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特開2023-176746特性抽出装置、特性抽出方法および特性抽出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176746
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】特性抽出装置、特性抽出方法および特性抽出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089185
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 純平
(72)【発明者】
【氏名】片岡 明
(72)【発明者】
【氏名】熊田 孝恒
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】特定の場面における人間の特性を説明する性格を定義する。
【解決手段】生成部15aが、所定の状況における人間の行動を反映するセンサデータを生成する。取得部15bは、生成された該センサデータを取得する。抽出部15cが、取得されたセンサデータから間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の状態における人間の行動を反映するセンサデータを取得する取得部と、
取得された前記センサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する抽出部と、
を有することを特徴とする特性抽出装置。
【請求項2】
所定の状況における人間の行動を反映するセンサデータを生成する生成部をさらに有し、
前記取得部は、生成された該センサデータを取得することを特徴とする請求項1に記載の特性抽出装置。
【請求項3】
前記生成部は、生成した前記センサデータに含まれる非連続変数に個人を識別する情報を付与することを特徴とする請求項2に記載の特性抽出装置。
【請求項4】
抽出された前記連続変数の値の変化に応じて前記生成部が生成したセンサデータを用いて、該連続変数に対応する特性を表す情報を特定する特定部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の特性抽出装置。
【請求項5】
前記特定部は、抽出された前記連続変数に対応する特性を表す単語を特定することを特徴とする請求項4に記載の特性抽出装置。
【請求項6】
前記取得部は、頭部運動、眼球運動、顔の運動、または表情のいずれかを表す前記センサデータを取得することを特徴とする請求項1に記載の特性抽出装置。
【請求項7】
特性抽出装置が実行する特性抽出方法であって、
所定の状態における人間の行動を反映するセンサデータを取得する取得工程と、
取得された前記センサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する抽出工程と、
を含んだことを特徴とする特性抽出方法。
【請求項8】
所定の状態における人間の行動を反映するセンサデータを取得する取得ステップと、
取得された前記センサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する抽出ステップと、
をコンピュータに実行させるための特性抽出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特性抽出装置、特性抽出方法および特性抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、性格分析を行う技術が知られている。例えば、ビッグファイブ理論では、人間の性格を開放性、誠実性、該構成、神経症傾向からなる5つの特性の潜在因子で表現している。このビッグファイブ理論では、各個人の性格は、具体的な特性値の組み合わせで表現される(非特許文献1参照)。
【0003】
また、辞書等に存在する、性格を表現する単語を因子として用いて「誠実性」等の性格が定義されている。
【0004】
このような性格分析を業務への適性予測等に活用する場合に、例えば、事務作業には「誠実性」の中でもとりわけ「几帳面」であることが要求されるというように、ある特定の場面における人間の特性を良く説明する性格を定義することが必要となる場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Xi Chen, et al., “InfoGAN: Interpretable Representation Learning by Information Maximizing Generative Adversarial Nets”, [online]、2016年、[2022年3月25日検索]、インターネット<URL:https://perceptual.mpi-inf.mpg.de/files/2015/08/Steil_Ubicomp15.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、特定の場面における人間の特性を説明する性格を定義することは困難である。つまり、従来、自然言語の辞書等の単語を用いて、あらゆる場面一般における普遍的な性格を定義することはできる。一方、業務選択等の特定の場面における人間の性格のみを表現した辞書等は存在しないため、特定の場面における人間の特性を説明する性格を定義することは困難である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特定の場面における人間の特性を説明する性格を定義可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る特性抽出装置は、所定の状態における人間の行動を反映するセンサデータを取得する取得部と、取得された前記センサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する抽出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の場面における人間の特性を説明する性格を定義することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の特性抽出装置の概要を説明するための図である。
図2図2は、本実施形態の特性抽出装置の概要を説明するための図である。
図3図3は、本実施形態の特性抽出装置の概略構成を例示する模式図である。
図4図4は、特性抽出処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、特性抽出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0012】
[特性抽出装置の概要]
図1および図2は、本実施形態の特性抽出装置の概要を説明するための図である。本実施形態において、特性抽出装置は、図1に示すように、実験環境下で取得された特定の場面における人間の行動センサデータから、性格(特性)を表現する因子を抽出する。
【0013】
その後、特性抽出装置は、抽出された因子の値を任意に変更することにより、この因子を説明する単語を特定する。これにより、特定の場面において重要となる性格を定義することが可能となる。
【0014】
また、特性抽出装置は、行動センサデータのような高次元データを説明する因子を抽出する際に、人間の特性によって変動する行動特徴を、人間の特性によらずに個人ごとに変動する行動特徴から分離する。
【0015】
具体的には、人間の特性は連続的な値をとる変数によって定義されるため、人間の特性の差がもたらす行動特徴の違いは、連続的に変化する。これに対し、人間の特性によらない個人差は非連続的な値をとる場合が多いため、個人差がもたらす行動特徴の違いは、各個人に特異的な特徴として非連続的に表れる場合が多い。個人差とは、例えば、年齢、性別、センサデバイスの装着の癖等により生じるノイズ等の差が例示される。
【0016】
そこで、特性抽出装置は、人間の特性は連続変数で表される因子として、また特性によらない個人差は非連続変数で表される因子として区別して抽出する。これにより、特性抽出装置は、特定の場面において、人間の特性を表す因子を抽出することが可能となる。
【0017】
ここで、図2(a)(b)の横軸は人間のある特性を表す因子の特性値を表し、縦軸は個人ごとの値を表す。また、図2(a)には、人間の特性によって変動する行動特徴を、人間の特性によらずに個人ごとに変動する行動特徴から分離しない場合が例示されている。この場合には、個人差が大きすぎて人間の特性を表す因子を抽出が困難である。これに対し、図2(b)には、人間の特性によって変動する行動特徴を、人間の特性によらずに個人ごとに変動する行動特徴から分離した場合が例示されている。この場合には、個人差がもたらす行動特徴の違いを分離することにより、横軸に例示するように、人間の特性を表す因子を抽出している。
【0018】
[特性抽出装置の構成]
図3は、本実施形態の特性抽出装置の概略構成を例示する模式図である。図3に例示するように、本実施形態の特性抽出装置10は、パソコン等の汎用コンピュータで実現され、入力部11、出力部12、通信制御部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0019】
入力部11は、キーボードやマウス等の入力デバイスを用いて実現され、操作者による入力操作に対応して、制御部15に対して処理開始などの各種指示情報を入力する。出力部12は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンター等の印刷装置等によって実現される。例えば、出力部12には、後述する特性抽出処理の結果が表示される。
【0020】
通信制御部13は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した外部の装置と制御部15との通信を制御する。例えば、通信制御部13は、センサデータを管理する管理装置等と制御部15との通信を制御する。
【0021】
記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部14には、特性抽出装置10を動作させる処理プログラムや、処理プログラムの実行中に使用されるデータなどが予め記憶され、あるいは処理の都度一時的に記憶される。なお、記憶部14は、通信制御部13を介して制御部15と通信する構成でもよい。
【0022】
本実施形態では、記憶部14は、後述する学習部15dにより最適化されたジェネレータ14aおよびディスクリミネータ14bを記憶する。本実施形態において、ジェネレータ14aおよびディスクリミネータ14bは、後述するように、敵対的生成ネットワークを用いるが、これに限定されず、例えば、変分オートエンコーダ等であってもよい。
【0023】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。これにより、制御部15は、図3に例示するように、生成部15a、取得部15b、抽出部15c、学習部15dおよび特定部15eとして機能して、後述する特性抽出処理を実行する。なお、これらの機能部は、それぞれあるいは一部が異なるハードウェアに実装されてもよい。例えば、特定部15eは、その他の機能部とは異なるハードウェアに実装されてもよい。また、制御部15は、その他の機能部を備えてもよい。
【0024】
生成部15aは、所定の状況における人間の行動を反映するセンサデータを生成する。具体的には、生成部15aは、最適化されたジェネレータ14aを用いて、実験環境下におけるセンサデータを生成する。ここで、人間の行動を反映するセンサデータとは、例えば、頭部運動、眼球運動、顔の運動、または表情を表すデータ等であり、カメラによって撮像された顔動画データや、PC操作の履歴等であってもよい。
【0025】
また、生成部15aは、生成したセンサデータに含まれる非連続変数に個人を識別する情報を付与する。例えば、生成部15aは、非連続変数に明示的に教師ラベルとして個人IDを付与する。これにより、後述する特定部15eによる機械学習モデルを構築することが容易に可能となる。
【0026】
取得部15bは、所定の状況における人間の行動を反映するセンサデータを取得する。具体的には、取得部15bは、頭部運動、眼球運動、顔の運動、または表情のいずれかを表すセンサデータを取得する。
【0027】
例えば、取得部15bは、生成されたセンサデータを取得する。具体的には、取得部15bは、生成部15aが生成したセンサデータを取得する。
【0028】
また、取得部15bは、入力部11あるいは通信制御部13を介して、センサから出力されたセンサデータを管理する管理装置等から、所定の状況における人間の行動を反映する実データを取得する、取得部15bは、取得した実データを記憶部14に記憶させてもよい。その場合には、後述する学習部15dおよび特定部15eは、処理対象のセンサデータを記憶部14から取得してもよい。
【0029】
抽出部15cは、取得されたセンサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する。具体的には、抽出部15cは、最適化されたディスクリミネータ14bを用いて、取得されたセンサデータから、連続変数と非連続変数とを分離して抽出する。
【0030】
学習部15dは、ジェネレータ14aとディスクリミネータ14bとの最適化を学習により実行する。上記のとおり、本実施形態において、ジェネレータ14aおよびディスクリミネータ14bは敵対的生成ネットワークを用いて構築される。具体的には、学習部15dは、まず、ディスクリミネータ14bの最適化を行い、次にジェネレータ14aの最適化を行う。
【0031】
ディスクリミネータ14bの最適化において、学習部15dは、生成部15aがジェネレータ14aを用いて生成したセンサデータを取得する。その際に、生成部15aは、人間の特性を表現することを期待した連続値からなる因子として、正規分布からランダムサンプリングされるいくつかの連続変数と、特性によらない個人差を表現する非連続変数として、ランダムにサンプリングされた非連続値とをジェネレータ14aに入力し、センサデータを生成する。
【0032】
学習部15dは、生成されたセンサデータをディスクリミネータ14bに入力し、ディスクリミネータ14bが「生成データ」「実データ」の判別を行う経路において「生成データ」と推定するように、誤差の評価・逆伝播を行う。
【0033】
次に、学習部15dは、実データをディスクリミネータ14bに入力し、ディスクリミネータ14bが「生成データ」「実データ」の判別を行う経路において「実データ」と推定するように、誤差の評価・逆伝播を行う。
【0034】
また、本実施形態において、ディスクリミネータ14bは、敵対的生成ネットワークに通常備わる経路に加え、特性を表現することを期待した連続値か、個人差を表す個人IDの非連続値かを分離して推定する経路を有する。
【0035】
ただし、実データが入力された場合には、学習部15dは、特性を表現することを期待した連続値を推定する経路では、誤差の評価・逆伝播を行わない。一方、学習部15dは、個人IDの非連続値を推定する経路では、非連続変数に用いられる交差エントロピー関数を用いて、誤差の評価・逆伝播を行う。
【0036】
次に、学習部15dは、ジェネレータ14aの最適化を行う。学習部15dは、ジェネレータ14aの最適化において、生成部15aがジェネレータ14aを用いて生成したセンサデータを取得する。その際に、ディスクリミネータ14bの最適化の場合と同様に、生成部15aは、人間の特性を表現することを期待した連続値からなる因子として、正規分布からランダムサンプリングされるいくつかの連続変数と、特性によらない個人差を表現する非連続変数として、ランダムにサンプリングされた非連続値とをジェネレータ14aに入力し、センサデータを生成する。
【0037】
そして、学習部15dは、生成されたセンサデータをディスクリミネータ14bに入力し、ディスクリミネータ14bが「生成データ」「実データ」の判別を行う経路において「実データ」と推定するように、誤差の評価・逆伝播を行う。
【0038】
学習部15dは、人間の特性を表現することを期待した連続値を推定する経路では、入力データに対応した正規分布からサンプリングされた連続値を推定するように、連続変数に用いられる正規分布の負の対数尤度関数を用いて、誤差の評価・逆伝播を行う。これにより、ジェネレータ14aは、ディスクリミネータ14bによってデータ生成元の連続変数の違いを推定しやすいようにデータを生成するようになる。したがって、因子の抽出が可能となる。
【0039】
学習部15dは、入力データに対応した個人IDの推定を行う経路では、非連続変数に用いられる交差エントロピー関数を用いて、誤差の評価・逆伝播を行う。
【0040】
このようにして学習されたジェネレータ14aを用いることにより、特性を表現することを期待した連続値と、任意の個人IDの値を指定して行動のセンサデータを生成することが可能となる。したがって、分析対象のセンサデータに含まれる全ての個人について、人間の特性を表現することを期待した連続変数の値を任意に変えながら、人間の行動を反映するセンサデータを生成することが可能となる。
【0041】
これにより、生成部15aおよび抽出部15cが、特性を表現することを期待した連続値と、個人IDを表現している非連続値とを、変数の連続、非連続という質的な違いで区別して取り扱うことが可能となる。したがって、特性によらない個人差は、非連続であることによって説明されることが期待される。加えて、生成部15aが、個人IDを明示的に教師ラベルとして与えて特定部15eが学習を行うことで、さらに明確に両者を区別しながら、これらの変数によって行動特徴を説明できることが期待される。
【0042】
特定部15eは、抽出された連続変数の値の変化に応じて生成部15aが生成したセンサデータを用いて、該連続変数に対応する特性を表す情報(当該連続変数のクラスタ)を特定する。具体的には、特定部15eは、抽出された連続変数に対応する特性を表す単語を特定する。例えば、特定部15eは、連続変数の値の変化に応じて変化するセンサデータをアニメーション等で表現して、当該連続変数(特性を表す因子)のクラスタを特定し、当該クラスタに対して特性を表す性格を定義する単語を特定する。
【0043】
例えば、特定部15eは、特性を表す因子の値が低い場合、中程度の場合、高い場合について、学習されたモデルに入力した時間窓の長さ分の人間の頭部、眼球運動等の行動センサデータを3Dモデル上に実装する。これにより、特定部15eは、頭部のうつむき加減や目くばせをする様子等、顔の印象を左右する運動をアニメーション等の動画で再現する。
【0044】
そして、特定部15eは、顔動画データから特性を推定する機械学習モデルを構築することにより、特性を表す因子の値が低い場合、中程度の場合、高い場合のそれぞれについて因子が表す性格を定義する。ここで構築されたそれぞれの場合の機械学習モデルを用いることにより、特定の場面における個人の行動センサデータから当該個人の性格を推定して、業務適性を予測すること等が可能となる。
【0045】
特定部15eは、特定した単語(自然言語)のラベルをセンサデータに付与してもよい。ここで付与する単語のラベルは、例えば質問紙に記載して、業務適性の予測に活用すること等が可能となる。
【0046】
この場合に、特定部15eは、自然言語によるラベルを介して、例えば、顔動画データから、あらゆる状況一般における人間の特性を推定する機械学習を行う。すなわち、顔動画データについて、特性を表す因子の値が低い場合、中程度の場合、高い場合のそれぞれをもっともよく表す特性のラベルの出力を得ることにより、因子が表す性格を言語化することができる。このような機械学習モデルは、あらゆる状況一般の場面における人間の特性を用いて構築が可能である。
【0047】
あるいは、特定部15eは、機械学習モデルを用いずに、オンラインを介して多人数による特性の定義づけの結果を収集してもよい。その場合には、あらゆる場面一般における性格を表す単語を用いて、当該場面の特性を表す単語を、例えば多数決等で特定することが可能となる。
【0048】
[特性抽出処理]
次に、図4を参照して、本実施形態に係る特性抽出装置10による特性抽出処理について説明する。図4は、特性抽出処理手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、例えば、ユーザが開始を指示する操作入力を行ったタイミングで開始される。
【0049】
まず、取得部15bが、所定の状況における人間の行動を反映するセンサデータを取得する(ステップS1)。例えば、取得部15bは、生成部15aが実験環境下で生成した特定の場面におけるセンサデータとして、頭部運動、眼球運動、顔の運動、または表情のいずれかを表すセンサデータを取得する。この生成部15aは、最適化されたジェネレータ14aを用いて、センサデータを生成する。
【0050】
次に抽出部15cが、取得されたセンサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する(ステップS2)。具体的には、抽出部15cは、最適化されたディスクリミネータ14bを用いて、取得されたセンサデータから、人間の特性を表現することを期待した連続値と、特性によらない個人差を表している非連続値とを分離して抽出する。
【0051】
そして、特定部15eが、抽出された連続変数の値の変化に応じて生成部15aが生成したセンサデータを用いて、この連続変数に対応する特性を表す単語等の情報を特定する(ステップS3)。例えば、特定部15eは、連続変数の値の変化に応じて変化するセンサデータをアニメーション等で表現して、当該連続変数(特性を表す因子)のクラスタを特定し、当該クラスタに対して特性を表す性格を定義する単語を特定する。これにより、一連の特性抽出処理が終了する。
【0052】
[効果]
以上、説明したように、本実施形態の特性抽出装置10において、取得部15bが、所定の状態における人間の行動を反映するセンサデータを取得する。抽出部15cが、取得されたセンサデータから人間の特性を表す連続変数と特性によらない個人差を表す非連続変数とを分離して抽出する。
【0053】
これにより、特性を表現することを期待した連続値と、個人IDを表現している非連続値とを、変数の連続、非連続という質的な違いで区別して取り扱うことが可能となる。また、特性によらない個人差は、非連続であることによって説明されることが期待される。したがって、特性抽出装置10は、特定の場面において、個人によらない人間の特性を表す因子を抽出することが可能となる。したがって、特定の場面における人間の特性を説明する性格を定義することが可能となる。
【0054】
また、生成部15aが、所定の状況における人間の行動を反映するセンサデータを生成し、取得部15bは、生成された該センサデータを取得する。これにより、特定の場面を想定した実験環境下におけるセンサデータを大量に生成することが可能となる。したがって、精度高く人間の特性を表す情報を定義することが可能となる。
【0055】
また、生成部15aは、生成したセンサデータに含まれる非連続変数に個人を識別する情報を付与する。これにより、生成部15aは、個人IDを明示的に教師ラベルとして与えて学習を行うことで、さらに明確に連続変数と非連続変数とを区別しながら、これらの変数によって行動特徴を説明することが可能となる。
【0056】
また、特定部15eが、抽出された連続変数の値の変化に応じて生成部15aが生成したセンサデータを用いて、該連続変数に対応する特性を表す情報を特定する。具体的には、特定部15eは、抽出された連続変数に対応する特性を表す単語を特定する。これにより、例えば、人間の性格一般を表現する単語で特性を定義することが可能となる。
【0057】
また、取得部15bは、頭部運動、眼球運動、顔の運動、または表情のいずれかを表すセンサデータを取得する。これにより、例えば頭部のうつむき加減、目くばせをする様子等、顔の印象を左右する運動から人間の特性を抽出することが可能となる。また、抽出された特性を3Dモデル上にアニメーションで再現することが可能となり、人間の特性を表す情報を特定することが容易に可能となる。
【0058】
[プログラム]
上記実施形態に係る特性抽出装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。一実施形態として、特性抽出装置10は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の特性抽出処理を実行する特性抽出プログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記の特性抽出プログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置を特性抽出装置10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータが含まれる。また、その他にも、情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)などのスレート端末などがその範疇に含まれる。また、特性抽出装置10の機能を、クラウドサーバに実装してもよい。
【0059】
図5は、特性抽出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0060】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1041に接続される。ディスクドライブ1041には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1051およびキーボード1052が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1061が接続される。
【0061】
ここで、ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。上記実施形態で説明した各情報は、例えばハードディスクドライブ1031やメモリ1010に記憶される。
【0062】
また、特性抽出プログラムは、例えば、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュール1093として、ハードディスクドライブ1031に記憶される。具体的には、上記実施形態で説明した特性抽出装置10が実行する各処理が記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
【0063】
また、特性抽出プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータ1094として、例えば、ハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0064】
なお、特性抽出プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1041等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、特性抽出プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LANやWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10 特性抽出装置
11 入力部
12 出力部
13 通信制御部
14 記憶部
15 制御部
15a 生成部
15b 取得部
15c 抽出部
15d 学習部
15e 特定部
図1
図2
図3
図4
図5