えば、抗体の抗原結合部位は、相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含む。天然の免疫グロブリン分子は通常2つの抗原結合部位を有し、Fab分子は通常1つの抗原結合部位を有する。
【0191】
本明細書で使用される「T細胞活性化治療剤」は、対象においてT細胞活性化を誘導することができる治療剤、特に対象においてT細胞活性化を誘導するために設計された治療剤を指す。T細胞活性化治療剤の例には、CD3などの活性化T細胞抗原、及びCD20又はCD19などの標的細胞抗原に特異的に結合する二重特異性抗体が含まれる。さらなる例には、T細胞活性化ドメイン及びCD20又はCD19などの標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分を含むキメラ抗原受容体(CAR)が含まれる。
【0192】
本明細書で使用される「活性化T細胞抗原」は、抗原結合分子との相互作用の際にT細胞活性化を誘導又は増強することができる、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球によって発現される抗原決定基を指す。具体的には、抗原結合分子と活性化T細胞抗原との相互作用は、T細胞受容体複合体のシグナル伝達カスケードをトリガーすることにより、T細胞活性化を誘導することができる。例示的な活性化T細胞抗原はCD3である。特定の実施態様では、活性化T細胞抗原はCD3、特にCD3のイプシロンサブユニットである(ヒト配列についてUniProt no.P07766(バージョン130)、NCBI RefSeq no.NP_000724.1、配列番号105を;カニクイザル[Macaca fascicularis]配列についてはUniProt no.Q95LI5(バージョン49)、NCBI GenBank no.BAB71849.1、配列番号106を参照)。
【0193】
本明細書で使用される「T細胞活性化」は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害性活性、及び活性化マーカーの発現から選択される、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の1つ又は複数の細胞応答を指す。本発明で使用されるT細胞活性化治療剤は、T細胞活性化を誘導することができる。T細胞活性化を測定するための適切なアッセイは、本明細書に記載の当該技術分野で知られている。
【0194】
本明細書において使用される「標的細胞抗原」は、標的細胞、例えばがん細胞又は腫瘍間質の細胞などの腫瘍内細胞の表面に提示される抗原決定基を指す。特定の実施態様では、標的細胞抗原はCD20、特にヒトCD20である(UniProt no.P11836を参照)。
【0195】
本明細書で使用される「B細胞抗原」は、Bリンパ球、特に悪性Bリンパ球の表面に提示される抗原決定基を指す(その場合、抗原は「悪性B細胞抗原」とも呼ばれる)。
【0196】
本明細書で使用される「T細胞抗原」は、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の表面に提示される抗原決定基を指す。
【0197】
「Fab分子」とは、免疫グロブリンの重鎖のVH及びCH1ドメイン(「Fab重鎖」)並びに軽鎖のVL及びCLドメイン(「Fab軽鎖」)からなるタンパク質を指す。
【0198】
「キメラ抗原受容体」又は「CAR」とは、抗原結合部分、例えば、標的抗体の単鎖可変断片(scFv)、膜貫通ドメイン、細胞内T細胞活性化シグナル伝達ドメイン(T細胞受容体のCD3ゼータ鎖など)、及び任意で1つ又は複数の細胞内共刺激ドメイン(例えば、CD28、CD27、CD137(4-1BB)、Ox40)を含む遺伝子操作された受容体タンパク質を意味する。CARは、抗原認識、T細胞の活性化、及び-第二世代CARの場合-T細胞の機能性と持続性を増強するための共刺激を媒介する。総説としては、Jackson et al., Nat Rev Clin Oncol (2016) 13, 370-383を参照。
【0199】
「B細胞増殖性疾患」とは、患者におけるB細胞の数が健常な対象におけるB細胞の数と比較して増加し、特にB細胞の数の増加が疾患の原因又は特徴である疾患を意味する。「CD20陽性B細胞増殖性疾患」は、B細胞、特に悪性B細胞(正常B細胞に加えて)が、CD20を発現するB細胞増殖性疾患である。
【0200】
例示的なB細胞増殖疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、並びに一部の型の多発性骨髄腫(MM)及びホジキンリンパ腫(HL)が挙げられる。
【0201】
「融合された」とは、成分(例えば、Fab分子及びFcドメインサブユニット)が、直接又は1つ若しくは複数のペプチドリンカーを介してペプチド結合によって連結されることを意味する。
【0202】
薬剤の「有効量」とは、それが投与される細胞又は組織中に生理学的変化をもたらすのに必要な量を指す。
【0203】
薬剤、例えば、薬学的組成物の「治療的有効量」とは、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要な投与量及び期間において有効な量を指す。治療的有効量の薬剤は、疾患の有害作用を、例えば、排除する、減少させる、遅延させる、最小化する、又は防止する。
【0204】
「治療剤」とは、例えば、治療されている対象における疾患の自然経過を変えようとして対象に投与され、予防のため又は臨床病理学の過程において実施され得る薬学的組成物の有効成分を意味する。「免疫療法剤」は、例えば、腫瘍に対する対象の免疫応答を回復又は増強する試みにおいて対象に投与される、治療剤を指す。
【0205】
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。好ましくは、個体又は対象はヒトである。
【0206】
用語「薬学的組成物」は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であって、組成物が投与されるであろう対象にとって許容できないほど毒性である付加的成分を含まない調製物を指す。
【0207】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、有効成分以外の薬学的組成物の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤又は保存剤を含む。
【0208】
本明細書で用いられる場合、「治療(treatment)」(及び「治療する(treat)」又は「治療する(treating)」など、その文法的変形)は、治療されている個体における疾患の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のため、又は臨床病理の過程において実施され得る。治療の望ましい効果は、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施態様では、本発明の方法は、疾患の発症を遅延させるか、又は疾患の進行を遅らせるために使用される。
【0209】
用語「添付文書」又は「使用説明書」は、治療製品の商品包装に通例含まれる説明書を指すのに用いられ、そのような治療製品の適応症、用法、用量、投与、併用治療、使用に関する禁忌及び/又は注意事項についての情報を含む。
【0210】
本明細書で言及される用語「併用治療」は、併用投与(ここでは2つ以上の治療剤が同一又は別々の製剤に含まれる)、及び本明細書で報告される抗体の投与が、さらなる治療剤(複数可)、好ましくは抗体(複数可)の投与の前、投与と同時、及び/又は投与の後に起こり得る個別投与を包含する。
【0211】
「CD3」は、特に断らない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然のCD3を指す。その用語は、「完全長」で未処理のCD3、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD3を含む。その用語はまた、CD3の天然に生じる変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体を含む。一実施態様では、CD3は、ヒトCD3、特にヒトCD3のイプシロンサブユニット(CD3ε)である。ヒトCD3のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)の受入番号P07766(バージョン144)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_000724.1に示されている。配列番号91も参照。カニクイザル[Macaca fascicularis]CD3εのアミノ酸配列が、NCBI GenBank no.BAB71849.1に示されている。配列番号92も参照。
【0212】
特に断りのない限り、「CD19」は、Bリンパ球表面抗原B4又はT細胞表面抗原Leu-12としても知られているBリンパ球抗原CD19を指し、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳類を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然のCD19を含む。その用語は、「完全長」で未処理のCD19、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD19を含む。その用語はまた、CD19の天然に生じる変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体を含む。一実施態様では、CD19はヒトCD19である。例示的なヒトCD19のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)受入番号P15391(バージョン174)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_001770.5、及び配列番号93に示される。
【0213】
「クロスオーバー」Fab分子(「Crossfab」とも呼ばれる)とは、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されている(すなわち、互いに置換されている)Fab分子を意味し、すなわち、クロスオーバーFab分子は、軽鎖可変ドメインVL及び重鎖定常ドメイン1 CH1(VL-CH1、NからC末端方向)からなるペプチド鎖と、重鎖可変ドメインVH及び軽鎖定常ドメインCL(VH-CL、NからC末端方向)からなるペプチド鎖を含む。明確にするために、Fab軽鎖とFab重鎖の可変ドメインが交換されたクロスオーバーFab分子では、重鎖定常ドメイン1 CH1を含むペプチド鎖は、本明細書では(クロスオーバー)Fab分子の「重鎖」と呼ばれる。逆に、Fab軽鎖とFab重鎖の定常ドメインが交換されたクロスオーバーFab分子では、重鎖可変ドメインVHを含むペプチド鎖は、本明細書では(クロスオーバー)Fab分子の「重鎖」と呼ばれる。
【0214】
それとは対照的に、「従来の」Fab分子とは、その天然フォーマットのFab分子、すなわち、重鎖可変及び定常ドメインからなる重鎖(VH-CH1、NからC末端方向)と、軽鎖可変及び定常ドメインからなる軽鎖(VL-CL、NからC末端方向)を含むFab分子を意味する。
【0215】
用語「ポリヌクレオチド」は、単離された核酸分子又は構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、ウイルス由来RNA、又はプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、一般的なホスホジエステル結合又は非一般的な結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含み得る。用語「核酸分子」は、ポリヌクレオチド中に存在する、任意の1つ又は複数の核酸セグメント、例えばDNA又はRNA断片を指す。
【0216】
「単離された」核酸分子又はポリヌクレオチドとは、その天然環境から取り出された核酸分子、DNA又はRNAを意味する。例えば、ベクターに含まれるポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを、本発明の目的のために単離することが考慮される。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例には、異種宿主細胞内に維持される組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の(部分的に又は実質的に)精製されたポリヌクレオチドが含まれる。単離されたポリヌクレオチドは、通常そのポリヌクレオチド分子を含む細胞に含まれるポリヌクレオチド分子を含むが、そのポリヌクレオチド分子は染色体外に又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。単離されたRNA分子は、in vivo又はin vitroの本発明のRNA転写物、並びにプラス鎖形式及びマイナス鎖形式、及び二重鎖形式を含む。本発明の単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成により生成されたそのような分子をさらに含む。加えて、ポリヌクレオチド又は核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位、又は転写ターミネーターなどの調節エレメントであり得るか又はそれらを含み得る。
【0217】
本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸又はポリヌクレオチドにより、ポリヌクレオチド配列がその参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドごとに5個までの点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列がその参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中最大5%のヌクレオチドが削除され又は別のヌクレオチドで置換されてもよく、又は参照配列に含まれるすべてのヌクレオチドの最大5%までの複数のヌクレオチドが参照配列に挿入されてもよい。参照配列のこのような改変は、参照ヌクレオチド配列の5’又は3’末端の位置で、又はそれらの末端位置の間の任意の場所で、参照配列中の残基の間に個別に散在して、又は参照配列内部の1つ又は複数の連続する群において散在して生じ得る。特定の事項として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるかどうかは、ポリペプチドについて上述したもの(例えばALIGN-2)などの既知のコンピュータープログラムを使用して常套的に決定することができる。
【0218】
用語「発現カセット」は、標的細胞中の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを用いて、組換え的又は合成的に生成されたポリヌクレオチドを指す。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片中に取り込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分には、他の配列の中でも、転写される核酸配列及びプロモーターが含まれる。特定の実施態様では、本発明の発現カセットは、本発明の二重特異性抗原結合分子をコードするポリヌクレオチド配列又はその断片を含む。
【0219】
用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、「発現構築物」と同義であり、標的細胞内においてそれが作動可能に結合する特定の遺伝子の発現を導入及び誘導するために使用されるDNA分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。本発明の発現ベクターは、発現カセットを含む。発現ベクターは、大量の安定なmRNAの転写を可能にする。発現ベクターが標的細胞内部に入ると、遺伝子によってコードされるリボ核酸分子又はタンパク質が、細胞の転写及び/又は翻訳機構により産生される。一実施態様では、本発明の発現ベクターは、本発明の二重特異性抗原結合分子をコードするポリヌクレオチド配列又はその断片を含む発現カセットを含む。
【0220】
II型抗CD20抗体
CD20分子(ヒトBリンパ球限定分化抗原又はBp35とも呼ばれる)は、悪性及び非悪性プレB及び成熟Bリンパ球の表面に発現される疎水性膜貫通タンパク質であり、広く記載されている(Valentine, M.A., et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 11282-11287;及びEinfeld, D.A., et al., EMBO J. 7 (1988) 711-717;Tedder, T.F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-212; Stamenkovic, I., et al., J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-1980; Tedder, T.F., et al., J. Immunol. 142 (1989) 2560-2568)。
【0221】
CD20は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%以上で高度に発現しているが(Anderson, K.C., et al., Blood 63 (1984) 1424-1433)、しかし、造血幹細胞、プロB細胞、正常な形質細胞、又は他の正常な組織には見られない(Tedder, T.F., et al., J, Immunol. 135 (1985) 973- 979)。
【0222】
CD20結合の様式及び生物活性が著しく異なる2つの異なる型の抗CD20抗体が存在する(Cragg, M.S., et al., Blood 103 (2004) 2738-2743;及びCragg, M.S., et al., Blood 101 (2003) 1045-1052)。I型抗CD20抗体は主に補体を利用して標的細胞を死滅させるが、II型抗体は主に細胞死の直接誘導を介して機能する。
【0223】
I型及びII型抗CD20抗体とそれらの特性が、例えば、Klein et al., mAbs 5 (2013), 22-33に総説されている。II型抗CD20抗体は、CD20を脂質ラフトに局在化せず、低いCDC活性を示し、I型抗CD20抗体と比較して、B細胞への結合能力は約半分しか示さず、同型凝集及び直接細胞死を誘導する。それとは対照的に、I型抗体はCD20を脂質ラフトに局在化させ、高いCDC活性、B細胞への完全な結合能力を示し、同型凝集及び直接細胞死の弱い誘導のみを示す。
【0224】
オビヌツズマブ及びトシツムマブ(CAS番号192391-48)は、II型抗CD20抗体の例であり、一方リツキシマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、PRO131921、及びウブリツキシマブは、I型抗CD20抗体の例である。
【0225】
本発明によれば、抗CD20抗体はII型抗CD20抗体である。本発明による一実施態様では、II型抗CD20抗体は、対象におけるB細胞の数を減少させることができる。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体である。一実施態様では、II型抗CD20抗体は完全長抗体である。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、Fc領域、特にIgG Fc領域、又はより具体的にはIgG1 Fc領域を含む。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、ヒト化B-Ly1抗体である。特に、II型抗CD20抗体は、マウスB-Ly1抗体の結合特異性を有するヒト化IgGクラスII型抗CD20抗体である(Poppema and Visser, Biotest Bulletin 3, 131-139 (1987);配列番号2及び3)。
【0226】
一実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。特に、前記II型抗CD20抗体の重鎖可変領域フレームワーク領域(FR)FR1、FR2、及びFR3は、VH1_10ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列であり、前記II型抗CD20抗体の重鎖可変領域FR4は、JH4ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列であり、前記II型抗CD20抗体の軽鎖可変領域FR、FR1、FR2、及びFR3は、VK_2_40ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列であり、前記II型抗CD20抗体の軽鎖可変領域FR4は、JK4ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列である。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。
【0227】
特定の実施態様では、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブ(推奨INN、WHO Drug Information, Vol. 26, No. 4, 2012, p. 453)である。本明細書で使用される場合、オビヌツズマブは、GA101の同義語である。商品名は、GAZYVA(登録商標)又はGAZYVARO(登録商標)である。これは以前のすべてのバージョン(例えば、Vol. 25, No. 1, 2011, p.75-76)を置き換え、以前はアフツズマブ(推奨INN、WHO Drug Information, Vol. 23, No. 2, 2009, p. 176; Vol. 22, No. 2, 2008, p. 124)として知られている。一実施態様では、II型抗CD20抗体はトシツモマブである。
【0228】
本発明において有用なII型抗CD20抗体は、対応する非操作抗体と比較して、エフェクター機能が増加するように操作され得る。一実施態様では、エフェクター機能が増加するように操作された抗体は、対応する非操作抗体と比較して、少なくとも2倍、少なくとも10倍、又は少なくとも100倍増加したエフェクター機能を有する。エフェクター機能の増加は、限定されないが、Fc受容体結合の増加、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)の増加、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の増加、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の増加、サイトカイン分泌の増加、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの増加、NK細胞への結合の増加、マクロファージへの結合の増加、単球への結合の増加、多形核細胞への結合の増加、アポトーシスを誘導する直接シグナル伝達の増加、標的結合抗体の架橋の増加、樹状細胞成熟の増加、又はT細胞プライミングの増加のうちの1つ又は複数を挙げることができる。
【0229】
一実施態様では、エフェクター機能の増加は、Fc受容体結合の増加、CDCの増加、ADCCの増加、ADCPの増加、及びサイトカイン分泌の増加から選択される1つ又は複数である。一実施態様では、エフェクター機能の増加は、活性化Fc受容体への結合の増加である。そのような一実施態様では、活性化Fc受容体への結合親和性は、対応する非操作抗体の結合親和性と比較して、少なくとも2倍、特に少なくとも10倍増加する。特定の実施態様では、活性化Fc受容体は、FcγRIIIa、FcγRI、及びFcγRIIaからなる群から選択される。一実施態様では、活性化Fc受容体は、FcγRIIIa、特にヒトFcγRIIIaである。別の実施態様では、エフェクター機能の増加はADCCの増加である。そのような一実施態様では、ADCCは、対応する非操作抗体によって媒介されるADCCと比較して、少なくとも10倍、特に少なくとも100倍増加する。さらに別の実施態様では、エフェクター機能の増加は、活性化Fc受容体への結合の増加及びADCCの増加である。
【0230】
エフェクター機能の増加は、当該技術分野で知られた方法により測定され得る。ADCCを測定するための適切なアッセイは本明細書に記載される。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの他の例が、米国特許第5500362号;Hellstrom et al. Proc Natl Acad Sci USA 83, 7059-7063 (1986) 及びHellstrom et al., Proc Natl Acad Sci USA 82, 1499-1502 (1985);米国特許第5821337号; Bruggemann et al., J Exp Med 166, 1351-1361 (1987)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えばフローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又はさらに、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al., PNAS USA 95:652-656 (1998)に開示されるように、例えば動物モデルにおいてin vivoで評価することができる。Fc受容体への結合は、例えばELISAによって、又はBIAcore装置(GE Healthcare)などの標準的な機器を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって、及び組換え発現によって得ることができるFc受容体を使用して、容易に決定することができる。特定の実施態様によれば、活性化Fc受容体への結合親和性は、25℃でBIACORE(登録商標)T100装置(GE Healthcare)を使用した表面プラズモン共鳴によって測定される。あるいは、FcγIIIa受容体を発現するNK細胞などの特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株を使用して、Fc受容体に対する抗体の結合親和性を評価してもよい。抗体がC1qに結合できるかどうか、したがってCDC活性があるかどうかを判断するために、C1q結合アッセイも実施することができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996); Cragg, et al., Blood 101:1045-1052 (2003);及びCragg, and Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。
【0231】
エフェクター機能の増加は、例えば、抗体のFc領域の糖鎖操作又は抗体のFc領域におけるアミノ酸変異の導入に起因し得る。一実施態様では、抗CD20抗体は、Fc領域に1つ又は複数のアミノ酸変異を導入することにより操作される。特定の実施態様では、アミノ酸変異はアミノ酸置換である。さらにより具体的な実施態様では、アミノ酸置換は、Fc領域の位置298、333、及び/又は334にある(残基はEU番号付け)。さらに適切なアミノ酸変異は、例えば、Shields et al., J Biol Chem 9(2), 6591-6604 (2001);米国特許第6737056号;国際公開第2004/063351号及び国際公開第2004/099249号に記載されている。変異体Fc領域は、当該技術分野で良く知られた遺伝学的方法又は化学的方法を使用して、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は修飾により調製することができる。遺伝学的方法は、コード化DNA配列の部位特異的突然変異、PCR、遺伝子合成などを含み得る。正確なヌクレオチドの変化は、例えば配列決定により検証することができる。
【0232】
別の実施態様では、II型抗CD20抗体は、Fc領域におけるグリコシル化の修飾により操作される。特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される。抗体のFc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合の増加は、エフェクター機能が増加した抗体、特にADCCが増加した抗体をもたらす。
【0233】
より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、好ましくは少なくとも約40%が非フコシル化されている。一実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の約40%から約80%が非フコシル化されている。一実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の約40%から約60%が非フコシル化されている。非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型又は複合型であり得る。
【0234】
別の特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域における二分されたオリゴ糖の割合が増加するように操作される。より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、好ましくは少なくとも約40%が二分されている。一実施態様では、抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の約40%から約80%が二分されている。一実施態様では、抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の約40%から約60%が二分されている。二分されたオリゴ糖は、ハイブリッド型又は複合型であり得る。
【0235】
さらに別の特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域において、二分された非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される。より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約25%が、二分され、非フコシル化されている。二分された非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型又は複合型であり得る。
【0236】
抗体Fc領域におけるオリゴ糖構造は、当該技術分野で良く知られた方法、例えば、Umana et al., Nat Biotechnol 17, 176-180 (1999)又はFerrara et al., Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006)に記載されるように、MALDI TOF質量分析により分析することができる。非フコシル化オリゴ糖の割合は、Asn297に結合したすべてのオリゴ糖(例えば、複合型、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対する、フコース残基を欠くオリゴ糖の量であり、N-グリコシダーゼFで処理した試料においてMALDI TOF MSにより同定された。Asn297は、Fc領域中のおよそ297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、しかし、Asn297は、抗体のわずかな配列変異に起因して、297位のおよそ±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち294位から300位に位置する場合もある。二分された、又は二分された非フコシル化オリゴ糖の割合も同様に決定される。
【0237】
一実施態様では、II型抗CD20抗体は、1つ又は複数のグリコシルトランスフェラーゼの活性が改変された宿主細胞において抗体を産生することにより、非操作抗体と比較して、Fc領域中に修飾されたグリコシル化を有するように操作される。グリコシルトランスフェラーゼには、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)、β(1,4)-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)、β(1,2)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)、β(1,2)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII(GnTII)及びα(1,6)-フコシルトランスフェラーゼが含まれる。特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、増加したβ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する宿主細胞中で抗体を産生することにより、非操作抗体と比較して、Fc領域において非フコシル化オリゴ糖の割合が増加するように操作される。さらにより具体的な実施態様では、宿主細胞はさらにα-マンノシダーゼII(ManII)活性が増加している。本発明に有用な抗体を操作するために使用することができる糖鎖工学方法論は、Umana et al., Nat Biotechnol 17, 176-180 (1999); Ferrara et al., Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006);国際公開第99/54342号(米国特許第6602684号;欧州特許第1071700号);国際公開第2004/065540号(米国特許出願公開第2004/0241817号;欧州特許第1587921号)、国際公開第03/011878号(米国特許出願公開第2003/0175884号)に詳細に記載されており、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。この方法論を使用して糖鎖操作された抗体は、本明細書においてGlycoMabと呼ばれる。
【0238】
一般的に、本明細書において議論される細胞株を含む任意の型の培養細胞株を使用して、改変されたグリコシル化パターンを有する抗TNC A2抗体の産生のための細胞株を生成することができる。特定の細胞株には、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞又はハイブリドーマ細胞、及び他の哺乳動物細胞が含まれる。特定の実施態様では、宿主細胞は、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作されている。特定の実施態様では、宿主細胞は、α-マンノシダーゼII(ManII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するようにさらに操作されている。特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインと異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインとを含む融合ポリペプチドである。特に、前記ゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼIIのゴルジ局在化ドメインである。そのような融合ポリペプチドを生成し、それらを使用してエフェクター機能が増加した抗体を産生する方法は、Ferrara et al., Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006)及び国際公開第2004/065540号に開示されており、その内容全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0239】
本発明に有用な抗体のコード配列及び/又はグリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのコード配列を含み、生物学的に活性な遺伝子産物を発現する宿主細胞は、例えば、DNA-DNA又はDNA-RNAハイブリダイゼーション;「マーカー」遺伝子機能の有無;宿主細胞におけるそれぞれのmRNA転写物の発現により測定されるような転写レベルの評価;又はイムノアッセイにより若しくはその生物活性により(当該技術分野で良く知られた方法により)測定されるような遺伝子産物の検出により、同定することができる。GnTIII又はManII活性は、例えば、それぞれGnTIII又はManIIの生合成産物に結合するレクチンを使用することにより検出することができる。そのようなレクチンの例は、二分するGlcNAcを含むオリゴ糖に優先的に結合するE-PHAレクチンである。GnTIII又はManII活性を有するポリペプチドの生合成産物(すなわち、特定のオリゴ糖構造)は、前記ポリペプチドを発現する細胞によって産生される糖タンパク質から放出されるオリゴ糖の質量分析によっても検出することができる。あるいは、GnTIII又はManII活性を有するポリペプチドにより操作された細胞により産生された抗体により媒介される、増加したエフェクター機能、例えば、増加したFc受容体結合を測定する機能アッセイを使用してもよい。
【0240】
別の実施態様では、II型抗CD20抗体は、減少したα(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する宿主細胞中で抗体を産生することにより、非操作抗体と比較して、Fc領域において非フコシル化オリゴ糖の割合が増加するように操作される。減少したα(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する宿主細胞は、α(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子が破壊又は不活性化され、例えばノックアウトされた細胞であり得る(Yamane-Ohnuki et al., Biotech Bioeng 87, 614 (2004); Kanda et al., Biotechnol Bioeng, 94(4), 680-688 (2006); Niwa et al., J Immunol Methods 306, 151-160 (2006)を参照)。
【0241】
脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の他の例には、タンパク質のフコシル化が欠損したLec13 CHO細胞が含まれる(Ripka et al., Arch Biochem Biophys 249, 533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号、特に実施例11)。あるいは、本発明において有用な抗体は、欧州特許第1176195(A1)号、国際公開第03/084570号、国際公開第03/085119号及び米国特許出願公開第2003/0115614号、2004/093621号、2004/110282号、2004/110704号、2004/132140号、米国特許第6946292号(Kyowa)に開示される技術に従って、例えば、抗体産生に使用される宿主細胞内のGDP-フコース輸送体タンパク質の活性を低下又は消失させることにより、Fc領域においてフコース残基が減少するように糖鎖操作され得る。
【0242】
本発明において有用な糖鎖操作抗体は、国際公開第03/056914号(GlycoFi,Inc.)又は国際公開第2004/057002号及び国際公開第2004/024927号(Greenovation)に教示されるような修飾された糖タンパク質を産生する発現系においても産生され得る。
【0243】
T細胞活性化治療剤
本発明は、さまざまな治療剤、特に対象におけるT細胞を活性化する、すなわち対象におけるT細胞活性化を誘導する能力を有する治療剤に関連して有用である。そのような治療剤には、例えば、T細胞抗原(特に活性化T細胞抗原)に対する抗体、又はキメラ抗原受容体(CAR)若しくは組換えT細胞受容体(TCR)により修飾されたT細胞が含まれる。本発明は、B細胞標的化T細胞活性化治療剤に関連して特に有用である。
【0244】
一実施態様では、治療剤は、II型抗CD20抗体の投与なしの治療レジメンにおいて対象に投与されると、対象においてサイトカイン放出を誘導する。
【0245】
一実施態様では、治療剤は、生物学的薬剤である。一実施態様では、治療剤は、ポリペプチド、特に組換えポリペプチドを含む。一実施態様では、治療剤は、対象において自然には生じないポリペプチドを含む。一実施態様では、治療剤は全身投与される。一実施態様では、治療剤は、注入、特に静脈内注入によって投与される。
【0246】
一実施態様では、治療剤は、抗原結合ポリペプチドを含む。一実施態様では、治療剤は、抗体、抗体断片、抗原受容体又はその抗原結合断片、及び受容体リガンド又はその受容体結合断片の群から選択されるポリペプチドを含む。一実施態様では、治療剤は抗体を含む。一実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。一実施態様では、抗体はポリクローナル抗体である。一実施態様では、抗体はヒト抗体である。一実施態様では、抗体はヒト化抗体である。一実施態様では、抗体はキメラ抗体である。一実施態様では、抗体は完全長抗体である。一実施態様では、抗体はIgGクラスの抗体、特にIgG1サブクラスの抗体である。一実施態様では、抗体は組換え抗体である。
【0247】
特定の実施態様では、治療剤は抗体断片を含む。抗体断片は、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、Fv、及びscFv断片、並びに下記の他の断片を含む。特定の抗体断片の総説については、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照。scFv断片の総説については、例えば、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期を増加させたFab及びF(ab’)断片の議論については、米国特許第5869046号を参照。一実施態様では、抗体断片は、Fab断片又はscFv断片である。
【0248】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404097号;国際公開第1993/01161号; Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載される。
【0249】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべて若しくは一部、又は軽鎖可変ドメインのすべて若しくは一部を含む抗体断片である。特定の実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6248516(B1)号を参照)。
【0250】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による産生を含むがこれらに限定されないさまざまな技術によって作製することができる。
【0251】
特定の実施態様では、治療剤はキメラ抗体を含む。特定のキメラ抗体が、例えば米国特許第4816567号及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)に記載されている。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類由来の可変領域)とヒト定常領域とを含む。さらなる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0252】
特定の実施態様では、治療剤はヒト化抗体を含む。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したままヒト化されている。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR、(又はその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する、1つ又は複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、場合によってヒト定常領域の少なくとも一部を含むであろう。いくつかの実施態様では、ヒト化抗体のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0253】
ヒト化抗体及びそれらの製造方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)にて総説されており、さらにRiechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);Queen et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989)、米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び第7087409号、Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(特異性決定領域(SDR)のグラフティングを記述)、Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991)(「リサーフェシング」を記述)、Dall’Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005)(「FRシャッフリング」を記述)、並びにOsbourn et al., Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260(2000)(FRシャッフリングに対する「誘導選択」手法を記述)に記載されている。
【0254】
ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域には、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);及びPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照);及びFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及びRosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照)が含まれる。
【0255】
特定の実施態様では、治療剤はヒト抗体を含む。ヒト抗体は、当該技術分野で知られるさまざまな技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001)及びLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に一般的に記載されている。
【0256】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を生成するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製することができる。このような動物は、典型的には内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか若しくは動物の染色体にランダムに組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべて又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、通常は不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005)を参照。また、例えばXENOMOUSETM技術を記載している米国特許第6075181号及び第6150584号、HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号、K-M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号、及びVelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号も参照。このような動物により生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変され得る。
【0257】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体も、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)に記載されている。さらなる方法は、例えば米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)及びNi, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されているものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005)及びVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載されている。
【0258】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。次いで、そのような可変ドメイン配列を所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0259】
治療剤に含まれる抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするためのさまざまな方法が当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001) and further described, e.g., in the McCafferty et al., Nature 348:552-554; Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004); 及びLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004)に総説される。
【0260】
特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリーにおいてランダムに再結合され、その後、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとして抗体断片を提示する。免疫化された供給源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993)に記載されるように、ナイーブレパートリーをクローン化して(例えば、ヒトから)、免疫化なしで広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対する抗体の単一供給源を提供することができる。最後に、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)によって記載されているように、幹細胞由来の再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高度に可変なCDR3領域をコードし、in vitroでの再配列を達成することにより、ナイーブライブラリーを合成的に作成することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記述する特許公報は、例えば、米国特許第5750373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号及び同第2009/0002360を含む。
【0261】
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書においてヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。特定の実施態様では、治療剤は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体を含む。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施態様では、結合特異性は異なる抗原に対するものである。特定の実施態様では、結合特異性は、同じ抗原上の異なるエピトープに対するものである。二重特異性抗体はまた、抗原を発現する細胞に細胞傷害性剤を局在化させるために使用することもできる。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0262】
多重特異性抗体を作製するための技術には、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照)及び「ノブ・イン・ホール」エンジニアリング(例えば米国特許第5731168号を参照)が含まれる。多重特異抗体はまた、抗体のFcヘテロ二量体分子を作成するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004(A1)号);2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照);二重特異性抗体を産生するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照);二重特異性抗体断片を作製するために「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);単鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照);及び、例えば、Tutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作成することができる。
【0263】
「オクトパス抗体(Octopus抗体)」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作抗体も本明細書に含まれる(例えば、米国特許公開第2006/0025576号を参照)。
【0264】
本明細書における抗体又は断片はまた、2つの異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」又は「DAF」を含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号を参照)。
【0265】
「Crossmab」抗体も本明細書に含まれる(例えば、国際公開第2009080251号、国際公開第2009080252号、国際公開第2009080253号、国際公開第2009080254号を参照)。
【0266】
二重特異性抗体断片を作製するための別の技術は、「二重特異性T細胞エンゲージャー」又はBiTE(登録商標)手法である(例えば、国際公開第2004/106381号、国際公開第2005/061547号、国際公開第2007/042261号、及び2008/119567号を参照)。この手法は、単一のポリペプチド上に配置された2つの抗体可変ドメインを利用する。例えば、単一ポリペプチド鎖は、2つのドメイン間の分子内結合を可能にするために、各々が十分な長さのポリペプチドリンカーによって分離された可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)ドメインを有する、2つの単鎖Fv(scFv)断片を含む。この単一ポリペプチドは、2つのscFv断片の間にポリペプチドスペーサー配列をさらに含む。各scFvは、異なるエピトープを認識し、これらのエピトープは、それぞれのscFvがその同族エピトープと結合されるときに、2つの異なる細胞型の細胞を近接させ又は繋がれるように、異なる細胞型に対して特異的であり得る。この手法の特定の一実施態様には、例えば、悪性細胞又は腫瘍細胞などの標的細胞によって発現される細胞表面抗原を認識する別のscFvに連結されたT細胞上のCD3ポリペプチドなどの、免疫細胞によって発現される細胞表面抗原を認識するscFvが含まれる。
【0267】
単一のポリペプチドであるため、二重特異性T細胞エンゲージャーは、当該技術分野で知られた任意の原核細胞又は真核生物細胞発現系、例えばCHO細胞系を使用して発現させることができる。しかしながら、単量体の二重特異性T細胞エンゲージャーを、単量体の意図された活性以外の生物活性を有し得る、他の多量体種から分離するために、特定の精製技術(例えば、欧州特許第1691833号を参照)が必要な場合がある。1つの例示的な精製スキームにおいて、分泌されたポリペプチドを含む溶液は、最初に金属アフィニティークロマトグラフィーにかけられ、ポリペプチドはイミダゾール濃度の勾配で溶出される。この溶出液は陰イオン交換クロマトグラフィーを使用してさらに精製され、ポリペプチドは塩化ナトリウム濃度の勾配を使用して溶出される。最後に、この溶出液をサイズ排除クロマトグラフィーにかけ、多量体種からモノマーを分離する。
【0268】
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuft et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)。
【0269】
特定の実施態様では、治療剤に含まれる抗体は、当該技術分野で知られており、容易に入手可能な付加的な非タンパク質部分を含むようにさらに修飾されてもよい。抗体の誘導体化に適した部分は、限定されないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のために製造上の利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に付着するポリマーの数は変化してもよく、1つを超えるポリマーが付着する場合、それらは同じ分子でも異なる分子でもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善されるべき抗体の特定の特性又は機能、その抗体誘導体が限定条件の下での治療に使用されるかどうかを含む(但し、これらに限定されない)考慮事項に基づいて決定することができる。
【0270】
治療剤はまた、1つ又は複数の細胞傷害性剤、例えば、化学療法剤若しくは薬物、増殖阻害剤、毒素(例えばタンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素又はその断片)又は放射性同位体にコンジュゲートした抗体を含み得る。
【0271】
一実施態様では、治療剤は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であり、その中で抗体は、メイタンシノイド(米国特許第5208020号、第5416064号、及び欧州特許(EP)第0425235号を参照);アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチン薬物部分であるDE及びDF(MMAE及びMMAF)(米国特許第5635483号、第5780588号、及び第7498298号を参照);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5712374号、第5714586号、第5739116号、第5767285号、第5770701号、第5770710号、第5773001号、及び第5877296号;Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);及びLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928 (1998)を参照);アントラサイクリン、例えばダウノマイシン又はドキソルビシン(Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523 (2006);Jeffrey et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006);Torgov et al., Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005);Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000);Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002);King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);及び米国特許第6630579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;タキサン、例えばドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル(larotaxel)、テセタキセル(tesetaxel)、及びオルタタキセル(ortataxel);トリコテセン;及びCC1065を含む(ただし、これらに限定されない)1つ又は複数の薬物にコンジュゲートしている。
【0272】
別の実施態様では、治療剤は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サポンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、及びトリコテセン(tricothecenes)を含む(ただし、これらに限定されない)酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートしている、本明細書に記載の抗体を含む。
【0273】
別の実施態様では、治療剤は、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成する、本明細書に記載の抗体を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの製造のために入手可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体を含む。放射性コンジュゲートは、検出用に使用される場合、シンチグラフ検査のための放射性原子、例えばTc99m若しくはI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像法(磁気共鳴画像法、MRIとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、再びヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含み得る。
【0274】
抗体と細胞傷害性剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばアジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えばスベリン酸ジサクシンイミジル)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン 2,6-ジイソシアネート)、及びビス-活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al., Science 238:1098 (1987)に記載のようにして調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。国際公開第94/11026号を参照。リンカーは、細胞内で細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5208020号)が使用され得る。
【0275】
一実施態様では、治療剤は、がんの治療のために適応した抗体を含む。一実施態様では、治療剤は、がんの治療のために適応される。一実施態様では、がんは、B細胞増殖性疾患である。一実施態様では、がんは、CD20陽性B細胞増殖性疾患である。一実施態様では、がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される。一実施態様では、治療剤は、免疫療法剤である。
【0276】
いくつかの実施態様では、治療剤は、活性化T細胞抗原に特異的に結合する抗体を含む。一実施態様では、治療剤は、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127の群から選択される抗原に特異的に結合する抗体を含み得る。
【0277】
一実施態様では、抗体は、CD3、特にCD3εに特異的に結合する抗体を含む。
【0278】
一実施態様では、治療剤は、抗体H2Cであるか又はそれと結合に関して競合することができる抗体(PCT公開番号国際公開第2008/119567号)、抗体V9(Rodrigues et al., Int J Cancer Suppl 7, 45-50 (1992)及び米国特許第6054297号)、抗体FN18(Nooij et al., Eur J Immunol 19, 981-984 (1986))、抗体SP34(Pessano et al., EMBO J 4, 337-340 (1985))、抗体OKT3(Kung et al., Science 206, 347-349 (1979))、抗体WT31(Spits et al., J Immunol 135, 1922 (1985))、抗体UCHT1(Burns et al., J Immunol 129, 1451-1457 (1982))、抗体7D6(Coulie et al., Eur J Immunol 21, 1703-1709 (1991))又は抗体Leu-4を含む。いくつかの実施態様では、治療剤はまた、国際公開第2005/040220号、国際公開第2005/118635号、国際公開第2007/042261号、国際公開第2008/119567号、国際公開第2008/119565号、国際公開第2012/162067号、国際公開第2013/158856号、国際公開第2013/188693号、国際公開第2013/186613号、国際公開第2014/110601号、国際公開第2014/145806号、国際公開第2014/191113号、国際公開第2014/047231号、国際公開第2015/095392号、国際公開第2015/181098号、国際公開第2015/001085号、国際公開第2015/104346号、国際公開第2015/172800号、国際公開第2016/020444号、又は国際公開第2016/014974号に記載されるようにCD3に特異的に結合する抗体を含み得る。
【0279】
一実施態様では、治療剤は、B細胞抗原、特に悪性B細胞抗原に特異的に結合する抗体を含み得る。一実施態様では、治療剤は、CD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、特にCD20又はCD19に特異的に結合する抗体を含み得る。
【0280】
いくつかの実施態様では、治療剤は、リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オカラツズマブ、ベルツズマブ、及びウブリツキシマブから選択される抗体を含み得る。
【0281】
いくつかの実施態様では、治療剤は、多重特異性抗体、特に二重特異性抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、T細胞及び標的細胞、例えば腫瘍細胞に結合することができる二重特異性抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、標的細胞はB細胞、特に悪性B細胞である。いくつかの実施態様では、治療剤は、(i)活性化T細胞抗原及び(ii)B細胞抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、T細胞上のCD3及び標的細胞抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、標的細胞抗原は、B細胞抗原、特に悪性B細胞抗原である。いくつかの実施態様では、治療剤は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))を含み得る。
【0282】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3及びCD20に対する二重特異性抗体を含み得る。一実施態様では、二重特異性抗体はXmAb(登録商標)13676である。一実施態様では、二重特異性抗体はREGN1979である。一実施態様では、二重特異性抗体はFBTA05(リンフォムン(Lymphomun))である。
【0283】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3及びCD19に対する二重特異性抗体を含み得る。一実施態様では、二重特異性抗体はブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標))である。一実施態様では、二重特異性抗体はAFM11である。一実施態様では、二重特異性抗体はMGD011(JNJ-64052781)である。
【0284】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3及びCD38に対する二重特異性抗体を含み得る。一実施態様では、二重特異性抗体は、XmAb(登録商標)13551、XmAb(登録商標)15426、又はXmAb(登録商標)14702である。
【0285】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3及びBCMAに対する二重特異性抗体を含み得る。一実施態様では、二重特異性抗体はBI836909である。
【0286】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3及びCD33に対する二重特異性抗体を含み得る。一実施態様では、二重特異性抗体はAMG330である。
【0287】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3及びCD123に対する二重特異性抗体を含み得る。一実施態様では、二重特異性抗体はMGD006である。一実施態様では、二重特異性抗体はXmAb(登録商標)14045である。一実施態様では、二重特異性抗体はJNJ-63709178である。
【0288】
いくつかの実施態様では、治療剤は、組換え受容体又はその断片を含み得る。いくつかの実施態様では、受容体はT受容体(TCR)である。いくつかの実施態様では、治療剤はキメラ抗原受容体(CAR)を含み得る。
【0289】
いくつかの実施態様では、治療剤は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はCTL)を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、組換えT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞を含み得る。
【0290】
一実施態様では、治療剤は、B細胞抗原、特に悪性B細胞抗原に特異的に結合するCARを含み得る。一実施態様では、治療剤は、CD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、特にCD20又はCD19に特異的に結合するCARを含み得る。
【0291】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD19に向けられたCAR、又はCD19に向けられたCARを発現するT細胞を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、KTE-C19、CTL019、JCAR-014、JCAR-015、JCAR-017、BPX-401、UCART19を含み得る。
【0292】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD22に向けられたCAR、又はCD22に向けられたCARを発現するT細胞を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、JCAR-018又はUCART22を含み得る。
【0293】
いくつかの実施態様では、治療剤は、T細胞活性化共刺激分子に対するアゴニストを含み得る。いくつかの実施態様では、T細胞活性化共刺激分子は、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、又はCD127を含み得る。いくつかの実施態様では、T細胞活性化共刺激分子に対するアゴニストは、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、又はCD127に結合するアゴニスト抗体である。いくつかの実施態様では、治療剤は、GITRを標的とする抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、GITRを標的とする抗体はTRX518である。
【0294】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD137(TNFRSF9、4-1BB、又はILAとしても知られる)に対するアゴニスト、例えば活性化抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、CD137(TNFRSF9、4-1BB、又はILAとしても知られる)のリガンド、例えば4-1BBLを含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、CD40に対するアゴニスト、例えば活性化抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤はCP-870893を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、OX40(CD134としても知られる)に対するアゴニスト、例えば活性化抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、抗OX40抗体(例えばAgonOX)を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、OX40のリガンド、例えばOX40Lを含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤は、CD27に対するアゴニスト、例えば活性化抗体を含み得る。いくつかの実施態様では、治療剤はCDX-1127を含み得る。
【0295】
いくつかの実施態様では、治療剤は、本明細書で命名された薬剤、例えば抗体のジェネリック、バイオシミラー、又は比較不可能な生物学的バージョンを含み得る。
【0296】
一実施態様では、治療剤はオビヌツズマブを含まない。
【0297】
いくつかの実施態様では、治療剤は、CD3、特にCD3イプシロンに特異的に結合する抗体を含む。一実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。さらなる実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、配列番号18と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域配列及び配列番号19の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域配列を含む。さらなる実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む。
【0298】
一実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は完全長の抗体である。一実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、ヒトIgGクラスの抗体、特にヒトIgGクラスの抗体である。一実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、抗体断片、特にFab分子又はscFv分子、より具体的にはFab分子である。特定の実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換される(すなわち、互いに置換される)クロスオーバーFab分子である。一実施態様では、CD3に特異的に結合する抗体はヒト化抗体である。
【0299】
一実施態様では、治療剤は、多重特異性抗体、特に二重特異性抗体を含む。一実施態様では、多重特異性抗体は、(i)活性化T細胞抗原及び(ii)B細胞抗原に特異的に結合する。特定の二重特異性抗体は、PCT公開番号国際公開第2016/020309号及び欧州特許出願番号EP15188093及びEP16169160(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0300】
一実施態様では、二重特異性抗体は、CD3及びCD20に特異的に結合する。一実施態様では、二重特異性抗体は、CD20に特異的に結合する抗原結合部分、及びCD3に特異的に結合する抗原結合部分を含む。一実施態様では、二重特異性抗体は、CD3に特異的に結合する第1の抗原結合部分、及びCD20に特異的に結合する第2及び第3の抗原結合部分を含む。一実施態様では、第1の抗原結合部分はクロスオーバーFab分子であり、第2及び第1の抗原結合部分はそれぞれ従来のFab分子である。一実施態様では、二重特異性抗体はさらにFcドメインを含む。二重特異性抗体は、本明細書に記載されるように、Fc領域及び/又は抗原結合部分において修飾を含んでもよい。
【0301】
一実施態様では、治療剤は、
(i)CD3に特異的に結合し、かつ、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分;並びに
(ii)CD20に特異的に結合し、かつ、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分
を含む二重特異性抗体を含む。
【0302】
一実施態様では、治療剤は、
(i)CD3に特異的に結合し、かつ、配列番号18の重鎖可変領域;及び配列番号19の軽鎖可変領域を含む抗原結合部分;及び
(ii)CD20に特異的に結合し、かつ、配列番号10の重鎖可変領域;及び配列番号11の軽鎖可変領域を含む抗原結合部分
を含む二重特異性抗体を含む。
【0303】
特定の実施態様では、治療剤は、
a)第1の抗原に特異的に結合する第1のFab分子;
b)第2の抗原に特異的に結合する第2のFab分子であって、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置換されている第2のFab分子;
c)第1の抗原に特異的に結合する第3のFab分子;及び
d)安定に結合することができる第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン
を含む二重特異性抗体であって、
ここで、
(i)第1の抗原がCD20であり、かつ第2の抗原がCD3、特にCD3イプシロンであり;
(ii)a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子が、それぞれ、配列番号4の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号5の重鎖CDR2、配列番号6の重鎖CDR3、配列番号7の軽鎖CDR1、配列番号8の軽鎖CDR2及び配列番号9の軽鎖CDR3を含み;かつb)による第2のFab分子が、配列番号12の重鎖CDR1、配列番号13の重鎖CDR2、配列番号14の重鎖CDR3、配列番号15の軽鎖CDR1、配列番号16の軽鎖CDR2及び配列番号17の軽鎖CDR3を含み;
(iii)a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、123位のアミノ酸が、リジン(K)又はアルギニン(R)、特にアルギニン(R)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、かつa)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、213位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け);
(iv)a)による第1のFab分子が、Fab重鎖のC末端においてb)による第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、b)による第2のFab分子及びc)による第3のFab分子が、それぞれ、Fab重鎖のC末端においてd)によるFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合している、
二重特異性抗体を含む。
【0304】
一実施態様では、a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子は、それぞれ、配列番号10の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号11の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。
【0305】
一実施態様では、a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子は、それぞれ、配列番号10の重鎖可変領域配列、及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。
【0306】
一実施態様では、b)による第2のFab分子は、配列番号18の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号19の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。
【0307】
さらなる実施態様では、b)による第2のFab分子は、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む。
【0308】
特定の実施態様では、二重特異性抗体は、配列番号20の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド、配列番号21の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド、配列番号22の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド、及び配列番号23の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチドを含む。さらに特定の実施態様では、二重特異性抗体は、配列番号20のポリペプチド配列、配列番号21のポリペプチド配列、配列番号22のポリペプチド配列、及び配列番号23のポリペプチド配列を含む。(CD20XCD3 bsAB)
【0309】
一実施態様では、二重特異性抗体は、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、及びCD3に特異的に結合する抗原結合部分を含む。一実施態様では、二重特異性抗体は、CD3に特異的に結合する第1の抗原結合部分、及びCD19に特異的に結合する第2及び第3の抗原結合部分を含む。一実施態様では、第1の抗原結合部分はクロスオーバーFab分子であり、第2及び第1の抗原結合部分はそれぞれ従来のFab分子である。一実施態様では、二重特異性抗体はさらにFcドメインを含む。二重特異性抗体は、本明細書に記載されるように、Fc領域及び/又は抗原結合部分において修飾を含んでもよい。
【0310】
一実施態様では、治療剤は、
(i)CD3に特異的に結合し、かつ、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分;並びに
(ii)CD19に特異的に結合し、かつ、配列番号24の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号25のHCDR2、及び配列番号26のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号27の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号28のLCDR2、及び配列番号29のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分
を含む二重特異性抗体を含む。
【0311】
一実施態様では、治療剤は、
(i)CD3に特異的に結合し、かつ、配列番号18の重鎖可変領域;及び配列番号19の軽鎖可変領域を含む抗原結合部分;及び
(ii)CD19に特異的に結合し、かつ、配列番号30の重鎖可変領域;及び配列番号31の軽鎖可変領域を含む抗原結合部分
を含む二重特異性抗体を含む。
【0312】
特定の実施態様では、治療剤は、
a)第1の抗原に特異的に結合する第1のFab分子;
b)第2の抗原に特異的に結合する第2のFab分子であって、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置換されている第2のFab分子;
c)第1の抗原に特異的に結合する第3のFab分子;及び
d)安定に結合することができる第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン
を含む二重特異性抗体であって、
ここで、
(i)第1の抗原がCD19であり、かつ第2の抗原がCD3、特にCD3イプシロンであり;
(ii)a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子が、それぞれ、配列番号24の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号25の重鎖CDR2、配列番号26の重鎖CDR3、配列番号27の軽鎖CDR1、配列番号28の軽鎖CDR2及び配列番号29の軽鎖CDR3を含み;かつb)による第2のFab分子が、配列番号12の重鎖CDR1、配列番号13の重鎖CDR2、配列番号14の重鎖CDR3、配列番号15の軽鎖CDR1、配列番号16の軽鎖CDR2及び配列番号17の軽鎖CDR3を含み;
(iii)a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、123位のアミノ酸が、リジン(K)又はアルギニン(R)、特にアルギニン(R)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、かつa)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、213位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け);
(iv)a)による第1のFab分子が、Fab重鎖のC末端においてb)による第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、b)による第2のFab分子及びc)による第3のFab分子が、それぞれ、Fab重鎖のC末端においてd)によるFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合している、
二重特異性抗体を含む。
【0313】
一実施態様では、a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子は、それぞれ、配列番号30の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号31の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。
【0314】
一実施態様では、a)による第1のFab分子及びc)による第3のFab分子は、それぞれ、配列番号30の重鎖可変領域配列、及び配列番号31の軽鎖可変領域配列を含む。
【0315】
一実施態様では、b)による第2のFab分子は、配列番号18の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号19の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。
【0316】
さらなる実施態様では、b)による第2のFab分子は、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む。
【0317】
特定の実施態様では、二重特異性抗体は、配列番号23の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド、配列番号32の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド、配列番号33の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド、及び配列番号34の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチドを含む。さらに特定の実施態様では、二重特異性抗体は、配列番号23のポリペプチド配列、配列番号32のポリペプチド配列、配列番号33のポリペプチド配列、及び配列番号34のポリペプチド配列を含む。
【0318】
抗体フォーマット
治療剤に含まれる抗体、特に多重特異性抗体の成分は、さまざまな立体配置で互いに融合することができる。例示的な立体配置を図1に示す。
【0319】
特定の実施態様では、抗体に含まれる抗原結合部分はFab分子である。そのような実施態様では、第1、第2、第3(など)の抗原結合部分は、本明細書において、それぞれ第1、第2、第3(など)のFab分子と呼ばれことがある。さらに、特定の実施態様では、抗体は、安定に会合することができる第1及び第2のサブユニットからなるFcドメインを含む。
【0320】
いくつかの実施態様では、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1又は第2のサブユニットのN末端に融合している。
【0321】
そのような一実施態様では、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1及び第2のFab分子、第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第1のFab分子はFab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1又は第2のサブユニットのN末端に融合している。そのような立体配置は、図1G及び1Kに模式的に示されている。任意で、第1のFab分子のFab軽鎖と第2のFab分子のFab軽鎖は、さらに互いに融合していてもよい。
【0322】
別のそのような実施態様では、第1のFab分子はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第1又は第2のサブユニットのN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1及び第2のFab分子、第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第1及び第2のFab分子はそれぞれ、Fab重鎖のC末端においてFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合している。そのような立体配置は、図1A及び1Dに模式的に示されている。第1及び第2のFab分子は、直接又はペプチドリンカーを介してFcドメインに融合されてもよい。特定の実施態様では、第1及び第2のFab分子はそれぞれ、免疫グロブリンのヒンジ領域を介してFcドメインに融合している。特定の実施態様では、免疫グロブリンのヒンジ領域は、特にFcドメインがIgGのFcドメインである場合、ヒトIgGヒンジ領域である。
【0323】
他の実施態様では、第1のFab分子はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第1又は第2のサブユニットのN末端に融合している。
【0324】
そのような一実施態様では、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1及び第2のFab分子、第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第2のFab分子はFab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1又は第2のサブユニットのN末端に融合している。そのような立体配置は、図1H及び1Lに模式的に示されている。任意で、第1のFab分子のFab軽鎖と第2のFab分子のFab軽鎖は、さらに互いに融合していてもよい。
【0325】
Fab分子は、Fcドメインに、又は互いに、直接又は1つ以上のアミノ酸、典型的には約2-20個のアミノ酸を含むペプチドリンカーを介して融合されてもよい。ペプチドリンカーは当該技術分野において知られており、本明細書に記載される。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(GS)、(SG、(GS)又はG(SGペプチドリンカーが含まれる。「n」は通常1から10、典型的には2から4の整数である。一実施態様では、前記ペプチドリンカーは、少なくとも5のアミノ酸長を、一実施態様では5から100、さらなる実施態様では10から50のアミノ酸長を有する。一実施態様では、前記ペプチドリンカーは、(GxS)又は(GxS)[式中、G=グリシン、S=セリン、(x=3、n=3、4、5又は6、m=0、1、2又は3)又は(x=4、n=2、3、4又は5、m=0、1、2又は3)]であり、一実施態様では、x=4、n=2又は3であり、さらなる実施態様ではx=4、n=2である。一実施態様では、前記ペプチドリンカーは(GS)である。第1及び第2のFab分子のFab軽鎖を互いに融合するのに特に適したペプチドリンカーは、(GS)である。第1及び第2のFab断片のFab重鎖を連結するのに適した例示的なペプチドリンカーは、配列(D)-(GS)(配列番号95及び96)を含む。別の適切なそのようなリンカーは、配列(GS)を含む。加えて、リンカーは免疫グロブリンヒンジ領域(の一部)を含んでもよい。特に、Fab分子がFcドメインサブユニットのN末端に融合している場合、付加的なペプチドリンカーの有無にかかわらず、免疫グロブリンヒンジ領域又はその一部を介して融合されてもよい。
【0326】
標的細胞抗原に特異的に結合することができる単一の抗原結合部分(例えばFab分子)を有する抗体(例えば、図1A、D、G、H、K、Lに示される)は、特に高親和性抗原結合部分の結合に続いて標的細胞抗原の内部移行が予想される場合に有用である。そのような場合、標的細胞抗原に特異的な複数の抗原結合部分の存在は、標的細胞抗原の内部移行を亢進し、それによりその利用可能性を低下させ得る。
【0327】
しかしながら、他の多くの場合、標的細胞抗原に特異的な2つ以上の抗原結合部分(Fab分子など)を含む抗体(図1B、1C、1E、1F、1I、1J、1M又は1Nに示されている例を参照)を有することは、例えば、標的部位への標的化を最適化するため、又は標的細胞抗原の架橋を可能にするために有利であろう。
【0328】
したがって、特定の実施態様では、抗体は、第1の抗原に特異的に結合する第3のFab分子をさらに含む。第1の抗原は、好ましくは、標的細胞抗原である。一実施態様では、第3のFab分子は従来のFab分子である。一実施態様では、第3のFab分子は第1のFab分子と同一である(すなわち、第1及び第3のFab分子は、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含み、ドメインの同じ配置(すなわち、従来型又はクロスオーバー)を有する)。特定の実施態様では、第2のFab分子は、活性化T細胞抗原、特にCD3に特異的に結合し、第1及び第3のFab分子は標的細胞抗原に特異的に結合する。
【0329】
別の実施態様では、抗体はさらに、第2の抗原に特異的に結合する第3のFab分子を含む。これらの実施態様では、第2の抗原は、好ましくは標的細胞抗原である。そのような一実施態様では、第3のFab分子はクロスオーバーFab分子(Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCL及びCH1が互いに交換/置換されているFab分子)である。そのような一実施態様では、第3のFab分子は、第2のFab分子と同一である(すなわち、第2及び第3のFab分子は、同じ重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含み、ドメインの同じ配置(すなわち、従来型又はクロスオーバー)を有する)。そのような一実施態様では、第1のFab分子は活性化T細胞抗原、特にCD3に特異的に結合し、第2及び第3のFab分子は標的細胞抗原に特異的に結合する。
【0330】
一実施態様では、第3のFab分子はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第1又は第2のサブユニットのN末端に融合している。
【0331】
特定の実施態様では、第2及び第3のFab分子はそれぞれ、Fab重鎖のC末端においてFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており、第1のFab分子はFab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1、第2及び第3のFab分子、第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、第3のFab分子はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。そのような立体配置は、図1B及び1E(第3のFab分子が従来のFab分子であり、好ましくは第1のFab分子と同一である特定の実施態様)と、図1I及び1M(第3のFab分子がクロスオーバーFab分子であり、好ましくは第2のFab分子と同一である代替的実施態様)に模式的に示されている。第2及び第3のFab分子は、直接又はペプチドリンカーを介してFcドメインに融合されてもよい。特定の実施態様では、第2及び第3のFab分子はそれぞれ、免疫グロブリンのヒンジ領域を介してFcドメインに融合している。特定の実施態様では、免疫グロブリンのヒンジ領域は、特にFcドメインがIgGのFcドメインである場合、ヒトIgGヒンジ領域である。任意で、第1のFab分子のFab軽鎖と第2のFab分子のFab軽鎖は、さらに互いに融合していてもよい。
【0332】
別の実施態様では、第1及び第3のFab分子はそれぞれ、Fab重鎖のC末端においてFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており、第2のFab分子はFab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1、第2及び第3のFab分子、第1及び第2のサブユニットからなるFcドメイン、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、第3のFab分子はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。そのような立体配置は、図1C及び1F(第3のFab分子が従来のFab分子であり、好ましくは第1のFab分子と同一である特定の実施態様)と、図1J及び1N(第3のFab分子がクロスオーバーFab分子であり、好ましくは第2のFab分子と同一である代替的実施態様)に模式的に示されている。第1及び第3のFab分子は、直接又はペプチドリンカーを介してFcドメインに融合されてもよい。特定の実施態様では、第1及び第3のFab分子はそれぞれ、免疫グロブリンのヒンジ領域を介してFcドメインに融合している。特定の実施態様では、免疫グロブリンのヒンジ領域は、特にFcドメインがIgGのFcドメインである場合、ヒトIgGヒンジ領域である。任意で、第1のFab分子のFab軽鎖と第2のFab分子のFab軽鎖は、さらに互いに融合していてもよい。
【0333】
Fab分子がFab重鎖のC末端において免疫グロブリンのヒンジ領域を介してFcドメインのサブユニットの各々のN末端に融合している抗体の立体配置において、2つのFab分子、ヒンジ領域及びFcドメインは、本質的に免疫グロブリン分子を形成する。特定の実施態様では、免疫グロブリン分子はIgGクラスの免疫グロブリンである。さらに特定の実施態様では、免疫グロブリンはIgGサブクラスの免疫グロブリンである。別の実施態様では、免疫グロブリンはIgGサブクラスの免疫グロブリンである。さらに特定の実施態様では、免疫グロブリンはヒト免疫グロブリンである。他の実施態様では、免疫グロブリンは、キメラ免疫グロブリン又はヒト化免疫グロブリンである。
【0334】
抗体のいくつかでは、第1のFab分子のFab軽鎖と第2のFab分子のFab軽鎖は、任意でペプチドリンカーを介して互いに融合している。第1及び第2のFab分子の立体配置に応じて、第1のFab分子のFab軽鎖は、そのC末端において、第2のFab分子のFab軽鎖のN末端に融合されてもよく、又は第2のFab分子のFab軽鎖は、そのC末端において、第1のFab分子のFab軽鎖のN末端に融合されてもよい。第1及び第2のFab分子のFab軽鎖の融合により、不一致のFab重鎖と軽鎖の誤対合をさらに減少させ、また抗体のいくつかの発現に必要なプラスミドの数を減少させる。
【0335】
特定の実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2)-CH2-CH3(-CH4))と、第1のFab分子のFab重鎖がFcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-CH2-CH3(-CH4))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。特定の実施態様では、ポリペプチドは、例えばジスルフィド結合により、共有結合している。
【0336】
特定の実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2)-CH2-CH3(-CH4))と、第1のFab分子のFab重鎖がFcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-CH2-CH3(-CH4))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。特定の実施態様では、ポリペプチドは、例えばジスルフィド結合により、共有結合している。
【0337】
いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2)-VH(1)-CH1(1)-CH2-CH3(-CH4))を含む。他の実施態様では、抗体は、第1のFab分子のFab重鎖が、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-VL(2)-CH1(2)-CH2-CH3(-CH4))を含む。
【0338】
これらの実施態様のいくつかでは、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する第2のFab分子のクロスオーバーFab軽鎖ポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。これら実施態様のその他では、抗体は、必要に応じて、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチドとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2)-VL(1)-CL(1))、又は第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチドが、第2のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(1)-CL(1)-VH(2)-CL(2))をさらに含む。
【0339】
これらの実施態様による抗体はさらに、(i)Fcドメインサブユニットポリペプチド(CH2-CH3(-CH4))、又は(ii)第3のFab分子のFab重鎖が、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(3)-CH1(3)-CH2-CH3(-CH4))、及び第3のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(3)-CL(3))を含み得る。特定の実施態様では、ポリペプチドは、例えばジスルフィド結合により、共有結合している。
【0340】
いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2)-VH(1)-CH1(1)-CH2-CH3(-CH4))を含む。他の実施態様では、抗体は、第1のFab分子のFab重鎖が、第2のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子は、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-VH(2)-CL(2)-CH2-CH3(-CH4))を含む。
【0341】
これらの実施態様のいくつかでは、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する第2のFab分子のクロスオーバーFab軽鎖ポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。これら実施態様のその他では、抗体は、必要に応じて、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチドとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2)-VL(1)-CL(1))、又は第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチドが、第2のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(1)-CL(1)-VH(2)-CL(2))をさらに含む。
【0342】
これらの実施態様による抗体はさらに、(i)Fcドメインサブユニットポリペプチド(CH2-CH3(-CH4))、又は(ii)第3のFab分子のFab重鎖が、Fcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(3)-CH1(3)-CH2-CH3(-CH4))、及び第3のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(3)-CL(3))を含み得る。特定の実施態様では、ポリペプチドは、例えばジスルフィド結合により、共有結合している。
【0343】
いくつかの実施態様では、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体はFcドメインを含まない。特定の実施態様では、抗体は、本質的に第1及び第2のFab分子から、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。そのような立体配置は、図1O及び1Sに模式的に示されている。
【0344】
他の実施態様では、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、抗体はFcドメインを含まない。特定の実施態様では、抗体は、本質的に第1及び第2のFab分子から、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。そのような立体配置は、図1P及び1Tに模式的に示されている。
【0345】
いくつかの実施態様では、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、抗体は第3のFab分子をさらに含み、ここで、前記第3のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は従来のFab分子である。他のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCL及びCH1が互いに交換/置換されているFab分子である。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1、第2、及び第3のFab分子、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第3のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。そのような立体配置は、図1Q及び1Uに模式的に示されている(第3のFab分子が、従来のFab分子であり、好ましくは第1のFab分子と同一である特定の実施態様)。
【0346】
いくつかの実施態様では、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、抗体は第3のFab分子をさらに含み、ここで、前記第3のFab分子は、Fab重鎖のN末端において第2のFab分子のFab重鎖のC末端に融合している。特定のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。他のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は従来のFab分子である。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1、第2、及び第3のFab分子、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第3のFab分子は、Fab重鎖のN末端において第2のFab分子のFab重鎖のC末端に融合している。そのような立体配置は、図1W及び1Yに模式的に示されている(第3のFab分子が、クロスオーバーFab分子であり、好ましくは第2のFab分子と同一である特定の実施態様)。
【0347】
いくつかの実施態様では、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、抗体は第3のFab分子をさらに含み、ここで、前記第3のFab分子は、Fab重鎖のN末端において第1のFab分子のFab重鎖のC末端に融合している。特定のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は従来のFab分子である。他のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1、第2、及び第3のFab分子、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第3のFab分子は、Fab重鎖のN末端において第1のFab分子のFab重鎖のC末端に融合している。そのような立体配置は、図1R及び1Vに模式的に示されている(第3のFab分子が、従来のFab分子であり、好ましくは第1のFab分子と同一である特定の実施態様)。
【0348】
いくつかの実施態様では、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、抗体は第3のFab分子をさらに含み、ここで、前記第3のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。特定のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。他のそのような実施態様では、前記第3のFab分子は従来のFab分子である。特定のそのような実施態様では、抗体は、本質的に、第1、第2、及び第3のFab分子、及び任意で1つ又は複数のペプチドリンカーからなり、ここで、第2のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第1のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、第3のFab分子は、Fab重鎖のC末端において第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合している。そのような立体配置は、図1X及び1Zに模式的に示されている(第3のFab分子が、クロスオーバーFab分子であり、好ましくは第1のFab分子と同一である特定の実施態様)。
【0349】
特定の実施態様では、抗体は、第1のFab分子のFab重鎖が、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する(すなわち、第2のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)ポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-VL(2)-CH1(2))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。
【0350】
特定の実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2)-VH(1)-CH1(1))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。
【0351】
特定の実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2)-VH(1)-CH1(1))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。
【0352】
特定の実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab重鎖が、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する(すなわち、第2のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)ポリペプチド(VH(3)-CH1(3)-VH(1)-CH1(1)-VL(2)-CH1(2))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(3)-CL(3))をさらに含む。
【0353】
特定の実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab重鎖が、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する(すなわち、第2のFab分子は、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)ポリペプチド(VH(3)-CH1(3)-VH(1)-CH1(1)-VH(2)-CL(2))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(3)-CL(3))をさらに含む。
【0354】
特定の実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第3のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2)-VH(1)-CH1(1)-VH(3)-CH1(3))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(3)-CL(3))をさらに含む。
【0355】
特定の実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子が、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第3のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2)-VH(1)-CH1(1)-VH(3)-CH1(3))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(3)-CL(3))をさらに含む。
【0356】
特定の実施態様では、抗体は、第1のFab分子のFab重鎖が、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第3のFab分子のFab軽鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第3のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する(すなわち、第3のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)ポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-VL(2)-CH1(2)-VL(3)-CH1(3))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab重鎖可変領域が、第3のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(3)-CL(3))をさらに含む。
【0357】
特定の実施態様では、抗体は、第1のFab分子のFab重鎖が、第2のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子は、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第3のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第3のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有する(すなわち、第3のFab分子は、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)ポリペプチド(VH(1)-CH1(1)-VH(2)-CL(2)-VH(3)-CL(3))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第3のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(3)-CH1(3))をさらに含む。
【0358】
特定の実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第3のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第3のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子は、重鎖可変領域が軽鎖可変領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(3)-CH1(3)-VL(2)-CH1(2)-VH(1)-CH1(1))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab重鎖可変領域が、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(2)-CL(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab重鎖可変領域が、第3のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(3)-CL(3))をさらに含む。
【0359】
特定の実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab重鎖可変領域が、第3のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第3のFab分子は、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第2のFab分子のFab重鎖可変領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し、これが次に、第2のFab分子のFab軽鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有し(すなわち、第2のFab分子は、重鎖定常領域が軽鎖定常領域によって置換されているクロスオーバーFab重鎖を含む)、これが次に、第1のFab分子のFab重鎖とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VH(3)-CL(3)-VH(2)-CL(2)-VH(1)-CH1(1))を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第2のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第2のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(2)-CH1(2))と、第1のFab分子のFab軽鎖ポリペプチド(VL(1)-CL(1))をさらに含む。いくつかの実施態様では、抗体は、第3のFab分子のFab軽鎖可変領域が、第3のFab分子のFab重鎖定常領域とカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド(VL(3)-CH1(3))をさらに含む。
【0360】
上記の実施態様のいずれかによれば、抗体の成分(例えば、Fab分子、Fcドメイン)は、直接融合され得るか、又は本明細書に記載されているか若しくは当該技術分野で知られている、さまざまなリンカー、特に1つ又は複数のアミノ酸、典型的には約2-20個のアミノ酸を含むペプチドリンカーを介して融合され得る。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(GS)、(SG、(GS)又はG(SGペプチドリンカーが含まれ、ここでnは通常1から10、典型的には2から4の整数である。
【0361】
Fcドメイン
抗体、例えば治療剤に含まれる二重特異性抗体は、抗体分子の重鎖ドメインを含むポリペプチド鎖の対からなるFcドメインを含み得る。例えば、免疫グロブリンG(IgG)分子のFcドメインは二量体であり、その各サブユニットはCH2及びCH3 IgG重鎖定常ドメインを含む。Fcドメインの2つのサブユニットは、互いに安定に会合することができる。
【0362】
一実施態様では、Fcドメインは、IgG Fcドメインである。特定の一実施態様では、Fcドメインは、IgG Fcドメインである。別の実施態様では、Fcドメインは、IgG Fcドメインである。より特定の実施態様では、Fcドメインは、S228(Kabat番号付け)の位置にアミノ酸置換を、特にアミノ酸置換S228Pを含む、IgG Fcドメインである。このアミノ酸置換は、IgG抗体のin vivoでのFabアーム交換を減少させる(Stubenrauch et al., Drug Metabolism and Disposition 38, 84-91 (2010)を参照)。さらに特定の実施態様では、Fcドメインはヒトである。ヒトIgG Fc領域の例示的な配列は、配列番号94に示されている。
【0363】
(i)ヘテロ二量体化を促進するFcドメイン修飾
治療剤に含まれる抗体、特に二重特異性抗体は、Fcドメインの2つのサブユニットの一方又は他方に融合した異なる成分(例えば、抗原結合ドメイン)を含むことができ、したがって、Fcドメインの2つのサブユニットは、通常、2つの非同一ポリペプチド鎖に含まれる。これらのポリペプチドの組換え同時発現及びその後の二量体形成は、2つのポリペプチドの複数の可能な組み合わせをもたらす。したがって、組換え産生におけるそのような抗体の収率及び純度を改善するために、抗体のFcドメインに所望のポリペプチドの会合を促進する修飾を導入することが有利であろう。
【0364】
したがって、特定の実施態様では、Fcドメインは、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットの会合を促進する修飾を含む。ヒトIgG Fcドメインの2つのサブユニット間の最も広範なタンパク質-タンパク質相互作用の部位は、FcドメインのCH3ドメインにある。したがって、一実施態様では、前記修飾はFcドメインのCH3ドメインにある。
【0365】
ヘテロ二量体化を実施するために、FcドメインのCH3ドメインにおける修飾のための複数の手法が存在し、それらは例えば、国際公開第96/27011号、国際公開第98/050431号、欧州特許第1870459号、国際公開第2007/110205号、国際公開第2007/147901号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号、国際公開第2011/90754号、国際公開第2011/143545号、国際公開第2012058768号、国際公開第2013157954号、国際公開第2013096291号に詳細に説明されている。典型的には、すべてのそのような手法において、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインとFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインが両方とも相補的様式で操作されており、したがって、各CH3ドメイン(又はそれを含む重鎖)はそれ自体とホモ二量体化できなくなり、相補的に操作された他のCH3ドメインとヘテロ二量体化することを余儀なくされる(したがって、第1及び第2のCH3ドメインはヘテロ二量体化し、2つの第1又は2つの第2のCH3ドメイン間にホモ二量体は形成されない)。重鎖ヘテロ二量体化を改善するためのこれらの異なる手法は、軽鎖の誤対合及びベンス・ジョーンズ型副生成物を減少させる、重鎖-軽鎖修飾(例えば、Fabアームにおける可変又は定常領域の交換/置換、又はCH1/CL接触面における反対の電荷を持つ荷電アミノ酸の置換の導入)と組み合わせた異なる選択肢として考えられている。
【0366】
特定の実施態様では、Fcドメインの第1及び第2のサブユニットの会合を促進する前記修飾は、いわゆる「ノブ-イントゥ-ホール(knob-into-hole)」修飾であり、Fcドメインの2つのサブユニットの一方に「ノブ」修飾を、Fcドメインの2つのサブユニットの他方に「ホール」修飾を含む。
【0367】
ノブ-イントゥ-ホール技術は、例えば、米国特許第5731168号;同第7695936号;Ridgway et al., Prot Eng 9, 617-621 (1996) and Carter, J Immunol Meth 248, 7-15 (2001)に記載されている。一般に、この方法は、第1のポリペプチドの接触面において隆起(「ノブ」)及び第2のポリペプチドの接触面において対応する空洞(「ホール」)を導入することを含み、その結果、ヘテロ二量体形成を促進し、かつホモ二量体形成を妨げるように、隆起が空洞内に配置することができる。隆起は、第1のポリペプチドの接触面からの小さなアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)と置換することによって構築される。隆起と同じか又は同様のサイズの相補的空洞が、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)で置換することによって、第2のポリペプチドの接触面に作り出される。
【0368】
したがって、特定の実施態様では、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基がそれよりも大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより、第1のサブユニットのCH3ドメイン内部に、第2のサブユニットのCH3ドメイン内部の空洞内に配置可能な隆起が生成され、かつ、Fcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内において、アミノ酸残基がそれよりも小さな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより、第2のサブユニットのCH3ドメイン内部に、第1のサブユニットのCH3ドメイン内部の隆起を配置可能な空洞が生成される。
【0369】
好ましくは、より大きい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)からなる群から選択される。
【0370】
好ましくは、より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、及びバリン(V)からなる群から選択される。
【0371】
隆起と空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を、例えば部位特異的変異誘発により、又はペプチド合成により、変化させることにより作り出すことができる。
【0372】
特定の実施態様では、Fcドメインの第1のサブユニット(「ノブ」サブユニット)のCH3ドメインにおいて、366位のスレオニン残基がトリプトファン残基で置換され(T366W)、Fcドメインの第2のサブユニット(「ホール」サブユニット)のCH3ドメインにおいて、407位のチロシン残基がバリン残基で置換される(Y407V)。一実施態様では、Fcドメインの第2のサブユニットにおいてさらに、366位のスレオニン残基がセリン残基で置換され(T366S)、368位のロイシン残基がアラニン残基で置換される(L368A)(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0373】
さらなる実施態様では、Fcドメインの第1のサブユニットにおいてさらに、354位のセリン残基がシステイン残基で置換され(S354C)、又は356位のグルタミン酸残基がシステイン残基で置換され(E356C)、かつFcドメインの第2のサブユニットにおいてさらに、349位のチロシン残基がシステイン残基で置換される(Y349C)(Kabat EUインデックスによる番号付け)。これらの2つのシステイン残基の導入は、Fcドメインの2つのサブユニット間のジスルフィド架橋の形成をもたらし、二量体をさらに安定化する(Carter, J Immunol Methods 248, 7-15 (2001))。
【0374】
特定の実施態様では、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366Wを含み、かつFcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368A及びY407V(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含む。
【0375】
特定の実施態様では、本明細書に記載のCD3抗原結合部分は、Fcドメインの第1のサブユニット(「ノブ」修飾を含む)に融合している。理論に縛られることを望まないが、CD3抗原結合部分の、Fcドメインのノブ含有サブユニットへの融合は、(さらに)2つのCD3抗原結合部分を含む二重特異性抗体の生成を最小限に抑えるであろう(2つのノブ含有ポリペプチドの立体的衝突)。
【0376】
ヘテロ二量体化を強制するためのCH3修飾の他の技術が、本発明による代替法として考慮されており、例えば国際公開第96/27011号、国際公開第98/050431号、欧州特許第1870459号、国際公開第2007/110205号、国際公開第2007/147901号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号、国際公開第2011/90754号、国際公開第2011/143545号、国際公開第2012/058768号、国際公開第2013/157954号、国際公開第2013/096291号に記載されている。
【0377】
一実施態様では、欧州特許第1870459号に記載されたヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。この手法は、Fcドメインの2つのサブユニット間のCH3/CH3ドメイン接触面内の特定のアミノ酸位置に、反対の電荷を有する荷電アミノ酸を導入することに基づいている。1つの好ましい実施態様は、(Fcドメインの)2つのCH3ドメインの一方におけるアミノ酸変異R409D;K370E、及びFcドメインのCH3ドメインの他方におけるアミノ酸変異D399K;E357Kである(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0378】
別の実施態様では、抗体は、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異T366W、及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異T366S、L368A、Y407Vを含み、さらにはFcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異R409D;K370E、及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異D399K;E357Kを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0379】
別の実施態様では、抗体は、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異S354C、T366W、及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異Y349C、T366S、L368A、Y407Vを含み、又は、抗体は、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異Y349C、T366W、及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異S354C、T366S、L368A、Y407Vと、さらにFcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異R409D;K370E、及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内にアミノ酸変異D399K;E357Kを含む(すべてKabat EUインデックスによる番号付け)。
【0380】
一実施態様では、国際公開第2013/157953号に記載されたヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異T366Kを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異L351Dを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。さらなる実施態様では、第1のCH3ドメインはさらなるアミノ酸変異L351Kを含む。さらなる実施態様では、第2のCH3ドメインは、Y349E、Y349D及びL368Eから選択されるアミノ酸変異(好ましくはL368E)をさらに含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0381】
一実施態様では、国際公開第2012/058768号に記載されたヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異L351Y、Y407Aを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異T366A、K409Fを含む。さらなる実施態様では、第2のCH3ドメインは、T411、D399、S400、F405、N390、又はK392の位置に、例えばa)T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E又はT411W、b)D399R、D399W、D399Y又はD399K、c)S400E、S400D、S400R、又はS400K、d)F405I、F405M、F405T、F405S、F405V又はF405W、e)N390R、N390K又はN390D、f)K392V、K392M、K392R、K392L、K392F又はK392Eから選択される、さらなるアミノ酸変異を含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。さらなる実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異L351Y、Y407Aを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異T366V、K409Fを含む。さらなる実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異Y407Aを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異T366A、K409Fを含む。さらなる実施態様では、第2のCH3ドメインは、アミノ酸変異K392E、T411E、D399R及びS400Rをさらに含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0382】
一実施態様では、例えば368及び409からなる群から選択される位置でのアミノ酸修飾を伴う、国際公開第2011/143545号に記載されたヘテロ二量体化手法が代替的に使用される(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0383】
一実施態様では、上述のノブ・イントゥー・ホール技術をやはり使用する、国際公開第2011/090762号に記載されるヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異T366Wを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異Y407Aを含む。一実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異T366Yを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異Y407Tを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0384】
一実施態様では、抗体又はそのFcドメインはIgGサブクラスのものであり、国際公開第2010/129304号に記載されたヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。
【0385】
別の実施態様では、Fcドメインの第1及び第2のサブユニットの会合を促進する修飾は、例えば、PCT公開番号国際公開第2009/089004号に記載されているような静電ステアリング効果を媒介する修飾を含む。一般に、この方法は、ホモ二量体形成は静電的に不利になるが、ヘテロ二量体は静電的に有利になるように、2つのFcドメインサブユニットの接触面での、荷電したアミノ酸残基による1つ又は複数のアミノ酸残基の置換を含む。そのような一実施態様では、第1のCH3ドメインは、負に荷電したアミノ酸(例えばグルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)、好ましくはK392D又はN392D)によるK392又はN392のアミノ酸置換を含み、第2のCH3ドメインは、正に荷電したアミノ酸(例えばリジン(K)又はアルギニン(R)、好ましくはD399K、E356K、D356K、又はE357K、さらに好ましくはD399K及びE356K)によるD399、E356、D356、又はE357のアミノ酸置換を含む。さらなる実施態様では、第1のCH3ドメインは、負に荷電したアミノ酸(例えばグルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)、好ましくはK409D又はR409D)によるK409又はR409のアミノ酸置換をさらに含む。さらなる実施態様では、第1のCH3ドメインは、負に荷電したアミノ酸(例えばグルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D))によるK439及び/又はK370のアミノ酸置換を、さらに又は代替的に含む(すべてKabat EUインデックスによる番号付け)。
【0386】
またさらなる一実施態様では、国際公開第2007/147901号に記載されたヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一実施態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異K253E、D282K、及びK322Dを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異D239K、E240K、及びK292Dを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0387】
さらに別の実施態様では、国際公開第2007/110205号に記載されたヘテロ二量体化手法を代替的に使用することができる。
【0388】
一実施態様では、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換K392D及びK409Dを含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換D356K及びD399Kを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0389】
(ii)Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低減させるFcドメインの修飾
Fcドメインは、二重特異性抗体などの抗体に対し、標的組織中への良好な蓄積に貢献する長い血清半減期、及び望ましい組織-血液分布比を含む望ましい薬物動態特性を付与する。しかしながら、同時に、好ましい抗原保有細胞よりはむしろFc受容体を発現する細胞への抗体の望ましくない標的化を導く可能性がある。さらに、Fc受容体シグナル伝達経路の同時活性化は、サイトカイン放出の原因となり得、これは、抗体が有し得る他の免疫賦活特性及び抗体の長い半減期と組み合わさって、サイトカイン受容体の過剰な活性化をもたらし、全身投与されると重篤な副作用をもたらす。
【0390】
したがって、特定の実施様態では、治療剤に含まれる抗体、特に二重特異性抗体のFcドメインは、天然のIgG Fcドメインと比較して、Fc受容体に対する結合親和性の低下及び/又はエフェクター機能の低減を示す。そのような一実施態様では、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む分子、例えば抗体)は、天然のIgG Fcドメイン(又は天然のIgG Fcドメインを含むそれに対応する分子)と比較して、Fc受容体への結合親和性の50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満を示し、かつ/又は天然のIgG Fcドメインドメイン(又は天然のIgG Fcドメインを含むそれに対応する分子)と比較して、エフェクター機能の50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満を示す。一実施態様では、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む分子、例えば抗体)は、Fc受容体に実質的に結合せず、かつ/又はエフェクター機能を誘導しない。特定の実施態様では、Fc受容体はFcγ受容体である。一実施態様では、Fc受容体はヒトFc受容体である。一実施態様では、Fc受容体は活性化Fc受容体である。特定の実施態様では、Fc受容体は活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的にはヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa、最も具体的にはヒトFcγRIIIaである。一実施態様では、エフェクター機能は、CDC、ADCC、ADCP、及びサイトカイン分泌の群から選択される1つ又は複数である。特定の実施態様では、エフェクター機能はADCCである。一実施態様では、Fcドメインは、天然のIgG Fcドメインドメインと比較して、新生児Fc受容体(FcRn)に対して実質的に同様の結合親和性を示す。FcRnへの実質的に同様の結合は、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む分子、例えば抗体)が、天然のIgG Fcドメイン(又は天然のIgG Fcドメインを含むそれに対応する分子)のFcRnへの結合親和性の約70%超、特に約80%超、より具体的には約90%超の結合親和性を示すときに達成される。
【0391】
特定の実施態様では、Fcドメインは、非操作Fcドメインと比較して、低減したFc受容体への結合親和性及び/又はエフェクター機能を有するように操作される。特定の実施態様では、Fcドメインは、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸変異を含む。典型的には、Fcドメインの2つのサブユニットのそれぞれに同じ1つ又は複数のアミノ酸変異が存在する。一実施態様では、アミノ酸変異はFcドメインのFc受容体に対する結合親和性を低下させる。一実施態様では、アミノ酸変異は、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を、少なくとも2分の1、少なくとも5分の1、又は少なくとも10分の1に低下させる。FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を低下させる複数のアミノ酸変異が存在する実施態様では、これらアミノ酸変異の組み合わせにより、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性が、少なくとも10分の1、少なくとも20分の1、又は少なくとも50分の1まで低下する。一実施態様では、操作されたFcドメインを含む分子、例えば抗体は、操作されていないFcドメインを含むそれに対応する分子と比較して、Fc受容体に対する結合親和性の20%未満、特に10%未満、より具体的には5%未満を示す。特定の実施態様では、Fc受容体はFcγ受容体である。いくつかの実施態様では、Fc受容体はヒトFc受容体である。いくつかの実施態様では、Fc受容体は活性化Fc受容体である。特定の実施態様では、Fc受容体は活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的にはヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa、最も具体的にはヒトFcγRIIIaである。好ましくは、これらの受容体の各々への結合は低減する。いくつかの実施態様では、補体成分に対する結合親和性、特にC1qに対する結合親和性も低下する。一実施態様では、新生児Fc受容体(FcRn)に対する結合親和性は低下しない。FcRnへの実質的に同様の結合、すなわち、前記受容体に対するFcドメインの結合親和性の保存は、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む分子、例えば抗体)が、Fcドメインの非操作形態(又はFcドメインの前記非操作形態を含むそれに対応する分子)のFcRnに対する結合親和性の約70%超の結合親和性を示すときに達成される。Fcドメイン、又は前記Fcドメインを含む分子(例えば抗体)は、そのような親和性の約80%超、さらには約90%超を示し得る。特定の実施態様では、Fcドメインは、非操作Fcドメインと比較して、エフェクター機能を低減させるように操作される。エフェクター機能の低減は、限定されないが、補体依存性細胞傷害(CDC)の低減、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の低減、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の低減、サイトカイン分泌の低減、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの低減、NK細胞への結合の低減、マクロファージへの結合の低減、単球への結合の低減、多形核細胞への結合の低減、アポトーシスを誘導する直接シグナル伝達の低減、標的結合抗体の架橋の低減、樹状細胞成熟の低減、又はT細胞プライミングの低減のうちの1つ又は複数を挙げることができる。一実施態様では、エフェクター機能の低減は、CDCの低減、ADCCの低減、ADCPの低減、及びサイトカイン分泌の低減からなる群から選択される1つ又は複数である。特定の実施態様では、エフェクター機能の低減はADCCの低減である。一実施態様では、低減したADCCは、非操作Fcドメイン(又は非操作Fcドメインを含むそれに対応する分子)によって誘導されるADCCの20%未満である。
【0392】
一実施態様では、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性及び/又はエフェクター機能を低減させるアミノ酸変異は、アミノ酸置換である。一実施態様では、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329の群から選択される位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。より具体的な実施態様では、Fcドメインは、L234、L235及びP329の群から選択される位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。いくつかの実施態様では、Fcドメインは、アミノ酸置換L234A及びL235Aを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。そのような一実施態様では、Fcドメインは、IgG Fcドメイン、特にヒトIgG Fcドメインである。一実施態様では、FcドメインはP329の位置にアミノ酸置換を含む。より具体的な実施態様では、アミノ酸置換は、P329A又は P329G、特にP329Gである(Kabat EUインデックスによる番号付け)。一実施態様では、Fcドメインは、P329の位置にアミノ酸置換を含み、E233、L234、L235、N297及びP331から選択される位置にさらなるアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。より具体的な実施態様では、さらなるアミノ酸置換は、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sである。特定の実施態様では、Fcドメインは、P329、L234及びL235の位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。より特定の実施態様では、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(「P329G LALA」)を含む。そのような一実施態様では、Fcドメインは、IgG Fcドメイン、特にヒトIgG Fcドメインである。アミノ酸置換の「P329G LALA」の組み合わせは、参照によりその全体が本明細書に取り込まれるPCT公開番号国際公開第2012/130831号に記載のように、ヒトIgG FcドメインのFcγ受容体(並びに補体)結合をほぼ完全に消失させる。国際公開第2012/130831号には、そのような変異Fcドメインを調製する方法、及びFc受容体結合又はエフェクター機能などのその特性を決定するための方法も記載されている。
【0393】
IgG抗体は、IgG抗体と比較して、Fc受容体に対する結合親和性の低下及びエフェクター機能の低減を示す。したがって、いくつかの実施態様では、FcドメインはIgG Fcドメイン、特にヒトIgG Fcドメインである。一実施態様では、IgG Fcドメインは、位置S228におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換S228Pを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。Fc受容体に対するその結合親和性及び/又はそのエフェクター機能をさらに低減させるために、一実施態様では、IgG Fcドメインは、位置L235におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換L235Eを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。別の実施態様では、IgG Fcドメインは、位置P329におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換P329Gを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。特定の実施態様では、IgG Fcドメインは、位置S228、L235及びP329におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換S228P、L235E及びP329Gを含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。そのようなIgG Fcドメインの変異体及びそれらのFcγ受容体結合特性は、PCT公開番号国際公開第2012/130831号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0394】
特定の実施態様では、天然のIgG Fcドメインと比較してFc受容体に対する結合親和性の低下及び/又はエフェクター機能の低減を示すFcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及び任意でP329Gを含むヒトIgG Fcドメインであるか、又はアミノ酸置換S228P、L235E及び任意でP329Gを含むヒトIgG Fcドメインである(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0395】
特定の実施態様では、FcドメインのNグリコシル化は排除されている。そのような一実施態様では、Fcドメインは位置N297におけるアミノ酸置換、具体的にはアスパラギンをアラニン(N297A)又はアスパラギン酸(N297D)又はグリシン(N297G)に置換するアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0396】
本明細書及びPCT公開番号国際公開第2012/130831号において記載されるFcドメインに加えて、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能が低減したFcドメインは、Fcドメイン残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ又は複数の置換を有するものも含む(米国特許第6737056号)(Kabat EUインデックスによる番号付け)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含め、アミノ酸の位置265、269、270、297、及び327のうちの2つ以上にて置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7332581号)。
【0397】
変異体Fcドメインは、当該技術分野で良く知られた遺伝学的又は化学的方法を用いたアミノ酸の欠失、置換、挿入、又は修飾により調製することができる。遺伝学的方法には、コード化DNA配列の部位特異的突然変異誘発、PCR、遺伝子合成などが含まれ得る。正確なヌクレオチドの変化は、例えば配列決定により検証することができる。
【0398】
Fc受容体への結合は、例えばELISAによって、又はBIAcore装置(GE Healthcare)などの標準的な機器を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって、及び組換え発現によって得ることができるFc受容体を使用して、容易に決定することができる。あるいは、Fcドメイン、又はFcドメインを含む分子のFc受容体に対する結合親和性は、特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株、例えばFcγIIIa受容体を発現するヒトNK細胞を使用して評価してもよい。
【0399】
Fcドメイン、又はFcドメインを含む分子(例えば抗体)のエフェクター機能は、当該技術分野で知られた方法により測定することができる。ADCCを測定するための適切なアッセイは本明細書に記載される。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの他の例が、米国特許第5500362号;Hellstrom et al. Proc Natl Acad Sci USA 83, 7059-7063 (1986)及びHellstrom et al., Proc Natl Acad Sci USA 82, 1499-1502 (1985);米国特許第5821337号;Bruggemann et al., J Exp Med 166, 1351-1361 (1987)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えばフローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, CA;及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又はさらに、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al., PNAS USA 95:652-656 (1998)に開示されるように、例えば動物モデルにおいてin vivoで評価することができる。
【0400】
いくつかの実施態様では、補体成分へのFcドメインの結合、特にC1qへの結合が低減する。したがって、Fcドメインがエフェクター機能を低減させるように操作されているいくつかの実施態様では、前記エフェクター機能の低減はCDCの低減を含む。C1q結合アッセイが、Fcドメイン、又はFcドメインを含む分子(例えば抗体)がC1qに結合できるかどうか、それによりCDC活性を有するかどうかを決定するために実行され得る。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, et al., Blood 101:1045-1052 (2003);及びCragg, and Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。
【0401】
抗原結合部分
治療剤に含まれる抗体は二重特異性であってもよく、すなわち、2つの異なる抗原決定基に特異的に結合できる少なくとも2つの抗原結合部分を含む。特定の実施態様によれば、抗原結合部分はFab分子(すなわち、各々が可変及び定常ドメインを含む重鎖と軽鎖とからなる抗原結合ドメイン)である。一実施態様では、前記Fab分子はヒトである。別の実施態様では、前記Fab分子はヒト化されている。また別の実施態様では、前記Fab分子はヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインを含む。
【0402】
いくつかの実施態様では、抗原結合部分の少なくとも1つはクロスオーバーFab分子である。このような修飾は、異なるFab分子由来の重鎖と軽鎖との誤対合を減少させ、それにより組換え産生において抗体の収率及び純度を向上させる。抗体に有用な特定のクロスオーバーFab分子では、Fab軽鎖とFab重鎖の可変ドメイン(それぞれVL及びVH)が交換されている。しかしながら、このようなドメイン交換によっても、抗体の調製は、誤対合した重鎖と軽鎖間のいわゆるベンス・ジョーンズ型相互作用に起因する特定の副生成物を含み得る(Schaefer et al, PNAS, 108 (2011) 11187-11191を参照)。異なるFab分子からの重鎖と軽鎖の誤対合をさらに減少させ、したがって所望の抗体の純度及び収率を向上させるために、反対の電荷を有する荷電アミノ酸を、標的細胞抗原に特異的に結合するFab分子(複数可)又は活性化T細胞抗原に特異的に結合するFab分子のCH1及びCLドメイン中の特定のアミノ酸位置に導入することができる。電荷修飾は、抗体に含まれる従来のFab分子(複数可)(例えば図1A-C、G-Jに示される)、又は抗体に含まれるVH/VLクロスオーバーFab分子(複数可)(例えば図1D-F、K-Nに示される)のいずれかで行われる(但し両方で行われることはない)。特定の実施態様では、電荷修飾は、抗体に含まれる従来のFab分子(複数可)(特定の実施態様においては、標的細胞抗原に特異的に結合するもの)において行われる。
【0403】
本発明による特定の実施態様では、抗体は、標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、及び活性化T細胞抗原、特にCD3に同時結合することができる。一実施態様では、抗体は、標的細胞抗原及び活性化T細胞抗原に同時結合することにより、T細胞と標的細胞を架橋することができる。さらに特定の実施態様では、そのような同時結合は、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解をもたらす。一実施態様では、そのような同時結合は、T細胞の活性化をもたらす。他の実施態様では、そのような同時結合は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害性活性、及び活性化マーカーの発現の群から選択されるTリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の細胞応答をもたらす。一実施態様では、標的細胞抗原への同時結合を伴わない、活性化T細胞抗原、特にCD3への抗体の結合は、T細胞活性化をもたらさない。
【0404】
一実施態様では、抗体は、T細胞の細胞傷害活性を標的細胞に再指向させることができる。特定の実施態様では、前記再指向は、標的細胞によるMHC媒介性ペプチド抗原の提示及び/又はT細胞の特異性と無関係である。
特に、本発明の実施態様のいずれかによるT細胞は、細胞傷害性T細胞である。いくつかの実施態様では、T細胞はCD4又はCD8 T細胞、特にCD8 T細胞である。
【0405】
(i)活性化T細胞抗原結合部分
いくつかの実施態様では、治療剤に含まれる抗体、特に二重特異性抗体は、活性化T細胞抗原に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部分、特にFab分子(本明細書では「活性化T細胞抗原結合部分、又は活性化T細胞抗原結合Fab分子」とも呼ばれる)を含む。特定の実施態様では、抗体は、活性化T細胞抗原に特異的に結合することができる1つを超えない抗原結合部分を含む。一実施態様では、抗体は、活性化T細胞抗原への一価の結合を提供する。
【0406】
特定の実施態様では、活性化T細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。そのような実施態様では、標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分(複数可)は、好ましくは従来のFab分子である。抗体に含まれる、標的細胞抗原に特異的に結合する複数の抗原結合部分、特にFab分子が存在する実施態様では、活性化T細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分は好ましくはクロスオーバーFab分子であり、標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分は従来のFab分子である。
【0407】
代替的な実施態様では、活性化T細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分は従来のFab分子である。そのような実施態様では、標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分(複数可)は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。
【0408】
一実施態様では、活性化T細胞抗原は、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される。
【0409】
特定の実施態様では、活性化T細胞抗原は、CD3、特にヒトCD3(配列番号91)又はカニクイザルCD3(配列番号92)、最も具体的にはヒトCD3である。特定の実施態様では、活性化T細胞抗原結合部分は、ヒト及びカニクイザルのCD3に対して交差反応性である(すなわち、特異的に結合する)。いくつかの実施態様では、活性化T細胞抗原は、CD3のイプシロンサブユニット(CD3イプシロン)である。
【0410】
いくつかの実施態様では、活性化T細胞抗原結合部分はCD3、特にCD3イプシロンに特異的に結合し、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖相補性決定領域(CDR)、並びに配列番号15、配列番号16、配列番号17の群から選択される少なくとも1つの軽鎖CDRを含む。
【0411】
一実施態様では、CD3結合抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号12の重鎖CDR1、配列番号13の重鎖CDR2、配列番号14の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号15の軽鎖CDR1、配列番号16の軽鎖CDR2、及び配列番号17の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0412】
一実施態様では、CD3結合抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号18と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列、及び配列番号19と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列を含む。
【0413】
一実施態様では、CD3結合抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0414】
一実施態様では、CD3結合抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む。
【0415】
(ii)標的細胞抗原結合部分
いくつかの実施態様では、治療剤に含まれる抗体、特に二重特異性抗体は、標的細胞抗原に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部分、特にFab分子を含む。特定の実施態様では、抗体は、標的細胞抗原に特異的に結合する2つの抗原結合部分、特にFab分子を含む。特定のそのような実施態様では、これらの抗原結合部分の各々は、同じ抗原決定基に特異的に結合する。さらに特定の実施態様では、これらの抗原結合部分のすべては同一であり、すなわちそれらは、本明細書に記載されるようにCH1及びCLドメイン内に同じアミノ酸置換(もしあれば)を含む同じアミノ酸配列を含む。一実施態様では、抗体は、標的細胞抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子を含む。一実施態様では、抗体は、標的細胞抗原に特異的に結合する2つを超えない抗原結合部分、特にFab分子を含む。
【0416】
特定の実施態様では、標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分(複数可)は、従来のFab分子である。そのような実施態様では、活性化T細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分(複数可)は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。
【0417】
代替的な実施態様では、標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分(複数可)は、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子、すなわち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが互いに交換/置換されているFab分子である。そのような実施態様では、活性化T細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分(複数可)は、従来のFab分子である。
【0418】
標的細胞抗原結合部分は、抗体を標的部位、例えば標的細胞抗原を発現する特定の種類の腫瘍細胞に指向させることができる。
【0419】
一実施態様では、標的細胞抗原は、B細胞抗原、特に悪性B細胞抗原である。一実施態様では、標的細胞抗原は、細胞表面抗原である。一実施態様では、標的細胞抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される。
【0420】
一実施態様では、標的細胞抗原は、CD20、特にヒトCD20である。
【0421】
一実施態様では、CD20に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号4の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号5の重鎖CDR2、及び配列番号6の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号7の軽鎖CDR1、配列番号8の軽鎖CDR2、及び配列番号9の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む。さらなる実施態様では、CD20に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号10の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号11の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。なおさらなる実施態様では、CD20に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号10の重鎖可変領域配列、及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。
【0422】
一実施態様では、標的細胞抗原は、CD19、特にヒトCD19である。
【0423】
一実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号24の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号25の重鎖CDR2、及び配列番号26の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号27の軽鎖CDR1、配列番号28の軽鎖CDR2、及び配列番号29の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む。さらなる実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号30の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号31の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。なおさらなる実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号30の重鎖可変領域配列、及び配列番号31の軽鎖可変領域配列を含む。
【0424】
別の実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号35の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号36の重鎖CDR2、及び配列番号37の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号38の軽鎖CDR1、配列番号39の軽鎖CDR2、及び配列番号40の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む。さらなる実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号41の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号42の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域を含む。なおさらなる実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、配列番号41の重鎖可変領域配列、及び配列番号42の軽鎖可変領域配列を含む。
【0425】
別の実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、
(i)配列番号43の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号44の重鎖CDR2、及び配列番号45の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号46の軽鎖CDR1、配列番号47の軽鎖CDR2、及び配列番号48の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域;
(ii)配列番号51の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号52の重鎖CDR2、及び配列番号53の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号54の軽鎖CDR1、配列番号55の軽鎖CDR2、及び配列番号56の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域;
(iii)配列番号59の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号60の重鎖CDR2、及び配列番号61の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号62の軽鎖CDR1、配列番号63の軽鎖CDR2、及び配列番号64の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域;
(iv)配列番号67の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号68の重鎖CDR2、及び配列番号69の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号70の軽鎖CDR1、配列番号71の軽鎖CDR2、及び配列番号72の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域;
(v)配列番号75の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号76の重鎖CDR2、及び配列番号77の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号78の軽鎖CDR1、配列番号79の軽鎖CDR2、及び配列番号80の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域;又は
(vi)配列番号83の重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号84の重鎖CDR2、及び配列番号85の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号86の軽鎖CDR1、配列番号87の軽鎖CDR2、及び配列番号88の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0426】
さらなる実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、
(i)配列番号49の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号50の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域;
(ii)配列番号57の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号58の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域;
(iii)配列番号65の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号66の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域;
(iv)配列番号73の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号74の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域;
(v)配列番号81の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号82の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域;又は
(vi)配列番号89の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である重鎖可変領域、及び配列番号90の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一である軽鎖可変領域
を含む。
【0427】
さらなる実施態様では、CD19に特異的に結合する抗原結合部分、特にFab分子は、
(i)配列番号49の重鎖可変領域配列、及び配列番号50の軽鎖可変領域配列;
(ii)配列番号57の重鎖可変領域配列、及び配列番号58の軽鎖可変領域配列;
(iii)配列番号65の重鎖可変領域配列、及び配列番号66の軽鎖可変領域配列;
(iv)配列番号73の重鎖可変領域配列、及び配列番号74の軽鎖可変領域配列;
(v)配列番号81の重鎖可変領域配列、及び配列番号82の軽鎖可変領域配列;又は
(vi)配列番号89の重鎖可変領域配列、及び配列番号90の軽鎖可変領域配列
を含む。
【0428】
電荷修飾
治療剤に含まれる抗体、特に多重特異性抗体は、その中に含まれるFab分子に、それらの結合アームの1つ(又は、2つを超える抗原結合Fab分子を含む分子の場合には複数)においてVH/VL交換を有するFabベースの二重/多重特異性抗原結合分子の生成において生じ得る、軽鎖と不一致重鎖の誤対合(ベンス・ジョーンズ型副生成物)を減少させるのに特に有効なアミノ酸置換を含んでもよい(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開番号国際公開第2015/150447号、特にその中の実施例を参照)。
【0429】
したがって、特定の実施態様では、治療剤に含まれる抗体は、
(a)第1の抗原に特異的に結合する第1のFab分子
(b)第2の抗原に特異的に結合する第2のFab分子であって、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置換されている第2のFab分子
を含み、ここで、第1の抗原が活性化T細胞抗原であり、第2の抗原が標的細胞抗原であるか、又は第1の抗原が標的細胞抗原であり、第2の抗原が活性化T細胞抗原であり;かつ
ここで、
i)a)による第1のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が正に荷電したアミノ酸(Kabatによる番号付け)によって置換されており、かつa)による第1のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸又は213位のアミノ酸が、負に荷電したアミノ酸(Kabat EUインデックスによる番号付け)によって置換されており;又は
ii)b)による第2のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が正に荷電したアミノ酸(Kabatによる番号付け)によって置換されており、かつb)による第2のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸又は213位のアミノ酸が、負に荷電したアミノ酸(Kabat EUインデックスによる番号付け)によって置換されている。
【0430】
抗体は、i)及びii)において述べられた両方の修飾を含まない。第2のFab分子の定常ドメインCL及びCH1は、互いに置換されていない(すなわち、交換されないままである)。
【0431】
一実施態様では、a)による第1のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによる番号付け)(好ましい一実施態様では、独立して、リジン(K)又はアルギニン(R)により)、かつa)による第1のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸又は213位のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0432】
さらなる実施態様では、a)による第1のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、かつa)による第1のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0433】
特定の実施態様では、a)による第1のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによる番号付け)(好ましい一実施態様では、独立して、リジン(K)又はアルギニン(R)により)、123位のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによる番号付け)(好ましい一実施態様では、独立して、リジン(K)又はアルギニン(R)により)、かつa)による第1のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、213位のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0434】
より特定の実施態様では、a)による第1のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、123位のアミノ酸が、リジン(K)又はアルギニン(R)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、かつa)による第1のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、213位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0435】
さらにより特定の実施態様では、a)による第1のFab分子の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、123位のアミノ酸が、アルギニン(R)によって置換されており(Kabatによる番号付け)、かつa)による第1のFab分子の定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、213位のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
【0436】
特定の実施態様では、a)による第1のFab分子の定常ドメインCLは、カッパアイソタイプである。
【0437】
代替的に、上記実施態様によるアミノ酸置換は、a)による第1のFab分子の定常ドメインCL及び定常ドメインCH1の代わりに、b)による第2のFab分子の定常ドメインCL及び定常ドメインCH1で行われてもよい。特定のそのような実施態様では、b)による第2のFab分子の定常ドメインCLは、カッパアイソタイプのものである。
【0438】
抗体は、第1の抗原に特異的に結合する第3のFab分子をさらに含んでもよい。特定の実施態様では、前記第3のFab分子は、a)による第1のFab分子と同一である。これらの実施態様では、上記実施態様によるアミノ酸置換は、第1のFab分子及び第3のFab分子の各々の定常ドメインCL及び定常ドメインCH1において行われるであろう。代替的に、上記実施態様によるアミノ酸置換は、b)による第2のFab分子の定常ドメインCL及び定常ドメインCH1において行われてもよいが、第1のFab分子及び第3のFab分子の定常ドメインCL及び定常ドメインCH1では行われない。
【0439】
特定の実施態様では、抗体はさらに、安定に会合することができる第1及び第2のサブユニットからなるFcドメインを含む。
【0440】
治療レジメン
本発明によれば、II型抗CD20抗体及び治療剤は、II型抗CD20抗体が治療剤より前に投与され、かつ、II型抗CD20抗体の投与が、治療剤が投与されるまでに、治療される対象においてB細胞の数の減少を効果的に誘導する限り、(例えば、投与経路、用量及び/又はタイミングに関して)さまざまな方法で投与され得る。
【0441】
理論に縛られることを望まないが、治療剤の投与前の対象におけるB細胞の数の減少は、治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるか又は防止し、したがって、治療剤の投与に関連する対象における有害事象(IRRなど)を低減させるか又は防止するであろう。
【0442】
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の投与に関連する対象におけるサイトカイン放出を効果的に減少させる。一実施態様では、サイトカイン放出は、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも10分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1に減少する。一実施態様では、サイトカイン放出は本質的に防止される。一実施態様では、サイトカイン放出の減少又は防止は、治療剤の投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24時間である。一実施態様では、サイトカイン放出の減少又は防止は、治療剤の投与後最初の24時間以内である。
【0443】
一実施態様では、治療剤の投与後の対象におけるサイトカイン濃度(例えば、対象から採取した血液試料において測定される)は、治療剤の投与前の対象におけるサイトカイン濃度を超えない。一実施態様では、治療剤の投与後の対象におけるサイトカイン濃度は、治療剤の投与前の対象におけるサイトカイン濃度の1.1倍超、1.2倍超、1.5倍超、2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、10倍超、20倍超、50倍超、又は100倍超を超えない。一実施態様では、治療剤の投与後の対象におけるサイトカイン濃度は、治療剤の投与前の対象におけるサイトカイン濃度と比較して、1.1倍未満、1.2倍未満、1.5倍未満、2倍未満、3倍未満、4倍未満、5倍未満、10倍未満、20倍未満、50倍未満、又は100倍未満、増加する。一実施態様では、治療剤の投与後の対象におけるサイトカイン濃度は、治療剤の投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24時間でのサイトカイン濃度である。一実施態様では、治療剤の投与後の対象におけるサイトカイン濃度は、治療剤の投与後、最初の24時間以内のサイトカイン濃度である。
【0444】
一実施態様では、本質的に、サイトカインの濃度の増加は、治療剤の投与後、特に治療剤の投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24時間で対象において検出されない。
【0445】
サイトカインは、例えばELISA、FACS又はLuminex(登録商標)アッセイなどの当該技術分野で知られている方法によって検出することができる。
【0446】
サイトカインは、例えば、対象から採取した血液試料中で検出できる。一実施態様では、サイトカイン濃度は対象の血液中のものである。
【0447】
いくつかの実施態様では、サイトカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-2(IL-2)及びインターロイキン-8(IL-8)からなる群、特に、TNF-α、IFN-γ及びIL-6からなる群から選択される1つ又は複数のサイトカインである。いくつかの実施態様では、サイトカインはTNF-αである。いくつかの実施態様では、サイトカインはIFN-γである。いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-6である。いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-10である。いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-2である。いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-8である。
【0448】
いくつかの実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の安全性を向上させる。いくつかの実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における有害事象を低減させる。いくつかの実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の有効性を増加させる。いくつかの実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の血清半減期を増加させる。いくつかの実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の毒性を低減させる。
【0449】
本発明によれば、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
【0450】
一実施態様では、期間は、3日から21日間、5日から20日間、7日から21日間、7日から14日間、5日から15日間、7日から15日間、8日から15日間、10日から20日間、10日から15日間、11日から14日間、又は12日から13日間である。一実施態様では、期間は7日から14日間である。一実施態様では、期間は5日から10日間である。特定の実施態様では、期間は7日間である。
【0451】
一実施態様では、期間は、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27日間、約28日間、約29日間、又は約30日間である。
【0452】
一実施態様では、期間は、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、又は少なくとも15日間である。特定の実施態様では、期間は少なくとも5日間である。さらに特定の実施態様では、期間は少なくとも7日間である。
【0453】
一実施態様では、期間は、II型抗CD20抗体の最後の投与と治療剤の(数回の場合、最初の)投与との間である。一実施態様では、その期間中に治療剤の投与は行われない。
【0454】
特定の実施態様では、B細胞の数の減少は、対象の血液中においてである。一実施態様では、B細胞は末梢血B細胞である。一実施態様では、B細胞は悪性B細胞及び正常B細胞である。一実施態様では、B細胞は悪性B細胞である。
【0455】
いくつかの実施態様では、B細胞の減少は、対象の組織中においてである。一実施態様では、組織は腫瘍である。一実施態様では、組織はリンパ節である。一実施態様では、組織は脾臓である。一実施態様では、組織は脾臓の辺縁帯である。一実施態様では、B細胞はリンパ節B細胞である。一実施態様では、B細胞は脾臓B細胞である。一実施態様では、B細胞は膵臓辺縁帯B細胞である。一実施態様では、B細胞はCD20陽性B細胞、すなわちその表面にCD20を発現するB細胞である。
【0456】
一実施態様では、B細胞の数の減少は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の減少である。一実施態様では、B細胞の数の減少は、B細胞の完全な消失である。特定の実施態様では、B細胞の数の減少は、対象の(末梢)血液中のB細胞の数の少なくとも90%、特に少なくとも95%の減少である。一実施態様では、B細胞の数の減少は、対象へのII型抗CD20抗体の(数回の場合、最初の)投与前の対象におけるB細胞の数と比較した減少である。
【0457】
対象のB細胞の数は、CD20、CD19、及び/又はPAX5などのB細胞マーカーに対する抗体を使用する、フローサイトメトリー、免疫組織化学、又は免疫蛍光法など、患者の血液又は組織中のB細胞を定量するのに適した当該技術分野で知られている任意の方法によって決定することができる。
【0458】
患者の血液又は組織中のB細胞マーカーのタンパク質又はmRNAレベルの定量化により、B細胞の数を間接的に決定することもできる。特定のタンパク質レベルの決定のための当該技術分野で知られている適切な方法には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、又はウエスタンブロットなどの免疫アッセイ法が含まれ、mRNAレベルの決定方法には、例えば定量的RT-PCR又はマイクロアレイ技術が含まれる。上記のすべての方法及び技術は、当該技術分野で良く知られており、Lottspeich(Bioanalytik,Spektrum Akademisher Verlag,1998)又はSambrook and Russell(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,CSH Press,Cold Spring Harbor,NY,U.S.A.,2001)などの標準的な教科書から推論することができる。
【0459】
特定の実施態様では、B細胞の数の減少は、対象の血液(例えば、対象から採取された血液試料)中のB細胞の定量化により決定される。そのような一実施態様では、B細胞はフローサイトメトリー分析により定量化される。フローサイトメトリー法(FACS)は、血液又は組織試料中の細胞の定量化のために当該技術分野で良く知られている。特に、血液又は組織試料(例えば血液試料、又は組織生検(の一部))の細胞の定められた総数の中から特定の抗原(例えばCD20及び/又はCD19)を発現する細胞の数を決定することを可能とする。一実施態様では、B細胞は、抗CD19抗体及び/又は抗CD20抗体を使用するフローサイトメトリー分析により定量化される。
【0460】
他の実施態様では、B細胞の数の減少は、前記個体の組織、例えば腫瘍(例えば、対象から採取された組織生検)中のB細胞の定量化により決定される。そのような一実施態様では、B細胞は、免疫組織化学分析又は免疫蛍光分析によって定量化される。一実施態様では、B細胞は、抗CD19抗体、抗CD20抗体、及び/又は抗PAX5抗体を使用した免疫組織化学分析によって定量化される。
【0461】
本発明の方法は、使用される治療剤に応じて、さまざまな疾患の治療に適用することができる。しかし、この方法は、B細胞増殖性疾患、特に、(CD20陽性)B細胞が大量に存在する(すなわち、健常な対象と比較して、疾患に罹患している対象において、増加した数のB細胞が存在する)CD20陽性B細胞疾患の治療において特に有用である。したがって、一実施態様では、疾患はB細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患である。
【0462】
一実施態様では、疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、又はホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される。一実施態様では、疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)及び辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される。
【0463】
特定の実施態様では、疾患はNHL、特に再発/難治性(r/r)NHLである。一実施態様では、疾患はDLBCLである。一実施態様では、疾患はFLである。一実施態様では、疾患はMCLである。一実施態様では、疾患はMZLである。
【0464】
当業者は、多くの場合、治療剤は治癒をもたらさず、部分的恩恵をもたらすだけであることを容易に認識する。いくつかの実施態様では、いくつかの恩恵を有する生理学的変化も治療的に有益と考えられる。したがって、いくつかの実施態様では、生理学的変化をもたらす治療剤の量は、「有効量」又は「治療的有効量」と考えられる。
【0465】
治療を必要とする対象、患者、又は個体は、典型的には哺乳動物であり、より具体的にはヒトである。
【0466】
特定の実施態様では、対象はヒトである。一実施態様では、対象は、B細胞増殖性疾患、特に、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、又はホジキンリンパ腫(HL)に罹患している。
【0467】
一実施態様では、対象は、再発/難治性(r/r)NHLに罹患している。
【0468】
II型抗CD20抗体の投与
本発明によれば、例えば、治療剤の投与前に対象におけるB細胞の数を効果的に減少させるために、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間、及びII型抗CD20抗体の用量が選択される。
【0469】
II型抗CD20抗体は、非経口、肺内、及び鼻腔内を含む任意の適切な手段によって投与することができ、また、局所治療が望まれる場合には病巣内投与であってもよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間又は長期間であるかどうかに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。本明細書では、さまざまな時点にわたる単回投与又は複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されないさまざまな投薬スケジュールが考慮される。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、非経口的に、特に、例えば静脈内注入により静脈内に投与される。
【0470】
II型抗CD20抗体は、医療実施基準に合致する様式で製剤化され、投薬され、投与されるであろう。この文脈で考慮すべき要因は、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の要因が挙げられる。
【0471】
一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与は単回投与である。別の実施態様では、II型抗CD20抗体の投与は、2回以上の別々の投与である。一実施態様では、2回以上の別々の投与は、2日以上の連続した日においてである。一実施態様では、治療剤の投与の前又は後に、対象に対してII型抗CD20抗体のさらなる投与は行われない。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与は、単回投与、又は連続する2日間に2回の投与であり、かつII型抗CD20抗体のさらなる投与は行われない。一実施態様では、期間は、II型抗CD20抗体の最後の投与と治療剤の(数回の場合、最初の)投与との間である。
【0472】
一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与は、対象におけるB細胞を減少させるために有効なII型抗CD20抗体の用量である。一実施態様では、II型抗CD20抗体の用量は、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間内の、対象におけるB細胞の数の減少のために有効である。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間、及びII型抗CD20抗体の投与された用量は、II型CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
【0473】
一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与は、約2gのII型抗CD20抗体の用量である。約2gのII型抗CD20抗体の用量は、約2gの単回投与として、又は数回の投与として、例えば、各約1gの2回投与、若しくは例えば100mg、900mg及び1000mgの3回投与として対象に投与されてもよい。一実施態様では、約2gのII型抗CD20抗体の1回の投与が対象に行われる。別の実施態様では、約1gのII型抗CD20抗体の2回の投与が、それぞれ連続した2日間において対象に行われる。さらに別の実施態様では、(i)約100mgのII型抗CD20抗体、(ii)約900mgのII型抗CD20抗体、及び(iii)約1000mgのII型抗CD20抗体の3回の投与((i)から(iii))が、連続した3日間において対象に行われる。一実施態様では、約1gのII型抗CD20抗体の2回の投与が、治療剤の投与の10日前から15日前までの連続する2日間において対象に行われる。一実施態様では、治療剤の投与の10日前から15日前に、約2gのII型抗CD20抗体の1回の投与が対象に行われる。一実施態様では、II型抗CD20抗体の対象へのさらなる投与は行われない。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与前に(少なくとも同じ治療コースの範囲内ではない)、対象への治療剤の投与は行われない。
【0474】
一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与は、約1000mgのII型抗CD20抗体の用量である。約1000mgのII型抗CD20抗体の用量を、約1000mgの単回投与として、又は数回の投与として、例えば各約500mgの2回の投与として、対象に投与してもよい。特定の実施態様では、約1000mgのII型抗CD20抗体の1回の投与が対象に行われる。別の実施態様では、約500mgのII型抗CD20抗体の2回の投与が、それぞれ連続した2日間において対象に行われる。一実施態様では、治療剤の投与の7日前に、約1000mgのII型抗CD20抗体の1回の投与が対象に行われる。一実施態様では、II型抗CD20抗体の対象へのさらなる投与は行われない。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与前に(少なくとも同じ治療コースの範囲内ではない)、対象への治療剤の投与は行われない。
【0475】
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与前の前投薬の投与をさらに含む。実施態様では、前投薬は、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、又はメチルプレドニゾロンなど)、パラセタモール/アセトアミノフェン、及び/又は抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミンなど)を含む。一実施態様では、前投薬は、II型抗CD20抗体の投与の少なくとも60分前に投与される。
【0476】
一実施態様では、治療レジメンは、治療剤の投与前の、II型抗CD20抗体以外の免疫抑制剤(及び任意で上記の前投薬)の投与を含まない。一実施態様では、治療レジメンは、治療剤の投与前の、メトトレキサート、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス/FK506、ミコフェノール酸モフェチル及びミコフェノール酸ナトリウムの群から選択される薬剤の投与を含まない。一実施態様では、治療レジメンは、治療剤の投与前のII型抗CD20抗体に加えて、さらなる抗体の投与を含まない。
【0477】
治療剤の投与
治療剤は、非経口、肺内、及び鼻腔内を含む任意の適切な手段によって投与することができ、また、局所治療が望まれる場合には病巣内投与であってもよい。しかしながら、本発明の方法は、非経口、特に静脈内注入により投与される治療剤に関して特に有用である。
【0478】
非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間又は長期間であるかどうかに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。本明細書では、さまざまな時点にわたる単回投与又は複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されないさまざまな投薬スケジュールが考慮される。一実施態様では、治療剤は、非経口的に、特に静脈内に投与される。特定の実施態様では、治療剤は、静脈内注入によって投与される。
【0479】
治療剤は、医療実施基準に合致する様式で製剤化され、投薬され、投与されるであろう。この文脈で考慮すべき要因は、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の要因が挙げられる。治療剤は、必要ではないが任意で、問題の疾患の予防又は治療のために現在使用されている1つ又は複数の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する治療剤の量、疾患又は治療の種類、及び上記で議論した他の要因に依存する。これらは、一般的に、本明細書に記載されているのと同じ投与量及び投与経路で、又は本明細書に記載された用量の約1%から99%で、又は経験的/臨床的に適当であると判断された任意の用量及び任意の経路によって使用される。
【0480】
疾患の予防又は治療のために、治療剤の適切な投与量は(単独で、又は1つ若しくは複数の他の追加の治療剤と組み合わせて使用する場合)、治療する疾患の種類、治療剤の種類、疾患の重症度及び経過、治療剤が予防目的又は治療目的のどちらで投与されるか、治療歴、患者の病歴及び治療剤に対する応答、並びに主治医の裁量に依存するであろう。治療剤は、単回又は一連の治療にわたって患者へ適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば1回以上の個別投与によるか、連続注入によるかに関わらず、約1μg/kgから15mg/kg(例えば0.1mg/kgから10mg/kg)の治療剤が対象への投与のための初期候補用量となり得る。1つの典型的な1日の投与量は、上記の要因に応じて、約1μg/kgから100mg/kg又はそれ以上の範囲であろう。数日間以上にわたる反復投与の場合には、状態に応じて、治療は疾患症状の望ましい抑制が起こるまで一般に持続されるであろう。治療剤の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kgの1つ又は複数の用量(又はこれらの任意の組み合わせ)が対象に投与され得る。そのような用量は、間欠的に、例えば毎週、2週間ごと又は3週間ごとに(例えば、対象が治療剤の約2から約20用量、又は例えば約6用量を受けるように)投与され得る。初回のより高い負荷用量と、それに続く1回以上のより低い用量、又は初回のより低い用量と、それに続く1回以上のより高い用量が投与されてもよい。例示的な投薬レジメンは、治療剤の約10mgの初期用量を投与し、その後に約20mgの隔週用量を投与することを含む。しかしながら、他の投与レジメンも有用であり得る。この治療の進行は従来の技術及びアッセイによって容易にモニターされる。
【0481】
一実施態様では、治療剤の投与は単回投与である。特定の実施態様では、治療剤の投与は2回以上の投与である。そのような一実施態様では、治療剤は毎週、2週間ごと、又は3週間ごと、特に2週間ごとに投与される。一実施態様では、治療剤は、治療的有効量で投与される。一実施態様では、治療剤は、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約300μg/kg、約400μg/kg、約500μg/kg、約600μg/kg、約700μg/kg、約800μg/kg、約900μg/kg、又は約1000μg/kgの用量で投与される。一実施態様では、治療剤は、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンにおける治療剤の用量よりも多い用量で投与される。一実施態様では、治療剤の投与は、治療剤の第1の用量の初回投与、及び治療剤の第2の用量の1回以上のその後の投与を含み、ここで、第2の用量は第1の用量よりも多い。一実施態様では、治療剤の投与は、治療剤の第1の用量の初回投与、及び治療剤の第2の用量の1回以上のその後の投与を含み、ここで、第1の用量は第2の用量よりも少なくない。
【0482】
一実施態様では、本発明による治療レジメンにおける治療剤の投与は、(少なくとも同じ治療コースの範囲内で)対象へのその治療剤の第1の投与である。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与前に対象への治療剤の投与は行われない。
【0483】
本発明において、治療剤は、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて治療において使用することができる。例えば、治療剤は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。特定の実施態様では、追加の治療剤は、免疫療法剤である。
【0484】
上記のそのような併用治療は、併用投与(2つ以上の治療剤が、同一又は別々の製剤に含まれている)、及び治療剤の投与が、追加の治療剤又は薬剤の投与の前、投与と同時、及び/又は投与の後に起こり得る別々の投与を包含する。一実施態様では、治療剤の投与及び追加の治療剤の投与は、互いに、約1か月以内、又は約1、2若しくは3週間以内、又は1、2、3、4、5若しくは6日間以内に生じる。
【0485】
製造品
本発明の他の態様では、製造品、例えば本明細書に記載されるように、疾患の治療、予防及び/又は診断、又はサイトカイン放出の減少に有用な物質を含むキットが提供される。製造品は、容器、及び容器上又は容器に付随するラベル又は添付文書を含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグなどが含まれる。容器はガラス又はプラスチックなどのさまざまな材料から形成され得る。容器は、状態の治療、予防、及び/又は診断に有効な、単独の又は別の組成物と組み合わせた化合物を収容し、又はサイトカイン放出を減少させるのに有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、容器は皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載のII型抗CD20抗体又は治療剤である。ラベル又は添付文書には、組成物が、選択した状態を治療するために、及び/又はサイトカイン放出を減少させるために使用されることが示されている。さらに、製造品は、(a)本明細書に記載のII型抗CD20抗体を含む組成物を中に収容する第1の容器;及び(b)本明細書に記載の治療剤を含む組成物を中に収容する第2の容器を含んでもよい。本発明のこの実施態様における製造品は、組成物が、特定の状態を治療するため、及び/又はサイトカイン放出を減少させるために使用され得ることを示す添付文書をさらに含んでもよい。あるいは、又はさらに、製造品は、薬学的に許容される緩衝剤、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液を含む第2(又は第3)の容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の物質をさらに含んでもよい。
【0486】
用語「PD-L1結合アンタゴニスト」は、PD-L1と、PD-1、B7-1などのその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑制し、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーに対する結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1と、PD-1、B7-1などの結合パートナーの1つ又は複数との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑制し、又は妨害する他の分子を含む。一実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を介したTリンパ球媒介シグナル伝達により発現される細胞表面タンパク質によって又は同タンパク質を介して媒介される負の共刺激シグナルを減少させ、機能障害性のT細胞の機能障害性を低下させる(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの実施態様では、抗体はヒト化抗体、キメラ抗体又はヒト抗体である。いくつかの実施態様では、抗体は抗原結合断片である。いくつかの実施様態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvからなる群から選択される。特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるYW243.55.S70である。別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMDX-1105である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMPDL3280A(アテゾリズマブ)である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMDX-1105である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるYW243.55.S70である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMEDI4736(デュルバルマブ)である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMSB0010718C(アベルマブ)である。
【0487】
いくつかの実施様態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施様態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーに対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L2に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1及びPD-L2両方に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-1結合アンタゴニストは抗体である。いくつかの実施様態では、PD-1結合アンタゴニストは、MDX1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、及びBGB-108からなる群から選択される。
【0488】
いくつかの実施様態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のB7-1に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及びB7-1両方に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの実施様態では、PD-L1結合アンタゴニストは、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、YW243.55.S70、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、及びMSB0010718C(アベルマブ)からなる群から選択される。特定の実施様態では、抗PD-L1抗体はMPDL3280A(アテゾリズマブ)である。いくつかの実施態様では、MPDL3280Aは、3週間ごとに約800mgから約1500mg(例えば、3週間ごとに約1000mgから約1300mg、例えば、3週間ごとに約1100mgから約1200mg)の用量で投与される。いくつかの実施様態では、MPDL3280Aは、3週間ごとに約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施様態では、抗PD-L1抗体は、配列番号107のHVR-H1配列、配列番号108のHVR-H2配列、及び配列番号109のHVR-H3配列を含む重鎖;及び/又は配列番号110のHVR-L1配列、配列番号111のHVR-L2配列、及び配列番号112のHVR-L3配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施様態では、抗PD-L1抗体は、配列番号113又は114のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び/又は配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体は、配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施様態では、抗PD-L1抗体は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/077634号及び米国特許第8217149号に記載される抗体YW243.55.S70の3つの重鎖HVR配列及び/又は抗体YW24355.S70の3つの軽鎖HVR配列を含む。いくつかの実施様態では、抗PD-L1抗体は、抗体YW243.55.S70の重鎖可変領域配列及び/又は抗体YW24355.S70の軽鎖可変領域配列を含む。
【0489】
いくつかの実施様態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L2結合アンタゴニストである。いくつかの実施様態では、PD-L2結合アンタゴニストは抗体である。いくつかの実施様態では、PD-L2結合アンタゴニストはイムノアドヘシンである。
【0490】
いくつかの実施様態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗体(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、又は抗PD-L2抗体)であり、非グリコシル化(aglycosylation)部位の変異を含む。いくつかの実施様態では、非グリコシル化部位の変異は置換変異である。いくつかの実施様態では、置換変異は、アミノ酸残基N297、L234、L235、及び/又はD265(EU番号付け)におけるものである。いくつかの実施様態では、置換変異は、N297G、N297A、L234A、L235A、及びD265Aからなる群から選択される。いくつかの実施様態では、置換変異は、D265A変異及びN297G変異である。いくつかの実施様態では、非グリコシル化部位の変異は、抗体のエフェクター機能を低減させる。いくつかの実施様態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、又は抗PD-L2抗体)は、EU番号付けによる297位にAsnからAlaへの置換を有するヒトIgG1である。
【0491】
用語「PD-L2結合アンタゴニスト」は、PD-L2と、PD-1などのその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑制し、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施様態では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2の、その結合パートナーの1つ又は複数に対する結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1に対する結合を阻害する。いくつかの実施様態では、PD-L2アンタゴニストは、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2と、PD-1などのその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑制し、又は妨害する他の分子を含む。一実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2を介したTリンパ球媒介シグナル伝達により発現される細胞表面タンパク質によって又は同タンパク質を介して媒介される負の共刺激シグナルを減少させ、機能障害性のT細胞の機能障害性を低下させる(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施様態では、PD-L2結合アンタゴニストはイムノアドヘシンである。
【0492】
本発明のさらなる態様
本発明のさらなる実施態様では、併用治療は、抗CD20抗体の少なくとも第1の投与及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の少なくとも第2の投与を含み、ここで、少なくとも第1の投与と少なくとも第2の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した個体におけるB細胞の数の減少には不十分である。
【0493】
さらなる実施態様では、併用治療は、イムノアドヘシン、好ましくは、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン、より好ましくは抗PD-L1抗体の投与を含み得る。一実施態様では、抗PD-L1抗体は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MDX-1105、及びMEDI4736からなる群から選択される。抗体YW243.55.S70は、国際公開第2010/077634号に記載される抗PD-L1抗体である。BMS-936559としても知られるMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載される抗PD-L1抗体である。MEDI4736は、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載される抗PD-L1モノクローナル抗体である。一実施態様では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。
【0494】
実施態様
以下に、本発明の実施態様のいくつかを列挙する。
【0495】
1.対象における疾患を治療する方法であって、該方法が、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、方法。
【0496】
2.治療レジメンが、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の投与に関連する対象におけるサイトカイン放出を効果的に減少させる、実施態様1に記載の方法。
【0497】
3.対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法であって、治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む、方法。
【0498】
4.II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、実施態様3に記載の方法。
【0499】
5.II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様1から4のいずれか1項に記載の方法。
【0500】
6.II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様1から5のいずれか1項に記載の方法。
【0501】
7.II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG抗体である、実施態様1から6のいずれか1項に記載の方法。
【0502】
8.II型抗CD20抗体が、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される、実施態様1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0503】
9.II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、実施態様1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0504】
10.II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、実施態様1から9のいずれか1項に記載の方法。
【0505】
11.治療剤が、抗体、特に多重特異性抗体を含む、実施態様1から10のいずれか1項に記載の方法。
【0506】
12.抗体が、活性化T細胞抗原、特に、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD3、最も具体的にはCD3εに特異的に結合する、実施態様11に記載の方法。
【0507】
13.抗体が、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様11又は12に記載の方法。
【0508】
14.抗体が、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様11から13のいずれか1項に記載の方法。
【0509】
15.抗体が、B細胞抗原、特にCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD20又はCD19、最も具体的にはCD20に特異的に結合する、実施態様11から14のいずれか1項に記載の方法。
【0510】
16.抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様15に記載の方法。
【0511】
17.抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様15又は16に記載の方法。
【0512】
18.抗体が、(i)実施態様12から14のいずれか1項に定義される抗体及び(ii)実施態様15から17のいずれか1項に定義される抗体を含む二重特異性抗体である、実施態様1から17のいずれか1項に記載の方法。
【0513】
19.治療剤が、CD20XCD3 bsABを含む、実施態様1から18のいずれか1項に記載の方法。
【0514】
20.治療剤が、キメラ抗原受容体(CAR)、特に、B細胞抗原に特異的に結合するCAR、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む、実施態様1から10のいずれか1項に記載の方法。
【0515】
21.疾患が、B細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患であり、かつ/又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される疾患である、実施態様1から20のいずれか1項に記載の方法。
【0516】
22.対象における疾患を治療する方法における使用のためのII型抗CD20抗体であって、該方法が、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、II型抗CD20抗体。
【0517】
23.治療レジメンが、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の投与に関連する対象におけるサイトカイン放出を効果的に減少させる、実施態様22に記載のII型抗CD20抗体。
【0518】
24.治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【0519】
25.II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、実施態様24に記載のII型抗CD20抗体。
【0520】
26.II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様22から25のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0521】
27.II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様22から26のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0522】
28.II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG抗体である、実施態様22から27のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0523】
29.II型抗CD20抗体が、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される、実施態様22から28のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0524】
30.II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、実施態様22から29のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0525】
31.II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、実施態様22から30のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0526】
32.治療剤が、抗体、特に多重特異性抗体を含む、実施態様22から31のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0527】
33.治療剤に含まれる抗体が、活性化T細胞抗原、特に、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD3、最も具体的にはCD3εに特異的に結合する、実施態様32に記載のII型抗CD20抗体。
【0528】
34.治療剤に含まれる抗体が、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様32又は33に記載のII型抗CD20抗体。
【0529】
35.治療剤に含まれる抗体が、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様32から34のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0530】
36.治療剤に含まれる抗体が、B細胞抗原、特にCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD20又はCD19、最も具体的にはCD20に特異的に結合する、実施態様32から35のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0531】
37.治療剤に含まれる抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様36に記載のII型抗CD20抗体。
【0532】
38.治療剤に含まれる抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様36又は37に記載のII型抗CD20抗体。
【0533】
39.抗体が、(i)実施態様33から35のいずれか1項に定義される抗体及び(ii)実施態様36から38のいずれか1項に定義される抗体を含む二重特異性抗体である、実施態様22から38のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0534】
40.治療剤が、CD20XCD3 bsABを含む、実施態様22から39のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0535】
41.治療剤が、キメラ抗原受容体(CAR)、特に、B細胞抗原に特異的に結合するCAR、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む、実施態様22から31のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0536】
42.疾患が、B細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患であり、かつ/又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される疾患である、実施態様22から41のいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0537】
43.対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出の減少のための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用であって、該医薬が、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンにおいて使用されるべきであり、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、使用。
【0538】
44.対象における疾患の治療のための医薬の製造におけるT細胞活性化治療剤の使用であって、ここで治療が、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、使用。
【0539】
45.治療レジメンが、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる、実施態様43又は44に記載の使用。
【0540】
46.II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様43から45のいずれか1項に記載の使用。
【0541】
47.II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様43から46のいずれか1項に記載の使用。
【0542】
48.II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG抗体である、実施態様43から47のいずれか1項に記載の使用。
【0543】
49.II型抗CD20抗体が、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される、実施態様43から48のいずれか1項に記載の使用。
【0544】
50.II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、実施態様43から49のいずれか1項に記載の使用。
【0545】
51.II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、実施態様43から50のいずれか1項に記載の使用。
【0546】
52.治療剤が、抗体、特に多重特異性抗体を含む、実施態様43から51のいずれか1項に記載の使用。
【0547】
53.抗体が、活性化T細胞抗原、特に、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD3、最も具体的にはCD3εに特異的に結合する、実施態様51に記載の使用。
【0548】
54.抗体が、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様52又は53に記載の使用。
【0549】
55.抗体が、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様52から54のいずれか1項に記載の使用。
【0550】
56.抗体が、B細胞抗原、特にCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD20又はCD19、最も具体的にはCD20に特異的に結合する、実施態様52から55のいずれか1項に記載の使用。
【0551】
57.抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様56に記載の使用。
【0552】
58.抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様56又は57に記載の使用。
【0553】
59.抗体が、(i)実施態様53から55のいずれか1項に定義される抗体及び(ii)実施態様56から58のいずれか1項に定義される抗体を含む二重特異性抗体である、実施態様43から58のいずれか1項に記載の使用。
【0554】
60.治療剤が、CD20XCD3 bsABを含む、実施態様43から59のいずれか1項に記載の使用。
【0555】
61.治療剤が、キメラ抗原受容体(CAR)、特に、B細胞抗原に特異的に結合するCAR、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む、実施態様43から51のいずれか1項に記載の使用。
【0556】
62.疾患が、B細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患であり、かつ/又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される疾患である、実施態様43から61のいずれか1項に記載の使用。
【0557】
63.対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出の減少のためのキットであって、該キットが、II型抗CD20抗体組成物と、
(i)II型抗CD20抗体組成物の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンにおいてII型抗CD20抗体組成物を使用するための説明書とを含むパッケージを含み、
ここで、II型抗CD20抗体組成物の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、キット。
【0558】
64.T細胞活性化治療剤組成物をさらに含む、実施態様63に記載のキット。
【0559】
65.対象における疾患の治療のためのキットであって、該キットが、T細胞活性化治療剤組成物と、
(iii)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(iv)T細胞活性化治療剤組成物の対象への投与
を含む治療レジメンにおいて治療剤組成物を使用するための説明書とを含むパッケージを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤組成物の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、キット。
【0560】
66.II型抗CD20抗体組成物をさらに含む、実施態様65に記載のキット。
【0561】
67.治療レジメンが、II型抗CD20抗体組成物の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる、実施態様63から66のいずれか1項に記載のキット。
【0562】
68.II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様63から67のいずれか1項に記載のキット。
【0563】
69.II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様63から68のいずれか1項に記載のキット。
【0564】
70.II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG抗体である、実施態様63から69のいずれか1項に記載のキット。
【0565】
71.II型抗CD20抗体が、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される、実施態様63から70のいずれか1項に記載のキット。
【0566】
72.II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、実施態様63から71のいずれか1項に記載のキット。
【0567】
73.II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、実施態様63から72のいずれか1項に記載のキット。
【0568】
74.治療剤が、抗体、特に多重特異性抗体を含む、実施態様63から73のいずれか1項に記載のキット。
【0569】
75.抗体が、活性化T細胞抗原、特に、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD3、最も具体的にはCD3εに特異的に結合する、実施態様74に記載のキット。
【0570】
76.抗体が、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様74又は75に記載のキット。
【0571】
77.抗体が、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様74から76のいずれか1項に記載のキット。
【0572】
78.抗体が、B細胞抗原、特にCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD20又はCD19、最も具体的にはCD20に特異的に結合する、実施態様74から77のいずれか1項に記載のキット。
【0573】
79.抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様78に記載のキット。
【0574】
80.抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様78又は79に記載のキット。
【0575】
81.抗体が、(i)実施態様75から77のいずれか1項に定義される抗体及び(ii)実施態様78から80のいずれか1項に定義される抗体を含む二重特異性抗体である、実施態様78から80のいずれか1項に記載のキット。
【0576】
82.治療剤が、CD20XCD3 bsABを含む、実施態様63から81のいずれか1項に記載のキット。
【0577】
83.治療剤が、キメラ抗原受容体(CAR)、特に、B細胞抗原に特異的に結合するCAR、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む、実施態様63から73のいずれか1項に記載のキット。
【0578】
84.疾患が、B細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患であり、かつ/又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される疾患である、実施態様63から83のいずれか1項に記載のキット。
【0579】
85.対象における疾患を治療する方法における使用のためのT細胞活性化治療剤であって、該方法が、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、T細胞活性化治療剤。
【0580】
86.治療レジメンが、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の投与に関連する対象におけるサイトカイン放出を効果的に減少させる、実施態様85に記載のT細胞活性化治療剤。
【0581】
87.II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様85又は86に記載のT細胞活性化治療剤。
【0582】
88.II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様85から87のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0583】
89.II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG抗体である、実施態様85から88のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0584】
90.II型抗CD20抗体が、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される、実施態様85から89のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0585】
91.II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、実施態様85から90のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0586】
92.II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、実施態様85から91のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0587】
93.治療剤が、抗体、特に多重特異性抗体を含む、実施態様85から92のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0588】
94.抗体が、活性化T細胞抗原、特に、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD3、最も具体的にはCD3εに特異的に結合する、実施態様93に記載のT細胞活性化治療剤。
【0589】
95.抗体が、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様93又は94に記載のT細胞活性化治療剤。
【0590】
96.抗体が、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様93から95のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0591】
97.抗体が、B細胞抗原、特にCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD20又はCD19、最も具体的にはCD20に特異的に結合する、実施態様93から96のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0592】
98.抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、実施態様97に記載のT細胞活性化治療剤。
【0593】
99.抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、実施態様97又は98に記載のT細胞活性化治療剤。
【0594】
100.抗体が、(i)実施態様94から96のいずれか1項に定義される抗体及び(ii)実施態様97から99のいずれか1項に定義される抗体を含む二重特異性抗体である、実施態様85から99のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0595】
101.治療剤が、CD20XCD3 bsABを含む、実施態様85から100のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0596】
102.治療剤が、キメラ抗原受容体(CAR)、特に、B細胞抗原に特異的に結合するCAR、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む、実施態様85から92のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0597】
103.疾患が、B細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患であり、かつ/又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される疾患である、実施態様85から102のいずれか1項に記載のT細胞活性化治療剤。
【0598】
以下において、本発明のさらなる態様が与えられる。
【0599】
I.対象における疾患を治療する方法における使用のためのII型抗CD20抗体であって、該方法が、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、II型抗CD20抗体。
【0600】
II.治療レジメンが、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、治療剤の投与に関連する対象におけるサイトカイン放出を効果的に減少させる、態様Iに記載のII型抗CD20抗体。
【0601】
III.治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体。
【0602】
IV.II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間が、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である、態様IIIに記載のII型抗CD20抗体。
【0603】
V.II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、態様IからIVのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0604】
VI.II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、態様IからVのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0605】
VII.II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG1抗体であり、ここで、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN-結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、態様IからVIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0606】
VIII.II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、態様IからVIIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0607】
IX.治療剤が、抗体、特に多重特異性抗体を含む、態様IからXIIIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0608】
X.治療剤に含まれる抗体が、活性化T細胞抗原、特に、CD3、CD28、CD137(4-1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD3、最も具体的にはCD3εに特異的に結合する、態様IXに記載のII型抗CD20抗体。
【0609】
XI.治療剤に含まれる抗体が、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、態様IX又はXに記載のII型抗CD20抗体。
【0610】
XII.治療剤に含まれる抗体が、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む、態様IXからXIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0611】
XIII.治療剤に含まれる抗体が、B細胞抗原、特にCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、より具体的にはCD20又はCD19、最も具体的にはCD20に特異的に結合する、態様IXからXIIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0612】
XIV.治療剤に含まれる抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、態様XIIIに記載のII型抗CD20抗体。
【0613】
XV.治療剤に含まれる抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、態様XIII又はIVに記載のII型抗CD20抗体。
【0614】
XVI.抗体が、(i)請求項10から12のいずれか1項に定義される抗体及び(ii)態様XIIIからXVのいずれか1項に定義される抗体を含む二重特異性抗体である、態様IからXVのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0615】
XVII.治療剤が、キメラ抗原受容体(CAR)、特に、B細胞抗原に特異的に結合するCAR、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR-1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む、態様IからVIIIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【0616】
XVIII.疾患が、B細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患であり、かつ/又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される疾患である、態様IからXVIIのいずれか1項に記載のII型抗CD20抗体。
【実施例0617】
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上記で提供された一般的な説明を前提として、さまざまな他の実施態様が実施され得ることが理解される。
【0618】
実施例1
完全ヒト化マウスにおけるCD20XCD3 bsAB±オビヌツズマブ前治療(Gpt)によって媒介される抗腫瘍活性及びサイトカイン放出の評価
我々は、Gptが、完全ヒト化NOGマウスにおけるCD20XCD3 bsABの第1の投与に関連するサイトカイン放出を防止することができるかどうかを調査した。
【0619】
すべての治療選択肢(オビヌツズマブ、CD20XCD3 bsAB及びGpt+CD20XCD3 bsAB)は、第1の治療投与の既に24時間後に検出された末梢血B細胞の効率的な枯渇をもたらした(図1A)。T細胞数は、CD20XCD3 bsABの第1の投与の24時間後において、末梢血中における一過性の減少が明らかとなったが、オビヌツズマブ又はGpt+CD20XCD3 bsABの投与後はそうではなかった(図1B)。したがって、CD20XCD3 bsABの前に投与される場合、オビヌツズマブの単回投与は、末梢血中におけるCD20XCD3 bsABを介したT細胞の減少を抑制する。
【0620】
異なる実験群における治療マウスの血液中に放出されたサイトカインの分析により、CD20XCD3 bsAB治療は、血液中におけるいくつかのサイトカインの一過性の上昇を誘導し、これは第1の投与後24時間でピークに達し、72時間までにほぼベースラインレベルに戻った(図2)。MIP-1b、IL-5、IL-10、MCP-1は、IFNγ、TNFα、及びIL-6と同様の傾向を示す(示されない)。Gptは、第1のCD20XCD3 bsAB注射に関連する末梢血中におけるサイトカイン放出を強く減少させた(表2)。
表2.CD20XCD3 bsAB及びGpt+CD20XCD3 bsAB治療によって完全ヒト化NOGマウスの末梢血中に放出されるサイトカイン
【0621】
CD20XCD3 bsABの抗腫瘍活性は、オビヌツズマブによる前治療によって影響を受けなかった(図3)。オビヌツズマブ治療は、単剤療法として、強力な抗腫瘍活性を示したが、この腫瘍及びマウスモデルにおいてCD20XCD3 bsABと比較した場合、反応速度は遅くなった。
【0622】
したがって、データは、Gptが第1のCD20XCD3 bsAB注射に関連するサイトカイン放出を減少させるが、腫瘍細胞上の同じ抗原を標的とするにもかかわらず、CD20XCD3 bsABの抗腫瘍活性はGptの影響を受けないことを示している。
【0623】
実施例2
カニクイザルにおけるオビヌツズマブ前治療試験
0.1、0.3、及び1mg/kgの用量のCD20XCD3 bsABに対するオビヌツズマブによる前治療の効果を調査するために、雄カニクイザルにおける機構的研究(非GLP)を実施した(表3)。この研究では、6匹のナイーブな雄カニクイザル/群(群1では4匹)が、コントロール製品1(群1及び2)又はオビヌツズマブ(50mg/kg、群3、4、5)のいずれかのIV投与を受け、4日後にコントロール製品2(群1)、CD20XCD3 bsAB、0.1mg/kg(群2、群3)、CD20XCD3 bsAB、0.3mg/kg(群4)又はCD20XCD3 bsAB、1mg/kg(群5)による治療を受けた。オビヌツズマブとCD20XCD3 bsAB投薬の間の4日間は、オビヌツズマブによる末梢血、リンパ節及び脾臓におけるB細胞の枯渇を可能にするのに十分であると考えられた。12日目に、群1からの2匹の動物及び群2から5の4匹の動物を剖検した(最終剖検)。各群から2匹の動物が、8週間の回復期間のために保持された。
表3.試験計画:カニクイザルにおけるオビヌツズマブ前治療。
【0624】
以下の予備データは、現在進行中のこの試験から入手できる。
・ オビヌツズマブ(50mg/kg、Gpt)による前治療後、CD20XCD3 bsABのIV投与は、最高試験用量である1mg/kgまで許容された。CD20XCD3 bsAB単独で観察される臨床徴候(嘔吐、猫背の姿勢及び活動性低下)は、CD20XCD3 bsABのすべての用量でGptにより著しく減少した。
・ CD20XCD3 bsAB投与単独では、Bリンパ球の減少と、Tリンパ球(CD4及びCD8)サブセット及びNK細胞の活性化及び増殖をもたらした。さらに、CD20XCD3 bsAB投与前のオビヌツズマブの投与により、Bリンパ球の枯渇、並びにCD20XCD3 bsAB投与後のリンパ球及び単球集団の一過性の減少の低下によって実証される、Tリンパ球活性化のその後の減弱、並びにCD20XCD3 bsAB単独で治療された動物に存在する変化と比較して、T細胞活性化マーカーのアップレギュレーションと増殖の減少をもたらした。
・ 0.1mg/kgのCD20XCD3 bsAB治療の4時間後のIFNγ、IL-8、TNFα、IL-2及びIL-6の放出は、Gpt群において著しく減少した。同様に、Gpt群において高用量のCD20XCD3 bsABで低レベルのサイトカイン放出が認められた。
・ CD20XCD3 bsAB関連の病理組織学的所見はリンパ器官に限定されていた(例えば、CD20陽性細胞に特異的に影響を与える細胞充実性の低下は、脾臓のリンパ濾胞に存在していた)。CD20陽性細胞の減少は、8週間の無治療期間後にほとんど完全に逆転した。Gpt後に、0.1mg/kgのCD20XCD3 bsABにより治療されたサル、及び0.1、0.3、又は1mg/kgのCD20XCD3 bsABを投与された動物において、脳、脊髄、坐骨神経を含めて他の組織病理学的変化は無かった。
【0625】
実施例3
r/r NHLを有する患者におけるオビニツズマブ前治療を伴うCD20XCD3 bsABの安全性、忍容性及び薬物動態の臨床評価
第I相の用量漸増試験が実施されるであろう。その主な目的には、再発/難治性(r/r)NHLを有する患者におけるオビヌツズマブ前治療を伴うCD20XCD3 bsABの安全性、忍容性及び薬物動態の評価が含まれる。
【0626】
本試験では、腫瘍がB細胞においてCD20を発現すると予想されるr/r NHLを有する患者を登録するであろう。CLLを有する患者は登録されないであろう。患者は、少なくとも1つの以前の治療レジメンの後に再発したか、又はそれに応答しなかったと予想される。
【0627】
オビヌツズマブ及びCD20XCD3 bsABは、静脈内(IV)投与されるであろう。オビヌツズマブ及びCD20XCD3 bsABの投与前に、コルチコステロイド(例えば、100mgのIVプレドニゾロン又は同等品)による前投薬が、抗ヒスタミン剤及びアセトアミノフェンとともに投与されるであろう。腫瘍溶解症候群などの他のイベントの予防対策も、必要に応じて推奨されるか、義務付けられるであろう。
【0628】
CD20XCD3 bsABは、第1のCD20XCD3 bsABの用量(サイクル1/1日目)の7日前(サイクル1/ー7日目)のオビヌツズマブ(1000mg;IV)の単一用量による前治療後に、サイクル1/1日目(C1/D1)に単剤として静脈内(IV)注入により開始されるであろう。予想されるCD20XCD3 bsABの開始用量は、5マイクログラムである(フラット投薬)。すべての投薬サイクルは、14日間(Q2W)である。投薬計画は、サイクル1の1日目と8日目(C1/D1;C1/D8)と、その後の合計12サイクル(24週間)の治療について、又は許容できない毒性若しくは増悪が起こるまで、すべての後続サイクルの1日目のみ(Q2W)におけるCD20XCD3 bsABの投与のためのものである。
【0629】
血液試料が適切な時点で収集され、例えば、Gpt及びCD20XCD3 bsAB用量開始後のB細胞枯渇の規模と動態、T細胞表現型を評価するため、かつ選択された時点でのGpt及びCD20XCD3 bsABの投与後の可溶性メディエーター放出(サイトカイン及びケモカイン)を評価するために、CD20XCD3 bsABの関連するPK特性、並びに血液中のPDマーカーの範囲が決定されるであろう。
【0630】
実施例4
CAR-T細胞による養子T細胞療法後のサイトカイン放出を避けるためのGAZYVA前治療
サイトカイン放出症候群(CRS)は、致命的な副作用を引き起こし得る、CD19 CAR-T細胞並びにCD20又はCD22に対するCAR-T細胞による治療後の非常に頻繁な現象である。CRSを回避又は軽減するための戦略は、CAR-T療法のさまざまな側面に焦点を当てている(Xu and Tang, Cancer Letters (2014) 343, 172-178に総説される)。
【0631】
我々は、オビヌツズマブ前治療を使用した末梢及び悪性B細胞の枯渇による、B細胞増殖性疾患におけるCAR-T細胞による治療後のCRSを回避するための新規な手法を提案する。
【0632】
この目的のために、B細胞増殖性疾患(例えば、NHL)を有する患者は、オビヌツズマブ前治療群とオビヌツズマブ前治療なしのコントロール群に無作為化される。オビヌツズマブ前治療群の患者は、CD19、CD20、又はCD22 CAR-T細胞の投与の-7日目(+/-2日)に投与される、1gのオビヌツズマブの投与を受ける。
【0633】
患者には、使用される特異的CAR-T細胞、患者、及び治療される疾患に適した用量で、CARレンチウイルスベクターを形質導入した自己T細胞が注入される(例えば、Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517に記載されるように体重1キログラムあたり0.76×10から20.6×10個のCAR-T細胞;Grupp et al., New Engl J Med (2013) 368, 1509-1518に記載されるように体重1キログラムあたり1.4×10から1.2×10個のCAR-T細胞;又は、Porter et al., Sci Transl Med (2015) 7, 303ra139に記載されるように0.14×10から11×10個のCAR-T細胞)。患者は、応答、毒作用、循環CAR-T細胞の増殖と持続性についてモニターされる。
【0634】
各オビヌツズマブの投薬前に、前投薬が与えられる。Bリンパ球数のモニタリングのために、治療期間の前及び期間中に血液試料が収集される。B細胞数は、フローサイトメトリー及びCD19の染色を使用して取得される。さらに、CRSの発生率は、IL-6を含むサイトカインを測定することによりスクリーニングされる。
【0635】
実施例5
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又は抗PD-L1抗体の併用治療
図6は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの併用治療の有効性(図6D)及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と抗PD-L1抗体の併用治療の有効性(図6E)を示している。
【0636】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、2つの断片の抗原結合(Fab)ドメインを介して腫瘍細胞上のヒトCD20に、及び単一のFabドメインを介してT細胞上のT細胞受容体(TCR)複合体のヒトCD3イプシロンサブユニット(CD3e)に結合する「2:1」T細胞二重特異性ヒト化モノクローナル抗体である。この分子は、ヒトIgG1アイソタイプに基づいているが、Fcガンマ受容体(FcγR)及び補体(C1q)結合のないFc部分を含んでいる。分子量は約194kDaである。実施例5では、抗CD20/抗CD3二重特異性は、配列番号116による重鎖、配列番号117による重鎖、2倍の配列番号118による軽鎖及び配列番号119による軽鎖を含む。
【0637】
抗PD-L1抗体は、国際公開第2010/077634号に記載されているYW243.55.S70 PD-L1抗体(国際公開第2010/077634号の図11に示されている配列)に基づいている。この抗体は、FcγR相互作用を消失させるDAPG変異を含んでいた。YW243.55.S70の可変領域は、DAPG Fc変異を有するマウスIgG1定常ドメインに結合していた。実施例5において使用される抗PD-L1抗体は、配列番号120による重鎖及び配列番号121による軽鎖を含む。
【0638】
オビヌツズマブ(GAZYVA;図6D)及び抗PD-L1抗体(図6E)と組み合わせた抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の抗腫瘍活性を、0日目に皮下注射された中悪性度リンパ腫モデル(WSU-DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC-NSGマウス)において分析した。治療は、図6A-Fの矢印で示すように、腫瘍の平均体積が600mmのときに開始された。試験15日目で、600mmの腫瘍の平均体積に達した。
【0639】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの併用治療のために、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、1週間に1回、0.15mg/kgの準最適有効用量で静脈内投与された。オビヌツズマブは、1週間に1回、10mg/kgで静脈内投与された(図6D)。2つのパートナーは同時に注射された。
【0640】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と抗PD-L1抗体の併用治療のために、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、1週間に1回、0.15mg/kgの準最適有効用量で静脈内投与され、抗PD-L1抗体は、1週間に1回、10mg/kgで静脈内投与された(図6E)。2つのパートナーはまた同時に注射された。
【0641】
ビヒクル群の動物は、リン酸緩衝生理食塩水の静脈内注射を毎週受けた(図6A)。単剤療法群では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体(図6B)は、1週間に1回、10mg/kgで静脈内投与され、オビヌツズマブ(図6C)は、1週間に1回、10mg/kgで静脈内投与され、抗PD-L1(図6F)抗体は、1週間に1回、10mg/kgで静脈内投与された。各群には10匹の動物が含まれていた。単剤療法群は、Dunnetの方法による標準化曲線下面積(sAUC)の一元配置分散分析に従って、統計的に互いに異なっていなかった(表4)。
表4.単剤療法群の生体内データの統計分析。
【0642】
上記のように、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ、又は抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と抗PD-L1抗体のいずれかの併用治療は、試験の経過中において腫瘍の平均サイズが有意に減少することを示している。これは、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体、オビヌツマブ又は抗PD-L1抗体のいずれかの個々の治療と比較して、腫瘍の平均サイズを減少させる併用治療の優れた可能性を示している。
【0643】
実施例5の併用治療に関する上記の生体内データは、Dunnetの方法を用いたsAUCの一元配置分散分析に従って統計的に分析された(表5)。
表5.併用治療の生体内データの統計分析。
【0644】
試験条件において、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの併用治療は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と抗PD-L1抗体の併用治療と比較して、平均腫瘍サイズの減少に対してより強い効果を示した。
【0645】
図7は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの併用治療の有効性を示している(図7A及び7B)。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の構造に関しては、実施例5を参照。オビヌツズマブとの併用による抗CD20/抗CD3二重特異性抗体、ここではRO7082859の抗腫瘍活性が、中悪性度リンパ腫モデル(OCI-Ly18腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC-NSGマウス)において試験された。前記組み合わせは、0日目に皮下注射された。腫瘍の平均体積が500mm(試験14日目に到達)になったときに、治療が開始された。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、1週間に1回、0.5mg/kgの用量で静脈内投与された。オビヌツズマブは、1週間に1回、30mg/kgで静脈内投与された。組み合わせの2つのパートナーは、組み合わせ群において同時に注射された。ビヒクル群の動物は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の注射を毎週受けた。各群には8匹の動物が含まれていた。図7Aは、平均及び標準誤差(SEM)におけるすべての群の腫瘍増殖動態を示している。図7Bは、各治療群における単一マウスの腫瘍増殖動態を示している。統計分析は、一元配置分散分析を用いて実行された。個々の群が比較され、ここで、図7Aにおいて、「*」は抗CD20/抗CD3二重特異性抗体対抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせを表し、「**」は、オビヌツズマブ対抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせを表す。
【0646】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせは、2つの抗体を数回の投与サイクルにおいて一緒に投与した場合の強力な抗腫瘍効果によって例証される。それらの組み合わせの相乗効果は、2つの異なるDLBCLモデル、すなわちWSU-DLCL2及びOCI-Ly18において観察され、対応する単一抗体と比較した場合、すべての動物及び両方の腫瘍モデルにおける急速な腫瘍縮小によって証明される。
【0647】
前述の発明は、理解を明確にする目的のために、例示及び実施例により若干詳細に説明されたが、その説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書で引用されるすべての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。

SEQUENCE LISTING

<110> F. Hoffmann-La Roche AG

<120> Treatment method

<130> PX

<160> 121

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 297
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 1

Met Thr Thr Pro Arg Asn Ser Val Asn Gly Thr Phe Pro Ala Glu Pro
1 5 10 15


Met Lys Gly Pro Ile Ala Met Gln Ser Gly Pro Lys Pro Leu Phe Arg
20 25 30


Arg Met Ser Ser Leu Val Gly Pro Thr Gln Ser Phe Phe Met Arg Glu
35 40 45


Ser Lys Thr Leu Gly Ala Val Gln Ile Met Asn Gly Leu Phe His Ile
50 55 60


Ala Leu Gly Gly Leu Leu Met Ile Pro Ala Gly Ile Tyr Ala Pro Ile
65 70 75 80


Cys Val Thr Val Trp Tyr Pro Leu Trp Gly Gly Ile Met Tyr Ile Ile
85 90 95


Ser Gly Ser Leu Leu Ala Ala Thr Glu Lys Asn Ser Arg Lys Cys Leu
100 105 110


Val Lys Gly Lys Met Ile Met Asn Ser Leu Ser Leu Phe Ala Ala Ile
115 120 125


Ser Gly Met Ile Leu Ser Ile Met Asp Ile Leu Asn Ile Lys Ile Ser
130 135 140


His Phe Leu Lys Met Glu Ser Leu Asn Phe Ile Arg Ala His Thr Pro
145 150 155 160


Tyr Ile Asn Ile Tyr Asn Cys Glu Pro Ala Asn Pro Ser Glu Lys Asn
165 170 175


Ser Pro Ser Thr Gln Tyr Cys Tyr Ser Ile Gln Ser Leu Phe Leu Gly
180 185 190


Ile Leu Ser Val Met Leu Ile Phe Ala Phe Phe Gln Glu Leu Val Ile
195 200 205


Ala Gly Ile Val Glu Asn Glu Trp Lys Arg Thr Cys Ser Arg Pro Lys
210 215 220


Ser Asn Ile Val Leu Leu Ser Ala Glu Glu Lys Lys Glu Gln Thr Ile
225 230 235 240


Glu Ile Lys Glu Glu Val Val Gly Leu Thr Glu Thr Ser Ser Gln Pro
245 250 255


Lys Asn Glu Glu Asp Ile Glu Ile Ile Pro Ile Gln Glu Glu Glu Glu
260 265 270


Glu Glu Thr Glu Thr Asn Phe Pro Glu Pro Pro Gln Asp Gln Glu Ser
275 280 285


Ser Pro Ile Glu Asn Asp Ser Ser Pro
290 295


<210> 2
<211> 112
<212> PRT
<213> Mus musculus

<400> 2

Gly Pro Glu Leu Val Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys
1 5 10 15


Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser Trp Met Asn Trp Val Lys Leu
20 25 30


Arg Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp
35 40 45


Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr
50 55 60


Ala Asp Lys Ser Ser Asn Thr Ala Tyr Met Gln Leu Thr Ser Leu Thr
65 70 75 80


Ser Val Asp Ser Ala Val Tyr Leu Cys Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly
85 90 95


Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ala
100 105 110


<210> 3
<211> 103
<212> PRT
<213> Mus musculus

<400> 3

Asn Pro Val Thr Leu Gly Thr Ser Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser
1 5 10 15


Lys Ser Leu Leu His Ser Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu
20 25 30


Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn
35 40 45


Leu Val Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Ser Ser Gly Ser Gly Thr
50 55 60


Asp Phe Thr Leu Arg Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val
65 70 75 80


Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly
85 90 95


Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100


<210> 4
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 HCDR1

<400> 4

Tyr Ser Trp Ile Asn
1 5


<210> 5
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 HCDR2

<400> 5

Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe Lys
1 5 10 15


Gly



<210> 6
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 HCDR3

<400> 6

Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr
1 5 10


<210> 7
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 LCDR1

<400> 7

Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr
1 5 10 15


<210> 8
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 LCDR2

<400> 8

Gln Met Ser Asn Leu Val Ser
1 5


<210> 9
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 LCDR3

<400> 9

Ala Gln Asn Leu Glu Leu Pro Tyr Thr
1 5


<210> 10
<211> 119
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 VH

<400> 10

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
20 25 30


Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60


Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly
100 105 110


Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115


<210> 11
<211> 115
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD20 VL

<400> 11

Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15


Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser
20 25 30


Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn Leu Val Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn
85 90 95


Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105 110


Arg Thr Val
115


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Thr Tyr Ala Met Asn
1 5


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1 5 10 15


Val Lys Gly



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Gly Ser Ser Thr Gly Ala Val Thr Thr Ser Asn Tyr Ala Asn
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Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15


Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Thr Tyr
20 25 30


Ala Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45


Ser Arg Ile Arg Ser Lys Tyr Asn Asn Tyr Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp
50 55 60


Ser Val Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asp Ser Lys Asn Thr
65 70 75 80


Leu Tyr Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr
85 90 95


Tyr Cys Val Arg His Gly Asn Phe Gly Asn Ser Tyr Val Ser Trp Phe
100 105 110


Ala Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
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1 5 10 15


Thr Val Thr Leu Thr Cys Gly Ser Ser Thr Gly Ala Val Thr Thr Ser
20 25 30


Asn Tyr Ala Asn Trp Val Gln Glu Lys Pro Gly Gln Ala Phe Arg Gly
35 40 45


Leu Ile Gly Gly Thr Asn Lys Arg Ala Pro Gly Thr Pro Ala Arg Phe
50 55 60


Ser Gly Ser Leu Leu Gly Gly Lys Ala Ala Leu Thr Leu Ser Gly Ala
65 70 75 80


Gln Pro Glu Asp Glu Ala Glu Tyr Tyr Cys Ala Leu Trp Tyr Ser Asn
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Leu Trp Val Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu
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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
20 25 30


Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60


Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly
100 105 110


Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe
115 120 125


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Gly Cys Leu Val Glu Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp
145 150 155 160


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Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser
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210 215 220


Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gln Ala Val Val Thr Gln Glu
225 230 235 240


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245 250 255


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260 265 270


Glu Lys Pro Gly Gln Ala Phe Arg Gly Leu Ile Gly Gly Thr Asn Lys
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290 295 300


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Tyr Tyr Cys Ala Leu Trp Tyr Ser Asn Leu Trp Val Phe Gly Gly Gly
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Thr Lys Leu Thr Val Leu Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val
340 345 350


Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala
355 360 365


Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser
370 375 380


Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val
385 390 395 400


Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro
405 410 415


Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys
420 425 430


Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp
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450 455 460


Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile
465 470 475 480


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Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His
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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
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Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60


Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


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Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe
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Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu
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Gly Cys Leu Val Glu Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp
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Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly Ala Pro Ile Glu Lys
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Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Val Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys
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<223> CD20 VL-CL(RK)

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Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
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Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser
20 25 30


Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn Leu Val Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn
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Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
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Lys Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe
130 135 140


Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln
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Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser
165 170 175


Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu
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Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser
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Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
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Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
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Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Thr Tyr
20 25 30


Ala Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45


Ser Arg Ile Arg Ser Lys Tyr Asn Asn Tyr Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp
50 55 60


Ser Val Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asp Ser Lys Asn Thr
65 70 75 80


Leu Tyr Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr
85 90 95


Tyr Cys Val Arg His Gly Asn Phe Gly Asn Ser Tyr Val Ser Trp Phe
100 105 110


Ala Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Val
115 120 125


Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys
130 135 140


Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg
145 150 155 160


Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn
165 170 175


Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser
180 185 190


Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys
195 200 205


Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr
210 215 220


Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
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<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

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Asp Tyr Ile Met His
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<213> Artificial Sequence

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Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe Gln
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Gly



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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

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<400> 26

Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Ala Leu Phe Asp Tyr
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Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Asn Pro Asn Gly Asn Thr Tyr Leu Asn
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Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser
1 5


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Leu Gln Leu Thr His Val Pro Tyr Thr
1 5


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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VH

<400> 30

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ser Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Ala Leu Phe Asp Tyr Trp Gly
100 105 110


Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120


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<211> 112
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VL

<400> 31

Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Ser Val Thr Pro Gly
1 5 10 15


Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Asn Pro
20 25 30


Asn Gly Asn Thr Tyr Leu Asn Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
85 90 95


Thr His Val Pro Tyr Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110


<210> 32
<211> 449
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VH-CH1(EE)-Fc(hole, P329G LALA)

<400> 32

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ser Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Ala Leu Phe Asp Tyr Trp Gly
100 105 110


Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser
115 120 125


Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala
130 135 140


Ala Leu Gly Cys Leu Val Glu Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val
145 150 155 160


Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala
165 170 175


Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val
180 185 190


Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His
195 200 205


Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Glu Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys
210 215 220


Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala Gly
225 230 235 240


Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met
245 250 255


Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His
260 265 270


Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val
275 280 285


His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr
290 295 300


Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly
305 310 315 320


Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly Ala Pro Ile
325 330 335


Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val
340 345 350


Cys Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser
355 360 365


Leu Ser Cys Ala Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu
370 375 380


Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro
385 390 395 400


Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Val Ser Lys Leu Thr Val
405 410 415


Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met
420 425 430


His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser
435 440 445


Pro



<210> 33
<211> 674
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VH-CH1(EE)-CD3 VL-CH1-Fc(knob, P329G LALA)

<400> 33

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ser Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Ala Leu Phe Asp Tyr Trp Gly
100 105 110


Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser
115 120 125


Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala
130 135 140


Ala Leu Gly Cys Leu Val Glu Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val
145 150 155 160


Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala
165 170 175


Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val
180 185 190


Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His
195 200 205


Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Glu Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys
210 215 220


Asp Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gln Ala Val Val Thr
225 230 235 240


Gln Glu Pro Ser Leu Thr Val Ser Pro Gly Gly Thr Val Thr Leu Thr
245 250 255


Cys Gly Ser Ser Thr Gly Ala Val Thr Thr Ser Asn Tyr Ala Asn Trp
260 265 270


Val Gln Glu Lys Pro Gly Gln Ala Phe Arg Gly Leu Ile Gly Gly Thr
275 280 285


Asn Lys Arg Ala Pro Gly Thr Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Leu Leu
290 295 300


Gly Gly Lys Ala Ala Leu Thr Leu Ser Gly Ala Gln Pro Glu Asp Glu
305 310 315 320


Ala Glu Tyr Tyr Cys Ala Leu Trp Tyr Ser Asn Leu Trp Val Phe Gly
325 330 335


Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro
340 345 350


Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr
355 360 365


Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr
370 375 380


Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro
385 390 395 400


Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr
405 410 415


Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn
420 425 430


His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser
435 440 445


Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala
450 455 460


Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
465 470 475 480


Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
485 490 495


His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
500 505 510


Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr
515 520 525


Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn
530 535 540


Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly Ala Pro
545 550 555 560


Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln
565 570 575


Val Tyr Thr Leu Pro Pro Cys Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val
580 585 590


Ser Leu Trp Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val
595 600 605


Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
610 615 620


Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
625 630 635 640


Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
645 650 655


Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
660 665 670


Ser Pro



<210> 34
<211> 219
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VL-CL(RK)

<400> 34

Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Ser Val Thr Pro Gly
1 5 10 15


Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Asn Pro
20 25 30


Asn Gly Asn Thr Tyr Leu Asn Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
85 90 95


Thr His Val Pro Tyr Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110


Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Arg
115 120 125


Lys Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe
130 135 140


Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln
145 150 155 160


Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser
165 170 175


Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu
180 185 190


Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser
195 200 205


Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215


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<211> 5
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<213> Artificial Sequence

<220>
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1 5


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<211> 17
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<213> Artificial Sequence

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Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe Gln
1 5 10 15


Gly



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<213> Artificial Sequence

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1 5


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1 5


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<213> Artificial Sequence

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<223> CD19 VH

<400> 41

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ser Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


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100 105 110


Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120


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<213> Artificial Sequence

<220>
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1 5 10 15


Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Thr Ser
20 25 30


Thr Gly Thr Thr Tyr Leu Asn Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
85 90 95


Leu Glu Asp Pro Tyr Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110


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<211> 5
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Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe Gln
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Gly



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<213> Artificial Sequence

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Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Ser Ser Thr Gly Asn Thr Tyr Leu Asn
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<213> Artificial Sequence

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Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


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65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


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100 105 110


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Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Ser Ser
20 25 30


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35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
85 90 95


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100 105 110


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<213> Artificial Sequence

<220>
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1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ser Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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100 105 110


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<213> Artificial Sequence

<220>
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20 25 30


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35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Ala
85 90 95


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100 105 110


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<213> Artificial Sequence

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Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Thr His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
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Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Ser Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120


<210> 66
<211> 112
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VL


<220>
<221> misc_feature
<222> (107)..(107)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid

<400> 66

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1 5 10 15


Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Thr Ser
20 25 30


Thr Gly Asn Thr Tyr Leu Asn Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


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50 55 60


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65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
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100 105 110


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<213> Artificial Sequence

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<213> Artificial Sequence

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Gly



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<213> Artificial Sequence

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<213> Artificial Sequence

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Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Thr Ser Thr Gly Asn Thr Tyr Leu Asn
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<213> Artificial Sequence

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<400> 71

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<213> Artificial Sequence

<220>
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<400> 72

Leu Gln Pro Gly His Tyr Pro Gly Thr
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
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<400> 73

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


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Gly Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe
50 55 60


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Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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100 105 110


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<213> Artificial Sequence

<220>
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<400> 74

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Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Thr Ser
20 25 30


Thr Gly Asn Thr Tyr Leu Asn Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


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50 55 60


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65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Pro
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100 105 110


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<213> Artificial Sequence

<220>
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<400> 75

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<213> Artificial Sequence

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Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe Gln
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Gly



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<400> 79

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<220>
<223> CD19 VH

<400> 81

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


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35 40 45


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50 55 60


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100 105 110


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115 120


<210> 82
<211> 112
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VL

<400> 82

Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Ser Val Thr Pro Gly
1 5 10 15


Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Thr Ser
20 25 30


Thr Gly Asn Thr Tyr Leu Asn Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60


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65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
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100 105 110


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<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 HCDR1

<400> 83

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1 5


<210> 84
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<400> 84

Tyr Ile Asn Pro Tyr Asn Asp Gly Ser Lys Tyr Thr Glu Lys Phe Gln
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Gly



<210> 85
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<400> 85

Gly Thr Tyr Tyr Tyr Gly Ser Glu Leu Phe Asp Tyr
1 5 10


<210> 86
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 LCDR1

<400> 86

Lys Ser Ser Gln Ser Leu Glu Thr Ser Thr Gly Asn Thr Tyr Leu Asn
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<211> 7
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<213> Artificial Sequence

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<400> 87

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<210> 88
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

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<223> CD19 LCDR3

<400> 88

Leu Gln Leu Thr His Glu Pro Tyr Thr
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<210> 89
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CD19 VH

<400> 89

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30


Ile Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


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50 55 60


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65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Arg Val Ser Lys Arg Phe Ser Gly Val Pro
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Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
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Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Leu
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Thr His Glu Pro Tyr Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110


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<213> Homo sapiens

<400> 91

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35 40 45


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50 55 60


Asn Ile Gly Gly Asp Glu Asp Asp Lys Asn Ile Gly Ser Asp Glu Asp
65 70 75 80


His Leu Ser Leu Lys Glu Phe Ser Glu Leu Glu Gln Ser Gly Tyr Tyr
85 90 95


Val Cys Tyr Pro Arg Gly Ser Lys Pro Glu Asp Ala Asn Phe Tyr Leu
100 105 110


Tyr Leu Arg Ala Arg Val Cys Glu Asn Cys Met Glu Met Asp Val Met
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Ser Val Ala Thr Ile Val Ile Val Asp Ile Cys Ile Thr Gly Gly Leu
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Leu Leu Leu Val Tyr Tyr Trp Ser Lys Asn Arg Lys Ala Lys Ala Lys
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50 55 60


Asn Lys Glu Asp Ser Gly Asp Arg Leu Phe Leu Pro Glu Phe Ser Glu
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Cys Met Glu Met Asp Val Met Ala Val Ala Thr Ile Val Ile Val Asp
115 120 125


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Asn Arg Lys Ala Lys Ala Lys Pro Val Thr Arg Gly Ala Gly Ala Gly
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Gly Arg Gln Arg Gly Gln Asn Lys Glu Arg Pro Pro Pro Val Pro Asn
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<213> Homo sapiens

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Glu Val Arg Pro Glu Glu Pro Leu Val Val Lys Val Glu Glu Gly Asp
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Leu Gly Gly Leu Gly Cys Gly Leu Lys Asn Arg Ser Ser Glu Gly Pro
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<213> Homo sapiens

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Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met
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Pro
225


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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> linker

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Asp Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
1 5 10


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<223> Synthetic Construct

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<223> Synthetic Construct

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1 5 10 15


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Ser Arg Ile Arg Ser Lys Tyr Asn Asn Tyr Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp
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Ala Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
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<220>
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20 25 30


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35 40 45


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50 55 60


Ser Gly Ser Leu Leu Gly Gly Lys Ala Ala Leu Thr Leu Ser Gly Ala
65 70 75 80


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Leu Trp Val Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu
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<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 105

Met Gln Ser Gly Thr His Trp Arg Val Leu Gly Leu Cys Leu Leu Ser
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Val Gly Val Trp Gly Gln Asp Gly Asn Glu Glu Met Gly Gly Ile Thr
20 25 30


Gln Thr Pro Tyr Lys Val Ser Ile Ser Gly Thr Thr Val Ile Leu Thr
35 40 45


Cys Pro Gln Tyr Pro Gly Ser Glu Ile Leu Trp Gln His Asn Asp Lys
50 55 60


Asn Ile Gly Gly Asp Glu Asp Asp Lys Asn Ile Gly Ser Asp Glu Asp
65 70 75 80


His Leu Ser Leu Lys Glu Phe Ser Glu Leu Glu Gln Ser Gly Tyr Tyr
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Val Cys Tyr Pro Arg Gly Ser Lys Pro Glu Asp Ala Asn Phe Tyr Leu
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Tyr Leu Arg Ala Arg Val Cys Glu Asn Cys Met Glu Met Asp Val Met
115 120 125


Ser Val Ala Thr Ile Val Ile Val Asp Ile Cys Ile Thr Gly Gly Leu
130 135 140


Leu Leu Leu Val Tyr Tyr Trp Ser Lys Asn Arg Lys Ala Lys Ala Lys
145 150 155 160


Pro Val Thr Arg Gly Ala Gly Ala Gly Gly Arg Gln Arg Gly Gln Asn
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Lys Gly Gln Arg Asp Leu Tyr Ser Gly Leu Asn Gln Arg Arg Ile
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<211> 198
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 106

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Ile Gly Val Trp Gly Gln Asp Gly Asn Glu Glu Met Gly Ser Ile Thr
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Gln Thr Pro Tyr Gln Val Ser Ile Ser Gly Thr Thr Val Ile Leu Thr
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Cys Ser Gln His Leu Gly Ser Glu Ala Gln Trp Gln His Asn Gly Lys
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Asn Lys Glu Asp Ser Gly Asp Arg Leu Phe Leu Pro Glu Phe Ser Glu
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Cys Met Glu Met Asp Val Met Ala Val Ala Thr Ile Val Ile Val Asp
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<223> Synthetic Construct

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<220>
<223> Synthetic Construct

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<220>
<223> Synthetic Construct

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<220>
<223> Artificial Contruct

<400> 110

Arg Ala Ser Gln Asp Val Ser Thr Ala Val Ala
1 5 10


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<223> Synthetic Construct

<400> 111

Ser Ala Ser Phe Leu Tyr Ser
1 5


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<211> 9
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<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 112

Gln Gln Tyr Leu Tyr His Pro Ala Thr
1 5


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<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 113

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15


Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Asp Ser
20 25 30


Trp Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
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Ala Trp Ile Ser Pro Tyr Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
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<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 114

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1 5 10 15


Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Asp Ser
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Trp Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

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Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Asp Val Ser Thr Ala
20 25 30


Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 116

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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
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Gly Cys Leu Val Glu Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp
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Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser
180 185 190


Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro
195 200 205


Ser Asn Thr Lys Val Asp Glu Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Gly
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Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gln Ala Val Val Thr Gln Glu
225 230 235 240


Pro Ser Leu Thr Val Ser Pro Gly Gly Thr Val Thr Leu Thr Cys Gly
245 250 255


Ser Ser Thr Gly Ala Val Thr Thr Ser Asn Tyr Ala Asn Trp Val Gln
260 265 270


Glu Lys Pro Gly Gln Ala Phe Arg Gly Leu Ile Gly Gly Thr Asn Lys
275 280 285


Arg Ala Pro Gly Thr Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Leu Leu Gly Gly
290 295 300


Lys Ala Ala Leu Thr Leu Ser Gly Ala Gln Pro Glu Asp Glu Ala Glu
305 310 315 320


Tyr Tyr Cys Ala Leu Trp Tyr Ser Asn Leu Trp Val Phe Gly Gly Gly
325 330 335


Thr Lys Leu Thr Val Leu Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val
340 345 350


Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala
355 360 365


Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser
370 375 380


Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val
385 390 395 400


Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro
405 410 415


Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys
420 425 430


Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp
435 440 445


Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala Gly Gly
450 455 460


Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile
465 470 475 480


Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu
485 490 495


Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His
500 505 510


Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg
515 520 525


Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys
530 535 540


Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly Ala Pro Ile Glu
545 550 555 560


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Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val
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Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp
625 630 635 640


Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His
645 650 655


Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro
660 665 670


Gly



<210> 117
<211> 448
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 117

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
20 25 30


Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60


Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly
100 105 110


Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe
115 120 125


Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu
130 135 140


Gly Cys Leu Val Glu Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp
145 150 155 160


Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu
165 170 175


Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser
180 185 190


Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro
195 200 205


Ser Asn Thr Lys Val Asp Glu Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys
210 215 220


Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala Gly Gly Pro
225 230 235 240


Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser
245 250 255


Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp
260 265 270


Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn
275 280 285


Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val
290 295 300


Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu
305 310 315 320


Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly Ala Pro Ile Glu Lys
325 330 335


Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Cys Thr
340 345 350


Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Ser
355 360 365


Cys Ala Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu
370 375 380


Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu
385 390 395 400


Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Val Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys
405 410 415


Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu
420 425 430


Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly
435 440 445


<210> 118
<211> 219
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 118

Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15


Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser
20 25 30


Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45


Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn Leu Val Ser Gly Val Pro
50 55 60


Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80


Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn
85 90 95


Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105 110


Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Arg
115 120 125


Lys Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe
130 135 140


Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln
145 150 155 160


Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser
165 170 175


Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu
180 185 190


Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser
195 200 205


Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215


<210> 119
<211> 232
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 119

Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15


Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Thr Tyr
20 25 30


Ala Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45


Ser Arg Ile Arg Ser Lys Tyr Asn Asn Tyr Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp
50 55 60


Ser Val Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asp Ser Lys Asn Thr
65 70 75 80


Leu Tyr Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr
85 90 95


Tyr Cys Val Arg His Gly Asn Phe Gly Asn Ser Tyr Val Ser Trp Phe
100 105 110


Ala Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Val
115 120 125


Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys
130 135 140


Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg
145 150 155 160


Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn
165 170 175


Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser
180 185 190


Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys
195 200 205


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210 215 220


Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
225 230


<210> 120
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 120

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15


Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Asp Ser
20 25 30


Trp Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45


Ala Trp Ile Ser Pro Tyr Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60


Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Ala Asp Thr Ser Lys Asn Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Arg His Trp Pro Gly Gly Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110


Leu Val Thr Val Ser Ala Ala Lys Thr Thr Pro Pro Ser Val Tyr Pro
115 120 125


Leu Ala Pro Gly Ser Ala Ala Gln Thr Asn Ser Met Val Thr Leu Gly
130 135 140


Cys Leu Val Lys Gly Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Thr Trp Asn
145 150 155 160


Ser Gly Ser Leu Ser Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln
165 170 175


Ser Asp Leu Tyr Thr Leu Ser Ser Ser Val Thr Val Pro Ser Ser Thr
180 185 190


Trp Pro Ser Glu Thr Val Thr Cys Asn Val Ala His Pro Ala Ser Ser
195 200 205


Thr Lys Val Asp Lys Lys Ile Val Pro Arg Asp Cys Gly Cys Lys Pro
210 215 220


Cys Ile Cys Thr Val Pro Glu Val Ser Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro
225 230 235 240


Lys Pro Lys Asp Val Leu Thr Ile Thr Leu Thr Pro Lys Val Thr Cys
245 250 255


Val Val Val Asp Ile Ser Lys Asp Ala Pro Glu Val Gln Phe Ser Trp
260 265 270


Phe Val Asp Asp Val Glu Val His Thr Ala Gln Thr Gln Pro Arg Glu
275 280 285


Glu Gln Phe Asn Ser Thr Phe Arg Ser Val Ser Glu Leu Pro Ile Met
290 295 300


His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Phe Lys Cys Arg Val Asn Ser
305 310 315 320


Ala Ala Phe Gly Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Thr Lys Gly
325 330 335


Arg Pro Lys Ala Pro Gln Val Tyr Thr Ile Pro Pro Pro Lys Glu Gln
340 345 350


Met Ala Lys Asp Lys Val Ser Leu Thr Cys Met Ile Thr Asp Phe Phe
355 360 365


Pro Glu Asp Ile Thr Val Glu Trp Gln Trp Asn Gly Gln Pro Ala Glu
370 375 380


Asn Tyr Lys Asn Thr Gln Pro Ile Met Asp Thr Asp Gly Ser Tyr Phe
385 390 395 400


Val Tyr Ser Lys Leu Asn Val Gln Lys Ser Asn Trp Glu Ala Gly Asn
405 410 415


Thr Phe Thr Cys Ser Val Leu His Glu Gly Leu His Asn His His Thr
420 425 430


Glu Lys Ser Leu Ser His Ser Pro Gly Lys
435 440


<210> 121
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 121

Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15


Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Asp Val Ser Thr Ala
20 25 30


Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45


Tyr Ser Ala Ser Phe Leu Tyr Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60


Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80


Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Leu Tyr His Pro Ala
85 90 95


Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg Ala Asp Ala Ala
100 105 110


Pro Thr Val Ser Ile Phe Pro Pro Ser Ser Glu Gln Leu Thr Ser Gly
115 120 125


Gly Ala Ser Val Val Cys Phe Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Lys Asp Ile
130 135 140


Asn Val Lys Trp Lys Ile Asp Gly Ser Glu Arg Gln Asn Gly Val Leu
145 150 155 160


Asn Ser Trp Thr Asp Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Met Ser
165 170 175


Ser Thr Leu Thr Leu Thr Lys Asp Glu Tyr Glu Arg His Asn Ser Tyr
180 185 190


Thr Cys Glu Ala Thr His Lys Thr Ser Thr Ser Pro Ile Val Lys Ser
195 200 205


Phe Asn Arg Asn Glu Cys
210
図1A-F】
図1G-N】
図1O-V】
図1W-Z】
図2
図3
図4
図5
図6A-B】
図6C-D】
図6E-F】
図7
【配列表】
2023175681000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された一発明。
【外国語明細書】