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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176405
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】発光モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20231206BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L21/60 311S
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088670
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】富永 紘基
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紘介
【テーマコード(参考)】
5F044
5F142
【Fターム(参考)】
5F044LL01
5F044MM35
5F044RR18
5F044RR19
5F142AA81
5F142CA13
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD32
5F142DB17
5F142FA03
(57)【要約】
【課題】生産性が高い発光モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】発光モジュール1の製造方法は、金属層13を有する配線基板10と、金属層13上に配置された第1導電部材21及び第2導電部材22と、を備える中間体20を準備する工程と、中間体20上に、第1開口部31及び第2開口部32を有するレジスト層30を配置する工程と、第1電極46及び第2電極47を含む発光素子40を、第1電極46及び第2電極47が第1導電部材21及び第2導電部材22に対向し、かつ、下面41の外縁41aの一部が第1開口部31及び第2開口部32においてレジスト層30から露出するようにレジスト層30上に配置する工程と、第1導電部材21上に第1接合部材51を形成すると共に、第2導電部材22上に第2接合部材52を形成する工程と、レジスト層30を除去する工程と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び前記上面に配置された金属層を有する配線基板と、前記金属層上に配置され前記金属層に接する第1導電部材と、前記金属層上に配置され前記第1導電部材から離隔し前記金属層に接する第2導電部材と、を備える中間体を準備する工程と、
前記中間体上に、第1開口部及び第2開口部を有し、前記第1導電部材を前記第1開口部において露出させ、前記第2導電部材を前記第2開口部において露出させるレジスト層を配置する工程と、
下面と、前記下面に相互に離隔して配置された第1電極及び第2電極と、を含む発光素子を準備し、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1導電部材及び前記第2導電部材に対向し、かつ、前記下面の外縁の一部が前記第1開口部及び前記第2開口部において前記レジスト層から露出するように前記発光素子を前記レジスト層上に配置する工程と、
前記第1導電部材上に、前記第1導電部材及び前記第1電極に接する第1接合部材を形成すると共に、前記第2導電部材上に、前記第1接合部材から離隔し、前記第2導電部材及び前記第2電極に接する第2接合部材を形成する工程と、
前記レジスト層を除去する工程と、
を備える発光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記発光素子を配置する工程において、
前記レジスト層が前記発光素子によって押圧されることにより、前記レジスト層が前記第1導電部材の端部の一部及び前記第2導電部材の端部の一部を覆う請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記レジスト層を除去する工程の後に、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材をマスクとして前記金属層を選択的に除去することにより、前記金属層を、前記第1導電部材に接する第1金属層と、前記第2導電部材に接する第2金属層と、に分離する工程と、
をさらに備える請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記金属層を分離する工程の後に、
前記第1導電部材、前記第1接合部材及び前記第1電極の露出面、並びに、前記第2導電部材、前記第2接合部材及び前記第2電極の露出面に金属膜を形成する工程と、
をさらに備える請求項3に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を電解めっき法により形成する請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記中間体を準備する工程は、
前記配線基板を準備する工程と、
前記金属層上に前記第1導電部材及び前記第2導電部材を配置する工程と、
を有する請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第1導電部材及び前記第2導電部材をめっき法により形成する請求項6に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記発光素子の前記下面の外縁形状は矩形であり、
前記発光素子を配置する工程において、前記矩形を構成する4辺のうち互いに対向する2辺の全体が前記レジスト層に接する請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項9】
上面と、前記上面に配置された第1金属層と、前記上面に配置された第2金属層と、を有する配線基板と、
前記第1金属層上に配置され、前記第1金属層に接した第1導電部材と、
前記第2金属層上に配置され、前記第2金属層に接した第2導電部材と、
前記第1導電部材上に配置され、前記第1導電部材に接した第1接合部材と、
前記第2導電部材上に配置され、前記第2導電部材に接した第2接合部材と、
下面と、前記下面に配置され前記第1接合部材に接した第1電極と、前記下面に配置され前記第2接合部材に接した第2電極と、を有し、前記下面が前記配線基板の上面に対向した発光素子と、を備え、
平面視で、前記第1導電部材の端部の一部は前記第1接合部材から露出し、前記第2導電部材の端部の一部は前記第2接合部材から露出する発光モジュール。
【請求項10】
平面視で、前記第1導電部材における前記第1接合部材から露出した部分及び前記第2導電部材における前記第2接合部材から露出した部分は、前記第1接合部材と前記第2接合部材との間に配置されている請求項9に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚の配線基板に多数の半導体素子を搭載した発光モジュールが開示されている。このような発光モジュールにおいては、さらなる生産性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-103774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、生産性を向上できる発光モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、上面及び前記上面に配置された金属層を有する配線基板と、前記金属層上に配置され前記金属層に接する第1導電部材と、前記金属層上に配置され前記第1導電部材から離隔し前記金属層に接する第2導電部材と、を備える中間体を準備する工程と、前記中間体上に、第1開口部及び第2開口部を有し、前記第1導電部材を前記第1開口部において露出させ、前記第2導電部材を前記第2開口部において露出させるレジスト層を配置する工程と、下面と、前記下面に相互に離隔して配置された第1電極及び第2電極と、を含む発光素子を準備し、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1導電部材及び前記第2導電部材に対向し、かつ、前記下面の外縁の一部が前記第1開口部及び前記第2開口部において前記レジスト層から露出するように前記発光素子を前記レジスト層上に配置する工程と、前記第1導電部材上に、前記第1導電部材及び前記第1電極に接する第1接合部材を形成すると共に、前記第2導電部材上に、前記第1接合部材から離隔し、前記第2導電部材及び前記第2電極に接する第2接合部材を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、を備える。
【0006】
本発明の実施形態に係る発光モジュールは、上面と、前記上面に配置された第1金属層と、前記上面に配置された第2金属層と、を有する配線基板と、前記第1金属層上に配置され、前記第1金属層に接した第1導電部材と、前記第2金属層上に配置され、前記第2金属層に接した第2導電部材と、前記第1導電部材上に配置され、前記第1導電部材に接した第1接合部材と、前記第2導電部材上に配置され、前記第2導電部材に接した第2接合部材と、下面と、前記下面に配置され前記第1接合部材に接した第1電極と、前記下面に配置され前記第2接合部材に接した第2電極と、を有し、前記下面が前記配線基板の上面に対向した発光素子と、を備える。平面視で、前記第1導電部材の端部の一部は前記第1接合部材から露出し、前記第2導電部材の端部の一部は前記第2接合部材から露出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、生産性を向上できる発光モジュール及びその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図2A図2Aは、図1に示すIIA-IIA線による端面図である。
図2B図2Bは、図1に示すIIB-IIB線による端面図である。
図2C図2Cは、図1に示すIIC-IIC線による端面図である。
図2D図2Dは、図1に示すIID-IID線による端面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図4A図4Aは、図3に示すIVA-IVA線による端面図である。
図4B図4Bは、図3に示すIVB-IVB線による端面図である。
図4C図4Cは、図3に示すIVC-IVC線による端面図である。
図4D図4Dは、図3に示すIVD-IVD線による端面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図6A図6Aは、図5に示すVIA-VIA線による端面図である。
図6B図6Bは、図5に示すVIB-VIB線による端面図である。
図6C図6Cは、図5に示すVIC-VIC線による端面図である。
図6D図6Dは、図5に示すVID-VID線による端面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図8A図8Aは、図7に示すVIIIA-VIIIA線による端面図である。
図8B図8Bは、図7に示すVIIIB-VIIIB線による端面図である。
図8C図8Cは、図7に示すVIIIC-VIIIC線による端面図である。
図8D図8Dは、図7に示すVIIID-VIIID線による端面図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図10A図10Aは、図9に示すXA-XA線による端面図である。
図10B図10Bは、図9に示すXB-XB線による端面図である。
図10C図10Cは、図9に示すXC-XC線による端面図である。
図10D図10Dは、図9に示すXD-XD線による端面図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図12A図12Aは、図11に示すXIIA-XIIA線による端面図である。
図12B図12Bは、図11に示すXIIB-XIIB線による端面図である。
図12C図12Cは、図11に示すXIIC-XIIC線による端面図である。
図12D図12Dは、図11に示すXIID-XIID線による端面図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図14A図14Aは、図13に示すXIVA-XIVA線による端面図である。
図14B図14Bは、図13に示すXIVB-XIVB線による端面図である。
図14C図14Cは、図13に示すXIVC-XIVC線による端面図である。
図14D図14Dは、図13に示すXIVD-XIVD線による端面図である。
図15図15は、第1の実施形態に係る発光モジュールを示す平面図である。
図16A図16Aは、図15に示すXVIA-XVIA線による端面図である。
図16B図16Bは、図15に示すXVIB-XVIB線による端面図である。
図16C図16Cは、図15に示すXVIC-XVIC線による端面図である。
図16D図16Dは、図15に示すXVID-XVID線による端面図である。
図17A図17Aは、第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す端面図である。
図17B図17Bは、第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す端面図である。
図17C図17Cは、第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図は模式的なものであり、適宜強調又は簡略化されている。また、図間において、各構成要素の寸法比は必ずしも整合していない。
【0010】
以下、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法について説明する。
先ず、概略的に説明する。
本実施形態に係る発光モジュール1の製造方法は、上面16及び上面16に配置された金属層13を有する配線基板10と、金属層13上に配置され金属層13に接する第1導電部材21と、金属層13上に配置され第1導電部材21から離隔し金属層13に接する第2導電部材22と、を備える中間体20を準備する工程と、中間体20上に、第1開口部31及び第2開口部32を有し、第1導電部材21を第1開口部31において露出させ、第2導電部材22を第2開口部32において露出させるレジスト層30を配置する工程と、下面41と、下面41に相互に離隔して配置された第1電極46及び第2電極47と、を含む発光素子40を準備し、第1電極46及び第2電極47が第1導電部材21及び第2導電部材22に対向し、かつ、下面41の外縁41aの一部が第1開口部31及び第2開口部32においてレジスト層30から露出するように発光素子40をレジスト層30上に配置する工程と、第1導電部材21上に、第1導電部材21及び第1電極46に接する第1接合部材51を形成すると共に、第2導電部材22上に、第1接合部材51から離隔し、第2導電部材22及び第2電極47に接する第2接合部材52を形成する工程と、レジスト層30を除去する工程と、を備える。以下、詳細に説明する。
【0011】
<中間体を準備する工程>
先ず、中間体20を準備する。
図1は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図2Aは、図1に示すIIA-IIA線による端面図である。
図2Bは、図1に示すIIB-IIB線による端面図である。
図2Cは、図1に示すIIC-IIC線による端面図である。
図2Dは、図1に示すIID-IID線による端面図である。
図3は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図4Aは、図3に示すIVA-IVA線による端面図である。
図4Bは、図3に示すIVB-IVB線による端面図である。
図4Cは、図3に示すIVC-IVC線による端面図である。
図4Dは、図3に示すIVD-IVD線による端面図である。
【0012】
図1図2Dに示すように、配線基板10を準備する。配線基板10は、基材11、配線12、及び、金属層13を有する。配線基板10は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)基板である。配線基板10は上面16を有する。
【0013】
配線12は基材11の内部に多層に配置されている。なお、図2A図2Dにおいては、最上層の配線12のみを示し、他の配線12は省略している。後述する他の端面図においても同様である。基材11の上面には、配線12を基材11から露出させるための複数の第1凹部14が配置されている。平面視で、第1凹部14は例えば行列状に配置されている。第1凹部14の底においては、配線12が基材11から露出している。第1凹部14の平面視形状は矩形である。なお、第1凹部14の平面視形状は、三角形、四角形又は六角形等の多角形、円形、楕円形等の種々の形状であってもよい。また多角形の角部が面取りされたような形状であってもよい。
【0014】
以下、本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。第1凹部14の配列方向を、「X方向」及び「Y方向」とする。また、配線基板10の厚さ方向を「Z方向」とする。Z方向のうち、第1凹部14が設けられている側を「上」ともいい、その反対側を「下」ともいうが、この表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。本明細書における「平面視で」との表現は、上(Z方向)から見た場合を示している。
【0015】
金属層13は、配線基板10の上面16に配置されている。金属層13の材料は、例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)からなる群より選択された一種以上の金属、又はその合金である。例えば、放熱性の観点から、金属層13の材料として銅を用いることが好ましい。
【0016】
金属層13は、例えば、平面視において格子状であり、Y方向に帯状に延びる複数の第1部分13c及び複数の第2部分13dと、X方向に帯状に延びる第3部分13eを含む。第1部分13cと第2部分13dは、X方向に沿って交互に且つ相互に離隔して配列されている。各第1部分13c及び各第2部分13dは、Y方向に沿って一列に配列された複数の第1凹部14を覆っている。金属層13は複数の第1凹部14を被覆し、第1凹部14の底に露出する配線12に接続される。
【0017】
これにより、金属層13は、後述する第1導電部材21及び第2導電部材22、第1接合部材51及び第2接合部材52を電解めっき法により形成するためのシード層として用いることができる。なお、本明細書において「接続」とは、特に断りのない限り、電気的な接続をいう。金属層13の厚さ、すなわち、Z方向の長さは、電解めっき法のシード層として機能することができる厚さを有していればよく、また電解めっき後のシード層のエッチングのしやすさ等を考慮して、例えば100nm~500nmが挙げられる。第1凹部14を被覆する金属層13の上面には、第1凹部14の形状に沿った形状の第2凹部17が配置されている。平面視において第1凹部14と第2凹部17とは重なって配置されている。
【0018】
次に、図3図4Dに示すように、金属層13上に第1導電部材21及び第2導電部材22を配置する。第1導電部材21及び第2導電部材22は、それぞれが1つの第2凹部17を覆うように配置する。第1導電部材21は第1部分13c上に配置され、第1部分13cに接する。第2導電部材22は第2部分13d上に配置され、第2部分13dに接する。第1導電部材21及び第2導電部材22の材料は、例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)からなる群より選択された一種以上の金属、又はその合金である。例えば、放熱性の観点から、第1導電部材21及び第2導電部材22の材料として銅を用いることが好ましい。
【0019】
第1導電部材21及び第2導電部材22は、めっき法により形成することができる。例えば、電解めっき法若しくは無電解めっき法等の湿式めっき、又は、スパッタ法若しくは蒸着法等の乾式めっきにより形成することができる。なかでも電解めっき法が好ましい。電解めっき法は、めっきの形成速度が速く、量産性を高めることができる。
【0020】
金属層13の各第1部分13c上には複数の第1導電部材21が、Y方向に沿って一列に配列されている。金属層13の各第2部分13d上には複数の第2導電部材22が、Y方向に沿って一列に配列されている。平面視で、第1導電部材21のX方向両側の外縁は第1部分13cの外縁と略一致しており、第2導電部材22のX方向両側の外縁は第2部分13dの外縁と略一致している。
【0021】
第1導電部材21及び第2導電部材22の厚さは、第2凹部17の深さよりも大きいことが好ましい。第2凹部17の深さとは、金属層13における、第2凹部17の底から第2凹部17を囲む上面までの高さ、すなわち、Z方向の長さである。これにより、第1導電部材21の上端及び第2導電部材22の上端を、金属層13の上面よりも上方に配置させることができる。図3図4Dに示す例では、各第1導電部材21及び各第2導電部材22の形状は、例えば、下部は第2凹部17を反映した形状、例えば、四角錐台形であり、上部は中央部が盛り上がった半球状又は半楕円球状である。
【0022】
第1導電部材21及び第2導電部材22の平面視形状は、例えば角部が丸められた略四角形である。さらに、平面視において、第1導電部材21及び第2導電部材22は、第2凹部17を内包することが好ましい。具体的には、平面視における第1導電部材21及び第2導電部材22の端部の少なくとも一部、好ましくは全てが、金属層13の第2凹部17を囲む上面上に配置されることが好ましい。これにより、金属層13の第2凹部17を、第1導電部材21及び第2導電部材22によって埋めることができる。
【0023】
このようにして、中間体20が準備される。中間体20は、配線基板10と、第1導電部材21と、第2導電部材22と、を備える。配線基板10は、上面16及び上面16に配置された金属層13を有する。第1導電部材21は金属層13の第1部分13c上に配置され第1部分13cに接する。第2導電部材22は金属層13の第2部分13d上に配置され第2部分13dに接する。第1導電部材21と第2導電部材22とは離隔している。中間体20は、製造することにより準備してもよく、外部から購入等によって入手することにより準備してもよい。中間体20を製造する場合は、上述の方法によって製造してもよく、他の方法によって製造してもよい。
【0024】
<レジスト層を配置する工程>
次に、中間体20上に、レジスト層30を配置する。
図5は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図6Aは、図5に示すVIA-VIA線による端面図である。
図6Bは、図5に示すVIB-VIB線による端面図である。
図6Cは、図5に示すVIC-VIC線による端面図である。
図6Dは、図5に示すVID-VID線による端面図である。
【0025】
レジスト層30は、例えば、フォトリソグラフィ法により形成する。図5図6Dに示すように、平面視で、レジスト層30の形状は例えば格子状であり、行列状に配置される複数の第1開口部31及び第2開口部32を有する。第1開口部31及び第2開口部32は、レジスト層30をZ方向において貫通している。レジスト層30においては、複数の第1開口部31がY方向に沿って一列に配列された列と、複数の第2開口部32がY方向に沿って一列に配列された列が、X方向に沿って交互に配列されている。
【0026】
各第1開口部31及び各第2開口部32においては、それぞれ1つの第1導電部材21及び1つの第2導電部材22が露出している。第1導電部材21及び第2導電部材22は、各開口部のX方向両端部に近接して配置されている。つまり、レジスト層30は、平面視において、第1開口部31及び第2開口部32それぞれの開口縁が、X方向に隣接して配置される1つの第1導電部材21及び1つの第2導電部材22をまとめて囲むように中間体20上に配置されている。
【0027】
これにより、第1導電部材21及び第2導電部材22のそれぞれは、三方向(すなわち、X方向の一方側及びY方向の両側)をレジスト層30に囲まれ、X方向の他方側はレジスト層30に囲まれない。ここで、レジスト層30に囲まれるとは、平面視においてレジスト層30の開口縁に近接することをいう。例えば、平面視において、第1導電部材21及び第2導電部材22とレジスト層30とが近接する距離は、レジスト層30の厚さ以下である。レジスト層30は第1導電部材21及び第2導電部材22のレジスト層に近接する三方向において、第1導電部材21及び第2導電部材22に接していてもよい。
【0028】
レジスト層30の厚さは、第2凹部17の周囲に配置された金属層13の上面から第1導電部材21及び第2導電部材22の上端までの距離よりも大きいことが好ましい。レジスト層30の厚さは、第1導電部材21及び第2導電部材22の厚さの1.4倍~2.6倍とすることが好ましい。例えば、レジスト層30の厚さは3.5μm~4.0μmとする。
【0029】
<発光素子をレジスト層上に配置する工程>
次に、発光素子40をレジスト層30上に配置する
図7は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図8Aは、図7に示すVIIIA-VIIIA線による端面図である。
図8Bは、図7に示すVIIIB-VIIIB線による端面図である。
図8Cは、図7に示すVIIIC-VIIIC線による端面図である。
図8Dは、図7に示すVIIID-VIIID線による端面図である。
【0030】
図7図8Dに示すように、発光素子40を準備する。発光素子40は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。発光素子40の形状は、例えば、四角錐台形又は直方体とすることができる。発光素子40の形状が四角錐台形又は直方体である場合、発光素子40は、下面41、下面41と反対側の上面42、下面41と上面42との間に配置された4つの側面43を有する。下面41の外縁形状は矩形である。例えば、発光素子40は、上面42が下面41より大きい四角錐台形である。また、発光素子40は、半導体積層体45と、第1電極46と、第2電極47と、を含む。第1電極46及び第2電極47は、下面41において相互に離隔して配置されている。
【0031】
次に、発光素子40をレジスト層30上に配置する。発光素子40は、レジスト層30の格子状の格子点の少なくとも1つが発光素子40の下面に接するようにレジスト層30上に配置される。このとき、発光素子40の第1電極46を、第1開口部31において、レジスト層から露出する第1導電部材21に対向させると共に、第2電極47を、第2開口部32において、レジスト層30から露出する第2導電部材22に対向させる。発光素子40はレジスト層30によって支持されており、中間体20とは離れている。つまり、発光素子40の第1電極46は中間体20の第1導電部材21からZ方向に離れており、第2電極47は第2導電部材22からZ方向に離れている。
【0032】
発光素子40は、発光素子40の下面41の外縁41aの一部が、レジスト層30の第1開口部31及び第2開口部32においてレジスト層30から露出するように配置される。具体的には、発光素子40の下面41の外縁41aの形状が矩形である場合は、この矩形を構成する4辺のうち、互いに対向する2辺(例えばX方向に延びる2辺)は、その全体がレジスト層30に接し、互いに対向する他の2辺(例えばY方向に延びる2辺)の一部は、第1開口部31及び第2開口部32においてレジスト層30から露出するようにレジスト層30上に配置する。
【0033】
発光素子40をレジスト層30上に配置する際、発光素子40によってレジスト層30を押圧することが好ましい。これにより、発光素子40をレジスト層上に、より強固に固定することができる。またこの際、Z方向にレジスト層30が押圧されることにより、レジスト層30がXY平面に沿って拡がり、第1開口部31及び第2開口部32の面積が小さくなる。この結果、レジスト層30が第1導電部材21の端部の一部21a、及び、第2導電部材22の端部の一部22aを覆う。具体的には、第1導電部材21及び第2導電部材22のそれぞれは、レジスト層30によって囲まれていた三方、すなわち、X方向の一方側及びY方向の両側の端部がレジスト層30によって覆われ、X方向の他方側の端部はレジスト層30によって覆われないままである。つまり、第1導電部材21及び第2導電部材22のそれぞれは、X方向の一方側及びY方向の両側の端部がレジスト層30に接しており、X方向の他方側の端部はレジスト層30と離隔している。
【0034】
<第1接合部材及び第2接合部材を形成する工程>
次に、第1接合部材51及び第2接合部材52を形成する。具体的には、第1導電部材21上に、第1導電部材21及び第1電極46に接する第1接合部材51を形成すると共に、第2導電部材22上に、第1接合部材51から離隔し、第2導電部材22及び第2電極47に接する第2接合部材52を形成する。
【0035】
図9は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図10Aは、図9に示すXA-XA線による端面図である。
図10Bは、図9に示すXB-XB線による端面図である。
図10Cは、図9に示すXC-XC線による端面図である。
図10Dは、図9に示すXD-XD線による端面図である。
【0036】
図9図10Dに示すように、第1導電部材21上に第1接合部材51を形成すると共に、第2導電部材22上に第2接合部材52を形成する。第1接合部材51及び第2接合部材52の材料は、例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)からなる群より選択された一種以上の金属又はその合金とすることができる。第1導電部材21及び第2導電部材22と同様に、放熱性の観点からは、第1接合部材51及び第2接合部材52の材料として銅を用いることが好ましい。
【0037】
第1接合部材51及び第2接合部材52は、電解めっき法により形成することができる。電解めっき法により第1接合部材51及び第2接合部材52を形成する場合は、金属層13、第1導電部材21及び第2導電部材22が、電解めっきのシード層となる。めっき液101は、X方向において隣り合う発光素子40の隙間からレジスト層30の第1開口部31内及び第2開口部32内に進入し、第1導電部材21及び第2導電部材22に接触する。
【0038】
第1接合部材51は第1導電部材21を起点としてめっき成長し、発光素子40の第1電極46に到達する。これにより、第1接合部材51は第1導電部材21及び第1電極46に接することができる。また、第2接合部材52は第2導電部材22を起点としてめっき成長し、発光素子40の第2電極47に到達する。これにより、第2接合部材52は第2導電部材22及び第2電極47に接することができる。
【0039】
中間体20の上面における第1導電部材21と第2導電部材22とが離隔する領域のうち、一部の領域はレジスト層30に覆われており、めっき液101が浸入しない。また、レジスト層30から露出する他の領域(つまり第1開口部31又は第2開口部32)には、めっき液101が浸入する。但し、第1開口部31及び第2開口部32における、第1導電部材21及び第2導電部材22が離隔する領域には金属層13が配置されていない。つまり、第1開口部31及び第2開口部32における第1導電部材21と第2導電部材22とが離隔する領域にはめっきが成長するための起点が配置されていない。このため、第1導電部材21を起点として成長する第1接合部材51と、第2導電部材22を起点として成長する第2接合部材52とを、離隔して成長させることができる。
【0040】
また、第1導電部材21におけるレジスト層30で覆われた端部の一部21aは、レジスト層30がマスクとなり、めっき液に接触しないため、第1接合部材51は配置されない。同様に、第2導電部材22におけるレジスト層30で覆われた部分22aは、第2接合部材52は配置されない。したがって、平面視で、第1導電部材21の端部の一部21aは第1接合部材51から露出し、第2導電部材22の端部の一部22aは第2接合部材52から露出する。
このようにして、配線基板10と、レジスト層30と、発光素子40と、第1接合部材と第2接合部材とを含む中間構造体が得られる。
【0041】
<レジスト層を除去する工程>
次に、レジスト層30を除去する。
図11は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図12Aは、図11に示すXIIA-XIIA線による端面図である。
図12Bは、図11に示すXIIB-XIIB線による端面図である。
図12Cは、図11に示すXIIC-XIIC線による端面図である。
図12Dは、図11に示すXIID-XIID線による端面図である。
【0042】
上述した工程を経て得られた中間構造体を、例えばレジスト剥離液に浸漬することにより、レジスト層30を除去する。これにより、図11図12Dに示すように、第1導電部材21及び第2導電部材22、第1接合部材51及び第2接合部材52、第1電極46及び第2電極47におけるレジスト層30に接していた表面が露出する。
【0043】
<金属層を分離する工程>
次に、金属層13を第1金属層13aと第2金属層13bに分離する。
図13は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す平面図である。
図14Aは、図13に示すXIVA-XIVA線による端面図である。
図14Bは、図13に示すXIVB-XIVB線による端面図である。
図14Cは、図13に示すXIVC-XIVC線による端面図である。
図14Dは、図13に示すXIVD-XIVD線による端面図である。
【0044】
ここでは、金属層13の一部を除去することで、第1金属層13aと第2金属層13bとに分離することができる。具体的には、第1導電部材21及び第2導電部材22をマスクとして金属層13を選択的に除去することにより、金属層13を、第1導電部材21に接する第1金属層13aと、第2導電部材22に接する第2金属層13bとに分離する。金属層13の除去は、エッチングにより行うことができる。エッチングは、例えば、ウェットエッチングとする。これにより、図13図14Dに示すように、金属層13が選択的に除去される。すなわち、金属層13のうち、第1導電部材21及び第2導電部材22に覆われている部分が残留し、それ以外の部分が除去される。この際、第1導電部材21の一部、第2導電部材22の一部、第1接合部材51の一部、及び、第2接合部材52の一部もエッチングされるが、X方向及びY方向におけるこれらの部材の長さと比較して、金属層13の厚さは十分に小さいため、金属層13を選択的に除去することできる。金属層13の厚さは、例えば、第1接合部材51及び第2接合部材52のX方向及びY方向における部材の長さの3分の1以下である。
【0045】
このようにして、金属層13が、第1導電部材21に接する第1金属層13aと、第2導電部材22に接する第2金属層13bと、に分離される。より具体的には、平面視において格子状の金属層13は、Y方向に延びる1つの第1部分13cが複数の第1金属層13aに分離され、Y方向に延びる1つの第2部分13dが複数の第2金属層13bに分離される。X方向に延びる第3部分13eは全体が除去される。第1部分13cと第2部分13dはもともと第3部分13eを介して繋がっていたため、第3部分13eが除去されることにより、第1金属層13aと第2金属層13bとは相互に離隔される。これにより、配線基板の上面に、第1金属層13a、第1導電部材21、第1接合部材51及び第1電極46を含む第1通電体と、第2金属層13b、第2導電部材22、第2接合部材52及び第2電極47を含む第2通電体と、を離隔して配置することができる。
【0046】
<金属膜を形成する工程>
次に、金属膜60を形成する。
図15は、本実施形態に係る発光モジュールを示す平面図である。
図16Aは、図15に示すXVIA-XVIA線による端面図である。
図16Bは、図15に示すXVIB-XVIB線による端面図である。
図16Cは、図15に示すXVIC-XVIC線による端面図である。
図16Dは、図15に示すXVID-XVID線による端面図である。
【0047】
図15図16Dに示すように、第1金属層13a、第1導電部材21、第1接合部材51及び第1電極46を含む第1通電体の表面(つまり各部材が他の部材から露出する露出面)、並びに、第2金属層13b、第2導電部材22、第2接合部材52及び第2電極47を含む第2通電体の表面(つまり各部材が他の部材から露出する露出面)を被覆する金属膜60を形成する。金属膜60は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。金属膜60は、貴金属層を有することが好ましく、例えば、最表面に金(Au)層を有することが好ましい。金属膜60は、金の単層膜、又は、ニッケル、銀、パラジウム若しくは白金の少なくとも1つからなる層と金からなる層との積層膜であってもよい。貴金属の無電解めっきは、イオン化傾向の差を利用した置換反応や、触媒を用いた還元反応により行うことができる。
【0048】
第1通電体及び第2通電体を金属膜60で被覆することにより、第1通電体及び第2通電体を外部環境から保護することができる。具体的には、第1通電体及び第2通電体が銅を含む場合、銅が表面に露出すると銅の硫化等により変色や腐食が生じる虞があるが、貴金属層を有する金属膜60で被覆されることにより銅が外部環境に晒されることを抑制することができる。金属膜60は、配線基板10における絶縁性の基材11の表面、及び、発光素子40における第1電極46及び第2電極47以外の表面には形成されない。したがって、上述の第1通電体と第2通電体とが金属膜60によって短絡することはない。このようにして、本実施形態に係る発光モジュール1が製造される。
【0049】
<発光モジュール>
次に、上述の如く製造された発光モジュール1の構成について説明する。
図15図16Dに示すように、本実施形態に係る発光モジュール1は、配線基板10と、第1導電部材21と、第2導電部材22と、第1接合部材51と、第2接合部材52と、発光素子40と、を備える。発光モジュール1においては、1枚の配線基板10上に複数の発光素子40がX方向及びY方向に沿って行列状に配列されている。X方向及びY方向において隣り合う発光素子40間には、隙間が存在する。配線基板10と発光素子40とは、Z方向において相互に離隔して配置されており、発光素子40の下面41が配線基板10の上面16に対向している。
【0050】
配線基板10は、基材11、配線12、並びに、複数の第1金属層13a及び複数の第2金属層13bを有する。配線12は基材11の内部に配置されている。基材11の上面には複数の第1凹部14が設けられており、各第1凹部14の底には配線12が露出している。第1金属層13a及び第2金属層13bは配線基板10の上面16に配置されており、第1凹部14の底において配線12と接続されている。第1金属層13a及び第2金属層13bは、上面に、第1凹部14の形状を反映した第2凹部17を備える。なお、配線基板10が上面に絶縁膜を備える場合、第1凹部14は絶縁膜を貫通する孔であってもよい。
【0051】
発光素子40は、例えば、四角錐台形又は直方体形であり、下面41、下面41の反対側の上面42、及び、下面41と上面42との間の側面43を有する。ここでは、下面41及び上面42は矩形状であり、発光素子40は4つの側面43を有する。また、発光素子40は、半導体積層体45、第1電極46及び第2電極47を有する。第1電極46及び第2電極47は、発光素子40の下面41に配置されている。発光素子40の下面には、例えば、各1つの第1電極46及び第2電極47が設けられている。この場合、平面視で、第1電極46と第2電極47はX方向において相互に離隔しており、それぞれの形状は、例えば、Y方向を長手方向とする長方形である。そして、1つの第1電極46に対して、Y方向に離隔した2つの第1金属層13aが対向している。また、1つの第2電極47に対して、Y方向に離隔した2つの第2金属層13bが対向している。つまり、1つの第1電極46と2つの第1金属層13aが、1つの第2電極47と2つの第2金属層13bが、それぞれ平面視において重なるように配置されている。
【0052】
第1導電部材21、第2導電部材22、第1接合部材51及び第2接合部材52は、配線基板10と発光素子40との間に配置されている。第1導電部材21は、第1金属層13a上に配置され、第1金属層13aに接している。第2導電部材22は、第2金属層13b上に配置され、第2金属層13bに接している。第1接合部材51は、第1導電部材21上に配置され、第1導電部材21及び第1電極46に接している。第2接合部材52は、第2導電部材22上に配置され、第2導電部材22及び第2電極47に接している。各発光素子40の第1電極46には、それぞれ2つの第1接合部材51、第1導電部材21及び第1金属層13aが接続されている。各発光素子40の第2電極47には、それぞれ2つの第2接合部材52、第2導電部材22及び第2金属層13bが接続されている。
【0053】
1つの第1通電体は、2つの第1金属層13a、2つの第1導電部材21、2つの第1接合部材51及び1つの第1電極46を含み、1つの第2通電体は、2つの第2金属層13b、2つの第2導電部材22、2つの第2接合部材52及び1つの第2電極47を含む。第1通電体の表面及び第2通電体の表面は、貴金属を含む金属膜60で被覆されている。配線基板10の上面において、第1通電体と第2通電体とは相互に離隔している。配線基板10と発光素子40との間であって、第1通電体と第2通電体とが離隔する領域は、空間100となっている。空間100には例えば大気が存在している。
【0054】
そして、平面視で、第1導電部材21の端部の一部は第1接合部材51から露出しており、第2導電部材22の端部の一部は第2接合部材52から露出している。図15図16Dに示す例では、平面視で、第1導電部材21における第1接合部材51から露出した部分21a(つまりレジスト層で覆われていた端部の一部21a)は、第1導電部材21のY方向両側及びX方向の一方側に配置されており、第2導電部材22における第2接合部材52から露出した部分22a(つまりレジスト層で覆われていた端部の一部22a)は、第2導電部材22のY方向両側及びX方向の他方側に配置されている。1つの発光素子40に接続された第1導電部材21及び第2導電部材22に関して、平面視で、部分21a及び部分22aは第1接合部材51と第2接合部材52との間に配置されている。
【0055】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、図5図6Dに示すレジスト層を配置する工程において格子状のレジスト層30を配置し、図7図8Dに示す発光素子をレジスト層上に配置する工程において、レジスト層30上に発光素子40を配置している。これにより、発光素子40を安定して保持することができる。また、配線基板10と発光素子40との距離を保った状態で、発光素子40を配線基板10上に容易に位置決めすることができる。
【0056】
また、図9図10Dに示す第1接合部材及び第2接合部材を形成する工程において、配線基板10と発光素子40との間であって三方をレジスト層30によって囲まれた空間内で、第1接合部材51及び第2接合部材52を形成している。このため、第1接合部材51及び第2接合部材52の形状の制御が容易である。一方、レジスト層30の第1開口部31及び第2開口部32において第1導電部材21及び第2導電部材22を露出させることにより、めっき液101を第1導電部材21及び第2導電部材22に到達させることができる。
【0057】
さらに、この工程においては、第1接合部材51及び第2接合部材52をそれぞれ第1導電部材21及び第2導電部材22を起点として成長させている。このため、第1金属層13a及び第2金属層13bを起点として成長させる場合と比較して、第1電極46及び第2電極47に達するまでの距離(つまりZ方向における長さ)が短く、第1接合部材51及び第2接合部材52を短時間で効率的に形成することができる。
【0058】
図7図8Dに示す発光素子をレジスト層上に配置する工程において、発光素子40によってレジスト層30を押圧することにより、レジスト層30を変形させ、第1導電部材21の端部の一部及び第2導電部材22の端部の一部をレジスト層30で覆っている。これにより、第1接合部材51及び第2接合部材52を形成した後、平面視において、第1導電部材21の端部の一部が第1接合部材51から露出し、第2導電部材22の端部の一部が第2接合部材52から露出する。
【0059】
また、図1図2Dに示す中間体を準備する工程において、第1導電部材21及び第2導電部材22の平面視形状を、第2凹部17を内包する形状としている。これにより、第1導電部材21の端部及び第2導電部材22の端部から基材11の第1凹部14までの距離を長くすることができる。このため、図13図14Dに示す金属層を分離する工程において、第1導電部材21及び第2導電部材22をマスクとして金属層13をエッチングする際に、エッチング液が基材11の内部に浸入することを抑制できる。この結果、基材11の内部に配置される配線12の損傷を抑制できる。
【0060】
また、平面視で、第1接合部材51及び第2接合部材52を第1導電部材21及び第2導電部材22よりも小さく形成する。すなわち、レジスト層30の第1開口部31及び第2開口部32を小さくすることができる。このため、発光素子40をレジスト層30上に配置する際に、平面視で第1開口部31及び第2開口部32の外縁を第1電極46及び第2電極47に接するように配置することが容易となる。この結果、第1電極46及び第2電極47の外縁がレジスト層30で覆われるため、第1接合部材51及び第2接合部材52が第1電極46及び第2電極47以外の領域に接触することを抑制できる。これにより、第1接合部材51及び第2接合部材52と第1電極46及び第2電極47との接続性が向上する。
【0061】
このようにして、本実施形態によれば、発光モジュール1を生産性よく製造することができる。また、製造された発光モジュール1において、各部の形状のばらつきを抑制できるため、信頼性が高い発光モジュール1を得ることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図17A図17Cは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示す端面図である。
図17Aに示すように、本実施形態においては、金属層13が、配線基板10の上面の全体を覆っている点が第1の実施形態と異なっている。本実施形態では、例えば、金属層13が、上面16の全体に設けられた配線基板10を準備する。
【0063】
次に、図3図12Dに示す工程を実施する。すなわち、配線基板10上に第1導電部材21及び第2導電部材22を形成して中間体20を準備し、中間体20上にレジスト層30を形成し、レジスト層30上に発光素子40を配置し、第1接合部材51及び第2接合部材52を形成した後、レジスト層30を除去する。
【0064】
これにより、図17Bに示すように、配線基板10上に発光素子40が配置された構造体が作製される。但し、金属層13は配線基板10の上面16全体に設けられている。このため、第1接合部材51及び第2接合部材52を形成するためのめっき液が、レジスト層30から露出する金属層13に接触して、金属層13の表面に第1接合部材51及び第2接合部材に連なる第3接合部材53が形成される。
【0065】
次に、図17Cに示すように、第1導電部材21及び第2導電部材22をマスクとして第3接合部材53及び金属層13をエッチングすることにより、第3接合部材53を除去すると共に、金属層13を、第1導電部材21に接する第1金属層13aと、第2導電部材22に接する第2金属層13bと、に分離する。
次に、図15図16Dに示す工程を実施する。すなわち、金属膜60を形成する。
【0066】
このようにして、本実施形態に係る発光モジュールが製造される。
本実施形態における上記以外の製造方法、構成及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0067】
(変形例)
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。
【0068】
例えば、金属膜60は設けられていなくてもよい。また、配線基板10と発光素子40との位置関係は、上述の例には限定されない。例えば、発光素子40の配列の態様は行列状には限定されず、例えば千鳥状又は六方最密状であってもよい。また、各発光素子40の第1電極46は1つの第1接合部材51に接続されていてもよく、3つ以上の第1接合部材51に接続されていてもよい。さらに、各発光素子40には複数の第1電極46が設けられており、それぞれ異なる第1接合部材51に接続されていてもよい。第2電極47及び第2接合部材52についても、同様である。さらにまた、第1導電部材21及び第2導電部材22のそれぞれに対して、複数の第2凹部17が対応していてもよい。
【0069】
さらに、発光素子40としては、任意の波長の光を発することが可能な半導体発光素子を選択することができる。一例として、発光素子40として青色光を発するものを用いることができるが、これに限定されることなく、発光素子40としては、青色光以外の他の色の光を発するものを用いてよい。発光モジュール1において、所定の間隔をおいて各々配置された複数の発光素子40を用いる場合には、同色の光を各々発するものを用いてもよいし、赤色、緑色等、異なる色の光を発するものを用いてもよい。
【0070】
青色光を発することが可能な発光素子40の半導体積層体45として、窒化物系半導体(InAlGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いることができる。この場合、半導体積層体45は、発光層と、発光層を挟むように配置されたn型半導体層及びp型半導体層とを含む。n型半導体層及びp型半導体層に、電極であるn側電極およびp側電極がそれぞれ電気的に接続される。平面視において、発光素子40の形状は四角形には限定されず、例えば、三角形又は六角形等の多角形であってもよい。
【0071】
更に、発光素子40上に、蛍光体を含む波長変換部材を設けてもよい。蛍光体としては、例えば、黄色系の発光をするYAG蛍光体(例えば(Y,Lu,Gd)(Al,Ga)12:Ce等)、緑色系の発光をするβサイアロン蛍光体(例えば(Si,Al)(O,N):Eu等)、赤色系の発光をするフッ化物系蛍光体(例えばK(Si,Ti,Ge)F:Mn又はK(Si,Al)F:Mn等)、窒化物系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN:Eu等)等が挙げられる。波長変換部材は、単一種の蛍光体を含んでいてもよいし、複数の蛍光体を含んでいてもよい。
【0072】
更に、隣接する発光素子40間に遮光部材を設けてもよい。遮光部材は、発光素子40を囲むように設けられ、発光素子40の側面を被覆する。遮光部材は、隣接する発光素子間における光の伝搬を阻止する。また、遮光部材は、発光素子40と配線基板10との間の空間100にも配置されることが好ましく、具体的には、上述したレジスト層30が配置されていた領域に配置されることが好ましい。遮光部材は、例えば、光反射性物質を含む樹脂である。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラスフィラーなどを好適に用いることができる。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂を好適に用いることができる。
【0073】
本発明の実施形態は、以下の態様を含む。
【0074】
(付記1)
上面及び前記上面に配置された金属層を有する配線基板と、前記金属層上に配置され前記金属層に接する第1導電部材と、前記金属層上に配置され前記第1導電部材から離隔し前記金属層に接する第2導電部材と、を備える中間体を準備する工程と、
前記中間体上に、第1開口部及び第2開口部を有し、前記第1導電部材を前記第1開口部において露出させ、前記第2導電部材を前記第2開口部において露出させるレジスト層を配置する工程と、
下面と、前記下面に相互に離隔して配置された第1電極及び第2電極と、を含む発光素子を準備し、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1導電部材及び前記第2導電部材に対向し、かつ、前記下面の外縁の一部が前記第1開口部及び前記第2開口部において前記レジスト層から露出するように前記発光素子を前記レジスト層上に配置する工程と、
前記第1導電部材上に、前記第1導電部材及び前記第1電極に接する第1接合部材を形成すると共に、前記第2導電部材上に、前記第1接合部材から離隔し、前記第2導電部材及び前記第2電極に接する第2接合部材を形成する工程と、
前記レジスト層を除去する工程と、
を備える発光モジュールの製造方法。
【0075】
(付記2)
前記発光素子を配置する工程において、
前記レジスト層が前記発光素子によって押圧されることにより、前記レジスト層が前記第1導電部材の端部の一部及び前記第2導電部材の端部の一部を覆う付記1に記載の発光モジュールの製造方法。
【0076】
(付記3)
前記レジスト層を除去する工程の後に、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材をマスクとして前記金属層を選択的に除去することにより、前記金属層を、前記第1導電部材に接する第1金属層と、前記第2導電部材に接する第2金属層と、に分離する工程と、
をさらに備える付記1または2に記載の発光モジュールの製造方法。
【0077】
(付記4)
前記金属層を分離する工程の後に、
前記第1導電部材、前記第1接合部材及び前記第1電極の露出面、並びに、前記第2導電部材、前記第2接合部材及び前記第2電極の露出面に金属膜を形成する工程と、
をさらに備える付記3に記載の発光モジュールの製造方法。
【0078】
(付記5)
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を電解めっき法により形成する付記1~4のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【0079】
(付記6)
前記中間体を準備する工程は、
前記配線基板を準備する工程と、
前記金属層上に前記第1導電部材及び前記第2導電部材を配置する工程と、
を有する付記1~5のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【0080】
(付記7)
前記第1導電部材及び前記第2導電部材をめっき法により形成する付記6に記載の発光モジュールの製造方法。
【0081】
(付記8)
前記発光素子の前記下面の外縁形状は矩形であり、
前記発光素子を配置する工程において、前記矩形を構成する4辺のうち互いに対向する2辺の全体が前記レジスト層に接する付記1~7のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【0082】
(付記9)
上面と、前記上面に配置された第1金属層と、前記上面に配置された第2金属層と、を有する配線基板と、
前記第1金属層上に配置され、前記第1金属層に接した第1導電部材と、
前記第2金属層上に配置され、前記第2金属層に接した第2導電部材と、
前記第1導電部材上に配置され、前記第1導電部材に接した第1接合部材と、
前記第2導電部材上に配置され、前記第2導電部材に接した第2接合部材と、
下面と、前記下面に配置され前記第1接合部材に接した第1電極と、前記下面に配置され前記第2接合部材に接した第2電極と、を有し、前記下面が前記配線基板の上面に対向した発光素子と、を備え、
平面視で、前記第1導電部材の端部の一部は前記第1接合部材から露出し、前記第2導電部材の端部の一部は前記第2接合部材から露出する発光モジュール。
【0083】
(付記10)
平面視で、前記第1導電部材における前記第1接合部材から露出した部分及び前記第2導電部材における前記第2接合部材から露出した部分は、前記第1接合部材と前記第2接合部材との間に配置されている付記9に記載の発光モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば、車両の前照灯又は表示装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1:発光モジュール
10:配線基板
11:基材
12:配線
13:金属層
13a:第1金属層
13b:第2金属層
13c:第1部分
13d:第2部分
13e:第3部分
14:第1凹部
16:上面
17:第2凹部
20:中間体
21:第1導電部材
21a:部分
22:第2導電部材
22a:部分
30:レジスト層
31:第1開口部
32:第2開口部
40:発光素子
41:下面
41a:外縁
42:上面
43:側面
45:半導体積層体
46:第1電極
47:第2電極
51:第1接合部材
52:第2接合部材
53:第3接合部材
60:金属膜
100:空間
101:めっき液
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C