(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177106
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】創外固定器
(51)【国際特許分類】
A61F 2/64 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A61F2/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089829
(22)【出願日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】越智 光夫
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB02
4C097CC01
4C097CC04
4C097CC17
4C097CC18
4C097DD06
(57)【要約】
【課題】関節にひねり等の動作が加わったときでも、関節の関節裂隙を安定的に保持すること。
【解決手段】第1ピン(12)の一端側に、第1永久磁石(18)を有した第1保持部材(16)が一体的に設けられ、第2ピン(14)の一端側に、第1永久磁石(18)と同極対向する第2永久磁石(24)を有した第2保持部材(22)が一体的に設けられ、第2保持部材(22)が第1保持部材(16)と分離独立して構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節における第1骨部と第2骨部との関節裂隙を保持する創外固定器であって、
前記第1骨部に取付けられる第1ピンと、
前記第2骨部に取付けられる第2ピンと、
前記第1ピンの一端側に一体的に設けられ、第1永久磁石を有し、前記関節裂隙を保持するための第1保持部材と、
前記第2ピンの一端側に一体的に設けられ、前記第1永久磁石と同極対向する第2永久磁石を有し、前記第1保持部材と分離独立して構成され、前記関節裂隙を保持するための第2保持部材と、を備える、創外固定器。
【請求項2】
前記第1保持部材は、前記第1ピンの両端側にそれぞれ一体的に設けられ、前記第2保持部材は、前記第2ピンの両端側にそれぞれ一体的に設けられている、請求項1に記載の創外固定器。
【請求項3】
前記第1ピンは、前記関節の回転中心又はその近傍を通るように前記第1骨部に配置され、前記第1保持部材は、前記第2ピン側に向かって凸状に湾曲した湾曲部を有し、前記第1保持部材は、前記湾曲部側に前記第1永久磁石を有している、請求項1に記載の創外固定器。
【請求項4】
前記第2保持部材は、棒状に形成されている、請求項3に記載の創外固定器。
【請求項5】
前記第1保持部材は、前記第1ピンの長手方向に位置調節可能であり、前記第2保持部材は、前記第2ピンの長手方向に位置調節可能である、請求項1に記載の創外固定器。
【請求項6】
前記第1ピンと前記第1保持部材との間、又は、前記第2ピンと前記第2保持部材との間の、少なくともいずれかに設けられた中間部材を備えている、請求項1に記載の創外固定器。
【請求項7】
前記第1保持部材と前記第2保持部材との少なくともいずれかは、前記第1ピン又は前記第2ピンの長手方向に直交する仮想平面上において位置調節可能である、請求項1に記載の創外固定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば膝関節等の関節における第1骨部と第2骨部との関節裂隙を保持する創外固定器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば膝関節炎等の治療においては、膝関節の損傷部にドリル等によって孔を空けて、骨髄から出血を促して、膝関節の損傷部に骨髄間葉系細胞を形成する骨穿孔術が採られることがある。術後早期から膝関節の損傷部に衝撃等が加わると、幼弱な組織に損傷を与えることになる。そのため、本願の発明者は、第1永久磁石と第2永久磁石との反発力によって、膝関節における第1骨部と第2骨部との関節裂隙を保持する創外固定器を開発し、その技術は既に公開されている(特許文献1及び特許文献2参照)。そして、先行技術に係る創外固定器の構成について簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
創外固定器は、第1骨部に取付けられた第1ピンと、第2骨部に取付けられた第2ピンとを備えている。創外固定器は、第1ピンの一端側に設けられたかつ膝関節の関節裂隙を保持するための第1保持部材を備えており、第1保持部材は、第1永久磁石を有している。創外固定器は、第2ピンの一端側に設けられかつ膝関節の関節裂隙を保持するための第2保持部材を備えており、第2保持部材は、第1永久磁石と同極対向する第2永久磁石を有する。
【0004】
特許文献1に記載の創外固定器においては、第1保持部材(特許文献1では第1磁石部と称される)に対して第2保持部材(特許文献1では第2磁石部と称される)を相対的に第2ピン(第1ピン)の長手方向に直交する仮想平面上において位置調節できるように、第1保持部材と第2保持部材とが連結部材によって連結されている。特許文献2に記載の創外固定器においては、第1永久磁石及び第2永久磁石は、それらの反発方向である第1方向に直交する第2方向への移動が第1規制部によって規制されている。第2永久磁石及び第2永久磁石は、第1方向と第2方向に直交する第3方向への移動が第2規制部によって規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5753695号公報
【特許文献2】特許第6114746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述のように、特許文献1に記載の創外固定器においては、第1保持部材と第2保持部材とが連結部材によって連結されている。特許文献2に記載の創外固定器においては、第1永久磁石及び第2永久磁石の2つの方向への移動が第1規制部及び第2規制部によって規制されている。そのため、第2保持部材の動作が第1保持部材によって拘束されることになる。その結果、例えばつま先が内側又は外側を向くように膝関節にひねり動作を加わったときに、第2保持部材が第2ピンの動作に追従して動作し難くなり、創外固定器の更なる改善が望まれている。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、膝関節等の関節にひねり等の動作が加わったときでも、関節の関節裂隙を安定的に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る創外固定器は、関節における第1骨部と第2骨部との関節裂隙を保持する創外固定器であって、前記第1骨部に取付けられる第1ピンと、前記第2骨部に取付けられる第2ピンと、前記第1ピンの一端側に一体的に設けられ、第1永久磁石を有し、前記関節裂隙を保持するための第1保持部材と、前記第2ピンの一端側に一体的に設けられ、前記第1永久磁石と同極対向する第2永久磁石を有し、前記第1保持部材と分離独立して構成され、前記関節裂隙を保持するための第2保持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、関節にひねり等の動作が加わったときでも、関節の関節裂隙を安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る創外固定器を示す模式的な正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る創外固定器を示す模式的な側面図である。
【
図3】膝関節を曲げたときにおける第1実施形態に係る創外固定器の状態を示す模式的な側面図である。
【
図4】膝関節を捻ったときにける第1実施形態に係る創外固定器の状態を示す模式的な正面図である。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る創外固定器を示す模式的な正面図である。
【
図6】第2実施形態に係る創外固定器を示す模式的な正面図である。
【
図7】第2実施形態に係る創外固定器を示す模式的な側面図である。
【
図8】第3実施形態に係る創外固定器を示す模式的な正面図である。
【
図9】第3実施形態に係る創外固定器を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1及び
図2を参照して、第1実施形態に係る創外固定器10の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る創外固定器10を示す模式的な正面図である。
図2は、第1実施形態に係る創外固定器10を示す模式的な側面図である。
【0013】
(創外固定器10の概要)
図1に示すように、第1実施形態に係る創外固定器10は、例えば膝関節炎等の関節炎の治療に用いられ、関節の一例である膝関節ARにおける第1骨部BFと第2骨部BSとの関節裂隙ARcを保持する医療用器具である。創外固定器10は、膝関節ARの関節裂隙ARcを保持することにより、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を吸収する。膝関節ARにおける第1骨部BFは大腿骨であり、膝関節ARにおける第2骨部BSは脛骨である。
【0014】
(第1ピン12)
図1及び
図2に示すように、創外固定器10は、第1骨部BFに取付けられる棒状の第1ピン12を備えており、第1ピン12は、第1骨部BFにドリル等によって形成した貫通孔BFhに挿通している。第1ピン12は、膝関節ARの回転中心又はその近傍を通るように配置されている。第1ピン12の両端側には、雄ネジ部12sがそれぞれ形成されている。第1ピン12の中間側には、第1ピン12を第1骨部BFに固定するための複数の雄ネジ部12tが形成されている。第1ピン12は、生体適合性に優れたチタンを含む材料により構成されることが望ましい。
【0015】
(第2ピン14)
図1及び
図2に示すように、創外固定器10は、第2骨部BSに取付けられる棒状の第2ピン14を備えており、第2ピン14は、第2骨部BSにドリル等によって形成した貫通孔BShに挿通している。第2ピン14の両端側には、雄ネジ部14sがそれぞれ形成されている。第2ピン14の中間側には、第2ピン14を第2骨部BSに固定するための複数の雄ネジ部14tが形成されている。第2ピン14は、生体適合性に優れたチタンを含む材料により構成されることが望ましい。
【0016】
(第1保持部材16、第1永久磁石18)
図1及び
図2に示すように、創外固定器10は、第1ピン12の両端側にそれぞれ一体的に設けられた第1保持部材16を備えており、各第1保持部材16は、膝関節ARの関節裂隙ARcを保持するための部材である。各第1保持部材16の側面視形状は、円形状に形成されており、各第1保持部材16は、第2ピン14側に向かって凸円弧状(凸状の一例)に湾曲した湾曲部16cを有している。各第1保持部材16の中央部には、第1ピン12の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔16hが形成されている。
【0017】
なお、各第1保持部材16の湾曲部16cが第2ピン14側に向かって凸状に湾曲していれば、凸円弧状に湾曲していなくてもよい。各第1保持部材16が湾曲部16cを有していれば、各第1保持部材16の平面視形状は、例えば半円形状又は扇形状等の円形状以外の形状であってもよい。
【0018】
各第1保持部材16の湾曲部16cには、円弧状の取付溝(取付凹部)16dが形成されており、各取付溝16dには、円弧状の第1永久磁石18が固定されている。換言すれば、各第1保持部材16は、湾曲部16c側に、円弧状の第1永久磁石18を有している。各第1永久磁石18は、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石、ゴム磁石、プラスチック磁石のいずれであってもよく、好ましくは、希土類磁石のうちのネオジム磁石である。各1保持部材16における第1永久磁石18を除く本体部16mは、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。
図1において、第1永久磁石18のN極側は、斜線ハッチングで示しており、第1永久磁石18のS極側は、点ハッチングで示している。
【0019】
なお、各第1保持部材16の湾曲部16cに、取付溝16dを形成することなく、第1永久磁石18を固定してもよい。各第1保持部材16の本体部16mに対する第1永久磁石18の取付手法は、ネジによる取付、接着剤による取付、又はその他の公知の取付手法のいずれであってもよい。各第1保持部材16が第1永久磁石18を有するように、各第1保持部材16自体を永久磁石によって構成してもよい。
【0020】
各第1保持部材16は、第1ピン12の雄ネジ部12sに螺合した複数の固定ナット20によって、挟持された状態で第1ピン12に対して固定される。各第1保持部材16は、複数の固定ナット20の螺合位置を変えることによって、第1ピン12の長手方向に位置調節可能である。各第1保持部材16は、第1ピン12の軸心周りに回転調節可能である。
【0021】
(第2保持部材22、第2永久磁石24)
図1及び
図2に示すように、創外固定器10は、第2ピン14の両端側にそれぞれ一体的に設けられた第2保持部材22を備えており、各第2保持部材22は、膝関節ARの関節裂隙ARcを保持するための部材である。各第2保持部材22の側面視形状は、円形状に形成されている。各第2保持部材22は、第1ピン12側に向かって凸円弧状(凸状の一例)に湾曲した湾曲部22cを有しており、各湾曲部22cは、各第1保持部材16の湾曲部16cに対向している。各第2保持部材22の中央部には、第2ピン14の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔22hが形成されている。なお、各第2保持部材22は、各第1保持部材16の湾曲部16cに対向する部位を有していれば、湾曲部22cを有してなくてもよい。
【0022】
各第2保持部材22の湾曲部22cには、円弧状の取付溝(取付凹部)22dが形成されており、各取付溝22dには、円弧状の第2永久磁石24が固定されている。換言すれば、各第2保持部材22は、各第1保持部材16の湾曲部16cに対向する側に、円弧状の第2永久磁石24を有している。各第2永久磁石24は、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石、ゴム磁石、プラスチック磁石のいずれであってもよく、好ましくは、希土類磁石のうちのネオジム磁石である。各2保持部材22における第2永久磁石24を除く本体部22mは、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。
図1において、第2永久磁石24のN極側は、斜線ハッチングで示しており、第2永久磁石24のS極側は、点ハッチングで示している。
【0023】
なお、各第2保持部材22の湾曲部22cに、取付溝22dを形成することなく、第2永久磁石24を固定してもよい。各第2保持部材22の本体部22mに対する第2永久磁石24の取付手法は、ネジによる取付、接着剤による取付、又はその他の公知の取付手法のいずれであってもよい。各第2保持部材22が第2永久磁石24を有するように、各第2保持部材22自体を永久磁石によって構成してもよい。
【0024】
各第2永久磁石24は、各第1永久磁石18と同極対向するように配置されている。具体的には、各第2永久磁石24と各第1永久磁石18は、N極同士が対向するように配置されている。各第2保持部材22は、各第1保持部材16と分離独立して構成されている。換言すれば、各第2保持部材22は、各第1保持部材16と連結せずに独立した状態で、第2ピン14の一端側又は他端側の動作に追従して動作するように構成されている。なお、各第2永久磁石24と各第1永久磁石18は、S極同士が対向するように配置されてもよい。
【0025】
各第2保持部材22は、第2ピン14の雄ネジ部14sに螺合した複数の固定ナット26によって、挟持された状態で第2ピン14に対して固定される。各第2保持部材22は、複数の固定ナット26の螺合位置を変えることによって、第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。各第2保持部材22は、第2ピン14の軸心周りに回転調節可能である。
【0026】
(作用効果)
第1実施形態の作用効果について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3のIIIAは、膝関節ARを45度曲げたときにおける創外固定器10の状態を示す模式図である。
図3のIIIBは、膝関節ARを90度曲げたときにおける創外固定器10の状態を示す模式図である。
図4は、膝関節ARを捻ったときにおける創外固定器10の状態を示す図である。
【0027】
創外固定器10においては、前述のように、各第2永久磁石24が各第1永久磁石18と同極対向するように配置されている。そのため、2組の第1永久磁石18と第2永久磁石24との反発力(斥力)によって膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持することができる。これにより、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を軽減して、例えば、
図3のIIIA及びIIIBに示すように、膝関節ARを動かすことができ、膝関節炎の治療効果を高めることができる。
【0028】
創外固定器10においては、前述のように、各第2保持部材22が各第1保持部材16と分離独立して構成されている。そのため、各第2保持部材22は、各第1保持部材16と連結せずに独立した状態で、第2ピン14の一端側又は他端側の動作に追従して動作することができる。これにより、例えば、
図4に示すように、膝関節ARにひねり等の動作が加わったときでも、2組の第1永久磁石18と第2永久磁石24との反発力によって膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持することができる。その結果、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を安定的に軽減して、例えば、
図3のIIIA及びIIIBに示すように、膝関節ARを動かすことができ、膝関節炎の治療効果をより高めることができる。
【0029】
創外固定器10においては、前述のように、各第1保持部材16は、第2ピン14側に向かって凸円弧状に湾曲した湾曲部16cを有している。各第1保持部材16は、湾曲部16c側に、円弧状の第1永久磁石18を有している。そのため、第1保持部材16と第2保持部材22との干渉を回避しつつ、膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持した状態で、例えば、
図3のIIIA及びIIIBに示すように、膝関節ARを動かすことができる。
【0030】
創外固定器10において、前述のように、各第1保持部材16が第1ピン12の長手方向に位置調節可能であり、各第2保持部材22が第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。そのため、各第1保持部材16及び各第2保持部材22が膝関節ARの大きさに応じた適切な位置に位置するように、創外固定器10を膝関節ARに取付けることができ、創外固定器10の汎用性を高めることができる。
【0031】
〔第1実施形態の変形例〕
図5を参照して、第1実施形態の変形例に係る創外固定器10Aの構成について説明する。
図5は、第1実施形態の変形例に係る創外固定器10Aを示す模式的な正面図である。なお、説明の便宜上、第1実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0032】
図5に示すように、第1実施形態の変形例に係る創外固定器10Aにおいては、第1ピン12の一端側にのみ第1保持部材16が一体的に設けられている。第1ピン12の他端側は、足の皮膚から外側に突出しないようになっている。また、第2ピン14の一端側にのみ第2保持部材22が一体的に設けられている。第2ピン14の他端側は、足の皮膚から外側に突出しないようになっている。
【0033】
そして、第1実施形態の変形例においても、前述の第1実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0034】
[第2実施形態]
図6及び
図7を参照して、第2実施形態に係る創外固定器28の構成について説明する。
図6は、第2実施形態に係る創外固定器28を示す模式的な正面図である。
図7は、第2実施形態に係る創外固定器28を示す模式的な側面図である。
【0035】
(創外固定器28の概要)
図6に示すように、第2実施形態に係る創外固定器28は、膝関節ARにおける第1骨部BFと第2骨部BSとの関節裂隙ARcを保持する医療用器具であり、膝関節ARに加わる衝撃又は負荷を吸収する。創外固定器28は、第1実施形態に係る創外固定器10(
図1及び
図2参照)と同様に、第1ピン12と、第2ピン14と、第1永久磁石18を有した2つの第1保持部材16と、複数の固定ナット20とを備えている。
【0036】
(第2保持部材30、第2永久磁石32)
図6及び
図7に示すように、創外固定器28は、第2保持部材22(
図1及び
図2参照)に代えて、第2ピン14の両端側にそれぞれ一体的に設けられた棒状の第2保持部材30を備えている。各第2保持部材30は、膝関節ARの関節裂隙ARcを保持するための部材であり、棒状に形成されている。各第2保持部材30の基端側には、第2ピン14の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔30hが形成されている。
【0037】
各第2保持部材30の先端には、取付凹部30dが形成されており、各取付凹部30dには、小片状の第2永久磁石32が固定されている。換言すれば、各第2保持部材30は、先端側に、小片状の第2永久磁石32を有している。各第2永久磁石32は、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石、ゴム磁石、プラスチック磁石のいずれであってもよく、好ましくは、希土類磁石のうちのネオジム磁石である。各2保持部材30における第2永久磁石32を除く本体部30mは、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。
図6において、第2永久磁石32のN極側は、斜線ハッチングで示しており、第2永久磁石32のS極側は、点ハッチングで示している。各第2保持部材30が第2永久磁石32を有するように、各第2保持部材30自体を永久磁石によって構成してもよい。
【0038】
なお、各第2保持部材30の先端に、取付凹部30dを形成することなく、第2永久磁石32を固定してもよい。各第2保持部材30の本体部30m対する第2永久磁石24の取付手法は、ネジによる取付、接着剤による取付、又はその他の公知の取付手法のいずれであってもよい。
【0039】
各第2永久磁石32は、各第1永久磁石18と同極対向するように配置されている。具体的には、各第2永久磁石32と各第1永久磁石18は、N極同士が対向するように配置されている。各第2保持部材30は、各第1保持部材16と分離独立して構成されている。換言すれば、各第2保持部材30は、各第1保持部材16と連結せずに独立した状態で、第2ピン14の一端側又は他端側の動作に追従して動作するように構成されている。なお、各第2永久磁石32と各第1永久磁石18とは、S極同士が対向するように配置されてもよい。
【0040】
各第2保持部材30は、第2ピン14の雄ネジ部14sに螺合した複数の固定ナット34によって、挟持された状態で第2ピン14に対して固定される。各第2保持部材30は、複数の固定ナット34の螺合位置を変えることによって、第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。各第2保持部材30は、第2ピン14の軸心周りに回転調節可能である。
【0041】
なお、第1実施形態の変形例に係る創外固定器10Aと同様に、第1ピン12の一端側にのみ第1保持部材16が一体的に設けられてもよい。第2ピン14の一端側にのみ第2保持部材30が一体的に設けられてもよい。
【0042】
(作用効果)
第2実施形態の作用効果について説明する。
【0043】
創外固定器28においては、前述のように、各第2永久磁石32が各第1永久磁石18と同極対向するように配置されている。そのため、2組の第1永久磁石18と第2永久磁石32との反発力によって膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持することができる。これにより、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を軽減して、膝関節ARを動かすことができ、膝関節炎の治療効果を高めることができる。
【0044】
創外固定器28においては、前述のように、各第2保持部材30が各第1保持部材16と分離独立して構成されている。そのため、各第2保持部材30は、各第1保持部材16と連結せずに独立した状態で、第2ピン14の一端側又は他端側の動作に追従して動作することができる。これにより、膝関節ARにひねり等の動作が加わったときでも、2組の第1永久磁石18と第2永久磁石32との反発力によって膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持することができる。その結果、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を安定的に軽減して、膝関節ARを動かすことができ、膝関節炎の治療効果をより高めることができる。
【0045】
創外固定器28においては、前述のように、各第1保持部材16は、湾曲部16c側に、円弧状の第1永久磁石18を有している。そのため、第1保持部材16と第2保持部材22との干渉を回避しつつ、膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持した状態で、膝関節ARを動かすことができる。
【0046】
創外固定器28においては、前述のように、各第2保持部材30が棒状に形成されている。そのため、各第2保持部材30の製造が簡単になり、創外固定器28の製造コストの低下を図ることができる。
【0047】
創外固定器28において、前述のように、各第1保持部材16が第1ピン12の長手方向に位置調節可能であり、各第2保持部材30が第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。そのため、各第1保持部材16及び各第2保持部材30が膝関節ARの大きさに応じた適切な位置に位置するように、創外固定器28を膝関節ARに取付けることができ、創外固定器28の汎用性を高めることができる。
【0048】
〔第3実施形態〕
図8及び
図9を参照して、第3実施形態に係る創外固定器36の構成について説明する。
図8は、第3実施形態に係る創外固定器36を示す模式的な正面図である。
図9は、第3実施形態に係る創外固定器36を示す模式的な側面図である。
【0049】
(創外固定器36の概要)
図8に示すように、第3実施形態に係る創外固定器36は、膝関節ARにおける第1骨部BFと第2骨部BSとの関節裂隙ARcを保持する医療用器具であり、膝関節ARに加わる衝撃又は負荷を吸収する。創外固定器36は、第1実施形態に係る創外固定器10(
図1及び
図2参照)と同様に、第1ピン12と、第2ピン14とを備えている。
【0050】
(第1中間部材38)
図8及び
図9に示すように、創外固定器36は、第1ピン12の両端側にそれぞれ一体的に設けられた第1中間部材(中間部材)38を備えており、各第1中間部材38は、第1ピン12の長手方向に直交する方向に延びている。各第1中間部材38は、第1ピン12の一端側又は他端側に連結された1つのリンク部材によって構成されている。各第1中間部材38の基端側には、第1ピン12の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔38hが形成されている。各第1中間部材38は、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。なお、各第1中間部材38が1つのリンク部材によって構成される代わりに、回動可能に連結した複数のリンク部材によって構成されてもよい。
【0051】
各第1中間部材38は、第1ピン12の雄ネジ部12sに螺合した複数の固定ナット40によって、挟持された状態で第1ピン12に対して固定される。各第1中間部材38は、複数の固定ナット40の螺合位置を変えることによって、第1ピン12の長手方向に位置調節可能である。各第1中間部材38は、第1ピン12の軸心周りに回転調節可能である。
【0052】
(第1保持部材44、第1永久磁石46)
図8及び
図9に示すように、創外固定器36は、各第1中間部材38の先端側に取付ネジ42によって設けられた第1保持部材44を備えている。換言すれば、各第1中間部材38は、第1ピン12の一端側又は他端側と第1保持部材44との間に設けられている。創外固定器36は、第1ピン12の両端側に第1中間部材38を介してそれぞれ一体的に設けられた第1保持部材44を備えている。各第1保持部材44は、膝関節ARの関節裂隙ARcを保持するための部材である。各第1保持部材44の側面視形状は、円形状に形成されており、各第1保持部材44は、第2ピン14側に向かって凸円弧状(凸状の一例)に湾曲した湾曲部44cを有している。各第1保持部材44の中央部には、第1ピン12の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔44hが形成されている。
【0053】
なお、各第1保持部材44の湾曲部44cが第2ピン14側に向かって凸状に湾曲していれば、凸円弧状に湾曲していなくてもよい。各第1保持部材44が湾曲部44cを有していれば、各第1保持部材44の平面視形状は、例えば半円形状又は扇形状等の円形状以外の形状であってもよい。
【0054】
各第1保持部材44の湾曲部44cには、円弧状の取付溝(取付凹部)44dが形成されており、各取付溝44dには、円弧状の第1永久磁石46が固定されている。換言すれば、各第1保持部材44は、湾曲部44c側に、円弧状の第1永久磁石46を有している。各第1永久磁石46は、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石、ゴム磁石、プラスチック磁石のいずれであってもよく、好ましくは、希土類磁石のうちのネオジム磁石である。各1保持部材44における第1永久磁石46を除く本体部44mは、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。
図8において、第1永久磁石46のN極側は、斜線ハッチングで示しており、第1永久磁石46のS極側は、点ハッチングで示している。
【0055】
なお、各第1保持部材44の湾曲部44cに、取付溝44dを形成することなく、第1永久磁石46を固定してもよい。各第1保持部材44の本体部44mに対する第1永久磁石46の取付手法は、ネジによる取付、接着剤による取付、又はその他の公知の取付手法のいずれであってもよい。各第1保持部材44が第1永久磁石46を有するように、各第1保持部材44自体を永久磁石によって構成してもよい。
【0056】
各第1保持部材44は、各第1中間部材38を介して第1ピン12に対して固定される。各第1保持部材44は、各第1中間部材38を介して第1ピン12の長手方向に位置調節可能である。また、各第1保持部材44は、各第1中間部材38を介して第1ピン12の軸心周りに回転調節可能である。各第1保持部材44は、各取付ネジ40及び各第1中間部材38の長孔(不図示)を介して、各第1中間部材38の長手方向に位置調節可能である。換言すれば、各第1保持部材44は、第1ピン12の長手方向に直交する仮想平面上において位置調節可能である。
【0057】
(第2中間部材48)
図8及び
図9に示すように、創外固定器36は、第2ピン14の両端側にそれぞれ一体的に設けられた第2中間部材(中間部材)48を備えており、各第2中間部材48は、第2ピン14の長手方向に直交する方向に延びている。各第2中間部材48は、第2ピン14の一端側又は他端側に連結された1つのリンク部材によって構成されている。各第2中間部材48の基端側には、第2ピン14の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔48hが形成されている。各第2中間部材48は、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。なお、各第2中間部材48が1つのリンク部材によって構成される代わりに、回動可能に連結した複数のリンク部材によって構成されてもよい。
【0058】
各第2中間部材48は、第2ピン14の雄ネジ部14sに螺合した複数の固定ナット50によって、挟持された状態で第2ピン14に対して固定される。各第2中間部材48は、複数の固定ナット50の螺合位置を変えることによって、第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。
【0059】
(第2保持部材54、第2永久磁石56)
図8及び
図9に示すように、創外固定器36は、各第2中間部材48の先端側に取付ネジ52によって設けられた第2保持部材54を備えている。換言すれば、各第2中間部材48は、第2ピン14の一端側又は他端側と第2保持部材54との間に設けられている。創外固定器36は、第1ピン12の両端側に第2中間部材48を介してそれぞれ一体的に設けられた第2保持部材54を備えている。各第2保持部材54は、膝関節ARの関節裂隙ARcを保持するための部材である。各第2保持部材54の側面視形状は、円形状に形成されている。各第2保持部材54は、第1ピン12側に向かって凸円弧状(凸状の一例)に湾曲した湾曲部54cを有しており、各湾曲部54cは、各第1保持部材44の湾曲部44cに対向している。各第2保持部材54の中央部には、第1ピン12の一端側又は他端側を挿通させるための挿通孔54hが形成されている。なお、各第2保持部材54は、各第1保持部材44の湾曲部44cに対向する部位を有していれば、湾曲部54cを有してなくてもよい。
【0060】
各第2保持部材54の湾曲部54cには、円弧状の取付溝(取付凹部)54dが形成されており、各取付溝54dには、円弧状の第2永久磁石56が固定されている。換言すれば、各第2保持部材54は、各第1保持部材44の湾曲部44cに対向する側に、円弧状の第2永久磁石56を有している。各第2永久磁石56は、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石、ゴム磁石、プラスチック磁石のいずれであってもよく、好ましくは、希土類磁石のうちのネオジム磁石である。各2保持部材54における第2永久磁石56を除く本体部54mは、例えばセラミック、非磁性ステンレス、プラスチック等の非磁性材料によって構成されている。
図8において、第2永久磁石56のN極側は、斜線ハッチングで示しており、第2永久磁石56のS極側は、点ハッチングで示している。
【0061】
なお、各第2保持部材54の湾曲部54cに、取付溝54dを形成することなく、第2永久磁石56を固定してもよい。各第2保持部材54の本体部54mに対する第2永久磁石56の取付手法は、ネジによる取付、接着剤による取付、又はその他の公知の取付手法のいずれであってもよい。各第2保持部材54が第2永久磁石56を有するように、各第2保持部材54自体を永久磁石によって構成してもよい。
【0062】
各第2永久磁石56は、各第1永久磁石46と同極対向するように配置されている。具体的には、各第2永久磁石56と各第1永久磁石46は、N極同士が対向するように配置されている。各第2保持部材54は、各第1保持部材44と分離独立して構成されている。換言すれば、各第2保持部材54は、各第1保持部材44と連結せずに独立した状態で、第2ピン14の一端側又は他端側の動作に追従して動作するように構成されている。なお、各第2永久磁石56と各第1永久磁石46とは、S極同士が対向するように配置されてもよい。
【0063】
各第2保持部材54は、各第2中間部材48を介して第2ピン14に対して固定される。各第2保持部材54は、各第2中間部材48を介して第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。また、各第2保持部材54は、各第2中間部材48を介して第2ピン14の軸心周りに回転調節可能である。各第2保持部材54は、各取付ネジ52及び各第2中間部材48の長孔(不図示)を介して、各第2中間部材48の長手方向に位置調節可能である。換言すれば、各第2保持部材54は、第2ピン14の長手方向に直交する仮想平面上において位置調節可能である。
【0064】
なお、第1実施形態の変形例に係る創外固定器10Aと同様に、第1ピン12の一端側にのみ第1保持部材44が第1中間部材38を介して一体的に設けられてもよい。第2ピン14の一端側にのみ第2保持部材54が第2中間部材48を介して一体的に設けられてもよい。
【0065】
(作用効果)
第3実施形態の作用効果について説明する。
【0066】
創外固定器36においては、前述のように、各第2永久磁石56が各第1永久磁石46と同極対向するように配置されている。そのため、2組の第1永久磁石46と第2永久磁石56との反発力によって膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持することができる。これにより、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を軽減して、膝関節ARを動かすことができ、膝関節炎の治療効果を高めることができる。
【0067】
創外固定器36においては、前述のように、各第2保持部材54が各第1保持部材44と分離独立して構成されている。そのため、各第2保持部材54は、各第1保持部材44と連結せずに独立した状態で、第2ピン14の一端側又は他端側の動作に追従して動作することができる。これにより、膝関節ARにひねり等の動作が加わったときでも、2組の第1永久磁石46と第2永久磁石56との反発力によって膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持することができる。その結果、膝関節ARの損傷部に加わる衝撃又は負荷を安定的に軽減して、膝関節ARを動かすことができ、膝関節炎の治療効果をより高めることができる。
【0068】
創外固定器36においては、前述のように、各第1保持部材44は、第2ピン14側に向かって凸円弧状に湾曲した湾曲部44cを有している。各第1保持部材44は、湾曲部44c側に、円弧状の第1永久磁石46を有している。そのため、第1保持部材44と第2保持部材54との干渉を回避しつつ、膝関節ARの関節裂隙ARcを安定的に保持した状態で、膝関節ARを動かすことができる。
【0069】
創外固定器36において、前述のように、各第1保持部材44が第1ピン12の長手方向に位置調節可能であり、各第2保持部材54が第2ピン14の長手方向に位置調節可能である。そのため、各第1保持部材44及び各第2保持部材54が膝関節ARの大きさに応じた適切な位置に位置するように、創外固定器36を膝関節ARに取付けることができ、創外固定器36の汎用性を高めることができる。
【0070】
創外固定器36においては、前述のように、第1ピン12の両端側に第1保持部材44が第1中間部材38を介してそれぞれ一体的に設けられている。第1ピン12の両端側に第2保持部材54が第2中間部材48を介してそれぞれ一体的に設けられている。そのため、第1ピン12に対する第1保持部材44の取付自由度、及び第2ピン14に対する第2保持部材54の取付自由度を高めることができる。
【0071】
創外固定器36においては、前述のように、各第1保持部材44が第1ピン12の長手方向に直交する仮想平面上において位置調節可能である。各第2保持部材54は、第2ピン14の長手方向に直交する仮想平面上において位置調節可能である。そのため、各第1保持部材44を第1ピン12に対する適切な位置に容易に位置決めできると共に、各第2保持部材54を第2ピン14に対する適切な位置に容易に位置決めすることができる。
【0072】
〔その他の実施形態〕
前述の構成からなる創外固定器10(10A,28,36)を、例えば、足首関節、股関節、肘関節、指関節等、膝関節AR以外の関節における第1骨部と第2骨部との関節裂隙を保持するために用いてもよい。
【0073】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る創外固定器は、関節における第1骨部と第2骨部との関節裂隙を保持する創外固定器であって、前記第1骨部に取付けられる第1ピンと、前記第2骨部に取付けられる第2ピンと、前記第1ピンの一端側に一体的に設けられ、第1永久磁石を有し、前記関節裂隙を保持するための第1保持部材と、前記第2ピンの一端側に一体的に設けられ、前記第1永久磁石と同極対向する第2永久磁石を有し、前記第1保持部材と分離独立して構成され、前記関節裂隙を保持するための第2保持部材と、を備える、創外固定器。
【0074】
前記構成によれば、前記第2永久磁石が前記第1永久磁石と同極対向しているため、前記第1永久磁石と前記第2永久磁石との反発力(斥力)によって前記関節の前記関節裂隙を保持することができる。これにより、前記関節の損傷部に加わる衝撃又は負荷を軽減して、前記関節を動かすことができ、関節炎の治療効果を高めることができる。
【0075】
また、前記第2保持部材が前記第1保持部材と分離独立して構成されているため、前記第2保持部材は、前記第1保持部材に独立した状態で、前記第2ピンの動作に追従して動作することができる。これにより、前記関節にひねり等の動作が加わったときでも、前記第1永久磁石と前記第2永久磁石との反発力によって前記関節の前記関節裂隙を安定的に保持することができる。その結果、前記関節の損傷部に加わる衝撃又は負荷を安定的に軽減して、前記関節を動かすことができ、関節炎の治療効果をより高めることができる。
【0076】
本発明の態様2に係る創外固定器は、前記態様1において、前記第1保持部材は、前記第1ピンの両端側にそれぞれ一体的に設けられ、前記第2保持部材は、前記第2ピンの両端側にそれぞれ一体的に設けられてもよい。
【0077】
前記の構成によれば、2組の前記第1永久磁石と前記第2永久磁石との反発力によって前記関節の前記関節裂隙を安定的に保持することができる。
【0078】
本発明の態様3に係る創外固定器は、前記態様1又は2において、前記第1ピンは、前記関節の回転中心又はその近傍を通るように前記第1骨部に配置され、前記第1保持部材は、前記第2ピン側に向かって凸状に湾曲した湾曲部を有し、前記第1保持部材は、前記湾曲部側に前記第1永久磁石を有してもよい。
【0079】
前記の構成によれば、前記第1保持部材と前記第2保持部材との干渉を回避しつつ、前記関節の前記関節裂隙を保持した状態で、前記関節を動かすことができる。
【0080】
本発明の態様4に係る創外固定器は、前記態様3において、前記第2保持部材は、棒状に形成されてもよい。
【0081】
前記の構成によれば、前記第2保持部材30の製造が簡単になり、前記創外固定器の製造コストの低下を図ることができる。
【0082】
本発明の態様5に係る創外固定器は、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記第1保持部材は、前記第1ピンの長手方向に位置調節可能であり、前記第2保持部材は、前記第2ピンの長手方向に位置調節可能であってもよい。
【0083】
前記の構成によれば、前記第1保持部材及び前記第2保持部材が前記関節の大きさに応じた適切な位置に位置するように、前記創外固定器を前記関節に取付けることができる。これにより、前記創外固定器の汎用性を高めるこができる。
【0084】
本発明の態様6に係る創外固定器は、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記第1ピンと前記第1保持部材との間、又は、前記第2ピンと前記第2保持部材との間の、少なくともいずれかに設けられた中間部材を備えてもよい。
【0085】
前記の構成によれば、前記第1保持部材と前記第2保持部材の少なくともいずれかについて、前記第1ピン又は前記第2ピンに対する取付自由度を高めることができる。
【0086】
本発明の態様7に係る創外固定器は、前記態様1から6のいずれかにおいて、前記第1保持部材と前記第2保持部材との少なくともいずれかは、前記第1ピン又は前記第2ピンの長手方向に直交する仮想平面上において位置調節可能であってもよい。
【0087】
前記の構成によれば、前記第1保持部材と前記第2保持部材の少なくともいずれかを前記第1ピン又は前記第2ピンに対する適切な位置に容易に位置決めすることができる。
【0088】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 創外固定器(第1実施形態に係る創外固定器)
12 第1ピン
12s 雄ネジ部
12t 雄ネジ部
14 第2ピン
14s 雄ネジ部
14t 雄ネジ部
16 第1保持部材
16m 本体部
16c 湾曲部
18 第1永久磁石
20 固定ナット
22 第2保持部材
22m 本体部
22c 湾曲部
24 第2永久磁石
26 固定ナット
10A 創外固定器(第1実施形態の変形例に係る創外固定器)
28 創外固定器(第2実施形態に係る創外固定器)
30 第2保持部材
30m 本体部
32 第2永久磁石
34 固定ナット
36 創外固定器(第3実施形態に係る創外固定器)
38 第1中間部材(中間部材)
40 固定ナット
42 取付ネジ
44 第1保持部材
44m 本体部
44c 湾曲部
46 第1永久磁石
48 第2中間部材(中間部材)
50 固定ナット
52 取付ネジ
54 第2保持部材
54m 本体部
54d 取付溝
56 第2永久磁石
AR 膝関節(関節)
ARc 関節裂隙
BF 第1骨部
BS 第2骨部