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特開2023-176917遠隔操作支援システムおよび遠隔操作装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176917
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】遠隔操作支援システムおよび遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089499
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森田 将大
(72)【発明者】
【氏名】永井 政樹
(72)【発明者】
【氏名】栗田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA04
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DC07
2D003EA01
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】オペレータによる遠隔操作機構の操作方向と、当該オペレータが意図する遠隔にある作業機械の旋回方向と、の整合性の向上を図りうるシステム等を提供する。
【解決手段】遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係が調整されながら当該遠隔操作機構211の操作方向に応じた旋回指令が作業機械40に対して出力される。遠隔操作機構の操作方向と作業機械の旋回方向との対応関係が切り替えられる場合があるが、当該切り替えのためには指定条件が満たされている必要がある。「指定条件」とは、前記のように、遠隔操作機構の操作量および作業機械の旋回角のうち少なくとも一方に鑑みて、遠隔操作機構211のそれまでの操作方向に応じた作業機械40の旋回方向を維持する必要性が低いことを表わす条件である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作機構の異なる2つの操作方向のそれぞれと、作業現場に存在する撮像装置を通じて取得され、遠隔画像出力装置により出力される作業現場画像における作業機械の相互に反対向きの2つの旋回方向のそれぞれと、が整合するように、前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係を調整しながら前記遠隔操作機構の操作方向に応じた旋回指令を前記作業機械に対して出力し、
前記遠隔操作機構の操作量および前記作業機械の旋回角のうち少なくとも一方に鑑みて、前記遠隔操作機構のそれまでの操作方向に応じた前記作業機械の旋回方向を維持する必要性が低いことを表わす指定条件が満たされている場合、前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係の切り替えを許容する
遠隔操作支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔操作支援システムにおいて、
前記指定条件が、前記遠隔操作機構の操作量が閾値以下であるという条件、および、前記作業機械の旋回角の時系列に応じた旋回角速度が基準値以下であるという条件のうち少なくとも一方を含んでいる
遠隔操作支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔操作支援システムにおいて、
前記遠隔画像出力装置により前記作業現場画像と、前記作業機械に搭載されている実機撮像装置を通じて取得された実機環境画像と、が切り替えられて出力され、
前記遠隔画像出力装置により前記作業現場画像が出力されているという副指定条件が満たされている場合、前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係の切り替えを許容する
遠隔操作支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の遠隔操作支援システムにおいて、
前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係に関する対応関係情報を前記遠隔画像出力装置に出力させる
遠隔操作支援システム。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の遠隔操作支援システムを構成する遠隔制御装置と、前記遠隔操作機構と、前記遠隔画像出力装置と、を備えている
遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械を遠隔操作するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジコンショベルにおいて、搭乗操作時と同様の操作感覚での操作を実現するため、オペレータおよび作業機械の絶対方位角(基準方位角)がなす角度を算出し、レバー入力方位と同じ方向に作業機械の先端部が移動するように当該作業機械の動作を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02-054860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、当該先行技術によれば、オペレータが肉眼で作業機械を視認しながら手元にあるラジコンを用いて操作することが想定されており、オペレータが遠隔地にある作業機械をモニタで視認しながら遠隔操作することは想定されていない。また、作業機械の向きとレバーの操作方向とが一致して当該作業機械の旋回方向が入れ替わった後も、操作が継続された場合、作業機械に振動が生じ、あるいは、その動作が停止する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、オペレータによる遠隔操作機構の操作方向と、当該オペレータが意図する遠隔にある作業機械の旋回方向と、の整合性の向上を図りうるシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遠隔操作支援システムは、
遠隔操作機構の異なる2つの操作方向のそれぞれと、作業現場に存在する撮像装置を通じて取得され、遠隔画像出力装置により出力される作業現場画像における作業機械の相互に反対向きの2つの旋回方向のそれぞれと、が整合するように、前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係を調整しながら前記遠隔操作機構の操作方向に応じた旋回指令を前記作業機械に対して出力し、
前記遠隔操作機構の操作量および前記作業機械の旋回角のうち少なくとも一方に鑑みて、前記遠隔操作機構のそれまでの操作方向に応じた前記作業機械の旋回方向を維持する必要性が低いことを表わす指定条件が満たされている場合、前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係の切り替えを許容する。
【0007】
当該構成の遠隔操作支援システムによれば、遠隔操作機構の操作方向と作業機械の旋回方向との対応関係が調整されながら当該遠隔操作機構の操作方向に応じた旋回指令が作業機械に対して出力される。これにより、遠隔操作機構の異なる2つの操作方向のそれぞれと、遠隔画像出力装置により出力される作業現場画像における作業機械の相互に反対向きの2つの旋回方向のそれぞれとの整合が図られている。
【0008】
当該整合のため、遠隔操作機構の操作方向と作業機械の旋回方向との対応関係が切り替えられるまたは変更される場合があるが、当該切り替えのためには指定条件が満たされている必要がある。「指定条件」とは、遠隔操作機構の操作量および作業機械の旋回角のうち少なくとも一方に鑑みて、遠隔操作機構のそれまでの操作方向に応じた作業機械の旋回方向を維持する必要性が低いことを表わす条件である。このため、当該必要性が高いにもかかわらず、遠隔操作機構の操作方向および作業機械の旋回方向との対応関係が切り替えられてしまい、遠隔操作機構の操作方向に反映されているオペレータが意図する作業機械の旋回方向と、当該作業機械の実際の旋回方向とが整合しなくなる事態が回避されうる。この結果、オペレータによる遠隔操作機構の操作方向と、当該オペレータが意図する作業機械の旋回方向との整合性の向上が図られている。
【0009】
前記構成の遠隔操作支援システムにおいて、
前記指定条件が、前記遠隔操作機構の操作量が閾値以下であるという条件、および、前記作業機械の旋回角の時系列に応じた旋回角速度が基準値以下であるという条件のうち少なくとも一方を含んでいることが好ましい。
【0010】
当該構成の遠隔操作支援システムによれば、次の事項(1)および(2)に鑑みて適当に指定条件が定義されている。すなわち、(1)遠隔操作機構の操作量が閾値を超えている場合、遠隔操作機構のそれまでの操作方向に応じた作業機械の旋回方向の維持をオペレータが意図している蓋然性が高い。また、(2)作業機械の旋回角速度が基準値を超えている場合、作業機械の旋回が慣性により維持されている蓋然性が高い。よって、前記のように、遠隔操作機構の操作方向に反映されている、オペレータが意図する作業機械の旋回方向と、当該作業機械の実際の旋回方向とが整合しなくなる事態が回避されうる。
【0011】
前記構成の遠隔操作支援システムにおいて、
前記遠隔画像出力装置により前記作業現場画像と、前記作業機械に搭載されている実機撮像装置を通じて取得された実機環境画像と、が切り替えられて出力され、
前記遠隔画像出力装置により前記作業現場画像が出力されているという副指定条件が満たされている場合、前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係の切り替えを許容することが好ましい。
【0012】
当該構成の遠隔操作支援システムによれば、遠隔画像出力装置に実機環境画像が出力されている状態では、作業現場画像は出力されない。この状態では、遠隔操作機構の異なる2つの操作方向のそれぞれと、遠隔画像出力装置により出力される作業現場画像における作業機械の旋回方向との整合を図る必要性は低いまたはない。よって、この状態で遠隔操作機構の操作方向に応じた旋回指令における作業機械の旋回方向の切り替えが無駄に許容される事態が回避されうる。
【0013】
前記構成の遠隔操作支援システムにおいて、
前記遠隔操作機構の操作方向と前記作業機械の旋回方向との対応関係に関する対応関係情報を前記遠隔画像出力装置に出力させることが好ましい。
【0014】
当該構成の遠隔操作支援システムによれば、遠隔画像出力装置により出力される対応関係情報を通じて、遠隔操作機構の操作方向および作業機械の旋回方向の対応関係をオペレータに認識させることができる。
【0015】
本発明の遠隔操作装置は、前記構成の遠隔操作支援システムを構成する遠隔制御装置と、前記遠隔操作機構と、前記遠隔画像出力装置と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】遠隔操作システムおよび遠隔操作支援システムの構成に関する説明図。
図2】遠隔操作装置の構成に関する説明図。
図3】作業機械の構成に関する説明図。
図4】遠隔操作システムの機能に関する説明図。
図5】実機環境画像の例示説明図。
図6】作業現場画像の例示説明図。
図7】撮像装置の撮像方向に対する作業機械の相対的な旋回角に関する説明図。
図8】対応関係情報の出力形態に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、作業現場に存在する撮像装置10と、遠隔操作装置20と、当該遠隔操作装置20による遠隔操作対象である作業機械40と、が示されている。撮像装置10、遠隔操作装置20および作業機械40は相互にネットワーク通信可能に構成されている。撮像装置10および遠隔操作装置20の相互通信ネットワークと、撮像装置10および作業機械40の相互通信ネットワークと、は同一であってもよく相違していてもよい。
【0018】
(撮像装置の構成)
撮像装置10は、一または複数の作業機械40が存在する作業現場に設置されている支柱等の構造物に取り付けられている。撮像装置10は、無人飛行機に搭載されていてもよい。撮像装置10は、撮像機能のほか、撮像画像の外部機器への送信機能を有している。撮像装置10は、一の作業現場に一の撮像装置10が配置されていてもよく、複数の撮像装置10が配置されていてもよい。
【0019】
(遠隔操作装置の構成)
図1に示されているように、遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、遠隔無線通信機器224と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(例えば、シングルコアプロセッサおよび/またはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。本実施形態では、遠隔制御装置200が「遠隔操作支援システム」を構成している。
【0020】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、遠隔画像出力装置221を備えている。
【0021】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体41を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構43を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0022】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータが着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0023】
シートStの前方に下部走行体41を構成する左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータの操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0024】
遠隔画像出力装置221は、例えば図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212により構成される主画像出力装置221Aと、主画像出力装置221Aの上部に配置された補助画像出力装置221Bにより構成されている。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および、右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。
【0025】
図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置2210の画面および左側遠隔画像出力装置2211の画面が傾斜角θ1(例えば、120°≦θ1≦150°)をなすように、左側遠隔画像出力装置2211の右縁が、中央遠隔画像出力装置2210の左縁に隣接している。図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置2210の画面および右側遠隔画像出力装置2212の画面が傾斜角θ2(例えば、120°≦θ2≦150°)をなすように、右側遠隔画像出力装置2212の左縁が、中央遠隔画像出力装置2210の右縁に隣接している。当該傾斜角θ1およびθ2は同じであっても相違していてもよい。
【0026】
中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央遠隔画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0027】
補助画像出力装置221Bは、一又は複数の画面を有しており、各画面の縦幅及び横幅は中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面よりも小さく構成される。
【0028】
遠隔画像出力装置221が、シートStを取り囲むように湾曲または屈曲した単一の画像出力装置によって構成されていてもよい。単一の画像出力装置が、例えば、中央遠隔画像出力装置2210により構成されていてもよい。遠隔画像出力装置221が、2つの画像出力装置(例えば、中央遠隔画像出力装置2210および左側遠隔画像出力装置2211または右側遠隔画像出力装置2212)によって構成されていてもよい。
【0029】
(作業機械の構成)
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、図3に示されているように、クローラ式の下部走行体41と、下部走行体41に旋回機構43を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体42と、を備えている。上部旋回体42の前方左側部にはキャブ45(運転室)が設けられている。上部旋回体42の前方中央部には作業機構44が設けられている。
【0030】
図3に示されているように、作業機構としての作業機構44は、上部旋回体42に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているアタッチメント445(例えば、バケット)と、を備えている。作業機構44には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0031】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体42との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアタッチメント445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該アタッチメント445と当該アーム443との間に介在する。
【0032】
図1に示されているように、作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース410と、実機出力インターフェース420と、実機無線通信機器422と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0033】
図1に示されているように、実機入力インターフェース410は、実機操作機構411と、実機センサ群414と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ45の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ45に設けられている。実機撮像装置412は、例えば、キャブ45の内部に設置され、フロントウィンドウ越しに作業機構44の少なくとも一部(例えば、アタッチメント445)を含む環境を撮像する。フロントウィンドウおよびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。実機センサ群414は、下部走行体41に対する上部旋回体42の旋回角を測定するための旋回角センサ、および、作業機構44の姿勢を表わす姿勢角を測定するための姿勢角センサなど、作業機械40の動作状況を測定するためのさまざまなセンサにより構成されている。
【0034】
(遠隔操作装置による作業機械の遠隔操作)
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され、かつ、遠隔無線通信機器224を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される。そして、作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合、作業機構44等の動作が制御される。例えば、アタッチメント445により作業機械40の前方の土砂をすくい、上部旋回体42を旋回させたうえでアタッチメント445から当該土砂を落とす作業が実行される。
【0035】
(機能)
前記構成の遠隔操作支援システム、ひいては遠隔制御装置200の機能について図4に示されているフローチャートを用いて説明する。当該機能には、遠隔操作機構211の操作方向と、作業機械40の旋回方向との対応関係を調整する機能が含まれている。遠隔操作機構211の操作方向とは、具体的には、旋回レバーとして機能する左側操作レバー2111または右側操作レバー2112の異なる2つの操作方向(左方向および右方向または前方向および後方向)である(図2参照)。作業機械40の旋回方向とは、具体的には、下部走行体41に対する上部旋回体42の相互に反対向きの2つの旋回方向である(図3参照)。遠隔操作機構211は、左操作と右操作の両方を受け付け可能である左側操作レバー2111や右側操作レバー2112に限られず、左操作および右操作に対応する個別の操作方向について操作を受付可能な操作レバーやスティック、ボタン等が複数搭載されることで構成されてもよい。以下、実施形態では、左側操作レバー2111が異なる2つの操作方向(左方向および右方向)に操作される構成を前提として説明する。
【0036】
遠隔操作機構211の操作方向と、作業機械40の旋回方向との対応関係の切り替えを保留する期間を表わすタイマのカウント数tが「0」に設定される(図4/STEP101)。
【0037】
実機撮像装置412を通じて撮像された実機環境画像が、実機無線通信機器424により作業機械40から遠隔操作装置20に対して送信され、これにより遠隔制御装置200により実機環境画像が取得される(図4/STEP102)。実機環境画像は、例えば図5に示されているように、キャブ424を画定する窓枠を通じて、キャブ424の前方において、作業機構44の一部であるブーム441、アーム443およびアタッチメント445、ならびに、土砂、資材および/または建造物などなどが映り込んでいる画像である。実機環境画像は、撮像画像そのもののほか、当該撮像画像のデータに基づいて生成された模擬的な画像であってもよい。
【0038】
作業現場に存在する撮像装置10を通じて撮像された作業現場画像が、当該撮像装置10から遠隔操作装置20に対して送信され、これにより遠隔制御装置200により作業現場画像が取得される(図4/STEP104)。作業現場画像は、例えば図6に示されているように、遠隔操作装置20を通じた遠隔操作対象である作業機械40およびその周辺の存在する土砂、資材および/または建造物などが映り込んでいる画像である。作業現場画像は、撮像画像そのもののほか、当該撮像画像のデータに基づいて生成された模擬的な画像であってもよい。撮像装置10が無人飛行機に搭載されている場合、作業現場画像が鳥瞰画像であってもよい。
【0039】
本実施形態では、オペレータによる遠隔入力インターフェース210を通じた選択操作に応じて、遠隔画像出力装置221の主画像出力装置221Aに出力される画像として、実機環境画像(図5参照)および作業現場画像(図6参照)が切り替えられる。具体的に、遠隔制御装置200が取得した実機環境画像および作業現場画像は、主画像出力装置221Aと補助画像出力装置221Bの複数の画面の少なくとも1つとの間にて択一的に出力可能であり、当該選択操作に応じて出力された実機環境画像および作業現場画像の出力先が主画像出力装置221Aおよび補助画像出力装置221Bとの間で切り替えられる。主画像出力装置221Aに出力される実機環境画像または作業現場画像は、中央遠隔画像出力装置2210のみに出力されてもよく、画像が分割されて中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211、右側遠隔画像出力装置に分割した画像がそれぞれ表示可能なように構成されてもよい。なお、実機環境画像および作業現場画像の切り替えに際して、補助画像出力装置221Bへの実機環境画像または作業現場画像の出力が省略されてもよい。
【0040】
撮像装置10の撮像方向(光軸方向)に対する、作業機械40の旋回方位を表わす相対方位角γが認識される(図4/STEP106)。例えば、図7に示されているように、作業現場における実空間座標系または世界座標系における基準方位(図7の上方向)に対する撮像装置10の撮像方向を表わす撮像方位角θと、当該基準方位に対する作業機械40の上部旋回体42の前方を表わす旋回方位角φと、の差分θ-φが相対方位角γに相当する。
【0041】
例えば、撮像方位角θが撮像装置10またはデータベースから遠隔操作装置20に対して送信され、かつ、旋回方位角φが実機センサ群414を通じて検知されたうえで実機無線通信機器424を通じて作業機械40から遠隔操作装置20に対して送信されることにより、遠隔制御装置200により当該撮像方位角θおよび当該旋回方位角φ、ひいては相対方位角γが認識される。そのほか、撮像装置10により撮像された作業機械40を含む作業現場画像が画像解析されるまたは機械学習を用いて構築された学習モデル(学習済みモデル)に入力されることにより、相対方位角γが求められてもよい。
【0042】
作業現場画像が鳥瞰画像である場合、当該作業現場画像の座標系において指定方向(例えば、上方向)に対する上部旋回体42の前方を表わす方位角が相対方位角γとして認識されてもよい。
【0043】
相対方位角γが、図7に示されている第1相対方位角範囲Γ1(-180°<γ≦-90°-δ、90°+δ≦γ≦180°(0°≦δ≦5°~10))に含まれている場合、すなわち、撮像装置10からみて作業機械40の上部旋回体42の前方が手前側に向いている場合、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向とは「第1対応関係」に調整される。δは0を含む微小な角度が設定される。第1対応関係において、左側操作レバー2111の第1操作方向としての右方向と、下部走行体41に対する上部旋回体42の上面視の第1旋回方向としての反時計回り方向と、が対応している。第1対応関係において、左側操作レバー2111の第2操作方向としての左方向と、下部走行体41に対する上部旋回体42の上面視の第2旋回方向としての時計回り方向と、が対応している。
【0044】
相対方位角γが、図7に示されている第2相対方位角範囲Γ2(-90°+δ≦γ≦90°-δ(0°≦δ≦5°~10))に含まれている場合、すなわち、撮像装置10からみて作業機械40の上部旋回体42の前方が奥側に向いている場合、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向とは「第2対応関係」に調整される。δは0を含む微小な角度が設定される。第2対応関係において、左側操作レバー2111の第1操作方向としての右方向と、下部走行体41に対する上部旋回体42の上面視の第2旋回方向としての時計回り方向と、が対応している。第2対応関係において、左側操作レバー2111の第2操作方向としての左方向と、下部走行体41に対する上部旋回体42の上面視の第1旋回方向としての反時計回り方向と、が対応している。
【0045】
続いて、主画像出力装置221Aに出力されている画像が、実機環境画像(図5参照)および作業現場画像(図6参照)のいずれであるかが判定される(図4/STEP110)。
【0046】
主画像出力装置221Aに出力されている画像が「実機環境画像」であると判定された場合(図4/STEP110‥2)、タイマカウント数tの「0」への設定処理(図4/STEP101参照)以降の一連の処理が繰り返される。
【0047】
主画像出力装置221Aに出力されている画像が「作業現場画像」であると判定された場合(図4/STEP110‥1)、指定条件が満足されているか否かが判定される(図4/STEP112)。「指定条件」は、遠隔操作機構211の操作量および作業機械40の旋回角のうち少なくとも一方に鑑みて、遠隔操作機構211のそれまでの操作方向に応じた作業機械40の旋回方向を維持する必要性が低いことを表わす条件である。例えば、遠隔操作機構211の操作量(左側操作レバー2111の左右方向への傾動角または変位量)が閾値(例えば、0°±ε(0°<ε≦5°~10°))以下であるという条件、および/または、作業機械40の(下部走行体41に対する上部旋回体42の)旋回角速度ω=dφ/dtが基準値(例えば、δω(0<δω≦0.1°s-1~1°s-1))以下であるという条件が指定条件として定義されている。
【0048】
そのほか、相対方位角γが、図7に示されている第1相対方位角範囲Γ1および第2相対方位角範囲Γ2の両方から外れているという条件(-90°-δ<γ<-90°+δ、90°-δ<γ<90°+δの場合)、または、相対方位角γが第1相対方位角範囲Γ1および第2相対方位角範囲Γ2の境界付近の相対方位角範囲に含まれているという条件(γ=-90°±δ、90°±δの場合)が指定条件に含まれていてもよい。当該条件が指定条件に含まれている場合、遠隔操作機構211の操作量が閾値以下であるという条件、および、作業機械40の旋回角速度ωが基準値以下であるという条件のうち一方が指定条件に含まれていなくてもよい。
【0049】
指定条件が満たされていないと判定された場合(図4/STEP112‥NO)、タイマカウント数tの「0」への設定処理(図4/STEP101参照)以降の一連の処理が繰り返される。すなわち、この場合、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係は切り替えられない。
【0050】
その一方、指定条件が満たされていると判定された場合(図4/STEP112‥YES)、タイマカウント数tが「1」だけ増加され(図4/STEP114)、その上でタイマカウント数tが所定値t0以上であるか否かが判定される(図4/STEP116)。タイマカウント数tが所定値t0未満であると判定された場合(図4/STEP116‥NO)、実機環境画像の取得処理(図4/STEP102参照)以降の一連の処理が繰り返される。所定値t0は、指定条件が所定値t0以上に亘って継続されたことを条件として遠隔操作機構211のそれまでの操作方向に応じた作業機械40の旋回方向を維持する必要性が低いという判断の確度を向上させる観点から設定されている。遠隔操作機構211の操作量が閾値以下である、および/または、作業機械40の旋回角速度が基準値以下であり、オペレータにより作業機械40を旋回させる意思がないことが明確であるので、作業機械40の旋回方向を維持する必要性が低いとの判断がされる。例えば、所定値t0は、遠隔操作機構211の操作量および/または作業機械40の旋回角(もしくは旋回角速度)に基づいて適応的に設定されてもよい。 タイマカウント数tが所定値t0以上であると判定された場合(図4/STEP116‥YES)、相対方位角γが第1相対方位角範囲Γ1および第2相対方位角範囲Γ2のいずれに含まれているかが判定される(図4/STEP120)。
【0051】
相対方位角γが第1相対方位角範囲Γ1に含まれていると判定された場合(図4/STEP120‥1)、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係が「第1対応関係」に切り替えられる(図4/STEP121)。
【0052】
これにより、左側操作レバー2111が第1操作方向(右方向)に操作された場合、下部走行体41に対して上部旋回体42を第1旋回方向(上面視で反時計回り方向)に旋回させるような旋回指令が、遠隔操作装置20から作業機械40に対して送信される。これに応じて、実機制御装置400により旋回機構43の動作が制御され、下部走行体41に対して上部旋回体42が第1旋回方向に旋回される。上部旋回体42の旋回量の多少は、左側操作レバー2111の操作量の多少に応じて制御されてもよい。
【0053】
また、左側操作レバー2111が第2操作方向(左方向)に傾動または変位された場合、下部走行体41に対して上部旋回体42を第2旋回方向(上面視で時計回り方向)に旋回させるような旋回指令が、遠隔操作装置20から作業機械40に対して送信される。これに応じて、実機制御装置400により旋回機構43の動作が制御され、下部走行体41に対して上部旋回体42が第2旋回方向に旋回される。
【0054】
相対方位角γが第2相対方位角範囲Γ2に含まれていると判定された場合(図4/STEP120‥2)、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係が「第2対応関係」に切り替えられる(図4/STEP122)。
【0055】
これにより、左側操作レバー2111が第1操作方向(右方向)に操作された場合、下部走行体41に対して上部旋回体42を第2旋回方向(上面視で時計回り方向)に旋回させるような旋回指令が、遠隔操作装置20から作業機械40に対して送信される。これに応じて、実機制御装置400により旋回機構43の動作が制御され、下部走行体41に対して上部旋回体42が第2旋回方向に旋回される。
【0056】
また、左側操作レバー2111が第2操作方向(左方向)に傾動または変位された場合、下部走行体41に対して上部旋回体42を第1旋回方向(上面視で反時計回り方向)に旋回させるような旋回指令が、遠隔操作装置20から作業機械40に対して送信される。これに応じて、実機制御装置400により旋回機構43の動作が制御され、下部走行体41に対して上部旋回体42が第1旋回方向に旋回される。
【0057】
相対方位角γが第1相対方位角範囲Γ1および第2相対方位角範囲Γ2のどちらにも含まれていないと判定された場合(図4/STEP120‥3)、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係は、「第1対応関係」および「第2対応関係」のどちらにも切り替えられない。すなわち、遠隔操作機構211の操作方向に基づいてのみ作業機械40の旋回方向が決定され、相対方位角γは考慮しない。
【0058】
この場合、例えば、左側操作レバー2111が第1操作方向(右方向)に操作された場合、下部走行体41に対して上部旋回体42を第2旋回方向(上面視で時計回り方向)に旋回させるような旋回指令が、遠隔操作装置20から作業機械40に対して送信される。これに応じて、実機制御装置400により旋回機構43の動作が制御され、下部走行体41に対して上部旋回体42が第2旋回方向に旋回される。
【0059】
また、左側操作レバー2111が第2操作方向(左方向)に傾動または変位された場合、下部走行体41に対して上部旋回体42を第1旋回方向(上面視で反時計回り方向)に旋回させるような旋回指令が、遠隔操作装置20から作業機械40に対して送信される。これに応じて、実機制御装置400により旋回機構43の動作が制御され、下部走行体41に対して上部旋回体42が第1旋回方向に旋回される。
【0060】
なお、図7に示されている相対方位角γが第1相対方位角範囲Γ1および第2相対方位角範囲Γ2のどちらにも含まれていない角度範囲について、第1相対方位角範囲Γ1および第2相対方位角範囲Γ2の何れか一方に含まれるものとして構成してもよい。
【0061】
(作用効果)
当該機能を発揮する本発明の一実施形態としての遠隔制御装置200(遠隔操作支援システム)によれば、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係が調整されながら当該遠隔操作機構211の操作方向に応じた旋回指令が作業機械40に対して出力される(図4/STEP120‥1→STEP121および図4/STEP120‥2→STEP122参照)。これにより、遠隔操作機構211の異なる2つの操作方向のそれぞれと、遠隔画像出力装置221により出力される作業現場画像における作業機械40の相互に反対向きの2つの旋回方向のそれぞれとの整合が図られている。
【0062】
当該整合のため、遠隔操作機構の操作方向と作業機械の旋回方向との対応関係が切り替えられるまたは変更される場合があるが(図4/STEP120‥1→STEP121および図4/STEP120‥2→STEP122参照)、当該切り替えのためには指定条件が満たされている必要がある(図4/STEP112参照)。「指定条件」とは、前記のように、遠隔操作機構の操作量および作業機械の旋回角のうち少なくとも一方に鑑みて、遠隔操作機構211のそれまでの操作方向に応じた作業機械40の旋回方向を維持する必要性が低いことを表わす条件である。
【0063】
このため、当該必要性が高いにもかかわらず、遠隔操作機構211の操作方向および作業機械40の旋回方向との対応関係が切り替えられてしまい、遠隔操作機構211の操作方向に反映されているオペレータが意図する作業機械40の旋回方向と、当該作業機械40の実際の旋回方向とが整合しなくなる事態が回避されうる。例えば、相対方位角γが第1方位角範囲Γ1に含まれている状態から第2方位角範囲Γ2に含まれている状態に遷移した場合でも、指定条件が満たされていなければ、遠隔操作機構211の操作方向および作業機械40の旋回方向との対応関係が第1対応関係から第2対応関係に切り替えられずに第1対応関係に維持される。同様に、相対方位角γが第2方位角範囲Γ2に含まれている状態から第1方位角範囲Γ1に含まれている状態に遷移した場合でも、指定条件が満たされていなければ、遠隔操作機構211の操作方向および作業機械40の旋回方向との対応関係が第2対応関係から第1対応関係に切り替えられずに第2対応関係に維持される。この結果、オペレータによる遠隔操作機構211の操作方向と、当該オペレータが意図する作業機械40の旋回方向との整合性の向上が図られている。
【0064】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、遠隔制御装置200により遠隔操作支援システムが構成されていたが、他の実施形態として、遠隔操作装置20の外部に存在するコンピュータ(サーバコンピュータなど)により遠隔操作支援システムが構成されていてもよい。
【0065】
遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係に関する対応関係情報が遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。例えば、図8に示されているように、第1操作方向を表わす右向き直線矢印状の画像M21、第2操作方向を表わす左向き直線矢印状の画像M22、第1旋回方向を表わす円弧矢印状の画像M41および第2旋回方向を表わす円弧矢印状の画像M42が、作業現場画像に重畳されて出力されてもよい。画像M21および画像M22は遠隔操作機構211を表わすイラスト画像と並んで出力される。
【0066】
画像M41および画像M42は作業現場画像におけるアタッチメント445の画像の周囲に相対方位角γに応じて表示位置と向きが調整されて出力される。相対方位角γ=0°の場合には、アタッチメント445の画像を挟んで左側には円弧矢印を左側に向けて画像M41が配置され、右側には円弧矢印を右側に向けて画像M42が配置される。相対方位角γ=0°からγ=-180°まで変化する過程においては、画像M41と画像M42は相対方位角γに応じて時計回りに傾きが変化され、アタッチメント445の画像に対する表示位置が相対方位角γに応じて時計回り方向に変化される。例えば、図8に示されているように、画像M41の円弧矢印が奥側に向かい画像M22の円弧矢印が手前側に向かうように表示位置と傾きが変化される。相対方位角γ=-180°の場合にはアタッチメント445の画像を挟んで左側には円弧矢印を左側に向けて画像M42が配置され、右側には円弧矢印を右側に向けて画像M41が配置される。相対方位角γ=0°からγ=180°まで変化する過程においては、画像M41と画像M42は相対方位角γに応じて反時計回り傾きが変化され、アタッチメント445の画像に対する表示位置が相対方位角γに応じて反時計回り方向に変化される。画像M41と画像M42は、作業現場画像における縦方向の長さが小さくなるように補正される。
【0067】
図8においては、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係は「第2対応関係」にあり、画像M21と画像M41が第一の色により着色され、画像M22と画像M42に第一の色とは異なる第二の色により着色されている。また、遠隔操作機構211の操作方向と作業機械40の旋回方向との対応関係が「第1対応関係」にある場合には、画像M21と画像M42が第一の色により着色され、画像M22と画像M41が第二の色により着色される。そのほか、画像M21、M22、M41およびM42が含まれているダイヤグラムが、作業現場画像とは別個に遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。当該対応関係が「第1対応関係」および「第2対応関係」のいずれであるかを示すテキストが遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0068】
この場合、遠隔画像出力装置221により出力される対応関係情報を通じて、遠隔操作機構211の操作方向および作業機械40の旋回方向の対応関係を視覚的にオペレータに認識させることができる。
【符号の説明】
【0069】
10‥撮像装置
20‥遠隔操作装置
40‥作業機械
41‥下部走行体
42‥上部旋回体
44‥作業機構
200‥遠隔制御装置(遠隔操作支援システム)
210‥遠隔入力インターフェース
211‥遠隔操作機構
220‥遠隔出力インターフェース
221‥遠隔画像出力装置
222‥遠隔音響出力装置
400‥実機制御装置
410‥実機入力インターフェース
420‥実機出力インターフェース
445‥アタッチメント。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8