IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱農機株式会社の特許一覧 ▶ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の特許一覧

<>
  • 特開-コンバイン 図1
  • 特開-コンバイン 図2
  • 特開-コンバイン 図3
  • 特開-コンバイン 図4
  • 特開-コンバイン 図5
  • 特開-コンバイン 図6
  • 特開-コンバイン 図7
  • 特開-コンバイン 図8
  • 特開-コンバイン 図9
  • 特開-コンバイン 図10
  • 特開-コンバイン 図11
  • 特開-コンバイン 図12
  • 特開-コンバイン 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176858
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20231206BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A01D41/127
A01F12/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089385
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】寺田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】石田 健之
(72)【発明者】
【氏名】関 正裕
【テーマコード(参考)】
2B074
2B396
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AD05
2B074AD06
2B074AE01
2B074AF02
2B074BA13
2B074CC01
2B074CC02
2B074CD09
2B074CE01
2B074DA01
2B074DA02
2B074DA06
2B074DB04
2B074DC01
2B074DC07
2B074DE03
2B074FA10
2B074FB02
2B074FC02
2B396JA04
2B396JC08
2B396KE02
2B396KE03
2B396KE04
2B396LP08
2B396LP17
2B396MA02
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
2B396MG04
2B396MG05
2B396MG09
2B396MG40
2B396ML02
2B396ML03
2B396ML10
2B396QA13
2B396QC03
2B396QE31
2B396RA11
(57)【要約】
【課題】均平手段の駆動負荷を低減し、駆動源の出力不足による均平不良を防止する。
【解決手段】穀粒を貯留する穀粒タンク4と、穀粒タンク4内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平装置50と、を備えるコンバイン1であって、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さを検出する光学式レベルセンサ41及び複数の籾センサ42と、均平装置50を駆動制御するECU54と、を備え、均平装置50は、穀粒タンク4内に上下方向に並んで配置され、穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51、52を備え、ECU54は、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さが所定高さを超えると、複数の撹拌部51、52のうち下側撹拌部52を駆動状態から停止状態に切り換える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンク内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平手段と、を備えるコンバインであって、
前記穀粒タンク内の穀粒の堆積高さを検出する堆積高さ検出手段と、
前記均平手段を駆動制御する制御部と、を備え、
前記均平手段は、前記穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、前記穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、
前記制御部は、前記穀粒タンク内の穀粒の堆積高さが所定高さを超えると、複数の前記撹拌部のうち下側の前記撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンク内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平手段と、を備えるコンバインであって、
前記穀粒タンク内の収穫量を検出する収穫量検出手段と、
前記均平手段を駆動制御する制御部と、を備え、
前記均平手段は、前記穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、前記穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、
前記制御部は、前記穀粒タンク内の収穫量が所定量を超えると、複数の前記撹拌部のうち下側の前記撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えることを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンク内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平手段と、を備えるコンバインであって、
前記均平手段の駆動負荷を検出する駆動負荷検出手段と、
前記均平手段を駆動制御する制御部と、を備え、
前記均平手段は、前記穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、前記穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、
前記制御部は、前記均平手段の駆動負荷が所定負荷を超えると、複数の前記撹拌部のうち下側の前記撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えることを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
前記均平手段は、縦軸を中心として回転駆動される複数の前記撹拌部を備え、
複数の前記撹拌部の前記縦軸同士は、独立して回転及び停止が可能な状態で連結されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクに貯留される穀粒の表層を均す均平手段を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒タンクに貯留される穀粒の表層を均す均平手段を備えたコンバインが提案されている。例えば、特許文献1のコンバインでは、均平手段で均した穀粒の堆積高さを検出し、検出した堆積高さに基づいて穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留量を算出するので、貯留量の算出精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-58166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンバインでは、穀粒タンクの穀粒貯留量が増加するのに伴って均平手段の駆動負荷が大きくなるため、均平手段を駆動させる電動モータの出力不足により、均平手段が異常停止して穀粒を均せなくなる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平手段と、を備えるコンバインであって、前記穀粒タンク内の穀粒の堆積高さを検出する堆積高さ検出手段と、前記均平手段を駆動制御する制御部と、を備え、前記均平手段は、前記穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、前記穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、前記制御部は、前記穀粒タンク内の穀粒の堆積高さが所定高さを超えると、複数の前記撹拌部のうち下側の前記撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平手段と、を備えるコンバインであって、前記穀粒タンク内の収穫量を検出する収穫量検出手段と、前記均平手段を駆動制御する制御部と、を備え、前記均平手段は、前記穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、前記穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、前記制御部は、前記穀粒タンク内の収穫量が所定量を超えると、複数の前記撹拌部のうち下側の前記撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平手段と、を備えるコンバインであって、前記均平手段の駆動負荷を検出する駆動負荷検出手段と、前記均平手段を駆動制御する制御部と、を備え、前記均平手段は、前記穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、前記穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、前記制御部は、前記均平手段の駆動負荷が所定負荷を超えると、複数の前記撹拌部のうち下側の前記撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかに記載のコンバインであって、前記均平手段は、縦軸を中心として回転駆動される複数の前記撹拌部を備え、複数の前記撹拌部の前記縦軸同士は、独立して回転及び停止が可能な状態で連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、均平装置は、穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、制御部は、穀粒タンク内の穀粒の堆積高さが所定高さを超えると、複数の撹拌部のうち下側の撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えるので、均平手段の駆動負荷を低減し、駆動源の出力不足による均平不良を防止できる。
また、請求項2の発明によれば、均平装置は、穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、制御部は、穀粒タンク内の収穫量が所定量を超えると、複数の撹拌部のうち下側の撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えるので、均平手段の駆動負荷を低減し、駆動源の出力不足による均平不良を防止できる。
また、請求項3の発明によれば、均平手段は、穀粒タンク内に上下方向に並んで配置され、穀粒タンク内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部を備え、制御部は、均平手段の駆動負荷が所定負荷を超えると、複数の撹拌部のうち下側の撹拌部を駆動状態から停止状態に切り換えるので、均平手段の駆動負荷を低減し、駆動源の出力不足による均平不良を防止できる。
また、請求項4の発明によれば、均平手段は、縦軸を中心として回転駆動される複数の撹拌部を備え、複数の撹拌部の縦軸同士は、独立して回転及び停止が可能な状態で連結されるので、複数の撹拌部が含まれる均平手段を簡素に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コンバインの平面図である。
図2】コンバインの右側面図である。
図3】コンバインの左側面図である。
図4】穀粒タンクを右側方から見た断面図である。
図5】穀粒タンクを後方から見た断面図である。
図6】穀粒タンクを上方から見た断面図である。
図7】均平装置の第1撹拌部及び第2撹拌部の連結構成及び駆動構成を示す模式図である。
図8】コンバインの制御構成を示すブロック図である。
図9】ECUの処理手順を示すフローチャートである。
図10】第1変形例の均平装置を備えた穀粒タンクを右側方から見た断面図である。
図11】第2変形例の均平装置を備えた穀粒タンクを右側方から見た断面図である。
図12】第3変形例の均平装置の第1撹拌部、第2撹拌部及び第3撹拌部の連結構成及び駆動構成を示す模式図である。
図13】第4変形例の均平装置の第1撹拌部及び第2撹拌部の連結構成及び駆動構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1図3において、1はコンバイン(汎用コンバイン)であって、該コンバイン1は、機体の前部で茎稈を刈り取る刈取部2と、機体の左側部に配置され、全稈投入される茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、機体の右側部に配置され、脱穀部3で選別された穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、該穀粒タンク4内の穀粒を機外に排出する排出オーガ5と、脱穀済の排稈を後処理する後処理部6と、運転者が乗車する運転部7と、クローラ式の走行部8とを備える。
【0009】
刈取部2は、機体前端部に昇降動作可能に連結されるヘッダ9と、ヘッダ9の前端部で未刈り茎稈を分草するデバイダ10と、未刈り茎稈を刈り取る刈刃11と、未刈り茎稈や刈り取った茎稈を掻込むリール12と、掻き込まれた茎稈を幅方向の所定箇所に集めるオーガ13と、該オーガ13によって集められた茎稈を脱穀部3に向けて搬送し、脱穀部3に全稈投入するフィーダ14とを備える。
【0010】
図3に示すように、脱穀部3は、刈取茎稈が全稈投入される扱室18と、扱室18の下方に配置され、扱室18から漏下した穀粒を受け入れる選別室19とを備える。選別室19で選別された穀粒は、穀粒搬送コンベア20を介して穀粒タンク4に搬送される。
【0011】
扱室18は、外周に突設される扱歯21で茎稈を引っ掛けて連れ回す扱胴22と、扱胴22の下側に沿って配置され、茎稈との擦れ合いによって脱粒した穀粒を漏下させる受網(図示せず)と、受網から漏下せずに扱室18の終端まで達した排出物を排出する排塵口(図示せず)とを備えて構成されている。
【0012】
選別室19は、受網から漏下した穀粒を揺動選別する揺動選別体25と、揺動選別体25の前方で選別風を起風する唐箕26と、一番物を回収する一番ラセン27と、二番物を回収する二番ラセン28とを備える。一番ラセン27によって回収された一番物は、穀粒搬送コンベア20を介して穀粒タンク4に搬送され、二番ラセン28によって回収された二番物は、二番還元搬送コンベア(図示せず)を介して扱室18内又は揺動選別体25上に還元される。
【0013】
図4図6に示すように、穀粒タンク4の底部には、前後方向に沿う横ラセン30が設けられる。横ラセン30は、穀粒排出クラッチ(図示せず)の入操作に応じて回転駆動し、穀粒タンク4内の穀粒を排出オーガ5の搬送始端部に搬送する。排出オーガ5は、穀粒タンク4の後方に立設される縦パイプ31と、縦パイプ31の上端部に連結される横パイプ32と、縦パイプ31及び横パイプ32に内装される排出ラセン(図示せず)とを備え、排出ラセンが横ラセン30と連動して回転することで、穀粒タンク4内の穀粒が排出オーガ5を介して機外に搬送される。
【0014】
穀粒タンク4は、タンク前面を構成する前壁部33と、タンク後面を構成する後壁部34と、タンク左側面を構成する左側壁部35と、タンク右側面を構成する右側壁部36と、タンク上面を構成する天板部37と、タンク底面を構成する底板部38とを備える。
【0015】
図5に示すように、底板部38は、正面視でV溝形状の傾斜面を有し、底板部38上の穀粒を傾斜面に沿って横ラセン30に送り込む。また、左側壁部35の前方上方位置には、穀粒導入口35aが形成されている。穀粒搬送コンベア20は、穀粒導入口35aを介して穀粒タンク4内に延在する穀粒放出部20aを有し、穀粒放出部20aから穀粒タンク4内に穀粒を放出する。放出された穀粒は、穀粒タンク4内に堆積するが、穀粒の放出箇所は一箇所であるため、堆積した穀粒の表層は、そのままでは平らにはならず、一部が山状に盛り上がった状態や、前後方向又は左右方向に傾いた状態になりやすい。
【0016】
穀粒タンク4には、穀粒の貯留状態を検出する複数種類のセンサが配置されている。例えば、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さを検出するセンサ(堆積高さ検出手段)として光学式レベルセンサ41及び複数の籾センサ42が設けられ、穀粒タンク4の満杯状態を検出するセンサとしてオーバーフローセンサ43が設けられる。
【0017】
光学式レベルセンサ41は、天板部37に設けられ、底板部38に向けて出射した光(例えば、レーザ光)が穀粒の表層に反射して戻るまでの時間に基づいて、穀粒の堆積高さを無段階に検出する。なお、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さを無段階に検出するセンサとしては、底板部38に向けて出射した超音波が穀粒の表層に反射して戻るまでの時間に基づいて、穀粒の堆積高さを検出する超音波センサを用いてもよい。
【0018】
籾センサ42は、穀粒から受ける圧力でオン・オフする圧力スイッチ、穀粒から受ける圧力で検出値が変化する圧力センサ、穀粒の接触又は近接に応じて検出値が変化する静電容量センサなどを用いて構成される。穀粒タンク4の内壁面には、高さ方向において所定の間隔で複数の籾センサ42が配置されており、これらの籾センサ42の検出状態に基づいて、穀粒の堆積高さを段階的に検出する。
【0019】
オーバーフローセンサ43は、籾センサ42と同様に、圧力スイッチ、圧力センサ、静電容量センサなどを用いて構成することができる。本実施形態では、穀粒タンク4の天井面にオーバーフローセンサ43を配置し、その検出状態に基づいて、穀粒タンク4の満杯状態を検出する。
【0020】
図4図6に示すように、穀粒タンク4には、均平装置50(均平手段)が設けられている。均平装置50は、穀粒タンク4内の穀粒に作用するように駆動し、穀粒の表層を均す。このような均平装置50によれば、光学式レベルセンサ41や複数の籾センサ42によって穀粒の堆積高さを検出する際に、穀粒の表層を可及的に平らにすることで、堆積高さの検出精度を向上させることが可能になる。以下、本実施形態の均平装置50について詳細に説明する。
【0021】
均平装置50は、穀粒タンク4内に上下方向に並んで配置され、穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51、52を備える。例えば、本実施形態の均平装置50は、穀粒タンク4内に上下方向に並んで直列状に配置される上側撹拌部51及び下側撹拌部52を備える。このような均平装置50によれば、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さが所定高さを超えたら、下側撹拌部52を駆動状態から停止状態に切り換えることにより、均平装置50の駆動負荷を低減し、駆動源の出力不足による均平不良を防止できる。なお、所定高さは、例えば、上側撹拌部51による撹拌作用が始まる高さとすることができる。
【0022】
均平装置50は、電動モータである均平モータ53を駆動源として駆動される。また、均平モータ53は、制御部であるECU54(図8参照)よって駆動制御される。図7に示すように、上側撹拌部51及び下側撹拌部52は、いずれも均平モータ53によって回転駆動されるが、下側撹拌部52は、一方向回転クラッチ55(一方向回転手段)を介して均平モータ53の駆動力が伝達される。つまり、ECU54は、均平モータ53の正逆転切換制御に基づいて、下側撹拌部52を駆動状態と停止状態とに切り換えることができる。このような均平装置50によれば、均平モータ53を正逆転切換制御するだけの簡易な制御処理に基づいて、下側撹拌部52を駆動状態と停止状態とに切り換え、均平装置50の駆動負荷を低減させることが可能になる。
【0023】
つぎに、上側撹拌部51及び下側撹拌部52の具体的な構成について、図4図7を参照して説明する。
【0024】
上側撹拌部51及び下側撹拌部52は、それぞれ、上下方向に沿う回転軸56、57(縦軸)と、回転軸56、57から水平方向に延在する複数の撹拌棒58、59とを備える。上側撹拌部51の回転軸56(以下、上側回転軸56と称する場合がある。)及び下側撹拌部52の回転軸57(以下、下側回転軸57と称する場合がある。)は、上下方向に直列状に並び、連結部60を介して連結される。上側回転軸56の上端部は、軸受61を介して穀粒タンク4の天板部37に回転可能に支持されるとともに、一対のギヤ62、63を介して均平モータ53に動力伝達可能に接続される。下側回転軸57の下端部は、軸受64を介して穀粒タンク4の底板部38に回転可能に支持される。
【0025】
複数の撹拌棒58、59は、回転軸56、57に対して、軸方向(高さ方向)に所定の高さ間隔、かつ軸周り方向に所定の角度間隔で設けられる。例えば、本実施形態の回転軸56、57には、図4及び図5に示すように、高さが異なるようにそれぞれ3本の撹拌棒58、59が設けられており、これらの撹拌棒58、59は、図6に示すように、平面視において軸周り方向に90°の角度間隔を有する。
【0026】
連結部60は、回転軸56、57同士を独立して回転及び停止が可能な状態で連結させる。具体的に説明すると、連結部60は、図7に示すように、下側回転軸57の上端部に一体回転可能に設けられる内側ジョイント65と、上側回転軸56の下端部に一体回転可能に設けられ、所定の間隔を介して内側ジョイント65の外周側を覆う外側ジョイント66と、内側ジョイント65の外周部と外側ジョイント66の内周部との間に、軸方向に所定の間隔を介して並設される一対の軸受67と、を備える。そして、内側ジョイント65の外周部と外側ジョイント66の内周部との間で、かつ一対の軸受67の間に、前述した一方向クラッチ55が設けられる。
【0027】
図7に示すように、均平モータ53を正転方向に駆動させると、上側回転軸56が太線矢印で示す方向(以下、太線矢印方向と称する場合がある。)に回転する。この回転方向では、一方向クラッチ55が噛み合い状態となるため、下側回転軸57も上側回転軸56と一体的に太線矢印方向に回転する。一方、均平モータ53を逆転方向に駆動させると、上側回転軸56が細線矢印で示す方向(以下、細線矢印方向と称する場合がある。)に回転する。この回転方向では、一方向クラッチ55が非噛み合い状態となるため、下側回転軸57は回転しない。これにより、均平モータ53の正逆転切換制御に基づいて、下側撹拌部52を駆動状態と停止状態とに切り換えることが可能になる。
【0028】
ECU54は、前述したように、均平モータ53の駆動制御に基づいて穀粒タンク4内の穀粒の表層を均す均平機能の他に、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さを示す検出信号を光学式レベルセンサ41や複数の籾センサ42から入力し、これらの検出信号に基づいて穀粒タンク4内の穀粒の貯留量(体積)等を算出する貯留量等算出機能や、算出した貯留量等を運転部7の液晶モニタ71(図8参照)に表示する貯留量等表示機能などを備える。
【0029】
具体的に説明すると、図8に示すように、ECU54の入力側には、前述した光学式レベルセンサ41、複数の籾センサ42、オーバーフローセンサ43の他に、作業クラッチ操作(刈取クラッチ操作及び脱穀クラッチ操作)を行うパワークラッチスイッチ72と、収穫する作物を選択する作物選択スイッチ73と、均平モータ53の駆動電流(駆動負荷)を検出する電流センサ74(駆動負荷検出手段)と、排出オーガ5の穀粒排出操作を行う穀粒排出スイッチ75と、穀粒タンク4内の穀粒の水分量を検出する水分計76とが接続されている。また、ECU54の出力側には、前述した均平モータ53、液晶モニタ71の他に、警報音を出力するブザー77と、作業クラッチ(刈取クラッチ(図示せず)及び脱穀クラッチ(図示せず))をON/OFF動作させるパワークラッチモータ78と、穀粒排出クラッチ(図示せず)をON/OFF動作させる穀粒排出クラッチモータ79とが接続されている。
【0030】
つぎに、均平機能を実現するECU54の処理手順について、図9を参照して説明する。
【0031】
図9に示すように、ECU54は、作業クラッチ状態を判断し(S1)、作業クラッチがOFF状態(非収穫作業状態)であると判断した場合は、均平モータ53を停止させて上位ルーチンに復帰する(S2)。ECU54は、ステップS1において、作業クラッチがON状態(収穫作業状態)であると判断した場合は、均平モータ53の駆動電流値を所定値(負荷判定値)と比較する(S3)。また、ECU54は、ステップS3において、均平モータ53の駆動電流値が所定値未満であると判断した場合は、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さを所定高さ(堆積高さ判定値)と比較する(S4)。そして、ECU54は、ステップS3の判断結果が所定値未満で、かつステップS4の判断結果が所定高さ未満であった場合、均平モータ53を正転駆動させ、上側撹拌部51及び下側撹拌部52を撹拌動作させる(S5)。また、ECU54は、ステップS3の判断結果が所定値以上、又はステップS4の判断結果が所定高さ以上であった場合、均平モータ53を逆転駆動させ、上側撹拌部51の撹拌動作を継続させるも、下側撹拌部52の撹拌動作は停止させる(S6)。
【0032】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、穀粒を貯留する穀粒タンク4と、穀粒タンク4内の穀粒に作用するように駆動して穀粒の表層を均す均平装置50と、を備えるコンバイン1であって、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さを検出する光学式レベルセンサ41及び複数の籾センサ42と、均平装置50を駆動制御するECU54と、を備え、均平装置50は、穀粒タンク4内に上下方向に並んで配置され、穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51、52を備え、ECU54は、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さが所定高さを超えると、複数の撹拌部51、52のうち下側撹拌部52を駆動状態から停止状態に切り換えるので、均平装置50の駆動負荷を低減し、均平モータ53の出力不足による均平不良を防止できる。
【0033】
また、本実施形態のコンバイン1は、均平モータ53の駆動負荷を検出する電流センサ74を備え、ECU54は、均平モータ53の駆動負荷が所定負荷を超えると、複数の撹拌部51、52のうち下側撹拌部52を駆動状態から停止状態に切り換えるので、均平装置50の駆動負荷をより確実に低減させることができる。
【0034】
また、均平モータ53は、下側撹拌部52を一方向回転クラッチ55を介して駆動させ、ECU54は、均平モータ53の正逆転切換制御に基づいて、下側撹拌部52を駆動状態と停止状態とに切り換えるので、均平モータ53を正逆転切換制御するだけの簡易な制御処理に基づいて、下側撹拌部52を停止させて均平装置50の駆動負荷を低減させることが可能になる。
【0035】
また、均平装置50は、上下方向に沿う回転軸56、57を中心として回転駆動される複数の撹拌部51、52を備え、複数の撹拌部51、52の回転軸56、57同士は、独立して回転及び停止が可能な状態で連結されるので、複数の撹拌部51、52が含まれる均平装置50を簡素に構成できる。
【0036】
つぎに、均平装置50の変形例について、図10図13を参照して説明する。ただし、前述した実施形態と共通の構成については、前述した実施形態と同じ符号を用いることで、前述した実施形態の説明を援用する場合がある。
【0037】
図10に示すように、第1変形例の均平装置50Bは、前述した実施形態の均平装置50と同様に、上下方向に沿う回転軸56B、57Bを中心として回転駆動し、かつ穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51B、52Bを備えるが、第1変形例の撹拌部51B、52Bは、上下方向に直列状に並ぶのではなく、前後方向に並列状に並ぶように配置される点が前述した実施形態と相違している。
【0038】
具体的に説明すると、例えば、前側撹拌部51Bの撹拌棒58Bは、前側回転軸56Bの上側のみに設けられ、穀粒タンク4内において所定高さ以上の穀粒にのみ作用し、後側撹拌部52Bの撹拌棒59Bは、後側回転軸57Bの下側のみに設けられ、穀粒タンク4内において所定高さ未満の穀粒にのみ作用する。また、均平モータ53Bは、ベルト伝動機構90を介して前側回転軸56B及び後側回転軸57Bを回転させるが、ベルト伝動機構90と後側回転軸57Bとの間には、一方向回転クラッチ55Bが介設されている。
【0039】
このような第1変形例の均平装置50Bによれば、前述した実施形態の均平装置50と同様に、均平モータ53Bを正逆転切換制御するだけの簡易な制御処理に基づいて、後側撹拌部52Bを停止させて均平装置50Bの駆動負荷を低減させることが可能になる。
【0040】
図11に示すように、第2変形例の均平装置50Cは、前述した実施形態の均平装置50と同様に、穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51C、52Cを備えるが、第2変形例の撹拌部51C、52Cは、回転軸56C、57Cが前後方向に沿い、かつ上下方向に並列状に並ぶように配置される点が前述した実施形態と相違している。
【0041】
具体的に説明すると、上側撹拌部51Cの上側回転軸56C及び下側撹拌部52Cの下側回転軸57Cは、穀粒タンク4の前壁部33と後壁部34との間に、上下に並んで回転可能に架設されており、上側撹拌部51Cの撹拌棒58CBは、穀粒タンク4内において所定高さ以上の穀粒にのみ作用し、下側撹拌部52Cの撹拌棒59Cは、穀粒タンク4内において所定高さ未満の穀粒にのみ作用する。また、均平モータ53Cは、ベルト伝動機構91を介して上側回転軸56C及び下側回転軸57Cを回転させるが、ベルト伝動機構91と下側回転軸57Cとの間には、一方向回転クラッチ55Cが介設されている。
【0042】
このような第2変形例の均平装置50Cによれば、前述した実施形態の均平装置50と同様に、均平モータ53Cを正逆転切換制御するだけの簡易な制御処理に基づいて、下側撹拌部52Cを停止させて均平装置50Cの駆動負荷を低減させることが可能になる。
【0043】
図12に示すように、第3変形例の均平装置50Dは、前述した実施形態の均平装置50と同様に、上下方向に沿う回転軸56D、57Dを中心として回転駆動し、かつ穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51D、52Dを備えるが、第3変形例の均平装置50Dは、撹拌部51D、52Dの下方に第3の撹拌部93を備える点が前述した実施形態と相違している。
【0044】
具体的に説明すると、第3の撹拌部93の回転軸94は、下端側が穀粒タンク4の底板部38に回転可能に支持され、上端側が回転軸57Dの下端部に回転可能に連結されている。また、回転軸94は、別途設けられる第2の均平モータ95によって回転駆動される。
【0045】
そして、第3変形例の均平装置50Dでは、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さが低いときは、均平モータ95の駆動に基づいて第3の撹拌部93のみを撹拌動作させる。また、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さが撹拌部52Dの作用高さになったら、均平モータ95の駆動停止に基づいて第3の撹拌部93を停止させ、均平モータ53Dの正転駆動に基づいて撹拌部51D、52Dを撹拌動作させる。また、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さが撹拌部51Dの作用高さになったら、均平モータ53Dの逆転駆動に基づいて撹拌部51Dの撹拌動作を維持しつつ、撹拌部52Dの撹拌動作を停止させる。
【0046】
このような第3変形例の均平装置50Dによれば、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さや均平装置50Dの駆動負荷に応じて、より適切な撹拌動作を行うことができる。また、第3の撹拌部93は専用の均平モータ95で動作させるものの、撹拌部51D、52Dについては、前述した実施形態の均平装置50と同様に、均平モータ53Dを正逆転切換制御するだけの簡易な制御処理に基づいて、撹拌部52Dを停止させて均平装置50Dの駆動負荷を低減させることが可能になる。
【0047】
図13に示すように、第4変形例の均平装置50Eは、前述した実施形態の均平装置50と同様に、上下方向に沿う回転軸56E、57Eを中心として回転駆動し、かつ穀粒タンク4内の穀粒に対する作用高さが異なる複数の撹拌部51E、52Eを備えるが、下側撹拌部52Eを別途設けられる第2の均平モータ97で動作させる点が前述した実施形態と相違している。
【0048】
このような第4変形例の均平装置50Eであっても、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さや均平装置50Dの駆動負荷に応じて、下側撹拌部52Eを駆動状態から停止状態に切り換えて均平装置50Eの駆動負荷を低減させることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、前述した実施形態や変形例では、穀粒タンク4内の穀粒の堆積高さや均平装置50の駆動負荷に応じて、下側撹拌部52を駆動状態から停止状態に切り換えているが、穀粒タンク4内の収穫量を検出する収穫量検出手段(例えば、穀粒タンク重量検出センサ)を設け、穀粒タンク4内の収穫量が所定量を超えると、下側撹拌部52を駆動状態から停止状態に切り換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 コンバイン
4 穀粒タンク
41 光学式レベルセンサ
42 籾センサ
50 均平装置
51 上側撹拌部
52 下側撹拌部
53 均平モータ
54 ECU
55 一方向回転クラッチ
56 上側回転軸
57 下側回転軸
58、59 撹拌棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13