(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176028
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電子濃度を低減するための構造および電子濃度を低減するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H01L29/80 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178213
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2021556836の分割
【原出願日】2020-03-13
(31)【優先権主張番号】16/356,234
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】グオ ジア
(72)【発明者】
【氏名】シェパード スコット
(72)【発明者】
【氏名】スリラム サプタリシ
(57)【要約】
【課題】高いゲートドレイン容量、高いゲートソース容量、および/またはゲートの周りの高い電子濃度によって誘起される他の容量に対処することが必要とされている。
【解決手段】デバイスは、基板と、基板上の緩衝層と、緩衝層上のバリア層と、バリア層に電気結合されたソースと、バリア層に電気結合されたゲートと、バリア層に電気結合されたドレインと、を含む。デバイスは、以下の様態:バリア層内およびバリア層上のうちの少なくとも一方をもって配置された電子濃度低減構造をさらに含む。電子濃度低減構造は、以下のこと:ゲートの周りの電子濃度を低減すること、ゲートのエッジの周りの電子濃度を低減すること、電子濃度を低減すること、電力利得を増大させること、効率を増大させること、ゲートをドレインから切り離すこと、ゲートをソースから切り離すこと、および容量を低減することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
基板と、
前記基板上の緩衝層と、
前記緩衝層上のバリア層と、
前記バリア層に電気結合されたソースと、
前記バリア層に電気結合されたゲートと、
前記バリア層に電気結合されたドレインと、
以下の様態:前記バリア層内および前記バリア層上のうちの少なくとも一方をもって配置された電子濃度低減構造と、
を備え、
前記電子濃度低減構造が、以下のこと:前記ゲートの周りの電子濃度を低減すること、前記ゲートのエッジの周りの電子濃度を低減すること、電子濃度を低減すること、電力利得を増大させること、効率を増大させること、前記ゲートを前記ドレインから切り離すこと、前記ゲートを前記ソースから切り離すこと、および容量を低減することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記電子濃度低減構造が、以下のもの:前記バリア層内の注入部分、前記バリア層内のエッチング-再成長部分、前記バリア層内の選択的凹部、および前記バリア層上に配置された追加の部分のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層内の前記注入部分を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記バリア層内の前記注入部分が、以下のもの:前記バリア層内のPドーパントの注入、および前記バリア層を損傷するための材料の注入のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層内の前記エッチング-再成長部分を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電子濃度低減構造が前記エッチング-再成長部分を含み、前記バリア層内の凹部、および前記凹部内に配置された再成長材料を含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層内の前記選択的凹部を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層の上面内の前記選択的凹部を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電子濃度低減構造が、前記バリア層上に配置された前記追加の部分を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記追加の部分が前記バリア層の上面上に配置されている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
デバイスを形成するプロセスであって、
基板を用意することと、
緩衝層を前記基板上に配置することと、
バリア層を前記緩衝層上に配置することと、
ソースを前記バリア層に電気結合することと、
ゲートを前記バリア層に電気結合することと、
ドレインを前記バリア層に電気結合することと、
電子濃度低減構造を、以下の様態:前記バリア層内および前記バリア層上のうちの少なくとも一方をもって形成することと、
を含み、
前記電子濃度低減構造が、以下のこと:前記ゲートの周りの電子濃度を低減すること、前記ゲートのエッジの周りの電子濃度を低減すること、電子濃度を低減すること、電力利得を増大させること、効率を増大させること、前記ゲートを前記ドレインから切り離すこと、前記ゲートを前記ソースから切り離すこと、および容量を低減することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、デバイスを形成するプロセス。
【請求項12】
前記電子濃度低減構造が、以下のもの:前記バリア層内の注入部分、前記バリア層内のエッチング-再成長部分、前記バリア層内の選択的凹部、および前記バリア層上に配置された追加の部分のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項13】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層内の前記注入部分を含む、請求項12に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項14】
前記バリア層内の前記注入部分が、以下のもの:前記バリア層内のPドーパントの注入、および前記バリア層を損傷するための材料の注入のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項15】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層内の前記エッチング-再成長部分を含む、請求項12に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項16】
前記電子濃度低減構造が前記エッチング-再成長部分を含み、前記バリア層内の凹部、および前記凹部内に配置された再成長材料を含む、請求項15に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項17】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層内の前記選択的凹部を含む、請求項12に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項18】
前記電子濃度低減構造が前記バリア層の上面内の前記選択的凹部を含む、請求項17に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項19】
前記電子濃度低減構造が、前記バリア層上に配置された前記追加の部分を含む、請求項12に記載のデバイスを形成するプロセス。
【請求項20】
前記追加の部分が前記バリア層の上面上に配置されている、請求項19に記載のデバイスを形成するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力利得および効率を増大させるべくゲート隣接電子濃度を低減するための構造を有するトランジスタに関する。本開示はまた、トランジスタにおける電力利得および効率を増大させるべくゲート隣接電子濃度を低減するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)およびその合金などの、III族窒化物の材料特性は、高電圧および高電流、ならびにRF適用物のための高いRF利得および直線性の達成を可能にするため、III族窒化物系高電子移動度トランジスタ(HEMT:high-electron mobility transistor)は、高出力増幅器、無線周波数(RF:radiofrequency)適用物のため、およびまた、低周波高出力スイッチング適用物のために非常に有望な候補である。典型的なIII族窒化物HEMTは、基板と、基板上に形成されたIII族窒化物(例えば、GaN)緩衝またはチャネル層と、緩衝またはチャネル層上に形成されたより高いバンドギャップのIII族窒化物(例えば、AlGaN)と、を備える。それぞれのソース、ドレインおよびゲート接点はバリア層に電気結合されている。HEMTは、より高いバンドギャップのバリア層とより低いバンドギャップの緩衝またはチャネル層との間の界面において形成された2次元電子ガス(2DEG:two-dimensional electron gas)に依拠する。ここで、より低いバンドギャップの材料はより高い電子親和力を有する。2DEGは、より低いバンドギャップの材料内の蓄積層であり、高い電子濃度および高い電子移動度を包含することができる。
【0003】
III族窒化物材料系で製作されたHEMTは、高い絶縁破壊電界、広いバンドギャップ、大きい伝導帯オフセット、および/または高い飽和電子ドリフト速度を含む材料特性の組合せのゆえに、大量のRF電力を生成する潜在能力を有する。しかし、III族窒化物HEMTは、高いゲートドレイン容量、高いゲートソース容量、および/またはゲートの周りの高い電子濃度によって誘起される他の容量によって制約され得る。
【0004】
したがって、高いゲートドレイン容量、高いゲートソース容量、および/またはゲートの周りの高い電子濃度によって誘起される他の容量に対処することが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
1つの一般的態様は、基板を含むデバイスを含む。デバイスはまた、基板上の緩衝層を含む。デバイスはまた、緩衝層上のバリア層を含む。デバイスはまた、バリア層に電気結合されたソースを含む。デバイスはまた、バリア層に電気結合されたゲートを含む。デバイスはまた、バリア層に電気結合されたドレインと、以下の様態:バリア層内およびバリア層上のうちの少なくとも一方をもって配置された電子濃度低減構造と、を含み、電子濃度低減構造は、以下のこと:ゲートの周りの電子濃度を低減すること、ゲートのエッジの周りの電子濃度を低減すること、ゲートとドレインとの間、および/またはゲートとソースとの間などの、電子濃度を低減すること、電力利得を増大させること、効率を増大させること、ゲートをドレインから切り離すこと、ゲートをソースから切り離すこと、ならびにゲートとドレインとの間、および/またはゲートとソースとの間の容量などの、容量を低減することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0006】
1つの一般的態様は、基板を用意することを含むデバイスを形成するプロセスを含む。プロセスはまた、緩衝層を基板上に配置することを含む。プロセスはまた、バリア層を緩衝層上に配置することを含む。プロセスはまた、ソースをバリア層に電気結合することを含む。プロセスはまた、ゲートをバリア層に電気結合することを含む。プロセスはまた、ドレインをバリア層に電気結合することと、電子濃度低減構造を、以下の様態:バリア層内およびバリア層上のうちの少なくとも一方をもって形成することと、を含み、電子濃度低減構造は、以下のこと:ゲートの周りの電子濃度を低減すること、ゲートのエッジの周りの電子濃度を低減すること、ゲートとドレインとの間、および/またはゲートとソースとの間などの、電子濃度を低減すること、電力利得を増大させること、効率を増大させること、ゲートをドレインから切り離すこと、ゲートをソースから切り離すこと、ならびにゲートとドレインとの間、および/またはゲートとソースとの間の容量などの、容量を低減することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0007】
以下の詳細な説明、図面、および請求項の考慮から、本開示のさらなる特徴、利点、および態様が説明される、または明らかになり得る。さらに、本開示の上述の概要および以下の詳細な説明はどちらも例示的なものであり、クレームされているとおりの本開示の範囲を限定することなく、さらなる説明を与えることを意図されていることを理解されたい。
【0008】
本開示のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の態様を図解し、詳細な説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。本開示の構造上の詳細を、本開示およびそれが実施され得る様々な仕方の基本的理解のために必要になり得るよりも詳細に示す試みはされない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係るトランジスタの一態様の断面図である。
【
図2】本開示に係るトランジスタの一態様の断面図である。
【
図3】本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図である。
【
図4】本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図である。
【
図5】本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図である。
【
図6】本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図である。
【
図7】本開示に係るトランジスタの別の態様の断面図である。
【
図8】本開示に係るトランジスタの別の態様の断面図である。
【
図9】本開示に係るトランジスタを作製するためのプロセスを示す図である。
【
図10】本開示に係るトランジスタを作製するためのプロセスを示す図である。
【
図11】従来技術のトランジスタと本開示に係るトランジスタとの間のシミュレートされた比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面において説明および/または図解され、以下の説明において詳述されている非限定な態様および例を参照して、本開示の態様、ならびにそれらの様々な特徴および有利な詳細がより完全に説明される。図面において図解されている特徴は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、一態様の特徴は、たとえ、本明細書において明示的に述べられていなくても、当業者であれば認識するように、他の態様に採用され得ることに留意されたい。よく知られた構成要素および処理技法の説明は、本開示の態様を不必要に不明瞭にしないために、省略される場合がある。本明細書において用いられている例は、単に、本開示が実施される仕方の理解を容易にし、さらに、当業者が本開示の態様を実施することを可能にすることを意図されているにすぎない。したがって、本明細書における例および態様は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示の範囲は添付の請求項および適用法によってのみ定義される。さらに、同様の参照符号は、図面のうちのいくつかの図を通して類似の部分を表すことに留意されたい。
【0011】
用語、第1、第2等は、本明細書において様々な要素を記述するために用いられ得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、単に、1つの要素を別のものと区別するために用いられるにすぎない。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができるであろう。本明細書で使用するとき、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0012】
層、領域、または基板などの要素が別の要素「上に(on)」載っている、またはその「上に(onto)」延びていると言及される場合には、それは別の要素上に直接載っている、または、その上に直接延びていることができるか、あるいは介在要素も存在し得ることを理解されたい。対照的に、要素が別の要素「上に直接(directly on)」載っている、またはその「上に直接(directly onto)」延びていると言及される場合には、介在要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が別の要素の「上方に(over)」載っている、またはその「上方に(over)」延びていると言及される場合には、それは別の要素の上方に直接載っている、または、その上方に直接延びていることができるか、あるいは介在要素も存在し得ることを理解されたい。対照的に、要素が別の要素の「上方に直接(directly over)」載っている、またはその「上方に直接(directly over)」延びていると言及される場合には、介在要素は存在しない。また、要素が別の要素に「接続される(connected)」または「結合される(coupled)」と言及される場合には、それは別の要素に直接接続もしくは結合され得るか、または介在要素が存在し得ることも理解されたい。対照的に、要素が別の要素に「直接接続される(directly connected)」または「直接結合される(directly coupled)」と言及される場合には、介在要素は存在しない。
【0013】
「下方(below)」または「上方(above)」または「上部(upper)」または「下部(lower)」または「水平(horizontal)」または「垂直(vertical)」などの相対用語は、本明細書において、図に示されるとおりの、1つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を記述するために使用され得る。これらの用語、および上述されたものは、図に示される向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することを意図されていることが理解されるであろう。
【0014】
本明細書において用いられる用語法は、特定の態様を説明することのみを目的とするものであり、本開示の限定を意図されてはいない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」は、本明細書で使用される場合、記述される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在もしくは追加を排除するものではないことを理解されたい。
【0015】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と矛盾しない意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されていない限り、理想的な、または過度に形式的な語義で解釈されないことをさらに理解されたい。
【0016】
構造の種類に加えて、トランジスタが形成される半導体材料の特性も動作パラメータに影響を及ぼし得る。トランジスタの動作パラメータに影響を及ぼす特性のうち、容量、電力利得、および効率がトランジスタの動作特性に影響を有し得る。
【0017】
容量は、システム内の電荷の変化と、システムの電位の対応する変化との比であり得る。トランジスタの出力と入力との間の容量を低減することは性能の改善をもたらし得る。
【0018】
電力利得は、信号の電力または振幅を、電源から変換されたエネルギーを信号に加えることによって、入力から出力ポートへ増大させる能力の尺度であり得る。それは、出力における信号振幅または電力と入力における振幅または電力との平均比として定義され得る。トランジスタの電力利得を増大させることは性能の改善をもたらし得る。他の既知の電力利得尺度および特性も同様に企図される。
【0019】
効率は、負荷において消散された出力電力を、供給源から得られた総電力で除算したものとして定義され得る。トランジスタの効率を増大させることは性能の改善をもたらし得る。他の既知の効率尺度および特性も同様に企図される。
【0020】
本開示は外因性半導体および真性半導体の両方を含む。真性半導体はドープされていない(純粋である)。外因性半導体はドープされている。つまり、熱平衡における半導体の電子および正孔キャリア濃度を変化させるための作用剤が導入された。p型およびn型半導体の両方が開示される。p型は、電子濃度よりも大きい正孔濃度を有し、n型は、正孔濃度よりも大きい電子濃度を有する。
【0021】
炭化ケイ素(SiC)は、理論上、シリコン(Si)またはヒ化ガリウム(GaAs)から製造されたデバイスよりも高い温度、高い電力、および高い周波数で動作することができる電子デバイスの製造を可能にするはずである、優れた物理および電子特性を有する。約4×E6V/cmの高い電気絶縁破壊電界、約2.0×E7cm/秒の高い飽和電子ドリフト速度、および約4.9W/cm-°Kの高い熱伝導率は、高周波および高出力適用物のために適するであろうことを示す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「III族窒化物」は、窒素と、周期表のIII族内の1種または複数種の元素、通常、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、およびインジウム(In)との間で形成されたそれらの半導体化合物を指す。用語はまた、GaN、AlGaN、およびAlInGaNなどの二元、三元、および四元化合物を指す。III族元素は窒素と結合し、二元(例えば、GaN)、三元(例えば、AlGaN)、および四元(例えば、AlInGaN)化合物を形成することができる。これらの化合物は、1モルの窒素が合計1モルのIII族元素と結合された実験式を有し得る。したがって、これらの化合物を記述するために、AlxGa1-xN、ここで、1>x>0、などの化学式がしばしば用いられる。
【0023】
III族窒化物HEMTは、ゲートエッジの周りの高い電子濃度によって誘起される高いゲートドレイン容量によって通常制約される、電力利得および効率の改善を必要とする。本開示は、ドレイン側ゲートおよび/またはドレイン側ゲートエッジの周りの電子濃度を選択的に低減することによって、電力利得、効率性能、および/または他の性能特性を改善するための多数の異なる態様を提示する。
【0024】
図1は、本開示に係るトランジスタの一態様の断面図を示す。
【0025】
具体的には、
図1はトランジスタ100の断面図を示す。トランジスタ100は基板層102および緩衝層104を含み得る。トランジスタ100は、緩衝層104上に配置されたバリア層108をさらに含み得る。一態様では、バリア層108は緩衝層104上に直接配置され得る。トランジスタ100は、ソース110、ゲート114、およびドレイン112をさらに含み得る。一態様では、適切なレベルでバイアスをかけられたときに緩衝層104とバリア層108との間のヘテロ界面152において2次元電子ガス(2DEG)を形成するために、緩衝層104のバンドギャップはバリア層108のバンドギャップ未満であり得る。一態様では、緩衝層104は、GaNなどの、III族窒化物材料であり、バリア層108は、AlGaNまたはAlNなどの、III族窒化物材料である。態様によっては、基板層102と緩衝層104との間に、核形成層136などの、介在層または領域が存在する。一態様では、緩衝層104とバリア層108との間に介在層または領域(図示せず)が存在する。一態様では、バリア層108は、緩衝層104上のAlNバリア層、およびAlNバリア層上のAlGaN層などの、複数の層で作製されている。一態様では、バリア層108と、保護層116ならびに/あるいはソース110、ゲート114および/またはドレイン112との間に介在層または領域が存在する。一態様では、これらの層の組成は段階的または連続的に傾斜していることができる。一態様では、バリア層108は、緩衝層104の付近でAlのより高い割合をもって開始し、Alの割合は、緩衝層104から離れると減少することができる。
【0026】
加えて、トランジスタ100は電子濃度低減構造199を含み得る。一態様では、電子濃度低減構造199はトランジスタ100のゲート-ドレイン側に配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199はトランジスタ100のゲート-ドレイン側に、ドレイン112よりもゲート114に接近して配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、バリア層108と緩衝層104との間の界面の上方を含むトランジスタ100内の任意の場所に配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、バリア層108および/または緩衝層104内、上、および/またはそれらの間を含むトランジスタ100内の任意の場所に配置され得る。
【0027】
一態様では、電子濃度低減構造199はバリア層108内に構造化され、配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は保護層116内に構造化され、配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は緩衝層104内に構造化され、配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、部分的に保護層116内に、および部分的にバリア層108内に構造化され、配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、部分的に保護層116内に、部分的にバリア層108内に、および部分的に緩衝層104内に構造化され、配置され得る。他の態様では、電子濃度低減構造199はトランジスタ100の1つまたは複数の他の層内に配置され得る。
【0028】
具体的には、電子濃度低減構造199は、本明細書においてより詳細に説明されるとおりのゲート隣接電子濃度を低減するためのデバイス、構造、構成、または同様のものとして構成され得る。この点に関して、電子濃度低減構造199は、ゲート114に隣接した区域内のゲート隣接電子濃度を低減する。一態様では、電子濃度低減構造199は、本明細書において開示されるとおりの電子濃度制御および/または低減特徴、構成要素、要素、区分、部分、構造、および/または同様のものとして構成され得る。具体的には、電子濃度低減構造199は、ゲート隣接電子濃度を、従来技術のトランジスタと比べて低減するためのデバイス、構造、構成、または同様のものとして構成され得る。
【0029】
一態様では、電子濃度低減構造199は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114をソース110から切り離し得、ゲート114とドレイン112との間、および/またはゲート114とソース110との間のバリア層108の部分内などの、電子濃度を低減し得、ゲート114とドレイン112との間、および/またはゲート114とソース110との間の容量などの、容量を低減し得、ならびに同様のことをし得る。加えて、本明細書において説明されるように、電子濃度低減構造199は、III族窒化物系高電子移動度トランジスタ(HEMT)、および他の材料系のHEMTにおいて利用され得る。しかし、本開示は電子濃度低減構造199のこの特定の適用に限定されない。電子濃度低減構造199は、他の同様の半導体ベースのトランジスタデバイスにおいて、同様の動作改善を伴って利用され得る。簡潔にするために、電子濃度低減構造199は、概して、III族窒化物系高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり得る適用物において説明されることになる。
【0030】
一態様では、電子濃度低減構造199は、以下において
図3、
図4、
図5、および
図6を参照して説明される態様のうちの1つまたは複数を利用し得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、以下において
図3、
図4、
図5、および
図6を参照して説明される態様のうちの2つを組み合わせて利用し得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、以下において
図3、
図4、
図5、および
図6を参照して説明される態様のうちの3つを組み合わせて利用し得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、以下において
図3、
図4、
図5、および
図6を参照して説明される態様のうちの全てを組み合わせて利用し得る。加えて、図のうちの任意のもののために説明される特定の態様のうちの任意のものは、他の図のうちの任意のものにおいて利用することができる。
【0031】
図2は、本開示に係るトランジスタの一態様の断面図を示す。
【0032】
具体的には、
図2は、本開示の特徴のうちの1つまたは複数を含み得るトランジスタ100である。
図2は、電子濃度低減構造199が、ソース110とゲート114との間の場所、ゲート114に隣接した場所、ソース110に隣接した場所、または同様のものを含む、トランジスタ100の他の場所に含まれ得ることをさらに示す。一態様では、電子濃度低減構造199は、バリア層108と緩衝層104との間の界面の上方を含むトランジスタ100内の任意の場所に配置され得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、バリア層108および/または緩衝層104内、上、および/またはそれらの間を含むトランジスタ100内の任意の場所に配置され得る。しかし、開示を簡潔にするために、電子濃度低減構造199は例示的な場所に関して示され、説明され得る。これを念頭に置いて、本開示は、
図2に示される場所、および他所などの他の場所を企図し、本明細書において説明される電子濃度低減構造199の様々な実装形態は本開示に基づいてそれらの場所において構築され得る。
【0033】
一態様では、電子濃度低減構造199は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をソース110から切り離し得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114とソース110との間、および/またはゲート114とドレイン112との間のバリア層108の部分内などの、電子濃度を低減し得、ゲート114とソース110との間、および/またはゲート114とドレイン112との間の容量などの、容量を低減し得、ならびに同様のことをし得る。
【0034】
図3は、本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図を示す。
【0035】
具体的には、
図3は電子濃度低減構造199の第1の態様を示す。この点に関して、
図3に示される電子濃度低減構造199は注入部分200を含み得る。注入部分200はバリア層108内に注入され得る。しかし、注入部分200はトランジスタ100内の他の場所に注入されてもよい。例えば、注入部分200は、保護層116内に少なくとも部分的に注入され得るか、緩衝層104内に少なくとも部分的に注入され得るか、基板層102内に部分的に注入され得るか、または同様であり得る。
【0036】
一態様では、注入部分200はPドーパントの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はフッ素の注入を含み得る。一態様では、注入部分200はフッ素イオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は負に帯電したフッ素の注入を含み得る。一態様では、注入部分200は負に帯電したフッ素イオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はバリア層108内のフッ素の注入を含み得る。一態様では、注入部分200はバリア層108内のフッ素イオンの注入を含み得る。一態様では、バリア層108は、AlGaNまたはAlNバリア層などの、III族窒化物バリア層であり得る。他のp型ドーパントを用いることもできる。
【0037】
一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するための材料の注入を含み得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するためのイオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はアルゴンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はアルゴンイオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するためのバリア層108内のアルゴンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するためのバリア層108内のアルゴンイオンの注入を含み得る。一態様では、バリア層108はAlGaNまたはAlNバリア層であり得る。他の注入物も可能である。
【0038】
一態様では、矢印202を参照すると、注入部分200は、14nm未満、12nm未満、10nm未満、および/または8nm未満の深さを有し得る。一態様では、注入部分は、2nm~14nm、2nm~4nm、4nm~6nm、6nm~8nm、8nm~12nm、8nm~10nm、9nm~11nm、10nm~12nm、および/または12nm~14nmの深さを有し得る。一態様では、注入部分200は緩衝層104まで少なくとも部分的に延び得る。
【0039】
一態様では、注入部分200は、バリア層108の20%~70%、バリア層108の20%~40%、バリア層108の40%~60%、バリア層108の50%~60%、および/またはバリア層108の60%~70%の深さを有し得る。
【0040】
一態様では、矢印204を参照すると、注入部分200は、200nm~2000nm、200nm~300nm、300nm~400nm、400nm~500nm、500nm~600nm、600nm~700nm、700nm~800nm、800nm~1200nm、1200nm~1400nm、1400nm~1600nm、1600nm~1800nm、および/または1800nm~2000nmの長さを有し得る。
【0041】
一態様では、注入部分200は矢印204および矢印202と垂直なゲート114のエッジに沿って連続的に延び得る。一態様では、注入部分200は矢印204および矢印202と垂直なゲート114のエッジに沿って不連続的に延び得る。一態様では、注入部分200は矢印204および矢印202と垂直なゲート114のエッジに沿って部分的に延び得る。一態様では、注入部分200は矢印204および矢印202と垂直なゲート114のエッジに沿って選択区域内でのみ延び得る。一態様では、保護層116が注入部分200上に配置され得る。一態様では、注入部分は、注入物の均一な、不均一な、および/または変化する分布を有し得る。
【0042】
開示されるとおりの注入部分200は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114をソース110から切り離し得、電子ガス濃度を低減し得、ゲート-ドレイン容量および/またはゲート-ソース容量などの容量を低減し得、ならびに同様のことをし得る。一態様では、これらの特性は、ヘテロ界面152に隣接した、その内部の、またはその付近の区域220内で現れ得る。
【0043】
図4は、本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図を示す。
【0044】
具体的には、
図4は電子濃度低減構造199の第2の態様を示す。この点に関して、
図4に示される電子濃度低減構造199は第1の部分300および第2の部分306を含み得る。第1の部分300はバリア層108内に配置され得る。しかし、第1の部分300はトランジスタ100内の他の場所に配置されてもよい。例えば、第1の部分300は、少なくとも部分的に保護層116内にあり得るか、少なくとも部分的に緩衝層104内にあり得るか、部分的に基板層102内にあり得るか、または同様であり得る。
【0045】
一態様では、第1の部分300はバリア層108と同じ材料を含み得る。一態様では、第1の部分300はバリア層108とは異なる材料を含み得る。一態様では、第1の部分300は、再成長させられ、バリア層108と同じ組成を有し得る、AlGaNなどの、III族窒化物材料を含み得る。一態様では、第1の部分300は、再成長させられ、バリア層108とは異なる組成を有し得る、AlGaNなどの、III族窒化物材料を含み得る。
【0046】
一態様では、第1の部分300は、再成長させられた5%~18%のアルミニウムを有するAlGaNを含み得、バリア層108は、18%~25%のアルミニウムを有するAlGaNを含み得る。
【0047】
一態様では、第1の部分300は、5%~18%のアルミニウムを有するAlGaN、5%~10%のアルミニウムを有するAlGaN、8%~13%のアルミニウムを有するAlGaN、10%~15%のアルミニウムを有するAlGaN、および/または15%~18%のアルミニウムを有するAlGaNを含み得る。
【0048】
一態様では、バリア層108は、18%~25%のアルミニウムを有するAlGaN、18%~20%のアルミニウムを有するAlGaN、19%~21%のアルミニウムを有するAlGaN、20%~22%のアルミニウムを有するAlGaN、および/または23%~25%のアルミニウムを有するAlGaNを含み得る。
【0049】
一態様では、矢印302を参照すると、第1の部分300は、22nm未満、18nm未満、14nm未満、10nm未満、8nm未満、および/または6nm未満の深さを有し得る。一態様では、第1の部分300は、6nm~20nm、6nm~8nm、8nm~12nm、10nm~14nm、12nm~16nm、および/または14nm~20nmの深さを有し得る。一態様では、第1の部分300は緩衝層104まで少なくとも部分的に延び得る。
【0050】
一態様では、第1の部分300は、バリア層108の30%~100%、バリア層108の30%~50%、バリア層108の50%~70%、バリア層108の60%~80%、バリア層108の70%~90%、および/またはバリア層108の80%~100%の深さを有し得る。
【0051】
一態様では、矢印304を参照すると、第1の部分300は、200nm~2000nm、200nm~300nm、300nm~400nm、400nm~500nm、500nm~600nm、600nm~700nm、700nm~800nm、800nm~1200nm、1200nm~1400nm、1400nm~1600nm、1600nm~1800nm、および/または1800nm~2000nmの長さを有し得る。
【0052】
一態様では、第1の部分300は矢印304および矢印302と垂直なゲート114のエッジに沿って連続的に延び得る。一態様では、第1の部分300は矢印304および矢印302と垂直なゲート114のエッジに沿って不連続的に延び得る。一態様では、第1の部分300は矢印304および矢印302と垂直なゲート114のエッジに沿って部分的に延び得る。一態様では、第1の部分300は矢印304および矢印302と垂直なゲート114のエッジに沿って選択区域内でのみ延び得る。態様によっては、第1の部分300は、組成、ドーピング、および/または厚さに関して、均一に、不均一に、および/または変化する様態で延び得る。
【0053】
さらなる態様では、第2の部分306は第1の部分300上に配置され得る。一態様では、第2の部分306は第1の部分300上に直接配置され得る。さらなる態様では、第2の部分306は凹部308を有するように構成され得、これにより、第2の部分306の上面は保護層116の上面の下方にある。一態様では、凹部308の深さは、保護層116の深さの10%~80%、保護層116の深さの10%~30%、保護層116の深さの30%~50%、保護層116の深さの50%~70%、および/または保護層116の深さの60%~80%であり得る。一態様では、第2の部分306は保護層であり得る。一態様では、第2の部分306は、保護層116と同じ組成を有する保護層であり得る。一態様では、第2の部分306は保護層116であり得る。
【0054】
一態様では、第1の部分300の形成前に、バリア層108は、凹部310を形成するために、例えば、緩衝層104までエッチングされ得る。その後、第1の部分300は凹部310内で再成長させられ得る。
【0055】
開示されるとおりの第1の部分300は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、例えば、ゲート114とドレイン112との間、および/またはゲート114とソース110との間の少なくとも部分内の、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114をソース110から切り離し得、電子ガス濃度を低減し得、容量を低減し得、ならびに同様のことをし得る。一態様では、これらの特性は、ヘテロ界面152に隣接した、その内部の、またはその付近の区域320内で現れ得る。
【0056】
図5は、本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図を示す。
【0057】
具体的には、
図5は電子濃度低減構造199の第3の態様を示す。この点に関して、
図5に示される電子濃度低減構造199は陥凹部分400を含み得る。陥凹部分400はバリア層108内に配置され得る。しかし、陥凹部分400はトランジスタ100内の他の場所に配置されてもよい。例えば、陥凹部分400は、少なくとも部分的に保護層116内にあり得るか、少なくとも部分的に緩衝層104内にあり得るか、部分的に基板層102内にあり得るか、または同様であり得る。
【0058】
一態様では、矢印402を参照すると、陥凹部分400は、22nm未満、18nm未満、14nm未満、および/または10nm未満の深さを有し得る。一態様では、第1の部分300は、8nm~20nm、8nm~12nm、10nm~14nm、12nm~16nm、および/または14nm~20nmの深さを有し得る。
【0059】
一態様では、陥凹部分400は、バリア層108の40%~100%、バリア層108の40%~60%、バリア層108の60%~80%、バリア層108の70%~90%、および/またはバリア層108の80%~100%の深さを有し得る。
【0060】
一態様では、矢印404を参照すると、陥凹部分400は、200nm~2000nm、200nm~300nm、300nm~400nm、400nm~500nm、500nm~600nm、600nm~700nm、700nm~800nm、800nm~1200nm、1200nm~1400nm、1400nm~1600nm、1600nm~1800nm、および/または1800nm~2000nmの長さを有し得る。
【0061】
一態様では、陥凹部分400は矢印404および矢印402と垂直なゲート114のエッジに沿って連続的に延び得る。一態様では、陥凹部分400は矢印404および矢印402と垂直なゲート114のエッジに沿って不連続的に延び得る。一態様では、陥凹部分400は矢印404および矢印402と垂直なゲート114のエッジに沿って部分的に延び得る。一態様では、陥凹部分400は矢印404および矢印402と垂直なゲート114のエッジに沿って選択区域内でのみ延び得る。態様によっては、陥凹部分400は形状および/または厚さが均一、不均一、および/または同様の様態であり得る。態様によっては、陥凹部分400は空であるか、誘電または絶縁材料などの、材料または異なる材料群で充填されるか、または部分的に充填され得る。一態様では、陥凹部分400は、単一または複数の層および/または領域でできた材料を用いて形成され得る。態様によっては、充填された材料は、均一な、不均一な、または変化する組成のものであり得る。
【0062】
一態様では、陥凹部分400の形成前に、バリア層108は、凹部410を形成するためにエッチングされ得る。その後、陥凹部分400は形成され得る。一態様では、陥凹部分400は保護層であり得る。一態様では、陥凹部分400は、保護層116と同じ組成を有する保護層であり得る。一態様では、陥凹部分400は保護層116であり得る。
【0063】
開示されるとおりの陥凹部分400は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114をソース110から切り離し得、電子ガス濃度を低減し得、ゲート114とドレイン112との間、および/またはゲート114とソース110との間の容量などの、容量を低減し得、ならびに同様のことをし得る。一態様では、これらの特性は、ヘテロ界面152に隣接した、その内部の、またはその付近の区域420内で現れ得る。
【0064】
図6は、本開示に係るトランジスタの別の態様の部分断面図を示す。
【0065】
具体的には、
図6は電子濃度低減構造199の第4の態様を示す。この点に関して、
図6に示される電子濃度低減構造199は部分500を含み得る。一態様では、部分500はバリア層108上に配置され得る。一態様では、部分500は保護層116に隣接し得る。一態様では、部分500は、バリア層108上に、および保護層116に隣接して配置され得る。しかし、部分500はトランジスタ100内の他の場所に配置されてもよい。例えば、部分500は、少なくとも部分的に緩衝層104内にあり得るか、部分的に基板層102内にあり得るか、または同様の様態であり得る。
【0066】
一態様では、部分500は、GaNなどの、III族窒化物であり得る。一態様では、部分500はP-GaNであり得る。一態様では、部分500は、.5e12/cm2~2e12/cm2、.8e12/cm2~1.2e12/cm2、1.2e12/cm2~2e12/cm2の範囲内のPドーパントの濃度を有するP-GaNであり得る。一態様では、Pドーパントは、亜鉛、鉄、炭素、マグネシウム、および同様のものを含み得る。他の態様では、部分500は、異なる材料、異なるPドーパント濃度、および異なるPドーパントを含み得る。一態様では、部分500はエピタキシャル成長によって成長させられ得る。一態様では、部分500はバリア層108の全長にわたってエピタキシャル成長によって成長させられ、選択的に除去され得る。
【0067】
一態様では、矢印502を参照すると、部分500は、22nm未満、18nm未満、14nm未満、および/または10nm未満の深さを有し得る。一態様では、部分500は、8nm~20nm、8nm~12nm、10nm~14nm、12nm~16nmおよび/または14nm~20nmの深さを有し得る。
【0068】
一態様では、矢印504を参照すると、部分500は、200nm~2000nm、200nm~300nm、300nm~400nm、400nm~500nm、500nm~600nm、600nm~700nm、700nm~800nm、800nm~1200nm、1200nm~1400nm、1400nm~1600nm、1600nm~1800nm、および/または1800nm~2000nmの長さを有し得る。
【0069】
一態様では、部分500は矢印504および矢印502と垂直なゲート114のエッジに沿って連続的に延び得る。一態様では、部分500は矢印504および矢印502と垂直なゲート114のエッジに沿って不連続的に延び得る。一態様では、部分500は矢印504および矢印502と垂直なゲート114のエッジに沿って部分的に延び得る。一態様では、部分500は矢印504および矢印502と垂直なゲート114のエッジに沿って選択区域内でのみ延び得る。
【0070】
開示されるとおりの部分500は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114をソース110から切り離し得、電子ガス濃度を低減し得、ゲート114とドレイン112との間、および/またはゲート114とソース110との間の容量などの、容量を低減し得、ならびに同様のことをし得る。一態様では、これらの特性は、ヘテロ界面152に隣接した、その内部の、またはその付近の区域520内で現れ得る。
【0071】
図7は、本開示に係るトランジスタの別の態様の断面図を示す。
【0072】
具体的には、
図7は、本開示の特徴のうちの1つまたは複数を含み得るトランジスタ100である。
図7は、トランジスタ100がスペーサ層117を含み得、核形成層136を含み得ることをさらに示す。
【0073】
本開示のトランジスタ100の態様では、基板層102は炭化ケイ素(SiC)またはサファイアで作製され得る。態様によっては、基板層102は、半絶縁性SiC基板、p型基板、n型基板、および/または同様のものであり得る。態様によっては、基板層102は非常に低濃度にドープされ得る。一態様では、バックグラウンド不純物レベルは低いものであり得る。一態様では、バックグラウンド不純物レベルは1E15/cm3以下であり得る。一態様では、基板層102は、6H、4H、15R、3C SiC、または同様のものの群から選択されるSiCで形成され得る。別の態様では、基板層102は、GaAs、GaN、または本明細書において説明される適用物のために適した他の材料であり得る。別の態様では、基板層102は、サファイア、スピネル、ZnO、シリコン、またはIII族窒化物材料の成長を支援する能力を有する任意の他の材料を含み得る。
【0074】
基板層102上に、緩衝層104、および/または核形成層136が形成され得る。一態様では、緩衝層104は基板層102上に形成される。一態様では、緩衝層104は基板層102上に直接形成される。一態様では、核形成層136は基板層102上に形成され得る。一態様では、核形成層136は基板層102上に直接形成され得る。説明された構造全体を通して、介在層および/または領域が可能である。
【0075】
本開示のトランジスタ100の態様では、核形成層136は、基板層102とトランジスタ100内の次の層との間の格子不整合を低減するために、基板層102上に形成され得る。核形成層136は、III族窒化物材料などの、多くの異なる材料を含み得、好適な材料はAlzGa1-zN(0<=z<=1)である。核形成層136は、金属酸化物化学蒸着(MOCVD:Metal Oxide Chemical Vapor Deposition)、ハイドライド気相エピタキシ(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)、分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)、または同様のものなどの周知の半導体成長技法を用いて基板層102上に形成され得る。さらなる態様では、核形成層136と基板層102との間に介在層が存在し得る。さらなる態様では、核形成層136と緩衝層104との間に介在層が存在し得る。
【0076】
緩衝層104は、GaN、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、窒化アルミニウム(AlN)、AlxGayIn(1-x-y)N(ここで、0<=x<=1、0<=y<=1、x+y<=1)、AlxInyGa1-x-yN(ここで、0<=x<=1および0<=y<=1)、および同様のもの、あるいは別の好適な材料などの、III族窒化物であり得、また、AlNなどの、III族窒化物材料の核形成層136も含み得る。一態様では、緩衝層104はAlGaNで形成される。緩衝層104はp型材料であり得るか、または代替的に、ドープされなくてもよい。一態様では、AlN核形成層136が、基板層102に接着するために用いられ得、緩衝層104を成長させるのを助け得る。緩衝層104は基板層102に結合し得る。一態様では、核形成層136はAlGaNであり得る。
【0077】
一態様では、緩衝層104は高純度GaNであり得る。一態様では、緩衝層104は、低ドープn型であり得る高純度GaNであり得る。一態様では、緩衝層104はまた、より良好な電子閉じ込めを達成するために、緩衝層104の、バリア層108とは反対の側において、より高いバンドギャップのIII族窒化物層を、AlGaNバックバリアなどの、バックバリアとして用い得る。
【0078】
本開示のトランジスタ100の態様では、緩衝層104上に、バリア層108が形成され得る。一態様では、バリア層108は緩衝層104上に直接形成され得る。バリア層108は、緩衝層104と、ソース110、ドレイン112、およびゲート114との間の追加の層を提供し得る。バリア層108は、AlGaN、AlN、III族窒化物、InAlGaN、または他の好適な材料であり得る。一態様では、バリア層108はAlGaNであり得る。一態様では、バリア層108はドープされなくてもよい。一態様では、バリア層108はドープされ得る。一態様では、バリア層108はn型材料であり得る。態様によっては、バリア層108は、異なるキャリア濃度を有するn型材料の複数の層を有し得る。一態様では、バリア層108はIII族窒化物またはその組合せであり得る。一態様では、緩衝層104のバンドギャップはバリア層108のバンドギャップ未満であり得る。一態様では、適切なレベルでバイアスをかけられたときに緩衝層104とバリア層108との間のヘテロ界面152において2次元電子ガス(2DEG)を形成するために、緩衝層104のバンドギャップはバリア層108のバンドギャップ未満であり得る。一態様では、バリア層108上、および/または全体構造内において、追加のIII族窒化物層もしくは領域、および/または異なる材料の他の層もしくは領域が可能である。層および/または領域のうちの任意のものは、均一な、不均一な、傾斜した、および/または変化する組成、厚さ、および/またはドーピングを有することができる。
【0079】
本開示のトランジスタ100の態様では、ソース110および/またはドレイン112はバリア層108に直接接続され得る。一態様では、ソース110および/またはドレイン112はバリア層108に間接的に接続され得る。一態様では、バリア層108は、N+材料である、ソース110および/またはドレイン112の下の領域を含み得る。一態様では、バリア層108は、Siをドープされた、ソース110および/またはドレイン112の下の領域を含み得る。
【0080】
本開示のトランジスタ100の態様では、ソース110および/またはドレイン112は緩衝層104に直接接続され得る。一態様では、ソース110および/またはドレイン112は緩衝層104に間接的に接続され得る。一態様では、緩衝層104は、N+材料である、ソース110および/またはドレイン112の下の領域を含み得る。一態様では、緩衝層104は、Siをドープされた、ソース110および/またはドレイン112の下の領域を含み得る。
【0081】
ゲート114およびドレイン112を保護および分離するために、保護層116が、緩衝層104の反対の側において、ゲート114およびドレイン112に隣接して、バリア層108上に配置され得る。保護層116は、SiN、AlO、SiO、SiO2、AlN、または同様のもので作製されたパッシベーション層、あるいはそれらの複数の層を組み込んだ組合せであり得る。一態様では、保護層116は、SiNで作製されたパッシベーション層である。一態様では、保護層116は、MOCVD、プラズマ化学蒸着(CVD)、熱フィラメントCVD、またはスパッタリングを用いて堆積させることができる。一態様では、保護層116はSi3N4の堆積を含み得る。一態様では、保護層116は絶縁層を形成する。一態様では、保護層116は絶縁体を形成する。一態様では、保護層116は誘電体であり得る。
【0082】
本開示のトランジスタ100の態様では、非導電性スペーサ層117が、ソース110とドレイン112との間のゲート114を覆うように形成され得る。一態様では、スペーサ層117は誘電体などの非導電性材料の層を含み得る。一態様では、スペーサ層117は、誘電体の多数の異なる層、または誘電体層の組合せを含み得る。一態様では、スペーサ層117は多くの異なる厚さであり得、厚さの好適な範囲はおよそ0.05~2μmである。
【0083】
一態様では、スペーサ層117は、SiN、SiO2等などの、誘電または絶縁材料などの材料を含み得る。態様によっては、スペーサ層117は、SiN、AlO、SiO、SiO2、AlN、または同様のものなどの、パッシベーション層、あるいはそれらの複数の層を組み込んだ組合せであり得る。
【0084】
本開示のトランジスタ100の態様では、緩衝層104は、フェルミ準位がバンドギャップの上半分内にある高純度型のものであるように設計され得、これは、GaN HEMTにおいて通常観察される低速トラッピング効果を最小限に抑える。この点に関して、フェルミ準位の下のトラップは常に充填され、それゆえ、低速過渡事象が防止され得る。態様によっては、緩衝層104は、良好な結晶品質を達成することと矛盾することなく、できるだけ薄いものであり得る。出願人らは、良好な品質を有する0.4μmの層をすでに実証している。
【0085】
本開示のトランジスタ100の態様では、III族窒化物核形成層136および/または緩衝層104が、MOCVD(Metalorganic Chemical Vapor Deposition(有機金属化学蒸着))、HVPE(ハイドライド気相エピタキシ)、またはMBE(分子線エピタキシ)などの、エピタキシャル結晶成長法を介して、基板層102上に成長させられ得る。核形成層の形成は基板層102の材料に依存し得る。
【0086】
本開示のトランジスタ100の態様では、緩衝層104は横方向エピタキシャル過成長(LEO:Lateral Epitaxial Overgrowth)を用いて形成され得る。LEOは、例えば、GaN層の結晶品質を改善することができる。HEMTの半導体層がエピタキシャルのものであるときには、各エピタキシャル層が上に成長させられる層はデバイスの特性に影響を及ぼし得る。例えば、LEOはエピタキシャルGaN層内の転位密度を低減し得る。
【0087】
本開示のトランジスタ100の態様では、緩衝層104は無極性GaNを含み得る。一態様では、緩衝層104は半極性GaNを含み得る。一態様では、緩衝層104はホットウォールエピタキシを含み得る。一態様では、緩衝層104は、.15μm~.25μm、.2μm~.3μm、.25μm~.35μm、.3μm~.35μm、.35μm~.4μm、.4μm~.45μm、.45μm~.5μm、.5μm~.55μm、または.15μm~.55μmの範囲内の厚さを有するホットウォールエピタキシを含み得る。
【0088】
本開示のトランジスタ100の態様では、ゲート接点がソース110とドレイン112との間のゲート114のために設けられ得る。さらに、本開示の特定の態様では、ゲート接点はバリア層108上に配設され得る。一態様では、ゲート接点はバリア層108上に直接配設され得る。
【0089】
ゲート114は、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、および/または金(Au)で形成され得る。しかし、ショットキー効果を達成するための当業者に知られた他の金属も用いられ得る。一態様では、ゲート114は、3層構造を有し得るショットキーゲート接点を含み得る。このような構造は、いくつかの材料の高い接着力のゆえに利点を有し得る。一態様では、ゲート114は高導電性金属被覆層をさらに含み得る。一態様では、ゲート114はT字形ゲートとして構成され得る。
【0090】
本開示のトランジスタ100の態様では、1つまたは複数の金属被覆層が、ソース110、ドレイン112、およびゲート114のうちの1つまたは複数の上に設けられ得る。被覆層は、Au、銀(Ag)、Al、Pt、Ti、Si、Ni、Al、および/または銅(Cu)であり得る。他の好適な高導電性金属もまた、被覆層のために用いられ得る。
【0091】
図8は、本開示に係るトランジスタの別の態様の断面図を示す。
【0092】
具体的には、
図8、本開示の特徴のうちの1つまたは複数を含み得るトランジスタ100。
図8は、トランジスタ100がフィールドプレート132を含み得ることをさらに示す。
【0093】
一態様では、フィールドプレート132はゲート114とドレイン112との間のスペーサ層117上に配置され得る。一態様では、フィールドプレート132はゲート114とドレイン112との間のスペーサ層117上に堆積させられ得る。態様によっては、フィールドプレート132はゲート114に隣接していてもよく、誘電体材料の追加のスペーサ層117が、ゲート114をフィールドプレート132から隔離するために、ゲート114を少なくとも部分的に覆うように含まれてもよい。態様によっては、フィールドプレート132はゲート114に重なってもよく、誘電体材料の追加のスペーサ層117が、ゲート114をフィールドプレート132から隔離するために、ゲート114を少なくとも部分的に覆うように含まれてもよい。
【0094】
フィールドプレート132はゲート114のエッジから異なる距離に延び得、距離の好適な範囲はおよそ0.1~2μmである。態様によっては、フィールドプレート132は多くの異なる導電材料を含み得、好適な材料は、標準的メタライゼーション方法を用いて堆積させられる、金属、または金属の組合せである。一態様では、フィールドプレート132は、チタン、金、ニッケル、チタン/金、ニッケル/金、または同様のものを含み得る。
【0095】
一態様では、フィールドプレート132はゲート114とドレイン112との間のスペーサ層117上に形成され得、フィールドプレート132はゲート114の近傍にあるが、ゲート114には重なっていない。一態様では、ゲート114とフィールドプレート132との間の空間は、ゲート114をフィールドプレート132から隔離するために十分に広く、その一方で、フィールドプレート132によってもたらされる電界効果を最大化するために十分に小さいものであり得る。
【0096】
特定の態様では、フィールドプレート132はトランジスタ100内のピーク動作電界を低減し得る。特定の態様では、フィールドプレート132はトランジスタ100内のピーク動作電界を低減し得、トランジスタ100の絶縁破壊電圧を増大させ得る。特定の態様では、フィールドプレート132はトランジスタ100内のピーク動作電界を低減し得、トランジスタ100内のトラッピングを低減し得る。特定の態様では、フィールドプレート132はトランジスタ100内のピーク動作電界を低減し得、トランジスタ100内の漏洩電流を低減し得る。
【0097】
本開示のトランジスタ100の態様では、ソース110およびドレイン112はゲート114に対して対称であり得る。スイッチデバイス適用の態様によっては、ソース110およびドレイン112はゲート114に対して対称であり得る。
【0098】
図9は、本開示に係るトランジスタを作製するためのプロセスを示す図である。
【0099】
具体的には、
図9は、本開示のトランジスタ100を作製するための例示的なプロセス800を示す。プロセス800は単なる例示にすぎず、本明細書において開示される様々な態様と矛盾することなく変更され得ることに留意されたい。
【0100】
プロセス800は、ステップ802において、基板層102を形成することによって開始し得る。基板層102は炭化ケイ素(SiC)またはサファイアで作製され得る。態様によっては、基板層102は、半絶縁性SiC基板、p型基板、n型基板、および/または同様のものであり得る。態様によっては、基板層102は非常に低濃度にドープされ得る。一態様では、バックグラウンド不純物レベルは低いものであり得る。一態様では、バックグラウンド不純物レベルは1E15/cm3以下であり得る。基板層102は、6H、4H、15R、3C SiC、または同様のものの群から選択されるSiCで形成され得る。別の態様では、基板層102は、GaAs、GaN、または本明細書において説明される適用物のために適した他の材料であり得る。別の態様では、基板層102は、スピネル、ZnO、シリコン、またはIII族窒化物材料の成長を支援する能力を有する任意の他の材料を含み得る。
【0101】
ステップ804において、緩衝層104を基板層102上に形成し得る。緩衝層104は基板層102上に成長または堆積させられ得る。一態様では、緩衝層104はGaNであり得る。別の態様では、緩衝層104はLEOを用いて形成され得る。一態様では、核形成層136を基板層102上に形成してもよく、ステップ806において、緩衝層104を核形成層136上に形成してもよい。緩衝層104は核形成層136上に成長または堆積させられ得る。一態様では、緩衝層104はGaNであり得る。別の態様では、緩衝層104はLEOを用いて形成され得る。
【0102】
ステップ806において、バリア層108を緩衝層104上に形成し得る。バリア層108はn型導電性層であり得るか、またはドープされなくてもよい。一態様では、バリア層108はAlGaNであり得る。一態様では、バリア層108は緩衝層104上に直接形成され得る。バリア層108は、緩衝層104と、ソース110、ドレイン112、およびゲート114との間の追加の層を提供し得る。バリア層108は、AlGaN、AlN、III族窒化物、InAlGaN、または他の好適な材料であり得る。一態様では、バリア層108はAlGaNであり得る。一態様では、バリア層108はドープされなくてもよい。一態様では、バリア層108はドープされ得る。一態様では、バリア層108はn型材料であり得る。態様によっては、バリア層108は、異なるキャリア濃度を有するn型材料の複数の層を有し得る。一態様では、バリア層108はIII族窒化物またはその組合せであり得る。一態様では、緩衝層104のバンドギャップはバリア層108のバンドギャップ未満であり得る。一態様では、適切なレベルでバイアスをかけられたときに緩衝層104とバリア層108との間のヘテロ界面152において2次元電子ガス(2DEG)を形成するために、緩衝層104のバンドギャップはバリア層108のバンドギャップ未満であり得る。一態様では、バリア層108上、および/または全体構造内において、追加のIII族窒化物層もしくは領域、および/または異なる材料の他の層もしくは領域が可能である。層および/または領域のうちの任意のものは、均一な、不均一な、傾斜した、および/または変化する組成、厚さ、および/またはドーピングを有することができる。
【0103】
ステップ808において、電子濃度低減構造199を形成し得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、本開示と矛盾することなく、注入部分200、第1の部分300、陥凹部分400、および/または部分500のうちの1つまたは複数と共に形成され得る。
【0104】
一態様では、注入部分200はPドーパントの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はフッ素の注入を含み得る。一態様では、注入部分200は負に帯電したフッ素の注入を含み得る。一態様では、注入部分200はバリア層108内のフッ素の注入を含み得る。一態様では、注入部分200はフッ素イオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は負に帯電したフッ素イオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はバリア層108内のフッ素イオンの注入を含み得る。一態様では、バリア層108はAlGaNバリア層であり得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するための材料の注入を含み得る。一態様では、注入部分200はアルゴンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するためのバリア層108内のアルゴンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するためのイオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200はアルゴンイオンの注入を含み得る。一態様では、注入部分200は、バリア層108を損傷するためのバリア層108内のアルゴンイオンの注入を含み得る。一態様では、バリア層108はAlGaNバリア層であり得る。一態様では、注入部分200は、注入物の均一な、不均一な、および/または変化する分布を有し得る。
【0105】
一態様では、第1の部分300の形成前に、バリア層108は、凹部310を形成するために緩衝層104までエッチングされ得る。その後、第1の部分300は凹部310内で再成長させられ得る。一態様では、第1の部分300はバリア層108と同じ材料を含み得る。一態様では、第1の部分300はバリア層108とは異なる材料を含み得る。一態様では、第1の部分300は、再成長させられ、バリア層108と同じ組成を有し得る、AlGaNなどの、III族窒化物材料を含み得る。一態様では、第1の部分300は、再成長させられ、バリア層108とは異なるAlGaNの組成を有し得る、AlGaNなどの、III族窒化物材料を含み得る。態様によっては、第1の部分300は、組成、ドーピング、および/または厚さに関して、均一に、不均一に、および/または変化する様態で延び得る。
【0106】
一態様では、陥凹部分400の形成前に、バリア層108は、凹部410を形成するためにエッチングされ得る。その後、陥凹部分400は形成され得る。一態様では、陥凹部分400は保護層であり得る。一態様では、陥凹部分400は、保護層116と同じ組成を有する保護層であり得る。一態様では、陥凹部分400は保護層116であり得る。態様によっては、陥凹部分400は形状および/または厚さが均一および/または不均一であり得る。態様によっては、陥凹部分400は空であるか、誘電または絶縁材料などの、材料または異なる材料群で充填されるか、または部分的に充填され得る。一態様では、凹部部分400このような材料は単一または複数の層および/または領域で作製される。態様によっては、充填された材料は、均一な、不均一な、または変化する組成のものであり得る。
【0107】
一態様では、部分500は、GaNなどの、III族窒化物であり得る。一態様では、部分500はP-GaNであり得る。一態様では、部分500は、.5e12/cm2~2e12/cm2、.8e12/cm2~1.2e12/cm2、1.2e12/cm2~2e12/cm2の範囲内のPドーパントの濃度を有するP-GaNであり得る。一態様では、Pドーパントは、亜鉛、鉄、炭素、マグネシウム、および同様のものを含み得る。他の態様では、部分500は、異なる材料、異なるPドーパント濃度、および異なるPドーパントを含み得る。一態様では、部分500はエピタキシャル成長によって成長させられ得る。一態様では、部分500はバリア層108の全長にわたってエピタキシャル成長によって成長させられ、選択的に除去され得る。
【0108】
ステップ810において、保護層116を形成し得る。保護層116は、バリア層108および/または電子濃度低減構造199の露出面の上に堆積させられ得る、SiN、AlO、SiO、SiO2、AlN、または同様のもの、あるいはそれらの複数の層を組み込んだ組合せなどの、パッシベーション層であり得る。
【0109】
さらに、プロセス800の間に、追加のプロセスステップ812が遂行され得る。例えば、ソース110をバリア層108上に配置し得る。ソース110は、アニールされ得る好適な材料のオーム接点であり得る。例えば、ソース110は、約500℃~約800℃の温度で約2分間アニールされ得る。しかし、他の時間および温度も利用され得る。約30秒~約10分の時間が、例えば、許容可能であり得る。態様によっては、ソース110は、Al、Ti、Si、Ni、および/またはPtを含み得る。一態様では、N+材料であるソース110の下の領域がバリア層108内に形成され得る。一態様では、ドレイン112の下の領域がSiをドープされ得る。
【0110】
さらに、プロセス812の間に、ドレイン112をバリア層108上に配置し得る。ソース110と同様に、ドレイン112はNiまたは別の好適な材料のオーム接点であり得、同じく、同様の仕方でアニールされ得る。一態様では、n+注入物がバリア層108と併せて用いられ得、注入物への接点が作製される。一態様では、N+材料であるドレイン112の下の領域がバリア層108内に形成され得る。一態様では、ドレイン112の下の領域がSiをドープされ得る。
【0111】
さらに、プロセス812の間に、ゲート114をソース110とドレイン112との間のバリア層108上に配置し得る。Ni、Pt、AU、または同様のものの層が蒸着または別の技法によってゲート114のために形成され得る。次に、ゲート構造は、PtおよびAu、あるいは他の好適な材料の堆積によって完成し得る。態様によっては、ゲート114の接点は、Al、Ti、Si、Ni、および/またはPtを含み得る。
【0112】
ソース110およびドレイン112の電極を形成してオーム接点を作り出すことができ、これにより、ゲート114電極が適切なレベルでバイアスをかけられたときに、緩衝層104とバリア層108との間のヘテロ界面152において誘起される2次元電子ガス(2DEG)を介してソース110とドレイン112の電極との間に電流が流れる。一態様では、ヘテロ界面152は、.005μm~.007μm、.007μm~.009μm、および.009μm~.011μmの範囲内にあり得る。
【0113】
ゲート114はスペーサまたは保護層116の上に延び得る。保護層116はエッチングされ得、ゲート114は、ゲート114の底部がバリア層108の表面上に載るよう堆積させられ得る。ゲート114を形成する金属は、保護層116を横切って延び、これにより、ゲート114の上部がフィールドプレート132を形成するよう、パターニングされ得る。
【0114】
さらに、プロセス812のいくつかの態様の間に、フィールドプレート132を別の保護層の上部の上に配置し得、ゲート114から分離し得る。一態様では、フィールドプレート132はゲート114とドレイン112との間のスペーサ層117上に堆積させられ得る。態様によっては、フィールドプレート132は多くの異なる導電材料を含み得、好適な材料は、標準的メタライゼーション方法を用いて堆積させられる、金属、または金属の組合せである。一態様では、フィールドプレート132は、チタン、金、ニッケル、チタン/金、ニッケル/金、または同様のものを含み得る。一態様では、複数のフィールドプレート132が用いられ得る。一態様では、複数のフィールドプレート132が用いられ得、複数のフィールドプレート132の各々はそれらの間に誘電体材料を挟んで積み重ねられ得る。一態様では、フィールドプレート132はゲート114のエッジの方でドレイン112に向かって延びている。一態様では、フィールドプレート132はソース110に向かって延びている。一態様では、フィールドプレート132はドレイン112に向かって、およびソース110に向かって延びている。別の態様では、フィールドプレート132はゲート114のエッジの方で延びていない。最後に、構造は窒化ケイ素などの誘電体スペーサ層117で覆われ得る。誘電体スペーサ層117は、同じく、保護層116と同様に実施され得る。さらに、図に示されるゲート114の断面形状は例示的なものであることに留意されたい。例えば、いくつかの態様のゲート114の断面形状はT字形の広がりを含まなくてもよい。ゲート114の他の構造が利用されてもよい。
【0115】
プロセス800のステップは、上述された態様と矛盾することなく、異なる順序で遂行され得ることに留意されたい。さらに、プロセス800は、本明細書において開示される様々な態様と矛盾することなく、より多数またはより少数のプロセスステップを有するように変更され得る。
【0116】
図10は、本開示に係るトランジスタを作製するためのプロセスを示す図である。
【0117】
具体的には、
図10は、ステップ908およびステップ910の変更を伴う、
図9と矛盾しないプロセス800を示す。上述されたとおりのステップ802、804、および806が遂行された後に、ステップ908が遂行され得る。ステップ908において、保護層116を形成し得る。保護層116は、バリア層108の露出面の上に堆積させられ得る、SiN、AlO、SiO、SiO
2、AlN、または同様のもの、あるいはそれらの複数の層を組み込んだ組合せなどの、パッシベーション層であり得る。
【0118】
ステップ910において、電子濃度低減構造199を形成し得る。一態様では、電子濃度低減構造199のための凹部が保護層116内に形成され得る。その後、電子濃度低減構造199を形成し得る。一態様では、電子濃度低減構造199は、本開示と矛盾することなく、注入部分200、第1の部分300、陥凹部分400、および/または部分500のうちの1つまたは複数と共に形成され得る。電子濃度低減構造199のこれらの態様の各々は以上において詳細に説明されている。その後、追加の保護層が電子濃度低減構造199上に形成され得る。追加の保護層は、バリア層108および/または電子濃度低減構造199の露出面の上に堆積させられ得る、SiN、AlO、SiO、SiO2、AlN、または同様のもの、あるいはそれらの複数の層を組み込んだ組合せなどの、パッシベーション層であり得る。その後、プロセス800は、上述されたとおりのステップ812と矛盾しないステップを遂行し得る。
【0119】
プロセス800のステップは、上述された態様と矛盾することなく、異なる順序で遂行され得ることに留意されたい。さらに、プロセス800は、本明細書において開示される様々な態様と矛盾することなく、より多数またはより少数のプロセスステップを有するように変更され得る。
【0120】
図11は、従来技術のトランジスタと本開示に係るトランジスタとの間のシミュレートされた比較を示す。
【0121】
具体的には、
図11は、従来技術のトランジスタ(POR)と、本開示の第1の態様を実施する本開示のトランジスタ100との間の、シミュレートされたゲート-ドレイン容量(Cgd)の比較である。Y軸は、ゲート-ドレイン容量(Cgd)をファラッド/ミリメートル(F/mm)単位で参照し、X軸は、ドレインにおける電圧(Vd)をボルト(V)単位で参照する。
【0122】
具体的には、
図11は、本開示の第1の態様を実施する本開示のトランジスタ100が、ドレインにおけるより低い電圧値(Vd)においておよそ50%のCgdの低減を示すことを示す。したがって、
図11は、ゲート隣接区域内の電子濃度を低減するための電子濃度低減構造199を実施することが、ゲート-ドレイン容量の降下、ならびに電力利得および効率の改善をもたらす、予想外の結果を示す。これらのシミュレートされた結果は、本開示の第1の態様を実施する本開示のトランジスタ100に関するものであるが、トランジスタ100の他の態様も同様の結果を同様にもたらすはずである。
【0123】
したがって、本開示は、ゲート114の周りの電子濃度を低減し得、ゲート114のエッジの周りの電子濃度を低減し得、電子濃度を低減し得、電力利得を増大させ得、効率を増大させ得、ゲート114をドレイン112から切り離し得、ゲート114をソース110から切り離し得、電子ガス濃度を低減し得、容量を低減し得、および同様のことをし得る電子濃度低減構造199を有するトランジスタ100を説明した。加えて、本明細書において説明されるように、電子濃度低減構造199は、窒化ガリウム(GaN)系高電子移動度トランジスタ(HEMT)において利用され得る。しかし、本開示は電子濃度低減構造199のこの特定の適用に限定されない。電子濃度低減構造199は、他の同様のマイクロ電子デバイスにおいて、同様の動作改善を伴って利用され得る。
【0124】
特定の態様では、本開示のトランジスタ100は増幅器において利用され得る。さらなる態様では、本開示のトランジスタ100は、無線デバイスに接続する無線基地局によって実施される増幅器において利用され得る。さらなる態様では、本開示のトランジスタ100は、無線デバイスにおいて実施された増幅器において利用され得る。
【0125】
本開示において、無線デバイスへの言及は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ゲーミングシステム、MP3プレーヤ、パーソナルコンピュータ、PDA、および同様のものなどの電子デバイスを包含することを意図されることを理解されたい。「無線デバイス」は、携帯電話、モバイル機器、移動局、ユーザ機器、セルラーフォン、スマートフォン、ハンドセット、無線ドングル、遠隔警報デバイス、モノのインターネット(IoT:Internet of things)ベースの無線デバイス、または無線ネットワークによってサポートされ得る他のモバイルコンピューティングデバイスなどの、無線通信ネットワークに接続することができる任意の適合したモバイル技術コンピューティングデバイスを包含することを意図される。
【0126】
本開示は例示的な態様に関して説明されたが、当業者は、本開示は、添付の請求項の趣旨および範囲内の変更を伴って実施することができることを認識するであろう。以上に与えられたこれらの例は単なる例示にすぎず、本開示の全ての可能な設計、態様、適用、または変更の網羅的なリストであることを意図されない。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
基板と、
前記基板上の緩衝層と、
前記緩衝層上のバリア層と、
前記バリア層に電気結合されたソースと、
前記バリア層に電気結合されたゲートと、
前記バリア層に電気結合されたドレインと、
以下の様態:前記バリア層内および前記バリア層上のうちの少なくとも一方をもって配置された電子濃度低減構造と、
を備え、
前記電子濃度低減構造が、以下のこと:前記ゲートの周りの電子濃度を低減すること、前記ゲートのエッジの周りの電子濃度を低減すること、電子濃度を低減すること、電力利得を増大させること、効率を増大させること、前記ゲートを前記ドレインから切り離すこと、前記ゲートを前記ソースから切り離すこと、および容量を低減することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、デバイス。