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特開2023-176664固定電荷発現方法、薄膜トランジスタの製造方法及び薄膜トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176664
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】固定電荷発現方法、薄膜トランジスタの製造方法及び薄膜トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231206BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 21/425 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L29/78 626C
H01L29/78 618B
H01L21/265 Y
H01L21/425
H01L21/265 W
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089081
(22)【出願日】2022-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 俊之
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】安東 靖典
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敏彦
【テーマコード(参考)】
5F110
【Fターム(参考)】
5F110AA01
5F110AA06
5F110AA08
5F110CC02
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD12
5F110DD13
5F110DD14
5F110DD15
5F110DD17
5F110DD25
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE04
5F110EE06
5F110EE09
5F110EE43
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF03
5F110FF04
5F110FF09
5F110FF30
5F110GG00
5F110GG01
5F110GG15
5F110GG19
5F110GG25
5F110GG43
5F110HJ13
5F110HL04
5F110HL11
5F110HL23
5F110NN02
5F110NN23
5F110NN35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体デバイスに用いられるバックチャネル側の絶縁膜内に膜質の低下を抑えながら必要な固定電荷を効率よく生成する固定電荷発現方法、薄膜トランジスタの製造方法及び薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】固定電荷発現方法は酸化物半導体から成るチャネル層3を有する薄膜トランジスタ100におけるバックチャネル側の絶縁膜中に固定電荷を発現させる方法であって、絶縁膜21を成膜した後、絶縁膜の表面に金属膜22を成膜し、金属膜22を介して絶縁膜21にイオン注入を行うことにより絶縁膜21中に固定電荷を発現させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体から成るチャネル層を有する半導体デバイスにおけるバックチャネル側の絶縁膜内に固定電荷を発現させる方法であって、
前記絶縁膜を基板上に成膜した後、当該絶縁膜の表面に金属膜を成膜し、当該金属膜を介して前記絶縁膜にイオン注入を行うことにより前記絶縁膜中に固定電荷を発現させる方法。
【請求項2】
前記イオン注入によるイオンの平均飛程が、前記金属膜の厚みよりも大きく、かつ前記金属膜の厚みと前記絶縁膜の厚みの和よりも小さい請求項1に記載の固定電荷発現方法。
【請求項3】
前記イオンの平均飛程とその標準偏差の和が、前記金属膜の厚みと前記絶縁膜の厚みの和よりも小さい請求項2に記載の固定電荷発現方法。
【請求項4】
前記絶縁膜が、シリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜である請求項1に記載の固定電荷発現方法。
【請求項5】
前記金属膜が、アルミニウム、アルミニウム合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン又はチタン合金から構成されるものである請求項1に記載の固定電荷発現方法。
【請求項6】
前記イオン注入で注入するイオン種は、O、N、C等の原子イオン、O、N、C等の分子イオン、又はAr等の希ガスイオンから選択される1種以上である請求項1に記載の固定電荷発現方法。
【請求項7】
トップゲート型の薄膜トランジスタの製造方法であって、
固定電荷を有する固定電荷層を基板の表面に形成する工程と、
前記固定電荷層の表面に酸化物半導体からなるチャネル層を形成する工程と、
前記チャネル層の表面にゲート絶縁層を形成する工程とを含み、
前記固定電荷層を形成する工程が、
前記基板の表面に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜の表面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を介して前記第1絶縁膜にイオン注入を行う工程とを含む薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記固定電荷層を形成する工程が、前記第1絶縁膜にイオン注入を行った後、前記金属膜の表面に第2絶縁膜を形成する工程を含む請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記第2絶縁膜が、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層膜、シリコン酸窒化膜又は酸化アルミニウム膜である請求項8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記第2絶縁膜の厚みが50nm以上200nm以下である請求項8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
基板上に、固定電荷を有する固定電荷層と、酸化物半導体から成るチャネル層と、ゲート絶縁層とがこの順に積層されたトップゲート型の薄膜トランジスタであって、
前記固定電荷層が、前記基板上に形成された絶縁膜と、当該絶縁膜の表面に形成された金属膜を備え、
前記絶縁膜及び前記金属膜にイオン注入により添加された元素が分布しており、
前記絶縁膜内における前記元素の分布の最大値が、前記金属膜内における前記元素の分布の平均値より大きい薄膜トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定電荷発現方法、薄膜トランジスタの製造方法及び薄膜トランジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、In-Ga-Zn-O系(IGZO)等の酸化物半導体をチャネル層に用いた薄膜トランジスタ(TFT)の開発が活発に行われている。
【0003】
このような薄膜トランジスタとして、例えば特許文献1には、チャネル層に接触するゲート絶縁層やチャネル保護層を構成する絶縁膜として、膜密度が小さい(2.70~2.79g/cm)酸化アルミニウムを用いるものが開示されている。この薄膜トランジスタでは、このような膜密度が小さい酸化アルミニウムを絶縁膜とすることで、絶縁膜内の負の固定電荷密度を大きくでき、これにより薄膜トランジスタの閾値電圧を正方向へシフトさせ、信頼性を向上できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-222767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示される薄膜トランジスタでは、膜密度を小さくすることにより、言い換えれば膜質を悪化させることにより負の固定電荷を発現させるようにしているので、リーク電流の増大や環境変化による信頼性低下の恐れがある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、半導体デバイスに用いられるバックチャネル側の絶縁膜内に、膜質の低下を抑えながら必要な固定電荷を効率よく生成することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る固定電荷発現方法は、酸化物半導体から成るチャネル層を有する半導体デバイスにおけるバックチャネル側の絶縁膜内の固定電荷を発現させる方法であって、前記絶縁膜を基板上に成膜した後、当該絶縁膜の表面に金属膜を成膜し、当該金属膜を介して前記絶縁膜にイオン注入を行うことにより前記絶縁膜中に固定電荷を発現させることを特徴とする。
【0008】
このような構成であれば、金属膜を介して絶縁膜にイオン注入するようにしているので、イオン注入により生成される欠陥の全てを絶縁膜に分布させることなく金属膜内にも分布させることができ、絶縁膜内における欠陥による膜質の低下を小さくできる。そしてイオン注入を行う際の金属膜の厚みや注入イオンの飛程を調整して、絶縁膜内に形成される欠陥分布を調整することで、絶縁膜内に固定電荷を発現させるとともに、その固定電荷密度を容易に調整することができる。しかも、絶縁膜の全体の膜質を変化させるのではなく、イオン注入により表層部分だけの膜質を変化させるようにしているので、絶縁膜の本来の絶縁特性をほぼ維持した状態で、部分的な機能の付加を行うことができる。
【0009】
前記固定電荷発現方法は、前記イオン注入によるイオンの平均飛程が、前記金属膜の厚みよりも大きく、かつ前記金属膜の厚みと前記絶縁膜の厚みの和よりも小さいのが好ましい。
このようにすれば、イオン注入による欠陥を金属膜内に分布させながらも、絶縁膜内に多く分布させることができるので、絶縁膜内に固定電荷を効率よく発現させることができる。
【0010】
また前記固定電荷発現方法は、前記イオンの平均飛程とその標準偏差の和が、前記金属膜の厚みと前記絶縁膜の厚みの和よりも小さいのが好ましい。
このようにすれば、絶縁膜内に形成される欠陥の分布をより多くでき、絶縁膜の固定電荷密度を大きくすることができる。
【0011】
前記固定電荷発現方法の効果を顕著に奏する前記絶縁膜の具体的態様として、シリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜が挙げられる。
【0012】
前記固定電荷発現方法の効果を顕著に奏する前記金属膜の具体的態様としては、アルミニウム、アルミニウム合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン又はチタン合金から構成されるものが挙げられる。
【0013】
前記固定電荷発現方法の効果を顕著に奏する前記イオン注入で注入するイオン種の具体的態様としては、O、N、C等の原子イオン、O、N、C等の分子イオン、又はAr等の希ガスイオンから選択される1種以上があげられる。
【0014】
また本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、トップゲート型の薄膜トランジスタの製造方法であって、固定電荷を有する固定電荷層を基板の表面に形成する工程と、前記固定電荷層の表面に酸化物半導体からなるチャネル層を形成する工程と、前記チャネル層の表面にゲート絶縁層を形成する工程とを含み、前記固定電荷層を形成する工程が、前記基板の表面に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜を介して前記第1絶縁膜にイオン注入を行う工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
このような薄膜トランジスタの製造方法であれば、金属膜を介して第1絶縁膜にイオン注入するようにしているので、イオン注入により生成される欠陥の一部を金属膜内に分布させることができ、第1絶縁膜内における欠陥による膜質の低下を小さくできる。そしてイオン注入を行う際の金属膜の厚みや注入イオンの飛程を調整して、第1絶縁膜内に形成される欠陥分布を調整することで、第1絶縁膜内における固定電荷密度を容易に調整することができる。これにより固定電荷による薄膜トランジスタの電気的な特性制御が可能になり、高移動度で且つ正の閾値電圧での動作が容易な薄膜トランジスタを製造することができる。
また、閾値電圧を制御する固定電荷層をバックチャネル側に設けているので、第1絶縁膜内の注入イオンの分布に起因するリーク電流の発生を抑制でき、安定した薄膜トランジスタを製造することが可能となる。
【0016】
前記薄膜トランジスタの製造方法は、前記固定電荷層を形成する工程が、前記第1絶縁膜にイオン注入を行った後、前記金属膜の表面に第2絶縁膜を形成する工程を含むのが好ましい。
このような第2絶縁膜を形成することで、金属膜からチャネル層への不純物の拡散を防止することができ、より安定した特性の薄膜トランジスタを製造することができる。
【0017】
また前記薄膜トランジスタの製造方法では、前記第2絶縁膜が、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層膜、シリコン酸窒化膜又は酸化アルミニウム膜であるのが好ましい。
このようにすれば、第2絶縁膜が、酸化物半導体であるチャネル層の下部への酸素供給源として機能するため、より安定した特性の薄膜トランジスタを製造することができる。
【0018】
前記第2絶縁膜の厚みが50nm以上200nm以下であるのが好ましい。
このようにすれば、固定電荷層からチャネル層へ効率よく電界を付与することができるようになる。
【0019】
また本発明の薄膜トランジスタは、基板上に、固定電荷を有する固定電荷層と、酸化物半導体から成るチャネル層と、ゲート絶縁層とがこの順に積層されたトップゲート型の薄膜トランジスタであって、前記固定電荷層が、前記基板上に形成された絶縁膜と、当該絶縁膜の表面に形成された金属膜とを備え、前記絶縁膜及び前記金属膜にイオン注入により添加された元素が分布しており、前記金属膜中における前記元素の分布の平均値より、前記絶縁膜中における前記元素の分布の最大値が大きいことを特徴とする。
このような薄膜トランジスタであれば、上記した固定電荷発現方法及び薄膜トランジスタの製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、半導体デバイスに用いられるバックチャネル側の絶縁膜内に膜質の低下を抑えながら必要な固定電荷を効率よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の固定電荷発現方法を利用した作成した薄膜トランジスタの構成を模式的に示す断面図である。
図2】イオン注入による注入イオン分布と欠陥分布とを説明する図である。
図3】同実施形態の薄膜トランジスタの製造工程を模式的に示す図である。
図4】他の実施形態の薄膜トランジスタの製造工程を模式的に示す図である。
図5】実施例で用いた評価サンプルの構成を模式的に示す図。
図6】実施例1におけるシミュレーション結果を示す図であり、注入イオンのエネルギーと注入深さとの関係を示す図である。
図7】実施例1における測定結果を示す図であり、イオン注入量と固定電荷密度との関係性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の固定電荷発現方法を利用して製造した薄膜トランジスタ100及びその製造方法の一実施形態について説明する。
【0023】
<1.薄膜トランジスタ>
本実施形態の薄膜トランジスタ100は所謂トップゲート型のTFTであり、酸化物半導体をチャネルに用いたものである。具体的には図1に示すように、基板1と、固定電荷層2と、チャネル層(活性層)3と、ゲート絶縁層4と、ゲート電極層5と、絶縁層6と、ソース電極7及びドレイン電極8とを有しており、基板1側からこの順に積層されている。以下、各部について詳述する。
【0024】
(1)基板
基板1は光を透過できるような任意の材料から構成されており、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリル、ポリイミド等のプラスチック(合成樹脂)やガラス等によって構成されてよい。
【0025】
(2)固定電荷層
固定電荷層2は、正の固定電荷を有するものである。本実施形態の固定電荷層2は、複数の膜が積層されて構成されたものであり、具体的には、第1絶縁膜21と、金属膜22と、第2絶縁膜23とが基板1側から順に積層されたものである。
【0026】
第1絶縁膜21は、高い絶縁性を有する任意の絶縁材料から構成されてよく、例えば、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜等が挙げられるが、これに限らない。なおこの第1絶縁膜21は、基板1の表面に予め形成されている拡散防止膜であってもよい。
【0027】
金属膜22は、任意の金属材料から構成されてよく、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン又はチタン合金から構成されてよいが、これに限らない。金属膜の厚みは30nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましいが、金属材料やイオン注入条件にも依存するため、これに限らない。
【0028】
第2絶縁膜23は、酸素を含む絶縁材料により構成されるのが好ましく、例えばシリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層膜、シリコン酸窒化膜又は酸化アルミニウム膜であるのが好ましい。この第2絶縁膜23を介してチャネル層3に電界を有効に付与する観点から、第2絶縁膜23の厚みは、例えば50nm以上200nm以下が好ましいが、これに限らない。
【0029】
(3)チャネル層
チャネル層3は、ゲート電圧の印加により、ソース電極7とドレイン電極8間にチャネルを形成し、電流を通過させるものである。チャネル層3は、酸化物半導体からなり、例えばIn、Ga、Zn、Sn、Al、Ti等から選択される少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含んでいる。チャネル層3を構成する材料の具体例としては、例えば、Inを主構成要素とする酸化物材料、In-Ga-Zn-O(IGZO)、In-Al-Mg-O、In-Al-Zn-O又はIn-Hf-Zn-O等が挙げられる。このチャネル層3は例えば非晶質(アモルファス)の酸化物半導体膜により構成されている。本実施形態のチャネル層3は単層構造であるが、これに限らず、組成や結晶性が互いに異なる複数の層を重ねて構成した積層構造であってもよい。チャネル層3の厚みは、例えば30nm以上100nm以下が好ましく、30nm以上50nm以下がより好ましい。
【0030】
このチャネル層3は、基板1の表面の一部を覆うように形成されている。そして基板1の表面には、チャネル層3を両側から挟むとともに、チャネル層3に電気的に接続するようにして、ソース領域層Sとドレイン領域層Dとが形成されている。このソース領域層Sとドレイン領域層Dは、積層方向に沿って形成されたコンタクトホールHを介して、ソース電極7とドレイン電極8にそれぞれ電気的に接続されている。なおコンタクトホールHには、例えばモリブデン等の金属が充填されている。
【0031】
(4)ゲート絶縁層
ゲート絶縁層4は、チャネル層3、ソース領域層S及びドレイン領域層Dの表面を覆うように形成されている。このゲート絶縁層4は、高い絶縁性を有する酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等の任意の絶縁材料から構成されている。ゲート絶縁層4は、例えば、SiO、SiN、SiON、Al、Y、Ta、Hf等から選択される1つ以上の酸化物を含む絶縁膜であってよい。ゲート絶縁層4は、これらの導電性膜を単層構造又は2層以上の積層構造としたものであってよい。
【0032】
(5)ゲート電極層
ゲート電極層5は、薄膜トランジスタ100に印加されるゲート電圧によってチャネル層3中のキャリア密度を制御するものである。ゲート電極層5は、ゲート絶縁層4の表面において、チャネル層3の真上に位置するように形成されている。より具体的にゲート電極層5は、層内方向(積層方向に直交する方向)に沿ったその両端面の位置が、チャネル層3の両端面の位置と揃うようにして形成されている。このゲート電極層5は、高い導電性を有する任意の金属材料から構成されており、例えばSi、Al、Mo、Cr、Ta、Ti、Pt、Au、Ag等から選択される1種以上の金属から構成されてよく、Al合金、Ag合金、Mo合金、Ti合金等の合金により構成されてよい。
【0033】
(6)絶縁層
絶縁層6は、ゲート電極層5と、ソース電極7及びドレイン電極8との間を絶縁するものであり、例えばフッ素を含有するシリコン酸化膜などにより構成される。絶縁層6は、ゲート電極層5の全面(上面及び側面)と、ゲート絶縁層4の表面を覆うように形成されている。
【0034】
(7)ソース電極、ドレイン電極
ソース電極7及びドレイン電極8は、チャネル層3の表面を部分的に覆うように、互いに離間して形成されている。ソース電極7及びドレイン電極8は、ゲート電極層5と同様に、電極として機能するように高い導電性を有する材料から構成されている。ソース電極7及びドレイン電極8は、単一の材料からなる単層構造でよく、互いに異なる材料からなる複数の層を重ねた積層構造であってもよい。ソース電極7及びドレイン電極8は、絶縁層6及びゲート絶縁層4を積層方向に沿って貫通するコンタクトホールHを介して、ソース領域層S及びドレイン領域層Dにそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
(8)固定電荷層内の固定電荷
そして本実施形態の薄膜トランジスタ100では、第1絶縁膜21内における金属膜22との界面近傍に、イオン注入を行うことにより形成された(発現された)正の固定電荷が存在している。
【0036】
本実施形態の薄膜トランジスタ100では、第1絶縁膜21の厚みdと、金属膜22の厚みdと、注入イオン(例えば、O、N、C等の原子イオン、O、N、C等の分子イオン、Ar等の希ガスイオン)の平均飛程Rと、その標準偏差ΔRとの関係を調整することで、第1絶縁膜21内における注入イオンの分布及び欠陥の分布を調整し、固定電荷層2内の正の固定電荷密度を調整するようにしている。
【0037】
具体的に本実施形態の固定電荷層2は、以下の条件(A)及び(B)の両方を満たすように構成されている。
(A)イオン注入によるイオンの平均飛程Rpが、金属膜22の厚みdよりも大きい(R>d
(B)イオン注入によるイオンの平均飛程Rpが、金属膜の厚みdと第1絶縁膜21の厚みdの和よりも小さい(d+d>R
【0038】
さらに本実施形態の固定電荷層2は、以下の条件(C)も満たすように構成されている。
(C)イオンの平均飛程Rとその標準偏差ΔRの和が、金属膜22の厚みdと第1絶縁膜21の厚みdの和よりも小さい(d+d>R+ΔR
【0039】
なお、イオンの平均飛程Rとは、イオン注入されたイオンの膜中における深さ方向(積層方向)の分布の最大値の深さ位置であり、またこの場合の標準偏差ΔRは、同分布の奥側(層内方向側)への拡がりを示す指標である。
【0040】
そして第1絶縁膜21と金属膜22のいずれの膜内にも、イオン注入による注入イオンと、イオン注入による欠陥とが分布して形成されている。図2に示すように、注入イオンの分布は、金属膜22から第1絶縁膜21に向かうにつれて大きくなり、第1絶縁膜21内において最大となる。またイオン注入による欠陥の分布も、金属膜22から第1絶縁膜21に向かうにつれて大きくなり、第1絶縁膜21内において(より具体的には、金属膜22との界面近傍において)最大となる。そして注入イオンの分布が最大となる深さは、欠陥の分布が最大となる深さよりも大きくなっている。
【0041】
また元素の分布の観点から言うと、本実施形態の薄膜トランジスタ100では、第1絶縁膜21と金属膜22の両方に、イオン注入により添加された元素が分布している。具体的には、膜厚方向において、金属膜22中における元素の分布の平均値より、第1絶縁膜21中における元素の分布の最大値が大きくなっている。本実施形態では、元素の分布は、金属膜22から第1絶縁膜21に向かう程大きくなり、第1絶縁膜21内において最大となる。
【0042】
<2.薄膜トランジスタの製造方法>
次に、上述した構造の薄膜トランジスタ100の製造方法を、図3を参照して説明する。本実施形態の薄膜トランジスタ100の製造方法は、固定電荷層形成工程と、チャネル層形成工程と、ゲート絶縁層形成工程と、ゲート電極形成工程と、ソース領域/ドレイン領域形成工程と、絶縁層形成工程と、ソース電極/ドレイン電極形成工程とを含んでいる。以下、各工程について説明する。
【0043】
(1)固定電荷層形成工程
基板1上に固定電荷層2を形成する。この工程は、第1絶縁膜形成工程と、金属膜形成工程と、第1イオン注入工程と、第2絶縁膜形成工程とを順に含む。
【0044】
(1-1)第1絶縁膜形成工程
まず基板1上に、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜等の第1絶縁膜21を形成する。この第1絶縁膜21は、例えばプラズマCVD法等の既知の方法により、基板1の表面の全面を覆うように形成される。
【0045】
(1-2)金属膜形成工程
次に第1絶縁膜21の表面に金属膜22を形成する。金属膜22は、例えば真空蒸着等の既知の方法により、第1絶縁膜21の表面の全面を覆うように形成される。
【0046】
(1-3)第1イオン注入工程
次に、図3の(a)に示すように、形成した金属膜22を介して第1絶縁膜21に対してイオン注入を行う。イオン注入は既知のイオン注入法により行ってよい。このイオン注入工程は、積層方向から視て第1絶縁膜21の全面に対してイオンを注入するように行われる。注入するイオン種は、例えばO、N、C等の原子イオン、O、N、C等の分子イオン、Ar等の希ガスイオンであるが、これに限らない。イオンエネルギーは、例えば5keV~30keVであるがこれに限らない。またイオン注入量(ドーズ量)は、例えば1×1013iоns/cm~1×1015iоns/cmであるが、これに限らない。イオンエネルギー及びイオン注入量は、イオンの平均飛程R及びその標準偏差ΔRが上記した条件(A)及び(B)を満たすように、好ましくはさらに条件(C)を満たすように設定される。これにより、第1絶縁膜21内に正の固定電荷が形成される。
【0047】
(1-4)第2絶縁膜形成工程
第1イオン注入工程後、図3の(b)に示すように、例えばシリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層膜、シリコン酸窒化膜又は酸化アルミニウム膜等の第2絶縁膜23を金属膜22上に形成する。第2絶縁膜23は、真空蒸着法等の既知の方法により金属膜22の全面を覆うように形成されてよい。
【0048】
(2)チャネル層形成工程
次に、固定電荷層2上(具体的には第2絶縁膜23上)にチャネル層3を形成する。このチャネル層3は、既知の方法により形成してよい。例えばプラズマを用いて、InGaZnO等の導電性酸化物焼結体をターゲットとしてスパッタリングすることにより、第2絶縁膜23の全面を覆うようにチャネル層3を形成してよい。なおこれに限らず、他の方法により、酸化物半導体からなるチャネル層3を形成してもよい。
【0049】
(3)ゲート絶縁層形成工程
次に、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等の任意の絶縁材料から構成されるゲート絶縁層4をチャネル層3上に形成する。ここでは、例えばプラズマCVD法等の既知の方法により、チャネル層3の全面を覆うようにゲート絶縁層4を形成する。
【0050】
(4)ゲート電極形成工程
次に、ゲート絶縁層4上にゲート電極層5を形成する。ゲート電極層5は、真空蒸着法等の既知の方法により形成されてよい。
【0051】
(5)ソース領域/ドレイン領域形成工程
次に、図3の(c)に示すように、チャネル層3を挟むようにソース領域層S及びドレイン領域層Dを形成する。この工程は、レジストパターニング工程と、エッチング工程と、第2イオン注入工程とを含む。
【0052】
(5-1)レジストパターニング工程
まず、ゲート電極層5
上にフォトレジストRを塗布し、露光及び現像を行う。このフォトレジストRは、ゲート電極層5上において、最終的にチャネル層3となる部位の直上にのみ選択的に残る。
【0053】
(5-2)エッチング工程
次に、ゲート電極層5におけるフォトレジストRで保護されていない部分をエッチングにより除去し、ゲート電極層5のパターニングを行う。
【0054】
(5-3)第2イオン注入工程
次に、ゲート絶縁層4を介して、チャネル層3におけるゲート電極層5の外側の領域にイオン注入を行い、チャネル層3の両外側にソース領域層Sとドレイン領域層Dとを形成する。このイオン注入工程では、積層したフォトレジストR及びゲート電極層5をマスクとして行われる。なお、当該工程のイオン注入は既知の任意の方法により行われてよい。
【0055】
(6)絶縁層形成工程
第2イオン注入工程の後、図3の(d)に示すように、フォトレジストRを除去してから絶縁層6を形成する。絶縁層6は、ゲート絶縁層4及びゲート電極層5の表面の全面を覆うようにして形成される。絶縁層6は、例えばプラズマCVD法等の任意の方法により形成されてよい。
【0056】
(7)ソース電極/ドレイン電極形成工程
その後、図3の(e)に示すように、ゲート絶縁層4上にソース電極7及びドレイン電極8を形成する。ソース電極7およびドレイン電極8の形成は、例えば、RFマグネトロンスパッタリング等を用いた既知の方法により形成することができる。このソース電極7及びドレイン電極8は、エッチング等により積層方向に形成したコンタクトホールHを介して、ソース領域層S及びドレイン領域層Dにそれぞれ接続させる。
【0057】
以上により、本実施形態の薄膜トランジスタ100を得ることができる。
【0058】
<3.本実施形態の効果>
このようにした本実施形態の薄膜トランジスタ100の製造方法によれば、金属膜22を介して第1絶縁膜21にイオン注入するようにしているので、イオン注入により生成される欠陥の全てを第1絶縁膜21に分布させることなく金属膜22内にも分布させることができ、第1絶縁膜21内における欠陥による膜質の低下を小さくできる。そしてイオン注入を行う際の金属膜22の厚みや注入イオンの飛程を調整して、第1絶縁膜21内に形成される欠陥分布を調整することで、第1絶縁膜21内に正の固定電荷を発現させるとともに、その固定電荷密度を容易に調整することができる。しかも、第1絶縁膜21の全体の膜質を変化させるのではなく、イオン注入により表層部分だけの膜質を変化させるようにしているので、第1絶縁膜21の本来の絶縁特性をほぼ維持した状態で、部分的な機能の付加を行うことができる。
【0059】
なお、本発明の固定電荷発現方法は前記実施形態に限られるものではない。
例えば前記実施形態では固定電荷発現方法の一例として薄膜トランジスタ100の製造方法を例示したがこれに限らない。他の実施形態では、薄膜トランジスタ以外の他の半導体デバイスの製造方法において本発明の固定電荷発現方法が用いられてもよい。
【0060】
また他の実施形態の薄膜トランジスタ100の製造方法では、図4に示すように、第1絶縁膜21上に金属膜22を形成した後、第2絶縁膜23を形成する前に、第1絶縁膜21及び金属膜22をパターニングするようにしてもよい。
【0061】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。例えば、上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0062】
(態様1)酸化物半導体から成るチャネル層を有する半導体デバイスにおけるバックチャネル側の絶縁膜内に固定電荷を発現させる方法であって、前記絶縁膜を基板上に成膜した後、当該絶縁膜の表面に金属膜を成膜し、当該金属膜を介して前記絶縁膜にイオン注入を行うことにより前記絶縁膜中に固定電荷を発現させる固定電荷発現方法。
【0063】
(態様2)前記イオン注入によるイオンの平均飛程が、前記金属膜の厚みよりも大きく、かつ前記金属膜の厚みと前記絶縁膜の厚みの和よりも小さい態様1に記載の固定電荷発現方法。
【0064】
(態様3)前記イオンの平均飛程とその標準偏差の和が、前記金属膜の厚みと前記絶縁膜の厚みの和よりも小さい態様2に記載の固定電荷発現方法。
【0065】
(態様4)前記絶縁膜が、シリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜である態様1~3のいずれかに記載の固定電荷発現方法。
【0066】
(態様5)前記金属膜が、アルミニウム、アルミニウム合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン又はチタン合金から構成されるものである態様1~4のいずれかに記載の固定電荷発現方法。
【0067】
(態様6)前記イオン注入で注入するイオン種は、O、N、C等の原子イオン、O、N、C等の分子イオン、又はAr等の希ガスイオンから選択される1種以上である態様1~5のいずれかに記載の固定電荷発現方法。
【0068】
(態様7)トップゲート型の薄膜トランジスタの製造方法であって、固定電荷を有する固定電荷層を基板の表面に形成する工程と、前記固定電荷層の表面に酸化物半導体からなるチャネル層を形成する工程と、前記チャネル層の表面にゲート絶縁層を形成する工程とを含み、前記固定電荷層を形成する工程が、前記基板の表面に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜を介して前記第1絶縁膜にイオン注入を行う工程とを含む薄膜トランジスタの製造方法。
【0069】
(態様8)前記固定電荷層を形成する工程が、前記第1絶縁膜にイオン注入を行った後、前記金属膜の表面に第2絶縁膜を形成する工程を含む態様7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【0070】
(態様9)前記第2絶縁膜が、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層膜、シリコン酸窒化膜又は酸化アルミニウム膜である態様8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【0071】
(態様10)前記第2絶縁膜の厚みが50nm以上200nm以下である態様8又は9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【0072】
(態様11)基板上に、固定電荷を有する固定電荷層と、酸化物半導体から成るチャネル層と、ゲート絶縁層とがこの順に積層されたトップゲート型の薄膜トランジスタであって、前記固定電荷層が、前記基板上に形成された絶縁膜と、当該絶縁膜の表面に形成された金属膜とを備え、前記絶縁膜及び前記金属膜にイオン注入により添加された元素が分布しており、前記金属膜中における前記元素の分布の平均値より、前記絶縁膜中における前記元素の分布の最大値が大きい薄膜トランジスタ。
【実施例0073】
<実施例:金属層の厚み、イオン注入量と固定電荷密度との関係性>
イオン注入時における金属層の厚み及びイオン注入量と、固定電荷密度との関係性を実験により評価した。
【0074】
(1)評価サンプル
この実施例では、図5に示すように、シリコン基板上に熱酸化シリコン膜と金属層を積層した評価サンプル(金属層有サンプル)と、シリコン基板上に熱酸化シリコン膜のみを積層した評価サンプル(金属層無サンプル)の2種類の評価サンプルを準備した。各評価サンプルにおいて、シリコン基板は、n型であり、比抵抗1~10Ωcmのものを用いた。また各評価サンプルにおいて、熱酸化シリコン膜の膜厚は100nmとした。また金属層有サンプルでは、金属層として、膜厚約10nmのAl-Si合金膜を形成した。
【0075】
(2)イオン注入
そして準備した各評価サンプルに対して、イオン注入量と注入するイオン種を変えてイオン注入を行った。イオン注入量(ドーズ量)は1×1013iоns/cm~1×1015iоns/cmとした。また、金属層有サンプルへの注入イオン種はNとし、金属層無サンプルへの注入イオン種は、N、O、Arとした。またいずれの評価サンプルも、注入するイオンエネルギーを10keVとした。なお、注入イオン(N,O、Ar)のイオンエネルギーと注入深さとの関係をシミュレーションソフト(SRIM2013)を用いて計算した結果を図6に示す。このシミュレーションでは、イオン注入の対象を、Si基板上に酸化シリコン膜(膜厚100nm)とし、注入イオンのエネルギーを5~30keVとしている。
【0076】
(3)固定電荷密度の評価
そして、イオン注入後の各評価サンプルにおける熱酸化シリコン膜の固定電荷密度をC-V法により測定した。なお金属層無サンプルに対しては、熱酸化シリコン膜に接触する電極を形成して行った。その結果を図7に示す。
【0077】
図7に示すように、イオン注入前に測定した熱酸化シリコン膜の固定電荷密度(約3×1011/cm)に対して、金属層であるAl膜(10nm)を介してイオン注入(イオン種:N)を行った金属層有サンプルでは、注入イオンと欠陥とのバランスが取れて固定電荷の大きな変化は見えなかった。一方で、金属層の厚みを十分に小さくした(ここでは0nm)金属層無サンプルでは、イオン注入後に正の固定電荷の増加が見られた。酸化シリコン中の欠陥は正の固定電荷を発現することが通常知られていることから、金属層の厚みを小さくすることでイオン注入時に酸化シリコン膜中に生成される欠陥が増加し、これにより正の電荷が増加したものと考えられる。この結果から、イオン注入時における金属層の厚みを変化させることによって、酸化シリコン膜中に正の固定電荷を発現させるとともに、その固定電荷密度を制御できることを確認できた。
【0078】
また、図6に示す注入イオンの深さ分布からは、重い元素に比べて軽い元素がより深く入り込み、N、O、Arの順に深く入ることが分かる。図7において、注入するイオン種の違いによりシリコン酸化膜の固定電荷密度が異なるのはこのためと考えられる。
【0079】
以上の結果から、酸化シリコン膜に形成される正の固定電荷密度(又は電荷量)は、金属層の厚みと注入するイオン種とイオン注入量とで制御することができることを確認できた。また酸化シリコン膜の厚みをイオンの注入深さより充分大きくすることで、絶縁膜としての機能を損なわずに機能を付加できることを確認できた。
【符号の説明】
【0080】
100・・・薄膜トランジスタ
1 ・・・基板
2 ・・・固定電荷層
21 ・・・第1絶縁膜
22 ・・・金属膜
23 ・・・第2絶縁膜
3 ・・・チャネル層
4 ・・・ゲート絶縁層
5 ・・・ゲート電極層
6 ・・・保護層
7 ・・・ソース電極層
8 ・・・ドレイン電極層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7