IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 出光興産株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176342
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20231206BHJP
   C10M 159/22 20060101ALN20231206BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20231206BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20231206BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20231206BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M159/22
C10N10:04
C10N40:25
C10N30:04
C10N30:00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088577
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】久保田 将矢
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BA08A
4H104BB08A
4H104BB33A
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104BH03A
4H104CB14A
4H104DA02A
4H104DB05C
4H104EA22C
4H104FA02
4H104PA42
(57)【要約】
【課題】使用環境に依らず、デポジット発生の抑制効果が高く、省燃費性に優れた、内燃機関に好適に使用し得る、潤滑油組成物が求められている。
【解決手段】基油(A)と、金属系清浄剤(B)を含み、成分(A)中の炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、14.0質量%以上であり、成分(B)が、塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性カルシウムサリシレート(B1)を含み、成分(B)中の成分(B1)の含有割合が、成分(B)の全量基準で、35.0質量%以上である、潤滑油組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油(A)と、金属系清浄剤(B)を含み、
成分(A)中の炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、14.0質量%以上であり、
成分(B)が、塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性カルシウムサリシレート(B1)を含み、
成分(B)中の成分(B1)の含有割合が、成分(B)の全量基準で、35.0質量%以上である、
潤滑油組成物。
【請求項2】
成分(A)中の炭素数21以下の軽質分(Lf)と、炭素数32以上の重質分(Hf)との含有量比[(Lf)/(Hf)]が、質量比で、0.05以上である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
成分(A)中の炭素数21以下の軽質分(Lf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、1.0~20.0質量%である、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
成分(B1)のカルシウム原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01~0.80質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
成分(B)の金属原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01~1.00質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
さらに粘度指数向上剤(C)を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記潤滑油組成物の40℃における動粘度が、45.0mm/s以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
前記潤滑油組成物の粘度指数が、130以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
前記潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度が、2.5mPa・s以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
前記潤滑油組成物の粘度グレードが、SAE J300:2015による分類で、0W-20~0W-30である、請求項1~9のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
ディーゼルエンジンに用いられる、請求項1~10のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を充填した、内燃機関。
【請求項13】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、請求項12に記載の内燃機関。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を、内燃機関の潤滑に適用する、内燃機関の潤滑方法。
【請求項15】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、請求項14に記載の内燃機関の潤滑方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油組成物、内燃機関、及び内燃機関の潤滑方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に使用される内燃機関には、小型高出力化、省燃費化、排ガス規制対応等、様々な要求がされており、内燃機関に用いる潤滑油組成物に対しても、このような要求に対応し得る開発が行われている。
例えば、特許文献1には、コンプレッサーデポジットの形成を抑制する性能をより向上させた潤滑油組成物を提供することを目的として、沸点500~550℃を有する留分を14質量%以上、及び沸点が550℃を超える留分を5質量%以上含有する潤滑油組成物に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-196595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、環境対応への対策として、排気ガスの一部を再度吸気させ還流させるEGRシステムを備える過給機の開発が進められている。EGRシステムを備える過給機は、過給圧を上げるとエンジンオイル由来のデポジットが発生しやすくなり、過給機の効率を低下させる要因となる。さらに、自動車等に使用される内燃機関には省燃費性が求められている。
このような状況において、使用環境に依らず、デポジット発生の抑制効果が高く、省燃費性に優れた、内燃機関に好適に使用し得る、潤滑油組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合を所定の範囲に調整した基油と、所定の塩基価の過塩基性カルシウムサリシレートを所定の割合で含む金属系清浄剤とを用いた潤滑油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。具体的には、本発明は、以下の態様を開示する。
[1]基油(A)と、金属系清浄剤(B)を含み、
成分(A)中の炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、14.0質量%以上であり、
成分(B)が、塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性カルシウムサリシレート(B1)を含み、
成分(B)中の成分(B1)の含有割合が、成分(B)の全量基準で、35.0質量%以上である、
潤滑油組成物。
[2]上記[1]に記載の潤滑油組成物を充填した、内燃機関。
[3]上記[1]に記載の潤滑油組成物を、内燃機関の潤滑に適用する、内燃機関の潤滑方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の好適な一態様の潤滑油組成物は、使用環境に依らず、デポジットの発生の抑制効果、清浄性及び安定性、並びに、省燃費性に優れる。そのため、本発明の一態様の潤滑油組成物は、例えば、内燃機関の潤滑に好適に使用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。つまり、本明細書に記載された上限値及び下限値の規定において、それぞれの選択肢の中から適宜選択して、任意に組み合わせて、下限値~上限値の数値範囲を規定することができる。
さらに、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上、100以下」という範囲であることを意味する。
加えて、本明細書に記載された好ましい態様として記載の各種要件は複数組み合わせることができる。
【0008】
〔潤滑油組成物の構成〕
本発明の一態様の潤滑油組成物は、特定の基油(A)及び特定の金属系清浄剤(B)を含むが、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の成分を含有してもよい。
例えば、粘度の温度依存性を小さく、省燃費性が良好な潤滑油組成物とする観点から、本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに、粘度指数向上剤(C)を含有してもよい。
【0009】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(A)及び(B)の合計含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは83質量%以上であり、また、100質量%以下、99.9質量%以下、99.0質量%以下、97.0質量%以下、95.0質量%以下、92.0質量%以下、又は90.0質量%以下としてもよい。
【0010】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、また、100質量%以下、99.9質量%以下、99.0質量%以下、97.0質量%以下、95.0質量%以下、92.0質量%以下、又は90.0質量%以下としてもよい。
【0011】
以下、本発明の一態様の潤滑油組成物に含まれる各成分の詳細について説明する。
【0012】
<成分(A):基油>
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(A)として用いる基油は、鉱油及び合成油から選ばれる1種以上が挙げられる。
鉱油としては、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油、ナフテン基系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる精製油;等が挙げられる。
【0013】
合成油としては、例えば、α-オレフィン単独重合体、α-オレフィン共重合体(例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体等の炭素数8~14のα-オレフィン共重合体)等のポリα-オレフィン;イソパラフィン;ポリアルキレングリコール;ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル等のエステル系油;ポリフェニルエーテル等のエーテル系油;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られる合成油(GTL)等が挙げられる。
【0014】
本発明の一態様で用いる基油(A)は、下記要件(I)を満たす。
・要件(I):成分(A)中の炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、14.0質量%以上である。
要件(I)を満たすように調整された基油(A)を用いることで、基油が蒸発し易い高温及び/又は高圧環境下で使用しても、蒸発量が抑制されて良好な流動性を有する潤滑油組成物とすることができる。その結果、良好な流動性を有する本発明の一態様の潤滑油組成物は、潤滑面に成分(B)の金属系清浄剤を行き渡らせることができ、デポジットの発生を効果的に抑制することができる。
一方で、成分(A)中の炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合が14.0質量%未満である潤滑油組成物は、高温及び/又は高圧環境下での蒸発が十分に抑制されず、流動性の低下を招き、デポジットの発生の抑制効果が不十分となる傾向にある。
【0015】
高温及び/又は高圧環境下で使用しても、良好な流動性が保持され、デポジットの発生の抑制効果が高い潤滑油組成物とする観点から、炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合は、成分(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは15.0質量%以上、より好ましくは16.0質量%以上、更に好ましくは17.0質量%以上、より更に好ましくは18.0質量%以上、特に好ましくは19.0質量%以上であり、また、省燃費性を良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは40.0質量%以下、より好ましくは37.0質量%以下、より好ましくは35.0質量%以下、より好ましくは33.0質量%以下、更に好ましくは30.0質量%以下、更に好ましくは27.0質量%以下、より更に好ましくは25.0質量%以下、特に好ましくは23.0質量%以下である。
【0016】
また、本発明の一態様で用いる基油(A)は、さらに、下記要件(IIa)及び(IIb)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、さらに、下記要件(IIa)及び(IIb)の双方を満たすことがより好ましい。
・要件(II):成分(A)中の炭素数21以下の軽質分(Lf)と、炭素数32以上の重質分(Hf)との含有量比[(Lf)/(Hf)]が、質量比で、0.05以上である。
・要件(III):成分(A)中の炭素数21以下の軽質分(Lf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、1.0質量%以上である。
要件(II)及び/又は要件(III)を満たすように調整された基油(A)を用いることで、省燃費性を向上させた潤滑油組成物とすることができる。
【0017】
省燃費性をより向上させた潤滑油組成物とする観点から、含有量比[(Lf)/(Hf)]は、好ましくは0.07以上、より好ましくは0.09以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.11以上、より更に好ましくは0.12以上、特に好ましくは0.13以上であり、さらに、0.15以上、0.17以上、0.20以上、0.23以上、0.25以上、0.27以上、又は0.30以上としてもよい。
また、高温及び/又は高圧環境下で使用しても、良好な流動性がより保持され、デポジットの発生の抑制効果がより高い潤滑油組成物とする観点から、含有量比[(Lf)/(Hf)]は、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.70以下、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.55以下、より更に好ましくは0.50以下、特に好ましくは0.48以下である。
【0018】
省燃費性をより向上させた潤滑油組成物とする観点から、炭素数21以下の軽質分(Lf)の含有割合は、成分(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは1.7質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、より更に好ましくは2.3質量%以上、特に好ましくは2.5質量%以上であり、さらに、2.7質量%以上、3.0質量%以上、3.5質量%以上、4.0質量%以上、4.5質量%以上、5.0質量%以上、5.5質量%以上、6.0質量%以上、6.5質量%以上、又は7.0質量%以上としてもよい。
また、高温及び/又は高圧環境下で使用しても、良好な流動性がより保持され、デポジットの発生の抑制効果がより高い潤滑油組成物とする観点から、炭素数21以下の軽質分(Lf)の含有割合は、成分(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、更に好ましくは12.0質量%以下、更に好ましくは10.0質量%以下、より更に好ましくは9.5質量%以下、特に好ましくは9.0質量%以下である。
【0019】
本発明の一態様で用いる成分(A)中の炭素数22以上31以下の中質分(Mf)の含有割合は、成分(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは35.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上、より好ましくは45.0質量%以上、更に好ましくは50.0質量%以上、更に好ましくは55.0質量%以上、より更に好ましくは60.0質量%以上、特に好ましくは65.0質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは83.5質量%以下、より好ましくは81.0質量%以下、更に好ましくは80.0質量%以下、更に好ましくは79.0質量%以下、より更に好ましくは78.0質量%以下、特に好ましくは77.0質量%以下である。
【0020】
なお、本明細書において、成分(A)を構成する各炭素数の成分の含有量、炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合、炭素数21以下の軽質分(Lf)の含有割合、及び、炭素数22以上31以上の中質分(Mf)の含有割合は、実施例に記載の方法に準拠して測定された値を意味する。
【0021】
本発明の一態様で用いる成分(A)の40℃における動粘度は、好ましくは10~120mm/s、より好ましくは15~100mm/s、より好ましくは20~80mm/s、更に好ましくは25~70mm/s、より更に好ましくは30~60mm/s、特に好ましくは35~50mm/sである。
【0022】
本発明の一態様で用いる成分(A)の粘度指数は、好ましくは80以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは110以上、より更に好ましくは120以上、特に好ましくは130以上である。
【0023】
動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定及び算出された値を意味する。
なお、本発明の一態様において、成分(A)として、2種以上の基油を組み合わせた混合油を用いる場合、当該混合油の動粘度及び粘度指数が上記範囲であることが好ましい。また、当該混合油を構成する基油の含有割合から算出した動粘度及び粘度指数の加重平均が、上記範囲であることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(A)の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、また、99.9質量%以下、99.5質量%以下、99.0質量%以下、97.0質量%以下、95.0質量%以下、92.0質量%以下、又は90.0質量%以下としてもよい。
【0025】
<成分(B):金属系清浄剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性カルシウムサリシレート(B1)を含む金属系清浄剤(B)を含有する。
なお、本発明の一態様で用いる成分(B)及び成分(B1)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金属系清浄剤(B)として、過塩基性カルシウムサリシレート(B1)を含有することで、高温環境下での清浄性及び安定性を向上させると共に、省燃費性にも優れた潤滑油組成物とすることができる。
なお、本発明の一態様で用いる成分(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、高温環境下での清浄性及び安定性を向上させると共に、省燃費性にも優れた潤滑油組成物とする観点から、成分(B)中の成分(B1)の含有割合は、当該潤滑油組成物に含まれる成分(B)の全量(100質量%)基準で、35.0質量%以上である。
成分(B1)の含有割合が50質量%未満である潤滑油組成物は、高温環境下での清浄性及び安定性に問題が生じ易く、また、省燃費性が低下する場合がある。
上記観点から、成分(B)中の成分(B1)の含有割合は、当該潤滑油組成物に含まれる成分(B)の全量(100質量%)基準で、好ましくは37.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上、より好ましくは45.0質量%以上、更に好ましくは50.0質量%以上、更に好ましくは55.0質量%以上、より更に好ましくは60.0質量%以上、特に好ましくは63.0質量%以上であり、また、100質量%以下、99.0質量%以下、98.0質量%以下、95.0質量%以下、90.0質量%以下、85.0質量%以下、80.0質量%以下、75.0質量%以下、又は70.0質量%以下としてもよい。
【0027】
本発明の一態様で用いる成分(B1)としては、例えば、下記一般式(b-1)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
【0028】
上記一般式(b-1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基である。
Rとして選択し得る炭化水素基としては、例えば、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルケニル基、環形成炭素数3~18のシクロアルキル基、環形成炭素数6~18のアリール基、炭素数7~18のアルキルアリール基、炭素数7~18のアリールアルキル基等が挙げられる。
【0029】
本発明の一態様で用いる成分(B1)は、過塩基性であるため、塩基価は100mgKOH/g以上である。
高温環境下での清浄性及び安定性をより向上させると共に、省燃費性にもより優れた潤滑油組成物とする観点から、本発明の一態様で用いる成分(B1)の塩基価は、好ましくは120mgKOH/g以上、より好ましくは150mgKOH/g以上、より好ましくは170mgKOH/g以上、更に好ましくは200mgKOH/g以上、更に好ましくは220mgKOH/g以上、より更に好ましくは250mgKOH/g以上、特に好ましくは270mgKOH/g以上であり、また、600mgKOH/g以下、550mgKOH/g以下、500mgKOH/g以下、450mgKOH/g以下、又は400mgKOH/g以下としてもよい。
なお、本明細書において、「塩基価」は、JIS K2501「石油製品及び潤滑油-中和価試験方法」の「9.電位差滴定法(塩基価・過塩素酸法)」に準拠した過塩素酸法により測定された値を意味する。
【0030】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、高温環境下での清浄性及び安定性をより向上させると共に、省燃費性もより優れた潤滑油組成物とする観点から、成分(B1)のカルシウム原子換算での含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、より更に好ましくは0.12質量%以上、特に好ましくは0.14質量%以上であり、また、0.80質量%以下、0.70質量%以下、0.60質量%以下、0.50質量%以下、0.40質量%以下、0.30質量%以下、0.25質量%以下、0.22質量%以下、又は0.20質量%以下とすることが好ましい。
なお、本明細書において、カルシウム原子(Ca)の含有量は、JPI-5S-38-92に準拠して測定された値を意味する。
【0031】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、高温環境下での清浄性及び安定性をより向上させると共に、省燃費性もより優れた潤滑油組成物とする観点から、成分(B1)の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.50質量%以上、より好ましくは0.70質量%以上、更に好ましくは1.00質量%以上、より更に好ましくは1.20質量%以上、特に好ましくは1.40質量%以上であり、また、8.00質量%以下、7.00質量%以下、6.00質量%以下、5.00質量%以下、4.00質量%以下、3.00質量%以下、2.50質量%以下、2.20質量%以下、又は2.00質量%以下とすることが好ましい。
【0032】
本発明の一態様の潤滑油組成物は、成分(B)として、成分(B1)以外の他の金属系清浄剤(B2)を含有してもよく、また、成分(B1)以外の他の金属系清浄剤(B2)を含有しなくてもよい。
なお、成分(B2)を含有する場合、成分(B2)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
本発明の一態様で用いる成分(B2)としては、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子を含有する有機酸金属塩化合物が挙げられ、具体的には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子を含有する、金属サリシレート(ただし、成分(B1)に該当する過塩基性カルシウムサリシレートを除く)、金属フェネート、及び金属スルホネート等が挙げられる。
金属系清浄剤に含まれる金属原子としては、高温清浄性をより向上させた潤滑油組成物とする観点から、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。
【0034】
なお、本発明の一態様で用いる成分(B2)は、中性塩、塩基性塩、過塩基性塩及びこれらの混合物のいずれであってもよい。
本発明の一態様で用いる成分(B2)の塩基価としては、好ましくは0~600mgKOH/g、より好ましくは10~600mgKOH/g、更に好ましくは20~500mgKOH/gである。
【0035】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(B)の金属原子換算での含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、より更に好ましくは0.12質量%以上、特に好ましくは0.14質量%以上であり、また、1.00質量%以下、0.90質量%以下、0.80質量%以下、0.70質量%以下、0.60質量%以下、0.50質量%以下、0.40質量%以下、0.30質量%以下、0.25質量%以下、又は0.20質量%以下とすることが好ましい。
なお、本明細書において、金属原子の含有量は、JPI-5S-38-92に準拠して測定された値を意味する。
【0036】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(B)の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.50質量%以上、より好ましくは1.00質量%以上、更に好ましくは1.50質量%以上、より更に好ましくは1.70質量%以上、特に好ましくは2,00質量%以上であり、また、8.00質量%以下、7.00質量%以下、6.00質量%以下、5.00質量%以下、4.00質量%以下、3.70質量%以下、3.50質量%以下、3.20質量%以下、3.00質量%以下、2.70質量%以下、又は2.50質量%以下としてもよい。
【0037】
<成分(C):粘度指数向上剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、成分(C)として、粘度指数向上剤を含有してもよい。粘度指数向上剤(C)を含有することで、粘度の温度依存性を小さく、省燃費性が良好な潤滑油組成物とすることができる。
なお、本発明の一態様で用いる成分(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
本発明の一態様で用いる成分(C)としては、例えば、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体等)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体等)等の重合体が挙げられる。
本発明の一態様で用いる成分(C)は、高分子量の側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多くもつ構造を有する櫛形ポリマーであってもよく、炭素原子等の一つの原子が3本以上の鎖状高分子が結合している構造を有する星形ポリマーであってもよい。
【0039】
粘度の温度依存性を小さく、省燃費性が良好な潤滑油組成物とすると共に、粘度グレードが、SAE J300:2015による粘度グレードが0W-20である潤滑油組成物に調整する観点から、本発明の一態様で用いる成分(C)は、櫛形ポリマーと分散型ポリメタクリレートとを併用することが好ましい。
櫛形ポリマーと分散型ポリメタクリレートとの含有量比〔櫛形ポリマー/分散型ポリメタクリレート〕は、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは65/35以上、更に好ましくは75/25以上、より更に好ましくは80/20以上、特に好ましくは85/15以上であり、また、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、より更に好ましくは96/4以下、特に好ましくは95/5以下である。
【0040】
粘度の温度依存性を小さく、省燃費性が良好な潤滑油組成物とすると共に、粘度グレードが、SAE J300:2015による粘度グレードが0W-30である潤滑油組成物に調整する観点から、本発明の一態様で用いる成分(C)は、非分散型ポリメタクリレートと分散型ポリメタクリレートとを併用することが好ましい。
非分散型ポリメタクリレートと分散型ポリメタクリレートとの含有量比〔非分散型ポリメタクリレート/分散型ポリメタクリレート〕は、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは65/35以上、更に好ましくは75/25以上、より更に好ましくは80/20以上、特に好ましくは85/15以上であり、また、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、より更に好ましくは96/4以下、特に好ましくは95/5以下である。
【0041】
本発明の一態様で用いる粘度指数向上剤の重量平均分子量(Mw)は、粘度の温度依存性を小さく、省燃費性が良好な潤滑油組成物とする観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは3万以上、より好ましくは5万以上、更に好ましくは7万以上、更に好ましくは10万以上、より更に好ましくは12万以上、特に好ましくは15万以上であり、さらに、17万以上、20万以上、25万以上、又は30万以上としてもよく、また、デポジットの発生を抑制し得る潤滑油組成物とする観点から、100万以下、90万以下、80万以下、70万以下、65万以下、60万以下、55万以下、又は50万以下としてもよい。
【0042】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、粘度の温度依存性を小さく、省燃費性が良好な潤滑油組成物とする観点から、成分(C)の樹脂分換算での含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上、より好ましくは0.50質量%以上、更に好ましくは0.70質量%以上、更に好ましくは0.90質量%以上、より更に好ましくは1.10質量%以上、特に好ましくは1.30質量%以上である。
また、デポジットの発生を抑制し得る潤滑油組成物とする観点から、成分(C)の樹脂分換算での含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、より更に好ましくは2.2質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
【0043】
なお、本発明の一態様で用いる成分(C)や後述の流動点降下剤、消泡剤は、通常はハンドリング性や成分(A)との溶解性を考慮し、鉱油や合成油等の希釈油により溶解された溶液の形態で市販されていることが多い。本明細書において、成分(C)、流動点降下剤、及び消泡剤の含有量は、希釈油を除外した固形分換算での含有量を意味する。
【0044】
<潤滑油用添加剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更に成分(B)~(C)以外の他の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
このような潤滑油用添加剤としては、例えば、流動点降下剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、耐摩耗剤、極圧剤、金属不活性化剤、無灰分散剤、防錆剤、消泡剤等が挙げられる。
これらの潤滑油用添加剤は、それぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
これらの潤滑油用添加剤のそれぞれの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、それぞれの添加剤ごとに独立して、通常0.001~15質量%、好ましくは0.005~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0046】
[流動点降下剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに流動点降下剤を含有してもよい。流動点降下剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる流動点降下剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
本発明の一態様で用いる流動点降下剤の質量平均分子量(Mw)は、5,000以上、7,000以上、10,000以上、15,000以上、20,000以上、25,000以上、30,000以上、35,000以上、40,000以上、45,000以上、50,000以上、55,000以上、又は60,000以上としてもよく、また、150,000以下、120,000以下、100,000以下、90,000以下、又は80,000以下としてもよい。
【0047】
[酸化防止剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アルキル化フェニルナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤;2、6-ジ-t-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6ージーtーブチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;フェノチアジン、ジオクタデシルサルファイド、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンゾイミダゾール等の硫黄系酸化防止剤;等が挙げられる。
【0048】
[摩擦調整剤及び耐摩耗剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに摩擦調整剤又は耐摩耗剤を含有してもよい。摩擦調整剤又は耐摩耗剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる摩擦調整剤及び耐摩耗剤としては、例えば、摩擦調整剤及び耐摩耗剤としては、例えば、硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド、ジアリールアルキルポリスルフィド、ジアリールポリスルフィド等の硫黄系化合物;リン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、アルキルハイドロゲンホスファイト、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩等のリン系化合物;ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン(MoDTP)、モリブテン酸のアミン塩等の有機モリブデン系化合物;ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)等の有機亜鉛系化合物;アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、ウレア系化合物、ヒドラジド系化合物等の無灰系摩擦調整剤;等が挙げられる。
【0049】
[極圧剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに極圧剤を含有してもよい。極圧剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる極圧剤としては、例えば、硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド、ジアリールアルキルポリスルフィド、ジアリールポリスルフィド等の硫黄系化合物、リン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、アルキルハイドロゲンホスファイト、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩等のリン系化合物等が挙げられる。
【0050】
[金属不活性化剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに金属不活性化剤を含有してもよい。金属不活性化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等が挙げられる。
【0051】
[無灰系分散剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、分散性を良好とする観点から、さらに無灰系分散剤を含有してもよい。無灰系分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる無灰系分散剤としては、アルケニルコハク酸イミドが好ましく、例えば、下記一般式(f-1)で表されるアルケニルコハク酸ビスイミド、下記一般式(f-2)で表されるアルケニルコハク酸モノイミド等が挙げられる。
【0052】
【化2】
【0053】
上記一般式(f-1)及び(f-2)中、Rf1、Rf2及びRf3は、それぞれ独立に、質量平均分子量(Mw)が500~3000(好ましくは900~2500)のアルケニル基である。
f1、Rf2及びRf3として選択し得る、前記アルケニル基としては、例えば、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられ、これらの中でも、ポリブテニル基又はポリイソブテニル基が好ましい。
f1、Af2及びAf3は、それぞれ独立に、炭素数2~5のアルキレン基である。
x1は0~10の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは2又は3である。
x2は1~10の整数であり、好ましくは2~5の整数、より好ましくは3又は4である。
【0054】
なお、前記一般式(f-1)又は(f-2)で表される化合物は、ホウ素化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、アルキルフェノール、環状カーボネート、エポキシ化合物、及び有機酸等から選ばれる1種以上と反応させた、変性アルケニルコハク酸イミドであってもよい。
【0055】
[防錆剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに防錆剤を含有してもよい。防錆剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
【0056】
[消泡剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに消泡剤を含有してもよい。消泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる消泡剤としては、例えば、アルキルシリコーン系消泡剤、フルオロシリコーン系消泡剤、フルオロアルキルエーテル系消泡剤等が挙げられる。
【0057】
<潤滑油組成物の製造方法>
本発明の一態様の潤滑油組成物の製造方法としては、特に制限はないが、生産性の観点から、基油(A)に、必要に応じて、成分(B)及び(C)、並びに、他の潤滑油用添加剤を配合する工程を有する、方法であることが好ましい。
【0058】
〔潤滑油組成物の性状〕
本発明の一態様の潤滑油組成物の40℃における動粘度は、省燃費性をより良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは50.0mm/s以下、より好ましくは47.0mm/s以下、更に好ましくは45.0mm/s以下であり、また、好ましくは5.0mm/s以上、より好ましくは10.0mm/s以上、更に好ましくは15.0mm/s以上、より更に好ましくは20.0mm/s以上である。
【0059】
本発明の一態様の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、省燃費性をより良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは15.0mm/s以下、より好ましくは13.0mm/s以下、更に好ましくは11.0mm/s以下であり、また、好ましくは3.0mm/s以上、より好ましくは4.0mm/s以上、更に好ましくは5.0mm/s以上である。
【0060】
本発明の一態様の潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは130以上、より好ましくは140以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは160以上、より更に好ましくは170以上、特に好ましくは180以上である。
【0061】
本発明の一態様の潤滑油組成物の粘度グレードは、SAE J300:2015による分類で、0W-20~0W-30としてもよい。
【0062】
本発明の一態様の潤滑油組成物が、SAE J300:2015による粘度グレードが0W-20である場合、当該潤滑油組成物の40℃における動粘度は、省燃費性をより良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは40.0mm/s以下、より好ましくは37.0mm/s以下、更に好ましくは35.0mm/s以下であり、また、好ましくは22.0mm/s以上、より好ましくは25.0mm/s以上、更に好ましくは27.0mm/s以上である。
【0063】
本発明の一態様の潤滑油組成物が、SAE J300:2015による粘度グレードが0W-20である場合、当該潤滑油組成物の100℃における動粘度は、省燃費性をより良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは8.0mm/s以下、より好ましくは7.7mm/s以下、更に好ましくは7.5mm/s以下であり、また、好ましくは5.5mm/s以上、より好ましくは6.0mm/s以上、更に好ましくは6.5mm/s以上である。
【0064】
本発明の一態様の潤滑油組成物が、SAE J300:2015による粘度グレードが0W-30である場合、当該潤滑油組成物の40℃における動粘度は、省燃費性をより良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは45.0mm/s以下、より好ましくは44.0mm/s以下であり、また、好ましくは25.0mm/s以上、より好ましくは30.0mm/s以上、更に好ましくは35.0mm/s以上、より更に好ましくは40.0mm/s以上である。
【0065】
本発明の一態様の潤滑油組成物が、SAE J300:2015による粘度グレードが0W-30である場合、当該潤滑油組成物の100℃における動粘度は、省燃費性をより良好とした潤滑油組成物とする観点から、好ましくは10.0mm/s以下、より好ましくは9.8mm/s以下であり、また、好ましくは6.0mm/s以上、より好ましくは7.0mm/s以上、更に好ましくは8.0mm/s以上、より更に好ましくは9.0mm/s以上である。
【0066】
本発明の一態様の潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度は、高温環境下での油膜保持性を向上させ、耐摩耗性に優れた潤滑油組成物とする観点から、好ましくは2.5mPa・s以上、より好ましくは2.6mPa・s以上であり、高温環境下での省燃費性を良好とし、さらに高圧環境下での使用にも適した潤滑油組成物とする観点から、好ましくは3.7mPa・s以下、より好ましくは3.5mPa・s以下、更に好ましくは3.4mPa・s以下、より更に好ましくは3.3mPa・s以下、特に好ましくは3.2mPa・s以下である。
本明細書において、150℃におけるHTHS粘度は、ASTM D4683に準拠して、150℃で測定した値を意味する。
【0067】
本発明の一態様の潤滑油組成物に対して、後述の実施例に記載の方法に基づいて測定及び算出した残油率は、高温及び/又は高圧環境下で使用しても、良好な流動性が保持され、デポジット発生の抑制効果が高い潤滑油組成物とする観点から、好ましくは25.0質量%以上、より好ましくは26.0質量%以上、更に好ましくは27.0質量%以上、より更に好ましくは28.0質量%以上である。
【0068】
本発明の一態様の潤滑油組成物に対して、後述の実施例に記載の方法に基づいて測定したSRV摩擦係数は、好ましくは0.08以下、より好ましくは0.07以下、更に好ましくは0.06以下、より更に好ましくは0.05以下である。
【0069】
本発明の一態様の潤滑油組成物に対して、JPI-5S-55-99に準拠して実施したホットチューブ試験における評点は、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.5以上、更に好ましくは8.0以上、より更に好ましくは8.5以上である。
なお、上記のホットチューブ試験の具体的な手順や諸条件は、後述の実施例に記載の方法のとおりである。
【0070】
〔潤滑油組成物の用途〕
本発明の一態様の潤滑油組成物は、使用環境に依らず、デポジットの発生の抑制効果、清浄性及び安定性、並びに、省燃費性に優れる。
そのため、本発明の一態様の潤滑油組成物は、例えば、内燃機関の潤滑に好適に使用し得る。
そのため、本発明の一態様の潤滑油組成物は、上記特性を発揮し得る各種装置に適用することができるが、内燃機関における各部品間の潤滑に好適に使用し得る。そして、内燃機関の中でも、特に、ディーゼルエンジンにおける各部品間の潤滑により好適に使用し得る。また、排気ガスの一部を再度吸気させ還流させるEGRシステムを備える過給機における各部品間の潤滑にも好適に使用し得る。
【0071】
このような内燃機関は、高温及び/又は高圧環境下となり易く、潤滑油組成物の蒸発量が増大して流動性が低下し易く、デポジットの発生が発生し易い環境である。また、同時に、清浄性及び安定性の低下や、省燃費性の低下も問題となり易い。
これらの問題に対して、本発明の一態様の潤滑油組成物は、使用環境に依らず、デポジットの発生の抑制効果、清浄性及び安定性、並びに、省燃費性に優れるため、このような高温及び/又は高圧環境下となり易い内燃機関の潤滑用途に対しても好適に使用することができる。
【0072】
また、本発明の一態様の潤滑油組成物の上述の特性を考慮すると、本発明は、以下の[I]及び[II]も提供し得る。
[I]上述の本発明の一態様の潤滑油組成物を充填した、内燃機関。
[II]上述の本発明の一態様の潤滑油組成物を内燃機関の潤滑に適用する、内燃機関の潤滑方法。
上記[I]及び[II]に記載の内燃機関としては、例えば、ディーゼルエンジン、排気ガスの一部を再度吸気させ還流させるEGRシステムを備える過給機が挙げられる。
【0073】
以上のとおり、本発明は、以下の態様を開示する。
[1]基油(A)と、金属系清浄剤(B)を含み、
成分(A)中の炭素数32以上の重質分(Hf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、14.0質量%以上であり、
成分(B)が、塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性カルシウムサリシレート(B1)を含み、
成分(B)中の成分(B1)の含有割合が、成分(B)の全量基準で、35.0質量%以上である、
潤滑油組成物。
[2]成分(A)中の炭素数21以下の軽質分(Lf)と、炭素数32以上の重質分(Hf)との含有量比[(Lf)/(Hf)]が、質量比で、0.05以上である、上記[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]成分(A)中の炭素数21以下の軽質分(Lf)の含有割合が、成分(A)の全量基準で、1.0~20.0質量%である、上記[1]又は[2]に記載の潤滑油組成物。
[4]成分(B1)のカルシウム原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01~0.80質量%である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[5]成分(B)の金属原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01~1.00質量%である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[6]さらに粘度指数向上剤(C)を含有する、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[7]前記潤滑油組成物の40℃における動粘度が、45.0mm/s以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[8]前記潤滑油組成物の粘度指数が、130以上である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[9]前記潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度が、2.5mPa・s以上である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[10]前記潤滑油組成物の粘度グレードが、SAE J300:2015による分類で、0W-20~0W-30である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[11]ディーゼルエンジンに用いられる、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[12]上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を充填した、内燃機関。
[13]前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、上記[12]に記載の内燃機関。
[14]上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を、内燃機関の潤滑に適用する、内燃機関の潤滑方法。
[15]前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、上記[14]に記載の内燃機関の潤滑方法。
【実施例0074】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各種物性の測定法は、下記のとおりである。
【0075】
(1)動粘度及び粘度指数
JIS K2283:2000に準拠して測定及び算出した。
(2)環分析
ASTM D-3238環分析(n-d-M法)に準拠して測定した。
(3)基油を構成する各炭素数の成分の含有量
ガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、製品名「GC-2014」)を用いて、以下の測定条件にて、標準試料とのクロマトグラムと比較することで、基油を構成する各炭素数の成分の含有量を算出した。
・カラムサイズ:4mm×3mm×1.5mm(SUS)
・カラム充填剤:Silicone OV-1 1.5%・Shinwasorb-S 60/80
・標準試料:n―ヘキサン、n―パラフィン:C8~C36標準試料
・ガス:Heガス、50mL/min
(4)塩基価(過塩素酸法)
JIS K2501「石油製品及び潤滑油-中和価試験方法」の「9.電位差滴定法(塩基価・過塩素酸法)」に準拠して測定した。
(5)カルシウム原子(Ca)の含有量
JPI-5S-38-92に準拠して測定した。
(6)重量平均分子量(Mw)
ゲル浸透クロマトグラフ装置(アジレント社製、「1260型HPLC」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「Shodex LF404」を2本、順次連結したもの。
・カラム温度:35℃
・展開溶媒:クロロホルム
・流速:0.3mL/min
(7)HTHS粘度(150℃)
ASTM D4683に準拠して、150℃で測定した。
【0076】
実施例1~6、比較例1~6
基油及び各種添加剤を、表1~2に示す配合量にて添加して混合し、潤滑油組成物をそれぞれ調製した。表1に示す実施例及び比較例では、SAE J300:2015による分類で0W-20に対応するように潤滑油組成物の粘度特性を調整している。また、表2に示す実施例及び比較例では、SAE J300:2015による分類で0W-30に対応するように潤滑油組成物の粘度特性を調整している。
なお、当該潤滑油組成物の調製に使用した、各成分の詳細は以下のとおりである。
【0077】
<成分(A):基油>
・「基油(a-1)」:APIの基油カテゴリーのグループIIIに分類される基油、40℃動粘度=7.1mm/s、粘度指数=109。
・「基油(a-2)」:APIの基油カテゴリーのグループIIIに分類される基油、40℃動粘度=18.4mm/s、粘度指数=125。
・「基油(a-3)」:APIの基油カテゴリーのグループIIIに分類される基油、40℃動粘度=32.7mm/s、粘度指数=132。
・「基油(a-4)」:APIの基油カテゴリーのグループIIIに分類される基油、40℃動粘度=43.8mm/s、粘度指数=143。
【0078】
<成分(B):金属系清浄剤>
・「過塩基性Caサリシレート(1)」:塩基価=356mgKOH/gのカルシウムサリチレート、Ca含有量=12.5質量%、成分(B1)に該当。
・「過塩基性Caサリシレート(2)」:塩基価=228mgKOH/gのカルシウムサリチレート、Ca含有量=7.9質量%、成分(B1)に該当。
・「中性Caサリシレート」:塩基価=67.4mgKOH/gのカルシウムサリチレート、Ca含有量=2.32質量%。
・「過塩基性Caスルホネート」:塩基価=305mgKOH/gのカルシウムスルホネート、Ca含有量=11.7質量%。
・「過塩基性Caフェネート」:塩基価=152mgKOH/gのカルシウムフェネート、Ca含有量=5.49質量%。
・「中性Caスルホネート」:塩基価=17mgKOH/gのカルシウムスルホネート、Ca含有量=2.4質量%。
【0079】
<成分(C):粘度指数向上剤>
・「PMA」:Mw=40万の非分散型ポリメタクリレート。
・「櫛形PMA」:Mw=31万のポリメタクリレート系櫛形ポリマー。
・「分散型OCP」:Mw=12万の分散型ポリオレフィン共重合体。
【0080】
<他の添加剤>
・「添加剤混合物」:酸化防止剤、無灰系分散剤、摩擦調整剤、消泡剤、金属不活性化剤を含む添加剤混合物。
【0081】
調製した潤滑油組成物について、40℃及び100℃動粘度、粘度指数、並びに、150℃HTHS粘度を測定又は算出すると共に、以下の各種測定及び試験を行った。これらの結果を表1~2に示す。
【0082】
(1)残油率測定
JIS K2540で規定の潤滑油熱安定度試験で使用される容器及び恒温空気浴を用い、当該容器に試料油1gを入れ、空気を流量10L/hrで恒温空気浴に流し込みながら、200℃で20時間加熱し、加熱後の試料油の残渣量を測定した。そして、下記式から残油率を算出した。
・残油率[%]=加熱後の試料油の残渣量[g]/加熱前の試料油の質量(=1g)×100
当該残油率が高いほど、高温環境下での流動性が良好であり、デポジットの抑制効果が高い潤滑油組成物であるといえる。本実施例においては、残油率が25.0%以上である場合、高温環境下での流動性が良好であり、デポジットの抑制効果が高い潤滑油組成物と判断した。
【0083】
(2)SRV試験
SRV試験機(Optimol社製)を用い、下記の条件にて、調製した各潤滑油組成物の摩擦係数を測定した。摩擦係数が低い程、摩擦低減効果に優れるため、省燃費性に優れた潤滑油組成物であるといえる。本実施例においては、摩擦係数が0.08以下である場合、省燃費性が良好な潤滑油組成物であると判断した。
・テストピース:(a)ディスク:SUJ-2材、(b)シリンダー:SUJ-2材
・振幅:1.5mm
・周波数:50Hz
・荷重:400N
・温度:40℃
【0084】
(3)ホットチューブ試験
JPI-5S-55-99に準拠してホットチューブ試験を行った。具体的には、内径2mmのガラス管に、ガラス管の温度を290℃に保ちながら、当該ガラス管内に実施例及び比較例で調製した潤滑油組成物を0.3mL/時間、及び、空気を10mL/分の速さで16時間流し続けてホットチューブ試験を実施した。そして、ホットチューブ試験後、ガラス管中に付着したラッカーと色見本とを比較してガラス管内の変色の程度を、無色透明の場合は10点、黒の場合は0点として、0.5刻みで21段階の評点をつけた。当該評点が高いほど、高温清浄性及び高温安定性に優れた潤滑油組成物であるといえる。本実施例においては、評点が7.0以上である場合、高温清浄性が良好な潤滑油組成物であると判断した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表1及び2より、実施例1~6で調製した潤滑油組成物は、高温環境下でも流動性に優れており、デポジットの発生の抑制効果が高いと考えられる。また、例えば、40℃動粘度等の粘度特性も良好であり、SRV試験で測定された摩擦係数が低いため、省燃費性にも優れる。さらに、ホットチューブ試験の評点が8.5以上と高く、高温環境下における清浄性及び安定性も良好であった。
一方で、比較例1及び4で調製した潤滑油組成物は、高温環境下での流動性が劣るため、デポジットの発生の抑制が不十分となると考えられる。また、比較例2及び5で調製した潤滑油組成物は、40℃動粘度が同じ表中の実施例に比べて高いため、省燃費性に問題があると共に、ホットチューブ試験の評点が低く、高温環境下における清浄性及び安定性に問題がある結果となった。さらに、比較例3及び6で調製した潤滑油組成物についても、SRV試験で測定された摩擦係数が高く、省燃費性についても問題があると共に、ホットチューブ試験の評点が低く、高温環境下における清浄性及び安定性に問題がある結果となった。