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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176047
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】発電素子及びセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/26 20060101AFI20231206BHJP
   H01M 4/583 20100101ALI20231206BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20231206BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01M6/26 Z
H01M4/583
H01M4/06 Z
G01N27/416 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178480
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】399131116
【氏名又は名称】トライポッド・デザイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 聰
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀樹
【テーマコード(参考)】
5H025
5H050
【Fターム(参考)】
5H025AA02
5H025CC01
5H025CC16
5H025CC38
5H025CC39
5H025CC40
5H025KK00
5H050AA01
5H050BA01
5H050CA14
5H050CA17
5H050CB07
5H050CB11
5H050FA02
5H050GA22
5H050HA03
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA09
5H050HA13
(57)【要約】
【課題】
自立した電源を提供できる発電素子を提供する。自立した電源により稼働するセンサを提供する。
【解決手段】
第一電極と、第二電極とを備え、第一電極と第二電極との間で生じた起電力を昇圧する機能を有し、第一電極及び第二電極の少なくとも1極の電極がカーボン構造体を含む、発電素子に関する。第一電極と、第二電極とを備え、第一電極と第二電極との間で生じた起電力を昇圧する機能を有し、第一電極及び第二電極の少なくとも1極の電極がカーボン構造体を含む、センサに関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、前記第一電極に非接触な第二電極と、前記第一電極および前記第二電極の両極に電気的に接続された機能部と、を備え、
前記機能部は、
前記第一電極および/または前記第二電極に媒体が接触することにより発電した電気の電圧を調整する機能を有し、
前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも1極の電極がカーボン構造体を含む、発電素子又はセンサ。
【請求項2】
前記機能部は、蓄電部と、制御部と、を備え、
前記蓄電部は、第一電極及び/又は第二電極から供給される電荷を蓄電し、
前記制御部は、前記蓄電部において蓄電に要した時間よりも短い時間で、蓄電した電荷を放出する機能を有する、請求項1に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項3】
前記カーボン構造体がカーボンナノ構造体である、請求項1又は2に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項4】
前記カーボンナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項1~3のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブの平均直径(Av)及び直径の標準偏差(σ)が、関係式:0.20<(3σ/Av)<0.80を満たす、請求項4に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブのBET比表面積が600m/g以上である、請求項4又は5に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が5以下である、請求項4~6のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項8】
前記電極がシート状である、請求項1~7のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項9】
前記シート状の電極が、カーボン構造体のみで構成されている、請求項8に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項10】
前記シート状の電極の空隙率が50%以上である、請求項8又は9に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項11】
前記電極が、カーボン構造体と、カーボン構造体とは異なる他の材料とが複合化されたものである、請求項1~8及び10のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項12】
前記電極が、カーボン構造体と、イオン含有材料とが複合化されたものである、請求項11に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項13】
前記電極が、カーボン構造体と、金属及び/又は金属含有材料とが複合化されたものである、請求項11に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項14】
前記第一電極及び前記第二電極の両極が、カーボン構造体である、請求項1~8及び10~13のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項15】
前記電極が、塗布によって形成されたものである、請求項1~14のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項16】
前記第一電極及び前記第二電極により挟持されている他の層を更に備える、請求項1~15のいずれかに記載の発電素子又はセンサ。
【請求項17】
前記第一電極及び前記第二電極の間隔が1mm以下である、請求項16に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項18】
前記他の層が絶縁層であり、前記絶縁層が前記媒体を吸収可能に構成されている、請求項16又は17に記載の発電素子又はセンサ。
【請求項19】
発電機能を備える、請求項1~18のいずれかに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電素子及びセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルタ電池やダニエル電池のように、異なる二種類の金属を電極とし、電解液に浸すことで、それぞれの電極において、酸化反応又は還元反応を生じさせ、電子の流れる経路を作り出す装置(つまり、電池)がある。
【0003】
また、可視光、熱、電波、あるいは微生物による有機物の分解処理等の微小なエネルギーを電力に変換するエネルギーハーヴェスティング技術が注目されている。エネルギーハーヴェスティング技術を利用して、自立電源として実用化する研究がなされている。
【0004】
センサ等に使用される自立電源型の装置としては、太陽光発電を利用するもの(例えば、特許文献1)が検討されているが、時間帯や天候の影響を受けやすく、安定した電力供給ができないことがある。また、微生物を用いた燃料電池発電素子(例えば、特許文献2)では、十分な発電量が得られなかった。
【0005】
電池の電解液として使用される液体は、化学やけどのおそれ、火災又は爆発のおそれ、あるいは有毒なガスの発生等、人体や環境に悪影響を与える可能性があり、電解液の取り扱いは非常に難しいものであった。加えて、製品化をする際において、液漏れを起こさないようにしなければならず、コストが増大するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-181278号公報
【特許文献2】特開2016-54053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、自立した電源を提供できる発電素子を提供することである。
【0008】
本発明の第2の目的は、自立した電源により稼働するセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、
[1]第一電極と、前記第一電極に非接触な第二電極と、前記第一電極および前記第二電極の両極に電気的に接続された機能部と、を備え、前記機能部は、前記第一電極および/または前記第二電極に媒体が接触することにより発電した電気の電圧を調整する機能を有し、前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも1極の電極がカーボン構造体を含む、発電素子又はセンサ;
[2]前記機能部は、蓄電部と、制御部と、を備え、前記蓄電部は、第一電極及び/又は第二電極から供給される電荷を蓄電し、前記制御部は、前記蓄電部において蓄電に要した時間よりも短い時間で、蓄電した電荷を放出する機能を有する、前記[1]に記載の発電素子又はセンサ;
[3]前記カーボン構造体がカーボンナノ構造体である、前記[1]又は[2]に記載の発電素子又はセンサ;
[4]前記カーボンナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[5]前記カーボンナノチューブの平均直径(Av)及び直径の標準偏差(σ)が、関係式:0.20<(3σ/Av)<0.80を満たす、前記[4]に記載の発電素子又はセンサ;
[6]前記カーボンナノチューブのBET比表面積が600m/g以上である、前記[4]又は[5]に記載の発電素子又はセンサ;
[7]前記カーボンナノチューブは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が5以下である、前記[4]~[6]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[8]前記電極がシート状である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[9]前記シート状の電極が、カーボン構造体のみで構成されている、前記[8]に記載の発電素子又はセンサ;
[10]前記シート状の電極の空隙率が50%以上である、前記[8]又は[9]に記載の発電素子又はセンサ;
[11]前記電極が、カーボン構造体と、カーボン構造体とは異なる他の材料とが複合化されたものである、前記[1]~[8]及び[10]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[12]前記電極が、カーボン構造体と、イオン含有材料とが複合化されたものである、前記[11]に記載の発電素子又はセンサ;
[13]前記電極が、カーボン構造体と、金属及び/又は金属含有材料とが複合化されたものである、前記[11]に記載の発電素子又はセンサ;
[14]前記第一電極及び前記第二電極の両極が、カーボン構造体である、前記[1]~[8]及び[10]~[13]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[15]前記電極が、塗布によって形成されたものである、前記[1]~[14]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[16]前記第一電極及び前記第二電極により挟持されている他の層を更に備える、前記[1]~[15]のいずれかに記載の発電素子又はセンサ;
[17]前記第一電極及び前記第二電極の間隔が1mm以下である、前記[16]に記載の発電素子又はセンサ;
[18]前記他の層が絶縁層であり、前記絶縁層が前記媒体を吸収可能に構成されている、前記[16]又は[17]に記載の発電素子又はセンサ;
[19]発電機能を備える、前記[1]~[18]のいずれかに記載のセンサ;
により解決することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自立した電源を提供できる発電素子を提供することができる。また、本発明によれば、自立した電源により稼働するセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態にかかる発電素子又はセンサと、媒体との接触状態を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる電極変換部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。
【0013】
(発電素子、センサ)
図1は、本発明の発電素子又はセンサ(以下、「本発明の発電素子等」ともいう)と媒体との接触状態を示すブロック図である。本発明の発電素子等は、第一電極1と、第二電極2と、機能部3とから構成されており、図1に示すように、第一電極1と第二電極2の全部又は一部が、媒体4と接触することにより発電し、機能する。第一電極1及び機能部3、並びに、機能部3及び第二電極2は、それぞれ電気的に接続されている。「電気的に接続」とは、通電可能に接続されることをいう。第一電極1及び第二電極2は、互いに非接触である。「非接触」とは、例えば、第一電極1と第二電極2とが直接接触していない状態をいう。
【0014】
第一電極1及び第二電極2の形状は、特に限定されない。第一電極1及び第二電極2の形状は、直方体状、円柱状(棒状)、角錐状、円錐状、紐状、シート状であってもよく、形状を問わない。
【0015】
第一電極1及び第二電極2は、いずれも導電性を有する。本発明の発電素子等においては、第一電極及び第二電極のいずれか少なくとも1つにおいて、電極を構成する材料としてカーボン構造体が用いられる。第一電極及び第二電極のいずれかにおいてカーボン構造体を用いない場合は、電極を構成する材料として、例えば、金属、金属含有材料、導電性ポリマーを用いることができる。
【0016】
電極に用いられる金属又は金属含有材料としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、白金、スズ、チタン、ステンレス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、又は、その他上述の金属夫々の酸化物などから適宜選択して用いることができる。また、電極において、一の金属に、該一の金属とは異なる他の金属や、他の導電性を有する材料が被膜された構成とすることもできる。
【0017】
第一電極1及び第二電極2の少なくとも一方に対して、交流インピーダンス法を用いて、分極抵抗を測定した場合に、測定値が100Ω以上であることが好ましい。
【0018】
ここで、電流の起点となる電極を第一電極1として定義し、終点となる電極を第二電極2として定義する。いずれの電極が第一電極1として機能するかは、電極の材質、又は、電極を取り巻く環境(例えば、温度、湿度、気圧、pHなど)に応じて変化する。第一電極1又は第二電極2と媒体4の界面で、化学反応が行われ、電極に自由電子が発生する。
【0019】
例えば、第一電極1と第二電極2において異なる材料を用いた場合には、標準電極電位が低い材料を用いた方が第一電極1に、標準電極電位が高い材料を用いた方が第二電極2になる。この場合、第二電極2から機能部3へ向かって電子が移動し、機能部3から第一電極1へ向かって電子が移動する。すなわち、第一電極1側から機能部3を介して第二電極2側へ電流が生じる。例えば、第二電極2では、電極を構成する金属等の活物質が媒体4中に陽イオンとして溶出して、自由電子が発生し、第一電極1では、媒体4の水中にある陽イオンが電子と反応し、電気的に中和される。
【0020】
一方、電極に同一の金属を用いた場合でも、例えば、温度、湿度、気圧、pHなど、電極の周辺環境の条件により、いずれかの電極が第一電極1として、他方の電極が第二電極2として機能し、電流が生じる。よって、2つの電極の周囲温度、湿度、気圧、pHなどの条件が変われば、第一電極1として機能していたものが第二電極2として機能し、第二電極2として機能していたものが第一電極1として機能することがある。
【0021】
第一電極1及び第二電極2から生じる起電力は、0.9V以下であることが好ましく、0.35V以下であることがより好ましく、0.25V以下であることがさらに好ましい。また、第一電極1及び第二電極2から生じる起電力は、5mV以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の発電素子等は、第一電極1と第二電極2との間に発生した電圧を調整する機能を有する。安定化する機能とは、第一電極1と第二電極2との間に発生した電圧を昇圧回路、降圧回路、又は、バッファ回路により安定化し、安定的に電力を消費できるようにする機能を有する。
【0023】
機能部3は、例えば、通電することで所定の機能を実行するものをいう。機能部3は、電力を消費して所定の機能を発揮する電力消費部、電極にて発生した電気を昇圧又は降圧する電力変換部、発生した電力を蓄電する蓄電部、回路を制御するマイコン等の制御部、他の装置と無線により通信が可能な通信部等を含むことができる。
【0024】
電力消費部としては、例えば、センサモジュールや通信モジュールを採用することができる。蓄電部は、昇圧回路又は降圧回路に含まれていてもよい。マイコン等の制御部は、回路を制御して、蓄電部に蓄電した電気を所定の条件で放出させることができる。放出された電気は、電力消費部にて消費される。また、マイコン等の制御部においても、わずかではあるが電力が消費されるため、制御部を起動させるのに必要な電力を確保しつつ、蓄電した電気を放出するように制御することができる。
【0025】
機能部3における入力インピーダンスは、1kΩ以上であることが好ましく、10kΩ以上であることがより好ましい。また、機能部3の入力インピーダンスは、非線形な電流-電圧特性(I-V特性)を有することが好ましい。非線形な電流-電圧特性とは、例えば、機能部3に電流を流した際の電圧変化において、電流値が大きくなるに従って電圧値が高くなるが、電流値が大きくなるに従って、電流値を大きくするために必要となる電圧値の上がり幅が大きくなり、電圧が電流に比例しないような場合をいう。言い換えると、機能部3に加えた電圧値が高くなるに従って電流値が大きくなるが、電圧値が高くなるに従って電流値が大きくなる度合いが小さくなり、電流値が電圧値に比例しないような場合をいう。機能部3における入力インピーダンスが非線形な電流-電圧特性を有することで、第一電極1と第二電極2との間で生じた起電力が維持されやすくなる。
【0026】
機能部3は、出力インピーダンスを変換する機能を有することが好ましい。これにより、機能部3の入力信号に与える影響を制御することができる。また、機能部3は、蓄電部を有し、第一電極及び/又は第二電極から供給される電荷を蓄積する。制御部は、電荷を蓄積するのに要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出するように制御する。
【0027】
機能部3の動作電圧の下限値は、0.9V以下で動作することが好ましい。0.35V以下で動作することがより好ましく、20mV以下で動作することがさらに好ましい。
【0028】
本発明のセンサは、機能部3においてセンサモジュールを備えることにより、自立した電源で稼働することが可能なセンサとして機能できる。また、本発明のセンサは、電極を取り巻く環境(例えば、温度、湿度、気圧、pHなど)に応じて、発生する電圧、電流が変化するため、発生した電圧、電流を測定することで、機能部3においてセンサモジュールを備えなくても、電極を取り巻く環境の変化を検知するセンサとして機能する。
【0029】
(媒体)
媒体4は、液体及び固体のうちいずれの形態であってもよい。媒体4は、ゾル又はゲル状のものであってもよい。媒体4は、第一電極1又は第二電極2との界面で、化学反応を起こし得るものであれば、特に限定されない。
【0030】
媒体4として用いられる液体も、本発電素子を構成する際に液体であれば特に限定されないが、例えば、水だけでなく、極性の高い有機溶剤や極性の低い有機溶剤、或いは、非極性の有機溶剤を用いることができる。また、媒体4として用いられる液体は、水と極性の高い有機溶剤との混合物や、異なる2種以上の有機溶剤の混合物や、エマルションなども用いることができる。
【0031】
水は純水だけでなく、電解質を含むものを用いることができる。水に含まれる電解質のうち、陽イオンの濃度は、1mol/L以下であってもよく、0.6mol/L以下であってもよく、0.1mol/L以下であってもよく、0.01mol/L以下であってもよく、0.001mol/L以下であってもよく、さらには、0.0001mol/L以下であってもよい。
【0032】
極性の高い有機溶剤としては、例えば、メタノールやエタノールなどの低級アルコール、蟻酸や酢酸などの低級カルボン酸、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。また、極性の低い有機溶剤としては、ヘキサノールやオクタノールなどの高級アルコール、ヘキサン酸やオクタン酸などの高級カルボン酸などを用いることができる。非極性の有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物があげられる。媒体4として液体を用いる場合は、単一の種類の液体のみを用いてもよいが、複数の種類の液体を混合したものを用いてもよい。
【0033】
媒体4として用いられる固体も特に限定されないが、例えば、木材、プラスチック、金属、セラミックス、コンクリートなどであってもよい。なお、媒体4として用いられる固体としては、これらの他、例えば、砂や土などの粉体状又は粒状の固体を用いることができ、さらに、複数の石や岩を重ねたものを用いることもできる。砂や土、石や岩を重ねたものを媒体4として用いた場合、媒体4中に微細な空隙が発生するが、このような空隙があったとしても、媒体4が物理的に接続されていればよい。
【0034】
媒体4の第一電極1と第二電極2間の抵抗値は、1kΩ以上であることが好ましく、10kΩ以上であることがより好ましい。
【0035】
媒体4は、水分を含むことが好ましい。砂や土などの媒体4の含水率は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、媒体4の含水率は、200質量%以下であることが好ましい。ここで、含水率とは、水分の重量を水分及び固形分の重量の和で除したものをいう。
【0036】
(発電素子等と媒体の接触状態)
本発明の発電素子等は、第一電極1と、第二電極2と、機能部3とから構成される。例えば、図1(A)に示すように、媒体4は、第一電極1と第二電極2のいずれにも接触しており、機能部3の一方の端子は第一電極1と接続され、他方の端子は第二電極2と接続されている。図1(A)の媒体4に代えて、図1(B)に示すように、相互に絶縁された媒体4a及び媒体4bを用いるようにしてもよい。媒体4a及び媒体4bは、互いに異なる種類の媒体であってもよいし、同じ種類の媒体であってもよい。図1(B)では、媒体4aと4bはそれぞれ異なる容器に収容されており、非接触の状態である。
【0037】
本発明の発電素子等は、図1(C)に示すように、第一導電部1及び第二導電部2を非接触の状態としておいてもよい。
【0038】
本発明の発電素子等は、図1(D)に示すように、複数の第一電極1a、1b、・・・1n(nは、2以上の整数)を並列に、電気的に接続するようにしてもよい。また、複数の第二電極2a、2b、・・・2m(mは、2以上の整数)を並列に、電気的に接続するようにしてもよい。なお、複数の第一電極1a、1b、・・・1nを直列に、電気的に接続するようにしてもよい。さらに、複数の第二電極2a、2b、・・・2mを直列に、電気的に接続するようにしてもよい。
【0039】
図1(E)に示すように、第一電極1の一部又は全部が絶縁部5aにより覆われ、かつ、第二電極2の一部又は全部が絶縁部5bにより覆われていてもよい。絶縁部5a及び5bを互いに接触させることで、絶縁部5a及び5bが媒体4として機能する。ここで、絶縁部5a及び5bは、互いに異なる絶縁体により構成されていてもよいし、同一の組成又は性質を有する絶縁体により構成されていてもよい。
【0040】
図1(A)~(E)に示した構成をそれぞれ組み合わせて構成してもよい。本発明の効果を奏する態様であれば、組み合わせを限定するものではない。
【0041】
(電力変換部)
図2は、本発明の実施の形態にかかる電力変換部の構成を示すブロック図である。図2(A)は、本発明の実施の形態にかかる昇圧回路の回路図である。昇圧回路又は降圧回路は、機能部3の一例であり、蓄電部を備えている。
【0042】
図示するように、インダクタL、ダイオードD、トランジスタTr、及びコンデンサCが電気的に接続されている。例えば、入力端子A1は、第一電極1と接続され、入力端子A2は、第二電極2と接続されている。出力端子B1及び出力端子B2は、電力消費部や制御部等と接続されている。なお、制御部は、昇圧回路と、第一電極1及び第二電極2との間で、昇圧回路と並列になるように接続されていてもよい。トランジスタTrがONである場合に、入力電圧VINが印加されると、インダクタLにエネルギーが蓄電される。入力電圧VINは、接続点Pと接続点Pの電位差である。トランジスタTrがOFFである場合に、入力電圧VINに由来する電気エネルギーにインダクタLに蓄電されたエネルギーが加算され、ダイオードDを介して出力される。その結果、入力電圧VINよりも接続点Pと接続点Pの電位差である出力電圧VOUTの方が高い電圧となる。昇圧回路は、入力電圧VINが所定の電圧よりも低い電圧であることを前提にするもので、所定の電圧よりも高い電圧では昇圧制御が実行されないようなものであってもよい。昇圧回路の入力電圧VINは、5mV以上であることが好ましい。なお、トランジスタTrのON/OFFは、制御部により制御される。
【0043】
図2(B)は、本発明の実施の形態にかかる降圧回路の回路図である。図示するように、トランジスタTr、インダクタL、ダイオードD、及びコンデンサCが電気的に接続される。例えば、入力端子A1は、第一電極1と接続され、入力端子A2は、第二電極2と接続されている。出力端子B1及び出力端子B2は、電力消費部や制御部等と接続されている。なお、制御部は、降圧回路と、第一電極1及び第二電極2との間で、降圧回路と並列になるように接続されていてもよい。
【0044】
トランジスタTrがONの場合には、インダクタLに電気エネルギーが蓄電される。入力電圧VINは、接続点P11と接続点P12の電位差であり、出力電圧VOUTは、接続点P13と接続点P14の電位差である。この場合、入力電圧VINは、出力電圧VOUTとほぼ等しくなる。トランジスタTrがOFFとなると、インダクタLの左端にある接続点P15の電位が接続点P14の電位よりも低くなるため、出力電圧VOUTの方が低い電圧となる。降圧回路は、入力電圧VINが所定の電圧よりも高い電圧であることを前提にするもので、所定の電圧よりも低い電圧では降圧制御が実行されないようなものであってもよい。なお、トランジスタTrのON/OFFは、制御部により制御される。
【0045】
(カーボン構造体)
第一電極及び第二電極の少なくとも1の電極を構成する材料として、カーボン構造体を用いることができる。第一電極及び第二電極の両方において、カーボン構造体を用いることもできる。カーボン構造体としては、特に限定されないが、カーボンナノ構造体があげられる。また、カーボンナノ構造体としては、特に限定されないが、カーボンナノチューブがあげられる。第一電極及び第二電極の少なくともいずれかの電極において、カーボンナノチューブを用いることで、電極の表面積が大きくなり、電流を発生させるためのより多くの化学反応が、電極の界面において発生する。その結果、得られる発電素子の出力特性が優れたものとなる。
【0046】
(カーボンナノチューブ)
カーボンナノチューブの平均直径は0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。カーボンナノチューブの平均直径は、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
【0047】
カーボンナノチューブは、平均直径(Av)と直径の標準偏差(σ)とが、関係式:0.20<(3σ/Av)<0.60を満たすことが好ましい。前記関係式を満たすカーボンナノチューブを使用することで、電極の耐屈曲性を向上させることができると共に、良好な出力特性を発揮させることができる。
【0048】
前記関係式を満たすカーボンナノチューブを得る方法としては、カーボンナノチューブの製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよく、異なる製法で得られた複数種類のカーボンナノチューブを組み合わせることにより調整してもよい。
【0049】
なお、「カーボンナノチューブの平均直径(Av)」および「カーボンナノチューブの直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)を測定して求めることができる。
【0050】
カーボンナノチューブのBET比表面積は、600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることがより好ましく、1000m/g以上であることがさらに好ましい。カーボンナノチューブのBET比表面積は、2600m/g以下であることが好ましい。BET比表面積が上記範囲内のカーボンナノチューブを使用することで、電極の耐屈曲性をさらに向上させることができると共に、発電素子の出力特性をさらに向上させることができる。なお、カーボンナノチューブの「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積である。カーボンナノチューブのBET比表面積を600m/g以上に調整する方法としては、スーパーグロース法(国際公開第2006/011655号参照)を使った単層カーボンナノチューブを使った合成方法を用いることなどがあげられる。
【0051】
カーボンナノチューブは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が0.5以上であることが好ましく、5.0以下であることが好ましく、Dバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)を0.5以上、5.0以下に調整する方法としては、スーパーグロース法(国際公開第2006/011655号参照)を使った単層カーボンナノチューブを使った合成方法を用いることなどがあげられる。
【0052】
カーボンナノチューブを含む電極を作製する方法は特に限定されないが、例えば、カーボンナノチューブと溶媒とを混合して分散液を調製し、分散液から濾過等により溶媒を除去してシート状の電極を形成する方法や、カーボンナノチューブと溶媒とを混合して分散液を調製し、分散液を基板上に塗布をし、乾燥させてカーボンナノチューブの塗膜状の電極を形成する方法などがあげられる。分散液の塗布方法としては、特に限定されないが、スプレー、印刷、ディスペンサーなどの方法が用いられる。
【0053】
カーボンナノチューブを分散させる溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0054】
得られるシートの空隙率は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。また、シートの空隙率は95%以下であることが好ましい。シートの空隙率は50%以上とすることで、電極の出力特性が優れたものとなる。シートの空隙率を50%以上とする方法は、特に限定されないが、分散液を濾過することによってシートを作製する方法などがあげられる。
【0055】
得られるシートの空隙率は、例えば、シートの断面を集束イオンビーム(FIB)で加工し、その断面をエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)で観察し、得られたC元素の可視化像からSEM観察画像中のC元素の位置を特定し、視野全体におけるC元素の占有率(A)を算出して、下記式により求めることができる。
空隙率(%)=100-A
【0056】
電極は、カーボン構造体と、カーボン構造体とは異なる他の材料とが複合化されたものとすることができる。カーボン構造体とは異なる他の材料としては、イオン含有材料又は、金属及び/若しくは金属含有材料があげられる。
【0057】
イオン含有材料としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤があげられる。アニオン系界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。アニオン系界面活性剤などのイオン含有材料を添加することにより、カーボンナノチューブ内に内在するイオン濃度、さらには電荷密度を大きくすることができるため、得られる電流量を大きくすることができる。また、イオン化ポテンシャナルが変わり電位も大きくなることがある。アニオン系界面活性剤などのイオン含有材料の添加量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、300質量部以上であることがより好ましい。アニオン系界面活性剤などのイオン含有材料の添加量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して、2000質量部以下であることが好ましく、1000質量部以下であることがより好ましい。
【0058】
金属及び/若しくは金属含有材料としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、白金、スズ、チタン、ステンレス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、又は、その他上述の金属夫々の酸化物などから適宜選択して用いることができる。金属及び/若しくは金属含有材料を添加することにより、カーボンナノチューブの酸化還元電位を変えることが可能となり、カーボンナノチューブ電極同士であっても電位を形成することが可能である。金属及び/若しくは金属含有材料の添加量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。金属及び/若しくは金属含有材料などのイオン含有材料の添加量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
【0059】
本発明の発電素子は、第一電極及び第二電極が、箔状又はシート状であるような場合に、第一電極や第二電極とは異なる他の層が第一電極及び第二電極により挟持されたような構成を有していてもよい。この場合、第一電極及び第二電極の間隔(つまり、他の層の厚さ)は1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。他の層は、絶縁層であることが好ましい。さらに、絶縁層は、多孔性を有しており、媒体を吸収することが可能なものであることが好ましい。
【0060】
絶縁層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂や、芳香族ポリアミド樹脂を含んでなる微孔膜または不織布;無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート、紙、ポリマーゲル;などを用いることができる。具体例を挙げると、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物あるいは共重合体等の樹脂からなる微多孔膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔膜;ポリオレフィン系の繊維を織ったもの又はその不織布;絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。
【実施例0061】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0062】
(製造例1)
カーボンナノチューブ(名城ナノカーボン社製、商品名:eDiPs)100質量部に、溶媒として20000質量部のエタノールを添加し、撹拌した。得られた分散液を、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、商品名:T010A090C、口径:0.1μm、直径:90mm)を用いて吸引ろ過を行った。メンブレンフィルター上に得られたろ取物を、1Lのエタノールで洗浄した。洗浄後のろ取物を十分に室温で乾燥させた後、更に真空乾燥を用い、80℃で2時間乾燥させて、厚さ50μmのカーボンナノチューブのシートを作製した。
【0063】
(製造例2)
カーボンナノチューブ(名城ナノカーボン社製、商品名:eDiPs)の代わりに、カーボンナノチューブ(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、ZEONANO(登録商標) SG101、BET比表面積:1,000m/g以上)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、カーボンナノチューブシートを作製した。
【0064】
(製造例3)
カーボンナノチューブ(名城ナノカーボン社製、商品名:eDiPs)の代わりに、カーボンナノチューブ(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、ZEONANO(登録商標) SG101、BET比表面積:1,000m/g以上)を用い、さらに、分散媒体は水とし、分散液にアニオン系界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを500質量部を添加したこと以外は、製造例1と同様にして、アニオン系界面活性剤含有のカーボンナノチューブシートを作製した。
【0065】
(製造例4)
カーボンナノチューブ(名城ナノカーボン社製、商品名:eDiPs)の代わりに、カーボンナノチューブ(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、ZEONANO(登録商標) SG101、BET比表面積:1,000m/g以上)を用い、さらに、分散液に金属材料として、亜鉛粉末100質量部を添加したこと以外は、製造例1と同様にして、亜鉛含有のカーボンナノチューブシートを作製した。
【0066】
(製造例5)
カーボンナノチューブ(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、ZEONANO(登録商標) SG101、BET比表面積:1,000m/g以上)分散媒体は水とし、分散液にアニオン系界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム500質量部を添加し得られた分散液を、キャスト法により、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、ポリイミド基板(東レ・デュポン社製、商品名:カプトンフィルム)に塗布した。その後、120℃、1時間の乾燥条件で乾燥させ、ポリイミド基板上にカーボンナノチューブの塗膜を形成した。
【0067】
(実施例1)
以下の試験は、常温、常圧で行った。第一電極としてZn箔(縦5cm×横2cm、厚さ0.1mm)と、第二電極として製造例1にて作製したカーボンナノチューブシート(縦5cm×横2cm、厚さ0.05mm)とを、Zn箔とカーボンナノチューブシートの相互の平面が平行となるように、且つ、5cmの間隔があくようにして配置した。そして、Zn箔とカーボンナノチューブシートの下端から3cmの高さまで水道水に浸した。各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例2)
第二電極として、製造例1にて作製したカーボンナノチューブシートの代わりに、製造例2にて作製したカーボンナノチューブシート(縦5cm×横2cm、厚さ0.05mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
また、実施例2において、第一電極及び第二電極に、電力消費部、電力変換部及び制御部を備える機能部を接続した。機能部には、その入力インピーダンスが1kΩ以上であり、非線形な電流-電圧特性を有するものを用いた。電力消費部には、2mA以上の電流が流れると点灯するLED電球が備えられ、電力変換部には、図2(A)に示す昇圧回路が備えられている。実施例2において、第一電極及び第二電極に機能部を接続した結果、LED電球が24時間以上、継続して点滅することを確認できた。
【0070】
(実施例3)
第二電極として、製造例1にて作製したカーボンナノチューブシートの代わりに、製造例3にて作製したカーボンナノチューブシート(縦5cm×横2cm、厚さ0.05mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
(実施例4)
第一電極として、Zn箔の代わりに、製造例4にて作製したカーボンナノチューブシート(縦5cm×横2cm、厚さ0.05mm)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例5)
第二電極として、製造例1にて作製したカーボンナノチューブシートの代わりに、製造例5にて作製したカーボンナノチューブ塗膜を、塗膜がZn箔側となるように配置したこと以外は、実施例1と同様にして、各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
(比較例1)
第二電極として、製造例1にて作製したカーボンナノチューブシートの代わりに、SUS箔(縦5cm×横2cm、厚さ0.1mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0074】
(実施例6)
第一電極として、Zn箔(縦5cm×横3cm、厚さ0.1mm)を用い、絶縁層として、不織布(厚さ100μm)を用い、第二電極として製造例2にて作製したカーボンナノチューブシート(縦5cm×横3cm、厚さ0.05mm)を用いて、第一電極、絶縁層、第二電極の順に積層し、発電素子を得た。得られた発電素子について、下端から3cmの高さまで水道水に浸した。各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例7)
カーボンナノチューブ(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、ZEONANO(登録商標) SG101、BET比表面積:1,000m/g以上)100質量部に、分散媒体は水とし、分散液にアニオン系界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム500質量部を添加し得られた分散液を、キャスト法により、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、ポリイミド基板(東レ・デュポン社製、商品名:カプトンフィルム)に塗布した。その後、120℃、1時間の乾燥条件で乾燥させ、ポリイミド基板上にカーボンナノチューブの塗膜を形成した。次に、第一電極として、Zn箔(縦5cm×横3cm、厚さ0.1mm)を用い、絶縁層として、不織布(厚さ100μm)を用い、得られたカーボンナノチューブ塗膜(縦5cm×横3cm)を用いて、カーボンナノチューブ塗膜が絶縁層に接するように、第一電極、絶縁層、第二電極の順に積層し、発電素子を得た。得られた発電素子について、下端から3cmの高さまで水道水に浸した。各電極間の電圧と電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【符号の説明】
【0077】
1 第一電極、2 第二電極、3 機能部、4 媒体、5 絶縁部
図1
図2