(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176545
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20231206BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20231206BHJP
B23K 26/351 20140101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/66 N
B23K26/351
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088883
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳紀
(72)【発明者】
【氏名】林 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】奥村 知史
(72)【発明者】
【氏名】山本 稔
(72)【発明者】
【氏名】爲本 広昭
【テーマコード(参考)】
4E168
4M106
【Fターム(参考)】
4E168AD18
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168JA03
4E168JA04
4E168JA13
4M106AA10
4M106CB19
4M106DJ38
(57)【要約】
【課題】マイグレーションに伴う短絡を生じにくくすることができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去する工程と、を有し、前記金属膜を形成する工程と前記第1部分を除去する工程との間に、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第2部分を除去して、前記半導体層を前記金属膜から露出させる工程を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、
前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去する工程と、
を有し、
前記金属膜を形成する工程と前記第1部分を除去する工程との間に、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第2部分を除去して、前記半導体層を前記金属膜から露出させる工程を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、
前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去するとともに、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第2部分を除去して、前記半導体層を前記金属膜から露出させる工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、
前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去する工程と、
を有し、
前記第1レーザの照射により、前記第1直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第3部分が除去され、
前記第1部分を除去する工程の後に、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を外径に有する環状の前記金属膜の第4部分を除去する工程を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記紫外光の波長は、190nm以上400nm以下であり、
前記赤色光又は赤外光の波長は、680nm以上1550nm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属膜の材料は、銀、アルミニウム、鉛、銅、錫、亜鉛及び金からなる群から選択された少なくとも一種を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記欠陥を検出する工程の前に、基板の上に前記半導体層を形成する工程を有し、
前記半導体層を形成する工程は、前記基板の上にn側半導体層、活性層及びp側半導体層を前記基板側から順に形成する工程を有し、
前記第1部分を除去する工程の後に、
前記第1部分が除去された領域を覆う第1絶縁膜を前記半導体層の上に形成する工程と、
前記第1絶縁膜の一部、前記p側半導体層の一部及び前記活性層の一部を除去することで、前記第1絶縁膜及び前記半導体層に前記n側半導体層を露出する第1開口を形成する工程と、
を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1開口を形成する工程の後に、
前記第1開口が形成された領域を覆う第2絶縁膜を前記第1絶縁膜の上に形成する工程と、
前記第2絶縁膜に、前記n側半導体層を露出する第2開口を形成する工程と、
前記第2開口を通じて前記n側半導体層と電気的に接続される導電部を形成する工程と、
を有する、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1直径と前記第2直径との差が、1.0μm以上100μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記金属膜の厚みが、0.5μm以上5.0μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造に際して、半導体層中の欠陥を検出し、半導体層の上に電極を形成した後に、レーザの照射により半導体層中の欠陥を除去することがある(例えば、特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54756号公報
【特許文献2】特開2013-55300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極及び半導体層にレーザの照射が行われた場合、電極及び半導体層に加工穴が形成される。電極を構成する金属の種類によっては、金属のマイグレーションが生じ、半導体層中で短絡が生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、電極を構成する金属のマイグレーションに伴う短絡を生じにくくすることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様によれば、半導体装置の製造方法は、半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去する工程と、を有し、前記金属膜を形成する工程と前記第1部分を除去する工程との間に、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第2部分を除去して、前記半導体層を前記金属膜から露出させる工程を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、マイグレーションに伴う短絡を生じにくくすることができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その1)である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その2)である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その3)である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その4)である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その5)である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その6)である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その7)である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その8)である。
【
図9】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その1)である。
【
図10】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その2)である。
【
図11】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その1)である。
【
図12】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その2)である。
【
図13】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その3)である。
【
図14】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図(その4)である。
【
図16】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図17】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図18】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図19】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図20】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図21】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図22】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図23】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図24】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための実施形態を説明する。以下の説明は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下の記載に限定するものではない。
【0010】
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後に示す実施形態では、先に示した実施形態との異なる事項について主に説明し、先に示した実施形態と共通の事柄について重複する説明を省略することがある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は半導体装置の製造方法に関する。
図1~
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図1、
図3、
図5及び
図7は上面図であり、
図2、
図4、
図6及び
図8は断面図である。
図2は、
図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
図4は、
図3中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。
図6は、
図5中のVI-VI線に沿った断面図に相当する。
図8は、
図7中のVIII-VIII線に沿った断面図に相当する。
【0012】
第1実施形態では、まず、
図1及び
図2に示すように、基板10の上に半導体層20を形成する工程を行う。基板10は、例えばサファイア基板である。半導体層20を形成する工程は、例えば、n側半導体層21を基板10の上に形成する工程と、n側半導体層21の上にp側半導体層22を形成する工程を含む。半導体層20を形成する工程において、半導体層20の内部に欠陥40が生じることがある。欠陥40とは、半導体層20の一部が変質または改質している部分である。欠陥40としては、例えば、基板10と半導体層20との格子不整合に起因して発生する転位等が挙げられる。本実施形態では、半導体層20の形成後に半導体層20の観察を行い、欠陥40を検出する。なお、欠陥40は、例えばn側半導体層21とp側半導体層22との界面に生じたり、この界面の近傍に生じたりする。この界面から離れて欠陥40が生じることもある。本実施形態において除去しようとする欠陥40は、半導体層20の表面に存在する欠陥ではなく、半導体層20の内部に存在する欠陥である。また、本実施形態において除去しようとする欠陥40の幅は、半導体層20の上面からみた平面視において、例えば0.1μm以上20μm以下である。半導体層20は、例えば、窒化物半導体からなる。例えば、n側半導体層21はn型GaN層であり、p側半導体層22はp型GaN層である。半導体層20の厚さは、例えば、1.0μm以上20μm以下である。
【0013】
半導体層20は、欠陥40を含む第1部分41を備える。第1部分41は、後述する第1レーザの照射L1により除去される部分である。第1部分41は、例えば半導体層20の上面からみた平面視において、第1直径D1を有する円形の領域である。第1直径D1は、後に使用される第1レーザのビーム径と同程度であることが好ましい。第1部分41は、半導体層20の表面と一致する上面と、上面よりも基板10に近い下面とを有し、下面と上面との間に欠陥40が存在する。後述のように、第1レーザは紫外光を発する。第1直径D1は、例えば0.5μm以上20μm以下である。第1部分41の上面と下面との間の距離は、例えば、0.5μm以上20μm以下である。
【0014】
次に、
図3及び
図4に示すように、半導体層20の上に金属膜30を形成する工程を行う。金属膜30の材料は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、銅(Cu)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)及び金(Au)からなる群から選択された少なくとも一種を含む。金属膜30は、平面視において第1部分41に重なる第2部分42を備える。第2部分42は、後述する第2レーザの照射により除去される部分である。第2部分42の厚さは金属膜30の厚さと等しい。第2部分42は、例えば平面視で第2直径D2を有する円形の領域である。第2直径D2は、後に使用される第2レーザのビーム径と同程度であることが好ましい。第2直径D2は第1直径D1よりも大きい。好ましくは、平面視で第2部分42の中心と第1部分41の中心とが重なり合う。後述のように、第2レーザは赤色光又は赤外光を発する。第2直径D2は、例えば1.5μm以上200μm以下である。
【0015】
次に、
図5及び
図6に示すように、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、金属膜30の第2部分42を除去して、半導体層20を金属膜30から露出させる工程を行う。第2部分42の除去に伴って、金属膜30に第2直径D2を有する開口30Xが形成される。第2レーザの波長は、例えば680nm以上1550nm以下である。
【0016】
次に、
図7及び
図8に示すように、紫外光を発する第1レーザの照射L1により、半導体層20の第1部分41を除去する工程を行う。第1部分41の除去に伴って、第1部分41に含まれる欠陥40も除去される。また、第1部分41の除去に伴って、半導体層20に第1直径D1を有する開口20Xが形成される。第1レーザの波長は、例えば190nm以上400nm以下である。
【0017】
その後、必要に応じて半導体層20の表面に絶縁膜等を形成して半導体装置を完成させる。
【0018】
第1実施形態では、開口30Xの第2直径D2が開口20Xの第1直径D1よりも大きい。このため、開口30Xの形成後に金属膜30に含まれる金属のマイグレーションが生じたとしても、n側半導体層21とp側半導体層22との短絡を生じにくくすることができる。例えば、開口20Xの内壁面に沿ったn側半導体層21とp側半導体層22との界面への金属のマイグレーションを抑制し、短絡を生じにくくすることができる。また、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、開口30Xが形成される。赤色光又は赤外光を発する第2レーザを用いた場合、金属膜30にレーザアブレーションが生じるレーザ光の照射強度の閾値が、半導体層20にレーザアブレーションが生じるレーザ光の照射強度の閾値よりも小さくなる。このため、開口30Xの形成の際に、半導体層20がレーザ光によって劣化することを低減しつつ、金属膜30を加工することができる。
【0019】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1レーザの照射及び第2レーザを照射するタイミングが第1実施形態と相違する。
図9及び
図10は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図9は上面図であり、
図10は断面図である。
図10は、
図9中のX-X線に沿った断面図に相当する。
【0020】
第2実施形態では、まず、第1実施形態と同様に、金属膜30を形成する工程までの工程を行う(
図1~
図4参照)。次に、紫外光を発する第1レーザの照射L1と赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2とを同時に行う工程を行う。具体的には、
図9及び
図10に示すように、紫外光を発する第1レーザの照射L1により、半導体層20の第1部分41を除去するとともに、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、金属膜30の第2部分42を除去する。第1部分41の除去に伴って、第1部分41に含まれる欠陥40も除去される。また、第1部分41の除去に伴って、半導体層20に第1直径D1を有する開口20Xが形成される。また、第2部分42の除去に伴って、金属膜30に第2直径D2を有する開口30Xが形成される。この結果、半導体層20が金属膜30から露出する。
【0021】
その後、必要に応じて半導体層20の表面に絶縁膜等を形成して半導体装置を完成させる。
【0022】
第2実施形態でも、開口30Xの第2直径D2が開口20Xの第1直径D1よりも大きい。このため、開口30Xの形成後に金属膜30に含まれる金属のマイグレーションが生じたとしても、n側半導体層21とp側半導体層22との短絡を生じにくくすることができる。例えば、開口20Xの内壁面に沿ったn側半導体層21とp側半導体層22との界面への金属のマイグレーションを抑制し、短絡を生じにくくすることができる。また、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、開口30Xが形成されるため、開口30Xの形成の際に、半導体層20がレーザ光によって劣化することを低減しつつ、金属膜30を加工することができる。このように、第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態においては、紫外光を発する第1レーザの照射L1と赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2とを同時に行うことによって、第1実施形態に比べて処理時間を短縮させることができる。
【0023】
なお、例えばハーフミラー等の光学系の配置を調整することにより、平面視における紫外光を発する第1レーザの照射L1と赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2とを同一箇所を含む領域に同時に行うことができる。
【0024】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1レーザの照射及び第2レーザの照射のタイミングの点で第1実施形態及び第2実施形態と相違する。
図11~
図14は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図11及び
図13は上面図であり、
図12及び
図14は断面図である。
図12は、
図11中のXII-XII線に沿った断面図に相当する。
図14は、
図13中のXIV-XIV線に沿った断面図に相当する。
【0025】
第3実施形態では、まず、第1実施形態と同様に、金属膜30を形成する工程までの工程を行う(
図1~
図4参照)。次に、
図11及び
図12に示すように、紫外光を発する第1レーザの照射L1を行う。紫外光を発する第1レーザの照射L1によれば、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2とは異なり、半導体層20及び金属膜30を容易に加工することができる。従って、紫外光を発する第1レーザの照射L1により、第1直径D1を有し、平面視において第1部分41に重なる金属膜30の第3部分43が除去されるとともに、半導体層20の第1部分41が除去される。第1部分41の除去に伴って、第1部分41に含まれる欠陥40も除去される。第3部分43の除去に伴って、金属膜30に第1直径D1を有する開口30Yが形成され、第1部分41の除去に伴って、半導体層20に第1直径D1を有する開口20Xが形成される。
【0026】
次に、
図13及び
図14に示すように、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、平面視において第2直径D2を外径に有する環状の金属膜30の第4部分44を除去する。第3部分43と第4部分44とを組み合わせた部分が、第1実施形態及び第2実施形態における第2部分42に相当する。第3部分43及び第4部分44の除去に伴って、金属膜30に第2直径D2を有する開口30Xが形成される。この結果、半導体層20が金属膜30から露出する。
【0027】
その後、必要に応じて半導体層20の表面に絶縁膜等を形成して半導体装置を完成させる。
【0028】
第3実施形態でも、開口30Xの第2直径D2が開口20Xの第1直径D1よりも大きい。このため、開口30Xの形成後に金属膜30に含まれる金属のマイグレーションが生じたとしても、n側半導体層21とp側半導体層22との短絡を生じにくくすることができる。例えば、開口20Xの内壁面に沿ったn側半導体層21とp側半導体層22との界面への金属のマイグレーションを抑制し、短絡を生じにくくすることができる。また、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、開口30Xが形成されるため、開口30Xの形成の際に、半導体層20がレーザ光によって劣化することを低減しつつ、金属膜30を加工することができる。このように、第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
なお、第1~第3実施形態において、
図15に示すように、開口20Xが基板10に達するように形成されてもよい。すなわち、第1部分41のみを除去せずに、第1部分41の下方に位置する領域の半導体層20を除去して基板10を露出させてもよい。
【0030】
金属膜30の材料は特に限定されないが、Ag又はAlであることが好ましい。金属膜30の厚さは特に限定されない。金属膜30の厚さは、好ましくは0.5μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上1.0μm以下である。
【0031】
第1直径D1と第2直径D2との差は特に限定されない。第1直径D1と第2直径D2との差は、好ましくは1.0μm以上100μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上20μm以下である。
【0032】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、半導体装置の一例である発光ダイオードの製造方法に関し、第1実施形態の応用例に相当する。
図16~
図24は、第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0033】
第4実施形態では、まず、
図16に示すように、基板110の上に半導体層120を形成する工程を行う。基板110は、半導体層120からの光のピーク波長に対して透光性を有する基板であることが好ましく、例えばサファイア基板を用いることができる。半導体層120を形成する工程は、例えばn側半導体層121を基板110の上に形成する工程と、n側半導体層121の上に活性層123を形成する工程と、活性層123の上にp側半導体層122を形成する工程を含む。つまり、基板110の上にn側半導体層121、活性層123及びp側半導体層122を基板110側から順に形成する。半導体層120を形成する工程において、半導体層120の内部に欠陥140が生じることがある。本実施形態では、半導体層120の形成後に半導体層120の観察を行い、欠陥140を検出する。なお、欠陥140は、例えばn側半導体層121と活性層123との界面に生じたり、活性層123とp側半導体層122との界面に生じたり、これら界面の近傍に生じたりする。これら界面から離れて欠陥140が生じることもある。本実施形態において除去しようとする欠陥140は、半導体層120の表面に存在する欠陥ではなく、半導体層120の内部に存在する欠陥である。例えば、n側半導体層121、活性層123及びp側半導体層122は窒化物半導体を含み、n側半導体層121はn型半導体層であり、p側半導体層122はp型半導体層である。半導体層120の厚さは、例えば、1.0μm以上20μm以下である。
【0034】
半導体層120は、欠陥140を含む第1部分141を備える。第1部分141は、後述する第1レーザの照射L1により除去される部分である。第1部分141は、例えば平面視で円形の領域であり、後に使用される第1レーザのビーム径と同程度の第1直径D1を有する。第1部分141は、半導体層120の表面と一致する上面と、上面よりも基板110に近い下面とを有し、下面と上面との間に欠陥140が存在する。後述のように、第1レーザは紫外光を発する。第1直径D1は、例えば0.5μm以上20μm以下である。第1部分141の上面と下面との間の距離は、例えば、0.5μm以上20μm以下である。
【0035】
次に、
図17に示すように、半導体層120の上に金属膜130を形成する工程を行う。金属膜130は、活性層123が発する光に対して高い反射率を有することが好ましい。例えば、金属膜130が活性層123からの光のピーク波長に対して、70%以上の反射率、好ましくは80%以上の反射率を有していることが好ましい。金属膜130の材料は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、銅(Cu)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)及び金(Au)からなる群から選択された少なくとも一種を含む。金属膜130は、平面視において第1部分141に重なる第2部分142を備える。第2部分142は、後述する第2レーザの照射L2により除去される部分である。第2部分142の厚さは金属膜130の厚さと等しい。第2部分142は、例えば平面視で第2直径D2を有する円形の領域である。第2直径D2は、後に使用される第2レーザのビーム径と同程度であることが好ましい。第2直径D2は第1直径D1よりも大きい。第2部分142は、平面視で第1部分141と重なり合う。好ましくは、平面視で第2部分142の中心と第1部分141の中心とが重なり合う。第2直径D2は、例えば1.5μm以上200μm以下である。
【0036】
次に、
図18に示すように、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、金属膜130の第2部分142を除去して、半導体層120を金属膜130から露出させる工程を行う。第2部分142の除去に伴って、金属膜130に第2直径D2を有する開口130Xが形成される。第2レーザの波長は、例えば680nm以上1550nm以下である。
【0037】
次に、
図19に示すように、紫外光を発する第1レーザの照射L1により、半導体層120の第1部分141を除去する工程を行う。第1部分141の除去に伴って、第1部分141に含まれる欠陥140も除去される。また、第1部分141の除去に伴って、半導体層120に第1直径D1を有する開口120Xが形成される。第1レーザの波長は、例えば190nm以上400nm以下である。
【0038】
次に、
図20に示すように、金属膜130を覆う第1絶縁膜160を半導体層120の上に形成する工程を行う。第1絶縁膜160は、例えばシリコン窒化膜である。第1絶縁膜160は、開口120X及び130X内にも形成される。従って、第1絶縁膜160は、半導体層120の第1部分141が除去された領域と、金属膜130の第2部分142が除去された領域とを覆う。開口120X及び130Xが第1絶縁膜160により埋められてもよい。
【0039】
次に、
図21に示すように、金属膜130が形成されていない領域において、第1絶縁膜160の一部、p側半導体層122の一部及び活性層123の一部を除去することで、第1絶縁膜160及び半導体層120にn側半導体層121を露出する第1開口120Yを形成する工程を行う。第1開口120Yの形成する工程では、n側半導体層121の一部を除去してもよい。
【0040】
次に、
図22に示すように、第1絶縁膜160の上に第2絶縁膜170を形成する工程を行う。第2絶縁膜170は、第1開口120Yの底面及び側面を覆うように第1開口120Y内にも形成する。つまり、第2絶縁膜170は、半導体層120の第1開口120Yが形成された領域を覆う。第2絶縁膜170は、例えばシリコン酸化膜である。
【0041】
次に、
図23に示すように、第2絶縁膜170に、n側半導体層121を露出する第2開口170Xと、第2絶縁膜170及び第1絶縁膜160に金属膜130を露出する第3開口170Yとを形成する工程を行う。このとき、第3開口170Yの内側で、金属膜130に形成された開口130Xが露出してもよい。
【0042】
次に、
図24に示すように、第2開口170Xを通じてn側半導体層121と電気的に接続されるn側電極181と、第3開口170Yを通じて金属膜130と電気的に接続されるp側電極182とを形成する。n側電極181は導電部の一例である。
【0043】
このようにして半導体装置の一例である発光ダイオードが製造される。
【0044】
第4実施形態では、開口130Xの第2直径D2が開口120Xの第1直径D1よりも大きい。このため、開口130Xの形成後に金属膜130に含まれる金属のマイグレーションが生じたとしても、n側半導体層121とp側半導体層122との短絡を生じにくくすることができる。例えば、開口120Xの内壁面に沿った活性層123への金属のマイグレーションを抑制し、短絡を生じにくくすることができる。また、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射L2により、開口130Xが形成される。赤色光又は赤外光を発する第2レーザを用いた場合、金属膜130の加工閾値が半導体層120の加工閾値よりも小さくなる。このため、開口130Xの形成の際に、半導体層120がレーザ光によって劣化することを低減しつつ、金属膜130を加工することができる。
【0045】
発光ダイオードを構成する半導体層120に欠陥140が含まれている場合、欠陥140に起因する応力が欠陥140の周囲にも及ぶため、欠陥140が存在する部分が非発光の領域となるだけでなく、欠陥140の周囲にも非発光となる領域が存在し得る。これに対し、欠陥140が除去されると、その周囲には欠陥140に起因する応力が及ばなくなる。このため、欠陥140の除去によって、欠陥140が存在する場合に比べて、半導体層120において非発光となる領域を低減することができる。
【0046】
なお、第4実施形態では、第1実施形態に倣って開口120X及び130Xを形成しているが、第2実施形態又は第3実施形態に倣って開口120X及び130Xを形成してもよい。
【0047】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0048】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.
半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、
前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去する工程と、
を有し、
前記金属膜を形成する工程と前記第1部分を除去する工程との間に、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第2部分を除去して、前記半導体層を前記金属膜から露出させる工程を有する、半導体装置の製造方法。
2.
半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、
前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去するとともに、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第2部分を除去して、前記半導体層を前記金属膜から露出させる工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。
3.
半導体層に含まれる欠陥を検出する工程と、
前記半導体層の上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成する工程の後に、紫外光を発する第1レーザの照射により、前記欠陥を含み、平面視において第1直径を有する前記半導体層の第1部分を除去する工程と、
を有し、
前記第1レーザの照射により、前記第1直径を有し、平面視において前記第1部分に重なる前記金属膜の第3部分が除去され、
前記第1部分を除去する工程の後に、赤色光又は赤外光を発する第2レーザの照射により、平面視において前記第1直径よりも大きい第2直径を外径に有する環状の前記金属膜の第4部分を除去する工程を有する、半導体装置の製造方法。
4.
前記紫外光の波長は、190nm以上400nm以下であり、
前記赤色光又は赤外光の波長は、680nm以上1550nm以下である、上記1から3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
5.
前記金属膜の材料は、銀、アルミニウム、鉛、銅、錫、亜鉛及び金からなる群から選択された少なくとも一種を含む、上記1から4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
6.
前記欠陥を検出する工程の前に、基板の上に前記半導体層を形成する工程を有し、
前記半導体層を形成する工程は、前記基板の上にn側半導体層、活性層及びp側半導体層を前記基板側から順に形成する工程を有し、
前記第1部分を除去する工程の後に、
前記第1部分が除去された領域を覆う第1絶縁膜を前記半導体層の上に形成する工程と、
前記第1絶縁膜の一部、前記p側半導体層の一部及び前記活性層の一部を除去することで、前記第1絶縁膜及び前記半導体層に前記n側半導体層を露出する第1開口を形成する工程と、
を有する、上記1から5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
7.
前記第1開口を形成する工程の後に、
前記第1開口が形成された領域を覆う第2絶縁膜を前記第1絶縁膜の上に形成する工程と、
前記第2絶縁膜に、前記n側半導体層を露出する第2開口を形成する工程と、
前記第2開口を通じて前記n側半導体層と電気的に接続される導電部を形成する工程と、
を有する、上記6に記載の半導体装置の製造方法。
8.
前記第1直径と前記第2直径との差が、1.0μm以上100μm以下である、上記1から7のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
9.
前記金属膜の厚みが、0.5μm以上5.0μm以下である、上記1から8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0049】
10、110:基板
20、120:半導体層
20X、30X、30Y、120X、130X:開口
21、121:n側半導体層
22、122:p側半導体層
30、130:金属膜
40、140:欠陥
41、141:第1部分
42、142:第2部分
43:第3部分
44:第4部分
120Y:第1開口
123:活性層
160:第1絶縁膜
170:第2絶縁膜
170X:第2開口
170Y:第3開口
181:n側電極
182:p側電極